平成20年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(谷 洋一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 14番谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕(拍手)
○谷 洋一君 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 世界は、アメリカのサブプライムローンをきっかけに金融の危機に陥っております。100年に一度とまで言われているこの金融危機は、日本の経済にも深刻な影響を及ぼしており、当然、本県の経済状況も先行きは不透明という厳しい状況に置かれております。株価も安定せず、年末を控え、経済状況の厳しさはますます増していく勢いであります。
 私としては、このような状況を非常に憂慮しているところですが、本県の財政、経済対策等に係る質問は、同僚の山下直也議員や原議員がされましたので、今回は私は、特に地元である紀南地方の重要な課題であります道路や観光、水産の3点に絞りまして質問させていただきます。
 最初に、近畿自動車道紀勢線の整備についてお尋ねいたします。
 まず、知事がこれまで近畿自動車道紀勢線の整備促進について、人が暮らすための平等な権利の保障や企業誘致などの経済活動の基本的なチャンスの保障などの観点から、本道路は不可欠であり、その早期実現は和歌山の悲願であると、国や関係機関に強く働きかけていただいておりますことを大変心強くお礼を申し上げます。
 さて、私たち紀南の住民にとっては、近畿自動車道紀勢線とは、近い将来発生が予想されている東南海・南海地震による津波等災害時の緊急患者の輸送や救援物資の輸送を担う命綱であります。また、産業や観光等地域経済の活性化を担う生命線でもあります。
 そのため、紀勢線の早期整備を待ち望んでいるわけですが、これまでの建設経緯を整理しますと、昭和49年10月に府県境から海南まで開通後、昭和59年3月に海南から有田までが約10年間で開通、平成8年3月に有田から御坊までが約11年で開通、平成19年11月に御坊から田辺までが約11年で開通、平成27年までの8年間で田辺からすさみまでを要望中となっております。
 結果として、これまでの区間は約10年で開通しています。地元の状況としましては、新宮市三輪崎から那智勝浦町川関までの自動車専用道路がことし3月に開通し、川関から市屋までの間が現在事業中であります。
 そこで、近畿自動車道紀勢線の紀伊半島一周早期実現に向けた取り組みについて、知事の御所見をお伺いいたします。
 また、現在事業中である田辺─すさみ間の先の未事業化区間であるすさみ─那智勝浦についてのルートや開通の見通しについて、県土整備部長にお尋ねいたします。
 いずれにいたしましても、紀勢線開通までに期間を要すると思われますが、このような中で唯一の幹線道路である海岸線を走る国道42号線は、集中豪雨や台風等でたびたび通行どめになる状況になっております。
 紀勢線の開通までに地震が発生した場合の対策をどのように考えておられるのかを県土整備部長にお尋ねいたします。
 次に、本県の観光の振興についてお尋ねいたします。
 私は、観光は本県にとりまして大変重要な産業、いわゆる基幹産業だと認識しています。とりわけ、豊かな自然が残り、素朴な人情に触れることができる紀南地方においては、最もふさわしく地域の発展のかぎを握る産業であると考えています。
 また、昨今、旅行の形態が見る、食べる、遊ぶ、買うの観光スポットを線でつなぐ周遊型の観光から、自分の感性や趣味に合うところをじっくり楽しむ形の滞在型観光へ移行しつつあるとされています。こうした時代潮流を先取りして成功した温泉が熊本県にあります。
 それは、黒川温泉という24軒の旅館から成る小さな温泉町で、最寄りの高速道路のインターからも空港からも1時間ほどかかる決して交通の便に恵まれているとは言えない温泉です。しかしながら、ここ数年の人気はすさまじく、さまざまな雑誌やインターネットのサイトの温泉ランキング調査で必ず上位に顔を出しています。特に、若い女性から高い支持を得ています。
 しかし、この人気の温泉も昭和50年ごろまでは全く無名のひなびた温泉だったそうです。それが今では年間120万人を超える観光客を集める温泉になっています。
 その理由はいろいろ紹介されていますが、その中でも、黒川温泉1旅館をモットーに、各旅館は部屋、道路は廊下という考えで温泉町を挙げて雑木林を植林し続けていることが挙げられます。だれもが見ほれる日本庭園ではなく、クヌギやナラ、栗などをまちぐるみで植えているのです。温泉街共通のコンセプトとして実践し、特色ある観光地づくりに成功しているわけです。
 こうした取り組みを県がイニシアチブを発揮して、県下全域で進めることが重要ではないでしょうか。
 これからの観光を考えると、特色ある観光地づくりと並ぶもう1つの大きな課題は、魅力ある情報発信であると思います。
 先ほどの黒川温泉でも、黒川温泉1旅館をモットーにしたまちづくりを進める一方で、全国の温泉地のモデルになった他の旅館の露天ぶろに入れる共通の入湯手形の発行や、共同でのテレビ広告など話題づくりや情報発信に一丸となって取り組んできたことで、個々のホテルや旅館ではなく、黒川温泉として自然にひたれるいやしの温泉のイメージを確立しました。
 一方、本県には、世界遺産に登録された熊野・高野があります。徳川御三家の歴史があります。また、三古湯と称される白浜温泉や日本一の那智の滝、リアス式海岸美を誇る勝浦温泉、ラムサール条約に登録された串本沿岸地域があります。古座川に代表される清流があります。料理もマグロ、クエ、イセエビ、タチウオなど新鮮な海の幸があり、梅やミカン、柿、桃など果樹王国でもあります。観光資源としては、ほかのどの地域にも負けないと自負しているのは私だけではないと思います。
 また、地元の那智勝浦町において、観光地づくりに関連する幾つかの取り組みがなされています。よみがえれ脇仲倶楽部というまちおこしのグループが、漁具のビン玉を活用したまちづくりに取り組み、懐かしい勝浦を情報発信しています。また、下里・浦神・太田地区の住民が中心の花てまりの会というボランティアグループが、観光客の目を和ませるために四季折々の草花を育苗から定植、維持管理まで行っております。
 そのほかにも、自然と触れ合う各種行事をも開催している宇久井森と海の自然塾、日本一短い川として認定を受けたぶつぶつ川を盛り上げていこうとする住民グループも粉白区を中心に立ち上がろうとしています。
 こうしたすばらしい地域の資源、取り組み等を特色ある観光づくりに生かすとともに、いかに情報発信していくかが重要であります。
 その情報発信についてですが、我が国の人口は既に減少期に入っており、それにつれ国内観光客も伸び悩む傾向にあり、海外に活路を求める県内の観光事業者も増加しています。したがって、これからの情報発信では世界を見据えた取り組みが求められています。
 私は、この地域の魅力を最大限生かした観光地づくりと、国内外に向けた観光地の魅力発信の2つが車の両輪として機能することで、住んでよし、訪れてよしの観光立国和歌山の創造につながっていくと確信しています。
 このことについて、知事の御所見をお願いいたします。
 来年は、紀勢本線が全線開通して50周年、さらに熊野・高野が世界遺産に登録されて5周年という記念すべき年であります。
 紀勢本線の全線開通は、和歌山県にとって、特に新宮、東牟婁地方にとって画期的なことでありました。これにより、名古屋、東海圏とも結ばれ、例えば近年の東海を発地とする宿泊客数の全体に占める割合を見ましても、新宮、東牟婁地方は県内他地域の2倍以上となっていることからも明らかなように、当地方にとりまして非常に大事な、なくてはならない鉄道であると言えます。
 また、高野・熊野が世界遺産登録されて4年と5カ月、その魅力は色あせることなく引き続き多くの人々が訪れてくれています。しかしながら、近い将来、世界遺産の地というだけでは、観光客が減少していくことも懸念され、ことしは景気後退の影響もあるでしょうが、若干そうした兆候があらわれております。私は今のうちに観光地として新しい魅力をつけ加えていかなければならないと強く感じているところであります。
 そこで、平成21年というダブルの記念の年に、和歌山県の観光振興につながるどのような事業を考えておられるのか、商工観光労働部長にお尋ねします。
 最後に、本県水産業の具体的な振興策についてお尋ねいたします。
 「県民の友」10月号にも紹介されておりましたが、平成17年の我が国の食用魚介類の自給率は約60%となっております。農産物の自給率が約40%であるのに比べ20%ほど高くはなっていますが、昭和50年以前の自給率が100%を超えて輸出もしていたことを思えば、大きく減少していると言えます。
 この間、国内及び輸入を合わせた年間供給量は約800万トンで安定的に推移していますので、必然的に国内の漁業生産が大きく減少し、その分輸入水産物が増加しているということで、国の食料資源の安定確保の観点から自給率のアップが求められております。
 加えまして、昨今、特に中国から輸入される農林水産物やその加工品の一部から残留農薬等が検出され、また産地を偽装する事件等が発生したことから、消費者の食の安心・安全に対する意識が急激に高まり、安心・安全な国産農産物を求める声が大きくなっております。
 そこで、本県漁業の動向ですが、この10年間で漁業生産量が7万2000トンから3万5000トンに半減し、漁業生産額は453億円から187億円に6割減少しております。資源の減少、魚価の低迷等で漁家の経営が大変厳しくなっていることから、漁業経営体は約3割減少し、新規就業者が少なく、65歳以上の高齢な漁業就業者の割合が40%以上となっています。
 そういった厳しい状況にあるとは言いながら、私はさきに述べましたように、漁業者は消費者に安心・安全な水産物を安定供給していくという使命があると考えておりますし、水産業は農業、林業とともに本県主幹産業の一翼を担っているとも考えております。したがって、地域の活性化のためにも今後一層、漁業振興を図っていかなければならないと考えます。
 現在は、後継者不足、高齢化等によりまして漁村地域全体が衰退している状況であります。このことは、言いかえれば漁業者が水産業で生活ができないことを意味しております。今後、本県の水産業が健全に維持していく上においては、漁業所得の向上を図ることが必要不可欠であり、県として水産業の振興を講じる必要があると思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 漁協の合併については、漁協合併促進法に基づく合併及び事業経営計画の認定が、平成19年度末に期限を迎え終了しました。本県でも各振興局単位で合併が図られるなど、一定の成果を上げたと考えます。しかし、長期的な水揚げの不振等から漁協組織が疲弊、弱体化しており、さらなる組織の再編強化が望まれておりますが、その進捗状況と今後の展望について、農林水産部長にお尋ねいたします。
 昨年来の燃油高騰問題について、国は燃油高騰対策として省エネ型漁業推進の方向性を示しております。燃油価格が一時に比べ下落したとはいえ、私は省エネ型漁業推進の方向性を今後も求めていくべきだと考えております。
 紀南地域で特に盛んな磯根漁業、イセエビ、アワビ、ヒジキ、テングサなどの漁業のことをいいますが、紀南地域では多くの漁業者が営んでおります。ごく沿岸で操業でき、燃油をほとんど消費しないため、磯根漁業の比重が相対的に高まってきております。
 私は、磯根漁業は省エネ型漁業の見本であり、紀南地方の漁村を維持していく上で重要な漁業と考えています。そのため、投石や漁礁設置、種苗放流などを積極的に行って一層振興していくべきであると考えております。
 幸い、本年2月に示された向こう5年間の水産業活性化アクションプログラムにおいても、水産基盤整備は漁業所得の向上を図る主要施策の1つに位置づけられておりますが、磯根漁業の振興について、農林水産部長にお尋ねいたします。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの谷洋一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、近畿自動車道紀勢線の紀伊半島一周道路、早期実現に向けての取り組みでございます。
 近畿自動車道紀勢線は、企業誘致やあるいは観光振興、農林水産業の振興など、県民の将来のチャンスを保障するものといたしまして、また今後、非常に高い確率で発生が懸念されております東南海・南海地震、こういうときのこういうものへの備えとか、あるいは救急医療活動の観点から、私はどうしても不可欠であると考えております。
 これまでもあらゆる機会を通じて早期実現を訴えてまいりました。特に、今後どういう、国として道路をつくっていくかという中期計画の見直しに当たりましては、近畿自動車道紀勢線の紀伊半島一周が実現するように努力をしてまいりました。
 これがうまくいったかなと思ったんですけれども、もう一度やり直しということになりましたので、今また努力をしなきゃいけないということになっております。
 この際に、道路をつくるときの優先順位を決めていく、いわゆるBバイCという便益費用分析があります。道路の事業を評価する手法であります。この現行の手法については、走行時間短縮、走行経費減少、交通事故減少という直接効果3つを、これを現在のあるいは将来の交通量からはじきまして、それで比較をしていくと、この費用と比較をすると、こういうことになるわけでございます。
 この直接効果3つというのは、諸外国では大変珍しい過小評価であります。諸外国では、これに加えまして、間接効果も含めて評価しているわけで、具体的には、例えば谷議員は地震のお話をされました。こういう地震の災害対策とか救急医療とか、そういうものについてきちんと評価をして、それを合算していくという方策をとってるわけであります。
 和歌山県としては、こういう事態にかんがみまして、国土交通省や政界に対して災害対策、救急医療、観光、環境改善の4項目を加えて事業評価を実施し、また和歌山県のような人口も少なく、BバイCがもともとの交通量をはかって計算するならば、小さく評価されがちなところについては、これは実際に当初予想を上回るような交通量が実際に道ができるとあるわけですから、それを補正して計算をして、それで全国的な資源配分を考えるようにという要望を今しているわけであります。
 昨今、交通量の算定が過大であるということばかり議論されておりますけれども、交通量のこの算定においても、実は和歌山県の高速道路については、工事をしようとしたときの計算値に対して、実際に位置づけされた交通量は2倍に近いものからそれに近いようなものまでたくさんございまして、したがって、実は交通量予測が過大どころか過少になっておるというのが和歌山県の現状なのであります。
 これに加えまして、先ほどのようなことをきちんと国においても評価をしていただいて、それでぜひ紀伊半島一周の高速道路、我々のチャンスを保障するものとして実現したいというふうに考えております。
 県民の皆さんも我々の将来、あるいは子々孫々の繁栄ということを考えまして、ぜひこのような行動に御協力いただきたいというふうに考えております。もちろんその代表である県議の皆様方もよろしくお願いしたいと思います。
 次に、本県の観光振興についてでございますが、観光振興を図っていく上で重要なことは、議員も御指摘になりましたとおり、特色のある観光地づくりと魅力を広く伝えるということが車の両輪として機能して、それで数ある観光地の中から和歌山が選ばれ、実際に来ていただいて、県内での消費活動に結びつくということになるような動きをつくっていきたいと、こういうことでございます。
 私は、お世辞で、お世辞というか、ただの自慢ではなくて客観的にも──これはちょっと客観的になりにくいんでありますが──私もすばらしい観光資源が多数あると思います。興奮するようなものがたくさんある。さらに、ふだん住んでおります私たちが気づかないようなものもまたいっぱいあるんじゃないかと、そういうふうに感じております。
 例えば、熊野古道沿いの棚田や里山の風景、小川のせせらぎなどは、我々としては何気なく考えておるわけですが、近年いやしと安らぎをもたらすとして脚光を浴びつつあります。
 こうした地域資源を見直すとともに、俗化させないような配慮をしながら、観光客にも味わっていただいて、それでそこで十分な消費をしていただくというようにアレンジしていくことが、特色ある観光地づくりではないかと考えております。
 また、こういう魅力の発信については、何をどのような形でどのタイミングで発信するかが重要であると考えております。和歌山電鐵のタマ駅長や白浜の双子パンダの誕生などの話題をホットなうちに全国に発信すると広くマスコミに取り上げられますし、さらに周辺地域の観光資源と結びつけますと、新たな観光ルートの開発にもつながっていくと思います。
 海外に向けても同様でございます。特に、文化志向の高い欧米には、世界遺産高野・熊野あるいは温泉や新鮮な料理、ゴルフなどを好む東アジアの方々には、紀南地域を中心に据えて、その魅力をちゃんと伝えていくというようなことなど、戦略的な情報発信に努めていきたいと考えております。
 ただ、観光振興は、行政だけでなし得るものではありません。特に地域の魅力を掘り起こし、磨き上げ、また一方で保全をしていくという取り組みは、地域の方々が主体的に取り組んでくださればこそであります。長期総合計画で掲げました「癒しと感動を与える誇れる郷土和歌山」の実現として結実するために、県民の皆さんの一致団結いたしました御努力と御協力をお願いしたいと考えております。
 次に、水産業の振興でございます。
 漁獲量の大幅な減少、魚価の低迷、担い手の減少、また昨今さらにこれを追い打ちするように、燃油高騰、それからさらにクロマグロやメバチマグロについては国際的な漁獲規制の動きということで、水産業を取り巻く厳しい状況については大変なものがあると認識しております。
 こうしたことを踏まえまして、これを何とか発展、振興せないかんということで、他の農産物などもそうでありますが、まずうまく売れないと、高く売れないと所得にならないということで、水産物の販売促進を他のものと一緒にできるだけ頑張ってやろうというふうに考えております。
 例えば、FOODEXという東京で開かれました大変な人が集まるフェアに水産業の方も展示されました。農産物の方も展示されたんですが、私が見ているところ、一番人が群がっておったのは、どうも水産物を売っているところであったというような気もいたします。
 それから、東京の築地市場で鮎の販売のプロモーションをさしていただきました。そういう市場対策を一生懸命やるということが1つの方向だと思っております。
 一方、生産面でも、大変この特に水産業についてはてこ入れが大事だろうと考えております。
 そこで、こういうのを全部合わせて、本年2月に水産業活性化アクションプログラムを策定したところでございまして、とりわけ流通戦略の構築を重要な柱と位置づけまして、安定出荷や多様な販路の開拓を図るために、現在47ある産地市場を5つの拠点市場にこれを再編をするということで、昨年から実施しております専門アドバイザーの指導・助言により、新たな販路開拓や高付加価値商品の創出に取り組んでまいりたいと考えております。
 一方、まき網船団のスリム化などによる経営体質の強化も大事であります。恵まれた海域を生かしたマグロや地域特産品種であるところのクエなどの養殖業あるいは増殖水産業、そういうものについても頑張らなきゃいけないというふうに思っております。
 同時に、観光業と連携して漁船クルーズ等マリンレジャーへの取り組み拡大、あるいはシラスなど──これは和歌山市が中心になって頑張っていますが──を売り出すことによって観光と水産を両方売り出そうと、こういうような新しいビジネスの創出を促進するように業界の方々にもぜひ働きかけて、後押しをしてまいりたいと考えております。
 また、今回の急激な燃油高騰に対しては、県では緊急措置として公共事業の前倒しとか運転資金に対する利子補給のほか、国の施策、これがかなり大きいものでございますので、あわせて対応をしております。
 こうした施策を総合的に実施することで、担い手の確保を図り、漁業経営の安定化を図るとともに、漁場資源の保全やあるいは資源管理等による水産資源の回復に努めまして、本県水産業の、あえて再生と申し上げたいと思いますが、頑張ってまいりたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) すさみ─那智勝浦間、これにつきましては、国土開発幹線自動車道建設法の基本計画に位置づけられ、これまで国におきまして基礎的な調査が進められてまいりました。
 今後、田辺─すさみ間の事業推進とあわせまして、国による環境調査やルートなど必要な調査・計画を進め、一刻も早く事業化のめどを立てていただくとともに、早期に完成するよう国に強く働きかけてまいります。
 それから、近畿自動車道紀勢線の開通までの震災対策についてでございますが、国道42号は台風時の高潮等でもたびたび通行どめになる状況であり、今後発生が懸念されております東南海・南海地震の津波により分断され、沿岸の各地が孤立するおそれもあります。
 このため、緊急輸送道路としても近畿自動車道紀勢線の一日も早い整備が不可欠であり、現在事業中の田辺─すさみ間において、県として用地取得など全面的な協力を行い、できるだけ早急に開通するよう国に対し強く働きかけているところであります。
 さらに、紀伊半島を一周する高速道路が完成するまでの補完道路といたしまして、国道311号や国道168号などのいわゆるX軸ネットワークの早期整備に努めており、また沿岸部の集落を結ぶ生活に不可欠な道路につきましても、財政状況厳しい中ですが、現道の狭隘部の拡幅等整備を進めるなど、道路ネットワークの強化を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 本県の観光振興についての2項目につきましてお答えをさせていただきます。
 紀勢本線全線開通50周年及び世界遺産登録5周年に当たっての取り組みについてでございますが、議員御指摘のとおり、来年はそれぞれ大きな節目の年であると十分認識してございまして、本県への誘客促進に向けましてさまざまな事業を企画・展開していく大いなるチャンスであると考えてございます。
 まず、紀勢本線全線開通50周年記念事業につきましては、JR西日本とJR東海が連携し、全通記念日である来年7月15日を中心に記念事業の検討がなされているところでございまして、本県も三重県とともに積極的に参画してまいりたいと考えてございます。
 現在、記念列車の運行や沿線主要駅でのイベント開催、京阪神、名古屋等の都市圏における観光キャラバンの実施などが検討されているところでございまして、県としましてもJR及び沿線の市町と十分連携しながら積極的にその盛り上げに取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、世界遺産登録5周年記念事業についてでございますが、高野・熊野が世界遺産に登録されて以来、多くの方々に来訪いただいてございます。来年は登録5周年を迎え、世界遺産を活用してさらなる誘客を図っていくこととしてございまして、より一層その魅力は広く国内外に向け認識されるよう情報発信を強化し、誘客に結びつけてまいりたいと考えてございます。
 具体的には、那智勝浦町における那智参詣曼陀羅、マグロ、漁港のまちなみといった地域の特性を生かした体験メニューの創出など、県内の世界遺産対象地域における新しい魅力づくりへの活動が活発となってきてございまして、地元の皆様とともに全力を挙げて進めてまいりたいと考えてございます。
 いずれにしましても、来年度は紀勢本線全通50周年及び世界遺産登録5周年を和歌山県売り出しの絶好の起爆剤として、大いに観光振興に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(大沢広太郎君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 漁協合併の進捗状況と今後の展望についてでございますが、漁協合併につきましては、議員御承知のとおり、漁協の経営基盤の強化を図るためにこれまで取り組んでまいってございます。その結果、平成19年4月の紀州日高漁協及び和歌山南漁協の発足を皮切りにいたしまして、現在6つの漁協で合併をいたしてございます。その結果、現在26組合に再編をされるなど、一定の成果も見られてございます。
 県といたしましては、既に合併を果たした漁協の財務改善に対する指導や漁協組織の将来展望について、県及び漁協系統組織で構成する委員会などでさまざまな協議を重ねるとともに、拠点市場の施設整備に対する支援を行うなど、ソフト、ハード両面において、漁協の基盤強化を図ってございます。
 今後も関係機関との話し合いを重ねながら、さらなる漁協合併を推進してまいりたいと考えてございます。
 次に、沖合いでなく地先沿岸で営まれる、いわゆる磯根漁業につきましては、紀南地方の沿岸漁家を底支えする重要な産業というふうに考えてございます。
 しかしながら、お話にございましたように、磯焼けが紀南地方で継続いたしてございまして、アワビ類等の漁獲が減少してございます。このため、水産試験場が中心となりまして、国を初めとする関係県、あるいはその大学等と原因究明を図るための共同研究を行うとともに、磯焼けの要因の1つとして考えられる高水温、これに耐えられる海藻の品種改良にも取り組んでございます。
 県では、これまでも地元の要望を受けまして、投石、イセエビ礁の設置を支援するとともに、アワビ類等の種苗生産、放流を行うなど資源の回復に努めてございます。
 今後とも、燃油等の経費が少なく安定した収入が得られる磯根漁業の振興を積極的に図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 以上で、谷洋一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時29分散会

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