平成20年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(岸本 健議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後1時0分再開
○副議長(新島 雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 17番岸本 健君。
  〔岸本 健君、登壇〕(拍手)
○岸本 健君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 まずは、林地開発についてであります。
 先日、平成19年度分の不法投棄監視パトロールの実施の結果が出されました。和歌山県内で平成19年度に新たに見つかった一般廃棄物の不法投棄件数は2355件で、不法投棄の増加に撤去が追いつかない現状があります。一般廃棄物の主なものは、家電製品、廃タイヤ、家具、自転車などの粗大ごみが大半で、県内の保健所の地域別では、岩出保健所の管轄で628件と多く、県境の山間部に至る道路沿いや山林などと多くなっております。和歌山県内には、人目につきにくい山間部が多いため、県では、特に大阪府との府県境では県外から搬入されているものがかなりあるのではと見られています。しかしながら、特にこのような山間部は自然が豊かであり、この山々から生活のための水を得、今日に至ったと考えます。絶対に自然を守ること、それが私たちの生活を守ることであります。
 今議会に、紀の川市東山田地内の林地開発に伴う建設残土処分場建設における林地開発申請の許可を与えない旨の請願が提出されました。これは、昭和61年ごろから始まります。大阪の会社が、当初は総合レジャーランド建設を目的として、打田町所有地及び池田財産区所有地に無断で進入路を造成し、産業廃棄物を不法に投棄したことに始まります。平成7年には、奈良県内の会社が借地契約を結び、産業廃棄物処理場として計画書を県に対して提出しました。その後、残土による埋め立てに申請目的を変更し、平成11年には計画地への通行権を旧打田町及び池田財産区と争い、裁判までに発展した経緯があります。
 通行権については、最終的に平成15年、最高裁判所において、ミカン畑などの農作業ないしこれに準ずる農林業を営むに必要な軽自動車、耕運機程度の通行が可能な2メートルの限度をもって相当と認められたところでありますが、会社側の主張する残土処理目的の4メートルの幅員については、土木建設作業現場における土砂を対象とするもので、純然たる土砂に限られるとは考えにくく、周辺土地への環境面への影響が懸念され得るという理由で、明確に当時の判決が出されたところであります。現在は、2メートルの幅をとり、ガードレールを紀の川市が設置しています。
 このような状況で、今回の計画である残土処分建設場において2メートルの進入路で大量の土砂を運搬し、申請された工期でということは非常に考えにくく、私が調べさせていただいた結果、今回の申請においても和歌山県の林地開発許可制度事務取扱要領上必要とされているもので、地元関係者の同意等整っていなく、地元住民にとっては信頼しがたい状況であります。
 この計画地は、地元住民にとって直接生活に影響を及ぼす生活用水及びかんがい用水等の重要な水源地域であるとともに、災害の防止、環境保全等、高い機能を有する森林地域でもあります。もし、この計画が許可されれば、降雨時の土砂災害などの地元住民の生活が脅かされるのは確実であります。この計画については絶対に認めることができないものであると考えます。
 6月13日に紀の川市より、森林法第10条の2第1項の規定による開発許可についての意見書が提出されています。紀の川市は、この林地開発許可申請に係る計画に反対であり同意できないので、和歌山県においても本申請を不許可とすることを強く要請しますとあります。
 和歌山県長期総合計画では、「県民の命と暮らしを守る安全安心和歌山」とあります。この安心・安全を考えたときに、また、私は県民の生活環境の保全と県民生活の安全の確保が絶対であると考えます。本林地開発に伴う建設残土処分場建設に対して、これらとはそぐわないものであると考えます。これも、長期総合計画において「県民のための県政」とあります。その中には、「県政に関してわかりやすい情報提供を行うと同時に、意見を十分に聴き、県民の価値観や地域ニーズの多様化に適切に応えていきます」とあります。県の英断を求め、本件林地開発許可申請について、農林水産部長の見解をお伺いいたします。
 次に、ため池の防災対策についてお尋ねをいたします。
 午前中の山田議員の質問と重なるところもあると思うのですが、私からも質問をさせていただきます。
 先月の24日から25日にかけて、紀北地方で記録的な豪雨に見舞われました。和歌山地方気象台によると、降り始めからの総雨量は、紀の川市葛城山で142ミリを記録、岩出市では1時間に72ミリという時間雨量観測史上予想外の激しい雨を記録されました。県内で床下浸水が200、特に被害が大きかった岩出市中迫地区では87棟が床下浸水、また床上浸水が発生するなど各地で被害が相次ぎ、土砂崩れなどの被害が発生、鉄道は運休などでダイヤが乱れ、道路も通行どめが続くなど、市民生活に大きな影響が及びました。
 岩出市では、県が改修工事中の水栖大池で一部堤防の開削部から水が流出し、住宅や農地に被害が出ています。農地については、田植えなどに影響が出ることが懸念されています。また、紀の川市桃山町調月地区では、地区内にある2カ所の農業用のため池の堤防が崩れ、決壊するおそれがあるとして、25日午前8時10分、65世帯に避難勧告が出され、住民54人が調月小学校体育館に避難をいたしました。仁坂知事におかれましても、現地に足を運び、迅速に対応していただきましたことを感謝申し上げます。
 早朝より、地元消防団のポンプ車、それから後、国交省が所有する排水ポンプなどで池の水位を下げるなどの対策を実施。避難勧告は26日午前6時20分に解除されました。地元の消防団員や住民の皆さんはもちろん、県や市の職員の皆さんが協力しながら作業していただいたおかげであると痛感しています。幸い、桃山のため池については決壊は免れ、現在は復旧工事を行っていますが、堤防が崩壊すれば甚大な被害が出ていたと思われます。
 私たち清新クラブにおいても、先日、関係の各部及び振興局に対して、被災された方々の原状復旧のための十分な支援を早急に行うことと、被災した公共施設について早急に復旧を行い、あわせて災害に強い公共施設の整備を促進することを要望いたしました。
 私が今回、災害で特に気になりましたのは、県内にあるため池であります。ため池は、本来、農業用水、集落用水、また防火用水などを目的としたものであり、危険な急傾斜地や集落、住宅地の上部にも多く点在し、現在ではその役割を果たしたものもありますが、実際は大なり小なり活用しているものが大半で、地域にとってはなくてはならない施設であります。多くは江戸時代に、またそれ以前につくられたものもあり、老朽化している状態であります。それに、ため池の管理者が高齢化していることと減っていることもあり、ため池の管理もままならぬ状態であると聞きます。
 これらを考えたときに、今後30年以内に東南海地震が60%から70%の確率で、また南海地震が50%の確率で発生すると言われています。それと、平成18年3月に発表されました「和歌山県地震被害想定調査報告書」の中にも、東南海・南海地震の場合の予測では震度5強以上、また紀北に隣接する中央構造線による地震予測では、紀の川沿いの低地で液状化の危険度が高い上、震度6強から震度7となっております。阪神・淡路大震災の淡路島や新潟中越地震、能登半島地震でも、ため池の決壊による大きな被害が出たと報じられております。
 5月11日の「日本経済新聞」には、「日本は水の消費大国」、水不足を実感しないで済むのは食料を通じて水を輸入しているからとありました。比較的水が豊富と考えられている日本が、実は水を多く輸入しているというのです。水の輸入というと、ミネラルウオーターかなと思いましたが、それだけではなく、大量に輸入している穀物があります。穀物の生産には大量の水が必要で、穀倉地帯に降った水は穀物生産に使用され、その穀物を輸入しています。つまり、穀物輸入は水の輸入であります。もちろん、肉の輸入についても同様のことが言えます。牛や豚を育てるためには牧草や穀類を必要とします。そのためには、当然、水が必要であります。世界的な食料危機を考えたときに、食糧生産のための貴重な水源として、ため池を簡単に壊すこともできないとも考えられます。
 和歌山県下に平成19年度末で5549のため池があり、今回のような集中豪雨や地震などの災害によってため池が決壊し、県民の生活が脅かされることがあるのであれば、危険ため池として対処していかなければならないと思います。県は、関係の市町村と連携して早急に調査をしていただきたいと考えます。今回の岩出市と紀の川市における工事の復旧状況について、県内のため池の防災対策について、農林水産部長にお尋ねいたします。
 次に、府県間道路についてお尋ねをいたします。
 知事は、道路は行政の責任において整備すべき最も基本的な社会基礎であるとの持論のもと、厳しい財政状況にもかかわらず、就任以来、一貫して必要な道路の整備に力を注いでこられました。京奈和自動車道の一部完成、新宮那智勝浦道路、泉佐野岩出線のトンネルの完成など、着実に整備が進んでいます。また、歩道整備や交差点改良などの地道な道路整備の積み重ねもあって、昨年の交通事故者数は減となりました。
 和歌山県の道路は、大阪府県境から海岸線に沿って南下する近畿自動車道紀勢線を軸として、一般国道11路線、県道190路線、市町村道2万7811路線があります。しかしながら、県土の8割が山間部であることなどから、全国や近畿と比較すると道路整備はおくれています。具体的には、交通の動脈となる幹線道路の整備が十分でないため、通過交通が市街地に流入したり、特定の幹線道路に交通が集中することによって、相変わらず厳しい渋滞が発生しております。また、現在、県では企業誘致に積極的に取り組んでいますが、本県が関西国際空港に非常に近い優位性を生かしていくためにも、充実した高速道路網と一体となった幹線道路網のさらなる整備が必要と考えています。特に府県間道路のさらなる整備を優先すべきだと考えます。
 県民の安全を守るため、歩道などの整備を着実に進めていく必要があると考えます。道路財源の確保について、執行保留していた道路事業を進めることができたことは大変うれしく思いますが、道路財源の一般財源化や中期計画の見直しなど、まだまだ和歌山にとっては正念場であると考えます。私は、これからも積極的に道路網の整備を推進することにより、安心して暮らせる、知事が挙げる元気な和歌山が実現すると考えます。
 そこで、府県間道路についてでありますが、府県間道路ですから、和歌山側だけ整備しても意味がないと考えます。さらなる整備により、両府県の人の行き来がそれぞれを活性化させることだと思います。和歌山の農産物、紀の川市にありますめっけもん広場には、連日、大阪方面の車が多く並んでいます。また、世界遺産の高野山についても同様のことが言えると思います。
 大阪府の橋下知事が就任され、急激な改革に取り組む中、建設事業費を2割減とする大幅削減を目標に上げられています。和歌山県との道路に対しての温度差を感じます。仁坂知事は、橋下知事が当選してすぐに表敬訪問され、激励するとともに、橋下知事から、「行政経験は初めてなので御指導ください」と言われたと聞きます。観光や物産、産業などのプロモーションなど共通する課題に取り組んでいく方向で一致したということで、実際に大阪市内で行われた和歌山県の物産展に出席していただいたようでありますし、今度は府県間道路について強く要請をしていただきたいと思います。今後、大阪府への働きかけについて、知事の御所見をお伺いします。
 次に、仮称「紀泉連絡道」についてであります。
 和歌山県北部を横断する高規格幹線道路について、和歌山市から紀の川市を経由して橋本市に至る京奈和自動車道を、現在、鋭意整備中であります。しかしながら、和歌山県北部はもとより、五條市、御所といった奈良県西部の活性化を図るためにも、この京奈和自動車道から関西国際空港へのアクセス性の強化を図ることが不可欠と考えられます。
 関西国際空港と京奈和自動車道とのアクセス道路については、現在、県道である泉佐野打田線、泉佐野岩出線、鍋谷峠道路等の整備を進めているとともに、こういった各種道路計画を踏まえつつ体系的な道路整備を行っていくことが必要と考えます。このため、関西国際空港と京奈和自動車道とのアクセス道路の強化に向け、和歌山県、大阪府等の関係機関の協力を得つつ、平成20年度より新たに関西国際空港連絡道・京奈和自動車道関連道路網調査を進めることとしました。上記調査において、関西国際空港連絡線と京奈和自動車道打田インターチェンジ──仮称であります──とを結ぶ幹線道路を中心に検討を進めてまいりますという発表が5月8日に国土交通省より報告があったと聞いております。
 阪和自動車道上之郷インターから計画中の京奈和自動車道打田インターと約9キロを結び、仮称「紀泉連絡道」ができるのであれば、企業誘致、雇用拡大、農産物等の輸送時間の短縮等、和歌山県北部はもちろんですが、和歌山県にとって大きなチャンスであると考えます。ぜひともこの計画を推進していただきたく、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、JR和歌山線の活性化についてお尋ねをいたします。
 JR和歌山線は、1900年、紀和鉄道として五条─和歌山間が開通してから、紀の川筋の公共交通機関の中心として存在をしております。1975年をピークに、年間1978万8000人から、2007年には939万9000人まで、利用者が32年間で半分となりました。列車本数も運転本数も減少しています。特に現在、和歌山─粉河間と粉河─橋本間を比べますと、粉河─橋本間が1日13本少なく、和歌山線の赤字は南海貴志川線当時の年間の赤字以上の赤字を出しております。
 国鉄からJR西日本へと民営化しています。民間企業はボランティアではやっていけません。廃線やほかの交通機関への転換も考えられると思います。廃線だけには絶対にできないと。特に高校生の通学を考えますと、入試が全県1区でありながら電車がなければ選択肢が少なくなりますし、それこそ意味がなくなります。「廃線」という言葉が出る前に和歌山線を活性化しなくてはならないと、私は危機感を感じています。
 平成16年、南海電気鉄道は貴志川線からの撤退を表明しました。しかし、「貴志川線の未来を“つくる”会」を初めとした地域住民等の存続に向けた熱意を受け、県、和歌山市、当時の貴志川町が存続の枠組みとして必要な資金を負担し、運行業者を公募し、岡山電気軌道が選定され、和歌山電鐡が設立。平成18年度の利用者数が前年比10%増で211万4000人になり、平成19年度も同じ程度の利用者数の見込みであります。
 その後の貴志川線につきましては、毎月1回、貴志川線運営委員会が、和歌山電鐡、行政、学校、住民団体、商工会等で構成され、利用促進協議が行われております。また、貴志川線祭りも行われ、いちご電車、おもちゃ電車といった特色のある電車も運行されています。何よりも貴志駅の売店の猫「たま」が駅長に就任し、話題を呼んでいます。「たま」は、現在スーパー駅長に昇格し、駅長室も完成しました。また、フランスのドキュメンタリー映画の撮影も行われるなど、貴志川線の活性化に住民とともに活躍してくれています。私も貴志駅にいちご電車を見に行きましたが、他府県から貴志川線に乗車するために来られた方、駅長に会いに来た方が多くいました。本来、地域住民の通勤・通学の手段の存続であったものが住民の力でここまで成長してきたと考えます。
 JR和歌山線沿線には、すばらしい環境資源が多く、農産物があり、人を呼べる潜在的な能力があると考えています。JR西日本管内での「駅からはじまるハイキング実績」という調査が行われております。平成17年度には打田駅が第2位、粉河駅が第4位、18年度には打田駅が第3位、粉河駅第4位、19年度には粉河駅が第1位、打田駅が第2位と、年間の利用者数が管内で上位を占めております。特に19年度につきましては、粉河駅、打田駅とも、このハイキングの利用者が倍増していると。それだけ観光に適した地域であると思います。
 例えば、地元の農業生産者やJAと連携し、駅を活用し、その地域の農産物を売り出しをする、そして駅をつなぐ電車をフルーツ電車とするのも1つの方法だと考えますし、また、和歌山電鐡との連携したエリア切符をつくるなどあらゆる取り組みを行い、魅力ある和歌山線を構築し、将来にわたって地域住民に利用される努力を、JRはもちろんでありますが、和歌山県も関係の自治体も、この活性化のためにさらに努力をしていかなければならないと考えます。とにかく、地域住民を巻き込んだ活動をしていくことが重要であると思います。とにかく危機感を持って取り組んでいただきたい。
 これまでJR和歌山線の活性化のために取り組んできたことや、取り組みの予定の事業について企画部長にお伺いをいたします。
 最後に、中高一貫教育についてお伺いします。
 さきの議会でもありました中高一貫教育ですが、私は、県立高等学校に2年、中学校で7年間、教鞭をとらせていただきました。中学3年生の担任をさせていただいたときに進路指導の主任もさしていただきました。いろいろと悩むことが多くありました。ある日、保護者から連絡がありまして、中高一貫教育の学校へ編入させたいと。編入試験を受けて見事合格し、紀南の私立高校へ転校していきました。それだけ中高一貫教育に共感されたのだと思います。
 利点を考えますと、高校入試の影響を受けずに安定した学校生活を送れること、中学校から高校までの6年間でゆとりある教育を受けて幅広い教養と知識を身につけることができる、6年間という期間を使い効果的な一貫した教育が可能であること、生徒の個性や才能を発見して伸ばしていくこと、中学校1年から高校3年生までともに行動することによって社会性を身につけさせることなどが考えられます。
 現在の和歌山県の高校入試を考えますと、前期・後期入試制度によって子供の選択肢が広がるとか、チャンスが2回というふうには全くもって考えにくく、大半の子供にとっては初めての受験ということで精神的に不安にもなりやすく、和歌山の子供は大変な思いをしているようにも思います。これらのことを考えますと、中高一貫教育へと考えてしまうのかもしません。
 中高一貫校へ進学させたい、また、子供自身が行きたい、動機はさまざまでありますが、希望してる人はいます。私の住む那賀地方からも、私立、県立の中高一貫校に通う子供もいます。小学校を卒業したばかりでありますから、決して強靱な肉体が備わっているとは考えられません。単純に考えて、那賀地方から電車に乗って中高一貫校へとなれば、片道1時間はかかるでしょう。子供にとって大変なことだと思います。「うちの子はまだ体が小さいし、電車で行くのはかわいそうかな」、「生活が大変。子供の電車代がかかるから、行かせてあげたいけど無理かな」、「今は学校の数が少なく、合格するのは難しいので、うちの子は入れないと思う。早くふやして入学しやすくしてほしい」などの話を聞くことがあります。
 平成15年3月の和歌山県中高一貫教育推進懇談会の報告書を拝見しますと、中高一貫教育の設置形態及び配置では、「その配置に当たっては、県内すべての児童生徒に選択の機会が与えられるよう、これまでの各通学区域ごとの設置を目標としながら、当面併設型中高一貫教育校を中心として複数校設置することが適当である」と報告されております。また、「県内すべての児童生徒に選択の機会が与えられるよう」と報告されています。より一層の生徒の個性を伸ばすためにも、県内すべての生徒、保護者に機会を提供すべきではないかと考えます。
 しかしながら、現在、中高一貫校は、公立では和歌山市で向陽、それから桐蔭中学校があり、伊都・橋本地方には古佐田丘中学校、田辺・西牟婁地方には田辺中学校、御坊・日高地方には日高高等学校附属中学校、新宮・東牟婁地方には私立の一貫校があります。残念ながら、那賀地方にはありません。文部科学省では、中高一貫教育は、地域の実情や生徒、保護者のニーズを踏まえ、都道府県や市町村等の設置者の判断によって設置されるものですが、生徒や保護者が実質的に選択できるよう、当面、高等学校の通学範囲に少なくとも1校整備されることを目標としていますとあります。以前の学区のことを考えれば、そして中学生のことを考えれば、那賀地方を1つの学区と考え、1校あるのは当然とも思います。紀の川市、岩出市両市とも、この那賀地方に一貫校を設置することを熱望しております。
 和歌山県では、高等学校再編整備計画及び第1期実施プログラムに基づいて積極的に取り組んでこられたと思いますし、中高一貫教育を導入してから日がまだ浅いということもあります。地元中学校とのバランスもあると思います。たくさんの課題もあるでしょうが、12月議会で、川口議員の質問に対して、県内すべての地域の御要望を満たすまでには至らないと教育長も答弁されております。どうか、子供たちにチャンスを与えていただきたいと思います。今後の中高一貫校の開設の方針について、また現在、和歌山県中高一貫教育推進懇談会のような有識者による中高一貫教育について話し合いが行われているのか、教育長にお伺いをいたします。
 以上、お尋ねしまして私の質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの岸本健君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 御質問のうち、府県間道路についてお答え申し上げたいと思います。
 府県間道路についての今後の大阪府への働きかけについてでございますけれども、その働きかけの前に、この府県間道路というのは、関西の放射状道路の一部を形成する府県間道路と、それから関西大環状道路を形成する京奈和道路、この2つの組み合わせによって、紀の川流域といいますか、ひいてはそこからまたさらに和歌山県全体に影響が及んで関西都市圏の拡大、和歌山県の発展に必要な、必要不可欠な道路であると考えております。
 それで、最近というか、私が就任する前ですけれども、和歌山県側としては、このような考え方に基づいて割合工事も進めておる。ところが、大阪側が、当時からも財政が不如意であるので、大阪の南部の県境のあたりについては公共事業を抑制にするんだということを決めておって、なかなか進まない。そういたしますと、その中間を国に頼んで直轄でトンネルを抜いてもらうというようなプロジェクトもなかなか進まない。それで、こちら側ばっかりよくなっていっても、道はつながっていて初めて意味があるわけですから、うまくいかない。そういうことが起こっておりました。
 そのため、太田前知事のころから大阪府に対して大いに働きかけをいたしまして、府県間道路の整備について、かなり前向きに対処していただくということにいたしました。その考え方は、基本的には大阪というのは大阪府の中だけで小さくまとまってたら大阪自体の発展がないだろう、和歌山が取り残されるだけじゃなくて、取り残した大阪のほうもあんまり発展しないから、そういうところは大いに考え方を改めて、和歌山なども巻き込んだ発展をみずから構想しないといけないんじゃないか、こういうことをずっと訴えてまいりました。それで、太田さんもそれについて基本的には賛成をしてくれると。実は昨年の冬──冬の前ですね、秋ぐらいです、初めて大阪府と和歌山県が共同で国土交通省に対して、480号線ですけれども、その直轄事業としてのトンネル工事をやってくれということを共同でお願いに行ったと。それが実りまして事業採択に至ったわけであります。
 その後、太田さんが不出馬を決めて、橋下さんが大阪府の知事になりました。知事がかわってこの考え方がまたもとへ戻っちゃったら大変だという考えもありまして、大阪府の橋下さんが当選された後、すぐにアプローチをして、お祝いに行ったときに、このような運動を始めました。始めたときに、何も「府県間道路をつくってくださいね」と言うと陳情みたいなんで、哲学的な話をしなきゃいけない。哲学的というか、考え方の話をしなきゃいけない。その考え方の話としては、和歌山も大阪も大関西圏で勝負しないと東京に対抗できないじゃないかと。大阪府の知事というのは、その関西全体の盟主なんだから、大関西圏でいつも発想するようにしてもらいたいと。一例を挙げれば、和泉山脈で道路がふさがっているというのは大阪のためにはよくないと思うと。それから、いろんなプロモーションも一緒にやったらいいと思うというようなことを申し上げました。その考え方については極めて賛成だと。その後、橋下さんは道州制なんかにも大変賛成だし、関西全体がまとまってということについては、いろんなところでその考え方を変えていないというふうに思います。御指摘のように、和歌山県の物産展も大阪の業者が一方の当事者なんだから、それは応援に行こうといって来てくれました。
 ただ、その後、またいろいろ話をしておりますと、財政再建──大阪の財政が、候補者であったときにこんなに大変だとは思わなかったというふうに言うておりまして、そっちを片づけないといかんということで、皆さん御承知のような動きになってるものと理解しております。その動きの中で、財政再建はもちろん大事なんですけれども、大関西圏で発想しようという考え方を、財政再建なるがゆえに放棄したとは私は考えておりません。ただ、その際に実際に使えるお金が減った。それで減ったときに、具体的にこの箇所づけがどうなったかということについて、少し我々も心配するとこがありますので、したがって、そういう点についてはまた改めて、その大きな考え方のもとに、現実の手段として、これは大事なものだからぜひ考えてくれよということは引き続き申し上げていかないといけないと思っております。
 ただ、今のところ、事務的に大阪府のグループと最近とみにうちの県土整備部は協力関係を引いておりまして、そういう点では、その流れがおかしくなってるというようなことは全然聞いておりませんけれども、一般論として、また注意をして、折に触れて本県の重要性も訴えていきたいと考えております。
 それから、いわゆる紀泉連絡道でございますけれども、今年度から、議員御指摘のように、国土交通省において、関西国際空港と京奈和自動車道とのアクセス道路の強化に向けて、幾つかの関連道路網が構想としてありますので、それについての調査を実施するということになっております。その中で、関西国際空港連絡線と京奈和自動車道の打田インターを結ぶ幹線道路の調査検討もメニューの中に入っていて、それで検討が進められるというふうに聞いております。
 関西国際空港と紀北地域というのは、切っても切れない、あえて言うと、紀北だけじゃなくて和歌山県全体としても切っても切れない──それをどうやって和歌山県の中で、和歌山県の発展であり、それから関西全体の発展につなげていくかというのは、我々にとってかなり大きな政策目標の1つだと考えております。そういう意味で、それをあらわしている構想でありますので、大変有意義なもんだというふうに思います。
 今後、大阪府なんかとも連絡をとりながら、国の調査に、これは積極的に協力していかないかんというふうに思っている次第であります。
○副議長(新島 雄君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 林地開発とため池の防災対策の2点についてお答えをさしていただきたいと思います。
 まず、林地開発の許可についてでございますが、地域森林計画の対象森林の中で、1ヘクタールを超える開発を行う場合でございますが、森林法第10条の2の第1項の規定に基づきまして都道府県知事の許可が必要ということになっております。また、第2項で、その許可基準として4項目が決められてございまして、災害の防止、水害の防止、それから水の確保、それから環境の保全という基準が定められてございます。また、申請がございました場合には、第6項によりまして市町村長の意見を聞くということになってございます。さらに、本県におきましては、林地開発行為の適正かつ円滑な実施を図っていくということから、地元関係者の同意等を整えるということを内容といたしました県の林地開発許可制度に係る事務取扱要領を定めてございます。
 今回、議員お話しの件につきましては、平成20年、ことし去る3月4日に申請書が県のほうに提出をされまして、その後、県といたしましては、紀の川市に意見照会を行ってございます。そして、去る6月の13日に紀の川市から県に意見書が提出されてございます。
 今後、紀の川市から提出されました意見書を、その内容を十分吟味をいたすとともに、先ほど申し上げました森林法の許可基準並びに県の林地開発許可制度の事務取扱要領等に基づきまして厳正に審査をし、対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、ため池の防災対策についての2点でございますが、まず岩出市、紀の川市における工事の復旧状況についてでございます。
 5月24日から25日の和歌山県北部を中心とした豪雨におきまして、岩出市内で県が実施しているため池工事場所からあふれ出した雨水により浸水被害が生じたものでございまして、被害発生後、直ちに池の中にある仮堤防を補強いたしまして、今後の降雨に対応できるよう緊急な処置を行ってございます。また、開削箇所につきましても、6月9日に復旧をさせてございます。今後、再発防止を徹底いたしまして、工事の完成に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
 また、紀の川市桃山町の桜池、松池につきましては、ため池ののり面が崩壊をし、緊急避難という予期せぬ事態が発生いたしてございます。
 現在の復旧状況でございますが、紀の川市におきまして応急の仮工事の工法決定を行いまして、上流側の桜池につきましては、ため池の水位を下げるための放流管を設置するとともに、大型土のうによる堤体仮復旧工事を完成させてございます。また、下流側の松池につきましても、堤体の仮復旧工事を現在実施をしているところでございまして、6月末には仮復旧が完成する予定というふうにお聞きをいたしてございます。
 次に、県内ため池の防災対策についてでございますが、農業担い手の高齢化、あるいはその担い手の不足、都市化による受益地の減少等によりまして、ため池を適正に維持管理していくということが困難な状況になってもきてございます。このようなことから、地域防災計画において警戒が必要と位置づけられたため池、それから地震発生時に下流域に甚大な被害、影響が懸念される大規模なため池、それら420カ所につきまして、平成16年、17年において現地調査による1次診断を実施いたしてございます。このうち、特に危険度が高いと判定をされました45カ所についてはボーリング調査を実施し、2次診断を行ってございます。これらの結果をもとにいたしまして、水利組合や関係市町村と十分協議を行いまして、順次改修に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 また、ため池につきましては、堤体の侵食とか漏水などの状況を早期に発見するということが未然の被害防止につながるということから、今回を教訓にいたしまして、日ごろの点検、監視につきまして、市町村を通じ、水利組合などの管理者に対し一層の周知徹底を図るなど、積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) JR和歌山線の活性化についてでありますが、沿線の4市1町で構成され、JR西日本と県も参加する和歌山線活性化検討委員会におきまして、これまで沿線PRガイドの作成や街頭啓発、それから駅舎の利活用など、その活性に取り組んできたところであります。
 本年度は、特に無人駅舎の利活用の検討を行うほか、車中心のライフスタイルを見直していただき、公共交通機関を積極的に利用していただけるよう沿線住民の皆さんに働きかけて、地域ぐるみでの取り組みを促進してまいりたいと考えております。
 また、あわせまして、公共交通の利用促進に対する企業や団体等の意識の高揚を図ることが必要であると考えておりますので、県では、本年度から、公共交通の利用促進に積極的に取り組んでいる企業や団体を認定する制度を新たに創設し、現在、商工会議所等を通じた呼びかけや、一部個別企業訪問などを通じ募集を行っているところでございます。
 なお、議員から御提案のありました中で、フルーツ電車というアイデアにつきましては、JR西日本がフルーツをイメージした列車の運行をメーンとする和歌山線キャンペーンというのを来年の春に計画していると聞き及んでおりますので、県といたしましても、今後、地元自治体や住民の皆さんの参加を求め、こうしたJRの試みを支援してまいりたいと考えております。
 今後とも、JR西日本及び沿線自治体とともに、和歌山線の活性化に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(新島 雄君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 本県における中高一貫教育につきましてお答えいたします。
 平成14年度の和歌山県中高一貫教育推進懇談会や、平成15年度の第4期きのくに教育協議会等で審議をされまして、県立高等学校再編整備計画の第1期実施プログラムなどに基づいて推進をしてまいりました。
 現在、中高一貫教育校につきましては、連携型を3校、併設型を5校設置しておりまして、設置率としては全国的にも非常に高い設置率となってございます。
 和歌山県中高一貫教育推進懇談会のような有識者による会につきましては、現在設置しておりませんけれども、今後は、既設校の教育内容やそのあり方につきまして評価、分析を行い、その結果を踏まえ、地元の市町村や学校等の意見もお聞きしながら、今後の県立高等学校再編整備計画の中で総合的に検討してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
 17番岸本 健君。
○岸本 健君 大変丁寧に御答弁をいただきまして、ありがとうございました。
 1点だけ要望であります。一番初めにお尋ねいたしました林地開発についてでございます。
 ちょっと聞いたところによりますと、森林法でいろんな諸事情がクリアされた場合に、もう1点、その和歌山県の林地開発許可制度事務取扱要領というものも審査されると。これにも重きを置いていただきたいと。この要領に出される、5つほど書類があるのかな、その中身というのが、本当に地元の皆さんの同意、意見、願いが込もったものであると思うんです。これにも重きを置いていただきたい。ちょっと聞いたら、森林法が丸になったら、それで通れば、余りこれは重きを置かないということもちょっと聞いたりもしたもんですから、それが非常に心配で、やはりすべてにおいて県民の本当に安心できるような地域のために御審議をいただきたいと。これはもう要望でありますので、どうかよろしくお願いします。
 はい、終わります。
○副議長(新島 雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で岸本健君の質問が終了いたしました。

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