平成20年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成20年6月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
 平成20年6月20日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第78号から議案第89号まで、並びに報第1号から報第8号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第78号から議案第89号まで、並びに報第1号から報第8号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(46人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 川口文章
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 16番 下川俊樹
 17番 岸本 健
 18番 尾崎太郎
 19番 藤山将材
 20番 新島 雄
 21番 山下直也
 22番 井出益弘
 23番 宇治田栄蔵
 24番 多田純一
 25番 中 拓哉
 26番 角田秀樹
 27番 江上柳助
 28番 山田正彦
 29番 坂本 登
 30番 尾崎要二
 31番 中村裕一
 32番 服部 一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 藤本眞利子
 36番 長坂隆司
 37番 玉置公良
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        原 邦彰
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      森 崇
 総務部長       小濱孝夫
 企画部長       前硲健作
 環境生活部長     井口悦治
 福祉保健部長     井畑文男
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      雑賀忠士
 教育委員会委員    名手滋子
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員長   大岡淳人
 警察本部長      鶴谷明憲
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     垣平高男
 選挙管理委員会委員長 山本恒男
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       蓬臺孝紀
 次長         東岡誠吾
 議事課長       薮上育男
 議事課副課長     土井敏弘
 議事班長       田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      石垣悦二
 議事課主査      瀧川泰治
 総務課長       笠松 学
 調査課長       佐本 明
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  午前10時1分開議
○議長(中村裕一君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第78号から議案第89号まで、並びに知事専決処分報告報第1号から報第8号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 36番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。議長のお許しをいただきました。以下、通告に従いまして一般質問を3点させていただきます。
 まず、1番目に海の森づくりについてであります。
 平成18年6月定例会において、被覆・消波ブロックによるいそ焼け対策、藻場の育成について一般質問させていただきました。平成18年度より県も海の森づくりプロジェクトパイロット事業として、防波堤などの整備を行う際に海藻の育成しやすいブロックなどを設置し、その育成状況を3年間追跡調査することにより藻場育成技術の検証を行うと答弁いただいております。
 今回もブロックを沈めた目良漁港近くの天神崎の自然を大切にする会の方にお世話になりまして、昨年1月の27日、同6月29日、同7月29日、そしてことし5月29日に水中撮影された写真を送付いただきました。(資料を示す)ここに、皆様にお示ししました2年前の4月から5月の写真とともに、4枚ずつピックアップしてお示しさせていただきました。
 拝見しますと、昨年1月末の写真では、一昨年4月から5月に繁茂していた海藻が、冬でも水温が高過ぎるからでしょうか、もっと生育しているはずと予想していたほど伸びておらず、貝やウニの付着がちらほらあるだけでありました。6月になっても、小魚は見られるものの、それも、ハゼ類以外に熱帯魚のような小魚が泳いでいるのが見られましたが、藻場と言えるようなものにはなっておらず、地球温暖化ゆえの海水温の上昇が原因しているのでしょうか。
 ことしになって5月31日撮影されたものによりますと、海藻は確かに多くはありませんが、魚や貝、ウニ、それにイソギンチャク、ナマコなどの生育はかなり進んでおり、黄色く綿のように盛り上がったものや、ケイトウの花のようにこんもり幾つも盛り上がった赤くて先が少し白くなっているものや、緑の同じような形状で先が花のように咲いた、サンゴの一種ではないかと思われるようなものが付着しているのが印象的でありました。
 地元の天神崎の自然を大切にする会の方のお話によれば、黄色いのはサンゴの一種、石灰質の骨格を持たないソフトコーラルの刺胞動物のウミトサカ、赤いのはオオトゲトサカ、緑のものは刺胞動物のウミキノコの仲間。いずれもソフトコーラルだそうです。魚も、ハゼの仲間、カワハギ、キタマクラ、ネンブツダイなどが写っておりました。
 目良漁港にブロックが沈められて3年目を迎えたわけですが、内海だと海水の循環がよくなくて、外海に面したところでないと海藻がよく育たないのか、海藻がついてもすぐウニや魚による食害があって生育できないのかと思ってもみましたが、被覆ブロックを沈める実験は各地で行われているようですが、実験の成果が果たしてあらわれていると言えるのか、もっと時間の経過が必要で、じっくり見守る必要があるのかと思いをめぐらしました。
 藻場は沿岸域における重要な1次生産の場であり、海の生き物の産卵場、魚介類の幼稚仔の生育場であります。アワビ、ウニ、サザエなどは海藻を食べて育ちますし、幼稚仔魚は藻場で身を隠しながら、そこにいる小動物を食べて育ちます。藻場は、陸上で言うと森のようなもので、地球の温暖化の原因となっている二酸化炭素を吸収したり富栄養化の原因物質である燐とか窒素を吸収したりするということで、海洋環境の浄化に役立っています。
 いそ焼けは、一般的には、藻場が衰退し海藻群落がなくなった場所に無節サンゴ藻がついて、ウニなどを除いて生物が見られなくなることであって、いそ焼けの多くは外界に面した海域で発生し、山陰地方を除くほとんどの海岸で起こっているようであります。
 いそ焼けの原因としては、1、水温、栄養素などの海況変動、2、台風、淡水の大量流入などの一時的な環境変化、3、植食動物による摂食、4、サンゴ藻などによる着生阻害、5、過剰な収穫、6、海水汚濁による透明度の悪化、7、埋め立てなどによる土砂の流入、8、工場からの排水、9、生活排水などからの界面活性剤の流入などが考えられ、これらが複合的に作用していると考えられます。
 また、山林に植生する木々の伐採を進めた結果、落ち葉の堆肥でできる腐植酸鉄が少なくなって、有用な藻類の成長に不可欠な鉄分(二価鉄)が減少したことも一因であると言われています。折しも、新日鉄が鉄鋼スラグを活用し、海藻類再生に取り組み、最近繁殖を確認したと6月10日付「日刊工業新聞」にも掲載されておりました。
 埋め立てについては、天神崎の自然を大切にする会の方も、生物群集にとっては死滅以外にない、最悪のごみ投棄だともおっしゃられていました。
 県外の藻場では、海の森づくりとしてさまざまな努力がなされています。壱岐東部漁協では、近年アワビやサザエなどの漁獲量が減少し、2003年度からマコンブ種糸100メートル運動を開始しています。最近になってアワビ及びウニの水揚げ量の増加も確認され、魚類の蝟集効果、魚つき林としての効果が出てきているようであります。
 長崎県大村市漁協では、夏冬の水温の寒暖の差が激しく、閉鎖性が強く、河川の流入により塩分濃度が薄くて、湾奥部では無酸素のヘドロの蓄積が進んでいます。ここでもコンブを養殖し、コンブが貝類の格好のえさになり、稚魚などの生育場としても役立っているようです。
 熊本県の天草市水産研究センターでは魚類養殖が盛んですが、その養殖から出されるえさが原因の過剰な燐や窒素を吸収させるという趣旨で、養殖漁場内にマコンブやワカメの栽培、そしてアワビの試験養殖を始められていますが、夏場、水温が上がるとマコンブが海中に溶け出してしまうのが課題であります。
 また、和歌山県のお向かいさん、徳島県阿南市の大潟漁協では、周辺は室戸阿南国定公園に指定され、古くから阿波の松島と呼ばれた景観地域で、昔繁茂していたアマモ林を呼び戻そうと平成13年から組合事業としてアマモ種まき活動を行い、また水質浄化に着目して2006年よりマコンブ養殖を行い、成功したそうです。しかし、大潟湾は干潟域であり、干潟域におけるマコンブ養殖は前例がなく、持続的な養殖にするため、さらなる養殖方法の検討が必要なようです。
 もう1つは、熊本県水俣市漁協でも、アワビの陸上養殖のえさに使用する海藻として、マコンブの種糸をブイに結びつけ、試験的な育成を行ってきました。マコンブは、海水温が20度以下になる12月から水温が20度を超える5月中旬まで成長を続けるそうです。3月から4月ごろにはマコンブは2メートルから3メートルに成長して、マコンブ周辺にアイナメ、メバルといった魚が数百匹も群れており、海藻の表面にはカイアシ類やヨコエビなどの多数の飼料生物が付着していたそうです。
 漁協では、海藻の重要性を再確認し、藻場として再生に取り組む構想を海藻の森づくりとして位置づけています。コンブだけでなく、ワカメ、ホンダワラ類などの地域にもともと生育している海藻もふやそうと、専門家の話も聞き、海面養殖だけでなく、いそへの海藻の育成の勉強も始めているそうです。
 そこで質問ですが、1つ目、海の森づくりプロジェクトパイロット事業の進捗状況はいかがですか。県土整備部長にお答えいただきます。
 2番目、全国各地で大型海藻コンブ養殖による海の森づくりの取り組みがなされ、成功事例もあるようですが、本県での取り組みについてはいかがでしょうか。農林水産部長、お願いいたします。
 3、コンブに限らずワカメや他の海藻も、ロープを垂らしておくだけで自然と生えてくるようです。ロープが多ければ多いほど、その一帯が海藻の森になるはずであります。そこが小魚、小生物の隠れ家となり、それをねらって大きな魚もやってくるでしょう。藻場を具体的に再生する試みとしてロープによる海藻の森漁礁をつくってみてはいかがでしょうか。現在の本県における海藻栽培の現状、例えば品種、分布、特性、栽培技術、品種改良の現状などとあわせて、農林水産部長、お答えください。
 4、よく湯浅、広川方面から船釣りに出かけますと、1時間ほど沖合に沈船のポイントがあり、好漁場になっています。以前、和歌山市内から海南市にかけて南海和歌山軌道線、通称市電が通っておりまして、昭和46年に廃止されましたが、廃線後、一部の車両は車体を人工漁礁として利用するために海中に沈められたと聞いております。どのような効果があったのか、現在も活用されているのか、その後話題にも上らなくなりましたが、こんな取り組みもおもしろいのではないかと思います。機会があったら調べておいてください。要望にとどめます。
 2番目、食品加工戦略についてであります。
 1番目、本年4月1日より県工業技術センター内のもとの生活産業部食品工学担当が食品開発室となり、ソフト・ハード両面で充実していただきました。ぜひ和歌山県の企業が、研究者が、実りある研究のために食品開発室を活用いただいて本県の産業振興に貢献いただければと願うばかりであります。
 さて、平成19年9月定例会で、食品加工において企画、商工と農林の垣根を越えた取り組みを実践してほしいという私の質問に、知事は、県庁ではヘッドクオーター制をつくって、特定の責任者をヘッドクオーターにして、それで横の連絡をとらせるようにしていると答弁いただきました。地域産業活性化のため、食品加工を重点分野5つのうちの1つととらえていただき、本年5月21日付で食品加工に係るヘッドクオーターを設置いただきました。ヘッドクオーター、すなわち食品加工における特命司令官に農林水産政策局長を任命され、食品加工に係る関係施策について組織横断的に関係課を統括いただくことになりました。従来の縦割りではなく、横断的にスピーディーに重要施策を立案、実行いただけるものとして期待を寄せるものであります。
 そこで質問ですが、この食品加工におけるヘッドクオーター制は、具体的にどういう組織立てで、どんな役割を担い、どんな権限を持ち、どんな目標を掲げ、どのように県庁内各課のみならず県内試験研究機関、大学等高等教育機関、そして企業と連携を図っていかれるのか教えてください。知事にお伺いいたします。
 2番目、文部科学省は、資源の有効活用や教育水準向上を目的として、複数の大学が教員や施設を出し合って授業を行い、各大学連名の学位を授与する共同学部、共同大学院をつくれるよう、大学設置基準を改正する検討を平成19年度より始めています。文部科学省は、複数大学で先端分野の高度な研究を行うことにより、国際競争力の強化につながることを期待しています。平成20年度中に基準を改正し、平成22年度からの新制度スタートを目指すものであります。
 ことし1月9日には、大阪府の関西大学、大阪医科大学、大阪薬科大学の3大学が、21世紀の生命の時代を担う工学、医学、薬学を学際的に学んだ人材、かつハード面のみならずソフト面──教養、心理、倫理面など──も兼ね備えた看護師の育成を目的として、3大学による共同学部を設置することに同意し、それぞれの法人の理事長が協定書に調印いたしました。文部科学省への設置認可申請は平成21年5月を予定しているそうです。
 3大学は、これまでにも学術交流協定を結んで研究面で連携してきていました。教育研究体制としては、共同学部の利点を生かし、学生、教員双方において流動性の高いものとする予定だそうです。大阪医科大学のキャンパスに設置され、1学年定員は約200名規模とのことです。
 ほかにも、兵庫県や東京都などでも共同学部、共同大学院を設置する動きがあるようです。大学としても、少子化に伴う生き残りをかけていますし、人材や施設の共用によるコスト削減などのメリットがあります。
 和歌山県においては、他都道府県にあるような総合大学はありませんが、食品加工分野に関係のある大学、高等教育機関が複数あります。1つの大学に、今後、農学部や生命科学部といった学部を新設することは極めて難しいことですが、公立、私立を問わず各大学間で共同研究の機会も出てきている昨今、和歌山県内の大学、そして県外の近隣の大学にも声をかけて食品加工における共同学部を設置することは、時代の流れ、和歌山県の将来の発展、飛躍のための方向性に合致しているのではないでしょうか。
 和歌山大学教育学部には食品関係の先生もいらっしゃいますし、和歌山県立医科大学でも健康学、健康食品という意味で連携できる先生は数多くいらっしゃいます。そして、近畿大学生物理工学部には農業関係、食品関係の先生方が数多くいらっしゃいます。和歌山信愛女子短期大学にも、生活文化学科に食品関係の先生がおられます。国立和歌山高専にも食品分野の専門家がおられますし、県庁組織内にも農学、食品関係に詳しい技術職員がいらっしゃるわけであります。そういった大学関係者以外の方にも教職員として入っていただいて、食品加工におけるヘッドクオーター制に加えて、産業振興による地域貢献のための食品加工研究の核として、また和歌山県の将来を担う人材の育成のためにも、和歌山県ならではの共同学部をつくる、そんなコーディネートを知事にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 3番目、南海本線紀ノ川橋梁についてであります。
 平成20年2月定例会において一般質問させていただいた後、総務委員会においても松本貞次代表が南海電鉄の姿勢、旧建設省の姿勢、そして県の姿勢を厳しく追及されました。先月、県から南海電鉄、国土交通省和歌山河川国道事務所、そして近畿運輸局に対して問い合わせていただいた内容について県当局より説明をいただきました。その中でポイントを絞って質問いたします。
 まず1つ、平成13年11月から平成14年3月までの間に健全度調査を株式会社BMCの指導のもと実施しています。このBMCという会社は、1993年にJR総研すなわち財団法人鉄道総合技術研究所から独立した橋梁の維持管理の会社で、橋の点検診断実績ではほかの追随を許さない会社だそうです。このとき、上部工、下部工とも問題なし、そして調査結果を受けて約1億1500万円程度の延命補修工事を行っています。
 平成16年から平成17年にかけては、財団法人鉄道総合技術研究所に下部工(橋脚)の耐震性能診断を任せていて、東南海・南海連動型の想定地震動に対しての橋脚の安全性が確保できる結果が得られたとしています。この鉄道総研は、1986年、国鉄の鉄道技術研究所などから業務を引き継いで発足した研究機関で、鉄道技術や鉄道労働科学に関する研究開発、調査などを全般的に手がけているようです。
 両社とも最も信頼の置ける会社というならば、そして本当に安全が確証されたというのなら、平成10年7月22日付常務会において全面改築の方針で詳細設計の実施を進めることを可決した後の方針変更の大きな根拠となったのでしょうから、南海電鉄は両法人から出た調査結果を堂々と公表すべきであります。企画部長、いかがですか。
 2番目、南海は会社内で2年ごとに築105年のこの鉄橋を定期検査していると言っていますが、そんなことは鉄道会社として当然のことであります。でも、定期検査も上記のような権威のあると言われる検査機関に行っていただかなければ、常識的には納得はできないものであります。
 県当局が言われるには、南海電鉄は、調査義務はあるが報告義務はないと言われたそうですが、南海電鉄が紀ノ川鉄橋を安全だと言うのなら、人々の生命を預かって安全に走らせるという鉄道会社の使命として検査結果を逐次公表して報告すべきであります。企業として、みずから情報を公にして安全をPRすべきではないでしょうか。断固として定期検査後は検査結果を公表いただきたいと思いますが、いかがですか。企画部長、お答えください。
 3番目、県の南海電鉄からの聞き取り報告によれば、平成16年6月の常務会において、平成12年12月20日付の常務会の報告にある紀ノ川橋梁の改築のスケジュールを変更したということですが、それは、この平成13年から平成14年にかけての株式会社BMCの指導を受けた詳細調査と、その調査を踏まえた補修の実施によって、老朽化による安全性低下の懸念がなくなったので改築スケジュールを変更したのだと言われています。これは余りにも大きな会社の方針転換であります。平成15年になんばパークスの第1期完成、そして第2期に向けたスタートという時期と余りにも近く、ここに南海の鉄道会社としての倫理観、使命感というものを考えますと、どうしても疑いを禁じ得ないのであります。平成12年12月20日の常務会で報告された内容がこの平成16年6月の常務会でどう転換され、改築スケジュールの変更の合意を見たのか、御確認されているのでしょうか。企画部長、お答えください。
 4番目、財務省の減価償却資産の耐用年数等に関する省令によれば、鉄道用の橋梁は鉄筋コンクリートづくりのものが年数50年とされています。国の専門家である国土交通省にあっても鉄道橋梁の安全性基準は必ず持っているはずです。ぜひそれをお示しいただきたい。企画部長、お願いいたします。
 5番目、南海が旧建設省と河川協議の開始を進めることを決定した当時、南海電鉄から近畿地方建設局に問い合わせがあったときに、正式なかけかえ協議ではなく国から補助が出るかといった相談程度の内容だったので、和歌山県には南海から近畿地建へ問い合わせがあったことを報告していない、だから近畿地建から県への鉄橋の改築の話はなかったと県当局は報告いただいておりますが、紀ノ川鉄橋は、使用頻度の高い本格的鉄道橋梁としては今後ますます長寿世界一の記録を更新していくのですから、県は近畿地方整備局との間で紀ノ川鉄橋の安全性について今後も定期的に協議の場を持っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。知事にお伺いいたします。
 6番目、平成17年から平成18年にかけて株式会社BMCがけた連結工の詳細設計を実施しており、平成20年度より平成22年度の間にけた連結工事を実施するとしていますが、実際に時期はいつなのか、そしてどんな内容なのか。企画部長、教えてください。
 以上、大きく3点、第1回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、食品加工戦略についてということであります。
 食品加工業、この産業を和歌山で盛んにするということは、これは大変大事なことだというふうに思っておりまして、去る5月に発表いたしました農水産物・加工食品の販売促進に関するアクションプログラム2008においても、農産加工を軸にしたアグリビジネス──ちょっと片仮名で言いましたが──その構築を重点目標に、地域での商品開発への支援とか、あるいは大手食品・飲料メーカーとの連携などの取り組みを進めることにしております。
 そうした中で、食品加工につきましては、ぱっと考えただけでも関係部局がまたがります。加工という意味では商工観光労働部でもあるし、それから、何といっても食品ですから、農林水産部が大変大きな役割を占めると思います。両者の協力、すなわち産業界としては、農業をやっておられる人と、それから加工をやっておられる人、それから販売等々、そういうところが全部連携しないと産業としてもうまくいかないし、それをプロモートするにおいても、「あそこまでは私。あそこは知らん」とかなんか言い出すとうまくいきません。
 したがいまして、県庁は、最近、それを第一義的にといいますか、とりあえず解消するための方策としてヘッドクオーターというのをあちこちでつくっておりますので、これもヘッドクオーターにしようということで、御指摘のように農林水産政策局長が今ヘッドクオーターの任にあります。
 これはそう物すごいもんではありませんで、少なくともこの局長は、「私は知らない」ということは言わないことにする。そのかわり、ほかの部局でもちゃんとその人に報告をして、あるいは報告を求められたときはちゃんとして相談に応じるということにしようじゃないかと、そのぐらいのイメージでございます。
 ヘッドクオーターだけが頑張るというわけではありませんけれども、県庁の組織を挙げてみんなで頑張って、何とか食品加工業をもっと和歌山に根づかせるということをやっていきたい。そのうちの施策の1つが、一番初めに御指摘ありました工業技術センターに食品開発室を置くと。これは何かというと、例えば食品加工業の方々がこういう成分が出てるかどうかちょっと調べてくれとか、そういうことを言ってこられたときに、特にその分野のきちんとしたデータを提供したり支援をしたりすることができるようにするということで、これは主としてハードなんですけれども、それを今年度予算で随分計上させていただいてお認めいただきまして、それを装備していこうと思っております。
 そういうことで、いろんな方策をもとにして、ぜひこの食品加工戦略を頑張ってやっていきたいと思っております。
 次に、食品加工系の共同学部設置ということでございます。
 大学の設置、大学の共同学部等々は、何といっても大学の方々がそれを自分で申請をしたりいろんなことをしないとできません。それはそうでございますけれども、私どもも県の中でどういう研究活動あるいは教育活動が行われていくかということには大変関心があり、協力をしていろんなことをやっていきたいと思っております。
 一度バイオの関係の方々がお越しになって、それでそのうちのある教授が、和歌山大学に農学部をつくってくれというようなお話がありました。私は、これは大学の話なんですけれども、「それは、あなた、間違ってませんか」というふうに申し上げました。なぜならば、まさに各県にある各国立大学等々の農学部は今、生物理工学部とか環境理工学部とかそういうのにどんどん名前を変えて頑張ろうとしてるわけで、まさに和歌山には近畿大学がわざわざつくってくれた生物理工学部というなかなか立派な大学がある。そういうところとどうして組もうとしないんですかというようなことを申し上げた記憶があります。
 そういうようなお考えできょう長坂議員が御質問になったんじゃないかということで、まさにこれからそういう機運が盛り上がってくれば私どもも応援していきたいと思っております。
 現在のところどういうことになっておるかというと、実は和歌山県の大学もなかなか協力してやろうという機運がありまして、そういう意味では立派なんですが、戦略的大学連携支援事業という文部科学省が今公募をしている事業があります。それに和歌山県の全部の大学がそれぞれの共同授業を受講できるようにしようとか、そのためのハードウエアの支援、例えばネット等々のハードウエアの支援なんかをお願いしたいということで今申請をして、我々も応援しているところでございます。
 ただ、その中身が、例えば今おっしゃったような食品加工で共同研究をしてやっていこうというようなところまでまだ行ってないことも事実なんで、この分野だけがすべてだと私は申し上げるつもりはありませんが、こうやってできてきた連携をもとにして、まさに中身の問題としても共同研究などができるようにするというようなことはいい方向であり、大学でそういう機運が盛り上がってきたら私どもとしてはぜひ応援をしていきたいと考えております。
 なお、大学については、個々の、例えば農協とか、それから個々の企業なんかと協力して、今、健康食品等々で随分活躍をしていただいてることも事実でございます。そういう機運がもっともっと盛り上がってくるといいなというふうに考えております。
 続きまして、南海本線紀ノ川橋梁について、特に近畿地方整備局と県との南海鉄橋の安全性についての定期的協議をしなさいということでございます。
 これについては、我々が本件の問題について、近畿整備局は知っとったけれども、どうも県庁は何も知らんかったということについては、あんまり好ましくないと思います。
 権限で見たときに、鉄道の安全性を確保するというのは現在は国の仕事ということになってるからそれでいいのかもしれませんが、しかしながら和歌山県としては、和歌山にあるとらの子の私鉄であり、大変大事な県民の足であるわけですから、そういうところの安全がちゃんと確保できてるかどうか、それから安全だけじゃなくて採算はどうか、ダイヤはうまくいってるか、それから例えば鉄道事業以外のそのほかの事業を積極的にやってくださってるかどうか、そういうことについて我々が関心がないということを言っちゃいかんというふうに思うわけです。
 まさに県庁もそういう鉄道事業なんかを見る部署がありますので、そういうところは任務で物を見ると。今後そういうふうに考え方を──形式は少なくとも改めましたが、まさに任務で見ていって、それで安全も考える。そうすると、現在、実は近畿地方整備局と県土整備部は大変な情報交換をほとんど毎日のようにやってるわけですが、そういうときに、こちらから企画部も参加して、それでそういう日常的なルートを通じてその情報交換をしていくと、それで、自分が必要だと思う情報は権限外でも教えていただくように努力する、そういうことを我々としては努力してやっていかないといかんと、そういうふうに思っております。
○議長(中村裕一君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 海の森プロジェクトパイロット事業の進捗についてのお尋ねでございますけれども、県では平成18年度に、議員配付の資料とは別場所ではございますけれども、由良町の大引漁港、それから田辺市の田辺漁港、白浜町の志原海岸、串本町の下田原漁港の4海岸におきまして、防波堤等の整備を行う際に用いる海藻の育成しやすいブロック等を設置いたしました。また、産学官で藻場育成技術の検証を行う協議会を設立し、この藻場育成効果に関します調査を開始いたしました。
 学識経験者によりますと、藻場育成技術の評価には最低3年程度の育成状況の追跡調査が必要とのことでもございますので、今年度も春、秋の2回、調査を行うこととしており、それらの結果をもとに評価を行う予定にしております。
 当事業を実施することによりまして、防波堤等の整備における効果的な藻場育成のための基礎資料が得られるものと期待しております。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 海の森づくりにつきまして2点お答えをいたしたいと思います。
 まず、第1点の大型海藻コンブ養殖による海の森づくりの取り組みについてでございますが、本県におきましては、コンブの栽培につきましては海水温が20度C以下の冬季ということに限定されるということもございまして、生育期間が短いということ、またそういう中で十分な成長が望めないということもございまして、コンブと同じ褐藻類でございます温暖な海域に適したヒロメにつきまして、平成15年度から水産試験場が串本町の浅海漁場におきまして、養殖業の収益性の向上、また養殖漁場の水質を改善するという目的で魚類との複合試験を実施いたしてございます。
 その結果、食害等幾つかの課題はございますが、ヒロメはお話ございましたように燐とか窒素の吸収性にすぐれておりまして、養殖としての収穫量も期待ができるということから、ことしの9月1日に予定をしてございます5年ごとの漁業権の免許に際しましては、これまでの魚類に加えまして、同一漁場において藻類との複合養殖ができる新しい取り組みを行うこととしてございます。
 今後も、地域特産種のヒロメと魚類の複合養殖を推進いたしまして、海の森づくりに努めてまいりたいと考えてございます。
 もう1点、本県における海藻栽培の現状と海藻の森漁礁についてということでございますが、本県で生産をされております海藻につきましては、主にワカメ、ヒジキ、テングサ等でございまして、平成17年度における生産量は657トン、生産額といたしまして3億7300万となってございまして、その9割が紀南地域を中心に生産をされてございます。
 近年、お話ございましたように、県下各地の浅海域でカジメ類などのアワビ類の重要なえさとなる藻場が衰退をする、いわゆるいそ焼けの現象が見られてございます。こうした中で、藻場の再生を図るために、水産試験場におきまして一般的にカジメ類が生育できる限界と言われてございます水温25度を超える高水温でも生育できる品種の育成を行ってございまして、現在、いそ焼け海域である日高町地先において実用化に向けた実証試験を行ってございます。
 また、今年度は和歌山市など5市町村において自然石や藻場礁の設置を行うとともに、これまで試験段階でございました有用藻類であるヒジキの移植の実用化試験等も行うこととしてございます。
 議員からお話のございましたロープを用いた藻場造成につきましては、過去に水産試験場におきましてカジメ類について同様の試験を行ってございます。しかしながら、芳しい結果が得られてなかったということでございますが、今後、他府県の状況等も見ながら、藻場造成という観点からその可能性について検討してまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) 南海本線紀ノ川橋梁についての御質問にお答えいたします。
 まず、調査結果の公表に関してでございます。
 1点目の株式会社BMC及び財団法人鉄道総合技術研究所に係る調査結果の公表についてでございますけれども、平成13年から14年のBMC指導による健全度調査につきましては、これは表題でございますけども、「南海本線紀ノ川橋梁における維持管理技術について」という表題で、また16年から17年の財団法人の鉄道総研による耐震性能評価につきましては「旧式橋梁下部工の耐震診断(地盤および材料物性の調査結果)」というのと「旧式橋梁下部工の耐震診断(地震応答解析結果)」、こういう表題で、ともに調査内容をコンパクトにまとめて公表されております。
 このことについては私どもも承知をしておるところでございますけれども、ただ何分にも専門誌への掲載でございますし、高い専門性ということがあってわかりにくい、理解しにくいということもありますので、県民の方によりわかりやすく周知するように検討してほしいと、そういう旨の要請をしているところでございます。
 次に、定期検査結果の公表についてでございますが、南海電鉄では法令に基づく橋梁の定期検査を2年ごとに実施しておりまして、年1回の、ホームページで安全報告書を公表しているところでございます。
 今後、橋梁の定期検査の結果をそれに盛り込むことや、月1回、駅などで配布している広報紙に記載することを検討していると聞いております。
 次に、改築スケジュールの変更についてであります。
 南海電鉄は、供用中の橋梁の安全性確保のため、橋梁の専門家である株式会社BMCから維持管理に係るコンサルティングを受けているとのことであります。その取り組みの一環として、議員のお話にもありましたように、株式会社BMCの指導による詳細調査とその結果を踏まえた補修を実施することにより安全性に関する懸念がなくなったため、改築のスケジュールを平成16年の常務会で変更報告したと南海電気鉄道に確認しております。
 次に、国土交通省における鉄道橋梁の安全性基準についてでございますが、鉄道橋梁の維持管理に関する国の技術基準は、鉄道に関する技術上の基準を定める省令第87条に基づき、国土交通省から「鉄道構造物等維持管理標準の制定について」という通達が確かに出されておりますが、耐用年数等の記載はございません。
 最後に、けた連結工事についてでございます。
 現在、橋げたは橋脚に固定されておりますが、さらにけたとけたを横から鉄板で挟み込み、それをボルトで締めて伸縮可能な状態で連結させるという工事をことし11月ごろから行う予定であると聞いております。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 36番長坂隆司君。
○長坂隆司君 御答弁いただきました。
 海の森づくりについては、海の森づくりプロジェクトパイロット事業は県内4海岸で調査を実施されているということですが、県内の海藻類の分布、品種、特性などをはかる上で貴重な調査となると思います。ですから、この藻場の育成状況の追跡調査結果に期待したいと思います。そして、人工造成にしろ、養殖にしろ、海藻の森を再生する努力を続けていただきたい。これは、海をきれいにするとともに、地球温暖化の検証、食に連なる各地の観光振興に必ず貢献するはずだからです。
 次に、食品加工におけるヘッドクオーターについては、ぜひともヘッドクオーターたる農林水産政策局長には、難しいお立場ですが、戦略的に、すなわち勝負に勝つ心意気で毅然とリーダーシップを発揮いただいて、いい物づくりを進めていただきたいと思います。
 大学の共同学部についてでありますが、きょうも「日刊工業新聞」で産業の立場から共同大学・共同大学院制度の記事が掲載されておりました。私も、食品加工を追いかけていく過程で、和歌山県の誇るべき農産物で是が非でも地域貢献できるものを生み出していきたいという強烈な情熱とやる気、そして使命感を持った先生方とたくさん出会うことができました。共同学部づくりも、やはり人次第であります。せんだっての県長期総合計画のフォーラムで知事がおっしゃっておられましたように、そういった先生方をぜひ載せていただいて、共同学部構想を実現に向け取り組んでいただきたいと熱望いたします。
 南海本線紀ノ川橋梁についてでありますが、株式会社BMCと鉄道総研による調査結果は確かに論文のような形で公表されているということですが、やはり乗客の生命を預かる公共交通機関の安全性の問題なのですから、もっと一般の利用者を安心させられる、目につきやすい広報であってほしいものですね。
 南海が2年ごとに行っている定期検査も、しかりであります。テレビであっても新聞であってもいいと思うんです。少なくとも会社のホームページ上にでも具体的に掲載いただきたいものであります。とにかく、もっと利用者にわかりやすく親切な形で公表するよう南海に申し入れてください。
 次に、国土交通省における鉄道橋梁の耐用年数等の安全性基準がないというのでしたら、それこそ鉄道総研や株式会社BMCにでも県のほうから確認いただきたいと思います。
 3点目の質問についてでありますが、その御答弁では納得できません。平成16年6月の常務会における当面の全面改築の必要なしとの方針転換の決定というのは、実際の話、事は非常に重大であります。仮にも一部上場している大会社が議論の中身をなぜ隠すのか。常務会の議事録は必ず残っているはずです。県民のとうとい生命を守るべき県としても、このまま「そうですか」とおとなしく引き下がっていてはいけないことであります。ぜひこの平成16年6月の常務会における方針大転換、改築スケジュールの変更に至った議論の中身をさらに追及して確認いただきたいと思います。
 次に、平成12年12月20日の常務会の改築計画の報告書によれば、可能な限りの延命化等を主眼とし、その後、社内関係先並びに河川管理者等と検討、協議を行いましたというくだりがありますが、河川管理者とは、国すなわち国土交通省であります。平成16年6月に改築における方針転換が図られたことも、その時点で当然、河川管理者に南海は報告しているはずであります。そのとき国土交通省はどういう見解を示したのか、県としてぜひ確かめて御報告いただきたい。
 以上の4点の中で今お答えいただける部分があれば御答弁願います。
○議長(中村裕一君) 以上の再質問に対する答弁を求めます。
 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) ただいま再質問の4点についてお答えいたします。
 まず、1点目の鉄道総研による調査や会社の定期検査の調査結果をもっとわかりやすく公表しろと、こういうことを南海に申し入れよということでございますけれども、先ほど答弁申し上げましたように、南海電鉄においてもこれまで、こういった鉄道の安全性に関して一定の公表なり広報というのをされてきております。しかしながら、県民あるいは利用者の安全・安心、そういった信頼にかかわることでございますので、なお一層のわかりやすい広報を工夫してもらうように引き続き要請をしたいと思います。
 2点目、鉄道総研あるいはBMCに鉄道橋梁の耐用年数等の基準を確かめよというお尋ねでございましたけども、一般論として、構造物の耐用年数というのは、その維持管理の方法いかん、あるいは補修のやり方によってそれぞれ個々に判断せざるを得ない、一律には言えないというようなことを私ども聞いておりますけれども、念のため問い合わせてみます。
 3点目の16年6月の常務会における方針決定に至った理由など、議論の中身を追及して確認せよということでございますけれども、私ども一通りのことは聴取いたしまして、公式の回答として受け取ったものを先ほど答弁申し上げたわけでございます。繰り返しになりますけども、県民やあるいは利用者の安全・安心に対する信頼にかかわる事柄でもありますので、本議場での御議論を伝えて、いま一度確認してみたいと思います。
 最後に、改築延期の方針転換を河川管理者である近畿整備局は聞いてたはずだと、そのときの国交省の見解はどうだったんだと、確認しろということでございますけども、一度問い合わせてみます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再々質問を許します。
 36番長坂隆司君。
○長坂隆司君 御答弁ありがとうございました。
 ついせんだっても岩手・宮城内陸地震によって道路が寸断、道路橋の崩落もありました。紀ノ川鉄橋の平成13年から平成14年の健全度調査の概略版、見せていただきましたら、9カ所ほど劣化が気になる記載がありました。東南海・南海大地震も刻一刻と近づいているのであります。県当局も危機感をさらに持っていただきまして、以上の点をそれぞれに強く申し入れを行っていただいて、しかるべき御報告をまたいただきたいと思います。御報告次第で、また次もやらせていただきます。
 以上、要望いたします。
○議長(中村裕一君) ただいまの発言は要望であります。
 以上で、長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 44番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
 第1の柱は、災害対策であります。
 第1点として、危険ため池調査と最近の紀の川筋での集中豪雨にかかわって起こった問題についてお伺いいたします。
 ただ、既に一般質問第1日目にお2人の議員が取り上げられ、知事及び農林水産部長から答弁がありましたので、重なる部分は割愛しまして、少し違った面から問題を提起してみたいと思います。
 私は、何回か危険ため池調査と安全対策について取り上げてきました。その際、私は、県が行ってきたため池調査を評価してきました。大きな事故があってから安全点検が行われることが多い中で、事故が起こらないうちに数百カ所に上るため池の安全点検をしようとするものであったからです。同時に、私は、従来、市町村からの申請では危険ため池としてリストアップされていない池であっても、調査してみると危険度が高い池であったことも指摘し、注意を喚起してきたところでございます。
 先月24日夜から25日未明にかけての紀の川筋を中心にして集中豪雨が襲った次の日、私は岩出市の市会議員と一緒に那賀振興局にお伺いし、状況をお聞きしました。普通なら現地に案内していただくところですが、ごった返している最中でしたので、自分たちだけで現地に行き、住民の皆さんの声もお聞きしてまいりました。知事も現地においでになって原状回復を約束してくれたと、住民の方からもお聞きいたしました。
 私が注目しましたのは、これまで行われてきたため池の安全点検との関係がどうであったのかという問題でございます。紀の川市の松池、桜池の場合は、決壊寸前まで行った危ない事例でした。その松池はため池調査の対象にはなっていまして、第1次調査が行われています。危険度は40ということで、第2次調査、ボーリング調査には回されていません。危険度50以上の池から第2次調査に回されているわけです。もう1つの桜池のほうは第1次調査の対象にさえなっていなかったわけです。そんな池が、このたび決壊の危険にさらされたわけでございます。
 最近は、異常気象で予想を超えるような雨があるということもあります。この事例を踏まえて、これまで進めてきた池の防災対策についてどういう教訓を引き出し、今後どういう対策をされるのかをお伺いしたいと思います。
 第2点として、小中県立学校の耐震診断と耐震補強、そして施設整備についてお伺いいたします。
 中国四川省の震災では、多くの児童が学校の下敷きになって亡くなりました。大変痛ましいことでした。続いて岩手・宮城地震が起こりました。被災者の皆様には心からお見舞い申し上げたいと思います。
 いつ来るかわからない地震に備えて万全の耐震補強をしなければなりません。学校耐震をめぐっては、超党派5党派共同提案による地震防災対策特別措置法の改正法が成立しました。文部科学省でも、危険性の高い校舎の耐震化を原則3年を目標に取り組んでほしいとの考えだと報道されています。
 小中県立学校の耐震診断と耐震補強はどこまで進んでいるのか、今後どうするのかをお聞かせください。教育長への質問でございます。
 そして、耐震対策だけに限らない問題になりますが、先日、私は上富田町の南紀支援学校を訪問いたしました。南紀養護学校と言われていた学校です。肢体不自由児の支援学校ですが、40数人の生徒が学んでいます。
 「肢体不自由児」という言葉で車いすに乗っているということを考えますが、それだけではありません。学校要覧で障害種別を示されてみると、脳性麻痺、筋ジストロフィーはわかりますが、私にはわからないような病名がたくさん並んでいます。教室を回ってみると、1つの教室に2人の児童がいて、そして2人の先生が付き添って、体をさすったり揺すったりしながら子供の発達を支援しています。
 最も災害に弱い立場にある子供たちが学ぶ学校の校舎の老朽化が進んでいることが大変気になったのですが、この学校の耐震対策とともに、こうした大きなハンディキャップを持った子供たちにこそ最善の教育条件を保障しなくてはならないという立場から、整備計画がどうなっているのか、これも教育長にお伺いいたします。
 第2番目の柱は、包括外部監査結果報告の受けとめ方についてでございます。
 外部監査という制度が発足しまして、平成11年度から外部監査報告が出されるようになりました。県行政や県議会から距離を置いた外部監査人を指名して、県行政をチェックしてもらうものだと理解しています。そして、その費用には1000万円もの予算が計上されています。
 その包括外部監査報告書を読んでみると、大変重要なことが指摘されています。しかも、その指摘は、私たち共産党県議団の立場から言えば私たちが主張してきた意見と多くの共通点を持っており、しかもその問題が県民には大きな財政負担を負わせている場合がしばしばあります。今から具体的に問題を申し上げます。
 1つは、さきの2月県議会で債権放棄の案件の採決が先送りされた、プラスパフーズという豆腐製造組合へ貸し付けた高度化資金24億円を初めとした焦げつきの問題です。
 この問題は、乱脈な同和行政の問題として共産党県議団は前々から問題にしてきましたし、今県議会でも我が県議団の松坂県議が突っ込んだ質問を行いました。
 私自身が取り上げた最近の議論で言えば、昨年秋の決算委員会で、10億円の融資を受けて買った土地が競売してみると1億2000万円でしか売れなかった、本当にこの土地は10億円の価値があったと見ているのか、こういう質問をいたしましたが、当局のお答えはそれだけの価値があったということでございました。しかし、平成14年度包括外部監査報告書では、プラスパフーズが取得した土地の価額は12億5000万円と言うが、実際は3億5400万円、取得当時でも4億9000万円と推測されるとしているわけです。そして競売してみたら、1億2000万円にしかならなかったわけであります。
 私がここで問題にしたいのは、包括外部監査報告書で重大な指摘がされたとき、県当局としてどういう検討がなされたのかという問題です。何の検討もせずに、私には、それだけの価値がありましたと答弁をし、そして債権放棄の議案を提案しているのではないのかというふうにさえ思われるわけでございます。そうだとしたら、何の外部監査なのかわかりません。内部では困ったことだと頭を抱えたのかもわかりませんが、県民の目から見て、真摯な検討や反省をしたというふうには見えません。過去の問題ではあっても、問題があったとすればきちんと総括し、県民に説明しなければなりません。きちんと総括し反省しなければ同じ誤りを繰り返すことになります。
 以上の経過を踏まえて、まず総務部長にお伺いいたします。外部監査というものの意義は何か。外部監査人をどのようにして選任されているのでしょうか。
 次に、商工観光労働部長にお伺いいたします。平成14年度包括外部監査報告が出されたとき、県行政としてどういう部署でどういう検討がなされたのか、どのように受けとめられたのか、お聞かせください。
 次に、最近発表された平成19年度包括外部監査報告書にかかわる問題について申し上げます。
 この報告では、コスモパーク加太にかかわる問題に触れています。大まかに問題の構図を申し上げますと、コスモパーク加太を所有する県土地開発公社は金融機関から多大の借り入れをしていた。しかし、県とは独立した土地開発公社の借金であって、県は債務保証はしていませんでした。2003年になって借りかえをしなくてはならない期限が迫ってきたわけですが、金融機関は、県が債務保証してくれなければ借りかえには応じられないと主張したわけです。私たちは、民間企業であれば自己破産するところだろう、銀行としてはもうかるという判断で金を貸したわけだから、自己責任として不良債権処理をしなくてはならないのではないかと考え、大筋そういう考え方で私たちは県が債務保証することには反対したわけでございます。
 ところで、このたびの外部監査報告書では、「法的責任と『調停に代わる決定』のアンバランス」という項を立てております。裁判所の調停に代わる決定というものはあるが、県に主たる法的責任があるわけではない。裁判所に引きずられて県は譲歩し過ぎて、県民に負担をかけているということでしょう。その結果、県民には265億円の債務保証、そして平成35年までの借地料122億円がかぶせられたのですから、事は重大です。そして、私たち共産党県議団の主張してきたことと多くの共通点を持つ指摘でございます。
 このことについて、仁坂知事が4月2日に記者会見をされています。ポイントは2つあって、1つ目は、私は調停に代わる決定について大変批判的です、かなり愚かしい決定とまで言われている。しかし、済んでしまったことであると。記者会見で突然の記者の質問に答えての発言ですから、表現は不十分ですが、調停に代わる決定に沿って債務保証を引き受けてしまったことについての批判的な考えでしょう。2つ目には、今後の問題については外部監査人の言うようなことができるはずがない、行政改革プランに書いているようにやるしかないということでございます。
 まず、済んでしまった愚かしい決定と仁坂知事がおっしゃっていることについては、私は同感でございます。そして、今後の問題についても、私は知事がおっしゃることを頭から否定するものではありません。一たん債務保証を背負ってしまった以上、身動きがとれないからでございます。
 債務保証をしょい込んだ愚かしい決定には、知事はそのとき和歌山には来ていらっしゃらなかったわけですから、個人として責任はありません。しかし、県の行政組織は継続しているわけですから、県の組織として、どうして外部監査で指摘されるような、そして仁坂知事も批判されるような政策選択をして県民に迷惑をかけるようなことになったのか、総括する必要があると思います。済んでしまったことだけでは県民は納得できません。
 今後の対応についても、その結論が仁坂知事がおっしゃるとおりになるとしても、外部監査の意見について真摯に検討した上で、検討の経過と結果を県議会にも県民にも明らかにすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。企画部長からお答えください。
 第3の柱として、美里町のいわゆる裏金問題と県職員とのかかわりであります。
 旧美里町の裏金問題が新聞をにぎわしました。問題は、旧美里町で工事に当たった業者からのキックバック、ゴルフ場関係者からの寄附金などを裏金として町収入役に管理させ、裏金として県職員への官官接待や政治家のパーティー券購入、さらに気に入った町会議員の事業に使ったり、最後は自分の金庫に入れて私物化しているという問題です。事件の全容は100条調査委員会で解明中ですが、ほぼ以上のようなことは明らかになりつつあります。公金か私金かという争いもありますが、それは司法の場で争う問題であり、ここではわきに置いておきたいと思います。
 さて、県との関係では、官官接待の問題がございます。この点は、公金であろうと私金であろうと関係はございません。賄賂、官官接待はあってはなりません。紀美野町の関係者の方にお会いすると、県に迷惑をかけると気にしておられましたが、仁坂知事からは、県は気にせず全容を解明してくださいと励ましがあったようで、それは大変結構なことでございます。県としては、職員にアンケートなどとって調査し、また紀美野町にも職員派遣し、資料提供を受けて実態の解明を進めているようでございます。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 第1に、県職員の関与としてどういうことが明らかになったのでしょうかというふうに通告をしているんですが、ただ昨日、中議員から同じ質問がございまして、御答弁ございましたので、それと重なるようだったら省いていただいても結構でございます。
 第2に、こうした問題が起こってくる背景をどう考えておられるんでしょうか。お考えをお聞かせいただきたいと思います。
 第4の柱は、偽装ラブホテルの問題でございます。
 「しんぶん赤旗」報道によると、警察庁提出資料で、和歌山県内に53の届け出ラブホテルとともに29の無届けラブホテルがあるとなっていると言います。警察用語では類似ラブホテルと呼ぶようでございます。日本共産党の吉井英勝議員が資料請求して明らかにされたものです。
 和歌山市から海南市に入る入り口に、けばけばしいホテルがあります。マリーナシティで世界リゾート博が開かれた年に、レディースホテルとしてオープンいたしました。地域住民の皆さんは、どうにもおかしいと反対の声を上げましたが、正体を隠したままオープンし、今では紛れもないラブホテルのように思われます。天下の名園、温山荘園の前でありますし、子供たちに人気の自然博物館や子供プールのすぐそばでもあります。
 警察庁は、2006年10月、「地域において問題になっているラブホテル等への対応について」との通達を出し、建築基準法や旅館業法などに違反する場合、関係当局に対し措置命令を出すなど、適切な対応を積極的に申し入れるよう指示していると言います。
 そこで、警察本部長にお伺いいたします。
 1つは、風俗営業法上の認可を受けていない類似ラブホテルと言われるものの実態をどう把握しておられるでしょうか。
 2つ目に、自然博物館や温山荘園周辺はラブホテルの認可できる地域なのでしょうか。ここにレディースホテルと銘打って営業を始めたホテルは、警察庁が類似ラブホテルとみなしているものに属しているのでしょうか。
 3点目として、類似施設の実態把握と指導を今後どうされるのでしょうか。
 以上、お聞かせいただきたいと思います。
 第5の柱は、テレビ放送の地上デジタルへの切りかえについてであります。
 2011年でテレビ放送のアナログ放送は終わりになる。地上デジタルへ切りかえが大きな心配になっています。和歌山県は、テレビが見られなくなる心配のある地域が全国で断トツに多いと言います。それは国の責任でありまして、知事を先頭に県当局は総務省へ乗り込んで責任を追及し、対策を求めていらっしゃると思っております。そのことを前提にしての質問でございます。
 先日、我が党の山下よしき参議院議員が和歌山に参りまして、紀美野町の幹部の皆さんと、そして県の担当部課の皆さんと懇談もし、地域住民の皆さんの声もお聞きいたしました。私もその一部に同行いたしました。
 紀美野町は、地上デジタルに切りかわった場合、難視聴地域が多くなることが心配される地域でございます。紀美野町ではギャップフィラー方式という、地域内にたくさんのアンテナを立てるという方式を進めています。これは全国的にも先進的な試みだそうです。和歌山県にしても紀美野町にしても、困難な条件に置かれている地域が逆に対応では先進的になっているというのが、この問題の変わった特徴でございます。
 このテレビ放送のデジタル化というのは国が決めたことですから、国の責任で国民がこれまでどおりテレビが見られるようにしてもらわなくてはなりません。しかし、何の相談にもあずかっていない自治体や地域住民が新たな負担を強いられるという不合理な問題が生じているわけでございます。紀美野町では、新たなギャップフィラー方式に加入するために、1カ所につき3万円を支払わなくてはならないという問題が起こっています。また、町としては、ギャップフィラー方式の1つ1つの鉄塔が電波を発信するというので放送局のような扱いをされ、町として財政負担を強いられるという問題がございます。
 そこで、企画部長にお伺いいたします。
 第1点、和歌山県内の難視聴地域対策はどこまで進んだのでしょうか。
 第2点、積極的な対策を行っている紀美野町のギャップフィラー方式では、鉄塔1本1本に電波利用料がかかるのはいかにもだという声が出ているわけですが、どうお考えでしょうか。
 第3点、難視聴地域と言われないところで、放送が切りかわると突然見られないということがわかって混乱が起こる、そんなおそれはないのでしょうか。
 第4点、生活保護家庭に限らず、低所得世帯への支援が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
 以上で、私の第1回目の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、包括外部監査の私の発言について引用されておられて、同感だというふうに言っておられたのですが、それについて質問をしていただけませんので、これについては、ルールでございますので質問があったところだけ、私は同感でないところもありますが、申し上げさせていただきたいと思います。
 まず、裏金問題でございます。
 県職員の関与としてどういうことが明らかになったのかということにつきましては、旧美里町による県職員への接待等の実態把握、これはそういうニュースが出ましたので、これは把握しなきゃいかんということで、中議員との議論もございましたけれども、紀美野町議会から、ちゃんと事情を説明した上で、事情をよくおわかりいただいた上で、向こうの意思として、割引券を使用したゴルフ場利用者名簿、中元などの贈答品送付先名簿、それから招待券を利用した宿泊施設の宿泊者名簿等を受領して、それをもとにして、あるいはほかの情報も入れて、今、県といたしまして調査をしているとこです。
 内訳については、雑賀議員のお許しが出ましたので、中議員に申し上げましたとおりでございますので、省略さしていただきます。
 県といたしましては、今後とも県職員へのヒアリング等を通じて実態の解明をいたしてまいりたいと思っております。
 それから、背景をどう考えるかという御質問でございます。
 幾つかあると思うんですけれども、ゴルフ場の割引券などは、旧美里町が発行したものとはわかりにくかった部分もあると思います。しかし、これを安易に使用した、いわばわきの甘さといいますか、だれかにもらったんだけど、だれにもらったんやろなというようなこともあんまり詰めないで利用した人もいるようでありまして、そういう点では職員としてはいつも気をつけてなきゃいけないというようなところがあったのではないかなと。
 それから、より重要なことは、実はこの時代も職員に対しては綱紀の厳正保持等を通達しております。この中で、市町村とのつき合いにも襟を正すように通知をしてきたところです。このあたりの認識が今から考えますと十分浸透していなかったのではないかと考えております。
 考えてみますと、ルールを守るということは大変大事なことであります。ところが、ルールを守るというのは、なかなか人情としての痛みを伴うこともあります。私の例で失礼ですけれども、私は自分の個人への贈り物は受け取らないことにしますと言ってしまいました。そういたしますと、これは明らかに善意だけで下さっているというようなものもうちに宅急便で届くこともあります。それをお返しするというのは大変失礼で、人間としておかしいんじゃないかと思いましたけれども、たくさん来たし、お返ししてしまいました。
 同じようなことをうちの職員の何人かは考えたんではないかなと。だけど、ルールは守らなきゃいけないということは大事なことなので、そういう点からは今判断してまいりたいと思っております。
 なお、調査の中で、もし仮に今言ったような話以上に、例えば手心を加えたとかそういうような話があれば、これはまた別の話でございますので、こういうことがないと私は思っておりますが、きちんと調べておきたいと思います。
 なお、県では、昨年4月から職員倫理規則を運用しておりますので、よりルールを守る──ルールが明確化しております。職員1人1人によりまして、つらさはあるかもしれないけども、それぞれが一層理解をして綱紀の粛正を徹底してまいりたい、みんなでやってまいりたいと、こんなふうに思っているところでございます。
○議長(中村裕一君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 災害対策に関しまして、ため池調査についてでございますが、これまでデータベースとして電子化をされてございます県下の5549カ所のため池の台帳をもとにいたしまして、平成16年から現地調査による第1次診断を420カ所行ってございます。このうち、さらに調査・分析を必要とするため池につきまして、2次診断としてボーリング調査45カ所を実施してきてございます。
 さらに、本年度より2次診断を5カ年間で55カ所実施することとしてございまして、ため池の耐震診断調査の充実を図ることとしてございます。
 今回のことを教訓といたしまして、日ごろのため池の管理・点検の中で堤体の浸食や漏水などの実態をまず早期に発見をすることが被害の未然防止につながるということでございますので、市町村を通じまして、管理者である水利組合などに対し周知の徹底を図ってまいりたいと考えてございます。
○議長(中村裕一君) 総務部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○総務部長(小濱孝夫君) 外部監査の意義と外部監査人の選任方法についてでございますが、外部監査は、外部の高度な専門的知識を有する者と外部監査契約を締結し、その監査を受ける制度でありまして、監査委員による監査を補完して県の監査機能を強化する意義を有するものと考えております。
 また、その選任方法につきましては、本県の場合は、日本公認会計士協会近畿会から推薦された候補者の中から、補助人の数等、監査体制が十分であるか、自治体の外部監査の実績が豊富であるかといった点を考慮して人選した上で、議会の議決を得て選任しているところであります。
○議長(中村裕一君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 平成14年度包括外部監査報告についての受けとめと検討についての御質問にお答えさしていただきます。
 今、総務部長からもお答えいたしましたが、外部監査の意義とその重要性につきましては、外部の第三者による客観的な監査であり、その意見は重大であると受けとめなければならないと考えてございます。
 包括外部監査を受けたときの高度化資金の貸し付け並びに償還指導の事務は、当時、商工金融課が担当してございました。当時の対応といたしましては、プラスパフーズ協業組合の土地取得に係る貸付金額と包括外部監査の評価額との乖離に関しまして精査、検討したところ、貸し付け当時における取得土地価格の平米当たりの単価は国土利用計画法上の不勧告の範囲であり、違法性はなかったものと判断したとこでございますが、結果としてこのような事態になったことにつきましては非常に重く受けとめたところでございます。
 それ以降、今後の貸し付け審査につきましては、外部の専門家を入れた審査委員会を設置することとし、融資の妥当性を総合的に判断する体制の整備を図るとともに、担保物件の鑑定評価による債権保全、利益相反的な取引が含まれるおそれのある案件等については、より厳しい審査を実施することとするなどの貸付事務要領の改正をも検討しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) まず、19年度の包括外部監査報告についての御質問にお答えいたします。
 加太開発整備事業につきましては、県が主導的役割を果たして誘致した土砂採取事業を土地開発公社に代行さしたもので、県にも責任があり、一方、金融機関には貸し手責任があることから、当事者間で行う調停の中で双方ぎりぎりの折衝を行ったものの、最終的に合意に至らなかったため、裁判所において当事者双方の公平に考慮し、公平かつ妥当で経済的合理性を有するものとして調停に代わる決定が出され、それを県議会におきましても御審議いただき、受諾の議決をいただいたもので、当時の状況ではやむを得ない判断であったと認識してございます。
 結果、現在、土地開発公社が計画的に借入金の償還を行っており、県が多額の債務保証の履行に見舞われることがない状況であり、県財政への影響等を検討した結果、現時点では引き続き土地開発公社とともに経営健全化に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 続きまして、テレビ放送の地上デジタル化にかかわる4点の御質問にお答えいたします。
 まず、難視聴地域対策についてでございますが、これまで、国の責任において対策を講じるよう強く求める中で、平成18年5月、県独自の地上デジタル放送推進連絡会を設置し、鋭意取り組んでまいりました。
 今般公表いたしました難視解消ナビゲーターでは、県内の難視予想箇所は715カ所4万6980世帯で、うち対応策が確定している箇所が316カ所2万244世帯となっております。
 今後は、関係市町村とも連携し、ナビゲーターで示した対策が着実に進むよう国への支援を要望するとともに、残りの箇所については早期に具体策を確定するよう取り組みを進めてまいります。
 次に、ギャップフィラーの電波利用料についてでございます。
 電波利用料は、電波に関する行政事務に要する経費を電波を利用する人すべてで公平に負担しようとする、そういう観点から国が課しているものでございます。県といたしましては、その見直しについて国に対して要望してまいりました結果、1基当たり年2万5700円の電波利用料が6100円と低減されたところでございます。
 今後とも、市町村や地域住民に過大な負担がかからぬよう、引き続き国に対して制度改善を要望してまいりたいと考えております。
 次に、難視聴地域以外では混乱はないのかということについてでございますけれども、ナビゲーターにおける難視予想地域は総務省がシミュレーションに基づき公表したデータをもとにしておりまして、実際の電波の受信状況とは若干異なる場合も想定されます。このため、今後は実地調査を行うなど、より正確、精緻なものとするよう努め、議員御指摘の新たに見られない地域が発生した場合は速やかにナビゲーターに掲載し、対策を検討してまいります。
 最後に、低所得者への支援については、現在、総務省の審議会で検討中であり、その詳細な案は近々明らかになると聞いております。
 いずれにいたしましても、県といたしましては、すべての県民が過大な負担を負うことなく対応できるような制度となるよう、今後とも国に対して強く要望してまいります。
○議長(中村裕一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 災害対策などについてお答えいたします。
 まず、小中県立学校の耐震対策につきましては、公立学校施設は児童生徒が1日の大半を過ごす学習、生活の場であるとともに、非常災害時には地域住民の方々の応急避難場所としての役割を果たしますので、その安全性の確保は極めて重要なことと考えてございます。
 本県の平成20年4月1日現在の耐震化に係る状況は、耐震診断調査の実施につきましては、小中学校で対前年0.7%増の95.3%、県立学校におきましては既に平成16年度末にすべて完了してございます。耐震化率では、小中学校が対前年7.7%増の60.9%、県立学校は4.2%増の86.7%となっております。
 また、国においては、中国四川省の大地震を契機に、今年度から3カ年の時限措置として、大規模な地震により倒壊等の危険性が高い公立小中学校施設について耐震補強を行う場合、従来の国庫補助率を2分の1から3分の2に、また改築の場合は3分の1から2分の1とする支援策を講じることになりましたので、従来に比べますと各市町村の財政負担が大幅に軽減されることになりました。
 県教育委員会といたしましては、耐震性が確保されていない小中学校の校舎等について、改善された国の補助制度を活用して耐震改修を計画的に実施するよう関係市町に強く働きかけるとともに、県立学校施設につきましても耐震化計画に基づき引き続き取り組んでまいります。
 次に、議員御指摘の南紀支援学校は、昭和42年に県内で最初の養護学校として開校以来、県内の肢体不自由教育の牽引役としての役割を果たしてまいりました。肢体不自由の子供たちには、その障害特性に応じて、より適切な教育環境の整備が重要だと考えておりまして、南紀支援学校の教育環境整備につきましては、耐震化はもちろん、特別支援教育の理念を踏まえ、現在策定を進めております特別支援学校再編整備構想の中で県立学校全体の施設整備の状況を勘案しながら鋭意検討してまいりたいと存じます。
 以上です。
○議長(中村裕一君) 警察本部長鶴谷明憲君。
  〔鶴谷明憲君、登壇〕
○警察本部長(鶴谷明憲君) 類似ラブホテルについてお答えをいたします。
 まず、(1)その実情をどう認識しているかにつきましては、旅館業法上の許可をとり、実際にはラブホテルに類似する形態で営業する類似ラブホテル業者が出現している状況につきましては、県内においても議員御指摘のような実態でありまして、これについては法のすき間を突くような行為であるというふうに認識をしております。
 次に、質問の(2)自然博物館周辺はラブホテルの認可ができるのか、そこにあるホテルの実態はどうかにつきましては、海南市にあります自然博物館周辺は法及び条例の規定によってラブホテル営業ができない地域であります。この付近に所在するホテルは旅館業法上の許可を受けて営業しておりますが、外見上はラブホテルに類似する営業を行っている施設として警察でもその実態を把握しております。
 最後に、(3)類似施設の実態把握と指導についてでございますが、このほか、県内でも同種の営業形態を行っている施設が存在することを把握しております。このため、警察といたしましては、こうした類似ラブホテルに対しては、旅館業法等を所管する指導監督官庁と連携をして、指導監督官庁の立入調査等の際に同行して内部の構造設備等を確認の上、そういった構造設備等が風営法に抵触していれば是正勧告等を行いまして、そういった勧告に従わない悪質なものについては、今後、検挙等の措置をとってまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 44番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 御答弁ありがとうございました。
 要望と再質問をしたいと思います。
 それぞれ大事な問題なのですが、すべての問題に触れる時間がありません。学校の問題などはまた文教委員会に譲り、美里の裏金問題は今後時間をかけて解明する問題ですので、また今後お願いしたいと思います。地上デジタルの問題も、これはぎりぎりまでせめぎ合いがあることだろうと思っています。それぞれの担当部署で頑張っていただきたいと思っています。
 さて、ため池の安全対策の問題でございます。大変御苦労さまでございます。というのは、ため池調査が始まったのは暑いころでございました。私も、海南市の慶権寺池という最初に調査した池の第1次調査に一緒に回らせていただいて、一緒に汗をかきました。それで、ついつい「御苦労さま」というのがこの問題に触れるときの口癖になってしまっています。
 海南・海草で言えば、50ほどの調査池の中で危険度が50を超して第2次調査に回された池が5カ所でございます。ところが、40を超す池というのがたくさんあるわけです。そうして、汗をかいて苦労して調査して危険度40という評価であった池が、さらに調査対象でなかった池まで今度の集中豪雨では決壊の危険にさらされたというわけですから、対策は大変だろうと思います。
 御答弁の中で、ボーリング調査をさらに55カ所に広げるということも明らかにしていただきました。まあ、ため池対策は県だけに任せておく話でなくて、市町村や水利組合とも、地域がしっかりと見張りながらやっていかなくてはならない問題ですので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 次に、包括外部監査報告の受けとめ方の問題でございます。
 これ、知事の記者会見を相当長く引用したんですが、知事に質問をしておりませんので、言いたいことがあるけどもとございました。もし時間があったらきょうは──もしもよければ、もしも何かあるんでしたらお答えいただいてもいいんですが、知事はいろんな場所で物言う場所がありますからね。例えば今議会でも、最初の県政報告の中でも、こんな大事な問題あったらこの問題についてはこういうふうに考えましたと話があってもよかったぐらい私は思ってるほど大きな問題だと思ってるんです。ですから、きょうでもいいですし、また今度のときでもいいですから。ただ私も、今回の、申しましたように、あれは記者会見での記者の突然の質問に対する答えですから、確かに言葉足らずな点はあるというふうに思いながら、そのことも踏まえてこの引用もいたしましたので、またもし何かあったらどっかで表明していただいたらと思います。
 ただ、私は、この質問では県政のこれからの進め方をお伺いしたわけではありません。外部監査というものをどう受けとめ、組織的にどう検討したのかということをお聞きしているわけです。
 外部監査というもの、大変大事なもので、政策決定にしがらみを持たない、県当局とも議会とも関係のない専門家の立場から、問題のありそうなところを選んで意見を言ってもらう。私も初めて勉強したんですが、外部監査には指摘というものと意見というものがあって、指摘されたことについては外部監査人に県としてどういうふうに対処したかを報告しなくてはならない。そして、監査人はそれを公表することになっているそうです。意見というものは、そういう義務はないわけでございます。
 私が包括外部監査の中から抜き出した部分は指摘の部分ではありませんで、ですからそういう義務はないわけですが、しかし、そうだからといって聞き流しにしていいものではないと考えます。特に県民に大きな負担を強いる政策選択についての耳の痛い話であります。その意見がもっともだと言って反省するにせよ、あるいは事情を知らない者の一方的な意見だとはねつけるにせよ、県行政として組織的な議論があってしかるべきだと思うわけです。
 また、知事の記者会見に戻るんですが、知事は愚かしい決定と言われた。ところが、企画部長の答弁は、債務負担の受け入れを決定した当時の認識と全く変わっていない、当時の状況としてはやむを得ない判断であったと繰り返しています。ですから、この間に包括外部監査報告書も知事記者会見の発言もなかったかのようです。それは、行政内部でこの報告書についての組織的な論議が行われていなかったからではないのかというふうに私には思われます。
 知事の記者会見の内容については第1点で共感すると申し上げたんですが、その愚かしい決定の問題について知事は、私の心の中は大変批判的ですというふうに言っておられる。つまり、個人の心の中を明かせば批判的だということを言われたんであって、つまり、このことは、このことについて県の行政として組織的な論議をした上でこういうふうな結論になってるんだというふうには言ってないわけですね。このことから裏返せば、この大事な監査報告について組織としてどういう議論をしたのかという点では非常に不十分なんではないか。こういうふうに私は思います。
 県の行政というのは知事がもちろんトップですから、行政は知事の意思で進められます。しかし、知事1人で何もやるわけでは、判断するわけではないでしょう。やはり三役会とか部長会のようなものがあるのか、どういう場で議論するのか私はよく知りませんが、しかしそういう組織的な検討がされてしかるべきで、そういう検討をされておれば、知事の記者発表と、そして企画部長の答弁が食い違うじゃないかと、こういうことを私が言わなくてもよかったと思います。
 それで、企画部長に再質問です。その答弁は知事記者会見と違っているように思いますが、いかがなんでしょうか。そして改めて、包括外部監査報告の当該の部分について、どういう場所でどういう組織的な検討をされたのか、そのことをお伺いしたいと思います。
 きょう、商工観光労働部長の答弁には、多少私の質問の趣旨を理解していただいてるような節もありますが、14年の包括外部監査報告の指摘を受けて、何か専門家の審査をという組織をつくったのは18年でしょう。4年もあいてるわけですね。なかなかこれは説明になっていないと思うんですが、何人も再答弁していただく時間がありませんから、再答弁は企画部長にだけお願いするんですが。もしその関係で知事が何か言ったほうがいいんだったら、もちろん言っていただいても結構でございます。それはもうどうぞ言ってください。
 それから、ラブホテルの問題では、地域住民が大変気にしている問題ですが、どうにもならないんではないかと思っていたという方が多かった。しかし、きょう警察本部長から、温山荘前にあるホテルは外見上類似ラブホテルと思われること、その地域ではラブホテルの営業を認められない地域であることが明確にされた。これはやっぱり大事な出発点を与えていただいたと思っています。
 旅館業法等を所管する指導官庁からも指導してもらうというのは、恐らくこれは県では食品衛生課あたり、あるいは保健所だろうと思いますが、そういうとこと連携して指導するという明確な答弁をいただきました。
 こうした問題では、逃げ道をつくるしたたかな業者も多いことですから、世論で追い詰めていかなくてはなりません。そういう点では教育委員会なども頑張ってもらわなくてはならないし。今度の海南の市議会でも、共産党の海南市会議員がこの問題を市当局に対して質問するようにしています。そういう点で、これはいろいろな場所でこういう問題を、子供の健全に育つ環境づくりのためにやっていきたいし、きょうは警察本部長の見解を示していただいたことは、その出発点ができたというふうに思っています。
 以上、私の第2回目の発言でございます。
○議長(中村裕一君) 以上の再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 言ってもよろしいということなんで言わさしていただきます。短くやらしていただきます。
 まず、包括外部監査、19年度の話でございますけれども、私が気に入らないとこがあると言いましたのは、実は1つの点だけであります。
 本件の内容は、非常によく考えられている、そのときとしては立派な判断だったと考えています。なぜならば、今、雑賀議員がおっしゃったように、銀行のために云々ということで反対をするようなことをしちゃいかんというふうに思います。債務保証をしなかったらどうなるか。例えば、和歌山県で重要な銀行がつぶれたら中小企業がどたばたとつぶれていきます。そうすると、弱い人たちがもっと困るわけであります。県がぐちゃぐちゃになったときにだれが責任をとるのかということをきっと当時の方々はよくお考えになったということで、私はそのことだけを考えると、これは100点の政策だというふうに思っております。
 ただし、そのときに世の中はどういうふうに流れていたか。つまり、銀行の再生のために公的資金も投入して何とかするというようなこともあった。したがって、それを例えば私の前任の人が東京でいろいろな経験を積んでおられた人じゃないかと。どうしてそのようなことの可能性を検討しなかったのかなという意味で私は気に入らないと言ったわけであります。そういう意味で、県当局やあるいは地元の方々、裁判所がやられたことについては100点満点立派なことだというふうに思っております。
 その次に包括外部監査の件でございますけれども、これを意見としていただきました。やっぱりこの包括外部監査も気に入らないというふうに言っておるわけであります。
 ではどうするかということが次の問題であります。意見であろうと指摘であろうとそんなことはどうでもいいわけでありまして、今後、県としてどういうふうにしたらいいと思うのかということについて、先ほど、部内不統一だとか、それから中でどうなってんだと言われて、県庁の親分でありますからそういうことについて黙っておるわけにはいきません。そういうことを考えるのが県当局の仕事であります。
 しかし、それは1時間以上議論をしました、この方と。その結果、我々はそういうことを見越して、もうこの問題は後戻りするわけにいかんから、したがって、「れば、たら」の議論をしてるのは無責任であるから、これからどうするか、それを行財政改革で徹底的に詰めました。右から左からいろいろ考えて詰めた。そのことを「これ以上の解があると思いますか」というふうに、「いや、私は意見を言っただけで」とか「感想を言っただけで」というふうな議論があったけれども、そういうことを、「今後やることは、これ以上のことはありますか」と言ったら、結論は「全くありません」というふうにおっしゃいました。
 したがって、それを部内の人たちにも全部伝えて、聞いてる人だけじゃなくて、この問題は今までの行財政改革──その直前に発表していた行財政改革の流れの中でやっていこうと、歯を食いしばってやっていこうというふうに申し上げたわけでありまして、それが部内不統一だとか何とか言われたら、私は非常に黙ってるわけにはいかないのであります。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再々質問を許します。
 44番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 知事のお話で、要するにこの外部監査について問題は、あのときに県が債務保証を引き受ける以外に選択肢がないというふうに県はちゃんと言うたわけですね。けども、あのときの知事も、中央にいていろいろ経験があるんだから、公的資金の導入も含めて別に県が債務保証を背負う以外にも選択肢はあったんではないかという点で批判的です、こういうふうに言われたというふうに理解をいたしました。
 それで、確かにそれでいいんですが、ただ一生懸命100点満点でと言われてるのは、私ども議会に対しても気を使われてるんだと思うんですが、例えばこの議会にしても、何もあの問題について万々で賛成したわけではないわけですね。何回も決議を延ばした。それで延ばした上で、しかし県が「これしか選択肢がありません」というふうに何か言うもんだから、私どもは反対しましたけども、まあ言うたら苦渋の選択としてそれはまあしょうないだろうと言うて賛成された方もおられたと思うんですね。
 しかし、これは県が「これしかありません」というふうに言わなんだらね。つまり、県というのはたくさんデータを持ってますからね、個々の議員よりも。だから、県が「これしかありません」というふうに言われたら、それやったら苦渋の選択としてというふうになる場合もあるわけで。ですから私は、そういう個々の議員のどうこうって、そんなこと、私は共産党──そんなことは余りここで強調する気はないので。(「言うてるやないか」と呼ぶ者あり)──いやいや。当時の県が「これしか選択肢はありません」と言ったことが、これが非常に大きな問題だったんではないかというふうに申し上げてるわけです。
 そのことだけ申し上げて、私の発言は終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。
○議長(中村裕一君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時57分休憩
────────────────────
  午後1時1分再開
○副議長(新島 雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 22番井出益弘君。
  〔井出益弘君、登壇〕(拍手)
○井出益弘君 お許しをいただきましたので、一般質問を始めさせていただきます。
 お手元に資料を、お許しをいただきまして3枚配付さしていただいておりますのをまた見ながらでも──終わりのほうの国体施設とかそういうことについての関連がありますもんですんで、また見ていただけたらと思います。
 まず、行政改革について知事にお尋ねいたします。
 さて、一昨年の12月に仁坂県政が誕生し、早くも1年半が経過しました。その間、知事は常に県民の側に立ち、みずから県内各地に出かけ、県民の声に耳を傾ける努力をしていると思います。さらに、多くの県民の皆さんから県政に対する生の声を聞くために、知事へのメール「県政ポスト」を開設し、そこに寄せられた県民の意見や提言すべてに目を通し、返事をされていると伺っております。
 最近では、集中豪雨により岩出市の改修中堤防から水があふれ出し、周辺住宅や農地に被害が出た際に、いち早く現地に出向き、避難所を訪れ、被害住民を直接見舞い、困っていることや復旧に必要なことを直接聞くなどして被害状況をつぶさに視察されました。この件につきましては、我が会派の山田政調会長も初日に質問させていただきました。また、もちろん地元岩出市選出の自民党県議団の山本議員もいち早く現場に駆けつけて地元の皆さんに対応されておりますことを、一言御紹介申し上げておきます。私は、こうした県民の声を聞くことをすべての第一歩とする知事の政治姿勢を高く評価しているところであります。
 以上、知事の活動についての私の感想を申し上げまして、質問に入らせていただきます。
 まず最初に、行財政改革についてであります。
 知事は、本定例会の冒頭に提案理由の説明で長期総合計画に触れられ、この計画に掲げる和歌山県の将来像の実現に向けて来年度の新政策に向けた検討を始めたと述べられましたが、こうした新政策を実現していくためには持続可能な財政構造への転換が必要とも思われます。
 しかしながら、本県の財政状況は極めて厳しい状況にあると言わざるを得ません。昨年9月に公表された和歌山県の財政収支見通しでは、社会保障関係の経費や県債の返済に充てられる公債費の増加などにより、歳出は増加する一方、財源不足が続き、県の預金に当たる基金が平成21年度で枯渇し、平成29年度には収支不足が2637億円に上るとする県財政の大変厳しい見通しが示されました。
 今日の県財政逼迫に至った要因の1つとして、国の三位一体による地方交付税等の大幅な削減がその大きな理由であると考えており、引き続き国に対して地方税財政制度改革を積極的に働きかけることはもちろんのこと、持続可能な財政構造を確立するためには県の財政運営において無駄を徹底的に取り除いていくことが不可欠であり、そのための揺るぎのない行政改革の断行が求められます。
 そこで、さきの議会で示されました新行財政改革推進プランについて何点かお尋ねをいたします。
 この推進プランでは、平成24年度までの5年間で財政収支が均衡する状態の実現を目指すとして、県職員の大幅な削減や事務内容の見直し、投資的経費の抑制などにより、歳出ベースで合わせて687億円を削減する内容となっております。本県にとって真に必要な施策の財源を確保する上で、また財政収支の均衡を図り安定した財政基盤を確立する上においても、この改革は推し進めることが必要であると考えておりますが、物事には一長一短があるように、改革には、当然痛みを伴うものであり、県民生活に直接影響するものも数多く含まれていると思います。
 行財政改革の推進とあわせ、県政のさまざまな課題の解決に向けては非常に難しいやりくりになると思いますが、しかしながら、こうした状況であればこそ、まさに知事の行政手腕を大いに発揮していただきたいと思うのであります。
 そこで、知事にお伺いします。
 先般、行財政改革推進本部も立ち上がり、本格的に行革がスタートしたと聞いてございますが、どのような取り組みを今後進めていかれるのか。また、このたびの行財政改革はぜひともなし遂げていただきたいと思っていますが、知事の改革にかける決意をあわせてお聞かせいただきたい。
 次に、未利用県有財産の売却について、そして県税の徴収対策について、関連しておりますので、総務部長にこの点あわせてお尋ねいたします。
 さて、この行財政改革推進プランでは、自主財源である県税の徴収対策の強化とあわせて、歳入確保策の1つとして県有財産の売却が挙げられております。今後、税源移譲により地方財政における地方税の重要性がこれまで以上に増す中、健全な財政運営を行っていく上で、県においてはこれまで以上に県税の確実な確保が求められ、徴収率の向上や積極的な滞納整理を行う必要があります。
 総務部長にお伺いします。
 本県の県税の徴収率と滞納金額の現状並びに県税の確保に向けて今後どのように取り組んでいくのか、お聞かせ願います。
 また、和歌山県では、未利用県有財産の売却手法として、昨年の1月から全国に先駆けてインターネットオークションを利用した入札によるインターネット公有財産売却システムを立ち上げ、利用予定のない土地や建物等の県有財産の売却を進めていると伺っていますが、これまでの県有財産の売却実績と、未売却の未利用県有財産を今後どのように処理していくのか、総務部長に御所見をお伺いします。
 この件につきましては、今回、突っ込んでの質問はいたしませんが、和歌浦のほうにあります県公館、かなり高額な金額にて入手した。そしてまた、今ではかなり償却といいますか、原価的に見て、買った値段のほんの半分か3分の1かというぐらいの金額でしか売却はできないかと思うんですけども、あるいはほかに何か考えがあるのかとも思いますが、この件は今非常に検討されておりますようですんで、もう少し案がまとまってからお尋ねしたい。
 それから、インターネットで土地や建物を売ることについては、宅建業法との関連がありますので、もしも和歌山県として売ったものが、隠れた瑕疵があったりそういうようなことでもめたりするようなことのないように特に注意をしなかったら、業法からの問題があるんじゃないかなと。宅建業法では、販売する場合に重要事項説明という説明を本人にして、確かに重要事項についての説明を受けたという署名をもらってから売買ということになってますから、そういうようなことを事前に交わさないかんということになっております。
 次に、職員の健康増進と働きやすい職場づくりについて、これも総務部長にお伺いします。
 この行革プランの担い手である県職員を取り巻く職場環境の問題でありますが、このたびの行財政改革につきましては、平成17年度に策定した旧プランより一層推し進めるもので、給与水準の引き下げや10%を超える定数の削減、福利厚生予算の削減、行政課題の高度化や複雑化等により、県職員を取り巻く環境は年々厳しくなっております。
 知事は、折に触れ、職員に対し健康には十分気をつけるように話されているようでございますが、近年、心の病気で長期休暇をとることを余儀なくされる県職員の数は増加傾向にあると伺っております。また、県職員の改革疲れや職員数の削減、組織の見直し、職場における人間関係の希薄化等に対する不安に対して、その士気の低下を招かないような取り組みも必要であると考えます。
 県職員の心身の健康を守り、良質な行政サービスを維持、向上させていくためには、職員の健康増進と働きやすい職場づくりを進める必要があると思いますが、総務部長のお考えをお聞かせいただきたい。
 2番目に、東アジアの観光客の誘致について商工観光労働部長にお伺いします。
 外国人、特に東アジアの観光客の誘致については、私も常々、県議会の皆さんと各地を訪問した際にいろんなパンフレットを持っていったりいろんな写真を持っていったり、あるいは県産品を持っていったり、いろんなことでPRをしておりますが、観光は人々の暮らしに生きがいや安らぎをもたらすものであり、また関連する業種も、旅行業、宿泊業、飲食業、運輸業、製造業など産業のすそ野が広く、地域経済や地域雇用への波及効果が極めて大きい産業であります。
 観光関連産業は21世紀の日本のリーディング産業と言われ、日本の観光関連産業の市場規模は、国内総生産に占める国際比較で言うと世界の主要国の中ではまだまだ低位にあり、今後の成長が大いに期待されるところであります。
 国におきましては、2002年のサッカーのワールドカップ開催を契機に、外国人旅行者を2010年までに1000万人にすることを目指したビジット・ジャパン・キャンペーンを展開するなど、国内外でさまざまな誘致活動が繰り広げられております。本県におきましても、昨年策定しました和歌山県観光振興アクションプラン2007に基づき、「和歌山を売り出す」「和歌山へ招く」「和歌山でもてなす」という3つのコンセプトのもと、さまざまな取り組みが行われました。
 こうした中、先般、平成19年和歌山県観光客動態調査結果の速報値が知事定例記者会見で発表されましたが、平成19年に外国から本県を訪れ宿泊した外国人観光客は16万3870人で、前年に比べ30%増と、過去最高となっております。その内訳は、台湾から約4万7000人、香港からは4万5000人、韓国からは1万9000人、中国からは7000人と、これらを含むアジア全体からの外国人宿泊客は12万2000人と、全体の約75%に上っております。
 観光立県を目指す本県にとりまして今後の観光政策の1つの方向としては、こうした東アジアの国々からさらに多くの観光客を呼び込む取り組みが必要であると思います。中国での北京五輪や上海万博の開催など、今、東アジアの国々は目覚ましい経済成長が続いておりますので、私は、さらに多くの観光客を和歌山へ呼び込むことができる可能性が高い最も有望な市場であると考えます。
 しかしながら、外国人観光客の誘致は国内外だけでなく世界じゅうの観光地と競い合うことになりますので、従来のプロモーション中心の誘客からマーケティングに基づく誘客へと転換を図っていくことが極めて重要であると思います。台湾、香港、中国、韓国の観光客の方々のニーズはそれぞれ異なりますので、そのニーズに合った観光地、宿泊施設、交通手段などを旅行業者と連携しながら個別に企画、提供しつつ、観光客の満足度を高める需要開拓を丁寧に行う必要があると考えます。
 また一方では、受け入れ体制の充実や環境整備も必要です。外国人旅行者が感じる問題点として料金という言葉を上げており、観光施設の標識やパンフレットにつきましてもまだまだ不十分という感じでいる外国人が多いと聞いております。
 そこで、商工観光労働部長にお伺いします。
 まず、本県を訪れる外国人観光客の約7割を占める台湾、香港、韓国、中国を含むアジアの国々に向けて、今後、和歌山をどのように売り込み、アジアの方々の観光客をふやしていくのか、お聞かせ願います。
 最後に、3番目として第70回和歌山国体に向けた取り組みについて、まず、1番目の国体に向かっての基本的な考え方については知事にお伺いします。そして、2番目に国体施設の整備については教育長にお伺いします。
 第70回和歌山国体に向けた取り組みに、既に我々、知事を先頭に着手しておりますが、平成27年に予定されている2巡目の和歌山国体の開催まで、あと7年余りとなりました。国体は、戦後間もない昭和21年に京都市を中心に第1回大会が開催され、国民の健康増進と体力の向上、スポーツの振興はもとより、競技施設の整備などインフラ整備に伴う地域振興など、大きな成果を上げ、今ではすっかり国民的行事として定着をしてきました。
 本県におきましては、昭和46年に第26回黒潮国体として盛大に開催され、県民の郷土意識を培うとともに、スポーツ水準の向上、施設の整備を初め、国体道路と呼ばれるほどの道路が整備されるなど、地域振興においても大きに貢献をしたところであります。仁坂知事も平成19年の1月臨時議会において、国体を開催することにより、活力に満ちたふるさとづくりや心豊かでたくましい人づくりを推進して和歌山を元気にするものと確信していますと述べられております。私も全く同じ思いであります。
 しかし、昭和63年の2巡目国体からは、施設整備や選手強化対策など、開催県が負担する多額の費用が問題として取り上げられるなど、国体を取り巻く環境は大きく変化してきており、近隣府県施設の活用や大会経費の削減など、簡素で効率的な国体を目指す動きはあるものの、依然として財政負担の課題を抱えております。
 国体の開催には多額の費用を要するのは、国体競技会場になる一定の施設基準に適合することが必要で、国体が40数年周期で回ってくるため、既存施設があっても基準の変化や施設の老朽化等により改修工事が必要となり、また、37競技に及ぶ正式競技の公認施設がないため、開催に合わせて新設することなどの要因があります。
 本県にとりましても、多額の財政負担は、現下の厳しい財政状況下においては大変苦しいものがあると認識してございます。しかしながら一方、国体を契機にさまざまなスポーツ施設が整備されることはスポーツ振興やスポーツ文化をはぐくむ上で大変意義があり、多くのスポーツ選手はもとより、県民の皆さんの期待も大いに高まっていることも確かであります。
 今後、教育委員会では、市町村や競技団体の意向調査やヒアリングの結果を踏まえ、7月にも国体会場を決定すると伺っていますが、これらの施設の選定には、新設しなければならないものもあれば改修が必要なものもあると思われますが、施設整備がどのような考え方で進められていくのか、大変気になるところであります。
 そこで、私は私なりに所見を何点か申し述べたいと思います。
 1点目として、2巡目国体を和歌山で開催する機会に、オリンピック競技種目であり国体の正式競技種目の施設については県内に1カ所は持つ努力をすべきではないか。
 2点目として、近畿2府4県に最近の認定基準に合った公認の競技場がない競技種目施設で和歌山県内に設置が可能なものは、この際、積極的に設置すべきではないか。
 3点目として、国体後の施設運営について、採算がとれる、黒字運営できるような施設については、競技団体とも調整しながらぜひ和歌山県に設置を検討すべきではないか。
 4点目として、和歌山で開催する国体である以上、会場はできるだけ本県内、またはせめて近隣が望ましいのではないかと考えます。
 私は、本県が開催県として、選手や関係者が精いっぱいの力を発揮できるよう、また満足した競技ができるよう最善の環境を整える必要があると思いますので、当局には、選手を励ますとともに、施設の整備、施設設置の努力についても決断と実行をぜひお願いしたいものと要望いたします。
 スポーツの夢をかなえたいと、選手は1年でも1カ月でも早い施設の整備を待ち望んでおります。
 そこで、知事にお尋ねします。
 まず、開催県としてどのように取り組もうとしておられるのか、国体の基本的な考え方について知事の御所見をお伺いします。現在は47都道府県中45位の現実に、優勝を目指すのか。現在は45位ですけども、和歌山国体のときには優勝を目指すのか。中ぐらいを目指すのか。
 次に、国体施設の整備についてお伺いします。
 国体関係施設の大半は、国体終了後の維持管理や老朽化後の建てかえなどランニングコストの問題が生じますが、一度建設すれば後は施設利用者の収益で運営ができ、また来場する選手たちの宿泊費等により多大の経済波及効果が期待される競技施設もあります。その一例が、オリンピックやアジア大会などで採用され、また国体の正式競技種目であるクレー射撃等、射撃の種目であります。このクレー射撃場は、国体終了後も利用者の利用料のみで運営できる数少ない施設であり、本県では、残念ながらクレー射撃場は整備されていません。
 スポーツ射撃は、老若男女がハンデなく競うことができる数少ない生涯スポーツであり、パラリンピックやマスターズの種目としても、国内外を問わず各種の競技大会が開催されております。射撃関係の種目は、メダル数を考えますと、種目別男女合計を合わすと約50にも近いメダル数になります。──各種の射撃に関連した種目、そして男女を含めると、金、銀、銅の3種を入れると約50近くなります。50前後ぐらい──また、射撃は障害者のリハビリや高齢者の機能回復に高い効果が見込まれております。
 このような状況から、射撃スポーツを競技性の側面ばかりでなく、自己の生涯を通じた生涯スポーツとして、また生きがいスポーツとして取り組んでおられる多くの方々がおりますことをぜひ御理解いただきたいと思います。
 こうした中、去る5月、国のクレー、ライフル、近代5種、バイアスロンの各スポーツ団体では、麻生会長──これはクレーの全国の会長であります──や、坂本会長──これはライフルの会長であります──初め、文部科学省の担当官が出席のもと、現行法令や制度にスポーツ振興、競技力向上の理念を盛り込むよう要望・提言書をまとめることで合意するとともに、オリンピックでメダルを獲得するための取り組みで銃砲関係団体協議会が設置されました。
 そこで、教育長にお伺いします。
 このようなクレー射撃場を初め、国体を開催するためには新設しなければならない施設や改修工事が必要な施設について、現時点ではどのようになっているのですか。
 また、これらの施設は主として市町村で設置するものと考えているのか、県で設置するものと考えているのか、また市町村の施設整備に対して助成する意向はあるのですか。その基本的な考え方について教育長の考えをお聞かせ願います。
 4番目、最後に銃所持許可者の実態と射撃練習施設の整備、研修施設についての整備であります。これは警察本部長にお伺いします。
 最後に、銃所持許可者の実態と射撃練習、射撃研修施設の整備についてお伺いします。
 昨今の暴力団による違法銃器のはんらん、若年層の犯罪発生率の増加から、日本の国民生活の安全を目標として、銃刀法、銃砲刀剣類所持等取締法にうたわれている各種の規制が強化されることは否めない現状であると私も認識します。
 しかしながら一方では、射撃を競技スポーツとしてだけでなく、自己の生涯を通じた健康づくりの一環として、また生きがいの生涯スポーツとして射撃をしている方々も数多くおられることは皆様にも御理解いただきたいと思います。
 先ほども申し上げましたが、スポーツ射撃3団体では、財団法人日本体育協会、財団法人日本オリンピック委員会、銃砲関係団体を構成員とするオリンピックでメダルを獲得するための銃砲関連団体協議会を設立し、射撃スポーツの推進と普及が安全管理のもとにされるよう、取り組みが全国的に進められていると伺っております。
 また、本県でも農作物の有害鳥獣被害が大きな問題となっております。射撃練習、射撃研修等における施設は、こうした有害鳥獣の狩猟や駆除をする猟友会の銃所持者の方々の安全点検や射撃の練習・研修施設にも利用することができるものと考えます。マスコミにも報道されていない銃の暴発事故などは県内でも年間にかなり多く発生しておりまして、一歩間違えば重大な人身事故になりかねません。
 そこで、警察本部長にお伺いします。
 県内の銃所持許可者の実態と、射撃練習、射撃研修施設の整備をすることについてどのように考えているのか、御所見をお伺いいたします。
 間もなく、東京オリンピックということで、日本にもオリンピックが近い将来来ると我々も含めて運動しておりますが、ぜひ射撃種目については、東京オリンピックのときに関西で射撃種目はやってもらえるように頑張りたいと。そして、もちろん近畿2府4県ではこういう公的な射撃施設はないんですから、和歌山にこの際つくれば、アジア大会あるいはオリンピック、いろんなことを含めて和歌山に招致できることは間違いありません。どうかひとつ、いろんな面、大変なこともありますが、しっかりした取り組みを知事にもまたお願いしたいと。よろしくお願いします。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの井出益弘君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 行財政改革についてでございます。
 和歌山県におきましては、従来からみんなで努力をいたしまして、財政力は弱いけれども財政の健全化のためには努力をしてきた県ではないかと思います。ところが、御指摘のように、三位一体の改革等々いろんな状況が変わりまして、なかなか厳しいところに追い込まれた。そこで、近年、行財政改革推進プランを策定いたしまして、財政の一層の健全化に取り組んできたというふうな状況でございました。
 ところが、私が就任いたしました18年の終わりごろ、いろいろ説明を受けましたところ、今の結構厳しいと思われます計画でも、実は基金は2年半で尽きてしまうと。そうすると、そこから先は大変なことになるということがわかっておりました。1年目の財政はそのままの枠組みをほとんど踏襲いたしましたけれども、これはすぐにやり直さないといけないというふうに思いまして、早速、綿密な検討をやってまいりました。
 その結果、まずこのままでいくとどうなるかということで、平成19年9月、財政収支の見通しの再点検を行いまして発表さしていただきましたが、平成21年度は財政調整基金、減債基金が枯渇し、将来的には財政再生団体への転落も不可避になるということが判明をいたしました。これをもとにして議会でも議論いただきまして、平成20年の3月に持続可能な財政構造への転換を目指した新しい新行財政改革推進プランを策定いたしましたところでございます。
 このプランの中には大きな話は全部入っております。例えば人員の削減とか県債の発行とか、そういうことについては入っておりますが、例えば施設の整備等々個々の話は、全体の目標はきちんと書いてありますけれども、具体的な固有名詞につきましてはこれから検討していくということになっております。
 そこで、現在、副知事をキャップとする行財政改革推進本部を立ち上げまして、そういう問題をいろいろ考える、それから、そのほか事務事業の見直し、あるいは未収金対策、あるいは未利用県有財産の処分といった具体的な問題がたくさんありますので、そういう問題について検討を進めているところでございます。
 長期計画が同時にできておりまして、一応この行財政改革とパラレルの関係に──表裏の関係にしておりますけれども、これにお示しいたしました「未来に羽ばたく愛着ある郷土 元気な和歌山」を実現するために本プランを着実に遂行し、新しい長計が途中で挫折するというようなことがないようにしていかなければいけないと思っております。したがいまして、県議会及び県民の皆様方の御協力も一層得ながら行財政改革に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、和歌山国体の基本的な考え方でございます。
 我が国最大かつ最高の総合スポーツの祭典であります国民体育大会は、広く国民の間にスポーツを普及させるとともに、健康増進と体力向上はもとより、地域スポーツの振興・発展に寄与してまいったと考えております。国体の開催は、スポーツを通じて和歌山を元気にすることを目指し、全国から本県を訪れる方々との交流の輪を広げ、生きがいのある豊かで活力ある社会の形成につなげたいと考えております。
 前回の昭和46年の国体も、和歌山県が全力を挙げて行いましたところ、全国的にも大変真心のこもったよい大会であったというような名声をいまだに得ているところでございます。こういうような立派な国体を我々もやっていきたいと考えております。
 さらに、郷土を代表する本県選手団が地元で活躍するということは、県民に夢と感動を与えるということにつながるものでありまして、やはり男女総合優勝を目標に掲げ、本県の競技力を計画的に向上させるというふうにしていきたいと考えております。
 今後、競技施設の整備につきましては、地域住民の熱意、これは地方公共団体も含めて、市町村も含めてですが、地域住民の熱意や大会運営の協力体制、それから競技団体の意向調査、こういうものを踏まえまして、財政状況も勘案しながら、可能な限り今ある施設が使えるならばそれを使ってその活用に努め、計画的に検討を行ってまいりたいと考えております。
 また、その際、この使われた、あるいはつくりました施設が国体が終わってからも利活用されますように、それからスポーツを通じまして地域づくりに役に立つ、そういうような設計がうまくできているというようなことを我々としてはよく眼目に入れながら今後検討してまいりたいと、早急にやっていきたいと思っております。
○副議長(新島 雄君) 総務部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○総務部長(小濱孝夫君) 県有財産の有効活用につきましては、平成20年3月に公表いたしました新行財政改革推進プランにおいて、歳入確保策の1つとして未利用県有財産の処分を掲げ、引き続きインターネットオークションを利用し、売却促進に努めているところでございます。
 平成19年1月の第1回のオークションからこれまで3回実施しておりますが、本県の実績として、出品した14物件のうち12物件が落札され、予定価格の1.2倍の約2億3900万円の歳入確保を図ったところでございます。
 財産の処分につきましては、さらなる売却促進を図るため、これまで以上に全庁的な物件の把握と各部局が一体となった取り組みが必要であると認識しているところでございます。このため、部局間で情報の共有化を図り、連携して検討を行う未利用財産処分等検討会議を立ち上げたところであり、今後は、利活用されていない財産について、この検討会議の中で活用方針を策定し、行財政改革推進本部と連携を図りながらその処理に努めてまいります。
 次に、県税の徴収状況及び徴収対策についてでございます。
 平成19年度の徴収状況につきましては、税源移譲により個人県民税の調定額が大幅に増加したことに伴い、個人県民税の収入未済額も増加したために、県税収入未済額が対前年度と比較して9000万円増の30億700万円となる見込みです。収入率では昨年度より0.2ポイントアップして97.0%となる見込みで、5年連続で収入率が改善されております。
 議員御指摘のとおり、県税の徴収強化はますます重要性を増しており、とりわけ県税の収入未済額の50%以上を占める個人県民税の徴収対策が喫緊の課題であると認識しております。
 これまでも、滞納住民税に対する県による直接徴収、県税務職員の市町村への派遣、不動産等の合同公売の実施、研修の実施など、市町村の徴収力の向上につながるように支援を行ってまいりました。またインターネットを活用した公売により、差し押さえた不動産などを継続的に売却し、700万円余を県税に充てたほか、捜索による動産の差し押さえやタイヤロックによる自動車の差し押さえなど、さまざまな方策を取り組んできたところでございます。
 今後とも引き続き、総務部内に設置しております県税徴収対策本部において、徴収目標の設定や進行管理の徹底など、各種徴収対策を講じて県税の確実な徴収に努めることはもとより、市町村に対しましても一層の連携、支援策を講じ、税収確保に努めてまいります。
 次に、職員の健康増進と働きやすい職場づくりについての御質問にお答えいたします。
 最初に職員の健康増進については、定期健康診断を初めとして各種のドック事業やストレス相談の実施など、職員の心身の健康の保持、増進に努めているところであり、近年増加しているメンタルヘルス不全のための対策についても、所属長など管理監督者を対象とする実践的な研修会を開催するほか、メンタルヘルス不全を予防するための冊子の配布を今年度新たに実施したところでございます。
 次に、働きやすい潤いのある職場づくりについてでございますが、これまで育児休業代替職員制度、育児短時間勤務制度といった子育て支援や介護休暇制度の導入等を行い、働きやすい職場環境の整備に努めてまいりました。また、有給休暇の取得促進や超過勤務の縮減により心身のリフレッシュや家庭生活の充実を図るとともに、職員間のコミュニケーションを活発化させて体力増進にもつながるスポーツ大会の開催などの福利厚生事業をあわせて実施してまいったところです。
 今後、さらに業務の徹底した見直しを実施し、緊急性、必要性の低い事業の整理を行うとともに、指定管理者制度や業務委託など民間活力の導入を積極的に図り、業務量の削減に努めてまいります。また、あわせて簡素で効率的な組織づくりや適正な人員配置を進めるなど、働きやすい潤いのある職場づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(新島 雄君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 東アジアの観光客の誘致についての御質問にお答えさせていただきます。
 外国人観光客の誘致に当たりましては、先般発表いたしました和歌山県観光振興アクションプログラム2008におきましても、国ごとのマーケティングに基づく嗜好傾向や旅行市場の成熟などに応じて積極的な誘客活動を展開していくこととしてございます。
 台湾、香港、韓国の成熟市場に対しましては、国際旅行博への出展に合わせた旅行会社へのセールスコールやメディア等を活用したPRなど、さまざまな手法により多様な情報を発信し、高校生等の教育旅行や企業の大型団体旅行の誘致促進、さらに個人旅行化への対応に取り組んでございます。また、中国、シンガポール、タイなど新しい市場には、関西各府県などとともに連携し、本県の知名度向上や観光ツアーの造成に向け、働きかけているところでございます。
 一方、受け入れ体制の充実につきましては、本県を訪れた外国人観光客に快適な時間を過ごしていただくために、引き続き市町村や関係事業者とも連携しながら、外国語併記の観光施設の標識やパンフレットの充実などに取り組んでまいります。
 本県にとりましては東アジアの国々は非常に重要な市場でありますので、今後とも、民間事業者の方々とともに連携しながら、より一層効果的なプロモーション活動を展開し、外国人観光客の誘致を促進してまいりたいと考えてございます。
○副議長(新島 雄君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 国体施設の整備につきまして、先ほど知事からお答えいただきましたので、ほとんどの点が重複することになりますが、お許しをいただきたいと思います。
 昨年9月の国体準備委員会で承認されました競技施設の整備基本方針におきましては、可能な限り県内の既存施設や近畿各府県の施設の有効活用に努め、施設整備を行う場合は、県として喫緊に必要な施設に限定し、国体後においても地域住民に広く活用されるよう配慮し、原則として、県の施設は県が、市町村の施設は会場地市町村が行うものというふうにしております。
 現在、準備委員会事務局では、競技団体と市町村の意向調査並びにヒアリング調査の結果を踏まえまして競技会場地の選定原案を検討しており、議員御指摘の施設整備費やランニングコストなど、国体開催に係る県並びに市町村の総合的な財政見通しを勘案しながら競技会場地の選定を行っていくこととしてございます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 警察本部長鶴谷明憲君。
  〔鶴谷明憲君、登壇〕
○警察本部長(鶴谷明憲君) 銃所持許可者の実態と射撃練習施設の整備についてお答えをいたします。
 本年5月末現在のライフル銃、散弾銃及び空気銃所持許可者数は2604人で、許可丁数は合計4426丁であります。銃種別では、ライフル銃が307人、315丁、散弾銃が2523人、3793丁、空気銃が298人、318丁であります。
 次に平成19年度の狩猟期間、これは平成19年10月から平成20年2月における猟銃等による事故は、全国的には20件発生をし、その90%が10年以上の所持歴を有するハンターによる事故であります。また、本県におきましても、この期間中に10年以上の所持歴を有するハンターによる誤射事故が2件発生をしており、いずれも公道上での発射や発射方向の安全不確認など、基本的なルールを守らなかった事故であります。
 このような事故を防止するため、警察の行う初心者講習、経験者講習時には、具体的な事故事例を挙げて教養の徹底を図っております。
 その一方で、猟銃等を取り扱う上でマナー等を体得するために、猟銃等所持許可者に対する射撃訓練は必要であると認識をしておりまして、訓練できる施設については、あることが望ましいと考えております。
 以上です。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 以上で、井出益弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は6月23日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時49分散会

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