平成20年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(山下直也議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前10時0分開議
○議長(中村裕一君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第78号から議案第89号まで、並びに知事専決処分報告報第1号から報第8号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 21番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 おはようございます。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 まず、本年5月12日、中国四川省を震源に巨大地震が発生をいたしました。そして、先週土曜日の朝、今度は岩手・宮城で震度6強、マグニチュード7.2という内陸型の、これまた予測もし得なかった地域におきまして大きな地震が発生したことも、皆様よく御承知のところであります。時間が経過するにつれ被害の状況が明らかになり、大規模な山崩れや土石流の発生により多くの方々が被害に遭われました。東北各県の被害状況は、6月17日現在で死者10名、行方不明者12名、負傷者266名、家屋倒壊194棟との発表があり、不幸にしてお亡くなりになられました方々に心よりお悔やみを申し上げますとともに、被災されました皆様方にお見舞いを申し上げる次第でございます。
 一昨日、6月17日、定例記者会見におきまして、仁坂知事は岩手・宮城両県に対し、お見舞金を送る意向を明らかにされました。また知事は、災害時に集落が孤立した場合の対策として、ヘリコプターの有効活用など、孤立化した集落の情報を収集する方法を検討していくと、お考えをお示しになりました。まさに同感であります。私もそのように思う1人であります。また、ヘリコプターは人命救助や食料などの輸送にも活用できるかと思いますので、今後も効率的な運用方法を検討していただきたいと思います。
 今なお余震が続いており、この先、大雨が降らなければよいがなどと感じるとともに、2次災害の拡大も心配である中、テレビを見ていて、あのような大きな地震がもしこの和歌山にもいつか起こるかもしれないと、そういう可能性があるわけでございまして、しかも、いつ来るかわからない、予測はされているものの、実際どれぐらいの地震が起こるのか、しかも、その確率が徐々に高くなってきているのではないかなどと、仮に今、本県で発生したらどういう状況になるのだろうかと考えると、県民の皆様方の心配ははかり知れないものがあると拝察をいたします。
 そこで、この和歌山県に暮らす人々が、それぞれの地域において安心して安全に暮らしていくことのできるまちづくり、そのために今何をしていかなくてはならないのか、限りある財源の中で何を優先してやっていかなければならないのか、また、どういうところが欠けているのか、高齢者の方々も、子供たちも、男性も、女性も、障害がある人もない人も、ともに不安なく安心して暮らしていける県土づくりということは一体どういうことなのでありましょうか。もう一度、今回の質問を通して、知事初め県の方々とともに考えてまいりたいと思います。
 まず、3月に策定されました県の長期総合計画におきまして、「県民の命と暮らしを守る安全安心和歌山」を大きな柱といたし、防災対策や住みよい暮らしづくりなどの推進を挙げておられます。ぜひとも県民が安心して暮らせる対策を引き続きお取り組みいただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。そういう意味におきまして、私は今回、この安全・安心という観点から3点、橋梁の長寿命化対策について、介護問題について、医療と観光について、それぞれ質問、提案をさせていただきたく存じます。
 それでは、質問に入ります。
 まず、橋梁の長寿命化対策についてお伺いをいたします。
 6月9日のNHKスペシャル「橋は大丈夫か~しのびよる劣化~」というタイトルで、橋梁の劣化等についての特集番組を見る機会を得ました。今、全国には約67万の橋があるとのことであり、その橋梁の劣化が大きな問題となっております。NHKの調査によりますと、速やかに補修する必要がある橋は全国で5439橋あるとのことでありました。また、山形県の事例が取り上げられ、昨年、最上川橋で鉄骨の一部が割れていたことが判明し、すぐに通行どめにして調査に着手したとのことであり、最悪の場合、橋が崩れ落ちる可能性があったとのことや、都市部の道路、特に首都高速でも多くの亀裂が見つかっており、調査を実施しているとのことでありました。高度成長期、より安く、より早くつくってきたツケが今回ってきているとのコメントがなされておりました。
 一方、米国におきましては、1930年代に大量に建設された橋梁が1980年代に老朽化が進み、破損をいたし、「荒廃するアメリカ」と呼ばれ、1980年から5年間で更新修繕費を約2倍、2001年には1980年の約3倍に増額し、維持管理を重点的に実施してきたとのことであります。しかし、皆さん方もよく御承知のとおり、2005年にはペンシルベニアで、また2007年8月にはミネソタ州ミネアポリスで落橋事故が依然発生している状況であります。
 話は国内に戻します。先ほども申し上げましたとおり、山形県では現在、補修計画の作成を進めているとのことであります。大きな問題は予算であり、これまでは新規の道路の整備に重点を置いてきた結果や、補修や点検より新規の道路整備に手厚い国の制度も相まって、老朽化した橋梁がふえてきており、今後、補修の予算をふやすという方向の取り組みは始まったばかりだそうであります。
 それでは、ここで本県はといいますと、県の管理している橋梁は約2400橋あるということでありますが、これらの橋梁は、1960年から1970年代のいわば高度成長期に大量に建設されております。20年後には15メーター以上の橋梁881橋のうち44%が築50年を迎えることとなるとのことであります。橋梁は50年程度で高齢化すると言われており、今後、高齢化、老朽化した橋梁が一斉に大規模な補修やかけかえの時期を迎えることとなると思われ、したがいまして、大規模な補修やかけかえには当然多額のコストがかかることとなるわけであります。
 先ほども申し上げましたとおり、限られた予算の中、新たな道路建設も進めながら既存の橋の安全性を確保していくためには、施設の点検や日常の維持管理、そして計画的な修繕を進めていく必要があると感じます。また、これまでの対症療法的修繕から予防保全的な修繕を進めていくことにより、ライフサイクルコストの低減を図り、既存の橋を長寿命化することが可能となるとのことであり、他府県におきましても、現在、橋梁等の長寿命化計画を策定されていると聞き及んでおります。
 このような中、本県におきまして、平成19年度より橋梁長寿命化修繕計画の策定作業が始まっており、平成19年度より県単独の橋梁長寿命化対策事業により、定期点検や予防保全の事業に早くから取り組んでいただいていることはまことにいいことでありますが、予算の厳しい中、さらに点検を詳細にして、一日も早く修繕にも力を入れ、長く安心して利用できる橋を目指して取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、改めて橋梁の長寿命化について県土整備部長にお伺いをいたしたく思います。
 橋梁の長寿命化について現在の取り組み状況は、また長寿命化対策について今後どのように進めていかれるのか、また長寿命化に必要な予算をどう確保されていくのか、あわせてお伺いをいたしたいと思います。
 さて、次に介護問題についてであります。
 本県は、高齢化率が近畿で第1位、全国的にも先進県であり、県では3月に策定した長期総合計画におきまして、「生涯現役で誰もが活躍できる和歌山」を大きな柱とし、その中で、高齢化対策の推進を挙げておられます。高齢者の方が生きがいを持ち、健康で自立した生活を送れる社会づくり、不安なく安全・安心に暮らせる社会づくりを目指し、さまざまな施策に取り組んでいくことが必要であり、その中で、高齢者の介護の問題は最も重要な課題の1つであると考えています。平成12年度から始まった介護保険制度は、利用者と事業者とが契約し、サービスを利用または提供する制度であり、現在提供されるサービスの量は、制度開始以降順次整備されてまいりましたが、利用者がサービスを選択するための情報がますます必要となってきております。
 このため、平成18年度から各事業者が提供する介護サービスのさまざまな情報をホームページ上に公表し、利用者が適切な事業者を選択することを支援する介護サービス情報の公表制度が実施されております。公表される情報のうち、介護サービスに関するマニュアルの有無やサービス提供内容の記録管理の有無等については、県が指定した調査機関がその内容について事実確認した上で公表することになっております。しかし、この事実確認のための調査について、毎年調査を受けなければならないことや手数料がかかることなど、事業者の運営にとってこれまた大きな負担となっていることも事実でありました。
 これらにつきまして、先般、町田議員を先頭に新島副議長と私も含め、関係団体がこの公表制度について県に要望させていただいたところ、今月初めに、知事を先頭に、事業者の自己責任による公表制度への見直しについて政府に要望するとともに、手数料につきましては、今議会、議案第84号として一部改正の条例を提出するなど迅速な対応をしていただきました。まずこのことに対し、深く感謝を申し上げる次第であります。
 またあわせて、医療や介護現場で重要な役割を担う理学療法士の必要性につきましても、過去3回、一般質問で訴えさしていただいたところでありますが、そうした中で、本年4月に理学療法士の専門養成校が県下で初めて和歌山市に開校されたことは大変喜ばしいことであり、関係者の皆様方の御尽力に感謝申し上げる次第であります。
 さて、介護保険制度を支える大きな柱として、現場で直接介護に携わる職員の人材不足が大きな問題となっております。この要因として幾つかある中、やはり仕事の大変さに比べて、その賃金が他の業種に比べて圧倒的に安いという話を多くお聞きをいたしました。この問題につきましては、先月5月23日、国会におきまして、介護従事者等の人材確保のための処遇改善に関する法律が成立し、介護を担うすぐれた人材の確保を図るため、平成21年4月までに、介護従事者の賃金を初めとする処遇改善に資するための施策のあり方に検討を加え、必要な措置を講ずるとなっております。
 県におきましても、県内介護職員の人材不足の状況や、その給与水準の低さなどから、介護報酬のアップを行うよう政府要望を行っていただいております。将来、高齢者が増加し、介護の必要な方々も増加することは明らかでありまして、介護保険制度を円滑に実施していくためには、介護職員の確保というものが何よりも喫緊の課題であると考えます。
 そこで、県内の介護職員の人材不足の状況はどうなのか、また、その原因についてどう考えておられるのか、さらに、これら介護に携わる職員を確保するため今後県としてどのように取り組んでいかれるのかについて、福祉保健部長にお尋ねをいたしたく存じます。
 最後の質問であります。医療と観光についてお伺いいたします。
 平成19年度、本県の観光客の入り込み数は過去最高の3208万人との発表があり、県外はもとより海外からも多くの人々が和歌山を訪れてくださいました。これは大変うれしいことであります。観光につきましては、私は過去数回、本会議におきまして質問したり提案してまいりました。例えば、和歌浦湾を中心とした観光振興について、いやしをテーマに和歌浦湾を中心としたゾーン整備ができないものかなど、また、映画「ストロベリーフィールズ」を通してフィルムコミッションの重要性を訴え、当時設立されたばかりのフィルムコミッションの今後の活動について県の見解をお尋ねしてきたものであります。
 もともと風光明媚な和歌山の地におきまして、それだけでも大きな観光的財産ではありますが、しかし、それだけでは他府県との勝負はできないものと考えます。もう1つ、プラスワンの付加価値をつけることにより、より多くの方をこの和歌山に呼び込める。そのプラスワンを、今回私は医療という観点で提案をさせていただきたいと存じます。
 本年3月に策定されました和歌山県長期総合計画におきまして、本県の将来を展望した「めざす将来像」なるものが示されたところでありますが、その中の「癒しと感動を与える誇れる郷土和歌山」の記述において、観光の振興を図るため、郷土和歌山の魅力を磨き売り出すとしておられます。そして、その具体的施策として、ニューツーリズムの促進とし、「健康や自然への志向が高まる中、新たな旅行需要への対応として、ヘルスツーリズムやエコツーリズム、グリーンツーリズムなど、本県の特性を生かした新しい観光形態を発掘します。」と記述されております。まさしく、今新しい観光の形が動き出していると感じております。
 そんな中、本年6月8日、ホテルグランヴィアにおいて、和歌山大学創立60年の式典が開催をされました。その和歌山大学におきまして、自民党総務会長二階先生を初め、仁坂知事、小田学長、また和歌山県議会先輩・同僚、多くの皆さん方、また関係方面の多くの方々の御努力と御熱意により、本年4月、観光学部が新設され、観光学部において観光カリスマ講座が、和歌山県、社団法人和歌山県観光連盟、和歌山大学が締結した「和歌山県における観光振興に向けた相互連携協定」に基づき実施されることとなりました。
 また、和歌山県立医科大学におきましては、旅行を通じて健康の維持増進や回復を図るヘルスツーリズムの普及促進に乗り出すため、国土交通省と連携をいたし取り組みを進めておられます。そして、その中で観光医学講座を開設し、観光と健康について医学的検討を行い、和歌山県の恵まれた観光資源を活用し、それらの資源を現代人の健康増進といやしに役立てたいとされておられます。ちなみに、昨年10月には糖尿病教育観光ツアー等が実施されたところであります。
 一方、世界遺産の高野におきましては、高野山大学があります。この高野山大学は120年の伝統を持っておられるわけでありますが、現在、大きなターニングポイントを迎えているとし、心理学に仏教的アプローチを取り入れたスピリチュアルケア学科が新設をされました。まさしくいやしであります。
 加えて、ここでもう1つキーポイントとして挙げられるものに食というものがあると考えます。今回、この場でこの食ということには触れませんが、食と観光という考え方も大切であると私は思っております。
 このように、各大学が医学と観光をキーワードとして、食というものも絡め、食と医療、食と観光というようないろいろな取り組みも進められているように感じますし、さらにNPO法人も観光医療産業の創出のために独自の取り組みをされておられます。私は以前にも、高等学校に観光について学べるような形を導入するつもりはございませんかと質問いたし、教育委員会において御検討いただくとのことでありました。今回はその件について質問はいたしませんが、教育という分野での観光への取り組みも非常に重要だと私は今も考えております。
 話を戻します。今後とも、「癒しと感動を与える誇れる郷土和歌山」を全国に売り出すため、和歌山大学、和歌山県立医科大学、高野山大学等が連携するとともに、NPO法人や関係の方々を巻き込んで、医療を生かした観光施策の取り組みを行っていくということも大切ではないのでしょうか。したがいまして、県がこれらのコーディネーターとしての役割を果たしていく必要がここにあると考えるわけでありますが、知事、いかがお考えでありましょうか、御答弁をお願いいたしたく存じます。
 また過日、仁坂知事は新和歌浦を歩いてくださったことをお聞きいたしました。大変うれしく思いました。小さいころから思い出をたくさんつくってくれたこの新和歌浦であります。「夕日百選」に選ばれた名勝の地であります。一般質問を締めるに当たり、仁坂知事、新和歌浦を歩かれての御感想を、ぜひあわせてお聞かせをいただければ幸いに存じます。
 以上で、一般質問を終わります。何とぞ意のあるところをお酌み取りいただきまして、心ある御答弁をお願いしたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの山下直也君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私に御質問のありました、まず観光と医療、あるいは医療を生かした観光施策の取り組みについて、まず申し上げたいと思います。
 山下県議が昔から本件について取り組まれて、それでいろんな点で御提唱されておられた、そういう御努力がだんだんといろんな方を動かして実りつつあるということを御説明申し上げたいと思っております。
 いやしの地として、和歌山には1000年以上の歴史を持つ高野・熊野を擁するさまざまな観光地があります。現在におけるいやしを具現化するような観光医療は、これから観光を語る、あるいは観光を振興するキーワードの1つというふうに考えてもいいかと思います。
 最近では、こういう流れに沿って、高野山における阿字観や森林セラピー、熊野古道の健康ウオーク、白良浜の素足ウオークなど、健康づくりや医療効果に着目した観光地づくりの取り組みも始まっております。また、県内の大学がそれぞれの特性を生かし、今日的テーマであるいやしとか、あるいは心の安らぎについて、地域と連携した実践的教育や研究に取り組まれていることは、まことに時宜を得たものでございまして、そのことで新たな魅力づくりが進み、和歌山を訪れる観光客がふえるということを大いに期待しているところでございます。
 今後、県といたしましては大学との連携を一層深め、今幾つか出ておりますこの機運を高めて、各大学の研究成果を特色ある観光地づくりに生かして、さらには誘客戦略に積極的に反映さしていきたいと思います。
 この線に沿って、近く那智勝浦町立温泉病院に和歌山県立医大の、ちょっと名前はサテライトであったかどうかわかりませんが、そういう組織ができまして、そこで研究をして、温泉がどのように人々の健康回復に役立つかということを研究していこうというお話になっております。これは研究でございますけれども、こういう機運は、できましたら一般の観光客にも、健康づくりを和歌山でやることによって、みずからの健康を取り戻そうというようなことを考えてもらいたいというような誘客を今後の課題として我々はやっていかないかんというふうに考えている次第でございます。
 次に、新和歌浦あるいは和歌浦でございます。
 和歌浦地区につきましては、このたび県の名勝・史跡に一括して9カ所が指定されましたように、貴重な歴史文化遺産であることを再認識したところであります。むしろ史跡の指定が遅きに失したかなというぐらいの気持ちでございます。私は和歌山市生まれでございますので、和歌浦とは大変近いところに、歩いて行けるようなところに住んでおったんですが、改めていろいろ地元の方々なんかに御案内いただきますと、この身近にあるすばらしい景観、あるいは文化遺産、これを正しい知識を持って守っていく必要性を痛切に感じました。その価値を私も自分なりに、及び県庁挙げて広く発信していきたいと考えております。
 で、3つのことを思いました。1つは、これは観光資源として物すごいと、1つ1つがですね。ところが、それが戦略的に必ずしも生かされていない。大変立派な史跡の横には県庁の普通の建物があったり、そういうようなことがいろいろあって、縦割り行政の弊害というけれども、1個1個の施設は立派なんだけど、それが総合的に地域づくりに生かされてないというようなことを痛切に感じました。
 それから第2に、私自身が若いころから和歌山に育ったにもかかわらず、こんな立派なものがあったんだぞというのを今ごろ発見しているこの愚かさと、それから、やっぱりちょっと教育に問題があったんやないかというようなことを改めて感じました。長計にも、それから今年度の新政策にも、郷土教育をもう一度きちんとやろうじゃないかというようなことを提唱して、あるいは書かしていただいているのも、そういう流れでございまして、今教育委員会で全力挙げてそれを取り組んでいただいておりますので、これからは1人1人の県民が、皆さんそれぞれの文化遺産あるいは景観、そういうものの価値をちゃんと正しく認識して、県外の人にもPRができるような、そういう県民づくりをしていかないかん、こういうふうに思いました。
 それから最後に、都市づくりというのが大変戦略的に行われないといかんなというようなことも思いました。県としては、そのためにいろいろな戦略的な方向がちゃんと調整できるように、いわばそういう装置として景観条例をつくって、それでいろんなところで、例えば市民の方々がその景観条例を生かして景観計画をつくって、例えば特別景観地区をつくっていくんだということであれば、それをお助けできるような装置を、議会の議決を得てつくっていただきました。そういうのを市民全体がうまく利用して、それで戦略的な地域づくりをつくり、1つ1つの建物としては立派だけども、ほかのところの足を引っ張って、相対的にはその都市がうまくいかないなというようなことをできるだけ防ぐようにしたいと思います。
 和歌山市については、今同じような方向でぜひ検討してほしいと、私からも県庁からも和歌山市に頼んでおりまして──実は中核都市和歌山市は、この景観条例の対象にならないもんですから、別途もう1つつくってもらわないといけないんですが、そういうことをお願いして、それで市民の声に和歌山市もこたえる、それから和歌山県、残りのところも、これはもう装置ができてますから、具体的にいろいろ、地区の人たちの話が都市づくりに生かせるように、そういうふうに頑張っていきたいなと、景色を見ながらそんなようなことを思った次第でございます。
 ありがとうございました。
○議長(中村裕一君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 橋梁の長寿命化対策についてでございます。
 議員御指摘のとおり、本県には2メートル以上の橋梁では2383橋ございます。そのうちに15メートル以上の橋梁、これが881橋で、10年後には約26%の232橋、20年後には44%の386橋が建設後50年以上というふうになりまして、急速に橋梁の高齢化が進みます。このまま十分な維持管理を行わないで放置しますと、橋梁は急激に老朽化が進みまして、損傷が顕在化したり橋梁のかけかえ、大規模修繕、こういったものが必要となります。このような事後的な保全ということで、そういう対応では多大な費用が必要となります。したがいまして、これからは損傷が軽微なうちに修繕とか補修を行う、いわゆる予防保全に転換していくことによりまして、橋梁の長寿命化やライフサイクルコストの軽減に取り組むことが重要となります。
 そのために、平成14年度から18年にかけまして本県で行いました橋梁の点検結果を利用しまして、今年度に橋梁補修の優先順位を考慮しました長寿命化修繕計画を策定しております。さらに、今後は5年ごとに橋梁の定期点検を行うことにしておりまして、点検結果のデータを蓄積していくことにより、より精度を高めて、長寿命化計画を更新し、限られた予算の中で必要な予算を優先的に確保しつつ、より効率的で効果的な維持管理ができるように取り組んでまいる所存でございます。
○議長(中村裕一君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 介護問題についてお答え申し上げます。
 まず、県内の介護職員の人材不足の状況についてでございますが、介護サービスに従事する介護職員の人材不足は全国的にも問題となっており、特に都市部において深刻であるとされてございますが、本県におきましても、介護保険の事業者や関係団体から人材不足が生じていると伺ってございます。また統計的にも、本県における平成19年度の介護関係の有効求人倍率は2.55倍であり、県全体の有効求人倍率の0.90倍に比べて非常に高くなっているとともに、この介護関係の有効求人倍率が平成16年度以降、年々高くなってきていることからも、県内におきましても、介護労働者の人材不足が生じている状況にあると認識してございます。
 次に、人材不足の原因についてでございますが、介護保険施設や事業所で従事されている多くの皆さんは、高い志と仕事へのやりがいを感じながら頑張っていただいておりますが、議員御指摘のとおり、仕事がハードであるにもかかわらず、給与等が他産業に比べ低い水準にあることも人材不足の大きな1つの要因であると考えてございます。このことから、去る6月4日に国に対して、来年4月の介護報酬の改定に当たっては、介護労働者の確保に主眼を置いた適切な介護報酬を設定することを要望したところでございます。
 介護報酬の引き上げは、現行の介護給付費のスキームから県負担金の増嵩にもつながることから、厳しい面もございますが、今後とも機会をとらえ、国に対し介護労働者の処遇の改善を反映した適切な介護報酬の設定等について要望してまいりたいと、そのように考えてございます。
 次に、今後の取り組みについてでございますが、既に国において、来年度の介護報酬改定に向け、介護事業所の経営や介護従事者の実態に関する調査を行っており、この調査結果を十分に精査、分析し、サービスの種別や地域区分等に応じた適切な介護報酬を設定することとされてございます。また、議員御指摘のとおり、先般、介護従事者等の人材確保のための介護従事者等の処遇改善に関する法律が成立いたしまして、国において平成21年4月までに、介護従事者などの賃金を初めとする処遇の改善に資するための施策のあり方について検討し、必要な措置を講じることとされてございますので、今後とも国の動向を注視してまいりたいと考えております。
 また、県といたしましても、介護関係の資格を有しながら勤務していない、いわゆる潜在的有資格者の掘り起こしや、各種研修を通じた人材の育成に取り組んでまいるとともに、関係団体等とも協力しながら人材確保に努めてまいりたいと、そのように考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。

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