平成20年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(山下大輔議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前10時1分開議
○議長(大沢広太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第102号は、職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 日程第1、議案第100号から議案第117号まで、並びに知事専決処分報告報第9号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 41番山下大輔君。
  〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 おはようございます。
 本会議一般質問最終日、朝一番の登壇ということで、張り切ってまた頑張りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 ここ最近、リーマンの破綻、AIGの経営危機など、国内外で大変厳しい状況が続いております。そういった中では、やはり政治の責任というのがますます大きくなってるんじゃないかなということを痛感いたします。
 そんな中で昨日、中村裕一前議長がおっしゃられましたように、議員としてこの議会でしっかりと発言し、議論を深めるということがますます大切な状況になってると思いますので、私も中村先輩の御発言に、それを励みとして精いっぱい頑張りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは早速、議長のお許しをいただきましたので、順次質問をさせていただきます。御清聴よろしくお願いいたします。
 「福田首相の突然の辞意表明から日本の民主主義、政治教育を考える」ということで、今月9月1日、福田康夫内閣総理大臣が唐突に辞意を表明されました。首相の辞任表明は就任後342日目であり、前の安倍前首相と2代続けて約1年での任期途中での退任劇となりました。
 この事態を最初に聞いたとき、私はドイツの社会・経済学者マックス・ウェーバーの指摘が頭に浮かびました。私自身、10年前に政治家を志したとき、恩師から送られた本の1冊に、マックス・ウェーバーの著書「職業としての政治」がありました。政治を志す多くの人が一度は手にするものと言われますが、マックス・ウェーバーの「職業としての政治」、ウェーバーは、その中で次のように指摘しています。「政治とは情熱と判断力、その2つを駆使しながら、かたい板に力を込めて、じわっ、じわっと穴をくりぬいていく作業である」。また、政治家の資質としては、「断じてくじけない人間。どんな事態に直面しても『それにもかかわらず!』と言い切る自信のある人間。そういう人間だけが政治への天職を持つ」といった指摘です。
 政治家は、どんなに苦しくてもパッション、熱い情熱を失わず、そして粘り強く、断じてくじけず、周りでは不可能だと思われることにも果断にチャレンジして実現させていく。そういったことからは、今回の辞任劇は、私自身、国民の1人として非常に残念に思いました。
 今回の突然の辞意表明には、さまざまな批判もありますが、しかし、私としては、福田首相個人がどうこうといった問題以上に、今、日本の民主主義そのものが危機であり、もっと根本的なところでの議論が必要だと強く感じています。
 歴史の言葉に学ぶということでもう1つだけ。これは古典中の古典となりますが、古代ギリシャの哲学者プラトンが記した「国家」という著書には、国の指導者を見出すのに次のような一節があります。「理想国家における教育により国家の守護者を見出し、そこから哲学の学習をさせ、経験を十分に有した者から、さらに優秀な者を選んで国政の運営を任せる、これが哲人王の思想だ」としています。理想の政治を追い求めた政治思想家でもあったプラトンは、すぐれた国家指導者、政治家を見出すためのさまざまな所見を述べています。現代の民主国家では、そもそもプラトンの説く理想国家という構想自体が相入れない部分もありますが、とにかく政治家、国家の指導者は、相当の訓練と教育、そこからの厳しい選別が行われなければいけないと指摘していることは重要です。今の日本の政治家には、特別の資格もなければ試験もありません。一定の有権者からの支持さえあれば、政治家、指導者になることが可能です。
 安倍首相に続く福田首相の辞任では、政治家の2世、3世議員、世襲議員の問題も指摘されました。今、国会議員では約4割が2世、3世議員であり、自民党では衆議院議員の半数以上、民主党で約3割ともなっている現状があると言われます。「東京新聞」の論説では、「世襲議員は地盤、看板、かばんが保証されているから、本人の資質にかかわらず議席確保のために担ぎ出される」とし、「毎日新聞」の論説委員であった岩見隆夫氏は、「19世紀に英国の政治が卒業したことを今の日本が踏襲している。ただし、政治家の子供が政治の道を志していけないわけはない。問われているのは資質であり、それを見抜く目を持っているか有権者が試される」と指摘されています。有権者の厳しい目、有権者の賢明な判断から指導者を見出す、そこでは有権者のよりよい選択にこの国の未来が託されているとも言えます。
 しかし、残念ながら現状では有権者の政治離れは顕著なものとなり、政治の危機は深刻です。それは、現在の投票率からも見てとれます。
 少し数字を確認しておきたいと思います。これは、お手元の資料を御確認いただきたいんですが、最近行われた衆議院選挙と和歌山県の県議会議員選挙、知事選挙の投票率の推移です。(資料を示す)
 まず、衆議院選挙では、昭和58年からの状況で、直近の小泉フィーバーに沸くところというのが少し投票率も回復しているんですけれども、総体的には低下傾向は明らかとなっています。
 続いて、私たちの県議会議員選挙、知事選挙について、その状況は深刻なものとなっています。ともに極端な投票率の低下傾向が見てとれます。まず、和歌山県議会議員選挙では、昭和40年から50年当時には80%を超えていたものが、現在は50%を割ろうかというところまで低下している状況があります。また、知事選挙はもっと深刻であって、これも昭和50年代には80%を超えていたものが現在は50%を大きく割り込み、直近では35%と非常に厳しい状況が見てとれます。
 民主国家の政治は大衆の信託で成り立つ、いわゆる「信なくば立たず」であり、今、政治への国民の信頼が揺らぎ、政治への無関心が高まる状況は、つまるところ国家存亡の危機と言っても過言ではないのだと思います。
 今、多くの国民、県民にとって政治に対する関心が薄れ、投票に行こうとしない、政治への信頼が揺らぐ実態が浮き彫りとなっています。しかし、そこでは関心を持てるだけの政治が行われていない、信頼に足る政治家がいないといった批判だけでなく、問題の本質として、もっとしっかりと政治家を選び、信頼に足る政治を取り戻さなくてはいけないといったことを真剣に考えるべきであり、そのためにも民主主義の担い手となる、より賢明な有権者をしっかりと育てるといった民主制国家の基本を改めて見詰め直す時期に来ているのだと思います。
 そこで今回は、政治の危機、その根本問題として取り組むべき政治教育の充実といったことについて、知事並びに教育長、そして選挙管理委員会委員長にも幾つかの質問並びに提案をさせていただきたいと思います。
 なお、今回の質問で私が使っている「政治教育」といった言葉の意味は、あくまで政治的教養を身につける教育といった意味で使っていますので、御理解をいただきたいと思います。
 さて、日本における政治教育については、現行の教育基本法第14条第1項で「良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。」と規定されています。ただ、同条第2項において「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」と規定されています。このことから、実際の教育現場における政治教育は、ややもすると萎縮する傾向があり、積極的、実践的な取り組みが敬遠されてきた現実があるようです。
 それでは、実際に現在の日本の政治教育の現状を見てみますと、小学校で社会の教科書、中学校では社会科・公民、高校では現代社会、政治・経済の教科によって教えられている状況があります。内容的には、民主主義の歴史・思想体系、選挙制度を含む具体的な議会制民主主義の仕組み、地方自治、マスコミの役割などが教えられています。それぞれの教科書を直接確認してみましたが、非常に充実した内容だと感じました。しかし、教科書がどんなに立派であっても、子供たちにどこまで伝わって、血となり肉となってしみついているのかは、私自身の経験に基づいても疑問の残るところです。今後は、子供たちが肌身で感じることのできる、これまで以上に踏み込んだ実践的な政治教育が必要とされているのだと思います。
 さて、実践的な政治教育ということでは、先進ヨーロッパ各国で選挙の投票率が軒並み80%を超えるという状況がある中で、ヨーロッパを初めとする先進各国の取り組みは非常に参考になるものと考えます。明るい選挙推進協会、明推協の調査などをもとにして、その取り組みを調べてみますと、そこには幾つかの共通点、政治的教養を実践的に身につけるための重要なヒントがあるように感じました。
 フランス、ドイツ、アメリカ、イギリスなどの状況を調査してみましたが、ここですべてを解説すると時間がなくなってしまいますので、イギリスを例にその取り組みを少し紹介させていただくと、イギリスでは、2006年に選挙法が改正され、選挙権を18歳に与えるとともに、被選挙権、立候補できる年齢も18歳に引き下げました。これにより、これまで以上に青少年への政治教育の重要性が増しているとされています。イギリスでは、社会科系の教科にシチズンシップ教育といったものがあり、それは市民としての自覚を促す市民教育、市民性をはぐくみ、市民としての必要な資質を身につける教育といったものに力が注がれているということです。ちなみに今、日本でもこのシチズンシップ教育の重要性は強く指摘されるようになってきています。 このイギリスにおけるシチズンシップ教育で重要な取り組みの1つとして、政治的教養の育成がありますが、その中で最も注目されている実践的な取り組みとして模擬選挙が挙げられています。
 イギリスの各高校では、学校行事として校内で模擬選挙が本当の選挙さながらに行われるということです。生徒たちは、設定された投票日の1カ月以上前から自分たちで政党を組織し、候補者を擁立する。そして、政策選挙の中心となるマニフェストも自分たちでつくり、しかも、その政策は現実の社会そのものを題材として、教育問題や治安問題、北アイルランド問題からEUの問題まで、まさに現実の選挙の論点を網羅する模擬選挙を実施しているということです。選挙活動も実践的で、実際に校内で政策を説明する個別訪問や公開討論なども実施され、本物の選挙運動と同じように展開されるということです。 また、こういった模擬選挙では、労働党や保守党といった政党が模擬選挙パックといったものをつくり、政策情報や選挙の戦い方、手続などを簡単に教えているということです。また、これはマスコミも協力し、各地で行われる模擬選挙の関心を高めるために、その積極的な取材活動を展開し、報道しているそうです。
 こういった模擬選挙の有効性は世界的に見ても注目されていて、ドイツ、アメリカなど、多くの国で積極的に取り入れられています。あくまで政治教育の充実には、政治制度や現実的政策を学ぶだけでなく、民主主義のプロセスを実体験で身につけるということが大切であり、そこでは模擬選挙が非常に有効に機能しているということです。
 そんな中、日本でも2006年6月に行われた日本NPO学会第8回年次大会で、シチズンシップをどのようにはぐくむかといったことで報告がされていて、その中で模擬選挙の重要性が指摘されています。今、日本でも模擬選挙の実施学校は少しずつふえていて、関西では京都府・立命館宇治高校、兵庫県・県立尼崎小田高校などの例が報告されています。
 私たちも今、各国、各地域の取り組みも参考としつつ、かつ和歌山なりの独創性を持って政治教育の充実に全力で取り組み、そこから民主主義の担い手となる厳しい目を持ったよりよい有権者を育て、そして断じてくじけない、すぐれた政治家をしっかりと生み出す基盤をつくり上げなくてはいけないのだと思います。
 そこで質問ですが、まず知事に、今回、福田首相の突然の辞意表明についてどのように感じられたでしょうか。率直な感想、御所見をお述べいただきたいと思います。
 次に、現在の日本の政治状況において政治不信が高まり、だれがやっても同じやといったような政治へのあきらめ、無関心が広がる中で、政治教育の重要性について、知事、教育長に、それぞれどのように認識されているか、御所見を賜りたいと思います。
 また、政治への関心を高め、投票行動を促す取り組みについては、例えば選挙管理委員会では、選挙の際にのぼり、ポスター、街宣車を走らせるなど、キャンペーンを大々的に行っています。しかし、こういった一時的なキャンペーンでは効果も限定的であり、実際に投票率が伸びていない現実をもっと真摯に見詰める中では、根本的に取り組み内容を見直す必要があるのだと思います。そこでは、私は急がば回れで、まず何より力を入れるべきは、子供のころからの教育で教育委員会などとの連携により、政治への関心、理解を深める取り組みに全力を挙げるべきだと考えます。
 ぜひ、全国に先駆けて教育委員会との協働による新たな政治教育の和歌山モデルを確立していただきたいと思いますが、そこで教育長、選挙管理委員会委員長に質問します。それぞれの機関が協力して取り組むことについてどのように考えるか。また、そこでは具体的にどういった方法があるとお考えか、お聞かせください。
 あわせて、学校における模擬選挙の取り組みについて、私は大きな意義のあることで、ぜひ、和歌山でも積極的に取り組んでいただきたいと考えますが、これも教育長並びに選挙管理委員会委員長に、その意義と取り組むことの有効性についてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 続きまして、今活発な議論がされている広域連合の取り組みについてお伺いいたします。
 この9月議会冒頭で、関西国際空港に係る意見書が決議されました。今回の意見書、関西国際空港への取り組みは、本県にとって非常に大切なものだと思います。しかし、関空への取り組みでは、当然和歌山県だけで思いどおりに進めることはできず、国初め、特に府県を超えた広域の政策調整機能が強化されなければいけないものと思います。今のまま、それぞれの地域が地元エゴ優先のばらばらの取り組みでは、特にこれからのアジア地域を含めた厳しい競争時代に対応できず、和歌山のみならず関西全体の地盤沈下も心配されるところです。
 そういった中で、今議論が活発化している分権改革、道州制、そして関西圏では目前に迫っている広域連合の取り組みについては、大きな期待を寄せられるものであり、和歌山の未来にとっても重要なものだと考えます。
 そこで、今回は(仮称)関西広域連合、また、道州制といったことを中心に、そのあり方などについて幾つかの提案と質問をさせていただきたいと思います。
 ことし春、社団法人日本経済団体連合会では、道州制の導入に向けた中間取りまとめを発表していますが、そこでは、究極の構造改革は道州制導入だと位置づけ、国から地方への権限移譲を大胆に進めるべきと提言しています。また先月、社団法人関西経済連合会からも「分権改革と道州制に関する基本的な考え方」という報告書が出されていますが、そこでも道州制の必要性が強く指摘されるものとなっています。あわせて、関西で検討されている広域連合の位置づけとしては、将来の道州制に向けたステップだと明確に指摘しています。
 そんな中、今、和歌山を初めとする関西の各府県でも、道州制を含めた広域連合の議論が盛んに行われている状況があります。そもそも広域連合とは、都道府県や市町村などが広い地域にわたる事業や政策実現を目指して設ける制度で、平成7年6月から始まっています。市町村レベルでは、介護保険やごみ処理、産業振興といった業務について100以上の組織が立ち上げられていますが、都道府県の取り組みは、これまでにその事例はございません。広域連合は、地方自治法に基づく自治組織であり、府県を超えた行政課題に対し、国からの権限移譲の受け皿にもなれるものです。
 さて、その広域連合の取り組みについて、全国で先駆けて、早ければ来年夏の設置を目指した動きが私たちのこの関西圏で活発化しています。この7月30日、関西経済界と関西を中心とする地方自治体が加わった関西広域機構が大阪市内で会合を開き、(仮称)関西広域連合の骨格案を基本合意したと報道されていました。
 今回の合意された骨格案では、設立当初から取り組む事務として、防災、観光、文化振興、医療連携、地球環境、自然環境保全など6分野を挙げ、東南海・南海地震に備えた防災計画の策定やドクターヘリの運航を含む救急医療の連携、外国人観光客向けの通訳案内士制度の創設など、具体的な事務内容も盛り込まれています。そして、発足3年後をめどに段階的に事務分野を拡大させて、国の出先機関の事務移譲も受け、一元的に処理する体制を整えるとしています。
 しかし、この関西広域連合には慎重姿勢を示す知事も少なくないようで、ある知事は、参加・不参加を決めるにはまだ早い、分権化で行政サービスはどうなるのか県民に知ってもらう段階とし、広域連合のメリット・デメリットの論議を盛り上げていく必要がある、また、今回の関西広域連合はあくまで道州制とは無縁の状況で、業務の共通化を考えることが基本的なスタンス、防災関係やドクターヘリ、観光など、限定的な構想だと思うと指摘する知事さんもいたようです。特に、道州制との関係には神経質な受けとめ方があり、広域連合の向こうに道州制があると言う知事もいたが、反対に、道州制をつぶすために広域連合をやると言う知事もいたといった話が各新聞紙上をにぎわせています。
 あくまで道州制の議論に当たってはさまざまな見解があり、関西の各知事間にも意見の相違は少なからずあるようですが、その中で、大阪の橋下府知事は道州制の導入に積極的な姿勢を見せています。先月、就任から半年を迎えた定例記者会見で、橋下知事はこのように言っています。「ほかの知事と協議しても進まないと思うので、大阪から関西州構想を立ち上げていく」とし、「道州制を目指さない広域連合だけでは、国と都道府県との間に新たな行政組織が誕生するだけで、むしろ屋上屋を架すのかなどの批判が起きる可能性もある。広域連合は行政の運営方法であり、住民はメリットを感じにくい。今後は、府単独でも道州制導入を主張し、府民の皆さんに関西州のメリットを訴えていく」としています。橋下知事のアドバイザリーボードに名を連ねる堺屋太一氏も、昨年、道州制に対する詳細な私案を取りまとめ、発表しており、橋下知事とともにかなり具体的な構想を描いているようです。
 私も、これまでの関西広域機構でされてきた議論を、資料などを取り寄せ、各知事の発言なども確認してきましたが、そこでは往々にして現在の地域ベースでの視点に固執し、中長期で見たアジアも含めた大競争にこの関西がいや応なく巻き込まれ、そこで何としても生き残っていかんとあかん、そういった大所高所からの意見が見当たらず、残念な気がしました。
 そもそも道州制の議論は、関西のみならず日本全体のあり方を俯瞰して、これまでは非効率であった行政統治のあり方を根本的に見直すものであり、そこでは持続可能な地方自治のあり方を真剣に模索する姿勢が必要だと考えます。今何とかやってるんやからええやんか的な発想、また、地元地域として特別なメリットがないんやったら、とりあえずやめとこうといった姿勢は、将来に向けある意味では無責任だというそしりを免れないものと考えます。
 そこで、本県にとっても非常に重要と思われる広域連合、道州制の議論について、仁坂知事に幾つか質問し、現状における知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 まず、そもそも今回の広域連合の議論に当たって、(仮称)関西広域連合に対する知事の認識、期待するところなどをお聞かせください。
 また、この関西広域連合について、関西経済連合会では、関西地域の広域的課題を解決する主体として期待し、その成長発展モデルは道州制をイメージできる格好の事例だとしていますが、知事自身は道州制との関係としてどういった認識を持たれているでしょうか。
 あわせて、関西広域機構の秋山会長などは、今何もしなければ日本の競争力は一層低下する、住民生活の向上や国の発展にどういう制度がいいのかを広域連合を通じて問いかけ、道州制のあり方を模索したらいいといった考えを示していますが、地方分権、道州制なども含め、今後、広域連合の取り組みの見通しについて、知事のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 また、関西、全国を見ても、特に経済界はかなり強力に道州制の導入を提言しています。日本経済団体連合会(日経連)では、2015年度をめどにして道州制導入を実現させるロードマップまで描かれていますが、このように特に経済界が推進を主張している理由、その意図、経済界が考える道州制のメリットなどについて、知事はどのように理解されているか、御所見を賜りたいと思います。
 また、そのような経済界が示す見識について、それは正しいことだと考えるか、知事なりの評価もお聞かせください。
 またあわせて、そもそも道州制について知事は不可避である、または必要なものであるといった認識を持たれているでしょうか。率直なところをお聞かせ願いたいと思います。
 私自身は、今回の関西広域連合の取り組みは、道州制に進むかどうかは別にしても、その活用の仕方によっては、和歌山の将来にとって非常に重要なものになると考えています。特に政策調整を行う場としても、関西国際空港の取り組みなどでも重要な役割を果たせる可能性があると期待しています。今回の広域連合の組織では、地域エゴを乗り越えてお互いの権益を調整し、関西一丸となった浮上を図るための政策調整機能を持たせることを期待しますが、知事の御所見をお聞かせください。
 あわせて、そもそも関空の整備については、和歌山単独でできるものではなく、それこそこの関西広域連合なども利用して議論を活発化させることもできるのではないかと考えますが、その見通しはいかがでしょうか。
 また、大阪の橋下知事は、当選後半年となる先日の記者会見で、関西州を見据えた政策をどんどん打ち出したいとして、大阪伊丹空港の廃止論や府庁の移転案などにも言及しています。会見では、伊丹と大手前・府庁の跡地を関西を盛り上げるために使えないか議論したいと、跡地利用も視野に入れて検討する方針を表明し、大阪なんてこんなちっぽけなところ、関西全体の大きな視点で空港問題も庁舎問題も考えてほしいと、特に伊丹空港については、利便性やニーズだけでなく関西浮揚のための戦略を、廃止論を含めてタブー抜きで議論しなければならないと指摘されています。
 これは、和歌山県にとっても願ってもないチャンスであり、大阪自身が伊丹のあり方を根本的に見直すと言っているこのタイミングを逃すことなく、改めて和歌山の視点から、関西国際空港を核とする関西における空港戦略ビジョンをしっかりと描くべきだと考えますが、これは企画部長から御答弁をいただきたいと思います。
 また今後は、関空の整備充実について伊丹の廃止も視野に入れるという、特に大阪府との協議を進め、連携していくことが重要だと思いますが、現在の大阪府との連携状況、また、今後の取り組みの見通しについて、これも企画部長からお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 あわせて、今、大阪橋下府知事が積極的に発言している道州制議論について、私自身は大いに賛同できるものと感じています。そこでは和歌山県としても積極的にかかわっていくべきで、例えば、以前提案した和歌山カジノ構想などへの協力を取引材料として大阪府知事が提唱する関西州構想に協力していくといったことなども、戦略的には和歌山の得るメリットは大きいように思いますが、知事は今、大阪の橋下知事が示している関西州構想などを初めとする道州制に対する積極的姿勢について、どのように評価されているでしょうか、御所見を賜りたいと思います。
 最後に、北京オリンピックが閉幕した今、今後の中国経済の見通しと、和歌山県と山東省との交流などについて。
 先日、北京オリンピック、パラリンピックが閉幕いたしました。今回の夏季オリンピック大会では、世界の204の国と地域、約1万1000人のアスリートが参加し、28競技302種目で熱戦が繰り広げられました。アジアでの夏季大会が開催されるのは、1988年のソウルオリンピック以来20年ぶり3回目で、共産圏としてはモスクワオリンピック以来2度目の開催となっています。今大会、北京五輪組織委員会は、大会スローガンとして、ワンワールド・ワンドリーム(1つの世界、1つの夢)を掲げ、人々のつながりや友好を前面に打ち出していました。
 しかし、そこには中国の覇権主義的要素も見てとれ、中国が世界の中心といったことも強くアピールされていたようです。また、華やかなオリンピックに沸くその裏で、寺院の管理が強化され、閉じ込められたチベット僧侶などに思いを寄せるときには、中国の光と影、今中国にある苦悩もよく見えた大会だったと思います。今後の中国には、ある意味では警戒し、注意深く見守らなければいけないとは思いますが、しかし、とにかく世界の一大イベントであるオリンピック夏季大会を無事成功させたことには、アジアの隣国である日本の我々も素直に喜び、今後に期待を寄せたいと思います。
 オリンピックは毎回そうですが、やはりスポーツは筋書きのないドラマであり、本当にたくさんの勇気と感動をもらえます。今回の大会でも、各種目でたくさんのドラマ、感動がありました。そんな中、オリンピックの注目は競技だけでなく、その開会式、閉会式にも多くの注目が集まります。私自身、今回の北京オリンピックの開会式にはいろんなことを考えさせられました。
 今回の北京大会の開会式は、世界的な映画監督である張芸謀さんが演出を担当され、理屈抜きにそのパワーに圧倒されました。開会式は、中国打楽器の缶が打ち鳴らされ、スタートしましたが、「論語」の有名な一節、「朋あり、遠方より来る。また楽しからずや」の大合唱には思わず鳥肌が立ちました。その後、さまざまな趣向で中国のこれまでの歴史文化が紹介され、細かく注文をつけると、その歴史解釈や中国の自慢とする文化遺産にも異論がないわけではありませんが、しかし、とにかく壮大なスケールで進められる式典は見る者を引きつけるパワーにあふれていました。よい悪いは別にして、自分たちのことを堂々と世界に発信するその姿勢、たくましいメンタリティーは、日本もある意味では見習わなくてはいけないと強く感じたところです。
 また、開会式のクライマックス、最高の見せ場である聖火台への点灯では、中国政府の強い意思が酌み取れたように感じました。世界的にも注目を集めた聖火リレーの最終アンカー、聖火台への点灯者は事前にはトップシークレットとされ、情報もなく、いろんなメディアでもさまざまな予測がされていました。中にはパンダが点灯するんじゃないかといった話までありましたが、結局、聖火リレーを締めくくったのは、元中国男子体操の金メダリストである李寧さんが選ばれていました。
 李寧さんは、御存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、体操選手として金メダルをとるまでは順風満帆な人生を歩みながら、しかし、引退を決意した最後のソウルオリンピックでは、中国国民の期待を裏切り、メダルの獲得もならず、失意のうちに競技人生に幕をおろしました。その後、挫折した李寧さんには中国体操界に居場所はなく、厳しい試練の道を歩むことになります。しかし、そこから心機一転、実業家に転身し、みずからの名を冠したスポーツブランド「リーニン」を立ち上げ、大きな飛躍を遂げています。リーニンブランドの企業グループは、現在世界第4位のスポーツメーカーで、時価総額2兆400億円と堂々の大会社となり、李寧さん自身も中国の長者番付の常連となる大成功をおさめています。
 体操選手としては最後に悔しい形での引退となり、中国国民からもバッシングを受けた体験から、「私はスターじゃなく1人の商人だ」と話し、これまでメディアへの露出を嫌い、最初は聖火ランナーの話も断っていたそうですが、どうしても引き受けてほしいといった要請から最後は快諾したそうです。中国政府が資本主義の成功者をぜひにと頼んで、一番目立つ最後の聖火リレーのアンカーに起用したことは、明確に中国の意思が伝わる思いがしました。李寧さんの起用は、中国政府の今後の国家運営に当たる意思表示でもあり、これからの中国社会は、さらなる経済発展に向けて挑戦が始められるのだと思います。
 しかし、今後の中国については、当然楽観論だけではなく、特に短期的には北京オリンピック、そして5年後の上海万博の後には、経済的にも厳しい状況を指摘するエコノミストも多く、そのリスクは決して小さいものではないと思います。しかし、中長期の視点を持てば、重要な隣国としての関係は変わることなく、相互依存化する日中関係はさらに深化していくものと考えられます。
 そんな中、今後の中国との関係で、特に和歌山の場合は、姉妹提携を結んでいる山東省とのつながりを強化しつつ、対中国、アジア戦略を描くことが重要であり、その道筋を今後どのようにつけていくのかが問われます。
 そこで、今後の中国との経済交流について幾つか質問させていただきます。
 まず、中国経済について、昨年の社会経済研究所が主催したシンポジウムで、知事は、中国経済、アジア地域との経済交流について和歌山としても大いに期待しているといった発言をされていましたが、北京オリンピックが終わった今、改めて中国経済の現在の状況とこれからについて、どういった評価、見通しを持たれているか、御所見を賜りたいと思います。
 また、ことし第4回となる経済交流事業について、昨年は知事自身も訪中され、経済交流事業も御自身の目で見てこられています。昨年は仁坂知事、中村裕一前議長を初め、先輩・同僚議員も出席し、和歌山の企業側としては、これまでこの経済交流事業に多大なる御尽力をいただいてきました山下雅生中小企業団体中央会会長ら、ニット、テキスタイル、衣料縫製、家具製品、食品、造園、化学、精密板金プレス加工の11社が参加、山東省側からも140社210名の方が参加して大盛況だったということです。そういった中で、ことしの事業について、昨年の取り組みを踏まえて、特にどういったことに期待を持たれているか、知事のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 また今後、県としてこの経済交流事業を実のあるものとしていくために、どのようなサポート体制が必要だと考えているか、これは企画部長並びに商工観光労働部長より御答弁をいただきたいと思います。
 また、中国との交流では、企業間の取り組みだけでなく、人材の受け入れも和歌山県にとっては重要なものとなりますが、しかし先日、残念なニュースが報道されていました。それは、中国から受け入れた人材を違法に長時間労働させたとして、和歌山県紀の川市の縫製業経営者が有罪判決を受けたというものです。判決では、外国人研修・技能実習制度を悪用し、1時間200円という極めて安価な賃金で長時間働かせ、利益を得ていた。実習生への不払い賃金は約414万円。被告が理事長を務めていた平成ニット協同組合傘下企業では、2年4カ月で約4000万以上の不払い賃金があり、傘下企業への証拠隠滅なども進めていたということです。
 今後は地域としても若年層の労働力不足が心配される状況において、中国からの研修・実習生の受け入れは大切であり、今回の事件に関しては、県としても何らかの対応が求められるものと思います。
 そこで、知事に質問しますが、中国からの人材の受け入れについて、その必要性と和歌山県側の受け入れ態勢についてどのように考えておられるか、御所見を賜りたいと思います。
 また、具体的に今後、今回の事件を踏まえて、再発防止などの観点も含め、和歌山県としてどういった対策を行っていこうと考えているか、商工観光労働部長から御答弁を願いたいと思います。
 あわせて、外国からの研修生の受け入れで、その窓口となる組織としては、法務、外務、厚生労働、経済産業、国土交通の5省が協力して、財団法人国際研修協力機構(JITCO)という公益法人があります。この機関からの情報提供が非常に難しいといったことを聞きますが、実態はどうなっていますか。
 また、本来はここから研修生の情報が県にも伝えられ、その情報をもとにして研修生をフォローするといったことも進めるべきと考えますが、あわせて商工観光労働部長からお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 以上で、私の第1問の質問をこれで終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの山下大輔君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 山下議員のたくさんの御質問の中から、私に答えろというようなことを先に申し上げたいと思います。
 まず、福田総理の辞意表明について感想を述べよということでありますが、これはすぐに記者に囲まれましたのと今も感想は変わっておりませんが、第1に、当局のトップすなわち国政の責任者であられるわけですから、そういう責任者というのはやはり大変なんだなというふうに、私も県政を預かる者でございますので、少し同情をしたということでございました。
 しかし、国民の負託を受けて国政を担っている以上、不愉快なことや苦しいことはあっても、歯を食いしばってでも頑張らなければいけなかったのではないかなというふうに思いました。その際に、やめるべきか否かの判断というのは人がするものではないかというふうに申し上げました。これが2点目でございます。
 3点目に、経済がこんなに心配なときに経済対策はどうしてくれるんだろうかというようなことを申し上げました。これは、実は辞任を発表されたときの、例えば各政党とか、あるいはマスコミを含む各界のコメントが、全部そういう点がなくて、あの党がどうだとか、そういう党利党略、私にしてみると、そういうことばっかり言うとると。選挙に関することばっかり言っとるというんで、これはやっぱりいかんのじゃないかな、本当に大変なのは、今経済対策をきっちりやってもらうことじゃないか、そんなふうに思ったということを申し上げた。今もその気持ちは変わりませんで、ぜひ経済対策を、だれが総理になられるかわかりませんけれども、やっていただきたいと思っております。
 2番目に、政治教育についてでございます。
 これは、子供が政治的教養として民主主義を支える仕組みを理解し、社会に関する関心を高めるものでありまして、その果たす役割は大変重要であります。長期総合計画において、積極的に社会に参画しようとする意欲や態度をはぐくむ市民性を高める教育を推進することとしておりますけれども、その中で、政治教育に関する取り組みは、市民性をはぐくむ重要な要素であると認識しておりまして、同時に、この取り組みが和歌山の元気の創造を進めていくことにつながるものと考えております。
 次に、関西広域連合でございます。
 関西広域連合の意義というのを2つ申し上げますと、1つは、関西における広域行政を効果的、戦略的に推進する役割ということではないかと思います。もう1つは、国の事務・権限の移譲の受け皿としての役割だと思います。前者に関しましては、私は、本県としては広域連合を設立することで、東南海・南海地震に備えた広域防災体制の整備とか、あるいは広域観光、それから物流・交通体系の戦略的整備のように、県域を超えて取り組む必要のある課題に関西が一丸となって取り組めるようになるということで、私は期待をしている次第でございます。特に交通体系については、空港の問題、これが重要な要素を占めてくると思っております。
 私は、この準備会合のときに、やるんだったらもう具体的にターゲットを決めてどんどん実行するということでいこうじゃないかということを申し上げましたが、なかなかそうはいきませんで、現在の広域連合のスタートは、どういうことをするかということをみんなで考えようというようなところから出発しております。それについては、多少まどろっこしい感じもありますが、反対をすると話が進まなくなるので、私は賛成をしております。 それから、第2番目の議論、すなわち国の事務・権限の移譲の受け皿としての役割ですが、これは検討に参加している首長、財界人の中で、広域連合に国から事務・権限の移譲を受けて実績を積み重ねることで将来の地方分権型道州制につなげようと考えてる人もいらっしゃるようであります。しかし、このことが必ずしも共通認識になってるわけではありません。
 関西広域連合は、今申し上げました骨格案、ここまでできておりますが、これを踏まえつつ、今後、具体的な制度設計を進めて、2009年度以降のできるだけ早い時期の設立を目指すということになっておりますので、早ければ──一番早いケースですが──来年2月議会で本県の広域連合参加について御判断いただくことになる可能性があるということだと思っております。
 次に、道州制について経済界がどう思ってるかと、そこであなたはどうかと、こういうことでございましたが、経済界が道州制の導入に積極的な理由は2つあると思います。
 1番目の理由は、47都道府県を10程度の道州に再編することで行政のコストを削減し、効率的な行政体制をつくるということにあるんだと思っております。日本が狭くなったんだから知事の数はそんなに要らない、議会の議員の数もちょっとでよろしいというようなことではないかというふうに思います。
 私は、明治時代に設定された現行の都道府県の区域は、確かに現在の時間距離や科学技術の発達などを考えると狭くなっているというのは明らかであると思いますので、日本全体のことを考えれば、行政の効率化という観点も捨てるわけにはいきませんから、道州制の導入は不可避であるかなと、長い目で見ると不可避であるかなと思っております。
 もう1つの議論は、これは特に関西の経済人の方によくあるような気がいたしますけれども、今、制度が閉塞してる、経済が、あるいは社会が閉塞してる。特に地方分権についてはなかなか進まない。したがって、この際ガラガラポンというのをやらないと、すべてのことはうまくいかない。ガラガラポンをやって道州制をつくると、すべて何もかもうまくいくと、こういうふうに考える考え方でございます。特に地方分権が進まないので、早く道州制というのが多いと思います。
 私は、そんなもんじゃないんじゃないかなと思っておりまして、個人的には、そういう空想的、ロマンチスト的発想は、あんまり気が進まんと思います。マックス・ウェーバーの先ほどの言葉をかりれば──別の言葉をかりれば「政治に実験はいかん」ということでございまして、どういう形がよいか、これはきちっと考えなきゃいけないと思います。
 さらに、私は和歌山県の知事でありまして、和歌山県に現在住んでいる方々の幸せに責任を持ってると思っております。したがって、道州制下において資源配分が、今、和歌山に住んでいる人にとって現在及び未来において現状よりも有益なものになるような、そういう制度設計のために力を用いなきゃいけない、そういうふうに考えてる次第であります。
 次に、関西広域連合の政策調整でありますが、そういう政策調整ができるであろうと、将来においてはできるであろうということかと思いますが、実はどういうことを広域連合でやろうかということで、既に事前に政策調整がなされてるわけでございますので、できたとしても、すぐに政策調整ができるようなものではないというふうに思います。ただ、将来の問題として、政策調整を要するようなものをこの中に取り込んでいったらいいんじゃないかというふうに思っております。
 次に、大阪府知事の関西州構想についてでございます。
 皆さんは覚えておられると思いますが、実は、就任のときにお祝いに行きました。そのときに、メッセージは主として1つでした。大関西で発想してくれということでありました。薬が効いたかなというふうに思っております。ただ、現在提唱されている関西州構想について、詳細に私は承知してるわけではありません。しかしながら、この大関西で発想するという発想に基づいてなされてることは明らかなんで、評価したいと思います。
 そのために、具体的にはどうするかということについては、これからいろいろなことを考えていかないといけませんが、この大関西が東京圏に対抗できるような、そういう立派なところ、首都圏とは異なる多様な価値が集積する日本のもう1つの中心核として発展していく、その中に和歌山もちゃんとあるというふうになっていくといいなというふうに考えている次第でございます。
 その次に、中国経済についてでございますが、中国については、御指摘のように工場がどんどん建ちまして、製造業の発展を中心とするような中国経済の成長は大変な底力があると思っております。もちろん原油や資源価格の高騰、世界的な金融不安、中国経済を減速させる不安要因がないわけではありませんが、基本的には豊富な労働力や目覚ましい技術力の向上を背景に、今後ともかなり安定的に中国経済は成長していくんではないかと思います。
 さらには、この成長に伴う個人消費の拡大、これも見込まれます。既に、和歌山県産の食品ですね、こういうものについて需要が見込まれる、そういう層が随分育っていると思います。したがいまして、製造業のみならず、さまざまな業種で新たなビジネスチャンスも期待されるところだと思っております。このような懐の深い魅力的な中国市場に向けて、県内企業が、あるいは県内の事業者の方がさらに挑戦いただくように期待しているところであります。
 その次に、経済交流事業でございますが、これについては、御指摘のように、県内企業と山東省企業による商談会が平成17年度から3カ年継続して行われております。ことしも11月12日に第4回目の商談会が青島市で開催されます。私も去年参加いたしまして、応対に和歌山企業が苦慮するほど多くの中国企業が来場され、活気ある商談の様子を目の当たりに見さしていただきましたが、その後お聞きしますと、引き合いも多く、契約につながった企業もあるというふうに聞いております。このような機会を通じて、どんどん積極的にビジネス展開がなされればいいというふうに考えております。
 次に、中国からの人材の受け入れでございますが、これにつきましては、外国人研修・技能実習制度というのがありまして、本県でも、これを利用して中国人を初め多くの方が働いておられると認識しております。これは、日中双方にとってそれぞれに利点のある制度だと思います。この制度については、こういう利点はもちろんあるんですが、一方、違法就労あるいは低賃金、長時間労働など、さまざまな問題も発生していることも認識しております。国においては、研修生の保護制度の強化など、制度の見直しを検討されてるというふうに聞いておりますが、こういう推移を見守りながら適切に対応してまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(大沢広太郎君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) まず、関西広域連合の問題に関連いたしまして、関西における空港戦略ビジョン、和歌山の視点で描くべきではないか、それから、関空の整備充実についての大阪府との連携はどうかという御質問にお答えいたします。
 関空につきましては、先日、橋下大阪府知事らが3空港の一体運用を目指す発言をするなど、議論が活発化しているところでございます。そういった中にありまして、和歌山県といたしましては、まず、関西国際空港が関西発展の中核となる国際拠点空港であるとの観点から、その機能を強化充実するため、国内線のシフト、2期事業の早期完成、そういったことを強く主張していくべきであると考えております。今後、関西における3空港一体運用など、これからの3空港のあり方を検討する際には、この視点を踏まえ、本県としての論点整理を行いまして、関空の将来像を明確にし、主体的に議論に参加してまいりたいと考えております。
 また、大阪府との連携につきましては、近畿ブロック知事会、それから関空の全体構想促進協議会、そういったもののほかに、府県間の協議などの場を通じまして、常日ごろから緊密に行っているところでございますけども、3空港のあり方につきましては、よりきめ細かく情報交換を行いながら進めてまいりたいと考えております。
 次に、中国との経済交流を進めていくに当たっての和歌山県のサポート体制についての御質問でございますけれども、議員お話しのサポート体制をとるためには、語学能力だけでなく、中国の商慣習、法律に精通し、ビジネス社会、中国中央政府及び地方政府に幅広く強固な人脈を有してる人材を確保する必要があると考えます。県といたしましては、こうしたニーズにこたえ得る国際的な人材の育成に積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(大沢広太郎君) 商工観光労働部長永井慶一君。簡潔にやってください。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) まず、経済交流事業における和歌山県のサポート体制についてお答えいたします。
 県といたしましては、県内では経済センター内に設置されている和歌山国際経済サポートデスクの専門相談員による個別サポートを実施し、中国では上海市に中国人ビジネスコーディネーターを設置し、県内企業の中国ビジネス活動を機動的にサポートしております。さらに、海外ビジネスに精通した商社OBをビジネスアシスタントとして派遣するサポートも実施しております。また、山東省での諸手続や法令等に関する相談が必要な企業に対しましては、昨年締結いたしました経済協力枠組み覚書に基づき、相談窓口となる山東省対外貿易経済合作庁とともにサポートを行ってまいります。
 続きまして、事件を踏まえての今後の和歌山県の具体的な対策についてお答えいたします。
 再発防止するためには、まず、制度の適正かつ厳格な運用が大事であります。県といたしましては、そのため、企業における人権研修責任者に対する研修や各種労働関係講習会により理解を深めていただくとともに、外国人研修生受け入れ事業を行う協同組合に対しましても、外国人研修・技能実習制度が適正に運用されるよう、法令に関する情報提供や普及啓発に取り組んでいるところであります。さらに、問題案件については、6月16日付文書で再発防止について指導を行っております。
 最後に、研修生へのフォローについてお答えいたします。
 外国人研修生・技能実習生につきましては、生活支援及び人権保護の観点から、その中心的な役割を担うべき国際研修協力機構や和歌山労働局を初め、関係機関に鋭意働きかけるとともに、県といたしましても、和歌山県国際交流センターの外国人向け相談窓口への誘導や広報を積極的に行い、そのフォローをすることにより再発防止に努めたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 政治教育の充実の必要性につきましては、学校教育において児童生徒が政治的教養として、憲法を初め民主政治、地方自治等に関する基本的な仕組みや意義を理解するとともに、主体的に政治に参加する態度を身につけることが大切だと考えます。特に、投票率が低迷し、政治に対する無関心が指摘されている今日の状況の中で、政治教育はますます重要になっておりまして、市民性を高める教育を進める中で取り組むべき課題であると受けとめております。
 選挙の大切さについては、社会科、公民科の学習を初め、児童会活動や生徒会活動などを通じて児童生徒に理解させる取り組みを進めているところでございますが、御指摘の選挙管理委員会との連携協力は有効な手段として考えられますので、今後、そのあり方を検討してまいります。
 模擬選挙につきましては、県内の小・中・高等学校において実践してる学校もあり、現実の社会の動きと政治教育を結びつけた学習として成果を上げていることが報告されております。今後、政治への関心を持たせるための効果的な学習方法の1つとして研究してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 選挙管理委員会委員長山本恒男君。
  〔山本恒男君、登壇〕
○選挙管理委員会委員長(山本恒男君) 山下議員にお答えいたします。
 初めに、政治教育の充実への取り組みについてでございますが、近年の投票率の状況は、山下議員のお話もございましたように、昨年の参議院議員選挙では前回よりも若干上昇いたしましたものの、依然として低い状況にあると考えております。とりわけ若年者層の選挙離れが危惧されるところであり、将来の有権者となる子供たちに選挙の大切さを知ってもらうことは非常に大切なことだと思います。そのため、教育委員会との連携が重要であると考えております。
 県選挙管理委員会では、従来から教育委員会や各学校の御協力を得て、明るい選挙啓発ポスターの募集などを通じ、児童生徒に対する啓発を進めてまいってございます。また、本年9月からスタートした「こども版 出張!県政おはなし講座」に県選管も登録したところでございますが、希望のある学校に選挙の仕組みを解説する講師として県選管の職員を派遣することといたしております。選挙管理委員会といたしましては、このような取り組みを初めとして、教育委員会と連携し、選挙への関心を高めるため、工夫を凝らした啓発事業をより積極的に進めてまいりたいと考えております。
 次に、学校における模擬選挙への取り組みについて御提言がございましたが、近年、市民性を高める教育の一環として模擬選挙に取り組む学校が出てきております。模擬選挙にはいろいろな方法がございますが、公職選挙法で禁止されております人気投票ということにならないように留意した方法で、学校現場において模擬選挙に対する取り組みを積極的に進めていただくことは、選挙管理委員会としては、将来の有権者である子供たちに選挙への関心を高める大きな効果があるものと考えてございます。
 したがって、県選挙管理委員会としても、このような模擬選挙の実施について、学校からの協力要請を踏まえ、市町村選管とも連携し、積極的に協力するとともに、教育委員会を通じ、選挙への関心を高める取り組みをお願いしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) この際、申し上げます。
 発言時間が1分30秒残っておりますが、所定の時間が参りましたので、以上で山下大輔君の質問が終了いたしました。

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