平成20年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(小川 武議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前10時0分開議
○議長(大沢広太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第100号から議案第117号まで、並びに知事専決処分報告報第9号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 38番小川 武君。
  〔小川 武君、登壇〕(拍手)
○小川 武君 おはようございます。
 9月議会一般質問の初日、冒頭に登壇の機会を与えていただきました。このことに対し、大沢議長初め皆さん方に感謝申し上げ、お礼を申し上げたいと思います。
 本年最大のスポーツイベントであります北京オリンピックも、我が国のメダル獲得25個という結果で終了いたしました。レスリングフリースタイル60キロ級で出場いたしました本県和歌山市出身の湯元健一選手が銅メダルを獲得いたしまして、心からお祝いを申し上げ、お喜び申し上げたいと思います。
 一方で、また心配な出来事も起こっております。大阪市の米加工販売業者、三笠フーズによります政府事故米の流通問題であります。近年、食の偽装問題が多発しておりますが、今回は我々日本人の主食であります米の問題であり、今のところ健康被害は報告されていないようでありますが、まことに憂慮すべき事件であります。一刻も早い真相究明と再発防止を図らなければならないと思っております。
 さて、9月に入りまして、さわやかな秋日和となっているこのごろでありますが、先日、福田首相が突然おやめになるという衝撃的なニュースが飛び込んでまいりました。この辞任により、自由民主党ではその候補者5名がそれぞれ独自の政策を掲げ、懸命に党員に訴えるべく22日まで総裁選を戦うことになっております。私たちは、候補者の政権公約である経済政策や行財政改革といったことに耳を傾けがちでありますが、忘れてはならないのは、地方の現状を認識し、都市、地方を連携させながら地方の活性化を公約に掲げる人物で、また実行力のある人を選び出す必要があります。
 それでは、通告に従いまして一般質問に入っていきたいと思います。
 8月の終わりには、21年度予算の概算要求と、福田首相の最後の仕事として総合経済対策が打ち出されました。安心実現のための緊急総合対策であります。規模でいいますと11兆7000億円、国費では1兆8000億円となっております。このうち9兆円は中小企業向けの資金繰り対策の拡充となっております。
 今回の概算要求と総合経済対策関連で、まず3点を質問いたしたいと思います。
 初めに、関西国際空港2期事業に係る整備についてお伺いいたします。
 このたびの概算要求に、国土交通省は関西国際空港の2期事業に係る施設整備、用地造成などの建設事業費を盛り込まないという、関西国際空港の建設が始まって以来、前代未聞の事態となりました。
 過去、関西国際空港の建設については、騒音等の不安から非常に厳しい県内情勢にありましたが、「伊丹空港の廃止を前提として、当面その規模を、海上の国際空港として最小の単位となる長さ4000メートルの滑走路1組に長さ3200メートル以上の補助滑走路を加えたものとすることが望ましい」とした昭和49年の航空審議会答申と、昭和56年に当時の運輸省から示されました関西国際空港の計画案、環境影響評価案、空港の立地に伴う地域整備の考え方、いわゆる3点セットに基づく全体計画を前提とし、昭和57年8月31日、本県は、関西国際空港計画は国際社会に生きる我が国にとって緊急の課題であり、不可欠の国家プロジェクトであると同時に本県の将来発展のためにも必要であると考え、関西国際空港の建設に同意し、1期事業はもちろんのこと、2期事業の推進に県を挙げて多方面にわたり積極的に協力してきた経緯があります。その結果、昨年8月2日に第2滑走路がオープンし、関西国際空港は2本の長距離滑走路を備え、完全24時間運用を実現した国際空港となったのであります。
 しかしながら、この第2滑走路のオープンはいわゆる限定供用で、第2滑走路等航空機の離着陸に必要な最小限の施設のみで運用しているところであり、アジアのハブ空港として完全供用となるためには第2ターミナル、国際貨物施設などを整備する必要があります。こうした経緯のもと、冒頭の概算要求ゼロ回答という事態になったわけであります。
 この憂慮すべき事態に対し、我々県議会は、去る9日の議会開会日において「関西国際空港に係る平成21年度概算要求に対する意見書」を決議し、その日のうちに山下直也、坂本登、須川倍行、泉正徳、山本茂博、中村裕一の各議員に私を加え、7名により上京。翌10日に、国土交通省、財務省の関係部局、本県選出の国会議員など、計26カ所への要望活動を行い、関西国際空港の2期事業を積極的に推進するための予算について、強く要望してきたところであります。
 このたびの要望活動では、二階俊博経済産業大臣同席のもと、伊吹文明財務大臣とも親しく御懇談いただきますとともに、先日、仁坂知事もお会いされた国土交通省前田航空局長とも長時間にわたり御懇談をいただきました。前田航空局長からは、懇談の中で、2期事業を継続していくため関西国際空港の予算については何とか考えさせてもらうと、何とかするというお返事をいただいたところであります。私は、この局長の言葉は年度内予算化の約束をいただいたものであると受けとめ、今回の要望活動の大きな成果であったと喜んでおります。
 仁坂知事におかれましても、この平成21年度概算要求について、時期を失することなく素早く行動され、去る8月28日には前述の前田航空局長を訪問され、2期事業の継続を要望されたと伺っております。
 そこで、まず仁坂知事にこの件に関する御所見をお伺いいたしたいと思います。
 続きまして、総合経済対策の一環として原油の高騰対策についてお尋ねいたします。
 御存じのとおり、原油の価格は、昨年来、異常な速さと大きな幅で高騰を続けております。過去にも原油が高騰した時期はありましたが、今回は、需給構造というより投機的な資金の流入が大きな原因かと思います。
 今回の原油の高騰は、私たちが日々使用するガソリンの価格にはね返り、2000年には1リットル当たり100円程度であったレギュラーガソリンが、2008年に入り160円を突破し、一時は180円まで高騰いたしました。この月に入り、価格は変動しているものの、依然高値を維持しております。
 また同時に、県民の生活においては、原油高騰を原因とした食料品や生活必需品の値上げによる家計への負担が増加しております。さらに、製品等への価格転嫁が難しい中小企業や県民の生活に直接影響のある第1次産業、農業、漁業、畜産業等の分野において、価格の高騰がその経営を圧迫しており、存亡の危機に瀕している状況であります。
 先日、和歌山県漁業協同組合連合会に加盟する全30の漁業協同組合は、出漁しても利益が薄いか、経費が売り上げを上回って赤字になることから、約6000隻が一斉休漁に踏み切りました。また、和歌山県トラック協会は、先月、和歌山市内でデモ行進を行い、県民文化会館において燃料高騰経営危機突破総決起大会を開催し、「これまでの公共物流サービスの担い手としての努力に反し、ガソリンの急激な値上げで事業存廃の岐路に直面しております」と訴えたことは記憶に新しいところであります。
 こうした困難な状況を打開するため、県漁業協同組合連合会や県トラック協会など各種業種関連団体は、政府及び県に対し、さまざまな措置を要望する行動を行っているところであります。我々自由民主党県議団も、去る8月26日、「原油価格高騰に関する対策を求める要望書」を知事あてに提出したところであります。
 近年の原油高騰を受けまして、国においては、外交や投機に左右される石油から脱却し、代替エネルギーや新エネルギーの研究・開発が進んでいると聞いております。また、県におかれましても、原油価格高騰に係る庁内対策会議や総合相談窓口を設置するとともに、中小企業に対し、国の信用保証制度を活用した融資制度を見直し、関連事業の前倒しなどを実施しているところであります。
 そこで、県民生活の安定や中小企業を初めとした県内企業の活力維持、農林水産業、建設業、運送業などへの支援等について、どのようなお考えをお持ちなのか。また、全国知事会から政府への要望などの点について、知事の御所見を賜りたいと思います。
 次に、中小企業対策であります。
 中小企業の経営環境は、世界的な競争や原材料高での製品価格への転嫁ができず、非常に厳しいものがあります。建設、不動産、運輸・通信、印刷等、不況型倒産もふえてきております。一方、伝統に培われた技術を持つ中小企業が地域で操業を続けている事例も数多く見られます。本県においても、本年3月、100年以上の歴史を持つ企業が表彰されました。この表彰制度については、県民にとっても身近で関心の高い分野であり、私を含めて評価する人が多いと思っております。
 私が暮らしてきた和歌山市においても、中小企業の廃業が相次いでいると感じております。事業者数でいうと、10年前に比べ2割から3割減っているかと思います。繊維や金属加工といった下請は言うに及ばず、家族で経営する日用品製造、印刷といった業種も非常に厳しい状況にあるところで、ここに来ての原材料価格の高騰に悲鳴を上げているところであります。
 また、市内の企業では、経営者や従業員が高齢化してきております。せっかくの技術を持ちながら、やめざるを得ないところも出てきております。なかなか新規採用も、人材が都会や大企業に流れ、適当な人が確保できないのも、もどかしいところであります。
 先日、政府・与党が作成いたしました安心実現のための緊急総合対策の中で、急激な資源高に苦しむ中小企業を応援するために、中小企業の資金繰り対策が措置されようとしているところであります。融資で乗り越えられたとしても、将来的な展望が開けるわけではありません。
 そこで、県の中小企業の振興策と知事が考える中小企業の経営者に対するアドバイスがあれば、お聞かせいただきたいと思います。
 次に、新しい長期総合計画と行財政改革推進プランについてであります。
 本年3月、知事は、仁坂県政の基本指針となる新たな長期総合計画を策定いたしました。その策定に当たっては、知事を本部長とする策定本部を設置し、全庁的な体制で取り組み、知事みずからもペンをとられたと聞いております。長計策定後は、県内各地でシンポジウムを開き、いずれの会場でもパネリストとして、地域の活性化についてさまざまな角度から知事の思いを県民に訴えられ、出席されていた会場の皆さん方とも活発な意見交換をされるなど、知事みずからさまざまな機会を通じてPRをされております。
 長期総合計画の目指す将来像実現のためには、県庁だけでなく、県民1人1人が主体的に取り組むことが必要であると考えます。県民の方々の反応はいかがであったか、お聞かせいただきたいと思います。
 また、長計に掲げた将来像を具体的に実現していくため、既に今年度当初より平成21年度に向けて新政策の検討が進められていると聞いておりますが、これまでの検討状況についてお答えいただきたいと思います。
 知事は、就任後、清潔な県政を旗印に、入札改革を初めとする規律ある県政の推進に努めており、財政運営にしても1円をおろそかにせず、予算査定も非常に厳しく行い、新政策の財源を生み出したと聞いております。
 新長計とあわせて策定されました新行財政改革推進プランでありますが、これについては、持続可能な財政基盤を確立し、新たな長期総合計画に掲げた各種施策を実現するためにさらなる行財政改革の推進が必要であるとの思いで作成したとありますが、5年間での収支改善1377億円、人員削減約1000名と非常に厳しいものとなっております。
 今年度も公の施設や外郭団体の見直しを行っており、私もある施設の関係者から、「私らが関係している施設がどうなっていくんやろ」と聞かれたことがあります。
 新行革プランについては、現在、事務局が将来の範となるような案を策定中のことと思います。このプランについては、毎年度実施方針を決めて事業の見直しや人員削減を行っていくとのことでありますが、今年度の実施する内容はどうなっているのか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、教育の振興について2点、まず先日発表されました学力テストの結果についてお伺いいたします。
 本年4月、文部科学省は、全国の小学6年生と中学3年生を対象とした全国学力・学習状況調査を昨年に引き続き実施し、その結果が去る8月29日に公表されました。この調査では、国語と数学の2教科で、知識とその応用力を問う内容となっております。全国で国公立のほぼ全校並びに私立小中校の約半数が参加、小学生で約116万人、中学生は約108万人が参加しております。また本県では、小学校272校と中学校137校の1万8000人が受けたと伺っております。
 公表された内容を見ますと、小学の算数Aと中学の数学Aだけが全国平均の正答率を0.5から1.2ポイント上回っており、一方で小学国語Aは1.1、同じく国語Bは3.1、同算数Bは2.7、中学国語Aが1.7、同じく国語Bは3.8、同数学Bは0.4ポイント、それぞれ正答率で全国平均を下回っております。特にB、すなわち応用問題の正答率が低く、これら全科目の総合順位は、小学が36位、昨年は32位、中学は40位、昨年は43位という結果でありました。私は、この結果から、本県の小学生、中学生は応用問題に弱いということがわかりまして、また、同じ調査を実施した全国的なレベルとしては、本県は下位に甘んじていると言わざるを得ないのではないでしょうか。
 この問題に関し、大阪府の橋下知事は、府が都道府県別で小学校が41番目、中学校が45番目と前回に続いて下位を低迷したのを受けて、「府教育委員会は最悪」と発言し、市町村ごとの成績の公表を求めるとともに、9月5日、教育非常事態宣言を発令したところであります。
 そこで、教育長にお伺いいたします。
 もちろん、教育は学力、知力だけが問題ではありません。教育というのは、人として尊敬に値する、すばらしい人材を育成するということも大事であります。しかしながら、このたびの調査、お世辞にもよい成績とは言いがたい。このため、このたびの全国学力・学習状況調査の結果を受けて、本県の小学生、中学生に見える学力上の課題、問題点は何であったか。また、この課題、問題点の解決に向けて、今後、和歌山県教育委員会としてどのような取り組みを行っていくのか、お伺いしたいと思います。
 最後に、県立高校の入試制度について御所見をお伺いいたします。
 最近、県内中学生の高校への進学が変わりつつあると聞いております。これまではほとんどの中学生が県内県立高校へ進学しておりましたが、充実した教育や大学への進学等の期待により、数年前に比べ、私立高校への進学も増加していると聞いております。
 こうした中、県教育委員会では、平成12年度に普通科に推薦入学制度を導入、平成19年度には、この推薦による選抜方法を改め、前期・後期とも学力検査を伴う選抜方法へと変更されました。昨年度あるいは今年度、新選抜方法により実施した前期選抜試験では、これまでになく著しい競争率の上昇が見られ、結果として多くの生徒が不合格という事態となりました。
 また、聞いたところによりますと、21年度の選抜方法の概要も、連携型中高一貫教育校で実施する特別選抜、従来のとおり学力検査を実施する前期・後期選抜、指定競技スポーツにすぐれた実績、能力を持つ生徒を対象に実施するスポーツ選抜、その他追募集となっているとのことであります。
 新しい選抜方法は、限られた生徒を推薦するという方法ではなく、たくさんの生徒に対し学力検査による選抜を行うことで、公平な受検機会の付与と主体的な進路選択の促進という面では一定の評価ができると考えます。
 しかしながら、一部県民の方から、前期選抜試験において募集枠が少なく、不合格となり、合格は困難とわかっていたが、後期試験に向けて自信をなくしてしまったという御意見や、後期選抜試験において第1希望の学校を受けることができなかった、前期・後期と2度も実施する必要があるのかといった御指摘が出るなど、その弊害も出てきていることもまた事実であります。
 高校入試の時期は、子供たちにとってまことに多感な時期であり、また御家族にとっても非常に重要な時期であります。入試制度の改善には多くの困難があると思いますが、豊かな人材育成の観点に立って、できるだけ多くの子供が、希望する高校に進学できる制度への改善が必要であると思います。現行の前期後期制の廃止を前提として検討し、入学者選抜制度を再構築することが必要であると考えますが、教育長の御所見をお伺いいたしたいと思います。
 以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大沢広太郎君) ただいまの小川武君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいまの御質問のうち、まず、関西国際空港の整備についてお答え申し上げます。
 関西国際空港は、関西が発展するための中核となる国際拠点空港で、また和歌山県の発展にとって極めて重要な空港であることから、その機能の向上に和歌山県としても積極的に取り組んでいかなければならないと思います。このため、2期事業を着実に進め、早期完成を図ることは極めて重要であります。
 平成21年度概算要求に関西国際空港の建設事業費が盛り込まれなかったことについては、私も、早速、これを知ってから8月28日に前田航空局長を訪問して、2期事業の継続を強く要望してまいりました。これについてはいろいろと説明をしておりましたが、私としては、減便に次いで事業費もカットということでは、どう考えても関空のねらい撃ちに我々としては感ずると、何とかもっと関空をてこ入れするということを国としても考えてもらいたいということを主張してまいりました。また、大阪府あるいは関空会社などと連絡を一層緊密にしまして、いろいろ連絡を取り合いまして運動しているところでございます。
 最近の航空局長の発言、例えば交通審議会による発言とか、小川議員ほかの代表団に対する発言とか見ておりますと、少しその効果も出たかなというような感じもします。議会におかれましても、今、小川議員の御発言にありましたように、この開会日に「関西国際空港に係る平成21年度概算要求に対する意見書」を決議され、翌日上京し、要望活動をされ、今お話をお伺いし、その意を強くしたところでございます。
 今後とも、議会と共同歩調をとり、減便回復や、あるいは一日も早い2期工事の完成などにより名実ともに国際拠点空港となるよう積極的に取り組んでまいりたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、原油高騰対策についてでございますが、原油高騰の影響を受けて石油製品を初め物価の値上がりが続いておりまして、業界を含め、多くの方々が大変な影響を受けております。このため、昨年12月には、県の中に原油価格高騰に係る庁内対策会議を設置し、総合相談窓口の開設を初め、生活困窮者への対応強化、あるいは公共工事の単価の見直し等の対策を進めてきたところでございます。
 早速そういう手は打ちましたけれども、春から夏にかけての一層の高騰についてさらに監視を努め、何かすぐできることはないかということでいろいろ対策を強化してきたところでございます。これにつきましては、中小企業の融資への拡大、あるいは農業分野の省エネ支援、あるいは漁業分野での利子補給や省エネ操業に対する取り組み支援、あるいは水産関係の基盤整備の前倒し実施など、いろいろと県としてできることを手を打ってまいりました。
 この間、いろいろ要望も受けましたが、それについては一部県としておこたえしているつもりでございます。また、県としては、ちょっと1人ではできないということについての要望に関しては国へ早速伝えまして、また全国知事会においても「漁業用燃料等の原油、原材料の高騰に関する緊急決議」を政府に提出したりして働きかけをしているところでございます。
 こういう動きを受けまして、先般発表された国の安心実現のための緊急総合対策には、省エネルギーや省資源化、燃油高騰が大きく影響する業種への配慮としての燃料サーチャージ制導入のさらなる促進や、あるいは省エネ車両機器等の導入促進、あるいは中小企業の金融対策、金融支援、さらには代替エネルギーへの転換等、国民生活安定のためのさまざまな施策が盛り込まれておりまして、これを一刻も早く実現して国において取り組んでいただきたいというふうに考えております。県としては、引き続き、これらの制度あるいは県独自の制度、そういうものをすべて活用しながら対策を進めてまいりたいと考えております。
 次に、中小企業対策でございます。
 中小企業対策については、本県経済を支えているのは事業所の大部分を占める中小企業であるという認識を一層強めております。県内には、経営革新、技術革新で時代の変化を幾度となく乗り越えてきた100年企業や、独自技術で世界に認められたオンリーワン企業、あるいは地域資源を活用してブランドを確立している企業など、立派な中小企業が数多く存在しております。最近、経営者の方と話をしたり、各地を訪問する際に各地の企業を訪問さしていただきまして、この思いを大変強く一層持っております。
 県といたしましては、このような元気な中小企業に一層成長していただくための、それぞれの企業が持つ技術力や人材、経営ノウハウなどを生かして経営革新を図るとともに、本県の豊かな地域資源の活用や販路開拓、必要な資金の手だて、事業承継などの中小企業の抱えるさまざまな課題に対し、国や県の支援情報の提供や、わかやま中小企業元気ファンド、農商工連携、プレミア和歌山などのいろんな手を使って支援をし、さらには地域力連携拠点・事業承継支援センター等の産業支援機関との連携・協力により、事業環境の改善に取り組んでいるところでございます。
 私としては、厳しい環境にあってもグローバルな視点を持ってピンチをチャンスととらえ、自社の強みである経営資源を磨き、生かしながら新たな成長フロンティアに果敢に挑戦していただきたいと考えており、そのようなやる気のある企業をしっかりと応援してまいりたいと考えております。
 しかしながら、一方、短期的に考えますと、急激な原油・原材料価格の高騰などにより、県内中小企業を取り巻く経営環境は厳しいものとなっております。県では、不測の事態に備え、とりわけ政策金融制度をフルに利用して円滑な資金繰りに努めているところでございますが、このほか、下請取引適正化の確保などの取り組みを進めております。
 国においても、先ほど申し上げました安心実現のための緊急総合対策が策定され、特に中小企業向けの資金繰り対策が打ち出されて、かなり手厚い対策が盛り込まれそうでございますが、今後、この対策が早急に実施されるように働きかけるとともに、国の動向を注視しながらも県内企業がその支援策を円滑に活用できるよう、最近活動を開始しております県の産業別の企業担当者等を通じてきめ細かく対応して周知してまいりたいと思います。
 小川議員からアドバイスと言われましたけれども、自己の採算で経営にかけておられるような方に、私として偉そうに申し上げるものはありません。しかしながら、県の政策や、県を通じて国の政策をよく知っていただき、これをうまく利用していただいてますます発展していただくように、そしてそういう政策を利用しながらもう一歩前へということで和歌山県の力をぜひ実現していただきたい、そんなふうに思っております。
 次に、長期総合計画につきましては、県民の皆様に御理解をいただけるように、リレーシンポジウムの開催、あるいは関係団体等への説明、次世代を担う中学・高校生に対する特別講義などを実施いたしまして、積極的にPRに努めてきたところです。
 シンポジウムでは、募集定員を超える多くの県民の皆様の御参加のもと、農業の振興あるいは子育て支援等について御意見、御質問をいただき、また高校では、聴講した高校生から「僕が将来知事になったら」と題したプレゼンテーションが披露されるなど、県政に対する県民の関心の高さを実感したところでございます。引き続き、さまざまな機会を活用して、長期総合計画に共鳴いただけるように取り組んでまいります。
 また、この長期総合計画は、御理解いただけるということはもちろんでございますが、県当局といたしましては、これを実現していかないといけない。決めて終わりというんではなくて、実現をしなきゃいけないと思っております。
 このために、平成21年度新政策については、年度当初から全庁挙げて新政策の検討作業を進めているところでありますが、既に国の支援や制度改正が必要なものについては6月に政府への提案・要望を行い、先月末の各省庁からの概算要求については、かなりこれを取り入れた形の要望を対財務省要求で出していただいています。公立小中学校の耐震化についての支援制度、あるいは地デジの振興策、そういうものがかなり盛り込まれてはいるなというふうに認識しておりまして、引き続き12月に、この勢いでちゃんとやっていただけるように働きかけを行ってまいりたいと思っております。
 また、来年度、今度は県として重点的に取り組むべき施策についてはさらにその後も検討を進めておりまして、長期総合計画の目指すべき将来像の実現に向けて、新たな政策課題や地域が抱える課題への対応といった観点を踏まえ、現在検討を進めているところでございます。
 今後、市町村との連携も図りながら施策の具体化を進め、本年度の新政策からさらに発展さした内容として来年度の新政策を取りまとめ、長計の実現に一歩一歩邁進してまいりたいと思っております。
 それから次に、新行財政改革推進プランについてでございます。
 本年3月、長期的に県が持続可能であるような、そういう財政構造を実現しようということで新行財政改革推進プランを策定したところでございます。これについては、そのプランの中で、人員削減や、あるいは県債発行等は具体的に決めてありまして、現在実施中でございます。また、年度ごとの事業削減、これも明示しておりまして、これに沿いまして、既に平成20年度については昨年度の事業評価あるいは組織改正の議論の中で決定をし、既に予算や組織に反映をさしております。
 平成21年度以降についても、決まっていることは実施中です。例えば、採用数なども路線上にあります。次に事業費については、ことしの予定されているカットを実現するために、施設、予算、団体等などについて、どういうふうに具体的にするかということを考えていかなければいけません。したがって、副知事をキャップとする庁内行財政改革推進本部で現在検討してもらっているんですけれども、県有施設、外郭団体、補助金、こういうものの見直しを中心に、だんだんとこれを県民に明らかにしながら、最終的には目標達成をしていきたいと思っております。
 今後、県議会を初め関係の皆様方の御意見もお伺いし、決定をしたいと考えておりまして、現在検討中の事務局案を早急に取りまとめるように指示したところでございます。行政改革・基本計画等に関する特別委員会及び総務委員会までには取りまとめの上、お示しをさしていただき、御意見を賜りたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教育の振興についてお答えいたします。
 まず、学力テストの結果につきましては、今回の全国学力・学習状況調査は昨年度と比較してやや難しい内容となっておりまして、全国の平均正答率は各教科とも昨年度より低い状況にあります。
 全国と本県を比較いたしますと、議員御指摘のとおり、基本的な知識を問う問題では、小学校の算数、中学校の数学で全国平均よりやや高い状況にありますが、知識、技能等を活用する問題では、小学校の国語、算数、中学校の国語で課題が見られます。
 こうした課題を解決するため、昨年度の調査結果を検証改善委員会において分析し、本年3月に「学校改善とその支援に係る提言」として取りまとめました。県内すべての小中学校におきましては、この提言を踏まえた授業改善を進めるとともに、学ぶ楽しさや知る喜びを実感できる授業づくりに努め、学習意欲や家庭学習の習慣、地域での活動等と結びつけながら学力の向上を図ってまいります。
 さらに、学力の基礎となる言語能力に課題があると見られますため、本年度から「ことばの力」向上プログラムを実施し、言葉に対する関心を高め、深く鋭く感じ取る力、考え判断する力、表現する力など、言語力の向上を図る取り組みを進めるとともに、各学校ごとに学力状況を詳しく分析し、指導の改善に取り組むよう、きめ細かな指導・支援を行ってまいります。
 また、こうした学力向上の取り組みを通しまして、単にテスト結果を上げるだけではなく、児童生徒1人1人が自信を持って生き生きと学び、人間的に成長し、地域との結びつきの中でふるさとに愛着と誇りを持てる教育を積極的に進めてまいります。
 次に、高等学校入学者選抜制度につきましては、生徒の興味・関心、能力、適正等の多面的な評価と多様な尺度による選抜という観点から改善を重ねてきたところでございます。現在の前期後期制は、従来の推薦入学の特色を残しながら、すべての受検生に複数の受検機会を保障し、主体的な進路選択を一層促進するという観点に立ちまして、平成19年度から実施したものと理解をしてございます。しかし、2年を経過する中で、さまざまな御意見をいただき、本年4月、中学校、高校の校長会、PTAの代表から成る和歌山県立高等学校入学者選抜改善協議会を設置いたしまして、入学者選抜制度についての検証と検討を重ねてまいりました。
 21年度につきましては、この協議会の強い要望を受け、受検生への影響を考慮して、現在の制度を維持しながら前期の募集枠を拡大して実施することといたしましたが、22年度以降につきましては、各方面からの意見や全国の実施状況等を参考に検討しているところでありまして、御指摘を踏まえ、前期後期制を廃止する方向で検討を進め、年内できるだけ早い時期にその概略をお示ししたいと考えます。
 以上でございます。
○議長(大沢広太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(大沢広太郎君) 以上で、小川武君の質問が終了いたしました。

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