平成20年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(多田純一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 24番多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕(拍手)
○多田純一君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問を行います。
 最初に、「和歌山を元気にする」について何点かお伺いをさせていただきたいと思います。
 福田首相の突然の辞任表明により、現在、自民党総裁選挙が行われ、その行方が注目をされております。ねじれ国会の中でよく人の意見に耳を傾け、着実に改革への道を進めてこられようとされていただけに、突然の辞任は驚きでした。腹黒い政治家ではないので人気がない、北京オリンピックで金メダルをとった選手が福田首相の印象を語り、話題になりました。今の政治はワイド番組でも取り上げられ、お茶の間の話題にも上るような発信力がなければ人気が出ないという面もありますが、道路特定財源の問題、日中関係改善、消費者庁の設置法の取りまとめや公務員制度改革など、短期間とはいえ実績も残されておられます。
 その福田総理の最後のメールマガジンには、「政治とは何かとよく聞かれますが、当たり前のことを当たり前に誠実に積み重ねていく、常にこう答えています」と書かれています。辞任表明する直前にまとめ上げたのが安心実現のための緊急総合対策です。その対策では3つの目標を掲げています。
 1つ、生活者の不安の解消、2つ、持続可能社会への変革加速、そして3つ、新価格体系への移行と成長力強化などとなっています。今、国民生活を見ますと、原油、穀物の価格急騰が家計を直撃しています。1年前に比べると、代表的なものだけでも灯油で53.2%、スパゲッティ32%、食パン20.1%上昇、食料品や日用品、そして公共料金、続く値上がりはとどまるところを知らず。調査によると米、牛乳、ハムなど、年9回以上購入する生活必需品は昨年7月から1年間で6%も値上がりしており、こうした物価上昇に対し、収入が上がるどころか逆に落ち込む傾向にあり、国民生活が深刻な状況になってきています。
 一方で、経済成長率も年率マイナス2.4%と落ち込むなど後退局面を迎えています。国民生活はまさに非常事態、その国民生活を支え、守ることが今政治に最も求められております。
 また、中小企業においても、景気後退が濃厚な中、原油、原材料価格上昇で中小企業がこうむる打撃は大きいものがあります。立場の弱い中小企業は、原油や原材料価格の上昇分を製品価格に転嫁することが難しいからです。中小企業の倒産件数は、ここ最近増加傾向にあります。こうした事態を受け、政府系金融機関が融資を行うセーフティネット貸付制度を強化するほか、原材料価格高騰に対応した新たな保障制度を導入し、安全網を強化、元本返済据え置き期間を延長するなど、中小企業の資金繰りを応援する必要に迫られております。
 地方を元気にする、とりわけ和歌山を元気にするため、新しい首相に期待することは何でしょうか。特に国民生活のため早く実行に移さなければならないと考える緊急総合対策について、知事の御所見をお聞かせください。
 7月5日、NHKで放送されました「紀の国スペシャル~Wakayama Next10~」を見ました。土曜日のお昼3時という時間でしたが、何度か前宣伝もありましたので、ごらんになった方も多かったと思います。番組のテーマは和歌山の再生、そして項目として、「再生のキーワード」「地域の資源を生かすには」「地域資源のブランド化」「和歌山のブランドをつくるには」、そして再生のもう1つの柱として、「和歌山の観光の現状」「来てもらうためにも住民主体のまちづくり」「外国人観光客をもっとふやす」「和歌山をアピールする」「和歌山を知る」となっていました。番組の冒頭、ナレーターから「地方の衰退が叫ばれ久しい中で和歌山の疲弊が深刻化しています。1つの事例として、経済成長率が昭和50年から平成17年の間で同じ近畿の滋賀県が1位で4.51倍、全国平均3.27倍、和歌山は高知県の2.74倍に次いで最下位の2.69倍と低迷している」と和歌山の現状が紹介され、その中でも象徴的に県都和歌山市のぶらくり丁シャッター通りを映像で映し出され紹介されておりました。ほとんど店が閉まっている状況を映し出し、昭和30年代の繁華街だったころの映像と対比させていました。
 そして、お2人の御婦人が登場。会話の内容は「店を閉めているところが多い」、「店が開いていないから人が来ない」、「もっとみんな商売をしてくれたら」、「あかんわ」、「もっと栄えな困る」、「今のままではまちが死んでしまう」と、市民の悲痛な叫びです。
 また、一方で番組の中で、独自の地域戦略を生かし頑張っているところも紹介しています。1つは日高川町の椿山ダムでヤッホーポイントを整備し、ないものねだりではなく、あるものを生かしていく、そういう発想のもとにその地域の最高の資源を活用していく。
 また、高知県馬路村のユズでまちおこしも同じで、ふぞろいのユズを加工し、デザイン化して直販。「ごっくん馬路村」として最初の15万本から700万本に急成長。村のイメージを売りながら健康飲料として全国ブランド化に成功。今や年間30億の売り上げにまで成長しているそうです。司会は小田章和歌山大学学長、出演者として仁坂知事、日高川町観光協会会長、果実販売会社社長、そして日本総研研究員、計5名で約1時間13分の放送内容でした。
 2点目にお伺いします。和歌山の再生のために何が必要なのでしょうか。
 残念だったのは、この番組では語れなかった県都和歌山市の再生をどう考えるのか。知事は常日ごろ、行政は論理だとおっしゃっています。にぎわいがなくなった今の中心市街地を活性化させるための再生のお考えをお示しください。
 経済産業省が発表した2008年企業立地満足度調査によると、昨年の35位から宮崎県や長野県と肩を並べ、6位と評価が上がってきています。仁坂知事就任後の立地件数でも平成18年度は5件、19年度は28件、今年度は現在までに11件と合計44件となっています。着実にふえている状況です。しかし、当初の計画からすると、少し修正も必要と思われる点が出てきています。企業立地促進法に基づく和歌山県の基本計画として、紀の川流域に続いて紀中・紀南地域の基本計画を先日発表されました。長期総合計画での産業集積ゾーンを紀北都市近郊ゾーンと紀伊半島沿岸ゾーン、南紀熊野地域資源活用型ゾーンという考え方と紀州内陸ネットワーク活用産業ゾーンに分かれています。
 また、紀の川流域地域では、集積業種を情報家電産業と新エネルギー関連産業としていますが、8月に紀北橋本エコヒルズ小峰台に進出が決まったコバタ総合研究所は、集積業種に当たらない健康食品の加工、開発、販売となっています。産業集積ゾーン及び基本計画の見直し等、企業誘致策の今後の取り組みについて、知事にお答えをいただきたいと思います。
 続いて、地域ブランド力の向上についてお尋ねいたします。
 地域ブランドを適切に保護するものとして、事業協同組合等の団体が商標登録することが認められました。平成18年4月、商標法の一部改正により、地域の名称と商品の名称からなる商標について一定の範囲でよく知られるようになった場合には、商標登録することが認められるようになりました。
 和歌山県では「有田みかん」「紀州みなべの南高梅」など10件の地域団体商標が登録されています。さらにその数をふやし、総合力としての和歌山を売り出していくことやそれぞれのブランド力を磨き込んでいくような取り組みが必要なのではないでしょうか。商工観光労働部長お答えください。
 おもてなしの心の醸成についてお考えをお聞きします。
 リクルートが発行する旅行情報誌が実施した全国宿泊旅行調査によると、県内観光地の課題が浮き彫りになりました。子供が楽しめるスポットが多いという評価では、アドベンチャーワールドなど人気のスポットを抱え、全国4位となっています。地元ならではのおいしい食べ物が多いでは32位、魅力のある特産品や土産物が多いでは23位となっています。さらに課題となりましたのは、おもてなしの心が全国40位と下がりました。観光立県を目指す本県としては、高速道路等の整備で便利になったということも一面あるでしょうが、日帰り客がふえ、泊まり客が減少している原因がこのおもてなしの心にもあるのではないでしょうか。
 昨年度、地域や公共交通機関を対象におもてなしについての研修も実施していると伺っております。まだ十分な効果が発揮されていないとすると、今後の取り組みについてどうなさるのか、商工観光労働部長にお聞きしたいと思います。
 外国人宿泊客をふやしていく取り組みについてお聞きします。
 本県の外国人宿泊数は年々ふえており、平成19年は、前年比129.8%の16万3870人の過去最高を記録しています。中でもフランスからの外国人がふえて前年比243%ということになっています。和歌山市出身の私の知人がフランスで日本語を教えており、その知人も生徒を連れて日本に年に何回か帰ってきます。その知人いわく、フランスでは日本ブームで、治安のよさ、そして日本の伝統製品に共感が高いということです。日本古来の武道や伝統文化、精神など、「見る」「体験する」、そして「研修する」、知的満足を楽しむ、そういう観光客に合わせた観光施策の工夫が短期滞在型につながっていくものと考えます。ゴールデンルートと言われている東京、京都に負けないような外国人宿泊客をふやす取り組みについて、商工観光労働部長にお尋ねをしたいと思います。
 大きな2番目としまして、道路政策について県土整備部長にお尋ねいたします。
 都市計画道路は、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、国土の均衡ある発展と公共福祉の増進に寄与を目的とする都市計画法に基づき計画された道路とされ、1919年に制定されています。その後、高度成長期の市街化発展に対応するため、68年に廃止、同名の新法が制定されています。2006年5月、県では真に必要な道路か、身の丈に合った都市計画道路かどうか、未着工になっている110路線、計358キロについて廃止も含めて全面的に見直す方針を打ち出しました。交通量推計調査を実施し、学校や病院などに通う住民の利用度も調べ、全路線でカルテを作成、見直しの手順をまとめたガイドラインの作成をしていくことになっています。そして、地域の実情に即した新たな整備案をつくるとしています。
 具体的には、路線計画自体の廃止、車線数の削減、中央分離帯の撤廃、街路樹の植栽部分の縮小などを行うことを考えていると発表しています。この計画案を実行すると、総事業費の1割に当たる約500億円が削減できるとまで試算もされました。必要な都市計画道路を早く進めていく上でも選択と集中は欠かせません。未着工路線の見直しについて、そのお考えをお伺いします。
 国道24号線和歌山バイパスは、岩出市備前から和歌山市出島に至る延長10.3キロの4車線道路です。昨年、紀州大橋を含む2.4キロの4車線化工事が完成し、昭和50年度に事業着手し、およそ32年かけて平成19年、昨年7月に供用開始されました。和歌山市東部から市内に至る道路は交通量の増加の要因もあり、交通渋滞が激しく、市民・県民の方から待ち望まれていた幹線道路でありました。暫定2車線のときは、混雑度を示す指数は2.59となっていました。それが完成4車線では0.76となり、1日の交通量も現在は4万4000台、飛躍的に伸びています。岩出市備前からインター南口交差点までの所要時間も25分も短縮され、約14分となりました。渋滞損失も整備前と整備後と比べると76%削減となり、地域経済の活性化につながっています。通った経験のある方はお気づきのことと思いますが、和歌山でもにぎわいのある道路となっています。岩出市域の1.3キロだけでも既に郊外型大型店舗を中心に約50店舗が出店しています。道路整備は生活道路の確保という側面だけでなく、経済効果をもたらす大きな要因と言える事例の1つになっています。このバイパス供用でインター南口交差点までは渋滞も改善されました。
 しかし、その西側、花山交差点、そして田中町交差点では相変わらず西行き、つまり市内中心部へ渋滞が常態化しています。朝は田中町交差点を先頭に西行きで1500メーター、花山の交差点で同じく西行き750メーター、インター南口交差点で同じく西行き1150メーター、出島交差点西行き国道24号線で650メーターの渋滞が供用開始後の平成19年9月の渋滞調査でも明らかになっています。田中町交差点での西行きの渋滞は相変わらず和歌山市内では最長となっています。これが県内外から流入が多い和歌山市東部の現状です。車の流れをスムーズに行えるような交差点改良や誘導案内板の整備等取り組むことも含め、和歌山市東部地域の渋滞緩和策についてお聞きしたいと思います。
 2015年の和歌山2巡目国体の各競技種目の使用施設が先日発表されました。紀三井寺競技場での開会式には、予定では観客だけで3万人、選手、コーチ、関係者を入れますと約4万人が一度に和歌山市に集中します。そして、和歌山市で予定されてる競技は現在12競技と発表になりました。1種目、選手や役員を入れて10日間、前半、後半で各6競技、開会、閉会を入れて予想では1日平均2万人以上の人が早朝から和歌山市内で移動することになりそうです。とりわけ、県外からは和歌山インターを利用する方が多いはずです。和歌山市東部幹線道路宮街道を中心とした市内幹線道路の整備、そして、その線とアクセスしている都市計画路線をこの国体にあわせて整備していくことは喫緊の課題であり、大事な道路施策となります。
 そこで、2015年国体に向けて京奈和自動車道、第2阪和国道、そして北インターチェンジの事業推進について、現在事業中の都市計画道路、松島本渡線や湊神前線等、県の取り組み状況と見通しについて決意も含めてお聞かせいただきたいと思います。
 大きな3番目でございます。特別支援教育の現状と今後の取り組みについて質問します。
 パラリンピックのロゴ、天・地・人が天安門広場に掲げられ、今月6日からきのうまでの12日間、北京でパラリンピックが開催されました。史上最多147カ国、約6500人の選手、役員が参加し、日本からも162名の選手が参加しました。和歌山からも競泳男子100メーター平泳ぎの中村選手、射撃50メーターフリーピストルの大橋選手が参加し、健闘されました。頑張っている姿に大変感動を覚えました。障害のある方を社会で理解し、自立支援していくことはますます大事なことです。
 特別支援教育の問題の最初に、特別支援教育への移行に関連した県の取り組みについてお伺いします。
 個々の特性を理解すること、1人1人のニーズに適切にこたえていくこと、子供の個性を引き出すことなどを目的に、昨年度から特別支援教育が始まりました。単に特殊教育から看板のかけかえではなく、従来までの障害種ごとの教育からさまざまな子供のニーズにいかにもっとこたえるかが重要な課題となっています。
 県下の特別支援学校の中でも生徒数200人を超えるマンモス校、紀北支援学校と紀伊コスモス支援学校を公明党県議団で視察してまいりました。両校の校長先生並びに教員スタッフの方や県教委の方々にはお世話になりました。1人1人子供たちに合わせ、献身的に子供たちをお世話いただいている姿を見、支援教育の重要性を改めて感じてまいりました。小中学校の児童生徒が減少する中で、保護者の適正就学を求める傾向がふえ続けている現状を考えたとき、環境整備を進める必要があるように思います。
 昭和48年に県内初めての養護学校として開校した紀北支援学校は、小学部60名、中学部17名、合計77名でスタートしました。寄宿舎も同じ年の建設です。昭和54年には養護学校の義務制の施行もあり、人数はふえ続け、昭和59年にはプレハブ校舎2棟、昭和61年にはきのかわ養護学校を開校、平成3年にはたちばな養護学校、平成11年には紀伊コスモス養護学校が開校したことで一時的に人数も緩和されましたが、平成8年にはプレハブ校舎3棟目の建て増しを行っています。現在は小学部、中学部、高等部合わせて200人規模となり、50人以上の定員オーバー、10教室の不足、校舎と校舎の渡り廊下や寄宿舎の老朽化等を考えると何とかしなければと考えるところです。
 紀伊コスモス支援学校は現状でも200名のところ、虎伏学園の移転に伴う生徒増が来年予測されます。このような状況を県教委としてどのようにとらえられておられるのか。環境整備の今後の方針についてお答えをください。
 特別支援教育の本格的なスタートに当たり、知的障害の中でも自閉症の障害のある子がふえていると言われてる中で、教員の専門性の向上や個別の教育支援計画の策定、個別の指導計画の作成が必要になってまいります。教育支援体制の整備についてお伺いしたいと思います。
 保護者の立場からすると、学校を卒業した後が大変気がかりです。責任を持ってどこまで考えておられるのか、特別支援学校卒業の進路についてもお聞きします。
 続いて、高等学校における発達障害生徒への対応についてお聞きしたいと思います。
 高等学校における発達障害支援モデル事業校として国の指定を受けている和歌山東高校の取り組みをお伺いしてまいりました。校長のリーダーシップのもと、コーディネーターを務めておられる先生を中心とした学内の連携、特に、授業方法等において生徒1人1人のニーズに応じた教育ができるよう指導及び支援への工夫改善、教職員研修を通じて力量や意識の改革、そして、一般生徒や保護者への啓発活動など真剣な取り組みに感銘いたしました。高校に入学して初めて発達障害と確認できる子供もいるとお聞きしました。中学校との連携はどうなっているのでしょうか。支援学校より普通学校を希望する保護者も多いので、知識を持った教員の体制や支援教室の拡充をすることも検討する必要があると思います。スクールカウンセラーや精神科医との連携、そして、特別支援センターとの交流など、必要となっているそうです。
 以上のことから、1つ、モデル校の取り組みの成果と今後の支援体制、2つ、人的支援やスタッフ等の状況、3点目、精神科医等専門医との連携についてどのように考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 3点目に、高等学校卒業後の生徒の処遇及び進路指導体制についてお伺いをいたします。
 生徒の将来的な社会自立と進路実現を目指す上で、高等学校は大変重要な時期です。発達障害生徒の気づきがその生徒の個性を生かし、関係する専門機関や就労支援機関と連携しながら、生徒の高校卒業後の進路実現を意識した指導、支援に努めることが必要となってまいります。
 そこでお尋ねいたします。進学や就職の状況、特別支援学校や企業、関係部局との連携、個に応じた実践教育やインターンシップ等の工夫など、教育長にお尋ねして一般質問の1回目を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、新しく総理に就任される方に対する所見ということでございますけれども、新しく総理に就任される方については、物価高、原油高やアメリカの金融危機などにより不況が忍び寄る可能性があることから、特に経済が心配でございますので、その経済対策への着手、特に去る8月29日に政府が取りまとめました安心実現のための緊急総合対策の早期実現を図っていただきたいと考えております。
 緊急総合対策は、原油・食料価格等の急激な上昇に伴う国民の生活への不安を解消するとともに、燃料負担の増加により深刻な影響を受けている農林水産業や中小・零細企業等への支援策を示したものとして大変重要であると考えております。
 具体的には、生活・雇用支援対策として掲げられております物価に対する総合的対策、特別減税、消費者政策、非正規雇用対策について、金額、規模、条件などが明確になっておりませんので、施策の具体化を急ぎ、実効性のある対策を早くとっていただくようにお願いしたいと思います。
 また、中小・零細企業への対策といたしまして、議員御指摘のような充実した取り組みが掲げられております。県内中小企業者がこれらの施策を活用し、資金繰りの円滑化を図れるように県としても施策の詳細に関する情報を収集して周知を図ることにより、中小企業振興に遺漏のないように努めていきたいと考えております。
 さらに、地方を大事にする政策の担い手であってほしいと思います。それもかけ声だけではなくて、地方を大事と言いながら地方を切り捨てるというようなことに結果的になるようなことを政策的にとることは断じてないようにぜひしてもらいたいというふうに思います。
 いずれにいたしましても、物価の上昇により多くのこの和歌山の県民の皆さんが困っております。本県のような経済的に弱い地域の対策を早急にとっていただくように、これが県民の悲願であると思います。県といたしましても、これら国の制度や県独自の制度をすべて活用しながら対策を進めてまいりたいと思います。
 次に、中心市街地活性化対策についてでございます。
 私は、中心市街地問題の50%ぐらいは都市計画で説明できるというふうに思っております。都市計画が厳しくなく、外縁的に発展が許されておる状態で、モータリゼーションの中で人々が自由に意思決定をすると、大体都市は外側に広がっていきます。そのときに、例えば今の東京のように、全体が発展していってどんどん人が集まってくるという状態であれば真ん中のほうも別に問題はございません。ところが、この発展がなくて衰退している、あるいは停滞して、衰退はしてないけどもとまっている、そういう状態であると真ん中のほうが寂しくなると、これは論理的な帰結であろうと思います。
 したがって、大体の中心市街地の問題は、このような状況を背景にしてモータリゼーションの進展に伴い都市機能が拡散をしたということで中心地の商業機能が衰退し、中心地の居住人口が減少し、空き地、空き店舗の増加などの問題が残っていると。これは和歌山だけじゃなくて全国的に起こっていることだと思います。
 中心市街地の活性のためには、需要と供給の両方から考える必要があると思います。供給側、すなわち商業機能の涵養というか刺激というか、そういうところだけではなかなかすべての解決にはなりません。需要をつけることが必要であります。需要は、大体オフィスとそれから住宅であろうかと思います。
 したがいまして、町なかに住宅を整備し住む人をふやす、町なかに事業所の立地を誘導し働く人をふやすという需要側の施策もあわせて実施し、町なかに人々を集積させ、にぎわいをつくり出すことが重要と考えております。
 しかしながら、一方では、外に一たん広がってしまった地域におきましては、その外側で、まちの中心地じゃなくて外縁部で幸せに便利に暮らしている人もたくさんいらっしゃるということもまた我々は忘れてはいけません。したがって、その都市はどういうふうにあるべきかということは、県のような広域行政をやっているところではなく、国でもなく、実はその当該市町村がどういう都市計画をやるかということをそれぞれ任されているわけでございます。
 ただ、中心市街地の衰退というのは目に余るから、平成18年のまちづくり3法の見直しがありまして、国としても大いにてこ入れをして、都市機能の郊外への拡散を抑制して、ある程度私権を制限しても都市計画をきつ目に運用して、中心市街地において都市再開発などの手法によって土地の高度利用を進めて、住宅、商業施設等の都市機能が集積したような利便性の高い都市づくりを進めたほうがいいんじゃないかということで、そういう法を整備したところでございます。それをどういうふうに利用するか、これはそれぞれの市町村が真剣に考えなきゃいけないことだと思っております。
 こうした観点から、県としては、何をやるかということでございますけれども、まず、県のほうが情報収集力に秀でております。したがいまして、今申し上げました理屈だけじゃなくて、その理屈が具体的にどのような形で全国で実現されているか、先進市町村と言われているようなところではどういうふうにしていろいろな問題を克服しているか、そういう事実をプロジェクトチームをつくって勉強さしまして、その成果をシンポジウムで発表し、また、市町村にもそれを伝え、それから、いろいろ悩んで考えておられる市町村にはそういうノウハウあるいは知識、そういうもののアドバイスをいつでもいたしますというような構えをとっているわけでございます。
 また、具体的に市町村でこういう動きをしようということについては、積極的に応援をしていこうと思っております。例えば、和歌山市の中心市街地活性化計画に位置づけられた旧丸正百貨店ビル再生事業、あるいはけやき大通り市街地再開発事業などは県のお金も投入して、これは応援していこうというふうに考えております。
 今後とも、都市づくりを担う市の主体的な取り組み、こういうものについては、よく相談に応じて積極的に応援していきたい、こんなふうに考えております。
 次に、企業立地法に基づく和歌山県の基本計画でございますが、議員御指摘のように、企業立地促進法に基づいて、和歌山県では北部の計画、それから南部の計画、両方の計画がございます。その計画をいわば旗印にして、私も含めて、トップセールスを含めて県庁が精力的に企業誘致に取り組んでおります。44件の企業誘致が、私が就任しましてから意思決定してくださいました。そのうち、例えば、支援をするというようなことで進出協定を結んだ企業が平成18年度は4件でありましたが、平成19年度は10件、今年度も既に10件ありまして、順調に伸びているところでございます。ただ、和歌山県の現状を考えると、これで満足というような水準ではまだまだありませんので、引き続き必死豆炭で頑張っていかないといけないというふうに思っております。
 企業立地促進法に基づく県の基本計画について、国では農商工連携関係の法改正がありました。食品製造業なども集積業種として認めることになったということでございますので、紀北地域は、その法律の前に計画ができておりました。したがって、その紀北地域においても、もとより豊かな農林水産物を生かしてその対象業種や対象地域、これの可能性はさらに広まっておりますから、拡充できるように見直しをしてまいりたいと考えておるところでございます。
 今後とも、これらすべてを含む企業の集積を図るために、用地インフラの整ったそういう用地装備とか新たな企業用地の開発確保とか、そういうことにも今後取り組んでまいりますとともに、交通インフラの充実あるいは人材確保、それから人材の育成、そういうのを教育機関とも相談をしながら頑張っていきたいと考えています。
 なお、企業立地満足度調査につきましては、昨年に比べ大幅に順位が上がったことは、企業に働きかける上で喜ばしいことで、少しプラス目に宣伝をしていきたいと考えております。ただ、100点満点でないということもまたわかってきておりますので、これを100点満点になるようにみんなで頑張って、市町村との連携や、それからみずからのワンストップサービスの向上など、さらに充実していきたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) まず、地域ブランド力の向上につきましてお答えさせていただきます。
 議員お話しのように、地域団体商標制度におきまして、「紀州」や「有田」など地域名称を冠した商品が地域の強みとして広く認識されることとなりました。地域団体商標の出願につきましては、その地域の団体等が行うものでございますが、県といたしましても、地域団体商標制度の周知や出願手続等の支援など、出願、登録に向けて関係機関と連携し、また、支援してまいりたいと考えてございます。
 ただ、商標登録ができたといたしましても、そのブランド名に安住していくことはブランド力の低下につながるものでございまして、これを維持、発展させていくためには、その地域の組合、事業者による品質管理、その産品を活用した新商品の開発等、不断の努力が不可欠であると考えてございます。
 国におきましては、昨年、中小企業地域資源活用促進法が施行され、地域資源を活用した中小企業の取り組みを支援しており、その情報提供に努めるとともに、本県におきましても、わかやま中小企業元気ファンドを初めとして、地域資源を活用した新商品開発等への支援を行っているところでございまして、これらの制度活用により地域ブランド力のさらなる向上に努めてまいります。
 次に、おもてなしの心の醸成についてお答えさせていただきます。
 訪れた観光客を温かくお迎えし、快適な時間を過ごしていただく、いわゆるおもてなしにつきましては、観光客を誘引し、そして、再び来訪していただくための最も大きな要素であると考えてございます。
 本県では、観光セミナーや公共交通機関研修、さらには、接客能力の向上を図るため、従業員を対象とした実践的な研修を実施し、おもてなしの向上に努めてございます。特に、本年度はリピーター客確保への取り組みを進めるため、主要な観光地や宿泊施設において実施してございます観光統計調査の中で観光客の満足度に関するアンケート項目を新たに設定してございまして、今年度末に取りまとめる調査結果を踏まえ、的確な施策を実施、展開してまいりたいと考えてございます。
 次に、外国人宿泊客をふやす取り組みについてでございますが、海外から、特に欧米からの観光客誘致という観点からお答えをさせていただきます。
 議員御指摘のように、欧米では日本の歴史や文化に強い関心が持たれており、県内におきましては、高野山での瞑想体験や精進料理によるおもてなし、また、熊野三山への参詣など、心の癒しや安らぎという高野山や熊野が持つ特徴的な精神文化に触れる旅行が人気を博してございます。この人気を持続、拡大していくために、スペインで開催されます熊野古道とサンティアゴへの道の姉妹道提携10周年事業に合わせて、今月29日に知事のトッププロモーションを実施いたします。また、来月には、日仏観光交流年にちなみ日本政府がパリで実施するセミナーに参加するとともに、現地の旅行エージェントを訪問し、PR活動を展開することとしてございます。さらに、来月、田辺市で開催されます国際合気道大会に合わせ、イギリスとドイツからメディアを招き、熊野からヨーロッパに向けて情報を発信してまいります。
 このような多様なプロモーションを通じ、世界遺産高野・熊野を中心に売り込むことにより、議員御提言のように、県内を周遊し、より長く滞在してもらえるような取り組みをさらに強化してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 都市計画道路の未着工路線の見直しについてでございますが、人口減少や厳しい財政状況の中、地域の実情に即した道路整備を進めていくことが必要であると考え、平成18年度から見直しに着手いたしました。見直しに当たっては、まず、県都和歌山市域の都市計画道路、44路線191キロメートルについて、和歌山県と和歌山市が協力の上、見直しの方針など検討し、これらをもとに路線の廃止や幅員の縮小などの見直し案の取りまとめを行っており、今後、市とより一層連携を図り、具体的な作業を進めてまいります。
 それから、和歌山市東部道路の交通渋滞緩和策についてでございますが、主な取り組みといたしましては、和歌山市の周辺地域から中心市街地への流入交通を分散するため、市内の東西幹線道路として市駅小倉線、湊神前線、南港山東線、また、南北幹線道路として松島本渡線などの都市計画道路を県と市が連携し、整備を進めているところでございます。
 また、和歌山インターチェンジ周辺への交通を分散するため、和歌山北インターチェンジを整備しております。さらに、交差点の渋滞を緩和するための右左折レーンの設置による交差点改良や交通を円滑に誘導するための案内標識、路面表示などを関係機関と十分に調整し検討してまいります。今後も、国や市等と連携しながら重点的、効率的な渋滞対策に取り組んでまいります。
 2015年の国体開催に向けての主な都市計画道路等の見通しについてでございますが、京奈和自動車道につきましては、国体開催までの全線の開通を、第2阪和国道につきましても、大阪府とも調整し、可能な限り早期に供用できるよう国に働きかけてまいります。
 また、現在整備中の和歌山北インターチェンジにつきましては、平成21年度末供用に向けて、和歌山市及び西日本高速道路株式会社と可能な限り整備を促進してまいります。
 さらに、現在事業中の都市計画道路の整備についてでございますが、松島本渡線は神前地区約1キロメートル区間で事業を進めておりまして、その用地取得は約5割の進捗となっております。また、湊神前線につきましては、松島本渡線までの約0.3キロメートル区間で今年度より測量設計に着手しております。これらの都市計画道路につきましては、厳しい財政状況ではございますが、国体開催までにネットワーク効果が発揮できるよう今後とも和歌山市と連携を図りながら、それぞれの事業区間について完了目標を明確にするとともに、必要に応じ土地収用の手法も活用して整備を進めてまいります。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 特別支援教育の現状と今後の取り組みについてお答えいたします。
 まず、特別支援学校の環境整備についてでございますが、紀北支援学校につきましては、教室棟の増築に向けて準備を進めているところでございます。また、紀伊コスモス支援学校、紀北支援学校の過大規模化につきましては、第7期きのくに教育協議会の報告をもとに県特別支援教育協議会の意見も伺いながら解決策の検討を進めているところでございます。
 次に、特別支援教育の体制整備についてお答えします。
 県教育委員会といたしましては、特別支援教育に係るリーフレット等を作成し、理解、啓発を図るとともに、スペシャリスト養成塾を初めとした各種研修を通じて教員の専門性向上に努めております。また、特別支援教育支援員の配置を通して市町村教育委員会や各校の体制を整備しまして、個別の指導計画に代表される1人1人のニーズを大切にした教育の充実に取り組んでいるところでございます。さらに、各特別支援学校のセンター的機能を活用し、支援体制の整備に努めてまいりました。
 現在、厚生労働省と文部科学省の連携による特別支援教育の総合的な推進事業を柱といたしまして、県内の支援体制を一層強化するとともに、個別の相談支援ファイル作成に関する研究を海南市で実施し、支援の具体化を進めているところであります。
 次に、特別支援学校高等部卒業後の進路についてでございます。
 進路状況につきましては、全国に比して就労率が低迷してきた状況にございました。昨年、ことしの2カ年にわたり文部科学省委託の職業自立を推進するための実践研究事業に取り組み、10.2ポイントの就労率でございましたが、平成19年度には16ポイントに改善をされました。障害生徒の社会参加や進路の保障は共生社会の実現や福祉政策とも関連する重要な内容でございまして、引き続き就労率の向上に努めてまいりたいと考えます。
 次に、高等学校における発達障害生徒への教育的支援についてですが、和歌山東高等学校におけるモデル事業につきましては、2年目を迎え、校内支援体制の整備や発達障害に関する理解啓発、また、スクールカウンセラーとの連携など、着実に成果が上がってきております。しかしながら、生徒個々の教育的ニーズに応じた授業の工夫や専門医等による支援の必要性が課題として報告されております。
 今後、高等学校における特別支援教育の充実を進める上で、この成果を各校に普及するとともに、発達障害に関する教員の理解や指導力の向上、また、学力アップ非常勤講師やスクールカウンセラーの配置といった関連施策に引き続き取り組むとともに、医療や福祉等、専門家との連携を一層深めていくことが必要だと考えてございます。
 一方、高等学校の発達障害生徒の進路指導につきましては、現在のところ、まだ各校における状況把握が十分でない実情にございますが、当該生徒の進路実現につきましては、本人の進路意識の形成や企業、進学先の理解・啓発が重要であると考えております。高校生の進路指導に係る施策として、インターンシップや教育コンソーシアムWAKAYAMAなど、さまざまな取り組みを行っておりますが、新たに発達障害の特性といった観点を加味することが求められると考えてございます。
 今後、生徒個々のニーズに即した取り組みを進めるとともに、進路先や関係機関との連携を一層深め、当該生徒の進路指導を充実させてまいります。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
  24番多田純一君。
○多田純一君 再質問さしていただきます。というより、2点、意見と要望という形で申し上げたいと思います。
 1点目は、先ほど申し上げました和歌山を元気にするということで、先ほど紹介しましたNHKの放送をごらんになった方の感想ですけど、非常に参考になったと、他県の例なども交えて和歌山について勉強するということは非常に意義がある、こういう番組をもっともっとやってほしい、県民1人1人が意識を高く持たなければならないと思ったと。具体性に欠けていた、もっと踏み込んだ意見が欲しかった、内容が地味、まとまり過ぎて食い足りなかった感じもするという声が寄せられたそうであります。
 知事のお話は、少し長い気もしますけどもわかりやすいと思いますので、これからもテレビ等のマスコミを使った発信力の強化という点をお願いしたいと思うんです。特に先ほど中村議員の御指摘もありましたように、国体に向けたというこの7年後を非常に我々としては、目標点の1つに置かなきゃいけないと思うんですけども、その盛り上がりを図る上からも県出身のアスリートにも登場していただいて、和歌山県のスポーツ向上を図るというふうな番組を、お茶の間の話題になりやすいような工夫をしていただいて、どうか発信力強化を図っていただきたいと、これは私の意見として申し上げたいと思います。
 2点目は、国体に向けてということで道路対策でございますけども、和歌山市との連携協力というものも非常にわかりますけども、国体に向けて、先ほど御答弁いただきました完了目標を明確にするとありましたので、その言葉を国体までには完成させるというふうに受けとめて、私のほうで期待をさせていただきますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で多田純一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時41分休憩
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