平成20年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

平成20年12月
和歌山県議会定例会会議録
第2号
────────────────────
議事日程 第2号
 平成20年12月8日(月曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第120号から議案第147号まで
    (質疑)
 第2 一般質問
────────────────────
会議に付した事件
 第1 議案第120号から議案第147号まで
    (質疑)
 第2 一般質問
────────────────────
出席議員(46人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 川口文章
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 16番 下川俊樹
 17番 岸本 健
 18番 尾崎太郎
 19番 藤山将材
 20番 新島 雄
 21番 山下直也
 22番 井出益弘
 23番 宇治田栄蔵
 24番 多田純一
 25番 中 拓哉
 26番 角田秀樹
 27番 江上柳助
 28番 山田正彦
 29番 坂本 登
 30番 尾崎要二
 31番 中村裕一
 32番 服部 一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 藤本眞利子
 36番 長坂隆司
 37番 玉置公良
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(なし)
────────────────────
説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        原 邦彰
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      森 崇
 総務部長       小濱孝夫
 企画部長       前硲健作
 環境生活部長     井口悦治
 福祉保健部長     井畑文男
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      雑賀忠士
 教育委員会委員長   湯川 力
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員長   大岡淳人
 警察本部長      永松健次
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 山本恒男
────────────────────
職務のため出席した事務局職員
 事務局長       蓬臺孝紀
 次長         東岡誠吾
 議事課長       薮上育男
 議事課副課長     土井敏弘
 議事班長       田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      石垣悦二
 議事課主査      瀧川泰治
 総務課長       笠松 学
 調査課長       佐本 明
────────────────────
  午前10時0分開議
○議長(大沢広太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第121号、議案第122号は、職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 日程第1、議案第120号から議案第147号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 21番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 おはようございます。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 きょうから4日間、私も含め16名の先輩・同僚議員が登壇をいたします。
 まず、本12月議会冒頭に質問させていただきます機会を与えていただきました先輩・同僚議員の皆様方に対し感謝をいたし、ただいまから質問に入らせていただきたいと思います。
 初めに、景気後退局面における今後の財政運営の基本姿勢と平成21年度当初予算編成に向けての基本的な考え方についてお伺いをいたします。
 皆様御承知のとおり、アメリカのサブプライムローン問題に端を発した世界的な金融危機は、実体経済にも深刻な影響を及ぼし始めておりまして、現在の経済は危機的な状況と言わざるを得ません。
 日本経済におきましても、国内総生産が2四半期連続のマイナス成長となるなど、景気後退局面に入ったものと判断をされ、今後一層の景気低迷が懸念をされております。
 本県の経済情勢につきましても、和歌山社会経済研究所の景気動向調査におきまして、県内の景況感はさらに悪化、先行き不透明と判断をされ、和歌山財務事務所の上半期の経済情勢において、県内経済は足踏み状態となっていると下方修正の総合判断がなされるなど、厳しい局面に立たされているものと思われます。
 このような状況の中、国におきましては、安心実現のための緊急総合対策に引き続き、生活者の暮らしの安全、金融経済の安定強化、地方の底力の発揮を柱とする新たな経済対策、生活対策が取りまとめられ、追加補正予算と来年度予算の編成作業が鋭意進められているところであります。
 その一方で、景気低迷による企業業績の悪化等により、本年度の国税収入が6兆円から7兆円程度下振れする見通しであり、赤字国債の増発は避けられず、財政再建化路線は、新聞報道にもありますように道半ばにして厳しい状況となっており、本県におきましても景気後退による財政への影響はかなり深刻なものと推察をいたします。
 そこで、まず知事にお伺いをいたします。
 景気後退で今後ますます厳しくなると思われる経済情勢を踏まえ、本県の今後の財政運営をどのように行うおつもりなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 また、厳しい経済局面の中、平成21年度当初予算をどのように組まれていくおつもりなのか、その基本的な考え方について、あわせてお伺いをいたします。
 続きまして、行財政改革の今後の取り組みについてお伺いをいたします。
 本年3月に策定されました新行財政改革推進プランは、本県の極めて厳しい財政状況を踏まえ、新たに適用されることとなった地方公共団体の財政の健全化に関する法律及び政令により定められた財政再生基準のみならず、財政健全化基準にも抵触することのないよう、持続可能な県政を目指して規律ある財政運営を行い、長期総合計画に位置づけた施策を実現し、元気な和歌山をつくっていくという知事の決意表明であると理解をいたしております。
 また、この新プランを踏まえ、本年9月に行財政改革推進本部事務局が、新行財政改革推進プランの実施についてという来年度以降の行革の実施案を発表したところであります。
 今回の実施案は、収支の改善目標のうち、毎年10億円は事業見直しで削減するという新プランの方針を受け、今年度、NPOサポートセンター、青少年活動センターといった県有施設や出損金をいただき設置された財団法人和歌山社会経済研究所を初めとする外郭団体、さらには県単独医療費助成などの補助金の見直しを実施するという、こういう内容になっておりますが、県民生活に直結する項目も多く含まれており、施設の利用者を初め関係者の方々からこれを心配する声が上がっております。
 また、後ほど別項目にて質問させていただきますが、本県におきましても中小企業を中心に非常に厳しい状況にある中、国におきましては経済対策が実施され、追加経済対策も検討されているところであり、これらを最大限活用した上で、できる限りの景気対策が必要かと思います。
 県におきましては、県財政の破綻により県民に大きな影響を及ぼすことのないよう、行財政改革を進めることは不可欠ではあると思いますが、経済活動が冷え込みそうなこの時期に、景気対策にできる限り水を差さないよう、また費用対効果だけでははかれない青少年育成やボランティア施策への効果なども考慮した政策判断も必要かと考えます。
 実施案につきましては、今後庁内での議論を深め、2月議会までに最終案をまとめていくとのお話でありますが、議会や県民の皆さんの意見をよく聞いた上で慎重に検討していただきたいと考えるところであります。
 こうした中、知事は、この行政改革推進本部事務局案を今後どう進めていこうとされるのか、そのお考えをお聞かせいただきたいと存じます。
 次に、中小企業の資金繰り支援策についてお伺いをいたします。
 私は、このことは大変大きな問題の1つだと今感じております。先ほども申しましたとおり、県内の景況感も悪化いたし、先行き不透明な中、県内企業にとっても非常に厳しい時期が続いていると思います。
 皆さん方も御承知のとおり、県内の中小企業は零細企業が多く、原油・原材料高の影響で仕入れ価格等が高騰しているにもかかわらず、なかなか価格に転嫁できない状況にあります。また、昨今の金融危機による世界的な景気の減速で県内中小企業にも深刻な影響が出てくるものと考えられ、特に年末に向けて、中小企業の方は資金繰りに奔走されているとお聞きをいたします。
 そんな中、国におきましては、安心実現のための緊急総合対策の中で、中小零細企業等への支援策として、10月末に原材料価格高騰対応等緊急保証制度が創設をされ、1年半で約6兆円の利用を見込んでおります。これは、信用保証協会が全部保証することとなるセーフティネット保証の対象業種が185業種から545業種に大幅に拡大をされ、またさらに追加指定が行われ、現在618業種が対象となっております。また、さらに12月10日からは新たに80業者が追加指定されると聞いておりまして、保証制度の拡充を求める中小企業の約4分の3をカバーするという思い切った施策であります。
 国では、こういった施策以外にも信用保証制度としては、2000万円を限度にあらかじめ信用保証協会の枠を確保し、将来の急な資金需要に対応する、いわゆる予約保証制度が11月の21日からスタートいたし、さらに政府系金融機関の融資枠を大幅拡大するなど、中小企業の資金繰り対策にかける思いが伝わってまいります。
 県におきましても、これら国の施策をベースにいたし、早々11月に国の緊急保証制度を活用した中小企業向け融資制度の見直しをされ、従来対応できなかった借りかえ資金の再借りかえを可能にした資金繰り安定資金緊急対策枠の新設や、運転資金として利用できます経営支援資金の融資限度額の拡大、融資期間の延長など、迅速に各種施策を展開されました。
 県の資料によりますと、11月末で今回の見直し資金は3週間で計290件、約55億円の利用があったとのことであります。そういう意味から、国や県が今回行った保証制度、融資制度の見直しは、大変有効な手だてだと私も思っておりました。
 が、しかし、この制度について勉強いたし、また県民の皆さんからこの点につきましては多々御相談があったわけでございますが、それについていろいろと聞いてまいりますと、どうもこの制度につきまして誤解とか、なかなか思うように融資を受けられない、そのような声もたくさん聞こえてまいりまして、混乱が生じているんではないかなというふうに感じた次第でございます。
 例えば、私が聞くところによりますと、和歌山県信用保証協会におきましては、土曜日曜返上、毎日夜中11時までの残業が続いている。何でですかということをお聞きをいたしました。お昼間、実はこの問い合わせとかいろんな電話が鳴りっ放しで、その対応に追われている、それが済んでから業務に入るので11時ぐらいになると、そういう話でありました。そういうことがありました。
 また、話が違うでありますとか、思うように利用できない、そんな県民の皆さんから苦情にも等しいような不満の厳しい声も多々聞こえてきておるわけでございます。
 そんな中、12月5日付の新聞報道に──これちょっと残念だったんですけどね、皆さんも読まれたかと思うんですが──少し残念なコメントが載っておりまして、これは県の担当課さんのコメントだということでございますけれども、新設・拡充の融資290件との見出しのもと、この記事が掲載されておったわけでございます。
 その中身は、次のようなものでありました。「予想以上に増えた印象。それだけ、資金繰りに困っている企業が多いということだろう」この記事を見て、私は正直驚きました。一体どういう認識をされておられるのかな。今の県下の状況に対し、そういう認識なのかな。少しわからなくなりました。皆様方のもとにもそういう声は届いていないでしょうか。一体どういうことなのでありましょうか。余りにも県民との温度差があり過ぎるのではないかな、私はそのように感じました。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 まず、今回の見直しによる中小企業者の反響はどのようなものであったのでしょうか。
 また、これら苦情、不満等ある厳しい現状をも御理解をいただいているとは存じますが、改めてそれらに対する思いをお聞かせいただきたいと思います。
 また、今後さらに中小企業を取り巻く経営環境はますます厳しくなるのではないかという予測もある中、これからの課題はこの新しい制度をいかに活用していくかだと考えます。また、このため、金融対策本部を設置いたし、県民の要望にこたえていくことが急務であると認識をしており、今回質問に当たり提案したところ、県当局におきまして早々に庁内対策本部の設置に向け検討されているやに聞いております。
 そこで、改めて知事にお伺いをいたします。
 まず、ぜひ対策本部を1日でも早く、いえ正直申し上げましたら1時間でも早く設置をしていただきたいと思いますが、いかがでありましょうか。
 また、対策本部を設置するだけではなくて、そこで何をしていくのか、どう運用していかれるのか、本当に困っておられる方々を助けていただけるような施策を真摯に考えていただく対策本部でなければならないと私は思うわけでありますが、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 加えて、これらの施策をどのようにして県民の皆さんに周知徹底していこうと考えておられるのでしょうか、あわせてお伺いをいたしたいと思います。
 次に、道路財源の充実確保についてお伺いをいたします。
 道路財源の確保につきましては、我々県議会といたしましても、これまで地方自治法第99条に基づく意見書を重ねて議決をいたし、また決起大会の開催や要望活動を通じ、さらに本年4月には県、県議会、市町村、市町村議会並びに県民の皆様とともに紀伊半島一周道路行進を行うなど、これまでも機会あるごとに政府、国会に対し強く訴えてまいりました。その結果、道路特定財源の暫定税率等の関連法案は大変な混乱の中、2カ月おくれではありましたが再可決をされ、道路事業を中心とした公共事業が再開されることとなりました。
 しかしながら、一方で、道路特定財源制度につきましては、平成21年度から一般財源化することが閣議決定され、現在、国において具体的な検討が進められておりますが、いまだ具体的な仕組みについては明らかにされていません。
 紀伊半島に位置し地理的に不利な条件にある本県では、道路整備のおくれが県勢の発展を阻害してきたことは言うまでもありません。県内の道路整備は着実に進められてはいるものの、和歌山市から新宮市までは約3時間を要し、加えて通学路でも歩道のない危険箇所や、中山間部では救急車と乗用車がすれ違いもできないような箇所など、まだ多数残されております。また、紀南地方の豊富な観光資源や海産物を生かそうにも、京阪神や中部都市圏までは4時間以上も要し、さらに阪和自動車道と湯浅御坊道路では、休日を中心に大渋滞が発生しているような状況にあります。
 このため、都市と地方の格差を是正し、本県が自立的発展を遂げるためには、まず紀伊半島を一周する高速道路や京奈和自動車道、府県間道路などの幹線道路網の早期整備が不可欠であると考えます。
 さらに、近い将来、非常に高い確率で発生が予想されます東南海・南海地震に備えた緊急輸送道路の整備やドクターヘリ等の空路からの活動の効果も大きいことは承知をいたしておりますが、やはり陸路からの緊急医療活動を支援する道路整備や、また都市部の渋滞対策、地域間の連携強化など、本県にとって道路はまさに命の道、自立の道であります。
 長年にわたり都市部よりも多くのガソリン税を負担し続けてきたにもかかわらず、道路整備がおくれている我々の地方の住民としては、道路財源が今後も確保され、立ちおくれた地方の道路整備に優先的に使用されるものでなければ到底納得のできるものではありません。
 今、道路特定財源の一般財源化に当たって、これから制度の具体化が進む重要な時期を迎えようとしており、先日、11月の26日、27日には道路財源の確保を求める緊急要望に参加をいたし、知事を先頭に国会議員の皆様や国の方々に懸命にお願いをしてまいりました。また、12月2日にも道路整備の促進を求める全国大会に参加をし、道路整備の促進を先輩・同僚議員とともに訴えてまいりました。
 そこで、本県の最重要課題である高速道路など直轄事業も含めた地方の道路財源の充実確保について、改めて知事の力強い決意と取り組みについてお伺いをいたします。
 最後の質問に入ります。
 福祉行政、とりわけ介護職員の離職防止と人材確保についてお伺いをいたします。
 高齢化社会が進む現在、福祉分野におきましては、医療、介護等々、多岐にわたる分野で多くの課題が出てきております。その中で、今回は特に高齢者福祉における介護職員の離職防止と人材確保について問題提起をさせていただきたいと思います。
 高齢化の進行等を背景に、介護サービスに対するニーズが増加するとともに、質的にもまた多様化、高度化してきている状況にあります。
 そうした中で、介護保険制度の充実は不可欠であり、とりわけ介護を担う人材の安定的な確保が必要であるということは言うまでもないことであります。認知症の方やひとり暮らしのお年寄りの増加など、社会生活における介護の重要性はますます高まっており、熱意と専門性を持って介護と向き合う介護従事者なしには、これからの高齢社会は到底支え切れないところまで来ていると私は思います。
 介護に携わる方は、全国で約120万人と言われておりますが、介護の仕事は、一般の職業と比べて仕事が大変ハードであるにもかかわらず報酬が低いため、志望する人が減少しております。
 現在働いている介護労働者の離職率は、平成19年、全国の介護労働実態調査では21.6%と、全産業の15.4%を大幅に上回る結果となってございます。加えまして、厚生労働省が10月に発表いたしました介護事業経営実態調査では、多くのサービスで、前回、平成17年の調査より経営が悪化しているという結果が出ております。経営の悪化は人件費の抑制につながり、介護職員は低い給与での仕事を余儀なくされているといった現状が続いてございます。
 私も施設の介護職員の方にお話をお伺いしますと、仕事がきつい割に給料が安く、なかなか上がらない、新しい職員が入ってきても続かずすぐにやめてしまう、人員の少ない中で仕事の量は変わらないため大変である、そういった声を多く聞きます。加えて、本県における養成校の募集人員も定員に満たないといった現状があります。
 これに対し、国では5月に介護従事者等の人材確保のための処遇改善に関する法律が成立をいたし、介護を担うすぐれた人材の確保を図るため、平成21年4月までに介護従事者の賃金を初めとする処遇改善に資するための施策のあり方について検討を行い、必要な措置を講じるとしてございます。
 この問題につきましては、6月県議会で私も一般質問で取り上げ、県内の介護職員の人材不足の状況やその原因の分析及び介護職員確保のための今後の取り組みについてお尋ねをいたしました。
 そして、その後、10月31日、アバローム紀の国におきまして、全国に先駆け和歌山県老人保健施設協会主催の介護に携わる人々の処遇改善を求める、そういう緊急集会が開催されました。私も出席をいたしましたが、その際、全国老人保健施設協会の川合秀治会長より、大変厳しいといいますか、きついあいさつがございまして、今後の対応についても私見を述べられておられました。
 私はこのことを壇上で聞いており、かなり正直厳しいことをおっしゃるなと感じつつも、理解できる部分もあると感じた次第であります。
 県もこのような問題の重要性を十分認識いただいており、県内介護職員の人材不足の状況やその給与水準の低さなどから、介護報酬のアップを行うよう知事を先頭に政府への要望を実施するなど、あらゆる機会を通じた働きかけを行っていただいてございます。
 介護を職業とする人が夢を持って介護を提供できるようにするためには、生活基盤の安定が不可欠であります。このことから、政府・与党は、去る10月末に追加の緊急経済対策を発表いたし、その中で介護分野の人材不足を解消するため、介護報酬を3%増額することを決定いたしました。
 これにより、介護従事者の月給をおおむね2万円引き上げるとともに、全国の介護職員の人数が10万人増加すると見込んでおり、来年4月には介護報酬の改定が行われ、あわせて介護人材確保のための具体的方策が盛り込まれた国の予算も決定されることになると思います。
 そこで、国のこれらの動きを受け、県内の介護職員の離職防止や人材不足解消に向け、今後、県としてこのような問題に対してどのように取り組んでいかれるのかについて、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 以上、6点についてお尋ねをいたし、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの山下直也君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず第1に、今後の財政運営、特に財政運営の基本姿勢についてということでございます。
 現在、明らかに景気後退局面でありまして、議員御指摘のように、関係の方々の窮迫といいますか、窮乏というのは大変なものがあると考えております。企業の業績悪化あるいは雇用情勢の低迷など、経済情勢の厳しさが大変増しているということは、間違いのない事実だと思います。
 私の今議会の冒頭の演説にも申し上げましたとおり、和歌山県は経済的な力、経済力という点では、昨今少し取り残されてまいりました。これに対して、ごく最近になってようやく少し明るさが、一条の明るさが見えてきたかなというぐらいのところで、世界的な大不況が襲ってきて、これまた大変ということではないかと思います。特に中小企業、あるいは働く人々、それから家計を預かる方々、こういう方々の御苦労は大変なものがあるというふうに考えております。
 こうした状況に対応するため、国においてはさまざまな経済対策の実施、検討がなされておりますけれども、県といたしましてもこれらの施策を機動的かつ有効に活用するということはもちろんでありますけれども、県でできることはこれに足していくということで、県経済の活性化に取り組んでいきたいと考えております。
 その一方で、県財政を取り巻く環境もまた従前にも増して大変厳しい状況になるかなというふうにも思います。というのは、県財政の1つの柱である税収、これについてもまた見通しよりも厳しくなる可能性もあるということだろうというふうに思います。
 その中で、何とか県の財政も生き延びるようにしないといけないということで、本年3月に策定いたしました新行財政改革推進プランというのも、これもまた守っていかないといけないということであろうかと思います。
 自分たちの財政規律をきちんとするということだけではなくて、全体の我が県の財政運営を助けていただくと言うと語弊がありますけれども、それを外側からサポートしている国の制度として、例えば地方交付税の充実とか、そういう地方税財源の充実強化についてもまた国にも要望して、その実現も図りながら県民の生活を守っていかなきゃいかんというふうに思っております。
 続きまして、平成21年度の当初予算編成に向けての基本的な考え方でございます。
 先般、長期総合計画を効率的、効果的に遂行する観点から、重点的に取り組んでいくべき21年度の新政策の柱を6分野20本に取りまとめて、予算編成方針の中で県議会議員各位を初めとして県民の皆様にお示しいたしましたところであります。この具体的な中身につきましては、現在、予算編成作業の中で議論しているところでございます。
 先ほど申し上げましたように、県の経済、県民生活の窮乏、こういうものを十分念頭に置いて、これを支えていくと、何とかサポートしていくということを考えないといけないということはもちろんでございますが、一方では、財政の破綻を招かないようにも配慮していくということで、具体的な重点といたしましては、観光資源の売り出しとか企業誘致、あるいは農林水産物の販売促進など、和歌山の強みを伸ばす取り組み、これを一層進めるとともに、少子高齢化のさらなる進展や食の安全安心を揺るがす事件への対応など、あるいは窮乏者への支援とかそういうことも踏まえて、県民生活の根底を支える取り組みにも重点的に投資をすることで、元気な和歌山の創造に向けた施策を積極的に展開してまいりたいと考えております。
 次に、行財政改革の今後の取り組みについてでございます。
 県財政、常々申し上げておりますけれども、毎年基金を取り崩して収支不足を補てんしなければならない厳しい状況にあります。持続可能な財政構造への転換を図るために、先ほど申し上げましたように、新行財政改革推進プランを3月に策定したところでございます。これを守っていくということをもって県財政を永続させるということは、私たちの使命であります。でなければ、また新たな県民の皆様に負担を強いるということにもなっては大変でございます。
 現在、県が実施している事業につきましては、私は明らかにこれは無駄だとか、そういうことはもうほとんどなくなっているというふうに考えておるところでございますけれども、このプランを実施して県財政を永続化させるということのためには、その本当に大事なことの中でさらに優先順位をつけて見直さざるを得ない状況にございます。
 このため、職員数の大幅な削減による人件費の縮減、これはもうプランの中に書いておりますが、そのほか、総額だけ書いてある事業の見直しといたしまして、県有施設、外郭団体及び補助金の見直し、これにつきまして具体的な実施方策を9月に行財政改革推進本部事務局が取りまとめてくれましたので、事務局案として公表したところでございます。
 これについては、もちろん最終案ではございませんで、現下の情勢を踏まえ、議員御指摘のように県民生活の状況も考えながら、それこそ慎重に検討し、最終的な結論を得ていくつもりでございます。
 実は、この実施案発表後、県民の皆様方から多くの意見をいただきました。県議の皆様にも御心配いただいている向きもたくさんあると思います。そういうことを十分頭に置いて、今後、結論を得て議会にお諮りしたいというふうに考えております。
 次に、中小企業対策でございます。
 本県の中小企業の資金対策、資金繰り支援策につきましては、議員御指摘の御質問にもございましたように、国においてかなりのスピードで中小企業者への円滑な資金供給のための緊急保証制度を創設してくれました。それから、対象業種を大幅に拡大してくれました。それから、また状況を見て、これまた議員御指摘のように、先週の金曜日の夕方、物すごいスピードで80業種ぐらい追加してくれました。
 大変思い切った施策を展開してくださっていると思っておりまして、これについては、それだけでも困っておられる中小企業の方々の資金繰りには有利であろうというふうに思います。
 さらに、これをより実行あらしめるために、今度は融資のほう、これは県としても融資制度を持たしていただいておりますが、この融資の見直しについて、どうすれば皆さんがさらに助かるかというようなことを考えまして、それで先般、これまた御指摘のありましたような形で融資制度の拡充をさしていただいたところでございます。
 制度の発表後、金融機関の関係、金融機関とか関係団体から、資金ニーズに沿った迅速な対応をようしてくれたというようなお話もいただきました。私も私的にたくさんの方々から、なかなかありがとうよというような話も聞いております。そういう意味では、反響は大きかったことだと思っております。
 しかし、一方で、100点満点ということは決してございませんで、議員御指摘のように一部で混乱や誤解が生じているということもまた聞き始めております。誤解であれば、これはちゃんと説明をして、説明のためにまたさらに関係者の方々は努力をしてもらわざるを得ないんですけれども、これをきっちり御理解いただくようにするということが大事だろうと思います。
 しかしながら、誤解じゃなくて正解であるという場合もまたあります。その問題につきましては、ちゃんとした分析をいたしまして、何で使えないか、あるいは使えないということがやっぱりちょっと問題かどうか、どうしようもないのかどうか、そういうようなことをちゃんと分析をして、もし制度を改めなきゃいけないとすれば、それは改めるようにみずからも工夫し、また、これは大もとは保証制度のほうは特に国ですから、国のほうにもお願いをするということが大事であろうと思っておりますので、これは終わりのない旅のような感じがいたします。引き続き努力をしていきたいと考えております。
 それから、対策本部という御指摘がありました。極めてごもっともなお話でございます。
 実は、昨年、原油、原燃油が高騰し始めたときに、ちょうど今ごろでございましたが、いち早く対策本部をつくりまして、それで中小企業の方々、農林水産業の方々、それから生活困窮者の方々、そういう方々のケアをするということをやってまいりました。
 昨今の情勢を見れば、原燃油の高騰によって困窮をするということだけではなくて──それも少し続いてると思います──むしろ、不況によって困窮するというところのほうが多うございますので、これは少し改組をしようかというようなこともちょっと考えておりましたが、議員御指摘の件は極めてごもっともでございますから、まさに御指摘のお言葉にありましたように、1時間でも早くそういう対策本部をつくるといいなというふうに考えまして、先ほどお聞きしてたところでございます。
 早速実行したいと考えております。その本部におきましては、状況の把握というのが大事だと思います。把握だけして何もしないと困りますので、対策を考える、それから考えて実際対策したらPRをして、それから実施に遺漏なきを期すると、そういう一気通貫でその対策本部の活動をしていかないかんなというふうに思います。
 関係機関とも十分御連絡をとりながら、今のような活動を展開して、県民の方々が困っているのをできるだけ何とかするということをやっていきたいと考えております。
 それから次に、道路財源の充実確保ということでございます。
 御指摘のように、道路整備、当県では特におくれております。高速道路、それから道路改良率、いずれの指標をとってもこれは大変おくれておりまして、これは県民の将来のチャンスをなくすというようなことを、もう危機感として持ってる次第でございます。
 調べてみますと、和歌山県の住民は東京都の住民に比べて、ずっと歴史的に3倍以上の揮発油税を負担してまいりました。しかしながら、これまた調べてみますと、歴史的にずっと昔は道路整備は需要の大きい都市部から優先的に行われてきた。私は、日本経済発展のためには、これは一定の意味があったと思いますけれども、しかしながら、ここでやめてしまうというのは困るわけであります。
 無駄な道路は要らないとか、あるいはぜいたくな道路は要らないとか、そういうキャンペーンが非常に盛んでございます。そういたしますと、結果的には、例えば紀南など、和歌山のような地方──あるいは田舎という言葉をあんまり使いたくありませんが──そういうところの切り捨てになるということだと私は思います。そういうことを許しちゃいかんということであろうかと思います。
 それから、これから本格的に道路整備を進めなきゃいけないそこの状況の中で、財源は地方にたくさん負担してるんだから、もうあげるから、後は勝手にやれというような、そういう誤った地方分権というのも一部にあるようであります。これも、今まで何十年間も負担をよりし続けてた和歌山としては、ちゃんとその何十年間分を返してもらわないと、今からもうそれぞれでやってくださいと言われると、莫大な高速道路投資など到底できないのであります。したがって、最後まで国が責任を持つべきものは責任を持ってほしいというようなことも言わないかんということだと思います。このため、10月22日、24日、国への要望、あるいは11月19日、政府主催全国知事会議の閣僚懇談会の場で今のようなことを申し上げたり、あるいは国土交通省に対して道路事業評価について、今までのやり方、間違っておったんじゃないかというようなことで提案などを行ってまいったところであります。
 さらに、11月26日、27日には、県議会議員の皆様、それから地方6団体及び道路協会で要望活動を行いまして、1、直轄及び補助事業費を含めた道路事業費の安定的確保、2、地方道路整備臨時交付金制度の趣旨に準じた制度の創設、3、一般財源化に当たっても長年にわたり多くの揮発油税を払い続けてきた地方の道路ユーザーが納得のできる制度としてほしい、そういうようなことを国に対して強く訴えたところでございます。
 今後とも紀伊半島を一周するような高速道路、あるいは京奈和自動車道、そういう幹線道路網が早期に整備されて、和歌山の我が県民がそれを利用して、どうやって自分の生活を構想していくかというようなことができるように、ぜひ早くこれを実現したいと考えております。
 そのため、引き続き道路財源の確保と国、関係機関に対して強く訴えてまいりたいと考えておりますので、どうぞ和歌山県の代表であられる議員諸氏におかれましては、この旨ぜひ御賛同いただきまして、御協力くださいますようにお願い申し上げたいと考えております。
 以上です。
○議長(大沢広太郎君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 福祉行政、とりわけ介護職員の離職防止と人材確保についてお答え申し上げます。
 先般、政府・与党により取りまとめられました生活安心確保対策において、新たに介護従事者の処遇改善と人材確保等が盛り込まれ、介護従事者の処遇改善として、来年度の介護報酬改定をプラス3%とすること、またそれに伴う介護保険料の急激な上昇を抑制する激変緩和措置を講じることなどが決定されたところでございます。この介護報酬の改定が確実に介護職員の給与アップ等に反映され、離職防止や待遇改善が図られるとともに、介護を担う新たな人材の確保につながることが何よりも重要であると考えてございます。
 また、国の概算要求におきまして、福祉介護人材確保対策の推進として、介護福祉士等の潜在的有資格者の参入支援や、高齢者や団塊の世代を対象とした介護サポーター養成などの事業が要求されているところでございます。
 県といたしましても、これまで介護技術の向上研修等を実施することにより、介護職員のスキルアップを支援し、離職防止を図るとともに、福祉の就職フェアの開催や訪問介護員の養成などにより人材確保に努めてきたところでございますが、今後とも国の事業の活用を含め介護職員の確保、支援について努めてまいりたいと、そのように考えてございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に基づき、早速一般質問に入らせていただきます。
 最初に、子供無保険問題で質問をさせていただきます。
 10月末に厚労省から子供無保険問題の全国集計が発表され、全国で3万3000人、和歌山県では437名もの子供が事実上無保険の状態にあり、特に、和歌山市は306名と近畿のワースト3の数を抱えているということがわかりました。和歌山県全体としても、滞納世帯の中に占めるこの保険証取り上げ率も全国平均を上回っている状況です。
 今、景気後退と格差、貧困の問題は、医療の面でも深刻な影響を及ぼしています。先日、有田医師会の会長さんをされている開業医の先生にお話を伺ってまいりました。
 無保険の子供さんについては、郡部では少ないので、子供の治療に資格証明書を持ってこられたケースの経験はありませんが、全体的に患者さんの状況は大変です。薬をもらう日を延ばそうと血圧の薬を2日に1回にしていた人がいたり、生活保護をとめられたので糖尿のインシュリンの治療をやめたいと、こういう相談があったり、また、治療費の支払いを少し待ってほしいという患者さんがいらっしゃいます。保険証を取り上げられて資格証明の人は、病気になっても医者の窓口まで来れていないのが現実だと思います、こんなふうにおっしゃっていました。
 私ども共産党県議団は、これまでも県議会一般質問の場で、保険証は命綱であり取り上げはやめるべきだ、資格証明書発行による影響を調査すべきだ、こんなふうに求めてまいりました。県は、そのたびに安易な発行をせず実態把握と納付相談をするよう指導する、こんなふうに言ってまいりました。
 しかし、保険証を取り上げられて資格証明書が交付されている世帯の中に、一体子供のいる世帯はどれだけあるのか、何人の子供が無保険状態に置かれているのか、こういうことすら統計上調べる仕組みになっていないからと言って、県は調査すらしてきませんでした。
 払えるのに払わない悪質滞納者がいると、こういう一部の人の話を盾にして、払おうとしても払えない、そういう経済状況の県民に対する手だてが十分にはなされていませんでした。ですから、文書を送っても返事がないなどの理由で、滞納世帯の状況をよくつかめないままに、面接もせずに、滞納期間が1年を超えたことを理由に保険証を取り上げている、そんな部分が残されてきたんです。
 その結果として、今回明らかになった県内に437名の子供が無保険の子供として存在してしまっていた。親が経済的に苦労していても子供のせいではありません。たとえ親が悪質な滞納者であっても子供には罪がありません。
 県は、この無保険の子供がこれだけ存在するという状況をどう受けとめ、どう認識しているのか、お聞かせいただきたいと思います。福祉保健部長の答弁を求めます。
 次に、この全国集計とともに、10月30日付で厚労省から問題解決のための緊急的な対応が通知をされました。
 県としてこの間、県内自治体に対してどう指導してきたのか、またその結果、約1カ月たって事態がどう改善されたのかを福祉保健部長よりお示しください。
 また、子供無保険問題は、そもそも法改悪で資格証明発行が義務づけられたことに始まって起こっている問題です。ですから、この義務づけそのものをやめさせることが必要だと私は考えます。
 しかし、当面、緊急の措置として子供無保険問題に対しては、子供に対しては資格証明書の発行をやめるように市町村に対して指導すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 また同時に、国に対しても、この際、資格証明書発行義務づけをやめるよう求めるべきではないでしょうか。知事並びに福祉保健部長の見解をお答えください。
 次に、有田地方の緊急医療体制についての質問に移らせていただきます。
 これまでも有田の消防隊員の方々から、有田地方は緊急医療の谷間だ、こういう声を聞いてまいりました。どういうことかというと、救急車が搬送先の病院を探しても有田地方の救急病院で受け入れてもらえずに、高速へ乗って和歌山市など他の地方まで走らなければならないことがすごく多いということなんですね。
 ここに和歌山県のことし作成された保健医療計画があります。この中で、有田保健医療圏の現状と課題というページがあるんですけれども、一番最初にこの救急医療のことがここでも書かれています。
 お手元の資料1をごらんください。このページの表を載せています。救急搬送の受け入れ先を見ますと、半数以上が有田地方から外に出ていっているという状況です。これ平成18年の資料です。ちょっとミスプリントがあります。
 まず、救急患者さんの──この間、私、有田町消防本部とそれから湯浅広川消防組合にお伺いをいたしまして、この救急搬送の実態、これをさらに詳しくデータもお聞きしてお伺いをしてまいりました。この実態をさらに分析すると、問題点が浮かび上がってまいりました。
 まず、救急患者さんの病状別に搬送先を分析したのが資料の2に載せています。
 一般的に言って、重症の患者さんが三次救急の医大や日赤に直接走ってもこれは当たり前だと思うんです。ところが、表を見ていただいてのとおり、重症でも中症でも軽症でも救急車は有田圏域では受け入れてもらえずに、圏域外の病院にお願いしているというのがわかると思います。
 次に、時間帯の問題です。約半数が有田から外へというのも、24時間365日このトータルして半数以上がという数なんですね。救急車からすると、昼間は結構、有田管内の病院でも受けてくれているそうなんですね。ところが、平日の夜間や休日、祝日などはなかなか受けてくれずに病院探しに非常な困難をきわめると言います。
 この資料が、この実態が、表3を見ていただくとよくわかります。昼間の時間帯では、有田圏内と圏外がそれぞれ6対4であるのに対して、夜間や休日では3対7までに逆転をしているんですね。
 私は、県立医大附属病院にも調査に出向き、救命救急センターの医師初め関係者の皆さんから、献身的な御努力、そして、綱渡りのような病床の状況をお聞かせいただくとともに、各地からの救急車の受け入れ状況を教えていただきました。いただいた詳しいデータをもとに注目する点をまとめたのが資料4の表です。
 色をつけておりますように、有田からの救急車が、これ昨年ですが、年間806件にも上っています。地域別に見てみると、二次救急の役割分担がしっかりしている日高地方からは本当にわずかなんですね。日高の10倍来ています。また、和歌山市に近いというこの地理的条件のよく似ている那賀圏域、岩出市、紀の川市ですね、ここと比べても人口は3分の2なのに搬送件数は何と3倍にも上っているわけです。
 また、救急患者がどこから、どんな現場から運ばれてきたのかというのも同時に調べてみますと、それぞれの圏域の病院からの病院転送ですね、これが一定数あります。医大はこの重篤な患者を扱う三次救急ですから、これは当然のことだと思うんですね。しかし、有田からは救急現場や自宅などから直接救急車が走ってくる数が多いんですね。
 そして、昼間と夜間のこの数を比べてみますと、夜間の搬送はよその倍ぐらいあるんです。よそは大体昼間の倍ぐらいの数が夜間に搬送されていますが、有田は3倍、4倍という数が夜間に搬送されているというその実態も、この数字で見て取れるというふうに思います。
 この状態が一層進めば、県立医大の三次救急医療機関としての機能にも支障を来しかねない。有田だけにとどまらない問題です。
 問題の原因は、和歌山が近いから行きやすいという地理的条件でもなければ、医大、日赤信仰が厚いという、そういう状態でもないと思うんですね。重症も中症も軽症も有田圏域以外にお世話にならなければならない実態、夜間休日は特にひどいという実態、この有田圏域の救急体制はまさに危機的状況にあると思います。
 具体的な救急車と病院のやりとりを紹介しますと、例えば、救急車から医大に電話をします。有田の病院で受け入れてくれるところがないのでお願いします、そして病状を伝えます。すると、その状態ならうちへ来ずにほかの二次救急病院で診てもらってください、一たん断られるそうですね。それで、和歌山市内の病院などに順番に患者さんの前で電話をするわけですね。ところが、断られ続け、最後は日赤、医大は断りませんから、それなら仕方がない、うちにおいでくださいと言って引き受けてもらってお願いしている、こういうことが多々あるそうです。
 海南や日高の病院に転送したときも、なぜこの患者さんをここまで連れてくるんだと、しかり飛ばされたこともあるそうです。受け入れていただくほうもぎりぎりの状態で頑張っているわけですから、無理はないと頭を下げるだけだそうです。
 圏域外に救急車を走らせれば、戻ってくるまでの間、何時間も地元がからになります。もう1台をバックアップさせる必要があります。そんな実情もお聞きしてまいりました。
 有田の救急医療体制は、このままでいいのでしょうか。和歌山保健医療圏のおまけというようなことでいいのでしょうか。県は、有田保健医療圏の救急患者受け入れ搬送状況をどう認識しているのかを福祉保健部長よりお答えください。
 こういう実態の中、昨日、新たな問題が浮かび上がってまいりました。有田地方の病院群輪番制がとうとう休止することになったというんですね。
 この制度は、休日や夜間の救急の当番病院を調整をして、病院に対してその分補助をしていたんですね。県が700万、有田の1市3町が広域で700万、合計1400万円で運営をしておりました。ところが、3年前から県からの補助金が交付税措置にかわって、なくなりました。有田の1市3町は交付税に入れたよと言われても、三位一体改革で交付税の総額はどんどん減っている中でしたから困ったわけですね。それでも頑張って、これまでの持ち出し700万を1000万円に引き上げて事業を継続しましたが、事業全体で見れば1400から1000に400万円の減額を病院にお願いをしたわけです。このことによって、病院の当直職員の手当が引き下げられたところもあったとお聞きします。まさに悪循環ですね。
 そうやって頑張って続けてきたわけですが、先ほどから御紹介したように、自治体から見てみれば、当番を決めてもらって補助金を出していても、その当番の病院が受けてくれた実績が非常に少ない。利用実績が低いということになってきたわけですね。自治体財政は火の車ですから、やむなくこれにも手をつけることになったわけです。
 一方、この病院の側にとってもこれは大変なんです。私は、済生会有田病院にも伺って実情をお聞きしました。全国的に不採算の病院がふえてきていて、病院として赤字を出すな、採算性を重視せよと、そういう流れだというふうに聞きました。そこへ来て、昨今の医師不足で診療体制がとれない。当直の医師には本当に御苦労をかけている。18人の医師がいるけれども、有田に住んでいるのは1人だけなんです。ですから、救急の患者さんが来て応援の医師が要る場合には、タクシーで和歌山から走ってきてもらうと、そういうことになっているが、とても現実的ではない、そういう話、大変な状況をお聞きしました。
 これまで輪番病院に当たった病院は、1日10万円の補助が先ほどの事業で出ていたんですが、この予算減額によって1日7万円に削られてたんですね。医者や検査技師、看護師など当直の体制をとる全体の費用から見れば、全然割に合わないわけです。
 今回の病院群輪番制休止という問題は、順番制をとらなくても日ごろから十分な救急医療体制ができていて、必要なくなったからやめるというんじゃないんですね。輪番制をとっていても救急医療が看板倒れになっていて、機能していない状況にあるのが根本原因なんです。県は、この病院群輪番制の現状と見通し、どう考えているのか、福祉保健部長にお答えを願いたいと思います。
 さて、それではどうやって有田の安心できる救急医療体制を確立していくのかという問題です。先ほどもデータで紹介いたしましたように、日高の保健医療圏域では、病院間の役割分担や夜間休日のこの診療科目の調整がうまくいっていて、8割から9割が圏域内で救急搬送ができているというふうに聞いています。保健所が大変努力したそうです。
 和歌山市に隣接した那賀圏域でも、有田のようなことにはなってないんです。どこが違い何を見習いどんな努力が要るのかをきちんと押さえた上で、責任持って中心になって努力するところが要ると思うんですね。その努力が足りないんじゃないか。
 例えば有田では、休日急患の診療科目の調整すらうまくできていないのが実態なんです。例えば、ある休みの日は病院が当直の先生が内科、内科、内科とそろってみたり、また別の日は整形ばかりと、これはその気になって各病院間を調整すればできる話だと思うんですね。
 医師不足問題を初め、有田地方の医療機関の体制など、困難な原因は数多くあるでしょう。しかし、この状態を後退させずに改善するには、日高の例にもありますように、県と保健所の果たすべき役割は決定的に大きいと考えています。保健所がどんと中心に座って、救急病院、医大、市町村、医師会など関係機関とともに力を合わせて救急医療体制の調整役、まとめ役を担うべきではないでしょうか。安心できる救急医療体制の確立のために県としてどう考えておられるのか、この問題は知事並びに福祉保健部長から御答弁をお願いしたいと思います。
 さて、次の肥料・燃油高騰対策についての質問に移ります。原油高騰問題などさまざまな物価や資材の高騰が、県内の主要産業である農林水産業者の経営を圧迫しています。
 国は、漁業用燃油対策に続いて、農業分野での肥料・燃油高騰対策の制度をスタートさせました。しかし、価格高騰に対する直接補てんを望む国民の声が大きいのに対して、これらの制度は補てんに乗り出したという一歩前進の姿勢は評価するものの、さまざまな条件をつけた補助制度の枠、これを出ない政策であることに疑問や批判の声が出ています。
 農家からの声を紹介しますと、化成肥料がこれ1.5倍もの価格にはね上がったままです。私たちが望んでいるのは、輸入、加工生産、販売いずれかの段階で国が補てんをして、少しでも影響を緩和してほしいということです。ところが、この希望者が個人ではなく団体で申請することによる補助金だということを聞いて、またかと思ったと。今までどおりのあしき農業政策の慣習の繰り返しだと思うとおっしゃいます。
 また、肥料の減量に取り組むという条件をつけて、一部の人しか受けられないんじゃないか、面倒な書類を書かなければならない、これでは困っている農家を助けるというより、言うことを聞く農家だけにばらまくというやり方だなどの声を聞きました。
 また、肥料業者の方からは、価格を抑えるさまざまな御努力をされてることを紹介いただきながら、申請の手続がどうなるか見えてこない、とにかく申請のしやすい方法を望みます、こういう要望をお聞きしました。
 ハウス栽培用の燃油対策については、既に値上がりをしていた昨年の価格を基準価格に設定しているんですね。ですから、今重油の値段が下がってきていて、ほぼ前年水準になってきていますから、結局補助は行われないんじゃないか、これでは意味がないんじゃないかとの声があります。
 今回の肥料・燃油高騰対策が、本当に県内農家の実態に即した支援となり得るのかどうか、農林水産部長より御答弁を願います。
 次に、ミカン対策で3点お伺いをいたします。景気後退を受けて、夏以降、秋の果物は大打撃を受けております。ミカンも10月の極わせミカンの単価は過去5年間で最低レベルにまで下がってしまいました。11月に入って持ち直し、好調に推移をしておりますが、今後の天候、価格の推移が気になるところです。
 第1点目には、08年産ミカンの生産・販売状況をどう見ているのかお答えください。
 次に、新品種の問題です。和歌山ミカンのブランド力アップのために、魅力的な新品種の開発を進めることを県議会の場でも繰り返し求めてまいりました。10月の極わせも生産量過剰、味が勝負という面が一層強くなってまいりましたし、気候温暖化による浮き皮対策も待ち望まれています。極わせ品種や12月の主力品種の開発状況と展望についてお示しください。
 3つ目には、食育の問題です。先日、総務省の家計調査年報で、果物の消費量の順位、全国順位が発表され話題となりました。どういうことかというと、県庁所在地別の生鮮果物の年間購入金額というのを比較すると、和歌山県が全国44位だったんですね。果物の中でミカンだけの取り出した指標を見ても和歌山県が23位でした。
 これには、果樹王国和歌山県だから買わなくてもいただきもんが多いんではないかと、そういう見方もありましたが、ミカンの部の第1位が愛媛県でしたから、先ほどの見方も苦しい言いわけに聞こえてまいります。分析はどうあれ、1つのデータとして残念な結果ですし、率直に今後の施策に生かす必要があるというふうに思います。
 学校給食へのミカンの提供回数をふやすことなど、食育の取り組みの重要性を強調してまいりました。ミカンを初めとする果樹生産県として、みずからの地域で食育に取り組まずに消費地に対しても説得力あるアピールはできません。県として、果物を利用した食育と消費拡大について一層力を入れるべきではないでしょうか。
 以上、3点については農林水産部長から答弁をお願いいたします。
 最後に、サンショウの振興とブランド化について質問をいたします。
 和歌山県は、サンショウの生産量では日本一を誇る生産県であり、その県内でも有田川町で県内の6割から7割が生産をされています。ところが、日本全国見渡してサンショウの有名な生産地はどこと聞かれて、和歌山と答えられる人は本当にまれです。作物としてマイナーであるとともに、食材としての利用形態も、サンショウってウナギにかけるあれでしょうというぐらいで、まだまだ広がりが足りなかった面があります。
 七味トウガラシと言われるあの7つの味の中で、あの香りを出しているのがトウガラシではなくサンショウなんだというのも余り知られてはいません。これまで生産者、そして行政が力を合わせて販路拡大に取り組んでまいりましたが、ここに来て新しい芽が広がりつつあると、私は実は感じています。
 京都のしにせの香辛料製造元が、サンショウを茶色く乾燥させたものではなくて、緑色のまま木の芽のようなあの風味を残した製品をつくって、「紀州しみずのぶとう山椒」、こういうネーミングで商品化をいたしました。
 また、別の会社が発売をした「完熟赤山椒」、今度は赤なんですが、こういう商品は赤くなるまで完熟させた実を熱で香りが失われないよう手うすで引いて、これがスイーツの材料として、お菓子の材料として注目をされているそうです。
 また、県内酒造メーカーからは「山椒のうめ酒」というのも既に発売をされていますが、全国大手の酒造メーカーからも和歌山県有田産とラベルに書かれた「山椒焼酎」がこの10月末に発売をされました。
 食品原料に対する国産志向が、今どんどん高まってきている中、この産地を押し出した商品がこれからも次々と企画をされると思うんですね。そんな今こそ、和歌山のサンショウ、紀州のサンショウを前面に打ち出すサンショウのブランド力向上がかぎとなります。
 さきのしにせ香辛料製造元は、有田との産地とは長いおつき合いなんですが、今回、有田川町に加工工場の進出を計画するようになりました。残留農薬問題など安全性にしっかりと取り組んでおられる産地として信頼が置けるというのが一番の進出理由と、和歌山の豊かな自然の中で育ったサンショウを和歌山のきれいな水、清水の水で加工することが商品の売りになる、そんな声をいただきました。
 加工場が産地に進出するというのは、産地のブランド力アップという点でも、また地元雇用という面でも大きな効果が期待できる大変いい話だというふうに思っています。
 ほかにも漢方薬として製薬メーカーにも納入し、最近では機能性成分を生かしたサプリメントなど、いろんな商品化が進んでいます。こういった販路拡大、ブランド力向上ということに思い切って力を入れるタイミングだというふうに思うんです。
 サンショウ生産農家からは、安心・安全の農薬飛散防止対策への支援、流通倉庫の整備などの要望も出されています。
 日本一のサンショウの生産県として、産地振興とブランド化に一層の支援をすべきだと考えますが、知事のお考えをお示しいただきたいと思います。
 以上で、私の第1回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいまの御質問のうち、私に答えよということで通告のありましたお話につきましてお答え申し上げたいと思います。
 まず、安心できる救急医療体制の確立ということでありますが、特に有田地域を材料にされましてお話しになりましたので、この後、部長からも答弁があると思いますので、私は一般的な話も含めて申し上げたいと思います。
 本県の救急医療体制は、地域の拠点病院を中心にいたしまして、紀北地域に2カ所、それから紀南地域に1カ所の救命救急センターが後方に控えるというような形で、救急患者を受け入れる体制が確保されております。近隣の諸県──比較すると失礼でありますけれども──に比べると、私は救急については何とかもちこたえてるというような、そういう県だというふうに考えております。
 これはひとえに県内の医療従事者、特に、病院に勤務しておられる方々の献身的な御尽力によるものと感謝している次第でございます。
 しかし、この御尽力に甘えるだけではなくて、県としてもやっぱりこれを支えなきゃいかんということでございますので、ずっとここ2年間ぐらい県立医科大学の医師の定員増、それから病院と診療所の連携、それから消防機関を含む医療連携体制を構築したり、あるいは搬送途上における医療の確保のためにドクターヘリの活用を積極的に進める、そういうような地域の緊急医療体制を堅持しているところでございます。
 近年、軽症患者が二次、三次救急医療機関に過度に集中してるというようなことが指摘されておりまして、こうなりますと、本当に機能的に大事な命を救えないという可能性もあります。したがいまして、今後の救急医療体制の確保、こういうものの懸念もそういう点からもあるわけであります。
 県といたしましては、病状等に応じた適切な受診など、県民に救急医療に対する御理解と御協力をいただくとともに、救急医療機関はもとよりでございますけれども、関係市町村や、あるいは消防機関と緊密な連携を図りながら、あるいは地元の一般的な診療所の方々とも協力関係をつくっていただくようにして、適切な救急医療連携体制を確保してまいりたいと思っております。
 次に、サンショウの振興でございます。本県のサンショウは、顆粒が大きくて香りが強いブドウサンショウを主力にいたしまして、日本一の生産量を誇っておるということは御指摘のとおりであります。こうした産地の強みを生かして、これまでサンショウの実を利用したつくだ煮等の加工食品や、あるいは粉を利用した薬用、香辛料など、サンショウを活用した商品化とブランド育成に過去も努めてきたところであります。
 私も公務、あるいは休暇を利用して、特に有田川周辺の谷間、山間部を走っておりますと、狭隘な地形の中で立派なサンショウ畑が散見されます。いかにして御苦労してつくっておられるかということがよくわかります。
 しかしながら、サンショウというのはやっぱりミカン等々に比べますと、生産量もそう多くありませんし、それから原料になってしまいますので認知されにくい面もあるということも事実かと思います。
 そこで、和歌山県においては、このサンショウのPRと販路開拓に努めなきゃいかんということで努力もしてまいりました。議員御指摘のようなものにだんだん使われてまいっておりますが、そのほかに大手スナック菓子メーカーから、「和歌山産山椒使用」とブドウサンショウの説明を記載した新商品が出たり、少しずつ成果も出ているかなというふうに思っております。
 まだ十分ではないということは御指摘のとおりだと思いますので、これも産地との連携を十分図りながら、こうした取り組みを一層強化して、サンショウを初めとするような、サンショウももちろんそうですが、ほかの産品も、和歌山産おいしいもの、そういうもののブランド力向上と、それからまた消費拡大、そういうことも通じて、生産農家が安定的な収入を得られるように努力してまいりたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 国民健康保険における被保険者資格証明書交付世帯の子供についての御質問にお答え申し上げます。
 県内の国民健康保険における資格証明書交付世帯についての厚生労働省の調査によりますと、平成20年9月15日現在で資格証明書を交付している4543世帯のうち、中学生以下の子供を含む世帯は18市町に266世帯あり、その世帯員のうち中学生以下の子供は437人となっています。
 今回の調査により、資格証明書交付世帯における子供の人数が明らかになったところでございますが、私といたしましては、国民健康保険が保険料を負担していただく相互扶助制度であるということが前提でございますが、一方では、児童福祉の観点から子供の医療確保に特別な配慮が必要であると、そのように認識してございます。
 次に、厚生労働省通知を受けての取り組み状況についてでございますが、子供のいる世帯に対する資格証明書の交付に関しては、厚生労働省から緊急的な対応としての短期被保険者証の発行などの留意点が示されました。
 県といたしましては、市町村に対し地域別に担当課長会議を開き、厚生労働省からの留意点についての徹底を行い、速やかに滞納者と接触を図り、滞納世帯の実態を把握することで、医療の必要な子供が医療を受けられないということがないよう指導を行っているところでございます。
 その結果、11月30日現在で、中学生以下の子供を含む世帯に資格証明書を交付している市町村は4市町減りまして14市町となり、県全体として世帯数は69世帯減少し197世帯、その世帯員のうち中学生以下の子供は113人減少し324名となっており、通知の趣旨を踏まえ、引き続き市町村で対応を行っているところでございます。
 県といたしましては、さらに市町村に対し、よりきめ細やかな対応を行うよう指導を行ってまいります。
 次に、子供に対しては資格証明書の発行をやめるよう指導すべきでないか、また、国に対しても資格証明書発行義務づけをやめるよう求めるべきでないかという御質問についてでございます。
 保険料──税の場合もございますが、保険料の滞納者に対する資格証明書の交付は、納付相談の機会を確保するという観点から必要なものであると認識しておりますが、医療の必要な子供が医療を受けられないということがないよう、資格証明書の交付を機械的に行うのではなく、個々の滞納世帯と接触を持ち、実態を十分把握した上で、短期被保険者証の交付に結びつけるなど、適切に対応するよう市町村に対し引き続き徹底するとともに、先ほども申し上げましたが、子供の医療の確保に特別な配慮が必要であるとの観点から、国に対しまして近畿府県と連携し、一定年齢以下の子供を資格証明書の交付対象から除外し、被保険者証を交付できるよう国民健康保険法を改正することを要望してまいります。
 2点目の有田保健医療圏の救急患者受け入れ搬送状況についてお答え申し上げます。
 有田保健医療圏における3消防機関の救急患者の搬送については、平成19年度は3535件であり、そのうち約半数が圏域内の医療機関で受け入れられており、それ以外の患者のほとんどが和歌山保健医療圏の医療機関に搬送されていると聞いてございます。
 県といたしましては、保健医療計画上の保健医療圏を基本としつつ、初期救急医療及び後方支援を行う二次救急医療の確保に向け、市町村や消防機関と連携を図り、地域の実情に応じた救急医療連携体制の整備を進めていくことが重要であると、そのように考えてございます。
 次に、病院群輪番制の現状と見通しについてお答え申し上げます。
 病院群輪番制は、当番日に交代で通常の当直体制のほかに救急患者の受け入れができる体制を確保するものであり、救急告示医療機関とともに二次救急医療を提供する役割を担ってございます。
 有田保健医療圏の1市3町から成る有田周辺広域圏事務組合が実施主体となっている病院群輪番制については、現状では休日における二次救急患者の受け入れを行っているところです。
 同病院群輪番制については、実施主体の判断で来年度以降、当面休止する予定と聞いてございますが、病院群輪番制に参加している圏域内の4病院を初めとする救急告示医療機関において、救急患者の受け入れが継続されることとなってございます。
 最後に、安心できる救急医療体制の確保についてお答え申し上げます。
 県といたしましては、県民が安心できる救急医療体制の確立に向けて、地域の救急医療を担っております拠点病院に対する県立医科大学からの医師の派遣、救急告示医療機関への設備整備補助、勤務医の負担軽減に資する取り組みを行う病院への支援などの施策を行ってきたところでございます。
 さらに、病院群輪番制の財政措置の拡充や救急告示医療機関の財政措置の創設などを国に要望したところであり、国においても救急医療等に対する財政措置などに向けた検討が進められていると聞いてございます。
 今後とも、救急医療機関はもとより関係市町村や消防機関と緊密な連携を図りながら、有田保健医療圏における適切な救急医療連携体制が確保できるよう、先ほど議員からもお話がありましたように、特に県や保健所も入って、拠点病院が中心となり、地域の医療機関が相互に連携と補完機能を果たせるよう協議をしてまいりたいと、そのように考えてございます。
○議長(大沢広太郎君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 肥料・燃料費等高騰に関してでございますけれども、肥料・燃料費等の増加分の7割が助成されるこの今回の肥料・燃油高騰緊急対策につきましては、議員お話しのとおり、肥料や燃油使用料につきまして2割低減をする必要がございますが、該当する低減技術のメニュー数が非常に少ない、また申請期間が来年の1月末ということで設定されてございまして、非常に時間的な制約があるというふうな農家の声も、率直な声も、聞かせていただいてございます。
 そうしたことから、県では、より多くの農家の方が今回の緊急対策の対象となるよう、現在、例えば配合肥料を特認技術として加えるなど、要件を満たす工夫に努めてございます。
 県では、円滑な事業の推進を図るために、11月にはJAグループなど関係団体、市町村を対象とした説明会を開催するとともに、本事業の事業実施主体となる県協議会を設置したところでございまして、あわせてマスメディア等を活用した制度の広報等に努めてございます。
 また現在、地域ではJA等によるチラシの配布、また広報紙による制度の周知徹底と、さらにJA、行政機関等関係機関で構成をいたします地域協議会の設置に取り組んでいるところでございまして、今後この協議会を中心に早急に農家の申請に関する個別相談に対応するなど、県内農家の実態に即した支援となるよう積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、ミカン対策として3点御質問がございましたですが、一括してお答えをさせていただきたいと思います。
 本年産の温州ミカンにつきましては、裏年に当たりますことから、極わせミカンについては、ただ8月下旬等の降雨によりまして果実の肥大が進んだこと、また着色が早く出荷が前進したことなどもございまして、前年を上回る出荷量となり、市場価格がお話しのように前年を大きく下回る結果となってございます。
 このため、生産者団体の自主的な取り組みを基本にいたしまして、生食用の果実の一部を加工用に仕向ける緊急需給調整特別対策事業というのが、この10月の22日から31日の間実施をされました結果、その後のわせミカン以降の市場価格は回復をいたしてございまして、前年を上回り、現在に至ってございます。
 今後とも生産者団体と一体となって厳選出荷の徹底をいたしまして、市場価格の維持に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、温州ミカンの品種改良についての取り組みでございますが、本県では他産地に負けない、競争に打ち勝つということで、県のオリジナル品種による極わせ、わせ、なかて、おくてのリレー出荷体制の確立を図りまして、ブランド力の向上を図っていきたいと考えてございます。これまでも果樹試験場と生産現場が一体となりまして、幾つかの品種をつくってきております。極わせの「ゆら早生」、わせ種の「田口早生」を育成いたしまして、現在、市場においても高い評価を得てございます。
 さらに、この新品種に続きます新しい開発状況につきましては、「ゆら早生」を親とする極わせの新品種を現在育成をしているところでございまして、また12月のなかて、おくて品種につきましては、平成16年から浮き皮が少なく糖度が高い等の特性を有する新品種の開発に努めてございまして、今後、有望と思われるものにつきましては、品種登録に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。
 最後に、果物を利用した食育と消費拡大についてでございますが、生果のミカンの消費につきまして、お話しございましたように年々減少してきてございます。特に、若年層を中心にその傾向が顕著でございます。そうしたことから、子供たちがミカンに対する正しい認識や食べる習慣、これを身につけることが重要であるというふうに考えてございます。
 県では、これまで「毎日くだもの200グラム運動」の推進に加えまして、子供たちにミカンの生産や栄養価について学んでもらうため、県内の小学校にミカンを配布する「みかんで元気!!キャンペーン」、さらにはミカン苗のポット栽培体験の実施に取り組んでまいってございます。また、本年からは新たに地元でとれた旬の野菜や果物を使いまして、子供たちが調理の体験をするキッズシェフ体験、また梅干しなどの加工を体験する食文化体験の取り組みを始めるなど、県産果実を教材とした食育を推進してございます。
 今後、市町村、JA、教育委員会、また学校が一体となって県産果実の学校給食への利用促進など、子供たちがミカンなどの県産果実を食べる機会をふやしまして、将来にわたる県産ミカンのファンの獲得をしてまいりたいと、こういうふうに考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
 42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 御答弁をいただきました。
 要望と再質問を1つずつさせていただきたいと思います。
 今、格差社会と景気後退、それからアメリカ発の金融危機と、県民の暮らしは大変な状態に追い込まれています。この困難に心に痛みを感じ、心寄せ、政治の責任で対策に取り組むことが求められています。
 そういう意味で、今回の私の質問は、前の2つは安心の医療を求めるという分野で、そして後の3つは、経済対策を言うなら県内の一番の基盤産業である農林水産業を励まし、地域経済を励ますべきだという分野で質問をさせていただいたつもりです。ぜひ県としての積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
 要望は、有田の緊急医療についてであります。
 知事並びに部長からの答弁で、関係機関と緊密な連絡をとっていくという決意表明をいただきました。ありがとうございます。
 私自身も今回の質問を通じて、医大への救急搬送の実態がここまでになっているのかと認識を新たにさせられました。最前線で頑張っている救急隊員の方から、もっと早う言うてくれなあかんと、遅いぐらいやというふうにおしかりもいただきました。また、医療機関の関係者の方々の御苦労にも感謝と敬意を申し上げるものです。
 ぜひ、今回の輪番制休止というこの事態を改善させるきっかけにして、有田地方の、ひいては和歌山県の安心できる救急医療体制の確立のために、県と保健所がしっかりと役割を果たすよう、強く要望を申し上げておくものでございます。
 それから、再質問は、知事に対して子供の無保険問題で質問をしたいというふうに思います。
 市町村や国にどう働きかけていくのかという問題で質問したいと思います。
 部長の答弁では、児童福祉の観点からという受けとめもいただきましたし、医療の確保に特別の配慮が要るという観点で、国に対して近畿府県と連携して、子供に保険証を出せるよう法改正を要望していくというふうな積極的な答弁が今回ありました。これまでの姿勢から一歩踏み出した答弁として歓迎をするものです。
 今回のその保険証を取り上げて資格証明書を発行するというのは、納付相談の機会を確保する観点で必要だという答弁もあったわけなんですけれども、私は、現実にそうはなっていないところに問題が出てきているというふうに思うわけなんです。
 滞納世帯の状況をよくつかんで発行するというふうになってはおりますけれども、法改悪によるこの資格証明書の義務化がされる前は、市町村などの判断で実施をされていたものなんです。ところが、この一定の期間を過ぎた者に発行を義務化ということに法改悪がされた中で、機械的な取り上げが出てきたと思うんですね。
 全国的な調査の中でも、資格証明を出された滞納世帯を調べてみたら、約8割が極めて低所得だったという自治体の報告すらあります。一部の悪質滞納者というのが、この話をよく例に出されるわけなんですが、取り上げられている圧倒的大部分は経済的弱者だというのが実態だし、問題になっているというふうに私、思います。
 ただ、本当の悪質滞納者へは指導が必要です。保険料を払うつもりはない、病気になったときだけ払って保険証をもらうんだ、こういう人をよく悪質滞納者の引き合いに出しますね。保険制度というのはそうじゃありません。病気になりたくて病気になる人はないわけでして、もし病気になったときのための保険制度、また病気になった人を助け、反対に自分が病気になったときには助けていただく、掛け金をして、お互いに助け合おうというのが相互扶助という保険制度の趣旨、これが理解できてないんだというふうに思うんです。
 一部には、たらたら飲んで病気になるやつの分まで何でおれが払わなきゃいけないんだという方もおいでになるようですが、相互扶助の精神が理解できてない典型ではないかと思っております。
 悪質滞納者にはきっちり指導するのは当然であります。しかし、それを理由に行き過ぎた義務化ですね、これをしたところに制度としての冷たさが私、見えてきてると思ってるんです。子供だけでなく、福祉医療の対象の方も、また、後期高齢者の方も取り上げが義務化されていて起こってきてるわけですね。この行き過ぎた義務化を正すことが私は必要だというふうに感じています。
 今回、私、2つの角度から3つ目の質問をやりました。緊急の手だてとして、市町村には子供の分だけは何とかしてあげてよというふうな指導が欲しいと。そして国に対しては、子供の分も法改正もそうですし、義務化そのものにも意見を上げてほしいというふうにお願いをいたしました。
 国会のこの問題では、今まさに動いているところだと聞いております。しかし、より現場に近い県段階、市町村段階では、既に大分動いてます。子供だけの保険証を発行する、そんな自治体も出てきました。法制度は、世帯単位で保険証を発行することになってますけれども、それを乗り越えようとしてるんですね。
 それから、子供に保険証を渡せるようにしてほしいと、新潟県知事や佐賀県知事も厚労省に出向いたそうでありますが、今回御答弁いただいた国にアクションを起こすという答弁は、こういった動きと連動するもので歓迎したいというふうに思っております。
 また一方、市町村への指導という点で言うと、私これ手に持ってるのは秋田県の部長名での市町村への指導なんですけども、この12月2日に出されたもんなんです。ここの中では、子供の必要な医療を受ける機会を確保する観点からということで、対応を求める通知出されました。この通知が出たことによって、同日2日中に県庁所在地の秋田市で、18歳以下の子供に対して短期保険証を発行するという措置をとりました。
 知事にお尋ねいたしますが、この子供保険証の問題ね、どんなふうに感じておられていて、そして国へも今回働きかけていただくということですけども、市町村への一層の指導、それから行き過ぎた資格証義務づけにも、これにも声を上げていただきたいと思いますが、いかがでしょうか、御答弁をお願いいたします。
 以上で私の第2回目の質問を終わります。
○議長(大沢広太郎君) 以上の再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本件の問題を考えるときに、松坂議員の今お使いになった言葉が2つ大変役に立つと思っております。
 1つは、助け合う相互扶助、保険というのはそういうもんだというふうにおっしゃいました。もう1つは、払わない者も払えない者も両方いるけれども、子供は、払わない人の子供だってやっぱり助けにゃいかんというその2つであろうかと思います。
 前者の問題につきましては、保険というのはまさにそういうもんでありますけれども、逆に、助け合うということに参加しないような人が、例えば、意図して参加しない、あるいはサボって参加しない、そういう人がたくさん出てきたら、今度はまじめに助け合おうとしている人もその気を失うという面もあると思うんです。
 したがって、こういう問題が明るみに出ると、まじめにやっておられる人は大変腹が立つというようなこともあるので、そういう人の気持ちも十分酌んだ制度をこれまたつくらないかんということもあると思います。
 したがって、テクニックとしてどういうものがいいのかわかりませんが、払えない人のことだけ考えて、払わない人のことはあんまりうまく対処できないような制度をつくるのも、またちょっと問題かなというような感じがいたしますので、私は制度については今のところ意見はございません。
 ただし、2番目におっしゃったというか、それが前におっしゃったんですけれども、払いたくない人も払えない人も子供は助けなきゃいかんと、それはそのとおりだと思います。
 したがいまして、先ほど申し上げましたように、今市町村がいろいろ努力しておられるということも私はサポートしたいと思いますし、和歌山県といたしましては、近畿ブロック知事会のほうで申し出をしようという動きがありましたので、これに参加をいたしまして、参加をしたくないという県もあるんですけれども、和歌山県はこれに参加をして、それでできることならば、子供については市町村が努力しなくてもちゃんと医療が受けられるような制度が初めからできているということがいいんじゃないかというふうなほうに運動をしてまいりたいと、こんなふうに思っております。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再々質問を許します。
 42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 要望を申し上げたいと思います。
 知事から答弁をいただきました。
 子供は助けないかんという御答弁をいただきました。ぜひその姿勢で頑張っていただきたいというふうに思っています。
 また、参加しない人、払えない人と払わない人と、これの問題というのは本当に難しい問題で、これは国民的に大きな議論をしながら、きちっとその法制度をつくっていかないかんというふうに思っておりますけれども、その公平性ということがよく議論になりますが、資格証義務づけというのは、まさに制度のテクニックとしてペナルティーとして発案された、考え出されたものでして、これが行き過ぎた事態を生んでいるとしたら、その実態に合わせてこれ見直していくということが必要だということを再度指摘をしておきたいというふうに思ってます。
 この12月、国会のほうでも動きがあるでしょうし、市町村議会などでもこれから大いに議論をされてると思います。責任のない子供たちに保険証をすぐ交付できるようにする、和歌山に無保険の子供なしと言えるようにぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 同時に、経済的弱者を追い込むようなこの格差社会を生み出した冷たい政治、大もとから転換することを求めて、私の質問を終わります。
○議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時41分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(大沢広太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 34番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入りたいと思います。
 その前に、せんだって第10回国際合気道大会が実は田辺で行われまして、知事のほうから、開会のレセプションや最後の本宮の大斎原での演舞大会に、終始最後まで残っていただいてありがとうございました。とりわけ国際合気道大会を通じて、県の文化国際課の皆さんにもすべて通訳に関して指示、全部運営等していただきまして、ありがとうございました。
 東京でもずっとやってたんですけど、田辺で初めて歴史に残る、東京でも来なかった720名の外国人が46カ国から来まして、5日から13日までずっと、延べにして7200人という形、そして最初に一番多いときには1500人が一堂に体育館へ集まってやったとかいう部分では、すごい波及効果があったし、今後の国際的な観光を目指す上での1つの力にもなったし、勉強にもなったし、今後の課題も見つかったので、ありがたかったと思っております。それを前もって、お礼方々申し上げます。
 それでは、本題に入らしていただきます。
 アメリカ発の金融危機は、世界同時不況をもたらした中でどうなのかということについて、知事は、このグローバリズム、新自由主義、いわゆる市場原理主義がもたらした社会経済危機をどう見るのでしょうか、まず聞きたいと思います。
 しかもそのグローバル産業に直接影響されない和歌山の地方再生の方向をどう進めるのか、まず冒頭、知事にお尋ねしたいというふうに思います。
 私は、少し──東京大学経済学部を出た知事と違って私は高卒の一素人なんですが、私自身若いときからこういうことが勉強好きで、いろいろと社会法則とかいろいろ勉強してきまして、アメリカでの金融危機は世界同時不況をもたらしたのは、歴史的に見ると1944年、アメリカ、イギリスが中心になって世界44カ国でもってブレトンウッズ協定が結ばれた。アメリカのブレトンウッズというところで結ばれたのでブレトンウッズ協定です。
 資本の移動を国民、国家が統制できる機能を初めて第二次世界大戦の教訓に立って認め合い、所得を生み出す生産要素、いわば土地はそのまま残りますが、資本や労働は移動を統制すると。したがって、その国その国の所得の再配分はその国家が福祉国家としても機能を果たしていくということが約束されたらしいです。
 ところが、このブレトンウッズ体制は、1971年にアメリカの一方的通告で破棄され、いわゆるニクソンショックで世界に大きな影響を与え、ヨーロッパ、日本を初め金融自由化の波によって、世界の資本が国境に関係なくグローバルに動き回ることが今まで続いたわけです。その資本の自由化は、つまり日本も同じですが、各国の規制緩和を強制し、自由市場を求めていきました。人間の労働を市場化したことによる社会問題と福祉政策の軽視が進みました。自然を市場化したことによる農業、林業、エネルギー産業、そういった自然破壊が深刻化し、これらによって人間の生活の持続可能が危機に陥ってきた。これは今示すところであります。
 そういった今現実の教訓に立って、ヨーロッパでは新しいいわゆる持続可能な社会を目指す新しい資本主義社会への構築を目指していると聞き及んでいます。
 そこで私は、こういった具体的な質問で、1つは、新自由主義、市場原理主義からの脱却、つまり市場メカニズムに依存しない持続可能な成長を目指すことが、この我々に求められているんではないか。とりわけ地方には求められているんではないか。
 そのために、和歌山県として雇用を支え内需主導の成長をもたらす社会保障政策を柱にしてはどうか。
 1つは、和歌山の自然、資源とそれを生かす政策。農業、林業、漁業とそれを生かした製造業、歴史文化と一次産業との観光サービス産業の柱、これらの観点を踏まえて、私、以下質問をしてまいりたいと思います。
 まず、社会保障(福祉・医療・教育)が雇用を支え、内需主導の成長をもたらすその意味で、和歌山県としての考え方と取り組みについてですが、こういう社会経済情勢の動向の中で、日本の進むべき道、とりわけ和歌山県地方都市としての方向は、市場メカニズムに依存しない持続可能な成長を目指すべきだと考えます。
 そこで、この立場に立って次の質問をします。
 まず、社会保障(福祉・医療・教育)が地域の雇用を支え、内需主導の成長をもたらすことであります。
 しかし、一方では、グローバリズム、市場主義は、社会保障への所得再配分は経済全体の生産性を低下させ、経済成長にとってマイナスの効果になると主張してきました。日本では、小泉構造改革路線は、まさに痛みを分かち合い、自己責任ということで5年間で1兆6000億円の減額をしてまいりました。するという目的でやってきました。
 こういった人間の格差、都市と地方の格差での地方の厳しい経済情勢、不況の中でもいわば唯一地域の雇用と内需拡大、地域経済を支えてきているのは社会保障の分野です。
 例えば、和歌山県の例をとりますと、18年度の雇用状況から見てみますと、農林漁業を除いた県の従業者数は35万6000人、そのうち福祉医療関係で約5万人、教育関係で2万2000人、合わせて社会保障関係では7万2000人が雇用されています。
 このように、しかも他の建設業、製造業は13年度に対して18年度を比較してみますと1万7000人近く減少し、福祉医療関係は9000人がふえています。また、介護事業所の雇用は2万2300人と多く、和歌山県の高齢化比率は25%で全国8位、近畿では1位です。12年後の平成32年には、和歌山県は高齢化比率33.9%という高い水準に到達する中で、介護事業所の職員の待遇も来年から3%積み上げる状況で、和歌山県での今後の福祉医療分野における雇用拡大は進むし、進めなくてはなりません。
 社会保障は、暮らしを支えるセーフティーネットとして安心感を醸成し、消費活動を支え、その地域にお金が還流することで地域経済を支えていくことになると考えます。
 そこで、知事にお尋ねします。
 和歌山県のこれからの重点施策として、社会保障、とりわけ福祉、医療、教育への取り組みが地方再生、地域活性化の1つの柱になると考えますが、いかがでしょうか。
 次に、私は──テーマと中身がちょっと違うかもわからんのですけど──外国から幾らでも食料、木材を買える時代は終わったということを痛感しております。
 私は、その中で具体的にはこの3つの項目を掲げてますが、最初に、今私が申し上げましたグローバリズム、市場原理主義には、これは直接大きく影響を受けたのはやっぱり農業・林業経営であります。大きな影響を受けています。
 とりわけガット・ウルグアイ・ラウンドにおけるそれを発端に林業が市場開放され、今既に国内の木材は8対2、輸入が8割、内地産が2割というような状況に追いやられてきたし、今WTO交渉が詰められていますが、その中ではこの結果によっては、さらに市場原理主義以上にまたWTOによって日本の農業の大きな打撃を受ける。とりわけアメリカの米戦略、これについても今、全農でも非常に危機感を感じております。
 既に、アメリカが今までの穀物戦略、畜産・穀物、そういったことの戦略で日本の食料を制覇してきたわけでありますが、今度は米戦略によって世界の食料の制覇をしようとするねらいが今行われております。こういった中で、日本の、とりわけ和歌山県農業立県が、これから生きていく道では非常に厳しい状況の中であると私は考えております。
 食料危機、その中でも今、全国に世界的に起こってるのは、自国の食料を優先する食のナショナリズム、私たちの国は私たちの食料はもうよそへ出さない、そういう行動も今全世界に起こっておりますし、しかも、我々日本には食の安全・安心を脅かし、先ほども言いました肥料・農薬・畜産飼料の高騰がどんどんなされております。
 そういう中で、私たち和歌山県の農業は非常に厳しい中でも遊休農地が非常に拡大し、農家人口は減少し高齢化していく。しかし、私は、国もそれを黙っていない。
 例えば、今回発表された食料自給率を50%に引き上げる、これは経済財政諮問会議でようやく動き出しました。私たちは、これからの農業は食料自給率の向上と農業経営を強化することであります。しかも、この地方においては、暮らしと地域をつくる農業、地域のコミュニティーを構築する農業、これはそれと食品産業が地元産、国産に置きかえていくそのことで地域が元気になる農業生産振興、これらを私たちは踏まえていかなければならないと思います。
 県は、これまでの施策はそれなりに成果を上げています。これが同じような、今までの同じような施策で今後の新たな展開が見込めるでしょうか。
 担い手と遊休農地対策、生産と加工、販売はそれぞれが独立した課題ではない。一体的に施策展開をし、農家個々の経営強化を図る必要があると考えます。
 そこで、私は、輸入資材に頼らない地域環境型農業をどう構築していくか。先ほど松坂議員は外国の肥料・飼料が上がってくるという問題を挙げましたが、それはそれとして前提しながらも、日本の農業は今、農家が直面する肥料・農薬が高騰して経営が一層困難になってます。肥料は、梅やミカンを中心に見てみますと、果樹では160%から180%の値上げであります。お茶に至っては、2から3倍という異常な高騰になっています。
 全農はこの7月、平成20年度の肥料の価格を前年度比で平均約60%を値上げすることを決めました。値上げは過去最高であります。平均して、生産コストの約1割を占める肥料の大幅値上げは、農家に大きな衝撃を与えています。
 値上げの問題は、世界的にたくさんありますけれども、いろんな肥料を、バイオマス燃料が加わり、穀物生産が広がり、そして中国における自国の農業生産を高めるために非常に肥料の輸出を制限してきた、こういうことで、世界の肥料資源の争奪戦が今始まってるというふうに言われております。農薬に関しても、全農などの話を聞くと、大幅な値上げが避けられないと予想されます。
 こういった意味で、私は、有機農業などを推進していくシステムの体制が早急に必要であるんではないか。例えば、県内にある牛ふん、鶏ふんなどの畜産資源、漁業から出る魚骨粉、ミカンジュース加工場などからの残渣、コンビニなどから排出される食品残渣など、この調査をして、本当に紀南や紀北などのブロック単位に収集、堆肥化するシステムをつくる必要があるのではないかというふうに思います。
 それと、これは1つの事例ですが、大阪の総合肥料メーカーである清和肥料工業では、今その会社は、し尿肥料で窒素6%の価格で非常に安く手に入って農家にしているという。今までは、し尿は昔我々は使いましたが、今それを乾燥させて、においもきれいな、いわゆる人間のし尿を窒素肥料として販売する体制にも入ってきてる状況であります。
 そういった意味で、農業がこれから地域循環型農業と言える本来のいわば農業、それを進めていく必要があるのではないかというふうに思いますが、輸入資材に頼らない地域環境農業をどう構築していくかについて、農林水産部長の見解をお聞きしたいと思います。
 次に、地域が元気になる少量多品目生産による地域活性化についてです。時間がないので、簡単に言います。
 今、本県は、農業、梅、ミカンなどの果樹が中心となっていますが、少量多品目生産による農家の経営の安定と地域活性化を以前から私は提唱してまいりました。
 今、田辺周辺だけでも5カ所の店舗があります、直売所。しかもこの12月4日に大手ホームセンターがオープンさせまして、これに対しても300人以上の農家が参加して直売所をしてます。このホームセンターは、全国、やっぱりアンテナショップをつくって、地域地域の地産を、つくったものを全国にアンテナショップで売り出す方向も目指されているというふうに聞いております。
 そういう意味では、産地直売店が多くできている中で、直売店での販売価格は農家にとっては非常に、値段が設定できるし、一定した価格で、かつ市場手数料や輸送経費がかからないための経営の安定化が図られております。
 大規模農業ができない中高年を中心とした農業生産による地域経済の活性化につながると思いますが、地域が元気になる少量多品目生産による地域活性化についてどのように推進するのか、お尋ねしたいと思います。
 これについての最後ですが、農地の流動化を進めるためのシステムづくりの現状についてであります。
 総務省が過疎問題懇談会の提言を受けて、去る8月1日に集落支援員の設置を決め、必要経費を特別地方交付金で措置するという制度を12月からスタートさせました。集落支援員は、市町村職員と連携しながら集落を巡回して状況点検や集落点検に努め、それに基づく集落の話し合いをコーディネート、アドバイザーとして促進し、話し合いの結果を踏まえた集落の維持活性化をサポートすることが目的とされております。
 この制度は、当初は過疎地域に限定されていたのがそうでなくなりました。広く使われてよろしいということになりまして、農・商・工の連携はそういう総務省の全体の中でのコーディネーターとして、地域の農業・林業・教育・福祉・商工業など全体を考える中での地域再生を目指すということでやられております。
 そこで、県は、平成20年度から新施策、和歌山版果樹産地づくり総合支援事業、いわゆる担い手農地対策で、果樹産地の園地流動化を進めるため、農業公社地方駐在員を設置し、農地の集積や耕作放棄地の解消・発生防止を進めています。この制度も集落支援員とうまく連携をとり、より効率的な農地の流動化を進める必要があります。
 また、私たち農地組合もつくっているんですが、この農地の流動化に対して、農地の利用について、実際に携わっている農地組合法人や新規農業者にとっては非常にわかりづらい。私も農業委員会に行って、だれでも貸してくれるのかなどの情報を得ながらでも、なかなか、遊休農地の書類はたくさんあるけども、具体的にそれは借りれるのか借りられないのか、だれだったら貸してくれるのかということが何も示されてないんで、なかなか難しい。
 だから、新規農業者に対して、いわゆる借りられる農地、それからリース農業機械の情報、必要経費など簡単に調査をして、わかりやすい市町村のホームページなり窓口でわかるように、そうしたやる気のある人、農地組合法人も含めてそれをシステム化する必要があると思いますが、いかがでしょう。
 こういった農地の流動化を進めるためのシステムづくりについてお聞きしたいと思います。
 次に、森林林業政策であります。
 森林林業政策でありますが、私は紀州林業の復活の客観的状況が整いつつあるということであります。
 第1点は、木材を取り巻く最近の国際──すみません、テーマが「国際交流」と書いてましたけど、「国際流通」であります。
 最近の国際流通の変化は、日本林業の復活の芽が出ていることです。中国、中近東初め新興国の木材需要の高まりによる絶対量不足、木材輸出国の資源の囲い込みであります。それは、今まで入っていた北洋カラマツ、南洋材合板の輸入量の減少が18年から急激に落ち込んできてます。
 とりわけ日本は、ロシアから輸入外材の40%を占めていたのであります。ところが、ロシアは原木を国内にとどめ、自国の木材加工産業を発展させるため、関税をことしの4月には25%、来年21年の1月には80%に上がるというふうに示しました。この関税アップによって、既に前年同月比、この4月、8月ずっと見てみますと、輸入量はロシアからは60%、激減しております。これは客観的条件であります。
 第2点は、和歌山県の人工林は既に40年から50年生のもので、人工林全体の40年、50年ものが半数を占めてる、50%、半分を占めてる。今後10年間で伐採可能な森林資源は倍増することが予想されます。
 こうした中で、これまでの和歌山県では、さまざまな林業振興施策を講じてきましたが、しかし、日本全体の今までの林業不振がありましたが、先ほどの客観的条件、そして今の我が紀州の森の客観的条件は非常にいいと。しかし、林業振興政策にどんどん金を投じてきたけども、実際として素材生産量は減少していますし、林業従事者も減少、製材工場も減少、残念なことに施策の効果が十分にあらわれているということは言いがたい状況であります。こうした現状を打開するために、和歌山県の林業政策に何が求められているのでしょうか。
 林業は、古くから山村地域を支える大きな産業であり、産業としての抜本的な林業振興を考えることが重要であります。和歌山の山に育ってきた木をどうやって活用していくのか。例えば、私は自分自身もNPOをつくってやってるんですが、林業関係者や木材業者、また行政も一体となった木材流通加工プロジェクトチームなどにより、川上から川下までの関係者が皆、知恵を出して考えないといけない。合板や集成材などの生産工場を本県に誘致し、そこへ原木の集出荷の取り組みにより、紀州材の大規模な流通加工体制を整備するぐらいの努力が必要ではないでしょうかということであります。
 そこで、林野庁が新生産システムということで、平成18年度からスタートして2年間今もうたっているんですけども、この間、全国11カ所のモデル地域では森林経営、施業の集約化による素材生産コストの削減や生産力の強化、山元から製材工場への原木直送システムの構築、加工施設の整備などの取り組み、それをそれぞれ計画に従って今進めてきています。
 それは11カ所あります。今知事に示したあれですけど、これが和歌山圏域がその中へ入っていないということが、今先ほど私が述べました大規模の製材合板会社、集成材工場、こういったものをこの林野庁の方向で今進められているわけであります。
 各地の林業、木材産地では、この林野庁の新生産システムによる取り組み以外でも、製材、合板、集成材、プレカット工場といった加工流通の各セクターによって非常に進められております。これは今、そういうのを進められているというのは、今後は国産材に対するニーズが一層強まってくると、先ほど述べました。それに対して大規模に林野庁もこういう新しい新生産システムで、コストのかからないいわゆる山から直接製材所へ来る、流通過程を抜いてコストダウンさせていくという手だてとか、たくさんとられております。
 和歌山県は、こういった意味で知事もやられました、県では平成24年を目標とする紀州材製材販売プランを作成しました。林業振興のアクションプランとも言えるこうしたプランをつくり、将来の姿を示しながら計画的な事業実施を図ろうとしていることについては評価いたします。林業関係者にも希望を持たせることができる。
 しかし、プランが絵にかいたもちにならないように魂を入れないといけない。プランの推進体制をしっかりと考えることが今必要であります。
 紀州材生産販売プランの具体化に向けて、具体的に何に重点を置いて森林林業政策に取り組もうとしているのか、農林水産部長にお伺いしたいと思います。
 次に、梅の生育不良の現状と課題についてであります。
 これについては簡単に──登壇するごとにいろいろと問題提起させていただいております。皆さんの手元に資料を配っているのは、過去、昭和59年からのデータと18年度、19年度の4月から20年の8月までのデータを上段で提示さしてもらってます。
 現実は、立ち枯れは減少傾向にあります。しかし、表に示すように、前回も言わしてもらったんですが、火力発電の稼働率は18年から急激に稼働率が高くなり、19年から20年8月の時系列は昭和62年、63年の稼働率を上回る状況であります。3号機に脱硫装置を設置していても、3~4年後のその影響が今心配されております。このグラフのとおりであります。
 当時一番高いと言われました昭和62年、63年は、稼働率41%、45%でしたが、下段の19年の中から4月は49、5月は31、9月39、11月31、12月44、1月41、2月に至っては66、3月が59、4月は71.5、5月が66、このようにずっと高稼働率を示しているわけです。
 そこで、私たちはせんだって梅畑を調査いたしました。既にことし一部で徒長枝、新しい新芽が出てくるやつですけど、生育がかんばしくない状況が生まれております。私の梅畑でも非常に元気がない木が出てきました。
 そこで、県当局はなお一層、生育不良の原因究明の科学的究明を初め、産地での改植、土地づくりの推進に引き続き支援を期待したい。農林水産部長の答弁を求めたいと思います。
 最後に、なお要望ですが、知事就任以来2年を経過し、各派各層との懇談、現地踏査など多忙かと思いますが、生産日本一の梅産地の現地踏査と生産農家との懇談をして、現状と将来の農業経営を語り合っていただければありがたいと思っています。
 次に、最後になりますが、建設業の新分野についてであります。
 これについては過去2回にわたって質問してきたところですが、改めて質問したいと。
 第1点は、新分野、いわゆる異業種への支援策について、具体的に県下約5300事業所、従業員2万8300人という基幹産業であります。こういう中で今、その異業種への参加についての成果はどうでしょうか。もし進んでいないとしたら何が問題なのでしょう。
 2つ目は、具体的事業を提起することも大事ではないでしょうか。
 例えば、森林整備事業に入札参加できる行政受け皿と、建設業者の森林・林業作業への技術習得への支援を考えてみてはどうか。
 私は、そういう意味では農業産業、それから建設業者の森林組合だけではなくて、森林整備関係事業へ地域の建設土木業者が参入していける、入札に参加していけるという、そういう条件づくりをぜひしてほしいし、それだけの技能習得をする場合、これは短期間で皆さん重機も使えますから、そういう意味では受け皿はできるというふうに思うんです。そういう人たちがそういう事業へ参画していくということであります。
 そういう意味では、今後の雇用対策も含めて森林林業、森林整備事業への参画を、森林組合だけではなしにしていってはどうかということも含めて、答弁していただければありがたいと思います。
 これで第1回目の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの原日出夫君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、グローバリズム、新自由主義、市場主義ということだそうでございますが、これについて知事の見解を求めるということでございました。
 お言葉は、グローバリズムとか新自由主義とか市場主義とか、ちょっとどちらかというと、思想的な話あるいは考え方、こういうことであるわけですけれども、実は私は別に経済学者でも思想家でもありませんので、どちらかというと、その話はちょっと置いといて、経済のグローバル化ということをどういうふうに評価するかということをお答え申し上げたいと思っております。
 その点については、私は3つの要素があると思います。経済のグローバル化というのをどういうふうにとらえるかということと、それからその経済のグローバル化がしょうがない、あるいは是認すべき、あるいは積極的に評価すべきということであったとしても、それの弊害の除去をどういうふうに考えるかということと、それから、そのグローバル化の中でどういうふうに生き抜いていくか、和歌山県の産業がどういうふうに生き抜いていくかということを考えるということが3つ大事だと思います。
 まず第1に、評価については、その経済のグローバル化は市場競争を基本とするこの世の中で、どんどんと世界との関係が密接になっていくということでございますので、これをとめるとか、あるいはこれから遮断されるような形で我々の経済を考えるとか、到底無理だなと、そういう意味では不可避であろうと思います。
 また、先ほどおっしゃった、多分ちょっと誇張があったのではないかと推測しますが、市場メカニズムから脱却する経済を考えろということでありますが、多分これもかつてのソ連の崩壊とか中国のそれが厳格であったときに何が行われてたかとかそういうことを考えますと、ちょっと無理かなというふうに考えます。
 その経済のグローバル化がそれでは不可避であるということを考えたときでも、弊害というのも出てまいります。例えば、弱い産業が経済のグローバル化によって、とても激甚な影響を急に受けるというようなことがあると思います。それは、構造調整という名前で言われておりますけれども、そういうことは政策として必要だというのは広く世の中で認められた考え方だと思っております。
 それから、昨今のようにアメリカで端を発したよからぬ経済政策によって、民間のバブルがあおられて、それによっていろいろなよからぬ経済状況が出て、それがしかもバブルによってバブルが崩壊して、一挙に我が国にも、かつ堅実な経営をしているような企業にも影響が出てるというような、そういういわば不況対策をこちら側でとるというようなこともこれまた必要であると思います。
 その上で、じゃあそのグローバル化の中でどういうふうに生きていくかということを考えますと、これが不可避であるとすれば、やっぱり積極的にその中で我が県の産業の、あるいは所得を拡大する、そういうようなことを考えていかないといかんなと。
 それには、閉じこもっていてもしょうがないので、本県が持つすぐれた特色を世界に売り、それから世界にアピールして人も来てもらって、それで我が県の富を拡大するということを考えないといけない、そういうふうに思っております。
 この点からは、和歌山県の長期総合計画におきましては、地域の特性を踏まえた産業振興とか、あるいは世界遺産を生かした観光振興などを進めることにいたしておりまして、既に南紀広域企業集積地帯構想等に基づく企業誘致とか、あるいは安全・安心で高品質な農産物の販売促進とか、海外にそれを売っていくとか、あるいは海外からの誘客とか、そういうものに個々具体的に取り組んでいるところであります。
 また、こういう経済不況のときにこそ、産業技術の開発や中小企業の体質強化、産業界と学校との連携による人材育成など、次の時代を準備する取り組みもまた必要だと思っておりますので、世界の動向をにらみながら、こうした施策を重点的に進めてまいりたいと考えております。
 次に、社会保障が雇用を支え、それから内需主導の成長をもたらすので、和歌山県としてはどう考えるかということでございました。
 社会保障、例えば福祉サービス、医療サービス、あるいは教育サービス、こういういわばサービス業、特に福祉系のサービス業が雇用を生んでいくと、それ自体として雇用を生んでいくということは、まことに御指摘のとおりだと思います。特に、少子高齢化が和歌山県は他県よりもちょいと多く進んでおります。それは望むべきことでも必ずしもありませんが、事実は事実であります。また、県民が安心して生活を営むというニーズも大変高うございます。社会保障の充実や雇用の拡大というのも叫ばれております。そういう意味では、社会保障系のいろいろなサービスによって雇用が拡大するというようなことを看過すべきではないということは、おっしゃるとおりであります。
 しかしながら、このようなサービスについては、一番初めの投入というのがどういうふうにして行われるかというと、多くの場合、公費の投入によって波及していく効果であります。したがいまして、他の産業と違って、自立的に民間の力だけで回っていくというわけではないわけであります。したがって、この雇用をねらって無尽蔵にこの部分に資源を投入いたしますと、直ちに財政破綻ということになって、また経済が回らなくなるということも事実であります。
 したがいまして、産業政策としては、自立的に回るようなものをできるだけ地元に多くし、そこからの税収等々をこれをもとにして、今度はまた福祉サービスなんかにも資金を投下し充実したサービスをして、それによってさらにまた雇用が拡大していくというようなことをねらわざるを得ないということではないかと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) まず、これからの農業振興の3点についてお答えをさしていただきたいと思います。
 地域の資源を有効に活用した循環型農業についてでございますが、県では低コストを基本とした新たな栽培体系の確立を目指し、試験研究機関が中心となりまして、技術指針を作成し、JAなどの技術指導者に対する研修会を開催するなど、鶏ふん堆肥を初めとする有機質資材の積極的な活用を推進しているところであります。
 既に、県下では、堆肥など地域資源の活用を基本として、化学肥料や農薬に過度に頼らない栽培を実践し、学校給食との連携を図っているモデル的なグループ等も見られつつございます。
 今後、こうした取り組みを一層支援するとともに、食品残渣等の再資源化を行う団体等に対して資源情報の提供を行うなど、食品産業との連携を図りながら、地域資源を活用した循環型農業の推進に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、地域が元気になる少量多品目生産による地域活性化についてでございますが、JAの例えば直販所であるめっけもん広場ややっちょん広場などでは、地元JAと県が一体となって栽培指針の作成や新規作物の導入に取り組むなど、直売所での品ぞろえを充実させるための生産指導等を展開してございます。
 今後も、これまでの果樹を主体とした産地体制を維持しつつ地産地消をベースとした少量多品目生産を進めるため、さまざまな地域の実態に応じた経営モデル指標の改定を進めるとともに、市町村、JA、生産者と一体となって、安心・安全で多品目にわたる農作物を安定的に供給できる産地づくりにも取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、農地の流動化を進めるためのシステムづくりについてでございますが、遊休農地対策の中で農地情報のシステムづくりにつきましては、非常に重要であると考えてございます。
 このため、県におきましては本年度の新政策の中で、意欲ある3JAにおいて、選果場を単位として地域の実情に精通した農協OB等の力もかりながら、農地流動化や担い手づくりに取り組んでございまして、今後こうした取り組みをさらに拡大するとともに、農家や法人の皆様が活用しやすいよう市町村のデータベース化についても支援してまいりたいと考えてございます。
 なお、議員お話しの集落支援員につきましては、地域振興を図っていく上で重要な役割を担ってございまして、こうした方々との連携を密にしながら遊休農地対策などを含めまして、農地の流動化を促進してまいりたいと考えてございます。
 次に、森林林業政策の3点について一括してお答えをさしていただきたいと思います。
 本年1月に策定をいたしました紀州材生産販売プランに基づき、低コスト林業を初め大消費地等への販売促進に努めているところでございます。
 こうした施策をさらに一層推進するため、本年度、県森林組合連合会を核とした協議会を設けまして、紀州材の安定供給に向けた素材集出荷体制の整備について検討を進めるとともに、木材流通に関する専門的なアドバイザーを置き、木材販売力の強化を図っているところでございます。
 今後もこうした取り組みを重点的に続け、議員御提言の木材加工場の県内誘致なども視野に入れつつ、森林組合や木材企業、さらには市町村など、川上、川下の林業関係者が一体となった総合的な森林林業政策の推進に努めてまいりたいと考えてございます。
 最後に、梅の生育不良についてでございますが、発生当初より産地における発生状況など実態把握に努めているところでございまして、平成11年をピークに減少傾向にあり、平成20年には約1万3000本となってございます。
 この生育不良の原因究明につきましては、これまでの研究により多くのデータを蓄積してございまして、その得られた成果につきましては、梅安定生産マニュアルの改訂を行いながら、地元の生産者等に情報提供をしているところでございます。
 今後も引き続き、生育不良の発生状況や、県下39カ所に設置をされてございます大気環境常時監視測定局の調査結果や、うめ研究所におけるオゾン測定結果などを注視しつつ、産地の皆様方と一体となり、生育不良の原因究明はもとより、地域にとって必要な対策を適切に実施し、梅産地の維持発展に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) まず、建設業の新分野進出への支援策についてでございますが、建設産業は、社会資本の整備や災害対応の担い手として重要な役割を持ち、地域の経済、雇用を支える基幹産業でございます。しかしながら、昨今の経済情勢の中で、建設産業を初め全産業の経営環境は一段と厳しさを増している状況であると認識しております。
 こうした中で、県では建設産業の振興を図るために、各振興局建設部に建設業相談窓口を設置し、経営相談を初めとするさまざまな相談に応じており、議員御指摘の新分野への進出を希望する建設業者の方についても、その進出の相談や新分野における事業計画に関するアドバイザー派遣等の情報提供を行っているところであります。その他、経営改善や新分野進出などに関する経営支援セミナーを商工観光労働部や農林水産部と共催で開催しているところであります。
 今までの成果と今後の取り組みについてでございますが、この窓口には現在までに計43件の御相談がございまして、そのうち農林水産業への進出に関するものは12件であります。また、建設業者を対象とした経営支援セミナーには延べ569名の参加がございました。
 これら新分野への進出を希望する建設業者の中で、実際に農業、福祉あるいは環境分野に進出した業者は4社となってございます。
 今後とも、地域の経済、雇用を支える建設産業の健全な発展、育成に努めるとともに、一方で議員御質問の新分野進出を希望する建設業者につきましては、その希望に応じまして、関係部局と連携して、相談や必要な情報提供に努めてまいりたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
 34番原日出夫君。
○原日出夫君 1点目の福祉の関係で、この答弁を見ますと、ちょっと私との考え方が逆なように思います。
 私の言わしてもらったのは、今まで知事が言われたように、最初質問さしてもらったように、いわば社会保障へのいわゆる税や所得再配分は、経済全体の生産性を低下させて、金が要るよ、それはもちろん知事言うように、受益者とか県民、国民の負担になってくるわけですけども、経済成長によってマイナスの効果になると言われていたんです。
 ところが、私は実際に自分もいわゆる紀南、とりわけ紀南においては、主要な主幹産業というのは、先ほど言ったように一次産業であり製造業であるんですから、そういう意味での、見ますと、たまたま監査していきまして、和歌山県全体の所得税の収入の比率も見ると、もうまるっきし20%ぐらいの所得税比率しかないぐらい、いわば所得に対する市町村の税収入や県民税の県税の収入が少ない。それは何かと言うたら、所得をもらえるそういう事業所が少ないということですね。
 だから、そこらに立ったら、私はこの福祉産業が少なくとも、延べにして平均的にそういう事業所がこの高齢化社会の中で生まれてくる、そこに投資したお金はそこで生まれる消費する者、そこで働く人たちの所得、それが地域に戻っていくという部分では、その一時の投資が必ず税収入へ戻ってくる、こういう感覚に、1つの地域経済の法則からいえば、そういう観点に立たないといけないんではないか。
 それは、ことしの2008年の厚生白書でもそう述べられております。つまり、社会保障分野の生産波及効果ということについて、総波及効果は全産業平均よりも非常に高いと。一番高い。しかも、それに対する社会保障分野の雇用誘発効果は、これについてもトップであります。そのことを厚生白書では認めながら、この分野に、よりやっていくということについての考え方ははっきりしてる。
 ただ、私は、知事も共通するところは、じゃその負担をどこに求めていくんなと。いわば高齢化になって、いわばお互いに負担しながら受益を得ていくという部分での福祉の、社会保障の分野というのは非常に厳しい分野がありますけど、しかし原則は、基本は国はこれにどう政策的にこの社会の中で今後やっていくのかということと、それに対して、ずっと見れば国民の負担も一定やむを得ない、そういう社会システムに将来なっていくことはもう確実だと思います、この高齢化がこれだけ進んだら。
 例えば、このデータですけど、2025年にはいわゆる団塊の世代が75歳以上になったという事例で、今介護並びに医療、そういったことにかかわる人口から見ると、医療・介護の職員が約2倍必要となってくると。これはもう避けて通れないと。そのための我々の社会保障システムをどうつくっていくかということがありますけども、ただ私は、短絡的にだけ見てみると、我々はそういう紀南の事業、地域の活性、雇用につながるその中での所得収入を上げていくということについては、私は大きな1つの産業だと見ています。そういうことで意見を述べさせてもらっておきます。
 それから次に、建設業の参入なんですけど、私は以前から、これからの、先ほど言うた森林林業政策の中で、我々紀州の木はこれから近く、10年後にはもうどえらい商品になるよと。商品になるだけに、どんどん人は減っているんじゃないかと、林業就労者が減ってきやると。これには僕はもう土木建設業者しかないと思ってます、地元雇用になったら。
 一時、緑の雇用でIターンとか何とか言うてましたけど、そういう問題はそれとして波及効果はあるけども、主体は地域の建設土木業者がやっぱりこれに参画していくという、それが雇用を生み出していくということに僕はなると思います。
 地域の人たちは、半農半林業の半土木で、現金収入は土木で得てたと。これを土木から森林整備事業に思い切ってやっていくと。これは僕は国の政府、いわゆる一時、緑の雇用事業、和歌山県言うたら、僕は緑の公共事業でええと言ったんです、前の知事には。
 緑の雇用というより緑の公共事業、公共事業でかなり多くの雇用と、そこに生まれる投資が地域の活性化につながっていくんじゃないかということで、今、国が緊急の雇用対策として出ていますけども、私たちはあの分野の今言うてることは、都市部のいわゆるグローバル産業が蓄積していったところの考え方であるんですけど、地方の今の考え方の僕は緑の公共事業としての短期間の、いわばこの不況と雇用対策に対して、緑の公共事業としての提言を改めて強く国に申し入れる必要があるんではないかと、僕はそう思ってるんです。
 それが、いわば建設業者のやっぱりこれからの参入、農業もしかりですけど、直接参入して毎日の現金収入になるという、この事業について、思い切り力を注いでいただけたらありがたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。
○議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 14番谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕(拍手)
○谷 洋一君 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 世界は、アメリカのサブプライムローンをきっかけに金融の危機に陥っております。100年に一度とまで言われているこの金融危機は、日本の経済にも深刻な影響を及ぼしており、当然、本県の経済状況も先行きは不透明という厳しい状況に置かれております。株価も安定せず、年末を控え、経済状況の厳しさはますます増していく勢いであります。
 私としては、このような状況を非常に憂慮しているところですが、本県の財政、経済対策等に係る質問は、同僚の山下直也議員や原議員がされましたので、今回は私は、特に地元である紀南地方の重要な課題であります道路や観光、水産の3点に絞りまして質問させていただきます。
 最初に、近畿自動車道紀勢線の整備についてお尋ねいたします。
 まず、知事がこれまで近畿自動車道紀勢線の整備促進について、人が暮らすための平等な権利の保障や企業誘致などの経済活動の基本的なチャンスの保障などの観点から、本道路は不可欠であり、その早期実現は和歌山の悲願であると、国や関係機関に強く働きかけていただいておりますことを大変心強くお礼を申し上げます。
 さて、私たち紀南の住民にとっては、近畿自動車道紀勢線とは、近い将来発生が予想されている東南海・南海地震による津波等災害時の緊急患者の輸送や救援物資の輸送を担う命綱であります。また、産業や観光等地域経済の活性化を担う生命線でもあります。
 そのため、紀勢線の早期整備を待ち望んでいるわけですが、これまでの建設経緯を整理しますと、昭和49年10月に府県境から海南まで開通後、昭和59年3月に海南から有田までが約10年間で開通、平成8年3月に有田から御坊までが約11年で開通、平成19年11月に御坊から田辺までが約11年で開通、平成27年までの8年間で田辺からすさみまでを要望中となっております。
 結果として、これまでの区間は約10年で開通しています。地元の状況としましては、新宮市三輪崎から那智勝浦町川関までの自動車専用道路がことし3月に開通し、川関から市屋までの間が現在事業中であります。
 そこで、近畿自動車道紀勢線の紀伊半島一周早期実現に向けた取り組みについて、知事の御所見をお伺いいたします。
 また、現在事業中である田辺─すさみ間の先の未事業化区間であるすさみ─那智勝浦についてのルートや開通の見通しについて、県土整備部長にお尋ねいたします。
 いずれにいたしましても、紀勢線開通までに期間を要すると思われますが、このような中で唯一の幹線道路である海岸線を走る国道42号線は、集中豪雨や台風等でたびたび通行どめになる状況になっております。
 紀勢線の開通までに地震が発生した場合の対策をどのように考えておられるのかを県土整備部長にお尋ねいたします。
 次に、本県の観光の振興についてお尋ねいたします。
 私は、観光は本県にとりまして大変重要な産業、いわゆる基幹産業だと認識しています。とりわけ、豊かな自然が残り、素朴な人情に触れることができる紀南地方においては、最もふさわしく地域の発展のかぎを握る産業であると考えています。
 また、昨今、旅行の形態が見る、食べる、遊ぶ、買うの観光スポットを線でつなぐ周遊型の観光から、自分の感性や趣味に合うところをじっくり楽しむ形の滞在型観光へ移行しつつあるとされています。こうした時代潮流を先取りして成功した温泉が熊本県にあります。
 それは、黒川温泉という24軒の旅館から成る小さな温泉町で、最寄りの高速道路のインターからも空港からも1時間ほどかかる決して交通の便に恵まれているとは言えない温泉です。しかしながら、ここ数年の人気はすさまじく、さまざまな雑誌やインターネットのサイトの温泉ランキング調査で必ず上位に顔を出しています。特に、若い女性から高い支持を得ています。
 しかし、この人気の温泉も昭和50年ごろまでは全く無名のひなびた温泉だったそうです。それが今では年間120万人を超える観光客を集める温泉になっています。
 その理由はいろいろ紹介されていますが、その中でも、黒川温泉1旅館をモットーに、各旅館は部屋、道路は廊下という考えで温泉町を挙げて雑木林を植林し続けていることが挙げられます。だれもが見ほれる日本庭園ではなく、クヌギやナラ、栗などをまちぐるみで植えているのです。温泉街共通のコンセプトとして実践し、特色ある観光地づくりに成功しているわけです。
 こうした取り組みを県がイニシアチブを発揮して、県下全域で進めることが重要ではないでしょうか。
 これからの観光を考えると、特色ある観光地づくりと並ぶもう1つの大きな課題は、魅力ある情報発信であると思います。
 先ほどの黒川温泉でも、黒川温泉1旅館をモットーにしたまちづくりを進める一方で、全国の温泉地のモデルになった他の旅館の露天ぶろに入れる共通の入湯手形の発行や、共同でのテレビ広告など話題づくりや情報発信に一丸となって取り組んできたことで、個々のホテルや旅館ではなく、黒川温泉として自然にひたれるいやしの温泉のイメージを確立しました。
 一方、本県には、世界遺産に登録された熊野・高野があります。徳川御三家の歴史があります。また、三古湯と称される白浜温泉や日本一の那智の滝、リアス式海岸美を誇る勝浦温泉、ラムサール条約に登録された串本沿岸地域があります。古座川に代表される清流があります。料理もマグロ、クエ、イセエビ、タチウオなど新鮮な海の幸があり、梅やミカン、柿、桃など果樹王国でもあります。観光資源としては、ほかのどの地域にも負けないと自負しているのは私だけではないと思います。
 また、地元の那智勝浦町において、観光地づくりに関連する幾つかの取り組みがなされています。よみがえれ脇仲倶楽部というまちおこしのグループが、漁具のビン玉を活用したまちづくりに取り組み、懐かしい勝浦を情報発信しています。また、下里・浦神・太田地区の住民が中心の花てまりの会というボランティアグループが、観光客の目を和ませるために四季折々の草花を育苗から定植、維持管理まで行っております。
 そのほかにも、自然と触れ合う各種行事をも開催している宇久井森と海の自然塾、日本一短い川として認定を受けたぶつぶつ川を盛り上げていこうとする住民グループも粉白区を中心に立ち上がろうとしています。
 こうしたすばらしい地域の資源、取り組み等を特色ある観光づくりに生かすとともに、いかに情報発信していくかが重要であります。
 その情報発信についてですが、我が国の人口は既に減少期に入っており、それにつれ国内観光客も伸び悩む傾向にあり、海外に活路を求める県内の観光事業者も増加しています。したがって、これからの情報発信では世界を見据えた取り組みが求められています。
 私は、この地域の魅力を最大限生かした観光地づくりと、国内外に向けた観光地の魅力発信の2つが車の両輪として機能することで、住んでよし、訪れてよしの観光立国和歌山の創造につながっていくと確信しています。
 このことについて、知事の御所見をお願いいたします。
 来年は、紀勢本線が全線開通して50周年、さらに熊野・高野が世界遺産に登録されて5周年という記念すべき年であります。
 紀勢本線の全線開通は、和歌山県にとって、特に新宮、東牟婁地方にとって画期的なことでありました。これにより、名古屋、東海圏とも結ばれ、例えば近年の東海を発地とする宿泊客数の全体に占める割合を見ましても、新宮、東牟婁地方は県内他地域の2倍以上となっていることからも明らかなように、当地方にとりまして非常に大事な、なくてはならない鉄道であると言えます。
 また、高野・熊野が世界遺産登録されて4年と5カ月、その魅力は色あせることなく引き続き多くの人々が訪れてくれています。しかしながら、近い将来、世界遺産の地というだけでは、観光客が減少していくことも懸念され、ことしは景気後退の影響もあるでしょうが、若干そうした兆候があらわれております。私は今のうちに観光地として新しい魅力をつけ加えていかなければならないと強く感じているところであります。
 そこで、平成21年というダブルの記念の年に、和歌山県の観光振興につながるどのような事業を考えておられるのか、商工観光労働部長にお尋ねします。
 最後に、本県水産業の具体的な振興策についてお尋ねいたします。
 「県民の友」10月号にも紹介されておりましたが、平成17年の我が国の食用魚介類の自給率は約60%となっております。農産物の自給率が約40%であるのに比べ20%ほど高くはなっていますが、昭和50年以前の自給率が100%を超えて輸出もしていたことを思えば、大きく減少していると言えます。
 この間、国内及び輸入を合わせた年間供給量は約800万トンで安定的に推移していますので、必然的に国内の漁業生産が大きく減少し、その分輸入水産物が増加しているということで、国の食料資源の安定確保の観点から自給率のアップが求められております。
 加えまして、昨今、特に中国から輸入される農林水産物やその加工品の一部から残留農薬等が検出され、また産地を偽装する事件等が発生したことから、消費者の食の安心・安全に対する意識が急激に高まり、安心・安全な国産農産物を求める声が大きくなっております。
 そこで、本県漁業の動向ですが、この10年間で漁業生産量が7万2000トンから3万5000トンに半減し、漁業生産額は453億円から187億円に6割減少しております。資源の減少、魚価の低迷等で漁家の経営が大変厳しくなっていることから、漁業経営体は約3割減少し、新規就業者が少なく、65歳以上の高齢な漁業就業者の割合が40%以上となっています。
 そういった厳しい状況にあるとは言いながら、私はさきに述べましたように、漁業者は消費者に安心・安全な水産物を安定供給していくという使命があると考えておりますし、水産業は農業、林業とともに本県主幹産業の一翼を担っているとも考えております。したがって、地域の活性化のためにも今後一層、漁業振興を図っていかなければならないと考えます。
 現在は、後継者不足、高齢化等によりまして漁村地域全体が衰退している状況であります。このことは、言いかえれば漁業者が水産業で生活ができないことを意味しております。今後、本県の水産業が健全に維持していく上においては、漁業所得の向上を図ることが必要不可欠であり、県として水産業の振興を講じる必要があると思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 漁協の合併については、漁協合併促進法に基づく合併及び事業経営計画の認定が、平成19年度末に期限を迎え終了しました。本県でも各振興局単位で合併が図られるなど、一定の成果を上げたと考えます。しかし、長期的な水揚げの不振等から漁協組織が疲弊、弱体化しており、さらなる組織の再編強化が望まれておりますが、その進捗状況と今後の展望について、農林水産部長にお尋ねいたします。
 昨年来の燃油高騰問題について、国は燃油高騰対策として省エネ型漁業推進の方向性を示しております。燃油価格が一時に比べ下落したとはいえ、私は省エネ型漁業推進の方向性を今後も求めていくべきだと考えております。
 紀南地域で特に盛んな磯根漁業、イセエビ、アワビ、ヒジキ、テングサなどの漁業のことをいいますが、紀南地域では多くの漁業者が営んでおります。ごく沿岸で操業でき、燃油をほとんど消費しないため、磯根漁業の比重が相対的に高まってきております。
 私は、磯根漁業は省エネ型漁業の見本であり、紀南地方の漁村を維持していく上で重要な漁業と考えています。そのため、投石や漁礁設置、種苗放流などを積極的に行って一層振興していくべきであると考えております。
 幸い、本年2月に示された向こう5年間の水産業活性化アクションプログラムにおいても、水産基盤整備は漁業所得の向上を図る主要施策の1つに位置づけられておりますが、磯根漁業の振興について、農林水産部長にお尋ねいたします。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの谷洋一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、近畿自動車道紀勢線の紀伊半島一周道路、早期実現に向けての取り組みでございます。
 近畿自動車道紀勢線は、企業誘致やあるいは観光振興、農林水産業の振興など、県民の将来のチャンスを保障するものといたしまして、また今後、非常に高い確率で発生が懸念されております東南海・南海地震、こういうときのこういうものへの備えとか、あるいは救急医療活動の観点から、私はどうしても不可欠であると考えております。
 これまでもあらゆる機会を通じて早期実現を訴えてまいりました。特に、今後どういう、国として道路をつくっていくかという中期計画の見直しに当たりましては、近畿自動車道紀勢線の紀伊半島一周が実現するように努力をしてまいりました。
 これがうまくいったかなと思ったんですけれども、もう一度やり直しということになりましたので、今また努力をしなきゃいけないということになっております。
 この際に、道路をつくるときの優先順位を決めていく、いわゆるBバイCという便益費用分析があります。道路の事業を評価する手法であります。この現行の手法については、走行時間短縮、走行経費減少、交通事故減少という直接効果3つを、これを現在のあるいは将来の交通量からはじきまして、それで比較をしていくと、この費用と比較をすると、こういうことになるわけでございます。
 この直接効果3つというのは、諸外国では大変珍しい過小評価であります。諸外国では、これに加えまして、間接効果も含めて評価しているわけで、具体的には、例えば谷議員は地震のお話をされました。こういう地震の災害対策とか救急医療とか、そういうものについてきちんと評価をして、それを合算していくという方策をとってるわけであります。
 和歌山県としては、こういう事態にかんがみまして、国土交通省や政界に対して災害対策、救急医療、観光、環境改善の4項目を加えて事業評価を実施し、また和歌山県のような人口も少なく、BバイCがもともとの交通量をはかって計算するならば、小さく評価されがちなところについては、これは実際に当初予想を上回るような交通量が実際に道ができるとあるわけですから、それを補正して計算をして、それで全国的な資源配分を考えるようにという要望を今しているわけであります。
 昨今、交通量の算定が過大であるということばかり議論されておりますけれども、交通量のこの算定においても、実は和歌山県の高速道路については、工事をしようとしたときの計算値に対して、実際に位置づけされた交通量は2倍に近いものからそれに近いようなものまでたくさんございまして、したがって、実は交通量予測が過大どころか過少になっておるというのが和歌山県の現状なのであります。
 これに加えまして、先ほどのようなことをきちんと国においても評価をしていただいて、それでぜひ紀伊半島一周の高速道路、我々のチャンスを保障するものとして実現したいというふうに考えております。
 県民の皆さんも我々の将来、あるいは子々孫々の繁栄ということを考えまして、ぜひこのような行動に御協力いただきたいというふうに考えております。もちろんその代表である県議の皆様方もよろしくお願いしたいと思います。
 次に、本県の観光振興についてでございますが、観光振興を図っていく上で重要なことは、議員も御指摘になりましたとおり、特色のある観光地づくりと魅力を広く伝えるということが車の両輪として機能して、それで数ある観光地の中から和歌山が選ばれ、実際に来ていただいて、県内での消費活動に結びつくということになるような動きをつくっていきたいと、こういうことでございます。
 私は、お世辞で、お世辞というか、ただの自慢ではなくて客観的にも──これはちょっと客観的になりにくいんでありますが──私もすばらしい観光資源が多数あると思います。興奮するようなものがたくさんある。さらに、ふだん住んでおります私たちが気づかないようなものもまたいっぱいあるんじゃないかと、そういうふうに感じております。
 例えば、熊野古道沿いの棚田や里山の風景、小川のせせらぎなどは、我々としては何気なく考えておるわけですが、近年いやしと安らぎをもたらすとして脚光を浴びつつあります。
 こうした地域資源を見直すとともに、俗化させないような配慮をしながら、観光客にも味わっていただいて、それでそこで十分な消費をしていただくというようにアレンジしていくことが、特色ある観光地づくりではないかと考えております。
 また、こういう魅力の発信については、何をどのような形でどのタイミングで発信するかが重要であると考えております。和歌山電鐵のタマ駅長や白浜の双子パンダの誕生などの話題をホットなうちに全国に発信すると広くマスコミに取り上げられますし、さらに周辺地域の観光資源と結びつけますと、新たな観光ルートの開発にもつながっていくと思います。
 海外に向けても同様でございます。特に、文化志向の高い欧米には、世界遺産高野・熊野あるいは温泉や新鮮な料理、ゴルフなどを好む東アジアの方々には、紀南地域を中心に据えて、その魅力をちゃんと伝えていくというようなことなど、戦略的な情報発信に努めていきたいと考えております。
 ただ、観光振興は、行政だけでなし得るものではありません。特に地域の魅力を掘り起こし、磨き上げ、また一方で保全をしていくという取り組みは、地域の方々が主体的に取り組んでくださればこそであります。長期総合計画で掲げました「癒しと感動を与える誇れる郷土和歌山」の実現として結実するために、県民の皆さんの一致団結いたしました御努力と御協力をお願いしたいと考えております。
 次に、水産業の振興でございます。
 漁獲量の大幅な減少、魚価の低迷、担い手の減少、また昨今さらにこれを追い打ちするように、燃油高騰、それからさらにクロマグロやメバチマグロについては国際的な漁獲規制の動きということで、水産業を取り巻く厳しい状況については大変なものがあると認識しております。
 こうしたことを踏まえまして、これを何とか発展、振興せないかんということで、他の農産物などもそうでありますが、まずうまく売れないと、高く売れないと所得にならないということで、水産物の販売促進を他のものと一緒にできるだけ頑張ってやろうというふうに考えております。
 例えば、FOODEXという東京で開かれました大変な人が集まるフェアに水産業の方も展示されました。農産物の方も展示されたんですが、私が見ているところ、一番人が群がっておったのは、どうも水産物を売っているところであったというような気もいたします。
 それから、東京の築地市場で鮎の販売のプロモーションをさしていただきました。そういう市場対策を一生懸命やるということが1つの方向だと思っております。
 一方、生産面でも、大変この特に水産業についてはてこ入れが大事だろうと考えております。
 そこで、こういうのを全部合わせて、本年2月に水産業活性化アクションプログラムを策定したところでございまして、とりわけ流通戦略の構築を重要な柱と位置づけまして、安定出荷や多様な販路の開拓を図るために、現在47ある産地市場を5つの拠点市場にこれを再編をするということで、昨年から実施しております専門アドバイザーの指導・助言により、新たな販路開拓や高付加価値商品の創出に取り組んでまいりたいと考えております。
 一方、まき網船団のスリム化などによる経営体質の強化も大事であります。恵まれた海域を生かしたマグロや地域特産品種であるところのクエなどの養殖業あるいは増殖水産業、そういうものについても頑張らなきゃいけないというふうに思っております。
 同時に、観光業と連携して漁船クルーズ等マリンレジャーへの取り組み拡大、あるいはシラスなど──これは和歌山市が中心になって頑張っていますが──を売り出すことによって観光と水産を両方売り出そうと、こういうような新しいビジネスの創出を促進するように業界の方々にもぜひ働きかけて、後押しをしてまいりたいと考えております。
 また、今回の急激な燃油高騰に対しては、県では緊急措置として公共事業の前倒しとか運転資金に対する利子補給のほか、国の施策、これがかなり大きいものでございますので、あわせて対応をしております。
 こうした施策を総合的に実施することで、担い手の確保を図り、漁業経営の安定化を図るとともに、漁場資源の保全やあるいは資源管理等による水産資源の回復に努めまして、本県水産業の、あえて再生と申し上げたいと思いますが、頑張ってまいりたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) すさみ─那智勝浦間、これにつきましては、国土開発幹線自動車道建設法の基本計画に位置づけられ、これまで国におきまして基礎的な調査が進められてまいりました。
 今後、田辺─すさみ間の事業推進とあわせまして、国による環境調査やルートなど必要な調査・計画を進め、一刻も早く事業化のめどを立てていただくとともに、早期に完成するよう国に強く働きかけてまいります。
 それから、近畿自動車道紀勢線の開通までの震災対策についてでございますが、国道42号は台風時の高潮等でもたびたび通行どめになる状況であり、今後発生が懸念されております東南海・南海地震の津波により分断され、沿岸の各地が孤立するおそれもあります。
 このため、緊急輸送道路としても近畿自動車道紀勢線の一日も早い整備が不可欠であり、現在事業中の田辺─すさみ間において、県として用地取得など全面的な協力を行い、できるだけ早急に開通するよう国に対し強く働きかけているところであります。
 さらに、紀伊半島を一周する高速道路が完成するまでの補完道路といたしまして、国道311号や国道168号などのいわゆるX軸ネットワークの早期整備に努めており、また沿岸部の集落を結ぶ生活に不可欠な道路につきましても、財政状況厳しい中ですが、現道の狭隘部の拡幅等整備を進めるなど、道路ネットワークの強化を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 本県の観光振興についての2項目につきましてお答えをさせていただきます。
 紀勢本線全線開通50周年及び世界遺産登録5周年に当たっての取り組みについてでございますが、議員御指摘のとおり、来年はそれぞれ大きな節目の年であると十分認識してございまして、本県への誘客促進に向けましてさまざまな事業を企画・展開していく大いなるチャンスであると考えてございます。
 まず、紀勢本線全線開通50周年記念事業につきましては、JR西日本とJR東海が連携し、全通記念日である来年7月15日を中心に記念事業の検討がなされているところでございまして、本県も三重県とともに積極的に参画してまいりたいと考えてございます。
 現在、記念列車の運行や沿線主要駅でのイベント開催、京阪神、名古屋等の都市圏における観光キャラバンの実施などが検討されているところでございまして、県としましてもJR及び沿線の市町と十分連携しながら積極的にその盛り上げに取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、世界遺産登録5周年記念事業についてでございますが、高野・熊野が世界遺産に登録されて以来、多くの方々に来訪いただいてございます。来年は登録5周年を迎え、世界遺産を活用してさらなる誘客を図っていくこととしてございまして、より一層その魅力は広く国内外に向け認識されるよう情報発信を強化し、誘客に結びつけてまいりたいと考えてございます。
 具体的には、那智勝浦町における那智参詣曼陀羅、マグロ、漁港のまちなみといった地域の特性を生かした体験メニューの創出など、県内の世界遺産対象地域における新しい魅力づくりへの活動が活発となってきてございまして、地元の皆様とともに全力を挙げて進めてまいりたいと考えてございます。
 いずれにしましても、来年度は紀勢本線全通50周年及び世界遺産登録5周年を和歌山県売り出しの絶好の起爆剤として、大いに観光振興に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(大沢広太郎君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 漁協合併の進捗状況と今後の展望についてでございますが、漁協合併につきましては、議員御承知のとおり、漁協の経営基盤の強化を図るためにこれまで取り組んでまいってございます。その結果、平成19年4月の紀州日高漁協及び和歌山南漁協の発足を皮切りにいたしまして、現在6つの漁協で合併をいたしてございます。その結果、現在26組合に再編をされるなど、一定の成果も見られてございます。
 県といたしましては、既に合併を果たした漁協の財務改善に対する指導や漁協組織の将来展望について、県及び漁協系統組織で構成する委員会などでさまざまな協議を重ねるとともに、拠点市場の施設整備に対する支援を行うなど、ソフト、ハード両面において、漁協の基盤強化を図ってございます。
 今後も関係機関との話し合いを重ねながら、さらなる漁協合併を推進してまいりたいと考えてございます。
 次に、沖合いでなく地先沿岸で営まれる、いわゆる磯根漁業につきましては、紀南地方の沿岸漁家を底支えする重要な産業というふうに考えてございます。
 しかしながら、お話にございましたように、磯焼けが紀南地方で継続いたしてございまして、アワビ類等の漁獲が減少してございます。このため、水産試験場が中心となりまして、国を初めとする関係県、あるいはその大学等と原因究明を図るための共同研究を行うとともに、磯焼けの要因の1つとして考えられる高水温、これに耐えられる海藻の品種改良にも取り組んでございます。
 県では、これまでも地元の要望を受けまして、投石、イセエビ礁の設置を支援するとともに、アワビ類等の種苗生産、放流を行うなど資源の回復に努めてございます。
 今後とも、燃油等の経費が少なく安定した収入が得られる磯根漁業の振興を積極的に図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 以上で、谷洋一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時29分散会

このページの先頭へ