平成20年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前10時1分開議
○議長(大沢広太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第100号から議案第117号まで、並びに知事専決処分報告報第9号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 31番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 おはようございます。この1年間、議長として皆様方に大変お世話になりました。心からお礼を申し上げたいと思いますが、人間というのはあまのじゃくでございまして、いつでも質問ができると思ったらなかなかしないんでありますけども、1年間できないとなりましたら、質問をしたくてしたくて大変でございました。私は議場で質問を行うというのは、まさしく議員の本分であると思います。このことを忘れずにこれからも一生懸命取り組んでいきたいと思っております。
 それでは、通告に従いまして一般質問を行ってまいります。
 まず、紀中・紀南地域基本計画について伺いたいと思います。
 企業立地促進法に基づき、知事が国へ申請した南紀広域企業集積構想が同意され、去る9月2日、経済産業省において二階大臣から知事に同意書が交付されました。計画では、有田以南の紀中・紀南に地域資源を活用した食品や観光、木材関連産業、また情報通信関連、電気・機械・金属関連の企業を誘致するもので、平成25年度までに新規立地29件、新規雇用609人、製造品出荷額増加額75億円、付加価値額増加額31億円を目標としています。
 バブル以降、交通インフラは徐々に整備されつつも、地場産業が衰退し、企業誘致も進まない紀中・紀南地方では、今回の同意が地域発展の起爆剤になるものと大いに期待しております。これまでせっかくいろいろ法律で地域指定されながら、なかなか効果を上げることができませんでした。それゆえ、今度こそぜひ実現していただきたいと強く希望しております。このすばらしい計画をいかに実現するのか、その手法と意気込みを伺いたいと思います。
 さて、最近の我が国の経済の見通しは、長い経済成長に陰りが出てきて、政府の景気判断もこのところ弱含んでいるとの判断が示されています。しかし、世界じゅうには中国、インドを先頭にアジアのように成長著しい国や地域があれば、現在、金融市場、風雲急を告げる状況にありますが、欧米にはすばらしい企業がたくさんあります。内外投資格差は2007年のフローベースで1対3もあり、格差解消は大きな国家目標でもあります。現在、対内投資が進まない理由は、商習慣の違いなどのほかに受け入れ側の地方自治体のPR不足も指摘されており、この際、外国企業も誘致の対象にすべきであると考えますが、御見解を伺います。
 次に、本県では、近い将来起きる東南海・南海道地震に対し、官民挙げて準備を進めていますが、これから誘致する企業に対して、地震の説明と対応策、さらに支援策を用意する必要があると思いますが、どのようにお考えでしょうか。
 以上3点、知事から御答弁願います。
 2番目は、ERIAについて伺います。
 本年6月3日、ジャカルタのASEAN事務局において東アジア・アセアン経済研究センター、通称ERIA(エリア)が設立されました。目下のところ、世界の成長センターとして活発な経済成長を続ける東アジア地域では、ASEANを中心に域内経済統合の動きが急速に進展しています。しかし、一方では域内格差、気候変動、環境、エネルギー、安全保障、物流網整備、IT、人材育成、すそ野産業育成等の課題があり、それを解決するための政策を提言する必要があると、東アジアサミットの場において日本が設立の提案を行ったのであります。
 福田総理は、本年5月に発表した新福田ドクトリンで次の30年をアジアの格差解消の30年とする宣言を行い、ERIAをアジアのOECDにしたいと述べました。これを受けて、スリンASEAN事務総長は、格差是正のためのマスタープランを日本と協力してつくりたい、そのためにERIAを活用したいと表明しました。日本は設立と運営のために毎年10億円を拠出し、経済産業省から西村英俊氏を事務局長に送り込みましたが、このことは日本が東アジアのリーダーとして今後の発展を主導していくとの強い意思表明でもあります。
 知事は、国際機関への県職員の派遣を検討されていると聞いておりますが、まさに各国から優秀な人材が集まる東アジアの頭脳とも言うべきERIAへ職員を派遣してはいかがでしょうか。知事の御見解を伺います。
 3番目に、南海道地震対策について伺います。
 昨今、あらゆる災害を乗り越えて企業が存続できる事業継承計画、BCPの必要性が叫ばれています。このことについては改めて質問することにし、今回はホテル、旅館等の県内宿泊所の耐震化について伺います。
 平成12年3月、22年ぶりに起きた有珠山の噴火により、洞爺湖温泉郷ではキャンセルが相次ぎ、噴火の人的被害はなかったものの、風評被害も含め、長い間客が来ないという状態が続き、大変困ったと聞いております。これは対岸の火事ではなく、むしろ将来の和歌山県の姿であります。
 私は、役員を務める水利組合に対して、「飲料水は1週間もすればペットボトルが支給され、上水道も優先して復旧されるだろう。しかし、かんがい排水が復旧しなければ農家は経済的に死んだも同然だ。今からできる地震対策に取り組もう」と督励しています。本県も観光立県を標榜する限り、今から宿泊施設の耐震化を奨励すべきであると思いますが、どのようにお考えでしょうか。
 さきの中国・四川大地震では、学校施設が倒壊し、子供たちが多数犠牲になったのを受け、本年6月の通常国会において、大地震で倒壊する危険が高い全国約1万棟の公立小中学校施設を対象に、市町村が行う耐震化事業への国庫補助率を引き上げる改正防災対策特別措置法が成立いたしました。内容は、本年度から3年間に現行法で2分の1としている補強事業の補助率を3分の2に引き上げるほか、文科省の要綱で3分の1と定めている改築事業の補助率も2分の1に拡充する規定を新設するもので、耐震化が進まない市町村から歓迎の声が上がっています。
 しかし、かさ上げは時限措置である上に、平成18年度に策定された5カ年計画に載っていない学校については対象とされないことから、多くの学校が取り残されるのではないかと心配しますが、その後、市町村からの要望状況はどうなっているのでしょうか。
 ことし1月に発表された人と防災未来センターとNHKによる共同アンケートによると、回答のあった869自治体のうち、学校の耐震化を推進する上で障壁となる項目について、805自治体が「財源が不足しているため」と回答しました。また、推進のための重要項目については、818自治体が「国の制度の拡充」、636自治体が「都道府県の補助制度の拡充」を挙げたとの報告であります。県は、県立学校はできたとして、市町村立学校の耐震化が進まない状況を傍観するつもりでしょうか。他県では厳しい財政事情の中から県費を補助すると聞きますが、そのような考えはないのでしょうか。
 今月の「県民の友」には、防災月間にふさわしく防災特集が組まれております。タイミングよくJA共済も建物更生共済の広告をしてくれております。しかし、残念ながら地震で住宅など建物に被害が出たとき、それを保障してくれる地震保険の加入が全国的に低いことが報道されております。本県の地震保険新規加入率の全国順位は第15位で、比較的上位ですが、本県同様に地震の危機が迫っている東海や四国に比べ1~2割低いのが現状です。地震保険の評価と普及についてどのようにお考えでしょうか。
 以上3点の御所見を伺います。
 4番目に、高速道路について伺います。
 昨年末から本年5月まで、まさに戦とでも言うべき道路財源の確保と県民生活を守るための運動を知事を先頭に県議会も協力し、県内の同志が団結して展開してまいりました。私は今日まであれほどみんなが団結して、しかも全国の運動の先駆けを飾ったことは知りません。そのおかげで、2度にわたる衆議院再可決により、暫定税率の維持と臨時交付金が死守できました。しかし、所期の目的は達成したものの、結局は道路財源は一般財源化されることになり、地方の道路は守るとの約束ですが、果たしてそのとおりになるのかまだよくわかりません。
 さて、今日、都市と地方の格差が拡大しています。上京するたびに、ここは和歌山と同じ国なのかと感じます。国は、これまで5次にわたる全国総合開発計画の中で国土の均衡ある発展を掲げてきました。本県は、高速道路など交通網の整備がおくれたことから経済が伸び悩み、人口も減少し、均衡ある発展からは明らかに取り残されました。全国的にも高速道路の空白地では人口や経済指標の落ち込みは著しいことが報告されています。
 昨年12月25日の第3回国土開発幹線自動車道建設会議において、本県選出の二階俊博経済産業大臣がこれからの高速道路ネットワークに関して「国土の均衡ある発展は死語になったのか」と問いただし、当時の冬柴国土交通大臣は「生きております。1万4000キロの道路は早く整備しなければならない」と答弁されたと伺っております。
 また、7月4日に閣議決定された国土形成計画では、新しい国土像として、多様な特色を持つ広域ブロックが相互に交流・連携し、その相乗効果により活力ある国土を形成していくことが一極一軸型の国土構造の是正につながり、これからの時代にふさわしい国土の均衡ある発展を実現するとしています。
 知事も常々、人が暮らすための平等な権利の保障や経済活動の基本的なチャンスの保障として、効率性だけではなく公平性の観点からも高速道路の必要性を訴えておられますが、こうした国土の均衡ある発展と高速道路整備の果たす役割について、改めて知事の御所見をお伺いします。
 昨年、中期計画において近畿自動車道紀勢線の紀伊半島一周が位置づけられ、本県の高速道路整備が大きく前進したと思っておりましたところ、特定財源の一般財源化と道路整備計画の見直しが決定され、今後の展望に大変危惧を抱いております。近畿自動車道紀勢線は現在、田辺─すさみ間で事業中でありますが、すさみ以南を含む紀伊半島一周の早期実現こそがまさに県民の悲願であります。また、海南─有田間は4車線化の事業中ですが、有田─御坊間は現状でも渋滞や対面交通の重大事故が発生しており、早期に4車線化が望まれています。
 ここ数年、連休を問わず週末は午前中に南行きが、夕方には北行きが渋滞しています。これでは、いやしを求めて和歌山へ来られるお客さんに朝夕2度の苦痛を与えることになっています。これは和歌山県にとって大きな損失であります。私は渋滞の列を見るとき、それでも和歌山へよくお越しくださって本当にありがとうございますといつも感謝しながら通り過ぎております。県はこうした必要な高速道路の整備を新しい整備計画に位置づけ、確実に推進していく必要がありますが、今後、県としてどのような取り組みをしていくのか、お伺いいたします。
 私は、NEXCO西日本が通勤割引を始めて以降、県庁へ来るときは和歌山インターを利用しております。大変不便な上に危険であることに気がつきました。乗りおりとも4方向の交通が交差するような設計で、しかもETC路線が料金所の中間付近に設置されていて、よく事故が起こらないものだというふうに心配をしております。実際、この質問に当たり、県のほうで調べてくれました。そうしたら、年間やはり7~8件事故が起きてるようであります。ほかに料金所から直接わき道があり、大変便利ながら、これまた危険な道路であります。そもそもこれが利用されるのは、インターから一般道へのアクセスが不便でよく渋滞するからで、恐らくインターが設置された昭和49年当時から何の改良もされてないのではないでしょうか。県都の玄関にふさわしい整備をお願いするものですが、どのような御見解でしょうか。
 5番目は、国体についてであります。
 9月5日、第2回目の国体準備委員会総会が開催され、1年間の調整を経て競技別開催予定地が発表されました。また、7年後の開催に向けて大きく一歩前進いたしました。早速、先週末の大分国体会期前実施競技では、水泳やフェンシングで県選手団の活躍ぶりが報告されております。
 昭和46年の黒潮国体は、御坊市ではバレーボール競技が開催され、当時世界一だった日本成年男子のスター、横田や大古、猫田、木村選手といったテレビでしか見たことのない選手たちが集いました。当時小学生だった私は豪快なプレーを生で見て、またオフには大木のような選手が小さな御坊のまちをのし歩くのを見て大きなカルチャーショックを受けました。前年には大阪万博が開催され、日本が高度経済成長の盛りで、きょうはそんなに裕福でなくても、きっとあしたは豊かになれる。将来が明るく見えた時代でした。今にして思えば和歌山が一番輝いていたときではないでしょうか。
 今度の2巡目国体では、スポーツの振興はもちろんのこと、県勢も再び勢いを取り戻すきっかけになればと大いに期待しております。その意味では県民、市町村ともまだ盛り上がってないと感じます。7年後はもうすぐそこに迫っているのに、まだ先だという人がいます。ここは一番、知事がもう一度県民に対してはっきりとした姿勢を示すべきであると思いますが、いかがでしょうか。
 次に、今般知事はビッグホエール横に県立体育館を建設することを発表されました。中之島の県立体育館が老朽化していることから、建てかえには賛成しますが、私たち和歌山市以外の者が思うことは、体育館や美術館、病院など県は和歌山市にいろいろ建設するおかげで、現在一時的に財政状況が厳しくても、本来一番人口が多く、財政力のある和歌山市が市民の負担なしでサービスが受けられることがあります。
 一方、和歌山市以外では郡市合わせても10万人程度の人口で、市町村が単独もしくは協力してサービスを提供しています。今回の発表を聞いて、やっぱり和歌山市はええよなと思ったのは私一人ではありません。ぜひ2巡目国体に当たり、市町村が単独で施設を建設するようなことがあれば、ぜひ県も応援してあげてほしいと思いますが、知事の考えはいかがでしょうか。
 6番目は、NHKの番組誘致についてであります。
 我が家では、朝の連続ドラマは7時45分からBS2で見ることにしております。毎日楽しく拝見しておりますが、最近は終了後の8時から始まる「街道てくてく旅」のほうがおもしろいと思います。ことし3月から、異色の卓球選手と言われる四元奈生美さんが四国88カ所をめぐる旅の様子を毎朝月曜から金曜まで生中継と、前日歩いたコースをダイジェストで放送し、道中に出会った人々との触れ合いや普通の風景を売りにしている大変おもしろい番組です。残念ながら総合では放送されていませんが、道すがら集まってくる人の多さや様子から結構視聴率も高いのではと思います。これまでも日光街道や北京など、旅人を変えて放送してきております。8月末から四国の旅も後半の伊予路が始まりました。既に県当局には誘致の提案をしておりますが、ぜひ四国の次は熊野古道へ来ていただきたいと思います。いかがでしょうか。
 最後は、事故米について。
 大阪の米卸売加工業者、三笠フーズが事故米を食用と偽って販売したことが判明し、またかと思っていましたところ、それがどんどん広がって、とうとう380社もの食品会社がお菓子や焼酎、給食、外食などに販売し、一部回収されたものの、消費済みも多く、幸い現在のところ健康被害は報告されていませんが、騒動は全国に広がっています。さらに他の事故米販売会社19社を調査したところ、新たに3社が横流ししたことが明らかになり、農水省は三笠フーズに続き、この3社の刑事告発も視野に入れて、200名余りの食品Gメンを投入し、流通ルートの解明を急いでいます。また、警察も動き出したことが報道されております。
 今回の事件では、輸入米が意外にも広く流通していて、国民の知らないところで汚染された事故米が安値で落札され、複雑な取引をしていく間に高値の食用米に偽装され、その結果、暴利をむさぼるという食肉偽装事件と全く同じ構図が浮かび上がってきました。かつて超優良会社と言われた雪印でさえも、重ねての偽装で倒産するという事件が起きました。それが全く教訓にならずに、その後も食品偽装事件が続発し、もはや食に対する国民の信頼は地に落ちた感がいたします。一刻も早く国において全容の解明と再発防止を図ること、食の安全・安心のための政策が講じられることを期待します。しかし、私たち地方も静観しているだけではなく、できることをやるべきだと考えます。
 さて、一連の食品偽装事件を受けて知事はどのような感想を持たれていますか。また、県の政策に反映すべきことはないのでしょうか。御所見を伺います。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいまの御質問のうち、私に答えよというふうに御指定がありました件につきまして、まずお答え申し上げます。
 まず、企業立地促進法に基づく基本計画に関する問題でございます。これをいかに実現をするかというのが第1の御質問でございますが、何と申し上げましても、企業誘致はデスクワークやあるいは掛け声だけで実績が上がるものではなくて、何よりも大事なのは足で稼いで企業の声を聞いて、汗をかくこと。冬の場合はあんまりかきませんが、そういうことだと思います。計画に定めた目標実現のためにしっかりと誘致営業をやっていくということを心がけていきたいと考えております。
 このため、この紀中・紀南地域がどのようなスタンスで企業誘致をしていくかという誘致セールスのある意味では旗印としてこの基本計画を活用していきたいと、そんなふうに考えております。
 このような誘致活動の実効性を高めるために、中小零細企業が多い地域特性、それから中小零細企業が立地をしそうだなというような意味での地域特性、そういうことも考えて、現在ある県の立地奨励制度、こういうものについて適用要件の緩和を図るなど、立地意欲が高まるような支援策をぜひ考えていきたいと、そんなふうに考えております。現在検討中でございます。
 次に、外国企業の誘致ということでございますけれども、私は内外を問わず、どんな企業であっても和歌山県に立地して、それで堅実に事業活動を営んでいただいて、それで和歌山県の方を雇用していただくというような企業であれば、これは内資であろうと外資であろうと積極的に誘致に取り組むべきものだと考えております。もちろんその際に、例えば県が持っておる優遇策において差をつけているわけではありません。
 御指摘のとおり、海外にも元気な業種あるいは企業があるということはわかっておりますので、こういう企業情報あるいは産業情報、地域情報、そういう情報収集を行い、精力的なアプローチも必要に応じて行って、効果的な誘致活動を行っていきたいと思っております。
 次に、地震対策の視点についてでございますが、御指摘のとおり、地震を初めとする地域の安全・安心対策や環境保全への対応など、誘致に当たっては企業に十分説明し、理解をしていただくとともに、行政としてさまざまな協力をさしていただいているところでございます。誘致をしたいからといって耐震はどうでもいいんだとか、あるいは公害は出してもいいんだと、それは間違ってると思いますので、ちゃんとルールは守っていただく。ただ、そのためのいろんな手続、そういうものについては最大限我々も協力して早くするということではないかと考えております。
 次に、ERIAへの職員派遣。
 中村議員御指摘のように、ERIA(東アジア・アセアン経済研究センター)は、アジア版OECDのいわば先駆けでございます。このような構想を出されて、それでそれを実現に持っていかれたということについては、大変な敬意を表したいと思います。ある意味では、これからアジアの人が目標として目指すべきそういう立派な機関になるのではないかと思います。
 そういう意味で、県の職員がこういう立派な国際機関で働くことができて、それでさらにその人材の質を高めて帰ってくるということになれば、これはこれほどよろしい話はないということで積極的に考えたいと思います。
 ただし、大変残念ながら、このERIAは国際機関でありますので、多分日本語が冗談も含めて全く通用しない世界。日々の業務もすべて外国語でやるであろう。そうすると、現在の和歌山県の職員の想定される候補者から見て、今すぐ職員として通用するという人は、まあいないなというふうに思わざるを得ません。したがって、むしろ将来の目標としてERIAでも働けるような人材を和歌山県の中でもぜひつくりたいと、そういうところから進めていかざるを得ないと私は思います。
 私は就任以来、県の中でも県庁の職員でも、国際的な能力のある人材、国際的に語学等々ができて、視野も広くて、それでいろんな国際的な県庁の行政にどんどんと登用できるような、そういう人を層を厚くしてつくっていきたいと、こう思っておりまして、予算の関係もありますので、本当は留学にもたくさん出したいんですけれども、少し費用を始末しまして、例えば、経済産業省の通商政策局あるいは外務省、あるいはジェトロ、そういうところの国際的な部門、財務省もそうですが、そういうところにどんどん人を派遣して、そこで例えば英語のドラフティングなんかを毎日やってるというような業務をやってもらうことによって、そういう能力を高めて帰ってこれる人をふやしたいと思っている次第でございます。
 今後ともそういうことも続けていきたいと思いますし、また、採用制度の際にもそういう国際的なスペシャリストというのが雇えるような、そういう制度も検討していきたい、そんなふうにも思っております。ERIAも我々の究極の目標だと考えてよろしいかと思いますが、そういうところにも通用できる人がいたら、ぜひ将来の問題として送っていきたいと、そんなふうに思っております。
 次に、ホテルの耐震化でございます。
 ホテルや旅館などの宿泊施設の耐震化についてでございますが、これは観光客の誘致につながる重要な要素としてこういう点での安全、こういうものがちゃんとしているというのは、和歌山県にとって大変大事なことだというふうに認識しております。このことからも、まずは宿泊施設の所有者と施設耐震化の意義についての認識を共有することで耐震化率の向上につなげてまいりたいと思います。
 なお、本県が策定しております和歌山県住宅・建築物耐震化促進計画で、民間のホテル、旅館等の建築物については、所有者に対して指導・助言等を行い、耐震化を促進することとしております。ホテルの経営者等々も経営はなかなか大変だと思うんでございますが、できるだけこういう点にも配慮してもらいたいということできめ細かい対応をしていきたいと思います。
 次に、高速道路と国土の均衡ある発展についてでございます。
 高速道路整備と国土の均衡ある発展につきまして考えてみますと、本県は、かつて江戸時代には海運航路の寄港地として栄え、昭和の時代にも鉄道網がつながり、交通面での不利はそうもなく、むしろ昔はもっと有利さがあってチャンスが与えられておりました。そのころは、和歌山県も大変栄えていたわけでございます。
 しかし、高速道路の時代となり、効率性、採算性の観点から需要の大きい東京などの都市部から優先的に大きな投資がなされ、かつ、また、地方部においても和歌山県以外──和歌山県だけではありませんが──などが取り残される形で投資が行われる結果、取り残された地域が特に発展がとまったというようなことがもう明らかな事実として我々は見えるわけでございます。
 地方に住む者も日本人であります。半島の先も同じ日本であります。国土の均衡のある発展という理想は、我々は捨ててはいけない、そういうふうに思います。
 紀伊半島を一周する高速道路は、人が暮らすための平等な権利の保障や企業立地や観光振興、農林水産業の振興など、経済活動の基本的なチャンスを保障するものとして不可欠であります。地方や地域はなかなか今つらい、特に生活がつらい。その原因が、しかし、孤立していることによって、あるいはチャンスを奪われることによって加速されているということを我々はちゃんと認識をして、そのためのリカバーをするような政策をしていかないといけないと思います。つらい人々に取り入って、目先に耳ざわりのよいようなことを唱えて人気を高めようとするようなことは、和歌山県の政治家としては断じてしないように我々みんなで団結をしていかないといけない、そんなふうに私は思います。
 このように全国の地方で平等に将来のチャンスが保障され、文字どおり国土の均衡ある発展を実現するため、国土の骨格を形成する基幹ネットワークについては、国が最後まで責任を持って整備するように国、関係機関に対して強く訴えてまいりますので、ぜひ議員の皆様の御理解も得て、御協力も得てやっていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、国体開催でございます。
 これの意気込みについてということでございますが、私は、本県において2巡目国体を開催することにより、スポーツを通じて和歌山を元気にするとともに、全国各地から本県を訪れる方々との交流の輪を広げ、生きがいのある豊かで活力のある社会の形成につなげたいと考えております。この点については、大橋知事が知事の時代にあった第1回目の和歌山国体、このときの記録、全国的な記録を見ますと、和歌山県の国体においては、特に人々の心温まるお世話が大変人々の胸を打った、そういうふうに言われております。これは何も和歌山県が手前勝手に言った話じゃなくて、全国の資料にそういうふうに載っております。そういうよき先例がある和歌山において、もう一度、和歌山の人たちは本当にすばらしい人だということを全国の人にわかってもらえるような、そういう国体にしたいなというふうに考えております。
 今月5日に開催いたしました第70回国体準備委員会総会におきまして、競技会場地市町村の第1次の選定を行い、開催準備をより一層加速し、44年ぶりとなる2巡目国体の成功に向けて、県・市町村、競技団体及び地元県民が一丸となって取り組んでいきたいと考えております。
 また、競技力につきましては、3月に設立いたしました競技力向上対策本部において国体実施競技団体の組織基盤を拡充・強化させ、専門性の高い指導者の育成・確保や競技者の発掘・育成・強化並びにスポーツ医・科学・情報面からの支援など総合的な対策事業を効果的に推進し、開催年において、ぜひ男女総合優勝を目指したいと考えております。
 次に、市町村立施設整備への支援についてお答え申し上げます。
 昨年9月の国体準備委員会で承認されました競技施設整備基本方針におきましては、競技施設の整備は原則として県の施設は県が、市町村の施設は会場市町村が行うものとなっております。この前提でいろいろと市町村と折衝し、それから競技団体と話をして合意に達したのが先般──一部まだ未定のものがありますが──発表いたしました、皆さんに了承いただきました会場地選定の考え方でございます。
 したがって、市町村立施設の整備につきましては、市町村に考えていただかないといけないわけでございますけれども、しかしながら、私どもも冷たい顔をしていていいわけではありませんので、市町村との協議も実施して、いろいろな面も聞いて県として相談にきめ細かく対応して、協力してやっていきたいと、こんなふうに考えております。
 次に、一連の食品偽装事件を受けての感想と県政策への反映ということでございます。
 まず第1点の感想を言えということでありますが、2つ言いますと、けしからんということと、それからインチキはいかんということであります。
 安全な食品を提供する義務のある食品関係事業者が、利益優先のために汚染された輸入米を流通させたり産地や期限表示を偽装するなど、一般消費者を欺く行為をしてもうけようとするようなことは、断じて許されるものではないと思います。欺瞞をするような風土、そういう企業が許されるような風土であると、その地域全体が信用されなくなりまして、結局は、その企業はおろか地域も発展できないというふうに私は思います。
 今回、特に事故米と知らずに仕入れて、それから製品をつくって販売した事業者、あるいはそのお米からつくられた加工食品あるいは料理、そういうものを食べてしまった方々、大変お気の毒でありまして、我々としても保健所的機能を活用してできる限り相談に応じたいと考えております。
 続いて、2点目の御質問の県政への反映についてでございますが、県としては従来より県版HACCPの導入促進など食の安全対策を実施し、あわせて組織強化も図り、県民の健康保護を最優先に取り組んでおります。また、食品事業者がみずから率先して適正な食品表示を行えるよう相談窓口を一元化するとともに、各事業所において、それぞれの企業の事業所において、適正表示の推進に中心的役割を担う食品表示推進者の育成事業、こういうものを始めまして、そういう施策の充実も図っております。また、補正予算で認めていただきましたけれども、和歌山県の農協(JA)と組みまして、和歌山県から出る農産物につきましては、従来の収穫前の検査だけじゃなくて、出荷前の検査、しかも、それは農協だけがやるんではなくて、県の機関が協力する形でお墨つきを出すということで、我々のものは安全なんだということを世の中に問うていくと、そういう安全なものを出す和歌山というのをぜひ積極的にアピールし、もちろん実行しないといけませんので、実行しながらアピールをしてまいりたいと思います。
 消費者の健康を守ることを第1にして、食の安全確保と県民への迅速な情報提供に努めてまいりたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 危機管理監森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○危機管理監(森 崇君) 地震保険の普及についての御質問にお答えいたします。
 損害保険料率算出機構の取りまとめでは、和歌山県の平成19年度の新規火災保険加入者のうち、地震保険にも加入した割合は46.7%となっておりまして、全国平均44.0%とほぼ同じ状況にございます。
 地震が発生した場合、公的な保障だけでは不十分でありまして、損壊した住宅などの建物について復旧費用を確保するために地震保険に加入しておくことが重要であります。
 県では、啓発ポスターや啓発パンフレット等により普及促進を行っておりまして、今後も住宅など建物について積極的に啓発を行ってまいります。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 本県にとりまして紀伊半島を一周する近畿自動車道紀勢線の早期実現は、県民のチャンスを保障するものとして不可欠であります。このために、これまでも田辺─すさみ間の平成27年国体までの供用や未着手区間でありますすさみ以南の早期事業着手を国及び関係機関に強く訴えかけてきたところでございます。
 また、有田─御坊間につきましては、慢性的な渋滞や対面通行による重大事故が発生しているなど、一刻も早い交通容量の拡大が求められております。県としましても、最大限急いで都市計画の手続を進めているところであり、国、関係機関に対しまして、4車線化の早期事業化を訴えております。
 今後、近畿自動車道紀勢線について、国の責任において一刻も早く整備していただけるよう新たな中期計画への確実な位置づけをあらゆる機会をとらえて国、関係機関に強く訴えてまいりますので、議員各位のより一層の御理解、御協力をお願いしたいと思います。
 それから、和歌山インター関連の整備についてでございますが、高速道路と幹線道路がおのおのインターチェンジ形式により近い距離で接続する場合、料金所周辺において交通導線が輻輳するという構造上の問題であると考えられております。
 したがいまして、西日本高速道路株式会社では料金所付近において事故防止に向けた看板の設置など、注意喚起を行っているところでございますが、議員御指摘のように、ETCの普及という新たな要素もありますので、少しでも安全性を向上させるためにさらなる対策について、西日本高速道路株式会社に対し、要望してまいります。
 また、和歌山インターチェンジ周辺の渋滞緩和対策として、和歌山北インターの設置や周辺幹線道路の整備に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) 御質問のありましたNHKのテレビ番組「街道てくてく旅」の誘致についてでございますが、人気番組のようでありますので、熊野古道で制作してもらえれば議員御指摘のように、PR効果は非常に高いと考えます。この件につきましては、以前議員からお話を伺いまして、早速NHK和歌山放送局に同番組の誘致を要望いたしました。和歌山放送局のほうでは私どもの申し入れに対しまして積極的に応じていただきまして、目下本局のほうへ働きかけをしていただいているところでございます。
 ただ、現実的にはいろいろ難しい面もあると聞いておりまして、正直なところを申せば、今のところ実現のめどは立っておりませんが、いずれにいたしましても、テレビ番組、特に旅番組を通じまして熊野古道のよさを訴求していくことの意義は大変大きなものがあると、議員御指摘のとおりと存じますので、他のテレビメディアも含めて、そうした番組の誘致に今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 補助率かさ上げ後の学校耐震化要望状況についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、本年6月に地震防災対策特別措置法が改正されたことに伴いまして、公立小中学校等の耐震化事業では、従来の補助率がかさ上げされ、市町村の財政負担は大幅に軽減されることになりました。しかし、平成18年度に策定された第3次地震防災緊急事業五箇年計画に位置づけされていない棟につきましては、かさ上げ等の措置の対象にはならないため、現在、内閣府におきまして五箇年計画の変更に向けた手続が進められております。
 県といたしましても、8月に行われた変更調査におきまして、対象となる可能性のある棟につきましては、計画に計上するよう市町村へ指導をし、278棟の変更等を国へと報告したところでございます。
 また、平成20年4月1日現在、耐震2次診断の結果、地震による倒壊の危険性が高いIS値0.3未満の棟は45棟であり、このうち本年度申請中の耐震化事業は現時点で2棟となってございます。
 耐震化事業に対する国の補助率のかさ上げ等につきましては、平成20年度から22年度までの3年間の支援措置となっております。県といたしましては、市町村に対して耐震化促進に向けての指導を行ってまいりますが、3年間ですべての耐震事業を実施するのは困難な現状であると思われますので、機会をとらえ、国に対して支援期間の延長を働きかけてまいりたいと考えます。
 なお、県費補助につきましては、限られた予算の中で県立学校の耐震化を完了させることを最優先の課題として推進しているところでありますので、今のところ大変難しい状況にあることを御理解いただきたいと存じます。
 市町村が耐震化事業を実施する場合は、関係部署と十分連携をとりながら国の補助制度を活用して耐震化を進めていただきたいと考えており、県といたしましては、引き続き市町村に対してきめ細かな対応を行ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。

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