平成20年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(長坂隆司議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後1時0分再開
○副議長(山田正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 こんにちは。議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして2点質問させていただきます。
 1つ目に、食品加工等、和歌山県の産業振興戦略についてであります。
 今年度、県工業技術センター内に食品開発室を立ち上げていただきました。先日、見学させていただきましたが、若いスタッフが明るい雰囲気の中で元気に働いておられたのが印象的でした。この10月には新しい加工機器類が入札予定ということで、いよいよ本格的始動であります。
 9月3日、4日両日で南国を代表する農業県宮崎県に視察に行ってまいりました。平成19年10月現在の県の人口は約114万人、県庁所在地の宮崎市が約37万人足らずと、和歌山県に似通ったところでありますが、農業産出額は全国6位の3206億円、ちなみに和歌山県は1030億円であります。販売農家1人当たりでは、宮崎県は全国2位の484万円であります。日照時間、降雨量が全国3位でスポーツキャンプ等有数の観光地でもあります。
 当地において宮崎県工業技術センター、同食品開発センター、同じ建物内にあります財団法人宮崎県産業支援財団、そして、宮崎大学産学連携センターに訪問をさせていただきました。工業技術センター、食品開発センター、そして、産業支援財団は宮崎市の佐土原町の広大な工業団地である宮崎テクノリサーチパークの一画の同じ建物内にあります。
 県食品開発センターは、平成3年、宮崎県工業試験場食品部を発展的に解消して、食品加工研究開発センターが設立され、平成10年に宮崎テクノリサーチパークに移転し、食品開発センターと改称されました。予算執行が工業技術センターと兼務で、全体の総合調整は企画・デザイン部が行い、業務の権限はそれぞれの所長が掌握しており、機械は相互に使用、同センターには食品開発部8名、うち管理者1名と、応用微生物部5名、うち1名が管理者、計13名の研究者を擁しております。13名のうち3名が宮崎県農政水産部から派遣され、いずれも女性であります。センター所員はすべて研究職でなくて行政職で、本庁との人事交流も行われ、ここで得た知識が大いに役立っているとのことです。
 宮崎県は、農業は21世紀の産業と位置づけ、農業を基幹産業と考えて生産、加工を連続して考えております。食品関係企業、婦人が活動している団体、約150くらいある食品加工グループが広く利用しております。代表的なのはイモ、そば、麦、米等々何でもありの焼酎づくり、特に、当センターでは50年来の焼酎酵母づくりの実績があり、昨年、当センターお勧めの新規焼酎酵母、宮崎酵母を開発、センター内で企業に販売もしておりました。
 毎年、品目を選んで徹底的に野菜の機能性研究を行っています。ゴボウ、サトイモ及びニンジン葉、ユズやカボスと同類の水分たっぷりのヘベズやブルーベリーの機能性研究を行ったり、生産全国一のピーマンの種子の抗菌作用の研究、生産全国一の干したくあんに含まれるGABAの血圧を下げる、ストレス解消に効くといった機能性研究等、実用化に直結した研究を実に数多く行っております。
 売れ筋商品として焼酎、ワイン、そして東国原知事でおなじみの炭火焼地鶏もここに端を発しております。それに、和歌山県と時を同じくして、独立行政法人科学技術振興機構(JST)の地域結集型共同研究事業で、宮崎大学農学部、医学部とともに宮崎県産高機能性ブルーベリー葉を用いた飲料の開発を手がけ、平成20年度から経済産業省の地域資源活用型研究開発事業へと移行して商品化、実用化を目指しています。
 重点テーマを決めるときは部門ごとに重点化技術をあらかじめ定めて、所内へ上げて内部審査会、その後外部審査会へという手順できちんとした外部評価制度があります。ちなみに、宮崎県工業技術センターでも火山灰、シラスを成分にレンガ、そして、ガラスをつくってSPG膜によるミクロ、ナノの極めて微小な水の泡を生成する機械やミクロのはんだをつくる研究のかいあって、企業の工場が近くに誘致されたり、県外からの技術移転の申し込みも多く、両センターの研究リーダーの熱意が幾つも結実しているのであります。
 次に、財団法人宮崎県産業支援財団でありますが、当財団のメーンを産学官連携ととらえ、第1次産品の付加価値向上のための研究開発支援を行っています。財団の山田副理事長は、元工業技術センター所長であった方であります。ここにも財団内に何人もの研究員が夕方午後6時を過ぎても、ひたむきに研究室で立ち働いておられました。女性研究員がここもたくさんいらっしゃいました。
 財団の事業の大きな柱が産学官共同研究事業であり、まず、文部科学省の都市エリア産学官連携促進事業で、平成17年度からの3年間は連携基盤型で、海洋性バイオマスから認知症予防に効くカルノシンの機能性を確認して、続いて平成20年度より継続事業として一般型で一歩進めて、食と健康を視点とした新産業の創出を目指しています。
 地域結集型共同研究事業は、平成16年1月から20年12月までということで、財団内にコア研究室を設置して、食の機能を中心としたがん予防基盤技術創出をテーマに、風土病や肝がんの解明、食の機能性を中心とした予防、治療法の開発と機能性素材として見出されたブルーベリー葉の栽培、育種、加工技術等の確立、がん予防に効果のある高機能性食品の開発に取り組んでいます。風土病の関連から農学部のみならず医学部も巻き込んで、民間企業も8社参画しております。それに、ブルーベリー葉を用いた飲料開発が経産省の地域資源活用型研究事業に平成20年度に採択されたということで、連続して国の競争的研究資金も獲得しているわけであります。
 ここも県、財団が強いリーダーシップのもと、宮崎大学の農学と医学のリーダー、サブリーダーにその下の先生方を交えて四半期に1回必ず研究成果報告を求め、年に2回は知事、副知事も交えて100名を超える人でエンドレスミーティングを土日に行っているそうで、わからないところがあればとことん尋ねるらしいです。とにかく、財団の指導性とやる気がひしひしと伝わってきました。
 翌4日、宮崎大学産学連携センターへ行ってまいりました。緑が多い広々としたキャンパスの中にありました。平成18年4月よりさらなる地域貢献を目指して、今までの地域共同研究センターから産学連携センターを立ち上げ、技術相談、共同研究についてワンストップサービスを目指しております。共同研究は年間70件、受託研究も右肩上がりで来ており、株式会社みやざきTLOという技術移転機関を立ち上げて、研究、技術シーズも公開されています。
 中小企業支援事業に700万円の予算があって、技術力はあるのに資金がない中小企業に少しでも自己資金を出してもらって、共同研究1件当たり大学が30万円から50万円の支援をしております。そして、地域貢献ということで県主導のもと、大学、JST、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が一緒に県内4カ所で企業向けアピールを行い、その中で当センターの事業を利用した企業に研究発表をしてもらう仕掛けもつくっています。
 それに県内諸団体と包括連携協定を結んで、例えば、社団法人宮崎県工業会とはものづくり工業ツアー、ラボツアーや大学の農・工学部とともにファクトリーツアーといった見学会を催しています。また、地方銀行の県内隅々にある営業所に着目して、金融機関も含めた産学公金連携も行っています。
 企業出身の大学の部長先生が知的財産戦略のもと大学の姿勢を社会に示し、大学の弱点でもあった契約を株式会社みやざきTLOの活用のもと、技術移転等スムーズ化させています。大学と企業との間で共同研究、その後実用化研究、そこで実用化特許がとれたら大学へ企業から一部リターンしてもらうシステムもあります。宮崎県、県産業支援財団との協力による戦略会議を開き、技術移転ミーティングを行って出口の見つかっていない特許出願をどうしていくか大学が入って検討しています。
 なお、9月3日水曜日は、和歌山県から本年度より宮崎県の農政水産部農政企画課へ派遣されている若手職員さんが県工業技術センター、同食品開発センター、財団等と事前打ち合わせもいただいて、我々にお忙しい中御同行いただきましたことを感謝を込めて報告申し上げます。彼のような若い有能な方に県外の先端的な取り組みを一緒に見ていただけたことも意義深いものがあったと思います。
 さて、質問に移りますが、1つ目、和歌山県工業技術センター食品開発室にも女性職員2人を含む若い研究職員さんが一生懸命お仕事をされています。県の将来を担っていただける頼もしさを感じたわけですが、今後新しい加工機器等も入ってくると、今までの試験分析業務に加えて、いろんな企業が相談に、実地研修等に訪れることと思います。ことしうめ研究所から1人食品開発室に入ってこられたわけですが、生産から加工、そして、販売へといった一連の流れの中、県農林水産部で生産にかかわってこられた方に食品加工の際にエンドユーザーの求めるものから逆算した販売強化のための生産を推し進めていただくためにも、多くの人に食品開発室に何年間か身を置いて研究いただくことが肝要ではないでしょうか。生産部門に戻られたときにも必ずその経験は生かされるものと思います。もちろん県商工観光労働部とも人事交流を図っていただいて、現場のニーズを把握していただきたいと思います。
 それに、先日和歌山県工業技術センター内を見学させていただきましたが、他県の食品加工研究所や食品開発センターにあるような広い調理実習室は絶対に必要であります。マンパワー面、ハード面もあわせて食品開発室の今後の充実について知事にお尋ねします。
 2番目、和歌山県においても、平成16年1月からJSTの地域結集型共同研究事業、アグリバイオインフォマティクスの高度活用技術の開発と銘打って幾つもの研究がなされ、本年12月に事業終了を迎えます。また、文部科学省の都市エリア産業連携促進事業も平成15年度から17年度にかけて、和歌山市エリアにおいて、次世代エレクトロニクス・デバイス用有機材料の開発をテーマに展開され、平成19年度から同21年度にかけて、今度は和歌山県北エリアにおいて、発展型として環境調和資源・技術による機能性有機材料の開発をテーマに実施されています。これらの研究成果がどうであったか。そして、そこで研究されたものをどう実用化、商品化していかれるのか。そのためにも次の一手をどう考えておられるのか。例えば、財政的にも厳しい中、次の国の大型競争資金の獲得についてどういう戦略を立てられているのか、知事、お聞かせください。
 3番目に、宮崎県においても県、それに県の産業支援財団が地域結集型共同研究事業において、研究者である宮崎大学の農学部や医学部の各リーダー、サブリーダーに四半期に1回必ず研究報告を課し、年に2回は知事、副知事を交えてわからないところ、問題点を徹底的に議論する100人以上のエンドレスミーティングを行ったりしていますし、県が主体的に研究テーマを設けて上記のような国の競争的研究資金獲得にリーダーシップを発揮して、それに大学等が従うといった図式のようであります。新潟県においても、県あるいは財団法人にいがた産業創造機構が産学官の共同研究のために若手職員を中心に百数十社もの企業訪問を行う。そして、国の大型競争資金が獲得できたら、その後の継承事業として立て続けに競争資金を獲得する。とにかく県サイドのやる気に満ちた戦略的な自主性を感じさせられたわけであります。
 和歌山県も幸いなことに経済産業省から仁坂知事を迎えることができ、科学技術振興、食品加工についても大変な御理解と御推進をいただいております。ぜひ、県が将来の県政の躍進のために、あくまで県主導で現場サイドの意見を集約した上で、むしろトップダウンで大きなテーマを設けて、大学等高等教育研究機関や民間企業を動かして、和歌山県発の食品加工技術の実用化、そして、商品化を目指して頑張っていただきたいと思いますが、知事、いかがですか。
 2番目に、和歌山県の医療についてであります。
 1つ目、病院、特に大きな病院において各診療科に評判のいい人気のある先生がいらっしゃって、マスコミにでも取り上げられようものなら、自分はこの先生に絶対に診療してほしい、手術してほしいというのが患者、そして、その家族の本音であります。その先生に診てもらおうと事前に病院に相談したら、半年ぐらいの順番待ちだと聞いていたのが、実際受付に行くと1年も先になると言われたという話もよくあります。必然的にその病院の入院ベッドも満床状態でありますが、片や同じ診療科があって、同じ大学の系列の先生がいらっしゃって、空きベッドのある病院もあって、これをうまく活用、連携してさらに多くの患者さんのニーズを満たしていただけることができないものかと常々考えるところであります。
 県外や国外からも関空等を利用して診察、治療に来られる患者が少なくない、そういった先生もいらっしゃると聞きますが、患者の受け入れが物理的に可能になれば、他の大学病院等からも医療技術を勉強に和歌山県へ来られる医師があって、そんな先生方に引き続き本県に残っていただいて力を発揮していただければ、和歌山県も和歌山市域も医療都市として発展する将来が開けてくるのではないかと思います。県外から来られた患者の方には、施術後、リハビリを兼ねて和歌山県で療養、観光を楽しんでいただけるかもしれません。
 脳卒中等4つの疾患で、疾患ごとの治療方針などについて、医療機関同士で一定のルールを決める地域連携クリティカルパスの取り組みも盛んになっていると聞きます。中央社会保険医療協議会による検証によると、計画管理病院、連携医療機関ともに平均在院日数の短縮が見られたと言います。ですから、逆にそうした高い技術を持った先生の名声を和歌山県が地域医療連携の強化のために利用させていただいてもいいと思うのです。患者、その家族の専門医志向、大病院志向が強くてどうしても患者がそういった人気のある診療科のある病院へ集中してしまうわけですが、地域の病院あるいは診療所がその専門医のかわりを、機能を果たせるような医療における連携強化が図れないものでしょうか。福祉保健部長にお伺いします。
 2番目、最近特に県内の救命救急センターを中心に拠点病院への救急搬送が増加しています。先日も和歌山県立医科大学附属病院の救急外来へ参りますと、休日の夕方にもかかわらず、ひっきりなしに外来患者が来院されていました。例えば、和歌山県立医科大学附属病院救命救急センターにおいて、ここ数年間平均で年間入院患者延べ数が約8000人、外来患者数が常に1万2000人以上あり、救急車搬送数が5000人前後に及んでいます。田辺市の南和歌山医療センターに救命救急センターが設置されたので、随分紀南地方の患者の受け入れも改善され、搬送時間も短縮できるようになったのは非常に大きいことと思いますが、医大病院だけでもこの数字の状況が現実にあるわけであります。
 今、一般の救急告示病院も経営の厳しい中、救急患者の受け入れに悪戦苦闘されているようであります。夜の診療のために医師、看護師、レントゲン技師等のスタッフを配置すれば赤字になってしまう場合もあると嘆かれることも多いようですし、医師が自分の専門しか診たがらず、救急教育が足りない方もいらっしゃると聞きますし、たまたま医療ミスがありますと裁判等で訴えられることも少なくないし、患者、その家族自身が専門医志向なもので、どうしても専門医が多い大病院を希望しがちであり、救急告示病院が徐々に少なくなっているわけであります。ですから、必然的に救命救急センター等大病院へ救急患者が集中します。高齢者の重篤患者も増加しております。和歌山県では幸い他府県にあるような病院のたらい回しによる死者の発生はなく、県内でこうした拠点病院が大きくカバーしていただいておるわけであります。
 しかし、先ほどの医大病院救命救急センターのデータのように、24時間体制であっても空きベッドがなくてかなりの時間、救急制限をせざるを得ない現実があります。救命救急センターで応急措置を行って、その後速やかに患者を受け入れてくれる後方ベッド、後方病院の充実はどうしても必要であります。後方病院も、どうしても医師を初め医療スタッフが不足して、重症患者を診たくても診れない状況にあります。こうした第三次医療をバックアップできる病院の整備が必要であります。
 医療、特に、救急医療の充実を考えるとき、近くの病院、診療所の連携の強化、さらには統廃合も考慮に入れて関係医療機関が協力一致して医師や看護師のそろった総合病院的組織連携をつくっていくことは急務ではないでしょうか。
 県下の救命救急センターが患者の受け入れがスムーズにできて、重篤な救急患者へ適切な診療を行うことができるよう運用体制の強化を図っていただくとともに、後方支援ができるバックアップ病院の連携、充実を含めた時代のニーズに合った救急医療体制を構築いただきたいと思いますが、福祉保健部長いかがですか。
 3点目に、近年、看護師不足が全国的に社会問題となっております。医療に対する国民のニーズは医療の高度化とともに大きく、また多様化して、看護師に期待される役割は大きくなっています。看護師は全国で毎年約5万人が新たに誕生すると言われますが、9.3%が1年以内にやめてしまうという調査があります。日本看護協会が2006年11月に行った調査によると、現場を離れた潜在看護師の離職理由は結婚や出産が最も多いが、労働環境では勤務時間が長い、超過勤務が多い、夜勤の負担が大きい、医療事故への不安というのが上位だったそうです。患者のわがまま、時には口だけでなく手をかける暴力なども原因しているのではないでしょうか。
 手厚い看護体制を目指して2006年度から始まった7対1看護基準も、看護師不足に拍車をかけたようです。特に、和歌山県立医科大学附属病院を初め救急医療や高度医療を担っている県内の拠点病院におきましては、夜勤が多いなど看護職員に大きな負担がかかる労働環境のために看護師の離職も多いと聞いております。まして、一般の病院でも慢性的に看護師不足の話が聞かれます。このままだと医療現場は、労働環境が悪いとの認識が若者の間で広がって、看護師の担い手不足はより深刻化するおそれがあります。人のかけがえのない生命を救うやりがいと責任感のある仕事の中身と、心の余裕の持てる日々の生活が確保できる労働環境とのバランスが大事であります。
 県内拠点病院において看護職員の離職を抑え、看護師が安定して確保できるよう勤務環境の実態を正しく把握しながら、条件面も含めた効果的な医療現場の離職防止対策に取り組んではいかがでしょうか。福祉保健部長にお尋ねいたします。
 以上、第1回の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山田正彦君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、食品加工と和歌山県の持っております地域資源の活用によって産業振興をしていこうということについてでございますが、まさにおっしゃるとおりでございます。宮崎県の例をいろいろ勉強してきていただいて、教えていただきましたが、どうも宮崎県というのは、よく目立つ知事がいて、それで活躍しているんですが、どうもあの活躍の裏には県庁事務当局が長年一生懸命積み重ねてきたなかなか立派な振興政策があるなと。それをパクらせてくれと言って本人にお願いをして、正々堂々と和歌山県の職員を宮崎県に派遣をさせてもらっているところなんですが、そういう意味で、研究開発についても同じようないいところはどんどん勉強して取り入れていくべきであろうというふうに思っております。
 和歌山県のために一言申し上げますと、和歌山県の工業技術センターもなかなか立派でございまして、それで、特にこういう組織は自己目的的になるとちょっとしょぼくれてくるというところがあります。そういうことが非常に少なくて中小企業者の需要によくこたえているというふうなことは、中小企業者のほうのヒアリングをすると結構「工業技術センターにこんな実験をさしてもらっておりまして」とか、いろいろな点で情報が出てまいりまして、意を強くしているところでございます。
 それから、研究開発面での大変大きな発見もしています。谷口さんという大変立派な研究官がいて、ある企業と組んでフェルラ酸という物すごい立派な成分の合成方法をきちんと開発されたと。これからそれを応用していくという段階にあるんじゃないかと思います。国際的なシンポジウムもこの10月にそれに関して開かれるというような状況にあります。
 また、企業と組んで、サッポロビールですけれども、この間記者会見をいたしましたが、「とろり梅」というネクター型の飲料を開発したんですが、これも梅の飲料をなめらかに中に入れるというのは結構難しいらしくて、工業技術センターと複数の企業との研究開発の結果、そういう商品が全国に売り出されて、梅の需要もそれによって少し増加したということになっているわけで、そういう点もありますが、さらに一層頑張っていきたいと思っております。
 食品開発室については、そういう意味でこれから食品工業を和歌山に進めていく、これは長期総合計画にも書きました目標でありますが、その一環として食品開発室に御指摘のように、今年度県のほうで予算をつけて、機器の整備をして職員も増加してそういうニーズにこたえていこうというふうになった次第でございまして、その機能の活用を図りまして、また、食品関連の県内中小企業への支援、新規商品の開発を進める中で強化を一層必要があったら進めていきたいというふうに思っております。それは設備だけじゃなくて人材やスタッフや、そういうようなものについてもこれから頑張っていきたいと、こういうふうに思っております。
 次に、その実用化、商品化についてでございますけれども、実は和歌山県は、先ほど御指摘のあった宮崎県との関連で言いますと、非常に大きな2つの競争的研究開発を国の資金を得て、結構大々的にやっている県でございます。1つは、御指摘ありました宮崎県と同じとおっしゃいましたが、実は、そのJSTの研究開発資金をもらってアグリバイオ研究をやっていると。もう1つは、これは私になりましてからちょっと運動いたしまして、かっぱらったんですが、都市エリア産学官連携促進事業として文部科学省が持っているかなり大きめの競争的研究開発プロジェクトがあります。その中で、ナノテクをテーマに発展型の研究開発をいただきまして、数年がかりでこれをやっていこうと考えております。
 実は、両方のプロジェクトに少し違いがありまして、前者のほうは私の見るところ、少し成果に結びつける戦略において初めから少し欠けてたかなという感じがいたします。研究開発は一生懸命やっていただいたんですが、初めからこういうのをねらってというのがないと、そこのところへすっと結びつかないで学術論文の集積で終わってしまう可能性もあります。そうすると、あんまり雇用などに結びつきませんので、ぜひ商品化につながる展望というものをこの新しく始めたナノテクではつけていこうと。したがって、優良企業の参加も得て、そういうことを念頭に置いて個別のプロジェクトを仕組んでいるという違いがあります。
 ただし、そのアグリバイオについても、結構特許も多数できましたし、成果の例としては、先ほどちょっと批判的なことを言いましたが、それでも水産物では、例えば、高温に強いアコヤ貝の他県への本格的な出荷とか、あるいは梅では乾燥に強い品種を選抜して大量に増殖させる技術を開発したり、現在そういうことで実際のビジネスに結びつけるようなことにもつながっているという事態でございます。
 そのほか、こういう成果を得て、このプロジェクトの内部の問題ではありませんけれども、実用化、商品化を支援する具体的な方策といたしまして、産学官の連携を推進する新連携共同研究事業とか、あるいは今年度から実施するわかやま中小企業元気ファンドを活用して、やる気のある中小企業の方がこの技術を使って何か商品開発をしたいというときに、またさらに応援をしていくというようなことも考えている状態でございます。
 いずれにしても、これまでの研究開発成果や人的ネットワークを大事にしながら、各分野における第一級の人材を発掘、確保し、このような人材を機軸に置くとともに、新たな大型研究資金の獲得などに鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
 最後に、県主導の研究開発体制ということでありますが、これについては、実は御指摘もありましたと思いますが、アグリバイオ研究は今年度で終了します。そうすると、我が県に回っている、あるいは我が県で行われている研究開発水準というのが、その分だけちょっと、この金額的に下がるという状態になるわけでございます。ここはぜひ、ポストアグリバイオという研究開発を、別に同じテーマでなくてもいいと思いますが、ぜひ見つけてきて、さらに一層、我が県の研究開発、それにつながる産業発展というのを推進していきたいと考えておりまして、実は、昨年から、そういう問題意識を持って、現在、部内で何が対象になり得るか、どの研究開発資金が利用できるかというようなことをひそかに検討しているところでございます。
 幸い、さっきの工業技術センターでいうと、もう1つ、実は所長で公募したところ、請川さんというちょっと研究開発部門ではスーパースターのような方がわざわざ来てくださいました。この方は産総研、経済産業省の研究所の中の幹部でありまして、関西のセンターがあるんですが、そこの所長さんをして定年退職をして、そういう割合大物の研究者であります。こういう方の知見もかりながら、何とか県内の研究開発を何かさらに追加していきたいと、こんなふうなことを考えております。
 なかなか県内の資源との関係で、そう簡単ではないんですけれども、頑張っていきたいと思っておりまして、どうもそういうように頑張っていきたいと言ってやってるところが、何か長坂議員から透視されたような感じがいたしまして、同じ目的意識を言っていただいたと思っております。
 それから、昨年度に策定いたしました和歌山県長期総合計画においては、今のようなことを全部総合いたしまして、食品加工を初め、産業部材、それから素材、それから暮らし、観光といった本県の強みを生かせる重点5分野を定めて、これで国や県の競争的資金等を活用しながら県勢発展を担う新たな産業の創出を目指すというように規定しておりまして、この実行のために今努力をしているという位置づけでございます。
 県が主導的な役割を発揮することがいずれの場合でも極めて重要であるということは、議員御指摘のとおりであります。このため、理工系を中心とする大学とか、研究開発型の先進的な企業、それから県内に限らず県外の企業の協力も得ながら、わかやま産業振興財団、工業技術センター、持っている数少ない資源を全部動員いたしまして、和歌山の特性を生かした研究開発、それに伴う産業発展を今後とも目指していきたいと考えております。
○副議長(山田正彦君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 医療機関の連携強化についてお答え申し上げます。
 議員御指摘のとおり、患者の大病院志向、専門医志向を背景といたしまして、県内の拠点病院等を中心に患者が受診する傾向にあると認識してございます。和歌山県立医科大学附属病院、日本赤十字社和歌山医療センターを初め、各拠点病院においては、地域医療連携を担当する部門を設置いたしまして、地域の病院、診療所等と適切な患者紹介等に向けて連携を進めているところでございます。
 県といたしましては、長期総合計画や保健医療計画等に基づきまして、プライマリーケアを推進するとともに、地域連携クリティカルパスを普及させるため、地域医療の第一線を担うかかりつけ医を支援し、保健医療圏単位で地域医療の充実を図るため、その中心となる地域医療支援病院の整備を進めるなど、地域の実情を踏まえた医療連携体制を推進しているところでございます。
 今後とも大規模な病院と診療所等との役割分担と連携を進め、予防、初期治療から高度医療、リハビリテーションまで切れ目のない効率的な地域医療体制を構築してまいりたいと考えてございます。
 次に、救命救急センターの運用体制の強化についてでございます。
 本県においては、傷病者に迅速かつ適切な医療を提供するため、消防機関等との連携のもとで、傷病の重症度に応じた体系的な救急医療体制を確保しているところでございます。県内3カ所に設置された救命救急センターにおいては、重篤な救急患者を多数受け入れており、可能な限り多くの患者を救命するためには、救急病床の効率的な運用が不可欠な状況となっております。このため和歌山県立医科大学附属病院では、高度な治療や全身管理を行う救急部門と一般病棟との連携促進など、重篤で治療の難しい救急患者を計画的に治療するための院内体制づくりを検討していると聞いてございます。
 県といたしましては、こうした救命救急センターの運用体制の強化を支援するとともに、地域医療機関との連携を推進するなど、重篤患者の病状の推移に応じ円滑に受け入れることができる、例えば、病診連携や病病連携等、医療連携体制の確保に努めてまいりたいと、そのように考えてございます。
 最後に、看護職員の離職を防止するための医療現場の勤務環境づくりについてでございます。
 議員御指摘のとおり、看護職員の勤務環境の実態を正しく把握することは、大変重要であると認識してございまして、平成19年度には、県立医科大学と共同で病棟勤務の看護職員を対象に、生き生きと安心して働ける職場づくりに関する調査を実施いたしました。本調査の結果から、例えば、休日に休めなかったり、超過勤務等、労働環境問題、それから医療事故への不安、家庭との両立に関する事項が看護職員の離職に関連していることが明らかになりました。
 現在、県立医科大学においては、この調査の結果を踏まえ、多様な勤務形態の導入、新人教育体制のさらなる充実、医療事故防止対策の充実、院内保育所の定員増加等に向けた総合的な取り組みを進めているところでございます。
 このような先進的な取り組みの検証を行うとともに、今後とも拠点病院を初めとする県内の病院における看護職員の勤務環境などの実情の把握に努めるとともに、これを踏まえた効果的な看護職員の離職防止対策に取り組んでまいりたいと、そのように考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 再質問を許します。
 36番長坂隆司君。
○長坂隆司君 御答弁いただきました。食品加工戦略につきましては、本来県が何を素材に何をしたいのか、何年をめどに実用化、商品化していくのか、どんな年齢層をターゲットにしていくのか、そして、どれくらいの生産量、販売額を目標にしていくのかといった具体的に数値目標、これを立てる戦略が必要だと思います。
 宮崎県食品開発センターで所長がおっしゃっておられました。この農業県と言われる宮崎県でも10年後に新鮮野菜が入らなくなるかもしれないと、こういう危機感を持って研究開発に臨んでいるというのであります。食品加工は、県の長期総合計画における重点5分野の1つであります。ぜひ和歌山県の目指すテーマ、目標を知事が世間にお示しいただいて、それに向かって県が関係研究機関を、そして民間企業を引き込んで、やる気をみなぎらせて、一丸となって全国有数の食品加工県を目指して疾走していただきたいと熱望いたします。
 次に、医療については、人気のある腕ききのお医者さんが郷土の病院にいらっしゃるということは、県民の健康福祉の増進のために大変ありがたいことですし、県民にとっての誇りでもあります。でも、その先生の診療を恋い焦がれる余り、待ちに待っている間に取り返しのつかないことになる場合も少なくないと思います。一番問題なのは、患者が入院できる病床が不足しているということでありますから、連携のとれる病院でその先生あるいはその先生の薫陶を受けた医師に診察、手術をしていただいて、待っている期間を少しでも減らすシステム構築の努力は、県民の健康福祉を増進する役割を担う県当局にしていただくしかないと思うのであります。どうか、さらなる医療機関の連携強化が図れますようによろしくお願いいたします。
 また、本県に3つある救命救急センターの円滑な運用は、後方病院との連携とも大きくかかわってくることですので、県の救急医療計画の中で、後方病院の後方ベッドと医療の中身のさらなる充実を図っていただきたいと思います。そのためには、限られた医師、看護師等医療スタッフの確保のために後方病院として充実を図るべく、将来病院の統廃合ということに踏み込んでいかざるを得ない局面も出てこようかと思います。言い出しにくい話ではありますが、財政の極めて厳しい中、大切な命を守る医療、とりわけ救急医療の充実のために選択肢の1つとして認識いただきたいと思います。
 以上、要望さしていただきまして、私の一般質問を終わります。
○副議長(山田正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。

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