平成20年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成20年9月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
 平成20年9月18日(木曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第100号から議案第117号まで、並びに報第9号(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第100号から議案第117号まで、並びに報第9号(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(45人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 川口文章
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 16番 下川俊樹
 17番 岸本 健
 18番 尾崎太郎
 19番 藤山将材
 20番 新島 雄
 21番 山下直也
 22番 井出益弘
 23番 宇治田栄蔵
 24番 多田純一
 25番 中 拓哉
 26番 角田秀樹
 28番 山田正彦
 29番 坂本 登
 30番 尾崎要二
 31番 中村裕一
 32番 服部 一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 藤本眞利子
 36番 長坂隆司
 37番 玉置公良
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(1人)
 27番 江上柳助
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        原 邦彰
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      森 崇
 総務部長       小濱孝夫
 企画部長       前硲健作
 環境生活部長     井口悦治
 福祉保健部長     井畑文男
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      雑賀忠士
 教育委員会委員長   樫畑直尚
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員    大桑いく嗣
 警察本部長      永松健次
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 山本恒男
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       蓬臺孝紀
 次長         東岡誠吾
 議事課長       薮上育男
 議事課副課長     土井敏弘
 議事班長       田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      石垣悦二
 議事課主査      瀧川泰治
 総務課長       笠松 学
 調査課長       佐本 明
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  午前10時1分開議
○議長(大沢広太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第100号から議案第117号まで、並びに知事専決処分報告報第9号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 31番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 おはようございます。この1年間、議長として皆様方に大変お世話になりました。心からお礼を申し上げたいと思いますが、人間というのはあまのじゃくでございまして、いつでも質問ができると思ったらなかなかしないんでありますけども、1年間できないとなりましたら、質問をしたくてしたくて大変でございました。私は議場で質問を行うというのは、まさしく議員の本分であると思います。このことを忘れずにこれからも一生懸命取り組んでいきたいと思っております。
 それでは、通告に従いまして一般質問を行ってまいります。
 まず、紀中・紀南地域基本計画について伺いたいと思います。
 企業立地促進法に基づき、知事が国へ申請した南紀広域企業集積構想が同意され、去る9月2日、経済産業省において二階大臣から知事に同意書が交付されました。計画では、有田以南の紀中・紀南に地域資源を活用した食品や観光、木材関連産業、また情報通信関連、電気・機械・金属関連の企業を誘致するもので、平成25年度までに新規立地29件、新規雇用609人、製造品出荷額増加額75億円、付加価値額増加額31億円を目標としています。
 バブル以降、交通インフラは徐々に整備されつつも、地場産業が衰退し、企業誘致も進まない紀中・紀南地方では、今回の同意が地域発展の起爆剤になるものと大いに期待しております。これまでせっかくいろいろ法律で地域指定されながら、なかなか効果を上げることができませんでした。それゆえ、今度こそぜひ実現していただきたいと強く希望しております。このすばらしい計画をいかに実現するのか、その手法と意気込みを伺いたいと思います。
 さて、最近の我が国の経済の見通しは、長い経済成長に陰りが出てきて、政府の景気判断もこのところ弱含んでいるとの判断が示されています。しかし、世界じゅうには中国、インドを先頭にアジアのように成長著しい国や地域があれば、現在、金融市場、風雲急を告げる状況にありますが、欧米にはすばらしい企業がたくさんあります。内外投資格差は2007年のフローベースで1対3もあり、格差解消は大きな国家目標でもあります。現在、対内投資が進まない理由は、商習慣の違いなどのほかに受け入れ側の地方自治体のPR不足も指摘されており、この際、外国企業も誘致の対象にすべきであると考えますが、御見解を伺います。
 次に、本県では、近い将来起きる東南海・南海道地震に対し、官民挙げて準備を進めていますが、これから誘致する企業に対して、地震の説明と対応策、さらに支援策を用意する必要があると思いますが、どのようにお考えでしょうか。
 以上3点、知事から御答弁願います。
 2番目は、ERIAについて伺います。
 本年6月3日、ジャカルタのASEAN事務局において東アジア・アセアン経済研究センター、通称ERIA(エリア)が設立されました。目下のところ、世界の成長センターとして活発な経済成長を続ける東アジア地域では、ASEANを中心に域内経済統合の動きが急速に進展しています。しかし、一方では域内格差、気候変動、環境、エネルギー、安全保障、物流網整備、IT、人材育成、すそ野産業育成等の課題があり、それを解決するための政策を提言する必要があると、東アジアサミットの場において日本が設立の提案を行ったのであります。
 福田総理は、本年5月に発表した新福田ドクトリンで次の30年をアジアの格差解消の30年とする宣言を行い、ERIAをアジアのOECDにしたいと述べました。これを受けて、スリンASEAN事務総長は、格差是正のためのマスタープランを日本と協力してつくりたい、そのためにERIAを活用したいと表明しました。日本は設立と運営のために毎年10億円を拠出し、経済産業省から西村英俊氏を事務局長に送り込みましたが、このことは日本が東アジアのリーダーとして今後の発展を主導していくとの強い意思表明でもあります。
 知事は、国際機関への県職員の派遣を検討されていると聞いておりますが、まさに各国から優秀な人材が集まる東アジアの頭脳とも言うべきERIAへ職員を派遣してはいかがでしょうか。知事の御見解を伺います。
 3番目に、南海道地震対策について伺います。
 昨今、あらゆる災害を乗り越えて企業が存続できる事業継承計画、BCPの必要性が叫ばれています。このことについては改めて質問することにし、今回はホテル、旅館等の県内宿泊所の耐震化について伺います。
 平成12年3月、22年ぶりに起きた有珠山の噴火により、洞爺湖温泉郷ではキャンセルが相次ぎ、噴火の人的被害はなかったものの、風評被害も含め、長い間客が来ないという状態が続き、大変困ったと聞いております。これは対岸の火事ではなく、むしろ将来の和歌山県の姿であります。
 私は、役員を務める水利組合に対して、「飲料水は1週間もすればペットボトルが支給され、上水道も優先して復旧されるだろう。しかし、かんがい排水が復旧しなければ農家は経済的に死んだも同然だ。今からできる地震対策に取り組もう」と督励しています。本県も観光立県を標榜する限り、今から宿泊施設の耐震化を奨励すべきであると思いますが、どのようにお考えでしょうか。
 さきの中国・四川大地震では、学校施設が倒壊し、子供たちが多数犠牲になったのを受け、本年6月の通常国会において、大地震で倒壊する危険が高い全国約1万棟の公立小中学校施設を対象に、市町村が行う耐震化事業への国庫補助率を引き上げる改正防災対策特別措置法が成立いたしました。内容は、本年度から3年間に現行法で2分の1としている補強事業の補助率を3分の2に引き上げるほか、文科省の要綱で3分の1と定めている改築事業の補助率も2分の1に拡充する規定を新設するもので、耐震化が進まない市町村から歓迎の声が上がっています。
 しかし、かさ上げは時限措置である上に、平成18年度に策定された5カ年計画に載っていない学校については対象とされないことから、多くの学校が取り残されるのではないかと心配しますが、その後、市町村からの要望状況はどうなっているのでしょうか。
 ことし1月に発表された人と防災未来センターとNHKによる共同アンケートによると、回答のあった869自治体のうち、学校の耐震化を推進する上で障壁となる項目について、805自治体が「財源が不足しているため」と回答しました。また、推進のための重要項目については、818自治体が「国の制度の拡充」、636自治体が「都道府県の補助制度の拡充」を挙げたとの報告であります。県は、県立学校はできたとして、市町村立学校の耐震化が進まない状況を傍観するつもりでしょうか。他県では厳しい財政事情の中から県費を補助すると聞きますが、そのような考えはないのでしょうか。
 今月の「県民の友」には、防災月間にふさわしく防災特集が組まれております。タイミングよくJA共済も建物更生共済の広告をしてくれております。しかし、残念ながら地震で住宅など建物に被害が出たとき、それを保障してくれる地震保険の加入が全国的に低いことが報道されております。本県の地震保険新規加入率の全国順位は第15位で、比較的上位ですが、本県同様に地震の危機が迫っている東海や四国に比べ1~2割低いのが現状です。地震保険の評価と普及についてどのようにお考えでしょうか。
 以上3点の御所見を伺います。
 4番目に、高速道路について伺います。
 昨年末から本年5月まで、まさに戦とでも言うべき道路財源の確保と県民生活を守るための運動を知事を先頭に県議会も協力し、県内の同志が団結して展開してまいりました。私は今日まであれほどみんなが団結して、しかも全国の運動の先駆けを飾ったことは知りません。そのおかげで、2度にわたる衆議院再可決により、暫定税率の維持と臨時交付金が死守できました。しかし、所期の目的は達成したものの、結局は道路財源は一般財源化されることになり、地方の道路は守るとの約束ですが、果たしてそのとおりになるのかまだよくわかりません。
 さて、今日、都市と地方の格差が拡大しています。上京するたびに、ここは和歌山と同じ国なのかと感じます。国は、これまで5次にわたる全国総合開発計画の中で国土の均衡ある発展を掲げてきました。本県は、高速道路など交通網の整備がおくれたことから経済が伸び悩み、人口も減少し、均衡ある発展からは明らかに取り残されました。全国的にも高速道路の空白地では人口や経済指標の落ち込みは著しいことが報告されています。
 昨年12月25日の第3回国土開発幹線自動車道建設会議において、本県選出の二階俊博経済産業大臣がこれからの高速道路ネットワークに関して「国土の均衡ある発展は死語になったのか」と問いただし、当時の冬柴国土交通大臣は「生きております。1万4000キロの道路は早く整備しなければならない」と答弁されたと伺っております。
 また、7月4日に閣議決定された国土形成計画では、新しい国土像として、多様な特色を持つ広域ブロックが相互に交流・連携し、その相乗効果により活力ある国土を形成していくことが一極一軸型の国土構造の是正につながり、これからの時代にふさわしい国土の均衡ある発展を実現するとしています。
 知事も常々、人が暮らすための平等な権利の保障や経済活動の基本的なチャンスの保障として、効率性だけではなく公平性の観点からも高速道路の必要性を訴えておられますが、こうした国土の均衡ある発展と高速道路整備の果たす役割について、改めて知事の御所見をお伺いします。
 昨年、中期計画において近畿自動車道紀勢線の紀伊半島一周が位置づけられ、本県の高速道路整備が大きく前進したと思っておりましたところ、特定財源の一般財源化と道路整備計画の見直しが決定され、今後の展望に大変危惧を抱いております。近畿自動車道紀勢線は現在、田辺─すさみ間で事業中でありますが、すさみ以南を含む紀伊半島一周の早期実現こそがまさに県民の悲願であります。また、海南─有田間は4車線化の事業中ですが、有田─御坊間は現状でも渋滞や対面交通の重大事故が発生しており、早期に4車線化が望まれています。
 ここ数年、連休を問わず週末は午前中に南行きが、夕方には北行きが渋滞しています。これでは、いやしを求めて和歌山へ来られるお客さんに朝夕2度の苦痛を与えることになっています。これは和歌山県にとって大きな損失であります。私は渋滞の列を見るとき、それでも和歌山へよくお越しくださって本当にありがとうございますといつも感謝しながら通り過ぎております。県はこうした必要な高速道路の整備を新しい整備計画に位置づけ、確実に推進していく必要がありますが、今後、県としてどのような取り組みをしていくのか、お伺いいたします。
 私は、NEXCO西日本が通勤割引を始めて以降、県庁へ来るときは和歌山インターを利用しております。大変不便な上に危険であることに気がつきました。乗りおりとも4方向の交通が交差するような設計で、しかもETC路線が料金所の中間付近に設置されていて、よく事故が起こらないものだというふうに心配をしております。実際、この質問に当たり、県のほうで調べてくれました。そうしたら、年間やはり7~8件事故が起きてるようであります。ほかに料金所から直接わき道があり、大変便利ながら、これまた危険な道路であります。そもそもこれが利用されるのは、インターから一般道へのアクセスが不便でよく渋滞するからで、恐らくインターが設置された昭和49年当時から何の改良もされてないのではないでしょうか。県都の玄関にふさわしい整備をお願いするものですが、どのような御見解でしょうか。
 5番目は、国体についてであります。
 9月5日、第2回目の国体準備委員会総会が開催され、1年間の調整を経て競技別開催予定地が発表されました。また、7年後の開催に向けて大きく一歩前進いたしました。早速、先週末の大分国体会期前実施競技では、水泳やフェンシングで県選手団の活躍ぶりが報告されております。
 昭和46年の黒潮国体は、御坊市ではバレーボール競技が開催され、当時世界一だった日本成年男子のスター、横田や大古、猫田、木村選手といったテレビでしか見たことのない選手たちが集いました。当時小学生だった私は豪快なプレーを生で見て、またオフには大木のような選手が小さな御坊のまちをのし歩くのを見て大きなカルチャーショックを受けました。前年には大阪万博が開催され、日本が高度経済成長の盛りで、きょうはそんなに裕福でなくても、きっとあしたは豊かになれる。将来が明るく見えた時代でした。今にして思えば和歌山が一番輝いていたときではないでしょうか。
 今度の2巡目国体では、スポーツの振興はもちろんのこと、県勢も再び勢いを取り戻すきっかけになればと大いに期待しております。その意味では県民、市町村ともまだ盛り上がってないと感じます。7年後はもうすぐそこに迫っているのに、まだ先だという人がいます。ここは一番、知事がもう一度県民に対してはっきりとした姿勢を示すべきであると思いますが、いかがでしょうか。
 次に、今般知事はビッグホエール横に県立体育館を建設することを発表されました。中之島の県立体育館が老朽化していることから、建てかえには賛成しますが、私たち和歌山市以外の者が思うことは、体育館や美術館、病院など県は和歌山市にいろいろ建設するおかげで、現在一時的に財政状況が厳しくても、本来一番人口が多く、財政力のある和歌山市が市民の負担なしでサービスが受けられることがあります。
 一方、和歌山市以外では郡市合わせても10万人程度の人口で、市町村が単独もしくは協力してサービスを提供しています。今回の発表を聞いて、やっぱり和歌山市はええよなと思ったのは私一人ではありません。ぜひ2巡目国体に当たり、市町村が単独で施設を建設するようなことがあれば、ぜひ県も応援してあげてほしいと思いますが、知事の考えはいかがでしょうか。
 6番目は、NHKの番組誘致についてであります。
 我が家では、朝の連続ドラマは7時45分からBS2で見ることにしております。毎日楽しく拝見しておりますが、最近は終了後の8時から始まる「街道てくてく旅」のほうがおもしろいと思います。ことし3月から、異色の卓球選手と言われる四元奈生美さんが四国88カ所をめぐる旅の様子を毎朝月曜から金曜まで生中継と、前日歩いたコースをダイジェストで放送し、道中に出会った人々との触れ合いや普通の風景を売りにしている大変おもしろい番組です。残念ながら総合では放送されていませんが、道すがら集まってくる人の多さや様子から結構視聴率も高いのではと思います。これまでも日光街道や北京など、旅人を変えて放送してきております。8月末から四国の旅も後半の伊予路が始まりました。既に県当局には誘致の提案をしておりますが、ぜひ四国の次は熊野古道へ来ていただきたいと思います。いかがでしょうか。
 最後は、事故米について。
 大阪の米卸売加工業者、三笠フーズが事故米を食用と偽って販売したことが判明し、またかと思っていましたところ、それがどんどん広がって、とうとう380社もの食品会社がお菓子や焼酎、給食、外食などに販売し、一部回収されたものの、消費済みも多く、幸い現在のところ健康被害は報告されていませんが、騒動は全国に広がっています。さらに他の事故米販売会社19社を調査したところ、新たに3社が横流ししたことが明らかになり、農水省は三笠フーズに続き、この3社の刑事告発も視野に入れて、200名余りの食品Gメンを投入し、流通ルートの解明を急いでいます。また、警察も動き出したことが報道されております。
 今回の事件では、輸入米が意外にも広く流通していて、国民の知らないところで汚染された事故米が安値で落札され、複雑な取引をしていく間に高値の食用米に偽装され、その結果、暴利をむさぼるという食肉偽装事件と全く同じ構図が浮かび上がってきました。かつて超優良会社と言われた雪印でさえも、重ねての偽装で倒産するという事件が起きました。それが全く教訓にならずに、その後も食品偽装事件が続発し、もはや食に対する国民の信頼は地に落ちた感がいたします。一刻も早く国において全容の解明と再発防止を図ること、食の安全・安心のための政策が講じられることを期待します。しかし、私たち地方も静観しているだけではなく、できることをやるべきだと考えます。
 さて、一連の食品偽装事件を受けて知事はどのような感想を持たれていますか。また、県の政策に反映すべきことはないのでしょうか。御所見を伺います。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいまの御質問のうち、私に答えよというふうに御指定がありました件につきまして、まずお答え申し上げます。
 まず、企業立地促進法に基づく基本計画に関する問題でございます。これをいかに実現をするかというのが第1の御質問でございますが、何と申し上げましても、企業誘致はデスクワークやあるいは掛け声だけで実績が上がるものではなくて、何よりも大事なのは足で稼いで企業の声を聞いて、汗をかくこと。冬の場合はあんまりかきませんが、そういうことだと思います。計画に定めた目標実現のためにしっかりと誘致営業をやっていくということを心がけていきたいと考えております。
 このため、この紀中・紀南地域がどのようなスタンスで企業誘致をしていくかという誘致セールスのある意味では旗印としてこの基本計画を活用していきたいと、そんなふうに考えております。
 このような誘致活動の実効性を高めるために、中小零細企業が多い地域特性、それから中小零細企業が立地をしそうだなというような意味での地域特性、そういうことも考えて、現在ある県の立地奨励制度、こういうものについて適用要件の緩和を図るなど、立地意欲が高まるような支援策をぜひ考えていきたいと、そんなふうに考えております。現在検討中でございます。
 次に、外国企業の誘致ということでございますけれども、私は内外を問わず、どんな企業であっても和歌山県に立地して、それで堅実に事業活動を営んでいただいて、それで和歌山県の方を雇用していただくというような企業であれば、これは内資であろうと外資であろうと積極的に誘致に取り組むべきものだと考えております。もちろんその際に、例えば県が持っておる優遇策において差をつけているわけではありません。
 御指摘のとおり、海外にも元気な業種あるいは企業があるということはわかっておりますので、こういう企業情報あるいは産業情報、地域情報、そういう情報収集を行い、精力的なアプローチも必要に応じて行って、効果的な誘致活動を行っていきたいと思っております。
 次に、地震対策の視点についてでございますが、御指摘のとおり、地震を初めとする地域の安全・安心対策や環境保全への対応など、誘致に当たっては企業に十分説明し、理解をしていただくとともに、行政としてさまざまな協力をさしていただいているところでございます。誘致をしたいからといって耐震はどうでもいいんだとか、あるいは公害は出してもいいんだと、それは間違ってると思いますので、ちゃんとルールは守っていただく。ただ、そのためのいろんな手続、そういうものについては最大限我々も協力して早くするということではないかと考えております。
 次に、ERIAへの職員派遣。
 中村議員御指摘のように、ERIA(東アジア・アセアン経済研究センター)は、アジア版OECDのいわば先駆けでございます。このような構想を出されて、それでそれを実現に持っていかれたということについては、大変な敬意を表したいと思います。ある意味では、これからアジアの人が目標として目指すべきそういう立派な機関になるのではないかと思います。
 そういう意味で、県の職員がこういう立派な国際機関で働くことができて、それでさらにその人材の質を高めて帰ってくるということになれば、これはこれほどよろしい話はないということで積極的に考えたいと思います。
 ただし、大変残念ながら、このERIAは国際機関でありますので、多分日本語が冗談も含めて全く通用しない世界。日々の業務もすべて外国語でやるであろう。そうすると、現在の和歌山県の職員の想定される候補者から見て、今すぐ職員として通用するという人は、まあいないなというふうに思わざるを得ません。したがって、むしろ将来の目標としてERIAでも働けるような人材を和歌山県の中でもぜひつくりたいと、そういうところから進めていかざるを得ないと私は思います。
 私は就任以来、県の中でも県庁の職員でも、国際的な能力のある人材、国際的に語学等々ができて、視野も広くて、それでいろんな国際的な県庁の行政にどんどんと登用できるような、そういう人を層を厚くしてつくっていきたいと、こう思っておりまして、予算の関係もありますので、本当は留学にもたくさん出したいんですけれども、少し費用を始末しまして、例えば、経済産業省の通商政策局あるいは外務省、あるいはジェトロ、そういうところの国際的な部門、財務省もそうですが、そういうところにどんどん人を派遣して、そこで例えば英語のドラフティングなんかを毎日やってるというような業務をやってもらうことによって、そういう能力を高めて帰ってこれる人をふやしたいと思っている次第でございます。
 今後ともそういうことも続けていきたいと思いますし、また、採用制度の際にもそういう国際的なスペシャリストというのが雇えるような、そういう制度も検討していきたい、そんなふうにも思っております。ERIAも我々の究極の目標だと考えてよろしいかと思いますが、そういうところにも通用できる人がいたら、ぜひ将来の問題として送っていきたいと、そんなふうに思っております。
 次に、ホテルの耐震化でございます。
 ホテルや旅館などの宿泊施設の耐震化についてでございますが、これは観光客の誘致につながる重要な要素としてこういう点での安全、こういうものがちゃんとしているというのは、和歌山県にとって大変大事なことだというふうに認識しております。このことからも、まずは宿泊施設の所有者と施設耐震化の意義についての認識を共有することで耐震化率の向上につなげてまいりたいと思います。
 なお、本県が策定しております和歌山県住宅・建築物耐震化促進計画で、民間のホテル、旅館等の建築物については、所有者に対して指導・助言等を行い、耐震化を促進することとしております。ホテルの経営者等々も経営はなかなか大変だと思うんでございますが、できるだけこういう点にも配慮してもらいたいということできめ細かい対応をしていきたいと思います。
 次に、高速道路と国土の均衡ある発展についてでございます。
 高速道路整備と国土の均衡ある発展につきまして考えてみますと、本県は、かつて江戸時代には海運航路の寄港地として栄え、昭和の時代にも鉄道網がつながり、交通面での不利はそうもなく、むしろ昔はもっと有利さがあってチャンスが与えられておりました。そのころは、和歌山県も大変栄えていたわけでございます。
 しかし、高速道路の時代となり、効率性、採算性の観点から需要の大きい東京などの都市部から優先的に大きな投資がなされ、かつ、また、地方部においても和歌山県以外──和歌山県だけではありませんが──などが取り残される形で投資が行われる結果、取り残された地域が特に発展がとまったというようなことがもう明らかな事実として我々は見えるわけでございます。
 地方に住む者も日本人であります。半島の先も同じ日本であります。国土の均衡のある発展という理想は、我々は捨ててはいけない、そういうふうに思います。
 紀伊半島を一周する高速道路は、人が暮らすための平等な権利の保障や企業立地や観光振興、農林水産業の振興など、経済活動の基本的なチャンスを保障するものとして不可欠であります。地方や地域はなかなか今つらい、特に生活がつらい。その原因が、しかし、孤立していることによって、あるいはチャンスを奪われることによって加速されているということを我々はちゃんと認識をして、そのためのリカバーをするような政策をしていかないといけないと思います。つらい人々に取り入って、目先に耳ざわりのよいようなことを唱えて人気を高めようとするようなことは、和歌山県の政治家としては断じてしないように我々みんなで団結をしていかないといけない、そんなふうに私は思います。
 このように全国の地方で平等に将来のチャンスが保障され、文字どおり国土の均衡ある発展を実現するため、国土の骨格を形成する基幹ネットワークについては、国が最後まで責任を持って整備するように国、関係機関に対して強く訴えてまいりますので、ぜひ議員の皆様の御理解も得て、御協力も得てやっていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、国体開催でございます。
 これの意気込みについてということでございますが、私は、本県において2巡目国体を開催することにより、スポーツを通じて和歌山を元気にするとともに、全国各地から本県を訪れる方々との交流の輪を広げ、生きがいのある豊かで活力のある社会の形成につなげたいと考えております。この点については、大橋知事が知事の時代にあった第1回目の和歌山国体、このときの記録、全国的な記録を見ますと、和歌山県の国体においては、特に人々の心温まるお世話が大変人々の胸を打った、そういうふうに言われております。これは何も和歌山県が手前勝手に言った話じゃなくて、全国の資料にそういうふうに載っております。そういうよき先例がある和歌山において、もう一度、和歌山の人たちは本当にすばらしい人だということを全国の人にわかってもらえるような、そういう国体にしたいなというふうに考えております。
 今月5日に開催いたしました第70回国体準備委員会総会におきまして、競技会場地市町村の第1次の選定を行い、開催準備をより一層加速し、44年ぶりとなる2巡目国体の成功に向けて、県・市町村、競技団体及び地元県民が一丸となって取り組んでいきたいと考えております。
 また、競技力につきましては、3月に設立いたしました競技力向上対策本部において国体実施競技団体の組織基盤を拡充・強化させ、専門性の高い指導者の育成・確保や競技者の発掘・育成・強化並びにスポーツ医・科学・情報面からの支援など総合的な対策事業を効果的に推進し、開催年において、ぜひ男女総合優勝を目指したいと考えております。
 次に、市町村立施設整備への支援についてお答え申し上げます。
 昨年9月の国体準備委員会で承認されました競技施設整備基本方針におきましては、競技施設の整備は原則として県の施設は県が、市町村の施設は会場市町村が行うものとなっております。この前提でいろいろと市町村と折衝し、それから競技団体と話をして合意に達したのが先般──一部まだ未定のものがありますが──発表いたしました、皆さんに了承いただきました会場地選定の考え方でございます。
 したがって、市町村立施設の整備につきましては、市町村に考えていただかないといけないわけでございますけれども、しかしながら、私どもも冷たい顔をしていていいわけではありませんので、市町村との協議も実施して、いろいろな面も聞いて県として相談にきめ細かく対応して、協力してやっていきたいと、こんなふうに考えております。
 次に、一連の食品偽装事件を受けての感想と県政策への反映ということでございます。
 まず第1点の感想を言えということでありますが、2つ言いますと、けしからんということと、それからインチキはいかんということであります。
 安全な食品を提供する義務のある食品関係事業者が、利益優先のために汚染された輸入米を流通させたり産地や期限表示を偽装するなど、一般消費者を欺く行為をしてもうけようとするようなことは、断じて許されるものではないと思います。欺瞞をするような風土、そういう企業が許されるような風土であると、その地域全体が信用されなくなりまして、結局は、その企業はおろか地域も発展できないというふうに私は思います。
 今回、特に事故米と知らずに仕入れて、それから製品をつくって販売した事業者、あるいはそのお米からつくられた加工食品あるいは料理、そういうものを食べてしまった方々、大変お気の毒でありまして、我々としても保健所的機能を活用してできる限り相談に応じたいと考えております。
 続いて、2点目の御質問の県政への反映についてでございますが、県としては従来より県版HACCPの導入促進など食の安全対策を実施し、あわせて組織強化も図り、県民の健康保護を最優先に取り組んでおります。また、食品事業者がみずから率先して適正な食品表示を行えるよう相談窓口を一元化するとともに、各事業所において、それぞれの企業の事業所において、適正表示の推進に中心的役割を担う食品表示推進者の育成事業、こういうものを始めまして、そういう施策の充実も図っております。また、補正予算で認めていただきましたけれども、和歌山県の農協(JA)と組みまして、和歌山県から出る農産物につきましては、従来の収穫前の検査だけじゃなくて、出荷前の検査、しかも、それは農協だけがやるんではなくて、県の機関が協力する形でお墨つきを出すということで、我々のものは安全なんだということを世の中に問うていくと、そういう安全なものを出す和歌山というのをぜひ積極的にアピールし、もちろん実行しないといけませんので、実行しながらアピールをしてまいりたいと思います。
 消費者の健康を守ることを第1にして、食の安全確保と県民への迅速な情報提供に努めてまいりたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 危機管理監森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○危機管理監(森 崇君) 地震保険の普及についての御質問にお答えいたします。
 損害保険料率算出機構の取りまとめでは、和歌山県の平成19年度の新規火災保険加入者のうち、地震保険にも加入した割合は46.7%となっておりまして、全国平均44.0%とほぼ同じ状況にございます。
 地震が発生した場合、公的な保障だけでは不十分でありまして、損壊した住宅などの建物について復旧費用を確保するために地震保険に加入しておくことが重要であります。
 県では、啓発ポスターや啓発パンフレット等により普及促進を行っておりまして、今後も住宅など建物について積極的に啓発を行ってまいります。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 本県にとりまして紀伊半島を一周する近畿自動車道紀勢線の早期実現は、県民のチャンスを保障するものとして不可欠であります。このために、これまでも田辺─すさみ間の平成27年国体までの供用や未着手区間でありますすさみ以南の早期事業着手を国及び関係機関に強く訴えかけてきたところでございます。
 また、有田─御坊間につきましては、慢性的な渋滞や対面通行による重大事故が発生しているなど、一刻も早い交通容量の拡大が求められております。県としましても、最大限急いで都市計画の手続を進めているところであり、国、関係機関に対しまして、4車線化の早期事業化を訴えております。
 今後、近畿自動車道紀勢線について、国の責任において一刻も早く整備していただけるよう新たな中期計画への確実な位置づけをあらゆる機会をとらえて国、関係機関に強く訴えてまいりますので、議員各位のより一層の御理解、御協力をお願いしたいと思います。
 それから、和歌山インター関連の整備についてでございますが、高速道路と幹線道路がおのおのインターチェンジ形式により近い距離で接続する場合、料金所周辺において交通導線が輻輳するという構造上の問題であると考えられております。
 したがいまして、西日本高速道路株式会社では料金所付近において事故防止に向けた看板の設置など、注意喚起を行っているところでございますが、議員御指摘のように、ETCの普及という新たな要素もありますので、少しでも安全性を向上させるためにさらなる対策について、西日本高速道路株式会社に対し、要望してまいります。
 また、和歌山インターチェンジ周辺の渋滞緩和対策として、和歌山北インターの設置や周辺幹線道路の整備に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) 御質問のありましたNHKのテレビ番組「街道てくてく旅」の誘致についてでございますが、人気番組のようでありますので、熊野古道で制作してもらえれば議員御指摘のように、PR効果は非常に高いと考えます。この件につきましては、以前議員からお話を伺いまして、早速NHK和歌山放送局に同番組の誘致を要望いたしました。和歌山放送局のほうでは私どもの申し入れに対しまして積極的に応じていただきまして、目下本局のほうへ働きかけをしていただいているところでございます。
 ただ、現実的にはいろいろ難しい面もあると聞いておりまして、正直なところを申せば、今のところ実現のめどは立っておりませんが、いずれにいたしましても、テレビ番組、特に旅番組を通じまして熊野古道のよさを訴求していくことの意義は大変大きなものがあると、議員御指摘のとおりと存じますので、他のテレビメディアも含めて、そうした番組の誘致に今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 補助率かさ上げ後の学校耐震化要望状況についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、本年6月に地震防災対策特別措置法が改正されたことに伴いまして、公立小中学校等の耐震化事業では、従来の補助率がかさ上げされ、市町村の財政負担は大幅に軽減されることになりました。しかし、平成18年度に策定された第3次地震防災緊急事業五箇年計画に位置づけされていない棟につきましては、かさ上げ等の措置の対象にはならないため、現在、内閣府におきまして五箇年計画の変更に向けた手続が進められております。
 県といたしましても、8月に行われた変更調査におきまして、対象となる可能性のある棟につきましては、計画に計上するよう市町村へ指導をし、278棟の変更等を国へと報告したところでございます。
 また、平成20年4月1日現在、耐震2次診断の結果、地震による倒壊の危険性が高いIS値0.3未満の棟は45棟であり、このうち本年度申請中の耐震化事業は現時点で2棟となってございます。
 耐震化事業に対する国の補助率のかさ上げ等につきましては、平成20年度から22年度までの3年間の支援措置となっております。県といたしましては、市町村に対して耐震化促進に向けての指導を行ってまいりますが、3年間ですべての耐震事業を実施するのは困難な現状であると思われますので、機会をとらえ、国に対して支援期間の延長を働きかけてまいりたいと考えます。
 なお、県費補助につきましては、限られた予算の中で県立学校の耐震化を完了させることを最優先の課題として推進しているところでありますので、今のところ大変難しい状況にあることを御理解いただきたいと存じます。
 市町村が耐震化事業を実施する場合は、関係部署と十分連携をとりながら国の補助制度を活用して耐震化を進めていただきたいと考えており、県といたしましては、引き続き市町村に対してきめ細かな対応を行ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 24番多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕(拍手)
○多田純一君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問を行います。
 最初に、「和歌山を元気にする」について何点かお伺いをさせていただきたいと思います。
 福田首相の突然の辞任表明により、現在、自民党総裁選挙が行われ、その行方が注目をされております。ねじれ国会の中でよく人の意見に耳を傾け、着実に改革への道を進めてこられようとされていただけに、突然の辞任は驚きでした。腹黒い政治家ではないので人気がない、北京オリンピックで金メダルをとった選手が福田首相の印象を語り、話題になりました。今の政治はワイド番組でも取り上げられ、お茶の間の話題にも上るような発信力がなければ人気が出ないという面もありますが、道路特定財源の問題、日中関係改善、消費者庁の設置法の取りまとめや公務員制度改革など、短期間とはいえ実績も残されておられます。
 その福田総理の最後のメールマガジンには、「政治とは何かとよく聞かれますが、当たり前のことを当たり前に誠実に積み重ねていく、常にこう答えています」と書かれています。辞任表明する直前にまとめ上げたのが安心実現のための緊急総合対策です。その対策では3つの目標を掲げています。
 1つ、生活者の不安の解消、2つ、持続可能社会への変革加速、そして3つ、新価格体系への移行と成長力強化などとなっています。今、国民生活を見ますと、原油、穀物の価格急騰が家計を直撃しています。1年前に比べると、代表的なものだけでも灯油で53.2%、スパゲッティ32%、食パン20.1%上昇、食料品や日用品、そして公共料金、続く値上がりはとどまるところを知らず。調査によると米、牛乳、ハムなど、年9回以上購入する生活必需品は昨年7月から1年間で6%も値上がりしており、こうした物価上昇に対し、収入が上がるどころか逆に落ち込む傾向にあり、国民生活が深刻な状況になってきています。
 一方で、経済成長率も年率マイナス2.4%と落ち込むなど後退局面を迎えています。国民生活はまさに非常事態、その国民生活を支え、守ることが今政治に最も求められております。
 また、中小企業においても、景気後退が濃厚な中、原油、原材料価格上昇で中小企業がこうむる打撃は大きいものがあります。立場の弱い中小企業は、原油や原材料価格の上昇分を製品価格に転嫁することが難しいからです。中小企業の倒産件数は、ここ最近増加傾向にあります。こうした事態を受け、政府系金融機関が融資を行うセーフティネット貸付制度を強化するほか、原材料価格高騰に対応した新たな保障制度を導入し、安全網を強化、元本返済据え置き期間を延長するなど、中小企業の資金繰りを応援する必要に迫られております。
 地方を元気にする、とりわけ和歌山を元気にするため、新しい首相に期待することは何でしょうか。特に国民生活のため早く実行に移さなければならないと考える緊急総合対策について、知事の御所見をお聞かせください。
 7月5日、NHKで放送されました「紀の国スペシャル~Wakayama Next10~」を見ました。土曜日のお昼3時という時間でしたが、何度か前宣伝もありましたので、ごらんになった方も多かったと思います。番組のテーマは和歌山の再生、そして項目として、「再生のキーワード」「地域の資源を生かすには」「地域資源のブランド化」「和歌山のブランドをつくるには」、そして再生のもう1つの柱として、「和歌山の観光の現状」「来てもらうためにも住民主体のまちづくり」「外国人観光客をもっとふやす」「和歌山をアピールする」「和歌山を知る」となっていました。番組の冒頭、ナレーターから「地方の衰退が叫ばれ久しい中で和歌山の疲弊が深刻化しています。1つの事例として、経済成長率が昭和50年から平成17年の間で同じ近畿の滋賀県が1位で4.51倍、全国平均3.27倍、和歌山は高知県の2.74倍に次いで最下位の2.69倍と低迷している」と和歌山の現状が紹介され、その中でも象徴的に県都和歌山市のぶらくり丁シャッター通りを映像で映し出され紹介されておりました。ほとんど店が閉まっている状況を映し出し、昭和30年代の繁華街だったころの映像と対比させていました。
 そして、お2人の御婦人が登場。会話の内容は「店を閉めているところが多い」、「店が開いていないから人が来ない」、「もっとみんな商売をしてくれたら」、「あかんわ」、「もっと栄えな困る」、「今のままではまちが死んでしまう」と、市民の悲痛な叫びです。
 また、一方で番組の中で、独自の地域戦略を生かし頑張っているところも紹介しています。1つは日高川町の椿山ダムでヤッホーポイントを整備し、ないものねだりではなく、あるものを生かしていく、そういう発想のもとにその地域の最高の資源を活用していく。
 また、高知県馬路村のユズでまちおこしも同じで、ふぞろいのユズを加工し、デザイン化して直販。「ごっくん馬路村」として最初の15万本から700万本に急成長。村のイメージを売りながら健康飲料として全国ブランド化に成功。今や年間30億の売り上げにまで成長しているそうです。司会は小田章和歌山大学学長、出演者として仁坂知事、日高川町観光協会会長、果実販売会社社長、そして日本総研研究員、計5名で約1時間13分の放送内容でした。
 2点目にお伺いします。和歌山の再生のために何が必要なのでしょうか。
 残念だったのは、この番組では語れなかった県都和歌山市の再生をどう考えるのか。知事は常日ごろ、行政は論理だとおっしゃっています。にぎわいがなくなった今の中心市街地を活性化させるための再生のお考えをお示しください。
 経済産業省が発表した2008年企業立地満足度調査によると、昨年の35位から宮崎県や長野県と肩を並べ、6位と評価が上がってきています。仁坂知事就任後の立地件数でも平成18年度は5件、19年度は28件、今年度は現在までに11件と合計44件となっています。着実にふえている状況です。しかし、当初の計画からすると、少し修正も必要と思われる点が出てきています。企業立地促進法に基づく和歌山県の基本計画として、紀の川流域に続いて紀中・紀南地域の基本計画を先日発表されました。長期総合計画での産業集積ゾーンを紀北都市近郊ゾーンと紀伊半島沿岸ゾーン、南紀熊野地域資源活用型ゾーンという考え方と紀州内陸ネットワーク活用産業ゾーンに分かれています。
 また、紀の川流域地域では、集積業種を情報家電産業と新エネルギー関連産業としていますが、8月に紀北橋本エコヒルズ小峰台に進出が決まったコバタ総合研究所は、集積業種に当たらない健康食品の加工、開発、販売となっています。産業集積ゾーン及び基本計画の見直し等、企業誘致策の今後の取り組みについて、知事にお答えをいただきたいと思います。
 続いて、地域ブランド力の向上についてお尋ねいたします。
 地域ブランドを適切に保護するものとして、事業協同組合等の団体が商標登録することが認められました。平成18年4月、商標法の一部改正により、地域の名称と商品の名称からなる商標について一定の範囲でよく知られるようになった場合には、商標登録することが認められるようになりました。
 和歌山県では「有田みかん」「紀州みなべの南高梅」など10件の地域団体商標が登録されています。さらにその数をふやし、総合力としての和歌山を売り出していくことやそれぞれのブランド力を磨き込んでいくような取り組みが必要なのではないでしょうか。商工観光労働部長お答えください。
 おもてなしの心の醸成についてお考えをお聞きします。
 リクルートが発行する旅行情報誌が実施した全国宿泊旅行調査によると、県内観光地の課題が浮き彫りになりました。子供が楽しめるスポットが多いという評価では、アドベンチャーワールドなど人気のスポットを抱え、全国4位となっています。地元ならではのおいしい食べ物が多いでは32位、魅力のある特産品や土産物が多いでは23位となっています。さらに課題となりましたのは、おもてなしの心が全国40位と下がりました。観光立県を目指す本県としては、高速道路等の整備で便利になったということも一面あるでしょうが、日帰り客がふえ、泊まり客が減少している原因がこのおもてなしの心にもあるのではないでしょうか。
 昨年度、地域や公共交通機関を対象におもてなしについての研修も実施していると伺っております。まだ十分な効果が発揮されていないとすると、今後の取り組みについてどうなさるのか、商工観光労働部長にお聞きしたいと思います。
 外国人宿泊客をふやしていく取り組みについてお聞きします。
 本県の外国人宿泊数は年々ふえており、平成19年は、前年比129.8%の16万3870人の過去最高を記録しています。中でもフランスからの外国人がふえて前年比243%ということになっています。和歌山市出身の私の知人がフランスで日本語を教えており、その知人も生徒を連れて日本に年に何回か帰ってきます。その知人いわく、フランスでは日本ブームで、治安のよさ、そして日本の伝統製品に共感が高いということです。日本古来の武道や伝統文化、精神など、「見る」「体験する」、そして「研修する」、知的満足を楽しむ、そういう観光客に合わせた観光施策の工夫が短期滞在型につながっていくものと考えます。ゴールデンルートと言われている東京、京都に負けないような外国人宿泊客をふやす取り組みについて、商工観光労働部長にお尋ねをしたいと思います。
 大きな2番目としまして、道路政策について県土整備部長にお尋ねいたします。
 都市計画道路は、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、国土の均衡ある発展と公共福祉の増進に寄与を目的とする都市計画法に基づき計画された道路とされ、1919年に制定されています。その後、高度成長期の市街化発展に対応するため、68年に廃止、同名の新法が制定されています。2006年5月、県では真に必要な道路か、身の丈に合った都市計画道路かどうか、未着工になっている110路線、計358キロについて廃止も含めて全面的に見直す方針を打ち出しました。交通量推計調査を実施し、学校や病院などに通う住民の利用度も調べ、全路線でカルテを作成、見直しの手順をまとめたガイドラインの作成をしていくことになっています。そして、地域の実情に即した新たな整備案をつくるとしています。
 具体的には、路線計画自体の廃止、車線数の削減、中央分離帯の撤廃、街路樹の植栽部分の縮小などを行うことを考えていると発表しています。この計画案を実行すると、総事業費の1割に当たる約500億円が削減できるとまで試算もされました。必要な都市計画道路を早く進めていく上でも選択と集中は欠かせません。未着工路線の見直しについて、そのお考えをお伺いします。
 国道24号線和歌山バイパスは、岩出市備前から和歌山市出島に至る延長10.3キロの4車線道路です。昨年、紀州大橋を含む2.4キロの4車線化工事が完成し、昭和50年度に事業着手し、およそ32年かけて平成19年、昨年7月に供用開始されました。和歌山市東部から市内に至る道路は交通量の増加の要因もあり、交通渋滞が激しく、市民・県民の方から待ち望まれていた幹線道路でありました。暫定2車線のときは、混雑度を示す指数は2.59となっていました。それが完成4車線では0.76となり、1日の交通量も現在は4万4000台、飛躍的に伸びています。岩出市備前からインター南口交差点までの所要時間も25分も短縮され、約14分となりました。渋滞損失も整備前と整備後と比べると76%削減となり、地域経済の活性化につながっています。通った経験のある方はお気づきのことと思いますが、和歌山でもにぎわいのある道路となっています。岩出市域の1.3キロだけでも既に郊外型大型店舗を中心に約50店舗が出店しています。道路整備は生活道路の確保という側面だけでなく、経済効果をもたらす大きな要因と言える事例の1つになっています。このバイパス供用でインター南口交差点までは渋滞も改善されました。
 しかし、その西側、花山交差点、そして田中町交差点では相変わらず西行き、つまり市内中心部へ渋滞が常態化しています。朝は田中町交差点を先頭に西行きで1500メーター、花山の交差点で同じく西行き750メーター、インター南口交差点で同じく西行き1150メーター、出島交差点西行き国道24号線で650メーターの渋滞が供用開始後の平成19年9月の渋滞調査でも明らかになっています。田中町交差点での西行きの渋滞は相変わらず和歌山市内では最長となっています。これが県内外から流入が多い和歌山市東部の現状です。車の流れをスムーズに行えるような交差点改良や誘導案内板の整備等取り組むことも含め、和歌山市東部地域の渋滞緩和策についてお聞きしたいと思います。
 2015年の和歌山2巡目国体の各競技種目の使用施設が先日発表されました。紀三井寺競技場での開会式には、予定では観客だけで3万人、選手、コーチ、関係者を入れますと約4万人が一度に和歌山市に集中します。そして、和歌山市で予定されてる競技は現在12競技と発表になりました。1種目、選手や役員を入れて10日間、前半、後半で各6競技、開会、閉会を入れて予想では1日平均2万人以上の人が早朝から和歌山市内で移動することになりそうです。とりわけ、県外からは和歌山インターを利用する方が多いはずです。和歌山市東部幹線道路宮街道を中心とした市内幹線道路の整備、そして、その線とアクセスしている都市計画路線をこの国体にあわせて整備していくことは喫緊の課題であり、大事な道路施策となります。
 そこで、2015年国体に向けて京奈和自動車道、第2阪和国道、そして北インターチェンジの事業推進について、現在事業中の都市計画道路、松島本渡線や湊神前線等、県の取り組み状況と見通しについて決意も含めてお聞かせいただきたいと思います。
 大きな3番目でございます。特別支援教育の現状と今後の取り組みについて質問します。
 パラリンピックのロゴ、天・地・人が天安門広場に掲げられ、今月6日からきのうまでの12日間、北京でパラリンピックが開催されました。史上最多147カ国、約6500人の選手、役員が参加し、日本からも162名の選手が参加しました。和歌山からも競泳男子100メーター平泳ぎの中村選手、射撃50メーターフリーピストルの大橋選手が参加し、健闘されました。頑張っている姿に大変感動を覚えました。障害のある方を社会で理解し、自立支援していくことはますます大事なことです。
 特別支援教育の問題の最初に、特別支援教育への移行に関連した県の取り組みについてお伺いします。
 個々の特性を理解すること、1人1人のニーズに適切にこたえていくこと、子供の個性を引き出すことなどを目的に、昨年度から特別支援教育が始まりました。単に特殊教育から看板のかけかえではなく、従来までの障害種ごとの教育からさまざまな子供のニーズにいかにもっとこたえるかが重要な課題となっています。
 県下の特別支援学校の中でも生徒数200人を超えるマンモス校、紀北支援学校と紀伊コスモス支援学校を公明党県議団で視察してまいりました。両校の校長先生並びに教員スタッフの方や県教委の方々にはお世話になりました。1人1人子供たちに合わせ、献身的に子供たちをお世話いただいている姿を見、支援教育の重要性を改めて感じてまいりました。小中学校の児童生徒が減少する中で、保護者の適正就学を求める傾向がふえ続けている現状を考えたとき、環境整備を進める必要があるように思います。
 昭和48年に県内初めての養護学校として開校した紀北支援学校は、小学部60名、中学部17名、合計77名でスタートしました。寄宿舎も同じ年の建設です。昭和54年には養護学校の義務制の施行もあり、人数はふえ続け、昭和59年にはプレハブ校舎2棟、昭和61年にはきのかわ養護学校を開校、平成3年にはたちばな養護学校、平成11年には紀伊コスモス養護学校が開校したことで一時的に人数も緩和されましたが、平成8年にはプレハブ校舎3棟目の建て増しを行っています。現在は小学部、中学部、高等部合わせて200人規模となり、50人以上の定員オーバー、10教室の不足、校舎と校舎の渡り廊下や寄宿舎の老朽化等を考えると何とかしなければと考えるところです。
 紀伊コスモス支援学校は現状でも200名のところ、虎伏学園の移転に伴う生徒増が来年予測されます。このような状況を県教委としてどのようにとらえられておられるのか。環境整備の今後の方針についてお答えをください。
 特別支援教育の本格的なスタートに当たり、知的障害の中でも自閉症の障害のある子がふえていると言われてる中で、教員の専門性の向上や個別の教育支援計画の策定、個別の指導計画の作成が必要になってまいります。教育支援体制の整備についてお伺いしたいと思います。
 保護者の立場からすると、学校を卒業した後が大変気がかりです。責任を持ってどこまで考えておられるのか、特別支援学校卒業の進路についてもお聞きします。
 続いて、高等学校における発達障害生徒への対応についてお聞きしたいと思います。
 高等学校における発達障害支援モデル事業校として国の指定を受けている和歌山東高校の取り組みをお伺いしてまいりました。校長のリーダーシップのもと、コーディネーターを務めておられる先生を中心とした学内の連携、特に、授業方法等において生徒1人1人のニーズに応じた教育ができるよう指導及び支援への工夫改善、教職員研修を通じて力量や意識の改革、そして、一般生徒や保護者への啓発活動など真剣な取り組みに感銘いたしました。高校に入学して初めて発達障害と確認できる子供もいるとお聞きしました。中学校との連携はどうなっているのでしょうか。支援学校より普通学校を希望する保護者も多いので、知識を持った教員の体制や支援教室の拡充をすることも検討する必要があると思います。スクールカウンセラーや精神科医との連携、そして、特別支援センターとの交流など、必要となっているそうです。
 以上のことから、1つ、モデル校の取り組みの成果と今後の支援体制、2つ、人的支援やスタッフ等の状況、3点目、精神科医等専門医との連携についてどのように考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 3点目に、高等学校卒業後の生徒の処遇及び進路指導体制についてお伺いをいたします。
 生徒の将来的な社会自立と進路実現を目指す上で、高等学校は大変重要な時期です。発達障害生徒の気づきがその生徒の個性を生かし、関係する専門機関や就労支援機関と連携しながら、生徒の高校卒業後の進路実現を意識した指導、支援に努めることが必要となってまいります。
 そこでお尋ねいたします。進学や就職の状況、特別支援学校や企業、関係部局との連携、個に応じた実践教育やインターンシップ等の工夫など、教育長にお尋ねして一般質問の1回目を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、新しく総理に就任される方に対する所見ということでございますけれども、新しく総理に就任される方については、物価高、原油高やアメリカの金融危機などにより不況が忍び寄る可能性があることから、特に経済が心配でございますので、その経済対策への着手、特に去る8月29日に政府が取りまとめました安心実現のための緊急総合対策の早期実現を図っていただきたいと考えております。
 緊急総合対策は、原油・食料価格等の急激な上昇に伴う国民の生活への不安を解消するとともに、燃料負担の増加により深刻な影響を受けている農林水産業や中小・零細企業等への支援策を示したものとして大変重要であると考えております。
 具体的には、生活・雇用支援対策として掲げられております物価に対する総合的対策、特別減税、消費者政策、非正規雇用対策について、金額、規模、条件などが明確になっておりませんので、施策の具体化を急ぎ、実効性のある対策を早くとっていただくようにお願いしたいと思います。
 また、中小・零細企業への対策といたしまして、議員御指摘のような充実した取り組みが掲げられております。県内中小企業者がこれらの施策を活用し、資金繰りの円滑化を図れるように県としても施策の詳細に関する情報を収集して周知を図ることにより、中小企業振興に遺漏のないように努めていきたいと考えております。
 さらに、地方を大事にする政策の担い手であってほしいと思います。それもかけ声だけではなくて、地方を大事と言いながら地方を切り捨てるというようなことに結果的になるようなことを政策的にとることは断じてないようにぜひしてもらいたいというふうに思います。
 いずれにいたしましても、物価の上昇により多くのこの和歌山の県民の皆さんが困っております。本県のような経済的に弱い地域の対策を早急にとっていただくように、これが県民の悲願であると思います。県といたしましても、これら国の制度や県独自の制度をすべて活用しながら対策を進めてまいりたいと思います。
 次に、中心市街地活性化対策についてでございます。
 私は、中心市街地問題の50%ぐらいは都市計画で説明できるというふうに思っております。都市計画が厳しくなく、外縁的に発展が許されておる状態で、モータリゼーションの中で人々が自由に意思決定をすると、大体都市は外側に広がっていきます。そのときに、例えば今の東京のように、全体が発展していってどんどん人が集まってくるという状態であれば真ん中のほうも別に問題はございません。ところが、この発展がなくて衰退している、あるいは停滞して、衰退はしてないけどもとまっている、そういう状態であると真ん中のほうが寂しくなると、これは論理的な帰結であろうと思います。
 したがって、大体の中心市街地の問題は、このような状況を背景にしてモータリゼーションの進展に伴い都市機能が拡散をしたということで中心地の商業機能が衰退し、中心地の居住人口が減少し、空き地、空き店舗の増加などの問題が残っていると。これは和歌山だけじゃなくて全国的に起こっていることだと思います。
 中心市街地の活性のためには、需要と供給の両方から考える必要があると思います。供給側、すなわち商業機能の涵養というか刺激というか、そういうところだけではなかなかすべての解決にはなりません。需要をつけることが必要であります。需要は、大体オフィスとそれから住宅であろうかと思います。
 したがいまして、町なかに住宅を整備し住む人をふやす、町なかに事業所の立地を誘導し働く人をふやすという需要側の施策もあわせて実施し、町なかに人々を集積させ、にぎわいをつくり出すことが重要と考えております。
 しかしながら、一方では、外に一たん広がってしまった地域におきましては、その外側で、まちの中心地じゃなくて外縁部で幸せに便利に暮らしている人もたくさんいらっしゃるということもまた我々は忘れてはいけません。したがって、その都市はどういうふうにあるべきかということは、県のような広域行政をやっているところではなく、国でもなく、実はその当該市町村がどういう都市計画をやるかということをそれぞれ任されているわけでございます。
 ただ、中心市街地の衰退というのは目に余るから、平成18年のまちづくり3法の見直しがありまして、国としても大いにてこ入れをして、都市機能の郊外への拡散を抑制して、ある程度私権を制限しても都市計画をきつ目に運用して、中心市街地において都市再開発などの手法によって土地の高度利用を進めて、住宅、商業施設等の都市機能が集積したような利便性の高い都市づくりを進めたほうがいいんじゃないかということで、そういう法を整備したところでございます。それをどういうふうに利用するか、これはそれぞれの市町村が真剣に考えなきゃいけないことだと思っております。
 こうした観点から、県としては、何をやるかということでございますけれども、まず、県のほうが情報収集力に秀でております。したがいまして、今申し上げました理屈だけじゃなくて、その理屈が具体的にどのような形で全国で実現されているか、先進市町村と言われているようなところではどういうふうにしていろいろな問題を克服しているか、そういう事実をプロジェクトチームをつくって勉強さしまして、その成果をシンポジウムで発表し、また、市町村にもそれを伝え、それから、いろいろ悩んで考えておられる市町村にはそういうノウハウあるいは知識、そういうもののアドバイスをいつでもいたしますというような構えをとっているわけでございます。
 また、具体的に市町村でこういう動きをしようということについては、積極的に応援をしていこうと思っております。例えば、和歌山市の中心市街地活性化計画に位置づけられた旧丸正百貨店ビル再生事業、あるいはけやき大通り市街地再開発事業などは県のお金も投入して、これは応援していこうというふうに考えております。
 今後とも、都市づくりを担う市の主体的な取り組み、こういうものについては、よく相談に応じて積極的に応援していきたい、こんなふうに考えております。
 次に、企業立地法に基づく和歌山県の基本計画でございますが、議員御指摘のように、企業立地促進法に基づいて、和歌山県では北部の計画、それから南部の計画、両方の計画がございます。その計画をいわば旗印にして、私も含めて、トップセールスを含めて県庁が精力的に企業誘致に取り組んでおります。44件の企業誘致が、私が就任しましてから意思決定してくださいました。そのうち、例えば、支援をするというようなことで進出協定を結んだ企業が平成18年度は4件でありましたが、平成19年度は10件、今年度も既に10件ありまして、順調に伸びているところでございます。ただ、和歌山県の現状を考えると、これで満足というような水準ではまだまだありませんので、引き続き必死豆炭で頑張っていかないといけないというふうに思っております。
 企業立地促進法に基づく県の基本計画について、国では農商工連携関係の法改正がありました。食品製造業なども集積業種として認めることになったということでございますので、紀北地域は、その法律の前に計画ができておりました。したがって、その紀北地域においても、もとより豊かな農林水産物を生かしてその対象業種や対象地域、これの可能性はさらに広まっておりますから、拡充できるように見直しをしてまいりたいと考えておるところでございます。
 今後とも、これらすべてを含む企業の集積を図るために、用地インフラの整ったそういう用地装備とか新たな企業用地の開発確保とか、そういうことにも今後取り組んでまいりますとともに、交通インフラの充実あるいは人材確保、それから人材の育成、そういうのを教育機関とも相談をしながら頑張っていきたいと考えています。
 なお、企業立地満足度調査につきましては、昨年に比べ大幅に順位が上がったことは、企業に働きかける上で喜ばしいことで、少しプラス目に宣伝をしていきたいと考えております。ただ、100点満点でないということもまたわかってきておりますので、これを100点満点になるようにみんなで頑張って、市町村との連携や、それからみずからのワンストップサービスの向上など、さらに充実していきたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) まず、地域ブランド力の向上につきましてお答えさせていただきます。
 議員お話しのように、地域団体商標制度におきまして、「紀州」や「有田」など地域名称を冠した商品が地域の強みとして広く認識されることとなりました。地域団体商標の出願につきましては、その地域の団体等が行うものでございますが、県といたしましても、地域団体商標制度の周知や出願手続等の支援など、出願、登録に向けて関係機関と連携し、また、支援してまいりたいと考えてございます。
 ただ、商標登録ができたといたしましても、そのブランド名に安住していくことはブランド力の低下につながるものでございまして、これを維持、発展させていくためには、その地域の組合、事業者による品質管理、その産品を活用した新商品の開発等、不断の努力が不可欠であると考えてございます。
 国におきましては、昨年、中小企業地域資源活用促進法が施行され、地域資源を活用した中小企業の取り組みを支援しており、その情報提供に努めるとともに、本県におきましても、わかやま中小企業元気ファンドを初めとして、地域資源を活用した新商品開発等への支援を行っているところでございまして、これらの制度活用により地域ブランド力のさらなる向上に努めてまいります。
 次に、おもてなしの心の醸成についてお答えさせていただきます。
 訪れた観光客を温かくお迎えし、快適な時間を過ごしていただく、いわゆるおもてなしにつきましては、観光客を誘引し、そして、再び来訪していただくための最も大きな要素であると考えてございます。
 本県では、観光セミナーや公共交通機関研修、さらには、接客能力の向上を図るため、従業員を対象とした実践的な研修を実施し、おもてなしの向上に努めてございます。特に、本年度はリピーター客確保への取り組みを進めるため、主要な観光地や宿泊施設において実施してございます観光統計調査の中で観光客の満足度に関するアンケート項目を新たに設定してございまして、今年度末に取りまとめる調査結果を踏まえ、的確な施策を実施、展開してまいりたいと考えてございます。
 次に、外国人宿泊客をふやす取り組みについてでございますが、海外から、特に欧米からの観光客誘致という観点からお答えをさせていただきます。
 議員御指摘のように、欧米では日本の歴史や文化に強い関心が持たれており、県内におきましては、高野山での瞑想体験や精進料理によるおもてなし、また、熊野三山への参詣など、心の癒しや安らぎという高野山や熊野が持つ特徴的な精神文化に触れる旅行が人気を博してございます。この人気を持続、拡大していくために、スペインで開催されます熊野古道とサンティアゴへの道の姉妹道提携10周年事業に合わせて、今月29日に知事のトッププロモーションを実施いたします。また、来月には、日仏観光交流年にちなみ日本政府がパリで実施するセミナーに参加するとともに、現地の旅行エージェントを訪問し、PR活動を展開することとしてございます。さらに、来月、田辺市で開催されます国際合気道大会に合わせ、イギリスとドイツからメディアを招き、熊野からヨーロッパに向けて情報を発信してまいります。
 このような多様なプロモーションを通じ、世界遺産高野・熊野を中心に売り込むことにより、議員御提言のように、県内を周遊し、より長く滞在してもらえるような取り組みをさらに強化してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 都市計画道路の未着工路線の見直しについてでございますが、人口減少や厳しい財政状況の中、地域の実情に即した道路整備を進めていくことが必要であると考え、平成18年度から見直しに着手いたしました。見直しに当たっては、まず、県都和歌山市域の都市計画道路、44路線191キロメートルについて、和歌山県と和歌山市が協力の上、見直しの方針など検討し、これらをもとに路線の廃止や幅員の縮小などの見直し案の取りまとめを行っており、今後、市とより一層連携を図り、具体的な作業を進めてまいります。
 それから、和歌山市東部道路の交通渋滞緩和策についてでございますが、主な取り組みといたしましては、和歌山市の周辺地域から中心市街地への流入交通を分散するため、市内の東西幹線道路として市駅小倉線、湊神前線、南港山東線、また、南北幹線道路として松島本渡線などの都市計画道路を県と市が連携し、整備を進めているところでございます。
 また、和歌山インターチェンジ周辺への交通を分散するため、和歌山北インターチェンジを整備しております。さらに、交差点の渋滞を緩和するための右左折レーンの設置による交差点改良や交通を円滑に誘導するための案内標識、路面表示などを関係機関と十分に調整し検討してまいります。今後も、国や市等と連携しながら重点的、効率的な渋滞対策に取り組んでまいります。
 2015年の国体開催に向けての主な都市計画道路等の見通しについてでございますが、京奈和自動車道につきましては、国体開催までの全線の開通を、第2阪和国道につきましても、大阪府とも調整し、可能な限り早期に供用できるよう国に働きかけてまいります。
 また、現在整備中の和歌山北インターチェンジにつきましては、平成21年度末供用に向けて、和歌山市及び西日本高速道路株式会社と可能な限り整備を促進してまいります。
 さらに、現在事業中の都市計画道路の整備についてでございますが、松島本渡線は神前地区約1キロメートル区間で事業を進めておりまして、その用地取得は約5割の進捗となっております。また、湊神前線につきましては、松島本渡線までの約0.3キロメートル区間で今年度より測量設計に着手しております。これらの都市計画道路につきましては、厳しい財政状況ではございますが、国体開催までにネットワーク効果が発揮できるよう今後とも和歌山市と連携を図りながら、それぞれの事業区間について完了目標を明確にするとともに、必要に応じ土地収用の手法も活用して整備を進めてまいります。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 特別支援教育の現状と今後の取り組みについてお答えいたします。
 まず、特別支援学校の環境整備についてでございますが、紀北支援学校につきましては、教室棟の増築に向けて準備を進めているところでございます。また、紀伊コスモス支援学校、紀北支援学校の過大規模化につきましては、第7期きのくに教育協議会の報告をもとに県特別支援教育協議会の意見も伺いながら解決策の検討を進めているところでございます。
 次に、特別支援教育の体制整備についてお答えします。
 県教育委員会といたしましては、特別支援教育に係るリーフレット等を作成し、理解、啓発を図るとともに、スペシャリスト養成塾を初めとした各種研修を通じて教員の専門性向上に努めております。また、特別支援教育支援員の配置を通して市町村教育委員会や各校の体制を整備しまして、個別の指導計画に代表される1人1人のニーズを大切にした教育の充実に取り組んでいるところでございます。さらに、各特別支援学校のセンター的機能を活用し、支援体制の整備に努めてまいりました。
 現在、厚生労働省と文部科学省の連携による特別支援教育の総合的な推進事業を柱といたしまして、県内の支援体制を一層強化するとともに、個別の相談支援ファイル作成に関する研究を海南市で実施し、支援の具体化を進めているところであります。
 次に、特別支援学校高等部卒業後の進路についてでございます。
 進路状況につきましては、全国に比して就労率が低迷してきた状況にございました。昨年、ことしの2カ年にわたり文部科学省委託の職業自立を推進するための実践研究事業に取り組み、10.2ポイントの就労率でございましたが、平成19年度には16ポイントに改善をされました。障害生徒の社会参加や進路の保障は共生社会の実現や福祉政策とも関連する重要な内容でございまして、引き続き就労率の向上に努めてまいりたいと考えます。
 次に、高等学校における発達障害生徒への教育的支援についてですが、和歌山東高等学校におけるモデル事業につきましては、2年目を迎え、校内支援体制の整備や発達障害に関する理解啓発、また、スクールカウンセラーとの連携など、着実に成果が上がってきております。しかしながら、生徒個々の教育的ニーズに応じた授業の工夫や専門医等による支援の必要性が課題として報告されております。
 今後、高等学校における特別支援教育の充実を進める上で、この成果を各校に普及するとともに、発達障害に関する教員の理解や指導力の向上、また、学力アップ非常勤講師やスクールカウンセラーの配置といった関連施策に引き続き取り組むとともに、医療や福祉等、専門家との連携を一層深めていくことが必要だと考えてございます。
 一方、高等学校の発達障害生徒の進路指導につきましては、現在のところ、まだ各校における状況把握が十分でない実情にございますが、当該生徒の進路実現につきましては、本人の進路意識の形成や企業、進学先の理解・啓発が重要であると考えております。高校生の進路指導に係る施策として、インターンシップや教育コンソーシアムWAKAYAMAなど、さまざまな取り組みを行っておりますが、新たに発達障害の特性といった観点を加味することが求められると考えてございます。
 今後、生徒個々のニーズに即した取り組みを進めるとともに、進路先や関係機関との連携を一層深め、当該生徒の進路指導を充実させてまいります。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
  24番多田純一君。
○多田純一君 再質問さしていただきます。というより、2点、意見と要望という形で申し上げたいと思います。
 1点目は、先ほど申し上げました和歌山を元気にするということで、先ほど紹介しましたNHKの放送をごらんになった方の感想ですけど、非常に参考になったと、他県の例なども交えて和歌山について勉強するということは非常に意義がある、こういう番組をもっともっとやってほしい、県民1人1人が意識を高く持たなければならないと思ったと。具体性に欠けていた、もっと踏み込んだ意見が欲しかった、内容が地味、まとまり過ぎて食い足りなかった感じもするという声が寄せられたそうであります。
 知事のお話は、少し長い気もしますけどもわかりやすいと思いますので、これからもテレビ等のマスコミを使った発信力の強化という点をお願いしたいと思うんです。特に先ほど中村議員の御指摘もありましたように、国体に向けたというこの7年後を非常に我々としては、目標点の1つに置かなきゃいけないと思うんですけども、その盛り上がりを図る上からも県出身のアスリートにも登場していただいて、和歌山県のスポーツ向上を図るというふうな番組を、お茶の間の話題になりやすいような工夫をしていただいて、どうか発信力強化を図っていただきたいと、これは私の意見として申し上げたいと思います。
 2点目は、国体に向けてということで道路対策でございますけども、和歌山市との連携協力というものも非常にわかりますけども、国体に向けて、先ほど御答弁いただきました完了目標を明確にするとありましたので、その言葉を国体までには完成させるというふうに受けとめて、私のほうで期待をさせていただきますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で多田純一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時41分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(山田正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 こんにちは。議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして2点質問させていただきます。
 1つ目に、食品加工等、和歌山県の産業振興戦略についてであります。
 今年度、県工業技術センター内に食品開発室を立ち上げていただきました。先日、見学させていただきましたが、若いスタッフが明るい雰囲気の中で元気に働いておられたのが印象的でした。この10月には新しい加工機器類が入札予定ということで、いよいよ本格的始動であります。
 9月3日、4日両日で南国を代表する農業県宮崎県に視察に行ってまいりました。平成19年10月現在の県の人口は約114万人、県庁所在地の宮崎市が約37万人足らずと、和歌山県に似通ったところでありますが、農業産出額は全国6位の3206億円、ちなみに和歌山県は1030億円であります。販売農家1人当たりでは、宮崎県は全国2位の484万円であります。日照時間、降雨量が全国3位でスポーツキャンプ等有数の観光地でもあります。
 当地において宮崎県工業技術センター、同食品開発センター、同じ建物内にあります財団法人宮崎県産業支援財団、そして、宮崎大学産学連携センターに訪問をさせていただきました。工業技術センター、食品開発センター、そして、産業支援財団は宮崎市の佐土原町の広大な工業団地である宮崎テクノリサーチパークの一画の同じ建物内にあります。
 県食品開発センターは、平成3年、宮崎県工業試験場食品部を発展的に解消して、食品加工研究開発センターが設立され、平成10年に宮崎テクノリサーチパークに移転し、食品開発センターと改称されました。予算執行が工業技術センターと兼務で、全体の総合調整は企画・デザイン部が行い、業務の権限はそれぞれの所長が掌握しており、機械は相互に使用、同センターには食品開発部8名、うち管理者1名と、応用微生物部5名、うち1名が管理者、計13名の研究者を擁しております。13名のうち3名が宮崎県農政水産部から派遣され、いずれも女性であります。センター所員はすべて研究職でなくて行政職で、本庁との人事交流も行われ、ここで得た知識が大いに役立っているとのことです。
 宮崎県は、農業は21世紀の産業と位置づけ、農業を基幹産業と考えて生産、加工を連続して考えております。食品関係企業、婦人が活動している団体、約150くらいある食品加工グループが広く利用しております。代表的なのはイモ、そば、麦、米等々何でもありの焼酎づくり、特に、当センターでは50年来の焼酎酵母づくりの実績があり、昨年、当センターお勧めの新規焼酎酵母、宮崎酵母を開発、センター内で企業に販売もしておりました。
 毎年、品目を選んで徹底的に野菜の機能性研究を行っています。ゴボウ、サトイモ及びニンジン葉、ユズやカボスと同類の水分たっぷりのヘベズやブルーベリーの機能性研究を行ったり、生産全国一のピーマンの種子の抗菌作用の研究、生産全国一の干したくあんに含まれるGABAの血圧を下げる、ストレス解消に効くといった機能性研究等、実用化に直結した研究を実に数多く行っております。
 売れ筋商品として焼酎、ワイン、そして東国原知事でおなじみの炭火焼地鶏もここに端を発しております。それに、和歌山県と時を同じくして、独立行政法人科学技術振興機構(JST)の地域結集型共同研究事業で、宮崎大学農学部、医学部とともに宮崎県産高機能性ブルーベリー葉を用いた飲料の開発を手がけ、平成20年度から経済産業省の地域資源活用型研究開発事業へと移行して商品化、実用化を目指しています。
 重点テーマを決めるときは部門ごとに重点化技術をあらかじめ定めて、所内へ上げて内部審査会、その後外部審査会へという手順できちんとした外部評価制度があります。ちなみに、宮崎県工業技術センターでも火山灰、シラスを成分にレンガ、そして、ガラスをつくってSPG膜によるミクロ、ナノの極めて微小な水の泡を生成する機械やミクロのはんだをつくる研究のかいあって、企業の工場が近くに誘致されたり、県外からの技術移転の申し込みも多く、両センターの研究リーダーの熱意が幾つも結実しているのであります。
 次に、財団法人宮崎県産業支援財団でありますが、当財団のメーンを産学官連携ととらえ、第1次産品の付加価値向上のための研究開発支援を行っています。財団の山田副理事長は、元工業技術センター所長であった方であります。ここにも財団内に何人もの研究員が夕方午後6時を過ぎても、ひたむきに研究室で立ち働いておられました。女性研究員がここもたくさんいらっしゃいました。
 財団の事業の大きな柱が産学官共同研究事業であり、まず、文部科学省の都市エリア産学官連携促進事業で、平成17年度からの3年間は連携基盤型で、海洋性バイオマスから認知症予防に効くカルノシンの機能性を確認して、続いて平成20年度より継続事業として一般型で一歩進めて、食と健康を視点とした新産業の創出を目指しています。
 地域結集型共同研究事業は、平成16年1月から20年12月までということで、財団内にコア研究室を設置して、食の機能を中心としたがん予防基盤技術創出をテーマに、風土病や肝がんの解明、食の機能性を中心とした予防、治療法の開発と機能性素材として見出されたブルーベリー葉の栽培、育種、加工技術等の確立、がん予防に効果のある高機能性食品の開発に取り組んでいます。風土病の関連から農学部のみならず医学部も巻き込んで、民間企業も8社参画しております。それに、ブルーベリー葉を用いた飲料開発が経産省の地域資源活用型研究事業に平成20年度に採択されたということで、連続して国の競争的研究資金も獲得しているわけであります。
 ここも県、財団が強いリーダーシップのもと、宮崎大学の農学と医学のリーダー、サブリーダーにその下の先生方を交えて四半期に1回必ず研究成果報告を求め、年に2回は知事、副知事も交えて100名を超える人でエンドレスミーティングを土日に行っているそうで、わからないところがあればとことん尋ねるらしいです。とにかく、財団の指導性とやる気がひしひしと伝わってきました。
 翌4日、宮崎大学産学連携センターへ行ってまいりました。緑が多い広々としたキャンパスの中にありました。平成18年4月よりさらなる地域貢献を目指して、今までの地域共同研究センターから産学連携センターを立ち上げ、技術相談、共同研究についてワンストップサービスを目指しております。共同研究は年間70件、受託研究も右肩上がりで来ており、株式会社みやざきTLOという技術移転機関を立ち上げて、研究、技術シーズも公開されています。
 中小企業支援事業に700万円の予算があって、技術力はあるのに資金がない中小企業に少しでも自己資金を出してもらって、共同研究1件当たり大学が30万円から50万円の支援をしております。そして、地域貢献ということで県主導のもと、大学、JST、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が一緒に県内4カ所で企業向けアピールを行い、その中で当センターの事業を利用した企業に研究発表をしてもらう仕掛けもつくっています。
 それに県内諸団体と包括連携協定を結んで、例えば、社団法人宮崎県工業会とはものづくり工業ツアー、ラボツアーや大学の農・工学部とともにファクトリーツアーといった見学会を催しています。また、地方銀行の県内隅々にある営業所に着目して、金融機関も含めた産学公金連携も行っています。
 企業出身の大学の部長先生が知的財産戦略のもと大学の姿勢を社会に示し、大学の弱点でもあった契約を株式会社みやざきTLOの活用のもと、技術移転等スムーズ化させています。大学と企業との間で共同研究、その後実用化研究、そこで実用化特許がとれたら大学へ企業から一部リターンしてもらうシステムもあります。宮崎県、県産業支援財団との協力による戦略会議を開き、技術移転ミーティングを行って出口の見つかっていない特許出願をどうしていくか大学が入って検討しています。
 なお、9月3日水曜日は、和歌山県から本年度より宮崎県の農政水産部農政企画課へ派遣されている若手職員さんが県工業技術センター、同食品開発センター、財団等と事前打ち合わせもいただいて、我々にお忙しい中御同行いただきましたことを感謝を込めて報告申し上げます。彼のような若い有能な方に県外の先端的な取り組みを一緒に見ていただけたことも意義深いものがあったと思います。
 さて、質問に移りますが、1つ目、和歌山県工業技術センター食品開発室にも女性職員2人を含む若い研究職員さんが一生懸命お仕事をされています。県の将来を担っていただける頼もしさを感じたわけですが、今後新しい加工機器等も入ってくると、今までの試験分析業務に加えて、いろんな企業が相談に、実地研修等に訪れることと思います。ことしうめ研究所から1人食品開発室に入ってこられたわけですが、生産から加工、そして、販売へといった一連の流れの中、県農林水産部で生産にかかわってこられた方に食品加工の際にエンドユーザーの求めるものから逆算した販売強化のための生産を推し進めていただくためにも、多くの人に食品開発室に何年間か身を置いて研究いただくことが肝要ではないでしょうか。生産部門に戻られたときにも必ずその経験は生かされるものと思います。もちろん県商工観光労働部とも人事交流を図っていただいて、現場のニーズを把握していただきたいと思います。
 それに、先日和歌山県工業技術センター内を見学させていただきましたが、他県の食品加工研究所や食品開発センターにあるような広い調理実習室は絶対に必要であります。マンパワー面、ハード面もあわせて食品開発室の今後の充実について知事にお尋ねします。
 2番目、和歌山県においても、平成16年1月からJSTの地域結集型共同研究事業、アグリバイオインフォマティクスの高度活用技術の開発と銘打って幾つもの研究がなされ、本年12月に事業終了を迎えます。また、文部科学省の都市エリア産業連携促進事業も平成15年度から17年度にかけて、和歌山市エリアにおいて、次世代エレクトロニクス・デバイス用有機材料の開発をテーマに展開され、平成19年度から同21年度にかけて、今度は和歌山県北エリアにおいて、発展型として環境調和資源・技術による機能性有機材料の開発をテーマに実施されています。これらの研究成果がどうであったか。そして、そこで研究されたものをどう実用化、商品化していかれるのか。そのためにも次の一手をどう考えておられるのか。例えば、財政的にも厳しい中、次の国の大型競争資金の獲得についてどういう戦略を立てられているのか、知事、お聞かせください。
 3番目に、宮崎県においても県、それに県の産業支援財団が地域結集型共同研究事業において、研究者である宮崎大学の農学部や医学部の各リーダー、サブリーダーに四半期に1回必ず研究報告を課し、年に2回は知事、副知事を交えてわからないところ、問題点を徹底的に議論する100人以上のエンドレスミーティングを行ったりしていますし、県が主体的に研究テーマを設けて上記のような国の競争的研究資金獲得にリーダーシップを発揮して、それに大学等が従うといった図式のようであります。新潟県においても、県あるいは財団法人にいがた産業創造機構が産学官の共同研究のために若手職員を中心に百数十社もの企業訪問を行う。そして、国の大型競争資金が獲得できたら、その後の継承事業として立て続けに競争資金を獲得する。とにかく県サイドのやる気に満ちた戦略的な自主性を感じさせられたわけであります。
 和歌山県も幸いなことに経済産業省から仁坂知事を迎えることができ、科学技術振興、食品加工についても大変な御理解と御推進をいただいております。ぜひ、県が将来の県政の躍進のために、あくまで県主導で現場サイドの意見を集約した上で、むしろトップダウンで大きなテーマを設けて、大学等高等教育研究機関や民間企業を動かして、和歌山県発の食品加工技術の実用化、そして、商品化を目指して頑張っていただきたいと思いますが、知事、いかがですか。
 2番目に、和歌山県の医療についてであります。
 1つ目、病院、特に大きな病院において各診療科に評判のいい人気のある先生がいらっしゃって、マスコミにでも取り上げられようものなら、自分はこの先生に絶対に診療してほしい、手術してほしいというのが患者、そして、その家族の本音であります。その先生に診てもらおうと事前に病院に相談したら、半年ぐらいの順番待ちだと聞いていたのが、実際受付に行くと1年も先になると言われたという話もよくあります。必然的にその病院の入院ベッドも満床状態でありますが、片や同じ診療科があって、同じ大学の系列の先生がいらっしゃって、空きベッドのある病院もあって、これをうまく活用、連携してさらに多くの患者さんのニーズを満たしていただけることができないものかと常々考えるところであります。
 県外や国外からも関空等を利用して診察、治療に来られる患者が少なくない、そういった先生もいらっしゃると聞きますが、患者の受け入れが物理的に可能になれば、他の大学病院等からも医療技術を勉強に和歌山県へ来られる医師があって、そんな先生方に引き続き本県に残っていただいて力を発揮していただければ、和歌山県も和歌山市域も医療都市として発展する将来が開けてくるのではないかと思います。県外から来られた患者の方には、施術後、リハビリを兼ねて和歌山県で療養、観光を楽しんでいただけるかもしれません。
 脳卒中等4つの疾患で、疾患ごとの治療方針などについて、医療機関同士で一定のルールを決める地域連携クリティカルパスの取り組みも盛んになっていると聞きます。中央社会保険医療協議会による検証によると、計画管理病院、連携医療機関ともに平均在院日数の短縮が見られたと言います。ですから、逆にそうした高い技術を持った先生の名声を和歌山県が地域医療連携の強化のために利用させていただいてもいいと思うのです。患者、その家族の専門医志向、大病院志向が強くてどうしても患者がそういった人気のある診療科のある病院へ集中してしまうわけですが、地域の病院あるいは診療所がその専門医のかわりを、機能を果たせるような医療における連携強化が図れないものでしょうか。福祉保健部長にお伺いします。
 2番目、最近特に県内の救命救急センターを中心に拠点病院への救急搬送が増加しています。先日も和歌山県立医科大学附属病院の救急外来へ参りますと、休日の夕方にもかかわらず、ひっきりなしに外来患者が来院されていました。例えば、和歌山県立医科大学附属病院救命救急センターにおいて、ここ数年間平均で年間入院患者延べ数が約8000人、外来患者数が常に1万2000人以上あり、救急車搬送数が5000人前後に及んでいます。田辺市の南和歌山医療センターに救命救急センターが設置されたので、随分紀南地方の患者の受け入れも改善され、搬送時間も短縮できるようになったのは非常に大きいことと思いますが、医大病院だけでもこの数字の状況が現実にあるわけであります。
 今、一般の救急告示病院も経営の厳しい中、救急患者の受け入れに悪戦苦闘されているようであります。夜の診療のために医師、看護師、レントゲン技師等のスタッフを配置すれば赤字になってしまう場合もあると嘆かれることも多いようですし、医師が自分の専門しか診たがらず、救急教育が足りない方もいらっしゃると聞きますし、たまたま医療ミスがありますと裁判等で訴えられることも少なくないし、患者、その家族自身が専門医志向なもので、どうしても専門医が多い大病院を希望しがちであり、救急告示病院が徐々に少なくなっているわけであります。ですから、必然的に救命救急センター等大病院へ救急患者が集中します。高齢者の重篤患者も増加しております。和歌山県では幸い他府県にあるような病院のたらい回しによる死者の発生はなく、県内でこうした拠点病院が大きくカバーしていただいておるわけであります。
 しかし、先ほどの医大病院救命救急センターのデータのように、24時間体制であっても空きベッドがなくてかなりの時間、救急制限をせざるを得ない現実があります。救命救急センターで応急措置を行って、その後速やかに患者を受け入れてくれる後方ベッド、後方病院の充実はどうしても必要であります。後方病院も、どうしても医師を初め医療スタッフが不足して、重症患者を診たくても診れない状況にあります。こうした第三次医療をバックアップできる病院の整備が必要であります。
 医療、特に、救急医療の充実を考えるとき、近くの病院、診療所の連携の強化、さらには統廃合も考慮に入れて関係医療機関が協力一致して医師や看護師のそろった総合病院的組織連携をつくっていくことは急務ではないでしょうか。
 県下の救命救急センターが患者の受け入れがスムーズにできて、重篤な救急患者へ適切な診療を行うことができるよう運用体制の強化を図っていただくとともに、後方支援ができるバックアップ病院の連携、充実を含めた時代のニーズに合った救急医療体制を構築いただきたいと思いますが、福祉保健部長いかがですか。
 3点目に、近年、看護師不足が全国的に社会問題となっております。医療に対する国民のニーズは医療の高度化とともに大きく、また多様化して、看護師に期待される役割は大きくなっています。看護師は全国で毎年約5万人が新たに誕生すると言われますが、9.3%が1年以内にやめてしまうという調査があります。日本看護協会が2006年11月に行った調査によると、現場を離れた潜在看護師の離職理由は結婚や出産が最も多いが、労働環境では勤務時間が長い、超過勤務が多い、夜勤の負担が大きい、医療事故への不安というのが上位だったそうです。患者のわがまま、時には口だけでなく手をかける暴力なども原因しているのではないでしょうか。
 手厚い看護体制を目指して2006年度から始まった7対1看護基準も、看護師不足に拍車をかけたようです。特に、和歌山県立医科大学附属病院を初め救急医療や高度医療を担っている県内の拠点病院におきましては、夜勤が多いなど看護職員に大きな負担がかかる労働環境のために看護師の離職も多いと聞いております。まして、一般の病院でも慢性的に看護師不足の話が聞かれます。このままだと医療現場は、労働環境が悪いとの認識が若者の間で広がって、看護師の担い手不足はより深刻化するおそれがあります。人のかけがえのない生命を救うやりがいと責任感のある仕事の中身と、心の余裕の持てる日々の生活が確保できる労働環境とのバランスが大事であります。
 県内拠点病院において看護職員の離職を抑え、看護師が安定して確保できるよう勤務環境の実態を正しく把握しながら、条件面も含めた効果的な医療現場の離職防止対策に取り組んではいかがでしょうか。福祉保健部長にお尋ねいたします。
 以上、第1回の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山田正彦君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、食品加工と和歌山県の持っております地域資源の活用によって産業振興をしていこうということについてでございますが、まさにおっしゃるとおりでございます。宮崎県の例をいろいろ勉強してきていただいて、教えていただきましたが、どうも宮崎県というのは、よく目立つ知事がいて、それで活躍しているんですが、どうもあの活躍の裏には県庁事務当局が長年一生懸命積み重ねてきたなかなか立派な振興政策があるなと。それをパクらせてくれと言って本人にお願いをして、正々堂々と和歌山県の職員を宮崎県に派遣をさせてもらっているところなんですが、そういう意味で、研究開発についても同じようないいところはどんどん勉強して取り入れていくべきであろうというふうに思っております。
 和歌山県のために一言申し上げますと、和歌山県の工業技術センターもなかなか立派でございまして、それで、特にこういう組織は自己目的的になるとちょっとしょぼくれてくるというところがあります。そういうことが非常に少なくて中小企業者の需要によくこたえているというふうなことは、中小企業者のほうのヒアリングをすると結構「工業技術センターにこんな実験をさしてもらっておりまして」とか、いろいろな点で情報が出てまいりまして、意を強くしているところでございます。
 それから、研究開発面での大変大きな発見もしています。谷口さんという大変立派な研究官がいて、ある企業と組んでフェルラ酸という物すごい立派な成分の合成方法をきちんと開発されたと。これからそれを応用していくという段階にあるんじゃないかと思います。国際的なシンポジウムもこの10月にそれに関して開かれるというような状況にあります。
 また、企業と組んで、サッポロビールですけれども、この間記者会見をいたしましたが、「とろり梅」というネクター型の飲料を開発したんですが、これも梅の飲料をなめらかに中に入れるというのは結構難しいらしくて、工業技術センターと複数の企業との研究開発の結果、そういう商品が全国に売り出されて、梅の需要もそれによって少し増加したということになっているわけで、そういう点もありますが、さらに一層頑張っていきたいと思っております。
 食品開発室については、そういう意味でこれから食品工業を和歌山に進めていく、これは長期総合計画にも書きました目標でありますが、その一環として食品開発室に御指摘のように、今年度県のほうで予算をつけて、機器の整備をして職員も増加してそういうニーズにこたえていこうというふうになった次第でございまして、その機能の活用を図りまして、また、食品関連の県内中小企業への支援、新規商品の開発を進める中で強化を一層必要があったら進めていきたいというふうに思っております。それは設備だけじゃなくて人材やスタッフや、そういうようなものについてもこれから頑張っていきたいと、こういうふうに思っております。
 次に、その実用化、商品化についてでございますけれども、実は和歌山県は、先ほど御指摘のあった宮崎県との関連で言いますと、非常に大きな2つの競争的研究開発を国の資金を得て、結構大々的にやっている県でございます。1つは、御指摘ありました宮崎県と同じとおっしゃいましたが、実は、そのJSTの研究開発資金をもらってアグリバイオ研究をやっていると。もう1つは、これは私になりましてからちょっと運動いたしまして、かっぱらったんですが、都市エリア産学官連携促進事業として文部科学省が持っているかなり大きめの競争的研究開発プロジェクトがあります。その中で、ナノテクをテーマに発展型の研究開発をいただきまして、数年がかりでこれをやっていこうと考えております。
 実は、両方のプロジェクトに少し違いがありまして、前者のほうは私の見るところ、少し成果に結びつける戦略において初めから少し欠けてたかなという感じがいたします。研究開発は一生懸命やっていただいたんですが、初めからこういうのをねらってというのがないと、そこのところへすっと結びつかないで学術論文の集積で終わってしまう可能性もあります。そうすると、あんまり雇用などに結びつきませんので、ぜひ商品化につながる展望というものをこの新しく始めたナノテクではつけていこうと。したがって、優良企業の参加も得て、そういうことを念頭に置いて個別のプロジェクトを仕組んでいるという違いがあります。
 ただし、そのアグリバイオについても、結構特許も多数できましたし、成果の例としては、先ほどちょっと批判的なことを言いましたが、それでも水産物では、例えば、高温に強いアコヤ貝の他県への本格的な出荷とか、あるいは梅では乾燥に強い品種を選抜して大量に増殖させる技術を開発したり、現在そういうことで実際のビジネスに結びつけるようなことにもつながっているという事態でございます。
 そのほか、こういう成果を得て、このプロジェクトの内部の問題ではありませんけれども、実用化、商品化を支援する具体的な方策といたしまして、産学官の連携を推進する新連携共同研究事業とか、あるいは今年度から実施するわかやま中小企業元気ファンドを活用して、やる気のある中小企業の方がこの技術を使って何か商品開発をしたいというときに、またさらに応援をしていくというようなことも考えている状態でございます。
 いずれにしても、これまでの研究開発成果や人的ネットワークを大事にしながら、各分野における第一級の人材を発掘、確保し、このような人材を機軸に置くとともに、新たな大型研究資金の獲得などに鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
 最後に、県主導の研究開発体制ということでありますが、これについては、実は御指摘もありましたと思いますが、アグリバイオ研究は今年度で終了します。そうすると、我が県に回っている、あるいは我が県で行われている研究開発水準というのが、その分だけちょっと、この金額的に下がるという状態になるわけでございます。ここはぜひ、ポストアグリバイオという研究開発を、別に同じテーマでなくてもいいと思いますが、ぜひ見つけてきて、さらに一層、我が県の研究開発、それにつながる産業発展というのを推進していきたいと考えておりまして、実は、昨年から、そういう問題意識を持って、現在、部内で何が対象になり得るか、どの研究開発資金が利用できるかというようなことをひそかに検討しているところでございます。
 幸い、さっきの工業技術センターでいうと、もう1つ、実は所長で公募したところ、請川さんというちょっと研究開発部門ではスーパースターのような方がわざわざ来てくださいました。この方は産総研、経済産業省の研究所の中の幹部でありまして、関西のセンターがあるんですが、そこの所長さんをして定年退職をして、そういう割合大物の研究者であります。こういう方の知見もかりながら、何とか県内の研究開発を何かさらに追加していきたいと、こんなふうなことを考えております。
 なかなか県内の資源との関係で、そう簡単ではないんですけれども、頑張っていきたいと思っておりまして、どうもそういうように頑張っていきたいと言ってやってるところが、何か長坂議員から透視されたような感じがいたしまして、同じ目的意識を言っていただいたと思っております。
 それから、昨年度に策定いたしました和歌山県長期総合計画においては、今のようなことを全部総合いたしまして、食品加工を初め、産業部材、それから素材、それから暮らし、観光といった本県の強みを生かせる重点5分野を定めて、これで国や県の競争的資金等を活用しながら県勢発展を担う新たな産業の創出を目指すというように規定しておりまして、この実行のために今努力をしているという位置づけでございます。
 県が主導的な役割を発揮することがいずれの場合でも極めて重要であるということは、議員御指摘のとおりであります。このため、理工系を中心とする大学とか、研究開発型の先進的な企業、それから県内に限らず県外の企業の協力も得ながら、わかやま産業振興財団、工業技術センター、持っている数少ない資源を全部動員いたしまして、和歌山の特性を生かした研究開発、それに伴う産業発展を今後とも目指していきたいと考えております。
○副議長(山田正彦君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 医療機関の連携強化についてお答え申し上げます。
 議員御指摘のとおり、患者の大病院志向、専門医志向を背景といたしまして、県内の拠点病院等を中心に患者が受診する傾向にあると認識してございます。和歌山県立医科大学附属病院、日本赤十字社和歌山医療センターを初め、各拠点病院においては、地域医療連携を担当する部門を設置いたしまして、地域の病院、診療所等と適切な患者紹介等に向けて連携を進めているところでございます。
 県といたしましては、長期総合計画や保健医療計画等に基づきまして、プライマリーケアを推進するとともに、地域連携クリティカルパスを普及させるため、地域医療の第一線を担うかかりつけ医を支援し、保健医療圏単位で地域医療の充実を図るため、その中心となる地域医療支援病院の整備を進めるなど、地域の実情を踏まえた医療連携体制を推進しているところでございます。
 今後とも大規模な病院と診療所等との役割分担と連携を進め、予防、初期治療から高度医療、リハビリテーションまで切れ目のない効率的な地域医療体制を構築してまいりたいと考えてございます。
 次に、救命救急センターの運用体制の強化についてでございます。
 本県においては、傷病者に迅速かつ適切な医療を提供するため、消防機関等との連携のもとで、傷病の重症度に応じた体系的な救急医療体制を確保しているところでございます。県内3カ所に設置された救命救急センターにおいては、重篤な救急患者を多数受け入れており、可能な限り多くの患者を救命するためには、救急病床の効率的な運用が不可欠な状況となっております。このため和歌山県立医科大学附属病院では、高度な治療や全身管理を行う救急部門と一般病棟との連携促進など、重篤で治療の難しい救急患者を計画的に治療するための院内体制づくりを検討していると聞いてございます。
 県といたしましては、こうした救命救急センターの運用体制の強化を支援するとともに、地域医療機関との連携を推進するなど、重篤患者の病状の推移に応じ円滑に受け入れることができる、例えば、病診連携や病病連携等、医療連携体制の確保に努めてまいりたいと、そのように考えてございます。
 最後に、看護職員の離職を防止するための医療現場の勤務環境づくりについてでございます。
 議員御指摘のとおり、看護職員の勤務環境の実態を正しく把握することは、大変重要であると認識してございまして、平成19年度には、県立医科大学と共同で病棟勤務の看護職員を対象に、生き生きと安心して働ける職場づくりに関する調査を実施いたしました。本調査の結果から、例えば、休日に休めなかったり、超過勤務等、労働環境問題、それから医療事故への不安、家庭との両立に関する事項が看護職員の離職に関連していることが明らかになりました。
 現在、県立医科大学においては、この調査の結果を踏まえ、多様な勤務形態の導入、新人教育体制のさらなる充実、医療事故防止対策の充実、院内保育所の定員増加等に向けた総合的な取り組みを進めているところでございます。
 このような先進的な取り組みの検証を行うとともに、今後とも拠点病院を初めとする県内の病院における看護職員の勤務環境などの実情の把握に努めるとともに、これを踏まえた効果的な看護職員の離職防止対策に取り組んでまいりたいと、そのように考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 再質問を許します。
 36番長坂隆司君。
○長坂隆司君 御答弁いただきました。食品加工戦略につきましては、本来県が何を素材に何をしたいのか、何年をめどに実用化、商品化していくのか、どんな年齢層をターゲットにしていくのか、そして、どれくらいの生産量、販売額を目標にしていくのかといった具体的に数値目標、これを立てる戦略が必要だと思います。
 宮崎県食品開発センターで所長がおっしゃっておられました。この農業県と言われる宮崎県でも10年後に新鮮野菜が入らなくなるかもしれないと、こういう危機感を持って研究開発に臨んでいるというのであります。食品加工は、県の長期総合計画における重点5分野の1つであります。ぜひ和歌山県の目指すテーマ、目標を知事が世間にお示しいただいて、それに向かって県が関係研究機関を、そして民間企業を引き込んで、やる気をみなぎらせて、一丸となって全国有数の食品加工県を目指して疾走していただきたいと熱望いたします。
 次に、医療については、人気のある腕ききのお医者さんが郷土の病院にいらっしゃるということは、県民の健康福祉の増進のために大変ありがたいことですし、県民にとっての誇りでもあります。でも、その先生の診療を恋い焦がれる余り、待ちに待っている間に取り返しのつかないことになる場合も少なくないと思います。一番問題なのは、患者が入院できる病床が不足しているということでありますから、連携のとれる病院でその先生あるいはその先生の薫陶を受けた医師に診察、手術をしていただいて、待っている期間を少しでも減らすシステム構築の努力は、県民の健康福祉を増進する役割を担う県当局にしていただくしかないと思うのであります。どうか、さらなる医療機関の連携強化が図れますようによろしくお願いいたします。
 また、本県に3つある救命救急センターの円滑な運用は、後方病院との連携とも大きくかかわってくることですので、県の救急医療計画の中で、後方病院の後方ベッドと医療の中身のさらなる充実を図っていただきたいと思います。そのためには、限られた医師、看護師等医療スタッフの確保のために後方病院として充実を図るべく、将来病院の統廃合ということに踏み込んでいかざるを得ない局面も出てこようかと思います。言い出しにくい話ではありますが、財政の極めて厳しい中、大切な命を守る医療、とりわけ救急医療の充実のために選択肢の1つとして認識いただきたいと思います。
 以上、要望さしていただきまして、私の一般質問を終わります。
○副議長(山田正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 12番須川倍行君。
  〔須川倍行君、登壇〕(拍手)
○須川倍行君 一般質問を行います。
 初めに、道路行政についてであります。
 知事初め県当局が道路交通網の整備に御尽力されている中、本年3月、新宮地方において那智勝浦新宮道路の供用開始、続いて、国道169号宮井トンネルの供用開始など、長年の地域要望が結実し、住民生活の利便性が図られました。紀南地方での活力には、知事もおっしゃっているように、生活面はもちろん、産業振興面においてもやはり道路整備が不可欠であり、今回の事業でその効果を目の当たりにした住民も多く、住民ともども大変喜んでおります。特に、近畿自動車道紀勢線の一環となる那智勝浦新宮道路の供用開始は、高森地区の朝夕のラッシュ時ネックであった交通渋滞の緩和や市立医療センターへのアクセスが容易となり、道路に対し、住民の方々にも大きな関心を持っていただいたと感じますし、本県の道路政策に対する理解がより深まったものと思っております。
 また、内陸部における宮井付近の国道169号は、地域での唯一の幹線道路とはいえ、大変道幅が狭く、片側通行しかできず、災害時には孤立するおそれのある集落を抱える山間奥地の路線でもあり、このたび最も危険な区間に宮井トンネルを開通していただきました。今回のトンネル事業により道路環境が大きく改善され、通行者の安全と地域住民の生活の安心・安全に大きく貢献し、飛び地である北山村までのアクセスにも一石を投じる形となり、その効果は非常に大きい事業だったと考えます。しかし、私どもの地域ではまだまだ道路整備は不十分だと思います。
 平成6年12月16日、京奈和自動車道と近畿自動車道紀勢線を南北に結ぶ地域高規格道路として、和歌山県新宮市から奈良県五條市間の約130キロメートルが計画路線として指定されました。これは和歌山県側が約40キロ、奈良県側が約90キロであります。この路線は、戦前に五新鉄道という名で鉄道路線の絵が描かれ、大正11年に五條─新宮間の1期工事として、五條と阪本間約20キロが発表され、翌年一部工事着手したようですが、経済不況や政権交代などでたびたび中断されるなど経過があるようで、昭和19年、戦争が激化し、完全に中止になったようです。
 戦後再び昭和29年に、阪本線として五條と城戸間の11.7キロの路盤整備工事の起工式が行われ、昭和32年に工事着手、昭和34年にこの区間が完成しています。その後、鉄道案から国鉄バス路線として運行するなどの案など、この運営論議が出たようですが、昭和42年には五條─阪本間が完成いたしました。
 また、昭和46年には五條─新宮間の最大の難所と言われた天辻トンネル約5キロが完成しています。その後も新宮に南下しながら工事予算が確保されたようですが、昭和57年に国鉄再建問題のクローズアップなどで全面的な工事ストップとなったわけであります。
 このようなことを考えますと、国においては大正後半からこの紀伊半島全体が日本有数の杉の集散地であると認識した上で、山地からの輸送手段として鉄道が考えられていました。しかし、戦争や輸送利害関係などで二転三転して完成を見なかった路線で、幻の鉄道とも言われており、その鉄道工事の面影が今でも残っているところがあります。この構想が立てられたのは明治39年ごろとも言われますので、1世紀の歴史をかけた事業の歩みがこの路線に託されているとも言えます。今再び紀伊半島を縦断する幹線道路、アンカールートとして整備する願いがかなった心境であります。
 そのきっかけは、近畿自動車道紀勢線の基本計画が描かれたことからより現実的となり、実施できる運びとなったと思います。この路線の完成の暁には、阪神経済圏はもちろんのこと、奈良圏域と新宮圏域の交流促進が図られ、海のない奈良県に対しても、新宮港からの物流と観光産業との連携などの活用につながると確信しています。既に、奈良県側でも特に十津川道路として七色地域の供用開始が行われ、これにあわせ本県でも本宮道路の土河屋付近も整備、供用されており、利便性と安全性、快適性が同時に実現され、その効果が発揮されています。
 中でも奈良県側の整備区間は本県の約2倍あり、奈良県が事業主体で進める工事区間と国が直轄で進める区間を2者で精力的に進められています。本県の新宮地方においても、まず越路道路として相賀地区までの約5キロが先発して整備区間として工事が進められています。その工事期間中においても、旧熊野川町東敷屋トンネルの供用開始など、徐々に整備率も上昇してきていると思いますが、そこでお聞きしますが、新越路トンネルの市街地側の出入り口が旧越路トンネルの出入り口と交錯しています。住民の中には、桧杖地区から市内に向けて見たとき、道路高架とトンネルに入るコースから考えれば、広角方面にトンネルで抜けるように見え、通称五新通りの朝夕の渋滞はこれで解消できてよくなると勘違いする人が多かったようです。
 ところが、旧越路トンネル出口に重なるように新トンネルの出口が設けられましたので、山間部から走行してトンネルまでの時間が短縮されましても、市内に入れば依然として渋滞は避けられない環境が残ることになり、住民の中にはがっかりされている方もおられます。特に慢性的に渋滞で悩まされている沿線住民には、何か方策をとっていただきたいと願っていると思います。
 以前より橋本交差点を改良して車の右折帯を設けるなどして、国道42号に入る車両や国道42号から国道168号に向けトレーラー等大型車がスムーズに走行できるような改良が求められていました。この橋本交差点が改良されれば、現状はかなり改善されると思います。
 今、国土交通省直轄で国道42号の橋本交差点から熊野大橋までの間、電線など地中化工事により歩道整備が継続的、精力的に行われ、世界遺産のまちとしての風情を持った環境整備が行われ、町内会初め商店街振興にもつながり、一方では、電柱などがなくなるわけですので、防災的にも対応された道路になると思います。ただ、機能面からいえば現状の橋本交差点では、国道42号が渋滞しているときは168号から42号への流入はかなり難しい状況が考えられます。これらの課題解消について県土整備部長の答弁を求めます。
 続きまして、五條新宮道路の整備に関しまして、奈良県側は整備する区間が多いため、県と国直轄で進められています。本県においては、本県が事業主体となり、カーブ区間の直線化を図るように重点的に進められておりますが、奈良県よりも、整備区間が短くても早期整備、供用開始を図る観点から直轄事業採択をお願いするなどして2者の同時施行で早期完成が図れないでしょうか。
 聞くところによりますと、本県では、既に北山村に通ずる国道169号整備事業に国直轄として実施されていることから、国道168号では直轄権限代行事業は無理と思われているのですが、本県は道路整備率の悪さから言えば全国でも下位であります。そのため、道路特定財源堅持を知事先頭に国に訴え、県選出国会議員ともども和歌山県の道路整備のおくれを訴えてきたところであります。国においては、本県の整備率の悪さは承知している事実であると思いますし、この際、県内1つという決まり事かはわかりませんが、五條新宮道路は紀伊半島を縦断する骨格幹線道路で、日本海と太平洋を結ぶ戦略的な路線でもあり、新宮地方では阪神経済とを結ぶ文化、観光、産業の地域連携軸でもあります。
 このような観点から、知事、先頭に立って、例外的にでも直轄権限代行事業として整備していただくよう働きかけていただきたいと思いますが、知事の御見解をお聞きします。
 続きまして、新エネルギー、木質バイオマス燃料ビジネスモデルの構築について。
 日本のエネルギー体質は、その構成比が47%と石油に偏ったものとなっています。したがって、新エネルギーへの転換が今後のエネルギー施策の重要な方針となってくると思われます。現在では太陽光発電や風力発電が着目され、将来的にはメタンハイドレートの研究も進められているところでありますが、今回、私はいわゆるカーボンニュートラルなエネルギーとしてのバイオマス燃料、特に、和歌山県内に多くその資源を持つ木質バイオマス燃料に関連してお聞きしたいと思います。
 木材は、その成長に合わせCO2を吸収し、酸素を放出しています。その木を燃焼させても吸収したCO2を排出するだけのもので、CO2の吸収排出については中立、つまりニュートラルなものであり、カーボンニュートラルな社会を目指す上で重要な資源でもあります。
 平成14年6月に公布されましたRPS法におきましても、太陽光、風力、水力などに並ぶクリーンエネルギーとして位置づけられています。ただし、大量に利用するとなると森林破壊につながる可能性もありますので、枝打ち、間伐、資材くずなどの活用を通じて資源の有効活用を行うよう進めるべきです。エネルギー化、燃料化の方法としては、ペレットとして加工する固形燃料、また、エチルアルコールに変換する液体燃料、ガス化炉によるガス燃料化やその際発生する熱を利用する熱供給方法など、現在開発が進んでおります。
 和歌山県は、古くからその名のとおり木の国として有名ではありますが、現在のところ、山林は荒廃しつつあり、間伐廃材の処理も不十分です。2005年秋の台風では、新宮市の大浜海岸に大量の流木が流れ着き、問題となりましたが、これは山間部で放置された間伐材や山林荒廃による倒木などが台風の大雨で熊野川に流れ込み漂着したものが多く見られたとのことでした。これら廃材として捨てられる木材をエネルギー源として活用することは、資源の少ない我が国の現状からも重要なことであります。アメリカなどの、トウモロコシなど食料を原材料とするバイオマス燃料化は、日本においては道義上、許されるものではありません。
 そこで、お尋ねします。このような従来廃棄物であったものを再利用する形の新エネルギー開発に対して積極的な取り組みを行うことにより、和歌山県は、クリーンエネルギー社会を目指すという姿勢を全世界にPRするものとなる絶好の機会となると思いますが、現在、県は新エネルギー、特に、木質バイオマス燃料化の商業化、ビジネスモデル構築についてどのようにお考えか、また、今後どのような意向で取り組みを進められるのか、知事にお聞きします。
 最後に、小中学校統合再編事業についてであります。
 現在、小学校、中学校では児童生徒の人数が減少し、学校の活力がなくなり、クラブ活動ができないとかクラスがえができないとか、その話をよく耳にしますが、県教育委員会としては、急激な少子化により学校の活力や教育効果の面で課題が生じているので、早急に対応するため、平成17年6月に教育長の諮問機関として義務教育ニュービジョン研究会議を設置し、少子化に対応した学習環境づくり等について審議を依頼し、平成18年1月30日に「和歌山の未来をひらく義務教育」の答申を受けました。この提言をもとに「公立小中学校の適正規模化について」を策定し、現在進めているところであります。
 この県の策定した指針を見ると、学校の活力を維持、発展させるためには、小学校ではクラスがえができる1学年平均2学級を下限とする12学級から18学級が適正規模であり、中学校は1学年3学級を下限とする9学級から18学級が適正規模と定めていますが、この指針が定める適正規模に満たない学校は、県内には実に小学校で68.9%、中学校で75.9%となっています。私の住む新宮市も県下各地と同様に少子化の現状にあり、昭和50年代と比較しますと、児童生徒の数は半減しております。
 そこで新宮市では、県の先ほどの報告や指針を受け、新宮地区にある小学校4校を適正規模になるように2つの小学校に統合再編し、また、予想される東南海・南海地震に耐えられる安全な学校づくりに着手しております。統合再編の対象校のうち、千穂、丹鶴、蓬莱の3小学校は、明治6年7月の創立以来135年の歴史と伝統を持ち、東くめ、西村伊作、佐藤春夫、畑中武夫、中上健次など、多くの作家や文化人を輩出している由緒ある学校であり、王子小学校は戦後生まれた学校ですが、4校とも地域に愛され親しまれており、公民館活動の拠点施設としても使用されており、まさしく地域のシンボルとして存在しております。この4校を2つに統合再編する事業は大改革であり、大事業であります。その上、新宮市は、現在は適正規模にある2つの中学校が10年後には適正規模から外れる予測がつくので、この際、統合して新しい中学校をつくる方針を立てております。
 「和歌山の未来をひらく義務教育」の報告の中で、学校の適正規模化に向けては、1つ、通学区域の広域化及び通学途上の安全確保に対応するため、スクールバス等を積極的に導入するとともに、県は統廃合後の一定期間、その運行に対して支援すべき。1つ、環境の激変緩和、効率化還元などの観点から、統合後の学校に対する教職員の配置について特段の配慮を実施すべきである。1つ、県は統合前後にわたった支援策を講じるため、総合的な対応をする部署の設置及び支援策の指針を市町村に示す必要がある。以上3点について必要な支援策を市町村に示しております。
 また、「公立小・中学校の適正規模化について」の中では、その4、教育委員会の支援として小中学校課市町村支援室を設置、2つ目に教職員の配置、児童生徒の通学、学校施設の充実等について必要な支援措置を検討とあります。
 そこでお聞きしますが、県内で先駆けて小中学校の統合再編する新宮市の事業に対して、具体的に今、また、今後支援する施策を教育長にお尋ねします。
 また、適正規模の学校にするため市町村を指導、助言する組織として市町村支援室を設置していたのに、本年3月末でその組織が廃止されておりますが、市町村と連携しながらこの難しい学校統合再編の事業を推進するには、必要な組織ではないかと思います。県下各市町村の統合再編事業がまだまだこれからだというときに、なぜ組織を廃止したのか、その理由をお聞かせ願いたいと思います。
 続いて、人的要望としていわゆる統合加配の教員配置については、県の支援策、和歌山県公立小中学校適正規模化支援は、支援期間が平成23年度までの5年間であり、新宮市の統合計画では、平成24年度を目標に新しい学校が開校できるよう事業を進めていると聞きますが、24年度開校では、この支援策の人的支援の小中学校統合校支援教員配置が受けられなくなります。新宮市だけでなく、今年度以降、他の市町村でも学校の統合再編に着手しようとしているのに、この期限つきでは有効な施策になり得ない、活用できない施策になります。有効で活用できる施策にするため、さらなる延長を求めたいと思いますが、いかがですか。お答え願います。
 また、人的支援の統合加配も2年間の措置であり、新宮市のような市街地の歴史ある学校を統合した後の新しい学校にあっては、それぞれの文化の違い、校風の違いが溶け合い、新しい学校の伝統や文化をつくるまでには相当の時間もかかるし、児童の落ちつきや地域の人々が新しい学校になれるまでかなり時間を要すると思われます。「和歌山の未来をひらく義務教育」の報告の中で激変緩和のための教員配置について特段の配慮を実施すべきと言われるように、2年間ではいかにも短過ぎます。2年間の統合加配を4~5年に延長することも検討していただきたい。まさしくこのことが統合による効率化還元になるのではないかと考えますが、いかがですか。お聞かせください。
 また、新宮市の4つの統合対象校はそれぞれ地域の公民館活動の施設としても使用されており、統合後の公民館活動にも大きな影響を与えると予想されます。今、県教育委員会では、市民性を育てる教育の推進として学校、地域、家庭がつながるきのくに共育コミュニティ推進事業を推進しております。新しい学校が地域に支えられ、地域とともに市民性を育てる教育の中核となるべくその役目を求められます。この市民性を育てる教育推進のためには、このたび改正された学校教育法で位置づけられた副校長や主幹教諭を設置することが有効ではないかと思いますが、どのようにお考えですか。お答え願います。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山田正彦君) ただいまの須川倍行君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず道路行政、その中で五條新宮道路の早期整備についてお答え申し上げます。
 議員の御指摘にもありましたように、この168号線という道路は、紀伊半島のアンカー型の幹線整備というものの中で大変重要な位置づけを占めております。奈良県側が多いものですから、それから高速道路ではないので、紀伊半島一周高速道路ってすぐ言うんですけれども、三県知事会などに行きますと、アンカー型の道路で全体頑張ろうと、こういうふうになるわけでございます。
 また、168号線につきましては、和歌山県の二次的に一番大事なという変な言い方ですが、X軸型のネットワークの道路に大部分乗っておりまして──和歌山県側ではですね──したがって、和歌山県の今一番頼りにしている道路の一部を構成していると考えていいかと思います。
 そこで、私どもとしてもこの168号線の完全整備というのは、和歌山県側ですが、ぜひ必要なことだと思っております。
 ちなみに、休暇を利用して五條からずっと168号線を南下してみました。そういたしますと、物すごく険しい地形でございまして、和歌山県の道路を整備するのも大変でございますけれども、奈良県の南部の道路整備というのはもっと大変だなというふうに思いました。少しずつ工事は進んでおりますけれども、まだまだたくさんのところが残っております。
 一方、先ほど40キロ、70キロの差だという配分だということでありましたが、和歌山県の40キロのほうは、実はほとんど整備が進んでおります。その中で実は、168号線の既に熊野川を整備しておりまして、最近残っているものでは、熊野川本宮道路は平成18年3月に供用、残り未完了区間について、越路道路、日足道路、本宮道路として現在、補助事業で整備を行っているところでございます。これについては、実は4工事全体としての進捗は既に70%に達しておりまして、あと数年、できればできるだけ早く重点的に早く整備してしまいたいと思っているところの道路でございます。
 須川議員から直轄権限代行でどうかというお話がありました。本県では、御指摘もありましたが、国道169号の奥瀞道路が直轄権限代行事業になっておりまして、その前期が完成し、私が知事になりましてからお願いに行って、後期についても採択を認めてもらいました。それから、大体、国土交通省の相場で言いますと、各県直轄代行は1つずつぐらいと、こういうことなんだそうですが、480号の真ん中、府県間にあります大阪府との間のトンネルですね、これについても事業化を、これはことしになりましてから認めていただきました。だから、和歌山県は実は異例、2つになってるわけでございます。
 それで、和歌山県の道路のおくれ方を考えると、2つでも3つでもいいじゃないかという議論もありますけれども、現在70%になってるということを考えると、補助率がちょっと違いますので、和歌山県としては悔しいんでございますけれども、遅滞なく早く終了さして須川議員が御提言いただいたような趣旨を実質的に早く達成したい、こんなふうに今のところ考えているところでございます。
 それから、新エネルギー、木質バイオ燃料ビジネスモデルの構築についてということでございますが、須川議員の御指摘はまことにごもっともでございます。特に、我が県の森林を再興するということを考えますと、何としても間伐材をうまく利用する。その前提としては間伐をうまく進めるということが大事だと思います。
 世界の資源状況を考えますと、国産木材が脚光を浴びるのは間もなくだと私は思っております。とりわけロシアでは、たしかもう実行に移ったと思いますが、関税は輸出関税が80%になってしまいました。どんどん資源の入手が難しくなる。したがって、国産材の価値が上がってくる。そうすると、価格も上がるんじゃないか。そういうような流れにある中で、間伐をうまく進めて、木材を立派な木材として涵養していかないと次の時代に育てることにはなりません。
 したがって、間伐を進める、そのためには間伐材を利用できるようにしなきゃいけない。現在、残念ながら逆有償の世界でございます。したがって、御指摘のように、林の中に放置されているような間伐材とか、あるいはそれはまだいいほうで、間伐も進まないということが多うございます。したがって、利用できるというためには集成材とかいうような利用ももちろんでありますが、あわせてこのバイオマスのエネルギー利用に使うということが、現在こういう原油高騰の時代に大変有用なんではないかといって、和歌山県も虎視たんたんとねらっていて、自信あって研究をしております。
 いろんな動きが全国で少しずつ進み始めています。例えば、今まで話を聞きに行ったら、すべてあれはいいんじゃないかといって、話を聞きに行ったら全部逆有償の世界であったというのがほんの最近まででしたが、ついに有償で回り始めたプロジェクトも出始めました。
 大分県の三菱商事がやってるバイオマス利用のプロジェクトなんですが、これについては有償の世界で動き始めています。ペレットにして、それで発電所に持っていって火力燃料としてたくということなんでございます。ところが、早速調べに行って和歌山県でもぜひやってくださいというようなことをお願いしようと思っておりましたら、大分県は特殊事情があって、ほとんどの材木は1カ所に集中して、そこから廃材が──端材ですね──皮とかそういうのも含めましてたくさん出ると。したがって、集荷コストというのがほとんどゼロに近いぐらいなわけです。
 ところが、一方、和歌山県の産業構造を考えますと、各山林はそれぞれの地主の方がいらっしゃって、それぞれの地域でそれぞれに製材をしたりしている。そういうことで、1カ所に集めて、あの量を一遍にまとめるためには集荷コストがかかって、これはまだ和歌山県では逆有償の世界にしかならないというようなこともわかってまいりました。ちょっとがっかりしたんですが、そういうことはひょっとしたらもう少し規模を少なくしてみますと、地域のボランティアの方々の活動も含めて考えると、ひょっとしたら別のモデルがつくれるかもしれないなといって、今いろいろまた研究をしているところでございます。
 それから、農業の方なんかも、安い材料があったら重油のかわりに燃やしたいというようなものも結構あると思います。したがって、こういう機運をぜひうまく生かして知恵も出して、それから民間の企業の方々の協力あるいは地域の人々の協力、それから技術を持っている、ノウハウを持っている、全国に散らばってると思いますが、そういう企業の方々の協力も得ながら、ぜひ和歌山県においても間伐が有償の世界で進めるようなメカニズム、これを確立して、あわせてこれから進んでいくであろうエネルギーの獲得の困難さというのもあわせて解消していくということをぜひやりたいんでございますけれども、まだどうだというようなところまで行っていないのは、申しわけないなというふうに思っております。引き続き、県庁全体を挙げて取り組んでおりますので、皆様の御協力もお願い申し上げたいと思います。
○副議長(山田正彦君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 新宮市内橋本交差点の渋滞解消についてでございますが、橋本交差点は国道42号と国道168号が交差しており、朝夕に交通渋滞が発生している箇所でございます。その対策として、国道168号に右折レーン及び隅切りの設置というのが考えられるわけですが、沿線には住宅、商店、こういったものが連続して立地しておりまして、用地買収が必要となります。このため、事業の実施には地元の協力が何よりも不可欠であります。
 今後、地元の方々に御協力をしていただけるよう新宮市とともに努力してまいります。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 小中学校の統合再編事業についてお答えいたします。
 まず、小中学校の適正規模化を進める市町村に対しましては、県単独措置といたしまして、学校の適正規模化を検討する協議会の運営のために100万円、また、スクールバスの購入等の統合準備に係る経費のために800万円を上限といたしまして、市町村負担額の2分の1を補助するとともに、統合校への教員の加配措置を実施するなど支援策を講じております。
 次に、市町村支援室につきましては、平成18年1月の義務教育ニュービジョン研究会議の報告をより具体化し、県としての支援策に係る制度設計を重点的に行うため、平成18年、19年度の2カ年を期限といたしまして、小中学校に設置したところでございます。
 この間、市町村への指導主事の設置や小中学校適正規模化支援事業の立ち上げなど、一定の道筋をつけることができたことから、今年度その業務を小中学校課に戻しまして、支援体制を整えました。
 また、議員御指摘の支援事業の延長並びに教員の統合加配の期間延長につきましては、統合校の実態や今後の市町村の取り組み状況などを十分に検証し、国の動向も見守りながら総合的に検討する必要があると考えてございます。
 さらに、小中学校における副校長、主幹教諭につきましては、その設置の趣旨や効果、国の措置状況等を見きわめ、御指摘のきのくに共育コミュニティの推進等、学校と地域との連携を進める上で生かせるかどうか研究をしていく必要があると考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 以上で、須川倍行君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時23分散会

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