平成20年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成20年12月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
────────────────────
議事日程 第3号
 平成20年12月9日(火曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第120号から議案第147号まで
    (質疑)
 第2 一般質問
────────────────────
会議に付した事件
 第1 議案第120号から議案第147号まで
    (質疑)
 第2 一般質問
────────────────────
出席議員(45人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 川口文章
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 15番 平越孝哉
 16番 下川俊樹
 17番 岸本 健
 18番 尾崎太郎
 19番 藤山将材
 20番 新島 雄
 21番 山下直也
 22番 井出益弘
 23番 宇治田栄蔵
 24番 多田純一
 25番 中 拓哉
 26番 角田秀樹
 27番 江上柳助
 28番 山田正彦
 29番 坂本 登
 30番 尾崎要二
 31番 中村裕一
 32番 服部 一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 藤本眞利子
 36番 長坂隆司
 37番 玉置公良
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(1人)
 14番 谷 洋一
────────────────────
説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        原 邦彰
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      森 崇
 総務部長       小濱孝夫
 企画部長       前硲健作
 環境生活部長     井口悦治
 福祉保健部長     井畑文男
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      雑賀忠士
 教育委員会委員長   湯川 力
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員長   大岡淳人
 警察本部長      永松健次
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 山本恒男
────────────────────
職務のため出席した事務局職員
 事務局長       蓬臺孝紀
 次長         東岡誠吾
 議事課長       薮上育男
 議事課副課長     土井敏弘
 議事班長       田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      石垣悦二
 議事課主査      瀧川泰治
 総務課長       笠松 学
 調査課長       佐本 明
────────────────────
  午前10時0分開議
○議長(大沢広太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第120号から議案第147号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 11番花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 おはようございます。ただいま議長のお許しをいただきましたので、早速一般質問に入らせていただきます。
 ことしの日本は大不況のうちに閉じようとしています。また、殺伐とした時代を反映するような犯罪、特に自動車で3キロ、5キロも人を引きずって逃げようとするおよそ人間性の欠如としか考えられない事件や、元厚生労働省の幹部がねらわれた我々には考えられない動機による殺人事件が多発するなど、痛ましい事件が相次いで起こっています。被害に遭われた方々に、心からお見舞いを申し上げます。
 しかし、心うれしいニュースもありました。我が国の物理・化学の分野で南部陽一郎シカゴ大学名誉教授、小林誠名誉教授、益川敏英京都産業大学教授、下村脩ボストン大学名誉教授がノーベル賞を受賞いたしました。技術立国日本の面目躍如たる大ニュースで、国民に大きな夢と希望を与えてくれました。特に最近理系が弱くなったと言われている将来の日本を背負う小中学生にとって大きなともしびであり、誇りになったことでしょう。
 一方、我が和歌山県に目を転じますと、仁坂県政がようやく県民にも周知され、積極的な企業誘致に対しては高く評価できますし、長期総合計画の策定により将来の和歌山県のあり方が示され、県民一丸となって躍進していこうという大変重要な時期にあると考えます。財政の健全化は緊急の課題でありますが、現在国政が行っている大胆な景気対策に素早く対応し、中小零細企業に対する金融支援を、和歌山県信用保証協会を通じて当局としても万全の体制で臨んでいただきたいと強く要望するものであります。
 特に建設業を取り巻く環境は厳しいと考えますが、当局におかれましては、建設関連事業者に対象の融資制度の説明会をそれぞれ振興局の建設部で国の融資制度や中小企業融資制度について11月10日から行っていただいたとお聞きし、心強く思っております。また、当局は、ことし6月以降、これまでの指名競争入札から一般競争入札を導入され、あわせて電子入札も取り入れられました。この新制度は、一昨年の官製談合事件を踏まえ、導入されたものであります。県民の利益を考えると当然の措置であります。さらに、このたび当局は新公共調達制度の一部改定を行いました。
 そこで、今回新しく改定した新公共調達制度も含めて、制度施行から半年たちますし、10月末で既に建設工事1038件、委託業務454件の入札公告を行い、建設業で870件開札し、うち759件落札、57件審査中、委託業務で379件開札、325件落札、46件審査中と聞いております。12月に入りましたので、さらに入札業務は進んでいると思いますので、この半年の入札実績等を踏まえて、その状況を検証し、幾つかの点について質問させていただきたいと思います。
 まず、入札時の設計単価についてであります。
 御承知のとおり、我が国はバブル崩壊後、急速なデフレ経済に陥り、建設業界も大きな影響を受けました。しかし、建設業界の資材のデフレは一般社会のデフレと少し様相が異なります。農林水産物や食料品のような一般商品のデフレは、中国を代表とする国外からの輸入により、国内産の商品より安い商品が日本じゅうに出回ったためであります。しかし、当時の日本経済の状況から申しますと、大不況下の日本の消費者を救ったのも、この安価な商品であったことは否めません。もちろん、建設資材も海外から広く輸入されているものもたくさんあります。地球環境の観点から見ると甚だ遺憾なことではありますが、途上国の森林を伐採してつくられるコンパネ等の合板は、ほとんどが海外から安く輸入されています。
 しかし、ここで私が述べたい建設業界のデフレ現象は、設計段階で資材等の単価がデフレスパイラルに陥っていることであります。当局の御説明では、設計単価の算出方法は、今年度は財団法人経済調査会に委託し、製造単価ではなく実際の流通している資材単価を調査して、その単価を次の設計単価に反映させるという仕組みだとお聞きいたしました。
 この仕組みで単価を決めていくとどういうことになりますか。例えば、ある工事を調査基準価格以下で落札いたします。建設業者は、この工事を完成させるため、当然赤字にならないように懸命の努力を重ねるでしょう。結果、資材仕入れの業者や下請業者に協力を求め、できるだけ安い単価で資材を納入するように求めます。そして、この工事を完成させるわけですが、このとき購入した資材単価が次の入札の単価として調査され、設計単価に採用されていきます。
 この仕組みが一定期間続くと設計単価は限りなく安くなっていき、建設業者も資材業者も、ともにデフレスパイラルに陥り、破綻していくことになります。そして、さらに倒産の恐怖から逃れるために、さらなる過当競争が生まれ、建設業界全体が大きなデフレの渦に巻き込まれていったのがここ十数年の業界を取り巻く状況であったと考えます。
 さらに、そんな状況下で、全国的に国や地方自治体の官製談合が発覚いたしました。そして、一連の事件を教訓に、指名競争入札から一般競争及び電子入札が取り入れられました。我が県も、官製談合事件から県民の信頼を回復しようと仁坂知事が新制度を導入したことは、当然のことであります。
 しかし、一般競争入札が導入されてから約5カ月、発注工事を何度公募しても応札のなかった工事が建設業で26件あるとお聞きし、驚いています。この応札すらされない工事の中で、県民の生命や財産にかかわる工事もたくさんあります。橋脚補強工事や河川の堤防修繕工事や急傾斜地崩壊対策工事、津波・高潮危機管理対策緊急工事等であります。
 では、その入札がおくれ、工事の完成がおくれることにより災害等が起こった場合、だれが責任をとるのでしょうか。
 指名競争入札当時でも、設計単価が著しく安い工事は全員予定価格の100%以上で入札し失格となったり、赤字になるので辞退したというケースもあったとお聞きいたしました。このたびの新制度では一般競争入札ですから、業者は設計価格の100%で落札しても赤字になる仕事には応札しません。これは至極当然のことでありますが、その結果、応札者なしということになり、大切な工事が施工されない事態が起こっています。
 それでは、なぜそんな設計価格になったのか。設計したコンサルタント会社に問題があるのでしょうか。それとも、先ほど申し上げた設計単価の設定がおかしいのでしょうか。
 確かに、過去、設計単価が民間工事から比べますとはるかに高かった時期もあったわけですから、この制度も一定の評価はできると思いますが、昨今の状況は常軌を逸しているのではないかと思うほど、俗に資材の単価をたたく状況が続き、関係業者に聞きますと、定価なんて何のためにあるのかわからないと嘆いておられます。大量購入できる大きな販売店や製造元なら何とか対応できますが、我が県のような中小零細企業では、とても単価を合わせることができません。必然的に県外の業者が入ってくることになり、結果、県内業者が淘汰されていくということになってしまいます。
 しかし、どんな状況下であっても、建設業者は入札制度そのものについてあれこれ文句を言う立場にはありません。現行制度に沿って粛々と入札に参加し、工事を受注していただき、利益を上げ、従業員を雇用し、また納税していただき、新たな公共事業の原資となっていく、この循環が望ましい姿だと考えます。
 しかし、いろいろな疑問点も、先ほど来申し上げましたとおり、入札制度のもとでできていることも事実であります。このたびの新入札制度の一部改定が行われましたが、それらも踏まえて、県土整備部長に幾つかの疑問点と矛盾点を申し上げたいと思います。
 まず、積算単価の算定方法についてお尋ねいたします。
 資材等の製造単価と実勢単価の価格差についてどう思われるか、お答えをください。
 いまだに応札されない工事について、今後どうされるのですか。それについてもお答えください。
 さらに、県の制度では1者だと1回目は無効になると聞きましたが、2回目も1者しか応札がなかった場合は落札すると伺いました。そこで、例えば1回目の入札は一般競争、電子入札なので、最低制限価格、推計されるんですが、83%前後で応札いたします。1者なので無効となります。当然その業者は2回目も応札するわけですが、だれも応札しない可能性が高いと判断し、2度目は予定価格に近い価格で入札し、落札されるケースも可能性としてはあるとお聞きしました。これでは随意契約と変わりません。
 国や35都道府県では、1者でも1回目から入札が成立すると聞いておりますが、和歌山県は今後1者入札の是非について検討する予定はありますか。お答えください。
 一般競争入札は、公募した時点で既に競争が始まっていると当局から御説明がありましたが、逆に1者だけの入札が多くなり、予定価格に近い価格での落札が続くという事態になりますと、システムをよく理解していない県民から見れば、随意契約をしてるのではないかと思われかねませんが、どう思いますか。お答えください。
 また、1者でも落札可能だとすれば、入札に参加しないという新たな業界での調整や談合の危険性は発生いたしませんか。お答えください。
 もう既にそのような動きもあるようにお聞きいたしますが、そのような話し合いが事前に業界内で行われたとしても、入札に参加しないことが談合と認定することができると思いますか。お答えください。
 次に、予定価格を入札の事前に公表することについてお尋ねをいたします。
 このたびの改定により、予定価格が1億円以上の工事については入札の事後公表とすることになっています。その主な理由として、予定価格の事前公表が適正な見積もりを阻害し、過度の低入札の要因になっているとの見解です。では、なぜ1億円未満の工事では事前公表が適切なのか。1億円未満の工事については適正に見積もりがなされており、低入札の要因にならないとお考えなのですか。お答えください。
 続いて、最低制限価格についてお尋ねいたします。
 当局からいただいた資料によりますと、建設工事の新制度運用前は、5000万円未満の工事では最低制限額を公表していたにもかかわらず、失格になった7件──多分これは誤記入だということですが──以外の2300件は順次落札されました。しかし、新制度になって9月までの間、573件中284件で、何と49.6%が失格になっています。平均落札率も87.3%から84.7%になり、より競争が激しくなったことをあらわしています。
 そこで、このたびダンピングを防止するため、最低制限価格を予定価格の1億円未満の工事にも適用されたと理解しています。地元業者としては、低入札調査基準価格の対象から外れるので、落札率は少し上がることになり、よいと思いますが、依然厳しい競争が予想されます。委託業務についてはさらに厳しい状況であります。
 そもそも最低制限価格は、直接工事費95%に共通仮設費90%、現場管理費に60%、一般管理費に30%、それから0.99から1.01のランダム係数を掛けることにより算出されます。最低制限価格は名目上事後公表となっていますが、予定価格にこの計算式を当てはめれば容易に推計でき、これでは公表しているのと余り変わりはありません。最低制限価格が推計できれば、当然、業者はその価格近くで入札します。しかし、その価格で工事が完成できるかどうかは別問題であります。受注してから、それぞれの金額に合わせて資材調達や下請価格を決定していくと言っても過言ではありません。
 私は、あくまでも当局が工事の種類やそれぞれの単価を調査し、公共建築物の品質を間違いなく確保できる金額を算定し、その金額を最低制限価格とし、事後公表とするのがよいと考えますが、いかがですか。お答えください。
 最低制限価格とは、県民に提供する公共建築物の安全性を担保することと、建設業界の行き過ぎた競争を防ぎ、健全な業界の育成に寄与することが最大の目的であると考えますが、いかがですか。お答えください。
 次に、総合評価方式についてお尋ねいたします。
 県は総合評価方式を3000万以上の発注工事に適用していますが、なぜ3000万なのか。まず、その根拠をお答えください。
 また、総合評価の審査するときに、会社名を伏せて、有識者でつくる判定委員会で審査すると聞いておりますが、この審査について不信感を持たれることはありませんか。お答えください。
 経営審査で、それぞれの業者を点数によってランク分けする作業は大変な時間と労力を必要とすると推察いたしますが、そのランク表の各項目の持ち点のうち工事実績等が採用されれば、点数の高い業者が入札する前から持ち点が高くなり、公平性に欠けませんか。お答えください。
 また、実績をつけようと思っても、持ち点の高い業者が限度近くで常に入札すれば最低制限価格以下で入札することになり、失格にならざるを得ません。これでは、半永久的に実績がつかない可能性もあると指摘しておきます。その結果、特定の点数の高い受注実績のある業者に落札が偏るおそれがあるのではないかと考えますが、いかがですか。お答えください。
 また、総合評価や低入札調査基準価格は判定作業に大変な時間がかかり、工事着工がおくれて困るという声もあることを申し添えておきます。
 私は思うのですが、入札制度は発注者側と受注側のモラルの構築の上に成立するもので、どんなすばらしいシステムをつくっても、その制度を悪用しようと思えば抜け道がつくられることは歴史が証明しています。「シンプル・イズ・ザ・ベスト」という言葉があります。まさしく入札制度についてはこの言葉が当てはまるのではないでしょうか。有識者であれ、県職員であれ、第三者が手を加えるシステムは、受注できなかった業者の心の中で必ず不信感と猜疑心が生まれることは容易に推察できます。要は、だれも関与しない、関与できない、関与させないシステムであればいいと考えます。
 一般競争及び電子入札は評価できると思います。そこで、設計価格や最低制限価格は事後公表にして、さらに開札後ランダム係数を掛けるのですから、事前に漏えいしなければ業者は見積もりをきちんとし、自社の工事受注計画や工事実績や、その他さまざまな諸条件を勘案し、それぞれの業者は自社の見積価格で入札に参加するのではないでしょうか。さきに述べた応札者のない工事もなくなります。もし仮に、これらの情報に対して事前に問い合わせがあり、漏えいの可能性が察知できれば、関係職員はすぐさま知事が肝いりでつくられた監察査察監にその旨を報告し、警察と一体となって対応すればいいのではないでしょうか。きっと、過去の不幸な事件を経験している我が県において、二度とそのようなことは起こらないと思います。
 再度、入札制度はシンプル・イズ・ザ・ベストであり、入札に関与する関係者の倫理観に尽きるということを申し上げておきます。
 次に、仁坂知事にお伺いをいたします。
 県民の、特に今回は建設業界で暮らしているそれぞれの家庭の生活の安全・安心が確保されているのか、建設業界で生計を立てている家庭の生活の状況についてどのような御認識をお持ちなのか、御所見をお伺いいたします。
 政府は、このたび緊急雇用対策として2兆円の予算を計上し、対応を強化いたしました。しかし、大手企業では契約社員を何千人単位で解雇し、また、ことし新卒で採用されるはずの学生たちが企業の業績悪化を理由に採用取り消しが相次ぎ、混乱しています。
 そんな中、去る11月28日、和歌山城砂の丸広場に、県内各地から建設業に携わる方々やその家庭を預かる主婦の皆さんや関係者が1000人以上も参加し、大集会を開いたと報道されました。かつてない建設業界の行動に、業界を取り巻く不況の現状の厳しさを反映した集会だと感じました。
 今、そのあらしはそれぞれの家庭を直撃しています。小中高生の子供たちを抱える御家庭もあるでしょう。また、年末ともなれば、それぞれの子供たちの進学について心を痛める時期でもあります。大学進学ともなりますと大変な出費となるでしょう。テレビでは、父親がリストラされたので学費が払えない大学生の休学、退学がふえていると報道されていました。
 さて、大変な経済状況が続く中、我が県の建設業に目を転じますと、建設業に従事している方は約4万1000人と平成20年の「和歌山県統計年鑑」の調査で拝見をいたしました。平均4人家族といたしますと、16万人以上の県民が建設業界で生計を立てていることになります。建設業者の出入り関係業者を入れると30万人以上になるという統計もあります。
 そこで、不況産業と言われている建設業界のそれぞれの家庭の暮らしは今一体どうなっているのでしょうか。西日本建設業保証株式会社によりますと、平成19年度は38件、平成20年度は半年で既に26件倒産・廃業しております。もちろん、倒産の原因がすべてこのたびの新制度にあるとは申し上げておりません。バブル後の景気対策で一時期膨らんだ公共事業の予算そのものが減少し、その結果、さきに述べたような建設業界を取り巻く過当な競争が、それぞれの企業の経営体質にも原因があったんではないかと思います。
 しかし、ことし4月以降、建設業許可業者の倒産による失業者は144人だとお伺いをいたしました。一家の大黒柱である御主人が職を失った御家庭の主婦は、どのように生活をやりくりしてるのでしょうか。当然、子供たちにとっても大変厳しい生活環境が強いられることでもあります。失業保険があるとしても、その家庭の生活に対する不安感はどれほどのものでしょう。また、失業保険受給期間中に新しい職場に再就職できているのかも大変心配です。このような不安定な家庭の状況をその家庭の子供たちはどのような不安な気持ちを持って見てるのだろうかと思うとき、我が事のように心が痛みます。自由競争の社会だからいたし方ないと言えばそれまでですが、余りにも過酷な競争原理は建設業者を大きく減少させていくことになり、競争相手の激減は健全な競争を阻害することにもなりかねません。
 また、最近多発する集中豪雨などにより、県民の生命や財産、生活が脅かされたとき、すぐさま命の危険を顧みず復旧工事に出ていただいているのも建設業界の皆様であります。しかし、雨降る中、土砂崩れの2次災害の危険性のある道路等の復旧に従事した業者でも、本格的な復旧工事には入札参加資格が合わないという理由で、入札に参加することさえもできないという矛盾もお聞きいたしております。こんなことで、いつか必ず到来する東南海・南海地震や最近多発する集中豪雨や台風等による災害等に対し、建設業組合と災害協定を結んでいるとはいえ、当局との信頼関係は大丈夫なのかと、本当に機能するのかと不安になってまいります。
 また、建設業界も、当然利益に応じて法人事業税を自治体に納付していただいている大切な地場産業です。比較的法人事業税の割合の少ない本県にとっては、建設会社は有力な納税者でもあります。健全な建設業界の発展とその業界で暮らす人々の生活の安定・安心を確保することは、政治を預かる私たちと行政を預かる当局の大きな責務であります。
 そこで、建設業界のそれぞれの家庭で暮らす人々の生活を守るという立場から、現在の建設業界の暮らしの現状について仁坂知事の御所見をお伺いいたします。
 また、建設業界の今後の健全育成についてのお考えも、あわせてお答えいただきたいと思います。
 次に、裁判員制度についてお伺いいたします。
 殺人など重大事件の審理に国民が参加する裁判員制度が、いよいよ来年5月から始まります。最高裁は、11月28日、来年分の裁判員候補者名簿に登録された29万5027人が候補者となったことを通知いたしました。候補者になる確率は350人に1人ということで、単純計算すると県内では2800人が裁判員の候補者に選ばれることになります。
 そこで、この制度について県民はどのように考えているのでしょうか。もし自分が裁判員に選ばれたとしたら、どうしたらいいのかわからないという声をよく聞きます。県内でも説明会や、裁判官、書記官の方々が出張講義を行ってくれているとお聞きいたしましたが、私の身近な人でその講義を受けた人はおりません。
 そこで、少し裁判員制度について、皆さんは御承知のことと存じますが、整理させていただきたいと思います。
 裁判員制度とは、刑事裁判に、国民の皆さんから選ばれた裁判員が参加する制度であります。裁判員は、刑事裁判に出席して証拠を見聞きして裁判官と対等に議論し、被告人が有罪か無罪かを判断し、量刑を決定いたします。衆議院の選挙人名簿から、向こう1年間、無作為に選出され、まず裁判員候補者名簿が作成されます。そして、事件の審理が始まる前に、その名簿からさらに無作為に抽出した裁判員が選定されます。裁判員候補者は裁判所から呼び出し状を受け取り、指定された日時に出頭します。呼び出し状にはあらかじめ質問票が同封されており、回答を記入して事前に返送します。事件ごとに、欠格事由、就職禁止事由、不適格事由がないか裁判官が判断し、裁判員として決定されます。また、正当な理由がない限り辞退は認められません。
 では、どうして今、裁判員制度を導入しなければならないのでしょうか。法曹界では、私たちが刑事裁判に参加することにより市民の自由や権利が不当に奪われることを防止するための重要な制度で、一般市民の経験や知識を裁判の上で生かすことも大きな理由だと述べられています。現行制度は裁判官3名合議制で裁判が行われていますが、6名の裁判員が加わることで裁判の質をより高めることが目的だということです。
 裁判員制度の対象となる代表的な事件は、殺人、強盗致死傷、傷害致死傷、危険運転致死傷、現住建造物等放火、身代金目的誘拐、保護責任者遺棄致死だそうです。何といっても殺人事件に関する審理に加わるのですから、この裁判員制度について、それ相応の知識と認識が必要なことは言うまでもありません。司法試験という我が国で一番難しい国家試験を合格し、かなりの経験を積んだプロ中のプロである裁判官や弁護士でさえも、殺人事件等の重要な裁判において意見が分かれたり、冤罪事件も過去に発生しています。果たして、私たち一般の国民が本当に適切な判断ができるのかどうか不安ではあります。
 また、裁判官は大変厳しい守秘義務も課せられていますが、当然選ばれた裁判員にも厳しい守秘義務が課せられることになるでしょう。さらに、凶悪犯罪や広域暴力団の幹部が絡んだ殺人事件や、オウム事件の坂本弁護士一家のように特定の団体がねらった殺人事件などでは、本当に裁判員の安全は確保されるのか等の問題も心配されます。裁判員に選ばれた人の住所、氏名等プライバシーは守られるということですが、本当にプライバシーを保護することが可能なのでしょうか。長期間連続して職場を休職することを余儀なくされるのですから、当然、職場内では裁判員になったのはわかってくるでしょう。同じ職場の人たちにも守秘義務を課すのでしょうか。
 さらに、このたびの日本の裁判員制度においては、アメリカや先進国で採用されている陪審員制度と決定的に異なる点があります。他の国では、陪審員は有罪か無罪かを判断するだけで、量刑については裁判官が決めるという点であります。しかし、日本の裁判員制度は、その犯罪の量刑までも決定するということであります。
 本当に民間人が、凶悪犯人だからといって死刑の判決を下すことができるのでしょうか。今はだれも自分に直接関係していないから大きな議論になっていませんが、少なくとも死刑判決を決定する過程に参画するということは、人1人の命を絶つ決定をするということにほかなりません。そんな覚悟が果たして私たちにできているのか甚だ疑問に思います。
 かつて、我が国にも陪審員制度がありました。1889年、大日本帝国憲法が制定されましたが、このときから既に議論されていたそうです。陪審員制度が本格的に動き出したのは1900年代に入ってからで、政党政治が次第に力をつけてきたころ、いわゆる大正デモクラシーの時期に大きく前進いたします。大正陪審法の成立に中心的な役割を担ったのは、立憲政友会の原敬でした。原敬立憲政友会総裁は、2つの事件をきっかけに陪審員制度の導入を進めようとしたと言われています。
 1つは、1909年、当時の大日本製糖株式会社が、原料である砂糖の輸入税を企業に一部還元することを規定した法律の有効期限の延長を実現するため、政友会その他の政党の議員に贈賄を企てた日糖事件と言われる疑獄事件です。当時、検察権力は非常に強い力を持ち、政治的疑獄に積極的に介入する姿勢を持っていました。この日糖事件で多くの議員が拘束され、検察の人権を無視した過酷な取り調べを受けたことによるものでした。
 2つ目は、1910年、無政府主義者の明治天皇暗殺計画という理由で幸徳秋水ら社会主義者26名が起訴され、秘密裁判において幸徳秋水ら12名が死刑となった事件であります。
 1910年、原敬はみずから中心となり「陪審員制度設立ニ関スル建議案」を作成し、議会に提出、全会一致で衆議院を通過いたしました。1918年、原敬内閣が成立すると、翌年、陪審員制度の立法化について閣議決定され、具体的な検討が始まりました。そして1923年、陪審法が成立いたしました。この陪審法は、5年間の施行準備期間を経て昭和3年から施行されました。対象事件は被告人が否認している重大な事件に限定し、陪審員は有罪・無罪の結論を出し、裁判官に答申をするが、裁判官は、法律上、この答申に拘束されませんでした。また、導入されるまで準備期間中に3339回の講演を行い、124万人の聴衆を集めたほか、パンフレットや映画11巻を作成して周知したそうです。当時としては大規模なPRだったのでしょう。
 しかし、この陪審員制度は定着をいたしませんでした。1943年に停止されることになりましたが、その理由に、年々利用されなくなり制度は定着しなかった、太平洋戦争が激化したことも理由に挙げられています。陪審法は今でも廃止ではなく停止になっているので、法律としては生きています。戦後64年がたちますが、必要な制度であれば、なぜ今まで復活しなかったのでしょうか。
 それはともかく、このたびの裁判員制度を国民の皆さんがどれほど正しく深く理解してるのでしょうか。現在では、テレビ、新聞、インターネット等情報化社会が進んでおりますので、周知することはある程度できると考えますし、裁判所の調べでは、9割以上の人が裁判員制度の導入については知っていると答えたということです。しかし、知っていることと理解している、覚悟しているということでは随分違うと思います。
 そこで、仁坂知事にお伺いをいたします。
 裁判員制度の県民の理解と覚悟は十分にできているとお考えですか、お答えください。
 最高裁が導入した制度ですが、県民に動揺や不安があれば、それを取り除くため対応していかなければならないと私は考えます。それとも、裁判所のすることなので、県当局としては傍観するしかないとお考えなのでしょうか。県民の中には、仕事の関係で辞退を申し出ているが認められない方や、死刑判決もあり得るわけですから、思想的に参加したくない人、人を裁くことが嫌な人、特に理由はないがとにかく参加することが嫌だという人もいるかもしれません。それらの問題について裁判所で適切に対応してくれることを期待していますが、辞退したくても聞き入れられなかった場合、県民はどこに相談したらいいのでしょうか。今回、裁判員に選ばれた方に、その旨を郵送した翌日から5日間で1万5000件、裁判所のコールセンターに問い合わせがあり、6割以上が自分は辞退できるのかの問いであり、精神的ケアを求めたと報告されています。
 そこで、環境生活部長にお伺いいたします。
 裁判員に任命された方のさまざまな悩みが県民生活課等に対して寄せられたときの当局の対応をお答えください。もし、県民から相談があれば、適切な対応をお願いいたします。
 また、これまでの周知期間中、当局として県民の裁判員制度の理解を深めるため、周知、啓発をどのように行ってきたかについてお答えください。
 また、来年5月までの間、裁判員制度について県民の理解をより深めていただかなくてはならないと考えますが、対応策をお聞かせください。
 警察本部長にお伺いをいたします。
 重要犯罪、特に組織による殺人等の裁判ですと、裁判員の身が危険にさらされることも予想されます。プライバシーは保護されると聞いておりますが、当人や御家族にしてみれば不安はあると思います。そのような危険性に対して当人から相談があった場合、裁判員の身辺警護についてどのようにお考えですか、お答えください。
 次に、教育長にお尋ねをいたします。
 私は、日高郡美山村に生まれました。昭和30年代の美山村は交通の便も悪く、一般の人は御坊市に出るのさえ2~3時間も要するほどでした。しかし、近年は道路が整備され、御坊市までわずか40分で往来できるようになりました。特に、奥日高と言われる地域は道路整備が比較的早くから進み、大変便利になり、車も家庭に1~2台はあります。活動エリアが飛躍的に伸びる中、あらゆる面で過疎地域という感覚が薄らいできました。
 今回、へき地手当について取り上げさせていただきますが、あらかじめ申し上げておきます。決してこの手当が必要でないと申し上げてるわけではありません。まず、そのことを御理解いただいて質問に入らせていただきます。
 皆さんも御承知のとおり、教職員の手当の中に、へき地手当というのがあります。「和歌山県人事行政の運営等の状況の公表について」という資料によりますと、へき地手当は、平成19年度、年間総額1億83万9000円支給されており、負担は国3分の1、県3分の2で、県費は6700万余りの支出となっています。
 そこで、このへき地手当の支給根拠について調べてみました。国は、昭和29年、へき地教育振興法が制定され、その法律に基づき、都道府県条例により、へき地手当を教職員や職員に支給することと定めています。この法律は、第1条で「教育の機会均等の趣旨に基き、かつ、へき地における教育の特殊事情にかんがみ、国及び地方公共団体がへき地における教育を振興するために実施しなければならない諸施策を明らかにし、もつてへき地における教育の水準の向上を図ることを目的とする。」とあります。また第2条で、へき地の学校とは、交通条件及び自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれない山間地や離島の公立小中学校や給食施設と定義しています。へき地手当は、この法律の規定に基づいて3級地から1級地、それに準ずる学校を指定し、和歌山県では、3級地であれば教職員の給与及び扶養手当の月額合計8%、2級地は6%、1級地は4%、準ずる学校は2%支給されています。
 私が通った小中学校は、今でもへき地1級地の学校に指定されています。確かに当時は、龍神村や美山村に勤務する教職員の皆さんは大変な御苦労も多かったと思います。また、現在でも私の想像を超えるへき地地域の学校があるのかもしれません。しかし、この制度も、制定された昭和29年当時は必要かつ重要な制度であったと考えられますが、現在はどうでしょうか。
 当時のへき地校に赴任した場合、通勤不可能な地域なので教職員住宅に住み、単身赴任の場合は2重世帯になりました。教育を取り巻く環境も、進学率を比較しても教育格差があったのかもしれません。ガソリンや文具、教材等もへき地の物価のほうがかなり高かったからです。しかし、飛躍的に交通網が発達した現在において、へき地校に赴任している教職員590人中40数人しか教職員住宅を利用しておりません。利用率は格段に低くなっていますし、へき地の物価もほとんど変わりません。
 このように、法律の制定当時に想定していなかった矛盾点や不公平感が逆に生じているような気がします。例えば、へき地の学校へ通う人にはへき地手当がつきますが、へき地から都市部に通う人には手当はつきません。また、へき地の学校に歩いて通える人でもへき地手当はつきます。確かに、ガソリンなど特殊なものは、へき地に行くと今でも都市部より値段が高いことはよくありますが、都市部からへき地のほうに勤務する人は安いガソリンを給油していますし、当然、通勤距離に応じて別途通勤手当も支給されています。むしろ、へき地から町の学校に通勤する手当のない人のほうが高いガソリンを入れて通勤しているのかもしれません。
 ちなみに、45歳の教職員の方の平均給与を例にとりますと、へき地の学校に赴任いたしますと年額32万7264円のへき地手当が支給されます。一般のサラリーマンの御家庭であれば1回分のボーナス以上の金額です。
 私は最初に申し上げましたが、へき地手当をなくせと申し上げてるわけではありません。山間、奥地の学校に通う方の不便を考えると、当然あってしかるべき制度であるとは思いますが、県内の道路等の整備が飛躍的に進んだ現在、教育委員会のへき地の学校という基準が一般県民のへき地地域との感覚と少しずれていませんか。例を挙げますと、私の地元、日高川町に山野という地域があります。へき地の特別というランクに指定されてる山野小学校があります。この学校から御坊市内の大型店舗や日高病院まで約20分弱で行けますし、高速道路の御坊インターチェンジまで7~8分、道路は全線2車線であります。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。
 へき地学校の定義により、県下で73校の公立小学校を指定していますが、教育長の言うへき地の認識についてのお考えと、あわせて、へき地の学校の定義をわかりやすく明確にお答えください。
 また、へき地の学校に通う教職員や職員と一般の教職員や職員の負担の違いを具体的に示し、へき地手当の根拠をお答えください。
 最後に、一番気になることですが、へき地手当の根拠になっているのは、へき地教育振興法の「教育の機会均等の趣旨に基き、かつ、へき地における教育の特殊事情にかんがみ、国及び地方公共団体がへき地における教育を振興するために実施しなければならない諸施策」──この諸施策の中にへき地手当の根拠があるのだと考えますが──「を明らかにし、もつてへき地における教育の水準の向上を図ることを目的とする。」によるものと考えます。しかし、本当に現在のへき地の小中学校は、特別に指定しないといけないほど教育の機会均等が保障されていない、教育水準が低い地域の学校なのでしょうか。私は、断じて違うと思います。へき地教育振興法そのものは国の法律ですので、県教委ではどうにもなりませんが、へき地という認識を県民の認識と共有できる感覚に見直せば、へき地校の指定が現在と少し変更されるのではないかと考えます。今後の見直しについて、お考えがあればお答えをください。
 以上で、第1回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの花田健吉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいま御質問のあった件につきまして、私に答えろというところにつきまして、2点、お答えさしていただきます。
 まず第1番目に、建設業界についてのお話でございます。
 議員御指摘のとおり、建設業は和歌山県にとって大変大事な産業であります。また、ここ10年間、これは和歌山県だけではありませんで、全国的な状況でありますけれども、建設投資が大きく減少した、特に公共による建設投資が大きく減少したということで、建設業界全体が非常に厳しい経営環境にあるということも十分認識しております。
 こうした中で、建設業に従事している皆様方の御家族の生活、これも非常に厳しいものであるということは、私も身にしみて感じております。これは、現在不況がだんだん深化しておりますので、ほかの産業についても同様なことがかなり言えるのではないかと思いますけれども、特にこの建設業界については、比較的日本全体が好況であったかなと思う時代でも、先ほどのような全体的な公共施設の減少というのが続いておりましたので、そういう意味では大変であったし、ましてや、この不況の中でもっと大変な状況にあるというふうに考えておりまして、議員同様、大変心を痛めているところでございます。
 私は、知事就任前から、和歌山県の建設業の振興を図るということは、和歌山県にとって大変大事なことだというふうに考えておりました。皆さん、覚えておられるかもしれませんが、選挙に臨むときに、演説で「皆さん、建設業界に石をぶつけてはいけませんよ」というふうにずっと言い続けてきました。それはなぜかというと、当時、知事の犯罪が行われた、その舞台が建設業界をめぐるものであった。その結果、悪いのは業界であって批判すればいいと、非難すればいいという、あるいは談合を防げばいいと、そういうようなのが一般的な風潮であったというのは、皆さんよく御記憶のとおりだと思います。
 しかしながら、ただ、そんなことをしていたら和歌山県もおかしくなるし、それから業界の発展もなかなかうまくいかない。そもそも犯罪を犯したのは、舞台は建設業の公共発注であったかもしれないけども、それは知事の犯罪であって、業界のほとんどの人は何の関係もないというのは明らかだからであります。したがって、新しい公共調達制度を導入するということに当たっても、もちろん談合というのは当然悪、あるいは刑事罰の対象ということになっておりましたから、これもできないようにして、効率性を追求して県民の無駄遣いを省くと。県民の大事な財産の無駄遣いを省くということも大事だけれども、一方では公共工事の質と、それから建設業界の健全な発展を図るように、3つ大事な目的があるんだというようなことをずっと申し上げ、その考え方のもとに実は今の制度をつくらしていただいたところであります。
 ずっと前のあり方、ずっと前の制度、あるいはその運用には、さっき言いましたような問題で、もう戻れない。私たちがそれを戻さそうとしても、公取も司法も世論もだれも許してくれない。そういう事態の中で、実はかなり厳しくなっていた。そういう前政権末期の制度に比べ、実はさっき言いました3つの問題にバランスよく配慮した制度をつくろうというふうに思った次第であります。私は、そういう意味で、今回の制度の根幹はバランスのとれたものになってると思っております。
 ただ、御指摘のように、昨今の建設業界の状況をかんがみると、どうも不当廉売というのが横行しているなと。しかも、それはやりたくてやってるわけじゃなくて、やらざるを得なくてやってるような人も結構いて、それがまた1つ出たら、全体の、せっかくこれから成長しようというような業界の状況もうまくいかんということになってしまうので、これは、不当廉売って本来ならば業界の問題でありますけれども、我々当局としても、制度の運用上、その不当廉売を防ぐような、そういう方向へ後押しをしようというふうに考えました。
 そこで、御指摘のように、最近、制度変更いたしまして、大規模工事の予定価格の事後公表、あるいは最低制限価格の適用範囲の拡大など、現段階でできるだけそれを後押しできるようにしようと。一般的な、例えば県民の財産を無駄遣いしてないかという、そういう観点から、許される限りにおいて最大のことをしようというふうに考えて制度の見直しをいたしました。この見直しも含めて、新しい公共調達制度というのは少し実施が遅くなり過ぎたかなという感じもするんですけれども、懸命に頑張っている業者の方々が段階的に成長できるような仕組みというふうになってると考えています。その制度の中で頑張っていただいて、少しずつ有力な人が成長していくというようなことを考えていただきたいと考えております。
 道路整備を初めとするような和歌山に必要な社会資本整備というのは、実は和歌山県の発展につながることになると思います。それは、建設業界のことだけを考えて設計をするわけではありませんけれども、実は和歌山県の公共工事の削減率といいますか、それは、これだけニーズがある和歌山県にとって、他県のように何十%も一遍に減らしていいというもんではないということで、今、行革を厳しくやっておりますけれども、その中でもモデレートな形の設計にさしていただいたところなのであります。
 それから、また現下の不況、これについては、一般的な不況対策の対象でもちろんあるとともに、実は建設業界だけの固有の金融制度というのもまたつくっていただいてますので、これについても利用できるように全体的なPRに努めて、建設業界の振興と、それから県全体の発展というのが何とか調和できるように今後とも頑張っていきたいと思います。
 制度はバランスのとれたと申し上げましても、全体の根幹のところ以外のところで、例えばさまざまな問題点が今後とも発生すると思います。あるいは、さまざまな問題点は意見として出てくると思います。したがって、そういうところはちゃんと取り入れて、できることなら、いろんな修正が必要だったらやるというようなほうに我々は考えようと思ってまして、実は技監を中心とするような制度設計の検討を常時オープンにしておくというような状況で今いる次第でございます。
 次に、裁判員制度でございますけれども、裁判員制度は、司法制度改革の中で、裁判の進め方やその内容に、国民の視点、感覚が反映されることにより、裁判全体に対する国民の理解が深まり、より身近なものとしても信頼が一層高まることを期待して創設されました。こんなことは、御質問のところで花田議員がきちんと言われましたので、まさにそのとおりだと思います。
 ただ、これについての理解でございますけれども、最高裁がことしの初めに実施いたしました裁判員制度に関する意識調査の結果によれば、9割以上の方が裁判員制度について知っとると、6割以上の方が裁判員として裁判に参加するというふうに言っておられるそうであります。ただし、実際に候補者に通知が届いた先月末には、かなり多くの方が辞退をすると、したいというふうにおっしゃったということも聞いております。そういう意味では、覚悟ができてないという人もいるんじゃないかなと思います。
 テレビを拝見しておりますと、何か一般論として言うときは、自分の問題じゃないというような感じでおった家族が、通知が来てみてびっくりして、それで、よく考えたらやっぱりやろうと、そういうふうに考えたというような方がおられると思います。そういう意味で、こういう制度は国民の信頼と支持があって初めて可能なわけでございますので、引き続きいろんな形で実施までに周知をする努力と、あるいは理解を求める努力というのが必要になってくるかと考えております。私どもも協力してまいりたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 議員の御質問に順次お答えしたいと思います。
 まず、積算単価の算出方法についてでございますが、議員御質問のとおり、製造単価と実勢単価につきましては、市場原理により、一般的には価格差は生じると認識しております。資材等の設計単価につきましては、経済調査会によると、実際の市場での流通価格を調査し、原則として最も頻度の高い取引価格を実勢単価として採用しております。この実勢単価を調査して設計単価に反映するためには一定の期間を要するため、実勢単価と設計単価には価格差が生じることを認識しております。昨年末からの原油高騰に伴いまして、急激な価格変動のある建設関係の資材につきましては、その設計単価を毎月改定することといたしました。
 今後とも、資材等の設計単価につきまして、さらに調査内容を充実させ、できるだけ迅速に実勢単価が反映できるように努めてまいりたいと考えます。
 それから、応札されない公共工事についてでございますが、再発注に当たりましては、応札がなかった状況を踏まえまして、設計内容、入札参加資格要件等を精査して、必要に応じて要件等の見直しを行い、発注することとしております。
 なお、このような応札者のない入札を可能な限りなくして、競争性を高めるために、今後ともより一層、現場条件等を踏まえた積算や適切な工事規模での発注に努めてまいります。
 それから、1者入札の是非についてでございます。
 このことに関しましては、さまざまな御意見、考え方がございますが、一般的に条件つき一般競争入札におきましては、入札参加要件を満たす不特定多数の者が参加できますことから、応札者が1者であっても競争性は確保されていると考えられ、国や多くの都道府県では1者入札を有効としております。また、このように競争性が確保されていることから、結果的に1者でありましても、議員御質問のように特定の者の中から契約相手方を決定する随意契約とは、透明性、競争性の面で大きく異なるものと考えております。
 なお、本県では、過去に1者入札で非常に高い落札率の事例があったことから、1回目の入札で1者入札の場合は入札を取りやめ、入札をやり直すこととしております。今後の1者入札の取り扱いにつきましては、入札実施状況を検証、評価した上で検討してまいりたいと思います。
 次に、1者入札の談合の可能性についてでございますが、条件つき一般競争入札は、さきに説明させていただいたとおり競争性が確保されており、結果的に1者入札であった場合においても、談合の事実を証明する明確な証拠がない限り、談合と認定することは困難と考えます。
 なお、独占禁止法の制裁強化等により談合に対する抑止力は十分高まっており、1者入札を有効と取り扱うとしても、特に談合の危険性が高まるものではないと考えております。
 予定価格の事前公表についてでございますが、業界団体等の御意見もお聞きし、当面、予定価格1億円以上の工事につきましては、予定価格を事後公表とすることといたしました。また、予定価格を自社見積もりの妥当性の参考としているという中小規模の業界の御意見も多いことから、予定価格の1億円未満の工事につきましては、これまでどおり事前公表とすることといたしました。予定価格の事後公表の範囲につきましては、今後の入札実施状況を踏まえまして検討したいというふうに考えております。
 最低制限価格についてでございますが、最低制限価格及び低入札調査基準価格につきましては、工事の品質確保や建設業の健全な発展に支障を来さないように設定しております。設定につきましては、国土交通省が本年4月から導入して公表しております新しい方式を採用いたしました。この方式は、工事費目ごとに工事実績を反映した最低限必要と考えられる額を算定し積み上げているものでございまして、特に人件費とか資材等の直接的に必要な経費については、積算価格の95%を計上しております。本県では、現在のところ、この算定方式が合理的であると考えております。
 総合評価方式についてでございますが、総合評価方式は、公共工事の品質確保の促進に関する法律により位置づけられておりまして、価格と品質で総合的にすぐれた調達を実施するためのものでございます。品質確保の観点からは、すべての工事に総合評価方式を導入することが望ましいのですが、発注者、それから受注者双方の負担等を考慮いたしまして、工事発注件数の十数%に当たります予定価格3000万以上の工事に導入したものでございます。審査につきましては、技術力などを見る客観的な基準により審査することとし、審査の際には業者名がわからないようにするなど、恣意性を排除して公平・公正な審査が行われるようにいたしております。
 次に、公平性についてでありますが、総合評価方式には、標準型、簡易型、特別簡易型の型式がございます。特に、小規模の工事では特別簡易型を採用しております。特別簡易型では、発注者、受注者双方の負担を軽くいたしますために、業者の技術力につきまして技術提案を求めることをせず、過去の実績、それから技術者の能力などで簡便的に評価することとしております。このために、技術力のある業者が受注しやすい側面もございますが、価格と品質で総合的に評価する制度でございまして、公平なものであると考えております。現在、本年6月の制度導入以降の入札実施状況の分析を行っているところでございまして、その分析結果を踏まえました上で、業者の皆様の受注機会を広げる工夫も必要であると認識しております。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 環境生活部長井口悦治君。
  〔井口悦治君、登壇〕
○環境生活部長(井口悦治君) 御質問のうち、裁判員制度についてでございますが、まず悩み相談の対応についてでございます。
 各地の裁判所や法テラスなどにおいて相談窓口が設置されており、また最高裁においても、170人のオペレーターを配置した裁判員候補者専用のコールセンターが開設されているところでありますが、県に対し相談があった場合には、県民相談室において適切な助言を行うなど、相談者の不安を取り除くよう懇切丁寧に対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、これまでの裁判員制度の周知啓発について及び今後の理解を深めるための施策について、一括してお答えをさしていただきます。
 裁判員制度を円滑にスタートさせるには、国民の理解と協力を得ることがぜひとも必要なことから、裁判所、検察庁、弁護士会の法曹3者において、周知、啓発のため、ホームページ、新聞、テレビなど各種メディアを使った広報やポスターの掲示、パンフレットの配布、また各種の講演会の開催などが行われております。これにあわせ、県といたしましても、「県民の友」への記事の掲載、県庁舎など関係機関へのポスターの掲示やパンフレットの配備、市町村に対する周知、広報の協力依頼など県民の理解を深め、不安を解消するため啓発、広報などを行ってまいりました。
 今後とも、裁判所などから周知、啓発などの協力依頼がありましたら、引き続き関係機関と連携しながら適切に対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) へき地手当についての御質問にお答えいたします。
 昭和29年に制定されましたへき地教育振興法は、交通条件、経済的・文化的諸条件に恵まれない山間地等の小中学校等がへき地学校として規定されておりまして、そこに勤務する教職員を確保する観点から、へき地手当を支給することとなってございます。
 へき地学校の指定につきましては、学校所在地から市町村教育委員会や病院、郵便局等までの距離を測定いたしまして、それを点数化した合計点数で2級地、1級地等の級地が決定され、おおむね6年ごとに級地の見直しが行われているところであります。
 議員御指摘のとおり、法の創設から半世紀以上が経過をし、山間地等の交通網が整備される中、へき地学校の特殊性、困難性が以前に比べて緩和されてきていることもあり、教育委員会では諸手当の見直しの一環といたしまして、平成17年度から全国に先駆けてへき地手当の支給割合の改定を行い、2級地12%のところを現在の6%に、1級地8%を4%、準へき地4%を2%に半減をして実施しております。また、その見直しにより生じた財源で、学力など学習指導上の今日的な課題等への対応のため、非常勤講師等配置事業を展開しているところでございます。
 今後とも、国の指定基準の改定や他府県の動向を注視しながら対応していきたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 警察本部長永松健次君。
  〔永松健次君、登壇〕
○警察本部長(永松健次君) 裁判員のセキュリティーについてお答えを申し上げます。
 県警察といたしましては、身体等に危険が予想される具体的、またおそれがある内容を認知した場合は、裁判員当人、裁判所等との連携を密にしつつ、対象者の警戒、保護に当たることはもとより、犯罪に該当し、または該当するおそれのある内容につきましては検挙する等の措置を講じて危険を除去することが責務と考えてございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。──所定の時間が参りましたので、以上で花田健吉君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 まず、和大新駅からコスモパーク加太を含む紀の川北部の開発と発展についてお伺いいたします。
 昨年の3月25日、知事、市長初め、県選出の国会議員、県会議員、多くの関係者によって仮称・和大新駅の起工式が行われました。新駅については、これまでも紆余曲折があり、一時は頓挫してしまうのではと危惧をされましたが、関係者の熱意と御努力によって起工式の運びになったと認識しています。和歌山県、和歌山市ともに人口減少の中、新駅を中心に新しいまちができる、若い世帯が集まり和歌山市に活気をもたらせていただけると大いに期待をしているところです。
 先日も、新駅予定地から広がるふじと台団地を視察いたしました。民間の事業者による開発でありますが、その大きさにびっくりいたしました。現在既に3000人を超える皆さんが住んでおられ、まだまだ広がりを見せています。およそ2万5000人規模、和大関係者を含めると3万人規模のまちになる予定とお聞きをし、さらにびっくりしました。和歌山市でも、住民の大半を占める若い皆さんが安心して子育てしていけるよう、新たな学校の建設を予定されていると聞いています。また、団地の中には新駅から和歌山大学へのアクセス道路も完了しており、将来を見据えたまちづくりが着々と進められていると実感しました。
 和大新駅は24年完成予定と聞いています。予算の内訳として、県・市ともに5億円、国が8億円、和歌山市和歌山大学前駅周辺土地区画整理組合が15億円という内訳で総額33億円の事業であります。公的予算と民間組合がおよそ半分ずつ出資ということですので、何としても成功していただきたいと思っていますが、今般の材料費の値上げしている状況の中で事業の進捗に影響はないのか心配をしています。
 ふじと台団地は、現在も若い世帯に大変人気が高く、大阪からの住民も大変多いとお聞きしています。この民の力もいただきながら、大阪だけでなく近畿各地からもっと和歌山に来ていただくために、駅だけでなく、駅周辺の整備も必要不可欠かと考えます。駅前周辺土地区画整理組合のほうでは、住民のニーズにこたえられるよう、駅周辺のまちづくりも計画されていると聞いています。そのためには、和歌山市、県との調整が必要であるとのことであります。
 そこで、知事にお伺いします。
 県としての和大新駅の位置づけと、それに伴うまちづくりについてどのように考えているのか、また現在の現状はどうなっているのか、お伺いをします。
 また、このエリアは第2阪和道路の計画路線に接近しており、大阪からの連絡も大変便利な条件にあります。今後完成される第2阪和と現在の26号線をつなぐ道路を整備し、泉南からの人口の流入をスムーズに行うことによるメリットは大変大きいと考えます。また、国道26号線沿いの新駅から第2阪和道路への連絡道を整備し、その後、京奈和自動車道とのバイパスをつなぐ環状道路とし、次に、つつじが丘、コスモパーク加太への道路の延伸を行い、エリアとしての整備も必要かと考えます。
 県としても、コスモパーク加太については企業誘致や防災対策用地としての利活用を示されていますが、なかなか進みにくい状況の中、単体での計画ではなく、エリアとして地域づくりを進めていく必要があると考えます。仮称・和大新駅をその部分だけで終わらせるのではなく、和大新駅周辺から和歌山市が所有するつつじが丘、それに連なるコスモパーク加太までのエリアを、新しいまちをつくるといった将来的な展望に立った計画が必要だと考えますが、県としての所見を知事にお伺いします。
 次に、県内地域支援についての活用についてお伺いします。
 以前、青少年協議会が行った児童生徒の意識調査によると、「自分の住んでいる地域が好きですか」という設問について、小・中・高の児童生徒の8割が「好きです」と回答しています。この数値は増加傾向にあり、和歌山に住んでいる子供たちは、自分のふるさとが本当に好きなのだということがわかります。しかし、実際、高校卒業時の生徒がふるさとにとどまっているかというと、和歌山県の生徒の4割が県外に就職している実態であります。新宮、串本などは、県外就職率のほうがはるかに上回っているという状況であります。若者が地元にとどまれない理由として、和歌山に仕事がないという話によくなるのですが、仕事がなければ新たな仕事をつくり出すという発想も必要ではないかと思います。
 先日、県も協賛して行われた「近露まるかじり体験」のイベントに参加いたしました。このイベントも年々盛大に行われるようになり、当日は多くの皆さんでにぎわいました。近露を中心に活動されているNPOの皆さん、また地元の住民の方々の協力で、出店あり、体験ありと、さまざまなイベントが催されました。その中でも、近露の道々を花で彩る野外花展が催され、家元や生徒さんによってすばらしい作品が展示されました。私も稚拙な作品を出品いたしました。この野外花展は2回目ということで、中辺路にある木や草花を材料に、花器や器も身近にあるものを利用しながら、道のつじつじや広場、家の庭や軒先などに花を生けるものです。
 ある華道家は、昔の長持ちを花器に利用していましたが、ほかにも古木あり、うすあり、石あり、切り株ありと、その辺に捨ててあるものがすばらしい花器に変身しておりました。また、生け込む花材も、コケの生えた古木、山々に打ち捨てられた大木、つる等々を使用していました。これらのものは、田舎に住んでいる人にとっては一見何の価値もないものですが、華道という切り口を通せば、これ以上ない価値あるものに変わるということを目の当たりにいたしました。華道をする皆さんにとって、近露にあるものすべてがそれこそのどから手が出るほど嘱望しているものなのでした。
 飲食店で使う葉っぱをビジネスにされ、成功している四国の上勝町の話がニュース等で話題になったことがありましたが、地元にとっては何の変哲もない題材も、必要とされるところに供給することでビジネスとして成り立つということだと思います。今回の近露でのイベントは、そのことを改めて教えてくれました。ただ、それをどのようにビジネスにつなげるかは、幾つかのノウハウと人材が必要なのです。そこに気づき、起業し、発信するための人材の発掘が求められています。
 そこで、お伺いします。
 素材の発掘、人材の育成、起業の支援、そのどれもが和歌山県の地域おこしにつながるものと確信しています。こういったことは一例でありますが、和歌山県の特色を生かしたソフトビジネスについて、県としてどのような戦略を持っておられるのでしょうか、お伺いします。
 次に、畜産問題についてお伺いします。
 和歌山県の畜産は、全国に比べると盛んというわけではありませんが、県下には、畜産、養豚、養鶏、養蜂と、およそ450戸の飼養農家があります。そのうち養蜂農家を除いた飼養農家は300戸で、決して多いというわけではありませんが、農業産出額の5.4%を占めています。和歌山県でも、熊野牛やうめどりのブランド化を進める一方、その販路開拓に努力をされています。
 せんだって、畜産課職員さんのお世話で、幾つかの畜産農家に視察を行いました。それこそ山間で家族経営をされている畜産農家、かなりの頭数を飼養され、全国規模で事業を展開されている安愚楽牧場、熊野牛子牛市場での優良牛を目指して畜産をされている農家など、形態の異なる皆さんに御意見をお伺いしてきました。県内の畜産農家のほとんどが家内零細農家が大半で、昨今の飼料代の高騰で経営が大変厳しいということや、牛舎の下に敷くおがくずも資源が枯渇しているため調達もままならないとおっしゃっていました。
 そういった中、和歌山市の食肉処理場の廃止に向けた予算がさきの9月議会に上程され、採択されています。市の説明によると、07年度の決算では1億7000万円の赤字に達し、施設も老朽化、収支が好転する見込みがないということで、廃止を前提に業者への補償費に関する調査委託料1400万円の予算を計上したということであります。しかし、処理場では処理頭数が減少しているとはいえ、07年では4400頭余りの処理件数があり、県内産ではおよそ700頭余りが利用していると聞いています。また、廃用牛では50頭余りの処理も行っていると聞いています。イノブタの処理も行われているということですので、処理場が廃止された場合の県内の影響も少なからずあると考えます。零細な農家が多い中、処理場が廃止された場合、運搬に係る費用の負担も大きくなるのではと危惧しています。
 そこで、県として食肉処理場が廃止された場合の影響についてどのように考えているのか、お伺いします。
 また、県内の畜産振興について、県としてどういった対策を進めていかれるのか、農林水産部長にお伺いします。
 次に、青少年施設の存続についてお伺いします。
 ことし3月、新行財政改革推進プランが発表されました。新プランによると、事務事業の見直しなどにより、毎年10億円の歳出削減を行うとしています。今年度は特に県有施設、外郭団体、補助金見直しをするということで、9月に事務局案が取りまとめられました。事務事業の見直しの部分で、県有施設では5項目、外郭団体について3項目、補助金についても、廃止・縮小するものから整理するものなどを含め、7項目に分け見直しされました。
 そこで、この事務事業の見直しについて、事務局案に至る経過の中で、行政経営改革室でそれぞれの事業についてどういった検討がされたのか、お伺いします。
 また、見直しに当たっては、施設や関係課とはどのような話し合いが持たれたのか、総務部長にお伺いします。
 次に、事務局案の中でも利用状況や大規模修繕費等を勘案して検討するものとして、青少年の家が挙げられています。今回、新プランが発表されたのを受け、会派として各施設の視察を行いました。青少年の家は県下3カ所に設置され、それぞれが特色ある活動をされていました。
 山の中腹にある紀北青少年の家からは、色づき始めた山々の木々や紀の川の流れが見渡せ、自然の中での活動が十分にできる環境の中で、ちょうど小学校の児童が野外活動をしており、野外で勾玉づくりに熱中していました。紀北地域を中心とした地元小学校では、5年生になると教育活動の一環として必ず1泊研修を実施、子供たちもこの学習を心待ちにし、楽しみにしているとのことでした。また、地元地域の皆さんからも愛され、惜しみない協力をいただいているとお聞きしました。
 白崎海岸の先端にある白崎青少年の家では、宿泊棟から雄大な黒潮の海が見渡せます。案内をしていただきながら、その景観に思わず歓声を上げてしまいました。白崎青少年の家では、自然を生かした企画事業に力を入れておられ、県外からの利用者が大幅に伸びているといった状況でした。これからは、もっと近隣の小中学校に利用していただく努力をしていくということでした。
 潮岬青少年の家についても、利用者数は増加の傾向にあり、指定管理者の特色を生かし、うどん打ち体験なども企画され、たくさんの皆さんに参加していただいている様子でした。また、広い施設の特色を生かした行事をもっと進めていきたいとお話しされていました。
 県内3カ所の青少年の家での利用状況は、昨年で4万9534人、ことしの6カ月間の合計はもう既に3万5342人と、19年度と比較しても大幅に増加をしています。青少年の家は、設立当初から青少年の健全育成という観点から設置されたものと認識しています。設置当初から比較しても、現在の青少年を取り巻く環境はますます悪化していると思われます。インターネットや携帯電話、電子ゲームの普及により、仲間と集団で遊ぶという経験が少なくなりました。手先を使って何かをつくるという体験も希薄であります。
 学習指導要領が改訂されましたが、今回の改訂の特色の1つとして、集団宿泊活動や自然体験活動が重要視されています。また、長期総合計画の中でも、「未来を拓くひたむきな人間力を育む和歌山」の中でも青少年の健全育成がうたわれております。家庭や学校の中では体験できないことを学習できる青少年の家は、教育施設であります。採算を考える単なる貸し館ではありません。和歌山県の青少年健全育成のため、今後ますます充実していくべき施設であると考えます。
 そこで、何点かお伺いします。
 知事もこの青少年施設を視察されたと聞いています。私は、青少年の家はますます充実させるべきだと考えますが、知事は青少年施設を訪問されてどういった感想を持たれたのか、必要性も含めて御感想をお聞きします。
 また、青少年の家では、3年前に指定管理者制度が導入され、運営は指定管理者が行っています。来年度はその切りかえの時期と伺っていますが、今後の方向性について行財政改革の観点からどういうふうなお考えなのか、総務部長にお伺いします。
 次に、老朽化に伴い、あり方を検討するという秋葉山公園県民水泳場について意見と要望を述べます。
 50メートルプールや飛び込み台のある秋葉山公園県民水泳場は、1971年(昭和46年)に行われた国民体育大会の夏季大会の会場として全国からの選手をお迎えし、競技が盛大に開催されました。その後、県民の水泳場として大新プールとともに長く親しまれてきましたが、大新プールも廃止され、秋葉山プールも3年前より指定管理者に運営が任され、現在に至っています。
 黒潮国体の模様がインターネットで動画が公開されておりますが、真新しい秋葉山県民水泳場の様子と比べて、現在の状況との落差に悲しい気持ちになります。黒潮国体から37年が経過し、秋葉山県民水泳場もかなり老朽化が進んでおります。屋外のトイレは何カ所も使用不能、トイレ後のシャワーも使えません。プールサイドや更衣室、通路など、至るところに傷みが進んでいます。また、毎年さまざまな水泳大会が開催されていますが、男女ともに満足に着がえる場所もないため、選手は通路で着がえているといった状況です。とはいっても、50メートルプールが秋葉山にしかないため、競技関係者も我慢しているといった様子であります。また、タイムをはかるタッチパネルが後づけのため、公式タイムが測定できないといったことになっています。県内にたった1つしかない50メートルプールがこのような状態であります。(「橋本にもあるで」と呼ぶ者あり)済みません。
 老朽化のため、あり方を検討するとされていますが、5年後の国体をにらんだときに、県内に公式タイムを測定できるプールもなしに選手の育成ができていくのだろうかと不安に駆られます。
 和歌山は、「前畑頑張れ」で一躍有名になった前畑選手を輩出した県であります。水泳に寄せる県民の意識も高いと思われ、何とかできないものだろうかと心を痛めています。
 そこで、知事に強く要望したいと思います。
 県の大変な財政状況は理解をしていますが、100万県民を抱える県として、公式タイムのはかれる屋内水泳場はぜひとも必要な施設であると考えますが、建設に向け前向きに検討していただけるよう今回は強く要望し、質問を終わりたいと思います。
 以上で、第1問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの藤本眞利子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、和大新駅の位置づけと、それに伴うまちづくりということでございます。
 和歌山大学新駅の設置は、和歌山大学の統合移転などを機に県や和歌山市などが取り組んできたものでありまして、完成した暁には、和歌山市北西部地域の交通の利便性向上に大変重要な役割を果たすものだと考えてるところでございます。
 また、現在、新駅設置を進めている周辺地域では、土地区画整理事業とあわせて約200ヘクタールぐらいの大規模、住宅を中心とするような開発が進められています。開発途上ではありますけれども、新駅の設置とあわせて、今後地域の発展に大きく寄与していくものと考えております。
 県といたしましても、今後とも和歌山市──これは市のデザインあるいは設計に責任を持つ当局でありますが──和歌山市のお話をお聞きしながら、新駅の整備効果が早期に発現できるように対応してまいりたいと考えております。
 次に、和大新駅からコスモパーク加太を含む全体の開発ということでございます。
 この和歌山大学新駅周辺からコスモパーク加太に至る広大なエリアの中での新しいまちづくり計画というようなお話であろうかと思いますが、これにつきましては、実はこの開発をしてもらえる方に昔の構想というのをお聞きしたことがあります。大変感心をいたしましたが、かなり昔、コスモパーク加太を開発するという1つの動機づけになったというようなものだと思います。しかしながら、時代も変わり、それからいろんなことがあって、コスモパーク加太については、債権及び整理について、県議会も含めて大変な方々の努力を要することになったということもまた正直なところです。それから、昨今の情勢は昔よりもっと悪くなっとるかなという議論もあります。
 したがいまして、現在取り組んでいるこの和歌山大学新駅の整備やその周辺での大規模なまちづくり事業をまず完成さして、それからいろんなことをまた考えて実行していったらいいんじゃないかと考えております。ただ、この地域は、関空にも近うございますし、それから、地形的にもなかなかのもんだと思います。それから、まだまだ開発が済んでないという意味では潜在性のある地域だと思っておりますので、コスモパーク加太の活用についても、我々は別にこれをずっと置いておくということを考えているわけではありませんで、何とか利用できないかと思っておるわけですが、それとともに、全体として、今後の課題として考えていきたいと考えております。
 次に、青少年施設を訪問した感想というようなことではありますが、そもそも私は、少子化、高度情報化の急速な進展による人間関係の希薄化、特に青少年を取り巻く環境が大きくこのように変化している今日、豊かな自然環境の中で行う団体宿泊生活やいろんな諸活動を通じて、青少年が適切な人間関係を築いて、それで成長していくということは、非常に重要なことであると考えております。
 一方、現在の状況におきましては、指定管理にさしていただいた結果、かなり節約はしてると思いますけれども、それでも県にとっては大変なお金が毎年出ておって、行革当局からは、これは整理する対象ではないかというような意見をいただいて、それは意見として公表してるんですが、そういう状況にあり、これを判断しなきゃいけないという状況にあります。
 そのためには、実態も知らないで判断はできませんので、まず見ないといかんと思いまして、私も3つ全部見に行きました。先般、そうやって訪問した結果、指定管理者の方々とお話をさしていただいたり、施設を拝見したりいたしました。御担当しておられる方は、それぞれが青少年のために地域性を生かした受け入れ、生活指導、工夫を凝らした主催事業の実施など、いろんなことをして努力をしてくださってるということもよくわかりました。
 しかしながら、一方で県の財政状況を考えると、こういう行革の要請と、それからこういう事業の意義、こういうものをいかにして調和を図っていくべきかということについて深く思い悩んでると、そういうのが現状であります。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) 御質問の2点目、県内地域資源の活用についてでございますが、地域の特性や資源を活用し、住民の皆さんやNPO等が主体的に取り組む地域づくり活動に対しましては、これまでも地域のニーズに応じてアドバイザーの派遣、あるいは必要な情報の提供を行うなど、その活動を積極的に支援しているところでございます。
 また、こうした活動の高まりによりましてビジネスにつなげていくという、そういう段階に入りますと、例えば昨年12月に造成されましたわかやま中小企業元気ファンド、これ、商工労働部の所管でございますけども、こうした施策を初めとするさまざまな支援施策を活用することによりまして、新商品あるいは新サービスの開発の支援が可能となってまいりますので、こうした一連の施策を通じ、かつ関係部局や大学等関係機関と連携を深めながら、個性豊かで活力ある地域づくりを推進してまいりたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 畜産問題の2項目についてでございますけども、まず畜産業の振興策につきましては、県特産の和牛でございます熊野牛、それから梅酢利用によるうめどり、うめたまご、これを本県の中山間地域を中心とした畜産業の振興の柱としてございまして、生産性の向上とブランド化の推進に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
 なお、議員お話のございました飼料価格の高騰等につきましては、食品残渣を飼料として活用したエコフィードによるコストの低減、肥育牛の価格低下に対する所得補てんなどの国の緊急対策を早期に実施しまして、畜産農家に対する支援を強化しているところでございます。
 次に、和歌山市の食肉処理場の廃止に伴う県内畜産農家への影響についてでございますが、近隣の大阪府に4カ所、奈良県に1カ所の食肉処理場があり、最大の課題でございます出荷先につきましては確保できるものと考えてございますが、県外への出荷に伴う輸送費の増加が懸念をされているところでございます。こうした状況を踏まえまして、熊野牛産地化推進協議会などを通じまして、個人出荷から地域での集合出荷などへの転換を図るなど、生産者に対しまして輸送経費低減に向けた指導をしてまいりたいというふうに考えてございます。
○議長(大沢広太郎君) 総務部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○総務部長(小濱孝夫君) 青少年施設の存続についての御質問のうち、行財政改革推進本部事務局案の検討経過についてお答えをいたします。
 本年9月に、新行財政改革推進プランの具体的な実施方策を取りまとめた行財政改革推進本部事務局案をお示ししたところでございますけれども、この事務局案の策定に当たりましては、例えば県有施設でありましたら、必要性、利用状況、維持管理コスト、老朽化と建てかえ費用といった観点から検討を行いまして、廃止や、より効率的な運営体制等の検討が必要という整理をしたところでございます。
 なお、検討に当たりましては、所管する部局から施設等の現状を聞いておりますけれども、公表した見直し案は事務局の考え方に基づくものでございます。
 次に、指定管理期間の満了する施設についてでございますが、青少年の家等事務局案において見直し対象施設となっているもののうち、今年度末に指定管理期間が満了する施設につきましては、県としての方針決定が2月ごろとなる見込みでありますので、廃止または存続、いずれの場合でありましても、利用される県民の皆様方に御迷惑をおかけしてはいけませんので、一定期間現状のまま施設を運営するといった方策等を検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
 35番藤本眞利子君。
○藤本眞利子君 青少年施設について、ちょっと要望を述べたいというふうに思います。
 青少年の家というのは、指定管理になりまして3年が経過をしています。当時、大きな政府から小さな政府というふうなこととか、それから官から民へというふうなことで、たくさんの施設が指定管理をされたというふうに思います。和歌山県でも45施設が指定管理に移行をされました。その指定管理制度そのものに問題があるというわけではないんですが、行政の財源不足とか、それから硬直化というふうなこともあって、民間に管理をしていただいたほうが柔軟に運営されて、よい方向に進むということもあると思うんですね。でも、中にはやっぱり、指定管理ではなくて、行政がきちんと責任を持って管理運営すべきものがあるんじゃないかというふうに私は思っています。
 青少年の家というのは、先ほども言ったように貸し館じゃないわけですね。さまざまな野外活動とか宿泊体験を通じて青少年の健全育成を図る施設でありますので、そのためには、その中で働く人たちの指導者というものの育成が欠かせないものだというふうに思います。
 「朝日新聞」の土曜版に「フロントランナー」というふうな記事が毎週載っているんですが、ビジネスとか、それからファッションとか金融とか、もう本当にさまざまな分野で世界的な活躍をされてるような方をいつも紹介していただいています。私も、すごく毎週その「フロントランナー」という記事を楽しみにして、ああ、こんなふうに活躍されている方がいるんだなというふうに楽しみにしながら読んでいるんですが、そんな中で、だれでもその記事の中でおっしゃっているのが、どんな仕事でもやる気のある人から生まれる、そこから始まるんだというふうなことをおっしゃってるんですね。そういう人材の育成が社会をつくっていくんだというふうに私は思っているわけです。
 青少年の家の中でも、そこで働く指導者の方々の質というのがその施設の質を決定していくというふうに思います。その指導者養成が本当に大変重要なもので、でもそういう指導者、優秀な方が一朝一夕ですぐ育成されるというわけではありませんので、十分に活躍できるように、安心して仕事をされ、活躍できるような予算というものがちゃんと手当てをされないと働けないというふうに思うんですね。そういった青少年の家の施設も含めて環境整備をきちんとしていただきたいというふうに思っているわけです。
 県としても、青少年健全育成の観点に立って施策を進めていただきたい、人材の養成もというふうなことを含めて環境整備を行っていただきたいというふうに今回強く要望して終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤本眞利子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時43分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(山田正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 25番中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕(拍手)
○中 拓哉君 「なかなか頑張る中拓哉」ということで、市会議員のときから言い続けてまいりました。平成19年春の初当選以来、6月議会、12月議会、また本年の6月議会と回を重ね、4回目の一般質問でございます。ただいま議長からお許しをいただきましたので、早速に質問に入らせていただきます。
 仁坂知事が当選したのは平成18年の12月17日ですから、早いもので、もう丸2年が過ぎようとしております。告示日はたしか11月の30日、翌日12月1日が和歌山市議会の12月議会の開会日でございました。当時、市会議員だった私は、県議選の候補として公明党の公認も既に受けておりましたので、党が推薦する仁坂候補の応援と、当時、和歌山市議会で定数削減問題の大詰めを迎えていた市議会の対応に多忙だったことを思い起こしております。
 木村前知事の辞任、逮捕と続く混乱の県政界にあって、和歌山をふるさととする即戦力の人材ということで仁坂さんに白羽の矢が立った、そういう経緯だったと思います。急な転身である上に、経験したことのない選挙に挑むわけですから、さぞかし勇気の要ったことでしょう。そのあたりのくだりは「人間到る処青山あり」にも詳しく述べられておりましたので、興味深く拝読いたしました。
 さて、そこで任期2年を経過し、折り返し点となる今議会ですので、この2年間の成果と、反省もあろうかと思いますので反省と、さらに残る任期2年に挑むあなたの抱負をお聞かせ願えればと思います。
 また、福島、宮崎、和歌山と3県の知事が、いずれも公共工事の汚職にまつわる事件に問われ、入札制度の改革が大きな争点だったと思います。本県では、新たな業者評価制度と総合評価方式を導入する新公共調達制度として、この6月からスタートしました。全面実施となりました。あなたの言葉をかりれば、日本一の制度だと胸を張ってのスタートでございました。
 しかるに、案にたがって、この12月から最低制限価格の適用範囲を今までの5000万円未満から1億円未満へに引き上げたり、平成14年8月から進められてきた予定価格の事前公表を、1億円以上の工事については事後公表にするなど、一部改定されました。
 また、県政への信頼回復の点では、監察査察制度を創設し、職員のみならず幹部の中の、なかんずくトップの知事までが対象だとの新しい制度の説明でございました。この春先に発覚した旧美里町の裏金問題に絡む県職員への接待の事実解明と処分に、あるいはさらには定期監察査察において判明した有田振興局の有田みやげもんフェアに絡む補助金不正などにも効果があらわれております。その点は評価いたします。
 また、私がかねてから指摘してきました、あるいは提案してきました県の職務と密接に関連している業務の中で、公金に準ずる、まあ準公金とでも申しましょうか、そういうお金、つまり予算書にも載らない、当然出納の検査も受けない、あるいは監査委員の監査にも付されない、そういうお金で、なおかつ県職員が扱ってるいわゆる各種団体の会計について一体どうなってんのかというのが当時からの私の関心でございまして、承れば、そういうことの調査もなさってるということでございますんで、一体いかほどになって幾らあるのか、何件なのか、総額は幾らなのか、そういった点をお示しください。
 また、そのような準公金とも呼ぶべき会計事務の取り扱いの基準や透明化に向けたルールづくりはなさってるのでしょうか、あわせてお答えください。
 次に、巷間話題沸騰中の定額給付金についてお尋ねします。
 去る10月30日、政府は金融危機などから国民生活を守るため、総額5兆円、事業規模で27兆円の新たな経済対策、生活対策を決定し、その柱となる総額2兆円の定額給付金事業の詳細がこのほど明らかになりました。物価高や金融危機に伴う景気減速が鮮明になる中で、厳しいやりくりを強いられている家計を支援する施策として大きな期待が寄せられています。
 皆さんも御存じのとおり、支給額は1人当たり1万2000円、18歳以下の子供や65歳以上の高齢者には8000円加算して2万円ということで、標準的な夫婦と子供2人の標準的な家族、4人家族で6万4000円の支給となります。皆さんのお宅ではお幾らになりますか。一遍計算してみてください。
 今議会においても、本来職員の給与改定の提案がしかるべきにもかかわらず、なされていない上に、県人事委員会の報告及び勧告にも述べられているがごとく、県職員の定昇等は見送られております。
 近年、収入が伸びないにもかかわらず物価が上がる中で庶民の生活防衛意識は高まり、9月15日のアメリカの大手証券リーマン・ブラザーズの破綻を契機に、世界経済は恐慌とも言うべき事態に陥っています。世界各国の中央銀行は、自国の信用収縮を食いとめようと、こぞって公的資金をつぎ込むなど、あるいは政策金利を軒並み引き下げております。日本の株価も急降下をたどり、知らぬ間に株価は8300円台だったですか、きのう。きょうの円レートも1ドル93円までに上昇してしまいました。底の見えない不況に突入しているのです。
 みずからは対案も示さず批判に明け暮れるやからには、国民生活の苦境も世界経済の窮状も理解する能力が欠如しているなと言わざるを得ません。この定額給付金が生活支援にも、また地域の景気対策にも資さないと、役に立たないと批判するのであれば、どうぞ申請をなさらずに、受け取らなくて結構でございますので申請をなさらないで結構ですと、このように申し上げたいと思います。
 このほど、総務省から定額給付金事業の概要が示され、12月3日には本県の事務連絡会議が開催されたとの由ですが、この事業の概略と円滑な推進に向けて県がとり得る方策をお示しください。
 あわせて、県内で160億円もの資金が各世帯主に給付されるわけですが、この給付金の使途は、もちろんそれぞれの御家庭に渡るわけですから、何に使おうと、県民、市民の、住民のそれぞれの自由ではございましょうが、なるべく県内で消費してもらうようなすべを提示して促進することも県当局の重大な任務かと思いますので、そのお取り組みについてもお示しください。
 また、給付金をかたった振り込め詐欺事件がこのほど報道もありましたが、我が県からはそのような被害者は1人も出さない、このような万全のお取り組みをお願いいたしたいと思います。
 次に、地方分権と定住自立圏構想についてお尋ねします。
 坂井弘一、西博義両代議士の秘書当時から疑問に思い、和歌山市議2期の間も問題意識を持って質問に取り上げるなど勉強してきた問題に、二重行政の解消という問題がございます。
 平成12年4月に地方分権が大きく進み、市町村の役割は強化されましたし、また、市町村合併も全国的には前進してまいりました。やがて道州制もしかれるでありましょう。中央政府の役割も縮小されるものと推察いたします。それでも、中央政府、州政府、市町村は残ります。
 しかし、主権者である人間、国民それぞれは1人なのであります。この中拓哉は1人なのであります。
 例えば、本を借りて読もうと県立図書館へ行けば、県立図書館の利用カードをつくりなさい、市民図書館へ行けば、市民図書館の利用カードをつくりなさい、さらに、同じ県ですけども、男女共生社会推進センター「りぃぶる」へ行けば、そこの本を借りようと思えば、りぃぶる図書貸し出し利用カードをつくりなさいと、このような形でつくらざるを得ません。
 また、私が理事長を務めているNPOよみかきパソコンのメンバーが相寄って会議をしようと日程や時間帯を決めて、公共の貸し館であるいろんな施設、例えば市のコミュニティセンター──5つあります──あるいはプラザホープ、地場産業センター、ビッグ愛、市民図書館、県民文化会館、市の勤労者総合センター、あいあいセンター、ふれ愛センター、それぞれ1件1件、尋ねから電話して、申込書に書かないと、それぞれの会議室の予約ができないわけであります。
 もちろん、それなりに理由はあります。いわく、県立の施設、市立の施設、あるいは福祉に使われる施設、あるいは生涯学習の教育施設、あるいは労働福祉施設云々、そのように理由はありますけども、おかしいとは思いませんか。主権者であり納税者であるのは、その人、自然人であり、人権を持つ1人の人間なのであります。
 市役所の窓口業務の一本化については、先進市である佐賀市役所に、市会議員当時、視察に伺い、住民登録に来た1階の窓口で書類1枚書くだけで、国民健康保険の手続も水道局への申し込みも、あるいは子供さんがおれば転校の手続、教育委員会なんかに関係する書類もすべて1回で済む仕組みを佐賀市役所で勉強してまいりまして、和歌山市議会でも提案してまいりました。
 和歌山市と県においては、こういうことでいろいろ提案して勉強すれば──定期的に政策連携会議も持っておられてるようですし、県下の市町村とは一本化ということで、救急医療情報センターや道路の掘り起こしに関する地方連絡協議会、地方税回収機構など、大きなテーマでは幾つかは整備されていますが、より生活に密着した業務に広げたいものであります。県の長期総合計画に描かれたバラ色のビジョンも、生活に密着した現場で県民がじかに実感できてこその長期総合計画であり、「未来に羽ばたく愛着ある郷土 元気な和歌山」なのではないでしょうか。
 つらつらそのようなことを考えていた折、中心的な市と周辺市町村が連携し、暮らしに必要な機能を確保しつつ、人口の定住と地域の自立を進める定住自立圏構想なるものが福田内閣のもとで立案され、1次補正の安心実現のための緊急総合対策にもこの構想の推進が明記されたとのことであります。特別交付税措置を初めとする財政面の支援措置や人材の派遣もあるように物の本には書いておりましたが、定住自立圏構想の制度の仕組みや本県の取り組みをお示しください。
 また、こういった圏域形成に伴う中心市への特例的な権限移譲策として、今議会にも提案されているような事務処理特例条例──これも法律の改正を待たず活用しなさいよということでございますが、そのような、可能とのことでございますので、市町村への分権が著しくおくれている本県の現況とこの解決策をお示しください。
 次に、選挙公営のあり方と選挙管理委員会の事務についてお伺いします。
 御案内のとおり、民主社会を支える根本は公正な選挙であります。憲法がうたう主権在民は、主権者を代表する政治家、公職の候補者を選出するに際して、立候補の自由はどこまでも保障されなければなりません。そのためにも選挙の公平は、促進されることはあっても後退は許されません。混乱を回避する上で一定額の供託金の制度は認められるかもわかりませんが、それでも今国会で議論されている衆議院総選挙における供託金の軽減は、党利党略に拘泥することなく実現されてしかるべきであります。
 近年、残念なことに、市民団体の一部から県議選の公営に関して、はがき、ポスター、自動車、運転手の雇用、燃料代と数種類の選挙公営の仕組みがあるうちの中で、ポスターに絞って数件の住民監査請求がなされておったり、報道機関の報道によると、いわゆるレンタカー方式の利用に関して──これは知事選や参議院選も含めてですが──道路運送法上の問題点の指摘や、運転手の雇用、燃料代のあり方などについての一連の報道がございました。監査結果は、おおむね棄却しているのがほとんどのようであります。
 選挙管理委員会からは、和歌山県レンタカー協会に対して、「選挙運動用自動車の借り入れ契約に関する公費負担の適正化について」と題するお願いの文書を出す一方、国土交通省近畿運輸局和歌山運輸支局からは、レンタカー業許可条件の違反に当たる旨の文書による警告をレンタカー業者に発しているようでございます。これを受けた協会と一部の業者は、おわびの文書を選管に出し、知事にも届けたということであります。
 時を同じくして、県の選挙管理委員会は「選挙運動用自動車に関する公費負担(選挙公営)制度について」と題する文書と「選挙運動費用に関する公費負担制度Q&A」と題する文書を作成し、私どもに提供されました。早速に勉強したところ、おおむねむべなるかなとうなずけて、丁寧でありがたいのですが、いささか腑に落ちないところがございますのでお伺いします。
 まず、Q&Aの総論の3の問いに、「契約の締結にあたって、いくらで契約すればよいのか分からないので、『条例で決まっている上限金額で契約』しようと思いますが、問題ありますか」との問いをつくり、それに対して、「契約価格は、契約当事者の合意により定められるものであります。──ここからですね──しかし、公費負担は、県民の税金等から支出されていますので、なるべく安価で契約できるように努めて頂きたいというのが県民の願いではないかと思います」と、わざわざ2重のアンダーラインで強調してまで答えを書かれていますが、そこまで踏み込んでお答えになる公職選挙法上の根拠を選管さんに示してもらいたいと思います。
 例えば、北山村や花園、龍神といった県の奥地の県民のとある方が立候補しようとして準備する中で、レンタカーが安いからレンタカーを準備しなさいと、レンタカーの手配をしに新宮、橋本、田辺まで探せということにはなってしまいませんか。あるいは、手ごろな車種が見当たらなかったら、和歌山まで探せ、大阪まで出向け、こういうことになりませんか。
 次に、選挙公営制度について、この冊子の8ページに、今申し上げた、もしレンタカーで契約した場合なんですけども、レンタカー契約の場合の契約書の作成の注意点として、契約金額内訳書の欄を設けて、選挙運動の初日だけの──その例示によりますと、初日だけの単価が1日1万500円とあり、残る8日間は8925円掛ける8と、このような記載例があります。察するに、レンタカー会社が和歌山運輸支局に届け出た許可条件の金額の一例だと思いますが、選挙の初日にレンタカーを借りて運動する候補者は皆無だと思いませんか。この中でそんな人ありますか。
 選挙の初日に1万500円、その後が8925円、このような例示をされてますけども、こんなことはできません。いずれの候補者も看板とスピーカーなど音響設備を事前に装備して、また立候補前日の午後5時までに最寄りの警察署へ持っていって、積載した看板やスピーカーが決められたサイズを超えてないかどうか所轄の警察署で現認を受けるようにということは、立候補説明会の折にきつく指示されております。このことから、契約金額を正直に記載しようとするなら当然のこととして、9日間はレンタカー契約のとおり1日8925円掛ける9となって、8万325円の請求となります。
 しかるに、選管の示す例に従えば、本来の初日である、まあ木曜か金曜かわかりませんけども、数日前に借りた金額を選挙の初日として1万500円で請求しても構わないと判断してしまいます。この冊子のせいでかえって混乱を招きますので、訂正されるべきではありませんか、お答えください。
 選管の事務の中に、契約の相手先のことまで一々触れる権限はありますか。越権も甚だしいじゃないですか。むしろ知事が記者会見で述べた、相手候補や他の国政選挙の落選候補の自動車借り上げの件についての発言、つまり「仲間内で貸したり借りたり、泉候補が組合から限度いっぱい高く借りている。世耕さんの相手候補の阪口さんは、知り合いから安物のライトバンを借りて限度いっぱい請求している。こういう問題を摘発できない選挙管理委員会なんていうのは何をしているのだと県民の立場からしたら思いませんか」等々とする知事の発言にこそ、選管の委員長は、「知事さん、何か勘違いしてませんか。選管は摘発する機関ではありませんよ」と抗議してもらいたいぐらいでございます。
 次に、レジ袋の有料化についてお尋ねします。正しくは、レジ袋の無料配布の中止についてということでございます。
 長期総合計画や県の「環境白書」においても、温室効果ガスの排出抑制、循環型社会の構築、廃棄物の発生抑制・再利用・再生利用の3Rの推進、ごみの分別収集、ごみ処理の有料化等々、さまざまな施策の取り組みが挙げられています。
 明年1月23日、「いち、に、さん」と言うんでしょうか、あるいは「ワン、ツー、スリー」と呼ぶのでしょうか、県内21社5団体170店舗で一斉に無料配布を取りやめることとのことでございます。大きな地球環境の問題を自分のこととしてとらえる上でも有意義なことと評価します。ここまで進めていくにはいろいろな御苦労があったこととも推察します。全国でも、都道府県ベースで4番目の先進事例とのことは、むしろ誇りにも思います。
 その上で心配なことが何点かございますので、お答え願います。
 和歌山市では、ごみ袋の様式を指定して収集することになっていますが、半透明のレジ袋でもいいとして収集してくれております。この理由は、尾崎市長の折に、カラスなどが嫌う忌避剤を含んだ指定袋でスタートしたんですけども、大混乱となりまして、その薬剤入りのごみ袋は中止となりまして、透明な、市の指定する大きさと強度の袋ということを指定しつつも、ひとり暮らしのお年寄りにとっては、ごみも少量な上に、指定袋の料金も日常のことで負担が大きいなどの理由から、レジ袋でも問題なく収集してくれております。ですから、買い物のときに品物を持ち帰る機能を持っているレジ袋ではありますが、ごみ袋としての機能をこのレジ袋が果たしているというのが和歌山市での実態でございます。
 そういった習慣のある和歌山市内で、レジ袋をただでくれるお店と有料のお店が混在するわけですから、身近なことだけに混乱が予想されます。できるだけ多くの事業者が足並みをそろえないと失敗するのではと危惧もいたします。また、この仕組みに参画していない事業者に参画してもらうには、お客さんである消費者、県民からの圧力が一番の効果を発揮するものと考えます。こういった県民への理解促進策について、県当局のお考えをお示しください。
 また、最近のエコブームに悪乗りして、科学的に証明されていないことまで、さももっともらしく宣伝している会社や商品も見受けられることから、エコ的なかたりに疑問を持つ人々も多く認められます。レジ袋の有料化は、例えば指定ごみ袋の販売促進となって、かえってスーパーのもうけにつながるからやってるんやないかといった見方や、そもそもレジ袋は石油製品の中でも廃棄されるべき成分から開発されたものであるから有効利用の産物であるとか、あるいはレジ袋の石油消費量は微々たるものなので排出削減の効果はゼロに等しいなどといった主張も耳にいたします。今回の県の取り組みにより目標が達成された場合の環境負荷の削減の効果をぜひお示しください。
 最後に、男女共同参画について気になることがありましたので、お聞きしたいと思います。
 去る10月18日の土曜日に、りぃぶる10周年事業としてビッグ愛でいろんな式典が開催されたようでございます。案内もいただかんかったんで、皆さん、知らんかと思いますけども──式典のほうはですよ──事業は資料提供でいろいろいただいてますから、私、それ知った上で、この事業である住田裕子弁護士の講演に触れてきました。女性の社会参画の必要性について随分と啓発を受けた次第でございます。「行列のできる法律相談所」の女弁護士、元検事で、検事当時に子育てから何からいろんな苦労したと、こういうお話でございました。
 また、りぃぶるブックレビュー・ボランティアという事業がありまして、それに応募したところ、全員採用とのことで、書評の執筆者になるとともに、書評誌の編集委員も務めることになりました。第1号には、野田聖子さんの「不器用」という書籍の書評を執筆し、8ページ立ての冊子にも掲載されました。どの参加者も皆さん熱心で、大いなる刺激を受けたところでございます。
 そうした経験から、本県の男女共生推進に関する取り組みについてはすばらしいものがあると感心していたところでございます。りぃぶるの図書室に用意されている蔵書を見ても随分整っておりますし、なかなかのもんでございます。
 にもかかわらず、残念なことがございました。先月、議会事務局より、例年のごとく年末調整の手続の勧めを受けまして、私自身、来年の扶養控除の印字された申告書を見て驚きました。何に驚いたかというと、私には3人の子供がおります。昭和61年12月生まれでもうすぐ22歳になる長女の優紗、平成元年2月生まれで年明けに成人式を迎える、今はまだ19歳の長男の自由、そしてしんがりは、和歌山高校に通い野球漬けの毎日を送る、平成3年12月生まれで17歳になったばかりの次男の大我でございます。配られた扶養控除等申告書のB、扶養親族の番号、1番、2番と番号の振られた氏名の欄に、どうしたことか、1番に19歳の長男の自由の名前があり、2番目に22歳になる長女の優紗の名前がありました。3番目は次男の高校2年の大我となっていたわけでございます。
 男女共同参画を推進しようとして県内の事業所に推進事業者の登録を募り、この12月1日には新規3社が登録され、35号までになったと発表し、各事業所の取り組みを宣揚している県当局の人事課で管理している文書の形式が、あろうことか、出生の時系列を無視して、戦前の家父長制度よろしく、職員の家族を掌握していたということは、あきれて物が言えません。
 ちなみに、昨年、私が手書きで申請した書類と照らし合わせて、私の書き間違いかな、議会事務局の入力ミスかなとも思い、確認したところ、コンピューターの特性なのであって入力のミスではないとの回答でございました。さらに、人事課に聞けば、出生の後先に関係なく、長男、長女のうちで、名前の漢字コードの基準に従って並びかえているだけですと──平仮名とか漢字の場合、平仮名が先に来るらしいですけども──つまり第1子、第2子ではなく、長男か長女であれば漢字コードが上位を決定するのだと、長男、長女、2人の子供のうち漢字コードが先の順位であれば、年下の長女が上位に記載されて、年上の長男が下のほうに印字されるケースもあるということでありますが、そういうことであれば女系の尊重かということにもなりませんか。
 どこまでもコンピューターの特性であって他意はないとする県当局の主張に改めて尋ねたいと思います。男女共同参画を推進する環境生活部長の御見解と、1万7000人の県職員が同じシステムで打ち出しながらだれ1人この疑問に気づかない職員の資質について総務部長の見解を求め、私の第1問とします。よろしくお願いします。(拍手)
○副議長(山田正彦君) ただいまの中拓哉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず第1に、知事就任2年を迎えての県政の抱負ということでございます。
 知事就任直後に開催されました臨時県議会におきまして、私は、「失われた県政への信頼を取り戻し、本県の名誉と県民の誇りを回復することが私に与えられた最大の使命である」と申し上げるとともに、これは選挙のときから言っておりましたが、元気にするための5つの目標をお示し申し上げました。その達成のために、先ほど中議員から即戦力というようなお話もありましたので、これは即戦力にならにゃいかんというふうに思いまして、必要と考えたことについては、ためらいなく全力で、かつスピード感を持って着手をいたしました。何かためらって、何かし残したというのはないと考えております。
 まず、例えば談合の事件、知事の犯罪、そういうものが再発されるということを防止するために、清潔な県政を実現するために、県の制度あるいは新しい公共調達制度を構築する、あるいは和歌山の将来像を示した和歌山県長期総合計画を早速つくろうといって提案をして──これはことしの2月に定例会で議決いただきましたが──これと同時に、行革の基本路線を引いて、これを外さないようにして、かつ長計の実現のための取り組みを進めているということでございます。
 これまでの2年間、私自身が評価を下すというのはほとんど不可能でございまして、これは県民の皆さんに下してもらわないといけないということであると思いますが、企業誘致とか、あるいは観光振興とか、農林水産業とか、医療行政とか、そういうふうに既に成果があらわれているものもあります。
 一方、長い間やり続けてないと効果が出ないようなものもあります。現状、特に経済的な現状は我が県も例外ではなくて、大変厳しいものがあります。そういたしますと、この際、もう全部嫌じゃと言ってひっくり返して破壊をすると、あるいは壊してしまったら、よりましなものができるというふうに考えるのが、ある場合における人間の通例であるかと思います。しかしながら、それによって起こる現実はそれほど甘くはないというのが、これまた真理であります。
 したがって、その方法が正しければ、これは逆境のときもあるんだから、頑張って続けないといけないということだと思います。と同時に、仮にちょっと修正の余地があるなとか、間違っとったかなということであれば、これは改むるにしくはなしで、それまた新しい戦略を立ててやっていくために常にそれを検証してないといけないということだと思っております。
 これからの2年間、現下の経済情勢を考えると、県の財政を考えても非常に厳しい状況が続くということが予想されますし、また民間の方々のお暮らしということも、これもまたそんなに楽観を許すものではありません。そのときこそ、さきに述べた気持ちを失うことなく、長期総合計画に掲げる将来像の実現のために、必要なことはうまずたゆまず頑張って進めてまいりたいと考えております。
 次に、県が事務を担っている関係団体、特にその経理処理のあり方でございます。
 これについては、実は監察査察制度をつくったときに、ある意味では真っ先に調べてほしいと言って現在調査を実施しているところであります。そのプロセスで、1つだけですけれども、好ましからざる事態が発覚しましたので、これについては厳正に処理したところであります。
 定期監察査察は、各所属それぞれが適正かつ効率的に行われてるかを調査するもので、今のところ2カ年で全部局を一巡するということにしております。
 これまで行いましたものについて申しますと、例えば企画部、農林水産部、出納局を除く各部局の定期監察査察を終えております。団体数、これにつきましては330団体、それから預かっているお金というのは約8億5000万円規模の事業、これが監察を実施されておりました。先ほど申し上げましたように、1つについては不適正なものが見つかりましたが、残りのものについては、わかっている限りは適正に経理が行われております。
 ただ、議員御指摘のように、こういう問題についてはいつも注意してないと危ないというところもあります。一方では、団体の方々に必要以上の出費、負担等々、そういうものを強いるということも、またちょっと難しい場合もあります。したがって、こういう点に両方にきちんと注意しながら、できるだけシンプルに制度が運用できるように私たちとしても常に改革に努めていきたいと考えております。
 次に、定額給付金についてでございます。
 定額給付金は、住民への生活支援だけではなくて、地域の経済対策に資することということになっております。定額給付金については、ともすれば給付事務の執行という点にのみ焦点が当たっているということであろうかと思いますけれども、景気刺激策あるいは生活支援策という要素もあるということは、これはもう明らかであります。議員御指摘のような地域経済の振興という観点も重要と考えております。
 この使い道につきましては、御家庭の問題でありますので、例えば私のような者が、ああしなきゃいけない、こうしなきゃいけないというようなことを余り言い過ぎるというのはよくないと思っておりますけども、私の気持ちだけ申し上げますと、ぜひ県内で使ってくれたらいいなというふうに思ってる次第であります。そういう観点から、御指摘を踏まえまして、消費喚起策についても景気振興策一般の中でぜひ考えてまいりたい、こういうふうに思っております。
○副議長(山田正彦君) 総務部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○総務部長(小濱孝夫君) 4件の御質問にお答えいたします。
 まず、定額給付金事業の円滑な推進についてでありますけれども、定額給付金事業につきましては、先月28日に国から給付金事業に係る概要のたたき台が示され、給付金額は1人当たり1万2000円、18歳以下の方及び65歳以上の方は2万円、受給権者は原則世帯主、給付は振り込み方式を優先などの説明がありました。その具体的な実施方式につきましては、現在国において検討中であり、給付の時期など、いまだ不明な点も多いところであります。
 このため、和歌山県内の市町村におきましては、給付金事業を進めるに当たって万全の体制整備を行うため、各市町村の自主的な連絡調整組織として、各市町村の担当課長をメンバーとする定額給付金事務連絡調整会議というものを立ち上げられたところであります。県も事務局の一員として参加いたしております。
 今後は、この会議を通じて各市町村からの意見集約、国への要望などが行われるものと考えております。県といたしましても、この会議を中心とした定額給付金事業の円滑な執行に資する取り組みに協力してまいります。
 次に、地方分権と定住自立圏構想の御質問のうち、県内の取り組みについてでございます。
 定住自立圏構想につきましては、現在、定住自立圏の形成に先行して取り組む先行実施団体と国とが意見交換を行い、具体的な仕組みづくりについて検討が行われているところであります。今後、定住自立圏要綱の策定、それから、これらの支援策の取りまとめが行われることになっております。
 本県といたしましては、従来から先行実施団体への応募について、関係団体にあっせんを行うなどの取り組みを行ってきたところでありますけれども、引き続きこれらの情報収集に努めて、要綱や支援策が明らかになってくれば、各市町村への周知を図るとともに、事業実施を検討している各圏域市町村の相談に応じてまいりたいと考えております。
 次に、事務処理の特例条例の活用に関連して、市町村への分権がおくれている本県の実情と解決策についてという御質問ですが、定住自立圏構想の促進のためには、市町村への分権を進め、相互に補完し合う広域的な取り組みを進めることが必要でありますけれども、議員の御指摘のとおり、和歌山県では市町村への分権が全国的に見ましてもおくれております。
 国においては、本年6月に県から市町村への移譲事務として最大64法律359事務を挙げ、平成22年3月までにこれらの事務を市町村に移譲することを盛り込んだ新分権一括法案を国会に提出することを目指しております。
 地方自治の基本的理念を踏まえれば、住民に身近な行政についてはできる限り市町村が行うということが望ましい、また、このような法律による大規模な権限移譲が行われた場合に、本県のように市町村への分権が十分でない地域では、事務量の急増によって混乱が懸念されるというようなことから、十分な準備が必要であるということから、県といたしましては市町村への分権について市町村との検討を進めておりまして、本年度中に「市町村への分権に関する計画」──これは仮称でございますが──これを策定して、計画的な市町村への分権を進めてまいりたいというふうに考えております。
 それから、男女共同参画について、特に県庁内の取り組みについてということでございます。
 議員のお話の年末調整のための扶養控除等異動申告書のコンピュータープログラムにつきましては、長男、次男、あるいは長女、次女といった同一性の場合については、年齢が高い順に出力表記するシステムになっておりますけれども、長男、長女、あるいは次男、次女といった場合にどちらを優先するかについては、議員もお話がありましたけれども、システム上、年齢の高い順ではなくて、名前の漢字・仮名JISコード順に出力表記することになっております。このように、この出力表記自体は、どちらか一方の性を優先するというものではなくて、男女差別とは直接関係がないものと考えておりますが、このプログラムによりまして年齢の低い子が先に表記されるということもありまして、職員によっては、それを不自然に感じたり、違和感を覚えたりということがあるかもしれませんので、これは改善していきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 環境生活部長井口悦治君。
  〔井口悦治君、登壇〕
○環境生活部長(井口悦治君) まず、レジ袋無料配布中止に関連して、県民への広報、事業者拡大など、円滑な推進についてでございます。
 議員御質問のとおり、レジ袋の無料配布中止の実施に当たりましては、取り組みの趣旨を県民の皆様に十分御理解いただくことが必要であると考えてございます。したがいまして、県及び市町村の広報紙やテレビ、ラジオ等メディアを活用した周知を行うとともに、わかやまノーレジ袋推進協議会を構成する市民団体及び市町村とも連携を図りながら、実施事業者の店頭キャンペーンやチラシによる広報活動などを行い、県民の皆様に十分な御理解をいただき、1月23日には混乱なく一斉実施できるよう努めてまいります。
 また、現在参加されていない事業者に対しましても、この取り組みへの参画を引き続き働きかけてまいりたいと考えてございます。
 次に、レジ袋削減による効果につきましては、直接的には目標としているマイバッグ持参率80%が達成された場合、ごみ排出量で880トン、二酸化炭素で約4000トンの削減、原油換算では1600キロリットル、ドラム缶に直しますとドラム缶8000本が節約できるものと試算をしてございます。
 ごみの減量につきましては、現在3Rを推進しているところではありますが、資源の有効利用を図るためにも、そのうちリデュース、発生抑制が最も優先されるべきものであると考えてございます。今回は、身近にあるレジ袋を削減するという小さな取り組みではありますが、県民のごみ減量意識の高揚を図り、大量消費・廃棄を基調としたライフスタイルを見直すことで廃棄物削減への大きな前進につなげ、さらには環境への負荷をできるだけ低減し、持続可能な社会、いわゆる循環型社会への構築を目指してまいりたいと考えてございます。
 次に、男女共同参画で県庁内の取り組みについてでございます。
 男女共同参画推進のために県が率先して取り組む必要があると考え、男女共同参画基本計画に基づき、女性の職域拡大や管理職の登用、育児休業者に対する職場復帰支援など、働きやすい職場づくりに取り組むとともに、新規採用職員や職場研修委員を初め、全職員を対象とした男女共同参画の研修機会を設けるなど、職員の意識づくりにも取り組んでいるところでございます。また、平成17年度に、人権尊重の視点から各種申請書類等の記載内容の一斉見直しを行い、以降、毎年チェックリストによる業務の点検を実施しており、不適切な表記がある場合は改善を指導してまいります。
 いずれにしても、職員が常に男女共同参画の視点を持ちつつ業務を推進することが大切でありますので、今後とも職員に対する注意喚起に努めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 選挙管理委員会委員長山本恒男君。
  〔山本恒男君、登壇〕
○選挙管理委員会委員長(山本恒男君) 中議員の選挙公営制度についての御質問にお答え申し上げます。
 まず第1点、今回作成のいわゆるQ&Aの中に、契約の上限額に対し、なるべく安価で契約いただきたいとの記述をいたした点でございますが、条例では県費支出の上限が示されておりますので、この範囲内において実際に要した費用を適法に請求したものには支出されるのでありますが、「なるべく安価で契約できるよう努めて頂きたいというのが県民の願いではないかと思います」と書かせていただきました。この表現につきましては、選挙管理委員会で審議いたしました際に、関係者に対し抑制するようなことになるのでないかとの点で、慎重な討議が行われましたが、結果として、県民意識や財政的見地も勘案した上で、「お願い」という表現をもってお願いすることが必要であろうとの判断をいたしました。この点、御了解賜ればと存じます。
 次に、第2点の選挙運動用自動車の賃貸借契約について、どのような内容であるべきかの点についてでありますが、このQ&Aにおいて、1日目が他の日よりも高く設定されたものを示しておりますが、これはあくまでも例示でありまして、料金の体系はほかにさまざまございます。多様なサービスが提供されているところでございます。したがって、Q&Aにおいてそれらを逐一網羅することはできませんので、要は選挙期間中の契約を当事者間で交わしていただき、適法に請求していただければ結構ですということでございます。
 しかし、このQ&Aは、関係者の誤った認識があれば、それを改めていただけるようにつくったものでございますので、これはできるだけわかりやすく記述したつもりではありますが、議員御指摘のようにかえって誤解を生むというようなことがあってはならないわけでありまして、今後十分に意を用い、説明を行ってまいりたいと存じております。
 最後に、選挙管理委員会の取り扱い姿勢といった点について触れられたと存じます。
 選挙管理委員会には法律上の調査権限が付与されてございませんので、その中で健全な制度運営が図られるためには、関係者の御理解が得られることが肝要と存じます。その意味で、適正運用のためのわかりやすい説明に取り組んでまいる所存です。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 再質問を許します。
 25番中 拓哉君。
○中 拓哉君 答弁ありがとうございました。
 知事も2年間、本当にいろんな成果もあって、やってきたなと、こういうのはよくわかります。ただ、権力をお持ちなわけですから、抑制的にやっぱり使うべきかなということも思いましたんで、先ほどあんなことを申し上げました。自分の対立候補のことをわざわざ出して、どこの組合で高う請求してるやないかと、あるいは世耕さんの相手候補がどやないかと、それは一県民ですから言うのは自由ですけども、それは言えるのはやっぱり知事やからかな。僕、知事でもそれ言えないん違うかなと思うんですね。
 だって、泉さんがどこで借りたというようなこと、僕らわかりませんもん、情報公開申し込まなんだら。あるいは、阪口さんも友達から借りたというようなことは僕らわかりませんもん。情報公開を申し込んで初めてわかることでしょう。そういうことを何で知ったんかなと思って、あるいは。言いたい気持ちわかりますよ。レンタカーで申し込んで、こんなことがあって、レンタカー屋が悪いんだと。それはもう十分わかりますけども、そのことで申し上げた。これからも頑張っていただくということですから、それは期待したいと思います。
 あと、一部、2年たって、それなりに最初は皆職員さんもぴりぴりしてたけど、だんだんなれてきて緩んでるん違うかなというようなことも思うところもありますんで、改めて申し上げました。1つの例を挙げれば、その世耕さんの肩書間違うたらしいですね。そんなこともやっぱり気の緩みというか、性根入ってないあかしですよ。あるいは今回の決算審査でも、その途中で採決まで待って、調べるの待ってということで待ちましたよ。待ちまして、そのときに出された書類がまたミスしてるんですね、同じ書類でね。3ページ、4ページ、同じ。僕がそれを聞いたら、「あっ、間違うてました。3ページだけです」ということで審議進んだんですよ。ほんで採決待ちしてんのに、きのうの朝になって、「実は本当の4ページはこれです」って、また持ってくるわけですよ。こんなん、県会なめてるんかと、委員会なめてるんかというんですよ。その前提で審議してるんですもん。そんなこと平気で「はい、間違うてました。差しかえてください」と言うてくるところに私は疑問を持ちます。
 また、今回の議案でもそうですね。間違い。刷った後で間違いあるからのりで張ってくれてるんでしょうけども、そののりで張ってることすら、やっぱりないようにしたほうがいいと思いますよ、議会に出すんですから。調べたら、「など」という字が抜けてたということでケアレスミスなんでしょう。あるいは、そやけど財源の振り分け──今回の地域の再生の財源の振り分けで、何か解釈が間違うてたんかちょっとわかりませんけど、正しくはこうやということでわかったんで張り直してると。こんなことなんかも私はどうかなと思いますんで、注意していただけたらと思います。
 また、準公金の──準公金という言葉がいいんかわかりませんけども、330団体で8億5000万。大きなお金ですよね。まだこれから、企画とか出納とか農林水産、農林水産なんかも、こんな関係団体は多いと思います。それは、定期で監察してくれたらええんですけど、なるべく、そういう団体のお金ですから、団体の方で会計を決めてやっていくのが本来じゃないかなと思います。
 見せてもらいましたら、資料もらいました。そしたら、赤十字さんとか土改連のお金なんかは残らんようにというか、ちゃんと予算組んで、最後また残ったら戻してる。上部へ納めてるんですかね。ようわかりませんけど、繰り越しのないようにしてすっきりしてます。しかし、そのほかは、予算は1000万組んでるのに使うのは100万とか、そもそもこれ、そしたら会費下げたらええん違うんかいと思うわけですよ。各団体の意思ですから、とやかく言うわけじゃありませんけどね。繰り越して残っていったら、またどころで大きなお金になって、職員さんに魔が差さんとも限りませんから、なるべく団体へ戻していくべきじゃないかなと思います。
 その点は、ルールはつくってくれたということですけども、この際、知事のほうから、そういうなるべく──団体によっては事務所も持てやん、人件費も置けやんという個別の事情はある。そういうところは仕方がないですけども。大きな団体もありますから。やっぱりそういう方向にやっていくべきやと問いかけますので、その点について所見を承りたいと思います。
 定額給付金、これはアイデアやと思います。それは人さんのお金ですからとやかく言うつもりはありませんけども、やっぱりせっかくのお金ですから、家族で定額給付金和歌山県1泊旅行とか、定額給付金和歌山県産物、野菜フェア、お魚フェアとか、そんなんあったら僕らもそういうことを意識しますし、人にも勧めたいと思いますんで、その点もお願いします。
 選管のほうの公費の請求でございますが、いろんな例があるから1個1個書けやん、それは確かにそうでしょう。しかし、私が問題にしたこのレンタカーの、初日が高くて、あと安い。これはレンタカー屋の料金表を見てつくったんやと思います。そうやって契約書のときにレンタカー屋の見本を書いてんのに、同じ選管の今度書類で請求するときは、そういう契約書で出したやつの請求とは全く関係ない、1日1万2000円掛ける9みたいな形でまた例示してくれてるわけですよ。同じ例示に基づいて、契約のときも使用の届け出も請求もというて1つのスタイルで貫徹してくれたらようわかるんですけども、契約のときはこんなスタイルもあるやろう、請求のときはこんなスタイルもあるやろうって書かれたら、選挙事務してきた人間としたらかえって混乱しますし、反対に、ああ、選管さんが言うてんねやから初日の費用はこれでええんやなと思ってしまうということを私申し上げたかったんで、今後説明のときには、そういうこともあるということを説明していただけたらと思います。
 また、今度ガソリンの明細なんかつけなあかんことになったんですね、公選法が変わって。だから、ガソリン屋の請求も今までは手書きで幾らて書けてましたけども、明細つけよということから、間違いは恐らく起こらんのやと思います。それにしても、選管さんが安いところ使えよというふうなことを言われたら、ほなセルフのとこ行かんなんのかい、セルフ探して安うせんなんのかいというふうに思うわけですね。
 私ら選挙する身からしたら、やっぱり知り合いのガソリン屋さんで使いたいですよ。応援してくれるんやもん。レンタカーもわざわざトヨタレンタさんみたいな、みんなに貸して僕に1票入れてくれやんとこよりはですよ、「中君、車持っちゃあるかい、使いなあよ」というて言うてくれて、「ほな、ありがたいよ。ただというわけにもいかんさかいに、お金、こんだけ公費で見てくれるさかいに、それはそれで契約しようか」と。全然自由じゃないですか。そんなことまで安いとこに使いなさいよと言われたら、「ああ、そうか。ほな安いとこ探さんなんのかい」と、こうなってくるというんですよ。それが僕、余計なこと違うかということを申し上げてるんで、その点はお願いします。
 そやけど、何か、市民オンブズマンさんが請求するのは自由ですから、やってくれたらええですよ。やってくれたらいいですけど、僕ら、安さを競てるんじゃないんですよ。選挙を安う上げることを競てるんじゃないんですよ。住民に支持いただけるかどうかを競てるんですから、そこはどなたさんでも、お金のない人でも出れるようなことは、むしろまだ充実してもらいたいということをこの場で強く申し上げておきたいと思います。
 男女共生の関係で、ささいなことかもわかりませんけども、このシステムを入れたんは8年前だそうです、県庁の中でね。その中で、僕みたいな事例に当たった方はいっぱいいてると思う。1万7000もおったらね。その中でだれも気つかん。今先ほど井口さんの説明によると、数年前から書類も点検し出したと。書類点検し出しても、その場所におって気つかんというところに男女共生を進めていく上でいかがかなと思いましたんで、ちょっといやことを言わしてもらいました。
 そんなことで、2年前の、知事さんもまた初当選の思いを新たにしていただきまして、今後とも取り組んでもらえたらな。
 先ほど、監査が今やってくれてる関係諸団体の関係の件だけでもお答えいただけたらなと、かように思います。
○副議長(山田正彦君) 以上の再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 準公金というその言葉を使ってはいけないのかもしれませんけども、業界のお願いで県庁の職員が、別に好んでじゃないんですけれども、業界のお金を預からしていただいてる、あるいは扱うように頼まれてるというか、そういう点について、私はさっき答弁で申し上げた最後の点については、まさに中議員がさら問いで御質問になったとおりのことを実は考えてるわけで、現実のこともあろうけれども、特に金額の大きいものとか、そういうものについては、もうできるだけきれいにしていくと。きれいというか、もともとそんな汚いわけじゃないんですが、すっきりさしていくということが望ましいと私ども考えておりまして、できるだけできんもんかなというふうに思ってると、そういうことでございます。
○副議長(山田正彦君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 以上で、中拓哉君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 18番尾崎太郎君。
  〔尾崎太郎君、登壇〕(拍手)
○尾崎太郎君 議長の許可を得たので、一般質問をいたします。
 自由民主党青年局の海外研修が、ことしは韓国で行われました。和歌山県連からは須川倍行議員、藤山将材議員、私が参加をいたしました。当初は、李明博大統領を初め各界要人との面談が予定されておりましたが、竹島問題が再燃し、韓国側からすべての面談をキャンセルするとの通知がありました。戦没者に対する我々の献花までも拒否するということで、我が党青年局でも研修先を変更したほうがよいのではないかとの意見も出されましたが、こんな時期だからこそ、かの国を訪れ、言論の自由という価値を共有する隣邦として、互いの立場を尊重しつつ堂々と議論し、もって真の友好をはぐくむべきであるとの意見が大勢を占め、実施される運びとなりました。
 訪韓に先立ち、外務省の方から竹島問題について簡にして要を得た講義がありました。テキストは「竹島問題を理解するための10のポイント」というよくまとまった冊子で、竹島は我が国の固有の領土であることがよくわかります。領土をめぐる紛争は安全保障にかかわる問題であり、政府は国民にその実態や自国の主張を周知させる義務があります。義務教育はその義務を果たすべき場であり、これを放棄することは許されません。
 今回の騒動は、教科書の記述に対してではなく、平成24年度から採用される中学校の新学習指導要領に対してでもなく、その解説書を問題としているのです。「竹島問題を理解するための10のポイント」は、外務省のホームページに、英語、韓国語でもアップされています。韓国は、我が国が竹島の領有を世界に向けて主張するのはよいが、国民に教えるのはまかりならんとでも言うつもりなのか、内政干渉も甚だしい、無礼だと一喝すれば済む問題であるのに、文部科学省は「固有の領土」という文言を「我が国と韓国との間に竹島をめぐって主張に相違があることにも触れ」といった表現に改めています。これでは、到底、領土を不法占拠されている当事国とは思えない第三国的な解説になってしまっています。教育基本法で不当な圧力には屈しないとうたいながら外国からの不当な圧力にはすぐ屈するのであれば、何とも情けない話であります。
 学校教育は、国民意識の形成に絶大な影響のあるものです。後ほど触れますが、トルコ国民が120年前のエルトゥールル号遭難時における本県串本町の人々の献身的な救援活動を忘れずにいてくれたのも、トルコがこのことを学校で教えていてくれたからで、トルコ国民の親日の情は少なからずここから来るものでありましょう。
 国民が殊さら竹島に関心を持たなくなってしまえば、政府がたとえどのような主張をしようとも、もはや竹島は我が国の領土ではなくなってしまいます。主権者たる国民に領有の意思がないのなら、竹島に我が国の主権が及ぶべくもありません。
 韓国側の騒ぎ方は常軌を逸したもので、日の丸を燃やす、卵や日本の国鳥であるキジを食いちぎり、大使館に投げ込む、果ては駐日大使を事実上召還するという、まさに官民挙げての大騒ぎでありました。我々も何とか韓国の若い世代の政治家たちと冷静なディベートができないかと打診してみたのですが、残念ながらとてもそんな状況ではありませんでした。訪韓団のメンバーからは、この騒動で天皇陛下の御真影を焼いたとの情報があるが、事実であるならば断固抗議すべきであるとの意見が出され、駐韓大使に確認したところ、福田総理の写真は焼かれたが、陛下の御真影は韓国の警官が群衆から取り上げたと聞き、福田総理のならまあよいかとなりました。韓国のこうした行動は、怒りよりもむしろ哀れを感じますが、だからといって事なかれ主義は将来に禍根を残すことになります。
 今日の竹島問題というのは、1952年1月18日、李承晩大統領がいわゆる李承晩ラインを一方的に引くまで存在しませんでした。国際法を無視したこの暴挙を、彼らは1905年(明治38年)、日本が独島(竹島)を閣議決定して島根県に編入したのは、事実上、日本の支配下にあった韓国に対する侵略行為の始まりであったとし、正当化しようとしています。
 実は今日の竹島は、1905年(明治38年)に初めて竹島と呼ばれるようになったのであり、それ以前、江戸時代には松島と呼ばれ、19世紀中ごろからはリャンコ島とも呼ばれていました。では、もともと竹島とはどこであったのか。何と韓国の鬱陵島が竹島であったのです。17世紀末、江戸幕府は、竹島(鬱陵島)の帰属をめぐり朝鮮と争います。すなわち、鬱陵島は果たしてどちらのものなのかという争いが本来の竹島問題であったのです。
 米子の大谷、村川両家は、幕府より渡海許可を得、竹島(鬱陵島)でアワビやアシカをとり、商っていました。当時、無人島であった竹島(鬱陵島)を開発したのは紛れもなく日本人であり、大谷甚吉は将軍から「空居の嶋、甚吉相顕し、日本の土地を広めた」として、御紋、御時服、御熨斗目を拝領し、現在もそれらの品は米子市立山陰歴史館に保管されています。
 約80年間、我が国は竹島(鬱陵島)を自国の領土として取り扱ってきたのですが、1692年(元禄5年)、朝鮮の漁民が竹島(鬱陵島)でアワビやワカメをとり始めたことから同島の帰属が問題となりました。かんかんがくがくの議論があったのですが、15世紀の朝鮮の地誌「東国輿地勝覧」の記述から竹島(鬱陵島)は朝鮮領であるとし、1696年(元禄9年)、江戸幕府は竹島(鬱陵島)への渡海禁止を鳥取藩に伝えています。
 しかし、この措置をサツマイモの普及で有名な学者、青木昆陽は、1738年(元文3年)、「草盧雑談」の中で「北史倭搏二、竹斯国、竹島、阿蘇山トアレバ、竹島ハ古ヨリ我国ノ島ニキワマリタリ、シカルニ、憲廟ノ御仁政ニテ与ヘ給トイエドモ、地ハ少ノ所モ惜ムベキコトナレバ、有司ノ過チナランカ」と嘆いています。ちなみに、竹島(鬱陵島)が日本に帰属するとした史書は「北史・倭国伝」のみならず、「隋書・倭国伝」や明後期の「古東夷考略」にも見られ、これには地図さえ記載されています。昆陽の嘆きもむべなるかなであります。突然やってきた朝鮮の漁民に漁場を奪われることになった人たちはもちろん、有識者の間に釈然としないものを抱えたまま、幕府は竹島問題を決着させたのですが、朝野に不満はくすぶっていたのでした。
 その後、明治政府は、松島、別名リャンコ島──この呼び名はフランスの捕鯨船、リアンクール号にちなんだものと言われていますが──を島根県へ編入するに当たり竹島と改名してしまいます。あるいは、江戸時代に竹島(鬱陵島)を朝鮮に譲ってしまった弱腰外交の苦い記憶を、近代国家としての大日本帝国は払拭したかったのかもしれません。何しろ切った張ったの帝国主義の時代、明治政府の気負い、推して知るべしであります。これが竹島問題をわかりにくくしてしまうことになりました。
 この編入自体には侵略的意味は全くなく、松島の帰属を確定づける近代的手続を、それがちょっと大きい岩礁と言えなくもないことから、ケアレスミス的に怠っていたことに気づいた明治政府が慌てて国際的な体裁を整えたものであります。明治政府に帝国主義的な野心があるならば、過去の経緯からいって、もとの竹島、すなわち鬱陵島を島根県に編入していたに違いないからです。松島の島根県への編入が日本の朝鮮侵略の始まりとは言いがかりもいいところなのです。
 一応、韓国が今日の竹島(松島)を韓国領だとする根拠は、鬱陵島を韓国領とする根拠となった「東国輿地勝覧」等に于山島なる島が出てくるのですが、この于山島が今日の竹島(松島)であるとするものです。しかし、当の記述には「峯頭の樹木と山根の沙渚の歴々見える」とあり、今日の竹島(松島)は岩礁であり、砂浜や樹木はもちろんなく、于山島が今日の竹島を指しているとはとても言えません。また、「于山と鬱陵は本一島」との記述もあり、鬱陵島とは90キロも離れた今日の竹島を于山島とするには、やはり無理があります。韓国が今日の竹島の別名だと主張する于山島は、鬱陵島に隣接した竹嶼なる島であると考えるのが妥当でありましょう。
 最近、ジャーナリストの水間政憲氏が雑誌「SAPIO」で決定的な指摘をしています。今日の竹島の島根県への編入前である1840年に、韓国の歴史家・玄采が監修した地理書「大韓地誌」がつくられました。これは、当時、学校教育でも使われていた準公文書とでもいうべきものですが、国会図書館関西館に所蔵されています。これには、「我が大韓民国の位置はアジアの東部にあり、支那の東北部から日本海と黄海を臨み、東南は一海峡を隔てて日本の対馬と相対し」と記載されています。今日の竹島の位置は東経131度52分であり、「我が大韓民国」には含まれておりません。
 対馬は韓国領であるとか、日本海は東海とせよだとか、想像を絶する主張をする彼らには唖然とするばかりですが、自分たちの地誌に日本海とか日本の対馬と書きながら、これを平然と無視して何ら痛痒を感じない彼らにとって、しょせん歴史は政治に奉仕すべきものであり、目的に合わせてつくり変えることができるものなのです。いわゆる従軍慰安婦も強制連行も同じ構図であります。さらに1947年、日本の敗戦後、李承晩ラインの引かれるわずか5年前に発行された崔南善著「朝鮮常識問答」でも、今日の竹島を韓国領としてはいません。
 今回の質問で大いに参考にさせてもらいました「竹島は日韓どちらのものか」の著者である下條正男氏の同著におさめられているエピソードを御紹介しましょう。
 氏は、2000年、独島博物館を見学するために鬱陵島に渡られました。そこで氏は、例の「東国輿地勝覧」に載っている八道総図の壁画パネルを見ます。八道総図は朝鮮全体を描いた古地図で、鬱陵島と于山島も記されています。独島博物館では八道総図をパンフレットに印刷して入館者に配っているのですが、オリジナルを印刷したパンフレットと壁画パネルを見比べた下條氏は愕然とします。何と壁面パネルの于山島の位置は、オリジナルなものを180度回転させ、今日の竹島の位置になってしまっているのです。つまり、壁面パネルとパンフレットでは、于山島の位置が全く正反対なのです。驚くべきことに、彼らはそれを指摘しても平然としており、全く動じる様子はありません。さらに氏は、まげを結った武士を──武士が竹島で漁をするわけがないのですが──朝鮮人の漁民が独島から追い払っている展示を見るに至り、博物館という公的機関が平然と地図をつくり変え、虚偽の歴史を伝えているということから、竹島問題が解決しない理由をかいま見たと述べています。
 いわゆる近隣諸国の人々は、歴史は政治に従属するものであるとの前近代的発想から一歩も抜け出ていないのであり、史実は彼らにさほど重要ではないのです。全くうんざりさせられますが、事は領土に関することであり、安全保障上もおざなりにするわけにはいきません。荒唐無稽な南京大虐殺記念館のようなものをつくっている中国も、また竹島問題の成り行きを見守り、すきあらば尖閣諸島を我が物にしようとするでありましょう。
 繰り返しますが、かの国では歴史というもののとらえ方が我が国とは決定的に異なっていることを常に念頭に置いておかなければなりません。共通の歴史認識など持てるはずがないのです。彼らとは戦略的に対立することこそ必要であり、従属を意味する彼らの友好にはゆめつき合ってはならないのです。
 さて、先ほど少し触れましたが、詳しい帰朝報告はあすの前芝議員に譲るとして、私からは、今回の視察で調査したトルコの教育事情について御報告したいと思います。
 現在のトルコの教育制度は、初等教育が8年であり、これが義務教育となっています。その後、中等教育、日本で言う高等教育が3年あり、ここへの進学率は全国平均で58.56%であり、高等教育、日本で言う大学、大学院への進学率は24.3%とのことです。特徴的なのは、中等教育に進学しない学生は非公式教育として徒弟教育と呼ばれる職人養成教育を受けることができるということで、2004年の統計では、1956の非公式教育機関において約160万人が受講したそうです。
 教科書については、2年前に全国すべての学校が同じ教科書を使用するシステムに変更したのですが、それ以前は日本と同じで、民間の出版社が作成した複数の教科書を国家教育省が検定し、合格した教科書の中から、それぞれの学校が適切と思われる教科書を採択し、採用されていました。初等教育における教科書は無償配付されますが、私立学校の場合は自己負担となっています。
 日本では、近年、テレビ番組で取り上げられたこともあり、学校で教えられているのでトルコの人々はエルトゥールル号の遭難をよく知っていると思われているようですが、実際にトルコでエルトゥールル号の遭難について尋ねると、ある程度の年配の人は知っているが、若い人はほとんど知らないようでした。以前は、トルコでも複数の教科書が存在していたのであり、もしかすれば教科書によってはエルトゥールル号の遭難が掲載されていなかったのかもしれませんが、今回の調査では、残念ながら検定制度があったころの教科書を入手することはかないませんでした。
 関係者のお話によると、ある時期、トルコではエルトゥールル号の遭難は学校で教えられなくなっていたようで、それを憂慮した我が国の恐らくは外務省の方が、トルコ政府にロビーをかけ、復活させたようです。現在は、エルトゥールル号の遭難は初等教育5年生の教科書に記載されており、トルコ全土の5年生が学習してくれています。この教科書については入手することができました。この機会に教育委員会に差し上げたいと思います。(資料を手渡す)
 せっかくですので、エルトゥールル号の遭難に触れた箇所を御紹介しましょう。「1890年に1隻の船がイスタンブールから日本に出港した。その船の名はエルトゥールル号。出港して11カ月後に日本の横浜に入港した。3カ月の滞在の後、横浜から出港したエルトゥールル号は、串本沖にて台風に遭い、580名のトルコ人船員が命を落とす。串本町民は、救出された64~65名の船員を手厚く看護し、殉職された人々のためにも支援活動を行った。集められた支援金は時の統治者にも渡された。串本の人々は、この事故で殉職した人々のために慰霊碑を建立しており、現在はトルコ博物館も存在する。日本はトルコから飛行機で11時間(イスタンブール─東京)離れた国である。日本との過去の歴史に基づく友好関係は、今日、文化的・経済的交流をも活性化させている。このため、2国間の距離は遠く離れているものの、トルコ航空の飛行機や国内外の海運会社の船が行き来している」。
 今回の調査では、この教科書の翻訳を含め、イスタンブールの日本領事館の皆様には本当にお世話になりました。この場をおかりして厚く御礼を申し上げます。また、風化しつつあったエルトゥールル号遭難の学習機会復活のため御尽力された関係者に、心から敬意を表します。真の外交とは、このような地味な努力の積み重ねなのでありましょう。トルコは、紛れもなく世界で最も親日的な国の1つであります。トルコの置かれた地政学的な位置やエルトゥールル号の一件があってのことかもしれませんが、この親日が何の努力もなしに永遠に続くはずもありません。トルコの親愛の情に甘えるばかりであってもいけないのです。
 さかのぼれば、日露戦争での皇国の興廃がかかった日本海海戦の大一番、我が連合艦隊は秋山参謀の神がかり的な判断で、対馬海峡でロシアのバルチック艦隊を待ち受けます。乃木大将らの活躍で203高地を確保し、砲撃によりロシア旅順艦隊はせん滅したものの、黒海には老朽とはいえロシア黒海艦隊がうごめいていました。もし黒海艦隊がバルチック艦隊と合流してしまえば、日本海海戦の帰趨はまた違っていたかもしれません。あるいは、ロシアが合流して大きくなった艦隊を対馬と津軽に振り分けてしまえば、我が連合艦隊は兵力の分散を余儀なくされ、果たしてあのような奇跡的なパーフェクトゲームができたかどうか。ボスポラス海峡を封鎖し、ロシア黒海艦隊を黒海へ封じ込めたのがトルコであるということは、もっと知られてしかるべきであります。
 また、第二次世界大戦の末期には、世界じゅうのほとんどの国が我が国に宣戦布告をしました。イタリアなどは同盟国であったにもかかわらず、負けたら我が国に宣戦布告をする始末です。そんな中、最後まで中立を保ってくれたのもトルコでした。
 近年では、友情の翼として知られる事件が有名です。イランへ侵攻したイラクのフセイン大統領は、昭和60年3月17日、イランのテヘラン空港の爆撃を宣言。48時間後にはイラン上空を飛ぶ航空機は、軍用機、民間機を問わず、いかなる国籍のものでもこれを撃墜すると表明しました。各国は自国民を救出すべくテヘラン空港に航空機を差し向け、各国民はイランから脱出していきました。しかし、我が国は救援機を派遣せず、200人以上の日本人がテヘラン空港に取り残されることになりました。絶望のふちに立たされた我が同胞の前に飛来したのは、トルコの航空機でありました。実にタイムリミットの80分前、日本人全員を乗せるとテヘラン空港を飛び立ちました。撃墜の恐怖に機内で身をすくめる日本人に、やがて機内放送が流れます。「日本の皆様、ようこそトルコへ。ただいま当機はイラン国境を無事通過しました」。
 トルコの誠意は本当にありがたい。しかし、自国民すら救出することをためらうとは何たるふがいなさ。救援機の安全が確保できなければなどと不毛な議論がなされたと聞き及んでいます。もちろん、救いを待つ命も救いに向かう命も、どちらもとうとい命。それでも命には個性があり、みずからを燃やして他を照らし、とわに輝かんとする命もある。最高の礼でその命を送り出す責任を引き受け、万一のときには最高の栄誉をもってたたえる指導者のいない国が、果たしてこれからも存続することができるのか。戦後、民主主義なるものの底の浅さが露呈した事件でありました。
 昭和14年8月4日、ノモンハンの戦いで、陸軍航空隊第24戦隊を率いる松村黄次郎中佐はホシウ廟基地から出撃しましたが、イ─16の攻撃により被弾。ハルハ河付近に不時着しました。救出に向かった西原五郎曹長は敵陣近くに強行着陸を敢行。接近してくる戦車に砲撃を受けつつも、横転し出火した機体の下敷きになっていた松村中佐を引きずり出し、単座式のため物置に押し込めると、ぼろぼろになった97戦で舞い上がり、ホシウ廟基地に帰還したのでした。先ごろでもタイで、スワンナプーム国際空港がデモ隊に占拠されました。幸い軍事的な衝突はありませんでしたが、もし外国で邦人が動乱等に巻き込まれたら一体だれの助けを待てばよいのでしょうか。
 憲法の前文にあるように、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意し」、他国の助けが来るのをひたすら祈るべきなのか。日の丸が雲の切れ間から鮮やかに翻ることを願ってはいけないというのか。いや、敢然と危険を顧みず同胞を助けに向かう立派な日本人は他国にあだをなすとでも言いたいのでしょうか。
 たった数十年前、私たちの父母、祖父母は世界で最も勇敢な国民でありました。蛮勇を振るうことはいけませんが、勇敢であることは我が国や欧米諸国に共通の徳目でありました。「VIRTUE」は英和辞典によりますと美徳、徳、善とありますが、もともとはラテン語で勇気、男らしさ、力をあらわす言葉でありました。したがって、戦前の日本は当時の世界基準からすれば世界で最も道徳的であったとも言えるでしょう。実際、我が軍の軍規の厳正なることは広く世界に知られていましたし、当時にあっては全く自然なことであった人種差別の撤廃を国際連盟に訴えたのも我が国でありました。
 阪神・淡路大震災では未曾有の事態に慌てふためき、当事者能力を失った最高司令官のために多くの人命が失われました。一刻でも早く被災地に飛んでいきたかった自衛官は切歯扼腕したと聞きます。ために、この震災は人災であったとまで言われたのです。この無責任で無能な人物が、日本は侵略国であったなどという談話を自分はさも立派であるかのように発表し、いまだにそれが金科玉条とされているとは全く気がめいるばかりであります。中韓が我が国を侵略国と非難するのはまだしも、中曽根元総理の言葉をかりるならば、みずからが歴史法廷の被告席に着かねばならない政治家が裁判官然として自国の歴史を裁くとは、傲慢にもほどがあります。
 航空自衛隊の幕僚長の論文が物議を醸しております。この談話と異なることを書いているのはけしからんということらしい。私は浅学非才ゆえ、談話なるものの位置づけがよくわかりません。談話は、「広辞苑」によりますと「ある事柄についての見解などを述べた話」とあります。
 かつて鈴木善幸という総理大臣が、日米安保条約は軍事同盟ではないなどととんでもないことを述べたことがありましたが、あれは談話とは言わないのでしょうか。赤ちょうちんでではなく、レーガン大統領との会談の後の記者会見の席でそう話したのですから、これは日米安保条約についての鈴木総理の見解、まさに鈴木談話。宮沢談話、河野談話、どちらもとんでもないものですが、しょせん彼らは官房長官、鈴木は曲がりなりにも総理大臣。鈴木総理はこの発言の責任をとって辞任をしたわけでもなく、抗議の辞任をしたのは時の外務大臣であることを見れば、本人からすれば失言でもなかったのでしょう。まさに総理の談話。しからば鈴木談話は生きているのか。歴代首相は鈴木談話を継承しているのか。鈴木総理の後は中曽根総理なのですから、日米安保条約が軍事同盟ではないなどとはゆめ思うわけもなく、中曽根総理は鈴木談話を破棄したと言えるでしょうが、単に鈴木総理が無知であっただけというのが実態でありましょう。
 航空自衛隊の幕僚長の歴史観が村山談話と異なっていたからといって何ほどのことがある。単に村山総理が無知であっただけのことでしょう。空幕長はクーデターの企画書や檄文を書いていたわけではないのです。鈴木善幸の談話など、憲法第98条の2、条約の誠実な遵守義務に抵触し、憲法違反であったとも言えるのに、大して騒がれもしなかったではないですか。反米なら憲法違反も許し、中国の機嫌を損ねそうだと空幕長の論文ぐらいで大騒ぎするとは、物事の軽重を全くわきまえていないと言わざるを得ません。
 村山談話は閣議決定がどうとかいっても、閣議決定されたものがころころと変わるのはよくあることですし、閣議決定などまともにやっているわけではないことを、厚生大臣を務められ、「大臣」という著書のある管直人氏が暴露しています。そもそも歴史観のようなものを閣議決定することそのものがうさん臭いではないですか。
 空幕長の論文の中身にまで今回言及する時間はありませんが、彼は一旦緩急あれば命を惜しんでは務まらない職にある武官なのです。比喩ではなく文字どおり国に命をかけるには、日本という国に至上の価値を見ずしてできるものではありません。彼は飛んでくる、命令が下れば日本国民を救うため、彼なら飛んできてくれるでしょう。また、彼なら日本の空をそれこそ死守してくれるでありましょう。防衛力は装備だけではかれるものではありません。旺盛な士気と厳しい訓練に裏打ちされた卓越した技量がなければ国防の大任を果たすことはできないのです。彼の歴史観はこれらを醸成するためのいわば職業上の必然であるのです。
 とにかく、近年の我が国では、軍事を語ることがはばかられるような空気が充満していますが、鎌倉幕府以来、国の統治を武士が担ってきた我が国には尚武の伝統があり、武はあらゆる日本的価値の中核をなしてきました。今日、日本の美風が失われつつあると言われていますが、尚武の気風の衰退こそその最も大きな要因であると考えられることから、今回、新学習指導要領で武道が必修とされたことは実に喜ばしいことであります。
 従来のダンス、武道いずれかの選択から、いずれもが必修になったということは、武道にはダンスにはない教育効果があると認識されたからにほかなりません。単に体育の1種目として武道をとらえるのであれば、これを必修とする根拠に欠けます。
 言うまでもなく、武道は武術を母体として生まれたものであり、その本質は格闘技であります。闘争は人間の本能に深く根差したもので、青少年の根源的な生きる力を養成します。かつて相撲をとって遊ぶことで鍛えられていたであろうものは、とても大切なものであったと思うのです。必要以上に戦うということを忌避する今日の風潮に武道の必修化が待ったをかけてくれるのではと大いに期待をしています。
 逆説的ではありますが、身体的な危機を体験することにより命の根は深くなる、武道は闘争を通じ心身を錬磨するものでありますが、しかし、その闘争は独特の様式化で決定的なダメージを相手に与えることがないよう工夫され、また形等を通じて合理的で美しい身体操作が学べるようになっています。武道には、教育的見地から長年にわたってその体系が編まれてきた経緯があり、いわゆる町道場や学校の体育館等で民間の方々が青少年を鍛えてきたという実績があります。青少年にとって、決してむやみに危険なものではありません。武道の必修化が我が国に尚武の気風をよみがえらせることにつながってくれればと願ってやみません。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。
 第1点、新学習指導要領の解説書の記述に韓国が干渉したことをどのように考えるか。
 第2点、竹島問題を学習することの意義をどのようにとらえているか。
 第3点、外務省の「竹島問題を理解するための10のポイント」を活用する考えはないか。
 第4点、本県ではエルトゥールル号の遭難を記載した教科書を採択していない地域もあるが、授業ではどのように教えられているのか。
 第5点、トルコの教科書を進呈するので、活用方法を考えてみてはどうか。
 第6点、武道を必修化することの意義をどのように考えるか。
 第7点、武道の授業においては、積極的に当該武道の専門家の助けをかりることを考えてみてはどうか。
 以上、お尋ねして質問といたします。(拍手)
○副議長(山田正彦君) ただいまの尾崎太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) まず、竹島問題について一括してお答えいたします。
 人格の形成と国家・社会の形成者の育成を目的とする教育にありましては、国際協調の精神を大切にしながらも、主権国家としての責任と主体性のもとに行うことが重要であると考えております。
 議員御指摘のとおり、このたびの学習指導要領の改訂によりまして、中学校の社会科解説書に、「我が国と韓国の間に竹島をめぐって主張に相違があることなどにも触れ、北方領土と同様に我が国の領土・領域について理解を深めさせることも必要である」と記載されております。竹島などを含む領土問題の取り扱いに関しましては、生徒に社会的事象を多面的、多角的に考察させるため、相手国に異なる主張があることも認識した上で、我が国の見解、主張を理解させていく必要があると考えております。
 なお、これらの学習を進める上では、外務省が作成した資料の利用を促すとともに、各学校におきまして、生徒の発達段階や実態等に即した教材研究が進められるよう指導してまいります。
 次に、トルコの教科書の有効な活用について一括してお答えいたします。
 このエルトゥールル号に関する学習は、児童生徒に国際理解や国際協力に対して積極的に取り組む意欲を高めさせるとともに、我が国とトルコの友好をさらに深めていくものとして意義あることと考えてございます。
 県内では、3地方36校の中学校でこの内容を掲載した社会科教科書を使用しているほか、総合的な学習の時間等においても取り組まれております。また、和歌山県が作成したふるさと教育副読本「わかやまDE発見!」にも掲載をしており、現在行われている改訂作業におきまして内容の充実を図り、教材としての活用を進めていくこととしてございます。
 議員から御紹介があり、また、ただいまちょうだいいたしましたトルコの教科書につきましては、今後有効に活用していけるよう研究してまいります。
 次に、武道を学ぶことの意義についてでございます。
 今回の学習指導要領の改訂によりまして武道が必修となった意義につきましては、まず、武道の学習を通じて、生きる力につながる精神性や作法など、行動の仕方を含めた我が国固有の伝統と文化を学ぶことができるところにあると考えます。また、闘志を内に秘めつつ相手と正対して行う武道は、自立の精神の涵養に役立つほか、痛みを感じることにより自分を抑え、相手の立場を尊重する態度を養う上でも効果的であると考えます。
 教育委員会では、平成24年度からの完全実施に向けまして、教育課程の説明会や体育主任会議等で啓発を図ってございます。さらに、指導者の育成を目的として武道指導者養成講習会等を開催し、保健・体育教員の指導技術の向上に努めているところです。
 武道専門家の活用につきましては、地域の指導者の方を講師等に招いて授業を計画することも大いに有効な手段であると考えており、より円滑かつ継続的に導入できますよう、各武道関係団体の協力も得ながら、その方途を検討してまいりたいと考えます。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 再質問を許します。
 18番尾崎太郎君。
○尾崎太郎君 この武道の必修化というものは、私、非常に期待してるんですが、私も空手をずっとやっておりまして、宇治田先生にも大分習ったことがあります。少なからずこの私の戦闘的といいますか闘争心は、宇治田先生によって養われたものではないかと。時にちょっと行き過ぎることもあるんですが、後ろからやっぱり御指導をいただいておるんで、武道家としての、先ほど教育長がおっしゃった相手を尊重しということもこれから学んでいかなきゃならないんですが、しかし、何よりもまず日本に必要なのは、戦うということを忌避しないという姿勢だと私は思っております。ぜひこの武道の必修化が大きな教育効果を上げることを願っております。
 そのため、今、教育長がいろんな体育の先生を、今、武道の養成をしておるということでしょうけども、この武道というのも極めて専門的な──教育長も聞くところによると柔道をなさってたらしいですが、ある意味種目でありますので、そんなつけ焼き刃で、ちょっと習ったぐらいで武道ができるようになるわけではないわけであります。ですから、我が国には、剣道もそうですし、柔道もそうですし、あるいは合気道、それぞれに地域でもう長年、民間の方が子供たちを武道を通じて育成してきたという伝統があるわけでありますから、こういった方々を教育の場に、お力をおかりしていくという方策をぜひ検討していただきたいと思います。要望として終わります。
○副議長(山田正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で尾崎太郎君の質が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時39分散会

このページの先頭へ