平成20年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(藤本眞利子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 おはようございます。
 昨日は敬老の日ということで、議員各位には大変お忙しい日々を送られたことと存じます。70歳以上の高齢者が2000万人を超えたとの報道がありましたが、私も地元の様子からも改めて実感した日でありました。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 本日は2番手ということで、教育問題と児童虐待問題に絞って質問をさせていただきます。御清聴よろしくお願いいたします。
 教育問題について、4点にわたって教育長にお伺いします。
 私は、小学校教員として20年余りを過ごしました。その間、さまざまな子供たちとの出会いがありました。欠席がちなH君、家庭での問題を大きく抱えていました。家庭のはぐくみが十分でなく食事も事欠くような生活の中で、学校に行くという意欲をそがれていました。学級のみんなは、そんなH君の家の事情もよくわかっていましたので、学級で話し合い、H君を毎朝交代で家に迎えに行こうということになり、子供たちは毎朝迎えに行き、放課後はだれからともなく遊びに誘いに行くようになりました。H君は、そういった中で徐々に登校できるようになっていきました。
 教員時代、課題のある子供こそが学級の宝なのだと先輩の教師から教えられました。学級の友達を思う子供たちの優しい心根に気づかされた日々でした。教師は、大学で学ぶのですが、それはほんのさわりのようなもので、教師は日々の現場の中で鍛えられ、学び、子供たちとともに育てられるのだと実感しました。
 そこで、教員免許制度についてお伺いします。
 今回、教員免許制度が改正され、10年ごとに免許を更新しなければ教壇に立てないという制度になりました。教員にとって学ぶことは何よりも必要なことだと思いますが、今回の免許制度改正に伴う更新制については、その必要性については大いに疑問を感じるものであります。また、改正に伴う講座の実施には不安に思う点も多く、現場を経験した視点から、教員免許制度について何点か教育長にお伺いします。
 2006年12月、改正教育基本法が公布・施行され、それに伴い、2007年6月には教育関連3法案が可決・成立されました。与野党間での十分な審議もなされないまま、いずれも与党による強行採決という手順でありました。日本の教育の根幹をなす教育基本法とその教育関連3法であるからこそ、十分な論議と準備が必要だったと考えます。免許制度に至っては23もの附帯決議がつけられたのも、法そのものに不十分さがあらわれているように思います。
 さて、関連法案の中でも教育免許法が改正され、免許更新制が導入されました。これは、教員免許を10年ごとに更新しなければならないというものであります。2009年の4月から施行され、本年度は試行ということで講座が開設され、県においても一部試行されたと聞いています。免許状更新制度の本来の趣旨は教員の資質向上ということでありますが、現場の先生方からは、この免許更新制度に不安の声が寄せられています。
 そこで、来年度から実施される予定のこの制度について、具体的なところを教育長にお伺いします。
 教員免許更新制度は、諸外国においてもアメリカの一部の州にしかありません。教員のみに免許更新制度を導入するのは、一般職の公務員に比べても均衡を失すると考えます。また、医師や弁護士などの更新制をとっていない他の免許制度との整合性等、法制上多くの問題があるように考えます。
 そこでまず、以上の点を踏まえ、教育長に教員免許更新制度についての基本的な考えをお聞きします。また、教員にはどういった資質が求められているとお考えなのか、お聞きします。
 次に、教員免許を取得してから10年ごとの更新をするということですが、教職員の免許状の実態を把握していますか。現場で教鞭をとっている教員の多くは、何種類もの免許状を持っておられます。また、教鞭をとりながらも新たな免許状を取得した方もいらっしゃいます。こういった教員の免許状のデータを把握されていますか。そして、どの免許状に対してもそれぞれ10年ごとの更新が必要であるなら国公私立すべての教員のデータの電算化が不可欠と考えますが、その準備はどうなっていますか。
 民間人校長や教頭、特別免許状及びスポーツ分野における免許を持たない人材の採用との関係はどうなっていますか。
 現在、講師のなり手が少なく、不足が伝えられています。講師の皆さんも、免許状の更新についてはどのような対応をするのでしょうか。
 大学に講座を開設すると聞いていますが、講座開設の費用、講座内容、講師の数も含め、その準備は整っていますか。
 長期休暇を利用して更新講習を受講する教員が多いと推測されますが、大学の対応は十分でしょうか。大学としても、夏休みは教授が個人研究などで忙しいとお聞きしています。また、現職教職員の評価について、大学側では教える立場ではないという意見もあります。
 また、和歌山県は縦に長く、公共交通も少なく、交通が大変不便です。その上、大学の数が他の府県に比べ極端に少ない現状です。県内及び他府県の大学に行くにしても、教員の負担も大変大きいと考えます。交通費等の費用軽減策は考えていますか。個人の免許状なのだから勝手に行きなさいというのでは納得できません。
 以上、免許制度の準備について一括して答弁ください。
 次に、学習指導要領改訂に伴う対応についてお聞きします。
 文科省が3月28日に告示した新学習指導要領は、総授業数の増加、総合的な学習の時間縮減、小学校の外国語活動の導入や武道の必修化等が盛り込まれました。また、09年の4月からの移行措置として、小学校1時間の総授業時数増、外国語活動の先行実施を可能とすること、算数、数学、理科の先行実施が示されました。小学校では20年告示、23年度完全実施、中学校では24年度実施ということになりました。
 この学習指導要領は、言うまでもなく具体的な指導内容を規定するものであり、10年ごとに改訂が行われています。今回の改訂に伴う対応について何点かお伺いします。
 総枠の授業時数が小中ともに増加をしました。小学校1年生では年間782時間から850時間、2年生では840時間から910時間で、1週間当たりでは2こまの増であります。3年生は910時間から945時間、4年生以降は945時間から980時間と、中高学年で1週間当たり1こまの増です。中学校でも年間980時間から1015時間と、1こま増となりました。
 文科省では、概算として、この授業数増加に伴う予算措置として1万1500人の講師の人的配置を考えているようですが、これだけで対応できるかと不安に思っているのは私だけではないと思います。授業数がふえるに当たって、正式に採用するのではなく、講師で充当しようという部分にも疑問を感じるものです。私も2年間の講師を経験していますが、この間は、講師をしながらも、期限が終わったら次の仕事がいつ来るかわからないということで、いつも不安な気持ちで仕事をしていました。現在講師をしていただいている皆さんも、多分同じような気持ちだと思います。
 現在、学校現場には、いろんな形でたくさんの非常勤講師が働いています。形態もさまざまであります。時間制限のある非常勤講師の方もいらっしゃいます。時間外であっても、本当に一生懸命子供たちのために仕事をしていただいています。現場では、そういった講師の方に支えられていると言っても過言ではありません。講師は、現場ではなくてはならない存在ですが、いわゆる調整弁としての役割を果たされているのも事実だと思います。今回の新たな学習指導要領改訂に伴う人員を身分の不安定な講師で補うというのはいかがなものでしょう。
 今、問題になっている派遣労働者の使い捨て──問題になっていますが──教育現場も果たしてそういった事態になっているのではないでしょうか。学習指導要領の改訂に伴い、学習内容が大きく変わる中で、講師での対応で十分な教育が行えるのか。責任と情熱を持って教育のできる教員を育てるためにも、正式採用の数をふやし、対応すべきと考えます。県独自でも行う必要があると考えますが、教育長の所見をお伺いします。
 教科の内容として、小学校の5・6年生に新たに英語が導入されました。数学、理科の時間もふえ、高学年においても専門性が求められるようになってきました。このように専門性の高くなる高学年において、弾力的に教科担任制を実施している町村もあると聞いています。小学校高学年においては、担任との関係で学級経営の運営が変わってくるという状況も生まれてきている中で、全県的な対応として高学年における教科担任制の導入も視野に入れる必要があると思いますが、教育長の所見をお聞きします。
 次に、県で実施された学力診断テストについてお伺いします。
 県では、生きる力を形成する確かな学力を児童生徒に確実に身につけさせるために、03年からすべての小中学校を対象に学力診断テストを実施してきました。08年2月の学力診断テスト実施報告書の冊子を拝見しました。5年間のまとめとして、第1章、学力診断テストの概要、第2章、傾向及び指導事例、第3章、5年間の全体推移の分析、第4章、生活実態、学習意識等と学力の関連という報告をいただきました。5年間の推移も掲載されており、関係者の御努力に感謝を申し上げます。
 しかし、1回660万円の予算をかけ、5年間継続した学力診断テストでありますが、その成果というものがもうひとつわからないというのが本当のところであります。最後のページに考察が載っているのですが、それに限っても、膨大な資料の割には簡単な考察であります。学力の視点からも、生活実態からの学力へのアプローチも、今まで言われてきたことの域から出ていないというふうに思います。
 一昨年の9月に、国際学力調査、PISAにおいても、子供の学力は全体として上位にあるものの、読解力や記述式問題に課題があること、日本の児童生徒は学習に対する意欲が他の先進諸国に比べて極端に低いこと等が指摘されました。今回の県の学力調査においても同様な結果が出ているように思います。
 報告書の教科に関するアンケートを見てみると、「総合的な学習が好きだ」、「どちらかといえば好きだ」と答えている児童が93%を超えています。この数字は、学習への意欲が低いと言われる児童生徒の意識の中では注目すべきだと思います。
 今回の改正で、総合的な学習の時間が削減されました。大変残念なことだと思います。私は、意欲を持って学習することが生きる力をはぐくむ近道のような気がいたします。教育長の生きる力を形成する確かな学力観をお聞かせください。
 6回目となる学力診断テストは、10月に行う予定とお聞きしています。6年を区切りとして学力診断テストは一応休止ということであります。私は、何回学力診断テストをするかが重要ではなく、学力診断テストをすることで見えてくることのほうが大変重要だと考えます。一応6年間も行ったのですから、休止することには賛成であります。
 そこで、6年を区切りに教育委員会の学力考察プロジェクトとして立ち上げて問題に取り組んでいただけないかということで御提案を申し上げるのですが、調査の結果は大変貴重なものです。時間と労力とお金をかけた調査をもっと生かすために県としてプロジェクトチームを立ち上げ、過去の検証と深い分析、考察、今後の県独自の取り組みを考えるべきだと考えます。取り組みをそれぞれの市町村、各学校にお任せといったことではなく、今こそ教育革命を起こすぐらいの意気込みを持った県独自の学力観と具体的な方策を示す必要があると考えます。その点についての御見解をお聞かせください。
 全県1区の学区制についてお聞きします。
 学区制が撤廃されて5年が経過しました。ある程度定着したかのように見えますが、生徒の動向について1つの懸念があります。和歌山市に流入している生徒の数と和歌山市から流出している生徒の数であります。
 市外からは、いわゆる学力的に高いとされる高校への入学者が増加し、市内から郡市には学力的にしんどいという生徒が流出している状況がないのかどうか、現在の状況についてお伺いします。
 だれでも、高校生活というのは人生において忘れがたい時期でもあり、その中で、我が母校、我が郷土といった意識も養われます。一たん県外に出ても、一緒に学んだ友達や、いつも集まった場所があるからこそ、また帰りたいという気持ちがはぐくまれます。高校生活の体験は何物にもかえがたい、かけがえのない財産であります。高校生までは、生まれ育った我が町の我が高校に通ってほしいと願います。
 全県1区になったことで、我が町の我が高校という意識が薄れていっている状況はないのでしょうか。私は、全県1区というのではなく、以前のようなもう少し穏やかな枠組みにした制度に戻したほうがいいと思います。そういった観点で、今後の学区制をどのように考えているのかお伺いします。
 次に、児童虐待防止条例の今後について、福祉保健部長にお伺いします。
 この6月議会において、和歌山県子どもを虐待から守る条例が成立いたしました。この条例は、県、市町村及び関係機関の連携・協力の必要性と、県民、市町村、関係機関の意識を高めることを主眼にしており、全国的に見ても先進的な条例であります。特徴として、第9条に「知事は、虐待防止策を総合的かつ計画的に推進するための基本的な計画を定めなければならない。」としている点であり、また、計画には具体的な施策を定めるほか、年次報告として数値目標が設定され、それを毎年検証していくシステムが盛り込まれました。また、早期発見の環境づくりとして、関係機関等に前項の調査に協力するよう努めるとしたのと、48時間以内の安全確認が明記されました。これは、虐待防止法よりレベルを高めたものであります。そういった点で、私としては県の姿勢を高く評価するものであります。
 しかし、残念なことに県内の虐待の件数は年々ふえており、10年前に比べ10倍の増加を見ています。5月3日付の新聞発表によると、県内の虐待の特徴として、ネグレクト189件、身体的虐待の183件より多いという特徴があり、虐待者は、実母が260件、実父が132件で大半を占めるという結果が出ています。
 条例の中では、虐待の問題に取り組む4つの要件として、予防、早期発見及び早期対応、指導及び援助、人材育成と明記しています。条例をより具体化するための対策として、この条例を本当に実効性のあるものにするためにも魂を入れる必要があると考えます。
 そこで、まず県としての現在の取り組み状況をお聞かせください。
 次に、条例に基づく計画を定めるということになっています。その計画について何点か提案を申し上げます。
 まず、予防としての観点から、親業講習会の実施を提案したいというふうに思います。各市町村の保健所や関係機関と連携し、母子手帳を交付した親に対して、子育ての支援の情報から総合相談窓口の設置状況や前向き親業プログラムの提供など、積極的な支援を行うというものであります。これは、欧米諸国では既に実施している国もあり、大いに実績を上げていると聞いています。昨今の状況として、孤立してしまう親をどこで救済するかが大きなキーポイントと考えます。
 先日、和歌山市のキッズステーションというところにお邪魔をしてきました。若い子育て中のお母さんで大にぎわいでありました。雑談したり親子で触れ合ったりと、思い思いに気ままに過ごしていました。最近は地域でのつながりも少なく、近所で気軽に話のできる環境も余りないようであります。キッズステーションは、そういったお母さん方を応援しているようでありました。そんな中で、親御さんたちの孤独が子供への虐待につながるケースもあると聞いています。
 そこで、予防の観点から、子育てへの不安を抱えた保護者が気軽に相談できる虐待のスキルを持った支援グループを育成していただきたいというふうに考えます。
 また、新聞に、厚生労働省が各自治体に任意に実施を求めている生後4カ月までの乳幼児のいる家庭への全戸訪問や、援助が必要な家庭への育児支援家庭訪問について、実施自治体に向けてのガイドラインをつくる方針を決めたという記事が掲載されていました。これも虐待予防の観点からの有効な方法だと思いますが、各県の取り組みにばらつきがあるということですので、県としても市町村との連携を強めていただき、実施率を高めていただきたいと考えます。
 次に、子供への支援の対策として、10年ほど前から日本でも導入されているCAPプログラムの提供を積極的に行っていただきたい。
 このCAPプログラムは、子供への暴力防止プログラムの略で、子供自身が自分の力を信じ、暴力から自分の心と体を守るための具体的なスキルを学ぶ学習方法です。全国でも100以上のチームが学校や地域で授業を展開しており、大きな広がりを見せています。和歌山市でも、すべての小学校4年生にこのプログラムを提供しており、実績を上げています。大阪府では、池田小学校事件をきっかけに予算をつけております。県でもぜひ導入を検討していただきたいというふうに考えます。
 また、虐待を受けた児童は親から離され、児童養護施設へ保護される事例が多いわけですが、その後、親との関係が改善されないため、施設で長期にわたる生活を余儀なくされる例が大変多いわけです。里親制度ももっと充実されれば、傷ついた子供たちを家庭の中で養育していただくことができます。里親制度の推進を積極的に進めていただきたい。親との再統合へ向けても大きく貢献していただけるものと考えます。
 以上の提案を参考にしていただき、今後の県としての取り組みについてお聞きします。
 以上で、第1問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの藤本眞利子君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 子供の虐待についてお答え申し上げます。
 児童虐待は子供の心身の発達及び人格の形成に重大な影響を与えるため、児童虐待の防止に向け、虐待の発生予防から早期発見・早期対応、さらには虐待を受けた子供や保護者への指導及び援助や人材等の育成に至るまで、切れ目のない総合的な支援体制を整備充実していくことが必要であると考えてございます。このため、児童相談所の体制強化はもとより、県民への啓発、関係職員の資質向上、里親制度の推進、児童養護施設の整備等に努めているところでございます。
 今後は、県の虐待防止策を総合的かつ計画的に推進するため、子どもを虐待から守る条例に基づきまして、今年度中を目途に、先ほど藤本議員からいただきました御提案を含め、直接処遇に携わる方や有識者から成る審議会の御意見等を賜りながら基本計画を策定してまいります。
 さらに、全市町村に設置された要保護児童対策地域協議会等の虐待防止ネットワークを活用し、市町村や関係機関等の連携を一層強化することにより、虐待防止対策の推進に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教育問題4点についてお答えいたします。
 初めに、教員免許更新制度についてでございます。
 教員免許更新制は、その時々で求められる教員として必要な資質、能力を一定水準以上に保てるよう、定期的に最新の知識、技能を身につけることを目的として、教員が自信を持って教壇に立ち、社会の信頼を得ることを目指せるようにとの趣旨で改正されました教員免許法に基づくものでございますので、御理解をいただきたいと存じます。
 現在、全国共有の教員免許管理システムの構築が進んでおり、本県が授与した教員免許原簿情報のデータ化と、国立、私立を含めた現職教員が所有する免許状に関する実態調査を行いまして、平成21年4月実施に向けて努力をしているところでございます。
 校長や教頭等の管理職員につきましては更新講習の免除対象者であり、また特別免許状を授与している者につきましても、一般の教員と同様の対応となっております。また、講師につきましては更新制の受講対象者であり、その人の免許データをシステムに登録することによりまして容易に講師となり得る人材の検索ができることになると考えてございます。
 平成21年度実施に向けての取り組み状況ですが、現在、県教育委員会と和歌山大学を中心とする県内大学で構成される教員免許状更新講習和歌山県連絡協議会におきまして、年間1000人規模が受講できるよう、講座内容と講師配置の調整を行っているところでございます。
 講座の開講日は、教員の多忙な状況等を踏まえまして、ゴールデンウイークや夏休み等の長期休業中や土日を検討しており、また開設場所につきましても、受講者の利便性を考え、和歌山市、田辺市、新宮市の3地方において開催することを検討しております。
 受講費用につきましては、個人免許という性格から個人に負担していただかなければならないと考えますが、現在、国において、費用ができるだけ安価となるよう予算措置を要求していると聞いてございます。
 続いて、今回の学習指導要領に伴う時間数増への対応につきましては、文部科学省は、当初予定しておりました定数改善が実現せず、非常勤講師の措置を概算要求している状況であります。県独自の定数措置は極めて困難でありますので、今後の国の動向を見守っていかなければならないと考えてございます。
 議員御指摘のように、現在相当数の講師を任用しておりますので、講師の方にも新学習指導要領について十分理解する機会を設けるなど、各学校が新教育課程を円滑に実施できるよう支援してまいります。
 また、教員採用につきましては、ここ数年、正式採用者数をふやす努力をしていることを御理解いただきたいと存じます。
 なお、選考検査におきましては、講師経験による免除規定を設けるなど、講師の皆さんの思いにこたえられるよう改善を図ってきているところでございます。
 小学校における教科担任制につきましては、教員の専門分野、得意分野を生かした授業の実施や、複数の教員の目で子供をとらえることで1人では見えなかった子供の長所や個性を発見できるよさがあるということから、県内でも一部の小学校で導入をされています。その一方で、教科担任制ですと担任が子供と触れ合う時間が少なくなり、子供との人間関係が希薄になるといった声もあって、それぞれの学校の実態に応じて検討いただくことが肝要かと考えております。
 次に、学力診断テストについてですが、これまでの調査の結果から、本県の児童生徒は、読解力、思考力や表現力が弱いだけではなく、記述式の問題で無答率が非常に高いという状況にあります。このことは、単に理解できているかどうかの問題ではなく、考える力の基盤となる学習意欲とのかかわりが深いと考えております。学習意欲は、学習指導において、1人1人の子供が、わかる、できる喜びと達成感を味わえる丁寧で粘り強い指導・援助はもとより、子供たちの心や生活にまで行き届いた温かでしっかりとしたかかわりの中で、はぐくまれるものと考えております。
 教育委員会といたしましては、こうした認識に立ちまして、全国学力・学習状況調査の結果も踏まえながら、全庁挙げて児童生徒の学力対策に取り組む必要があると考えております。このため、県独自の学力診断テストを休止する2年間は集中的に学校での指導改善に取り組むこととし、教育センター学びの丘の機能を生かしながら大学や地域の外部人材を積極的に活用いたしまして、また地域共育コミュニティにおいて、学校、家庭、地域が一体となって子供の成長を支える基盤づくりを行うなど、各学校を支援するためのきめ細かなサポート体制の整備に努めてまいります。
 最後に、高等学校の通学区域につきましては、高校進学率が97%を超え、高校教育の普及と教育の機会均等がほぼ達成されていることや、各校で特色ある教育が実践されてきたことにより、受検生の幅広い学校選択や進路選択を保障するという観点から、専門学科から順次拡大し、平成15年に撤廃をしております。
 通学区域撤廃後の入学生徒の状況を見ますと、地方別の差はございますが、全体として約8割の生徒が当該地方の高校に進学をしており、隣接地域を含めますと95%が域内に進学している状況にございます。しかし、その中で、やむを得ず遠くの学校に進学しなければならない生徒もいるという課題があると認識をしています。
 今後、通学区域のあり方につきましては、受検生や保護者への影響が大きいことから、世論の動向を踏まえ、地域に根差した学校づくりや個性に応じた進路希望の実現など、さまざまな観点から引き続き研究を進めてまいります。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
 35番藤本眞利子君。
○藤本眞利子君 御答弁をいただきましたので、意見と要望を述べさせていただきます。
 まず、教員免許制度であります。
 私としては、いまだに免許更新をするという意味がよくわかりません。この制度を導入するために、教育委員会として本当に並々ならぬ御努力をされていることと推察をしています。というのも、個々に持っている教員免許をデータベース化するだけでも大変な作業であります。そのための費用も、県だけでも、データベースのシステム化と原簿入力を合わせると2300万円ぐらいの費用を費やしているというふうに聞いております。
 これを国として──それ、県だけでいきませんので、総括するということになると、どれだけの費用がかかるのかと思うと、何て無駄なことに税金を使うんだなあというふうに腹立たしく思います。これだけの予算を使うのであれば、現場の人的措置を進めていただきたいものです。税金は費用対効果に見合う使い方をしていただきたいというふうに思います。
 教員は、免許を持っていることが前提で採用されているわけで、教員に採用されてからも日々教育活動を進めています。毎日子供と格闘して日々の実践を行っている教員に、どうして免許更新が必要なのでしょう。まあ一歩譲って、最新の知識、技能を身につけるということであれば、教育委員会が実施している研修をもっと充実すれば済むことだというふうに考えます。教育委員会に制度導入についての意見は求めませんが、多くの不備を指摘したいと思います。
 まず、学習指導要領が改正されることで現場に多くの講師が必要とされます。しかし、現在でもその講師の不足が伝えられておりますし、今まで以上に不足が予想されています。その講師の中には、免許を失効している者も出てくるんではないかというふうに考えます。そういったときにどうするのよと聞くと、臨時免許を交付して対応するというものでありますが、これもいかがなものでしょうか。
 また、教育長もお答えいただきましたが、免除の対象者がいます。なぜ免除対象なのかの理由がよくわかりません。
 大学の講座を設置する費用は、一応予算化されそうです。それでも、大学、講座を設置する費用は何とか予算化されそうなんですが、個々の教員については全く自己負担であります。
 ほかにも、答弁をいただいて、本当にスムーズにスタートができるんだろうか、また、なるほどなあと納得できないこともあるわけで、この際、免許制度、来年実施を見送ってはいかがかなというふうに思っています。答弁は結構ですが、意見として述べさせていただきます。
 また、最近、学力問題が社会的な問題になっています。低学年の授業数が2こまもふえました。今のままでは午後からの授業が2こまふえるということで、低学年に6時間目をするということになってくるんだというふうに思うんですが、これが低学年の子供たちに負担にならないかなあというふうに心配しているところです。
 学力をつけるための近道はありません。1学級の人数を少なくして1人1人に行き届いた教育をすることこそが学力の問題を解決する道だと思います。先進諸国の中でも最も教育予算の少ない我が国です。でも、そういった意味では、教育界は少ない予算でよく奮闘していただいているものと思います。身近な学力に一喜一憂をするのではなくて、長いスパンと大きな視野で教育を行っていただきたいというふうに要望し、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(大沢広太郎君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤本眞利子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時37分休憩
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