平成20年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

平成20年9月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
 平成20年9月19日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第100号から議案第117号まで、並びに報第9号(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案等の付託
 第4 請願の付託
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会議に付した事件
 第1 議案第100号から議案第117号まで、並びに報第9号(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案等の付託
 第4 請願の付託
 第5 休会決定の件
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出席議員(45人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 川口文章
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 16番 下川俊樹
 17番 岸本 健
 18番 尾崎太郎
 19番 藤山将材
 20番 新島 雄
 21番 山下直也
 22番 井出益弘
 23番 宇治田栄蔵
 24番 多田純一
 25番 中 拓哉
 26番 角田秀樹
 28番 山田正彦
 29番 坂本 登
 30番 尾崎要二
 31番 中村裕一
 32番 服部 一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 藤本眞利子
 36番 長坂隆司
 37番 玉置公良
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(1人)
 27番 江上柳助
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        原 邦彰
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      森 崇
 総務部長       小濱孝夫
 企画部長       前硲健作
 環境生活部長     井口悦治
 福祉保健部長     井畑文男
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      雑賀忠士
 教育委員会委員    湯川 力
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員    片山博臣
 警察本部長      永松健次
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 山本恒男
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       蓬臺孝紀
 次長         東岡誠吾
 議事課長       薮上育男
 議事課副課長     土井敏弘
 議事班長       田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      石垣悦二
 議事課主査      瀧川泰治
 総務課長       笠松 学
 調査課長       佐本 明
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  午前10時1分開議
○議長(大沢広太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第102号は、職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 日程第1、議案第100号から議案第117号まで、並びに知事専決処分報告報第9号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 41番山下大輔君。
  〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 おはようございます。
 本会議一般質問最終日、朝一番の登壇ということで、張り切ってまた頑張りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 ここ最近、リーマンの破綻、AIGの経営危機など、国内外で大変厳しい状況が続いております。そういった中では、やはり政治の責任というのがますます大きくなってるんじゃないかなということを痛感いたします。
 そんな中で昨日、中村裕一前議長がおっしゃられましたように、議員としてこの議会でしっかりと発言し、議論を深めるということがますます大切な状況になってると思いますので、私も中村先輩の御発言に、それを励みとして精いっぱい頑張りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは早速、議長のお許しをいただきましたので、順次質問をさせていただきます。御清聴よろしくお願いいたします。
 「福田首相の突然の辞意表明から日本の民主主義、政治教育を考える」ということで、今月9月1日、福田康夫内閣総理大臣が唐突に辞意を表明されました。首相の辞任表明は就任後342日目であり、前の安倍前首相と2代続けて約1年での任期途中での退任劇となりました。
 この事態を最初に聞いたとき、私はドイツの社会・経済学者マックス・ウェーバーの指摘が頭に浮かびました。私自身、10年前に政治家を志したとき、恩師から送られた本の1冊に、マックス・ウェーバーの著書「職業としての政治」がありました。政治を志す多くの人が一度は手にするものと言われますが、マックス・ウェーバーの「職業としての政治」、ウェーバーは、その中で次のように指摘しています。「政治とは情熱と判断力、その2つを駆使しながら、かたい板に力を込めて、じわっ、じわっと穴をくりぬいていく作業である」。また、政治家の資質としては、「断じてくじけない人間。どんな事態に直面しても『それにもかかわらず!』と言い切る自信のある人間。そういう人間だけが政治への天職を持つ」といった指摘です。
 政治家は、どんなに苦しくてもパッション、熱い情熱を失わず、そして粘り強く、断じてくじけず、周りでは不可能だと思われることにも果断にチャレンジして実現させていく。そういったことからは、今回の辞任劇は、私自身、国民の1人として非常に残念に思いました。
 今回の突然の辞意表明には、さまざまな批判もありますが、しかし、私としては、福田首相個人がどうこうといった問題以上に、今、日本の民主主義そのものが危機であり、もっと根本的なところでの議論が必要だと強く感じています。
 歴史の言葉に学ぶということでもう1つだけ。これは古典中の古典となりますが、古代ギリシャの哲学者プラトンが記した「国家」という著書には、国の指導者を見出すのに次のような一節があります。「理想国家における教育により国家の守護者を見出し、そこから哲学の学習をさせ、経験を十分に有した者から、さらに優秀な者を選んで国政の運営を任せる、これが哲人王の思想だ」としています。理想の政治を追い求めた政治思想家でもあったプラトンは、すぐれた国家指導者、政治家を見出すためのさまざまな所見を述べています。現代の民主国家では、そもそもプラトンの説く理想国家という構想自体が相入れない部分もありますが、とにかく政治家、国家の指導者は、相当の訓練と教育、そこからの厳しい選別が行われなければいけないと指摘していることは重要です。今の日本の政治家には、特別の資格もなければ試験もありません。一定の有権者からの支持さえあれば、政治家、指導者になることが可能です。
 安倍首相に続く福田首相の辞任では、政治家の2世、3世議員、世襲議員の問題も指摘されました。今、国会議員では約4割が2世、3世議員であり、自民党では衆議院議員の半数以上、民主党で約3割ともなっている現状があると言われます。「東京新聞」の論説では、「世襲議員は地盤、看板、かばんが保証されているから、本人の資質にかかわらず議席確保のために担ぎ出される」とし、「毎日新聞」の論説委員であった岩見隆夫氏は、「19世紀に英国の政治が卒業したことを今の日本が踏襲している。ただし、政治家の子供が政治の道を志していけないわけはない。問われているのは資質であり、それを見抜く目を持っているか有権者が試される」と指摘されています。有権者の厳しい目、有権者の賢明な判断から指導者を見出す、そこでは有権者のよりよい選択にこの国の未来が託されているとも言えます。
 しかし、残念ながら現状では有権者の政治離れは顕著なものとなり、政治の危機は深刻です。それは、現在の投票率からも見てとれます。
 少し数字を確認しておきたいと思います。これは、お手元の資料を御確認いただきたいんですが、最近行われた衆議院選挙と和歌山県の県議会議員選挙、知事選挙の投票率の推移です。(資料を示す)
 まず、衆議院選挙では、昭和58年からの状況で、直近の小泉フィーバーに沸くところというのが少し投票率も回復しているんですけれども、総体的には低下傾向は明らかとなっています。
 続いて、私たちの県議会議員選挙、知事選挙について、その状況は深刻なものとなっています。ともに極端な投票率の低下傾向が見てとれます。まず、和歌山県議会議員選挙では、昭和40年から50年当時には80%を超えていたものが、現在は50%を割ろうかというところまで低下している状況があります。また、知事選挙はもっと深刻であって、これも昭和50年代には80%を超えていたものが現在は50%を大きく割り込み、直近では35%と非常に厳しい状況が見てとれます。
 民主国家の政治は大衆の信託で成り立つ、いわゆる「信なくば立たず」であり、今、政治への国民の信頼が揺らぎ、政治への無関心が高まる状況は、つまるところ国家存亡の危機と言っても過言ではないのだと思います。
 今、多くの国民、県民にとって政治に対する関心が薄れ、投票に行こうとしない、政治への信頼が揺らぐ実態が浮き彫りとなっています。しかし、そこでは関心を持てるだけの政治が行われていない、信頼に足る政治家がいないといった批判だけでなく、問題の本質として、もっとしっかりと政治家を選び、信頼に足る政治を取り戻さなくてはいけないといったことを真剣に考えるべきであり、そのためにも民主主義の担い手となる、より賢明な有権者をしっかりと育てるといった民主制国家の基本を改めて見詰め直す時期に来ているのだと思います。
 そこで今回は、政治の危機、その根本問題として取り組むべき政治教育の充実といったことについて、知事並びに教育長、そして選挙管理委員会委員長にも幾つかの質問並びに提案をさせていただきたいと思います。
 なお、今回の質問で私が使っている「政治教育」といった言葉の意味は、あくまで政治的教養を身につける教育といった意味で使っていますので、御理解をいただきたいと思います。
 さて、日本における政治教育については、現行の教育基本法第14条第1項で「良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。」と規定されています。ただ、同条第2項において「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」と規定されています。このことから、実際の教育現場における政治教育は、ややもすると萎縮する傾向があり、積極的、実践的な取り組みが敬遠されてきた現実があるようです。
 それでは、実際に現在の日本の政治教育の現状を見てみますと、小学校で社会の教科書、中学校では社会科・公民、高校では現代社会、政治・経済の教科によって教えられている状況があります。内容的には、民主主義の歴史・思想体系、選挙制度を含む具体的な議会制民主主義の仕組み、地方自治、マスコミの役割などが教えられています。それぞれの教科書を直接確認してみましたが、非常に充実した内容だと感じました。しかし、教科書がどんなに立派であっても、子供たちにどこまで伝わって、血となり肉となってしみついているのかは、私自身の経験に基づいても疑問の残るところです。今後は、子供たちが肌身で感じることのできる、これまで以上に踏み込んだ実践的な政治教育が必要とされているのだと思います。
 さて、実践的な政治教育ということでは、先進ヨーロッパ各国で選挙の投票率が軒並み80%を超えるという状況がある中で、ヨーロッパを初めとする先進各国の取り組みは非常に参考になるものと考えます。明るい選挙推進協会、明推協の調査などをもとにして、その取り組みを調べてみますと、そこには幾つかの共通点、政治的教養を実践的に身につけるための重要なヒントがあるように感じました。
 フランス、ドイツ、アメリカ、イギリスなどの状況を調査してみましたが、ここですべてを解説すると時間がなくなってしまいますので、イギリスを例にその取り組みを少し紹介させていただくと、イギリスでは、2006年に選挙法が改正され、選挙権を18歳に与えるとともに、被選挙権、立候補できる年齢も18歳に引き下げました。これにより、これまで以上に青少年への政治教育の重要性が増しているとされています。イギリスでは、社会科系の教科にシチズンシップ教育といったものがあり、それは市民としての自覚を促す市民教育、市民性をはぐくみ、市民としての必要な資質を身につける教育といったものに力が注がれているということです。ちなみに今、日本でもこのシチズンシップ教育の重要性は強く指摘されるようになってきています。 このイギリスにおけるシチズンシップ教育で重要な取り組みの1つとして、政治的教養の育成がありますが、その中で最も注目されている実践的な取り組みとして模擬選挙が挙げられています。
 イギリスの各高校では、学校行事として校内で模擬選挙が本当の選挙さながらに行われるということです。生徒たちは、設定された投票日の1カ月以上前から自分たちで政党を組織し、候補者を擁立する。そして、政策選挙の中心となるマニフェストも自分たちでつくり、しかも、その政策は現実の社会そのものを題材として、教育問題や治安問題、北アイルランド問題からEUの問題まで、まさに現実の選挙の論点を網羅する模擬選挙を実施しているということです。選挙活動も実践的で、実際に校内で政策を説明する個別訪問や公開討論なども実施され、本物の選挙運動と同じように展開されるということです。 また、こういった模擬選挙では、労働党や保守党といった政党が模擬選挙パックといったものをつくり、政策情報や選挙の戦い方、手続などを簡単に教えているということです。また、これはマスコミも協力し、各地で行われる模擬選挙の関心を高めるために、その積極的な取材活動を展開し、報道しているそうです。
 こういった模擬選挙の有効性は世界的に見ても注目されていて、ドイツ、アメリカなど、多くの国で積極的に取り入れられています。あくまで政治教育の充実には、政治制度や現実的政策を学ぶだけでなく、民主主義のプロセスを実体験で身につけるということが大切であり、そこでは模擬選挙が非常に有効に機能しているということです。
 そんな中、日本でも2006年6月に行われた日本NPO学会第8回年次大会で、シチズンシップをどのようにはぐくむかといったことで報告がされていて、その中で模擬選挙の重要性が指摘されています。今、日本でも模擬選挙の実施学校は少しずつふえていて、関西では京都府・立命館宇治高校、兵庫県・県立尼崎小田高校などの例が報告されています。
 私たちも今、各国、各地域の取り組みも参考としつつ、かつ和歌山なりの独創性を持って政治教育の充実に全力で取り組み、そこから民主主義の担い手となる厳しい目を持ったよりよい有権者を育て、そして断じてくじけない、すぐれた政治家をしっかりと生み出す基盤をつくり上げなくてはいけないのだと思います。
 そこで質問ですが、まず知事に、今回、福田首相の突然の辞意表明についてどのように感じられたでしょうか。率直な感想、御所見をお述べいただきたいと思います。
 次に、現在の日本の政治状況において政治不信が高まり、だれがやっても同じやといったような政治へのあきらめ、無関心が広がる中で、政治教育の重要性について、知事、教育長に、それぞれどのように認識されているか、御所見を賜りたいと思います。
 また、政治への関心を高め、投票行動を促す取り組みについては、例えば選挙管理委員会では、選挙の際にのぼり、ポスター、街宣車を走らせるなど、キャンペーンを大々的に行っています。しかし、こういった一時的なキャンペーンでは効果も限定的であり、実際に投票率が伸びていない現実をもっと真摯に見詰める中では、根本的に取り組み内容を見直す必要があるのだと思います。そこでは、私は急がば回れで、まず何より力を入れるべきは、子供のころからの教育で教育委員会などとの連携により、政治への関心、理解を深める取り組みに全力を挙げるべきだと考えます。
 ぜひ、全国に先駆けて教育委員会との協働による新たな政治教育の和歌山モデルを確立していただきたいと思いますが、そこで教育長、選挙管理委員会委員長に質問します。それぞれの機関が協力して取り組むことについてどのように考えるか。また、そこでは具体的にどういった方法があるとお考えか、お聞かせください。
 あわせて、学校における模擬選挙の取り組みについて、私は大きな意義のあることで、ぜひ、和歌山でも積極的に取り組んでいただきたいと考えますが、これも教育長並びに選挙管理委員会委員長に、その意義と取り組むことの有効性についてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 続きまして、今活発な議論がされている広域連合の取り組みについてお伺いいたします。
 この9月議会冒頭で、関西国際空港に係る意見書が決議されました。今回の意見書、関西国際空港への取り組みは、本県にとって非常に大切なものだと思います。しかし、関空への取り組みでは、当然和歌山県だけで思いどおりに進めることはできず、国初め、特に府県を超えた広域の政策調整機能が強化されなければいけないものと思います。今のまま、それぞれの地域が地元エゴ優先のばらばらの取り組みでは、特にこれからのアジア地域を含めた厳しい競争時代に対応できず、和歌山のみならず関西全体の地盤沈下も心配されるところです。
 そういった中で、今議論が活発化している分権改革、道州制、そして関西圏では目前に迫っている広域連合の取り組みについては、大きな期待を寄せられるものであり、和歌山の未来にとっても重要なものだと考えます。
 そこで、今回は(仮称)関西広域連合、また、道州制といったことを中心に、そのあり方などについて幾つかの提案と質問をさせていただきたいと思います。
 ことし春、社団法人日本経済団体連合会では、道州制の導入に向けた中間取りまとめを発表していますが、そこでは、究極の構造改革は道州制導入だと位置づけ、国から地方への権限移譲を大胆に進めるべきと提言しています。また先月、社団法人関西経済連合会からも「分権改革と道州制に関する基本的な考え方」という報告書が出されていますが、そこでも道州制の必要性が強く指摘されるものとなっています。あわせて、関西で検討されている広域連合の位置づけとしては、将来の道州制に向けたステップだと明確に指摘しています。
 そんな中、今、和歌山を初めとする関西の各府県でも、道州制を含めた広域連合の議論が盛んに行われている状況があります。そもそも広域連合とは、都道府県や市町村などが広い地域にわたる事業や政策実現を目指して設ける制度で、平成7年6月から始まっています。市町村レベルでは、介護保険やごみ処理、産業振興といった業務について100以上の組織が立ち上げられていますが、都道府県の取り組みは、これまでにその事例はございません。広域連合は、地方自治法に基づく自治組織であり、府県を超えた行政課題に対し、国からの権限移譲の受け皿にもなれるものです。
 さて、その広域連合の取り組みについて、全国で先駆けて、早ければ来年夏の設置を目指した動きが私たちのこの関西圏で活発化しています。この7月30日、関西経済界と関西を中心とする地方自治体が加わった関西広域機構が大阪市内で会合を開き、(仮称)関西広域連合の骨格案を基本合意したと報道されていました。
 今回の合意された骨格案では、設立当初から取り組む事務として、防災、観光、文化振興、医療連携、地球環境、自然環境保全など6分野を挙げ、東南海・南海地震に備えた防災計画の策定やドクターヘリの運航を含む救急医療の連携、外国人観光客向けの通訳案内士制度の創設など、具体的な事務内容も盛り込まれています。そして、発足3年後をめどに段階的に事務分野を拡大させて、国の出先機関の事務移譲も受け、一元的に処理する体制を整えるとしています。
 しかし、この関西広域連合には慎重姿勢を示す知事も少なくないようで、ある知事は、参加・不参加を決めるにはまだ早い、分権化で行政サービスはどうなるのか県民に知ってもらう段階とし、広域連合のメリット・デメリットの論議を盛り上げていく必要がある、また、今回の関西広域連合はあくまで道州制とは無縁の状況で、業務の共通化を考えることが基本的なスタンス、防災関係やドクターヘリ、観光など、限定的な構想だと思うと指摘する知事さんもいたようです。特に、道州制との関係には神経質な受けとめ方があり、広域連合の向こうに道州制があると言う知事もいたが、反対に、道州制をつぶすために広域連合をやると言う知事もいたといった話が各新聞紙上をにぎわせています。
 あくまで道州制の議論に当たってはさまざまな見解があり、関西の各知事間にも意見の相違は少なからずあるようですが、その中で、大阪の橋下府知事は道州制の導入に積極的な姿勢を見せています。先月、就任から半年を迎えた定例記者会見で、橋下知事はこのように言っています。「ほかの知事と協議しても進まないと思うので、大阪から関西州構想を立ち上げていく」とし、「道州制を目指さない広域連合だけでは、国と都道府県との間に新たな行政組織が誕生するだけで、むしろ屋上屋を架すのかなどの批判が起きる可能性もある。広域連合は行政の運営方法であり、住民はメリットを感じにくい。今後は、府単独でも道州制導入を主張し、府民の皆さんに関西州のメリットを訴えていく」としています。橋下知事のアドバイザリーボードに名を連ねる堺屋太一氏も、昨年、道州制に対する詳細な私案を取りまとめ、発表しており、橋下知事とともにかなり具体的な構想を描いているようです。
 私も、これまでの関西広域機構でされてきた議論を、資料などを取り寄せ、各知事の発言なども確認してきましたが、そこでは往々にして現在の地域ベースでの視点に固執し、中長期で見たアジアも含めた大競争にこの関西がいや応なく巻き込まれ、そこで何としても生き残っていかんとあかん、そういった大所高所からの意見が見当たらず、残念な気がしました。
 そもそも道州制の議論は、関西のみならず日本全体のあり方を俯瞰して、これまでは非効率であった行政統治のあり方を根本的に見直すものであり、そこでは持続可能な地方自治のあり方を真剣に模索する姿勢が必要だと考えます。今何とかやってるんやからええやんか的な発想、また、地元地域として特別なメリットがないんやったら、とりあえずやめとこうといった姿勢は、将来に向けある意味では無責任だというそしりを免れないものと考えます。
 そこで、本県にとっても非常に重要と思われる広域連合、道州制の議論について、仁坂知事に幾つか質問し、現状における知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 まず、そもそも今回の広域連合の議論に当たって、(仮称)関西広域連合に対する知事の認識、期待するところなどをお聞かせください。
 また、この関西広域連合について、関西経済連合会では、関西地域の広域的課題を解決する主体として期待し、その成長発展モデルは道州制をイメージできる格好の事例だとしていますが、知事自身は道州制との関係としてどういった認識を持たれているでしょうか。
 あわせて、関西広域機構の秋山会長などは、今何もしなければ日本の競争力は一層低下する、住民生活の向上や国の発展にどういう制度がいいのかを広域連合を通じて問いかけ、道州制のあり方を模索したらいいといった考えを示していますが、地方分権、道州制なども含め、今後、広域連合の取り組みの見通しについて、知事のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 また、関西、全国を見ても、特に経済界はかなり強力に道州制の導入を提言しています。日本経済団体連合会(日経連)では、2015年度をめどにして道州制導入を実現させるロードマップまで描かれていますが、このように特に経済界が推進を主張している理由、その意図、経済界が考える道州制のメリットなどについて、知事はどのように理解されているか、御所見を賜りたいと思います。
 また、そのような経済界が示す見識について、それは正しいことだと考えるか、知事なりの評価もお聞かせください。
 またあわせて、そもそも道州制について知事は不可避である、または必要なものであるといった認識を持たれているでしょうか。率直なところをお聞かせ願いたいと思います。
 私自身は、今回の関西広域連合の取り組みは、道州制に進むかどうかは別にしても、その活用の仕方によっては、和歌山の将来にとって非常に重要なものになると考えています。特に政策調整を行う場としても、関西国際空港の取り組みなどでも重要な役割を果たせる可能性があると期待しています。今回の広域連合の組織では、地域エゴを乗り越えてお互いの権益を調整し、関西一丸となった浮上を図るための政策調整機能を持たせることを期待しますが、知事の御所見をお聞かせください。
 あわせて、そもそも関空の整備については、和歌山単独でできるものではなく、それこそこの関西広域連合なども利用して議論を活発化させることもできるのではないかと考えますが、その見通しはいかがでしょうか。
 また、大阪の橋下知事は、当選後半年となる先日の記者会見で、関西州を見据えた政策をどんどん打ち出したいとして、大阪伊丹空港の廃止論や府庁の移転案などにも言及しています。会見では、伊丹と大手前・府庁の跡地を関西を盛り上げるために使えないか議論したいと、跡地利用も視野に入れて検討する方針を表明し、大阪なんてこんなちっぽけなところ、関西全体の大きな視点で空港問題も庁舎問題も考えてほしいと、特に伊丹空港については、利便性やニーズだけでなく関西浮揚のための戦略を、廃止論を含めてタブー抜きで議論しなければならないと指摘されています。
 これは、和歌山県にとっても願ってもないチャンスであり、大阪自身が伊丹のあり方を根本的に見直すと言っているこのタイミングを逃すことなく、改めて和歌山の視点から、関西国際空港を核とする関西における空港戦略ビジョンをしっかりと描くべきだと考えますが、これは企画部長から御答弁をいただきたいと思います。
 また今後は、関空の整備充実について伊丹の廃止も視野に入れるという、特に大阪府との協議を進め、連携していくことが重要だと思いますが、現在の大阪府との連携状況、また、今後の取り組みの見通しについて、これも企画部長からお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 あわせて、今、大阪橋下府知事が積極的に発言している道州制議論について、私自身は大いに賛同できるものと感じています。そこでは和歌山県としても積極的にかかわっていくべきで、例えば、以前提案した和歌山カジノ構想などへの協力を取引材料として大阪府知事が提唱する関西州構想に協力していくといったことなども、戦略的には和歌山の得るメリットは大きいように思いますが、知事は今、大阪の橋下知事が示している関西州構想などを初めとする道州制に対する積極的姿勢について、どのように評価されているでしょうか、御所見を賜りたいと思います。
 最後に、北京オリンピックが閉幕した今、今後の中国経済の見通しと、和歌山県と山東省との交流などについて。
 先日、北京オリンピック、パラリンピックが閉幕いたしました。今回の夏季オリンピック大会では、世界の204の国と地域、約1万1000人のアスリートが参加し、28競技302種目で熱戦が繰り広げられました。アジアでの夏季大会が開催されるのは、1988年のソウルオリンピック以来20年ぶり3回目で、共産圏としてはモスクワオリンピック以来2度目の開催となっています。今大会、北京五輪組織委員会は、大会スローガンとして、ワンワールド・ワンドリーム(1つの世界、1つの夢)を掲げ、人々のつながりや友好を前面に打ち出していました。
 しかし、そこには中国の覇権主義的要素も見てとれ、中国が世界の中心といったことも強くアピールされていたようです。また、華やかなオリンピックに沸くその裏で、寺院の管理が強化され、閉じ込められたチベット僧侶などに思いを寄せるときには、中国の光と影、今中国にある苦悩もよく見えた大会だったと思います。今後の中国には、ある意味では警戒し、注意深く見守らなければいけないとは思いますが、しかし、とにかく世界の一大イベントであるオリンピック夏季大会を無事成功させたことには、アジアの隣国である日本の我々も素直に喜び、今後に期待を寄せたいと思います。
 オリンピックは毎回そうですが、やはりスポーツは筋書きのないドラマであり、本当にたくさんの勇気と感動をもらえます。今回の大会でも、各種目でたくさんのドラマ、感動がありました。そんな中、オリンピックの注目は競技だけでなく、その開会式、閉会式にも多くの注目が集まります。私自身、今回の北京オリンピックの開会式にはいろんなことを考えさせられました。
 今回の北京大会の開会式は、世界的な映画監督である張芸謀さんが演出を担当され、理屈抜きにそのパワーに圧倒されました。開会式は、中国打楽器の缶が打ち鳴らされ、スタートしましたが、「論語」の有名な一節、「朋あり、遠方より来る。また楽しからずや」の大合唱には思わず鳥肌が立ちました。その後、さまざまな趣向で中国のこれまでの歴史文化が紹介され、細かく注文をつけると、その歴史解釈や中国の自慢とする文化遺産にも異論がないわけではありませんが、しかし、とにかく壮大なスケールで進められる式典は見る者を引きつけるパワーにあふれていました。よい悪いは別にして、自分たちのことを堂々と世界に発信するその姿勢、たくましいメンタリティーは、日本もある意味では見習わなくてはいけないと強く感じたところです。
 また、開会式のクライマックス、最高の見せ場である聖火台への点灯では、中国政府の強い意思が酌み取れたように感じました。世界的にも注目を集めた聖火リレーの最終アンカー、聖火台への点灯者は事前にはトップシークレットとされ、情報もなく、いろんなメディアでもさまざまな予測がされていました。中にはパンダが点灯するんじゃないかといった話までありましたが、結局、聖火リレーを締めくくったのは、元中国男子体操の金メダリストである李寧さんが選ばれていました。
 李寧さんは、御存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、体操選手として金メダルをとるまでは順風満帆な人生を歩みながら、しかし、引退を決意した最後のソウルオリンピックでは、中国国民の期待を裏切り、メダルの獲得もならず、失意のうちに競技人生に幕をおろしました。その後、挫折した李寧さんには中国体操界に居場所はなく、厳しい試練の道を歩むことになります。しかし、そこから心機一転、実業家に転身し、みずからの名を冠したスポーツブランド「リーニン」を立ち上げ、大きな飛躍を遂げています。リーニンブランドの企業グループは、現在世界第4位のスポーツメーカーで、時価総額2兆400億円と堂々の大会社となり、李寧さん自身も中国の長者番付の常連となる大成功をおさめています。
 体操選手としては最後に悔しい形での引退となり、中国国民からもバッシングを受けた体験から、「私はスターじゃなく1人の商人だ」と話し、これまでメディアへの露出を嫌い、最初は聖火ランナーの話も断っていたそうですが、どうしても引き受けてほしいといった要請から最後は快諾したそうです。中国政府が資本主義の成功者をぜひにと頼んで、一番目立つ最後の聖火リレーのアンカーに起用したことは、明確に中国の意思が伝わる思いがしました。李寧さんの起用は、中国政府の今後の国家運営に当たる意思表示でもあり、これからの中国社会は、さらなる経済発展に向けて挑戦が始められるのだと思います。
 しかし、今後の中国については、当然楽観論だけではなく、特に短期的には北京オリンピック、そして5年後の上海万博の後には、経済的にも厳しい状況を指摘するエコノミストも多く、そのリスクは決して小さいものではないと思います。しかし、中長期の視点を持てば、重要な隣国としての関係は変わることなく、相互依存化する日中関係はさらに深化していくものと考えられます。
 そんな中、今後の中国との関係で、特に和歌山の場合は、姉妹提携を結んでいる山東省とのつながりを強化しつつ、対中国、アジア戦略を描くことが重要であり、その道筋を今後どのようにつけていくのかが問われます。
 そこで、今後の中国との経済交流について幾つか質問させていただきます。
 まず、中国経済について、昨年の社会経済研究所が主催したシンポジウムで、知事は、中国経済、アジア地域との経済交流について和歌山としても大いに期待しているといった発言をされていましたが、北京オリンピックが終わった今、改めて中国経済の現在の状況とこれからについて、どういった評価、見通しを持たれているか、御所見を賜りたいと思います。
 また、ことし第4回となる経済交流事業について、昨年は知事自身も訪中され、経済交流事業も御自身の目で見てこられています。昨年は仁坂知事、中村裕一前議長を初め、先輩・同僚議員も出席し、和歌山の企業側としては、これまでこの経済交流事業に多大なる御尽力をいただいてきました山下雅生中小企業団体中央会会長ら、ニット、テキスタイル、衣料縫製、家具製品、食品、造園、化学、精密板金プレス加工の11社が参加、山東省側からも140社210名の方が参加して大盛況だったということです。そういった中で、ことしの事業について、昨年の取り組みを踏まえて、特にどういったことに期待を持たれているか、知事のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 また今後、県としてこの経済交流事業を実のあるものとしていくために、どのようなサポート体制が必要だと考えているか、これは企画部長並びに商工観光労働部長より御答弁をいただきたいと思います。
 また、中国との交流では、企業間の取り組みだけでなく、人材の受け入れも和歌山県にとっては重要なものとなりますが、しかし先日、残念なニュースが報道されていました。それは、中国から受け入れた人材を違法に長時間労働させたとして、和歌山県紀の川市の縫製業経営者が有罪判決を受けたというものです。判決では、外国人研修・技能実習制度を悪用し、1時間200円という極めて安価な賃金で長時間働かせ、利益を得ていた。実習生への不払い賃金は約414万円。被告が理事長を務めていた平成ニット協同組合傘下企業では、2年4カ月で約4000万以上の不払い賃金があり、傘下企業への証拠隠滅なども進めていたということです。
 今後は地域としても若年層の労働力不足が心配される状況において、中国からの研修・実習生の受け入れは大切であり、今回の事件に関しては、県としても何らかの対応が求められるものと思います。
 そこで、知事に質問しますが、中国からの人材の受け入れについて、その必要性と和歌山県側の受け入れ態勢についてどのように考えておられるか、御所見を賜りたいと思います。
 また、具体的に今後、今回の事件を踏まえて、再発防止などの観点も含め、和歌山県としてどういった対策を行っていこうと考えているか、商工観光労働部長から御答弁を願いたいと思います。
 あわせて、外国からの研修生の受け入れで、その窓口となる組織としては、法務、外務、厚生労働、経済産業、国土交通の5省が協力して、財団法人国際研修協力機構(JITCO)という公益法人があります。この機関からの情報提供が非常に難しいといったことを聞きますが、実態はどうなっていますか。
 また、本来はここから研修生の情報が県にも伝えられ、その情報をもとにして研修生をフォローするといったことも進めるべきと考えますが、あわせて商工観光労働部長からお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 以上で、私の第1問の質問をこれで終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの山下大輔君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 山下議員のたくさんの御質問の中から、私に答えろというようなことを先に申し上げたいと思います。
 まず、福田総理の辞意表明について感想を述べよということでありますが、これはすぐに記者に囲まれましたのと今も感想は変わっておりませんが、第1に、当局のトップすなわち国政の責任者であられるわけですから、そういう責任者というのはやはり大変なんだなというふうに、私も県政を預かる者でございますので、少し同情をしたということでございました。
 しかし、国民の負託を受けて国政を担っている以上、不愉快なことや苦しいことはあっても、歯を食いしばってでも頑張らなければいけなかったのではないかなというふうに思いました。その際に、やめるべきか否かの判断というのは人がするものではないかというふうに申し上げました。これが2点目でございます。
 3点目に、経済がこんなに心配なときに経済対策はどうしてくれるんだろうかというようなことを申し上げました。これは、実は辞任を発表されたときの、例えば各政党とか、あるいはマスコミを含む各界のコメントが、全部そういう点がなくて、あの党がどうだとか、そういう党利党略、私にしてみると、そういうことばっかり言うとると。選挙に関することばっかり言っとるというんで、これはやっぱりいかんのじゃないかな、本当に大変なのは、今経済対策をきっちりやってもらうことじゃないか、そんなふうに思ったということを申し上げた。今もその気持ちは変わりませんで、ぜひ経済対策を、だれが総理になられるかわかりませんけれども、やっていただきたいと思っております。
 2番目に、政治教育についてでございます。
 これは、子供が政治的教養として民主主義を支える仕組みを理解し、社会に関する関心を高めるものでありまして、その果たす役割は大変重要であります。長期総合計画において、積極的に社会に参画しようとする意欲や態度をはぐくむ市民性を高める教育を推進することとしておりますけれども、その中で、政治教育に関する取り組みは、市民性をはぐくむ重要な要素であると認識しておりまして、同時に、この取り組みが和歌山の元気の創造を進めていくことにつながるものと考えております。
 次に、関西広域連合でございます。
 関西広域連合の意義というのを2つ申し上げますと、1つは、関西における広域行政を効果的、戦略的に推進する役割ということではないかと思います。もう1つは、国の事務・権限の移譲の受け皿としての役割だと思います。前者に関しましては、私は、本県としては広域連合を設立することで、東南海・南海地震に備えた広域防災体制の整備とか、あるいは広域観光、それから物流・交通体系の戦略的整備のように、県域を超えて取り組む必要のある課題に関西が一丸となって取り組めるようになるということで、私は期待をしている次第でございます。特に交通体系については、空港の問題、これが重要な要素を占めてくると思っております。
 私は、この準備会合のときに、やるんだったらもう具体的にターゲットを決めてどんどん実行するということでいこうじゃないかということを申し上げましたが、なかなかそうはいきませんで、現在の広域連合のスタートは、どういうことをするかということをみんなで考えようというようなところから出発しております。それについては、多少まどろっこしい感じもありますが、反対をすると話が進まなくなるので、私は賛成をしております。 それから、第2番目の議論、すなわち国の事務・権限の移譲の受け皿としての役割ですが、これは検討に参加している首長、財界人の中で、広域連合に国から事務・権限の移譲を受けて実績を積み重ねることで将来の地方分権型道州制につなげようと考えてる人もいらっしゃるようであります。しかし、このことが必ずしも共通認識になってるわけではありません。
 関西広域連合は、今申し上げました骨格案、ここまでできておりますが、これを踏まえつつ、今後、具体的な制度設計を進めて、2009年度以降のできるだけ早い時期の設立を目指すということになっておりますので、早ければ──一番早いケースですが──来年2月議会で本県の広域連合参加について御判断いただくことになる可能性があるということだと思っております。
 次に、道州制について経済界がどう思ってるかと、そこであなたはどうかと、こういうことでございましたが、経済界が道州制の導入に積極的な理由は2つあると思います。
 1番目の理由は、47都道府県を10程度の道州に再編することで行政のコストを削減し、効率的な行政体制をつくるということにあるんだと思っております。日本が狭くなったんだから知事の数はそんなに要らない、議会の議員の数もちょっとでよろしいというようなことではないかというふうに思います。
 私は、明治時代に設定された現行の都道府県の区域は、確かに現在の時間距離や科学技術の発達などを考えると狭くなっているというのは明らかであると思いますので、日本全体のことを考えれば、行政の効率化という観点も捨てるわけにはいきませんから、道州制の導入は不可避であるかなと、長い目で見ると不可避であるかなと思っております。
 もう1つの議論は、これは特に関西の経済人の方によくあるような気がいたしますけれども、今、制度が閉塞してる、経済が、あるいは社会が閉塞してる。特に地方分権についてはなかなか進まない。したがって、この際ガラガラポンというのをやらないと、すべてのことはうまくいかない。ガラガラポンをやって道州制をつくると、すべて何もかもうまくいくと、こういうふうに考える考え方でございます。特に地方分権が進まないので、早く道州制というのが多いと思います。
 私は、そんなもんじゃないんじゃないかなと思っておりまして、個人的には、そういう空想的、ロマンチスト的発想は、あんまり気が進まんと思います。マックス・ウェーバーの先ほどの言葉をかりれば──別の言葉をかりれば「政治に実験はいかん」ということでございまして、どういう形がよいか、これはきちっと考えなきゃいけないと思います。
 さらに、私は和歌山県の知事でありまして、和歌山県に現在住んでいる方々の幸せに責任を持ってると思っております。したがって、道州制下において資源配分が、今、和歌山に住んでいる人にとって現在及び未来において現状よりも有益なものになるような、そういう制度設計のために力を用いなきゃいけない、そういうふうに考えてる次第であります。
 次に、関西広域連合の政策調整でありますが、そういう政策調整ができるであろうと、将来においてはできるであろうということかと思いますが、実はどういうことを広域連合でやろうかということで、既に事前に政策調整がなされてるわけでございますので、できたとしても、すぐに政策調整ができるようなものではないというふうに思います。ただ、将来の問題として、政策調整を要するようなものをこの中に取り込んでいったらいいんじゃないかというふうに思っております。
 次に、大阪府知事の関西州構想についてでございます。
 皆さんは覚えておられると思いますが、実は、就任のときにお祝いに行きました。そのときに、メッセージは主として1つでした。大関西で発想してくれということでありました。薬が効いたかなというふうに思っております。ただ、現在提唱されている関西州構想について、詳細に私は承知してるわけではありません。しかしながら、この大関西で発想するという発想に基づいてなされてることは明らかなんで、評価したいと思います。
 そのために、具体的にはどうするかということについては、これからいろいろなことを考えていかないといけませんが、この大関西が東京圏に対抗できるような、そういう立派なところ、首都圏とは異なる多様な価値が集積する日本のもう1つの中心核として発展していく、その中に和歌山もちゃんとあるというふうになっていくといいなというふうに考えている次第でございます。
 その次に、中国経済についてでございますが、中国については、御指摘のように工場がどんどん建ちまして、製造業の発展を中心とするような中国経済の成長は大変な底力があると思っております。もちろん原油や資源価格の高騰、世界的な金融不安、中国経済を減速させる不安要因がないわけではありませんが、基本的には豊富な労働力や目覚ましい技術力の向上を背景に、今後ともかなり安定的に中国経済は成長していくんではないかと思います。
 さらには、この成長に伴う個人消費の拡大、これも見込まれます。既に、和歌山県産の食品ですね、こういうものについて需要が見込まれる、そういう層が随分育っていると思います。したがいまして、製造業のみならず、さまざまな業種で新たなビジネスチャンスも期待されるところだと思っております。このような懐の深い魅力的な中国市場に向けて、県内企業が、あるいは県内の事業者の方がさらに挑戦いただくように期待しているところであります。
 その次に、経済交流事業でございますが、これについては、御指摘のように、県内企業と山東省企業による商談会が平成17年度から3カ年継続して行われております。ことしも11月12日に第4回目の商談会が青島市で開催されます。私も去年参加いたしまして、応対に和歌山企業が苦慮するほど多くの中国企業が来場され、活気ある商談の様子を目の当たりに見さしていただきましたが、その後お聞きしますと、引き合いも多く、契約につながった企業もあるというふうに聞いております。このような機会を通じて、どんどん積極的にビジネス展開がなされればいいというふうに考えております。
 次に、中国からの人材の受け入れでございますが、これにつきましては、外国人研修・技能実習制度というのがありまして、本県でも、これを利用して中国人を初め多くの方が働いておられると認識しております。これは、日中双方にとってそれぞれに利点のある制度だと思います。この制度については、こういう利点はもちろんあるんですが、一方、違法就労あるいは低賃金、長時間労働など、さまざまな問題も発生していることも認識しております。国においては、研修生の保護制度の強化など、制度の見直しを検討されてるというふうに聞いておりますが、こういう推移を見守りながら適切に対応してまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(大沢広太郎君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) まず、関西広域連合の問題に関連いたしまして、関西における空港戦略ビジョン、和歌山の視点で描くべきではないか、それから、関空の整備充実についての大阪府との連携はどうかという御質問にお答えいたします。
 関空につきましては、先日、橋下大阪府知事らが3空港の一体運用を目指す発言をするなど、議論が活発化しているところでございます。そういった中にありまして、和歌山県といたしましては、まず、関西国際空港が関西発展の中核となる国際拠点空港であるとの観点から、その機能を強化充実するため、国内線のシフト、2期事業の早期完成、そういったことを強く主張していくべきであると考えております。今後、関西における3空港一体運用など、これからの3空港のあり方を検討する際には、この視点を踏まえ、本県としての論点整理を行いまして、関空の将来像を明確にし、主体的に議論に参加してまいりたいと考えております。
 また、大阪府との連携につきましては、近畿ブロック知事会、それから関空の全体構想促進協議会、そういったもののほかに、府県間の協議などの場を通じまして、常日ごろから緊密に行っているところでございますけども、3空港のあり方につきましては、よりきめ細かく情報交換を行いながら進めてまいりたいと考えております。
 次に、中国との経済交流を進めていくに当たっての和歌山県のサポート体制についての御質問でございますけれども、議員お話しのサポート体制をとるためには、語学能力だけでなく、中国の商慣習、法律に精通し、ビジネス社会、中国中央政府及び地方政府に幅広く強固な人脈を有してる人材を確保する必要があると考えます。県といたしましては、こうしたニーズにこたえ得る国際的な人材の育成に積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(大沢広太郎君) 商工観光労働部長永井慶一君。簡潔にやってください。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) まず、経済交流事業における和歌山県のサポート体制についてお答えいたします。
 県といたしましては、県内では経済センター内に設置されている和歌山国際経済サポートデスクの専門相談員による個別サポートを実施し、中国では上海市に中国人ビジネスコーディネーターを設置し、県内企業の中国ビジネス活動を機動的にサポートしております。さらに、海外ビジネスに精通した商社OBをビジネスアシスタントとして派遣するサポートも実施しております。また、山東省での諸手続や法令等に関する相談が必要な企業に対しましては、昨年締結いたしました経済協力枠組み覚書に基づき、相談窓口となる山東省対外貿易経済合作庁とともにサポートを行ってまいります。
 続きまして、事件を踏まえての今後の和歌山県の具体的な対策についてお答えいたします。
 再発防止するためには、まず、制度の適正かつ厳格な運用が大事であります。県といたしましては、そのため、企業における人権研修責任者に対する研修や各種労働関係講習会により理解を深めていただくとともに、外国人研修生受け入れ事業を行う協同組合に対しましても、外国人研修・技能実習制度が適正に運用されるよう、法令に関する情報提供や普及啓発に取り組んでいるところであります。さらに、問題案件については、6月16日付文書で再発防止について指導を行っております。
 最後に、研修生へのフォローについてお答えいたします。
 外国人研修生・技能実習生につきましては、生活支援及び人権保護の観点から、その中心的な役割を担うべき国際研修協力機構や和歌山労働局を初め、関係機関に鋭意働きかけるとともに、県といたしましても、和歌山県国際交流センターの外国人向け相談窓口への誘導や広報を積極的に行い、そのフォローをすることにより再発防止に努めたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 政治教育の充実の必要性につきましては、学校教育において児童生徒が政治的教養として、憲法を初め民主政治、地方自治等に関する基本的な仕組みや意義を理解するとともに、主体的に政治に参加する態度を身につけることが大切だと考えます。特に、投票率が低迷し、政治に対する無関心が指摘されている今日の状況の中で、政治教育はますます重要になっておりまして、市民性を高める教育を進める中で取り組むべき課題であると受けとめております。
 選挙の大切さについては、社会科、公民科の学習を初め、児童会活動や生徒会活動などを通じて児童生徒に理解させる取り組みを進めているところでございますが、御指摘の選挙管理委員会との連携協力は有効な手段として考えられますので、今後、そのあり方を検討してまいります。
 模擬選挙につきましては、県内の小・中・高等学校において実践してる学校もあり、現実の社会の動きと政治教育を結びつけた学習として成果を上げていることが報告されております。今後、政治への関心を持たせるための効果的な学習方法の1つとして研究してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 選挙管理委員会委員長山本恒男君。
  〔山本恒男君、登壇〕
○選挙管理委員会委員長(山本恒男君) 山下議員にお答えいたします。
 初めに、政治教育の充実への取り組みについてでございますが、近年の投票率の状況は、山下議員のお話もございましたように、昨年の参議院議員選挙では前回よりも若干上昇いたしましたものの、依然として低い状況にあると考えております。とりわけ若年者層の選挙離れが危惧されるところであり、将来の有権者となる子供たちに選挙の大切さを知ってもらうことは非常に大切なことだと思います。そのため、教育委員会との連携が重要であると考えております。
 県選挙管理委員会では、従来から教育委員会や各学校の御協力を得て、明るい選挙啓発ポスターの募集などを通じ、児童生徒に対する啓発を進めてまいってございます。また、本年9月からスタートした「こども版 出張!県政おはなし講座」に県選管も登録したところでございますが、希望のある学校に選挙の仕組みを解説する講師として県選管の職員を派遣することといたしております。選挙管理委員会といたしましては、このような取り組みを初めとして、教育委員会と連携し、選挙への関心を高めるため、工夫を凝らした啓発事業をより積極的に進めてまいりたいと考えております。
 次に、学校における模擬選挙への取り組みについて御提言がございましたが、近年、市民性を高める教育の一環として模擬選挙に取り組む学校が出てきております。模擬選挙にはいろいろな方法がございますが、公職選挙法で禁止されております人気投票ということにならないように留意した方法で、学校現場において模擬選挙に対する取り組みを積極的に進めていただくことは、選挙管理委員会としては、将来の有権者である子供たちに選挙への関心を高める大きな効果があるものと考えてございます。
 したがって、県選挙管理委員会としても、このような模擬選挙の実施について、学校からの協力要請を踏まえ、市町村選管とも連携し、積極的に協力するとともに、教育委員会を通じ、選挙への関心を高める取り組みをお願いしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) この際、申し上げます。
 発言時間が1分30秒残っておりますが、所定の時間が参りましたので、以上で山下大輔君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 議長のお許しをいただきましたので、張り切って一般質問をさせていただきたいと思います。
 まず、燃油価格高騰問題と今後の対応についてでありますが、既に今議会でも先輩議員から議論がありまして、重複する部分はお許しをいただきたいと思います。
 県は、昨年の12月20日、原油価格の高騰を受けて、県の施策の検討や情報交換などを目的として、原油価格高騰に係る庁内対策会議を設置しました。全庁的な取り組みとして、各部局への相談窓口の開設、価格動向の把握、便乗値上げの監視、融資制度の拡大、漁業近代化資金への利子補給、生活困窮者の見守りや単品スライド条項の適用、省エネ対策など、数多くの対策に取り組んでまいりました。
 庁内対策会議が設置をされて間もなく1年が過ぎようとしておりますが、燃油価格は依然として高どまりの状況であります。燃油以外の諸経費も上がり、コストアップ分を売買価格に転嫁できない、下請価格に上乗せして請求できないという状況が中小の業者で広く見られ、売り上げがふえないもとで、規模の小さい中小零細の事業者が置かれている状況、一層厳しくなってきております。ことしも年の瀬、季節的には冬場を迎えるに当たり、中小事業者の経営や県民生活をどのように守っていくのか、県政に対する要望も高まってきております。
 そこで、知事並びに関係部長にお尋ねをいたします。
 1つ目、対策会議設置後の対策とその総括について知事にお尋ねをいたします。
 対策会議の立ち上げ以後の施策とその評価について、その主眼は何であって、どのような成果を得たと考えておられるのか。対策会議は継続されるものと思いますが、今後の運営方針、どのように考えておられるのか。2つ目に、県内産業への影響把握と今後の対応について。3点、知事にお尋ねをいたします。
 農漁業や運輸・交通、建設、クリーニング、公衆浴場など、燃油が経費に占める割合の大きい分野での影響、これをどのように認識をされているのか。実態の調査はされてきたのでしょうか。また、その結果はどのようになっているのでしょうか。
 2点目に、今後県が実施すべきと考えている緊急的な対策、また中長期の対策、それらの基本的な方針をどのように考えておられるのか。これから年末を控えて中小事業者の資金繰りが懸念をされます。緊急的には借入金に対する利子補給や保証料の軽減などが考えられるわけですけれども、9月補正では見るべき新たな施策がないように思います。どのように考えておられるのでしょうか。中長期的には温暖化対策も兼ねた省エネに向けての支援などが考えられるでしょうけど、差し迫って困難に直面している事業者への支援のあり方をどのように考えているのか。これは、国の緊急対策待ちではなく、県でできることは早急に取り組んでいってもらいたいと思います。
 3点目、この8月29日、政府において緊急総合対策が取りまとめられ、補正予算での具体化はこれからの課題となっています。知事は、今議会の冒頭の説明で、国の総合経済対策を活用して支援を進めてまいりたいと言われておりましたが、この機会に県内事業者の実態をつかみ、国への具体的な要望を上げていくことが必要だと思います。
 例えば、国では漁業関係者の強力な運動もあって、水産庁が燃油価格高騰分の9割について全国で80億円の予算で直接支給を始めることとなりました。既に申請が始まっております。漁業関係者の声を聞いてみますと、その支給条件として、これから10%の燃油削減を求められることや水揚げがふえれば支給額を減じるなど、これまで油を削減できるところまでぎりぎり削減してきた、水揚げをふやすことでコストアップ分を少しでもカバーしようとしてきた、これ以上求められると厳しい。さらに、経費に占める燃油負担の割合が全国的に高いところから順にということなので、うちまで回ってくるのかどうか不安だが、とりあえず申請は出したということでした。漁業者の要望にどこまでこたえられるものとなるのか。今のはほんの一例でありますが、緊急総合対策が県内事業者にとって利用しやすいものとしていくことが重要です。どのように対応していこうとされているのか。
 3つ目に、国の特別交付税を活用した事業の実施について、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 国が自治体向けに、原油高騰に対する経費の2分の1を特別交付税で措置する施策が幾つかあります。19年度は、30道府県752市町村が活用しています。国は20年度においても同様に措置するということで、ことしの7月段階では37道府県が予算措置したということです。
 その1つが、福祉灯油と言われる生活困窮者に対する灯油購入費への助成です。19年度は、全国的には12道府県689市町村が実施、県内では高野町が実施しています。お隣の徳島県は、県が音頭をとって全県的に実施をいたしました。これから冬場を迎えるに当たって、県内の灯油価格の動向には厳しいものがあります。和歌山市内で配達をしてもらって、18リットル2350円、高値で推移しているわけです。平成16年4月の時点では18リットル860円前後でした。規制緩和で灯油価格が市場価格にゆだねられ、原油価格の高騰によってさらに拍車がかかり、5年間で3倍になりました。灯油価格の急激な高騰に対して、福祉的側面から生活の困窮している世帯を対象に助成をする、福祉灯油と言われるゆえんです。
 福祉灯油の制度を県として実施すること、また、実施する市町村への支援を求めたいと思いますが、どうでしょうか。
 生活保護基準に、11月から翌年の3月まで、暖房費としての冬季加算の制度がありますが、和歌山市の場合、1人世帯で月額2810円です。灯油20リットル分で1カ月とはもちません。灯油価格が上昇する以前と加算額は変わっておりませんし、冬場に暖房をより必要とする山間地ほど金額が低くなっている、こういう矛盾もあります。収入が生活保護基準相当であっても、生活保護を受けたくない、受給されていない人がたくさんおられます。国の活用できる制度を利用して、生活に窮する県民に温かい手を差し伸べてもらいたいと願うものです。
 社会福祉施設への支援の拡充も考えられます。障害者施設には、国から燃油高騰分として運営費への一定額の上積み助成が19年度分については行われたところですが、高齢者、障害者、児童などの社会福祉施設での暖房費高騰分、デイサービスなど送迎の燃料費高騰分への助成など考えられないでしょうか。施設への報酬が引き下げられております。施設運営には厳しいものがありますが、施設の安定的な運営を図る上からでも検討してもらいたいと思います。
 次に、防災についてお尋ねをいたします。
 折しも台風13号が接近をしておりますが、大雨のおそれがあるということです。十分な警戒態勢をお願いするものです。
 さて、9月は防災月間でもあり、各地で防災訓練が行われました。私も、地元の小学校の訓練に参加をしてまいりましたが、改めて家庭や地域ぐるみでの災害への日常的な備えを怠らないこと、そして、行政の防災への取り組みの強化充実が求められていることを実感いたしました。国内だけでも、昨年3月の能登半島地震、7月の中越沖地震、ことし6月の岩手・宮城内陸地震など、規模の大きい地震が続きましたが、地震だけではなく、短い時間で狭い地域での集中豪雨や竜巻、突風などの気象の激変による災害も多くありました。
 県内でも、ことしの5月24日午前3時から翌25日午前10時までの雨量が和歌山気象台で145ミリを観測、紀北地域のため池被害を初め、和歌山市内においても和歌浦地区で時間当たり80ミリを超す豪雨が観測されるなど、各地で道路冠水が起こり、床上・床下浸水、土砂崩れなど、少なくない被害が広範囲に起こりました。この8月の末には、愛知県岡崎市で1時間に最大146.5ミリ、24時間雨量では300ミリを超え、降り始めからでは448ミリの雨が観測され、河川がはんらん、家屋の軒下までの床上浸水、道路の冠水や停電、橋の決壊、交通機関の麻痺、死者や行方不明者が出るなど、市民生活に甚大な被害をもたらしたところです。被災されました皆さんにお見舞いを申し上げるとともに、早期の復興を願うものであります。
 近年、集中豪雨の発生回数は増加しつつあり、今後も夏の降水量と豪雨の頻度が増加すると予測をされております。岡崎市で起きたような集中豪雨が和歌山市を襲ったらどうなるのか。現在、河川改修など進められておりますが、果たしてどこまでの雨量に耐えられるのか。堤防の決壊やあふれ出した場合の備えは十分なのか。被害を軽減させるための取り組みはどうなっているのか。解決を迫られている多くの課題があるように思います。
 そこで、近年の集中豪雨が観測史上初めてという降雨量を記録していることにかんがみ、洪水対策について、特に和歌山市域の問題について関係部長にお尋ねをいたします。
 1つ目に、紀の川洪水ハザードマップについて危機管理監にお尋ねをいたします。
 和歌山市で、防災マップの洪水版として紀の川ハザードマップが各家庭に配布をされました。マップの表紙を資料として配布をさせていただきました。ごらんになっていただけたらと思います。色のついている部分が浸水する区域となっています。
 これは、紀の川が大雨によって増水し、堤防が決壊した場合の洪水の範囲と深さを示したものとなっています。雨量は、橋本地点の上流域で2日間に484ミリ、船戸地点の上流域で2日間に440ミリの降雨を想定しています。マップによりますと、和歌山市域の40%、白いところは、山野や丘陵地以外でありますが、それ以外の市街地のほとんどが水没をする。緑の部分で1メートル未満、青い部分で3メートル未満、赤い部分では5メートル未満かそれ以上の深さになるというふうになっています。これは、紀の川右岸、左岸ともそれぞれ数カ所が決壊したらという想定でありまして、和歌山市の担当課に、そのようなことが実際に現実に起こり得るのか確認をいたしました。最悪の場合の可能性であって、否定はできないという返事でありました。この洪水マップは、平成13年に現在の国土交通省が策定した紀の川浸水想定区域図に基づいて作成されたもので、浸水区域の広さと水の深さには改めて驚かされます。
 そこで、県当局のこのマップに対する所見はどのようなものなのか、お尋ねをいたします。また、和歌山市に集中豪雨がもたらす洪水や浸水に備えての対策について、今後の県のかかわりや支援はどのようなことになるのでしょうか。
 2つ目に、市内河川の整備について県土整備部長にお尋ねをいたします。
 和歌山市の洪水マップは、紀の川のみに着目したものであって、市内には多くの県管理の河川がありますが、どこまでの降雨量を想定しての改修計画となっているのでしょうか。それぞれの河川の特徴や海の潮の状況、雨の降り方などによって河川の状況は変わってくると思いますが、和歌山市の公共下水道の処理能力は時間当たり50ミリまでの対応となっていて、それを超す雨が降ると浸水地域が出ることとなります。河川改修の目的が洪水や浸水を防止するということであって、身近な河川がどこまでの雨に対応できるのか、河川管理者としての考えを聞かせてもらいたいと思います。
 また、和歌山市内の河川改修の進捗状況と、いつ終わるのか、終了への見通しについてもお聞かせ願います。
 あわせて、昨年10月に河川整備計画に反映させるためとして、市内21河川について市民へのアンケート、これは主に単位自治会へ数部というアンケートでありましたが、河川整備計画づくりの状況、どのようになっているのか、お尋ねをいたします。
 3つ目に、避難について危機管理監にお尋ねをいたします。
 岡崎市では、午前2時10分に全市域の14万世帯37万人に避難勧告が出されましたが、多くの住民には伝わらなかった、こういう報道がされておりました。避難勧告の周知方法の問題もありますが、安全な避難場所の確保が前提でなくてはなりません。どのような対策が考えられているのか。市だけの対策で足りるのか、広域的な対応が必要となってくるのではないでしょうか。
 市街地全域の避難となると、和歌山市の洪水マップが示すような最悪な場合、これを想定しますと、ほとんどの避難場所の収容能力は不足、その上、水没をいたします。マップどおりの洪水に見舞われると避難不能となるのではないでしょうか。県の考えと市への支援、援助についてお聞かせをください。
 広域消防についてお尋ねをいたします。
 平成18年6月に消防組織法が改正され、消防庁は7月に市町村の消防の広域化に関する基本指針を告示、広域化の規模は大きいほど望ましいとされ、30万人以上を1つの目標として示しました。そして、平成19年度中に都道府県で広域化の推進計画を策定し、広域化対象市町村は、広域消防運営計画の策定など、広域化に向けた取り組みを行い、平成24年度までに広域化を実現することとされました。広域化に伴い臨時に増加する経費については、一般財源の2分の1を国の特別交付税で補てん、広域化によって必要となった施設整備については、起債の充当率を高めるなどの措置がされることとなっています。
 本県では、基本指針に基づき、現在、県内に17ある消防本部と2つの消防非常備自治体を5つのブロックに統合する広域化推進計画が策定をされました。御承知のように市町村消防は、火災の予防、警戒、鎮圧を行い、県民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、救命救助活動や地震、風水害などの災害による被害を軽減させることを使命としており、その活動に資するための人員、設備、施設の充実強化を進め、現場に短時間で駆けつけることができ、地域の地理をも熟知した機動性の向上が求められているところです。
 国においては、全国で標準的な消防力を維持するために、消防力の整備指針として、職員の配置数、消防車、救急車などの設置基準が定められているところです。しかし、本県の現状は、消防の非常備の自治体があることや、消防職員数や車両の設置数は、救急車を除き国の指針を大きく下回っている状況にあります。今回、示されている消防の広域化計画が実現すれば、市町村住民にとっての消防力、救命救助力、防災力が果たしてどうなるのか。自主的な広域化と言われているけれども、消防の現場に不安や不信が残らないのか。職員の労働条件はどうなるのか。市町村の財政負担はどうなるのか。見えてこないところが多々あります。
 消防力の整備指針との関係で見れば、広域化によって人口規模や市街地の形成が広がれば、職員数、設備数をふやさなくても整備指針では充足率が向上したかのように見えることもあります。少なくとも、現状の消防力を後退させることなく、地域の実情に応じた機動性のある消防力、防災力の向上に結びつけていかないと、住民にとって広域化の意味がないものと思います。また、市町村消防の自主的な広域化を目指すと言われていますが、広域化に当たって県はどのような役割を果たしていこうとするのか。危機管理監にお尋ねをいたします。
 なぜ5つの消防本部なのか、1本部、県で1本部にと、こういう自治体からの声もあるように聞きますが、5つのブロックにした理由は何か。そのことによって、現在より消防力の強化にどうつながるのか。現在でも消防力の整備指針に対して充足率の向上が求められているところですが、消防署の再編縮小や職員数の削減、リストラ、合理化につながるようなことはないのか。広域化後の運営について市町村の財政負担はどのようになるのか。県からの財政支援は考えられるのか。
 また、広域化を進めるに当たっての県の役割は何か。自主的な広域化と言われ、広域化推進計画策定に当たって全市町村の同意を得られたとしていますが、押しつけとなっていないのか。県と市町村消防の関係でいえば、消防組織法では、県知事は消防に関する事項について、市町村に勧告、指導及び助言ができるとされていますが、市町村消防は県知事の行政管理に服することはないとされています。
 御坊市の消防長が議会質問に対して、「県からの要請を受けてやむなく参画を了承した」と答弁したことが地元紙で報道されておりました。この表現では、自主的に広域化計画に参画する意思の表明とは受けとめられません。強制力が働いていたのではないかと思われます。今後の協議を進めるに当たって、市町村の自主性をどのように尊重していくのか。市町村の消防力を見れば、現状で十分ということはなく、地域での格差がかなり見受けられます。しかし、最初に広域化ありき、広域化さえすればすべて解決できるものでもありません。現状の消防力を後退させることなく、市町村の自主性、自発性において、地域のより充実した消防体制のあり方についての模索が求められているのだと思います。そういう点からの県の支援が必要だと考えるものです。
 最後に、住宅問題についてお尋ねをいたします。
 平成18年、住生活基本法が制定されました。住生活の安定の確保及び向上を基本目的とうたう一方で、公共住宅の供給に関する政府目標を廃止し、住宅金融公庫の融資も廃止・縮小を追認しました。政府の住宅政策への公的責任を後退させているようにも思います。住まいは生活の基本であって、良好な住宅で生活するのは人権でもあります。国民に適切な住宅を保障していく上で、居住水準・住環境の向上、公的住宅の質・量ともの改善と充実、適切な住居費の負担、住宅関連事業者や金融機関の住宅整備への責務の明確化などが求められていると思います。とりわけ近年、将来の生活設計の不安から借家志向、とりわけ公営住宅への希望がふえているのではないでしょうか。
 私のところへも、「若いときから食堂を夫婦でやっていたが、体を壊して商売をやめた。これまで家賃が月額7万円のアパートに入っていたが、収入がなくなり、これからのことを考えると公営住宅を申し込みたい、入れるだろうか」、「娘が離婚して子供を連れて戻ってきたが、一緒に住む部屋がない。公営住宅を申し込んでやりたいのだが」、こういった相談がふえてきています。高齢期を迎え、蓄えも底をつき、年金も先細りするもとで住居費負担が厳しくなりつつあるのです。住まいの安定を図る上でも、公営住宅の質・量ともの整備と入居者の負担可能な家賃であることを望むものです。
 そこで、県の住宅政策の基本点や公的住宅で起ころうとする幾つかの問題について、県土整備部長にお尋ねをいたします。
 まず、県の住宅政策の基本的な考え方、施策はどのようなものなのか、お尋ねします。
 2つ目に、県営住宅管理制度の見直しについて。
 公営住宅法施行令の一部改正によって、来年の4月、公営住宅の入居収入基準や家賃制度の見直しが行われることになっています。現在の入居収入基準、公営住宅に入れる線ですけども、平成8年に収入分位25%──収入の低い人から並べて25%までの人が相当する収入ということです──の世帯を入居対象者として、政令月収20万円、各種控除があります、給与所得者3人世帯で粗の年収で見ると463万円までに設定されていました。それを政令月収15万8000円、約75%に引き下げる、粗の収入では400万円に引き下げる内容となっています。自営業者の場合は年間所得260万円ぐらいの線となります。
 和歌山市の生活保護基準と比較してみますと、標準3人世帯で家賃限度額分の4万5000円、冬季加算、期末一時金を含めて、ざっと年額240万円ほどが生活保護基準額になるわけですが、それと比べると入居収入基準がかなり低いラインに設定されているように思います。高齢者世帯や障害者世帯などの裁量世帯についても、入居収入基準額の引き下げを行おうとしています。なぜ入居できる収入基準の引き下げを行うのか。国の説明では、入居収入基準が10年以上見直されておらず、この間に設定した基準額以下の世帯が25%から36%にまでふえて、そのことによって入居の応募倍率が高くなった、住宅に困窮する多数の低所得者、その入居ができなくなったので、今回入居基準を引き下げる、こういう説明であります。要するに、この10年間ほどで国民の所得が低くなってきて、公営住宅への応募がふえてきたというのです。
 人口の少子化、高齢化が進み、さらにひとり親家庭がふえているもとで、公営住宅への要望はふえています。国民の要望にこたえていくというのであれば、公営住宅の増設こそ求められているのではないでしょうか。入居収入基準や高額所得者となる基準が引き下げられるために、収入は前年度と変わらないのに、収入超過者、高額所得者となって市場家賃に近い家賃へとはね上がり、明け渡し努力義務や明け渡し請求の対象ともなってしまう人も出てきます。
 もう1つが、家賃そのものの見直しです。公営住宅の家賃は、入居者の所得と住宅の広さ、利便性などから自治体が計算する応能応益家賃となっています。今回、それぞれの設定見直しが行われ、既に入居している人で収入は前年度と同じなのに、収入区分の変動で所得上位になったり、新たな入居収入基準を超える入居者、建てかえ後の住宅の入居者など、家賃が上がることが考えられます。これでは、入居者の住まいの安定が図られないことになってしまいます。
 そこで、お尋ねをいたします。
 1点目に、制度見直しをどう評価するのか、今回の管理制度の見直しについてどのように考えているのか。応募倍率の最近の動向から見て、入居収入基準の引き下げは住民の県営住宅に対するニーズから遠ざけることになるのではないか。県営住宅の戸数をふやしていくことこそ必要なのではないでしょうか。
 2点目に、家賃見直しの影響について、家賃制度の見直しで家賃が引き上がる世帯、引き上げ率はどのぐらいになると推計されているのか。家賃引き上げに対する緩和措置や軽減措置はあるのでしょうか。入居者への説明をどのように進められるのでしょうか。
 この問題の最後に、雇用促進住宅の廃止問題について、これは知事にお尋ねをいたします。
 独立行政法人雇用・能力開発機構が所有する雇用促進住宅を廃止するとの閣議決定がされ、市町村に有償譲渡を受ける意思があるかどうかが打診されています。平成20年度中に購入する意思の有無の返事をしなければ、民間譲渡もしくは廃止するとのことです。県内に16市町に23住宅1850戸があって、ことしの2月時点では1467戸に入居、入居率80%で多くの方が住まわれています。もともと雇用促進住宅は、炭鉱の閉山で離職した勤労者の受け入れ先での住宅の確保という国策で始められました。それが今回、外郭団体の整理・廃止という、これもまた国策で住宅の廃止を行おうというものであります。和歌山に来て、和歌山の地で職を求め、長年入居されている人にとってはつらい話となっています。
 紀三井寺住宅に長年住まわれている人の話を聞いてきました。「九州から出てきて、住友金属の下請で働き、定年退職した。兄弟、親類は他府県で暮らしていて、地域でのコミュニティーづくりに力を尽くしてきた。年もとって今さら出よと言われても困る。ここで住むしかない」と言われていました。もともと国が管理していた住宅を廃止することであって、入居者に対する責任は当然国が負うべき問題です。しかし、入居者は県内に住まう住民であり、住民の住まいの安定的確保を図る上でも自治体として見過ごすことのできない問題でもあるはずです。市町村に有償譲渡の話がされ、住民の不安も広がりつつある中で、県としての態度表明と対応が求められるのではないかと思うところです。
 県として、この問題に対する基本的姿勢はどのようなものなのか。入居者の住まいの確保については、国が最後まで責任を負うべき問題ではないのでしょうか。国管理の住宅を市町村へ有償譲渡するとのことでありますが、市町村への無償での譲渡や、管理費について国の補助制度の創設、もしくは県の支援制度の創設が必要ではないでしょうか。市町村からの譲り受けについての返事は20年度末、今年度末と区切っておりますが、もっと弾力的に対応することが必要ではないでしょうか。廃止がやむなくなった場合、入居者の近隣における代替住宅の確保を関係機関と協議して進めることも必要ではないでしょうか。
 以上、私なりに思うことを述べましたが、この問題に対する知事の所見を伺いたいと思います。ぜひとも国に対して、入居者の住まいの安定を図る観点から意見を上げていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 以上で、私の第1問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 藤井議員の御質問のうちで、燃油価格高騰に関しまして質問が4つぐらいありました。対策会議設置後の対策と総括、それから県内産業への影響の現状認識と、県の緊急対策と中長期の対策、国の緊急総合対策への対応ということについて、重複を避けるためにまとめて御答弁申し上げたいと思います。
 まず、対策会議設置後の対策等でございますけれども、原油価格の影響を受けて、昨年来、石油製品を初め物価の値上がりが続きまして、多くの方々が大変な影響を受け始めました。このため、平成19年12月20日に原油価格高騰に係る庁内対策会議を設置し、まず総合相談窓口の開設とか、あるいは冬場ということもありまして、灯油などの値上がりにより、たちまち影響を受けやすい生活困窮者や高齢者世帯の見守り活動を強化する、あるいはセーフティーネットの政策融資がありますが、これの対象の拡大など、そういう対策を打ってまいりました。
 春になりまして、原油高騰が依然として続く中、じわじわと影響が特に産業界に及んでいくということで、業種対策が必要となりまして、従来の対策をさらに強化し、例えば公共工事の単価の見直し、あるいは中小企業への融資の拡大、下請取引適正化、施設園芸の省エネ対策、クリーニング事業者等に対する融資枠拡充の周知、そういうものをやってまいりました。
 夏になりますと、ますます原油高騰が拡大してまいりまして、特に影響の大きい漁業、あるいはトラック、あるいは農業、そういう方々から大変強い要望を受けたりするようになりました。特に、これを受けまして影響の大きい漁業の燃油高騰対策といたしましては、漁業分野における利子補給とか、省エネ操業に対する取り組み支援とか、水産関係の基盤整備の前倒し実施とか、県としてできることをすぐやろうということで実施しました。それから、トラックや漁業協同組合などの各種団体からの強い要望に対しましては、相談窓口対応や、あるいは農業普及員等の巡回、漁協や漁業者向けの説明会など、あらゆる機会を通じまして和歌山県内の状況把握に努め、その時々の実情に合わせて対応し、やれること、できることは迅速に進めてきたところでございます。
 同時に、県だけではできないということは国に働きかけをしております。単独でお願いをしに行っているというだけではなくて、全国知事会においても、「漁業用燃料等の原油、原材料の高騰に関する緊急決議」を政府に提出するなどの働きかけも行ってまいりました。先般発表された国の安心実現のための緊急総合対策には、こういう観点からさまざまな施策が取り上げられたというふうに私たちは認識しております。これを一刻も早く実現して、予算化して、国民がこれを使えるようにしてもらいたいというふうに私は考えてるところでございます。
 そこで、さらに今後は石油市場等の透明性の向上を初め、代替エネルギー対策や新エネ・省エネ技術の抜本的導入促進など、国における取り組みを一層強化し、スピードを上げていただきたいと考えておりますが、一方、県といたしましても、今まで同様、それぞれの分野において状況をよく見きわめつつ、何かございましたら国に伝える、あるいは自分でどんどんやる、そういうことを今後一層力を入れてやってまいりたいと思います。このために、対策会議はますますその重要な任を今後も果たしていくものだと考えております。
 それから、続きまして住宅問題、雇用促進住宅の廃止につきましては、居住されている方にとっては国の動きに大変な不安を感じておられることと思います。基本的には、これは国の方針によって生じた問題でありまして、国が責任を持って最後まで対処すべきだというふうに考えておりますけれども、現にある住民すなわち県民の心配は県庁の心配であります。したがいまして、現に居住している県民の生活に不都合が生じないようによく見続けるとともに、必要に応じて関係機関に要望したり、対応を検討していきたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 福祉灯油についてお答え申し上げます。
 まず、物価高騰に対する総合的対策といたしまして、8月29日に政府・与党が取りまとめました安心実現のための総合対策に、離島、寒冷地での生活支援など、地方自治体の自主的取り組みへの支援が盛り込まれているところでございます。その実現に向けた国の動きを注視しているところでございます。 灯油価格高騰に対して暖房用灯油の購入費用を助成いたします福祉灯油制度につきましては、昨年度、寒冷地における生活困窮者対策として、主に寒冷地の市町村等で自主的に実施されたと承知してございます。本県におきましては、暑さ寒さにより健康を損ねて困っておられる生活困窮世帯や高齢者の方々などを見逃さず、適切な福祉サービスにつなげるよう、昨年度から生活保護受給者に対するケース訪問を強化するとともに、民生委員・児童委員に見守り活動の徹底をお願いし、生活状況の把握に努めてきたところでございます。今後も、引き続き生活困窮世帯等の生活状況の把握に努め、適切な福祉サービスにつなげてまいりたいと、そのように考えてございます。
 次に、社会福祉施設への支援についてでございます。
 障害者の施設及び特別養護老人ホームなどの介護保険施設、デイサービスなどの介護保険事業所につきましては、その運営経費は基本的に障害福祉サービス報酬及び介護報酬で賄われており、燃料費等につきましても当該報酬の中で反映されているものとなってございます。これらの報酬につきましては、来年4月に次期改定が予定されており、現在、国におきまして経営実態調査を踏まえ検討されているところであり、報酬改定の中で適切に反映されるものであると考えてございます。
 児童福祉施設につきましては、毎年措置費等の単価が改定されており、燃料費等の運営経費の変動につきましても反映されているものと考えてございます。社会福祉施設を対象とした県独自の原油価格高騰に係る運営費助成制度はございませんが、去る8月、近畿府県が一体となって、安定した福祉サービスの確保のため、原油高騰及びこれに伴う諸物価の高騰対策について必要な措置を講じるよう国に対して要望したところでございまして、今後も、引き続き機会をとらえて国に対して働きかけてまいりたいと、そのように考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 危機管理監森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○危機管理監(森 崇君) 防災についての御質問のうち、まず、和歌山市における洪水対策について一括してお答えいたします。
 紀の川洪水ハザードマップは、紀の川がはんらんしたとき住民が浸水の高さを知り、避難方法等を考えるために和歌山市が公表したものであります。このハザードマップにつきましては、シミュレーションの最大値が表示されたものであり、図面に示された範囲が同時に浸水するというものではないということが和歌山市の見解であります。県といたしましては、急激に浸水地域が拡大するおそれのある集中豪雨にあっては、被害の軽減のため、住民がより早く気象情報などを把握し、速やかに避難などの対策をとることが重要でありまして、このマップはそのための有効な対策の1つであると考えております。
 県では、気象警報等の適切な伝達に努めており、市町村防災行政無線を活用した広報や携帯電話を利用したメール配信サービスなどを実施しておりまして、また一方、和歌山市においても、本年7月、すべての市立小学校に防災行政無線の屋外スピーカーを増設したところであり、県と和歌山市が連携して気象情報等の伝達方法の確立に努めているところでございます。
 次に、和歌山市が洪水被害に遭った場合の避難についてでございます。
 避難場所の開設及び運営は、被災市町村が行うものであります。浸水地域の拡大により避難場所が市内で不足するような事態が予測される場合には、和歌山市と連携して近隣市町での避難所開設に努めてまいります。
 また、急激な増水により住民の避難がおくれ、和歌山市だけでの対応が困難となった場合、速やかに自衛隊や緊急消防援助隊の派遣要請を行うなどの支援をしてまいります。集中豪雨に対しては、県としても迅速かつ適切な対策がとれるよう、和歌山市と緊密な連携協議を進め、必要な支援を図ってまいります。
 次に、広域消防についてでございますが、平成18年6月の消防組織法の改正に伴い、県内すべての市町村長の意見を十分にお聞きしながら、本年5月末、和歌山県消防広域化推進計画を策定したところでございます。本計画の策定に当たりましては、第1に、市町村の意見を可能な限り尊重すること、第2に、消防非常備団体を解消すること、第3に、2030年推計人口を用いて、より厳しい組織管理や財政運営が予想されるところの管轄人口10万人未満の小規模消防本部をできるだけなくすこと等の考え方のもと、現在の17消防本部及び2つの消防非常備町村を、本計画の期限である平成24年度末までに最も実現可能性の高いと考えられる5本部にすることを目指すこととしております。
 消防の広域化は、現在の消防力を消防署の統廃合や消防隊員の削減等で低下させることなく、消防隊員等の増強、高度な消防資機材の整備、救急業務の専任化等、質の高い消防防災サービスを提供できる体制を確立し、住民の安全・安心をより充実するために行われるものと考えてございます。また、広域化対象市町村が広域化に際し必要な事業に要する経費につきましては、人的・物的確保に支障が生ずることのないよう、地方債を初め所要の財政的支援が講じられることとなっております。
 県といたしましても、消防の広域化につきましては、それぞれの地域や市町村において、議会、住民、消防関係者等の御理解を得ながら、自主的な意思に基づいて進めていくものと考えておりまして、そのために必要な情報の提供、助言等の支援を適切に行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) まず、和歌山市内の河川改修の整備についてでございますが、市内の県管理の河川は27河川ございますが、主な河川については、おおむね20年に1回発生する大雨に相当する時間雨量約70ミリを目標として改修を進めてまいりました。これに対して進捗状況は約53%となります。
 現在、和田川や七瀬川など7河川について河道拡幅や河床掘削などの河川改修を実施していますが、今後とも治水効果の早期発現を考慮しつつ、順次整備を進めてまいります。
 また、河川整備計画は、河川法第16条の2の規定に基づき、中期的な河川整備の内容を具体的に計画するもので、現在、紀の川水系の市内21河川について策定の準備を進めております。今後、学識経験者の御意見を伺いながら策定してまいりたいと考えております。
 次に、住宅問題でございますが、まず、県の住宅政策の基本的な考え方につきましては、低所得者で住宅に困窮する方や高齢者、障害者等の安全・安心居住の確保を基本としております。具体的な施策といたしましては、子育て世帯、高齢者世帯向けの賃貸住宅に対する建設補助や老朽化した県営住宅の建てかえ、改善等を実施してございます。
 次に、県営住宅管理制度の見直しについて、まず、第1点目の制度見直しの評価についてでございますが、公営住宅法は、低所得者に対する住宅の供給を目的として入居対象者の収入基準を定めているところですが、世帯所得の変化や高齢者世帯の増加などに伴い低所得者の方が増加し、本来、公営住宅を必要とする低所得者が入居しにくい状況が生じてきました。今回、収入基準の適正化をすることにより、低所得者で住宅に困窮する方にとって公営住宅への入居がしやすくなるものと考えてございます。
 県営住宅の整備につきましては、耐用年数を考慮しながら建てかえ事業や改善事業を進め、既存住宅の居住環境の向上を図ってまいります。
 2点目の家賃見直しの影響についてでございますが、現在の県営住宅入居者の認定収入額をもとに推計いたしますと、比較的収入が多い世帯について家賃が上昇することとなりますが、その世帯は全世帯の約2割、1000世帯となります。この家賃の上昇する世帯の上昇率を計算しますと、約16%と推定しております。このことは、公営住宅における家賃負担水準が民間賃貸住宅における家賃負担水準に比べて著しく低い場合があるなど、公営住宅の入居者あるいは非入居者、この間での著しく公平を欠く状況も生じたための見直しだというふうに聞いております。
 なお、家賃の軽減措置はございませんが、急激な負担増を避けるため、5年間で新家賃に段階的にすりつくよう緩和措置をとることとなってございます。
 家賃制度改正につきましては、今月中に直接各世帯に対して改正の概要の通知を行うとともに、収入申告に基づく収入額認定作業が終了次第、来年度の新家賃額につきまして通知を行い、混乱を来さないよう取り組んでいく予定でございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
 43番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 知事に再質問、お願いしたいと思うんですが、燃油価格高騰問題について答弁を聞いておりますと、県としてできることはやっていくと。国のほうで緊急対策をつくってるんで、それの早期実現を見ていきたいということのようなニュアンスの話でありまして、何かあれば国に対して言っていきたいという話だったかと思います。
 私の質問は、ことし年の瀬、もう年末を迎えるわけですが、この9月補正で、新たに今のその実態調査もされておるんだったら、今の県内の、特に中小業者、県民の生活というのは御存じでしょうと、それに対する施策は何も考えられなかったのですかと。漁業者に対する利子補給というのはされておりますが、それ以外の中小事業者とか、そういうことについては今のところ必要ないというふうに思っておられたのか。国の対策で十分であるというふうに思っておられたのか。
 今、総裁選挙行われておりますが、その後、解散総選挙という事態もあり得ると。そうなれば政治の空白ということが生まれるわけですよね。国の緊急総合対策の、いち早くそれが、今の県内の事業者、県民にとってプラスになると、そういうものなら早くしてほしいと。これはだれもの願いであろうかと思うんですが、それに対する要望も実態を把握しながら、国に、今のタイムリーに、上げていくということも大事な問題だと思うんです。
 知事は、必要があれば言っていきたいとかいうような話をされていたと思うんですが、私、一例として漁業者の関係で、非常に漁業者でも、今の水産庁の制度でも非常に心配だと。いろんな支給条件、ハードルが高いと。それを何とか改善してほしいという声があるわけです。そういう声はやっぱりきちんと、これは水産業者だけに限らず、国の緊急総合対策を見きわめながら、県として言っていくことはきちんと言っていくと。それが、国の対策が利用しやすいように、利用できるものに変えていくというのが、今の時期にやっていくことだと私は思うわけなんですが、知事は、しばらく様子見をしてというようなニュアンス的に聞こえたわけですが、その辺、どうなのか。
 それと、国の特別交付税を活用した事業を多くの道府県がやっております。福祉保健部長は、福祉灯油については寒冷地対策というような話をされましたが、国のほうはこれは寒冷地に限っておりません。現に、お隣の徳島県が全県的にやってることですからね。別にこれは、福祉灯油を一例として挙げたわけですが、県民生活向けにも、国のこういう特別交付税というのを活用しながらできないものなのかということでお尋ねをしたわけですが、その点についての知事としての所見もあわせてお伺いをしたいと思うんです。
 県営住宅問題ですけども、現在収入が、勤労者の収入、自営業者の所得も大変減少し、低迷していると。それは、これまでのやっぱり国の施策、労働法制の緩和であったり各種の規制緩和であったり、そういうところから起こってきている、そういう国の政治の結果に負うところが大きいんではないかと思うんです。そのことによって収入が下がってきて、そしたら公営住宅に入れる人の間口も締めますよ、というようなことではこれはやっぱり困ると思うんですね。
 一挙に、その入居できる収入基準75%までに引き下げるという話ですし、結局、公営住宅の家賃が低いと、民間住宅の家賃が高いんで、公営住宅と民間住宅の家賃の不公平をなくすために公営住宅の家賃を上げますよという話ですよね。ところが、公営住宅は低所得者向けだと言ってるわけですよ。民間住宅に入れないから、入れるだけの収入がないから公営住宅への希望が殺到すると、こういうことでしょう。そしたら、公営住宅の家賃が低く設定されて当たり前じゃないですか。そうでしょう。
 やっぱり知事として、この入居収入基準を一気に75%まで引き下げること、これは撤回すべきだということをやっぱり国に上げるべきではないかと。家賃値上げとなる人の緩和策も5年間で新家賃にすりつくということですから、これをさらにもっと緩和をして毎年毎年の上げ幅を下げていくとか、今現在入居してる人が公営住宅に安心して住み続けれるようにするにはどうすればいいのかという観点から、ぜひ、県知事としての声をやっぱり出してほしいと思うんです、その点について。
 最後に、雇用促進住宅についてでありますけども、これも現在、雇用促進住宅に住まわれてる人は非常に不安であります。いつその退去を求められるのか、じゃ、次の住みかはどうなるのかという不安があるわけでして、これに知事は、よく状況を見て必要に応じて対応していきたいという。20年度中に市町村に対して返事せいと言うとるわけです。促進住宅を買い取る意思があるのかどうか。買い取るのは後にしても、とにかく意思があるのかどうか返事せいと、こういうふうに言うとるわけですからね。
 市町村は皆、苦慮するわけですよ。財政状況、大変厳しい。しかし、長年そこの市町村に住まわれていて、その住民の皆さんが大変な目に遭うのも忍びないということで大変苦慮してると、そういう状況にある中で、必要に応じて対応していくというようなことではなくて、せめてその──せめてというのはなにですけども、国に対して雇用促進住宅の廃止、これは撤回されたいと、住宅は住宅としてきちんと国の責任でやっていきなさい、というぐらいのことを言ってもいいんじゃないかなというふうに、私、思うわけです。
 その庁内対策会議で、今、中小事業者向け、特に、下請とか建設や運輸関係、規制緩和で競争が激しくなりまして、元請に対して価格を上げてほしいなんてとても言えないんです。価格表がある場合は、それを持っていって、こんなんなってますという話はできるけども、それ以外の諸経費のコストアップ分については、とても言えないというような状況があるわけです。そういう実態もよくつかんで、是正に向けて関係機関に働きかけていってもらいたいと思いますし、防災についても、これは和歌山市に限って話をしましたが、和歌山市は紀の川の河口にありまして、非常に地理的にも低いところにあります。 各河川には、ポンプ場が無数にというか、たくさん設置されておりまして、そのポンプ場が内水面の排水をしても、河川の容量が足らないので、ポンプ場の稼働能力が十分に発揮できない、こういう状況にあるわけなんですね。だから、一刻も早く県管理の河川の河道の改修、これを急いでほしいわけですが、しかし20年に1回、それが70ミリにしか対応できないということなんでね。
 50%の改修状況ということなんですが、これは早くしてほしいと、これは要望するしかないと思うんですけども、その下請価格の調査把握をして関係機関に働きかける、それから、この防災についての県管理河川、それから全市域避難勧告が出た場合の対応というのも、これは早く、最悪の場合を想定して考えなくてはいけませんので、早く協議を進めていってほしいと、この2点は要望で、あと知事に対しては、先ほど言いました燃油価格高騰問題と住宅問題の点の答弁をお願いします。
○議長(大沢広太郎君) 以上の再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、燃油価格高騰問題に関してでございますが、議員は、正確には再現できませんが、おまえの答弁は国に頼ってばかりで自分のはないのか、あるいは様子を見てとか、そういうふうにくくられたように思いますが、賢明なる議員諸氏は、私がずうっと説明しておりましたことのほとんどは県庁が自分で対応したことでございまして、決して様子を見てとかそういうようなつもりで県民の幸せを考えてるわけではありません。今後とも自分でやるべきことは、あるいはやれることは、できるだけやっていきたいと思っております。
 例えば、セーフティーネットの融資というのがございます。これは早速対象を広げました。従来はすべての業種の人が燃油の高騰コストアップ要因で受けるというのが大変難しかったんですけれども、国についても、それは国のいろんな政策金融も少し拡大、同時にされましたけど、県庁のはもっと拡大して、それですべての業種の方がコストアップに備えられるように実はしているわけでございます。
 それから、特別交付税の話がありましたけれども、これについても和歌山県は別に何も考えてないわけではありません。一番大事なことは、本当に困ってる人が、例えば、灯油もたけないようになって大変なことにならないかということをちゃんと見張るということでありまして、灯油をある意味ではみんなに配る、ばらまくというようなことは、必ずしも今の財政状況からして一番要請されることであるというふうに私は思っておりません。 したがって、そういうことがないように、これからまた季節も厳しくなってまいりますから、一層今までのスキームを強化して、そういう監視と言ったら失礼ですけれども、状況をよく見ていただくように、いろんな機関を動員してやっていきたいと思っております。それで問題があったら直ちに手を打ちたいと思います。
 それから、公営住宅についてでございますけれども、制度というのは、やっぱり長続きするということ、あるいは持続可能性ということを考えていかないといけないと思います。確かに、国の政策というのは、今、財政上の問題から合理化していくというのが結構多うございまして、一部の方にはなかなかつらいというようなところもあるかもしれません。ただ、同時に、対象者のうちで一番困ってる人が入居できないというようなことも、今、散見されてるわけですから、その一番困ってる人が入居できるような制度もつくっていくという、いいところもあるというふうにも思います。したがって、そういう状況をよく見て、今後ともこれに関心を払いつつ、必要な手は打っていきたいというふうに思います。
 それから、最後の点について、市町村は苦慮しているということでございましたが、県も同様にそれについては苦慮しているし、あるいは苦慮すべきだというふうに思っております。したがいまして、この問題を撤回しろというようなことを言うかどうかというのは別ですけれども、少なくとも、一番初めに申し上げましたように、最後まで責任をとれというようなことは申し上げていかないといけないと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) この際、申し上げます。
 発言時間が1分50秒残っておりますが、所定の時間が参りましたので、以上で藤井健太郎君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午後0時6分休憩
────────────────────
  午後1時12分再開
○議長(大沢広太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 6番向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 私が最後の一般質問者ということでございますんで、どうぞひとつゆっくりさしていただきたいなと思っています。
 質問に入る前に、まず、イチローが大リーグで8年連続200本安打を達成した。100年前の出来事を今更新したというすごい記録がきのう達成されました。新聞で読んで、野球人として私、感激したんですが、さっき新聞読んどったら、また今度、こんなあほなことが起こるんかなという思いで見たんですが、「読売新聞」に載っとった。大阪で運転代行しとる会社の社員が飲酒運転で逮捕された。こんなばかげたことが起こる世の中、何かこう、狂ってるなという思いでございます。
 前振りはこの辺にいたしまして、一般質問に入らしていただきます。
 まず、教育長にお伺いいたします。
 せんだってから高校入試のあり方ということで、先輩の小川議員からも質問ありました。私も、ことしの2月定例会で一般質問いたしました。また、続きまして予算委員会でも花田議員が同様な質問をいたしました。教育長の御答弁は、そのときには、来年ですね、21年度から実施の方向で検討したいというふうに思われる発言がありました。そういう示唆がありました。
 私どもは、てっきり来年から前期・後期の現在の制度を変えて、もとのような形での高校入試が実施されると、こういうふうに思っておりましたやさきに、新聞でいきなり、引き続いて来年度も前期・後期で入試をする、ただ、前期の合格率は10%引き上げて40%で実施したいと、こういう発表がなされたわけでございます。いずれにしましても、教育委員会の考え方というのは、私には少しわからなかった。前も、2月にも質問したんですが、もう一度改めて質問いたしたいと思います。
 戦後60有余年の高校入試に幾ばくかの変更を加えながらも、昭和24年より続いてきた制度が、2年前に突如改革の名のもとに、前期・後期の選抜試験が行われるようになりました。前期での募集定員は、定員数の30%を合格させるということでありましたので、例えば、わかりやすく言いますと、定員100人の高等学校が試験すると30人は合格できる。しかし、31人目は振り落とされるというシステムでありました。
 私は、このことについて、1回で入試の試験をしたならば、当然31番目、100番目の受検生であっても合格する。にもかかわらず、30%という設定で振り落としてしまう。県教育委員会の説明では、2回のチャンスを受検生に与えるんだと、こういうことですね。しかし、入るはずの者が落とされて、2回目受けよと言われる。これは御本人にとっても家族にとっても非常に厳しい、そういう思いで私は2月に質問をさしていただいた。しかし、そういう受検生が前期に失敗した、受検生の落胆、それから自信喪失、家族の苦悩を察するには余りあるものがあります。人生が変わる人もおるかもわかりません。それと、自信喪失ということで、本来入学したい高校へ行けずに他の高校を受検するということも起こり得る。不本意入学ということが起こるわけでございます。
 和歌山県の来年の高校生の受検数は約9000人余りでございますが、そのうち60%の子供がやはり振るい落とされる、第1回目は振るい落とされるわけでございます。5400人が振るい落とされるんですよね、1回目は。そういうシステムがあってもいいのかと、私はそのように思いました。
 2月に質問したときに、私は、十分来年の受検に間に合うというふうに思っておりましたが、この入試制度の検討委員会なるものがあるようでございますが、そこへ答申を求めたわけです。その席で、今から変えるのは現場を混乱させる、受検生は前期・後期、両方の試験をにらんで受験勉強にしているから、今のままでよろしいという結論が出たというんです。
 私は、高等学校のPTA連合会会長、三角君にも聞きました。「そんなおまえら発言したんか」、「そんなこと一切しておりません」。また、県のPTA連合会の会長、森脇さんにも聞きましたら、「そんなこと言うてません」と言うんですね。にもかかわらず、そこで決まったから来年もするんだと言うんですね。しかし、5000人の子供をまた痛い目に遭わす、家族を痛い目に遭わすというやり方は、いかにも教育委員会らしくないというふうに思うわけでございます。この制度を改める、あしきは早期に改めること、私はこのように思っておりますが、小川議員に対しての答弁は、「来年は現行のままの制度で10%合格率を上げて、60%は振るい落とします」という答弁でありました。私は、マスコミ発表した今となってはやむを得ないとは思いつつも、再度質問するわけでございます。
 本年の2月の定例会で、私、また花田議員に回答していただいた、来年から変えるんだという示唆があったような答弁の中で、そうじゃなくて、本当は私の質問に対して教育長は「皆さんに聞いてみないと回答はできません」と答えるのが正しかったかもしれませんね。
 ちょっと例を紹介さしていただきます。私の母校であります橋本高校のことであります。今、県立中学校が併設されておりまして、これが3年たちまして、来年この80人の子供、2クラス分ですが、高等学校へ進学するわけです。そうすると、残された募集枠は120人になるんですよ、120人に。2クラス中学校からとられてしまいますから、120人の募集枠になる。それの40%が1回目で合格する。48人ですよ。48人が、高校の受検で48人しか合格しない、こんなことになったら、本当に地元の人気高校であります、その高校を受検する、受検を目指すという本人、また家族は本当に混乱を起こすんじゃないかな、私はそのように思います。
 そういうことで、教育長に質問いたしますのは、前期・後期の2段階選抜を来年からできないのか、そういうことを取りやめてやれないのかという質問でございますが、回答があったようでございます。新しくする場合は受検生の立場に立った制度を早急に構築して、それに移行すべきである、このように思いますので、このことについて御回答をお願いいたしたいと思います。
 2問目です。続いて教育長でございますが、県立近代美術館の運営についてお伺いしたいと思います。
 気軽に行ける美術館、真の県民美術館になるにはどうさしたらいいんかな、考えさしていただきましたが、企画をもう少し砕けたものにできないのかな。あそこに案内してるの、だれだれとだれだれの世界とか、いろんな私どもになじみのないようなタイトルが出ておりまして、私も絵を見るのは大好きでございますが、そこへ行って、その催しを見ようかなという気は起こりません。そういうことで、もう少し砕けたものにできないのかな。
 また、年に数回、美術展等々と違う、異なった企画はできないんかな。例えば、音楽会とかピアノリサイタルとか、また能・狂言とか、そういったものはどうでしょうか。県民に美術館へできるだけ足しげく来てもらい、リピーターをつくっていく、かた苦しさを払拭する、そういう企画をお願いしたいものでございます。名は体をあらわすといいます。県立美術館の名称の変更も含めて真剣に検討する時期に入っているんじゃないかな、こういうふうに思います。
 ちなみに、県立美術館を運営する経費ですね。事業費と人件費に分かれておりますが、全部足しますと約1億6000万ほどですよ。そのうち事業費が2500万です。残りの1億3470万は人件費なんですね。あれだけの美術館でありながら、わずか2500万円の事業費で、今度反対に、運営ようしとるなというふうにも思えてしまうんですね。残りの1億3470万円は人件費やって。もうちょっとこの辺、バランスよくならんのかなと。これは質問ではございませんので、御紹介だけでございますが、もうちょっと考える余地があるんじゃないかなというふうに思います。
 質問でございますが、県民に親しまれる美術館にするにはどうしたらいいんでしょう。
 2問目に、入館者をふやす努力はどうしたらいいんでしょう。
 3問目、県展を県立近代美術館で開催していただきたい。これは、後のまた質問につながってまいりますが、かたくなに県立美術館での県展の催しを県立美術館側が断っておったというよりも、一切させないというような態度でありました。60回記念のときには1回やりました。きょうからまた62回目の県展が県文のロビーでやっておりますが、何で県立美術館がこの開催を嫌がるんか、私にはその理由がわからないのでございます。そういうことで、県立美術館で県展を開いてもらいたい、開きなさいということをこの場で強く言いまして、質問といたします。
 続いて、企画部長にお尋ねいたします。
 この間、県から企画部発の官製県展について御案内いただきました。今実施しております県展は、62回と歴史の重みを加えて、年々作品のできも向上いたしました。県下の美術家の一大イベントとなっております。
 また、県下を巡回する展示会、田辺、新宮、橋本、当然和歌山市であるわけですが、ここで展示会を開いとる。その巡回展示会には多くの県民が力作を見に行っております。県展の開催を県が県美術家協会に委託して、62回のうち13年前から委託しとるんですね。県立近代美術館が竣工と同時に委託しとるんですよ。
 その委託された美術家協会がスムーズな開催を13回にわたってやってきたと私は評価しておりますが、ここに来てちょっときな臭いことが起こってきた。どんなことか。何できな臭いことが起こってきたかというたら、県美術家協会の審査方法に問題ありと言い出してんね、県が。任してあんねやから、任したとこのことはあんまりちょこちょこちょこちょこ言わんこと。しかし、問題があれば、その当事者とよく話し合って問題を解決していくというのが今風のやり方じゃないでしょうか。
 時代の流れというのは、国が、県が、市がやっていた事業を、民間にお願いしてしていってもらうというのが大きな流れですよね。管理、あちこちの県の施設も管理者を決めて運営しておりますよ。スムーズな運営をどこともやってる。安い経費でやってる。そういうことでありますから、私は今の県の動きというのは、ちょっと時代に逆行しとるん違うか、このように思います。今なぜ県主催の県展なのか、時代に逆行するものではないのかということで御質問さしていただいとるわけです。
 もし、県美術家協会に不満があったら本当によく話し合ってもらいたい。私の手元に来ております県からの今までの経過というのは、よく話し合っておりますという報告でありますが、県美術家協会からいただいた書類は全然話し合いが持たれてないと。こんな単純なことが、双方の言い方に違いがあるというのはいかにもおかしなことや、こういうふうに思っております。どうぞ双方の、県、また県の協会は胸を開いて、県の美術の向上にはどうしたらええんかということを主眼に置いて話し合いをしていただきたい、このように思います。
 それで、質問は、今県が県展を主管する意義についてということでお伺いいたします。
 次に、和歌山ブランドについてお伺いしたいと思うんです。
 ブランドづくりには膨大なエネルギーと時間と経費をつぎ込まなければならないと思います。この努力をして初めて消費者に受け入れられるわけでございます。
 このたび、紀州うめどり、今、もうこういうチラシができておりまして、(チラシを示す)紀州うめどりが、これは梅の今まで廃棄していたものから、搾り汁というんですか、残ったものからすばらしいエキスを抽出して鶏の飼料の中にまぜて食べさすというものでございますが、本年4月に実施されました──第34回の回を重ねとるというふうに情報ではいただいとるんですが──2008食肉産業展、これは東京のビッグサイトで開催されましたが、地鶏・銘柄鶏食味コンテストというのがあったんですね。そこで、あの東国原氏がえらい去年はしゃいどった宮崎の地鶏、これを押さえて1番になった。そこで最優秀賞を獲得いたしまして、他県に負けない品質が認められたのであります。ブランド創出に努力している本県にとっては大変な朗報でありました。この朗報を生かさないというわけにはいきません。
 私は一昨日、この紀州うめどり、また紀州卵を生産するについて、主宰しております細川さんにお会いさしていただきました。いろいろ話聞きましたら、やっぱりこういうことを考える人というのはすばらしいアイデアと情熱を持っているんやなという思いで、その話を1時間ばかり聞かしていただいたわけでございますが、ここで知事にお伺いいたします。
 紀州うめどりが全国で最優秀賞に輝き、その価値と意義についてお伺いしたいと思います。
 それから、農林水産部長には、紀州うめどりの県内流通を含めた販売体制について。
 これ、紀州うめどりというのはブロイラーなんですね。宮崎は地鶏なんですね。初めから何もせんだら、うまさというのはもう勝負ついとるんですね。にもかかわらず紀州うめどり、梅の抽出液を入れた飼料にするとブロイラーが1番になったというすばらしいことなんです。このブロイラーが年間150万羽処理されて、ほとんどは大阪、京阪神に出荷されとる。残ったのがごくごくわずか20%というふうに聞いておりますが、和歌山県下に流通しとるんですが、それじゃ食べようかなと思ってもあんまりないんですね。売っとるのがオークワさんでちょっと扱うとるというような程度でございまして、私は紀州うめどりの県内流通を含めた販売体制についてということでお伺いしたい。
 これ、話、担当とさしていただいたら、販売体制でというて言われるけども、提供する肉ないんよと、鶏肉がないんよと言われたんで、それじゃ、ふやす方法考えたらどうですかというふうに申し上げました。
 それから、3番目といたしまして、紀州うめどりのPRと販売体制の県のバックアップについてお伺いします。
 苦労して全国1位になろうと思ってもなれるもんやない。にもかかわらず、一業者の方が頑張って1位になった。それを県がバックアップしない手はない。このうめどりに使う、また、うめたまごに使う抽出液というのは、和歌山県の養鶏試験場が主になってつくってくれたんですけども、しかし、いずれにしましても、一業者が頑張ったその結果を県はバックアップしてもらいたい。大変な努力であったと思います。私は、3番目として、紀州うめどりのPRと販売体制の県のバックアップについてお伺いいたします。
 4番目に、紀州うめどりを食材として提供するレストラン、レストランでのうてもいいんですよ、居酒屋さんでもええ、観光に来た人が和歌山で何ぞおいしいもん食べたいよと言うたら、梅干ししかないんかいて言われたら嫌ですわな。そこで、全国1番になった鶏肉がある、焼き鳥、うまいのありまっせということになったら、そこへだれだって行きますよ。ところが、ないんです。ただ、季節限定で6つのホテルで11月までやってくれとるんです。今やってます。9月1日から11月末まで季節限定です。この前のアバロームのホテルでもやってます。これだけ言うたら一遍食べに行かなあかんなというふうに思うとるんですが、一遍皆さん一緒に行きませんか、これだけのもん。知事、一緒に行きませんか。私、予約しときますから一緒に行きましょう。
 紀州うめどりを食材として提供するレストランなどの開拓をぜひやってもらいたい。これ、やらなあかんで。
 その次に、新エネルギーの利用促進についてお伺いします。
 原油の高騰はすべての物価を押し上げて、日本の景気にも大きな陰りを落としております。経済発展に多大な影響を及ぼしております。産業界や家庭をも直撃しております。まだこの間までデフレ対策に追われて、物が安過ぎる、何とかインフレにせな日本の景気はもたんのやというようなこと、この間言うとった。それがインフレになった途端に世界がおかしくなった。デフレからの脱却が重要な課題とされておったのに、これ、どないなっとるんかなということでございますが、原油先物は10年先までもう高値で取引されてしまってる。当面特別なことがない限り、原油価格が安くなるということはない、高どまりで推移されると思われます。
 そこで、いろんな代替エネルギーが現在登場してまいっておりますが、私は熱源として今注目されておりますチップ・ペレット、こういうの、(現物を示す)木のくずを圧縮してウサギのふんのように固めてある、これがチップなんですが、かなり圧縮されとる。そのチップストーブについて伺いたいと思います。
 何で私、チップストーブとか──チップボイラーですが──というふうに思ったかというと、実は私、福祉施設やっとるんですね。毎月毎月の重油の支払い額が今80万払うとるんです。暖房と給湯とおふろと80万払うとるんです。音上げました。重油上がってきたからといって、国やら県からの措置費は上がらないんですね。もう音上げました。年間に1000万近いお金を重油代として今払っとるんですが、そこで、何かええことがないかいなというふうに思ってテレビを見とったら、このチップストーブのことが出ておりましたので、この販売してる会社が兵庫県の豊岡にありましたんで、この間、豊岡へ行ってきました。往復500キロかけて行ってきました。
 そしたら、私がPTAの会長をしております紀北工業高校でも一遍一緒に同行さしてくれということで、学校側と一緒に行ってきましてね、学校はストーブを導入する計画を立ててくれておりますし、私はこのチップボイラーをぜひやりたいということで──今もうことしの暮れに設置するように進ましとるんですが、全くこれ、効率がいいです。このくらい1回分、ぽんと入ったら20分ほど、ばあっと燃えるんですわ。それで、これ1キロ、燃料代40円です。1日フルにたいても20キロしか要らない。このくらいの部屋やったら、ボイラー1つあったら暑うて暑うてかなわんほどぬくもるらしい。私も実験してもらいました。これはええなと。1日やっても800円、そのくらいの経費で半そでにならなかなわんほど部屋がぬくなると。豊岡でぬくなるというわけです。豊岡というところは近畿でも一番寒いところですね。したがって、和歌山はちょっと段階落としてやったら、もっと安つくなというふうに思います。
 現在、利用しているボイラーの多くは重油を燃料としております。その用途は広く、暖房、給湯でございますが、利用分野はもっと広いんですね。特に、農業では温室栽培盛んでございます。これに温室の加温をするためにボイラーを使っとるんですね。また、病院を初めとする大規模な施設でもボイラーで病室を暖房してる。また、おふろとかそういう給湯をやっとるわけですね。また最近では、私もよく行きますが、スーパー銭湯もございます。ここもボイラーなんですね。特に、農業分野での使用が有効と思われるんです。
 ちょっと調べてみました。和歌山県で1年間に使用される重油4万5000キロリットル、お金にして45億円。これをもし廃止できたら、和歌山県が目指す県の削減目標が114万8000トンです。それが県が策定いたしました地球温暖化対策地域推進計画に載っとるわけでございますが、この農業用に使われる重油を廃止したならば10%強の削減に匹敵するんですね。45億円のお金使て4万5000キロリットルの重油をたいて、それをたかへんなったらCO2の削減は12万1950トン。
 私、1つ勉強さしていただいたのは、重油をたいた1リッターで何ぼCO2の削減になるんよて聞いたら、2.71グラム削減になると聞きました。1つ勉強さしていただいたんですが、そういうことで、非常に有効な手段になるん違うかな。JAなんかとタイアップして──農家が直接このボイラーを買い取るというのは非常に負担でございます、600万しますから。しかし、JAが肩がわりして農家に貸し付けるという方法をとれば、僕は重油たいとったときよりも安くつく、その上CO2の削減にもつながる。
 それと、もう1つは、こういうボイラーをたくところがふえれば、チップを生産する起業家が出てくると。今、和歌山県下にはありません。自分とこで出たものを自分とこのために使っとるという製材所はあるようでございますが、販売する目的でこういうチップをつくっとるとこはないんですね。安い設備投資でできるともいうふうに聞きましたので、私もひとつ考えようかなというふうに思いました。(「時間考えよよ」と呼ぶ者あり)はい、あと5分です。 このような材料を使って有益に利用するためにも、ひとつ最後にお伺いしたいのは、このバックアップ、チップペレットを製造する起業を県はバックアップできないか。もう1つは、ボイラーの導入について県のバックアップはできないか。こういうことを2つお伺いしまして、ちょうど時間が参りました。ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 紀州うめどりのお話でございます。
 私は、これを知らされたときに、執務室で書類の中に入ってたんですけれども、ちょっと飛び上がるぐらいうれしくて、とってもいい快挙だというふうに思っております。昨年来、幾つかの快挙があったと思いますけれども、特に、農林水産物でこの快挙があったというのは大変今後に希望が持てる、そういうもんだと思っております。
 御指摘がありましたように、梅干しの副産物である梅酢をブロイラーの飼料に添加して肉質の向上を図ることを目的として、養鶏研究所、これ県でございますが、みなべ町の梅加工業者との共同研究により商品化されまして、これから生産拡大とか販売促進に取り組んでいるというふうに考えております。 このような中、まさに御指摘のように本年4月、見事に総合評価で最優秀賞を受賞されたわけであります。今回の受賞は、関係者の方々のこれまでの努力や熱心な取り組みに対する評価でもあり、農商工連携という点でも大変意義深いものであると思います。また、他県の地鶏・銘柄鶏に負けない品質であると証明されたということは、和歌山ブランドの創出という観点から大きな価値があると考えてございます。
 県といたしましては、今回の受賞を絶好の機会ととらえまして、より一層積極的にPR活動を展開し、紀州うめどりを和歌山ブランドとして、県内はもちろん全国に向けて幅広く発信することにしたいと考えています。それも、このPRも単発のPRにとどまらず、1年を通じてさまざまな機会を全部とらえて、PR計画を立てて実行していこうということで、早速、担当課長に1年間の計画を立ていということを指示したところでございます。
○議長(大沢広太郎君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) まず、和歌山県美術展覧会、いわゆる県展についての御質問にお答えいたします。
 県展は、これまで県と県美術家協会、毎日新聞社、それから県文化振興財団の4者で実行委員会を組織いたしまして、ここが主催、運営するという形で実施してまいりました。
 こうした中で、今回、主催を県とする案を提示させていただいたのは、県展が主として税金で賄われているものである以上、その最終的な責任は県が負うものであること、そういうことから主催者としての責任の所在を明らかにすると、そういう趣旨でございます。
 それじゃ、実際の運営はどうするんやということでございますけれども、実際の運営につきましては、改革案でもお示ししているように、これからもこれまで県展を担ってきたさきの4者を軸に、それから和歌山の文化を支えていただいた幅広い分野の方々に参画していただいて、運営委員会といいますか、そのような組織をもって進めていきたい。そして、皆さんで守り立てていただきたいなと、そういうふうに思っております。
 決して、これまで御苦労いただいた美術家協会さん初め関係者の皆さんを排除してしまって、県が1人、すべて進めていこうと、そういった趣旨でないことは御理解賜りたいと存じます。
 議員がおっしゃっていただきましたように、こうしたことは本当に話せばわかるだろうと、まことに私もそう思っておりまして、ぜひとも美術家協会さんには、私どもの話を聞いていただきたいと心から願っておるところでございます。
 次に、新エネルギーの利用促進についての2点の御質問でございます。
 まず、チップペレットボイラーの利用についてでございます。
 チップペレットボイラーの導入による木質バイオマスエネルギーの利用につきましては、原油価格の高騰に対する対策のみならず、温暖化ガスの排出量の削減により地球温暖化防止に貢献するもので大変有意義なものであると考えております。県内でも、既に国の補助制度を活用して、公共温浴施設の加温や床暖房、製材所などの木材乾燥用の熱源としてチップボイラーを導入している事例がございます。今後も、こうしたチップペレットボイラー導入の動きがございましたら、国の補助制度や県も融資制度ございますので、そうした活用について相談に応じるなど、その導入に向けてバックアップしてまいりたいと考えております。
 また、チップペレットを製造する起業のバックアップということでございますけれども、木質ペレットの製造につきましては、残念ながら本県におきましては原材料の収集運搬費がかなりかさむということで、採算性の確保が困難という大きな課題がございますが、もし民間事業者のほうにおいて、ぜひともやってやろうという意欲のある事業者さんがおられれば、こうした木質ペレットなどの製造に国の補助制度などを活用する、そういった相談に応じていって、積極的に支援してまいりたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 紀州うめどりに関する和歌山ブランド化についてでございますけれども、流通体制、販売体制、あるいは販路開拓ということでございまして、一括してお答えをさしていただきたいと思います。
 議員お話にございましたように、現在、紀州うめどりの生産量につきましては、県内の年間ブロイラーの出荷羽数の約30%に相当いたします150万羽ぐらいでございまして、主なその出荷先は、京阪神を中心といたしました卸業者向けということでございまして、約8割ということになってございます。その結果、県内での流通量につきましては2割程度と少ないということもございますし、また、実際の販売店での商品につきましては、PBブランドといいますかプライベートブランド商品ということで流通をしてもございます。そういう中で、「紀州うめどり」という名称での定着をしていないというのが現状というふうに認識をいたしてございます。
 そういう中で、これまでもいろんな機会をとらえまして、県内外での物産展、あるいは商談会等に参画もいたしてきてございます。そういう取り組みをいたしてございますが、今後より一層、例えば、ことし創設をいたしました県の県産品推奨制度のプレミア和歌山等を活用したブランド化への取り組みを初めといたしまして、県内量販店での県産品フェアへの出店などを計画的に進めまして、紀州うめどりの認知度を高めてまいりたいというふうに考えてございます。
 また、レストラン等での利用につきましては、これもお話ございましたように、この秋、和歌山市内6ホテルでの共同企画ランチとして、うめどりを取り上げていただいてございます。そういう新しい動きもございまして、県としては、こうした新たな取り組みを支援するとともに、県ホテル業協会等に対しまして、現在、新規メニュー化について働きかけを行っているところでございます。今後も、紀州うめどりのブランド化推進協議会を中心といたしまして、その連携を図りながら、ブランド化に向けた取り組みとして生産拡大、また販売促進に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 高校入試のあり方につきましてお答え申し上げます。
 平成19年度より導入いたしました前期後期制につきましては、議員を初め各方面から、前期で多くの不合格者が出るといった御意見をいただきました。これを真摯に受けとめまして、本年4月、和歌山県立高等学校入学者選抜改善協議会を設置いたしまして、現在まで計7回協議会を持ち、その都度、課題をPTA、校長会等所属組織に持ち帰り、そこで集約された御意見をもとに協議する形で検証と検討を重ねてまいりました。
 その中で、21年度の選抜制度を変更することについては、既に準備を始めている中学3年生に対して混乱を招くとの指摘を受けまして、21年度については前期後期制を維持しながら、前期の募集枠を拡大して行うということを6月に発表させていただいたところでございます。22年度以降につきましては、小川議員の御質問にお答えしましたとおり、各方面からの意見や全国の実施状況等を参考に、前期後期制を廃止する方向で検討を進めているところでございます。
 新しい入学者選抜制度は、従来の選抜制度のよい点を残しつつ、受検生にとって心理的な負担が少ないものとなること、加えて、各高等学校・学科がそれぞれ特色ある選抜が可能であること等を趣旨とした改善を図ってまいりたいと考えております。また、受検生やPTA、中学校、高等学校に理解され、よりよい制度として長く定着するものとなるよう検討しているところでありまして、年内できるだけ早い時期に新しい制度の概要をお示しし、周知を図ってまいりたいと存じます。
 次に、県立近代美術館の運営についてお答えいたします。
 まず、県民により親しまれる美術館にする方策についてでございますが、議員御指摘の企画等につきましては、従来から学校、団体の受け入れや、ミュージアムトーク、講演会等の教育普及活動を実施してまいりました。また、児童生徒や一般の方々を対象として各種のワークショップにも力を入れ、平成19年度からは、一般公募のバックヤードツアーといたしまして実施をしております。美術館の裏方探検や展示作品に触れて音を楽しむ展覧会も開催し、好評いただくとともに、今年度につきましては、児童生徒がコレクションに親しめるような和歌山独自の教材を開発する事業を進めてございます。
 音楽会等の企画につきましては、友の会と共催でミュージアムコンサートを毎年開催するとともに、美術館、博物館の敷地内におきまして、県警たそがれコンサート、舞踏、シャンソンの夕べなどの催しを開催していただいてございます。このように、県民の皆さんにコレクションと美術館に親しめる新たなプログラムや印刷物、機会を今後さらに提供して、県民の皆様により親しまれる施設を目指すものでございます。
 次に、入館者をふやす努力についてでございますが、県立近代美術館における入館者数は、平成6年の開館以来、84万人余りの方々に御来館をいただき、平成17年度は5万3032人、18年度は5万9969人、平成19年度は9万3052人と推移してございます。昨年度は竹久夢二展で御好評をいただきましたように、今後とも県民の皆さんに喜んでいただける展覧会企画や、メールマガジンを初めとする積極的な広報等、入館者をふやす努力を続けてまいりたいと存じます。
 また、県立近代美術館での県展の開催につきましては、昨年来、県及び関係団体において、県立近代美術館での県展開催を前提とした改革案について協議を続けていただいておりまして、この改革案の動向を見守りながら協力をしてまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
 6番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 ここでちょっと確認、再質問でございますが、確認をしておきたいと思うんです。企画部長にお願いします。
 仮に、各協力していただいてた団体と話し合いがついたとしますわな。県が言われとるような形で開催するとしますわな。そうすると、毎年実施しとるその補助金というのは600万だったんですね、毎年。今、県が言うとんのは1800万でやると言うとんですな。聞く人によったら、3年分合わしての話ですか、3年に1回のことになるんですかというようなことを考える人がおるんですね。県展は毎年、62回やってきて、県の美術家の皆さん方がそれを目標にして一生懸命やっとる。ところが、仮に3年に1回になったら、やる気というのはしなしなっとなってしまいますわな。そやから、その辺の確認をもう一度したいと思います。
 それと、ペレットをつくるための材料でございますが、各地域にそれぞれ、紀南でしたら梅の剪定、それから桃山町へ入ったら桃の木の剪定、橋本のほうへ来たら柿の木の剪定、それぞれ剪定した木がたくさん出ます。そういうのを集めてやれば十分できるわけで、農家の方々に持ち込んでもらえればできるわけですから、その辺のことも一工夫する、また森林税の使用も考えたらいかがか、こういうことを、これは要望しておきます。
 ひとつ、毎年、今まで同様、実施する気持ちなんですかということをお尋ねします。
○議長(大沢広太郎君) 以上の再質問に対する答弁を求めます。
 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) 再質問にお答えいたします。
 向井議員おっしゃられた数字、たまたま私、ちょっと具体的なデータを持ち合わせておりませんので、論評、コメントを差し控えたいと思いますけれども、3年に1度になるのかということに関しましては、よほどの天変地異がない限り毎年実施していきたいと、その方針には変わりはございません。(「はい、わかりました」と呼ぶ者あり)
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 以上で、向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
 次に日程第3、議案等の付託について申し上げます。
 ただいま議題になっております全案件のうち、議案第116号平成19年度和歌山県歳入歳出決算の認定について及び議案第117号平成19年度和歌山県公営企業決算の認定についてを除くその他の案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
 次に日程第4、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
 なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、御了承願います。
 お諮りいたします。9月22日及び24日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 御異議なしと認めます。よって、9月22日及び24日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、9月25日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時6分散会

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