平成20年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(江上柳助議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前10時0分開議
○議長(中村裕一君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第78号から議案第89号まで、並びに知事専決処分報告報第1号から報第8号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 27番江上柳助君。
  〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 おはようございます。
 ただいま議長のお許しをいただきました。通告に従いまして一般質問をさしていただきます。
 最初に、災害対策についてお尋ねいたします。
 先月から今月、世界や日本で災害、地震が相次ぎました。ミャンマーで発生した大型サイクロン災害、中国四川省のマグニチュード8の大地震、マグニチュード7.2、震度6強を記録した岩手・宮城内陸地震で被災された方々に対し、心からお見舞いを申し上げます。犠牲者の御冥福をお祈りするとともに、一日も早い復興を念願するものであります。
 災害は忘れたころにやってきます。本県においても、東南海・南海地震が30年内に50%の確率で発生すると言われております。四川大地震などの大規模災害を大きな教訓とし、県有施設の耐震化や災害時の医療体制の整備、緊急情報配信システムの整備などの災害対策を着実に推進していかなければなりません。
 阪神・淡路大震災においては、通常の医療を施せば救命できたにもかかわらず、残念ながら亡くなったと考えられる症例が多発しました。この数は、専門家からの推計によりますと500ないし600例と言われております。実に大変な数字であります。大規模災害時には、県内の医療施設は重症患者の受け入れについて既に飽和している可能性が高いわけであります。高度医療施設は人口の集積度に比例して大都市圏を中心に集中しております。課題は、広域医療体制と広域医療搬送体制であります。
 私は、災害時の透析患者の診療確保のため、大阪府や兵庫県などに船舶で患者を搬送するシステムは大変意義深いものであると思います。透析用の医療機器の数には限界があります。災害での身体への圧迫によって、新たに人工透析の必要も起きてくるわけであります。災害時の他府県との広域医療体制は重要であります。これに、ドクターヘリコプターなどを加え、災害時の広域医療体制と広域医療搬送体制を確立すべきであると考えます。知事の御見解を承りたいと思います。
 また、6月8日に起きました痛ましい東京秋葉原での無差別殺傷事件、岩手・宮城内陸地震でも活躍しておりましたDMAT(災害派遣医療チーム)を、本県においても大事故や災害に備えて迅速、確実に運用する体制を充実強化すべきであると考えます。福祉保健部長にお尋ねいたします。
 次に、地震等の緊急情報配信システムについてお尋ねいたします。
 鳥取県では、平成12年に米子市で発生したマグニチュード7.3の地震の教訓を得て、このたび平成20年度予算で緊急地震速報等を活用し、県民の安全確保、地震被害の軽減を図るため、緊急地震速報等を県有施設の利用者に周知するシステムの整備が行われております。これは、消防庁の全国瞬時警報システム(J-ALERT)の情報を県庁等から各施設へ配信するものであります。J-ALERTでは、緊急地震速報のほか、気象警報、国民保護に関する緊急情報等も配信されることになっております。各施設では館内放送(自動起動)により施設利用者に周知されるものであります。
 本県においても、J-ALERTの──これは消防庁のほうからダイレクトに総合防災のほうに入ってまいります──この整備は進められておりますけれども、地震・津波情報などの情報をいち早く県有施設利用者に周知するための緊急情報配信システムは、まだ整備されておりません。この緊急情報配信システムを早期に私は整備すべきであると考えます。危機管理監に御答弁を求めます。
 次に、暫定税率失効に係る財源措置と道路特定財源の一般財源化について、お尋ねいたします。
 4月30日、道路特定財源関連法案が衆議院で再可決され、5月13日には道路整備費の財源等の特例に関する法律の改正案が衆議院で再可決されました。これらによって、失効していた地方道路整備交付金制度が復活し、県道・市町村道事業がようやく進められるようになりました。道路整備が他府県に比較して著しくおくれている本県にとっては、まことに喜ばしい限りです。関係者の御尽力に敬意を表するものであります。
 また、地方道路整備交付金制度について、県管理国道が対象として追加されるなど、制度拡充されたことで、今後、より効果的、効率的な活用が図られるものと期待が寄せられているところであります。
 一方、1カ月間の暫定税率失効に伴う財政的影響は大きいものがあります。県及び市町村の歳入欠陥に対する特別な財源措置についてはどのようになるのか。また、道路特定財源について、福田内閣は来年度からの一般財源化を閣議決定し、道路の中期計画を見直し、新たな整備計画を策定するとしているわけであります。この道路特定財源の一般財源化は本県の道路整備にどのような影響を及ぼすのか、知事にお尋ねいたします。
 私は、先月5月22日、串本町に道路及びガードレールの視察に行ってまいりました。大阪から引っ越してこられた方の相談でありました。大阪に住んでいるときは、そんなに道路のことや道路財源について気になりませんでしたが、串本町に来て、道路整備のおくれとともに暫定税率の必要性、道路財源に関心を持つようになったと言われておりました。
 車で帰り道、すさみ町で1台の救急車に出会いました。私は、どこの病院に救急車で患者を搬送するのか、救急車の後をついて走りました。時速60キロ、ほとんどの信号を青で通過、上富田町で私は赤の信号でとまり、救急車を見失ってしまいました。国立南和歌山医療センターに搬送したのだと思い、医療センターに行ってみました。何の物影もありません。そこで、社会保険紀南病院ではないかと思い、紀南病院に急行してみますと、救急車は患者の搬送を終え、帰路につく準備をしておりました。救急隊の皆さんに「御苦労さまです。ところで、すさみ町から何分かかりましたか」と尋ねてみますと、40分かかったと言われました。私の時計でも約40分かかっておりました。これでは助かる命も助からないなと思いました。脳梗塞やクモ膜下出血、心筋梗塞の患者さんだったら助からないなと思いました。
 東京や大阪、和歌山市に住む人の命と、都心から離れた地方の人の命に格差があるのか。この患者さんは幸い、大けがでありましたが、命には別状がないとのことで安堵いたしました。もし高速道路があれば、もっとスピードも出せる。すさみ町から田辺市まででしたら15分ぐらいで到着できるわけであります。
 そこで、東南海・南海地震に備えた防災対策や、医療としての命の道、観光、経済、生活としての自立の道であります紀伊半島一周道路を早期に整備すべきであると思います。知事の御見解を承りたいと思います。
 次に、交通渋滞緩和対策についてお尋ねいたします。
 和歌山市内で朝夕交通が渋滞します国道26号線御膳松から紀の川大橋、和歌山野上線田中町から田中口、国道42号線紀三井寺から布引、和歌山海南線手平1丁目から手平3丁目、国道42号線琴の浦から海南市船尾東の路線について、交通渋滞緩和による経済効果を県土整備部で試算していただきました。全走行車両が1日平均1分時間短縮した場合を想定して算出した結果、これらの5路線で合計44億8100万円となりました。県警察本部には、本県で朝夕一番交通が渋滞いたします国道26号線御膳松─紀の川大橋について、渋滞緩和による経済効果を試算していただきました。その結果、交通渋滞を1分間緩和することによって、朝夕の4時間で1億8000万の経済効果があるとなりました。いずれにしましても、これは5路線だけの経済効果でありますので、まだまだ──和歌山市内であれば四箇郷方面とか交通渋滞する箇所が幾つかありますので、そういったことを加えますと、この5路線だけで渋滞緩和で44億8000万でありますから、3分間短縮すれば134億、5分間であれば大変な経済効果があるわけであります。また、渋滞緩和によってCO2削減にもつながるわけであります。
 そこで、和歌山市内の交通渋滞緩和のため、県、市、国土交通省、県警察本部と協議して、道路施設は有効に活用されているのか、一部分の道路改良によってその効果が上がらないものか。私は以前、この本会議で、和歌山市内の交通渋滞を緩和するには、わずか50メーター、100メーターの道路の部分改良で交通の流れをスムーズにできることを提案さしていただきました。それが今日、交差点の右折・左折ラインの整備等によりまして、相当渋滞が緩和されてきております。本県の財政状況も厳しい折であります。余りお金をかけない交通の渋滞緩和に向けた取り組みについて、県土整備部長にお尋ねいたします。
 次に、紀の川河口大橋の無料化への社会実験についてお尋ねいたします。
 さきの2月定例議会で、自動車ユーザーの負担軽減と交通渋滞緩和の観点から、紀の川河口大橋の通行料金の無料化への社会実験について質問いたしました。知事からは、「国道26号線の紀の川大橋付近の渋滞緩和を行うという意見については、その効果を把握し、県の財政状況や今後の維持修繕費なども勘案した上で、広く県民や議会の御意見をお聞きし、判断する必要があると考えております。すなわち、借金も返さなければいけないし、一方では議員御指摘のように和歌山市を中心とするような渋滞緩和につながる話なので、これを放置するのもまたいかがなものかということがあって、悩ましいところでございます。御提案の社会実験につきましては、渋滞緩和効果を検証する方法の1つでありますので、期間中の収入減に対する損失補てんも伴いますけれども、今後、その有効性等について検討してまいります」との御答弁でありました。
 その後、紀の川河口大橋の通行料金の無料化への社会実験について検討が重ねられてきたと思います。その結果と今後の早期無料化に向けた取り組みについて、知事の御答弁を求めます。
 次に、保健医療体制の充実についてお尋ねいたします。
 まず、がん専門の医療センターの設置についてお尋ねいたします。
 我が党の強力な取り組みで制定されました、昨年4月に施行されましたがん対策基本法、及び昨年6月、国が法に基づいて対策のあり方や個別目標、達成期間などを示したがん対策推進基本計画を受けて、県は、和歌山県がん対策推進計画を本年3月に策定いたしました。本県の推進計画では、がん登録の推進やがん検診の受診率向上もさることながら、がんによる死亡者を減らす目標では、国が今後10年間で20%減少を掲げているのに対し、兵庫県と並んで本県は25%と、国の基本計画を上回る意欲的な目標を掲げております。本県の平成17年のがんによる死亡率の状況は、大腸がん女子でワースト1位、肺がん男子でワースト1位、75歳未満年齢調整死亡率ワースト5位であります。
 東京大学医学部附属病院放射線科准教授、中川恵一氏の著書「がんのひみつ」によりますと、「がんは自分の細胞が分裂するときにできた暴走細胞である。がんができるのは一種の老化、つまり日本は世界一の長寿国、世界一のがん大国でも、がん対策後進国である。2人に1人ががんになるほど長生きになった日本人。欧米ではがんで死ぬ人の数は減っているが、日本ではすべての死亡者の3人に1人とふえている。がん治療の3つの柱は、手術、放射線治療、抗がん剤」とありました。
 私は、これからの高齢化社会でますますふえ続けるがん患者に対応するとともに、がん死亡率ワーストの汚名を返上するために、がん検診の受診率を上げることはもちろんでありますが、がん患者に対応したがん専門の医療センター、がん医療センターを設置したらどうかと考えます。本県には、県立の総合病院は医科大学附属病院のみであります。県民のがんへの不安を解消し、がんによる死亡者を減らすためにも、がん専門の医療センターの設置について、知事の御見解を承りたいと思います。
 次に、県立医科大学附属病院の医師及び医療従事者の待遇と勤務環境の改善について、お尋ねいたします。
 公立大学法人和歌山県立医科大学附属病院は、本県の第3次高度医療機関として、本県の地域医療に重要な役割を担っているわけであります。外来患者数年間35万人、医師及び看護師などの医療従事者は昼食もままならない状況であります。医師の過重労働、勤務環境は悪化の一途であります。
 最近、テレビの報道でドクターエージェントという新しいビジネスが紹介されておりました。医師の厳しい勤務環境を反映して、よりよい職場を求める医師を病院にあっせんする新ビジネスでありました。県立医科大学附属病院の医療水準は、以前にもこの議場で申し上げましたが、手術症例数から言って非常に高いわけであります。地域医療に果たす役割は絶大なものがあり、県民の期待も大きいのであります。
 私は、今、医師及び医療従事者の待遇と勤務環境をよくしなければ、いずれ大変な時代になりかねないと危惧するものであります。先ほども申し上げましたが、本県には県立の総合病院は医科大学附属病院のみであります。また、和歌山市には市立の病院はありません。そこで、県民の医療への安心、健康を増進していくためにも、県費をさらに投じてでも医師及び医療従事者の待遇と勤務環境の改善に取り組むべきだと考えます。知事の御見解を承りたいと思います。
 次に、ドクターヘリコプターの運航についてお尋ねいたします。
 県立医科大学附属病院のドクターヘリは、平成15年1月に導入されました。平成19年では、ドクターヘリの年間出動回数約373回、毎日1回飛んでることになります。ドクターヘリを導入しているのは全国でも14カ所であります。医師と看護師が速やかに救急現場に直行し、高度な医療機関へと搬送する間、機内で救急治療を行えるので、重症救急患者の救命率の向上と後遺障害の軽減につながっているわけであります。
 本県のドクターヘリの運航範囲は和歌山県全域と奈良県南部、三重県南部で、山間部の多い地域だけに、その活躍が期待されております。しかしながら、他府県と比較した場合、出動回数もさることながら、ドクターヘリコプターの燃料費が2倍、3倍かかるようであります。原油高騰の折、燃料費を含む運航経費の補助基準額の引き上げを国に強く要望すべきであると考えます。この点は要望さしていただきます。
 また、先ほど災害時の広域医療搬送体制についてお尋ねいたしました。大阪府は、本年1月から大阪大学医学部附属病院高度救命救急センターを基地病院として、ドクターヘリの運航を開始いたしました。本県に5年おくれての導入であります。
 本県でのドクターヘリの要請地域別の出動回数は、昨年1年間で、紀の川筋の紀北で166回、御坊・田辺市周辺の紀中で105回、那智勝浦町、新宮市方面の紀南で93回となっております。圧倒的に紀北地域が多いわけであります。この出動状況、平成15年の導入から19年までの5年間では、紀北が45%、出動回数の約半分近くが紀北部、紀の川筋で45%を占めてるわけであります。
 すなわち、ドクターヘリが出動、運航している間は、他の救急患者をドクターヘリで搬送することはできません。したがって、大阪府と和歌山県との搬送範囲を決めるなど、一定の条件のもと、ドクターヘリの大阪府と本県との広域連携による搬送を実施すべきだと考えます。この点については、昨年の12月議会で、先輩議員の下川俊樹議員の質問に対して、「来年1月に導入が予定されております大阪府との広域的な連携についても研究してまいります」と福祉保健部長は答弁しておられます。その後の研究はいかがでしょうか。ドクターヘリの大阪府との広域連携搬送について、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 最後に、スポーツ施設の使用料金についてお尋ねいたします。
 青少年が利用する野球グラウンド、テニスコートなどの使用料金の減額について、野球少年のお母さんから相談を受けました。少年野球チームの野球グラウンド使用料金は、和歌山市の施設では一般料金の半額であるが、県の都市公園の野球グラウンド施設は一般料金そのままである、子供への減額措置がない、何とかなりませんかとのことでありました。私は調べてみました。なるほど和歌山市では、すべての野球グラウンド、テニスコートなど、青少年の健全な育成のためとし、小・中・高等学校の利用者は使用料の5割に相当する額──半額ですね──が減額されております。県有施設はすべて一般料金そのままであります。減額措置は全くありません。特に県有施設は整備が行き届いているわけでもありません。なぜ、和歌山市と同類の県有の野球グラウンドやテニスコートに青少年の使用料金の減額措置がないのでしょうか。県土整備部長に明快な御答弁を求め、私の第1問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの江上柳助君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、災害対策についてでございます。
 大規模災害時には多数の疾病者が発生するほか、医療施設の被災によって、機能低下、そういうことが起こりまして、十分な医療が提供できなくなるというおそれもあると思います。このため、広域医療体制につきましては、近畿2府7県による危機発生時の相互支援による基本協定を締結しておりまして、医療機関への疾病者の受け入れなどについて協力体制を構築しているところでございます。
 また、県外への広域医療搬送体制につきましては、これは陸海空あらゆる有効な手段を活用して行わなけりゃいけないと思っております。先般の地震の場合でも、ヘリコプターによる輸送などが大変大事になってまいりました。そういう意味で、医療用ヘリコプターだけではなくて、防災、自衛隊のヘリコプター、あるいは本県の場合は海上保安庁とか自衛隊による海上輸送なども検討しながら、傷病者の状態に応じた搬送を行わないといけないと思います。
 今後におきましても、災害時に適当な搬送ができるように、いつも関係機関で連携を図ってまいりたいと思っております。
 次に道路整備について、第1に、暫定税率失効に係る歳入欠陥に対する財源措置の問題でございます。
 5月21日に地方6団体から、地方の減収分については速やかに全額を地方特例交付金により補てんするように要望するという旨の意見書を提出したところでございます。本県としても、そのような要望につきましては、当初からずっと言い続けてきたわけでございますけれども、今後ともこの実現につきまして、知事会、その他関係機関とともに国に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、道路特定財源が一般財源化をされるそうだ、多分されるだろうということについてでございますけれども、これにつきましては、考えてみますと、中期計画の見直しなども含め、もう一度初めから和歌山県民が悲願と思っておるような、後で出てきます紀伊半島一周の高速道路網とか大事な道とか、そういうことがちゃんとできるような、そういう努力を強いられることになったと認識しております。
 一般財源化が、議員御指摘のように本県の道路整備にどのような影響を及ぼすのかということにつきましては、一般財源ということになりますと、受益と負担の関係がこれまでのように明確ではなくなります。これまでは、道路特定財源ということで受益と負担の関係は明確であったわけですから、道路をつくらなきゃいけないぞということについては言いやすかったと。しかしながら、今後はもっとそれが言いにくくなってくるなというふうには思います。ただ、言えないわけではありませんので、これについては、その和歌山県における道路整備というのが絶対に必要なんだということを、もう一度、昨年の道路懇談会を始めたときの状況に戻って、その成果も生かしながら、我々としては説得をしていく必要があるのではないか、そんなふうに思っているところでございます。
 これまで地方の住民、特に和歌山県においては、都市部に比べて多くの揮発油税を負担しながら、いろいろ調べてみますと、都市部の道路整備に先を譲りまして、ようやく和歌山県のようなところに順番が回ってきたというのが現状ではないかと思います。暫定税率30年は長過ぎるという議論がありましたが、暫定税率じゃなくて本則のところの、例えば揮発油税などと考えますと、およそ50年にわたって和歌山県の住民のほうがより多く負担をし、それで60年代、70年代など道路整備が特に必要になってきた時代においては、東京など大都市から、人口が多い、あるいはベネフィットが多いということで道路整備の選択がなされてきたところなわけです。
 ようやく我が県に順番が回ってきた。したがって、ここで切り捨てるんじゃなくて、地方のためには、ちゃんと全部昔みたいに──昔というか、例えば鉄道網を整備したときのように、全国にきちんとした高速道路網をつくってください、それから、基本的な道路のネットワークというのもそれに付随して要るでしょうというようなことを道路懇談会の結論を援用しながら運動してきて、それでようやく現在ある、これから改定しようとしている中期計画においては、県民の悲願とも言うべきいろいろなプロジェクトが、ようやくそれが採択される見通しになったということであったわけであります。
 しかし、それがまたもとへ戻って、これからもう一度やり直しということになってしまったわけであります。こんな県民の悲願を、もうやめというようなことを言うのは、まあいわば国政の公平性、あるいは国政の衡平といいますかバランスですね、そういうところの観点から私は容認できないと考えております。そういうもう1回やり直しになるぞよというようなことを、私どもがたくさんるる説明をしているのですが、中央レベルの政争の具にされて、結果として和歌山県に新たなこのような懸念というか、危惧というか、そういうものをもたらしてしまった。そういう人は大いに反省をせねばいかんというふうに思っている次第であります。
 このため、国土の骨格を形成する高規格道路網、これは国が責任を持ってその整備の財源を確保した上で、地方道路整備臨時交付金の継続及び枠の拡大など、地方の道路整備の財源を十分に確保するように、引き続き理論的に、かつ誠意を持って国、関係機関に対して強く訴えてまいらなけりゃいけないと思っております。今度は、議員の皆様の一致団結した、かつ、より一層の御理解、御協力を和歌山県のためにぜひよろしくお願いしたいと考えているところであります。
 紀伊半島一周の道路の整備につきましては、今申し上げましたとおりでございますが、企業誘致あるいは観光振興、農林水産業の振興といった県民の将来のチャンスを保障するものとして絶対不可欠であると私は思っております。また、議員御指摘のとおり、東南海・南海地震に備えた緊急輸送道路の確保、あるいは事故、あるいは病気が起こったときの救急医療体制の強化といった観点からも、ぜひ不可欠であると思っておりまして、その早期実現はいわば県民の悲願と言うべきものだと思います。
 このため、先ほど申し上げましたように、和歌山県の道路懇談会を昨年から開催し、また、それは県の中期計画にも位置づけ、それからさまざまな機会をとらえて国等々に必要性を強く訴えてきたところでございますが、先ほど言いましたような事情でございますので、改めてもう一度熱心に、紀伊半島一周高速道路の早期実現と、そのために必要な道路整備財源の確保をお願いしてまいりたいと考えているところであります。
 次に、紀の川河口大橋の無料化への社会実験というようなことでございますが、これまでこの社会実験の有効性について、無料化に伴う交通量の変化などを評価し、あわせて収入減に伴う損失補てんとか、あるいは関係機関の協議により実施体制を検討してまいりました。その結果、社会実験につきましては、今後、期間及び時間帯を限定して年内に実施することとしております。詳細につきましては、今後検討の上、公表したいと考えております。
 また、紀の川河口大橋の早期無料開放につきましては、この実験の結果を踏まえた上で、渋滞緩和あるいは経済効果、さらに、必要となるコストなど種々の要素を総合的に勘案するとともに、県民の皆様や議会の御意見も伺い、検討を前向きに進めてまいりたいと思っております。
 それから、がん専門医療センターの設置でございます。
 議員御提案のがん専門医療センターにつきましては、高度ながん診療を提供できる医療機関であるとともに、産学官の連携のもと、抗がん剤など新たな医療技術の開発や臨床応用を推進できる拠点施設であると考えております。
 国におきましては、このような施設としてがん診療連携拠点病院、そういうものを各県に指定しておりまして、和歌山県立医科大学附属病院が、このような、いわばがん医療センターの機能を担っていると承知しております。
 県といたしましては、がん対策は大変大事だと思っておりまして、がん対策推進委員会というのを1年ほど前からずっと開いております。その成果を踏まえて、この3月にがん対策基本計画をつくり、さらにこのがん対策推進委員会に結集している専門家の──日本全国からお願いをしておりますが──そういう方々の意見を、さらに詳細な点については聞いていきながらがん対策をやっていきたいと思います。
 具体的には、今拠点としての和歌山県立医科大学のセンターを利用しながら、これだけでは不足ですから、それぞれの地域地域にあるがん診療の連携拠点病院や他の医療機関との連携を図り、手術あるいは診断、放射線治療、化学療法等々、効果的に組み合わせた治療、一番いい治療を考えて、あるいは緩和ケアの提供を初めいろんな措置を講じて、がんによる死亡率の減少及びがん患者の生活の質の向上に向けた総合的なしっかりした対策を推し進めていきたいと思っております。
 次に、医師及び医療従事者の待遇と勤務環境でございます。
 御指摘の県立医大附属病院は大変立派な病院でありまして、これと日赤医療センターが3次救急として頑張っていただいているということで、辛うじて近隣の諸県の中では救急医療が崩壊をしていない、そういう数少ない県と言ってもいいかと思います。
 ただ、御指摘のように、そのためにはお医者様あるいは看護師の方々に大変な負担を強いている、献身的な努力をしてくださってるからこういうことになっておるということであることを十分認識しております。したがいまして、その御厚意に甘えることなく、待遇改善とか、あるいは他の医療機関の協力とか、そういう総合的な対策を講じて、何とかこの頑張っていただいている方々に報いていかなきゃいけない、そんなふうに考えているところでございます。
 そういう意味では、医科大学においても、このような状況を踏まえて、例えば非常勤医師を増員するとか、看護師さんの確保に努めるとか、さまざまな取り組みにより労務軽減に努めているところでありますし、先ほど言いましたように医科大学の外側からの協力も、ぜひ我々としても努めていきたいと考えております。そういう意味で、医科大学への集中を緩和するなど、県の役割を果たしつつ、医科大学とともに改善に向けて努力してまいりたいと考えております。
○議長(中村裕一君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 災害対策についてのうち、DMATの充実強化についてお答え申し上げます。
 災害派遣医療チーム、いわゆるDMATにつきましては、災害の発生後おおむね48時間以内に活動できる医師、看護師、業務調整員等で構成される専門的な訓練を受けたチームであり、広域医療搬送や病院支援などを主な業務としてございます。
 本県におけるDMATの整備状況は、平成20年6月1日現在、県内の災害拠点病院である7病院の9チームが厚生労働省に登録されております。
 今後におきましても、新たなDMAT隊員を養成するため、県内の災害拠点病院等に対し、国が実施いたします日本DMAT養成研修の受講促進を図るとともに、実働訓練等を通して災害等に迅速に対応できる体制の充実強化に取り組んでまいりたいと、そのように考えてございます。
 次に、保健医療体制の充実についてのうち、救急医療用ヘリコプター、いわゆるドクターヘリを活用した大阪府との広域的連携についてでございます。
 平成20年1月に大阪府にドクターヘリが導入されましたが、その利用実績は5月末まで20数件程度であるとお伺いしており、他府県との広域的連携や相互利用について事務レベルで情報交換を行ってございます。
 しかしながら、大阪府の広域的連携についての考え方や運航経費の負担など、今後引き続き検討すべき課題があるものと、そのように考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 危機管理監森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○危機管理監(森 崇君) 地震等の緊急情報配信システムを県有施設に設置すべきであるというお尋ねでございます。
 大きな揺れが到達するまでに地震の発生を伝える緊急地震速報は、昨年10月1日、気象庁が提供を開始したところでありますが、その伝達は、議員からお話がありました消防庁の全国瞬時警報システムであるJ-ALERTや民間の配信事業者などにより行われております。
 緊急地震速報につきましては、震源に近い場合には時間の猶予が余りなく、速報が間に合わない場合があるなどの課題がありますが、減災のために有効な手段の1つであると考えております。
 県庁舎や県立学校など県有施設への情報配受信につきましては、2次配信業者が現在増加していることもあるため、その配受信方法、経費、活用策等、最も有効な方法を関係部局と検討してまいりたいと思います。
 また、市町村に対しましても、緊急地震速報を活用した防災対策と住民への地震情報の周知に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 交通渋滞緩和に向けた取り組みについてでございます。
 和歌山市のような地方都市におきましては、交通手段の大部分を道路交通に頼っておりますために、交通渋滞は地域にとって深刻な問題であります。したがいまして、この交通渋滞緩和は、議員御指摘のように時間短縮による経済効果も大きく、CO2の削減等にもつながることから重要な施策と考えております。このため、和歌山県、国土交通省、和歌山県警察本部、西日本高速道路株式会社等で構成します和歌山県道路交通渋滞対策協議会を通じまして、特に渋滞が著しい箇所から交差点改良やバイパス整備等の対策を初め、各機関が連携して総合的な渋滞対策に取り組んでおります。
 しかしながら、依然として通勤時間帯を中心に慢性的な渋滞が見られ、今後も引き続き対策を進めることが必要であります。このため、財政状況が厳しい中、議員御提言の余りお金をかけない交通渋滞緩和対策につきまして、右左折レーンや区画線の設置、交差点の局所的な改良など、速効性のあるボトルネック解消施策に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 もう1つ、県有都市公園の野球グラウンドやテニスコート施設の青少年の使用料金についてのお尋ねでございます。
 現在、都市公園内で少年野球場として利用されている河西緩衝緑地につきましては、住民サービス向上と経費の縮減を目指して、平成18年度より指定管理者制度を導入し、平成22年度まで全施設を管理運営する契約を結んでおります。少年野球場を初めとします公園内施設の利用料金につきましては、和歌山県都市公園条例第23条第3項で施設ごとに定められており、また同条第5項では、「指定管理者は、公益上必要があると認めるときは、利用料金を減額し、又は免除することができる」と規定されております。
 お尋ねの河西緩衝緑地内にあります少年野球場の利用料金につきましては、周辺の同類施設の料金設定状況や青少年が利用することの公益性なども踏まえ、条例第23条第5項を適用することについて指定管理者と協議したいと考えております。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 27番江上柳助君。
○江上柳助君 御答弁いただきましてありがとうございました。
 まず、災害対策についてであります。
 広域医療体制と広域医療搬送体制について、国は、まだこの施策に対する予算措置が十分なされておりません。特に搬送体制ですね。なぜならば、13年前の阪神・淡路大震災から2年後にこの問題が提起されました。よくよく考えてみますと、阪神・淡路大震災のときに、大阪市内には高度医療機関がたくさんあるわけですね。ところが、その医療機関に運ばれたといった形跡が余り見受けられなかった。そういう概念がなかったわけです。一方で、この研究、検討が進められておりますけれども、莫大な費用がかかるということであります。
 で、大規模災害時の陸海空の広域医療搬送について御答弁いただきました。陸海空の搬送、主流はヘリコプター及び船ということであります。当然こうなるでしょう。問題は、傷病患者搬送の人数に限界があるということであります。ヘリコプターではマックス最大8名の傷病者の搬送であります。
 県では、広域防災拠点の検討が進められております。ここで、白浜空港を拠点とした場合──案が一応あるようでございますが──飛行機での搬送も可能になるわけですね。そこで、空港で搬送待ちの傷病者を一時ケアする施設、SCU(ステージング・ケア・ユニット)というのが必要になってきます。
 実は、このステージング・ケア・ユニットの概念、そしてこの訓練というのは、静岡県の菊川町ではもう行われております。ここにAMDAを要請しまして、AMDAがあっという間に仮の医療施設をつくってしまうという、こういう訓練も行われている。ですから、防災訓練のときには、こういったAMDAにもお願いし、こういったステージング・ケア・ユニットもしっかりつくることも訓練していただきたいと思います。もちろん、そこにDMATも絡めていくということにぜひお願いしたいと思います。
 で、莫大な費用がかかるわけですけれども、これにつきまして、いつ起きるかわからない大規模災害の被害想定を根拠とする一自治体の体制の整備には、もちろん限界があります。被害想定を実態に即したものとして国に施策提言、予算要望することを要望さしていただきます。できることなら、先ほど御答弁ありましたDMATの充実強化、さらには、近畿2府7県による相互応援協力体制が広域医療体制ではできてるわけでありますから、この搬送体制についても、こういった小規模の搬送体制を統合して段階的に拡張する形で実施計画が練られれば信頼性の高い体制ができるというふうに考えます。県民の命を守る安全・安心の観点から強く要望さしていただきます。
 それから危機管理監、先ほどの地震等の緊急情報配信システム、これにつきまして御答弁いただきました。まあ配信方法、経費活用、有効な方法を検討するということでありましたけれども、私は、鳥取県の20年度予算で、J-ALERTから県有施設に配信するシステムもきちっと提示しているわけですね。それで、県民文化会館あります。美術館あります。博物館、ビッグ愛、ビッグホエール、県立体育館、たくさんありますね、大規模集客施設。高等学校もあります。きょうは教育委員会、教育長もいらっしゃいますね。ですから、県立高等学校だって、この配信システムがないわけでありますから、いち早くしなきゃいけないと私は思います。
 で、この県庁舎とか県立学校など県有施設への地震等の緊急情報配信システムの整備について、災害時に県民の命を守る初動態勢──被害想定を見ますと、4000人、5000人の死亡者が出るというふうになってるわけですね。減災の1つでは、当然その初動態勢が大事です。いち早く情報をキャッチして、逃げるなり避難するということが大事でありますね。それを何で検討の段階で済むんでしょうか。それは、確かにいろんな、配信事業者のいろんな新しいのが出てきてるのはわかります。しかし、答弁の中では、速やかな実施とか、早急に整備するためにこういうふうに検討も進めていきますというふうな答弁でないと、県民は、私、納得しないと思います。もし県民文化会館で二千数百名が入ってて、ぐらっと来たらどうしますか。その情報すら入ってこないとなったらどうしますか。この点を強く──これは答弁してください。もう1回、明確な答弁をお願いいたします。
 それから、紀の川の河口大橋の無料化への社会実験については、年内に実施するということでありますから、どうぞ速やかに実施をしていただきまして、検証いただいて、その結果を踏まえて早期に無料開放を決断していただくことを強く要望さしていただきます。
 最後に、この青少年が利用する野球グラウンド、テニスコートなどの利用料金の減額であります。私は、御答弁はもうこれは減額するんだというふうに理解をさしていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上、質問と要望にさしていただきます。よろしくお願いします。
○議長(中村裕一君) 以上の再質問に対する答弁を求めます。
 危機管理監森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○危機管理監(森 崇君) 緊急地震速報システムの県有施設への整備を早急にすべきだとの再質問でございます。
 私が申し上げましたのは、いろんな方法があるということで、そのJ-ALERTを直接──私ども、その防災センターにJ-ALERTを引っ張ってるんですが、それを県有施設に行く方法があるのか、また、いうところの例えば「デジタルなまず」とかいうようなものを直接つけるのか、いろんな方法がございます。そういうことを検討するということで申し上げました。
 それから、もう1つは、その精度の問題もございまして、よく新聞報道で言うところの、地震が終わってから情報があったというようなこともございます。ただ、さきの岩手・宮城内陸地震で成功事例があったというふうにも伺っておりますので、いずれにいたしましても早急に検討いたしたいと考えております。
 以上です。
○議長(中村裕一君) 再々質問を許します。
 27番江上柳助君。
○江上柳助君 御答弁ありがとうございました。早急にお願いいたします。
 1つ、県民の安心のために申し添えておきたいと思いますが、いわゆる緊急防災拠点となる、すなわち県警本部関係では、いわゆる警察本部や各警察署、交通規制センター、交通センター等はきっちりと配備されておりますね。総合防災センターのほうからの配信が可能です。問題は、教育委員会、県立高等学校ね。これ、きっちりやっていただきたいと思います。ただ、やっぱり警察本部も、警察学校にはこの配信システムがないんです。そうしますと、災害のときには警察学校の学生、生徒の皆さんは、大きな災害救助要員と申しますか、重要な拠点で働く要員になるわけですから、こちらのほうもお忘れなく配信システムを確立していただきたい。このことを強く要望して終わります。
 以上です。
○議長(中村裕一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で江上柳助君の質問が終了いたしました。

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