平成20年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(山下大輔議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番山下大輔君。
  〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 一般質問も最終日になりましたが、今議会も張り切ってやらしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 さて、今月8日、和歌山大学は創立60年と観光学部設置を記念した式典を開催しました。議会からも、議長を初め先輩・同僚議員も多数出席されて、県からも仁坂知事ほか多くの出席者があり、総勢で400人を超すという熱気ある式典となっていました。記念講演では、長野県の桝一市村酒造場で社長を務めるセーラ・マリ・カミングスさんがお話をされました。会場でお聞きになった方は御存じやと思うんですが、これ、きれいな女性なんですよ、セーラ・マリ・カミングスさん(写真を示す)。
 彼女が地方で、本当は保守的なそういう仕事の現場で社長にまで今もうなられてるということは、実はそのことだけでもお話ししてもおもしろい話なんですけれども、きょうはちょっと話が違いますので触れませんけれども、そのセーラさんとは、以前私が所属していた日本青年会議所で2003年度の人間力大賞で特別賞を受賞されたときに御紹介いただいた御縁があり、久しぶりの再会となりました。今回の講演でも、元気いっぱい情熱的なお話で、私も元気をもらえたのですが、その講演で私自身、特に印象に残った話として、以前にも直接お聞きしたことがあるのですけれども、地元で多くの反対を受けながらも開催したマラソン大会のエピソードで、その話は今の行政にも見習うべき重要な視点があると思います。
 セーラさんは、最初、地元長野県小布施市でマラソン大会を開催しようと周りの友人に相談したところ、ほとんどの人から小布施でマラソンは無理だと言われたそうです。マラソンを走れるようなコースはないなど、否定的な理由はすぐに100ぐらい集まったということです。
 しかし、できない理由を言うよりも、できる理由を考えましょうということで説得して回ったそうです。何かやろうとするときに、難しい、お金がかかるなどと理由をつけてやろうとしないのはよくある話で、そこではほとんどの人が、やらないための理由を一生懸命考えると。それではだめで、「ノー」を「ゴー」に変える姿勢が大切だということです。これは、ちょっと言葉でわかりにくいんで、(パネルを示す)「ノー」を「ゴー」に変えるという姿勢が大事だということを指摘されていました。
 どうやったらできるのか知恵を出して、あきらめず挑戦する気持ちを持つことが大切だとセーラさんは言います。この講演を聞いて、改めて、「やればできる」といった、小さいころによく両親から叱咤激励を受けたのを思い出しました。身の回りの日常生活で、整理整頓からスポーツ、勉強まで「やればできるやないか」は激励の言葉でした。多くの人も小さいころに励まされた言葉だと思いますが、しかし、大人になると忘れてしまい、いつの間にか、「やればできる」ではなくて、「できるだけやらないでおこう」になってしまいます。
 このセーラさんの話を初め、最近、「やればできる」といったことで勇気をもらい、感動することが多いです。北京オリンピックをかけた日本の男子バレーなども勇気と感動をもらいました。また、政治の世界でも、大阪府の橋下知事の取り組みなどは多くの人に勇気を与える行動だと思います。共通しているのは、100の理屈よりも1つの行動、論理、理屈以上にやる気のある魂、情熱といったものが人を感動させ、時代を変えて、社会を変えるのだと思います。
 ぜひ当局の皆さんにも、100のできない理由を一生懸命考えるのではなく、情熱を持って、何にでも何とかしてやろうという意気込みで頑張っていただきたいと思います。私も情熱を持って、この和歌山を何とかしようという強い思いで、今回も質問、提案をさせていただきますので、当局には誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、順次質問をさせていただきます。
 まず最初に、大阪府の進める府政改革、政策決定のプロセスの透明化と財政再建、地方分権、道州制などの取り組みについて。
 今、お隣の大阪府では、橋下新知事のもと、「大阪再建」を合い言葉に新たな改革が進められようとしています。仁坂知事も橋下知事とは当選直後にお会いになり、また先日は近畿ブロックの知事会議でも激論を交わされていたようですが、大阪府の「大阪維新」プロジェクトがスタートし、マスコミなども注目する今、和歌山でもこの機会は多くの県民に県政への理解を深めてもらうチャンスになるものと思います。今回の橋下知事の改革には、たくさんのマスコミが押しかけ、その様子はテレビなどでも連日放送される状況にあります。すぐ隣の自治体でマスコミも巻き込んだ行財政改革の議論が高まる状況は、和歌山の県民にとっても身近な話題となり、本県における改革の機運もぐっと高まるものと思われます。この機会に和歌山県でも、県行政が置かれる実態について、より広く県民に伝え、ある面では厳しい現実もしっかりと理解してもらうことが大切だと考えます。
 そこで今回は、大阪府が取り組む改革との比較も一部交えて、現在の県行政の基本的な部分について、質問並びに提案をさせていただきたいと思います。
 今回の大阪府の取り組みでは、和歌山でも見習うべき点は少なからずあるものと考えます。中でも、私自身、非常に評価する取り組みとして、情報の公開、政策決定のプロセスをできる限りオープンにしているといったことがあります。これは、多くの県民に県政への参画意識を持ってもらうためにも非常に重要な取り組みとなります。
 今、地方政府に期待されるのは、小手先の行政対応ではなくて、地域全体としてこの厳しい時代を乗り切っていく知恵が問われていて、そこでは、地域住民の本格的な参画を前提とした地域運営の仕組み、政策決定のプロセス、予算審査の状況などについてできる限りオープンにした新たなシステムの構築が求められているのだと思います。大阪府では、今後も府庁の意思決定過程を透明化するために経営企画会議を設置して、そこでの議論を公開し、あわせて政策立案段階で市民の意識調査も行っていくとしています。
 そこで、まず仁坂知事は、この橋下知事の取り組み、特に政策決定プロセスの透明化といったことについて、私自身はできる限り和歌山県でも取り組んでいくべきものだと考えますが、どのように評価されているでしょうか。また、そのほか、今回の大阪府における取り組み全般を見て率直な感想、和歌山としてもぜひ取り組んでいきたいと思われる点などあれば、お聞かせいただきたいと思います。
 今回の橋下徹大阪府知事が発表した「大阪維新」プログラムを読ませていただくと、その内容は3本柱で構成されています。1つは、2008年度に1100億円の収支改善を目指す財政再建案、2つ目に、大阪の活性化に向けた重要政策の実行、そして3つ目は、民間企業に倣い、職員の意識変化を促す府庁改革。それぞれに興味深い内容となっていますが、特に財政再建については、1100億円の収支改善にどう取り組むのか、マスコミからも大きな注目を浴びていました。
 そこで次に、財政再建に係る問題について知事の御所見を賜りたいと思います。
 現状における和歌山県財政の実態といった点で、大阪府との比較では、和歌山の場合はそこまでひどくないというのが現実だと思いますが、しかしながら、我々も決して楽観視していられる状況にはないのだと思います。
 先日、各都道府県の平成20年度当初予算についての新聞報道がありましたが、それによると、和歌山県を含めて多くの都道府県で税収減や地方交付税の減少等を背景に平成19年度対比でマイナスの予算が編成され、地方の厳しい現実を浮き彫りとするものとなっています。その中では、公債費の増加が総じて目立ち、地方債残高も増加基調となっているということです。
 本県の厳しい現実としても、これまで和歌山県では多額の県債を発行してきています。本年度、2008年度の一般会計の状況を見ても、県債発行額は昨年度より2.1%ふえ781億円、県債残高は3.2%増となり、初めて8000億円を突破し、8158億6600万円で過去最高となっています。これは、県の財政規模の約1.59倍という極めて大きな債務残高であり、県民1人当たり子供から高齢者まで一律77万円もの借金を抱える計算となります。こういった債務の額が年々ふえ続けている状況は、歳入増加の展望が開けない現状においては和歌山県の将来についても相当に厳しい認識が必要かと思います。
 財政構造における大阪府との大きな違いとして、自主財源の比率が大きく違っています。歳入全体に占める地方交付税のシェアが大阪府では8.8%のところ、本県は32%と強い国の影響を受けるのが実態で、今後、国の意向による交付税の増減によって極めて大きな影響を受け、将来的にも予測できない部分が大きいのが現実です。過去あった三位一体改革の例に漏れず、国は地方に対していつ交付税の減額等、厳しい条件を突きつけてくるかわかりません。現在もマスコミなどで大きく取り上げられている高齢者の医療制度問題なども含めて、社会保障費の伸びなどを見ても、国家財政としても極めて厳しい実態がある中では、決して和歌山の今後の財政見通しとしても新行財政改革推進プランの青写真どおりに進める保証はなく、特に自主財源の乏しい本県では、できる限り債務の規模を縮小しておくことが必要だと考えます。
 そこで、知事にお伺いしますが、今、大阪府では財政危機宣言といったものまで出される状況にあり、これには本県の住民も、「和歌山、大丈夫やろか」といった心配をされる人も多いと思います。大阪府との違いも含めて、本県における財政の現状認識と今後の見通しについて、改めてお示しいただきたいと思います。
 次に、地方分権と道州制について。
 橋下知事は、今回の改革のその先には、地方分権、さらには道州制の実現といったことも視野に入れ、その過程で大阪府を解体させるといったことにまで言及されています。橋下知事は、大阪府の将来像としては、市町村への権限移譲を進め、府の発展的解消まで視野に入れた改革を断行していくとしています。その具体的な取り組みとして、今年度から市町村向けへの事業別の補助金を用途を限定しない交付金とする一方、国には権限や財源の移譲を要求しつつ、その先には道州制を視野に入れて関西の府県による関西広域連合を実現し、関西州の布石にしたいといった話をしています。
 新聞社とのインタビューで、「大阪を元気にするための次の手で必要なのは分権。まず、府と市町村のあり方をきちんと整理する。市町村がやるべき事業には必要な権限とお金を渡してやってもらう。また、権限とお金を受けるのだから、市町村側も住民サービスを展開できる規模にならなければいけない。そのために、府はコーディネーター役として、これまで以上に市町村合併も促す」と、さらなる市町村合併にも意欲を示しています。そして、まず大阪で府と市町村のあり方を整理しつつ、近隣他府県にも同じような取り組みを働きかけ、その上で、その司令塔同士がくっつけば、それがいわば道州制になる。関西という規模で経済力を高めていかなければ国際的な競争には勝てないと、これは堺屋太一さんなどのアドバイザリーボードのメンバーからの意見もあるようですが、道州制にも極めて積極的な姿勢を見せています。
 今、日本の国のあり方が問われていて、大きな変革期であることは間違いありません。これまでの省益優先の官僚統治国家から国益と自治優先の分権国家へとかじを切れるのか。そこでは、地方のそれぞれの自治体の姿勢も問われるものとなります。今後は、分権改革、その先の道州制への道筋などについてますます議論が白熱する状況が予測されます。
 そこで、知事の御認識を伺いたいと思いますが、これまでの分権改革の議論は、財政再建の議論と同時に行われたこともあり、交付税の削減など地方にとっては理不尽とも言える非常に厳しい面もありましたが、しかし、いずれにせよ、この国のあり方、形を論ずる非常に重要な局面にあることは間違いないのだと思います。そういった中で、今必要とされる地方分権改革のポイントといったことについて知事はどのように考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
 あわせて、経済界からの強い提言も出て、特にこの関西ではその機運が高まりつつある道州制の議論についても、知事の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
 また、市町村合併については、これは和歌山県としてもこれまで相当に頑張ってきていると私も思いますが、しかし、住民サービスをしっかりと担保できる基礎自治体の議論次第では、まだまだ和歌山も不十分だといった意見もありますが、知事は今後の県内市町村における合併問題のあり方、また権限移譲、財源の移譲といった観点から、県と市町村との関係といったことについてどのように考えておられるのか、お聞かせください。
 続きまして、ここからは和歌山のブランド力を強化する取り組みとして、プレミア和歌山事業、そして観光医療産業の振興、そしてナショナルトレーニングセンター事業について、それぞれ提案並びに質問をさせていただきたいと思います。
 まずは、プレミア和歌山の取り組みについて。
 先日、県の産業振興課産業ブランド推進室から、和歌山県内の優良品を推奨していく新制度として、プレミア和歌山の発表がありました。今回新制度となるプレミア和歌山事業は、これまでの県推薦優良土産品制度にかわるものとして立案され、そこでは、生鮮品や加工食品、伝統工芸品などに限定せず、産業製品から郷土料理、祭りなどを含む観光まで幅広い分野を1つの制度として認定していくものとなっています。あわせて、県内での生産、製造はもちろんのこと、主原材料も県内産を原則として、生産者のこだわりや安全性を重視したブランドイメージを確立させたいということです。
 仁坂知事も記者会見の場で、このプレミア和歌山の制度から和歌山の産品を全国、世界へアピールしていきたいと期待を寄せられていたようです。私自身も、この事業は、うまくすれば和歌山全体のイメージを引っ張り、ブランド価値を向上させ、全国に対して大いにアピールできるものになると期待しますので、ぜひこの制度の実施に当たっては、事前準備を万全にして、よりよい事業にしていただきたいと思います。
 今回の取り組みをよりよいものとしていく幾つかのポイントがあると考えます。特に、推奨品をどのようにPRしていくのかといったことでは、それは選考過程にもかかわる問題でもあり、重要なマーケティングの取り組みとなります。
 先日、私の信頼する社長で、和歌山を基盤としつつさまざまなお店をプロデュースし、一昨年にはフランス菓子専門店を神戸にもオープンさせ、スイーツの世界でまさにプレミアムな商品を提供し続け評判となっている株式会社キタタニの代表取締役である北谷英市さんにお時間をとってもらい、話を伺ってきました。地域の産品をブランド化していくにはどういった取り組みが重要かといったことから、地域の産品をうまく使い加工食品をつくることで1次産業の振興にも役立てるといったことなど、さまざまな政策づくりのアイデアもいただいてきたのですが、とにかく今回のプレミア事業においてはマーケティングが非常に大切だと強調されていました。
 例えば、商品の選定作業においても、単に物を選ぶといったことではなくて、流通、販売、PRまでも視野に入れて戦略的に進めるべきで、そこでは和歌山が推奨する商品が決してひとりよがりではなく、多くの人に受け入れてもらうためにしっかりと市場調査を行い、特に都会、海外などのそれぞれのターゲットとなる消費者が何を欲しているのか、社会状況や消費者ニーズなどをしっかりと把握した上での事業展開を考えるべきだ。この事業を進めるのに、簡単に、いいものを選んどけばええやろと、紹介していけばいいと考える人がいるかもしれませんが、そんな簡単なことじゃない。そんなことでは、知事が言われるように全国、世界にアピールしていくといったことは実現しないし、それでは他の地域の同様の取り組みに埋もれてしまうのが落ちだ。この事業を本気で成功させたいと考えるなら、専門家も入れたチームを組んで、商品を選考する基準づくりから選定品の広報計画、販売ルートまでを視野に入れた戦略的な取り組みが必要であり、今回のプレミア和歌山の事業では、県として特にマーケティングといったことについて一度真剣に取り組んでみてはどうかといったことを指摘されました。
 そもそもマーケティングとは、商品、サービスを市場へ流すための企業活動を広く指す用語であり、その重要性は、過去、フィリップ・コトラー、セオドア・レビットなどのマーケティング研究の第一人者が指摘してきているように、現代社会での役割はますます大きくなっています。その重要性については、私自身も何度かこの議会においても議論してきているところでありますが、今後は行政にとっても欠かすことのできない重要な視点であり、特に今回のプレミア和歌山では、その重要性は認識されるべきと思います。
 さて、そこで今回のプレミア和歌山事業について、何点か商工観光労働部長にお尋ねいたしたいと思います。
 まず1点、今回のプレミア和歌山の資料を読ませていただくと、推奨品の選定作業では、外部有識者の審査会を設けて選考するとしていますが、私も、これは非常に重要であり、そこでは和歌山のひとりよがりとならないためにも、特に県外人材の登用を積極的に行うべきだと考えていますが、具体的にどういった人選を考えておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
 また2点目として、今回の制度で選定する商品数としても、これまでの県推薦優良土産品制度では800品目以上のものが認定されていたようですが、今回のプレミア和歌山では、最初は余り品目をふやさずに、よい品物を少数選んでクオリティーを保っていくことが大切だと考えます。最初から余り多くのものを扱うと、それぞれにフォローできなくなり、結果として以前の制度と同じように選定しっ放しといったことにもなりかねません。あくまで最初は少数選考でのスタートが大切だと考えますが、これも商工観光労働部長に御認識をお伺いいたします。
 あわせて、今回の制度では、事業者の皆さんが自分たちで申請してくるものを受け付けるといったことのようですが、しかし、和歌山のすばらしい商品がすべてみずから申請してもらえるものとは限りません。例えば、プレミア和歌山といったことでは、東京の消費者にとっては龍神の田舎のおばあちゃんがつくる1日30個のコンニャクがプレミアムな一品となる可能性も十分にあります。そういった隠れた和歌山のすばらしい商品を発掘していく取り組みも検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 また、今回のプレミア和歌山の事業では、さきにお話ししたように、市場や消費者の意識、評価を十分に酌み取るマーケティングの取り組みが重要だと考えます。そこでは、単に県職員の方だけでは難しい部分もあり、商品の選定に当たる最初の時点から、流通、広報、マーケティングなど、それぞれの分野の専門家も入ったチームをつくって、商品選考の基準づくりから選定品の広報計画、販売ルートまでを視野に入れた戦略的な取り組みが必要だと考えますが、これも商工観光労働部長からお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 続きまして、今がチャンス、観光医療産業のさらなる振興策についてお尋ねいたします。
 先々月、4月1日の「日経産業新聞」で、中東の政府系ファンドがアジアの健康産業に大規模出資を実行したという話が出ていました。記事によると、アラブ首長国連邦の政府系ファンド、ドバイ・インターナショナル・キャピタルは、高所得者層が急拡大するアジアの健康産業の成長を見込んで、シンガポールの健康サービス大手であるトゥルーグループの相当数の株式を取得したということです。投資先となったシンガポールのトゥルーグループは、シンガポール、マレーシア、台湾、タイに17拠点を展開しており、会員数は7万人を超え、健康サービスに関連する商品を提供しています。投資を実行したドバイ・インターナショナル・キャピタルの最高責任者のサミール・アンサリ氏は、声明の中で「世界市場においてもアジア市場は高成長なマーケットであり、中でも健康サービスへの需要は今後ますます高まる。アジアの高所得者層は、健康に関連するさらなるサービスを求めるだろう」としています。
 今、和歌山でも、これまで取り組んできている既存観光事業に健康サービスを結びつけ、新産業として育てていこうとする観光医療産業の振興については、今議会で山下直也先輩も指摘してくれていたように、今後の可能性が大いに期待されるものであり、その整備を急ぎ、国内のみならず健康サービスへの需要が増すアジア地域においても、そのプレゼンスを高める取り組みが急がれるものと考えます。
 また、今、国内的にも、この観光医療産業を推進するのに追い風が吹く状況があります。国内的にも、ことし4月から特定健診・特定保健指導、いわゆるメタボ健診が始まりました。私もそうですが、先輩・同僚議員の中でもメタボ指導を受けなくてはいけない人も少なくないと思いますが、これまで以上に健康サービスへの関心が高まる状況があります。この特定健診・特定保健指導は、40歳以上を対象として、糖尿病、心臓病、高脂血症、動脈硬化症などの生活習慣病、いわゆるメタボリックシンドロームに焦点を当て、病気の芽を早期に摘み取ることにより、年々拡大していく医療費の支出に歯どめをかけようとするものです。
 厚生労働省の試算では、この取り組みにより医療費を2025年までに8兆円削減するとしていますが、これに関連して、逆にメタボ関連の経済活動としては新たな市場が生まれるものと期待されます。第一生命経済研究所の試算によると、2007年のメタボリック症候群対策に関連する製品やサービスの市場規模は約3兆円あるが、10年後にはさらに拡大し、約4兆円の規模の市場に成長するとしています。
 こういった状況について、先日、知事の同級生でもある東京大学大学院経済学研究科長の伊藤元重氏も、「日経MJ(流通新聞)」でその経済効果に言及していました。「今後の日本では、医療費のコストが上がっていくことは避けられない。それは、ビジネスという視点からも非常に重要な意味がある。国内総生産・GDPの8%、40兆円という巨大な規模の医療については、現在でも日本最大規模の産業であり、今後さらに医療費が拡大していくことを考えると、相当な規模の市場がそこに生まれる。例えば、メタボ関連でも大きなビジネスチャンスが存在し、膨れ上がる医療費関連費用をどのようにしてビジネスとして取り込んでいけるかは、新たなビジネスチャンスということだけでなく、日本経済を救う処方せんでもある」と指摘しています。
 メタボ元年を迎えることしは、本県においても、観光医療産業として取り組んできたものをさらにスケールアップさせていく好機であると考えます。これまで健康サービスに関連する新ビジネスの創造といったことでは、私自身、県議会に初当選した2003年の初めての議会質問から、観光医療といった視点で何度も提言してくる中で、具体的な取り組みとして、本宮町、熊野エリアにおける熊野健康村構想、また世界遺産で健康増進プログラムといったさまざまなヘルスツアーの実施や幾つかの成果も上がってきており、本年度も観光と健康を結びつけた新サービスとして、白浜の白良浜で素足ウオーク──こういうのをまた周りの方にもぜひ宣伝してあげていただけたらと思いますけれども(チラシを示す)──こういう素足ウオーク、また国交省の補助認定を受けた生活改善健康親交ツアーなどが実施されることになっています。
 しかし、本県にはまだまだ県下全域を対象として観光と健康サービスを結びつけて新たな商品としていける可能性のある素材がたくさんあります。そういったものを今こそ他の地域に先駆け一気に事業化し、集積させ、観光医療和歌山、健康サービスなら豊かな自然と恵まれた環境といやしの国和歌山へといったブランドを、全国またアジアにもしっかりと確立させていくことが必要です。
 そんな中、今回特に提案したいのは、これまではソフト中心だったものに、ぜひハード整備も視野に入れた事業支援の方策、新たな助成制度の検討をお願いしたいと思います。
 そもそも和歌山県は、観光立県を標榜しつつもハード整備については立ちおくれている現状があり、特に観光客の受け皿となるホテル事業などは、今、再整備の必要性が高まっています。
 和歌山観光で旅行者アンケートに出てくる多くの批評は、ホテルの魅力不足、魅力あるホテルが少ないといったものです。和歌山のしにせホテルは老朽化が進み、再整備の必要性に迫られています。しかし、多くのホテル事業者は、健康サービスを切り口とした再整備などに意欲があっても、それぞれに少なからず債務を抱え、再投資の余力が少ないのが実態です。和歌山観光の立て直しにもホテル部門の再建は不可欠であり、そのホテル事業再生の突破口となる健康サービスを切り口としたハード整備にも活用できる新たな制度がつくれれば、和歌山県が進める観光医療産業の振興にも弾みがつくものと考えます。
 先進国の多くでは、ウエルネスホテルといった概念があります。それは、ホテルとウエルネスサービス、健康サービスを組み合わせてブランド構築を目指すものですが、これは和歌山観光のホテル事業再生にも重要な視点となります。例えば、足つぼマッサージ1つでもホテルの立派なウエルネスサービスの目玉商品になります。
 大阪駅の地下で、ハワイの風景が描かれている壁に囲まれた狭いスペースで足つぼマッサージを受けるのではなくて、和歌浦のホテルで、天気のいい日に海に面したテラスつきの空間で、窓から入る新鮮な空気を胸いっぱいに吸いながら、真っ白なシーツの上で足つぼマッサージを受ける。こういったサービスは和歌山ならではの高付加価値商品となります。ほかでも、ホテルの一部を改装して、和歌山の豊かな自然環境、すばらしい景観などを取り入れて専用空間をつくる例としては、アロマセラピーからヨガスクール、気功治療、瞑想指導などといったさまざまなメニューが考えられ、また、それらは経済効果の高い長期滞在への誘導にもつながります。
 今、社会的な状況をさまざまに考えても、本当にチャンスの時期だと思います。ここで、さらにもう一歩踏み込んで、観光医療産業を振興させる新たな取り組みにチャレンジしていただきたいと思います。
 そこで、商工観光労働部長にお伺いいたしますが、改めて健康づくり新世紀の入り口、メタボ元年と言われることし、和歌山県としてこれまで以上に観光医療をさらに加速させる取り組みの必要性、その意義といったことをどのように考えておられるのか、御認識をお伺いしたいと思います。
 あわせて、これからの時代に観光と予防医療、健康サービスといったものを組み合わせた事業の大きな可能性は、国内外のさまざまな調査機関からも報告される状況があり、全国でも競争環境が激化しつつある状況となっています。
 しかしながら、私たち和歌山県は、他の地域に先駆け、かなり早い段階からこの健康サービス、予防医療といったものに注目し、観光事業と組み合わせた新産業の創造に取り組んできている実態があります。そのアドバンテージを無駄にすることなく、今こそ観光医療といった視点で地域の民間投資を一気に促進させる呼び水となるハード整備にも使える新たな助成制度の整備を検討願いたいと思いますが、これも商工観光労働部長から御答弁をお願いいたします。
 最後に、国の正式決定を受けたナショナルトレセンへの取り組みについて。
 先月、5月28日、和歌山マリーナシティに設置されている和歌山セーリングセンターが、日本で唯一の拠点施設として文部科学省より正式にナショナルトレーニングセンターに認定されました。これでまた1つ、和歌山を全国、世界にアピールできる価値ある財産を手に入れることとなりました。仁坂知事も記者会見の場で、和歌山がセーリング競技の中心に育つきっかけになると期待を表明されていたようですが、これは、議会を初め知事並びに県当局の皆さん、そして和歌山県セーリング連盟の関係者を含め、和歌山のセーリングに関係するすべての人がその誘致に真剣に取り組んでくれたおかげであり、心より感謝するものです。
 ただし、今回の決定は手放しで喜んでいられるものではありません。数年後には、また認定の見直し作業があります。そこでは、再度、ナショナルトレセンを手に入れたい全国のマリーナが誘致に名乗りを上げる可能性もあります。よって、認定を受けたこれからの数年間が特に大事であり、今のうちに施設を充実させ、他のマリーナの追随を許さない日本国内の拠点施設としてその機能を高めていくことが求められます。
 そこで今回は、ナショナルトレセンの正式決定を受けた今、早急に取り組むべき幾つかの点について、県の窓口となっていただいている教育委員会、山口教育長に提案並びに質問をさせていただきたいと思います。
 まず1点は、このナショナルトレセンに対する支援体制についてであります。
 今後、この施設には国内外のトップレベルの競技者が訪れることとなり、特に2012年のロンドン五輪に向けては日本代表選手のトレーニング拠点となります。また、前回の議会でも御報告させていただいたように、今後は全国・世界大会級のさまざまな事業が行われることとなり、地域の活性化にも期待が寄せられるものとなります。このように、さまざまな事業が実施される状況において、特に今後は、選手のトレーニングや大会運営などに係る協力体制をしっかりと確立させていく必要があります。あくまで、人的、経済的な協力を含めて、地元の理解、また漁業関係者を初めとする海にかかわる多くの人たちの協力なくしてトレセンとしての機能を高めることはできません。今後、このナショナルトレセンをスムーズに機能させていくためには、地域としてしっかりとした応援体制をつくることが喫緊の課題となりますが、これはさきの記者会見で、知事、教育長ともにナショナルトレセンの支援委員会を発足させるといった発言がされていました。
 そこで、教育長にお聞きいたしますが、記者会見でも指摘されていた仮称・ナショナルトレーニングセンター支援委員会とは、具体的にどういった中身のもので、また、その立ち上げの時期としてはいつぐらいを予定されているのか、御答弁をいただきたいと思います。
 次に、このナショナルトレセンを地域として盛り上げ、また活用していくことが望まれるのですが、その具体策について提案させていただきたいと思います。
 ナショナルトレセンが設置、継続される必要条件としては、先ほども少し触れましたが、地元地域の理解、協力が不可欠であり、そこでは、皆に愛され親しまれる施設としていく取り組みが求められますが、そのためには、少し長い目で見て、特に教育とのかかわりが大切なものになると考えます。
 この海洋型ナショナルトレーニングセンターは、全国でも唯一、和歌山の施設として存在するものであり、そこでの体験は、地域に育つ子供たちにとっても他の地域では得ることのできない貴重な経験となり、大人になっても自慢できる大きな財産ともなります。例えば、トレセンのまち和歌山では、体育の授業でヨットをやってるといったようなことがあれば、それは和歌山に限られた、誇りを持って語れる貴重な体験となります。一度しかない少年時代に、他の地域では経験できない和歌山固有の体験を積ませてあげる、それは子供たちの大きな財産になるとともに郷土愛をはぐくむものともなり、かつ和歌山にとっても格好の宣伝材料にもなります。
 今後のナショナルトレーニングセンターの活用としては、まずは地域の教育にも組み込むといったことを検討していただきたいと思います。具体的に、当面は近隣の和歌山市、海南市などを対象として、義務教育の授業の一環としてナショナルトレセンを活用していくといったことを提案いたしますが、これも教育長から御答弁をお願いいたします。
 3つ目に、県財政も厳しい現状において、何とか無駄を省きつつナショナルトレセンを整備充実させていくといった提案をさせてもらいたいと思います。
 一昨年の平成18年、大阪が主管したインターハイが開催されましたが、そこでは和歌山県への割り当てとして、相撲とヨット競技が開催されることになりました。その大阪インターハイのヨット競技は、今回のナショナルトレセンに指定された対象施設である和歌山セーリングセンターで行われたわけですが、そこでは、大会運営の必要施設として運営棟、桟橋、スロープなどの仮設物が設置され、その費用は3456万2500円、約3500万円の経費がかかっています。それらは必要最低限のものであり、それ自体は大会開催に必要なものであり無駄では当然ないんですけれども、しかし、その使われ方として、後に何も残らない仮設物の設置・撤去費用として3000万以上のお金が使われるのはいかにももったいない話です。
 そんな中、来年、平成21年にも奈良インターハイが行われますが、その大会でも和歌山の割り当てとして再びヨット競技が本県で行われることが決定し、今、準備が進められています。その後の予定としても、平成27年には、それこそ本番の和歌山国体が控えています。あわせて、まだ決定でありませんが、平成27年の国体開催以降の近い時期に和歌山インターハイも開催される予定です。
 このように、ここ10年を見て、仮設物での対応が必要となる大きな大会が3つも予定されていて、それらの仮設物の設置費用を概算で計算してみると、軽く億を超える経費が必要となります。そういった経費を、知恵もなく単に仮設物の設置・撤去費用として支出するのは余りにももったいない話であり、延べでかかるそれらの全体経費を考えて、ぜひ恒久施設としての整備を検討してもらいたいと思います。
 特に今後は、ナショナルトレセンとしての活用では、施設スペースがどれだけあっても足りない状況です。データ解析センターを初めとして、会議室、トレーニング施設など少しでも建物のスペースは確保したいものであり、そういった中では、このように大きな大会が続く現在の状況は願ってもないチャンスであり、それぞれの必要経費をうまく調整して、ぜひ恒久施設の設置からナショナルトレセンの整備充実につなげる工夫をしてもらいたいと考えますが、これも教育長から御答弁をお願いしたいと思います。
 以上で、私の第1問目の質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの山下大輔君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、大阪の橋下知事が取り組んでいる改革と和歌山県の関係でありますが、それについて、特に情報公開の話がまずありました。
 この情報公開というのは、ありとあらゆる政策において必要だというふうに思っておりまして、今回もそういうふうに、和歌山県においても、行財政改革を新しく策定するに当たっては、包み隠さず県の状況を報告しながら、また意見も聞きながらやってまいりました。
 思い出していただきますと、昨年の9月、今後放置すると、現在──当時のですね──行財政改革でどういうことになるか。当時の行財政改革というのは、当時もやっとったんですが、どういうことになるかというようなことをお示しして、それに対して今度は意見を聞きながら新しい案も御提示して、議会でも議論を何度かしていただきながら、最終的には、今後5年間の新しい行財政改革推進プランを策定したところでございます。
 ただ、山下議員、1つだけ。政策決定プロセスで橋下流でやったらどうかというようなお話があったんでございますが、私はこれについてはネガティブであります。実は、同じような議論を県庁の内部の人とやったことがありますが、第1に、もしそれをやると、忌憚のない意見を県庁の行政当局の人は言えなくなる。したがって、ちゃんとした議論のときは、新聞記者が後ろで見ているというような状態じゃなくて、堂々と知事とやらしてもらいたいというふうに県庁の上から下までみんな言うております。そういう意味が1つ。
 2つ目は、私は、県庁の諸君が、例えば行財政改革、自分の身が痛むような場合も含めて、県のことを思って一生懸命やってくれるという、県庁の職員のやる気、それから熱意、そういうものを信じています。したがって、わざと抵抗勢力に仕立ててそういう方々を裏切るということはしたくありません。
 3番目に、もう1つの効果としては、こんだけ一生懸命知事はやっとるぞということをよく府民にわかるようになるという効果があると思います。しかしながら、我々はこんだけ途中で一生懸命やろうとしてるぞということを示すのではなくて、結果として県庁としての成案を出して、それに対して責任を持つというのが正道で王道であります。それに対して、私は県民に対して説明責任があると思う。その責任はすべて県知事が果たすから、とにかくみんなで一生懸命頑張ろうよと、考えようよということで、この行財政改革も県庁の原案を出さしていただいた次第であります。
 そのほか、感想はあるかということでございましたが、大阪府の橋下知事がなさっている行財政改革については、就任早々同じことをしなければいけなかった私にとっても、大変大事なことだ、非常に好感あるいは共感を持って見ているというところであります。
 その次に、今度は大阪府と比較した県財政の現状認識、あるいは今後の見通しということでございます。
 これについては、昨年9月の財政見通しでお示ししたようなこと、あるいは今回の新しい行財政改革のプランでお示ししたことから明らかでありますけれども、実は当和歌山県は、5年間で総額1377億円の改善をしなきゃいけないという事態に立ち至り、それをやろうとしているのが和歌山県の行財政改革であります。これは、大阪府が3年間でやろうとしている金額の約2分の1です。それから、これを3年間にいたしますと約4分の1になります。大阪府は、和歌山県に比べて8倍の人口があり、6倍の財政規模を持っています。したがいまして、大阪府の実は維新プログラムよりも和歌山県がやろうとしていることのほうがもっと深刻で大変なんだということが、計算上、明らかになるわけであります。
 で、両府県のプランの内容を比較いたしますと、本県では実は大幅なキャッシュフローの不足と、これは三位一体の改革に伴う地方交付税等の削減が響いたわけですが、そのキャッシュフローの不足に直面したために、毎年の収支不足額の縮減を目指すということが必要だということで、それを目標にしております。一方、大阪府は、税収の長期低迷に借換債の増発で対処してきました。したがって、府債残高の増加を招いたことから、この府債の発行の大幅な抑制も目指しております。
 本県のプランにつきましては、キャッシュフロー不足に対処するために、将来の公債費負担に十分配慮しながら、行財政改革を前提に、発行し得る県債も活用していくことにしております。ただし、和歌山県の県債の発行は、直ちに返していくと。ずっとしばらく水面下に置いといて突如として償還期限が来るとばっと返すんじゃなくて、常に返していくということですから、実は負担を将来世代に送るんじゃなくて、現世代も負担をしながら何とかやりくりをしていこうよということでございます。そういうような違いがありますけれども、これは県の置かれた情勢に極めて強く規定されているというふうに考えております。
 和歌山は、御指摘のように財政力が弱い。したがって、それは力がない。逆に言うと、いろんな問題があって、インフラとか福祉とか教育とか、それから橋下さんが手をつけないといった障害とか医療とか、そういう問題についても、ぎりぎりかつかつのところで頑張っているというのが和歌山県の財政であります。
 大阪は、私の感想でありますけれども、和歌山から見ると随分余裕のある、例えば立派な文化事業にたくさんお金を出しているとか、そういうこともあるなと思います。したがって、もし後者であるとすると、すなわち余裕があるならば、それはすぱっと切れますけれども、しかしながら財政力が弱い和歌山県ですぱっと切ったら、その痛み、あるいはその問題は、現在だけじゃなくて将来にも響いてくるわけであります。したがって、和歌山県でやれないこと、大阪ではできるけれども和歌山県でやれないことも踏まえて行財政改革はやっていかないかんというのが現状であるわけであります。
 それから、ぎりぎりのところで勝負をしているわけです。したがって、国のちょっとしたいろんな政策変更によって、途端に我々が瀕死の状態になるということも考えられます。したがって、この議会の冒頭の演説で申し上げましたように、我がほうとしては、地方交付税等々、もう少し地方財政の余裕を持つような政策変更をしてくれないともたないとか、あるいは後期高齢者医療制度の見直しというのが、どうも与野党とも行われるような感じであるけれども、その中身はともかくとして、ツケを県や市町村に持ってくるというようなことはしないでくださいよということははっきり申し上げて、その運動をするとか、そういう手を打っていかないと、あっという間に外部的な刺激によって、せっかく考えたこの制度がだめになっちゃうという可能性がありますので、引き続き必死になってそうならないように努力をしてまいりたいと考えております。
 それから、地方分権、道州制に関する所見、これを大阪府の考え方に照らし合わせてということでございますが、地方分権については、これはどんどん地方へ移すということはよろしいんでありますけども、そのとおりだと思うんですが、何とか移していただけませんかねという、どこかの国の市場の値切り商戦みたいなことになってはいけなくて、国は日本という国の統一を保つために何をやるべきかということを堂々ときちんと議論をして、それを述べて、それ以外は地方が責任を負う事務について国の関与を受けることなく、かつ必要な財源も確保されるような仕組みをつくることだと私は思っています。それから、この場合、財政力の弱い自治体でも、日本国民として恥ずかしくないようなナショナルミニマムを達成できるような財政調整措置も不可欠であると思っております。
 道州制につきましても、このような地方分権を推進するものになるかどうかがポイントでありますけれども、もう1つ、私は和歌山県知事でありますので、道州制になったときに、資源配分が、和歌山県に現在居住している住民にとって現状よりも有益な制度になるというようなことをぜひ実現したい、不利にならないようにするというふうにぜひやっていきたいと考えておりまして、そういうことも検討の課題だと思います。
 今後、いろいろな設計があると思いますけれども、これに今のような見地から参加してまいりたいと思います。
 次に、市町村のあり方でございます。
 市町村の合併につきましては、基本的には地域において自主的に判断されるものであり、その判断を尊重してまいりたいと申し上げているところであります。今後、関係市町村がいろいろとお考えになる、そういうときには、それを尊重して、いろんな御支援をしてまいりたいと思っております。
 それから権限の移譲、これについては、できるものならばどんどんやっていったらいいというふうに考えております。ただし、余り頭の中で概念的に考えるというんじゃなくて、現実の力、本当にできるかどうか、意向はどうか、そういうことも考えながらやっていかないといけない。そのときに、ちゃんとした財源の措置、これは事務交付金制度などもありますけれども、そういうことも含めてやっていかないといけないと思っております。
 ただし、私は橋下さんのプランについては、この1点を除き全く賛成なんですけれども、1点だけ申し上げますと、市町村に包括的な交付金を差し上げて補助金にかわるものとしたいというふうにおっしゃっているわけです。これについては、橋下さんと議論をしたところがあって、和歌山県についてはとてもそういうことはできないというふうなことを言ったら、「そうだ、そうだ」と言っておられましたが、私は、大阪府について言っても、もし交付金で市町村に差し上げる余裕があるならば、それはばらまきになる可能性だってあるわけですから、その財政赤字の解消のためにお使いになったほうがいいんじゃないかというふうには思っています。
 と申しますのは、私は、橋下さんに対する大阪府民の期待は、単に行財政改革をやってくれということだけじゃなくて、新しい視点で積極的に大阪を元気にする政策もやってくれというふうに思っていると思っているからであります。そうすれば、市町村に任して府庁を解体するよりも、府庁をリーダーシップでちゃんとコントロールをして、大阪府が元気になるためにすばらしい政策を、まさに自分で考えておやりになったほうが大阪府民は喜ぶんじゃないかなと、そんなふうに思ってるからでございまして、これは私の単なる感想でございます。
○議長(中村裕一君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) まず、和歌山県優良県産品プレミア和歌山推奨制度の取り組みにつきましての4項目について、一括してお答えさせていただきます。
 プレミア和歌山は、県外さらには海外に向けても売り出していこうとするものでございまして、議員お話しのように、選考委員につきましては、県内外を問わずマーケティング等の専門家が必須であると考えてございます。
 次に、認定される産品の数についてでございますが、文字どおりプレミアとは「第1級の」という意味でございまして、そのクオリティーを落とすことのないよう認定していきたいと考えてございまして、認定総数は絞られてくるというふうに考えてございます。
 また、すぐれた県産品の発掘についてでございますが、消費者の視点に立って県内外からの情報収集に努め、すぐれた県産品を埋もれさせないよう積極的な掘り起こしにも取り組んでまいりたいと考えてございます。さらに、この制度は、単に優良県産品として選定するだけではなく、市場、消費者に向けた積極的なプロモーション、また、そこでの評価をフィードバックすることにより商品の改善、新商品の開発に結びつけられる仕組みが重要であると考えてございまして、マーケティングの専門家等を活用しながら、庁内ワーキングチームを設置し、関係課室が緊密な連携のもと進めてまいりたいと考えてございます。
 続きまして、観光医療の振興に係る2項目について、まとめてお答えさせていただきます。
 観光医療は、議員お話しのように、高齢化社会の到来や昨今の健康ブームに伴い、各地で取り組みが進む有望視される観光分野でございます。県内でも、高野山や白浜において、森林や海浜など地域資源と結びついた健康づくりに焦点を当てた取り組みが始まってございまして、いやしの地として長い歴史を誇る本県のこれからの観光を語る上での大事なキーワードの1つであると考えてございます。
 県は、従来から地域の特色ある観光地づくりを進めてございまして、市町村や地域の観光協会等が進める健康増進や医療をテーマとした観光づくりに対し、地域との連携事業の中で従前にも増して支援することとしてございます。
 なお、支援に当たりましては、地域の観光事業者等のニーズや要望をよく聞き、どのような形で対応できるのか、よく検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) まず初めに、ナショナルトレーニングセンターの支援体制についてお答えいたします。
 議員御承知のとおり、和歌山セーリングセンターが5月28日、文部科学省から正式指定を受けました。県にとりましても大きな喜びでありますし、現在、県、和歌山市、県セーリング連盟、経済団体等の関係機関が、このトレセンの高機能化と地域おこしや観光振興についての連携協力を図るなど、地域を挙げた支援活動を行うための支援委員会を、時期としては8月中をめどに設立する準備を進めてございます。
 2点目に、公教育による活用につきましては、本年1月に出されました中教審答申では、自然環境の中での体験活動を通して自然の偉大さや美しさに出会うことは、社会性や豊かな人間性、基礎的な体力や心身の健康の基礎を形成するものであると記載されてございます。本県の子供たちが和歌浦の自然環境や地域の文化を学ぶことは、郷土愛を育て、生きる力をはぐくむ貴重な体験でございまして、今後、地元の市町村教育委員会とも連携をして、セーリング体験を学校教育活動の一環として取り組むことを含め、検討してまいりたいと考えます。
 最後に、ナショナルトレーニングセンターの関連施設の整備充実につきまして、各種の全国大会や強化合宿などを実施する際、現状では対応できないものもあり、今後、大規模な大会を誘致するためには、本センターの機能を高め、充実させることが重要であると認識してございます。
 なお、平成21年に開催するインターハイや7年後の和歌山国体の開催に向けた施設整備の充実につきまして、リースや仮設による対応と常設による整備との費用対効果なども考慮して、関係部局と協議してまいりたいと考えます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許しますが、時間が迫っておりますので、簡潔に願います。
 41番山下大輔君。
○山下大輔君 御答弁ありがとうございました。
 もうすべてそれぞれ一生懸命取り組んでいただきたいと思うんですけれども、1点だけ知事に。
 最初の情報公開の部分で、地方分権とかのことは、きょうは基本的にはお考えもお聞きできましたんで、今後の議会で、ぜひまた議論も深めていければと思っております。
 1つだけ、情報公開に関しまして、基本的な部分を自分のパフォーマンスで売り出すだけじゃなくて、逆に、公開することによって県職員の中での活発な議論が阻害されるような要因もあるというようなこともありました。細かく言えば、また議論するところがあるんですけれど、1点だけ基本的な姿勢として、行政からの情報を出さないかんから出してるという話だけじゃなくて、やっぱりプッシュして出していくということが実は大事やと思います。
 大阪との比較で1つだけ気になったんが、橋下知事が当選されて、大阪府ではメールマガジンというのが発刊されてて、「維新通信」という中で大阪府の橋下徹知事の思いというのが、これは週刊でずっと出てくるんですね。プッシュで、登録してればどんどん届くわけです。これ、和歌山県で見たら、和歌山県情報館、「ようこそ知事室へ」と入っていくのもようわからんような実は入り口で、「今月のメッセージ」、これ、平成20年の6月の「今月のメッセージ」では、「評論家の視点、責任者の視点」というのを書いていただいています。読みましたら物すごいいい内容なんですわ。
 そういうものを単にとりに来いということじゃなくて、プッシュしてメールマガジンで登録したところにどんどん和歌山から情報を出していくとか、そういうプッシュ型の情報の出し方というのは、ぜひ県でもやっぱり考えていくべきだと思いますので、そういうことを含めて情報の公開ということは、またいろんな手法も含めて御検討いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 以上、要望といたしまして質問を終わります。
○議長(中村裕一君) ただいまの発言は要望であります。
 以上で、山下大輔君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時53分休憩
────────────────────

このページの先頭へ