平成20年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(藤井健太郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 議長のお許しをいただきましたので、張り切って一般質問をさせていただきたいと思います。
 まず、燃油価格高騰問題と今後の対応についてでありますが、既に今議会でも先輩議員から議論がありまして、重複する部分はお許しをいただきたいと思います。
 県は、昨年の12月20日、原油価格の高騰を受けて、県の施策の検討や情報交換などを目的として、原油価格高騰に係る庁内対策会議を設置しました。全庁的な取り組みとして、各部局への相談窓口の開設、価格動向の把握、便乗値上げの監視、融資制度の拡大、漁業近代化資金への利子補給、生活困窮者の見守りや単品スライド条項の適用、省エネ対策など、数多くの対策に取り組んでまいりました。
 庁内対策会議が設置をされて間もなく1年が過ぎようとしておりますが、燃油価格は依然として高どまりの状況であります。燃油以外の諸経費も上がり、コストアップ分を売買価格に転嫁できない、下請価格に上乗せして請求できないという状況が中小の業者で広く見られ、売り上げがふえないもとで、規模の小さい中小零細の事業者が置かれている状況、一層厳しくなってきております。ことしも年の瀬、季節的には冬場を迎えるに当たり、中小事業者の経営や県民生活をどのように守っていくのか、県政に対する要望も高まってきております。
 そこで、知事並びに関係部長にお尋ねをいたします。
 1つ目、対策会議設置後の対策とその総括について知事にお尋ねをいたします。
 対策会議の立ち上げ以後の施策とその評価について、その主眼は何であって、どのような成果を得たと考えておられるのか。対策会議は継続されるものと思いますが、今後の運営方針、どのように考えておられるのか。2つ目に、県内産業への影響把握と今後の対応について。3点、知事にお尋ねをいたします。
 農漁業や運輸・交通、建設、クリーニング、公衆浴場など、燃油が経費に占める割合の大きい分野での影響、これをどのように認識をされているのか。実態の調査はされてきたのでしょうか。また、その結果はどのようになっているのでしょうか。
 2点目に、今後県が実施すべきと考えている緊急的な対策、また中長期の対策、それらの基本的な方針をどのように考えておられるのか。これから年末を控えて中小事業者の資金繰りが懸念をされます。緊急的には借入金に対する利子補給や保証料の軽減などが考えられるわけですけれども、9月補正では見るべき新たな施策がないように思います。どのように考えておられるのでしょうか。中長期的には温暖化対策も兼ねた省エネに向けての支援などが考えられるでしょうけど、差し迫って困難に直面している事業者への支援のあり方をどのように考えているのか。これは、国の緊急対策待ちではなく、県でできることは早急に取り組んでいってもらいたいと思います。
 3点目、この8月29日、政府において緊急総合対策が取りまとめられ、補正予算での具体化はこれからの課題となっています。知事は、今議会の冒頭の説明で、国の総合経済対策を活用して支援を進めてまいりたいと言われておりましたが、この機会に県内事業者の実態をつかみ、国への具体的な要望を上げていくことが必要だと思います。
 例えば、国では漁業関係者の強力な運動もあって、水産庁が燃油価格高騰分の9割について全国で80億円の予算で直接支給を始めることとなりました。既に申請が始まっております。漁業関係者の声を聞いてみますと、その支給条件として、これから10%の燃油削減を求められることや水揚げがふえれば支給額を減じるなど、これまで油を削減できるところまでぎりぎり削減してきた、水揚げをふやすことでコストアップ分を少しでもカバーしようとしてきた、これ以上求められると厳しい。さらに、経費に占める燃油負担の割合が全国的に高いところから順にということなので、うちまで回ってくるのかどうか不安だが、とりあえず申請は出したということでした。漁業者の要望にどこまでこたえられるものとなるのか。今のはほんの一例でありますが、緊急総合対策が県内事業者にとって利用しやすいものとしていくことが重要です。どのように対応していこうとされているのか。
 3つ目に、国の特別交付税を活用した事業の実施について、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 国が自治体向けに、原油高騰に対する経費の2分の1を特別交付税で措置する施策が幾つかあります。19年度は、30道府県752市町村が活用しています。国は20年度においても同様に措置するということで、ことしの7月段階では37道府県が予算措置したということです。
 その1つが、福祉灯油と言われる生活困窮者に対する灯油購入費への助成です。19年度は、全国的には12道府県689市町村が実施、県内では高野町が実施しています。お隣の徳島県は、県が音頭をとって全県的に実施をいたしました。これから冬場を迎えるに当たって、県内の灯油価格の動向には厳しいものがあります。和歌山市内で配達をしてもらって、18リットル2350円、高値で推移しているわけです。平成16年4月の時点では18リットル860円前後でした。規制緩和で灯油価格が市場価格にゆだねられ、原油価格の高騰によってさらに拍車がかかり、5年間で3倍になりました。灯油価格の急激な高騰に対して、福祉的側面から生活の困窮している世帯を対象に助成をする、福祉灯油と言われるゆえんです。
 福祉灯油の制度を県として実施すること、また、実施する市町村への支援を求めたいと思いますが、どうでしょうか。
 生活保護基準に、11月から翌年の3月まで、暖房費としての冬季加算の制度がありますが、和歌山市の場合、1人世帯で月額2810円です。灯油20リットル分で1カ月とはもちません。灯油価格が上昇する以前と加算額は変わっておりませんし、冬場に暖房をより必要とする山間地ほど金額が低くなっている、こういう矛盾もあります。収入が生活保護基準相当であっても、生活保護を受けたくない、受給されていない人がたくさんおられます。国の活用できる制度を利用して、生活に窮する県民に温かい手を差し伸べてもらいたいと願うものです。
 社会福祉施設への支援の拡充も考えられます。障害者施設には、国から燃油高騰分として運営費への一定額の上積み助成が19年度分については行われたところですが、高齢者、障害者、児童などの社会福祉施設での暖房費高騰分、デイサービスなど送迎の燃料費高騰分への助成など考えられないでしょうか。施設への報酬が引き下げられております。施設運営には厳しいものがありますが、施設の安定的な運営を図る上からでも検討してもらいたいと思います。
 次に、防災についてお尋ねをいたします。
 折しも台風13号が接近をしておりますが、大雨のおそれがあるということです。十分な警戒態勢をお願いするものです。
 さて、9月は防災月間でもあり、各地で防災訓練が行われました。私も、地元の小学校の訓練に参加をしてまいりましたが、改めて家庭や地域ぐるみでの災害への日常的な備えを怠らないこと、そして、行政の防災への取り組みの強化充実が求められていることを実感いたしました。国内だけでも、昨年3月の能登半島地震、7月の中越沖地震、ことし6月の岩手・宮城内陸地震など、規模の大きい地震が続きましたが、地震だけではなく、短い時間で狭い地域での集中豪雨や竜巻、突風などの気象の激変による災害も多くありました。
 県内でも、ことしの5月24日午前3時から翌25日午前10時までの雨量が和歌山気象台で145ミリを観測、紀北地域のため池被害を初め、和歌山市内においても和歌浦地区で時間当たり80ミリを超す豪雨が観測されるなど、各地で道路冠水が起こり、床上・床下浸水、土砂崩れなど、少なくない被害が広範囲に起こりました。この8月の末には、愛知県岡崎市で1時間に最大146.5ミリ、24時間雨量では300ミリを超え、降り始めからでは448ミリの雨が観測され、河川がはんらん、家屋の軒下までの床上浸水、道路の冠水や停電、橋の決壊、交通機関の麻痺、死者や行方不明者が出るなど、市民生活に甚大な被害をもたらしたところです。被災されました皆さんにお見舞いを申し上げるとともに、早期の復興を願うものであります。
 近年、集中豪雨の発生回数は増加しつつあり、今後も夏の降水量と豪雨の頻度が増加すると予測をされております。岡崎市で起きたような集中豪雨が和歌山市を襲ったらどうなるのか。現在、河川改修など進められておりますが、果たしてどこまでの雨量に耐えられるのか。堤防の決壊やあふれ出した場合の備えは十分なのか。被害を軽減させるための取り組みはどうなっているのか。解決を迫られている多くの課題があるように思います。
 そこで、近年の集中豪雨が観測史上初めてという降雨量を記録していることにかんがみ、洪水対策について、特に和歌山市域の問題について関係部長にお尋ねをいたします。
 1つ目に、紀の川洪水ハザードマップについて危機管理監にお尋ねをいたします。
 和歌山市で、防災マップの洪水版として紀の川ハザードマップが各家庭に配布をされました。マップの表紙を資料として配布をさせていただきました。ごらんになっていただけたらと思います。色のついている部分が浸水する区域となっています。
 これは、紀の川が大雨によって増水し、堤防が決壊した場合の洪水の範囲と深さを示したものとなっています。雨量は、橋本地点の上流域で2日間に484ミリ、船戸地点の上流域で2日間に440ミリの降雨を想定しています。マップによりますと、和歌山市域の40%、白いところは、山野や丘陵地以外でありますが、それ以外の市街地のほとんどが水没をする。緑の部分で1メートル未満、青い部分で3メートル未満、赤い部分では5メートル未満かそれ以上の深さになるというふうになっています。これは、紀の川右岸、左岸ともそれぞれ数カ所が決壊したらという想定でありまして、和歌山市の担当課に、そのようなことが実際に現実に起こり得るのか確認をいたしました。最悪の場合の可能性であって、否定はできないという返事でありました。この洪水マップは、平成13年に現在の国土交通省が策定した紀の川浸水想定区域図に基づいて作成されたもので、浸水区域の広さと水の深さには改めて驚かされます。
 そこで、県当局のこのマップに対する所見はどのようなものなのか、お尋ねをいたします。また、和歌山市に集中豪雨がもたらす洪水や浸水に備えての対策について、今後の県のかかわりや支援はどのようなことになるのでしょうか。
 2つ目に、市内河川の整備について県土整備部長にお尋ねをいたします。
 和歌山市の洪水マップは、紀の川のみに着目したものであって、市内には多くの県管理の河川がありますが、どこまでの降雨量を想定しての改修計画となっているのでしょうか。それぞれの河川の特徴や海の潮の状況、雨の降り方などによって河川の状況は変わってくると思いますが、和歌山市の公共下水道の処理能力は時間当たり50ミリまでの対応となっていて、それを超す雨が降ると浸水地域が出ることとなります。河川改修の目的が洪水や浸水を防止するということであって、身近な河川がどこまでの雨に対応できるのか、河川管理者としての考えを聞かせてもらいたいと思います。
 また、和歌山市内の河川改修の進捗状況と、いつ終わるのか、終了への見通しについてもお聞かせ願います。
 あわせて、昨年10月に河川整備計画に反映させるためとして、市内21河川について市民へのアンケート、これは主に単位自治会へ数部というアンケートでありましたが、河川整備計画づくりの状況、どのようになっているのか、お尋ねをいたします。
 3つ目に、避難について危機管理監にお尋ねをいたします。
 岡崎市では、午前2時10分に全市域の14万世帯37万人に避難勧告が出されましたが、多くの住民には伝わらなかった、こういう報道がされておりました。避難勧告の周知方法の問題もありますが、安全な避難場所の確保が前提でなくてはなりません。どのような対策が考えられているのか。市だけの対策で足りるのか、広域的な対応が必要となってくるのではないでしょうか。
 市街地全域の避難となると、和歌山市の洪水マップが示すような最悪な場合、これを想定しますと、ほとんどの避難場所の収容能力は不足、その上、水没をいたします。マップどおりの洪水に見舞われると避難不能となるのではないでしょうか。県の考えと市への支援、援助についてお聞かせをください。
 広域消防についてお尋ねをいたします。
 平成18年6月に消防組織法が改正され、消防庁は7月に市町村の消防の広域化に関する基本指針を告示、広域化の規模は大きいほど望ましいとされ、30万人以上を1つの目標として示しました。そして、平成19年度中に都道府県で広域化の推進計画を策定し、広域化対象市町村は、広域消防運営計画の策定など、広域化に向けた取り組みを行い、平成24年度までに広域化を実現することとされました。広域化に伴い臨時に増加する経費については、一般財源の2分の1を国の特別交付税で補てん、広域化によって必要となった施設整備については、起債の充当率を高めるなどの措置がされることとなっています。
 本県では、基本指針に基づき、現在、県内に17ある消防本部と2つの消防非常備自治体を5つのブロックに統合する広域化推進計画が策定をされました。御承知のように市町村消防は、火災の予防、警戒、鎮圧を行い、県民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、救命救助活動や地震、風水害などの災害による被害を軽減させることを使命としており、その活動に資するための人員、設備、施設の充実強化を進め、現場に短時間で駆けつけることができ、地域の地理をも熟知した機動性の向上が求められているところです。
 国においては、全国で標準的な消防力を維持するために、消防力の整備指針として、職員の配置数、消防車、救急車などの設置基準が定められているところです。しかし、本県の現状は、消防の非常備の自治体があることや、消防職員数や車両の設置数は、救急車を除き国の指針を大きく下回っている状況にあります。今回、示されている消防の広域化計画が実現すれば、市町村住民にとっての消防力、救命救助力、防災力が果たしてどうなるのか。自主的な広域化と言われているけれども、消防の現場に不安や不信が残らないのか。職員の労働条件はどうなるのか。市町村の財政負担はどうなるのか。見えてこないところが多々あります。
 消防力の整備指針との関係で見れば、広域化によって人口規模や市街地の形成が広がれば、職員数、設備数をふやさなくても整備指針では充足率が向上したかのように見えることもあります。少なくとも、現状の消防力を後退させることなく、地域の実情に応じた機動性のある消防力、防災力の向上に結びつけていかないと、住民にとって広域化の意味がないものと思います。また、市町村消防の自主的な広域化を目指すと言われていますが、広域化に当たって県はどのような役割を果たしていこうとするのか。危機管理監にお尋ねをいたします。
 なぜ5つの消防本部なのか、1本部、県で1本部にと、こういう自治体からの声もあるように聞きますが、5つのブロックにした理由は何か。そのことによって、現在より消防力の強化にどうつながるのか。現在でも消防力の整備指針に対して充足率の向上が求められているところですが、消防署の再編縮小や職員数の削減、リストラ、合理化につながるようなことはないのか。広域化後の運営について市町村の財政負担はどのようになるのか。県からの財政支援は考えられるのか。
 また、広域化を進めるに当たっての県の役割は何か。自主的な広域化と言われ、広域化推進計画策定に当たって全市町村の同意を得られたとしていますが、押しつけとなっていないのか。県と市町村消防の関係でいえば、消防組織法では、県知事は消防に関する事項について、市町村に勧告、指導及び助言ができるとされていますが、市町村消防は県知事の行政管理に服することはないとされています。
 御坊市の消防長が議会質問に対して、「県からの要請を受けてやむなく参画を了承した」と答弁したことが地元紙で報道されておりました。この表現では、自主的に広域化計画に参画する意思の表明とは受けとめられません。強制力が働いていたのではないかと思われます。今後の協議を進めるに当たって、市町村の自主性をどのように尊重していくのか。市町村の消防力を見れば、現状で十分ということはなく、地域での格差がかなり見受けられます。しかし、最初に広域化ありき、広域化さえすればすべて解決できるものでもありません。現状の消防力を後退させることなく、市町村の自主性、自発性において、地域のより充実した消防体制のあり方についての模索が求められているのだと思います。そういう点からの県の支援が必要だと考えるものです。
 最後に、住宅問題についてお尋ねをいたします。
 平成18年、住生活基本法が制定されました。住生活の安定の確保及び向上を基本目的とうたう一方で、公共住宅の供給に関する政府目標を廃止し、住宅金融公庫の融資も廃止・縮小を追認しました。政府の住宅政策への公的責任を後退させているようにも思います。住まいは生活の基本であって、良好な住宅で生活するのは人権でもあります。国民に適切な住宅を保障していく上で、居住水準・住環境の向上、公的住宅の質・量ともの改善と充実、適切な住居費の負担、住宅関連事業者や金融機関の住宅整備への責務の明確化などが求められていると思います。とりわけ近年、将来の生活設計の不安から借家志向、とりわけ公営住宅への希望がふえているのではないでしょうか。
 私のところへも、「若いときから食堂を夫婦でやっていたが、体を壊して商売をやめた。これまで家賃が月額7万円のアパートに入っていたが、収入がなくなり、これからのことを考えると公営住宅を申し込みたい、入れるだろうか」、「娘が離婚して子供を連れて戻ってきたが、一緒に住む部屋がない。公営住宅を申し込んでやりたいのだが」、こういった相談がふえてきています。高齢期を迎え、蓄えも底をつき、年金も先細りするもとで住居費負担が厳しくなりつつあるのです。住まいの安定を図る上でも、公営住宅の質・量ともの整備と入居者の負担可能な家賃であることを望むものです。
 そこで、県の住宅政策の基本点や公的住宅で起ころうとする幾つかの問題について、県土整備部長にお尋ねをいたします。
 まず、県の住宅政策の基本的な考え方、施策はどのようなものなのか、お尋ねします。
 2つ目に、県営住宅管理制度の見直しについて。
 公営住宅法施行令の一部改正によって、来年の4月、公営住宅の入居収入基準や家賃制度の見直しが行われることになっています。現在の入居収入基準、公営住宅に入れる線ですけども、平成8年に収入分位25%──収入の低い人から並べて25%までの人が相当する収入ということです──の世帯を入居対象者として、政令月収20万円、各種控除があります、給与所得者3人世帯で粗の年収で見ると463万円までに設定されていました。それを政令月収15万8000円、約75%に引き下げる、粗の収入では400万円に引き下げる内容となっています。自営業者の場合は年間所得260万円ぐらいの線となります。
 和歌山市の生活保護基準と比較してみますと、標準3人世帯で家賃限度額分の4万5000円、冬季加算、期末一時金を含めて、ざっと年額240万円ほどが生活保護基準額になるわけですが、それと比べると入居収入基準がかなり低いラインに設定されているように思います。高齢者世帯や障害者世帯などの裁量世帯についても、入居収入基準額の引き下げを行おうとしています。なぜ入居できる収入基準の引き下げを行うのか。国の説明では、入居収入基準が10年以上見直されておらず、この間に設定した基準額以下の世帯が25%から36%にまでふえて、そのことによって入居の応募倍率が高くなった、住宅に困窮する多数の低所得者、その入居ができなくなったので、今回入居基準を引き下げる、こういう説明であります。要するに、この10年間ほどで国民の所得が低くなってきて、公営住宅への応募がふえてきたというのです。
 人口の少子化、高齢化が進み、さらにひとり親家庭がふえているもとで、公営住宅への要望はふえています。国民の要望にこたえていくというのであれば、公営住宅の増設こそ求められているのではないでしょうか。入居収入基準や高額所得者となる基準が引き下げられるために、収入は前年度と変わらないのに、収入超過者、高額所得者となって市場家賃に近い家賃へとはね上がり、明け渡し努力義務や明け渡し請求の対象ともなってしまう人も出てきます。
 もう1つが、家賃そのものの見直しです。公営住宅の家賃は、入居者の所得と住宅の広さ、利便性などから自治体が計算する応能応益家賃となっています。今回、それぞれの設定見直しが行われ、既に入居している人で収入は前年度と同じなのに、収入区分の変動で所得上位になったり、新たな入居収入基準を超える入居者、建てかえ後の住宅の入居者など、家賃が上がることが考えられます。これでは、入居者の住まいの安定が図られないことになってしまいます。
 そこで、お尋ねをいたします。
 1点目に、制度見直しをどう評価するのか、今回の管理制度の見直しについてどのように考えているのか。応募倍率の最近の動向から見て、入居収入基準の引き下げは住民の県営住宅に対するニーズから遠ざけることになるのではないか。県営住宅の戸数をふやしていくことこそ必要なのではないでしょうか。
 2点目に、家賃見直しの影響について、家賃制度の見直しで家賃が引き上がる世帯、引き上げ率はどのぐらいになると推計されているのか。家賃引き上げに対する緩和措置や軽減措置はあるのでしょうか。入居者への説明をどのように進められるのでしょうか。
 この問題の最後に、雇用促進住宅の廃止問題について、これは知事にお尋ねをいたします。
 独立行政法人雇用・能力開発機構が所有する雇用促進住宅を廃止するとの閣議決定がされ、市町村に有償譲渡を受ける意思があるかどうかが打診されています。平成20年度中に購入する意思の有無の返事をしなければ、民間譲渡もしくは廃止するとのことです。県内に16市町に23住宅1850戸があって、ことしの2月時点では1467戸に入居、入居率80%で多くの方が住まわれています。もともと雇用促進住宅は、炭鉱の閉山で離職した勤労者の受け入れ先での住宅の確保という国策で始められました。それが今回、外郭団体の整理・廃止という、これもまた国策で住宅の廃止を行おうというものであります。和歌山に来て、和歌山の地で職を求め、長年入居されている人にとってはつらい話となっています。
 紀三井寺住宅に長年住まわれている人の話を聞いてきました。「九州から出てきて、住友金属の下請で働き、定年退職した。兄弟、親類は他府県で暮らしていて、地域でのコミュニティーづくりに力を尽くしてきた。年もとって今さら出よと言われても困る。ここで住むしかない」と言われていました。もともと国が管理していた住宅を廃止することであって、入居者に対する責任は当然国が負うべき問題です。しかし、入居者は県内に住まう住民であり、住民の住まいの安定的確保を図る上でも自治体として見過ごすことのできない問題でもあるはずです。市町村に有償譲渡の話がされ、住民の不安も広がりつつある中で、県としての態度表明と対応が求められるのではないかと思うところです。
 県として、この問題に対する基本的姿勢はどのようなものなのか。入居者の住まいの確保については、国が最後まで責任を負うべき問題ではないのでしょうか。国管理の住宅を市町村へ有償譲渡するとのことでありますが、市町村への無償での譲渡や、管理費について国の補助制度の創設、もしくは県の支援制度の創設が必要ではないでしょうか。市町村からの譲り受けについての返事は20年度末、今年度末と区切っておりますが、もっと弾力的に対応することが必要ではないでしょうか。廃止がやむなくなった場合、入居者の近隣における代替住宅の確保を関係機関と協議して進めることも必要ではないでしょうか。
 以上、私なりに思うことを述べましたが、この問題に対する知事の所見を伺いたいと思います。ぜひとも国に対して、入居者の住まいの安定を図る観点から意見を上げていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 以上で、私の第1問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 藤井議員の御質問のうちで、燃油価格高騰に関しまして質問が4つぐらいありました。対策会議設置後の対策と総括、それから県内産業への影響の現状認識と、県の緊急対策と中長期の対策、国の緊急総合対策への対応ということについて、重複を避けるためにまとめて御答弁申し上げたいと思います。
 まず、対策会議設置後の対策等でございますけれども、原油価格の影響を受けて、昨年来、石油製品を初め物価の値上がりが続きまして、多くの方々が大変な影響を受け始めました。このため、平成19年12月20日に原油価格高騰に係る庁内対策会議を設置し、まず総合相談窓口の開設とか、あるいは冬場ということもありまして、灯油などの値上がりにより、たちまち影響を受けやすい生活困窮者や高齢者世帯の見守り活動を強化する、あるいはセーフティーネットの政策融資がありますが、これの対象の拡大など、そういう対策を打ってまいりました。
 春になりまして、原油高騰が依然として続く中、じわじわと影響が特に産業界に及んでいくということで、業種対策が必要となりまして、従来の対策をさらに強化し、例えば公共工事の単価の見直し、あるいは中小企業への融資の拡大、下請取引適正化、施設園芸の省エネ対策、クリーニング事業者等に対する融資枠拡充の周知、そういうものをやってまいりました。
 夏になりますと、ますます原油高騰が拡大してまいりまして、特に影響の大きい漁業、あるいはトラック、あるいは農業、そういう方々から大変強い要望を受けたりするようになりました。特に、これを受けまして影響の大きい漁業の燃油高騰対策といたしましては、漁業分野における利子補給とか、省エネ操業に対する取り組み支援とか、水産関係の基盤整備の前倒し実施とか、県としてできることをすぐやろうということで実施しました。それから、トラックや漁業協同組合などの各種団体からの強い要望に対しましては、相談窓口対応や、あるいは農業普及員等の巡回、漁協や漁業者向けの説明会など、あらゆる機会を通じまして和歌山県内の状況把握に努め、その時々の実情に合わせて対応し、やれること、できることは迅速に進めてきたところでございます。
 同時に、県だけではできないということは国に働きかけをしております。単独でお願いをしに行っているというだけではなくて、全国知事会においても、「漁業用燃料等の原油、原材料の高騰に関する緊急決議」を政府に提出するなどの働きかけも行ってまいりました。先般発表された国の安心実現のための緊急総合対策には、こういう観点からさまざまな施策が取り上げられたというふうに私たちは認識しております。これを一刻も早く実現して、予算化して、国民がこれを使えるようにしてもらいたいというふうに私は考えてるところでございます。
 そこで、さらに今後は石油市場等の透明性の向上を初め、代替エネルギー対策や新エネ・省エネ技術の抜本的導入促進など、国における取り組みを一層強化し、スピードを上げていただきたいと考えておりますが、一方、県といたしましても、今まで同様、それぞれの分野において状況をよく見きわめつつ、何かございましたら国に伝える、あるいは自分でどんどんやる、そういうことを今後一層力を入れてやってまいりたいと思います。このために、対策会議はますますその重要な任を今後も果たしていくものだと考えております。
 それから、続きまして住宅問題、雇用促進住宅の廃止につきましては、居住されている方にとっては国の動きに大変な不安を感じておられることと思います。基本的には、これは国の方針によって生じた問題でありまして、国が責任を持って最後まで対処すべきだというふうに考えておりますけれども、現にある住民すなわち県民の心配は県庁の心配であります。したがいまして、現に居住している県民の生活に不都合が生じないようによく見続けるとともに、必要に応じて関係機関に要望したり、対応を検討していきたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 福祉灯油についてお答え申し上げます。
 まず、物価高騰に対する総合的対策といたしまして、8月29日に政府・与党が取りまとめました安心実現のための総合対策に、離島、寒冷地での生活支援など、地方自治体の自主的取り組みへの支援が盛り込まれているところでございます。その実現に向けた国の動きを注視しているところでございます。 灯油価格高騰に対して暖房用灯油の購入費用を助成いたします福祉灯油制度につきましては、昨年度、寒冷地における生活困窮者対策として、主に寒冷地の市町村等で自主的に実施されたと承知してございます。本県におきましては、暑さ寒さにより健康を損ねて困っておられる生活困窮世帯や高齢者の方々などを見逃さず、適切な福祉サービスにつなげるよう、昨年度から生活保護受給者に対するケース訪問を強化するとともに、民生委員・児童委員に見守り活動の徹底をお願いし、生活状況の把握に努めてきたところでございます。今後も、引き続き生活困窮世帯等の生活状況の把握に努め、適切な福祉サービスにつなげてまいりたいと、そのように考えてございます。
 次に、社会福祉施設への支援についてでございます。
 障害者の施設及び特別養護老人ホームなどの介護保険施設、デイサービスなどの介護保険事業所につきましては、その運営経費は基本的に障害福祉サービス報酬及び介護報酬で賄われており、燃料費等につきましても当該報酬の中で反映されているものとなってございます。これらの報酬につきましては、来年4月に次期改定が予定されており、現在、国におきまして経営実態調査を踏まえ検討されているところであり、報酬改定の中で適切に反映されるものであると考えてございます。
 児童福祉施設につきましては、毎年措置費等の単価が改定されており、燃料費等の運営経費の変動につきましても反映されているものと考えてございます。社会福祉施設を対象とした県独自の原油価格高騰に係る運営費助成制度はございませんが、去る8月、近畿府県が一体となって、安定した福祉サービスの確保のため、原油高騰及びこれに伴う諸物価の高騰対策について必要な措置を講じるよう国に対して要望したところでございまして、今後も、引き続き機会をとらえて国に対して働きかけてまいりたいと、そのように考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 危機管理監森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○危機管理監(森 崇君) 防災についての御質問のうち、まず、和歌山市における洪水対策について一括してお答えいたします。
 紀の川洪水ハザードマップは、紀の川がはんらんしたとき住民が浸水の高さを知り、避難方法等を考えるために和歌山市が公表したものであります。このハザードマップにつきましては、シミュレーションの最大値が表示されたものであり、図面に示された範囲が同時に浸水するというものではないということが和歌山市の見解であります。県といたしましては、急激に浸水地域が拡大するおそれのある集中豪雨にあっては、被害の軽減のため、住民がより早く気象情報などを把握し、速やかに避難などの対策をとることが重要でありまして、このマップはそのための有効な対策の1つであると考えております。
 県では、気象警報等の適切な伝達に努めており、市町村防災行政無線を活用した広報や携帯電話を利用したメール配信サービスなどを実施しておりまして、また一方、和歌山市においても、本年7月、すべての市立小学校に防災行政無線の屋外スピーカーを増設したところであり、県と和歌山市が連携して気象情報等の伝達方法の確立に努めているところでございます。
 次に、和歌山市が洪水被害に遭った場合の避難についてでございます。
 避難場所の開設及び運営は、被災市町村が行うものであります。浸水地域の拡大により避難場所が市内で不足するような事態が予測される場合には、和歌山市と連携して近隣市町での避難所開設に努めてまいります。
 また、急激な増水により住民の避難がおくれ、和歌山市だけでの対応が困難となった場合、速やかに自衛隊や緊急消防援助隊の派遣要請を行うなどの支援をしてまいります。集中豪雨に対しては、県としても迅速かつ適切な対策がとれるよう、和歌山市と緊密な連携協議を進め、必要な支援を図ってまいります。
 次に、広域消防についてでございますが、平成18年6月の消防組織法の改正に伴い、県内すべての市町村長の意見を十分にお聞きしながら、本年5月末、和歌山県消防広域化推進計画を策定したところでございます。本計画の策定に当たりましては、第1に、市町村の意見を可能な限り尊重すること、第2に、消防非常備団体を解消すること、第3に、2030年推計人口を用いて、より厳しい組織管理や財政運営が予想されるところの管轄人口10万人未満の小規模消防本部をできるだけなくすこと等の考え方のもと、現在の17消防本部及び2つの消防非常備町村を、本計画の期限である平成24年度末までに最も実現可能性の高いと考えられる5本部にすることを目指すこととしております。
 消防の広域化は、現在の消防力を消防署の統廃合や消防隊員の削減等で低下させることなく、消防隊員等の増強、高度な消防資機材の整備、救急業務の専任化等、質の高い消防防災サービスを提供できる体制を確立し、住民の安全・安心をより充実するために行われるものと考えてございます。また、広域化対象市町村が広域化に際し必要な事業に要する経費につきましては、人的・物的確保に支障が生ずることのないよう、地方債を初め所要の財政的支援が講じられることとなっております。
 県といたしましても、消防の広域化につきましては、それぞれの地域や市町村において、議会、住民、消防関係者等の御理解を得ながら、自主的な意思に基づいて進めていくものと考えておりまして、そのために必要な情報の提供、助言等の支援を適切に行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) まず、和歌山市内の河川改修の整備についてでございますが、市内の県管理の河川は27河川ございますが、主な河川については、おおむね20年に1回発生する大雨に相当する時間雨量約70ミリを目標として改修を進めてまいりました。これに対して進捗状況は約53%となります。
 現在、和田川や七瀬川など7河川について河道拡幅や河床掘削などの河川改修を実施していますが、今後とも治水効果の早期発現を考慮しつつ、順次整備を進めてまいります。
 また、河川整備計画は、河川法第16条の2の規定に基づき、中期的な河川整備の内容を具体的に計画するもので、現在、紀の川水系の市内21河川について策定の準備を進めております。今後、学識経験者の御意見を伺いながら策定してまいりたいと考えております。
 次に、住宅問題でございますが、まず、県の住宅政策の基本的な考え方につきましては、低所得者で住宅に困窮する方や高齢者、障害者等の安全・安心居住の確保を基本としております。具体的な施策といたしましては、子育て世帯、高齢者世帯向けの賃貸住宅に対する建設補助や老朽化した県営住宅の建てかえ、改善等を実施してございます。
 次に、県営住宅管理制度の見直しについて、まず、第1点目の制度見直しの評価についてでございますが、公営住宅法は、低所得者に対する住宅の供給を目的として入居対象者の収入基準を定めているところですが、世帯所得の変化や高齢者世帯の増加などに伴い低所得者の方が増加し、本来、公営住宅を必要とする低所得者が入居しにくい状況が生じてきました。今回、収入基準の適正化をすることにより、低所得者で住宅に困窮する方にとって公営住宅への入居がしやすくなるものと考えてございます。
 県営住宅の整備につきましては、耐用年数を考慮しながら建てかえ事業や改善事業を進め、既存住宅の居住環境の向上を図ってまいります。
 2点目の家賃見直しの影響についてでございますが、現在の県営住宅入居者の認定収入額をもとに推計いたしますと、比較的収入が多い世帯について家賃が上昇することとなりますが、その世帯は全世帯の約2割、1000世帯となります。この家賃の上昇する世帯の上昇率を計算しますと、約16%と推定しております。このことは、公営住宅における家賃負担水準が民間賃貸住宅における家賃負担水準に比べて著しく低い場合があるなど、公営住宅の入居者あるいは非入居者、この間での著しく公平を欠く状況も生じたための見直しだというふうに聞いております。
 なお、家賃の軽減措置はございませんが、急激な負担増を避けるため、5年間で新家賃に段階的にすりつくよう緩和措置をとることとなってございます。
 家賃制度改正につきましては、今月中に直接各世帯に対して改正の概要の通知を行うとともに、収入申告に基づく収入額認定作業が終了次第、来年度の新家賃額につきまして通知を行い、混乱を来さないよう取り組んでいく予定でございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
 43番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 知事に再質問、お願いしたいと思うんですが、燃油価格高騰問題について答弁を聞いておりますと、県としてできることはやっていくと。国のほうで緊急対策をつくってるんで、それの早期実現を見ていきたいということのようなニュアンスの話でありまして、何かあれば国に対して言っていきたいという話だったかと思います。
 私の質問は、ことし年の瀬、もう年末を迎えるわけですが、この9月補正で、新たに今のその実態調査もされておるんだったら、今の県内の、特に中小業者、県民の生活というのは御存じでしょうと、それに対する施策は何も考えられなかったのですかと。漁業者に対する利子補給というのはされておりますが、それ以外の中小事業者とか、そういうことについては今のところ必要ないというふうに思っておられたのか。国の対策で十分であるというふうに思っておられたのか。
 今、総裁選挙行われておりますが、その後、解散総選挙という事態もあり得ると。そうなれば政治の空白ということが生まれるわけですよね。国の緊急総合対策の、いち早くそれが、今の県内の事業者、県民にとってプラスになると、そういうものなら早くしてほしいと。これはだれもの願いであろうかと思うんですが、それに対する要望も実態を把握しながら、国に、今のタイムリーに、上げていくということも大事な問題だと思うんです。
 知事は、必要があれば言っていきたいとかいうような話をされていたと思うんですが、私、一例として漁業者の関係で、非常に漁業者でも、今の水産庁の制度でも非常に心配だと。いろんな支給条件、ハードルが高いと。それを何とか改善してほしいという声があるわけです。そういう声はやっぱりきちんと、これは水産業者だけに限らず、国の緊急総合対策を見きわめながら、県として言っていくことはきちんと言っていくと。それが、国の対策が利用しやすいように、利用できるものに変えていくというのが、今の時期にやっていくことだと私は思うわけなんですが、知事は、しばらく様子見をしてというようなニュアンス的に聞こえたわけですが、その辺、どうなのか。
 それと、国の特別交付税を活用した事業を多くの道府県がやっております。福祉保健部長は、福祉灯油については寒冷地対策というような話をされましたが、国のほうはこれは寒冷地に限っておりません。現に、お隣の徳島県が全県的にやってることですからね。別にこれは、福祉灯油を一例として挙げたわけですが、県民生活向けにも、国のこういう特別交付税というのを活用しながらできないものなのかということでお尋ねをしたわけですが、その点についての知事としての所見もあわせてお伺いをしたいと思うんです。
 県営住宅問題ですけども、現在収入が、勤労者の収入、自営業者の所得も大変減少し、低迷していると。それは、これまでのやっぱり国の施策、労働法制の緩和であったり各種の規制緩和であったり、そういうところから起こってきている、そういう国の政治の結果に負うところが大きいんではないかと思うんです。そのことによって収入が下がってきて、そしたら公営住宅に入れる人の間口も締めますよ、というようなことではこれはやっぱり困ると思うんですね。
 一挙に、その入居できる収入基準75%までに引き下げるという話ですし、結局、公営住宅の家賃が低いと、民間住宅の家賃が高いんで、公営住宅と民間住宅の家賃の不公平をなくすために公営住宅の家賃を上げますよという話ですよね。ところが、公営住宅は低所得者向けだと言ってるわけですよ。民間住宅に入れないから、入れるだけの収入がないから公営住宅への希望が殺到すると、こういうことでしょう。そしたら、公営住宅の家賃が低く設定されて当たり前じゃないですか。そうでしょう。
 やっぱり知事として、この入居収入基準を一気に75%まで引き下げること、これは撤回すべきだということをやっぱり国に上げるべきではないかと。家賃値上げとなる人の緩和策も5年間で新家賃にすりつくということですから、これをさらにもっと緩和をして毎年毎年の上げ幅を下げていくとか、今現在入居してる人が公営住宅に安心して住み続けれるようにするにはどうすればいいのかという観点から、ぜひ、県知事としての声をやっぱり出してほしいと思うんです、その点について。
 最後に、雇用促進住宅についてでありますけども、これも現在、雇用促進住宅に住まわれてる人は非常に不安であります。いつその退去を求められるのか、じゃ、次の住みかはどうなるのかという不安があるわけでして、これに知事は、よく状況を見て必要に応じて対応していきたいという。20年度中に市町村に対して返事せいと言うとるわけです。促進住宅を買い取る意思があるのかどうか。買い取るのは後にしても、とにかく意思があるのかどうか返事せいと、こういうふうに言うとるわけですからね。
 市町村は皆、苦慮するわけですよ。財政状況、大変厳しい。しかし、長年そこの市町村に住まわれていて、その住民の皆さんが大変な目に遭うのも忍びないということで大変苦慮してると、そういう状況にある中で、必要に応じて対応していくというようなことではなくて、せめてその──せめてというのはなにですけども、国に対して雇用促進住宅の廃止、これは撤回されたいと、住宅は住宅としてきちんと国の責任でやっていきなさい、というぐらいのことを言ってもいいんじゃないかなというふうに、私、思うわけです。
 その庁内対策会議で、今、中小事業者向け、特に、下請とか建設や運輸関係、規制緩和で競争が激しくなりまして、元請に対して価格を上げてほしいなんてとても言えないんです。価格表がある場合は、それを持っていって、こんなんなってますという話はできるけども、それ以外の諸経費のコストアップ分については、とても言えないというような状況があるわけです。そういう実態もよくつかんで、是正に向けて関係機関に働きかけていってもらいたいと思いますし、防災についても、これは和歌山市に限って話をしましたが、和歌山市は紀の川の河口にありまして、非常に地理的にも低いところにあります。 各河川には、ポンプ場が無数にというか、たくさん設置されておりまして、そのポンプ場が内水面の排水をしても、河川の容量が足らないので、ポンプ場の稼働能力が十分に発揮できない、こういう状況にあるわけなんですね。だから、一刻も早く県管理の河川の河道の改修、これを急いでほしいわけですが、しかし20年に1回、それが70ミリにしか対応できないということなんでね。
 50%の改修状況ということなんですが、これは早くしてほしいと、これは要望するしかないと思うんですけども、その下請価格の調査把握をして関係機関に働きかける、それから、この防災についての県管理河川、それから全市域避難勧告が出た場合の対応というのも、これは早く、最悪の場合を想定して考えなくてはいけませんので、早く協議を進めていってほしいと、この2点は要望で、あと知事に対しては、先ほど言いました燃油価格高騰問題と住宅問題の点の答弁をお願いします。
○議長(大沢広太郎君) 以上の再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、燃油価格高騰問題に関してでございますが、議員は、正確には再現できませんが、おまえの答弁は国に頼ってばかりで自分のはないのか、あるいは様子を見てとか、そういうふうにくくられたように思いますが、賢明なる議員諸氏は、私がずうっと説明しておりましたことのほとんどは県庁が自分で対応したことでございまして、決して様子を見てとかそういうようなつもりで県民の幸せを考えてるわけではありません。今後とも自分でやるべきことは、あるいはやれることは、できるだけやっていきたいと思っております。
 例えば、セーフティーネットの融資というのがございます。これは早速対象を広げました。従来はすべての業種の人が燃油の高騰コストアップ要因で受けるというのが大変難しかったんですけれども、国についても、それは国のいろんな政策金融も少し拡大、同時にされましたけど、県庁のはもっと拡大して、それですべての業種の方がコストアップに備えられるように実はしているわけでございます。
 それから、特別交付税の話がありましたけれども、これについても和歌山県は別に何も考えてないわけではありません。一番大事なことは、本当に困ってる人が、例えば、灯油もたけないようになって大変なことにならないかということをちゃんと見張るということでありまして、灯油をある意味ではみんなに配る、ばらまくというようなことは、必ずしも今の財政状況からして一番要請されることであるというふうに私は思っておりません。 したがって、そういうことがないように、これからまた季節も厳しくなってまいりますから、一層今までのスキームを強化して、そういう監視と言ったら失礼ですけれども、状況をよく見ていただくように、いろんな機関を動員してやっていきたいと思っております。それで問題があったら直ちに手を打ちたいと思います。
 それから、公営住宅についてでございますけれども、制度というのは、やっぱり長続きするということ、あるいは持続可能性ということを考えていかないといけないと思います。確かに、国の政策というのは、今、財政上の問題から合理化していくというのが結構多うございまして、一部の方にはなかなかつらいというようなところもあるかもしれません。ただ、同時に、対象者のうちで一番困ってる人が入居できないというようなことも、今、散見されてるわけですから、その一番困ってる人が入居できるような制度もつくっていくという、いいところもあるというふうにも思います。したがって、そういう状況をよく見て、今後ともこれに関心を払いつつ、必要な手は打っていきたいというふうに思います。
 それから、最後の点について、市町村は苦慮しているということでございましたが、県も同様にそれについては苦慮しているし、あるいは苦慮すべきだというふうに思っております。したがいまして、この問題を撤回しろというようなことを言うかどうかというのは別ですけれども、少なくとも、一番初めに申し上げましたように、最後まで責任をとれというようなことは申し上げていかないといけないと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) この際、申し上げます。
 発言時間が1分50秒残っておりますが、所定の時間が参りましたので、以上で藤井健太郎君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午後0時6分休憩
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