平成20年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成20年9月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
 平成20年9月17日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第100号から議案第117号まで、並びに報第9号(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第100号から議案第117号まで、並びに報第9号(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(45人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 川口文章
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 16番 下川俊樹
 17番 岸本 健
 18番 尾崎太郎
 19番 藤山将材
 20番 新島 雄
 21番 山下直也
 22番 井出益弘
 23番 宇治田栄蔵
 24番 多田純一
 25番 中 拓哉
 26番 角田秀樹
 28番 山田正彦
 29番 坂本 登
 30番 尾崎要二
 31番 中村裕一
 32番 服部 一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 藤本眞利子
 36番 長坂隆司
 37番 玉置公良
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(1人)
 27番 江上柳助
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        原 邦彰
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      森 崇
 総務部長       小濱孝夫
 企画部長       前硲健作
 環境生活部長     井口悦治
 福祉保健部長     井畑文男
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      雑賀忠士
 教育委員会委員    湯川 力
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員長   大岡淳人
 警察本部長      永松健次
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 山本恒男
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       蓬臺孝紀
 次長         東岡誠吾
 議事課長       薮上育男
 議事課副課長     土井敏弘
 議事班長       田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      石垣悦二
 議事課主査      瀧川泰治
 総務課長       笠松 学
 調査課長       佐本 明
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  午前10時0分開議
○議長(大沢広太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第100号から議案第117号まで、並びに知事専決処分報告報第9号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 1番泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕(拍手)
○泉 正徳君 皆さん、おはようございます。
 2日目のトップバッターということで登壇をさしていただきます。
 早速、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 本年4月に新長期総合計画「未来に羽ばたく元気な和歌山」が策定され、その中でも観光の振興については、和歌山県の持つ海、山、川など豊かな資源、多彩な食材や温泉、高野・熊野という世界遺産に代表される歴史・文化、これらの豊富な観光素材の魅力を磨き、売り出すと言い、観光産業の発展は、直接関連する産業だけではなく、農林水産業や商工業にも波及効果をもたらし、県経済発展の大きな原動力となると位置づけています。
 また、基本計画に基づき作成される観光振興アクションプログラム2008では、本年の戦略的な観光振興施策をまとめて取り組んでいます。
 そこで、和歌山県の観光振興について商工観光労働部長に伺います。
 平成16年7月、高野・熊野が「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録され、地域の先人たちが守り続けてきた生活環境や文化がすぐれた文化的景観として認められたもので、世界遺産という大きなプレゼントを現在に生きる我々に下さったものと喜ぶ反面、これらの遺産を保全・活用し、いかに後世に伝えていくかという課題も残されています。今回は、世界遺産を観光に生かすという観点から、高野と熊野を訪れる観光客に対する情報発信について伺います。
 高野・熊野両地域とも、県内有数の観光地であることは言うまでもありません。特に世界遺産登録後、多くの観光客を迎えています。しかし、同じ和歌山県というだけで、特に個人や少人数で来られる観光客の中には高野・熊野の位置関係が認識されていなく、高野と熊野は近いと思っている人が多く見られます。このような観光客に対して、両地域を結ぶ公共交通機関の案内や、冬季は高野龍神スカイラインのルートが通行どめになるなどの情報発信をどのようにしているのか、お聞かせください。
 次に、地域間の連携について伺います。
 観光を初め地域振興を目的として、西牟婁振興局管内を対象とした南紀エリア観光推進実行委員会と、東牟婁振興局管内を主に対象とした熊野地域活性化協議会という2つの会が約10年前から結成されて現在に至っています。それぞれのホームページ1つを取り上げても、「南紀ほんまもん王国」「熊野大辞典」に分かれていて、エリア地図や情報も、主に関係市町村でとどまっています。今後の観光施策として和歌山を広く発信していくためには、東西牟婁2つのエリアの連携を図り、熊野古道で結ばれる地域の情報発信をしていくことが望ましいと思いますが、当局の考えをお聞かせください。
 熊野を題材としたNHKの朝ドラ「ほんまもん」が放映されたのが、早いもので7年前になります。そのころから県内で取り組んできたほんまもん体験も、すっかり和歌山に定着してきました。昨年9月議会で山下議員が取り上げた着地型旅行も各地で多く聞かれるようになってきました。特に近年、旅行形態の多様化は顕著になってきており、日本観光協会の調査でも、団体旅行が減少し個人旅行が増加して家族や友人と数人で旅行に行くという旅行形態の主流は一段と進行しているのが現状であり、県内各地でも、カヌーや沢登り、農業体験や漁業体験など、体験型観光も好調に推移しているようです。
 ことしのアクションプログラムの中にも、体験型観光のプログラムをふやして取り組まれているようですが、地域で企画したいわゆる和歌山産の着地型旅行を取り扱う県内旅行関連事業者のネットワークを構築して、特色ある幾つかの地域を結んで滞在型観光に発展させていく必要がありますが、現在の取り組みをお聞かせください。
 ビジット・ジャパン・キャンペーンがスタートした平成15年から、外国人観光客の増加には目をみはるものがあります。特に近年のアジア諸国の経済成長は、日本への多くの観光者を迎える要因となっています。関西空港に近接し、アジアから近い観光地として、これからの外国人観光客誘致への積極的な対応が課題となります。関西圏でも京都、奈良といった知名度のある観光地に対抗するには、他の地域にはない和歌山の特色を生かした情報発信も必要となります。外国人観光客誘致への取り組みについてお聞かせください。
 次に、地域を誇れる教育について教育長に伺います。
 昨日の質問にもありましたが、全国学力・学習状況調査結果につきましては、今後の学校教育現場に十分生かされるよう期待をいたします。また、調査結果に一喜一憂することなく、長期総合計画にあるように、変化の激しい社会に対応できる生きる力をはぐくむ教育、自分の住む故郷を愛し誇れる教育に力を注いでほしいと思います。
 今回は、自然や地域との関係が希薄化する中で、子供たちが体験活動を通じて自然や地域とのかかわりを経験して心豊かに成長していくことを望み、そのためには、青少年を育てていく土壌となる地域や家庭の教育力の向上にどう取り組まれるのか、また教育母体である教育委員会の連携をどうしていくのか、この3点について伺います。
 地域を誇り愛するという心をはぐくむことは、子供たちの将来に大きな影響を与えるものだと思っています。ある講演で、「西洋では、ウィリアム・テルが町で悪代官ゲスラーを退治し、そして故郷の森に帰っていきました。眠れる森の美女も、最後は物語が森のお城で完結します。しかし日本では、一寸法師はおわんの船にはしのかい、都に上って立派になり、山で育った金太郎も都に上っていき、立派になりました。都と立身出世で物語が完結することが多いのではないか」というお話がありました。地域を愛し、誇りを持つためには、子供のころから地域を愛する教育の必要性を感じました。
 今から10年ぐらい前でしょうか、IQからEQへと、職場でも、頭はよいのだが人づき合いが下手だとか、自分の感情をコントロールできないとか社会性の問題が取り上げられ、教育の場でも、「いらいらする」「キレる」などという言葉が多く聞かれるようになりました。知能や知識だけではなく感情を上手にコントロールできる力、相手を理解し、思いやる心を育てるにはどうすればよいのか。知能指数から感情指数へということが言われました。子供たちの豊かな感性を高めるためにも、自然や社会に触れ合う体験活動は不可欠です。
 「百聞は一見にしかず」と言います。星は美しいと何度も教えるより実際の星空を見せたほうが子供たちは感動するでしょうし、核家族化により、大人といえば自分の親か、せいぜい親戚の人しか知らない子供たちにとって、奉仕活動など、地域で多くの大人たちから学ぶことは大きな意義があると思います。学校教育の中でも、体験活動により、どのように取り組まれているのか。また、地域にかかわりを持つことが地域を愛し、地域に誇りの持てることにつながるのではないかと考えますが、地域とのかかわりのある活動はどのようになされているか、お聞かせください。
 2点目は、子供たちをはぐくむ地域や家庭の教育力について伺います。
 野菜づくりも米づくりも、それを育てる土づくりが大事なことは言うまでもありません。親の背を見て子は育つと申します。また、大人の行動を常に興味深く見ながら子供は成長しています。家庭や地域の教育力を向上させることは子育てのための土づくりをするようなもので、地域に住む大人が子供を地域の宝として育てていく取り組みが必要です。同世代の人と交わる学校教育と違い、年齢や職業の違う社会人と触れ合うことによって子が地域から学ぶ、また反面、子供たちと行動することで大人が子供たちから学ぶことも少なくないと思われます。
 先般も、本宮で、和歌山大学の堀内教授がコーディネーターとなり、本宮地域共育フォーラムが開催されていましたが、皆さんが真剣に地域の教育について、よいところや弱いところを語り合っていました。子供たちを育てる土壌である家庭や地域の教育力の向上にどのように取り組まれているのか、お聞かせください。
 3点目は、市町村教育委員会との連携ですが、各学校が抱えるいじめや不登校、暴力行為などの問題を初め、教育関連法の改正や学習指導要領の改訂など、教育のあり方が変化する中では、今まで以上に市町村教育委員会との連携が必要になると思われます。もちろん、市町村教育委員会の主体性は大切にしなければなりませんが、学校教育方針でもお互いの理解が必要ですし、市町村合併などで教育エリアの変更があった地域などでは、教員の配置などにも十分な連携が必要です。教育事務所の廃止後の現状と取り組みについてお伺いします。
 最後に、障害者自立支援法の施行後の状況について福祉保健部長にお伺いします。
 平成18年4月の障害者自立支援法の改正以来、和歌山県でも基本指針に沿った和歌山県障害福祉計画を策定しました。計画についても多くの議員からの質問があったかと思いますし、施行後の運用にも多くの問題点が指摘され、私にとって初めての議会であった昨年6月定例会以降も、毎議会でこの問題については何名かの議員が質問をされています。利用者や関係者にとっては、それほど重要な問題でありますので、現状と問題点について質問をさせていただきます。
 当初から、利用者の負担が大き過ぎるという問題が指摘され、特に在宅の障害者や障害児世帯での負担が大きいと言われていましたし、交通費や給食費の問題なども残されています。作業所や入所施設では、月払いから日払いに変更され、報酬単価の低さゆえに経営が圧迫され、このことが雇用形態の悪化につながり、職員の確保にも大きな支障を来していますし、介護保険の要介護認定調査項目を基本として判定を行う障害程度区分にも多くの問題点の指摘があります。法施行後3年の見直しが現在行われていると伺っていますが、さきに述べた点以外にも多くの問題が指摘されていますので、関係者の意見を広く聞いて、国への要望を初め、きめ細かな障害福祉サービスが提供できるように取り組んでいただきたいと思います。
 次に、小規模作業所の新体系移行についてお伺いします。
 入所者の地域生活の移行には、就労支援体制の確立は言うまでもありません。そのためには小規模作業所などの新体系への円滑な移行が必要となってきますが、支援体制づくりに必要な基盤整備には施設の増改築等の経費が必要である一方で、作業所では、受注できる仕事の確保や諸物価の高騰など厳しい経営を強いられる情勢の中で、効率化が図られずに苦労しながら経営をしている作業所も少なくないのが現状です。このようなことから、小規模作業所の新体系への移行について、現状と県の支援についてお伺いします。
 最後に、市町村地域生活支援事業について伺います。
 障害のある方にとって地域で生活するためには身近で必要な事業であり、日常生活には欠かせないさまざまなサービス提供がなされており、障害のある方々にとっては、ニーズに合った積極的な事業の推進が切に望まれる事業でありますが、この事業を推進するためには、国、県、市町村の負担が生じることであり、事業推進のための予算の確保は非常に重要であると考えています。市町村の財源確保について、国に対してどのような活動がなされているのか、お聞かせください。
 以上、壇上よりの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの泉正徳君の質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 観光振興についての4項目につきまして、一括してお答えをさしていただきます。
 まず、高野・熊野の情報発信についてでございますが、議員御指摘のとおり、両地域の詳細な位置関係や移動に要する時間など、周知徹底を図っていかなければならないと認識してございます。
 観光情報の発信に際しましては、インターネットなどを通じて、タクシーやレンタカー等の利用も含め、少しでも効率的な旅行日程が組めるよう御案内するとともに、高野・熊野は何度も来ていただきたい魅力のある観光地でございますので、機会あるごとにそれぞれの地域を訪れていただけるよう、高野・熊野双方の魅力を積極的にPRしてまいりたいと考えてございます。
 次に、東牟婁・西牟婁地域の連携につきましては、広域的な観光スポットや名物料理、体験観光メニューやその時々のイベントなど、相互に正確かつ丁寧に御案内できることが観光地としての魅力向上につながるものと考えてございまして、観光客に対するサービス向上の観点からも情報の共有は非常に重要であると認識してございます。具体的には、熊野古道で結ばれる両地域の大辺路と中辺路を歩く観光ルートについて、ホームページ等を活用して共同でPRするなど、今後さらに密接な連携が図られるよう取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、県内旅行関連事業者のネットワークの構築についてでございますが、着地型観光におきましては、地域の観光資源を熟知している地元の旅行業者の果たすべき役割は、議員お話しのよう、大いに期待できるものと考えてございます。このため、県といたしましては、これまでに県内旅行業団体と連携しながら、研修会の開催や体験プログラム実施者との情報交換など、県内旅行業者に対する着地型観光推進に向けた支援を鋭意行っているところでございます。
 今後とも、本県が全国に誇るほんまもん体験を取り入れた着地型観光の推進に向けて、県内旅行関連事業者と一緒になって積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 最後ですが、外国人観光客誘致への取り組みについてでございますが、海外からの観光客の誘致は、本県の観光振興のための大きな柱の1つでございます。県といたしましては、誘致対象となっている国ごとの嗜好傾向や本県の認知度などのマーケティングに基づき、積極的な誘客活動を展開しているところでございます。
 東アジア地域に対しましては、現地の旅行会社やマスコミへ積極的に働きかけ、本県の知名度の向上を図るとともに、教育旅行や個人・小グループ旅行など、新たな市場開拓に取り組んでいるところでございます。
 また、歴史や精神文化に強い関心を持っておられる欧米向けには、観光セミナーへの参加や旅行会社へのプロモーション、メディアの招聘などにより、世界遺産高野・熊野の魅力発信に取り組んでございます。来月、田辺市で開催されます第10回国際合気道大会などの機会をとらまえまして、田辺市熊野ツーリズムビューローなども連携いたしまして、熊野からヨーロッパに向けて情報を発信してまいりたいと考えてございます。
 今後とも、各市町村や民間事業者の方々とも連携しながら、より一層効果的なプロモーション活動を展開し、外国人観光客の誘致を促進してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 障害者自立支援法の施行後の現状と問題についてお答え申し上げます。
 平成18年4月に障害者自立支援法が施行以来、さまざまな方面から御意見をいただきました。特に利用者負担については、在宅の障害者や障害児の世帯では負担が大きいという御指摘が多い中で、平成19年4月、平成20年7月の2度の見直しによりまして、低所得世帯の負担上限月額の水準を当初の8分の1から10分の1程度に大きく下げる一方で、軽減対象についても、障害者で年収約600万円、障害児では年収約890万円の世帯まで大きく拡大され、さらに成人の障害者の場合は、本人及び配偶者のみの収入で判定することとなってございます。
 また、障害福祉サービスの費用が月額払いから日額払いへの変更により減収となった事業所に対して、障害者自立支援対策臨時特例基金の特別対策により、従来の事業費の9割を保障しております。また、通所施設については、今年度、報酬単価が4.6%引き上げられるとともに、現在、国において平成21年4月からの報酬単価の見直しが検討されており、県においても事業所の経営状況を踏まえた報酬単価の改正がされるよう、国に対し強く要望しているところでございます。
 また、障害程度区分についても、調査項目や認定基準が個々の障害特性を適切に反映していないとの御意見がある中で、現在、国において関係団体等のヒアリングを行いながら見直しの検討が、さらに、その他障害児支援のあり方や障害者の範囲等も含め、現在、障害者自立支援法の見直しが検討されているものと承知してございます。
 次に、小規模作業所の新体系への移行についてでございますが、法的な位置づけのない小規模作業所が、障害者自立支援法の施行により社会福祉法人以外の法人でも事業所設置が認められたことから、NPO法人等、法人格を取得することで、自立支援給付事業への移行や、あるいはまた市町村が実施する地域活動支援センター事業への移行が可能となりました。
 このため、県では、小規模作業所が移行する場合に必要となる施設の改修、増築等を対象に助成を行う障害者自立支援基盤整備事業を活用するとともに、各種の経営アドバイスを行うなど、ハード・ソフト両面から支援を行っているところでございます。その結果、県が補助金を交付してございました小規模作業所29カ所のうち、23カ所は既に移行してございまして、残りの6カ所についても今年度中に移行する予定であります。
 最後に、市町村地域生活支援事業についてでございます。
 市町村地域生活支援事業は、障害福祉サービスとあわせて障害のある方々の地域での生活を支えていく重要な事業であり、市町村においては、さまざまな工夫をしながら事業展開をしているところです。市町村地域生活支援事業を積極的に展開し、障害のある方々が安心して地域で生活していただくためには市町村に対する財源の確保が非常に重要であるとの認識のもと、近畿府県が一体となって国に対して、地域生活支援事業の補助金でございます統合補助金の予算確保について強く要望してるところでございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 地域を誇れる教育についてお答えいたします。
 まず、体験活動や地域学習に関しまして、自然のすばらしさや大切さを実感したり、さまざまな生活の営みや人とのかかわりを直接体験することは、みずから学び、みずから考える力、豊かな人間性などの生きる力を育成していく上で、大変重要であると考えております。各小中学校におきましては、地域の豊かな自然や人々との触れ合いなどを取り入れた特色ある学習活動が行われ、大きな成果を上げております。
 教育委員会といたしましては、こうした体験活動のより一層の充実と幅広い展開を目指し、豊かな体験活動推進事業などを実施し、その中で、本年度から始めました子ども農山漁村交流プロジェクトでは、生産者の民家に宿泊をしまして、地域の人々と交流する中で、農業、林業、漁業などの体験を行ってございます。平成23年度から完全実施されます小学校の新学習指導要領におきましては、ボランティア活動や自然体験活動に加えて集団宿泊体験の記述が加えられたことからも、今後一層こうした取り組みの充実が図られていくものと考えております。
 また、すべての公立中学校において、地域の企業や商店などの協力を得ながら「和歌山を元気にする職場体験」を実施しておりまして、社会性とともに望ましい勤労観や職業観をはぐくむ取り組みを行ってございます。さらに、地域の方に授業や講話、実技指導などを行っていただく出あい・ふれあい・学びあい事業を実施し、学校での地域学習を支援しているところでございます。
 このような体験活動や地域学習を推進することにより、学力の基礎となるみずみずしい感性やたくましさ、ふるさとを愛する心をはぐくんでいきたいと考えております。
 次に、地域や家庭の教育力についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、地域や家庭の教育力の向上は大変重要な課題であると考えております。
 地域の教育力の向上につきましては、放課後や週末等の安全・安心な居場所を設け、学習やさまざまな体験活動を行う放課後子ども教室推進事業や、子供が公民館などで一定期間寝食をともにし、そこから学校に通う通学合宿等を実施しまして、地域の大人が積極的に子供たちにかかわる取り組みを進めてまいりました。
 家庭の教育力につきましては、本年度、県内3地域におきまして、家庭教育、子育て支援のための基礎講座やスキルアップ講座等の子育てコミュニティ再生事業を実施するなど、家庭教育の学習機会の提供や家庭教育を支援するリーダーの養成とそのネットワークの構築、相談体制の充実に努めているところでございます。さらに本年度からは、重点施策といたしまして、学校、家庭、地域がともに支え合う地域共育コミュニティの形成に取り組んでおります。この取り組みを推進するため、市町村教育委員会とともに、地域の教育課題等について住民や教職員が話し合う共育フォーラムの全市町村での開催に取り組んでございます。
 また、現在、17市町19地域で学校と地域を結ぶ地域共育コーディネーターを配置しておりまして、地域住民が学校を支援したり教育の課題を解決したりする活動の促進に取り組んでいるところでございます。これらの取り組みを通しまして、学校、家庭、地域がそれぞれの役割と責任を自覚し、相互の連携・協力が推進されるものと考えております。
 次に、市町村教育委員会との連携につきましては、御指摘のように、大きな教育改革の流れの中で、また国民体育大会が7年後に近づく中で、これまで以上に重要になってくると考えております。
 昨年度、文教委員会で実施いただきました6地方での懇談会では、廃止されました教育事務所にかわる支援機能を望む意見が多く聞かれました。このため、本年度新たに伊都、日高、東牟婁の各地方に教育指導室を設置し、担当指導主事を週当たり3日程度駐在させるとともに、県内6つのブロックにおける教育長会、指導主事会での指導助言や学校訪問の充実など、連携の強化ときめ細かな支援に努めているところでございます。
 今後とも、教育指導室の効果的な活用を図りつつ、市町村教育委員会とのつながりを大切にしながら各種教育施策を推進してまいります。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 以上で、泉正徳君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 おはようございます。
 ただいま議長からお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問さしていただきます。どうかよろしくお願いいたします。
 まず1点目、和歌山県の偉人を敬う教育についてを質問さしていただきます。
 先月、機会がありまして、福島県の野口英世記念館、こちらに立ち寄る機会がございました。ここには、野口博士の生家、200年間も保存されている。一部改修はされておりますが、その隣接地に記念館を設立して、数々のゆかりの品が展示されておりました。福島県が誇るべき人物にいつでも郷土の人が接することができる、こういう機会を提供されていること、このことで子供は誇りに思いますし、郷土の偉人の功績をいつまでも風化させずに次の世代に伝える、こういう取り組みがされてるなあというふうに思いました。特筆すべきは、野口博士が没した1928年に博士の記念会が誕生し、1938年、財団法人が発足、翌年に記念館が開館し、1954年に福島県が登録博物館、こういう位置づけをして管理しているわけであります。
 ところで、伺ったところ、福島県には、東京オリンピックでマラソン銅メダルの円谷幸吉選手、あるいはウルトラマンの生みの親の円谷監督、こういった方々の記念館、あるいは福島空港にはウルトラマンのオブジェがあるなど、郷土の偉人を誇りと思う、こういう姿勢が伝わってきたところであります。
 ところで、和歌山県と言いましたら紀州55万5000石──歴史の重みのある町として非常に喜ばしいことなんで、誇らしいことなんですが、なぜか明治以降の郷土の偉人、この存在というのは余りクローズアップされていないように感じます。
 ところが、和歌山城に隣接している地域にも、数多くの近世の和歌山人の偉人をしのばせるものがあります。
 例えば岡公園。ここには松下幸之助が建設した市立児童女性会館があり、ここには松下幸之助と奥様のレリーフが飾られております。また、この会館の入り口には、県庁にもあるんですが、保田龍門の作品「母と子の像」、こういったものが展示されております。松下氏、保田氏は、郷土のために尽くしたいと思って、この会館建設のために協力をしてくれてる、こういう事情があります。
 そして、会館の隣には陸奥宗光の銅像が設置されております。陸奥宗光のこの銅像を建立したのは、当時の大橋和歌山県知事、和歌山市長の宇治田省三氏を初めとする経済界の歴々で、この銅像の前に立つと、和歌山県民が陸奥宗光を誇りと思い、後世に伝えたい、こういう気持ちと意思、こういったものがひしひしと伝わってきます。
 もう少し陸奥宗光のことを御紹介さしていただきますと、陸奥宗光の父親、伊達宗広氏は、紀州藩の武士階級でありました。ところが、伊達氏が政争に敗れて藩を追い出されたことから、子供──これは後の陸奥宗光でありますが──行く末を案じた紀州藩主は、江戸幕府からちょうど紀州藩に来ていた勝海舟に向かって、伊達の子供を見てやってくれないか、預かってくれないかと依頼し、勝海舟は神戸の海軍操練所に連れていきました。勝海舟が紀州藩にやってきたときに腰をかけたと言われる石は、今も和歌山市内に残されている。こういった石碑の存在を知ってる人も今では少ないのではないでしょうか。
 そのとき、勝海舟は、それほど期待をして陸奥宗光を連れて帰ったわけではなかったようです。そこで、坂本龍馬に頼んで海援隊で鍛えてもらう、こういうことにしました。預かった坂本龍馬は、ほかの若い人と同じように扱っていましたが、やがてほかの人と違うこと、陸奥宗光の才覚に気づきます。彼が言われた仕事をするのではなくて、言われる仕事を先回りして後工程がスムーズになるように配慮をしている、そういう才能を見出したわけです。このころの坂本龍馬が「二本差さなくても食っていけるのはおれと陸奥だけだ」と言っているように、早くも才能を発揮し始めました。頭のよさを感じた坂本龍馬は陸奥宗光をかわいがりますし、勝海舟にもそのことを伝えております。陸奥宗光が勝海舟の弟子でもあり、坂本龍馬の弟子でもあると言われるのは、このためであります。
 2人の幕末の巨人に鍛えられた陸奥宗光は、後に明治政府で、1894年、伊藤博文内閣の外務大臣となり、近代日本の悲願であったイギリスとの間で締結されていた不平等条約を撤廃させる、このことに成功しております。この内容は、関税自主権の一部回復──これは一部です。後に小村寿太郎により完全撤廃されております──と領事裁判権──これは治外法権ですが──この完全撤廃、この2点を言いますが、この不平等条約改正は当時の国家的課題で、我が国の国家主権を取り戻し、欧米諸国と対等な立場に立つことのできた歴史上の特筆すべき事件でもありました。以降、アメリカ、ドイツ、イタリア、フランスとの不平等条約を改正し、日本が締結していた15カ国との不平等条約すべてを改正、治外法権の撤廃をなし遂げています。
 この実績は、歴代外務大臣として日本の政治史上にさん然とその名を残し、今なお輝いております。それを証明するものとして、外務省には陸奥宗光の銅像が飾られております。歴代外務大臣は何人もおりますが、外務省に銅像が飾られているのは陸奥宗光ただ1人であります。
 しかし、残念ながら、和歌山におきましては、その功績をしのばしてくれるものはそれほど数多くありません。辛うじて和歌山市の吹上、ここに陸奥宗光の生誕地の碑というのが存在しておりまして、民間の方が整備、管理、そういったものをしてくれていると、こういう状況にあります。
 ほかにも、偉人といえば高橋克己博士の存在があります。ビタミンAを発見したこの農学博士は、今だったらノーベル賞級の大発見をしておりますが、さきの3人と比較しても、その功績はまさるとも劣らないものだと思います。
 さらに、和歌山市民図書館には、和歌山市出身のヘンリー杉本画伯の絵画が展示されております。和歌山市で生まれたヘンリー杉本は、アメリカに渡りますが、太平洋戦争が開戦されたことにより収容施設に入れられてしまいます。3年間、そこで過ごすことになりますが、その体験をもとにして収容施設の生活や出来事を作品として仕上げ、例えば和歌山市役所1階のロビーには巨大な絵画が飾られて市民を迎えている、今も迎えている、こういう存在であります。
 そして、忘れてはならないのが、県庁本館、ここの2階、3階には保田龍門の、古事記に登場する紀北の神話、紀南の神話、この2点のレリーフが飾られております。いずれも全国に誇れるような作品で、県庁が美術館のような役割を果たしてくれている。こういうことも指摘しておきたいと思います。ぜひこの作品も、県庁を訪れる方々に案内するとか、学習に来てくれた子供たちに説明をする、そういった取り組みもしてほしいと思っているところであります。
 そして、もう1人、ノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹博士も、和歌山県と実は御縁がございます。湯川博士の両親、小川琢治と小雪は和歌山市に住み、琢治は和歌山中学で学んでおります。さらに、湯川秀樹博士が養子に行った湯川家、これは日高町、ここの出でございまして、そのため湯川博士が和歌山県出身と言われることがあります。事実、1949年、博士がノーベル物理学賞を受賞したことを報道した「朝日新聞」では、和歌山県出身と1面で報道されております。そして、湯川博士の父親、小川琢治のお墓は今も和歌山市吹上に存在しておりますから、やはり御縁があると言えると思います。
 残念ながら湯川博士自身は和歌山県出身ではないので、その中に和歌山が誇るべき偉人の1人とは数えられておりません。何も無理に和歌山県と結びつける必要はありませんが、御縁があるのであれば、和歌山県の生んだ偉人の1人として誇りに思いますし、和歌山県の子供たちにぜひ紹介してほしいと思います。子供たちの理数系、特に物理離れが進展している、こういう状況の中、湯川博士を身近に感じてもらえるような読み物や紹介方法、こういったものがあれば、和歌山県の小学校から高校生までの生徒、この郷土の偉大な偉人から、知ることから物理学に興味を抱いてくれる、こういうことになるかもわかりません。
 郷土の偉人の功績や足跡を記した教材があれば、今よりももっと目標が身近になり、郷土に誇りを持つことになります。その結果、物理学でも政治の分野でも人材が誕生してくれることになりましたら、これこそ和歌山県の教育の成果だと言えますので、それを目指した取り組みを実施していただきたいとまず思います。
 ところで、県の広報誌「和」、こういった冊子なんですが(冊子を示す)、ここで知事は岡崎久彦さんと対談しております。陸奥宗光の功績を、知事の言葉をおかりすれば、「史実を、きちんと子供たちに教えなければならない。せめて和歌山だけでも郷土教育をきちんとしようじゃないかと、思っています」、このように話しておりますし、その前段には「教科書にはほとんど掲載されていませんが明治維新の紀州藩は、日本の近代化に重要な役割を果たしていたことがわかります」、このように話しております。最後に、「最も大切な地域資源は人材です。教育に力を入れて、世界や日本に貢献できる若者を育てていきたい」として締めくくっているわけであります。
 そこで、提案と質問をさしていただきます。
 郷土の偉人、陸奥宗光を、例えば、ふるさと教育などでもぜひ取り上げていただきたいと思いますが、陸奥宗光に関して知事はどのように思っているのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
 それと、桐蔭高校では、一度だけ湯川秀樹博士に関する記念講演会、これを実施しておりますが、現時点ではそれ以上の取り組みも広がりもないというのが現状であります。理系を志望する子供たちにノーベル賞の夢を与えるためにも、継続的に機会を見つけて湯川振興を図るべきだと思いますが、知事の見解をあわせてお聞かせいただきたいと思います。
 3点目です。平成17年3月、教育委員会は「子どもたちの未来を切り拓く和歌山らしい『学び』を創るために」、この報告の中で「日本に誇る豪快な生き方をした和歌山の先人の生き方を教材化する」、こういうことがあり、陸奥宗光もこの政策提言の中に入っております。このときから3年が経過しておりますが、この点、どうなっておりますでしょうか。また、教科書に陸奥宗光に関する記述を史実に基づいて詳しく掲載する働きかけ、こういったものはいかがでしょうか。あわせまして、和歌山県として副読本などの形を持ったものとして、郷土の偉人の功績を子供たちに教育してほしいと思いますが、この点につきましては教育長に答弁をお願いします。
 この項目の最後でございます。修学旅行において、国会議事堂、ここを訪れる機会があろうかと思います。このときに外務省を修学コースに設定して、陸奥宗光外務大臣の銅像を見学してほしいと思います。郷土の偉人が外務省の敷地内で唯一飾られている外務大臣の銅像になっていると知るだけでも、学習効果があろうと思いますし、この郷土の先輩に引き続いて、将来、この国を担う人物になろうと志を立てる学生を輩出する可能性もあります。
 県内に、これらの偉人の功績の品々や展示するだけの一級資料というのは余りないと思いますから、今さら記念館、こういったものをつくるわけにはいきません。しかし、先ほど言いました岡公園には、これらの偉人の作品や銅像といったものが残されております。岡公園の偉人を、例えば青空偉人博物館として、県庁、市役所、市民図書館、あるいは勝海舟の座した石、陸奥宗光の生誕地、こういったところを加えて、和歌山県の偉人をめぐる教育の一環として見学コース、こういったものを整えてほしいと思いますが、いかがでしょうか。私たちの先輩のことを知る大切な機会になると思いますので、この点につきましても教育長から答弁をお願いしたいと思います。
 続きまして、防災対策であります。
 和歌山県の最大の課題の1つが、東南海・南海地震に備えるための防災対策があろうかと思います。阪神・淡路大震災のときの教訓は、生命を失った原因の大部分が室内対策が講じられていなかった圧死というところにあります。まず室内のたんすやテレビなどが吹っ飛んでしまい、生命を落とす、その後、家具が倒壊して下敷きになる、こういった場合が多いのです。ですから、室内対策は生命を守るためにとても重要な考え方であり、室内対策こそが防災対策、こう言っても過言ではないかというふうに思います。災害が起きてからの対策と明確に区分しておく必要があろうかと思います。
 本日、皆様方のお手元に、新潟中越沖地震、岩手・宮城内陸地震のときの写真資料をお配りしていると思いますので、ごらんいただけたらと思います。(資料を示す)これは、実際に、ボランティア活動で和歌山県内から2つの地震、震災直後に入られた方が特別に許可をとって撮影してきた写真であります。
 例えば、一関の消防本部というのがここにありますが、ここは事前対策、室内対策というのがしっかりと講じられていたため、被害はほとんどなく、そのままであります。したがいまして、その後の防災の司令塔としての役割をしっかりと果たせている、こういう状況があります。それと比較いたしまして小学校のピアノ──これ、グランドピアノですね──こういったもの、あるいは教務室や小学校内のテレビ、こういった重量物が明らかに吹っ飛んでおります。そして一番下、これ、小学校の非常階段でありますが、こういったところも、2階、3階、4階と上がるにつれて、これ──げた箱、道具箱だと思いますが──こういったものが完全に吹き飛んでしまう。こういったところに生徒がいると、生命あるいはけがの危険、こういったものにさらされていたのではないだろうかなと、こういうふうに感じられる次第であります。つまり、室内対策を、防災対策を講じていたとしても、値段が安いからとか、まあやっといたらええわというふうな対策であれば、震度6ぐらいの大地震のときは何の役にも立たない、こういうことがこの写真からもおわかりになろうかというふうに思います。
 ところで、県内においても大災害の被害が高いと予想されている串本町、ここでは保育園、幼稚園のピアノを固定する室内対策を既に講じております。県内としては恐らく先進的な取り組みで、このことはNHKでも取り上げているほどでございます。大地震になりますと、重量物、危険物、こういったものほど吹っ飛んできますから、ピアノ、たんす、テレビ、本棚、こういったものをしっかりと固定しておく、こういう対策が必要であります。NHKの報道によりますと、ピアノなどは専門家による室内対策を講じておくと、震度7──7と報道されておりましたが──固定された状態だそうです。
 このように、串本町の防災対策は進んでおりまして、町立の保育園、幼稚園では重量物であるピアノ類の転倒防止器具の取りつけ工事を既に完了さしている、そういう状況があります。
 ところが、この串本町に続く地方自治体が少ないのが現状ではないでしょうか。危機感の違いによるものもあるでしょうが、私立の保育園では、既に生徒さんの安全を意識してピアノなどを固定しているところが何カ所かあります。和歌山市内に私立のむつみ保育園というのがあるんですが、先日、見学に行って校長先生に案内していただいたんですけども、ここでは、ピアノ、ロッカー、本棚、テレビ、窓ガラス、こういったものはしっかりと対策が施されておりました。特に窓ガラスは、飛散防止シートを張りつけている箇所、割れないアクリルガラスに取りかえる、こういった箇所もありまして、また、動く可能性のある重量物はすべて固定され、いつ大地震が襲ってきても大丈夫なように最大限の事前対策を講じていたところであります。
 そこで、質問であります。危機管理監にお尋ねしたいと思います。
 幼稚園、保育園、こういった児童施設の室内対策はどうなっていますでしょうか。また、今後の計画についてもお示しをいただきたいと思います。
 また、阪神・淡路大震災のときですが、ここでは、マンション、公営住宅、こういったところのドアがゆがんで扉が開かなくなってしまった、こういう事例が報告されております。近くで火災が発生した場合には、仮にマンションが無傷であったとしても外に出られない、こういうことになり、生命の危機を迎える危険性があります。阪神・淡路大震災直後の平成7年、平成8年、この2年間には、大阪市では公営住宅の玄関扉への防災対策が講じられております。市民の生命の安全のために、大阪市は地方自治体として実に迅速な対応をしているわけであります。
 ところが、この後に続いている自治体は非常に少ない、こういうふうに思いますが、県営住宅のドアの対策、こういったものはどうなっているでしょうか。これからの対策の進め方につきましても、危機管理監からお答えいただけたらと思います。
 もう1つ、避難所生活に関してであります。
 避難所は、体育館、公民館、こういったところが適用される場合が多いと思いますが、実は避難所にもピアノや棚がそのまま放置されている場合が結構多いと思います。余震による2次被害を防ぐためにも、避難所と指定されている体育館、公民館の備品に対して、室内対策として金具どめする、こういった対策を講じてほしいところであります。使用する金具は、信頼できる、これはもう第三者機関で実証実験した、こういったものである必要があろうかと思います。安いからといって効果の薄い金具を使用した室内対策を講じても、結局震度6強クラスの大地震が発生した場合には何の効果もありませんから、地震対策用として第三者機関、専門機関が認めたものを使用して安全対策を講じてほしいと思います。
 参考までに、先ほどの資料1で一番上、一関市の本寺小学校、ここはなぜ入れてるかと言いましたら、福田総理、それから民主党の小沢代表、この2人が立て続けに避難所を見に行った小学校として一躍有名になったんですが、この小学校の中も体育館もピアノが無造作に置かれておりまして、余り震災対策を講じられていない、こういうところで避難生活を送っていると、こういう状況がおわかりになろうかと思います。結構ここの視点から漏れるところなんで、この避難所として指定されている体育館についての事前対策の現状についても、危機管理監からお答えいただきたいと思います。
 防災対策の最後であります。企業においては、BCPと呼ばれます事業継続計画、こういった対策を意識しているものの、具体的な対策を講じていない、こういう企業が多いことが課題であります。ところが、静岡県、滋賀県、こういった県では、地元金融機関が企業に対してBCP対策の必要性を訴えかけております。なぜかと申しますと、大震災で企業が打撃を受けると、それらの企業に貸し付けをしている金融機関──これ、地元金融機関でありますが──ここが困ってくると、こういうことからです。地震対策が比較的おくれてると言われてる岡山県におきましても、「東南海・南海地震を想定した企業の自主防災と社会貢献」、こういった報告があります。これをまとめた座長は中国銀行の頭取であります。
 このように、静岡銀行、滋賀銀行、中国銀行、これが地域の企業に対してBCP対策を勧めているわけであります。行政機関と金融機関が連携して、地域の企業への対策の必要性を和歌山県でも訴えてほしいところですが、そこで、これも危機管理監にお尋ねしたいと思います。県と地元金融機関とのBCP対策の連携、及びさきに制定成りました和歌山県防災対策推進条例、これを県内企業のすべてに周知することが減災対策につながると思いますが、条例の周知と徹底についての取り組みはどのようになっておりますか、お答えいただけたらと思います。
 続きまして、関西空港の位置づけであります。
 関西空港を初め、関西にある3つの空港に関しまして、最近、議論が沸き起こっております。個人的にも議会報告会──何度かしているわけなんですが──7月以降、報告会の後の質疑で一番多いのが、関西空港を和歌山県として一体どう思ってんねやと、こういうふうなことであります。これは、大阪府知事、兵庫県知事等々が、伊丹空港のあり方、3空港のあり方、こういったことについていろいろ議論発してるわけなんですが、和歌山県からの発信というのが余り県民の皆さんに聞こえていない、こういうことに起因しているのではないかなというふうに思ってるわけであります。
 橋下知事が国土交通省を訪ねたときの懇談の中で、国土交通省は「関空の立て直しに全力を挙げて取り組む。伊丹空港は何が何でも存続というわけではない」と、こう応じたと報道されてもいます。和歌山県の長期計画におきましても関西空港のあり方についての項目がありますし、また、国内3つの航空会社が関空便十数便を減便する方向でこのまま3つの空港を存続させるのであれば、どのような役割分担を担うべきかの方向性を出さなければ関西空港の位置づけはますます低下すると思います。この点、知事はいち早く国土交通大臣あるいは関空株式会社にも話し合いに行くなどの行動力を発揮しているから、内心心強いものがありますが、ここで質問をさしていただきます。
 今後、3空港を一体的に運用するのか、関西空港にシフトしていくかの考え方、知事が言うところの伊丹空港の利便性をとるのか、関西全体の長期的な発展も考えるのか、この3空港のあり方について。また、9月11日、大阪府知事、神戸市長、関空会社の3者は、空港の経営主体を関空会社に一本化し、一元管理で運営すべきだ、こういう認識で一致した、こういう報道もありますが、地元でまとまって国を動かしたいとするこの動きに関して、利用促進対策も含めて知事の見解をお聞かせいただきたいと思います。
 最後の項目であります。NPOサポートセンターのあり方について。
 和歌山県のNPO活動は非常に活発であります。和歌山県の地域の元気の一部をNPO活動が支えている、これは間違いのないと言ってもいいぐらいの活発な活動をしているところであります。このNPO活動と行政機関和歌山県を結ぶ中間支援組織、この重要性は、このことからかんがみると、ますます重要性は高まってくると思います。
 平成20年の9月9日現在でありますが、和歌山県にあるNPO法人の数は285団体、認可申請中のものを加えると291団体になっています。200団体を超えたのはつい最近のことのように思ってるんですが、今ではもう300団体に近づいていると。
 このように、随分NPO活動の取り組みは進展しているところであります。来年2月11日には、これは県費を出す事業でもあろうかと思うんですが、NPOフェスタ、これを和歌山ビッグホエールで開催する計画があり、今のところ参加者1万人を目指した活動、取り組み、こういったものが行われているところであります。
 ところで、このNPOを支援する組織に和歌山県NPOサポートセンターがあります。県が指定管理者制度を使って、NPO法人「わかやまNPOセンター」に運営を管理している施設でございます。指定管理者制度を導入してから、センターへの来場者、これが従前と比較して50%増加、相談業務は運営を開始してからの2年間で1510件、平成19年度の来場者数は8760人で、対前年度比18%の増加、指定管理者制度導入前と比較するならば50%の増、こういった実績が出ているところであります。実績は数字だけではありません。団塊の世代の地域デビュー支援事業、あるいは企業の社会貢献活動の支援、こういったものも行いながら従来の活動領域をさらに拡大している、こういう活動を続けているところであります。
 ところで、この和歌山県NPOサポートセンターが来年度に廃止されるのではないかといううわさというべき情報が流れまして、県内のNPO団体や活動家は存続するための理由を添えた行動を直接的に起こしているところであります。例えば、NPOサポートセンターの存続を求める署名は、NPO法人を初めとする団体330団体、6700人を超える個人署名が集められ──これ、わずか1週間であります。1週間でこれだけ集められまして、7月23日、知事のもとに届けられていると思います。
 参考までに、このNPOサポートセンターでは、この夏休みに大学生のインターンシップも3名受け入れるなど、さらに幅の広い活動をしております。ここでは、すべてを表現し切れないほどの実績を残している和歌山県のNPOサポートセンターですが、今後のNPO法人の活動を支援するプラットホームとしての役割はさらに重要性を増し、残すことが必要だというふうに思います。
 そこで、知事に質問をさしていただきます。
 長期総合計画、ここでもNPO法人の設立数が全国有数であると評価しているように、全国的にも和歌山県のNPO活動は熱心だと、こういう評価もしているわけなんですが、このような和歌山県内のNPO活動について知事はどのような認識を持たれているのでしょうか。
 2つ目であります。NPO活動が活性化している現在においても、支援組織としての和歌山県NPOサポートセンターの存在意義と重要性は、従来と何ら変わらないというか、それ以上に重要性を持ってきている、そのように思いますが、この施設のあり方につきましてどのように考えているのか、見解をお聞かせいただきたいと思います。この点も知事によろしくお願いしたいと思います。
 以上で、第1問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございます。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、郷土の偉人を敬う教育についてでございます。
 実は私は、知事に当選しましたときですかね、記者会見を受けまして、「あなたはだれか尊敬する人はいますか」と言うんで、「たくさんいるけども、1人挙げろと言われれば陸奥宗光かなあ」というふうに記者の方に答えたことがあります。それほど実は私は大ファンなんでございます。
 それで、陸奥宗光に限らず、郷土の偉人を誇らしく思う気持ちというのは大変大事なことだと思いますし、そういうことの大事さについての理解については、私は人後に落ちないと思います。特に若い人に勇気を与える──我々はその偉人とDNAを共有してるんだというような意味で、若い人たちに勇気を与えるという意味で──教育上の配慮を、郷土教育をしていこうということは大変大事なことだと思っております。
 そこで、私どもは長計を提案するに当たりまして、教育のところで、人づくりのところで、その1つの目標として、郷土教育をきっちりできる和歌山県の教育でありたいと、そういうふうにやろうということを決めまして、それで議会にも御賛同いただいて、その実行として、今、教育委員会で教材づくりとか、学校教育の中でどういうカリキュラムにしていくかとか、そういうことについて具体的な作業を進めているところでございます。
 陸奥宗光その人につきましては、先ほど片桐議員からお話がありましたとおりでございますけれども、その話をいろいろコメントしておりますと1時間ぐらいしゃべっとるということになりますので、大変立派な方だということのほかに一言だけ申し上げますと、実は私は、明治維新というのは和歌山モデルでできておるというふうに思っております。最近、実は勉強したのでございまして、紀州藩が明治維新の後、改革をした、そのモデルを、実は陸奥宗光等々の──それは宗光と伊藤博文の建議によるんですけれども──それを明治政府自身が取り入れて、それで明治政府の近代化路線というのは決まっていったと。そういうことについて、残念ながら紀州藩の人たちが新政府の中で陸奥宗光と浜口梧陵を除いて大臣の位に上った人というのは2人しかいない。残りの人はみんな消えてしまった。それで薩長の人ばかりが残って、紀州藩の功績みたいなのが消えてしまったというのは、残念ながら、私は歴史的事実だと思っています。
 ただ、もっと残念なのは、そういうことについて私自身が、和歌山育ちなんですけれども、ちっとも教えられておらん。陸奥宗光は和歌山出身ぐらいは知っておりまして、外務省に行きますと裏手のほうに銅像が1つだけ建っていて、あっ、和歌山出身の陸奥宗光だけが建っとるなあというふうに思っとるんですが、その持ってる意味みたいなのをそれほど勉強していたわけではなくて、お話がありますように日清戦争のときの指導者とか、あるいは不平等条約を直すときの物すごい功績のあった方で、それに成功して精も根も尽き果てて病気で倒れたと、こういう方だということは認識をしておりました。
 ただし、そういうことをもう一度再発見さしていただいたのは、私は就任以来すぐ県立博物館に行って、それで写真を見ました。それは一葉の洋式軍隊の写真で、「何だ、これは。奇兵隊か」と私は愚かにも言ったら、「いやいや、和歌山の軍隊ですよ」ということで、今のような話が延々と理解されるに至ったわけであります。
 したがって、何を申し上げたいかというと、郷土の子供たちにそういうことをきちんと教えるということは、和歌山県としては本当に大事なことなんではなかったかということを申し上げたいと思うわけで、それが長計の話になっとるわけでございます。
 同時に、湯川秀樹博士についての知識も、多少は私もありました。もちろん立派な方で、片桐議員から御説明のあったような和歌山との関連があるということでございますが、その和歌山との関連というのは、これまた最近知りました。もっと前に知ったのは、小川琢治さんの御子息で、例えば小川環樹さんとか貝塚茂樹さんとか立派な兄弟が学者でずらっといて、その方々の教科書を読んで私たちは勉強したわけでありますが、だけど、その方が、申しわけありませんが、私は和歌山にゆかりのある方であるということは子供のころは知りませんでした。今は知っとりまして、これはいかんということで、ぜひその郷土教育で郷土の偉人をたたえることによって若い人たちが「DNAを共有している我々ももっと頑張れるはずだ」ということでやる気を持っていただくということを、教育上きちんとやっていくというのを目標にしたいというふうに考えている次第でございます。中身につきましては、教育長から後で答弁があると思います。
 次に、関西国際空港の位置づけについてでございます。
 これにつきましては、私は片桐議員から御指摘を受ける前から、関西の発展にとっては関西空港の発展というのは絶対に必要だと。なぜならば、関西が羽ばたくためには、世界との関係を、東京からの流れじゃなくて関西自体が世界に発信されるものでなきゃいけない。そのためには、空港があって、その空港が日本全国、あるいはアジア近隣国に全部つながってるというハブ・アンド・スポークのかなめになきゃいけない。そうすることによって関西全体が伸びる。しかも、これは和歌山空港と言ってもいいぐらい近いわけですから、関西空港が発展することによって和歌山も伸びるというふうに思っております。したがって、関西空港を守るためには、もう必死で頑張らないかんというふうに思っておりまして、先ほどの減便の際も、たまたま私は今関西ブロック知事会の会長を順番で務めておりますので、それを利用しまして早速運動した次第であります。
 それで、これについて、じゃ、どうしていったらいいかというと、関西に3つの空港があって、ばらばらにそれぞれが自己主張しているという事態はやっぱりおかしいというふうに思います。したがって、3空港の一体的運用がぜひ必要だ。例えば、関西広域連合というような構想があります。そのときに、私はそういう構想のときに申し上げておりますが、「もしこれを推進するのであれば、具体的に関西にある空港の一体的運用などできなくて何が広域連合であるか。和歌山県としては賛成する用意は初めからあります」というふうに申し上げております。なかなか議論がありますので具体的な話はそんなに簡単には進みませんけれども、粘り強く和歌山県としてはいろんな手段を通じて、その一体的運用によって関西空港が伸びて、それによって、和歌山県だけじゃなくて関西全体が伸びるということをぜひ実証していきたいと考えております。
 そのためには、もちろん基盤整備も必要でありますし、それから関西国際空港への国内線のシフトが必要であると思います。そのためには我々も努力をしなきゃいけない。大きく構想で努力するだけではなくて、日々の努力もしなきゃいけないということで、先ほどの近畿ブロック知事会の地位をこれまた利用いたしまして、9月から11月までの3カ月間を関空利用促進強化月間というふうにみんなで合意しまして、各府県がそれぞれ利用促進に取り組むように運動しようじゃないかということを提唱して、これを実行に至らしめております。そのほか、これからいろんな議論が出てくると思いますので、関空を大事にするような形にできるだけ力を発揮していきたいというふうに思っております。
 次に、NPOサポートセンターについてでございます。
 これはまた、尋ねられていないんですけれども、ちょっと申し上げますと、NPO活動ということについては、これは生きがいの探求ということで、人々を元気にする意味で大変大事なことだと思っております。
 実は、私は経済企画庁で──これは割合政策実行力において弱体だと言われておるんですが──それを率いまして、NPO優遇税制というのを無理をして実現さした人間でございます。そういう意味では、NPO活動の大事さというのは大変わかっているつもりです。ただし、和歌山県へ来てちょっと思ったのは、付言ですけれども、NPOというアルファベットがついている団体だけを和歌山県は大事にしている。それならば、もともとあるいろんなボランティア団体、それから例えば何とか婦人会とか老人会とか地区連合会とか消防団とか、そういう方もボランティア精神、自発性という意味では大変とうといということをまた主張しなきゃいけないとも思っております。
 ともあれ、NPOセンターについては和歌山県の政策的なヒット商品だと思っておりまして、このNPO法人の人口10万人当たりの認証数は、お話にありましたように20年7月末現在で全国11番目、総数283ということになっております。たくさんの県民の方々がNPOやボランティア活動に携わり、さまざまな分野で地域の問題解決に取り組んでいただいております。とりわけ、高齢者・障害者支援、ひきこもり支援等、主に福祉・環境分野でNPOが増加して県との共同事業に取り組むなど、活躍していただいてるところも評価したいと思います。そうした県民の皆さんの活動がより活発になることで元気な和歌山につながるものと考えております。
 また、実はNPOサポートセンターというのは県営の施設なんでございますけれども、平成14年に開設いたしましたが、世の中の流れで平成18年度から指定管理者制度、お話にありましたようにNPO法人のわかやまNPOセンター──ちょっとややこしいんですけれども──この方に指定管理者になっていただいて、それで管理運営をしていただいております。その管理しておられるNPOのわかやまNPOセンターの単なる施設の管理者にとどまらない活動によって今の活動水準は保たれていると思って、大変感謝をしているところでございます。
 ただ、これからNPOの活動で大事なことは、だんだんと成熟してまいりますので、NPOの数をふやすということだけではなくて、NPOに何をやっていただくか、どういう形でNPOの力を和歌山県民のために使うかということが大事だと思っております。
 と同時に一方で、県政の最重要課題というのもちょっとつらいんですが、行財政改革の観点からは、すべての施設についてできるだけ公費を節約していくということも、また考えていかないといけないと思います。したがいまして、聖域なく全体を見直すという意味で、このNPOサポートセンターという県営施設をどのぐらいの財政規模でどういう形で維持していくか、そういうことについてはこれから見直していかないといけないと思っております。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 危機管理監森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○危機管理監(森 崇君) 防災対策についての御質問に一括してお答えいたします。
 初めに、幼稚園や保育園の室内対策の現状でございます。
 幼稚園は110施設のうち74施設で、また保育園は227施設のうち142施設で室内対策を実施しております。
 議員御指摘のとおり、県では、地震から園児の命を守るためには、ピアノの固定などの室内対策が重要であると認識し、市町村に対し補助を行っているところです。また、民間保育園における防災対策の補助施策として、総合防災対策強化事業もございますので、その利用も含め、今後とも市町村に幼稚園や保育園の室内対策をさらに進めるよう働きかけてまいります。
 次に、県営住宅のドア対策の現状でございます。
 現在、建てかえ事業を実施中の今福第2団地におきまして、耐震仕様の玄関ドアを採用しております。今後とも、建てかえ事業を実施する際、耐震仕様の玄関ドアの導入を図ってまいります。
 避難所として指定されている体育館の現状でございますが、県立学校32施設のうち30施設で室内対策を実施しております。市町村所有施設の室内対策についても指導しているところでございます。避難所において、本震や余震による災害を防止するため、体育館における室内対策をさらに進めるよう市町村に働きかけてまいります。
 次に、企業の事業継続計画でございますが、商工会議所及び商工会連合会と連携し、研修会などを実施し、普及啓発に取り組んでいるところでございます。
 御質問の県と地元金融機関とのBCP対策における連携につきましては、現在、地元金融機関との戦略的互恵関係の構築に向けて取り組みを進めておりまして、今後、そういった場において検討してまいりたいと考えております。
 防災対策推進条例の周知につきましては、「県民の友」や県広報番組「きのくに21」などで取り組んでいるところでございます。県内企業については、商工会議所と関係団体とも連携しながら周知徹底に取り組んでまいります。
 近い将来、必ず起こると言われております東南海・南海地震に対し、県民の生命、財産を守る防災対策、特に室内対策には、関係機関と連携、協調して積極的に推進してまいります。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 和歌山県の偉人を敬う教育についてお答えいたします。
 郷土の偉人の教材化につきましては、第5期きのくに教育協議会の和歌山の先人の生き方を教材化するとの提言を受けまして、防災教育の副読本といたしまして、浜口梧陵の絵本を作成いたしました。
 陸奥宗光につきましては、小学校で指導すべき人物の1人として教科書にも記述をされておりまして、各学校で学習しているところでございます。ふるさと教育の副読本「わかやまDE発見」でも、これは十分ではございませんが、取り上げております。
 和歌山にゆかりのある歴史上の人物を郷土の偉人として学習することは、子供たちに地域への愛着と誇りをはぐくむことにつながると考えます。今後は、現在改訂中のふるさと教育副読本におきまして、郷土の偉人に関する記述を充実させるとともに、児童生徒に親しみやすい教材となるよう作業を進め、ふるさと学習の充実に努めてまいります。
 次に、修学旅行や遠足のコースにつきましては、児童生徒の実態に合わせまして、ねらいを持ってそれぞれの学校が独自に設定をしております。
 議員御指摘のとおり、外務省の庭にある陸奥宗光元外務大臣の銅像など、県内外には郷土の偉人たちにゆかりのある施設や場所が多くございます。これらを直接訪れて、その業績や生きざま、思いなどに触れることは、子供たちの心に深く響く学習になると考えます。各学校がこうした学習を積極的に展開するよう働きかけてまいります。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
 33番片桐章浩君。
○片桐章浩君 御答弁いただきましてありがとうございます。
 まず、関西空港についてでございます。
 知事の働きかけがあったのか、早速民間企業ではいろんな文書が出ておりまして、海外出張の際、国内出張に際しても関西空港国内線を利用せい、あるいは私事旅行についても航空便を利用する場合は関空を利用しなさいという、こういう(資料を示す)、企業でも回ったりとか、早速効果が出ていると思いますんで、引き続き知事からも働きかけをお願いしたい、このように思います。
 それから、もう1点でございます。答弁を求めても多分難しいので、また委員会等でやりたいことがあるんですが、NPOについてでございます。
 知事が先ほど御答弁でおっしゃっていただきましたように、県民のために何できんのかというのがNPOの課題だというふうにおっしゃってまして、実は、単なるNPOの数をふやすとか、そういう取り組みだけではなくって、もう県の仕事の下支えをしている、こういう取り組みも既にされております。例えば行政職員の研修の講師派遣ということで、既に行政の職員1321名に対してNPO活動家が講師としてこういった活動の説明に行っている。あるいは、さきの泉議員の答弁に対する福祉保健部長の答弁にもありましたように、小規模作業所がいろんな法的な措置を受けようとしたらNPOへ移行するという、こういう必要があります。29のうち23、もう行ってると言いましたけども、こういったもののサポート、設立とか法的な面のサポートもすべてしているのがNPO、和歌山県のNPOサポートセンターの役割であります。
 既に活動の領域という意味ではある程度ウイングを広げておりますんで、足らずのところは知事からの御指導があろうとしても、現状の活動を十分認識していただきまして、ここを拠点、プラットホームとしてさらに存続さしていただきたいということを強く要望さしていただきまして、一般質問を終わらしていただきます。ありがとうございます。
○議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時27分休憩
────────────────────
  午後1時1分再開
○副議長(山田正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に従い、早速一般質問に入らせていただきます。
 まず初めに、県内小中学校の耐震化についてお伺いをいたします。
 中国四川省の大地震を節目にして、全国的にも、また県民にとっても、この学校施設の耐震化が地域の大きな関心事となってきています。学校施設は、子供たちの命に直接かかわる施設というだけでなく、地域の防災拠点としての機能を持った施設であることから、県民全体の課題であるのは言うまでもありません。
 6月には、国会において超党派での法改正が実現し、改正地震防災対策特別措置法では、倒壊の危険性が高い校舎の耐震改修や改築の補助がかさ上げされました。5年間で学校施設の耐震化を計画していた教育振興基本計画のスピードを上げて、危険性の高い校舎については3年間で対応を完了させようというのが国挙げての取り組みとなっています。
 さきの議会でも、県内学校施設の耐震化の問題が取り上げられました。教育長答弁によると、県立学校については耐震診断100%、耐震化率は86.7%です。一方、小中学校では耐震診断95.3%ですが、耐震化率は60.9%でした。耐震診断が、子供が利用しない施設や改築計画中のものなどを除くと、抜かりなく耐震診断されているという状況は評価できる点です。
 報告された県内学校施設の耐震化状況を詳しく見てみると、県立学校の耐震化が順調に進んでいる一方で、県内市町村の小中学校の耐震化率は全国平均より低い数値となっているとともに、市町村別の数値と取り組み状況にはかなりのアンバランスがあるんではないかと思っています。順調にこの計画を、対策を進めている市町村となかなか進まない市町村では、この差が開く一方だという状況になってはいないかと思うわけです。このままでは一層差が開きます。わずか数年の間で耐震化を飛躍的に高めようと思えば、進まないところがなぜ進まないのか、どうやってここのところを進めるのかがかぎとなる、こういう思いで今回の質問をさせていただきたいと思います。
 まず、第1の質問の観点は、県内の状況を見ると、市町村の耐震化計画が年度別に具体的に計画されているところが少ないのではないかという点です。5年間で耐震化を進めますと教育振興基本計画でなっていても、来年どこをやって次の年はここまでといって、こういう具体的な計画、年次的な計画がなければ絵にかいたもちとなってしまいます。県内小中学校の耐震化状況と市町村の年次計画について、現状をどう認識しているのか、また、耐震化計画を進める上でどこに問題点があると考えているのか、まずこの点を教育長にお尋ねをいたします。
 次に、耐震性のない危険な施設への対応について質問をさせていただきます。
 私は、今回の質問に当たり、昭和56年以前に建築された学校施設に焦点を当てて調査を行いました。先ほどの耐震化の数字、約60%と申し上げましたが、これは新しい施設も古い施設も一緒にした総合的な耐震化率なんですね。建築基準法が改正された昭和57年以降の建物は、構造上は耐震性が確保されているという考えですから、耐震工事のいわば対象から外れるわけです。昭和57年以降の新しい施設が比較的多い市町村というのは、初めから耐震化率が高いわけで、スタート台が違うんです。要は、昭和56年以前に建築された施設にどう取り組んできたか、そして進んでいないのなら何がネックになっているか、そして、それを進ませようとすれば何が必要か、これを議論することが大事だと考えたわけです。
 議場に配付している資料をごらんいただきながらお聞きいただきたいというふうに思います。(資料を示す)
 県内小中学校全体の施設数は、合計1437棟となっています。このうち耐震強度があるとされている昭和57年度以降の建物542棟を除くと、昭和56年以前のこの施設は、表にありますように895棟ということになります。今回、調査をいたしてみますと、この895棟のうち、耐震化済みのものが333棟でした。この内訳は、診断の結果、十分強度があって耐震化工事の必要がないもの、これが123棟、また、既に耐震化工事が完了したものが210棟です。これに加えまして、子供がこれから先、利用しない施設や改築予定施設等が耐震診断未実施と、こういうふうになっており、県内全体で42棟あります。これも耐震工事から外して考えることができると思います。この結果、耐震化されていない施設、耐震化が必要な施設の合計、これは、ここにありますように520棟ということになります。
 このピンクの欄に、各市町村別に未耐震化棟数と、それからその耐震化率が一欄表となっています。この欄の耐震化率は、言いかえれば耐震改修の進捗率であり、全体の耐震化率とは違った角度で大変参考になる数値です。ただ、お断りしておきますが、老朽校舎を新しく改築して耐震化もクリアしたところはこの数字にはあらわれてこないわけでして、その努力は別にされていることを申し添えておきます。
 さて、問題はこの520棟なんですね。市町村別にもお示ししたこの棟数を1つ1つ耐震化していかなければならないわけです。この中には、特に耐震強度の著しく低い施設があります。構造耐震指標、Is値と呼ばれておりますが、このIs値が0.3未満のものは、大規模地震、つまり震度6強で倒壊する危険性が高いというふうな施設とされています。改正された法律では、この施設に対する対策の緊急性、前倒しを図るために、補強工事をする改修、そして建てかえる改築、ともに国庫補助率がかさ上げされたのです。そして、この危険性の高い施設以外は──これは倒壊の危険性がある建物と呼ばれていますが──耐震性がなくて耐震化が必要とされていることには何ら変わりはありません。
 そこで、教育長にお尋ねをいたします。
 この耐震性が確保されていない県内520棟の施設のうち、耐震化が急がれる施設、Is値が0.3未満の倒壊の危険性が高い施設は何棟あるというふうに認識されているでしょうか。また、残り、Is値が0.3以上あるが耐震基準に満たない倒壊の危険性がある施設は何棟になりますか。また、それぞれにはどういった手だてが考えられているのか、御答弁を願いたいと思います。
 3点目に、耐震診断の問題についてお尋ねをいたします。
 私は、この昭和56年以前の施設への対応を調査してみて、耐震化事業の今後のかぎを握るのは耐震診断の部分だというふうに考えました。耐震診断には1次診断と2次診断がありまして、1次診断は構造的な強度を推しはかる基本的な診断なんですけども、その図面をもとにした比較的簡単なものであるのに対し、2次診断は本格的に校舎をくりぬいて構造物を検査するという違いがあります。2次診断では、文科省の補助制度とともに、国交省が持っている3分の1補助の制度も約半数の市町村で活用をされています。
 ところが、今度は、資料の黄色い欄をごらんいただくとわかるように(資料を示す)、先ほどの520の施設のうち、まだ1次診断しかやっていない施設、この施設が228もあるわけなんですね。そして、市町村別に、特に仕分けて見ていただくと、耐震化の方向性の定まらない自治体は、耐震化の工事はもとより、診断のほうも2次診断が進んでいない、こういう状況があるというふうに見てとれると思います。
 ここで大事な点は、先ほど言った国の新しいかさ上げ補助事業に乗ろうにも、この2次診断の数字がちゃんと出されていないとその補助事業を申請できないんですね。また、危険性が高い施設から順序立てて冷静に計画的に耐震化を図っていこうにも、2次診断の正確な数字なしには私は進まないというふうに思っています。ですから、文字どおり実際に耐震化事業にかかろうとすれば、ことし、来年のうちにこの2次診断をどう飛躍的に具体化するかがかぎではないでしょうか。2次診断を進める上で、県教育委員会として何が必要で、どうしなければならないと考えているのか、教育長の答弁を求めるものです。
 次、4点目に、耐震診断結果の公表の問題で質問をさせていただきます。
 今回、国の改正された地震防災対策特別措置法では、耐震診断の実施と、それから結果公表、この2つが法的にきちんと義務づけをされました。うちの子供の通う学校は本当に大丈夫か、こういう親や地域の不安にできるだけ正確にこたえ、今後の対策を危険度の高いところから合理的に進めていく上で、まず情報を公開し、明らかにする必要があります。また、ここ数年先の市町村事業の中で学校耐震化が相対的重点になり得るかどうかは、危険度情報の共有、透明化による住民の世論や意識にかかっているという点でも大変重要な問題だと考えます。
 県立学校施設の耐震診断結果公表はもちろんですが、市町村が速やかに耐震診断結果を公表するよう、県教育委員会としても指導すべきだと思いますが、この点についても教育長からお考えをお聞きしたいと思います。
 さて、今後、この和歌山県内の耐震化率を上げ、子供の命を守るためには、県内小中学校の設置者である市町村の努力、これはもちろん第一義的に重要です。しかし、耐用年数も見据えながら10年、20年かけて順次進めていくというなら、これは市町村の財政力で可能なんですけれども、短期的に集中して耐震化をやり切ろうと思えば、財政的な困難が伴います。義務教育の学校施設である以上、国の財政措置がどうしても必要だというふうに私は考えます。ところが、これまでの国の耐震化予算のつきぐあいでは、20年以上もかかってしまう、こういうふうに計算されてました。しかし、今回の補助かさ上げと連動しまして、来年度予算に対する文部科学省の概算要求では、耐震化予算が前年度比71.3%増、1801億円が計上されました。
 市町村の事業化を進めるためには、全国市長会も要望しているように、国レベルでのさらなる補助拡大が必要であり、国に対して強く働きかけるようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 また、今回、国の補助かさ上げに含まれなかったIs値0.3から0.7までの施設、これは危険性が高くて緊急性がある施設には含まれなかったもんですけれども、耐震性が確保されていなくて耐震化工事が必ず必要な施設です。3年間、この0.3未満の施設のほうばっかりに目がいってしまっては、教育振興基本計画の残りの2年でこれらを対策できるわけがありません。ここへの計画的な対応、耐震診断の促進策、これも重要になります。そのためには、県独自の補助制度も私は検討する必要があると思います。先進県だった静岡県、それから続いて福井県、そして高知県などの県に続いて、香川、それから徳島でも県独自の支援策を始め、これは広がってきています。
 特に、先月8月に発表された徳島県の例などは、私、大変参考になると考えています。1つ目の特徴は、Is値が0.3から0.7までの施設に注目をし、国が支援できていない分を県と国が一体となって市町村を支援しようと言ってる、そういう制度です。これには道理があります。そして、2つ目の特徴は、市町村の単年度負担を軽減しようという発想だということです。耐震補強費用は、かさ上げ対象外の施設は国補助が2分の1で、残りの2分の1の施設は市町村負担なんですね。その市町村負担の75%は起債が充当できます。平たく言うと、ローンが組めるわけなんです。でも、残りの25%は単年度負担となって、手元の現金、キャッシュが要るわけなんですね。その単年度負担の7割を県の市町村振興資金で無利子貸し付けを徳島はやります。こうすれば、単年度負担は補助かさ上げの事業並みに改善をされます。さらに、その資金の償還が始まる3年後には、償還額の7割を補助して市町村の負担を軽くしてあげましょうという仕組みなんですね。
 それから、高知県の県単制度は、このIs値0.3から0.7の施設に対し、これは改修経費の6分の1を補助します。耐震診断にも補助があります。
 こういった県独自制度というのは、耐震改修が必要な施設の数をたくさん抱えている自治体とか、財政的に困難を抱えている自治体にはとってもいい制度、かゆいところに手が届く制度ではないでしょうか。もちろん、これですべて救われるわけではありませんが、問題の焦点を絞って県が支援する部分をつくったということは、市町村にとって大変励ましになるというふうに思います。
 私は、07年2月議会でも、学校耐震化のための県の補助制度創設を質問いたしましたが、当時は前向きな答弁はありませんでした。今こそ国や市町村とともに、県内小中学校耐震化促進のために、和歌山県としての補助制度に一歩踏み出すべきではないでしょうか。教育長の御答弁、お願いいたします。
 学校耐震化問題の最後に、知事に対しても質問をさせていただきます。
 耐震化事業そのものは教育委員会の仕事であるわけですが、県内市町村の中で耐震化が進まない大きな理由の問題の1つが市町村の財政的理由であるならば、市町村の財政そのものへの支援、県との連携というものが必要ではないかと考えて、あえて知事にもお伺いをするものです。
 市町村にとって、実は学校施設の改築や補強というのは大変頭の痛い問題です。なぜなら、一般的な施設とか道路とかという公共事業と比べて補助率とか起債の充当率が低いために、市町村の持ち出しの部分が大きい、単年度負担が重いという特徴があります。
 例を挙げますと、有田川町の田殿小学校、最近建てかえた学校です。知事も、農免道路の開通式典で、あのときにおいでいただいた学校です。学校本体の事業費が8億円──校舎だけですよ──かかったそうです。しかし、文部科学省の補助対象の基準が低いために、そのうち5億円余りしか補助対象とはならなかった。補助というのは、その補助対象の3分の1ですから、結局国から来たお金は2億円にもならなかったわけなんですね。学校建設には校舎だけでは済みません。旧施設の撤去費用、体育館、プール、グラウンドの拡張、さまざまなことが絡んできます。この間の竣工式の会場となった集会所の施設なんていうのは、もちろん地域との交流施設ですから別会計ということになっています。市町村の持ち出しが本当に大きいんですね。
 ですから、市町村は、築40年、50年たっている校舎を今さら補強するのか、それともいっそ改築するのか、悩んでおります。もちろん、児童数減少による将来計画もあるでしょう。しかし、この先必ずやってくるであろう大地震に対して、それまで待つわけにはいかないというのが世論の声であり、改正された法の趣旨でもあります。
 市町村教育委員会とともに悩んでいる市町村当局に対しても、十分に要望を聞き、相談に乗る必要があるのではないでしょうか。財政負担軽減のため、市町村振興資金の活用や起債の充当率を上げる制度など、単年度負担を減らすための制度などの財政的援助や支援がどうしても必要じゃないでしょうか。県民の安心・安全の確保という観点から、国、県、市町村、教育委員会など、関係方面が連携して有効な手だてができるよう働きかけるべきだと考えますが、知事のお考えをお示しいただきたいと思います。
 次に、2つ目の柱となる鳥獣被害対策について質問に移らせていただきます。
 今回の質問に際して、地元の被害実態と対策事業の現場を調査に回らせていただきました。有田川町の吉見地区、岩野河地区、湯浅町の山田地区、広川町柳瀬地区などに伺いましたが、極わせミカンの出荷を前に猿の被害で、まだ青いミカンがいっぱい、木の上で、また木の下で食べ散らかされています。赤く色づくころにはどうなることかと頭を抱えておられました。また、畑の中にはイノシシの通り道あり、遊び場あり、あちこちにふんも見られて、お手上げ状態です。シカの被害も広がってるようです。
 踏み荒らされた田んぼも御案内いただきました。この地域では、猿よけのビニールハウスならぬ金網ハウスというのがたくさんあります。金網のおりの中に人間が入って──動物園と逆なんですが──その中で農業をしないと、もう何も作り物できへんという状態です。また、防護さくで対応した地区の被害は減っているものの、今度はそのお隣の地域、下の地域に被害が出てきているという状況でした。
 イノシシやシカについては被害地域の拡大が見られ、猿については駆除が進まないために個体数がふえているという声が出されています。また、住民の方は、直接農産物への被害金額にはあらわれてこないものの、自家消費用の野菜とかをことごとく収穫直前、前の日とか前の前の日とかにやられてしまうと、金銭面というよりも精神面でのショックが大きい、そんなふうに地域の方々はおっしゃってました。つい1月前には、国道480号、有田川町内で、飛び出してきた猿をよけようとした自家用車がガードレールを突き破って有田川に転落、ドクターヘリの出動する大きな交通事故も起こりました。
 この鳥獣被害に対して有効な手だてが打てず、自然環境や生態系のゆがみを放置するならば、いわゆる限界集落を初め、県内のすぐれた自然環境や水資源を保全管理している山間部に耕作放棄地がふえ、暮らしが立ち行かない状況が一層進むことになることから、この農林水産業としてだけでなく、地域政策としても重大な課題だと考えます。
 さて、このような状況の中ですが、鳥獣被害対策については、昨年の12月の国会において鳥獣被害防止特別措置法が可決・成立し、国の予算額も、これまでの1.9億円から28億円へと、10倍以上の位置づけがされました。この特別措置法では、市町村の協議会が実施主体となって、そこが計画、実施する事業に、ハード事業では2分の1の補助、ソフト事業では200万円を上限に10割交付されるという有利な中身になっています。私は、今回の特別措置法が野生動物の生態保護を十分に踏まえながらも、被害対策として積極的に活用される必要があると考えます。
 ところが、この特別措置法に基づく県内市町村の本年度取り組み状況を調べてみると、事業の前提条件となる市町村被害防止計画を持ったところは、わずか3分の1であります。ソフト事業に今年度手を挙げているのも3分の1の自治体、ハード事業に至ってはゼロという実態だというふうに聞いています。
 今回の特別措置法では、こんなふうにうたってるんですね。「被害の現場に最も近く、対策に苦慮している市町村が迅速に防止策に取り組めるようにしたもの」、こういうふれ込みでしたが、実態はそうはなっていません。幾ら始まって間もない法律と事業だとはいえ、もっと積極的に活用されていいはずなのにと考えます。
 そこで、お尋ねしますが、まず県内の鳥獣被害の現状と対策について県の認識を伺います。これまで国事業、県単事業、市町村単独事業と、それぞれに取り組んできたわけですが、被害状況はどう推移しているのか、どういう問題意識を持っているのか、御答弁を願います。
 次に、この鳥獣被害防止特別措置法、これに基づく事業について、もう少しお伺いをいたします。
 まず1つ目には、県内の市町村の取り組み状況、一体どうなっているのか。なぜ先ほど言ったような状況になっているのかをお尋ねします。
 私は、今回の質問に当たり、直接この事業を担当する郡内3市町村の担当職員、市町村職員を訪ねて、意見や要望を伺ってきました。そこで出された声というと、これは一言でいうと、国の事業はどうにも使い勝手が悪い、こういうことでした。例えば、国の補助事業ですから、費用対効果を厳密に計算することが要求をされるというんですね。防護さくやおりを設置するにも、例えば、被害地の1反当たりの収量が設置前と設置後でどう変わって、何円収益が上がったのかと。そして、さくの費用を耐用年数で割って出した1年当たりの単価と比べて、その費用対効果が1.0以上でないとだめだ、こう言うんですね。
 一般的な公共事業や土木事業では当たり前なんですけども、この一般的な費用対効果の考え方、これを、試行錯誤もあり、収量や単価など数字にしにくい鳥獣被害対策の事業に機械的に当てはめるのはいかがなものでしょうか。
 また、耐用年数なんかについても結構気になるようです。これまでの対策は、事業費や規模に応じて国の事業、県の事業、市町村事業と使い分けてきましたけども、こういった時代から、これからは市町村が計画的な、面的な整備の計画を持って、それに当てはまるものであれば事業化できると、市町村が使いやすいようになると、そういう市町村の取り組みを国が2分の1財政的に負担して応援する、このことが文字どおりできるようになれば、現地に合わせた創意工夫とか、身の丈に合った事業計画、地域的な連携や協力というものがうんと進むと考えます。
 いずれにしろ、使いにくい事業は幾らあってもだめなので、いかに使いやすくするか、使えるようにどう援助するか、このことが重要になってくると思います。この特別措置法に基づく事業を、県民、市町村が使いやすいよう、活用しやすいよう県の支援を強めるべきではないか、この2点についてお答えを願います。
 最後に、実態調査など、市町村をまたがって広域的に取り組む必要のある事業について伺います。
 先日、県の鳥獣被害対策研修会というのが有田川町で開かれ、私もお話を伺いました。特に印象的だったのが、イノシシにしろ、シカにしろ、猿にしろ、その生態をよくつかんだ対策をすることが大事だというお話でした。
 以前、有田川町岩野河地区の猿の被害対策で、県や町の職員さんらとともに地域の声や要望を聞かせていただきました。猿の被害も個体数もふえている、鉄砲で駆除するのも困難、おりなどで猿を捕獲してほしい、そのためにも猿の生息実態調査をやってほしい、こういった要望が地域から出されました。しかし、その当時は、被害があれば連絡を受けて猟友会に連絡し有害駆除をすると、そういう域を出なかったんですね。県としても、生態調査の必要性を強く感じながらも、その予算があれば、急務である防護さくの設置など、被害対策のほうにその予算を回さざるを得ないという、そういう当時の事情もあったんだというふうに思います。
 猿被害への対策は、むやみな駆除をすると、かえって群れの分割によって被害地域を拡大する、そんなことも先日の研修会で専門家から指摘をされていました。威嚇とか銃による捕獲には限界があり、山田山を中心に有田川町、湯浅町、広川町にまたがって出没するこの猿被害に対応するには、モンキードッグなどを活用した追い払いとか、一定の生息実態調査など、それから、おりなどによる捕獲が必要でないかと考えます。
 今回のこの特別措置法のソフト事業というのは、こういった追い払いとか調査事業も対象となっているわけで、これまでにない対策が可能だというふうに期待をしております。この機会に広域的な調査事業をぜひ検討すべきだと提案をします。
 これらを踏まえてお尋ねするわけですが、こういった市町村をまたがる広域的な被害対策への対応が今後より一層求められると考えますが、いかがお考えか、答弁を願います。市町村や地域協議会とよく相談する機会を設け、市町村をまたがる事業について県として積極的な役割を発揮すべきだと考えますが、いかがでしょうか。これら鳥獣被害対策については、すべて農林水産部長に答弁をお願いいたします。
 以上で、私の第1回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山田正彦君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 松坂議員の県内小中学校耐震化についての一連の御質問中、最後の知事に対する質問ということで、そこだけお答えさしていただきます。
 議員御指摘の小中学校施設の耐震対策につきましては、これは大変大事な話だと思っておりまして、学校施設は児童生徒が1日の大半を過ごすところでございます。安心して学べる環境づくりというのは防災対策上極めて重要ということは、そのとおりだと思います。
 国においても、御指摘にもありましたが、本年6月の地震防災対策特別措置法の改正によりまして国庫補助率がかさ上げされておりますし、また、安心実現のための緊急総合対策の一環として耐震対策が拡充される見通しであります。かなり大幅な予算措置がされると聞いております。小中学校施設の設置者である市町村が耐震化を実施する場合には、このような国の補助制度を活用して、できるだけ早期に100%の水準に達していただきたいと、こんなふうに思っている次第であります。
 しからば、そういう達する前に何らかの形で県が、例えば肩がわりをするとか、そういうことがいいことかどうかということについてでございますが、2つのことを考えないといけない。1つは、既に今までのルールに従って頑張っておられる市町村という存在も考えておかなきゃいけないし、一方、そういう行政のディシプリンだけで差し迫っている危機というのに対して子供をどう考えるかという議論も、一方では考えないといけないと考えております。
 したがって、県としては、市町村に対して、こういう国の施策をできるだけ利用して早期にやっていこうよというような働きかけをするということは大事であると思いますし、また、それによって、御指摘のような単年度負担の問題が解消されないということであれば、これは実は振興資金というんですが、県の貸付制度を実は拡充して備えております。これは別にこのためだけに使えるわけではございませんが。したがって、こういうものも相談に応じて使っていただくということによって、先ほど先進県と言われたような県と同じような実行的な措置ができるものだと考えております。
 県といたしましては、こういうようなさまざまな方策を利用して、結果として100%、早く子供たちの安全が守れるようなところに持っていきたいと、こんなふうに考えてる次第でございます。
○副議長(山田正彦君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 鳥獣被害対策に関して3点の御質問でございますけれども、一括してお答えをさしていただきたいと思います。
 本県におきます鳥獣被害の現状と対策についてでございますが、近年の農作物被害につきましては、約3億円程度で推移をしてございます。このことにつきましては、農家を初めといたしまして市町村等の取り組みあるいはまた努力等によりまして被害額の上昇を食いとめているという状況じゃないかというふうに考えてございます。
 鳥獣被害につきましては、先ほどお話ございましたように、生産意欲の低下を初めといたしまして、耕作放棄地の増加、また集落の過疎化など、大きな重大な課題であるというふうに認識をいたしてございます。そのため、県といたしましては、本年4月より狩猟、また有害捕獲に関する窓口を農林水産部のほうへ移管をいたしまして農作物被害防止を重点に取り組むとともに、防護さくや捕獲おりの設置への助成、また人材育成といったこれまでの被害防止対策を拡充いたしまして、有害の捕獲と一体化をいたしました農作物鳥獣害対策強化事業を立ち上げまして総合施策として実施をしているところでございます。
 議員のお話のございました鳥獣被害防止特別措置法、いわゆる特措法につきましては、鳥獣被害が全国的な広がりを見せる中で、地域の実情をよく知る市町村が主体となって対策に取り組めるよう、国において議員立法として本年2月に施行されたところでございます。これを受けまして、既に県内の13市町で被害防止計画が策定されてございまして、そのうち10市町が国庫事業を申請いたして、モンキードッグによる猿の追い払い活動、また刈り払いによる山際の緩衝帯の設置、それから広域でイノシシの生息調査などに取り組む市町村もございます。さらに、本年度中には9市町が新たに取り組むこととなってございまして、その結果、被害防止計画を策定する市町は22と7割を超えまして、全国的に見ても高くなるというふうに考えてございます。
 一方、これに伴うハード事業につきましては、特措法の制定が2月ということもございまして、時間的制約の中で実施体制の整備、あるいは計画策定等に時間を要したこともございまして、全国的にも応募件数が少ない現状にあるというふうに聞いてございます。
 今後、県といたしましては、ハード事業の採択要件が従来より大幅に緩和されてございますので、地域の実態に即して事業が実施できますよう、より一層制度の周知徹底と事業のPRを図ってまいりたいと考えてございます。
 いずれにいたしましても、野生鳥獣の行動につきましては広範囲に及ぶということから、市町村あるいはその地域協議会と連携を図りまして、特措法に基づく国庫事業を有効に活用いたしまして、生息実態の把握を初め、追い払いや捕獲などの総合的な対策として取り組んでいきたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 県内小中学校の耐震化についてお答えいたします。
 学校施設は、児童生徒の命を預かっている場であるとともに、災害発生時には地域住民の緊急避難場所としての役割をも果たすことから、その安全性の確保は極めて重要なことと考えてございます。
 耐震診断の実施状況は、平成20年4月1日現在、小中学校で実施率95.3%となり、実施済み全棟数520棟のうち、まだ228棟が耐震2次診断を実施しておりません。現時点での診断結果では、Is値0.3未満の倒壊の危険性が高い建物が約100棟、残り420棟が倒壊の危険がある建物と判断されております。
 なお、耐震化率につきましては全国1位の伸び率となりまして、対前年7.7%増の60.9%となってございます。
 学校施設の耐震化につきましては、それぞれの市町村において耐震2次診断や補強工事の予定を定めました耐震化年次計画を策定をし、これに基づいて耐震化を実施しているところでございます。市町村によっては、平成25年度になっても耐震2次診断すら実施できない状況のところもございまして、その原因としては、財政的事情に加えて、小中学校の統廃合等の問題が関係しているところもあると考えられます。
 議員御指摘の耐震2次診断の早期実施は、耐震化年次計画を策定する際に校舎等の耐震性能をより正確に把握する必要があることから大変重要でありますので、積極的に当該市町村に働きかけてまいりたいと考えます。
 耐震診断の結果の公表につきましては、今回の法改正によりまして市町村に義務づけられたところでもあります。県立学校に関しましても公表をしてまいりたいと考えます。
 保護者や地域住民等への情報を提供することによりまして、学校施設の耐震化への関心と理解が高まり、より一層、耐震化が促進されるものと考えております。
 今後、耐震化をさらに加速させるためには、市町村における防災上の最優先課題として位置づけ、危機感を持って取り組んでいただくよう働きかけてまいりたいと考えます。
 国の補助制度につきましては、先ほど御指摘ありましたように、ことし6月に地震防災対策特別措置法が改正され、大規模な地震により倒壊等の危険性が高い公立小中学校施設の耐震化を図る場合、耐震補強では従来の国庫補助率を2分の1から3分の2に、また、改築の場合は3分の1から2分の1とする支援策が講じられまして、従来に比べ大幅に市町村の財政負担が軽減されることになりましたので、これを生かして耐震化を促すとともに、引き続き補助制度の拡充を国に要望してまいりたいと存じます。
 県独自の補助制度の創設につきましては、御紹介のあった事例などを研究させていただきたいと考えますが、限られた予算の中で県立学校の耐震化を完了させるということを最優先の課題として推進しているところでございますので、今のところ大変難しい状況にあることを御理解いただき、計画される市町村におきましては、先ほど知事の御説明にありましたように、さまざまな制度の活用を含め、御検討いただければというふうに考えております。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 再質問を許します。
 42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 御答弁をいただきました。
 まず、小中学校の耐震化の問題で再質問をさせていただきます。
 小中学校の耐震化をするために、これは県としても支援策が必要な段階だというふうに今回質問を求めたことに対して、知事のほうにも答弁を求めたわけですが、国の制度の活用などしてもらおうというスタンスだという答弁がありました。加えて、その市町村振興資金も活用できるから、これ、ぜひやってほしいという答弁もあったように思います。ぜひ知事にも市町村の相談に乗っていただいて総合的な支援をしていただきたいと、これはお願いをしておきたいというふうに思います。
 再質問は、県としての耐震化補助制度を求めるという項目で、教育長にお尋ねをしたいというふうに思います。
 今回の質問に対する答弁で、Is値が0.3未満の施設が約100棟あるということが初めて明らかになりました。県内に約100棟もあるのかという、正面から向き合わなければならない数字なんです。そして同時に、裏返して言えば、残りの400棟は国の補助かさ上げの対象外にされてしまっているということでもあると思うんですね。ここが後回しにされないようにしなければならない。このことを強調したいというふうに思います。
 また、教育長からは、耐震化についてはまず耐震診断が最優先だというその認識、そして、耐震診断結果については公表の義務化ということがはっきりと示されました。今後、だれでも市町村に問い合わせれば回答を得られることになりますが、この学校耐震化の問題は、親や地域のまさに関心の的となっています。地域と学校関係者が力を合わせて子供の命を守る方向で、この数値公表を機に取り組みをうんと進めていただきたいと願うものであります。
 私は、今回の質問で、昨年に続いて学校耐震化に向けた県単独の補助制度が必要ではないかと提案をさせていただいたわけですが、これについては、教育長からは、限られた予算、それからまず県立学校の耐震化の完了を目指すということで、大変難しいという御答弁だったと思います。食い下がるようで恐縮ですが、この問題、何としても進めていただきたいというふうに思うんですね。
 教育委員会が市町村教育委員会に対して熱心にアドバイスしていることも承知しています。そして、市町村に言うからには、まずみずから県立学校の耐震化も進めて模範を示しているということも評価しているものです。しかし、目を三角にして「頑張れ、頑張れ」と言うだけでは動けないのが市町村の実態です。財政難であえぐ自治体に対し国の財政措置、補助が少ないために、自治体の財政事情によって大きな安全の格差というのが生まれようとしているんです。財政的余裕のある町はできて、余裕のない町はできない。子供の命にこういう安全格差は許されないというふうに思うんです。
 国は、危険校舎1万棟、0.3以下しか視野に入っていない。市町村は目の前の校舎と財政とにらめっこを続けている。この間に入ってさきの520棟という具体的な和歌山の目標に責任を持つのは、私は県教育委員会で、そういうふうに思います。県内のこの取り組みの中に、市町村の学校数であるとか施設の状況であるとか財政状況だとか、いろんな理由によってアンバランスがあるときに市町村の課題とか状況をよく理解しながら手を差し伸べる、私、それが県としての存在価値だというふうに思うんです。
 いま一度、教育長にお尋ねをいたしますが、補助制度は困難だという答弁でありましたが、一遍に耐震補強補助制度創設が困難であるなら、耐震診断の補助からでも例えばスタートできないのでしょうか。また、県立学校の耐震化のほうが100%に近づいてきている中で、これが完了してから、終わってから考えるというんじゃなくて、その進捗や着地点を見据えながら市町村にも少しずつ支援できないか。そういったことも考えておられないんでしょうか。こういったいろんな工夫が教育委員会の中で検討されているんでしょうか。現段階では困難だとおっしゃるその議論の中身、もう少しお示しもいただきながら、率直な御答弁いただけたらというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 それから、鳥獣害対策では簡潔に要望だけさせていただきます。
 ソフト事業では、猿を追い払うモンキードッグの事業とか広域的なイノシシの実態調査など創意工夫が生まれているのは、頑張ってくれていると評価をしているんです。その上に立って、何度も申し上げるようですが、使いにくい制度は幾らあってもだめなので、市町村と連携をとりながら県としての支援を強めてしっかりと取り組んでいただけるよう強く要望しておきます。
 以上で、第2問を終わります。
○副議長(山田正彦君) 以上の再質問に対する答弁を求めます。
 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 再質問にお答えしたいと思います。
 議員御指摘の点は重々よく理解ができますし、私としてもいいお答えをしたいのはやまやまでございますけれども、何分にも教育委員会という立場を御理解いただきまして、私ども担当者のほうも、これを何とかしたいということで苦しみ、もがいているのが実情でございますので、私どもとしては引き続きもがき続けたいというふうに考えますので、御理解いただきたいと思います。
○副議長(山田正彦君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 再々質問を許します。
 42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 教育長から率直な御答弁いただきました。何とかしたいと、もがき続けたいという決意だったと思います。
 私は、今からでも、県教育委員会として繰り返しその検討を続けていただきたいと思います。来年度予算に向けて一歩でも半歩でも進めていただくよう積極的に検討し、財政当局にも予算要求をしていただきたい。そして、教育の現状の予算枠の中にとどまることなく、別枠での予算を求めるぐらいのそういうことが要ると思います。ぜひこの学校耐震化、安全の格差を生まないように強く要望いたしまして、今回の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(山田正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松坂英樹君の質問が終わりました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 9番川口文章君。
  〔川口文章君、登壇〕(拍手)
○川口文章君 本日4人目となりまして、ちょっと上がっております。きのうの新島議員より少し時間をお許しいただいて、一般質問をさしていただきたいと思います。
 私も、議員生活、1年4カ月過ぎまして、今まで答弁する立場でございましたが、今回は質問さしていただく立場となりまして不安がよぎってございましたが、やっとこの政治の世界に溶け込んでいきそうな感じがしてございます。これからは、先輩諸氏のなお一層の御指導をいただかなければならないと思いますので、高いところでございますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問さしていただきます。
 まず、第1点の旧和歌山県会議事堂「一乗閣」の修復保存についてお伺いをいたします。
 旧和歌山県会議事堂は、和歌山県の県政史の象徴として和歌山市一番丁に明治31年(1898年)に建設され、建築当時は洋風建築が主流の中で、和風木造2階建てで東西36.8メートル、1階面積が937.1平方メートル、延べ面積が1523.1平方メートル、軒高が12.03の威風堂々とした建物であったと言われてございます。しかし、昭和13年──1938年でございますが──県庁舎が現在の小松原通に移転されたのを機にJR和歌山駅前に移築されました。この当時は東和歌山駅と呼ばれており、現在の農協会館のところに移転されたのを、この議場の皆様の中で覚えておられる方がおられると思います。まことに古い話でございますが、チンチン電車が走っていた時代でございます。
 その後、当時の岩出町の平野町長が、歴史的な建物を解体処分すべきでないということから、根来寺と話し合いの結果、現在の根来寺境内に2度目の解体移転されたのであります。しかしながら、2度目の移転をしていることから建物の傷みが甚だしく、老朽化が著しい状況であり、このまま歴史的な建造物が埋もれてしまってよいのでしょうか。
 また、旧和歌山県会議事堂「一乗閣」は、明治44年(1911年)、日本を代表する文豪、夏目漱石先生が「現代日本の開化」と題した講演をされたと言われている由緒ある歴史的建造物でもございます。
 このような過程の中で、当時の岩出町観光協会の有志が署名活動を行い、当時の和歌山県知事、和歌山県会議長、岩出町長に修復保存の要望活動をした経過があり、以来、中芝岩出市長が住民要望を受けて一乗閣の修復保存を県に対して要望してまいりました。このような状況の御理解をいただき、発起人に、当時の宇治田栄蔵和歌山県議会議長、島正博県商工会議所連合会会長、伊藤孝文県文化協会連合会会長、西達司県文化財研究会会長、稲葉信隆根来寺睨下、梅田善彦根来寺総代の皆様が発起され、中芝岩出市長も発起人として、会長に当時の宇治田栄蔵和歌山県議会議長の御就任をいただき、「旧和歌山県議会議事堂(一乗閣)修復保存『緑のサポーター』募金推進会」が設立され、県御当局の協議を重ねた結果、文化国際課に事務局を設置されたのであります。
 当時、岩出町は本会の趣旨に賛同し、積極的に本事業の推進のため、当時の岩出町議会、町民、各種団体、企業に呼びかけ、和風を凝らした木造建築であること、また紀の川流域の観光振興、観光資源にぜひとも必要であること、また紀州材の利用促進の立場から、寄附金は修復の際の天井、羽目板、床材等に充てることなどの御理解をいただき、当時の岩出町民の多くの皆様から御寄附をいただきました。
 寄附金額は、岩出市で約1200万円、推進会の寄附金を合わせると約5000万円と聞いております。件数にして、個人、団体、企業を合わせて約4500件と報告を受けております。もちろん、議員個人の寄附行為は禁止されておりますので、当時の県議会の議員互助会からも協力をいただいていると聞いており、寄附金は多くの皆様の善意であって、税金より重いものであると私は思います。御理解いただいた皆様の寄附行為を大事にすべきであると私は認識するものであります。
 旧和歌山県会議事堂「一乗閣」の現在までの経過の概略を説明さしていただきましたが、明治時代の建築物の洋風化が普及する時代の中で和風を凝らした木造建築であり、独立した議事堂は文化財的な価値が高く、和歌山県にとっても重要木造建築物であると確信するものであります。
 私の地元、岩出市の市民の多くの皆様から、「一乗閣修復保存『緑のサポーター募金』はその後どうなってるんよ」と質問をされますが、答えるのに困っている状況であります。
 和歌山県の財政状況を見たときに、社会保障の問題、災害復旧・防災対策の問題、地域整備の問題、教育の問題等々の多くの課題を抱え、財政状況の厳しい中で修復保存は非常に難しいことは、私にも身にしみてわかっております。旧和歌山県会議事堂「一乗閣」の修復保存は、長年に至る岩出市民の願いであり、また和歌山県にとっても、和歌山県議会にとっても歴史的な文化財価値が高い重要木造建築物で、紀の川流域の観光資源としても重要であると確信いたします。
 過去何カ年にわたり要望してまいりましたが、文化財的価値の面、また財政的な面等を考慮して、現在の敷地に新築または修復保存するか、移転して新築または修復保存するかなどの協議が調わず、現時点では実現してございませんが、今年度予算におきまして旧県会議事堂保存整備事業として約2300万円を計上していただいておりますが、仁坂知事のもと、一日も早く旧和歌山県会議事堂「一乗閣」の修復保存をされますよう、よろしくお願いするものであります。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 旧和歌山県会議事堂「一乗閣」の修復保存について、知事の御決意のほどお伺いいたします。
 また、修復保存する場所につきましては何らかの進展があったと聞いておりますが、今後の修復保存に向けた事業の方針につきまして教育長にお伺いをいたします。
 次に、2点目の未改修県管理1級河川の改修計画についてお伺いいたします。
 近年の地球温暖化の問題は各分野にわたり大きな影響を与えていることは、生活の上でも体で感じていることと思います。中でも、異常気象は例外なく日本にも大きい影響を与えています。世界各国では、近年にない異常気象により、異常な勢力を持った台風の発生、またかつて予想できない集中豪雨が日本各地を襲っております。集中豪雨は別名「ゲリラ豪雨」とも言われておりますが、これが原因での堤防決壊、洪水による住宅の流出、床上・床下浸水、また農地・農作物の被害が甚大であり、また、原油高騰の影響の要素も加わり、食料不足など、日常生活の中でもじわじわと経済状況に影響が出ております。県民は、率先して地球温暖化問題に取り組むことが重要であるとともに、県としても災害に強い和歌山県をつくることが先決問題ではないでしょうか。
 集中豪雨とは、限られた地域に短時間で多量に降る雨であって、明確な定義がないそうでありますが、目安として、直径10キロから十数キロの範囲に時間雨量50ミリを超える場合と言われております。
 昨年の7月に大阪府富田林市で時間雨量120ミリ、堺市、和泉市では110ミリ、奈良県宇陀市では110ミリの集中豪雨があり、甚大な被害を与えました。最近の集中豪雨は、昨年を上回る予想できない積乱雲が発生し、短時間で時間雨量100ミリを超える集中豪雨が日本各地を襲っております。住民のとうとい命を奪い、大きな被害を与え、住民に非常な不安を与えているのであります。しかし、現在の気象技術では正確な気象予報を知り得ることが困難であると言われております。
 本県においては、河川における急激な増水が想定される箇所への対応策として、浸水整備され、急流部に設置されている河川については、警報のための放送設備の整備、注意喚起のための看板の設置を急流部10カ所に、また樋門1カ所をフラップゲートの設置をするとの報告をいただいておりますので、四季に関係なく予想できない異常気象の中でできるだけ早い機会に設置されることを願うものであります。
 昨今、いつ発生するかわからない地震対策として、県有建物のうち昭和56年5月以前に建築された461棟のすべてが耐震診断を実施され、305棟が震度6強以上で危険であると診断されております。県は、厳しい財政状況を勘案しながら優先順位をつけ、県庁舎、警察署、学校などは平成22年度まで、その他の建物は平成26年度末までの耐震化を目指すとの計画がされてございます。
 地震対策、集中豪雨による災害も同じ災害であると私は考えます。地震対策として、建物は平成26年度末までの耐震化を目指すとの計画がされているのであれば、集中豪雨による災害に備えての未改修河川の改修計画があって当然のことと思います。
 集中豪雨による過去の遊水地帯は、当然浸水はいたしますが、開発が進み、農地が減少している地域では、流域面積は変わらないものの、集中豪雨時の雨水の到達時間が早く、考えられない地域で浸水し、床上・床下浸水の被害が相次いでおり、とうとい人命も奪われております。もちろん、河川の増水による堤防決壊の悪条件が重なる場合は被害がさらに大きくなるのは確実であります。
 和歌山県において、今年の5月25日未明の予期できなかった集中豪雨は、和歌山市では145ミリ、紀の川市では142ミリ、また和歌山市では時間雨量46.5ミリの激しい雨を記録いたしました。防災課のまとめでは、和歌山、岩出、紀の川市では12棟の床上浸水、和歌山、岩出、紀の川、橋本市、かつらぎ町では200棟が床下浸水、特に岩出市では87棟が床下浸水の被害がございました。また、紀の川市では、ため池の堤防が崩れ決壊するおそれがあるとして避難勧告が出されました。現状の現地の被災状況につきましては、仁坂知事がいち早く視察されたとおりであります。
 災害に強い和歌山県をつくるための防災対策は、地震に対する耐震対策、津波対策、集中豪雨に対する未改修河川対策、危険ため池の対策、遊水地帯の排水対策、急傾斜地区の対策、また孤立集落の解消対策等の多くの施策が急がれております。このような対策を実施するためには、国が実施すべきもの、県が実施すべきもの、各市町村が実施すべきものに区別されますが、それぞれの分野で協議を重ね、重要懸案事項として優先的に進めていただきたいと存じます。
 そこで、私は、県管理未改修河川に絞って県土整備部長にお伺いをいたします。
 水防計画書では1級河川の重要水防箇所が指摘されていると思いますが、年度別で見ても、毎年ほぼ同じ箇所が重要水防箇所として列記されていますが、河川の整備改修計画はなされているのでしょうか。特に私の地元、岩出市では、県管理1級河川根来川の上流には民間による大規模な土砂採取地があり、また近年の開発が進み、本年5月、紀北地域での集中豪雨で短時間に水位が上がり、結果、民家のそばまで護岸が崩壊し、非常に危険な状況でありました。根来川は毎年しゅんせつをしていただき、何とか持ちこたえておりますが、ことしのような集中豪雨に耐えるだけの能力はございません。
 また、県管理1級河川住吉川は、典型的な天井川でございまして、河川改修計画により順次進めていただいております。上流には開発公社が造成した紀泉台団地があり、かなりの面積の未開発の開発公社の所有地がございまして、未利用土地としてそのまま放置の状態になってございます。この未利用地の開発を進めるためには、地元流域の関係者皆様との話し合いを重ねた結果、住吉川の改修を強く要望しており、改修を条件としてございます。現在でも、天井川である住吉川の堤防が決壊すれば甚大な被害があることを恐れているのであります。また、流域下水道終末処理場建設に伴う要望事項の1つともなってございます。
 県御当局は、年次計画的に改修を進めていただいております。これは感謝申し上げます。非常に財政状況の厳しいときでありますが、一年でも早く両河川の改修計画を進め、住民の不安を早く解消していただきたいと存じます。各市町村から、改修計画を早く進めていただきたい、また危険河川の改修計画の要望が出されていると思いますが、今後の根来川、住吉川の河川改修計画はいかがでしょうか、お伺いをいたします。
 次に、3点目の中高一貫教育についてお伺いをいたします。
 私は、昨年の12月議会で質問をさしていただきました。また、ことしの6月議会でも同僚議員の岸本議員が同様の質問をされました。しかし、私はあえて地元保護者の要望を受けて質問さしていただきますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。
 教育長は、「和歌山県中高一貫教育推進懇談会の報告を受けるとともに、パブリックコメント等、県民の意見を受けて策定した。また、全県的なバランスや地域の実情を考慮して積極的に取り組みました。その結果、連携校3校、併設型5校を開設した。また、地元市町村や学校等の意見を聞き、今後の高等学校再編整備計画の中でそのあり方について総合的に検討してまいります。なお、県内すべての地域の要望を満たしていない」との御見解を示しておられます。
 さらに、「小学校の児童数に対する募集人員は、全国的にも高い割合になっている」との御答弁もいただいてございます。和歌山県は高い水準であるというのを自負するのではなく、長期総合計画にもあります次代の和歌山県を担う人づくりのためには、全国トップでいいのではないのでしょうか。
 なお、教育長は「今後の高等学校再編整備計画の中でそのあり方について総合的に検討してまいります」と御答弁をいただきましたが、議員の質問等に対する措置状況では、地元の市町村や学校等の意見を聞きながら研究していくという報告がございました。一般質問は「検討」、報告書の「研究」では、一般質問の答弁との大きな開きがあると私は思っております。
 さきの和歌山県長期総合計画策定に際し、市町村長等の意見聴取の会議を開催された折、岩出市長が紀の川市長と協議をして、ぜひとも那賀地域に中高一貫校を開設していただきたいとの意見を出されたと伺っております。岩出・紀の川両市民、保護者の皆様が強く要望しているからであります。
 先般、9月4日に那賀地方PTA連合会進路対策部との懇談会をお持ちいただいたことに御礼を申し上げます。この懇談会の中でも、那賀地方PTA連合会進路対策部から中高一貫校の設置要望があったことも御承知いただいていることと存じます。
 そこで、教育長にお伺いいたします。
 初めに、和歌山県下を眺めたときに、県の人口が減少している中で──人口要件だけでは判断できないと思いますが──人口増加の傾向にある、公立高校が3校もあります那賀地方に中高一貫校の開設計画がないのは不思議に思っております。県立高等学校再編整備計画第1期プログラムの中には、平成18年度から平成20年度までの中高一貫教育の設置計画が記されておりましたが、このプログラムが終了した平成21年以降、中高一貫教育校の設置についてどのように取り組んでいかれるのか、教育長のお考えをお伺いいたします。
 次に、「今後の高等学校再編整備計画の中でそのあり方について総合的に検討してまいります」ということの答弁をいただきましたが、報告書では「研究」とあるのはどのようにとらえていいのか、お伺いいたします。私は、県教育長が中高一貫校の開設について後退しているように思いますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
 次に、中高一貫校の開設について、地元市町村や学校等の意見を聞いたのか、まだ聞いていないのか、聞いているのであればどのように検討されたのかをお聞きしたいと思います。
 以上3点について、第1回目の質問を終わらしていただきます。(拍手)
○副議長(山田正彦君) ただいまの川口文章君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいまの御質問のうち、一乗閣の修復保存について決意を述べよということでございます。
 和歌山県の近代化と県政の象徴といたしまして、御指摘のように明治31年に和歌山市一番丁に建築されました旧県会議事堂は、木造和風2階建ての歴史的意義のある建物でございまして、和歌山県議会の歴史を今に伝える貴重な歴史的建造物でございますとともに、現存する木造議事堂として私は最も古いのではないかというふうに思っております。そういう意味で、日本の県政史を物語るような歴史的建造物だと考えております。
 現在は根来寺境内の中に移築されておりますけれども、2度の移築を経ているということもありまして、移築から大分時間もたっております。建物の傷みが激しく、閉鎖されている状況であるために、根来寺や岩出市の協力を得ながらしっかりと修復保存をいたしまして、紀北地域の観光面における拠点として、また県議会の歴史を伝える文化財として、和歌山の県政かくあったということを後世に残してまいりたいと考えております。
 いろいろ、耐震の問題、地域の問題、場所としての耐震の問題、どこがよろしいかとか、地元の調整とかいろんなものがありましたが、ほぼ片づいておりますので、これについては着々とこれから進めてまいりたいと考えております。
○副議長(山田正彦君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 水防計画書にある重要水防箇所の改修計画についてでございますが、重要水防箇所は、想定している大規模洪水に対して川幅や堤防の高さが不足している箇所、漏水の履歴がある箇所等を指定するものでございます。この重要水防箇所を、水防管理団体である市や町と連携を図り、円滑な水防活動を行えるよう、県が策定する水防計画書や地域防災計画書に記載して周知しているところでございます。特に、河床の深掘れや堤防の漏水等、河川管理上支障のある箇所につきましては、根固めや堤防強化等、早急な対策により地域住民の不安解消に努めてまいります。
 次の御質問、1級河川根来川、住吉川の改修計画についてでございますが、根来川につきましては、平成10年度から拡幅工事を実施しております。ことしの5月25日の集中豪雨により、工事中の現場が損傷いたしましたが、この箇所では既に応急対策を完了しております。
 なお、来年の出水期までに本格復旧を完了し、上流側についても引き続いて拡幅工事を進めてまいります。
 また、住吉川につきましても、平成16年度から拡幅工事を実施しております。根来川と同様、5月25日の集中豪雨により工事中の現場で護岸が崩壊しましたが、この箇所も既に応急対策を完了しております。本格復旧は出水期明けの10月に着手し、来年3月に完了できるように進めております。
 なお、今後とも治水効果の早期発現を考慮しつつ、河川改修を進めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 一乗閣の修復保存についてお答えいたします。
 旧県会議事堂は、残存する県会議事堂としては全国で2番目に古く、議員御指摘のとおり貴重な県指定の文化財でございます。また、根来寺境内の現在地で寺の施設として活用されてきた経緯がありまして、そのため、現在まで残存してきたということが言えるわけでございます。
 県では、修復保存場所については、根来寺の協力を得て、寺の境内地での修復保存を考え、根来寺、岩出市、県教育委員会の3者で協議を進めてまいりました。最近になって、根来寺の大駐車場の西側の参道に隣接する土地を移築候補地として根来寺から提供いただき、修復保存を図っていくということで協議が調った次第でございます。
 今後の方針といたしましては、今年度、移築候補地の地質調査のためのボーリング調査及び埋蔵文化財確認調査を実施いたしまして、支障がなければすぐに移築工事に着手して修復保存を進め、議場の部分を復元するとともに、修復保存の意義を損なわない範囲で観光部局と連携を図りながら、紀の川緑の歴史回廊事業のインフォメーション機能などを備えた中核施設として活用してまいりたいと考えてございます。
 次に、中高一貫教育についてでございます。
 まず、第1期実施プログラム終了後の考えと市町村の意見聴取についてでございますが、中高一貫教育校の設置につきましては、県立高等学校再編整備計画の中で、全県的なバランスや学校・地域の状況等に配慮し、計画的に設置するとしておりまして、第1期実施プログラムでは、既設の向陽中学校に加え、橋本、田辺両高等学校に併設型中学校を併設、平成19年度及び20年度については全県的なバランス等を考慮しながら設置を決定することとしておりました。
 議員御指摘のとおり、那賀地方の市長などからも御要望をいただいておりますが、第1期実施プログラムが終了する平成21年度以降につきましては、既設校の教育内容やそのあり方について、一定の時間をかけて評価、分析を行います。その後、その結果を踏まえて、今後の第2期実施プログラムの中で地元市町村や保護者、学校関係者等の意見を幅広く多角的に伺うとともに、地域の実情やニーズ等を勘案し、未設置の地域について総合的に検討してまいりたいと考えております。
 次に、昨年度の12月議会一般質問答弁におけます「検討」と、この3月の措置状況報告における「研究」の違いにつきましては、県立高等学校再編整備計画の中で総合的に検討するためには、既設校の教育内容やそのあり方、市町村立中学校への影響等について多面的に研究していく必要があると考えまして、措置状況の時点ではまず「研究」とした次第でございます。ここでの成果を踏まえて今後の検討を進めてまいりますので、決して答弁から後退しているものではないことを御理解いただきたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(山田正彦君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山田正彦君) 再質問を許します。
 9番川口文章君。
○川口文章君 1番目の旧和歌山県会議事堂「一乗閣」の修復保存についてでありますが、知事は、県議会の歴史を伝える文化財として、紀北地域の観光の拠点として後世に残すために修復保存をしますとの決意をいただきました。本当にありがとうございます。岩出市長を初め、岩出市民の長年の願いがかなったことに感謝申し上げます。
 また、教育長は、ボーリング調査及び埋蔵文化財確認調査の結果に支障がなければすぐに着手するとの御答弁をいただきましたので、一日も早い時期に完成するよう、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 2問目の未改修河川管理についてでありますが、いつ起こるかわからない自然災害から県民を守るため、県民の不安を解消するためにも計画的な河川改修をお願いするものであります。
 また、根来川、住吉川は典型的な天井川でありますので、現在、計画的に改修を進めていただいてございますが、昨今の異常気象から、流域市民の災害からの不安を解消するため、また災害に強い和歌山県の一日も早い実現をお願いするものでございます。
 また、3点目の中高一貫校の開設についてでありますが、教育長は後退していないとの答弁でありますので、岩出、紀の川両市長、保護者の皆様も安心されたことと思います。今後は、地元の皆様の意見を尊重され、第2期実施プログラムの中に位置づけされ、ぜひとも那賀地域に開設されますようお願い申し上げます。
 以上3点、お礼と要望をさしていただきまして、私の一般質問は終わります。ありがとうございました。
○副議長(山田正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で川口文章君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時24分散会

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