平成20年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成20年6月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
────────────────────
議事日程 第3号
 平成20年6月19日(木曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第78号から議案第89号まで、並びに報第1号から報第8号まで(質疑)
 第2 一般質問
────────────────────
会議に付した事件
 第1 議案第78号から議案第89号まで、並びに報第1号から報第8号まで(質疑)
 第2 一般質問
────────────────────
出席議員(46人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 川口文章
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 16番 下川俊樹
 17番 岸本 健
 18番 尾崎太郎
 19番 藤山将材
 20番 新島 雄
 21番 山下直也
 22番 井出益弘
 23番 宇治田栄蔵
 24番 多田純一
 25番 中 拓哉
 26番 角田秀樹
 27番 江上柳助
 28番 山田正彦
 29番 坂本 登
 30番 尾崎要二
 31番 中村裕一
 32番 服部 一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 藤本眞利子
 36番 長坂隆司
 37番 玉置公良
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(なし)
────────────────────
説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        原 邦彰
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      森 崇
 総務部長       小濱孝夫
 企画部長       前硲健作
 環境生活部長     井口悦治
 福祉保健部長     井畑文男
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      雑賀忠士
 教育委員会委員長   樫畑直尚
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員長   大岡淳人
 警察本部長      鶴谷明憲
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     垣平高男
 選挙管理委員会委員  諸木良介
────────────────────
職務のため出席した事務局職員
 事務局長       蓬臺孝紀
 次長         東岡誠吾
 議事課長       薮上育男
 議事課副課長     土井敏弘
 議事班長       田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      石垣悦二
 議事課主査      瀧川泰治
 総務課長       笠松 学
 調査課長       佐本 明
────────────────────
  午前10時0分開議
○議長(中村裕一君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第78号から議案第89号まで、並びに知事専決処分報告報第1号から報第8号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 21番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 おはようございます。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 まず、本年5月12日、中国四川省を震源に巨大地震が発生をいたしました。そして、先週土曜日の朝、今度は岩手・宮城で震度6強、マグニチュード7.2という内陸型の、これまた予測もし得なかった地域におきまして大きな地震が発生したことも、皆様よく御承知のところであります。時間が経過するにつれ被害の状況が明らかになり、大規模な山崩れや土石流の発生により多くの方々が被害に遭われました。東北各県の被害状況は、6月17日現在で死者10名、行方不明者12名、負傷者266名、家屋倒壊194棟との発表があり、不幸にしてお亡くなりになられました方々に心よりお悔やみを申し上げますとともに、被災されました皆様方にお見舞いを申し上げる次第でございます。
 一昨日、6月17日、定例記者会見におきまして、仁坂知事は岩手・宮城両県に対し、お見舞金を送る意向を明らかにされました。また知事は、災害時に集落が孤立した場合の対策として、ヘリコプターの有効活用など、孤立化した集落の情報を収集する方法を検討していくと、お考えをお示しになりました。まさに同感であります。私もそのように思う1人であります。また、ヘリコプターは人命救助や食料などの輸送にも活用できるかと思いますので、今後も効率的な運用方法を検討していただきたいと思います。
 今なお余震が続いており、この先、大雨が降らなければよいがなどと感じるとともに、2次災害の拡大も心配である中、テレビを見ていて、あのような大きな地震がもしこの和歌山にもいつか起こるかもしれないと、そういう可能性があるわけでございまして、しかも、いつ来るかわからない、予測はされているものの、実際どれぐらいの地震が起こるのか、しかも、その確率が徐々に高くなってきているのではないかなどと、仮に今、本県で発生したらどういう状況になるのだろうかと考えると、県民の皆様方の心配ははかり知れないものがあると拝察をいたします。
 そこで、この和歌山県に暮らす人々が、それぞれの地域において安心して安全に暮らしていくことのできるまちづくり、そのために今何をしていかなくてはならないのか、限りある財源の中で何を優先してやっていかなければならないのか、また、どういうところが欠けているのか、高齢者の方々も、子供たちも、男性も、女性も、障害がある人もない人も、ともに不安なく安心して暮らしていける県土づくりということは一体どういうことなのでありましょうか。もう一度、今回の質問を通して、知事初め県の方々とともに考えてまいりたいと思います。
 まず、3月に策定されました県の長期総合計画におきまして、「県民の命と暮らしを守る安全安心和歌山」を大きな柱といたし、防災対策や住みよい暮らしづくりなどの推進を挙げておられます。ぜひとも県民が安心して暮らせる対策を引き続きお取り組みいただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。そういう意味におきまして、私は今回、この安全・安心という観点から3点、橋梁の長寿命化対策について、介護問題について、医療と観光について、それぞれ質問、提案をさせていただきたく存じます。
 それでは、質問に入ります。
 まず、橋梁の長寿命化対策についてお伺いをいたします。
 6月9日のNHKスペシャル「橋は大丈夫か~しのびよる劣化~」というタイトルで、橋梁の劣化等についての特集番組を見る機会を得ました。今、全国には約67万の橋があるとのことであり、その橋梁の劣化が大きな問題となっております。NHKの調査によりますと、速やかに補修する必要がある橋は全国で5439橋あるとのことでありました。また、山形県の事例が取り上げられ、昨年、最上川橋で鉄骨の一部が割れていたことが判明し、すぐに通行どめにして調査に着手したとのことであり、最悪の場合、橋が崩れ落ちる可能性があったとのことや、都市部の道路、特に首都高速でも多くの亀裂が見つかっており、調査を実施しているとのことでありました。高度成長期、より安く、より早くつくってきたツケが今回ってきているとのコメントがなされておりました。
 一方、米国におきましては、1930年代に大量に建設された橋梁が1980年代に老朽化が進み、破損をいたし、「荒廃するアメリカ」と呼ばれ、1980年から5年間で更新修繕費を約2倍、2001年には1980年の約3倍に増額し、維持管理を重点的に実施してきたとのことであります。しかし、皆さん方もよく御承知のとおり、2005年にはペンシルベニアで、また2007年8月にはミネソタ州ミネアポリスで落橋事故が依然発生している状況であります。
 話は国内に戻します。先ほども申し上げましたとおり、山形県では現在、補修計画の作成を進めているとのことであります。大きな問題は予算であり、これまでは新規の道路の整備に重点を置いてきた結果や、補修や点検より新規の道路整備に手厚い国の制度も相まって、老朽化した橋梁がふえてきており、今後、補修の予算をふやすという方向の取り組みは始まったばかりだそうであります。
 それでは、ここで本県はといいますと、県の管理している橋梁は約2400橋あるということでありますが、これらの橋梁は、1960年から1970年代のいわば高度成長期に大量に建設されております。20年後には15メーター以上の橋梁881橋のうち44%が築50年を迎えることとなるとのことであります。橋梁は50年程度で高齢化すると言われており、今後、高齢化、老朽化した橋梁が一斉に大規模な補修やかけかえの時期を迎えることとなると思われ、したがいまして、大規模な補修やかけかえには当然多額のコストがかかることとなるわけであります。
 先ほども申し上げましたとおり、限られた予算の中、新たな道路建設も進めながら既存の橋の安全性を確保していくためには、施設の点検や日常の維持管理、そして計画的な修繕を進めていく必要があると感じます。また、これまでの対症療法的修繕から予防保全的な修繕を進めていくことにより、ライフサイクルコストの低減を図り、既存の橋を長寿命化することが可能となるとのことであり、他府県におきましても、現在、橋梁等の長寿命化計画を策定されていると聞き及んでおります。
 このような中、本県におきまして、平成19年度より橋梁長寿命化修繕計画の策定作業が始まっており、平成19年度より県単独の橋梁長寿命化対策事業により、定期点検や予防保全の事業に早くから取り組んでいただいていることはまことにいいことでありますが、予算の厳しい中、さらに点検を詳細にして、一日も早く修繕にも力を入れ、長く安心して利用できる橋を目指して取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、改めて橋梁の長寿命化について県土整備部長にお伺いをいたしたく思います。
 橋梁の長寿命化について現在の取り組み状況は、また長寿命化対策について今後どのように進めていかれるのか、また長寿命化に必要な予算をどう確保されていくのか、あわせてお伺いをいたしたいと思います。
 さて、次に介護問題についてであります。
 本県は、高齢化率が近畿で第1位、全国的にも先進県であり、県では3月に策定した長期総合計画におきまして、「生涯現役で誰もが活躍できる和歌山」を大きな柱とし、その中で、高齢化対策の推進を挙げておられます。高齢者の方が生きがいを持ち、健康で自立した生活を送れる社会づくり、不安なく安全・安心に暮らせる社会づくりを目指し、さまざまな施策に取り組んでいくことが必要であり、その中で、高齢者の介護の問題は最も重要な課題の1つであると考えています。平成12年度から始まった介護保険制度は、利用者と事業者とが契約し、サービスを利用または提供する制度であり、現在提供されるサービスの量は、制度開始以降順次整備されてまいりましたが、利用者がサービスを選択するための情報がますます必要となってきております。
 このため、平成18年度から各事業者が提供する介護サービスのさまざまな情報をホームページ上に公表し、利用者が適切な事業者を選択することを支援する介護サービス情報の公表制度が実施されております。公表される情報のうち、介護サービスに関するマニュアルの有無やサービス提供内容の記録管理の有無等については、県が指定した調査機関がその内容について事実確認した上で公表することになっております。しかし、この事実確認のための調査について、毎年調査を受けなければならないことや手数料がかかることなど、事業者の運営にとってこれまた大きな負担となっていることも事実でありました。
 これらにつきまして、先般、町田議員を先頭に新島副議長と私も含め、関係団体がこの公表制度について県に要望させていただいたところ、今月初めに、知事を先頭に、事業者の自己責任による公表制度への見直しについて政府に要望するとともに、手数料につきましては、今議会、議案第84号として一部改正の条例を提出するなど迅速な対応をしていただきました。まずこのことに対し、深く感謝を申し上げる次第であります。
 またあわせて、医療や介護現場で重要な役割を担う理学療法士の必要性につきましても、過去3回、一般質問で訴えさしていただいたところでありますが、そうした中で、本年4月に理学療法士の専門養成校が県下で初めて和歌山市に開校されたことは大変喜ばしいことであり、関係者の皆様方の御尽力に感謝申し上げる次第であります。
 さて、介護保険制度を支える大きな柱として、現場で直接介護に携わる職員の人材不足が大きな問題となっております。この要因として幾つかある中、やはり仕事の大変さに比べて、その賃金が他の業種に比べて圧倒的に安いという話を多くお聞きをいたしました。この問題につきましては、先月5月23日、国会におきまして、介護従事者等の人材確保のための処遇改善に関する法律が成立し、介護を担うすぐれた人材の確保を図るため、平成21年4月までに、介護従事者の賃金を初めとする処遇改善に資するための施策のあり方に検討を加え、必要な措置を講ずるとなっております。
 県におきましても、県内介護職員の人材不足の状況や、その給与水準の低さなどから、介護報酬のアップを行うよう政府要望を行っていただいております。将来、高齢者が増加し、介護の必要な方々も増加することは明らかでありまして、介護保険制度を円滑に実施していくためには、介護職員の確保というものが何よりも喫緊の課題であると考えます。
 そこで、県内の介護職員の人材不足の状況はどうなのか、また、その原因についてどう考えておられるのか、さらに、これら介護に携わる職員を確保するため今後県としてどのように取り組んでいかれるのかについて、福祉保健部長にお尋ねをいたしたく存じます。
 最後の質問であります。医療と観光についてお伺いいたします。
 平成19年度、本県の観光客の入り込み数は過去最高の3208万人との発表があり、県外はもとより海外からも多くの人々が和歌山を訪れてくださいました。これは大変うれしいことであります。観光につきましては、私は過去数回、本会議におきまして質問したり提案してまいりました。例えば、和歌浦湾を中心とした観光振興について、いやしをテーマに和歌浦湾を中心としたゾーン整備ができないものかなど、また、映画「ストロベリーフィールズ」を通してフィルムコミッションの重要性を訴え、当時設立されたばかりのフィルムコミッションの今後の活動について県の見解をお尋ねしてきたものであります。
 もともと風光明媚な和歌山の地におきまして、それだけでも大きな観光的財産ではありますが、しかし、それだけでは他府県との勝負はできないものと考えます。もう1つ、プラスワンの付加価値をつけることにより、より多くの方をこの和歌山に呼び込める。そのプラスワンを、今回私は医療という観点で提案をさせていただきたいと存じます。
 本年3月に策定されました和歌山県長期総合計画におきまして、本県の将来を展望した「めざす将来像」なるものが示されたところでありますが、その中の「癒しと感動を与える誇れる郷土和歌山」の記述において、観光の振興を図るため、郷土和歌山の魅力を磨き売り出すとしておられます。そして、その具体的施策として、ニューツーリズムの促進とし、「健康や自然への志向が高まる中、新たな旅行需要への対応として、ヘルスツーリズムやエコツーリズム、グリーンツーリズムなど、本県の特性を生かした新しい観光形態を発掘します。」と記述されております。まさしく、今新しい観光の形が動き出していると感じております。
 そんな中、本年6月8日、ホテルグランヴィアにおいて、和歌山大学創立60年の式典が開催をされました。その和歌山大学におきまして、自民党総務会長二階先生を初め、仁坂知事、小田学長、また和歌山県議会先輩・同僚、多くの皆さん方、また関係方面の多くの方々の御努力と御熱意により、本年4月、観光学部が新設され、観光学部において観光カリスマ講座が、和歌山県、社団法人和歌山県観光連盟、和歌山大学が締結した「和歌山県における観光振興に向けた相互連携協定」に基づき実施されることとなりました。
 また、和歌山県立医科大学におきましては、旅行を通じて健康の維持増進や回復を図るヘルスツーリズムの普及促進に乗り出すため、国土交通省と連携をいたし取り組みを進めておられます。そして、その中で観光医学講座を開設し、観光と健康について医学的検討を行い、和歌山県の恵まれた観光資源を活用し、それらの資源を現代人の健康増進といやしに役立てたいとされておられます。ちなみに、昨年10月には糖尿病教育観光ツアー等が実施されたところであります。
 一方、世界遺産の高野におきましては、高野山大学があります。この高野山大学は120年の伝統を持っておられるわけでありますが、現在、大きなターニングポイントを迎えているとし、心理学に仏教的アプローチを取り入れたスピリチュアルケア学科が新設をされました。まさしくいやしであります。
 加えて、ここでもう1つキーポイントとして挙げられるものに食というものがあると考えます。今回、この場でこの食ということには触れませんが、食と観光という考え方も大切であると私は思っております。
 このように、各大学が医学と観光をキーワードとして、食というものも絡め、食と医療、食と観光というようないろいろな取り組みも進められているように感じますし、さらにNPO法人も観光医療産業の創出のために独自の取り組みをされておられます。私は以前にも、高等学校に観光について学べるような形を導入するつもりはございませんかと質問いたし、教育委員会において御検討いただくとのことでありました。今回はその件について質問はいたしませんが、教育という分野での観光への取り組みも非常に重要だと私は今も考えております。
 話を戻します。今後とも、「癒しと感動を与える誇れる郷土和歌山」を全国に売り出すため、和歌山大学、和歌山県立医科大学、高野山大学等が連携するとともに、NPO法人や関係の方々を巻き込んで、医療を生かした観光施策の取り組みを行っていくということも大切ではないのでしょうか。したがいまして、県がこれらのコーディネーターとしての役割を果たしていく必要がここにあると考えるわけでありますが、知事、いかがお考えでありましょうか、御答弁をお願いいたしたく存じます。
 また過日、仁坂知事は新和歌浦を歩いてくださったことをお聞きいたしました。大変うれしく思いました。小さいころから思い出をたくさんつくってくれたこの新和歌浦であります。「夕日百選」に選ばれた名勝の地であります。一般質問を締めるに当たり、仁坂知事、新和歌浦を歩かれての御感想を、ぜひあわせてお聞かせをいただければ幸いに存じます。
 以上で、一般質問を終わります。何とぞ意のあるところをお酌み取りいただきまして、心ある御答弁をお願いしたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの山下直也君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私に御質問のありました、まず観光と医療、あるいは医療を生かした観光施策の取り組みについて、まず申し上げたいと思います。
 山下県議が昔から本件について取り組まれて、それでいろんな点で御提唱されておられた、そういう御努力がだんだんといろんな方を動かして実りつつあるということを御説明申し上げたいと思っております。
 いやしの地として、和歌山には1000年以上の歴史を持つ高野・熊野を擁するさまざまな観光地があります。現在におけるいやしを具現化するような観光医療は、これから観光を語る、あるいは観光を振興するキーワードの1つというふうに考えてもいいかと思います。
 最近では、こういう流れに沿って、高野山における阿字観や森林セラピー、熊野古道の健康ウオーク、白良浜の素足ウオークなど、健康づくりや医療効果に着目した観光地づくりの取り組みも始まっております。また、県内の大学がそれぞれの特性を生かし、今日的テーマであるいやしとか、あるいは心の安らぎについて、地域と連携した実践的教育や研究に取り組まれていることは、まことに時宜を得たものでございまして、そのことで新たな魅力づくりが進み、和歌山を訪れる観光客がふえるということを大いに期待しているところでございます。
 今後、県といたしましては大学との連携を一層深め、今幾つか出ておりますこの機運を高めて、各大学の研究成果を特色ある観光地づくりに生かして、さらには誘客戦略に積極的に反映さしていきたいと思います。
 この線に沿って、近く那智勝浦町立温泉病院に和歌山県立医大の、ちょっと名前はサテライトであったかどうかわかりませんが、そういう組織ができまして、そこで研究をして、温泉がどのように人々の健康回復に役立つかということを研究していこうというお話になっております。これは研究でございますけれども、こういう機運は、できましたら一般の観光客にも、健康づくりを和歌山でやることによって、みずからの健康を取り戻そうというようなことを考えてもらいたいというような誘客を今後の課題として我々はやっていかないかんというふうに考えている次第でございます。
 次に、新和歌浦あるいは和歌浦でございます。
 和歌浦地区につきましては、このたび県の名勝・史跡に一括して9カ所が指定されましたように、貴重な歴史文化遺産であることを再認識したところであります。むしろ史跡の指定が遅きに失したかなというぐらいの気持ちでございます。私は和歌山市生まれでございますので、和歌浦とは大変近いところに、歩いて行けるようなところに住んでおったんですが、改めていろいろ地元の方々なんかに御案内いただきますと、この身近にあるすばらしい景観、あるいは文化遺産、これを正しい知識を持って守っていく必要性を痛切に感じました。その価値を私も自分なりに、及び県庁挙げて広く発信していきたいと考えております。
 で、3つのことを思いました。1つは、これは観光資源として物すごいと、1つ1つがですね。ところが、それが戦略的に必ずしも生かされていない。大変立派な史跡の横には県庁の普通の建物があったり、そういうようなことがいろいろあって、縦割り行政の弊害というけれども、1個1個の施設は立派なんだけど、それが総合的に地域づくりに生かされてないというようなことを痛切に感じました。
 それから第2に、私自身が若いころから和歌山に育ったにもかかわらず、こんな立派なものがあったんだぞというのを今ごろ発見しているこの愚かさと、それから、やっぱりちょっと教育に問題があったんやないかというようなことを改めて感じました。長計にも、それから今年度の新政策にも、郷土教育をもう一度きちんとやろうじゃないかというようなことを提唱して、あるいは書かしていただいているのも、そういう流れでございまして、今教育委員会で全力挙げてそれを取り組んでいただいておりますので、これからは1人1人の県民が、皆さんそれぞれの文化遺産あるいは景観、そういうものの価値をちゃんと正しく認識して、県外の人にもPRができるような、そういう県民づくりをしていかないかん、こういうふうに思いました。
 それから最後に、都市づくりというのが大変戦略的に行われないといかんなというようなことも思いました。県としては、そのためにいろいろな戦略的な方向がちゃんと調整できるように、いわばそういう装置として景観条例をつくって、それでいろんなところで、例えば市民の方々がその景観条例を生かして景観計画をつくって、例えば特別景観地区をつくっていくんだということであれば、それをお助けできるような装置を、議会の議決を得てつくっていただきました。そういうのを市民全体がうまく利用して、それで戦略的な地域づくりをつくり、1つ1つの建物としては立派だけども、ほかのところの足を引っ張って、相対的にはその都市がうまくいかないなというようなことをできるだけ防ぐようにしたいと思います。
 和歌山市については、今同じような方向でぜひ検討してほしいと、私からも県庁からも和歌山市に頼んでおりまして──実は中核都市和歌山市は、この景観条例の対象にならないもんですから、別途もう1つつくってもらわないといけないんですが、そういうことをお願いして、それで市民の声に和歌山市もこたえる、それから和歌山県、残りのところも、これはもう装置ができてますから、具体的にいろいろ、地区の人たちの話が都市づくりに生かせるように、そういうふうに頑張っていきたいなと、景色を見ながらそんなようなことを思った次第でございます。
 ありがとうございました。
○議長(中村裕一君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 橋梁の長寿命化対策についてでございます。
 議員御指摘のとおり、本県には2メートル以上の橋梁では2383橋ございます。そのうちに15メートル以上の橋梁、これが881橋で、10年後には約26%の232橋、20年後には44%の386橋が建設後50年以上というふうになりまして、急速に橋梁の高齢化が進みます。このまま十分な維持管理を行わないで放置しますと、橋梁は急激に老朽化が進みまして、損傷が顕在化したり橋梁のかけかえ、大規模修繕、こういったものが必要となります。このような事後的な保全ということで、そういう対応では多大な費用が必要となります。したがいまして、これからは損傷が軽微なうちに修繕とか補修を行う、いわゆる予防保全に転換していくことによりまして、橋梁の長寿命化やライフサイクルコストの軽減に取り組むことが重要となります。
 そのために、平成14年度から18年にかけまして本県で行いました橋梁の点検結果を利用しまして、今年度に橋梁補修の優先順位を考慮しました長寿命化修繕計画を策定しております。さらに、今後は5年ごとに橋梁の定期点検を行うことにしておりまして、点検結果のデータを蓄積していくことにより、より精度を高めて、長寿命化計画を更新し、限られた予算の中で必要な予算を優先的に確保しつつ、より効率的で効果的な維持管理ができるように取り組んでまいる所存でございます。
○議長(中村裕一君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 介護問題についてお答え申し上げます。
 まず、県内の介護職員の人材不足の状況についてでございますが、介護サービスに従事する介護職員の人材不足は全国的にも問題となっており、特に都市部において深刻であるとされてございますが、本県におきましても、介護保険の事業者や関係団体から人材不足が生じていると伺ってございます。また統計的にも、本県における平成19年度の介護関係の有効求人倍率は2.55倍であり、県全体の有効求人倍率の0.90倍に比べて非常に高くなっているとともに、この介護関係の有効求人倍率が平成16年度以降、年々高くなってきていることからも、県内におきましても、介護労働者の人材不足が生じている状況にあると認識してございます。
 次に、人材不足の原因についてでございますが、介護保険施設や事業所で従事されている多くの皆さんは、高い志と仕事へのやりがいを感じながら頑張っていただいておりますが、議員御指摘のとおり、仕事がハードであるにもかかわらず、給与等が他産業に比べ低い水準にあることも人材不足の大きな1つの要因であると考えてございます。このことから、去る6月4日に国に対して、来年4月の介護報酬の改定に当たっては、介護労働者の確保に主眼を置いた適切な介護報酬を設定することを要望したところでございます。
 介護報酬の引き上げは、現行の介護給付費のスキームから県負担金の増嵩にもつながることから、厳しい面もございますが、今後とも機会をとらえ、国に対し介護労働者の処遇の改善を反映した適切な介護報酬の設定等について要望してまいりたいと、そのように考えてございます。
 次に、今後の取り組みについてでございますが、既に国において、来年度の介護報酬改定に向け、介護事業所の経営や介護従事者の実態に関する調査を行っており、この調査結果を十分に精査、分析し、サービスの種別や地域区分等に応じた適切な介護報酬を設定することとされてございます。また、議員御指摘のとおり、先般、介護従事者等の人材確保のための介護従事者等の処遇改善に関する法律が成立いたしまして、国において平成21年4月までに、介護従事者などの賃金を初めとする処遇の改善に資するための施策のあり方について検討し、必要な措置を講じることとされてございますので、今後とも国の動向を注視してまいりたいと考えております。
 また、県といたしましても、介護関係の資格を有しながら勤務していない、いわゆる潜在的有資格者の掘り起こしや、各種研修を通じた人材の育成に取り組んでまいるとともに、関係団体等とも協力しながら人材確保に努めてまいりたいと、そのように考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 25番中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕(拍手)
○中 拓哉君 皆さん、おはようございます。
 昨年の6月議会、また12月議会に引き続き、3度目の登壇でございます。県議会のこの壇上に送り出していただきました支持者の皆さんに感謝しつつ、県民の福祉の増進、県勢が一歩でも前進するべく質問いたしますので、当局の方々には、県民のためになるよう誠実で真摯な御答弁をお願いいたします。
 まず初めに、去る6月14日午前に発生しました岩手・宮城内陸地震におきまして犠牲になられた方の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々にお見舞い申し上げます。
 さて、仁坂知事との邂逅に思いをめぐらせれば、あなたが知事選に立候補を決意された直後、和歌山市議会の公明党の控室にあいさつにお見えになったときであります。巷間ありがちな官僚臭が漂うわけでなく、どちらかといえば、たどたどしさの漂うまじめな方だなという印象を持ちました。その後、あなたのことは、桐蔭高校から京大へ進み、さらに東大紛争やんだ後の東大に、ということは2年間、東大の希望者があるわけですけども、その難関の東大に合格した秀才であるとか、通産省の役人をなさったとか、あるいはブルネイの大使だったとか、メリヤス屋のぼんぼんやったとか、そういう情報を得て、口さがない世間話に耳を傾けておりました。知事に就任されてからは、そのお仕事ぶりからか、いわゆる人物月旦的なことへの興味もうせ、熱心に県政に取り組むあなたの真摯な姿が私の目にも映っておりました。
 ところが、3月のとある日に「人間到る処青山あり 仁坂吉伸物語」と題する書籍を目にしました。著者は大宅マスコミ塾出身の作家・大下英治さんであります。おらが知事のことが書かれている書物ですから、読まないわけにはまいりません。立候補の経緯から知事としての仕事ぶりまで、中には、幼少のみぎりの病弱のこと、チョウチョウへの興味、学生生活から官僚への道、さらには夫人とのなれ初めやキャリア官僚としての仕事ぶりなど、興味深く読ましてもらいました。それなりの御苦労を経験されたこともわかりました。折々のあなたの発言の背景とするものが、おぼろげながらも理解が深まりました。願わくは県民の皆さんにも読まれることを期待しますが、洛陽の紙価を高からしめたとは聞きません。
 また、タイトルには幕末の尊皇攘夷派の僧・月性の漢詩「将東遊題壁二首」の一節であります「人間到る処青山あり」というタイトルでございます。あなたがつけたわけではないかもしれませんが、この言葉の意味するところは、郷里を出て、どこであろうと骨を埋めるところが男子はあるんだと、このような意味かと思います。何か、和歌山に骨を埋めるぞという覚悟は、このタイトルから感じられません。知事御自身の感想と出版に至った経緯をお示しください。
 次に、道州制についてお尋ねします。
 第27、28次地方制度調査会専門小委員長で、地方自治法の逐条解説の著者でもある松本英昭氏の「地方自治の新時代へ・高まる道州制論議」と題する論文に接しました。先ほど紹介しました僧・月性も吉田松陰らとともに大いなる貢献をしたあの明治維新、その後の廃藩置県以降、変わらずに来た都道府県の区域や構成が、地方自治の本旨を実現する上で今後とも十全な機能を果たし得るであろうか。市町村合併が進み、基礎自治体が整いつつある中で、あるいは社会の情報化、国際化が進展する中で、さらには、パーキンソンの法則よろしく肥大し続ける行政組織が複雑かつ非効率的なものとなり、国の統治機構が機能しなくなりつつあります。経済の高度成長時代が終えんし、多極分散型国土の構築が叫ばれ、さらにはバブル経済の破綻と、そういった時代の変遷とともに地方分権の時代へと進んでまいりました。
 平成5年10月、第3次臨時行政改革推進審議会の最終答申には、現行の都道府県にかわるべき新しい広域的な自治体制度、いわゆる道州制の意義等について、国として幅広い観点から具体的な検討を行う必要があると示されました。その後、平成12年4月、地方分権一括法が施行され、平成18年の2月に、第28次地方制度審議会から「道州制のあり方に関する答申」が提出されました。安倍内閣の折、任命された道州制担当大臣のもとで有識者による道州制ビジョン懇談会が設置され、この3月に中間報告がまとめられたのであります。
 一方、自民党や公明党の中でも道州制に関する機関が置かれ、全国経済同友会、日本経済団体連合会なども道州制の導入に向けたさまざまな提言がなされております。
 当事者である全国知事会では、道州制特別委員会を設置して調査検討を行うものの、昨年1月に道州制に関する基本的考え方を示すのみで、消極的な都道府県もあり、議論は遅々として進んでおりません。
 そうした中でのこの3月24日、道州制ビジョン懇談会が「時代に適応した『新しい国のかたち』に─中央集権型国家から分権型国家へ─ 『地域主権型道州制』」を理念とする中間報告がなされました。その中で、基礎的自治体──いわゆる市町村ですね──基礎的自治体、道州、国、それぞれの役割と権限が示され、導入のメリットと課題、そのプロセスとしては、2018年までに移行すべきであり、そのためには2010年に原案を作成し、2011年の通常国会に提出する必要があるとしています。道州制ビジョン懇談会のこの中間報告に対する知事の御見解をお述べ願います。
 次に、長寿医療制度、後期高齢者医療制度についてお尋ねします。
 これまでの老人保健制度では、75歳以上の高齢者が組合健保、公務員共済等の被用者保険や市町村が経営する国民健康保険に加入したまま、高齢者の医療費の不足分をこれら被用者保険、国保の拠出金で賄ってまいりました。この制度では、高齢者と現役世代の負担の割合がわかりにくい上に、現役世代が払う拠出金が膨らみ続ける医療費をいつまでも負担していくと、こういうことでございます。従来の自営業者や農林漁業者の医療を賄おうとする国民健康保険が、高齢化社会を迎え、いわゆる被用者保険からリタイア、退職した方々が入ってくることに関しまして、いわゆる高齢者が加入する国保にと、その性質が変化してきました。
 また、高齢化率の高い市町村では、一般会計からの繰入額がふえてきまして、破綻状態となっています。同じ国民でありながら、住む市町村の違いによりまして、国保の保険料が最大5倍もの開きが生じてまいりました。このような認識は与野党とも共通のものであり、新たな制度を構築すべしとする決議が平成14年の健康保険法改正の折に盛り込まれ、70歳以上の医療費を市町村が払い各健保組合からの拠出金で賄ってきたこの昭和57年からスタートしてきた老人保健制度を廃止して、新たな制度を構築したのが今回の制度であります。
 4月からスタートした後期高齢者医療制度は、都道府県を単位とする広域連合が主体となり、窓口負担を除く高齢者医療の給付費を公費5割、現役世代の保険料4割、高齢者の保険料1割と明確にし、患者が払う窓口での自己負担は今までと変わらず1割としたのであります。楢山節考が描く「おりん」のうば捨て山でもなければ、あの「おしん」の母が演じた、川の中で流産、間引き、子消しですね、そういった不幸を防ぐ、孫子の幸せも考えた制度なのであります。
 ふえ続ける医療費を国民全体で分かち合う仕組みは、高齢者の医療を守り、乳幼児の健康も守る上からも是が非でも築かねばなりません。その上で、高齢者の個々の実情に応じ、きめ細かな対策を講じるとしたのが、運用の改善と称する今回の政府の負担軽減策なのであります。和歌山県民の医療行政を持つ知事の御所見を伺います。
 次に、3月18日に議員提案として成立しました和歌山県防災対策推進条例についてお尋ねいたします。
 昨年5月、県議選の後に招集された臨時議会の折、後ろにいらっしゃる中村議長に呼ばれまして、「本県議会も立法機関としての責務を果たす上からも議員提案の条例を制定していきたい。ついては、改選前からの懸案でもある防災条例について中君もしっかり勉強してみては」とのアドバイスをいただきました。幸い、議会の皆様の同意を得て、防災・環境問題の特別委員会に所属するとともに、副委員長のお役目を仰せつかりました。向井委員長の御指導のもと、6度の委員会を開催し、徳島県防災センター、野島断層保存館、兵庫耐震工学研究センター「E─ディフェンス」等の県外調査とともに、稲むらの火の館や串本町の津波避難タワーを視察する一方、自主防災の取り組みを伺い、市町村への意見聴取、さらにはパブリックコメントを実施するなど、各先輩委員とともに精力的に取り組んでまいったのであります。この間、他府県の条例も参考にし、資料収集初め法令用語の精査や膨大な調査のもとには、議会事務局の調査員の方々にも随分御苦労いただきましたことを御礼申し上げます。
 さて、そこで基本理念を明示し、県民、自主防災組織、事業者及び県当局の責務と役割を定めることで災害に強い和歌山県をつくろうとする本条例への知事の評価をお尋ねするとともに、4月1日より施行された本条例の第33条には、「県は、その所有し、又は管理する避難所その他の応急対策を実施する拠点となる施設について、耐震性の確保並びに設備、備品等の転倒及び落下の防止に努めるとともに、非常用電源設備の整備に努めるものとする」と規定されております。この条文は現に4月1日から施行されておりますけども、和歌山県の実施状況をお尋ねいたします。
 次に、クールアース・デーについてお伺いします。
 去る6月9日に発表された地球温暖化対策、いわゆる福田ビジョンによりますと、北海道洞爺湖サミットの開かれる初日であります7月7日を、みんなで地球温暖化を考え行動する日、すなわちクールアース・デーと決定されました。これは、公明党の青年局が中心となって署名活動に取り組み、6万8433人の署名簿を添えて福田首相に申し入れたことが実ったものであります。従来は、環境省の音頭でライトダウンキャンペーンと称して、夏至の日に明かりを消すことで電力消費を控える運動を展開しておりました。地球の未来を守るため、国民の意識転換を促す上からも、すぐにでも実行できる施策であります。
 福田ビジョンの詳細につきましては、去る6月11日の気候ネットワーク代表の浅岡美恵さんの講演を聞く機会がありましたけども、この講演を聞いても、賛否さまざまでありますが、低炭素社会構築の革命に取り組もうとする首相の姿勢については、私は賛同するものであります。100万世帯が2時間消灯することで約200トンの二酸化炭素が削減できるわけですから、仁坂知事にも取り組んでいただけるものと信じております。県が管理する施設におきましても、この7月7日の七夕の日に実施されてはいかがでしょうか、御答弁ください。
 次に、公共工事の適正な執行について質問いたします。
 木村前知事の事件を受けまして、仁坂知事は、新たな公共調達制度を構築されました。建設業界の発展に向けて新しい業者評価制度を設け、条件つき一般競争入札を委託業務も含めての全面実施をこの6月から展開しているところでございます。
 去る2月議会の予算特別委員会の折、私は、損害賠償請求相手の幾つかの企業の中で、当時の入札参加資格停止等措置要綱の規定では指名停止にできないことを指摘しました。にもかかわらず県当局は、12月に仮契約を締結した企業との仮契約を破棄して、議会に議案を提出しませんでした。本来、契約は対等であるべきです。お上の権威、権限をかざして請負契約の条項を恣意的に解釈したり運用してはなりません。予算特別委員会での答弁では、入札参加資格要件を改め、仮契約の条項にも解除することもある旨の理由も明記したいとの答弁でございましたが、その後、どのような措置がとられたのでしょうか、お答え願います。
 また、現下の建設業の経営には非常に厳しいものがございます。16日に発表された6月の月例経済調査によりましても、一部に弱い動きが見られるとして3カ月ぶりに下方修正の表現となりました。和歌山社会経済研究所の示す景気動向調査によりましても、「県内景況感は悪化続く、原材料価格高騰が影響」との表現で、建設業においては受注単価の低下に苦しんでおります。
 さきごろ、西日本建設信用保証株式会社の方に会いましてお話をお聞きしましたところ、鋼材や燃料油の高騰に伴い、業者の採算悪化が激しく、工事が完工した段階では、契約した金額では赤字になってしまっているとのお話でございました。業界の専門紙の報じるところでは、入札不成立の公共工事も出てきているとのことでございます。
 このほど国土交通省は、発注後に資材が高騰した場合、建設業者に支払う工事代金を上乗せするとする単品スライド条項の発動を、第2次石油危機以来28年ぶりに発表いたしました。本県の建設工事請負契約約款第25条5項にも同様の規定が明記されております。この際、本県工事におきましても早急に単品スライド条項を適用すべきと考えますが、県当局の方針をお示し願います。
 次に、知事が招集日に述べました所信表明の中で、ふるさと納税の件がございました。私ども県会議員の役割として、県民の幸せのため、新たな事業の提案や予算の要望をいたします。また一方で、漫然とした事業については、その効果のありやなしやを問うとともに、無駄の排除を指摘もいたします。そうした中で、歳入の確保につきましては、ややもすると増税の方向や県民の負担増につながるため、憶しがちになります。将来に責任を持つ議員として、いつもじくじたるものを覚えておりました。
 そうした折、地方自治の専門誌を読んでおりましたら、ふるさと納税に関して幾つかの興味深い記事を見つけました。正確には、強制的に徴収する税ではございませんので「ふるさと寄附金」と呼びますが、鹿児島県では、県と市町村が一体となり協議会を設置して、県が受けた寄附の分配率を決めております。4割が県、6割を市町村にと決め、東京、大阪に配置している特別専従員の経費は県がすべて負担するとして、県、市町村協調で取り組んでいるとのことです。さすが郷中教育で名高い鹿児島らしい取り組みであると思います。
 また、ふるさと納税提唱者でもある福井県も、県内市町村と共同で寄附を受け入れる窓口サイトの運用を始めております。福井県の西川知事は、「地方の提案が国の制度として実現したのは大変画期的。国と市町の連携を強化し、全国のモデルとして進化させたい」と、いささかはしゃぎぎみでもあります。
 そこで、県当局にお尋ねします。
 5月1日からスタートしたこのふるさと寄附金の現状とお取り組みをお示しください。
 最後に、旧美里町の裏金問題についてお尋ねします。
 この件につきましても、予算特別委員会の審議の折申し上げましたが、当時の答弁で不明朗なお金は預金10億円とのことでした。35億の一般会計規模の町が10億ものお金を歳計外で処理できることが異常なのであります。その後の調査では、4億数千万とのことでございますが、それにしても信じられない金額であることには違いありません。こんなことがまかり通るのであれば、地方自治はお手上げでございます。幸い、町の監査委員が見つけたところが救いでありました。県職員に対するいわゆる官官接待に使ったとも段木前町長は主張しております。
 県下30市町村において同じような実態があるとしたら、県職員の威信は地に落ち、地方自治は崩壊してまいります。よもや県事業の採択や補助事業に絡んだものではないでしょうね。県職員への接待の実情についてお示しいただきたい。
 また一方で、私には腑に落ちないことがございます。それは、今回の事件発覚後の解明の手続についてであります。
 紀美野町議会が、地方自治法100条に基づくいわゆる100条委員会の設置には何ら異議を挟むものでもなく、むしろ支持するところであります。その100条委員会の要請に基づく県職員さんの派遣もうなずけるところです。が、しかし、その先の県当局が紀美野町から提供を受けたとする民間会社からの顧客リストをもとに監察査察室の行っている県職員に対する聞き取り調査なるものは、果たして適法なものなのかどうかという点であります。
 地方自治法第100条の規定を読みますと、「普通地方公共団体の議会は、当該地方公共団体の事務に関する調査を行い、選挙人その他の関係人の出頭及び証言並びに記録の提出を請求することができる。」とあり、関係人が出頭を拒否したり記録の提出を阻んだり証言を拒めば、罰金や禁錮が科されるのであります。ですから、どこまでも紀美野町の町議会が行う紀美野町の事務に関しての調査であり、そのための記録の提出なのであります。付随的に県の事務と関連していたり、県職員と関連していたとして、あるいは段木氏が使ったお金の使い道が県の職員のための接待だったと主張することによって調査されるにしても、あくまでも調査する主体は紀美野町の町議会であり、県は協力する立場なのであります。譲り受けた記録をもとに県職員を調べることのできる機関は、どこまでも紀美野町の100条委員会であります。
 仮に、提供された民間会社の顧客リストの中から県職員を特定する必要があって、その作業を県が手伝うことは合法だとしても、そのリストをもとに県が独自の目的で使用することは果たして適法なのでしょうか、疑問は残りませんか。ましてその結果、100条委員会が告発なりをするのであれば町の事務を調査した結果ですからうなずけますが、県当局が独自に改めて同じ記録を、紀美野町の町議会が100条委員会の権限をもとに提出させた記録を、関係者である民間会社から改めて県が提供されたんならまだわかりますが、提供されることもなく、町から提供された記録に基づき、つまり2次的な資料によって県職員を処分することは可能なのでしょうか。デュー・プロセス・オブ・ロー、これは大原則であります。
 県の事務である市町村課の事務分掌の範囲内でのこの問題の現状と、県が行っている独自調査の適否についてお答えください。
 以上、何点かお尋ねしまして、私の第1問といたします。よろしくお願いします。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの中拓哉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、大下英治さんの御本の件でございますけれども、御指摘のように、私自身が書いたものでも、それから宣伝をしようと思って書いてくれと言ったものでもありませんで、ちょっと恥ずかしいという、言われてみると、あんたの本と言われると、いや、私は恥ずかしくてどっかへ入りたいわいというようなことを言うてるようなもんなんでございます。
 それで、経緯を申し上げますと、私はいろんな人に勧められて、あるいはお願いをされて、それで自分でも「ようし」と思って県知事選挙に出ることにいたしました。そのときに、どこの馬の骨やというのがほとんどの県民の方々のお気持ちだった、あるいは知識だったと──お気持ちじゃなくてもですね──というふうに思います。
 そこで、どこの馬の骨、こんな馬の骨だということをよくわからしてあげようという、私の尊敬する方がいろいろ配慮してくださいまして、それで大下英治さんに、ちょっとどんな馬の骨だということがわかるようなものを書いてあげるように頼んであげようという話になりました。そこで、簡単なパンフレット、実は今回の本の半分ぐらいの内容だと思いますが、それが選挙のときに出ました。そのときも、私はいろんなところへ行って話をした後、宿舎に戻ってまいりますと、大下英治さんから電話がかかってきまして、それで物すごい速射砲のような質問を浴びせられまして、それで適当にしゃべると、それをもとにして何かつくってくださったということであります。
 今回それを、せっかくつくったので、なかなか内容がよかったから、もう少しいろんな人の意見とかそういう取材もして、もうちょっと本格的な本を書いてもらおうという話が、またさっき言われた方を中心にして起こったようでありまして、私は、もうほとんど自分には取材はなかったんですが、ほかの方の取材を入れて、最終的に御本ができたというふうに理解しております。私も、もちろん本が出版される前に原稿を見せていただきましたが、それを拝見いたしますと、別にこれは間違いですというようなことは全然ありませんで、ただただ大下英治さんという日本でも有名な作家ですから、そういう作家の方に私のような者が、書いていただいて大変名誉であるとともに、さっき言いましたように恥ずかしいと。何となくいろんな人生の記録がみんな書いておって、これはえらい恥ずかしいと、こういうふうに思っているところでございます。そういうことでございまして、これが真相であります。
 したがって、私は自分の本だったら、それは覚悟を決めて、ぜひ自分の思いを読んでくださいということを申し上げるんですが、1回もPRを自分でしたことはありません。
 それから、タイトルにつきましては、実は私は気に入っております。私は性格上、失礼な言い方かもしれませんが、大口をたたいたり、あるいは自分の宣伝を声高に叫んだりする、スローガンとして叫んだりするというのはあんまり好きではありません。したがって、和歌山県の知事をやらしていただく上は、当然骨は埋めなきゃいけないし、それから、それ以外のことにうつつを抜かしているようなことは絶対にあってはいけないというふうに思います。若干そういうのが世の中にはあるようですけれども、だれとは申しませんが、そういうことはあってはいかん。すべて100%誠心誠意、知事職である今の仕事にかけなきゃいかんと、そういうふうに思ってる次第でございます。それで思いますが、まああんまりそういうことを言うのは好みじゃないので、スローガンとしてですね。
 それで、この本のタイトルをずっと見ると、私のいろいろ昔のことなんかも書いてあって、昔も今も同じような気持ちで、ずっといろんなところで、そういう気持ちで仕事をしてきたから、まあようあらわしとるなという意味で、これまでの記録としてはようできてるんじゃないかと思って、気に入ってるということでございます。決して中先生、御心配のように、心がどっかにあるというようなつもりでおるわけではございません。
 それから、道州制に関してでございます。
 道州制につきましては、私は、時期はともかく、道州制の流れというのは不可避ではないかというふうに思っております。ただ、それはなぜかというと、明治維新のときに決めた今の県、これは今の時間距離、科学技術の発達などを考えると少し狭くなってるかなということは明らかだと思うからであります。しかしながら、それと同時に、地方分権というのはすべて道州制の問題ではありませんので、地方分権の話もまた一生懸命考えないといけないというふうに思います。一部の方は、県のままでは地方分権が進まないから、道州制にかけて、道州制だったらできてしまうというふうに思っておられる人がいるようでありますが、私はそれは間違いだと思ってます。道州制であっても県のままでも地方分権はやることはやらなきゃいけないというふうに考えております。
 それで、道州制にしろ何にしろ大事なことは、この国の形はどういうものであるべきかということを考えることだと思います。そういう意味で、実は地方分権を考えるときに、何でも地方に移そうということは、できるだけ移せるものは移そうというのは、これは正しいと思いますけれども、そればっかり考えて、まあいわばどっかの国の市場の値切り合戦みたいになる。「できるだけ移してくれませんか」「いや、嫌です」とか、そんなことばっかり言ってるというのはおかしいなと。
 それは、なぜそういうことになるかというと、この国の形というのは、国はどういうことをちゃんと責任を持たないかんかという議論をしないからではないかなというふうに思っている次第で、道州制についても同じことをやっていかないといけないと思います。同時に道州制について、何でも道州に移してしまえというのもまた間違いで、移してはいけないこと、例えば日本の国の統合を妨げるようなものというのは、これは移してはいかんというようなこともまた考えとかないといけないと思います。
 第2に大事なことは、自己責任であると思います。道州制になっても、それから今の姿であっても、地方自治の大事なことは自己責任で、そのためには財源をちゃんと移してもらわないと自己責任が果たせないということではないかと思います。
 3番目に大事なことは、自己責任を果たそうとしても果たせないような、そういう事態が発生しないようにしておくと。特に和歌山県の場合、道州制を考える場合でも、どう考えても、これは私の客観的な分析ですけれども、人口の少ないところになるなあと、和歌山県の状況が。そうすると、人口が多いところの多数決ですべて資源が、和歌山県の現在いるところに回ってこないというようなことになったら、それは私は和歌山県の今の住民に対して申しわけないというふうに思ってます。したがって、そうならないように考える。そのポイントは、日本人としてのナショナルミニマムであるとともに、財政調整をちゃんと考えておくということではないかというふうに思います。
 実は、ビジョン懇の中間報告も、今申し上げましたような点について、全部文章として明示しておられます。そういう意味で、私は大変評価するとともに、今後の議論の推移を心配しながら、かつ積極的には時々出ていきながら、今申し上げましたような和歌山県の人々の幸せを守るために参加してまいりたいと思っております。
 それから、その次の後期高齢者医療制度の評価と今後の改善策でございます。
 制度というのは、何事もいろんな総合的な観点から考えないといけないと思います。一方だけで考えて、年寄りが気の毒ではないかというようなことを言う。だけど、そうすると制度はもつかとか、あるいはその払うべき若者はどうなるんだとか、そういうことについても全部考えておかないといけない。本県に即して考えると、そういうことだと思います。そういう点で、中議員がまさにそういう御意見を言われたということは、私は評価したいと考えております。
 ただ、現在の県の立場、あるいは私自身の個人の能力からすれば、そういう総合的な制度がこういうふうでなければいけないということを自分自身として考えられる、今のところ能力と知見はありません。したがって、申し上げなきゃいけないのは、こういう制度がこれから検討される、与党も野党も検討しようとしてる。そういうときに、えてして最後のツケは地方公共団体にということが結構多いわけであります。そういうことにならないようにちゃんとやってくださらないと、私たちはもうぎりぎりのところで行財政改革をしてやってるんですから、まさにこの問題は全国統一の問題であって、それで先ほど言いましたナショナルミニマムの問題そのものなんだから、そういうツケを押しつけて何とかというようなことはぜひないようにしてほしいということを言うのが、今のところ責任ある立場として相場かなというふうに考えてる次第であります。
 それから、防災対策推進条例の関係でございます。
 これにつきましては、災害から県民の生命や財産を守るために、県民には、自主防災組織、事業者等と力を合わせて防災対策に取り組み、災害に強い地域社会を実現していくに当たり大きな役割を担っていくものと考えております。大変評価さしていただいております。県議会でいいのを提案してつくっていただいたというふうに思っております。今後、県民に広く周知して、あるいはその条例を生かして、防災対策に具体的に取り組んでいくのが我々の仕事かなというふうに思います。
 それで、そのために具体的策として特に御指摘のあった、県自身もちゃんと地震に壊れないようにしとかないといけないよということを書いていただいておりまして、具体的には、東牟婁・有田・伊都総合庁舎でロッカー等の備品の固定などを実施していくんですが、私自身も、本庁もうろうろいたしますと、廊下にいろんなものが置いてあるし、本庁が余りにも狭くて、それでロッカーなんかもごてごてしてるし、ああいうところで地震が来たときに、本来ならば県民の財産や生命を守らなきゃいけない、指揮をしなきゃいけない県の職員が欠けてしまったらどうしようかというような、そういう心配もしてるとこでございます。したがいまして、自分自身の最低限の安全も、これは費用との関係もありますけれども、守りながら頑張っていきたいと考えております。
 次に、クールアース・デーへの取り組みについてでございます。
 これについては、議員の御指摘のような流れでございますので、私は繰り返すことを避けたいと思いますけれども、特に、ことし7月7日から洞爺湖サミットが開催されることから、サミット開催初日を「七夕ライトダウン」と称して、全国的に一斉消灯に取り組む予定であります。これは、もちろん和歌山県もそれをやろうということであります。県内でもこうした趣旨に賛同して、具体的に言いますと、和歌山市やそのほかの市町村とも協力しまして、和歌山城あるいは県立美術館、県庁はもちろんですが、県立博物館、和歌山マリーナシティサンブリッジ、和歌山県民文化会館など、皆さんがよく見えるような、そういう公共施設を初め県内多くの事業所がそれを実施することにしております。
 それから、旧美里町のいわゆる裏金問題に関しまして、県職員の接待等の状況についてお答えいたします。
 いささかちょっとこういうことを申し上げるのが内心じくじたる思いもするぐらいでございますが、状況を説明申し上げます。
 紀美野町議会から提供を受けた関係者名簿から、まず割引券を利用したゴルフ場利用者は延べ160人、実数で──重なってる人がいますので──92人、そのうち現職が71人となっておりました。次に、中元などの贈答品の提供を受けた者は──中には辞退した人もひょっとしたら含まれていると思いますけれども、要するに向こうのほうの帳面に入ってない可能性がある──延べ299人、実数で117人、そのうち現職が71人となっております。また、招待券を利用した宿泊施設の宿泊者は延べで32人、実数で26人、そのうち現職が17人となっております。これらいずれか1つでも該当する県職員、実数で197人、そのうち現職が134人となっております。金額につきましては、交際費関連支出が2100万円であると推定されていますけれども、この県職員関連が幾らであるか、これは実は今のところ私どもは、わかっておりません。
 県といたしましては、現在職員から提出のあったアンケート結果、あるいは、今これに基づいてヒアリングをしております。両方に基づいてですね。これなどを踏まえまして実態を把握し、それから当時の和歌山県が持っていた規則、それからいろいろな県民の感情その他も考えまして、我々としても何がしかの結論を出して、皆さんに申し上げなきゃいけないというふうに思っております。
 それから、その過程ではまさか手心など加えてへんやろなというようなお話もありましたが、そういうことがあったら大変でございますから、そういうことについてもちゃんと調べるということであります。
 それから、目的外使用の話がありました。これは、一般的には目的外使用というのは好ましくないということでありますが、大きな原則としては、そういう目的外に使ってよろしいという場合は、別にだれが集めた資料でも構わないということではないかというふうに思います。それから、本件については、県としてはぜひ自分たちの身を正すために第1次資料を下さいというふうに申し上げて、それで紀美野町はそれをわかっていただいておりますので、それを我々がヒアリングに使ったというものは別におかしくはないと私は思っています。
 それで、これを、もらったものをそのまま直ちに、例えば処分にするなんていうようなことになると、それはおかしいと思いますが、これをもとにしていろいろなアンケート、それから今度のヒアリング、それからそれについての評価、そういうことも全部やりまして、我々としては何がしかの処分なども考えなきゃいかんと、あるいは処分をするかどうかも含めまして、そういうことで思っておりまして、これは1つの材料でありますので、材料はいろんなところからそれを集める、その材料、当局がそういうことに使っちゃいけないと言ってない限りにおいて集めるというのは、私は間違ってはいないというふうに思う次第であります。
○議長(中村裕一君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 入札参加制限及び契約解除についてでございます。
 まず、入札参加の制限につきましては、談合事件に係る損害賠償を請求している相手を和歌山県が実施します競争入札に参加させることは適当ではないということから、条件つき一般競争入札実施要領に定めます入札参加資格要件におきまして、談合等による損害賠償請求を和歌山県から受けている者を排除するということを明記しまして、入札参加を制限することといたしました。
 また、契約解除につきましては、仮契約条項におきまして解除事由として、談合等による損害賠償請求を和歌山県から受けた場合、談合罪、独占禁止法違反などの不正行為で入札参加資格停止となった場合、さらには暴力団等との関係が認められた場合を明記し、契約を解除できることとしたところでございます。
 次に、単品スライド条項の適用についてでございます。
 工事請負契約書第25条第5項に、主要な工事材料等の価格に著しい変動が生じ、請負代金額が不適当となったときに、請負代金額の変更を請求できるという項目がありまして、これがいわゆる単品スライド条項と言われるものでございます。このたび6月13日に、議員御指摘のように、28年ぶりに国土交通省がこの単品スライド条項を適用することを決定し、当面の運用ルールが発表され、地方公共団体や関係業団体に対しても周知されたところでございます。
 その内容は、最近の特定の資材価格の高騰を踏まえ、鋼材類と燃料油を対象に、価格上昇に伴います増額分のうち、受注者からの変更請求に基づきまして対象工事費の1%を超える額を発注者が負担するというものでございます。和歌山県におきましても、昨年末からの原油高騰を受けて、関係建設資材の単価を毎月ごとに改定を行う──今までは3カ月ごとでありましたが──など、できるだけ実勢単価に基づく価格による発注に努めているところであります。さらに、発注後の急激な物価高騰に対応するため、国土交通省から示されました運用ルールに準拠する方向で、できるだけ速やかに導入を図りたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 総務部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○総務部長(小濱孝夫君) まず、ふるさと和歌山応援寄附でございますが、和歌山を愛する皆様からの寄附による応援を通じて元気な和歌山を創造するという目的で、5月1日に県のホームページに「ふるさと和歌山応援サイト」を立ち上げ、本県の美しい自然環境や魅力的な施策を広く全国に情報発信するなど、募集活動を開始いたしました。6月17日現在で17名の方から102万6000円の寄附の申し入れをいただいております。
 寄附の使い道につきましては、県外居住者の方にも関心を持っていただけるよう、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の保全や活用、わかやま国体の開催に向けての準備など、具体的に6つの取り組みを掲げるとともに、サイトからの電子申し出や口座振り込み、インターネットによるクレジット収納方法を整備し、全国から簡単に寄附ができるようにいたしました。さらに、寄附金の管理運営をより明確にするため、ふるさと和歌山応援基金の設置条例を今議会に上程させていただいているところであります。今後、寄附していただいた方に具体的な使途や成果を公表してまいりたいと思います。
 また、県外での広報に関する取り組みでございますが、県外在住の方からの御寄附を広く募るということが大変重要なことと認識しておりまして、そのため、ふるさと和歌山応援サイトだけでなく、東京事務所やわかやま喜集館にパンフレットを置いたり、全国の県人会会員の皆様に「和歌山だより」など県外広報誌を送付するとともに、あらゆる機会を通じて本制度の趣旨や税制などの説明、広報を行い、和歌山を愛する皆様の熱い応援を得られるように努めてまいります。
 次に、美里町裏金問題に関する2項目の質問に一括してお答えをいたします。
 いわゆる裏金問題の現状につきましては、紀美野町において町議会とともに詳細な調査を行ってきたところでございます。県としても、公金の適正な管理という観点から、職員を派遣する等、積極的な調査の支援、問題点の把握に努めてきたところであります。その結果、現在までに平成11年5月から平成17年12月までの不明朗な支出の総額は約4億6000万円であったことが判明しております。その主な使途は土地取引やゴルフ場等に対する交際費の支出でありますが、まだ使途が不明な支出が存在しておりまして、町では全容解明のために引き続き調査を行うとともに、民事訴訟の提起を予定しております。
 また、市町村課において調査を行った結果、監査委員や出納機関のチェック体制等に問題のある運用がなされていたということが確認されております。そのため、県としては紀美野町における財務運営の改善等の取り組みについて助言するとともに、各市町村に共通する財務運営上の課題があれば、その内容を周知するなど、市町村において適正な公金管理が図られるように努めてまいります。
 続きまして、紀美野町議会からの旧美里町の裏金問題に係る県関係職員の名簿の提供の適否ということですが、知事から先ほど御説明がありましたので省かせていただきますが、県の要求に町が適切に判断されたものと考えているところであります。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ございません」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 25番中 拓哉君。
○中 拓哉君 はい、ありがとうございます。
 知事がお答えいただいて、この本については僕は非常によかったと思うんです。仁坂知事が折々発言するときに、ややもすると、そのキャリアで来た、国のことで頑張ってきた人、仕事もようできるんでしょう、あるいは苦にならないんでしょう、だから、職員さんの報告等もいら立ったりするようなこともあるやに聞きます。しかし、このお話を読むと案外人情深い人やな、こう思いましたんで、評価してるんです。だから、みんなに読んでもらいたいなと思ってます。
 ただ、「人間到る処青山あり」というのは、御存じやと思いますけど、どこへ行っても死ぬ場所はあると、男たる者と、こういうことですから、和歌山に骨を埋めるという言葉にしてはふさわしくないんじゃないかなと思ったような次第なんです。
 それで、さっきの後期高齢者の件ですけども、国が進めて広域連合でやることですけど、知事のお立場として、この混乱が生じてるときに、やはり知事のほうからいろんな積極的な発言があれば誤解も解けようかと思いますんで、その点は、またその事務の円滑な運営にやっぱり後押ししてもらいたいなと思ってます。
 防火条例は、もう先ほど知事がおっしゃってくれました。まさにここで言いたかったんは、「でしょう」と、これ終わった後、知事さん、一緒に庁内歩きましょうよと。例えば県警本部なんかもそうなんですね。直接は管理ないかわかりませんけど、非常に狭くて気の毒な状況なんです。そんな中で、本来なら建てかえてすっきりしてあげたらいいと思うんですけども、今の状況でお金かけてやっていく上においても、さっき知事が言うたように、まさにヘッドクオーターですわ。
 きょうは地震起こったら、県の職員さん、仕事中に地震に遭えば、ロッカー倒れてきたら自分がけがするわけですね。あるいは自分は何とか体は免れても、次の仕事をしようと思ったら片づけから始めなあかんわけですね。現在、どこかで住民が困ってるんです。県民の命がなくなりつつあるかわからんという危機にさらされている状況の中で、ヘッドクオーターが「ちょっと待ってよ、けがしましたで、治療せなあきませんで、片づけせなあきませんで、あの資料どこやったか」、こういうことがあってはならんと思いましたんで、県の条例、私らがつくった条例の中に落下防止やとかそういうことが書いてますんでね。どうなんでしょう、そういうホームセンターへ行って、買って、自分でつけてもええわけですよ。そんな、ここへ穴あけたからどうのこうのということないと思いますわ。穴あけることのけしからんさと、命を守る、仕事を守ることのけしからんさを比較したら、すぐにでも手をつけてほしいな。
 昔、ここ、市の消防局が調査に入ったそうです、15年に。それは耐震じゃないですよ。耐震というか、そうじゃなくて火災のことで調査に入って、県庁は余りにも廊下に物置いてる、可燃物あるということで指摘受けてたそうです。私、勉強しに行ったら、何とまた5年ぶりに市の消防が早速入って、今度は大丈夫でしたという、何か私が調べた途端に動いてくれたんで、変な意味で県市協調やなと思って不思議に思っております。知事のほうから、もし、すぐ身の回り、各振興局手を打つんも、予算組みするのも当然大事ですけど、身の回りのことを、まず自分の安全確保を図って、地震あってもすぐ仕事かかれるような体制を組んどけということを指示していただきたいと思います。
 クールアース・デー、県立美術館とか、あるいはマリーナシティの橋とか、そういうところを消してくださるのはうれしい話です。やっぱり目につくとこですからね。そういうことを率先して県民皆さんが、そやな、わしも2時間火消してみよか、電気消してみよかということになれば非常にいいことになるんじゃないかなと、かように思ってます。
 単品スライドについては、もう速やかな運用をお願いします。皆さん、今の高騰で、ガソリンの高騰、特に鉄鋼資材なんか大変らしいですから、速やかな運用をお願いします。
 ふるさと納税、これはちょっと知事にも聞きたいんですけど、きのう、坂本冬美さんがお越しいただきましたよね。あるいは竹中平蔵さんと同級生ですよね。やっぱり県外で頑張ってらっしゃる和歌山県の方に、知事から一言、「寄附してよ」。できれば「パンフレットに載ってくれやんかい」。これは県と市、競争になってしまうんです。私は海南市の出身なんです。もし私が東京かどっかでおって、ふるさとと言われたらやっぱり海南市なんですね。寄附してしまうのは海南市になってまうと思うんです。どっちかいうたら県は損ですわ。
 そういう中で、先ほど言うたように鹿児島やとか福井は組んでやってるし、和歌山県もどうせ東京事務所とか持ってやるんでしたら協調してやったらええし、県知事の人脈通じて、竹中さんがやってくれたということはニュースバリューもありますし、また和歌山県、ほかの地域で頑張ってらっしゃる人も、ああ、そうか、こういう制度あんのかと。現にもう100万から入ってるんですよ。これ、均等割で100万集めるだけでも大変なんですよ。そういう中で、非常にありがたい制度ですから、これは知事、もしよかったら答弁してください。積極的なPRあるか。
 あと、紀美野町の質問です。
 これはどうでしょう。僕は調査を一生懸命やってもらいたいし、当然せなあかんと思います。ただ今度、県の職員さん、今聞いた人数の方々が個別に呼ばれて、当然正直にお話しなさるんでしょう。あるいは最終的には懲戒処分になるのか、ただの「こら」というか、訓告になんのか、それは県のルールがありましょうから、それでいいんですけど、処分したときに、処分のもとになった資料が紀美野町の100条委員会で提出した資料だとなると、提出した民間の会社も、そんなんでいいんかのと思うと思うんですね。
 そういう100条委員会という強い権限を行使されたからこそ提供したんであって、その提供した資料が本来なら100条委員会の調査に資さなあかん、美里町、紀美野町の事務のために調査に使われなあかん。それが、何か条例の例外規定を使って、相当な理由があるからということで回すんでしょうけども、それが相当な理由があって、結局本人に、県の職員にとっては不利益になることなんですよね。本人の利益になることならやってくれたらええけど、本人の不利益になることなんですね。憲法でいうたら、自分の不利益は進んで言わんでええとかちゃんと保障されてるわけですよ。
 そういった中で、私もこのことを解明するには大事なことやし、当然必要やと思いますけども、だからといって、ルールを無視してまでやっていいんかなというのが今回の疑問なんです。できれば、こいねがわくば県の監察室は、美里町から取り寄せた書類は書類として手元にあったとしても、それを裏づけるために民間会社、百貨店さんとかゴルフ場とか宿泊施設からも改めて取り寄せて、その上で聞き取りして進めることが事務の適正な執行じゃないかなと思います。
 そのふるさと納税の件と美里町の件、2点、再質問いたします。
○議長(中村裕一君) 以上の再質問に対する答弁を求めますが、持ち時間が迫っておりますので、簡潔に御答弁願います。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 第1の点でございますが、先ほど申し上げましたように、あらゆる機会を通じて広く全国に情報発信をしたり広報を行うことによって寄附獲得に努めてまいりたいと思いますが、議員御提案の方法もあろうと思いますので、今後いろいろな方法を検討してまいりたいと、こういうふうに思います。
 それから2点目は、最後に、自分も例えば百貨店に聞かないのかとか、そういうことについてお答えするとすれば、いや、そのとおりだと。それは必要があったら、我々としても独自に聞くべきだというふうに思います。
 ただ、1つの材料として使ってはいかんかというと、その目的外使用の制限を提供した人がかけてくださってないわけだから、それは使ってもいいとは思うんです。だから、それだけでやってるというわけではないので、その点、御理解いただきたいと。きょうの御議論を踏まえて、いろんな方面から総合的な情報を集めて努力してもらおうと、こういうふうに監察査察室に言おうと思っております。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再々質問を許します。
 25番中 拓哉君。
○中 拓哉君 どこまでもやはりデュー・プロセス・オブ・ローでやっていただきたいので、適正な執行をお願い申し上げます。
 以上、申し上げまして質問といたします。
○議長(中村裕一君) 以上で、中拓哉君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時31分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(新島 雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、質問に入らせていただきます。
 1つ目は、後期高齢者医療制度についてでございます。
 この4月1日から、75歳以上を国民健康保険などから切り離し、別建てにする後期高齢者医療制度が始まりました。ある御夫婦のお話ですが、夫は88歳、妻は86歳で、夫のほうは戦争に2度も召集され、シベリアに抑留されました。妻は従軍看護婦として召集、インドネシアへ抑留され、戦前・戦中はもちろん戦後もお国の復興を願って死に物狂いで働いてきたお2人です。後期高齢者医療の保険証を受け取ったときは、悔しくて涙がとまらなかったと話してくれました。初めてこの制度の中身を知ったとき、「年寄りはもうあんまり医者にかからんでええ、国のために早う死んでもろたら助かると言われているようで仕方がないと思った」と言います。
 今、高齢者の暮らしは大変厳しい状況にあります。国民生活基礎調査によると、高齢者のみの世帯では、その43%が年収200万円以下で、100万円未満も17%に上ります。高齢者はお金持ちといった宣伝もなされていますが、貧困な年金制度のもとで国民年金しか受けていない人で受給額は平均で4万6600円にすぎず、月2万円、3万円、無年金の方もたくさんいらっしゃいます。少ない年金の上に、年金課税の強化、住民税非課税限度額の廃止など、税制改悪が拍車をかけ、さらに介護保険料の天引きに加え、今度は後期高齢者の医療保険料が天引きをされます。
 さきの御夫婦の場合は、足腰が悪いので通院にはタクシーを使わなければお医者さんには行けません。高血圧と骨粗鬆症で窓口負担も要ります。時間があっても楽しみのために使うお金など出てきません。じっと静かに息を潜めて暮らしているのが現状です。「一体何のために生きてきたのか。年をとって大事にされるどころか、国から捨てられた思いがする」と言われていました。この気持ちは決してお2人だけではないと思います。多くの方が感じていることではないでしょうか。
 なぜこんな思いになるのか。後期高齢者医療制度が75歳以上の人を他の世代から切り離し、際限のない負担増と差別医療を押しつける制度だからではないでしょうか。保険料は2年ごとに改定され、医療給付の患者の増加、重症化、医療技術の進歩などで給付がふえれば保険料にはね返る仕組みになっています。長生きを応援するというものではありません。
 4月の診療報酬改定の後期高齢者診療料による包括制の導入、後期高齢者退院調整加算、後期高齢者終末期相談支援料など新設されました。これは、75歳以上の人が1人のお医者さんにしかかかれなくしようとしていることや、入院しても退院支援計画をつくるので、早く退院してくださいよと迫られ、余命が短いと判断された患者さんは、厚労省がひな型としている「終末期医療における希望事項」という1枚の紙があります。その1枚の紙に、点滴や人工呼吸器、蘇生術などを、希望する、希望しないか、それを聞いて印をつけるというものです。これを75歳以上の患者さんに行った場合に、病院に2000円が支払われるという内容のものです。これはさすがに見直しが検討されるようですが、大変乱暴で冷たいやり方ではないでしょうか。お年寄りの命を差別する恐るべきものだと異議を唱えるお医者さんもふえています。また、75歳で線を引くことで健診でも差別され、人間ドックを受けられないなどの問題も起こっています。
 知事に改めてお聞きいたします。
 後期高齢者医療制度が4月から始まった中で、高齢者の皆さんの声をどのように受けとめていらっしゃいますか。国に、75歳で線引きをする後期高齢者制度の廃止を求めるお考えはありませんか。以上、お答えいただきたいと思います。
 次に、後期高齢者医療制度に対する県民からの苦情や対応について、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 和歌山民医連という医療機関の連合会があります。そこでは、6月4日から75歳以上の方を対象に約100名の方から聞き取り調査をされたということです。その結果、制度の内容を知らない人が半数近くおられました。保険料が高くなったと答えた方も半数です。県、市町村、広域連合での説明会の開催状況やこの間の苦情の件数、内容はどのようなものがありますか。
 最後に、高齢者の健診について福祉保健部長にお伺いいたします。
 老人保健法が廃止され、健診の実施主体は国保などに移り、ここでも75歳以上の高齢者は対象から外されました。75歳以上の高齢者の健診は、県広域連合の場合、自己負担600円で基本健診を実施することになっていますが、糖尿病や高血圧など治療している人は御遠慮くださいと申込書に書かれています。また、医療機関で受けることになっているため、従来のようにバスなどで集団健診が受けられません。健診バスが来たときに、75歳以上の人はだめですということになるわけです。これまでのように集団健診も受けられるように働きかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。福祉保健部長、お答えください。
 2つ目は、安全・安心の学校給食と実施率の向上についてでございます。
 近年、生活環境の変化などから、食を大切にする心の欠如、栄養バランスの偏った食事や不規則な食事などに起因する生活習慣病の増加、食品の安全性への不安、伝統ある食文化の喪失など、食に関するさまざまな問題が指摘されています。このような状況の中で、国は、生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性をはぐくむことができるようにするため、平成17年7月に食育基本法を施行し、食育を国民運動として推進することとしました。毎月19日が食育の日と定められ、きょうがその日でもあります。
 当県においても、食育推進計画が平成19年3月策定され、計画期間は平成19年度から23年度となっていますが、現在の取り組み状況とこれからの課題について、農林水産部長にお尋ねいたします。
 次に、食育と安全・安心の給食の拡充に向けてお尋ねいたします。
 食品偽装や中国ギョーザ事件など食の安全について関心が高まっている中、カロリーベースでの食料自給率が日本は39%、和歌山県は29%という低さで、食に対する不安が大きくなっています。特に子育て中の保護者の皆さんは、安全・安心の給食を強く望んでいます。
 一方、和歌山県の公立学校給食実施率は、平成18年度で小学校90.7%、中学校51.8%で、特に中学校は全国平均90.8%に比べて大きく立ちおくれています。そもそも学校給食は、戦後の食糧難で不足しがちな栄養を給食で補うことを目的としていましたが、子供の食生活の乱れが指摘され、今後は、給食を通して子供たちに食の大切さや文化、栄養のバランスなどを学ぶ食育を重視するものに転換されています。全く実施されていない和歌山市の中学校の保護者の皆さんから、給食実施を期待する声は大きいと考えます。
 また、食育を重視するなら、栄養職員が献立し、地域の協力も得て地場産品を活用していくこと、そうした取り組みを保障する給食調理場の方式を考えていくべきではないでしょうか。当県として低い給食実施率をどう高めるのか、安全・安心の食材活用と給食調理場方式をどのように考えているのか、教育長にお尋ねいたします。
 また、栄養教諭が紀北、紀中、紀南地域に1名ずつ配置されています。栄養教諭というのは、食に関する指導と学校給食の管理を一元的に行い、学校における食育を推進する役割を担うものとして、平成17年度に文部科学省で創設されたものですが、今後の増員計画を教育長にお尋ねいたします。
 次に、県の食育推進計画には、学校給食における地場産物の使用割合を増加させるとあり、農業振興の1つとしても県産品を大いに活用できるように推進していくことが求められますが、県としてどのように取り組もうとされているのか、農林水産部長にお尋ねいたします。
 最後に、物価高騰と給食費の問題についてですが、原油、食料品の高騰が給食の費用にも大きく響いています。県下の給食費はどのようになっているのでしょうか、教育長にお尋ねいたします。
 3つ目は、妊婦健診の無料化の拡充についてでございます。
 新日本婦人の会が妊婦健診受診に関するアンケートを行っていますが、その結果では、3割の人が出産異常があったと答えています。逆子、早産、貧血、切迫、前置胎盤など複数記入している人も少なくありません。母体だけでなく胎児の異常を記入した人もおり、こうした異常は健診を受けているからこそ発見でき、健診を受けないで出産することの危険性が改めて浮き彫りになってきました。妊婦健診をきちんと受けると10万円前後費用がかかり、2人目のときは余り行かなかったら8カ月目に切迫早産で出産、妊娠後期になるにつれて受診回数がふえるのに、無料健診が終わり毎週のように数千円の費用がかかり、さらに産休などで収入が少なく不安という声が聞かれます。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 現在、5回分は公費負担をということで市町村に国から交付税措置をされていますが、県内で実施している自治体の数は全国最下位です。県からも各市町村に働きかけをされていますが、実施できない理由をどのように把握されていますか。第1子から国が言っている出産までの健診の望ましい回数、14回を無料健診できるように、ぜひ検討していただきたいと思います。若い世代に貧困や経済的困難が広がる中、安心して妊娠、出産できる施策の前進が必要ではないでしょうか。
 最後に、4つ目の地球温暖化防止対策についてでございます。
 まず、知事にお尋ねいたします。
 昨年のIPCCの第4次評価報告書での警告などにより、気候変動が人類の未来を奪いかねない問題だという認識が急速に広がり、2050年には世界全体の温室効果ガス排出量を半減させるという目標が世界の合意となりつつあります。このもとで、日本が当面の京都議定書での第1約束期間の目標を達成するための緊急対策をとることや、さらにその後の中期目標を設定し、責任ある対応をとることが求められています。
 県では、地球温暖化対策条例、2010年度を目標年度とする地域推進計画を策定していますが、その目標達成に向けての取り組みと、さらにその後の計画策定が求められていると思います。知事は、昨年2月議会でこの京都議定書の改定に政府の一員として参加し、この問題に関する危機意識も大変あると答えられていますが、この問題についての基本的立場をお示しください。
 環境生活部長にお尋ねいたします。
 この推進計画の目標が、温室効果ガス排出を90年度比3.9%減、森林吸収量6.7%を含めて10.6%削減としていますが、現在の排出状況はどうなっていますか。排出量の把握はどのようにしていますか。環境生活部長、お答えください。
 日本全体では、温室効果ガスの8割は産業部門での排出であり、県内でも2003年度の排出実態を見ると、家庭系は自動車を含めても約14%で、圧倒的には産業部門からの排出です。3月末に地球温暖化対策推進法に基づく温室効果ガスの大口排出事業所ごとの排出実態が初めて公表され、県内では対象となる74事業所の2006年度の温室効果ガス排出量が明らかとなりました。しかし、このうち住友金属和歌山製鉄所と海南工場は非開示とすることを経済産業大臣に請求し、公開されませんでした。
 環境市民団体の気候ネットワークが、この非開示とした事業所33の排出量を推定していますが、それによれば、住友金属は多量排出者の中でも飛び抜けて多いものです。その推定値を当てはめてみると、この多量排出事業所による排出量が、県内の産業部門の排出量のおよそ97%を占めるほどになっています。つまり、温室効果ガス削減では産業部門、中でも多量排出者の削減をどう進めるか、このことがかぎとなっています。これにどう取り組んできたのか、また、今後の方向をどう考えているのか、お聞かせください。
 また、県条例により、多量排出事業者に排出状況、削減計画、実績報告の提出を義務づけています。全国の算定、報告、公表制度に関して、全国知事会エネルギー環境問題特別委員会地球温暖化対策専門部会というところが政府に要望を出していますが、この中で、この制度が国の事務となっているが、地方自治体としても温暖化対策をきめ細かく推進するため、事業者ごとの報告データを県に提供するとともに公表することと要望しています。多量排出事業者のデータが地方自治体の温暖化対策にとって必要であるから、これを提供し、公表せよという要望です。
 和歌山県は、既に条例によって県内の多量排出事業者の計画・報告制度をつくっており、国に頼らなくてもわかるわけです。温暖化対策を考える上で、また国民的な課題ですから、まず今の排出実態がどうなっているのか情報を公開することが必要で、県全体を左右するような多量排出者を含めて、その排出実態と各事業者の削減目標に対する到達状況を公表すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 日本全体でも、県でも、総排出量削減の目標を担保するためには、多量排出者の削減を公的協定で決めるといったことが必要ではないかと考えます。さきに挙げた知事会専門部会からの要望でも、削減目標の定量化及び協定等による実効性の担保など抜本的な方策を講じることを求めています。これまで自主計画任せにしてきたために、むしろ排出量がふえているのが実態です。県でも各事業者との間で目標の設定とその推移を明らかにするよう求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 最後に、企画部長にお尋ねいたします。
 温暖化防止対策として、新エネルギーの導入も必要です。先日、御坊市にあります日高港新エネルギーパークを訪ね、太陽光発電や風力発電などの設備を視察してまいりました。また、県内でも風力発電の設置も進んでいるようですが、県として新エネルギーの導入に向け、どのような目標でどう取り組んでいくのか、お聞かせください。
 以上、第1問を終わらせていただきます。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、後期高齢者医療制度についてでございます。
 まず、県民の苦情等々についてどう認識しておるかということでありますが、これにつきましては、いわゆる後期高齢者医療制度、長寿医療制度の施行前から、市町村と後期高齢者医療広域連合、県が連携いたしまして、我々としては広報紙への掲載とか、あるいは県内の全世帯にリーフレットを配るとか、市町村において住民への説明会を開催するなど、周知に努めてまいりました。地区住民や団体等への説明会は、実はたくさん行われておりまして、広域連合、県が実施したものと合わせて数えてみますと206回になっております。
 また、被保険者等からの市町村等々につきまして、後で福祉保健部長から御説明があると思いますけれども、これについては我々としては十分やってきたというつもりなんです。しかしながら、現にそれが報いられていないというところも事実であって、現に、そんな話は聞いてなかったぞとか、何ちゅうことだというような話がいろんなところから出ているということも、また事実だろうと思っております。そういう意味では、この努力が不十分であったかなというような感じもいたしますし、それから現在出てる制度、いろんな問題点、お気持ち、そういうものについてもちゃんと酌んでいかないといけないのかなというふうに思います。
 一方、これについて制度を廃止するということにしてはどうかと、あんた、賛成しろというお話でございました。これについては、いろんな苦情があると、あるいは情けないというお気持ちもあるということは十分承知しておりますけれども、一方、責任のある者、これは何も県知事だけじゃなくて、国政を議論する方々もみんなそうだと思いますけれども、これをやめたらどうなるかということについてちゃんとした答えがないと、なかなか話は前に進まないということではないかと思います。
 したがって、私に関しましては、午前中、中議員に申し上げましたように、これについては、こういう形にすれば人々の心ももっとよくなり、それからその制度も維持できるということについて、自分としては確信が持てていないので、ああせい、こうせいということは差し控えたいと思っておる次第でございます。
 一方、本件の問題が大変な重要なことであるということも認識しておりますし、それから、国のほうでもこれは改善していこうということについての検討も進んでいくというふうに聞いておりますので、基本的にはそれを注視し、必要があったら何か発言していこうと思っております。
 それから、温暖化対策でございますけれども、温暖化対策に対する基本的な考え方については、気候の変動をもたらし、生態系への悪影響や人間への健康被害、自然災害の増加など、その影響の大きさ、深刻さから見て、人類の生存基盤にかかわる最も重要な問題の1つでありまして、喫緊に取り組むべき課題であると考えております。言うまでもなく、地球温暖化の問題は、一国や一地域、あるいは一企業、そういうものだけで解決できるものではなくて、全世界が協働しなければ成功を望めるものではありません。全員参加型の枠組みをつくるということが何よりも大切であり、その上で実効性のある仕組みをつくっていくということが必要な状況にあると考えております。
 全員参加という点では、地球規模でもそのとおりでありますけれども、本県といたしましても、我が県の中で全員参加型の対応が図られるように県民の皆様方に働きかけてまいりたいと思っております。
○副議長(新島 雄君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 後期高齢者医療制度についてお答え申し上げます。
 まず、県民の苦情と対応についてでございますが、本年4月からの長寿医療制度の施行前から、市町村と後期高齢者医療広域連合、県が連携し、広報紙への掲載や県内の全世帯にリーフレットを配布、全市町村において住民への説明会を開催するなど周知に努めてまいりました。地区住民や団体等への説明会は、先ほど知事から答弁させていただきましたが、広域連合、県が実施したものも合わせまして206回行ってございます。また、被保険者等からの市町村、広域連合、県への相談や苦情などのお問い合わせ件数は、4月1日から5月16日までの間で7972件となっており、内容的には、被保険者証に関すること、制度に関すること、年金からの保険料徴収に関することなどでございます。
 次に、高齢者の健診についてでございますが、後期高齢者の方にも、糖尿病等の生活習慣病を早期発見するための健康診査は重要であることから、後期高齢者医療広域連合において健康診査が実施されます。広域連合から各被保険者に健康診査の案内文書が送付されており、希望者は、広域連合が契約してございます県内641の医療機関において健康診査を受けることができます。契約している医療機関は県内すべての市町村をカバーしており、県内契約医療機関のどこでも受診することができることとなってございます。
 次に、妊婦健診の公費負担の拡充についてでございますが、市町村事業であります妊婦健診については、これまでも機会あるたびにその拡充を働きかけてきたところでありますが、本年度から、実施予定を含め6町が5回分の公費負担を実施することとなってございます。しかしながら、本年4月の国の調査によりますと、全国の市町村における公費負担の平均実施回数5.5回に比べ、本県では2.6回と低い水準にとどまっており、今後、より一層の拡充を図る必要があるものと認識してございます。
 平成19年度から国において地方財政措置の拡充がなされているところでありますが、県内の多くの市町村では財政事情が非常に厳しいことを実施できない理由としてございます。県といたしましては、人口減少や少子高齢化社会が進展する中で、地域に活力を与えるためにも少子化対策の充実は大変重要な課題であると認識してございまして、市町村にも課題認識を共有していただき、少子化対策を進め、母体や胎児の健康安全確保を図るためにも、少なくとも妊婦健診5回分については公費負担を行っていただくよう、今後とも粘り強く各市町村に働きかけてまいります。
 なお、第1子からの健診の無料化を拡大することについてでございますが、現時点では5回分の公費負担を県内市町村で実施していただくことが先決、肝要であると、そのように考えてございます。
 以上です。
○副議長(新島 雄君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 安全・安心の学校給食に関する質問でございますが、まず第1点の食育の推進状況についてでございます。
 本県におきましては、地産地消を進めるという観点から、平成16年に食育推進協議会を設置いたしまして、食育に取り組んできてございます。その後、食育基本法が制定されたことに伴いまして、平成18年の9月に県条例に基づきます県食育推進会議を設置いたしまして、昨年の3月に「食べて元気、わかやま食育推進プラン」を策定いたしてございます。現在、この計画に基づきまして、関係部局、あるいは教育委員会、それから各種団体等と連携をとりながら、学校給食などさまざまな取り組みを進めてございます。
 例えば、この間、10月を食育推進月間と定めてございまして、昨年は「県民の友」での特集記事、あるいはテレビ、ラジオなど広報媒体を利用した啓発等を集中的に行ったほか、18年から3カ年かけまして、県下延べ188の小学校において、県特産のミカンのポット苗を配布いたしまして、その栽培の体験を行っていただくなど、子供たちに和歌山の農産物や、また食に関する知識、あるいは関心を広げてもらう取り組みを行ってきてございます。
 今後、こうした取り組みに加えまして、すべての市町村において食育推進計画が作成、実践されるよう支援をするとともに、食育ボランティアの方々や、また関係団体との一層の連携を図って、幅広い県民運動として食育を推進してまいりたいと考えてございます。
 次に、学校給食への地場農産物の供給拡大ということでございますが、既にこの地場産品を積極的に活用する新しい取り組みも見られるようになってきてございます。例えば、紀の川市におきましては、地元でつくった安全・安心な野菜や果物を子供たちに食べさせたいという生産者グループの思いもございまして、給食センターへの地元食材の供給が始まりました。また現在、生産者あるいはJAなどとの協力によりまして、学校におきまして、子供たちの米あるいは野菜づくり体験等の指導も行われてございます。また、和歌山市内におきましては、全市立の小学校に県内産の米を供給するとともに、生産者などが地場産の野菜などを小学校に供給をいたしてございます。また、長期総合計画におきましても、地域の資源を生かした食育を推進するということを記載してございます。
 今後も、生産者はもちろんですが、JAとか、あるいは学校、教育委員会等との連携を図りながら、学校給食への地場農産物の供給拡大に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 環境生活部長井口悦治君。
  〔井口悦治君、登壇〕
○環境生活部長(井口悦治君) 4番、実効ある温暖化防止策についてのうち、まず目標に対する総排出状況についてでございます。
 議員御指摘のとおり、本県では平成18年3月に和歌山県地球温暖化対策地域推進計画を策定し、2010年度の温室効果ガスの県全体での排出量を、基準年度である1990年度比で3.9%削減する目標を掲げ、太陽光発電を初めとする新エネルギーの導入など積極的に取り組みを進めてございます。本県における2004年度の総排出量は約1756万トンと、国全体では基準年度比約7%程度増加しているのに対し、0.8%の削減と試算をしてございます。
 なお、先日公表された国全体の2006年度の温室効果ガス排出量は基準年度比で6.2%増加しておりまして、その内訳は、産業部門が4.6%減少しているのに対し、運輸部門16.7%、業務その他部門39.5%、そして家庭部門が30%それぞれ増加している状況であり、本県も同様の傾向を示しているものと考えてございます。
 次に、多量排出事業者の排出削減及び多量排出企業の排出業者の届け出制度と公表についてでございます。
 本県では、平成19年9月に和歌山県地球温暖化対策条例を施行し、多量に排出する事業者に対し、温室効果ガス削減の排出抑制計画、排出状況報告の提出を義務づけ、産業部門についても積極的な地球温暖化対策に取り組んでいるところでございます。この条例によりまして、現在6月末までを期限として、初めての排出状況報告書等の提出を受け付けているところでありますが、今後とも多量排出事業者の取り組み動向を注視するほか、温室効果ガスの排出削減の実現を図ってまいりたいと考えてございます。
 また、個々の事業所ごとの公表ということにつきましては、地球温暖化対策条例において制度としての定めはございませんが、定期報告の届け出等により収集した資料などをもとに、県全体での温室効果ガスの排出量把握に努め、今後ともその概要を公表してまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○副議長(新島 雄君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) 新エネルギー導入の取り組みについてでございますが、県といたしましては、長期総合計画におきまして、太陽光発電や風力発電、それからバイオマスエネルギーなどの新エネルギー利用を今後10年間で2倍にすると、そういう目標を掲げまして取り組んでいるところでございます。具体的には、太陽光発電の導入促進を行うため、今年度、住宅用太陽光発電設備導入促進補助制度を創設いたしました。また、木質バイオマスの活用につきましては、原料の運搬コストがかさみ、採算性の確保が困難と、そういう大きな課題がございますが、他府県の事例も参考にし、実用化に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。
 引き続き、新エネルギー導入促進に取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(新島 雄君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 学校給食につきまして、児童生徒の心身の健全な発達を願って、学校教育活動の一環として実施しているところでございます。この学校給食をおいしく楽しいものにすることによって、子供たちや保護者の食育への関心がより一層高まるものと考えております。
 学校給食の実施率につきましては、昨年度、田辺市と紀の川市において実施校が拡大するなど徐々に向上はしてきております。引き続き、設置者である市町村教育委員会に働きかけてまいりたいと存じます。
 また、調理方式につきましては、自校給食、共同調理場方式、それから全面委託方式等がございまして、それぞれのメリット、デメリットを踏まえ、各市町村が実情に応じて採用しております。なお、いずれの場合も、学校給食法に基づく学校栄養職員を配置いたしまして、安心・安全な学校給食の実施に努めているところでございます。
 栄養教諭につきましては、配置校において食育の中心として授業を行ったり、農業体験や生産者との交流を企画するなどいたしまして、教職員や保護者、児童生徒の食に対する意識の向上といった成果を上げております。今後とも、厳しい財政状況の中ではございますが、各市町村や学校のニーズにこたえられるよう努力してまいりたいと存じます。
 次に、県内の給食費の状況についてですが、本年4月に調査いたしましたところ、10の市町において、一部または全部の学校で値上げがございました。各市町村あるいは学校では、食材や献立の工夫等により努力をしていただいておりますけれども、原材料費の高騰でやむを得ない状況がございます。給食費の動向につきましては、今後とも注意深く見守ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
 40番奥村規子君。
○奥村規子君 後期高齢者医療制度について、知事に再度質問をさせていただきます。
 県民の声をどのように受けとめているかという点で、先ほどは苦情が7000件以上あったということで部長からの答弁もいただいたんですが、その中で、やはり何といっても多かったのが保険証の苦情が多いと、そういうふうに言っていただいたんですが、その怒っている苦情というのか、そういう怒っていることに対して、やはり知事も保険証の何が怒ってるということで受けとめているんでしょうか。
○副議長(新島 雄君) 以上の再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいまの御質問に対する直接のお答えになってるかどうかわかりませんが、具体的に私の考えを申し上げますと、具体的には、その保険証の発給の仕方とか、そういう手続の話というのがたくさん来てます。その手続について、発給の仕方が例えばわかりにくいとか、そういうような問題が1つあるということに加えて、聞いておられませんけども、ちょっと申し上げますと、その制度全体に対する理解の不足みたいなのが反感になってるということを先ほど申し上げた次第でございます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再々質問を許します。
 40番奥村規子君。
○奥村規子君 手続のことでということで言われたんですが、私は、怒っているのは、やはり75歳で線をなぜ引くのかという点で怒っていると思うんです。保険証の問題も含めてですが、先ほどの健診の問題でも、75歳以上になれば、今まで自治体で行っていたのを、ことしは何とか広域連合でするとか、そういうことがありますし、先ほどの診療報酬の問題でも、75歳以上の人に対する診療報酬制度を別建てにつくるとか、そういったことが、なぜ75歳で区切るのか、そこのところに非常に人間としてやはり個々の、75歳でも非常にお元気な方もいらっしゃるし、また80歳、90歳の方も本当にお元気に頑張ってる方もいらっしゃいますし、人の命、人のことというのはそれぞれに、個々にそれぞれ個性もありますし、別々だと思うんです。それを75歳で線を区切る、そこのところに対する怒りがあるんじゃないかと思ってるんです。
 そういう中で、今度、そういったことが本当に県民の気持ちに立って怒っている──これは歓迎する制度やよと言う方もいらっしゃるかもしれませんが、そういった中で、非常に7000以上の方のお気持ちを含めて、今国会の前でも、やはりこの制度はおかしいということで座っている状況もあるんですから、そういった人の命に対して粗末にしている、そういったところの点について、どうお感じになってるかということを私はお聞きしたかったんです。その点について、ぜひ御答弁いただきたいと思います。
○副議長(新島 雄君) 以上の再々質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず第1に、質問の最初に、あなたは手続について問題があるというふうにお答えですがとおっしゃいましたが、議事録をチェックしていただきますと、聞かれてもいないのですが申し上げますとといって、違うことをお答えしておりますので、手続については苦情が多かったことは事実だけれども、多分お気持ちとしては、制度全体に対する理解の不足によって、制度全体に対する反感というのがお気持ちじゃないかというふうに申し上げたつもりでありますので、まずそれを御確認の上、申し上げたいと思います。
 その次に、75歳のところの話がありました。制度というのは、何かどっかで線を引かないといけないもんですから、その75歳というのが今回の制度の1つの区切りになってます。しかしながら、だからといって、この制度が75歳以上の人を全く見捨てるとか、そういうことを考えた制度であるとは私は思いません。それは、奥村さんはそう思っておられるかもしれませんが、私はそうは思いません。
 ただ、制度というのは、例えばお年寄りがどんどんふえていく中で、今の社会保険、健康保険の制度というのは、若い世代が払って、それでお年寄りのほうがたくさん使うというような、どうしても事態になってるということは事実であって、それを若い世代がこれ以上負担できるかなというようなことを考えて、全体をあの姿にしてみたというのが今の姿だと考えています。それについて、制度をつくるときも議論があり、その後、制度についての理解も、我々も求めてきたつもりでありますけれども、これについて現に「あ、聞いてなかったぞ」という人がたくさんいるということは、我々の説明不足も少しあったかなと。
 それから、全体として、与党も野党も政府も含めていろいろな手直しは必要だというふうに考えておられるようですから、その議論に我々も参加して、それで皆さんのお気持ちが何となくまとまり、それから制度が持続可能であるということになるようなものを日本国全体としてつくっていくということに我々も協力していきたいと、そんなふうに思っている次第であります。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 以上で、奥村規子君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時58分散会

このページの先頭へ