平成20年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(須川倍行議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 12番須川倍行君。
  〔須川倍行君、登壇〕(拍手)
○須川倍行君 一般質問を行います。
 初めに、道路行政についてであります。
 知事初め県当局が道路交通網の整備に御尽力されている中、本年3月、新宮地方において那智勝浦新宮道路の供用開始、続いて、国道169号宮井トンネルの供用開始など、長年の地域要望が結実し、住民生活の利便性が図られました。紀南地方での活力には、知事もおっしゃっているように、生活面はもちろん、産業振興面においてもやはり道路整備が不可欠であり、今回の事業でその効果を目の当たりにした住民も多く、住民ともども大変喜んでおります。特に、近畿自動車道紀勢線の一環となる那智勝浦新宮道路の供用開始は、高森地区の朝夕のラッシュ時ネックであった交通渋滞の緩和や市立医療センターへのアクセスが容易となり、道路に対し、住民の方々にも大きな関心を持っていただいたと感じますし、本県の道路政策に対する理解がより深まったものと思っております。
 また、内陸部における宮井付近の国道169号は、地域での唯一の幹線道路とはいえ、大変道幅が狭く、片側通行しかできず、災害時には孤立するおそれのある集落を抱える山間奥地の路線でもあり、このたび最も危険な区間に宮井トンネルを開通していただきました。今回のトンネル事業により道路環境が大きく改善され、通行者の安全と地域住民の生活の安心・安全に大きく貢献し、飛び地である北山村までのアクセスにも一石を投じる形となり、その効果は非常に大きい事業だったと考えます。しかし、私どもの地域ではまだまだ道路整備は不十分だと思います。
 平成6年12月16日、京奈和自動車道と近畿自動車道紀勢線を南北に結ぶ地域高規格道路として、和歌山県新宮市から奈良県五條市間の約130キロメートルが計画路線として指定されました。これは和歌山県側が約40キロ、奈良県側が約90キロであります。この路線は、戦前に五新鉄道という名で鉄道路線の絵が描かれ、大正11年に五條─新宮間の1期工事として、五條と阪本間約20キロが発表され、翌年一部工事着手したようですが、経済不況や政権交代などでたびたび中断されるなど経過があるようで、昭和19年、戦争が激化し、完全に中止になったようです。
 戦後再び昭和29年に、阪本線として五條と城戸間の11.7キロの路盤整備工事の起工式が行われ、昭和32年に工事着手、昭和34年にこの区間が完成しています。その後、鉄道案から国鉄バス路線として運行するなどの案など、この運営論議が出たようですが、昭和42年には五條─阪本間が完成いたしました。
 また、昭和46年には五條─新宮間の最大の難所と言われた天辻トンネル約5キロが完成しています。その後も新宮に南下しながら工事予算が確保されたようですが、昭和57年に国鉄再建問題のクローズアップなどで全面的な工事ストップとなったわけであります。
 このようなことを考えますと、国においては大正後半からこの紀伊半島全体が日本有数の杉の集散地であると認識した上で、山地からの輸送手段として鉄道が考えられていました。しかし、戦争や輸送利害関係などで二転三転して完成を見なかった路線で、幻の鉄道とも言われており、その鉄道工事の面影が今でも残っているところがあります。この構想が立てられたのは明治39年ごろとも言われますので、1世紀の歴史をかけた事業の歩みがこの路線に託されているとも言えます。今再び紀伊半島を縦断する幹線道路、アンカールートとして整備する願いがかなった心境であります。
 そのきっかけは、近畿自動車道紀勢線の基本計画が描かれたことからより現実的となり、実施できる運びとなったと思います。この路線の完成の暁には、阪神経済圏はもちろんのこと、奈良圏域と新宮圏域の交流促進が図られ、海のない奈良県に対しても、新宮港からの物流と観光産業との連携などの活用につながると確信しています。既に、奈良県側でも特に十津川道路として七色地域の供用開始が行われ、これにあわせ本県でも本宮道路の土河屋付近も整備、供用されており、利便性と安全性、快適性が同時に実現され、その効果が発揮されています。
 中でも奈良県側の整備区間は本県の約2倍あり、奈良県が事業主体で進める工事区間と国が直轄で進める区間を2者で精力的に進められています。本県の新宮地方においても、まず越路道路として相賀地区までの約5キロが先発して整備区間として工事が進められています。その工事期間中においても、旧熊野川町東敷屋トンネルの供用開始など、徐々に整備率も上昇してきていると思いますが、そこでお聞きしますが、新越路トンネルの市街地側の出入り口が旧越路トンネルの出入り口と交錯しています。住民の中には、桧杖地区から市内に向けて見たとき、道路高架とトンネルに入るコースから考えれば、広角方面にトンネルで抜けるように見え、通称五新通りの朝夕の渋滞はこれで解消できてよくなると勘違いする人が多かったようです。
 ところが、旧越路トンネル出口に重なるように新トンネルの出口が設けられましたので、山間部から走行してトンネルまでの時間が短縮されましても、市内に入れば依然として渋滞は避けられない環境が残ることになり、住民の中にはがっかりされている方もおられます。特に慢性的に渋滞で悩まされている沿線住民には、何か方策をとっていただきたいと願っていると思います。
 以前より橋本交差点を改良して車の右折帯を設けるなどして、国道42号に入る車両や国道42号から国道168号に向けトレーラー等大型車がスムーズに走行できるような改良が求められていました。この橋本交差点が改良されれば、現状はかなり改善されると思います。
 今、国土交通省直轄で国道42号の橋本交差点から熊野大橋までの間、電線など地中化工事により歩道整備が継続的、精力的に行われ、世界遺産のまちとしての風情を持った環境整備が行われ、町内会初め商店街振興にもつながり、一方では、電柱などがなくなるわけですので、防災的にも対応された道路になると思います。ただ、機能面からいえば現状の橋本交差点では、国道42号が渋滞しているときは168号から42号への流入はかなり難しい状況が考えられます。これらの課題解消について県土整備部長の答弁を求めます。
 続きまして、五條新宮道路の整備に関しまして、奈良県側は整備する区間が多いため、県と国直轄で進められています。本県においては、本県が事業主体となり、カーブ区間の直線化を図るように重点的に進められておりますが、奈良県よりも、整備区間が短くても早期整備、供用開始を図る観点から直轄事業採択をお願いするなどして2者の同時施行で早期完成が図れないでしょうか。
 聞くところによりますと、本県では、既に北山村に通ずる国道169号整備事業に国直轄として実施されていることから、国道168号では直轄権限代行事業は無理と思われているのですが、本県は道路整備率の悪さから言えば全国でも下位であります。そのため、道路特定財源堅持を知事先頭に国に訴え、県選出国会議員ともども和歌山県の道路整備のおくれを訴えてきたところであります。国においては、本県の整備率の悪さは承知している事実であると思いますし、この際、県内1つという決まり事かはわかりませんが、五條新宮道路は紀伊半島を縦断する骨格幹線道路で、日本海と太平洋を結ぶ戦略的な路線でもあり、新宮地方では阪神経済とを結ぶ文化、観光、産業の地域連携軸でもあります。
 このような観点から、知事、先頭に立って、例外的にでも直轄権限代行事業として整備していただくよう働きかけていただきたいと思いますが、知事の御見解をお聞きします。
 続きまして、新エネルギー、木質バイオマス燃料ビジネスモデルの構築について。
 日本のエネルギー体質は、その構成比が47%と石油に偏ったものとなっています。したがって、新エネルギーへの転換が今後のエネルギー施策の重要な方針となってくると思われます。現在では太陽光発電や風力発電が着目され、将来的にはメタンハイドレートの研究も進められているところでありますが、今回、私はいわゆるカーボンニュートラルなエネルギーとしてのバイオマス燃料、特に、和歌山県内に多くその資源を持つ木質バイオマス燃料に関連してお聞きしたいと思います。
 木材は、その成長に合わせCO2を吸収し、酸素を放出しています。その木を燃焼させても吸収したCO2を排出するだけのもので、CO2の吸収排出については中立、つまりニュートラルなものであり、カーボンニュートラルな社会を目指す上で重要な資源でもあります。
 平成14年6月に公布されましたRPS法におきましても、太陽光、風力、水力などに並ぶクリーンエネルギーとして位置づけられています。ただし、大量に利用するとなると森林破壊につながる可能性もありますので、枝打ち、間伐、資材くずなどの活用を通じて資源の有効活用を行うよう進めるべきです。エネルギー化、燃料化の方法としては、ペレットとして加工する固形燃料、また、エチルアルコールに変換する液体燃料、ガス化炉によるガス燃料化やその際発生する熱を利用する熱供給方法など、現在開発が進んでおります。
 和歌山県は、古くからその名のとおり木の国として有名ではありますが、現在のところ、山林は荒廃しつつあり、間伐廃材の処理も不十分です。2005年秋の台風では、新宮市の大浜海岸に大量の流木が流れ着き、問題となりましたが、これは山間部で放置された間伐材や山林荒廃による倒木などが台風の大雨で熊野川に流れ込み漂着したものが多く見られたとのことでした。これら廃材として捨てられる木材をエネルギー源として活用することは、資源の少ない我が国の現状からも重要なことであります。アメリカなどの、トウモロコシなど食料を原材料とするバイオマス燃料化は、日本においては道義上、許されるものではありません。
 そこで、お尋ねします。このような従来廃棄物であったものを再利用する形の新エネルギー開発に対して積極的な取り組みを行うことにより、和歌山県は、クリーンエネルギー社会を目指すという姿勢を全世界にPRするものとなる絶好の機会となると思いますが、現在、県は新エネルギー、特に、木質バイオマス燃料化の商業化、ビジネスモデル構築についてどのようにお考えか、また、今後どのような意向で取り組みを進められるのか、知事にお聞きします。
 最後に、小中学校統合再編事業についてであります。
 現在、小学校、中学校では児童生徒の人数が減少し、学校の活力がなくなり、クラブ活動ができないとかクラスがえができないとか、その話をよく耳にしますが、県教育委員会としては、急激な少子化により学校の活力や教育効果の面で課題が生じているので、早急に対応するため、平成17年6月に教育長の諮問機関として義務教育ニュービジョン研究会議を設置し、少子化に対応した学習環境づくり等について審議を依頼し、平成18年1月30日に「和歌山の未来をひらく義務教育」の答申を受けました。この提言をもとに「公立小中学校の適正規模化について」を策定し、現在進めているところであります。
 この県の策定した指針を見ると、学校の活力を維持、発展させるためには、小学校ではクラスがえができる1学年平均2学級を下限とする12学級から18学級が適正規模であり、中学校は1学年3学級を下限とする9学級から18学級が適正規模と定めていますが、この指針が定める適正規模に満たない学校は、県内には実に小学校で68.9%、中学校で75.9%となっています。私の住む新宮市も県下各地と同様に少子化の現状にあり、昭和50年代と比較しますと、児童生徒の数は半減しております。
 そこで新宮市では、県の先ほどの報告や指針を受け、新宮地区にある小学校4校を適正規模になるように2つの小学校に統合再編し、また、予想される東南海・南海地震に耐えられる安全な学校づくりに着手しております。統合再編の対象校のうち、千穂、丹鶴、蓬莱の3小学校は、明治6年7月の創立以来135年の歴史と伝統を持ち、東くめ、西村伊作、佐藤春夫、畑中武夫、中上健次など、多くの作家や文化人を輩出している由緒ある学校であり、王子小学校は戦後生まれた学校ですが、4校とも地域に愛され親しまれており、公民館活動の拠点施設としても使用されており、まさしく地域のシンボルとして存在しております。この4校を2つに統合再編する事業は大改革であり、大事業であります。その上、新宮市は、現在は適正規模にある2つの中学校が10年後には適正規模から外れる予測がつくので、この際、統合して新しい中学校をつくる方針を立てております。
 「和歌山の未来をひらく義務教育」の報告の中で、学校の適正規模化に向けては、1つ、通学区域の広域化及び通学途上の安全確保に対応するため、スクールバス等を積極的に導入するとともに、県は統廃合後の一定期間、その運行に対して支援すべき。1つ、環境の激変緩和、効率化還元などの観点から、統合後の学校に対する教職員の配置について特段の配慮を実施すべきである。1つ、県は統合前後にわたった支援策を講じるため、総合的な対応をする部署の設置及び支援策の指針を市町村に示す必要がある。以上3点について必要な支援策を市町村に示しております。
 また、「公立小・中学校の適正規模化について」の中では、その4、教育委員会の支援として小中学校課市町村支援室を設置、2つ目に教職員の配置、児童生徒の通学、学校施設の充実等について必要な支援措置を検討とあります。
 そこでお聞きしますが、県内で先駆けて小中学校の統合再編する新宮市の事業に対して、具体的に今、また、今後支援する施策を教育長にお尋ねします。
 また、適正規模の学校にするため市町村を指導、助言する組織として市町村支援室を設置していたのに、本年3月末でその組織が廃止されておりますが、市町村と連携しながらこの難しい学校統合再編の事業を推進するには、必要な組織ではないかと思います。県下各市町村の統合再編事業がまだまだこれからだというときに、なぜ組織を廃止したのか、その理由をお聞かせ願いたいと思います。
 続いて、人的要望としていわゆる統合加配の教員配置については、県の支援策、和歌山県公立小中学校適正規模化支援は、支援期間が平成23年度までの5年間であり、新宮市の統合計画では、平成24年度を目標に新しい学校が開校できるよう事業を進めていると聞きますが、24年度開校では、この支援策の人的支援の小中学校統合校支援教員配置が受けられなくなります。新宮市だけでなく、今年度以降、他の市町村でも学校の統合再編に着手しようとしているのに、この期限つきでは有効な施策になり得ない、活用できない施策になります。有効で活用できる施策にするため、さらなる延長を求めたいと思いますが、いかがですか。お答え願います。
 また、人的支援の統合加配も2年間の措置であり、新宮市のような市街地の歴史ある学校を統合した後の新しい学校にあっては、それぞれの文化の違い、校風の違いが溶け合い、新しい学校の伝統や文化をつくるまでには相当の時間もかかるし、児童の落ちつきや地域の人々が新しい学校になれるまでかなり時間を要すると思われます。「和歌山の未来をひらく義務教育」の報告の中で激変緩和のための教員配置について特段の配慮を実施すべきと言われるように、2年間ではいかにも短過ぎます。2年間の統合加配を4~5年に延長することも検討していただきたい。まさしくこのことが統合による効率化還元になるのではないかと考えますが、いかがですか。お聞かせください。
 また、新宮市の4つの統合対象校はそれぞれ地域の公民館活動の施設としても使用されており、統合後の公民館活動にも大きな影響を与えると予想されます。今、県教育委員会では、市民性を育てる教育の推進として学校、地域、家庭がつながるきのくに共育コミュニティ推進事業を推進しております。新しい学校が地域に支えられ、地域とともに市民性を育てる教育の中核となるべくその役目を求められます。この市民性を育てる教育推進のためには、このたび改正された学校教育法で位置づけられた副校長や主幹教諭を設置することが有効ではないかと思いますが、どのようにお考えですか。お答え願います。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山田正彦君) ただいまの須川倍行君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず道路行政、その中で五條新宮道路の早期整備についてお答え申し上げます。
 議員の御指摘にもありましたように、この168号線という道路は、紀伊半島のアンカー型の幹線整備というものの中で大変重要な位置づけを占めております。奈良県側が多いものですから、それから高速道路ではないので、紀伊半島一周高速道路ってすぐ言うんですけれども、三県知事会などに行きますと、アンカー型の道路で全体頑張ろうと、こういうふうになるわけでございます。
 また、168号線につきましては、和歌山県の二次的に一番大事なという変な言い方ですが、X軸型のネットワークの道路に大部分乗っておりまして──和歌山県側ではですね──したがって、和歌山県の今一番頼りにしている道路の一部を構成していると考えていいかと思います。
 そこで、私どもとしてもこの168号線の完全整備というのは、和歌山県側ですが、ぜひ必要なことだと思っております。
 ちなみに、休暇を利用して五條からずっと168号線を南下してみました。そういたしますと、物すごく険しい地形でございまして、和歌山県の道路を整備するのも大変でございますけれども、奈良県の南部の道路整備というのはもっと大変だなというふうに思いました。少しずつ工事は進んでおりますけれども、まだまだたくさんのところが残っております。
 一方、先ほど40キロ、70キロの差だという配分だということでありましたが、和歌山県の40キロのほうは、実はほとんど整備が進んでおります。その中で実は、168号線の既に熊野川を整備しておりまして、最近残っているものでは、熊野川本宮道路は平成18年3月に供用、残り未完了区間について、越路道路、日足道路、本宮道路として現在、補助事業で整備を行っているところでございます。これについては、実は4工事全体としての進捗は既に70%に達しておりまして、あと数年、できればできるだけ早く重点的に早く整備してしまいたいと思っているところの道路でございます。
 須川議員から直轄権限代行でどうかというお話がありました。本県では、御指摘もありましたが、国道169号の奥瀞道路が直轄権限代行事業になっておりまして、その前期が完成し、私が知事になりましてからお願いに行って、後期についても採択を認めてもらいました。それから、大体、国土交通省の相場で言いますと、各県直轄代行は1つずつぐらいと、こういうことなんだそうですが、480号の真ん中、府県間にあります大阪府との間のトンネルですね、これについても事業化を、これはことしになりましてから認めていただきました。だから、和歌山県は実は異例、2つになってるわけでございます。
 それで、和歌山県の道路のおくれ方を考えると、2つでも3つでもいいじゃないかという議論もありますけれども、現在70%になってるということを考えると、補助率がちょっと違いますので、和歌山県としては悔しいんでございますけれども、遅滞なく早く終了さして須川議員が御提言いただいたような趣旨を実質的に早く達成したい、こんなふうに今のところ考えているところでございます。
 それから、新エネルギー、木質バイオ燃料ビジネスモデルの構築についてということでございますが、須川議員の御指摘はまことにごもっともでございます。特に、我が県の森林を再興するということを考えますと、何としても間伐材をうまく利用する。その前提としては間伐をうまく進めるということが大事だと思います。
 世界の資源状況を考えますと、国産木材が脚光を浴びるのは間もなくだと私は思っております。とりわけロシアでは、たしかもう実行に移ったと思いますが、関税は輸出関税が80%になってしまいました。どんどん資源の入手が難しくなる。したがって、国産材の価値が上がってくる。そうすると、価格も上がるんじゃないか。そういうような流れにある中で、間伐をうまく進めて、木材を立派な木材として涵養していかないと次の時代に育てることにはなりません。
 したがって、間伐を進める、そのためには間伐材を利用できるようにしなきゃいけない。現在、残念ながら逆有償の世界でございます。したがって、御指摘のように、林の中に放置されているような間伐材とか、あるいはそれはまだいいほうで、間伐も進まないということが多うございます。したがって、利用できるというためには集成材とかいうような利用ももちろんでありますが、あわせてこのバイオマスのエネルギー利用に使うということが、現在こういう原油高騰の時代に大変有用なんではないかといって、和歌山県も虎視たんたんとねらっていて、自信あって研究をしております。
 いろんな動きが全国で少しずつ進み始めています。例えば、今まで話を聞きに行ったら、すべてあれはいいんじゃないかといって、話を聞きに行ったら全部逆有償の世界であったというのがほんの最近まででしたが、ついに有償で回り始めたプロジェクトも出始めました。
 大分県の三菱商事がやってるバイオマス利用のプロジェクトなんですが、これについては有償の世界で動き始めています。ペレットにして、それで発電所に持っていって火力燃料としてたくということなんでございます。ところが、早速調べに行って和歌山県でもぜひやってくださいというようなことをお願いしようと思っておりましたら、大分県は特殊事情があって、ほとんどの材木は1カ所に集中して、そこから廃材が──端材ですね──皮とかそういうのも含めましてたくさん出ると。したがって、集荷コストというのがほとんどゼロに近いぐらいなわけです。
 ところが、一方、和歌山県の産業構造を考えますと、各山林はそれぞれの地主の方がいらっしゃって、それぞれの地域でそれぞれに製材をしたりしている。そういうことで、1カ所に集めて、あの量を一遍にまとめるためには集荷コストがかかって、これはまだ和歌山県では逆有償の世界にしかならないというようなこともわかってまいりました。ちょっとがっかりしたんですが、そういうことはひょっとしたらもう少し規模を少なくしてみますと、地域のボランティアの方々の活動も含めて考えると、ひょっとしたら別のモデルがつくれるかもしれないなといって、今いろいろまた研究をしているところでございます。
 それから、農業の方なんかも、安い材料があったら重油のかわりに燃やしたいというようなものも結構あると思います。したがって、こういう機運をぜひうまく生かして知恵も出して、それから民間の企業の方々の協力あるいは地域の人々の協力、それから技術を持っている、ノウハウを持っている、全国に散らばってると思いますが、そういう企業の方々の協力も得ながら、ぜひ和歌山県においても間伐が有償の世界で進めるようなメカニズム、これを確立して、あわせてこれから進んでいくであろうエネルギーの獲得の困難さというのもあわせて解消していくということをぜひやりたいんでございますけれども、まだどうだというようなところまで行っていないのは、申しわけないなというふうに思っております。引き続き、県庁全体を挙げて取り組んでおりますので、皆様の御協力もお願い申し上げたいと思います。
○副議長(山田正彦君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 新宮市内橋本交差点の渋滞解消についてでございますが、橋本交差点は国道42号と国道168号が交差しており、朝夕に交通渋滞が発生している箇所でございます。その対策として、国道168号に右折レーン及び隅切りの設置というのが考えられるわけですが、沿線には住宅、商店、こういったものが連続して立地しておりまして、用地買収が必要となります。このため、事業の実施には地元の協力が何よりも不可欠であります。
 今後、地元の方々に御協力をしていただけるよう新宮市とともに努力してまいります。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 小中学校の統合再編事業についてお答えいたします。
 まず、小中学校の適正規模化を進める市町村に対しましては、県単独措置といたしまして、学校の適正規模化を検討する協議会の運営のために100万円、また、スクールバスの購入等の統合準備に係る経費のために800万円を上限といたしまして、市町村負担額の2分の1を補助するとともに、統合校への教員の加配措置を実施するなど支援策を講じております。
 次に、市町村支援室につきましては、平成18年1月の義務教育ニュービジョン研究会議の報告をより具体化し、県としての支援策に係る制度設計を重点的に行うため、平成18年、19年度の2カ年を期限といたしまして、小中学校に設置したところでございます。
 この間、市町村への指導主事の設置や小中学校適正規模化支援事業の立ち上げなど、一定の道筋をつけることができたことから、今年度その業務を小中学校課に戻しまして、支援体制を整えました。
 また、議員御指摘の支援事業の延長並びに教員の統合加配の期間延長につきましては、統合校の実態や今後の市町村の取り組み状況などを十分に検証し、国の動向も見守りながら総合的に検討する必要があると考えてございます。
 さらに、小中学校における副校長、主幹教諭につきましては、その設置の趣旨や効果、国の措置状況等を見きわめ、御指摘のきのくに共育コミュニティの推進等、学校と地域との連携を進める上で生かせるかどうか研究をしていく必要があると考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 以上で、須川倍行君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時23分散会

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