平成20年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(新島 雄議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 20番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 議長のお許しをいただきました。
 初日の最後になります。大変お疲れのことと思いますが、いましばらく御辛抱をいただきたい。また、久しぶりの質問になりますのですが、一生懸命させていただきますので、どうぞ最後までよろしくお願いをいたします。
 現在、和歌山県の景気は非常に冷え込んでおります。企業によってはよいところもあるようですが、中小零細企業は大変厳しい経済情勢にあります。また、日々の生活を取り巻く状況も、非常に厳しいものがあります。今、私たちに求められているものは、県民の暮らしを守り、あすへの希望が持てるようになることだと考えています。そのためには、和歌山県庁が元気になることだと考えています。知恵を出して、汗をかいて、力を合わせて頑張っていきたい、そのように思っています。
 それでは、質問に入ります。
 農産物の販売促進を取り巻く環境でありますが、国内においては、少子高齢化、また、いろんな要件の中で市場が縮小していくと考えられます。一方、海外を見てみますと、中国を初めとするアジア諸国は、経済発展により所得水準が向上し、世界的に見ても大変大きな市場になってきております。日本の食材が安全であることや、日本食に対する健康志向など、世界に打って出る環境が整いつつあると考えます。
 私は、7月に、輸出促進協議会の一員として、シンガポールにおいて開催された和歌山フェアに参加させていただきました。今回、農協からも初めて職員が参加していただきましたことは特筆すべきことと思いますし、多くの関係者が現地へ行って現場を見ることは大いに参考になることと思います。その折、食品流通課の職員の皆さんには大変お世話になりました。ありがとうございました。現地では、はっぴを着せられ、声を出して売り子をさせられるわ、1時間半も大きな市場を歩いて視察させられるわ、日本人向けのスーパー、デパート3店舗を歩いてくまなく視察をさせられるわ、帰りには足を引きずるぐらい大変厳しい御指導を受けました。この場をかりて、忙しい思いをさせていただき、くたくたに疲れさせていただきまして、心から感謝を申し上げます。これもひとえに、和歌山県の農産物を売るための試練と受けとめ、今後も頑張りたいと考えています。
 そこで、質問です。
 海外輸出に関して、ニュースなどでは他府県の情報をよく聞きます。和歌山県は、他府県におくれをとっていないか。
 次に、他府県に負けないようにするには、今後どのような戦略を考えているか。
 最後に、海外輸出に関してリスクなどはどのように考えているか。
 以上3点、お答えをいただきたいと思います。
 続いて、和歌山県の食料自給率と今後の取り組みについてお尋ねをいたします。
 国連の世界人口予測によると、2050年には、現在の67億人から92億人まで人口が増加するとされております。食料問題は、今や地球温暖化やエネルギー問題と並ぶ世界規模での問題となっています。現に我が国においては、中国製冷凍ギョーザの問題や、今まさに世間を騒がせている汚染米の食用転用問題など、食品に対する国民の不安と不信感は増大しております。早期に食料自給率を向上させなければならないのは明白であり、国内産農産物を見直す動きも出てきております。日本の食料自給率は39%とも40%とも言われ、これ以上、海外への依存が高まれば、国民の食料確保に大きな問題が生じます。
 そこで、我が和歌山県における食料自給率はどのようになっているのか、また、今後どのように取り組んでいくのか、お聞かせください。これも、同じく農林水産部長、お答えをお願いいたします。
 早くも最後です。次に、県展に関してお尋ねをいたします。
 皆さんも新聞などでお知りのことと存じます。私は至って芸術には疎いほうですが、新聞紙上では、県展が大きく変わろうとしていることは察しがつきます。しかし、何がどうなっているのか、私には現在の状況はよくわからないというのが実情です。改革案を見せていただきました。私が見た限り、対立する要因は見当たらないし、公平性や透明性の観点からも正当なように見受けられます。今、何がどうなっているのか、何が問題なのか、何が食い違っているのか、この場で整理をし、よりよい県展が開催されることを願っています。
 そこで、まず1点、質問をいたします。
 県展の役割とは何なのか、お答えをください。
 次に、新聞報道などでは、美術家協会からは、県が単独で改革案を出すのは一方的である、唐突である、県民を無視しているなどの意見が出ていると伝えています。これが事実だとすれば県の対応に問題があるのではないかと考えられるのですが、改革案を策定した経緯、特に美術家協会との協議経過について事実関係を伺いたいと思います。
 また、美術家協会は県展実行委員会での協議を求めているにもかかわらず県が拒否しているとのことですが、この県の姿勢に問題はないか、双方が協議内容をオープンにし、情報を共有することが必要と考えるが、どうなっているのか、お答えください。
 最後に、改革案についてお伺いいたします。
 内容には、作品の募集部門や審査体制の見直しなどが盛り込まれています。報道では、美術家協会からは、審査員を減らすと多様な意見が反映されなくなる、審査員制度の改革により応募、入選が難しくなり、入選を目指して頑張っている県民の創作意欲が低下するなどの反対意見もあるようですが、この改革によって県展が県民から遠のくことはないのか心配をします。改革案の内容について詳しく考え方を教えてください。
 以上4点、企画部長に質問をし、短い私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの新島雄君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 県産農産物の海外への輸出促進に関する3点について、先にまずお答えをさしていただきたいと思います。
 本県の農水産物などにつきましては、国内のみならず海外にも目を向けた販路開拓、販売促進が重要でございまして、本年3月に策定をいたしました県の長期総合計画におきましても、輸出を攻めの農業の1つの柱として位置づけてございます。
 昨年10月には、県議会農林水産振興議員連盟にも御参画をいただきまして、県農水産物・加工食品輸出促進協議会の設立を初めといたしまして、ABICからのアドバイザーの招聘、また商社ネットワークを活用したプロモーション活動等の展開に加えまして、海外バイヤーを招いた商談会の開催など、積極的な取り組みを進めてございます。先進県は幾つかございますが、最近の本県の取り組みにつきましては、決して他府県にはおくれをとっているとは考えてございません。
 今後、10月に開催されますフランスでの国際見本市への出展を初めといたしまして、11月には香港、シンガポール、来年1月には台湾、マレーシアで和歌山フェアを開催するほか、中東、またロシアなどの新たな市場開拓にも積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 しかしながら、議員お話にございましたように、海外輸出につきましては、相手国の政情の変化、また輸入、為替取引の制限の問題、また債務不履行や予期せぬクレーム等の発生といったさまざまなリスクも考えられますところから、先般、生産者、事業者等の方々を対象にいたしまして、専門家をお招きし、代金決済や物流方法、また貿易保険など、リスク回避のためのセミナーを県下2カ所で開催をしてございます。
 今後も、こうしたセミナーの開催や販路拡大のための商談機会の創出などを通じまして、より多くの事業者が安心して輸出に取り組めるよう努力していきたいと考えてございます。
 次に、2点目といたしまして、和歌山県の食料自給率と今後の取り組みについてでございますが、まず自給率につきましては、一般的に言われておりますカロリーベースでは和歌山県は29%となってございまして、国の自給率より10ポイント低くなってございます。このことは、主要品目でございます果樹とか野菜は、米や大豆に比べまして熱量面で、カロリーベースでいくと非常に低いということが大きな原因と考えてございます。これを生産額ベースの自給率に置き直して考えてみますと、本県では109%、国では66%ということになりまして、本県の場合、国より約40ポイント高くなるということでございます。このことは、今申し上げましたように、果樹や野菜を主体とした収益性の高い農業のウエートが大きいという本県の特性によるものと考えてございます。
 いずれにいたしましても、自給率の向上は国を挙げて取り組まなければならない重要な課題でもございますので、本県におきましても、食料生産の基盤でございます優良農地の確保をしっかりと行いながら安全・安心な農産物の安定供給に取り組むとともに、学校給食への地場農産物の利用拡大、また産地直売所の整備など、食育や地産地消を推進することによりまして総合的な食料自給力の向上に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) 和歌山県美術展覧会、いわゆる県展についての4点の御質問にお答えいたします。
 本年で第62回を迎える県展でございますが、県民の美術作品創作意欲の喚起、また芸術鑑賞の機会の提供を通じ、本県の芸術文化の振興に資するものとして大変重要な役割を果たしている事業であると考えており、県民の皆様の税金により運営されているわけでありますから、まさに県民のための公共公募展でなければならないと考えております。
 そのための改革について、これまでの協議経過でございますが、県展改革につきましては、昨年来、県展実行委員会の場で3回、その構成団体である毎日新聞社、県美術家協会、県の3者会議の場で3回、都合6回にわたり、県立近代美術館での県展開催を前提とした改革案について協議を続けてまいりました。また、本年3月と4月に開催されました県展実行委員会におきまして、夏までに県が改革案を策定し、関係団体だけでなく広く県民の意見を聞いた上で来年度の県展を運営する組織において具体的な検討を進めていくという方針が関係者間で了承されているところでございます。
 8月8日には、本年度の県展実行委員会を構成する全団体の代表にお集まりいただき、改革案の内容について御説明した上で各団体と個別に機会を設け十分に協議したい、そういう県の意向をお伝えしたところでございます。また、8月26日には、県美術家協会の会長さんに、県の改革案に対する美術家協会の意見を取りまとめていただき、具体的な協議をさせていただきたいとお願いをいたしたところでございます。
 現在まで毎日新聞社並びに文化振興財団とは個別に協議を行い、県の改革案の基本的な方向性に賛同するとの御意見をいただいておりますが、残念ながら県美術家協会におかれましては、いまだその機会をいただけず、今日に至っております。県といたしましては、できる限りの努力を払ってきたつもりですが、県美術家協会会員の皆様などにこうした審議経過、改革の方向性が正確に伝わっていないということは、まことに残念なことと思っております。
 最後に、今回の改革案の主な内容について御説明申し上げます。
 まず、運営につきましては、県美術家協会はもとより、現在運営を担っていただいております毎日新聞社、県文化振興財団、ほかにもさまざまな分野の方々に幅広く参画を呼びかけ、県民を挙げてつくり上げる県展にしたいと考えております。
 また、審査制度につきましては、平成19年度の例でいきますと、総勢62名の審査員により審査が行われており、審査員の大部分が県内作家により構成されております。今回の改革案では、県外からも審査員を招くとともに、他府県と比較しても著しく多い審査員数を減らすことに主眼を置いた案を提示しているところでございます。これは、地方公共団体が主催する公募展として、より透明性の高い審査制度の実現を目指すことを目的としたもので、応募される県民の皆様と審査員とが、先生と生徒、あるいは同門であるといったような関係によって、いやしくも誤解を持たれることのないよう、でき得る限り公明性を担保しようと、そういうふうに配慮したものであり、審査員の人数を減らすことで多様性が損なわれるとか、審査制度の改革により応募がしにくくなるというような、一部に伝えられております御批判は当たらないものと考えております。
 なお、9月12日まで実施いたしましたパブリックコメントにも、多数の建設的な御意見をお寄せいただいております。いただきました御意見は、取りまとめた上で、県の考え方とあわせて後日公表をさせていただきます。
 これらの御意見や関係団体の方々の御意見など参考にしながら、新しい県展のための運営組織におきまして最終的な開催方法を今後検討してまいりたいと考えております。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 以上で、新島雄君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時6分散会

このページの先頭へ