平成20年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

平成20年6月
和歌山県議会定例会会議録
第2号
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議事日程 第2号
 平成20年6月18日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第78号から議案第89号まで、並びに報第1号から報第8号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第78号から議案第89号まで、並びに報第1号から報第8号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(46人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 川口文章
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 16番 下川俊樹
 17番 岸本 健
 18番 尾崎太郎
 19番 藤山将材
 20番 新島 雄
 21番 山下直也
 22番 井出益弘
 23番 宇治田栄蔵
 24番 多田純一
 25番 中 拓哉
 26番 角田秀樹
 27番 江上柳助
 28番 山田正彦
 29番 坂本 登
 30番 尾崎要二
 31番 中村裕一
 32番 服部 一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 藤本眞利子
 36番 長坂隆司
 37番 玉置公良
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        原 邦彰
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      森 崇
 総務部長       小濱孝夫
 企画部長       前硲健作
 環境生活部長     井口悦治
 福祉保健部長     井畑文男
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      雑賀忠士
 教育委員会委員長   樫畑直尚
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員長   大岡淳人
 警察本部長      鶴谷明憲
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     垣平高男
 選挙管理委員会委員長 山本恒男
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       蓬臺孝紀
 次長         東岡誠吾
 議事課長       薮上育男
 議事課副課長     土井敏弘
 議事班長       田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      石垣悦二
 議事課主査      瀧川泰治
 総務課長       笠松 学
 調査課長       佐本 明
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  午前10時1分開議
○議長(中村裕一君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第78号から議案第89号まで、並びに知事専決処分報告報第1号から報第8号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 28番山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕(拍手)
○山田正彦君 おはようございます。
 平成20年6月定例議会の一般質問の先陣を務めさせていただけるチャンスを与えていただきました。先輩・同僚議員の格段の御配慮に対して、心から御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 まず、この前、先日起こりました岩手・宮城内陸地震で大変な被害が発生しました。10名の方が亡くなり、12名の方がまだいまだに行方不明ということでありますが、被災に遭われた地域の方々に心からお見舞い申し上げたいと思います。
 一般質問に入らしていただきますまずその前に、各議員も既に御承知のことと存じますが、昨年12月定例会において、「地方議会議員の位置付けの明確化に関する意見書」を議決されました。それ以来、全国都道府県議会とともに、我らが中村議長もその先頭に立って国会議員に対して署名活動するなど、各種要請活動にお取り組みをいただいたおかけで、去る6月10日、衆議院本会議でその案件が議決され、また翌11日、大変厳しい政治情勢の中でありながら──11日と申しますと、福田総理が問責決議を受けた日でありますが──その参議院本会議でも議決され、地方議会議員の議会活動の範囲の明確化に向けての地方自治法の一部を改正する法律案が成立いたしました。その間、特に二階俊博自由民主党総務会長を初め、石田真敏自民党副幹事長、それから県選出国会議員の先生方には、それぞれ要所要所、大きな御尽力をいただいたことを御報告申し上げ、この場をおかりして厚く御礼を申し上げたいと思います。
 今日に至るまでの間、我が和歌山県にあっても、歴代議長の御苦労に対し、我々議員全員が感謝しなければならないと思います。また、急転直下、今回改正案が成立されましたのも、今までの国に対する要望活動だけではなく、政権与党国会議員の有志による議員提案として対処していただきました。そのおかげであろうと思いますが、その道筋をつくっていただいたのは、今のこの中村議長であります。中村議長の大変な御心労もあったかと思いますが、お疲れさまでございました。心から御慰労を申し上げます。
 今後は、我々議員は議会改革検討委員会を中心にして会議規則の改正等をすることになろうと思いますが、我々県議会議員も議会活動や諸活動により一層の責任を再確認し、私たち自身も大いに議会改革に取り組んでいく中で住民の期待にこたえていかなければならないと強く思っているところであります。
 それでは、通告に従い、順次質問させていただきます。
 まず初めに、平成21年度国の施策及び予算に関する提案・要望等について知事の考え方をお伺いしたいと思います。
 今年度は、和歌山県長期総合計画の計画年度の初年度に当たります。知事は、本県の目指す将来像である「未来に羽ばたく愛着のある郷土和歌山」を実現するため、重点的に取り組むべき施策として新政策を定め、鋭意御努力されておりますことは、議会としても、また私も県議会議員の1人として、どのような施策で本県をどのような方向に導こうとされているのか、知事の動向を注視している1人であります。
 知事は、既に平成21年度国の施策及び予算に関する提案・要望を取りまとめられ、県選出の国会議員を初め、総務省、厚生労働省など各省庁、関係省庁に対して精力的に要望活動を実施されているとお伺いしております。
 提案・要望の内容については、我々議員も見させていただきましたが、あらゆる施策実施の基礎となる地方税、財源の確保充実など、県民生活に直接直結した切実な要望が盛り込まれております。和歌山県も、他の多くの自治体と同じく、財政状況が非常に厳しく、知事は見直すべきものは見直し、また厳しい財源をやりくりしながら、目指す将来像に向かって日々御苦労されていると思いますが、いま一度、今回の提案・要望の編成作業を進めるに当たっての知事の思いをお伺いしたいと思います。
 次に、広域連携の推進についてであります。これもまた、知事の御所見をお伺いしたいと思います。
 和歌山県長期総合計画では、関西圏はすぐれた歴史・文化遺産を持ち、人口やGDPではヨーロッパの中規模国に匹敵するほどの規模を有するなど、数多くの特色を持つ地域でありながら、ネットワークでつながっていないため、地域全体としての魅力を十分発揮できていないと指摘されております。私もそのとおりだと思っておりますし、こういった観点からも、府県間道路の整備促進も県当局に訴えてきたところであります。
 関西圏全体の発展のため、とりわけ和歌山県の発展のためには、公共ネットワークのインフラ整備はもとより、防災、環境、観光、医療分野など広域的な視点に立って、関西の府県が連携をとって取り組むことが必要であります。その意味で、関西の自治体と経済団体で構成する関西広域機構を設立し、広域課題の解決に取り組んでいるということは、大変意義のあることだと思っております。
 さて、現在、関西広域機構において、これまでの取り組みを一歩前へ進めて、地方自治法に基づく特別地方公共団体である広域連合制度の活用の議論が進んでいるとお伺いしているところでありますが、私は、今回の議論には、広域行政の効果的な推進という観点では大いに期待しておりますが、それに加えて、広域連合を国からの事務権限の移譲の受け皿とすることで将来の道州制へのステップにしようという意向もあるのではないかと感じております。私自身、この道州制については多少の異論を持っております。
 そこで、知事、広域連合設立の意義など、この問題に関する考え方をお伺いいたします。
 次に、情報基盤整備について企画部長にお伺いいたします。
 今回の政府要望にも、地上デジタル放送への円滑な移行という項目が盛り込まれております。これは、2011年、平成23年7月までに、地上テレビ放送がデジタルに完全移行するということで、和歌山県の場合、その難視聴対策が喫緊の課題となっていますから、国の責任による対策を要望するのは当然のことだと思っております。
 また、その他の情報通信手段についても、平成19年末現在の総務省の調査によれば、全国的には54.7%の世帯が高速ブロードバンド回線でインターネット利用されていて、また、携帯電話の普及率も78.7%に達しているとお伺いしております。こういった数字を見ますと、インターネットや携帯電話も今や日常生活に欠かせない情報ツールになっています。これに対し、和歌山県の状況はどうかというと、それぞれが44.5%、69.7%と、全国平均から10%程度低い数値になっております。
 昨年度、例えば私の地元の紀の川市で、デジタルデバイトと言われている地域約950世帯を対象にして、県、市と一体となった取り組みの中で、光ファイバーケーブルを整備されました。情報基盤の整備も少しずつ進んでいるように思いますが、やはりまだまだ県内には携帯電話や高速インターネットを使いたくても使えない地域がたくさんあるのが現実であろうと思います。
 今どき、テレビが映るのは当然のことでありますし、携帯電話が使えたりブロードバンドが利用できる環境整備は、県民生活とともに、地場産業の活性化、企業誘致や観光振興、あるいは地域間交流を進めるための必要条件であります。今後、和歌山県として、こうした情報通信格差を解消するためにどのように取り組んでいかれるおつもりなのか、お尋ねいたします。
 次に、岩出市に水栖大池というのがありますが、そこからあふれた水による浸水被害についてお伺いいたします。
 先月、5月24日から25日にかけて紀の川筋において局地的な豪雨があり、特に岩出市では時間雨量72ミリという集中豪雨がありました。この雨により、県で実施しておりました県営ため池等整備事業、水栖大池の工事現場から水があふれ出し、下流の住宅団地46戸、農地約3ヘクタールに及ぶ浸水被害が発生したものであります。
 過去の計測値によりますと、岩出市で平成7年、5月としては時間雨量35ミリというのが最大記録としてあるそうでありますが、想定外の豪雨でその対策が間に合わなかったというふうにお聞きしていますが、直接的には、今回の工事で池の堤が開削されていた──大きくカットされていたということなんですが──そういうために、一時的な雨水があふれ出したことによる浸水被害であります関係で、これは自然災害とはいえ、結果責任として県がその責務を速やかに果たすべきであると思います。
 私も、事故直後、すぐ現地に行って被害状況を確認いたしました。知事も、被害が発生した当日、早速現地に行って、被害の大きさやその被害に遭われた方々と直接お会いいただいて、原状回復を約束されたとお聞きしていますが、被害状況の迅速な把握と敏速な対応をされているのかどうか、その進捗状況を農林水産部長に、また結果責任として、県は補正予算を組んでの対応となると思うんですが、いずれにいたしましても、被害に遭われた方々の一刻も早い原状回復を最優先に対応すべきと望むものでありますが、知事の考え方をお伺いしたいと思います。
 次に、回収困難となった高度化資金のことについてであります。
 さきの2月議会におきまして継続審査となっております、中小企業高度化資金に係る5組合、26億4200万円の権利放棄の件でありますが、当局の説明では、担保物件等、組合資産をすべて売却し、連帯保証人及び相続人の資産調査を実施して回収可能な資産等はすべて回収した案件であると我々説明を受けておりましたが、貸付金額に対して債権放棄額が非常に大きいことから、慎重な審議を要するため継続審査になったものであります。
 2月議会以降において、県当局が一連の貸付手続の精密な調査を行うと聞いておりましたが、その後の状況について商工観光労働部長にお伺いいたします。
 最後に、公共調達制度改革についてであります。
 県当局は、過去の一連の不祥事を払拭すべく、平成19年1月に和歌山県公共調達検討委員会を設立し、平成19年6月、公共調達制度改革なるものを発表して以来、不良不適格業者の排除、工事における品質の確保、県内優良業者の育成を柱にして、入札参加資格審査を新業者審査制度によりランク分けをして、いよいよこの6月から、原則すべて条件つき一般競争入札が実施されることになりました。
 我々自民党県議団も、当時から私もそのメンバーの1人に加えていただき、吉井議員を座長とする自民党公共調達検討委員会を立ち上げ、各議員のおのおのの地元業者、建設業者やあらゆる業者からの数多くの御意見や要望をお聞きしながら、また議員として独自のいろんな提案を積極的に申し上げながら、当局とのたび重なる協議をしてまいりました。結果として、パブリックコメントとして取り上げられた、幾つか採用された部分もありますが、総論としては、我々検討委員会としても余り大きな意見の相違はなかったかと、そう思うんでありますが、各論といいますか、実際に際しての運用面では、まだまだいろいろ意見、見解の相違があることは事実であります。
 が、しかし、実施されるということは、もう既に6月からという、決まっておりますので、議会としては当分見守るしか手はありません。が、しかし、今後、不都合が生じないとも限りませんし、また、その時々の状況を検証し、我々検討委員会とも柔軟に対応、協議していただき、弾力的に運用すべきことを強く望むものでありますが、県土整備部長に新公共調達制度への取り組みについての考え方をお伺いして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの山田正彦君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいまの御質問のうち、まず第1に、平成21年度の国の施策及び予算に関する提案・要望等についてお答え申し上げます。
 和歌山県長期総合計画の目指す将来像の実現に向けて、毎年度、本県がどういうふうにやっていったらいいか、そういうような検討を行うために新政策というプロセスを導入しておりまして、今年度も春先から全庁挙げて議論を行っております。それを分類いたしますと、自分でやることと、それから国に頼まないといけないことと、その2つが当然あるわけでございます。その中で、国の支援協力あるいは制度改正、そういうものについてお願いをしようといたしますと、国における検討のタイミング、それと合わして効果的にやっていかないといけないということでございます。
 したがって、この新政策、最終的には県議会におかけする条例や予算ということにつながっていくわけでございますけれども、それを待っていては手おくれになりますので、先に国に対する要望だけは取り出しまして、それで、このタイミングで国に対して要望活動を積極的にやってきているところでございます。
 今回の要望活動におきましては、できるだけ具体的な内容で要望しまして、あるいは我々もよく考えて提案をして、地方の直面する課題を切実に訴えてまいったつもりでございます。
 内容は、県議会の皆さん、それから一般にも公開しておりますが、県行財政の継続に重要な、例えば県行財政の継続に非常に重要な地方税財源の確保・充実とか、そういう一般論、それから個々の話、両方入れております。それで、前者につきましては、我々は、行革プラン、新行革プラン、次々に実施してまいりました。それで、まあ何とか、大きな波が来なければ、努力すれば乗り切れるかなという計画は立てておりますけれども、もうぎりぎりのところでございます。したがいまして、和歌山県は、県当局だけじゃなくて市町村もあるし、他県のことを言うとはばかられますけれども、和歌山県よりももっと大変な県もあります。そういう意味では、どうもこの地方財政について抜本的な財源の確保・充実をお願いしないと、もうもたないんじゃないでしょうかというようなことを訴えてまいりました。
 次に、各論になっていきますけれども、道路整備に関しましては、都市部が先行されて地方への投資はやっとこれからという状況にあることを指摘した上で、近畿紀勢線をすさみまでとか、あるいは京奈和自動車道について、平成27年国民体育大会まで県内で全線供用をぜひお願いしますというようなことをお願いをし、本県の発展の基礎となる道路整備を早期に進めるべきことを強く訴えてまいりました。
 また、地上デジタル放送の移行につきましては、国の責任において対策を講ずべきであるという原則を改めて主張するとともに、県内すべての難視地域の解消について着実に支援をしてくれ、というようなことをまとめております。
 国の制度設計が県財政あるいは県民生活に直接大きな影響を与える医療・福祉分野におきましては、特に介護労働者確保のための介護報酬のアップ、あるいは、現在大議論になっております長寿医療制度の見直しに当たっては、それが見直しされるとしても、地方自治体の負担を「はい、じゃ、やってください」というふうにこれ以上負担をかけられると、もうせっかく行財政改革やってるとこがまた吹っ飛んでしまうので、そういうことのないように、地方自治体に新たな負担を増加させないようにぜひ設計をしてくださいというようなことをお願いしてまいりました。
 このほかにも、県民の安全・安心を確立するために至急対応すべき東南海・南海地震対策、あるいは公立小中学校の耐震化、地球温暖化防止の推進、中国市場開拓支援のために知的所有権制度を守ってくださいとか、あるいは、検疫についてよろしくお願いしますとか、そういうような県政のあらゆる分野にわたって必要な要望をしてきたところでございます。
 元気な和歌山を実現するためには、どの項目も私は大変重要なものであると思っております。今後とも継続的に働きかけを行ってまいりたいと考えておりますので、議員の皆様には、どうぞ要望項目の実現に対して一層の御協力と支援を賜りまして、それぞれの立場で御尽力いただきますようにお願い申し上げたいと考えております。
 続きまして、広域連携の推進についてでございます。
 現在、関西広域機構において検討しております関西広域連合には、第1に関西における広域行政を効果的、戦略的に推進することを、第2に国の事務・権限の移譲の受け皿としての役割を担うことを期待していることは事実でございます。
 議員御指摘のように、検討に参加している府県、例えば知事さんとか当局、あるいは財界人の中には、広域連合に国から事務・権限の移譲を受けて、それで実績を積み重ねることで将来の地方分権型道州制につなげようと考えているところもあるようであります。しかし、このことが必ずしも共通認識になってるわけではありません。
 私は、関西の各地域が豊かな個性を連携しながらスケールを広げ、首都圏と異なる多様な価値が集積する日本のもう1つの中心核として関西圏が発展していくことが大事であり、それがまた本県が発展していくためには不可欠であると考えておりまして、積極的に議論に参加していきたいと考えてきたところです。
 今後とも、本県といたしましては、広域的な課題を解決することで元気な関西圏づくりにつなげていくという、それ自体大事な観点から積極的に議論に参画してまいりたいと考えております。
 次に、水栖大池につきましてでございます。
 岩出市からのこれにつきましては、要請もありまして、老朽化したため池の堤体改修を行う、それから地域住民の憩いの場としてうまく活用する、そういうことで平成18年度から21年度を工期とする県営事業として実施しております。
 今回の工事は、ため池の設計指針に基づき行っておりましたが、5月という雨の少ない時期だと思っておりましたところ、指針の想定を上回る予想外の降雨がありまして、工事による開削部──これは、V字的にこう切って、下のところで利水のためのパイプを改修してたわけですが──その開削をしているところから雨水があふれ出しまして、結果的に下流に被害を及ぼすことになったものでございます。私も、「ああ、これは大変だ」ということで、被害の重大性を認識しまして、浸水被害の発生当日、現地に赴きまして応急処置の指示を出し──これはため池だけじゃなくて根来川なども含まれますが──これに万全を期すような指示を出すとともに、被害を受けられた方々と直接お会いいたしまして、それで議論をさしていただきました。
 一般論を申し上げますと、本件のような議論は、法律論を申せば、多分、その天然災害による不可抗力の部分というのが考慮されて、全額補償というのはなかなか難しいのかもしれないというふうなことは思います。しかしながら、これは何といっても、県が工事をしていた、開削をしていたことに伴って実際に起こったことでございますので、したがって、県としては原状回復はお約束するというふうに、もう、ちょっと勇気を持って私は申し上げました。それで、本工事は県営工事でありまして、工事の指導監督の立場から、現在、浸水被害に対して、岩出市など関係機関の協力を得ながら全力を挙げて原状回復に取り組んでいるところでございます。
 私も現場へ行って、いろいろ聞きました。職員は被害を食いとめるために走り回って、夜通し走り回って、関係業者なども動員して、まあ頑張りました。しかしながら、予想外の災害ということも、予想外の降雨量ということもありまして、結果的には見通しが甘くて、近隣の方々に迷惑をかけたということでございます。このことと、それからその補償も入れますと、これはまた県全体に対して財政的な損害をかけたということでございますので、私は県当局を代表して謝罪を申し上げないといけないというふうに思っております。
 これにつきましては、個々の方々と原状回復の話し合いを今やっておりまして、これを鋭意進め、結果的にかかったお金につきましては、財政全体を見ながら、また補正予算等々お願いせざるを得ないかと思いますが、大変当局として申しわけなかったと思っております。今後、こうしたことが二度と起こらないように再発防止──今回のことを教訓に生かしまして、いろんな想定をちょっと強くするとか、それからこういうときはこうなるぞというようなことをマニュアルなどに十分残して、同じような被害が二度と起こらないように頑張ってやっていきたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) 情報基盤整備についてお答えをいたします。
 議員御指摘のとおり、今や、テレビ、携帯電話、インターネット、これはもう社会生活のために欠かせないものとなっておりまして、県といたしましても情報通信格差の是正を喫緊の課題として取り組んでいるところでございます。
 まず、テレビのデジタル化につきましては、国の責任による対応、これを原則としつつ、これまでの県、市町村などの取り組みをさらに円滑に進める目的で、難視予想地域ごとの対策と対策時期の目安を取りまとめた地上デジタル放送難視解消ナビゲーターというものを本年5月に公表したところでございます。現在、対策がまだ未定の県内399カ所、2万6736世帯の難視予想箇所につきましては、市町村と連携して早期に具体策を確定するように取り組み、対策の実施に当たっては国の支援を要望してまいりたいと考えております。
 また、携帯電話不感地域につきましては、携帯電話つながるプランというものを平成19年3月に、インターネットにつきましては、ブロードバンド基盤整備5カ年計画というものを平成18年5月に策定いたしまして、それぞれ平成22年度末を目標として積極的に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、地上デジタル放送、携帯電話、ブロードバンド整備、これにつきまして各プランを強力に推進し、完全デジタル元年と言われる平成23年にはすべての県民が地域間格差なく情報通信の恩恵を享受できるよう全力で取り組んでまいります。
○議長(中村裕一君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 岩出市のため池からあふれ出た水によります浸水被害となりました降雨につきましては、先ほど議員お話しのように、3時間で130ミリ、時間雨量では72ミリという記録的な集中豪雨でございました。この豪雨による被害の状況につきましては、被害が想定される地域の192戸に対しまして聞き取り調査を行ってございます。その調査によりますと、浸水による被害件数は46件、うち床上は2戸、床下は27戸、また自動車やバイクの浸水被害が37台と、さらにそのほか農地の被害等2.9ヘクタールなどとなってございます。
 県といたしましては、振興局内に対策プロジェクトチームを編成いたしまして、被害が起こりました5月の25日の早朝より、まず応急対策に全力を挙げて取り組んでございます。例えば、仮住居の確保や浸水家電の点検修理、それから浄化槽等のくみ取り、また床下の消毒・殺菌、それから、ことしの田植えができるような農地の復旧作業を行ってございます。
 現在、原状の回復に向けまして、被害に遭われました住民の方々との話し合いを鋭意精力的に進めているところでございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 回収困難となった高度化資金についての御質問にお答えいたします。
 今議会におきまして、引き続き高度化資金並びに設備近代化資金に係る権利放棄の議案をお願いしているところでございますが、県民の貴重な税金を投入した融資がこのような結果を招くことになったことに対しまして真摯に受けとめてございまして、改めまして深くおわび申し上げる次第でございます。
 議員御質問の高度化資金における2月議会後の取り組みにつきまして、御説明をさせていただきます。
 貸し付け手続及び貸し付け審査の適正執行につきましては、案件ごとに貸付事務要領に基づく一連の手続の妥当性に着眼し、審査体制や診断方法等を再確認するとともに、当時の関係職員への事情聴取を加えて実施したところでございます。
 再調査結果につきましては、審議を付託されている常任委員会の場で詳細に御説明をさしていただきたいと考えておりますが、事業計画の提出から貸し付け実行までの一連の手続を審査したところ、全体を通して県の規則等に違反した事実は確認できませんでした。また、組合の総勘定元帳にせんべつとして、県庁職員3名、合計15万円との記載がございましたので、組合側6名及び平成8年4月1日付で人事異動のございました県職員9名からヒアリングを実施しましたところ、本当に渡したかどうか、及び該当者は確認できませんでした。
 県といたしましては、政策金融という制度を考慮しつつ、今後とも貸し付けにつきましては、事業計画の妥当性及び貸付金額の正当性等はもとより、利益相反的な取引が含まれるおそれのある案件につきましては、とりわけ厳正な審査を行い、また債権保全につきましても、不動産鑑定等による評価を受けた担保の徴求を行えるよう、貸付事務要領を改正し、貸し付け実行することと考えてございます。
○議長(中村裕一君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 新公共調達制度への取り組み姿勢につきましてでございます。
 今月から、建設工事及び建設工事に係ります委託業務につきましては、原則、すべて条件つき一般競争を実施しているところでございます。この条件つき一般競争を導入するに当たりましては、不良不適格業者の排除、品質の確保、県内優良業者の育成の観点から、新業者評価制度の導入、最低制限価格等の算定方法の見直しなどを行ってまいりました。
 また、これらの制度につきましてはパブリックコメントを実施するなど、広く県民、事業者、そして県会議員の皆様方からの多くの意見をちょうだいして、その内容を十分精査し、反映したものであります。
 今般、これら制度の円滑な実施に向けまして、問題点の把握とその解決を図るために新公共調達制度推進委員会を設置したところでございます。
 今後とも、県議会を初め、県民、事業者の皆様方から制度につきましての御意見等を幅広くお伺いするとともに、さまざまな角度から入札の実施状況を検証、評価いたしまして、議員御指摘のように、必要に応じまして制度の改善を行うなど、よりよい制度となるよう取り組んでまいる所存でございます。よろしくお願いいたします。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 28番山田正彦君。
○山田正彦君 いろいろ申し上げましたが、精力的によろしくお願いしておきます。
 1点だけ要望といいますか、皆さんにも御認識をいただくなり、県当局に要望しておきたいと思うんですが。
 水栖大池の災害の日、5月24日から25日の日、同じく紀の川市の桃山町というところで、利水用のため池、松池、桜池というのがあるんですが、これも岩出へお見えいただいたとき、知事もいち早く現場へ来ていただいたということで、ありがとうございました。
 それは、岩出では72ミリという雨だったんですが、桃山も1日当たり168ミリ、あの当時の時間当たり37ミリという、それこそ集中豪雨も発生して、その堤が大きく崩壊した被害でありました。たまたま地元の消防団がその状況、朝の3時とか4時とかにいち早く察知されて、消防団員の皆さんを中心にして、本当に早朝から翌日まで寝食を忘れて不眠不休の排水作業をされましたおかげで、堤防は首の皮1枚で助かって、被害が最小限度に食いとめられた。しかも、下流域65世帯あるんですが、その方々、実際は54名だったと思うんですが、桃山小学校の体育館へ一時避難されて難を逃れました。その間、紀の川市にあっても、現場のすぐそばに対策本部をつくられました。紀の川市長を先頭に、それこそずっと復旧──復旧というんですか、被害解除のための作業をされました。これについては、本当に頭の下がる思いであります。
 そういうことで、これからは、今、仮復旧してるんですが、本復旧に向けて農政局とも折衝をするということになってるんですが、災害が起きたときのことを思いますと本当にほっとしてるとこなんですが、これから紀の川市も事務的にそういう県を通じてのいろんな協議があろうと思いますので、これも県当局として最大限のサポートもしてあげていただきたいな、そういうことを特にお願い申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(中村裕一君) ただいまの発言は要望であります。
 以上で、山田正彦君の質問が終了しました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 34番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 では、議長のお許しを得ましたので、質問に入りたいと思います。
 最初に、地方再生、農山漁村の再生に向けて県は具体的にどう進めていくのかについて県当局の見解をお聞きしたいと思います。
 1つは、和歌山県の農林水産業、自然、歴史・文化、この地方の宝をどう生かすのか。地域ごとの宝を、地域が頑張ればこんなことができる。地域の人たち、つまりプレーヤーが力を発揮するための県行政、つまりサポーターのサポートをする総合体制が今求められています。
 例えば、国では、農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律が昨年制定されました。とりわけ、その中での農山漁村活性化プロジェクト支援交付金制度は、市町村とその地域の人たちの村づくり、まちづくりに大きなインパクトを与えています。
 国は、平成19年度、この予算に関して新規で304億円、ことし20年度は305億円が予算化されています。しかも、20年度は支援内容が大幅に拡充されました。例えば、今までの対象プラス遊休農地解消に対する支援や、地域の創意工夫を生かした情報通信基盤の支援、宿泊体験活動受け入れ拠点施設等の支援、また農村のみちの整備に対する支援、基盤整備を契機とした耕作放棄地解消に対する支援、その他いろいろありまして、最終は農山漁村定住支援施設の整備の支援まで、大きく、大幅にすべての農山漁村が、まあいわばそこで生活する全体の体制を補助として大きく拡充されたわけであります。
 またさらに、農商工連携促進法がことし5月に国で成立しました。これは、農林水産省と経済産業省の連携で、地域経済活性化への支援であり、その施策のメニューはたくさん出されております。また、子ども農山漁村プロジェクトは昨年決められまして、ことしから開始されます。これは文科省、農水省、総務省連携事業で、ことしから開始される20年度の予算は、10億1200万円予算化されております。既にふるさと体験推進校を公募され、現在のところ173校が申し込まれているそうです。
 このように、国は、地方再生のために、内閣府が主導して関係省庁が同じテーブルで地方のプレーヤーの相談を受けている。そういった国のさまざまな支援策を県がきちんと消化して、関係する地域の人たち、関係する市町村、業界の人たちに伝えていくべきではないでしょうか。私たち地方は、そういう意味では、まだまだ情報不足です。県としては、どう横断的に組織対応していくのか。また、現状は、市町村のやる気のある、熱意のある人たちの取り組みの段階であります。また、国のさまざまな支援プログラムに対し、地方が具体的に取り組む上で、県として補充できる施策体系と具体的な支援措置を明確に今する時期だと思います。今、そういった規定、基準が定められておりません。以上の点について、基本的にですが、知事の御答弁をお願いしたいと思います。
 次に、私は具体的な点で提案しながら、県当局の見解をお聞きしたいと思います。
 1つは、農林水産業を中心にした農商工連携と観光を結びつけた地域力をつくり出す。
 既に和歌山県は、農林水産業を生かした攻めの施策が着実に進められています。地域の資源と市場との結びつきを強めつつあります。県として、地域資源を地域力、つまり地域丸ごと売り出す農商工連携のもと、どう進めていくのか。その展望について具体的に農商工連携と観光の一体化について、1つの側面ですが、私から問題提起したいと思います。
 2007年5月、じゃらんリサーチセンターの宿泊調査の宿泊旅行者のランキングトップは、1位は食であります。おいしいものを食べたい。2番は温泉や露天ぶろ、3位は名所旧跡の観光、4位はいやしとあります。また、旅行業界では、シルバー世代の旅行商品づくりが今進められています。シルバー世代の熱望は、健康で元気に暮らしたい、自分らしく生きたいとあります。
 私は、農商工連携と観光の一部分でありますが、第1は食の切り口でとらえ、食を通じた農商工連携、観光と一体化した地域商品づくりを提案したいと思いますが、いかがでしょうか。
 2つ目は、地域資源と観光は地域の人たちで観光商品をつくるという、着地型観光を目指す方向が今進められています。地域の元気株式会社を立ち上げ、農林水産業者やそれに携わる住民、宿泊、交通関係者やNPO等がつくり上げていくシステムを今構築されています。この中で、県、市町村行政はサポーター的役割を果たし、旅行会社等はアドバイザーで、地域商品を売れる商品としてアドバイスを受ける、そういう商品化していくシステムづくりが今全国の拠点、拠点で進められています。
 私たち和歌山県は、1次産業である農林水産業、そしてそれに関係する食材、食づくり、文化、歴史に恵まれた、まさに地方の宝が満載しています。これを県行政が縦割り的視点から横断的な発想と組織でどうサポートするかにかかっていると私は考えます。いかがでしょうか。
 次に、それを強めるために、以前私から提案した県観光連盟の組織、事業を今述べた角度から見直し、強化を提案したいと思います。
 県観光連盟は、既存の考え方でメニューを積み上げ、地域に配分し消化していくだけでなく、新たな考え方で農林水産業、商工業、観光、それに健康といやし、それらに付加するニューツーリズムを加えたもの、担当部局を超えて、行政の縦割り組織を超えた事業計画を打ち出すべきじゃないでしょうか。商工観光労働部長にお伺いします。
 次に、地球温暖化対策での新エネルギーへの取り組みについてであります。
 和歌山県は、京都議定書の目標達成に向け、2006年3月に策定した和歌山県地球温暖化対策地域推進計画において、県内で発生する温室効果ガスの総排出量を、基準年1990年から最大10.6%削減することとしており、その実現のために、県民、事業者、行政がおのおのの役割に応じて取り組むとしています。
 私は、和歌山県としてCO2排出量削減のための新エネルギーの具体的方針と行動を提案してみたいと思います。また、新エネルギーと産業、つまり新エネルギー活用による地場産業のエネルギーコストの削減への施策についても関連して問題提起したいというふうに思います。
 まず、新エネルギーについてですが、1つは、メタンハイドレート開発計画と和歌山県東部南海トラフのメタンハイドレート開発、資源開発についてであります。
 これは資料をお配りしていると思うんですけど、石油、石炭にかわる次世代エネルギーとしても、また二酸化炭素削減にも、大きく今期待されています。
 メタンハイドレートの資源量は、在来型天然ガスに比べて豊富で、日本周辺に限定すると約6兆立方メートルあると推定されています。この数値ではわかりにくいんですが、資源エネルギー庁の資料によると、日本の2005年の年間天然ガス消費量は820億立方メートルですから、少なく見ても100年分以上に相当する膨大な量が眠っていると言われています。
 地球上でのすべての有機炭素のうち、化石燃料、メタンハイドレート、生物などが占める割合を見ると、メタンハイドレートは全有機炭素のおおよそ55%を占めています。これは、化石燃料全体よりも多く存在することを意味しています。日本の周辺には深い海が多い上、プランクトンなどの生物がとても多い。つまり、日本近海はメタンハイドレートができる自然環境に恵まれていると言われています。現在の調査では、数カ所のメタンハイドレートの分布が見つかっていると。その中の1つに東部南海トラフ資料にある、今の資料に示す位置ですが、そのポイントが調査の結果の1カ所です。このことは、1つは、日本の国のエネルギー資源を外国からの輸入に頼ってきたことからの脱皮、もう1つは、和歌山県は東部南海トラフのメタンハイドレート基地として積極的に、政策的にも組織的にも国に対応していくことが県の長期展望としての柱に据える必要があるのではないかと考えますが、知事の見解をお伺いしたいと思います。
 次に、旧白浜空港跡地と太陽光発電の集中基地についての提案でありますが、県も地球温暖化対策を推進していく具体的実施方針の中に、温室効果ガス排出抑制として、自然エネルギーの利用として日照時間の長い本県の特徴を生かした太陽光発電の導入を促進することとしています。
 日照時間については、私も昔、市会議員のときにも全国一紀南は日照時間が長いということを見たことが記憶にあるんですが、実際調べてみまして、和歌山県は全国のベストファイブ、5位になってますけども、その中の1位の甲府市の日照時間と和歌山県の紀南の日照時間を比較すると、紀南の日照時間のほうが上回ってます、事実。それで、数字的にも日照時間は全国一と言っていいと私は思います。
 そういう意味で、県は省エネ住宅として太陽光発電の家庭設置の支援を始めましたが、それとあわせて、和歌山県の特徴を生かしたモデルとして、旧白浜空港跡地に太陽光発電の集中基地を電力会社等との連携で設置する方向を提起しますが、知事の見解をお聞きしたいと思います。
 次に、新エネルギー利用と地域の資源を生かした木質バイオマスエネルギーを県の重要施策として具体的に進める必要があるのではないか。
 県の長期計画の中で、太陽光発電や風力発電、バイオマスエネルギー等の新エネルギーを推進するとありますが、私は、過去2期8年の中で、森林・林業政策の中、木質バイオマスを提起し続けてきました。木質バイオマスは、1つは、木質ペレットや木質チップによる燃料化と化石燃料からの転換、それによるコスト削減、これを具体化したのは龍神の「季楽里」での木質チップ燃料、すさみでのNEDOによる木質エネルギーが今実用化されています。
 私は、今回は詳細は述べませんが、県の示すわかやま新エネルギーランド構想を立案し推進していく上で、地域資源を生かし、森林環境を育て、それでなお地域の産業がそれらをエネルギーとして活用することによりコスト削減につながるということの方向について私は考えるわけですが、そういった点で、私は以前に提起した一例として、農業経営でのハウス栽培のエネルギーとして木質ペレットを活用した振興を提案し、今、農林部で具体的実用化を進められています。また、木質チップは、龍神の「季楽里」をモデルにして、ホテル、旅館を初め公共施設での普及拡大によって化石燃料からの転換によるCO2削減と企業等のコスト削減につなげること、また昨年12月議会では、火力発電所での木質ペレット混入の事例を挙げて、御坊火力発電所での可能性を求めてきました。
 これらの新エネルギー活用は、地域資源を生かすことで、1つは森林・林業を活性化させる、2つは、それを活用することによって地場の産業のエネルギーコストを下げていく、3つ目は、これら木質エネルギーを生産する企業が生まれ、雇用につながり、全体としての相乗効果が発揮されるというふうに思います。木質エネルギーを県外に求めるのでなく、豊富な地域資源を生かすことが重要ではないでしょうか。
 県は、わかやま新エネルギーランド構想を推進し、県内の新エネルギーの利用を今後10年間でおおむね2倍にしますとありますが、具体的な施策が求められています。知事の答弁を求めます。
 次に、ひきこもり者への支援と地域若者サポートステーションについて御質問したいと思います。
 県下のひきこもりの若者たち──ひきこもり者、ニート、発達障害者等の課題を抱えた若者──の自立支援を行っているNPO法人として、紀北では和歌山市のエルシティオと、紀南では田辺市にハートツリーがあります。ともに、和歌山県ひきこもり者社会参加支援センターとして県・市から運営事業補助金を受け、利用料や寄附金、加えてコーヒー豆やクッキーの販売による運営をしています。
 エルシティオについては、5月を通して「朝日新聞」和歌山版において7回シリーズで詳しく紹介された記事を皆さん見たと思いますが、このエルシティオでは、約30名の15歳から30代の若者が通っていますし、年間の相談・訪問件数は1486件という大変なものであります。ハートツリーでは、約15名が利用し、相談、訪問、社会体験、就労体験など、地域の事業所や社会福祉法人等と連携、協力を得ながら自立をサポートする居場所となっています。このような活動を行っているが、ひきこもり者を対象とした支援制度が国にないため、職員の確保や就労支援体制が十分に行えない課題も持っています。
 県のひきこもり者への社会参加に対する支援の考え方、理念をまずお聞きしたい。あわせて、それに対して積極的に取り組まれてる県下の、先ほど述べた関係者の活動をどう評価しているのか、知事にお伺いします。
 次に、地域若者サポートステーションは、国の支援事業として、県は和歌山県に1カ所を設置することを決め、既に6月2日に和歌山市にオープンされました。この事業をする委託業務のあり方について、私は、問題がなかったか、次の点で質問したいと思います。
 第1は、事業委託にプロポーザル方式を採用した理由の説明を求めたい。その業者募集を全国的にしたのはなぜか。本来、ひきこもり者のサポートは、地域のネットワークづくりが構築され、サポートする側とひきこもり者とその家族とのつながり、信頼関係の蓄積の中で運営されてきました。そういう組織が一番望まれるのに、今回はプロポーザル方式での全国区域からの募集をしたことについて、何を根拠にしたのかお尋ねしたい。
 2つは、今回選定された東京に本社のある人材派遣会社の株式会社東京リーガルマインドでありますが、プロポーザル方式は評価委員の評価点数の高い業者が選定されますが、まず1つは、評価委員のメンバー構成について疑問と問題を提起したい。
 ひきこもり関連は、県行政は障害福祉課、福祉関連──いわゆる精神保健──青少年課、労働政策課にまたがると私は考えられます。ところが、今回の評価委員構成は、県商工観光労働部、教育委員会県立学校課、和歌山労働局職業安定課、和大経済学部、職業能力開発関係者で、労働・雇用に限定した選定委員で構成し選定したことは、ひきこもり者を自立支援していく、ひきこもり者の状態という根本的な理念と目的が明確でなく、一面的なとらえ方をしてることに問題があるのではないか。少なくとも、ひきこもり者への施策として提起している障害福祉、精神保健福祉等の関係者を審査委員に入って評価することが必要ではなかったのか。どうして審査委員に入れなかったのかについてお尋ねしたいと思います。
 また、地域若者サポートステーションの業者選定の審査項目別、審査点数結果を見て、業者選定基準とその評価の基準をどう県は設定されたのか、お尋ねしたい。私は、ひきこもり者の地域若者サポートステーションは、地域での関係する機関とのネットワークができていて、評価の基準は、一定のそれらの活動の実績と地域での信頼関係が培っていることが基準の重要な柱になると考えるんですが、いかがでしょうか。
 次に、審査結果の評価項目と評価点数を見てみると、先ほど述べた基本的な他機関との連携、協力体制、つまりネットワークづくりの仕組みが、和歌山県でのひきこもり者への対応が全く活動も組織もない、ゼロの東京リーガルマインドが地域で最初述べた活動と実績を持つ県下の2つの組織を超えた評価点数をとっていることから見て、何か疑念を持たざるを得ません。
 最後に、地域若者サポートステーションの役割は、ひきこもり者を重点にした運営です。フリーターを含めたものではなく、フリーターはジョブカフェで相談窓口として対応しているわけですから、地域に何のかかわりもない、何の実績もない、ネットワークも持たない、関係者との信頼関係のない東京本社の東京リーガルマインドに決めたことは、私にとっては疑念を持つものであります。商工観光労働部長に答弁を求めます。
 最後に、中学生、高校生の運動部活動のあり方についてであります。
 私は、このことについて提案する前提に、私の田辺市の高校のあり方を問題提起しながら、中学生と高校生の運動部のあり方について教育長にお聞きしたいと思います。
 第1は、田辺の周辺で、田辺高校、南紀高校、神島高校、田辺工業高校は、自転車で5分から10分エリアの中に集積しています。私は、以前に、4校を学園都市として総合学科としてはどうか提案しました。高校2年の段階から相互に自分の能力を見きわめるときに、普通科から工業へ、普通科から経営科学へと選択を可能にする4校学園化を目指すことを考えてはどうか。これは提案してきたことでありますが、教育長の感想をお聞きしたい。
 これに関係して、この4校だけではありませんが、中学生、高校生の運動部のあり方とその現状を踏まえて、教育長のお考えをお聞きします。
 中学生、高校生の運動部の現状ですが、まず生徒数、生徒の運動部志向の偏重、指導者不足もあって、今までの1校1運動部という考え方ではなく、その垣根を越えた活動が今求められています。生徒の求めるクラブが存在しない学校である場合、その生徒の願いにこたえていく、しかも近隣校という特徴を生かせば、生徒の願いを初め、いい指導者を得ることができます。複数校合同の運動部活動の実態はどうでしょうか。そのことによって、1つは生徒の願いにこたえることでもあり、よい指導者にめぐり会え、生徒の能力を引き出すことであり、そのことでその運動部の競技力が高まることになると思います。
 中学校、高校の連携による運動部活動についてですが、1つは、高校にあって中学にない運動クラブに対して、近隣の中学校と高校が連携して中学段階から基礎体力と競技力を身につけることで、高校での競技力がより高いものに発達すると思います。中学校、高校にも同じクラブがある中での中高連携は、競技力向上につなげていくものと考えますが、どうでしょうか。高校運動クラブの指導者の指導によって、中学校クラブ生徒の競技力が高まるという相互の関係は、私は成功してると思います。中学校、高校の運動部活動について教育長の見解をお聞きします。
 以上で、第1回の質問を終わらせていただきます。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの原日出夫君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、農林水産業、自然、歴史などの地方の宝、あるいは地域資源、そういうものをどう生かしていくかというところでございます。
 本県の持つさまざまな地域資源、まさに地域の宝物を生かし、地域の皆さん自身が知恵を絞り、主体的に地域づくりを進めていただくということが長期総合計画にも盛り込んだ誇れる郷土づくりの核心であると思います。
 地域での取り組みを支援するために、県では4月の組織改正において、各論的に言いますと、企画部に地域づくり課を新設し、地域づくりに関する情報提供や相談窓口としての機能を集約し、ワンストップで提供できるような体制を整備しました。
 これとともに、総論的に言いますと、従来は自分で手続をすることの仕事が自分の仕事であって、だれかが助けてくれるということは自分の仕事ではない、そういうことを把握することは自分の仕事じゃないというような事務分掌規定になっておりましたので、これを任務型に書きかえまして、例えば地域の振興をするということについては、自分の権限であろうと人の権限であろうと状況を把握し、それからみずからの行政対象の方々の意見を聞いて適切なアドバイスもすると、仮に権限がなくてもそういうことをしようというふうに、実は事務分掌規定の改定も行ったところでございます。
 と同時に、今のようなワンストップショップを生かしていただくためには、例えば地域の住民、あるいは産業界の方々、みんなこぞってそういう門をたたいていただいて、どうなっとるんだというようなことを、教えてくれというような要求をどんどん出していただくということも必要ではないかと思います。
 今後、地域づくり現場での生の声を聞かしていただきまして、その取り組みの進展に応じて、今度は庁内関係課とか専門家とか、各地域の振興局職員による支援チームとか、そういうものをみんなアドホックに集めて、それで現場への派遣も行って、そうやって助けていきたいというふうに考えております。
 最近も、田辺市で経済産業省の支援金をもらいたいというプロジェクトがあって、我々もそれを察知したので強力に後押しをして、うまくいったというような例もございます。そのような国における一連の地域振興策の動向についても、我々としてもさらに積極的に情報収集に努め、地域の皆さんが考えてることも情報収集し、両方マッチングして、いろんなアドバイスをして支援策を効果的に使えるように、頑張ってやっていきたいと考えております。
 それから、その次に地球温暖化防止、あるいは石油など化石エネルギーの枯渇、価格高騰への対応策といたしまして、議員御指摘のように新エネルギーへの取り組み、これが喫緊の課題となっていることは事実であります。このため、県といたしましては、長期総合計画におきまして、御指摘のように太陽光発電や風力発電などの新エネルギー利用を今後10年間で2倍にすると目標を掲げて、全庁を挙げてこのために取り組んでいるところであります。
 メタンハイドレートにつきましては、日本近海に相当量の存在が見込まれ、日本のエネルギー安定供給に貢献する新たなエネルギー資源といたしまして期待されております。県といたしましても、新宮港がメタンハイドレートの賦存する海域の最寄りの港湾の1つであるということから、これまでも、国の調査が新宮港を基地として熊野灘地域で実施されるように要望するなど、取り組みを行ってきたところであります。
 ことし3月には、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構──JOGMECと言いますけれども──これがカナダにおける陸上産出実験におきまして、メタンハイドレート層からメタンガスを連続生産することに成功したと聞いておりまして、メタンハイドレートの資源化の新しい一歩がさらに踏み出されたというふうに感じております。
 引き続き、国のメタンハイドレート開発計画の進展に我々も注目いたしまして、県民のメタンハイドレートに対する関心を高めていく、それからまた、和歌山県が本県に占める重要性、あるいは地理的位置づけ、あるいは関心の強さ、そういうものについて我々としても情報発信をすると、その2つの目的で、シンポジウムの開催とか、あるいは各種媒体を通じた啓発あるいは情報発信、そういうことを行ってまいりたいと考えております。
 旧南紀白浜空港跡地を利用した太陽光発電の集中基地の設置という議員の御提案につきましては、私は、なかなかいいアイデアだなあというふうに思います。ただ、発電事業は、あくまでも民間が、それが採算が合うかどうかということを考えて、民間のイニシアチブによって行われるものでありまして、現段階においては、関西電力等々がそういうことをやりたいという動きがあるというふうには承知しておりません。また、白浜空港跡地の問題につきましては、一方、その利用がそれでいいのかという議論もまたあるかもしれません。
 いずれにいたしましても、我々としては、新エネルギー利用促進の観点から、今後ともこの民間の太陽光発電事業の動向につきましてはよくウオッチをいたしまして、場合によっては、走っていって、どうでしょうかというような話もしなきゃいけないなというふうに思っております。
 それから、木質バイオマスの導入に向けましては、現在、県の最重点項目の1つと言ってもよいかというぐらい我々としては重要視しております。特に、製材所残材の大規模な集積が存在していない本県において、一定の原料を確保するために、その間伐材とか林地残材を収集する必要がありますが、これらの原料を搬出するために運搬コストがかさむ、したがって採算性が困難であるという、いろいろなかなか悩ましい問題も抱えております。
 このバイオマスの事業につきましては、これまでももう全国ありとあらゆるつてを頼っていろんなところへ調査隊を派遣したり、そういうことをしてるんですが、今までのところ余り採算が合ってないというのが非常に多うございまして、材料を逆有償でしか引き取れない、そういうものが今までは多かったんです。ところが、最近、少し採算が合ってきたと。原料価格も高騰してきますから採算が合ってきた、あるいはその仕組みをうまくやることによって採算を合わすことはできるかもしれないというような動きがだんだんと強くなってきておりますので、これはその動向もウオッチするとともに、我々として、では山の中からどのぐらいのコストでどのぐらいの量を提供できるか、これも1つの条件の問題になりますので、これは地元の方々とよく相談をしながら考えていきたいと考えております。
 それから、その次にひきこもりの問題でございます。
 ひきこもりについては、全国で推定100万人と言われておりまして、深刻な社会問題となっております。それで、国におきましては、ひきこもりの対応指針であるガイドライン等を示していますけれども、実は正直なところ、厚生労働省においても、このひきこもりの担当が今までどこであるかというようなことについてもきっちり決めてなかったというような状況であります。
 和歌山県におきましては、先ほど山田議員御指摘の要望事項において、まず担当ぐらいは決めてくださいというようなことを申し上げ、かつ、実は和歌山県においては、議員御指摘のように、あるいはほかの先生方からも御指摘のように先進的な事例があります。この先進的な事例も参考にしながら、国全体としてはちゃんと取り組まないといけないんじゃないでしょうかというようなことを、実は提言をしたり要望したり今現在しているところでございます。そのとおりだという担当局長のお話もいただいておりまして、今後、実はこのひきこもり対策については、白紙の状態から国では始めていこうというような機運にあるということだけは察知できるということでございます。今後とも、それは頑張っていきたいと思います。
 その件でございますけれども、実は大変先進的でありまして、平成16年度から全国に先駆けて、NPO法人が運営する和歌山市の共同作業所エルシティオ、それから田辺市のハートツリーの2カ所をひきこもり者支援センターとして指定し、センターに対する運営に補助を行っております。それぞれひきこもり者や家族からの相談、家庭訪問、居場所の提供、就労・就学支援等を実施してもらって、各地域におけるひきこもり者の自立と社会参加の促進に成果を上げているものと認識しております。
 県といたしましては、先ほど別のところでニートの話がありました。ニートの中でも、このひきこもりというのはちょっと別というか、大変深刻な、特別深刻な問題でありますので、その家族が相談できる場所、また自宅外への接触の第一歩となるような居場所の設置等が肝要であると考えておりまして、先ほども言いましたような、国に対しても、和歌山県だけに任せるんじゃなくて、ちゃんと全体に、100万人と言われる人について考えないといけないんじゃないかとということを申し上げました。それと同時に、現在頑張っていただいているエルシティオ、ハートツリー、そういう方々の御苦労にいわば甘えることなく、県としても真摯にこの問題に取り組んでいかなきゃいけないと、こんなふうに考えております。
○議長(中村裕一君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) まず、農林水産業と観光を結びつけた地域力についての3項目につきましてお答えいたします。
 観光の振興を図る上におきましては、1次産業から3次産業に至るまで、まさに地域の有するさまざまな資源を、議員お話しの地域力をもって一体的に売り出す必要があると認識してございます。
 まず、食を中心とした地域商品づくりについてでございますが、食は人々を引きつける大きな要素であり、幸い本県には、クエやマグロなどの新鮮な魚介類、フルーツ王国と称される多種多様な果実、あるいは梅干しやみそ、しょうゆなどの伝統ある加工食品などがあり、農林水産部局と連携を強めることでそれぞれの地域においてすばらしい食の魅力が最大限発揮できるよう、地元の方々と一緒になって進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、着地型観光につきましては、農林水産業を初めとした地域資源を地域の人たちで観光商品化するものでございまして、地域の活性化を図るためには大変有効なものであると考えてございます。このため、県では本年度より、全国的にも好評を博しているほんまもん体験のプログラムを使った着地型観光の旅行商品の造成に対し助成を行うとともに、研修会の開催や販路開拓支援などを行うなど、商品化のサポートを積極的に行うこととしてございます。
 次に、社団法人和歌山県観光連盟におきましては、県、市町村、市町村観光協会及び関係民間事業者が一体となって、和歌山の魅力を総合的に国の内外に向け売り出すことで誘客に取り組んでいるところでございます。先般発表いたしました観光振興アクションプログラム2008の策定に当たっても、農林水産業、自然、歴史など地方の宝を観光素材として位置づけて具体的な観光施策を取りまとめましたが、今後とも農山漁村の特性を十分生かしながら、効果的、効率的な観光振興ができるよう、地域の方々との連携を強めてまいりたいと考えてございます。
 続きまして、地域若者サポートステーションにおける委託業務につきましてお答えさしていただきます。
 地域若者サポートステーションは、若年無業者、いわゆるニートの状態にある若者の職業的自立を支援するための総合相談窓口として、さきの6月2日、和歌山市本町に開設したところでございます。働くことに自信が持てない、また人間関係が苦手といった若者に対する相談や心理カウンセリング、職業意識啓発事業などの支援プログラムを展開し、若者の支援拠点となるよう努めてまいりたいと考えてございます。
 まず、事業委託の選定に当たって、全国公募によるプロポーザル方式を採用したことについてでございますが、運営委託先には若者支援に関する専門性や経験を有することが不可欠であり、支援の方法も多様であることから、企画内容によって契約先を選定するプロポーザル方式を採用したところでございます。また、県内事業者に限ることなく広く募集した理由につきましては、多方面で活動する団体の中から、よりよいサービスが提供できるのではないかという観点から行ったところでございます。
 次に、評価委員のメンバーについてでございますが、サポートステーションは若者の自立支援、就労への働きかけを目的としており、個人の能力開発といった観点から、委員につきましては、教育関係者、労働関係者、学識経験者など5名の委員で構成したところでございます。
 なお、委員の選定につきましては、議員の御提案も踏まえまして、来年度以降は、幅広い観点からの評価の必要性から、福祉関係者などを加えてまいりたいと考えてございます。
 また、業者の選定基準につきましては、議員お話しのように、地域における関係機関とのネットワークや活動実績、地域での信頼関係については重要な要素であると考えております。このような要素に加えて、団体の組織体制、活動状況、事業の趣旨・目的、支援プログラムの内容など14の評価項目を設定し、5段階評価により総合的に評価したところでございます。採点の結果、最高点を得た事業者を選定したところであります。
 県といたしましても、サポートステーションの目的である自立が困難な若者に対し個別、継続的な支援を行い、就労への誘導を図っていくため、若者支援機関や関係行政機関等との連携を強化するとともに、社会的認知を高め、支援を必要とする若者の利用拡大に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 中学生、高校生の運動部活動のあり方等についてお答えいたします。
 まず、高校の学校間連携につきましては、学校の垣根を超えた交流に加えて、各学校の特色ある教育活動をより多くの生徒が享受できるという意義がありまして、本県では全国に先駆けて進めてきたところでございます。
 運動部活動につきましては、近年、生徒の運動、スポーツに対するニーズの多様化、少子化等による部員数の減少、専門的な実技指導のできる指導者の不足などによりまして、部の活動を維持することは困難な状況が見られます。このことから、本県では運動部活動の教育的な意義を踏まえまして、各学校における部活動の一層の活性化を図ることを目的といたしまして、学校間連携による運動部活動実施要綱を制定いたしまして、県立学校において合同部活動を推進しているところでございます。
 また、中学校と高等学校の連携につきましては、議員御指摘のとおり競技力向上につながるものでございまして、その一例として、現在、箕島中学校と箕島高校との間で、相撲、空手を初めとする運動部活動で連携し、効果を上げてございます。
 今後、専門の指導者がいない場合にとどまらず、中学生、高校生のスポーツの場を広げ、競技力の向上にもつながるよう、市町村教育委員会とも協議し、拡大を図ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 34番原 日出夫君。
○原 日出夫君 質問の1からずっと私の考えを述べたらいいんですが、時間が余りないんで。
 1つの、知事からの答弁がありました中で、今後そういった地域づくり課もできて、具体的に各地域の皆さんといろんな国の制度を説明をしたり、それをやる気のある人にサポートしていくということを言われましたけども、じゃ、そのことについて、県としてそういう施策体系ができたと、国はこういうことやと、地方、地域はこういうことやりたいと、そしたら県としてどの程度まで支援するのかと、物心両面といいますか、そういう点での基準づくりが現在できてないですね。例えば霧の里高原、あれは100%国が出してみたり、それからそうでないところは12.5%出してみたり、あるところではゼロであったりと、こういうことのないように、今後やっぱり国の施策を生かして、地域力を生かして、そして地域がやろうという、そういう団体や市町村が出た場合にはどこまで県として支援していくのかということをぜひ制度化してほしいなということを要望しておきたいと思います。
 それから、あとはそれでいいと思いまして──地域若者サポートステーションについての委託事業に関し、今、部長から答弁いただきました。
 それで、私は、答弁が少し支離滅裂というか、言うていることについて少し問題があるように思います。いわゆる運営、プロポーザル方式をする上で、若者支援に関する専門性や経験を有すことが不可欠だということで、そのプロポーザル方式をしたと。しかも、先ほど言いました、最後にも言うてましたけれども、地域とのネットワークや活動実績、地域の信頼関係については重要やと考えながら東京の会社にしたと。しかも、全国から募集して3社しか──2社1事業団体しか来てないと。こういうことの中で、このプロポーザル方式を採用して、しかも全国から集めて、よりよい専門性を求めるだけのこれにふさわしいものかどうかということについて、結果を見てですけど、非常に疑問を感じるとこであります。
 そこで、知事にちょっとお伺いしたいんですが、地域若者サポートステーション委託事業の事業目的、内容から見て、全国公募のプロポーザル方式をしたことについて、私は、プロポーザル方式はBig・Uの設計委託を初めとした特定の企業を誘致するおそれや疑念を持ってきたと。そういう意味では、特別な技術や専門性という、そういうことのコンペでやってきたこともありますが、そういうことにこれは値するのか、ふさわしいのかについて意見を聞きたい。
 もう1つは、委託事業を受けた東京リーガルマインドは、LEC東京リーガルマインド大学を経営してもいます。広範囲ないろんな経営をやってるんですが、教育事業をめぐり、文部科学省から繰り返し処分や指導を受けています。
 2006年3月、大学と同社の予備校の生徒が混在する授業が多数あることなどから、文部科学省から改善指導を受けています。次に2007年1月、多数の専任教諭に勤務実態がないなど新たな法令違反が発覚し、文科省から学校教育法に基づく初の改善勧告を受けています。2005年2月、予備受講生の司法試験合格者を水増ししてパンフレットやホームページに掲載し、公正取引委員会から排除命令がなされています。2006年11月、新潟県長岡市のジョブカフェで、国からの委託費を大学パンフ作成に不正流用したことが発覚しました。先ほどの司法試験合格者水増しの問題では、東京リーガルマインドは、開設地である千代田区から厳重注意と1カ月の指導停止命令を受けています。
 このように、地域若者サポートステーションの委託事業者、東京リーガルマインドの過去の不祥事を見たとき、公共サービスは法令を遵守して行うものであり、行政から勧告を受けるなどした企業はふさわしくないと考えますが、いかがでしょうか。知事にお伺いしたいと思います。
 次に、商工観光労働部長に再質問したいと思います。
 今、知事の質問に対して、あと具体的に、東京リーガルマインドの不祥事を県当局としての商工観光労働部として、このことを把握していたのかどうか。過去の不祥事を把握していたのかどうか。そして、していたとしたら、このことを知って黙認したのか。それについては、県は、地域若者サポートステーションに関する企画書のための仕様書を提出しなければなりません。その仕様書を提出する場合に、委託事業者は法令その他の重大な違反の有無、過去から現在までを企画書に明示することが提起されています。その企画書、仕様書の中にしなさいよと。それは明示されていたのか、されていなかったけれども、これはいいんだということになったのか、商工観光労働部長にお伺いしたいというふうに思います。
 これで再質問を終わります。
○議長(中村裕一君) 以上の再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、プロポーザル方式を採用したことについていかがであるかということについてでございますけれども、この問題に直接お答えする前に基本的な私の考え方を申し述べさしていただきますが、私は、県内の事業者が、できることならこういうとこにはばんばんと勝ってもらって、それでそれがどんどん発展をするもとになってもらいたいと、こういうふうに思ってる次第であります。
 例えば、ひきこもりの話で言えば、和歌山県は明らかに全国のトップを走っていて、一番知見がたまっているというのは、この和歌山の2つの法人じゃないかと思います。全国で仮に、こういうプロポーザル方式であれ、何であれ、いろいろな実績なども示しながらいろんな事業の公募があったら、これはかなり和歌山の業者が勝つんじゃないかなというふうに思う次第であります。ただし、同時に公共のサービスとしていろんなことを行うときには、そのプロバイダーというかサプライヤー、事業提供者のことも考えないといけませんが、と同時に、その事業提供者の活動によってどのぐらいの利便が和歌山県にもたらされるか、すなわち、もっと言えば、この対象になっているニートの人たちがどれだけ救えると思うかということがより大事になってくるんじゃないかと思います。
 そういう意味では、本県はひきこもりということでは必ずしもなくて、それは一部含まれるかもしれませんが、もう少し広く世の中に起こっている現象、若者に対するより効果的な方法をどうやって発見しながらサービスをするかということではなかったかと思います。そういう意味では、その問題についていろんな考えがあり、あるいは多少の実績もあり、そういうものが全国からやってきてもよろしいかなというふうにも思いますし、それから同時に、その効果的な方法がどんなもんであるかということについて「言うてみい」ということでプロポーザル方式を採用したことも間違ってはいないと思います。
 しかしながら、その審査は公正でないと、こういうプロポーザル方式というのはみんなが判断をしていくもんであります。したがいまして、その審査方法は透明性がなければいけないし、それから、いろいろな項目について客観的でなきゃいけない。それは、地域に対する貢献とか、そういうことだけじゃなくて、技法その他についての判断項目もあったというのは、そういうことによってるんじゃないかと思います。
 ただ、本件について、今回はそういうことでありました。しかしながら、これは未来永劫にその人と契約を結んだわけではありません。県内の事業者も、単に県内にいるということじゃなくて、腕を磨いて人のことも勉強しながら、ぜひ次は堂々とこういうところで勝ってもらいたいと、そんなふうに思っている次第であります。
 それから、受託先についていろんな問題がありました。私も、その問題については、もちろん初めからわかっていたわけでありませんで、原議員の御指摘を受けて「どうなってるの」というようなことを詰めてみました。それについて、「おっ、ああ、あちこちでいろんなことが起こっとるなあ」と、今御指摘のあるようなことを思いましたが、それがその欠格条項に該当してるかどうか、ということについては、実は担当もかなり調べたようであります。それで、これについては欠格条項に当たらないというふうに、先例及び全国との関係等々から考えたようでありまして、それについては、私はそう間違った判断ではなかったと思います。
 ただし、議員御指摘のような話を、別の意味で、別のときに起こしている企業であるということも事実であろうかと思いますから、我々はそんなことが和歌山でやられたらいかんわけでありますから、よく見とかないといけない、普通以上に見とかないといけないというふうには、内心座りながら考えておったところであります。
○議長(中村裕一君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 今、知事のほうからるる御説明さしていただきまして、繰り返しになると思いますけども、今回、公募に当たりまして、県のほうでは、企画書公募要領という中に、参加資格ということで、県及び厚生労働省から指名停止を受ける期間でないことという項目がございまして、当社につきましては、今、議員御指摘のように、いろんな事案、事例というのはございますけども、参加資格から、機会からは除外すべき理由はないという判断で受理したところでございます。
 それからあと1点、議員おっしゃるその重大な違反ということでございますけども、過去の事例については重大な違反ということで考えてございませんでして、今回のプロポーザル参加というのを受けたというとこでございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再々質問を許します。
 34番原 日出夫君。
○原 日出夫君 このことについて、私はまじめに、もっと根本の──ボタンのかけ違いは、知事、やっぱり先ほど言いましたように商工労働部が、もちろん国がそういうとこが持ってるからそれを受けるということで、どうしても縦線でそれを受けて、いわゆる雇用を中心にした部分を重点にならざるを得なかったとこのボタンのかけ違い。だから、評価委員さんにいわゆる障害関係の人、それから精神保健の方、そういう人たちが入っておれば、もう少し公平に物が見えたんではないかということ、それが1点。
 もう1つは、評価委員さんに、今私が言った東京リーガルマインドの今の実態、過去に犯してきた不祥事、このことが伝えられていたんかということですよ。そうでしょう。伝えられていたら──だから、そのために、その仕様書には過去の問題があるやつは明記しなさいよということなんです。それを明記してなかったじゃないですか、あなた方。してあれば、評価委員さんは、その客観的状況を参考にしながら評価するはずです。それを隠しておいて評価委員さんに評価させたことも、この仕様書と、私は矛盾するし問題だと思うんです。
 知事は不適格ではないと言う、それはそれなりの考え方で僕はいいと思うんですが、担当である部が評価委員さんに不祥事の過去の事実を知らせないで──知らせるために仕様書に明記しなさいよと言うてるんやで。言うてるやつを、何も言わんと評価委員さんにぱっとやったことについてのこの誤りは、僕はおかしいと。おかしいぞ。その点について答弁願いたいと思います。
○議長(中村裕一君) 以上の再々質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) ただいま議員のほうから再々質問ということで、その評価委員への詳細な事前の提示ということでございますけども、今回については、先ほど申しましたように、その公募要領の中での指名停止期間、指名を停止されてないという項目のみに終始してやったことについては非常に反省し、今後、御指摘を踏まえて、次年度以降、情報開示ということについて十分徹底しながらやってまいりたいというふうに考えてございます。(「もう1回、最後」と呼ぶ者あり)
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。──申し合わせで、再々質問までしかできないことになっていると思いますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時43分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(新島 雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 17番岸本 健君。
  〔岸本 健君、登壇〕(拍手)
○岸本 健君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 まずは、林地開発についてであります。
 先日、平成19年度分の不法投棄監視パトロールの実施の結果が出されました。和歌山県内で平成19年度に新たに見つかった一般廃棄物の不法投棄件数は2355件で、不法投棄の増加に撤去が追いつかない現状があります。一般廃棄物の主なものは、家電製品、廃タイヤ、家具、自転車などの粗大ごみが大半で、県内の保健所の地域別では、岩出保健所の管轄で628件と多く、県境の山間部に至る道路沿いや山林などと多くなっております。和歌山県内には、人目につきにくい山間部が多いため、県では、特に大阪府との府県境では県外から搬入されているものがかなりあるのではと見られています。しかしながら、特にこのような山間部は自然が豊かであり、この山々から生活のための水を得、今日に至ったと考えます。絶対に自然を守ること、それが私たちの生活を守ることであります。
 今議会に、紀の川市東山田地内の林地開発に伴う建設残土処分場建設における林地開発申請の許可を与えない旨の請願が提出されました。これは、昭和61年ごろから始まります。大阪の会社が、当初は総合レジャーランド建設を目的として、打田町所有地及び池田財産区所有地に無断で進入路を造成し、産業廃棄物を不法に投棄したことに始まります。平成7年には、奈良県内の会社が借地契約を結び、産業廃棄物処理場として計画書を県に対して提出しました。その後、残土による埋め立てに申請目的を変更し、平成11年には計画地への通行権を旧打田町及び池田財産区と争い、裁判までに発展した経緯があります。
 通行権については、最終的に平成15年、最高裁判所において、ミカン畑などの農作業ないしこれに準ずる農林業を営むに必要な軽自動車、耕運機程度の通行が可能な2メートルの限度をもって相当と認められたところでありますが、会社側の主張する残土処理目的の4メートルの幅員については、土木建設作業現場における土砂を対象とするもので、純然たる土砂に限られるとは考えにくく、周辺土地への環境面への影響が懸念され得るという理由で、明確に当時の判決が出されたところであります。現在は、2メートルの幅をとり、ガードレールを紀の川市が設置しています。
 このような状況で、今回の計画である残土処分建設場において2メートルの進入路で大量の土砂を運搬し、申請された工期でということは非常に考えにくく、私が調べさせていただいた結果、今回の申請においても和歌山県の林地開発許可制度事務取扱要領上必要とされているもので、地元関係者の同意等整っていなく、地元住民にとっては信頼しがたい状況であります。
 この計画地は、地元住民にとって直接生活に影響を及ぼす生活用水及びかんがい用水等の重要な水源地域であるとともに、災害の防止、環境保全等、高い機能を有する森林地域でもあります。もし、この計画が許可されれば、降雨時の土砂災害などの地元住民の生活が脅かされるのは確実であります。この計画については絶対に認めることができないものであると考えます。
 6月13日に紀の川市より、森林法第10条の2第1項の規定による開発許可についての意見書が提出されています。紀の川市は、この林地開発許可申請に係る計画に反対であり同意できないので、和歌山県においても本申請を不許可とすることを強く要請しますとあります。
 和歌山県長期総合計画では、「県民の命と暮らしを守る安全安心和歌山」とあります。この安心・安全を考えたときに、また、私は県民の生活環境の保全と県民生活の安全の確保が絶対であると考えます。本林地開発に伴う建設残土処分場建設に対して、これらとはそぐわないものであると考えます。これも、長期総合計画において「県民のための県政」とあります。その中には、「県政に関してわかりやすい情報提供を行うと同時に、意見を十分に聴き、県民の価値観や地域ニーズの多様化に適切に応えていきます」とあります。県の英断を求め、本件林地開発許可申請について、農林水産部長の見解をお伺いいたします。
 次に、ため池の防災対策についてお尋ねをいたします。
 午前中の山田議員の質問と重なるところもあると思うのですが、私からも質問をさせていただきます。
 先月の24日から25日にかけて、紀北地方で記録的な豪雨に見舞われました。和歌山地方気象台によると、降り始めからの総雨量は、紀の川市葛城山で142ミリを記録、岩出市では1時間に72ミリという時間雨量観測史上予想外の激しい雨を記録されました。県内で床下浸水が200、特に被害が大きかった岩出市中迫地区では87棟が床下浸水、また床上浸水が発生するなど各地で被害が相次ぎ、土砂崩れなどの被害が発生、鉄道は運休などでダイヤが乱れ、道路も通行どめが続くなど、市民生活に大きな影響が及びました。
 岩出市では、県が改修工事中の水栖大池で一部堤防の開削部から水が流出し、住宅や農地に被害が出ています。農地については、田植えなどに影響が出ることが懸念されています。また、紀の川市桃山町調月地区では、地区内にある2カ所の農業用のため池の堤防が崩れ、決壊するおそれがあるとして、25日午前8時10分、65世帯に避難勧告が出され、住民54人が調月小学校体育館に避難をいたしました。仁坂知事におかれましても、現地に足を運び、迅速に対応していただきましたことを感謝申し上げます。
 早朝より、地元消防団のポンプ車、それから後、国交省が所有する排水ポンプなどで池の水位を下げるなどの対策を実施。避難勧告は26日午前6時20分に解除されました。地元の消防団員や住民の皆さんはもちろん、県や市の職員の皆さんが協力しながら作業していただいたおかげであると痛感しています。幸い、桃山のため池については決壊は免れ、現在は復旧工事を行っていますが、堤防が崩壊すれば甚大な被害が出ていたと思われます。
 私たち清新クラブにおいても、先日、関係の各部及び振興局に対して、被災された方々の原状復旧のための十分な支援を早急に行うことと、被災した公共施設について早急に復旧を行い、あわせて災害に強い公共施設の整備を促進することを要望いたしました。
 私が今回、災害で特に気になりましたのは、県内にあるため池であります。ため池は、本来、農業用水、集落用水、また防火用水などを目的としたものであり、危険な急傾斜地や集落、住宅地の上部にも多く点在し、現在ではその役割を果たしたものもありますが、実際は大なり小なり活用しているものが大半で、地域にとってはなくてはならない施設であります。多くは江戸時代に、またそれ以前につくられたものもあり、老朽化している状態であります。それに、ため池の管理者が高齢化していることと減っていることもあり、ため池の管理もままならぬ状態であると聞きます。
 これらを考えたときに、今後30年以内に東南海地震が60%から70%の確率で、また南海地震が50%の確率で発生すると言われています。それと、平成18年3月に発表されました「和歌山県地震被害想定調査報告書」の中にも、東南海・南海地震の場合の予測では震度5強以上、また紀北に隣接する中央構造線による地震予測では、紀の川沿いの低地で液状化の危険度が高い上、震度6強から震度7となっております。阪神・淡路大震災の淡路島や新潟中越地震、能登半島地震でも、ため池の決壊による大きな被害が出たと報じられております。
 5月11日の「日本経済新聞」には、「日本は水の消費大国」、水不足を実感しないで済むのは食料を通じて水を輸入しているからとありました。比較的水が豊富と考えられている日本が、実は水を多く輸入しているというのです。水の輸入というと、ミネラルウオーターかなと思いましたが、それだけではなく、大量に輸入している穀物があります。穀物の生産には大量の水が必要で、穀倉地帯に降った水は穀物生産に使用され、その穀物を輸入しています。つまり、穀物輸入は水の輸入であります。もちろん、肉の輸入についても同様のことが言えます。牛や豚を育てるためには牧草や穀類を必要とします。そのためには、当然、水が必要であります。世界的な食料危機を考えたときに、食糧生産のための貴重な水源として、ため池を簡単に壊すこともできないとも考えられます。
 和歌山県下に平成19年度末で5549のため池があり、今回のような集中豪雨や地震などの災害によってため池が決壊し、県民の生活が脅かされることがあるのであれば、危険ため池として対処していかなければならないと思います。県は、関係の市町村と連携して早急に調査をしていただきたいと考えます。今回の岩出市と紀の川市における工事の復旧状況について、県内のため池の防災対策について、農林水産部長にお尋ねいたします。
 次に、府県間道路についてお尋ねをいたします。
 知事は、道路は行政の責任において整備すべき最も基本的な社会基礎であるとの持論のもと、厳しい財政状況にもかかわらず、就任以来、一貫して必要な道路の整備に力を注いでこられました。京奈和自動車道の一部完成、新宮那智勝浦道路、泉佐野岩出線のトンネルの完成など、着実に整備が進んでいます。また、歩道整備や交差点改良などの地道な道路整備の積み重ねもあって、昨年の交通事故者数は減となりました。
 和歌山県の道路は、大阪府県境から海岸線に沿って南下する近畿自動車道紀勢線を軸として、一般国道11路線、県道190路線、市町村道2万7811路線があります。しかしながら、県土の8割が山間部であることなどから、全国や近畿と比較すると道路整備はおくれています。具体的には、交通の動脈となる幹線道路の整備が十分でないため、通過交通が市街地に流入したり、特定の幹線道路に交通が集中することによって、相変わらず厳しい渋滞が発生しております。また、現在、県では企業誘致に積極的に取り組んでいますが、本県が関西国際空港に非常に近い優位性を生かしていくためにも、充実した高速道路網と一体となった幹線道路網のさらなる整備が必要と考えています。特に府県間道路のさらなる整備を優先すべきだと考えます。
 県民の安全を守るため、歩道などの整備を着実に進めていく必要があると考えます。道路財源の確保について、執行保留していた道路事業を進めることができたことは大変うれしく思いますが、道路財源の一般財源化や中期計画の見直しなど、まだまだ和歌山にとっては正念場であると考えます。私は、これからも積極的に道路網の整備を推進することにより、安心して暮らせる、知事が挙げる元気な和歌山が実現すると考えます。
 そこで、府県間道路についてでありますが、府県間道路ですから、和歌山側だけ整備しても意味がないと考えます。さらなる整備により、両府県の人の行き来がそれぞれを活性化させることだと思います。和歌山の農産物、紀の川市にありますめっけもん広場には、連日、大阪方面の車が多く並んでいます。また、世界遺産の高野山についても同様のことが言えると思います。
 大阪府の橋下知事が就任され、急激な改革に取り組む中、建設事業費を2割減とする大幅削減を目標に上げられています。和歌山県との道路に対しての温度差を感じます。仁坂知事は、橋下知事が当選してすぐに表敬訪問され、激励するとともに、橋下知事から、「行政経験は初めてなので御指導ください」と言われたと聞きます。観光や物産、産業などのプロモーションなど共通する課題に取り組んでいく方向で一致したということで、実際に大阪市内で行われた和歌山県の物産展に出席していただいたようでありますし、今度は府県間道路について強く要請をしていただきたいと思います。今後、大阪府への働きかけについて、知事の御所見をお伺いします。
 次に、仮称「紀泉連絡道」についてであります。
 和歌山県北部を横断する高規格幹線道路について、和歌山市から紀の川市を経由して橋本市に至る京奈和自動車道を、現在、鋭意整備中であります。しかしながら、和歌山県北部はもとより、五條市、御所といった奈良県西部の活性化を図るためにも、この京奈和自動車道から関西国際空港へのアクセス性の強化を図ることが不可欠と考えられます。
 関西国際空港と京奈和自動車道とのアクセス道路については、現在、県道である泉佐野打田線、泉佐野岩出線、鍋谷峠道路等の整備を進めているとともに、こういった各種道路計画を踏まえつつ体系的な道路整備を行っていくことが必要と考えます。このため、関西国際空港と京奈和自動車道とのアクセス道路の強化に向け、和歌山県、大阪府等の関係機関の協力を得つつ、平成20年度より新たに関西国際空港連絡道・京奈和自動車道関連道路網調査を進めることとしました。上記調査において、関西国際空港連絡線と京奈和自動車道打田インターチェンジ──仮称であります──とを結ぶ幹線道路を中心に検討を進めてまいりますという発表が5月8日に国土交通省より報告があったと聞いております。
 阪和自動車道上之郷インターから計画中の京奈和自動車道打田インターと約9キロを結び、仮称「紀泉連絡道」ができるのであれば、企業誘致、雇用拡大、農産物等の輸送時間の短縮等、和歌山県北部はもちろんですが、和歌山県にとって大きなチャンスであると考えます。ぜひともこの計画を推進していただきたく、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、JR和歌山線の活性化についてお尋ねをいたします。
 JR和歌山線は、1900年、紀和鉄道として五条─和歌山間が開通してから、紀の川筋の公共交通機関の中心として存在をしております。1975年をピークに、年間1978万8000人から、2007年には939万9000人まで、利用者が32年間で半分となりました。列車本数も運転本数も減少しています。特に現在、和歌山─粉河間と粉河─橋本間を比べますと、粉河─橋本間が1日13本少なく、和歌山線の赤字は南海貴志川線当時の年間の赤字以上の赤字を出しております。
 国鉄からJR西日本へと民営化しています。民間企業はボランティアではやっていけません。廃線やほかの交通機関への転換も考えられると思います。廃線だけには絶対にできないと。特に高校生の通学を考えますと、入試が全県1区でありながら電車がなければ選択肢が少なくなりますし、それこそ意味がなくなります。「廃線」という言葉が出る前に和歌山線を活性化しなくてはならないと、私は危機感を感じています。
 平成16年、南海電気鉄道は貴志川線からの撤退を表明しました。しかし、「貴志川線の未来を“つくる”会」を初めとした地域住民等の存続に向けた熱意を受け、県、和歌山市、当時の貴志川町が存続の枠組みとして必要な資金を負担し、運行業者を公募し、岡山電気軌道が選定され、和歌山電鐡が設立。平成18年度の利用者数が前年比10%増で211万4000人になり、平成19年度も同じ程度の利用者数の見込みであります。
 その後の貴志川線につきましては、毎月1回、貴志川線運営委員会が、和歌山電鐡、行政、学校、住民団体、商工会等で構成され、利用促進協議が行われております。また、貴志川線祭りも行われ、いちご電車、おもちゃ電車といった特色のある電車も運行されています。何よりも貴志駅の売店の猫「たま」が駅長に就任し、話題を呼んでいます。「たま」は、現在スーパー駅長に昇格し、駅長室も完成しました。また、フランスのドキュメンタリー映画の撮影も行われるなど、貴志川線の活性化に住民とともに活躍してくれています。私も貴志駅にいちご電車を見に行きましたが、他府県から貴志川線に乗車するために来られた方、駅長に会いに来た方が多くいました。本来、地域住民の通勤・通学の手段の存続であったものが住民の力でここまで成長してきたと考えます。
 JR和歌山線沿線には、すばらしい環境資源が多く、農産物があり、人を呼べる潜在的な能力があると考えています。JR西日本管内での「駅からはじまるハイキング実績」という調査が行われております。平成17年度には打田駅が第2位、粉河駅が第4位、18年度には打田駅が第3位、粉河駅第4位、19年度には粉河駅が第1位、打田駅が第2位と、年間の利用者数が管内で上位を占めております。特に19年度につきましては、粉河駅、打田駅とも、このハイキングの利用者が倍増していると。それだけ観光に適した地域であると思います。
 例えば、地元の農業生産者やJAと連携し、駅を活用し、その地域の農産物を売り出しをする、そして駅をつなぐ電車をフルーツ電車とするのも1つの方法だと考えますし、また、和歌山電鐡との連携したエリア切符をつくるなどあらゆる取り組みを行い、魅力ある和歌山線を構築し、将来にわたって地域住民に利用される努力を、JRはもちろんでありますが、和歌山県も関係の自治体も、この活性化のためにさらに努力をしていかなければならないと考えます。とにかく、地域住民を巻き込んだ活動をしていくことが重要であると思います。とにかく危機感を持って取り組んでいただきたい。
 これまでJR和歌山線の活性化のために取り組んできたことや、取り組みの予定の事業について企画部長にお伺いをいたします。
 最後に、中高一貫教育についてお伺いします。
 さきの議会でもありました中高一貫教育ですが、私は、県立高等学校に2年、中学校で7年間、教鞭をとらせていただきました。中学3年生の担任をさせていただいたときに進路指導の主任もさしていただきました。いろいろと悩むことが多くありました。ある日、保護者から連絡がありまして、中高一貫教育の学校へ編入させたいと。編入試験を受けて見事合格し、紀南の私立高校へ転校していきました。それだけ中高一貫教育に共感されたのだと思います。
 利点を考えますと、高校入試の影響を受けずに安定した学校生活を送れること、中学校から高校までの6年間でゆとりある教育を受けて幅広い教養と知識を身につけることができる、6年間という期間を使い効果的な一貫した教育が可能であること、生徒の個性や才能を発見して伸ばしていくこと、中学校1年から高校3年生までともに行動することによって社会性を身につけさせることなどが考えられます。
 現在の和歌山県の高校入試を考えますと、前期・後期入試制度によって子供の選択肢が広がるとか、チャンスが2回というふうには全くもって考えにくく、大半の子供にとっては初めての受験ということで精神的に不安にもなりやすく、和歌山の子供は大変な思いをしているようにも思います。これらのことを考えますと、中高一貫教育へと考えてしまうのかもしません。
 中高一貫校へ進学させたい、また、子供自身が行きたい、動機はさまざまでありますが、希望してる人はいます。私の住む那賀地方からも、私立、県立の中高一貫校に通う子供もいます。小学校を卒業したばかりでありますから、決して強靱な肉体が備わっているとは考えられません。単純に考えて、那賀地方から電車に乗って中高一貫校へとなれば、片道1時間はかかるでしょう。子供にとって大変なことだと思います。「うちの子はまだ体が小さいし、電車で行くのはかわいそうかな」、「生活が大変。子供の電車代がかかるから、行かせてあげたいけど無理かな」、「今は学校の数が少なく、合格するのは難しいので、うちの子は入れないと思う。早くふやして入学しやすくしてほしい」などの話を聞くことがあります。
 平成15年3月の和歌山県中高一貫教育推進懇談会の報告書を拝見しますと、中高一貫教育の設置形態及び配置では、「その配置に当たっては、県内すべての児童生徒に選択の機会が与えられるよう、これまでの各通学区域ごとの設置を目標としながら、当面併設型中高一貫教育校を中心として複数校設置することが適当である」と報告されております。また、「県内すべての児童生徒に選択の機会が与えられるよう」と報告されています。より一層の生徒の個性を伸ばすためにも、県内すべての生徒、保護者に機会を提供すべきではないかと考えます。
 しかしながら、現在、中高一貫校は、公立では和歌山市で向陽、それから桐蔭中学校があり、伊都・橋本地方には古佐田丘中学校、田辺・西牟婁地方には田辺中学校、御坊・日高地方には日高高等学校附属中学校、新宮・東牟婁地方には私立の一貫校があります。残念ながら、那賀地方にはありません。文部科学省では、中高一貫教育は、地域の実情や生徒、保護者のニーズを踏まえ、都道府県や市町村等の設置者の判断によって設置されるものですが、生徒や保護者が実質的に選択できるよう、当面、高等学校の通学範囲に少なくとも1校整備されることを目標としていますとあります。以前の学区のことを考えれば、そして中学生のことを考えれば、那賀地方を1つの学区と考え、1校あるのは当然とも思います。紀の川市、岩出市両市とも、この那賀地方に一貫校を設置することを熱望しております。
 和歌山県では、高等学校再編整備計画及び第1期実施プログラムに基づいて積極的に取り組んでこられたと思いますし、中高一貫教育を導入してから日がまだ浅いということもあります。地元中学校とのバランスもあると思います。たくさんの課題もあるでしょうが、12月議会で、川口議員の質問に対して、県内すべての地域の御要望を満たすまでには至らないと教育長も答弁されております。どうか、子供たちにチャンスを与えていただきたいと思います。今後の中高一貫校の開設の方針について、また現在、和歌山県中高一貫教育推進懇談会のような有識者による中高一貫教育について話し合いが行われているのか、教育長にお伺いをいたします。
 以上、お尋ねしまして私の質問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの岸本健君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 御質問のうち、府県間道路についてお答え申し上げたいと思います。
 府県間道路についての今後の大阪府への働きかけについてでございますけれども、その働きかけの前に、この府県間道路というのは、関西の放射状道路の一部を形成する府県間道路と、それから関西大環状道路を形成する京奈和道路、この2つの組み合わせによって、紀の川流域といいますか、ひいてはそこからまたさらに和歌山県全体に影響が及んで関西都市圏の拡大、和歌山県の発展に必要な、必要不可欠な道路であると考えております。
 それで、最近というか、私が就任する前ですけれども、和歌山県側としては、このような考え方に基づいて割合工事も進めておる。ところが、大阪側が、当時からも財政が不如意であるので、大阪の南部の県境のあたりについては公共事業を抑制にするんだということを決めておって、なかなか進まない。そういたしますと、その中間を国に頼んで直轄でトンネルを抜いてもらうというようなプロジェクトもなかなか進まない。それで、こちら側ばっかりよくなっていっても、道はつながっていて初めて意味があるわけですから、うまくいかない。そういうことが起こっておりました。
 そのため、太田前知事のころから大阪府に対して大いに働きかけをいたしまして、府県間道路の整備について、かなり前向きに対処していただくということにいたしました。その考え方は、基本的には大阪というのは大阪府の中だけで小さくまとまってたら大阪自体の発展がないだろう、和歌山が取り残されるだけじゃなくて、取り残した大阪のほうもあんまり発展しないから、そういうところは大いに考え方を改めて、和歌山なども巻き込んだ発展をみずから構想しないといけないんじゃないか、こういうことをずっと訴えてまいりました。それで、太田さんもそれについて基本的には賛成をしてくれると。実は昨年の冬──冬の前ですね、秋ぐらいです、初めて大阪府と和歌山県が共同で国土交通省に対して、480号線ですけれども、その直轄事業としてのトンネル工事をやってくれということを共同でお願いに行ったと。それが実りまして事業採択に至ったわけであります。
 その後、太田さんが不出馬を決めて、橋下さんが大阪府の知事になりました。知事がかわってこの考え方がまたもとへ戻っちゃったら大変だという考えもありまして、大阪府の橋下さんが当選された後、すぐにアプローチをして、お祝いに行ったときに、このような運動を始めました。始めたときに、何も「府県間道路をつくってくださいね」と言うと陳情みたいなんで、哲学的な話をしなきゃいけない。哲学的というか、考え方の話をしなきゃいけない。その考え方の話としては、和歌山も大阪も大関西圏で勝負しないと東京に対抗できないじゃないかと。大阪府の知事というのは、その関西全体の盟主なんだから、大関西圏でいつも発想するようにしてもらいたいと。一例を挙げれば、和泉山脈で道路がふさがっているというのは大阪のためにはよくないと思うと。それから、いろんなプロモーションも一緒にやったらいいと思うというようなことを申し上げました。その考え方については極めて賛成だと。その後、橋下さんは道州制なんかにも大変賛成だし、関西全体がまとまってということについては、いろんなところでその考え方を変えていないというふうに思います。御指摘のように、和歌山県の物産展も大阪の業者が一方の当事者なんだから、それは応援に行こうといって来てくれました。
 ただ、その後、またいろいろ話をしておりますと、財政再建──大阪の財政が、候補者であったときにこんなに大変だとは思わなかったというふうに言うておりまして、そっちを片づけないといかんということで、皆さん御承知のような動きになってるものと理解しております。その動きの中で、財政再建はもちろん大事なんですけれども、大関西圏で発想しようという考え方を、財政再建なるがゆえに放棄したとは私は考えておりません。ただ、その際に実際に使えるお金が減った。それで減ったときに、具体的にこの箇所づけがどうなったかということについて、少し我々も心配するとこがありますので、したがって、そういう点についてはまた改めて、その大きな考え方のもとに、現実の手段として、これは大事なものだからぜひ考えてくれよということは引き続き申し上げていかないといけないと思っております。
 ただ、今のところ、事務的に大阪府のグループと最近とみにうちの県土整備部は協力関係を引いておりまして、そういう点では、その流れがおかしくなってるというようなことは全然聞いておりませんけれども、一般論として、また注意をして、折に触れて本県の重要性も訴えていきたいと考えております。
 それから、いわゆる紀泉連絡道でございますけれども、今年度から、議員御指摘のように、国土交通省において、関西国際空港と京奈和自動車道とのアクセス道路の強化に向けて、幾つかの関連道路網が構想としてありますので、それについての調査を実施するということになっております。その中で、関西国際空港連絡線と京奈和自動車道の打田インターを結ぶ幹線道路の調査検討もメニューの中に入っていて、それで検討が進められるというふうに聞いております。
 関西国際空港と紀北地域というのは、切っても切れない、あえて言うと、紀北だけじゃなくて和歌山県全体としても切っても切れない──それをどうやって和歌山県の中で、和歌山県の発展であり、それから関西全体の発展につなげていくかというのは、我々にとってかなり大きな政策目標の1つだと考えております。そういう意味で、それをあらわしている構想でありますので、大変有意義なもんだというふうに思います。
 今後、大阪府なんかとも連絡をとりながら、国の調査に、これは積極的に協力していかないかんというふうに思っている次第であります。
○副議長(新島 雄君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 林地開発とため池の防災対策の2点についてお答えをさしていただきたいと思います。
 まず、林地開発の許可についてでございますが、地域森林計画の対象森林の中で、1ヘクタールを超える開発を行う場合でございますが、森林法第10条の2の第1項の規定に基づきまして都道府県知事の許可が必要ということになっております。また、第2項で、その許可基準として4項目が決められてございまして、災害の防止、水害の防止、それから水の確保、それから環境の保全という基準が定められてございます。また、申請がございました場合には、第6項によりまして市町村長の意見を聞くということになってございます。さらに、本県におきましては、林地開発行為の適正かつ円滑な実施を図っていくということから、地元関係者の同意等を整えるということを内容といたしました県の林地開発許可制度に係る事務取扱要領を定めてございます。
 今回、議員お話しの件につきましては、平成20年、ことし去る3月4日に申請書が県のほうに提出をされまして、その後、県といたしましては、紀の川市に意見照会を行ってございます。そして、去る6月の13日に紀の川市から県に意見書が提出されてございます。
 今後、紀の川市から提出されました意見書を、その内容を十分吟味をいたすとともに、先ほど申し上げました森林法の許可基準並びに県の林地開発許可制度の事務取扱要領等に基づきまして厳正に審査をし、対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、ため池の防災対策についての2点でございますが、まず岩出市、紀の川市における工事の復旧状況についてでございます。
 5月24日から25日の和歌山県北部を中心とした豪雨におきまして、岩出市内で県が実施しているため池工事場所からあふれ出した雨水により浸水被害が生じたものでございまして、被害発生後、直ちに池の中にある仮堤防を補強いたしまして、今後の降雨に対応できるよう緊急な処置を行ってございます。また、開削箇所につきましても、6月9日に復旧をさせてございます。今後、再発防止を徹底いたしまして、工事の完成に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
 また、紀の川市桃山町の桜池、松池につきましては、ため池ののり面が崩壊をし、緊急避難という予期せぬ事態が発生いたしてございます。
 現在の復旧状況でございますが、紀の川市におきまして応急の仮工事の工法決定を行いまして、上流側の桜池につきましては、ため池の水位を下げるための放流管を設置するとともに、大型土のうによる堤体仮復旧工事を完成させてございます。また、下流側の松池につきましても、堤体の仮復旧工事を現在実施をしているところでございまして、6月末には仮復旧が完成する予定というふうにお聞きをいたしてございます。
 次に、県内ため池の防災対策についてでございますが、農業担い手の高齢化、あるいはその担い手の不足、都市化による受益地の減少等によりまして、ため池を適正に維持管理していくということが困難な状況になってもきてございます。このようなことから、地域防災計画において警戒が必要と位置づけられたため池、それから地震発生時に下流域に甚大な被害、影響が懸念される大規模なため池、それら420カ所につきまして、平成16年、17年において現地調査による1次診断を実施いたしてございます。このうち、特に危険度が高いと判定をされました45カ所についてはボーリング調査を実施し、2次診断を行ってございます。これらの結果をもとにいたしまして、水利組合や関係市町村と十分協議を行いまして、順次改修に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 また、ため池につきましては、堤体の侵食とか漏水などの状況を早期に発見するということが未然の被害防止につながるということから、今回を教訓にいたしまして、日ごろの点検、監視につきまして、市町村を通じ、水利組合などの管理者に対し一層の周知徹底を図るなど、積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 企画部長前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○企画部長(前硲健作君) JR和歌山線の活性化についてでありますが、沿線の4市1町で構成され、JR西日本と県も参加する和歌山線活性化検討委員会におきまして、これまで沿線PRガイドの作成や街頭啓発、それから駅舎の利活用など、その活性に取り組んできたところであります。
 本年度は、特に無人駅舎の利活用の検討を行うほか、車中心のライフスタイルを見直していただき、公共交通機関を積極的に利用していただけるよう沿線住民の皆さんに働きかけて、地域ぐるみでの取り組みを促進してまいりたいと考えております。
 また、あわせまして、公共交通の利用促進に対する企業や団体等の意識の高揚を図ることが必要であると考えておりますので、県では、本年度から、公共交通の利用促進に積極的に取り組んでいる企業や団体を認定する制度を新たに創設し、現在、商工会議所等を通じた呼びかけや、一部個別企業訪問などを通じ募集を行っているところでございます。
 なお、議員から御提案のありました中で、フルーツ電車というアイデアにつきましては、JR西日本がフルーツをイメージした列車の運行をメーンとする和歌山線キャンペーンというのを来年の春に計画していると聞き及んでおりますので、県といたしましても、今後、地元自治体や住民の皆さんの参加を求め、こうしたJRの試みを支援してまいりたいと考えております。
 今後とも、JR西日本及び沿線自治体とともに、和歌山線の活性化に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(新島 雄君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 本県における中高一貫教育につきましてお答えいたします。
 平成14年度の和歌山県中高一貫教育推進懇談会や、平成15年度の第4期きのくに教育協議会等で審議をされまして、県立高等学校再編整備計画の第1期実施プログラムなどに基づいて推進をしてまいりました。
 現在、中高一貫教育校につきましては、連携型を3校、併設型を5校設置しておりまして、設置率としては全国的にも非常に高い設置率となってございます。
 和歌山県中高一貫教育推進懇談会のような有識者による会につきましては、現在設置しておりませんけれども、今後は、既設校の教育内容やそのあり方につきまして評価、分析を行い、その結果を踏まえ、地元の市町村や学校等の意見もお聞きしながら、今後の県立高等学校再編整備計画の中で総合的に検討してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
 17番岸本 健君。
○岸本 健君 大変丁寧に御答弁をいただきまして、ありがとうございました。
 1点だけ要望であります。一番初めにお尋ねいたしました林地開発についてでございます。
 ちょっと聞いたところによりますと、森林法でいろんな諸事情がクリアされた場合に、もう1点、その和歌山県の林地開発許可制度事務取扱要領というものも審査されると。これにも重きを置いていただきたいと。この要領に出される、5つほど書類があるのかな、その中身というのが、本当に地元の皆さんの同意、意見、願いが込もったものであると思うんです。これにも重きを置いていただきたい。ちょっと聞いたら、森林法が丸になったら、それで通れば、余りこれは重きを置かないということもちょっと聞いたりもしたもんですから、それが非常に心配で、やはりすべてにおいて県民の本当に安心できるような地域のために御審議をいただきたいと。これはもう要望でありますので、どうかよろしくお願いします。
 はい、終わります。
○副議長(新島 雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で岸本健君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 それでは、通告に従いまして、早速一般質問に入らせていただきます。
 まず初めに、2月県議会から継続審議となっています中小企業高度化資金の債権放棄問題について、前議会での質問、答弁、審議の上に立って質問をさせていただきます。
 本県の問題に入る前に、この中小企業高度化資金の全国的な状況と問題点について触れておきたいと思います。
 この制度融資は、中小業者の共同化による体質改善を目的としたものでしたが、国レベルでも融資の焦げつきが明らかになり、中でも同和対策融資の不良債権化率が高いことが問題となっています。そんな中、高知県、そして奈良県では、この高度化資金融資で訴訟が起こされて県が敗訴するという事件が起こっています。
 高知県では、縫製業の協業組合モード・アバンセに対する巨額やみ融資事件が問題となり、つい最近のこの5月23日号の週刊誌にも、橋本大二郎元高知県知事が1000万円の和解金を支払ったことが記事になっております。高知県は、このモード・アバンセに対し総額26億4000万円の融資をしたわけなんですが、そのうち約25億円が焦げついてしまいました。その中身は、まず初めに14億円の高度化資金を受けたモード・アバンセに対して、経営破綻した、その経営破綻の発覚を恐れた県幹部が、同社だけを対象にした12億円の追加のやみ融資を実行したというもんです。
 高知県議会は百条委員会をつくりましてこの問題を徹底審議。初めの14億円の融資については、そのモード社と造成・建築を行った建設会社双方を詐欺罪で告訴いたしました。裁判所は、両者が結託して虚偽の申請、うその申請でこの高度化資金をだまし取ったということを認定いたしまして、この裁判は有罪が既に確定をしております。加えて、この追加融資の12億円、この問題に対しては、元副知事らを背任罪で告訴をしてるんですね。裁判所は、回収の見込みがないのに自己保身目的で融資をして焦げつかせ、県に損害を与えたとして、これも有罪が裁判で確定をしています。この2つの刑事訴訟に加えて、今度は民事では、知事ら当時の県幹部を相手に26億円を返還せよという住民訴訟が起こされました。この裁判は、去る3月に合計2000万円を返還することで和解が成立をいたしております。
 一方、今度は奈良県のケース。これは、食肉関係の協業組合ヤマトハイミールが20億円もの高度化資金融資を受けながら、10年間でわずか300万円しか返済しなかったというずさんな融資です。ここでは、協業組合の不透明な経営実態や融資手続が問題にされたのに加えて、県は返済が滞っているのに催促もせず、延滞金も請求していなかったということが問題視されました。このことに対して住民訴訟が起こり、県知事、幹部とヤマトハイミールに対し、この回収を怠ってきたことの違法性を認めて損害額を支払えと訴えがされたんですね。奈良地方裁判所は、県がこの償還請求などの手続を怠ったことを違法と認定、業者には違約金3億円余の支払いを命じました。裁判は控訴され、現在、高裁で係争中であります。
 こういう全国的な状況の中、今回、私どもの和歌山県の債権放棄議案の審議に当たりましては、融資そのものがずさんではなかったか、他県の例にあるように無理やり融資を引き出していないか、県が隠し事をしたりしていないか、こういった点も含め、県民に納得のいく説明がつくかどうか、これが焦点であり、慎重に審議する必要があると考えています。
 それでは、具体的に質問に入らせていただきます。
 まず、融資の問題点について、以下3点を商工観光労働部長にお伺いいたします。
 まず、担保価値と保証能力についてお尋ねいたします。
 土地・建物を競売するときに、鑑定評価は売買価格の5分の1にしかなりませんでした。融資の担保価値が不足していたのではないかと前議会で質問したところ、答弁では、外部監査の土地価格と実際の取得価格が大きく乖離していることは認めたものの、物差しが違うとだけ答えただけで、なぜ鑑定評価がそんなに安くなってしまったのか、この減価率54%になったのかという原因については答弁されませんでした。のり面等の買い足しにより、見かけの土地単価に相当する担保価値がないのをなぜ見抜けなかったのでしょうか。
 そして、連帯保証人の保証能力の問題では、前回議会の答弁はこうでした。組合員の責任の明確化のため、全員が連帯保証人になってもらっておりますということでした。これは、返済の気構えだけしか触れていません。気構えだけではお金は返せません。保証融資審査に当たり、連帯保証人の資産や経営実績などの保証能力は巨額な融資額に対して十分だったかどうか、率直にお答えください。
 次に、この高度化資金融資において、プラスパフーズが融資の審査を通すための土地買い足しをしているのではないかという点についてお尋ねをいたします。
 前回質問では、このパネルも示しまして(パネルを示す)、融資最終段階でのこの異例の変更、──この赤い部分の池ののり面部分などの土地買い足しというのは、この見かけの土地単価を下げて審査を通すための手段だったこと、のり面を工業用地単価で抱き合わせ販売するようなことはとんでもないやり方だったという点を、幾つかの書類など事実に基づいて指摘をさせていただきました。そして、この不自然な変更に対する審査が適正にされたのかと質問しましたが、答弁では、事業の必要性から買い足したとそっけない答弁でした。つまり、説明のつかない、後から取ってつけたような理由で無理やり審査を通したのではないでしょうか。
 お配りしております資料1と資料2を比べて、御一緒にごらんください。情報公開されている平面図と、それから土地面積の推移を私がまとめたものです。情報開示された資料をもとに、一体もともとどの部分の土地を買おうとしたのか、これ、調べたのですが、この数字も、場所の特定も、広さも整合性がありません。でたらめなんですね。地図に記されている色つけというのは最終的に買ったときの組み合わせであって、当初のものとは違います。各種の申請書類、当初の書類、予備申請、本申請ともに、ついてるはずの図面すら県には残ってないんです。よくこんな計画で審査を通しましたね。あののり面を最終段階で買い足さなければならないような緊急性、合理性があったかどうかをいかに審査して結果を出したのか、部長から答弁を願います。
 審査の問題にかかわっての3つ目に、融資要件について今回はお尋ねをしたいというふうに思います。
 高知のケースは、自己資金というのが見せ金で、あるように見せて融資要件に合わないのを隠して、県をだまして融資を引き出したと、これが詐欺罪が確定したわけです。奈良のケースは、出資金の割合とか協業規定の無視というようなことが県議会で問題にされています。今回のプラスパフーズの件については、同和対策かどうか、自己資金は十分か、出資比率は一部に偏っていないか、協業化に伴うその競業禁止規定、これが守られているか、こういった融資要件が厳格にクリアされていたかどうか、御答弁を願います。
 さて、2つ目の項目であるせんべつ問題に移ります。
 前回の質問で、プラスパフーズの総勘定元帳に、「県庁せんべつ3名、15万円」と記されている問題を取り上げ、県と業者の癒着をあらわしているんではないかとただしたのに対し、部長はせんべつ問題の調査を約束いたしました。この3カ月間、どんな調査をし、結果はどうであったのか、お答えいただきたいと思います。午前中の答弁では、双方聞いたら確認できなかったとありましたけれども、それは渡したかどうかもわからないし、もらったかどうかもわからなかった、こういう結果だと受けとめましたが、どうでしょうか。また、ほかの案件に同様の例はなかったのかということについても、部長から御答弁願います。
 次に、この問題の3つ目の項目、返済完了案件の問題点について知事に質問をいたします。資料3と4を、これも並べてごらんいただけたらと思います。
 前回の質問では、資料3の一覧表というのを出しました。現在返済が残っている組合の返済と滞納の状況です。この中で、合計109億円もの融資焦げつきが発生している34法人──表の左側です──この34法人と、順調に返済中の15法人──これ、右側ですね──この2つのグループの状況を示しました。
 ところが、高度化資金融資の全体像、歴史をつかもうと思えば、これに加えて、もう既にこの融資返済を終わって、この表から外れている法人も点検する必要があると考えたんです。それが、このつけ足しております4、完済法人というやつですね。実は、この表に出ていない返済完了177法人の中に、調べてみますと、事業がうまくいかずに経営破綻したんだけども、その後になぜか全額返済をしている、そんな組合が数件見受けられるんですね。資料4というのは、それを調べた一覧表です。これ、調べてみますと、経営破綻で事業が続けられなくなり返済がストップした後に、その工場用地を改良住宅の移転用地や大型作業所の用地として市が買い上げているんですね。しかも、土地代とか移転費用という名目をつけて、残っていた借金、負債を上回るような金額で買い上げ、国・県の高度化資金の融資を完済してしまっているんですね。
 表をよく見ていただくと、何と返済残高──一番右の最終償還の返済残高どころか、初めの融資金額、融資額よりも高い金額で買い上げてる、そういう始末がわかりました。これにはびっくりしました。当時の市議会でも、法外な買い上げ費用が問題になって、予算執行に一たん議会がストップかける、そういう大問題となりました。
 今議会の債権放棄議案も、借金を返せなかった融資を不良債権処理することによってそのツケを県民に回すものですが、今回のこれらのケースは、表面上全額返済となっているものの、税金で借金の肩がわりをしたことになるという点ではひどい話だと思うんです。知事、これらは税金で借金の肩がわりをしていると思いませんか。それとも和歌山市のすることだから関係ないと、県としてはお金が返ってきたらいいのだという考えでしょうか。知事の認識をお答えください。
 続きまして、この問題の第4の項目、延滞額の9割が同和対策であることについて、前回に引き続き、知事にお尋ねをいたします。
 私のほうから、県の高度化資金滞納額の109億円の内訳を見ると、その9割近くもが同和対策融資が占めている。これ、資料3でわかります。この割合というのは、とても正常とは言えない。この問題をどう認識しているのかと質問をいたしました。知事は答弁で、繊維や皮革などの地場産業のウエートが高いのも原因ではないか、そういう答弁をされました。しかし、その理由だけでは、到底この9割という数字を理由づけすることには無理があります。同和対策の巨額融資、これが1つこけたら大きいわけです。この融資の破綻が割合をうーんと引き上げたというのが客観的なデータの見方じゃないでしょうか。
 また、一方で知事は、高度化資金の融資というのは、民間金融と違って、これは政策金融なんだと、そこをわかってほしいということも強調されました。しかし、事は20億円を超すような巨額融資です。小口の融資であれば無担保、無保証のような政策的部分は当然あってしかるべきです。しかし、巨額融資は万一のリスクもちゃんとはじいておかないと、財源は税金ですから、ごめんなさいでは済まないわけです。
 知事の分析は、その同和対策融資の場合の産業構造や経済状況が一般よりも厳しいんだという意味に私はとれるんですね。私は、その地改案件と地改以外の案件を比べてるんじゃありません。そんな比較をいつまでもやることはおかしいというふうに思うんです。加えて言えば、私は同和対策だからおかしくなったと言ってるんじゃない。同和行政が本来のあるべき姿からゆがめられたから起きている結果じゃないか、仮に秩序ある同和対策としてやっていれば9割というようなことにはならないでしょうか、そういうふうに問題提起しているわけです。
 知事は、この間の議会の再答弁で、同和であろうとなかろうときちんと審査し、債権管理をきちんとやって、県民の財産を無駄遣いしないようにするのが我々に課せられた義務だというふうにおっしゃいました。もっともなお話です。しかし、そうやって幾ら胸を張っても、結果の数字はそうなっていないのではないかと質問しているわけです。融資焦げつきの9割が同和対策だということがどうなのかと、この点で再度知事の認識をお尋ねいたします。
 この問題の最後に、債権放棄の責任について知事にお尋ねをいたします。
 外部監査報告が、説明責任を果たさないままの債権放棄は県民の理解を得られない、そういうふうに指摘しているように、本議案に対する議会のチェックの重要な柱は、この説明責任をきちんと果たした上で債権放棄議案なのかということだと思うんですね。融資の焦げつきが続出している問題点、これを深く掘り下げ、不十分だった点、判断を間違っていた点、そんなこともあれば包み隠さず明らかにし、その上で県民の皆さんに最終処理を提案すべきものです。その説明責任をそこそこにしておいて、最終処理だけを提案してることになっていませんか。当局からの説明は、もう競売もしました、もう保証人から取れるものはありません、こういう債権処理実務に陥っていて、融資の不自然な点については、審査は適切であったという紋切り型に繰り返すだけになっています。問題を債権処理の実務だけに狭めるんじゃなくて、議会でこれだけさまざまな角度から疑問点が指摘されてるんですから、融資の経過を再調査し、真相解明してから再提案すべきではないかというふうに思いますが、いかがですか。知事の御見解を求めます。
 引き続き、生活保護行政についての質問に移らせていただきます。
 これまでも、生活保護件数と申請を減らすための「水際作戦」などという言葉が使われましたが、世論と運動の力で全国的には随分改善されてきました。また、北九州での餓死事件などを受けて、厚労省の指導では、相談で申請権を侵害しないこと、扶養義務者と相談してからでないと申請を受け付けないなどの対応は申請権の侵害に当たるおそれがあるとして、申請意思が確認された人には速やかに申請書を交付することが重要だとされています。
 ところが、現状は、民生委員さんを通じて申請してきなさいと、民生委員さんを通さないと受け付けない、こういう自治体窓口の対応があったり、事前の相談ということを盾に、ケースワーカーがいろいろ話を聞いた後でないと申請させてもらえない、保護されたケースでも、申し出た日のずうっと後が申請日になっていたりする、そんなケースが多いという実態があります。その人が生活保護基準に該当するかの調査や、就労や病気の状況とその対応、家や車などの資産の状況はどうかなど、専門家であるケースワーカーがその調査、判断すべきじゃないでしょうか。民生委員さんに悪気がなくても、これはだめだろうという、そういう個人的な判断によって役場に取り次いでもらえたりもらえなかったりする、こういう実態は問題だというふうに思うんですね。
 生活保護法に基づく申請権を保障するために、法律の趣旨、規定に基づいて、地域で御苦労いただいている民生委員さんとの連携と権限の明確化とか、相談業務と保護申請の位置づけ、これをはっきりさせること、申請用紙は自治体の窓口や公的機関、民生委員さんの手元にも常備されるようにすべきではないでしょうか。福祉保健部長の答弁を求めます。
 次に、生活保護受給者の病院への交通費、通院移送費について質問をいたします。
 北海道で起きた元暴力団員による約2億円の生活保護費不正受給事件をきっかけに、厚労省が移送費の大幅削減の改悪案を示し、その支給が極めて例外的なものに限られてしまうというようなことが大問題になりました。世論の高まりの中で、厚労省はこの6月10日に改めて通知を出し直し、事実上の削減撤回を表明いたしました。この通知では、これまでの基準を変更するものではなかったということ、それから、受給者の個別事情にも配慮をしながら適切な手続にのっとって審査することが重要だとしています。この趣旨をきっちりと県は徹底する必要があります。
 ところが一方で、有田郡内の支給状況を見ますと、アルコール依存症の専門病院への通院など極めて特殊なケースにしか支給されていない、それが実態であって、法の基準に基づく、まさに適正な給付が望まれているところであります。今回の一連の厚労省通達を踏まえて、和歌山県として移送費のあり方、これをどう考えているのかという点について答弁を求めます。
 あわせて、わかりやすくイメージするための例示として、次のような例は移送費の対象だと考えるかどうかもお尋ねいたします。
 Aの例、僻地の枝谷にある自宅から川沿いの路線バスの停留所までの距離が数キロもあると。高齢者のため歩いて行けないから、自宅からせめてバス停までタクシーを利用して、バス停からは路線バスを利用して病院まで通院するというケース。
 Bのケース、これは心臓疾患で、例えば障害1級、医者からは歩行は200メートルまでですよというふうに言われて、階段は厳禁ですと禁止されている人。この人が最寄りのJRの駅までの例えば2キロぐらいをタクシーで行って、駅からはJRを利用し、そして駅から病院までの2キロをまたタクシーを利用するというケース。
 それから最後に、Cというケース。例えば、タクシー使わないけども、バスと電車を乗り継いで近くの病院に行ってるという方。1カ月にバス代1760円、電車代1800円、合計3560円。額は少ないじゃないかと、1回1回は少ないじゃないかと思われもかもしれないけども、この世帯にとっては1カ月の米代、10キロの1袋2980円よりも多いんだと。少ない保護費からこの金額の工面はとてもつらいというケース。
 これらについての考え方をお示しいただきたいと思います。
 さて、この問題の最後に、必要な移送費の適正支給のために、今後、県としてどう指導していくのかということを御答弁願います。病院への交通費が移送費の支給対象だということを知らされてすらいない保護世帯が数多く存在する状況の中、正確に周知すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 以上、生活保護行政の質問3点については福祉保健部長に答弁を求めまして、第1回目の質問を終わります。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先ほど松坂議員から御質問のあった中小企業高度化資金の債権放棄に関連する問題につきまして、順番が私が先に指名されましたので申し上げますが、本来ならば、順番に従って商工観光労働部長のほうが先に申し上げたほうがいいのかなと思いますが、慣例でございますので、先に私の部分のほうを申し上げさしていただきます。
 まず第1に、返済完了案件の問題についてということでございますけれども、2月議会において答弁しておりますけれども、地域改善対策案件につきましては、同和対策事業特別措置法による社会的な背景を──当時ございましたので──受けまして、県としては昭和47年度以降、対象地域内の地場産業の振興、環境の改善等のために合計で45件、約218億円を貸し付け実行してまいりましたが、残念ながら幾つかは未済に終わっております。しかしながら、21件、約82億円は完済してございます。
 この返済完了案件の中にも問題点がある、和歌山市のほうで別の目的の助成金や貸付金ですか、そういうのをもらって、それでこっちで完済したんではないかという御指摘でございますけれども、そういうことをできるかどうかというのは、それぞれの自治体においてどんな貸し付けが適正に行われてるかどうかという関数であろうかと思います。それで、和歌山市のほうで私はどういうものであったか知りませんが、きちんと貸し付けの実態があって、それで貸し付けが行われているとすれば、それは問題ない話であるし、それがなくて、ただお金だけが行ってるとすれば、それは大問題であるわけであります。したがって、本件の問題は、それぞれの自治体でちゃんとした貸し付けが行われているかという問題に帰着するものと考えます。
 次に、高度化資金の延滞額の内訳についてでございますけれども、議員御指摘のように、和歌山県が行ったもののうち、巨額融資先の破綻が延滞債権における割合を引き上げているということは、私もそうだと思います。ただ、一方では、県経済活性化の一翼を担ってきた繊維、皮革等の地場産業のウエートが本県は高い。それからまた、当然のことながら貸付金は高くなっていく。その産業高度化、地域環境の改善を実施してきた。そういう実態にあったことも、また事実だと思います。
 特に、本県地場産業におきましては、その後、日本は激動期を迎えましたけれども、経済活動のグローバル化の中で、特にバブルが崩壊して、もっとそれがひどくなり、産業構造も大いに変わって生き延びられなかった産業、あるいは企業が随分たくさん出ました。その中で、特に打撃を受けた産業に属する産業がいたのが、また和歌山県の実態ではなかったかというふうにも思います。それは、本県の問題だけではなくて、和歌山の相対的地位の低下、産業界における地位の低下、そういうこととほとんどパラレルな事態であったような気がいたします。
 したがって、一番初めにおっしゃった大きな企業、これがあったことが地域改善関係を上げてるということは事実であろうと思いますが、それは、たまたまそういう関係のものがそうであったということであって、一方で、業種的に言えば、そういうグローバル化の中で、産業構造が変わっていく中で大打撃を受けた産業がまたあったということも事実ではないかというふうに思っている次第であります。特に、零細な中小企業を対象とする事業である地域改善対策については、零細企業なるがゆえに、経済の波をかぶるときに逃げられなくて破綻してしまったものも多かったということも、また事実ではないかというふうに思っております。
 そういう意味で、地域対策であろうと、そうでなかろうと、きちんと審査をしなきゃいけないということは事実でございますけれども、それはそれぞれの審査の過程できちんとした手続を踏んで、要領に従って、それで詐欺みたいなものを許さず適正にオミットが行われてるかということが一番大事な話でありまして、そういう意味で、前回どういうものでもきちんとやらなきゃいけないというふうに申し上げた次第であります。
 最後に、債権放棄の責任についてでございます。
 これについても、2月議会におきましては、きょう議論になっている高度化資金につきましては、我々はやっぱり結果責任はきちんと負わなきゃいけない。それは、もちろん県だけではなくて、貸付金を出した今の中小企業基盤整備機構、昔の中小企業事業団もそうかもしれません。だけど、私たちも国民や県民に対して、残念ながらたくさんの債権回収不能案件を出したということについては、責任をとらなきゃいけないというふうに思います。と同時に、先ほど松坂議員が挙げられた後者のほうの例にありましたけれども、債権管理にきちんとした手続がなされてたかどうか。それは、きょう議論にならなかった近代化資金につきまして、私どもは、県がちゃんと債権管理をしていなかった。これについては、結果責任だけではなくて手続上の瑕疵もあったというふうに申し上げて、初めから陳謝をしているところでございます。
 ただ、本件の問題につきましては、この間も申し上げましたし、再調査もいたしましたけれども、手続として何かおかしかったかということについては、どうも我々としては見出せなかった。したがって、この問題を、例えばだれかが仕事をサボって、あるいはわざとたくらんでこういう事態を招いたかということについては、決してそんなことはないと思いますというふうにるる申し上げて、説明も詳細にこれから申し上げようと思いますが、しているところでございます。
 私どもは、今、この高度化資金について、議会にかける手続上の債権放棄をしていただきたいとお願いしているところでございます。それで、お願いはそういうふうにしておりますけれども、何も我々の結果責任について免れたいと思ったことは一度もありません。それから、手続的に適法になされたものについて、それを追認してほしいというようなことを申し上げたつもりもありません。ただ、県の財産として、不良債権を抱えておいて、取れないものを取れるように見せかけるということは県の財政運営として望ましくない。したがって、それはちゃんと事情を説明して償却していかなければおかしいではないかということで、私たちは提案をさしていただいてるところでございます。
 松坂議員の御指摘で言えば、高知県の例は隠そうとして変なことをしたということでありますが、我々は隠そうとしているんじゃなくて、むしろこういう議論が出てくるということも覚悟の上で、すべてを明らかにして、現在持っている到底回収不能な、それが証明されているものについては償却をさしていただきたいと思っている次第であります。したがって、私たちはこれを提案したことについて何ら問題はないと思っておりますし、それから、それによって、例えばこれを議決していただいたとしても、本件のような審査が問題があったかないか、これについて、例えばこれで決着とか永久に口を封じるとか、そういうことを言うたつもりは全くありません。したがって、議会で何がしかの問題がもしお見出しになるとすれば、幾らでも議論していただければよろしいんではないかというふうに考えております。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) まず、融資の問題点の3項目についてお答えしたいと存じます。
 担保価値につきましては、調整池の建設、工場団地からの進入路等、いずれの用地も工場建設に必要な土地3筆の所有権の取得により、当該協業組合が自己所有地にすることで全体としては担保価値は増加したというふうに考えてございます。それに伴う事業計画の変更につきましても、変更診断を実施し、当時の中小企業事業団と協議の上、処置したものでございます。
 申請当時、組合員5社は、直近の平成5年度決算におきまして16億円の売り上げ実績があり、事業計画実現のため既存取引先からの受注拡大、新規取引先の開拓等、拡販体制の確立を図るべく経営努力を重ねており、中小企業事業団が中心となって実施いたしました本診断の結果、事業計画の内容は適格であり、目標の達成は可能であるとの報告を受け、さらに貸し付け時においては組合員全員を連帯保証人とし、債権保全策を図ったところでございます。
 なお、連帯保証人の保証能力につきましては、固定資産税の評価証明等により確認してございますが、連帯保証人というのは、一般的に当該債務を連帯して人的保証を行っているものでございまして、個人資産まで担保を求めるものではないというふうに考えてございます。
 次に、土地の買い足しについてでございますが、さきに申し上げましたとおり、購入土地の面積変更につきましては、調整池の建設、工場団地からの進入路、工場敷地及び隣接地との位置関係による崩落防止のり面等、いずれの用地も工場建設に必要な構造物等に係る土地の所有権を取得したもので、構造物等の管理責任及び所有権の帰属を一致さしたものであり、御理解をお願いしたいと存じます。
 次に、融資要件についての御質問でございますが、地域改善対策高度化事業につきましては、中小企業庁及び中小企業事業団に対して地域改善対策高度化事業に係る届け出を提出して承認を受けてございます。
 また、組合員企業の出資比率につきましては、中小企業団体の組織に関する法律で、1組合員の出資比率が50%を超えてはならないとなっており、その要件についても、5組合員の出資割合を確認したところ、最大で30%であり、適合してございます。また、全部協業による事業廃止もあわせて確認してございます。
 さらに、高度化事業実施に係る自己資金の調達につきましては、5組合員からの出資金4800万円及び5組合員からの借入金5億5340万円で、合計6億140万円を計画しており、その履行は出資払込金保管証明書や振込金受取書等により確認してございます。
 いずれにしましても、融資を実行した組合の設立要件は遵守されたものであったと判断してございます。
 なお、今後の貸し付け審査におきましては、担保物件の鑑定評価等により債権保全を図り、また、利益相反的な取引が含まれると思われる案件については審査をより厳しく行うなど、貸付事務要領を改正し、貸し付け対象者の融資要件を厳しく見きわめてまいりたいと考えてございます。
 続きまして、せんべつ問題の調査についてでございますが、組合の総勘定元帳には、せんべつとして県庁職員3名、合計15万円との記載がございましたので、組合側6名及び平成8年4月1日付で人事異動のありました県職員9名からヒアリングを実施しましたところ、先ほども申しましたけども、本当にあったのかどうか、及び該当者は確認できませんでした。
 なお、他の貸し付け案件については、このような例はございません。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 生活保護行政についてお答え申し上げます。
 社会保障制度最後のセーフティーネットと言われます生活保護制度は、生活に困窮される方からの申請主義の原則をとっておりますが、県民からの相談には、福祉事務所等が親身になって対応することが必要であると考えてございます。
 こうしたことから、県民の方から生活保護の相談があった場合には、相談者の状況を把握し、活用し得る資産の有無や他法他施策の活用などについて適切に助言・指導を行うとともに、保護制度の仕組みについて十分な説明を行い、保護申請の意思を確認した上で申請をしていただくために、福祉事務所や町村の福祉担当課に申請書を置いているところでございます。
 また、相談の過程におきましては、生活保護申請権を侵害しないことは言うまでもなく、申請権を侵害していると疑われるような言動自体も厳に慎むべきものであることから、県といたしましては、そのようなことのないよう、相談に当たる民生委員や各福祉事務所を従来から指導しており、今後もその周知徹底を図ってまいります。
 次に、病院への通院移送費につきましては、交通費の負担により医療機関に受診することが阻害されることのないように移送費を支給するものであります。しかしながら、従来は、昭和38年厚生省告示の生活保護法による保護の基準において、移送に必要な最小限度の額とされ、明確な基準がありませんでした。そのため、本年4月の厚生労働省通知において、移送の必要性、交通手段の妥当性等について判断するために、給付範囲等の基準とともに審査等の手続について明確化されたところでございまして、福祉事務所に周知を図ってまいりました。
 また、6月に再度その取り扱いの周知徹底を図るよう通知があったところでございますが、県といたしましては、福祉事務所が個々の事案ごとに適切な手続にのっとって審査することが重要であり、画一的な取り扱いによって不適切な給付決定をしたり、逆に、必要な医療が受けられなくなることがあってはならないものと考えてございまして、今後もそうした観点から指導してまいります。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
 42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 御答弁をいただきました。
 高度化資金の融資の問題では、知事は、和歌山市での完了案件の件について、実務的な答弁だけされて、どう思うかということについては答弁をされませんでした。私、これ、税金でしりぬぐいをしてるんじゃないかという批判は避けられないというふうに思うんですね。
 それから、他県と違って和歌山はちゃんとやってますよというふうなことに胸を張ったわけなんですが、和歌山県も初めは債権管理をちゃんとやってなかったんですよ。それを議会でも問題にされてチェックし、外部監査からも意見を出されて、それで心を入れかえてやり始めたんです。ですから、議会のチェックと外部監査のおかげで辛うじて被告人の席に立たなくて済んでるという状況ですから、それはぜひ御認識いただきたいと思います。
 それで、県の説明責任をきちっと果たすよう求めて、私は再質問をさせていただきたいというふうに思います。
 1つ目、部長が説明いただいた、審査を通すための土地の買い増し、これの緊急性、合理性のある理由を述べてくださいと言いましたけども、部長の説明した理由、答弁では到底、私、納得いきません。説明になってないと思うんですね。知事は、幾らでも疑問があれば言ってくれと言いましたので、いっぱい言わせていただきます。
 前から事業に必要だったら、初めから買う予定に入ってたと思うんですね。最終番になって大慌てをして、いや、買い増すんだとする、その緊急性も合理性もないわけです。これはつじつま合わせにすぎません。買う場合でも、例えば地目山林、現況はのり面ですから、山林としての価格で買うべきです。これ、鑑定の担保物件調査票を私は持ってますが、これを見ると、こののり面は何と1平米当たり、たったの20円の評価です。ですから、それぐらいの値段で買ったらいいんです。工業用地単価で買うのは犯罪的です。
 それから、私、プラスパフーズの登記簿を持ってます。これを見ますと、これだけこの面積が、取得面積がころころころころ変わっているのに、土地価格が初めから最後まで12億5000万で変わらないでしょう、これがおかしいって言うてるんですけども、この登記簿を見ると、開発会社の阪和住建が、この土地などを担保に12億円の融資を受けている、阪和銀行から。これが読んでとれます。この抵当権が、県から融資がおりた平成8年4月26日、ちょうどその日に抹消されてるんですね。土地価格を12億円として譲らなかったのは、これが主たる要因ではないかと想像できます。
 それから、知事はこれまでプラスパフーズの融資審査に対しては、結果責任はあるけれども、県と国の厳しい審査を経ていて、融資に問題はなかったという見解を示されていました。私は、土地の買い足しは審査を通すためのごまかしじゃないか、国の審査を通ってるので全く問題、疑問の余地なしと考えるのかと前回の議会で再質問いたしました。しかし、知事は、手続を怠っていたわけではないというふうにおっしゃって、手続論から出ずに正面から答弁をされませんでした。
 その再質問の──私、それで部長じゃなくて知事に再質問をしますが、1つ目ですね、私が審査を通すためのごまかしだというふうに2回の質問にわたって指摘をしたこの事実経過を見ても、また、県自身がされた2月議会以降の調査の取り組みを踏まえても、いまだにおかしいところはないと、ごまかしや犯罪的な行為はないというふうに思っているのかということを再度お尋ねをいたします。これが1つ目です。
 次に融資の要件について、これも部長から答弁がありましたが、これは部長と知事それぞれに質問しますが、先に知事の分だけまとめますね。
 部長の答弁は、書類上融資要件は整っていたというものでした。でも、これだけでは当てにならないです。まず、出資割合の件を指摘します。
 このプラスパフーズは5社が合併してできた組合だというふうになっていますが、民間調査機関のデータを見ますと、このうちの3社は──主要3社ですね──これはすべて1人の組合員、仮にA氏とします、そのA氏が創業者で、その3社はグループ企業でした。この3社で合わせて90%の出資をしているんですね。その3社のうち、あとの2社というのは、合わせて10%の出資ですから、本当にごく小さな個人商店のようなものがつけ足しでついてるという感じなんです。3社のうちの1つはA氏本人が代表です。もう1つはA氏の妻が代表です。当然ながら、3社ともにA氏は役員に入ってます。
 もう1つの会社は、例の親子で取引と指摘をしました元代表理事の、B氏としますけども、B氏が名前では一応代表になってますけども、この会社というのは従業員がたった4人の通販会社なんですよ。平成4年創業ということですから、そのB氏の息子である開発業者が工場用地の山林に手を伸ばした時期と同じで、この融資計画に合わせてつくった会社だというふうに見てとれます。この元代表理事のB氏は、登記簿によると、土地購入相手の阪和住建の取締役だったこともあるし、息子とともに今回の建設計画を主導した立場であって、融資が終わると1年後に役員を退任して、プラスパからは消えてなくなっています。だから、このB親子は融資を引き出し、用地の開発行為と建物建設の役割をしたんじゃないでしょうか。そして、この豆腐工場そのものは、組合員の3社を創立したこのA氏が実質の工場オーナーじゃないか。そうだとしたら、50%以上の出資を禁じた融資制度要件に違反しているということになりませんか。
 次に、競業禁止の件です。この競業禁止の件というのは、5つの会社がまとまって1つになるんだから、もうそこから後は別々に営業しちゃだめよ、一緒になりなさい、きっちりなりなさいよという規定です。協業組合設立後は、もう廃業しなけりゃならないもとの会社がそのまま残っていた疑いがあります。これはプラスパフーズの理事会の会議録なんですが、旧会社名での営業を一定期間認めた形跡があります。それがいつまで続いたのか、本当にもとの会社がなくなったのか。それを県が確かめた形跡がありません。ここにあるのは、先ほどのA氏が創業である3社。この3つの会社の登記簿を、それぞれ3つとも取り寄せました。これによると、3社ともA氏夫妻が役員に入ったり出たりしながら、1社は何とそのままの名前で、あとの2社は会社名を変更登記して継続されてるんです。組合員の5社は、競業禁止の規定に基づいてちゃんと廃業して一本化したのでしょうか。A氏関連の3社は実際どういう状態であったのか確認されてますか。この点が問題だと思います。
 それから、自己資金についても先ほどお話ししましたし、保証人となるような資金力があったのかということを問題にしましたが、6億円の自己資金が書類上あったという部長が答弁しました。それは、ほとんど実は借金で賄われているんですね。それで国からは、融資の審査に当たって、30億を超える大事業だから、自己資本が十分でないと、運転資金も、それから返済も行き詰まって資本がすぐショートしちゃうから、これ、ちゃんとチェックしなさいという意見が出ています。特に具体的に、その5つの組合、5つの代表がそれぞれ協業する前にそれぞれ独自に抱えてる借金というのを持ってる、だから、協業する前に持ってる借金をどうするかちゃんとはっきりさせてから融資しなさいねと、こう国は注文をつけてるんですよ。全く当然だと思います。
 これ、じゃこうしますという回答を組合のほうから国に対してやってるんですが、これはそれぞれの借入額が、1人が1億8000万、もう1人は1億3000万、もう1人は4000万、600万てあると。しかし、全員がそろって、この人も10年間、この人も10年間で全部返済完了予定だと、一致団結して和を理念として協力していくと、こういう文章を書いて出してるんですが、随分荒っぽい話です。こんな大事業を転がしていく──その前にも借金があるし、そしてまた後からの自己資本も借金で自己資本だというんですから、この大事業を転がしていく経営資力も、それから保証人としての資力もなかったんじゃないかという疑惑があるわけです。
 ですから、これ、まとめますと、土地の買い足しというごまかし、融資資格要件そのものに関する件、実態は調べれば調べるほどやみの中、疑惑は深まるばかりです。犯罪的とも思える可能性があるのであれば、これ、ぜひ知事としての調査権を発動して再調査すべきじゃないかと思うんですね。詐欺も許さずというふうにおっしゃってるんですから、先ほどのせんべつの話もありましたけども、詐欺的行為があったりとか、例えば贈収賄的なことがあれば、これ、犯罪ですから、行政実務が正しかったかどうかという調査だけじゃなくて、犯罪行為がなかったかどうかという新しい面で再調査すべきではないかという点を知事に2つ目の質問としてお尋ねいたします。
 3つ目の再質問を知事に申し上げます。
 9割が同和対策という点については、大型融資が割合を上げてるというのはそう思うというふうに答弁されました。そういうことを事実だというふうに認めになりながら、でも、9割というのは最終的にはたまたまそうなったんじゃないか、やっぱり同和であろうとなかろうときちんと審査してますよというふうにおっしゃるんだけども、先ほど皆さんにお配りした例の一覧表、あれもなかなか初め出てこなかったんです。墨塗りでしか出てきませんでした。破綻した部分は、名前出せと言ってやっと、情報公開しないというのを審査会がやっぱり出しなさいと言ったんですよね。
 この一覧表の情報公開を諮問した和歌山県情報公開審査会の答申では、こんなふうに書いてます。「貸付額の3分の1以上が焦げついているような融資制度がほかにあるとは考えられない。その大きな部分が同和関連組合である。和歌山県が長年行ってきた同和対策事業の負の部分として、実態の究明と是正が必要と考えられる分野である」と。だからちゃんと公開しましょうと、オープンにしてみんなで議論しましょうということを答申されて、それで県も公開されたわけですよ。ですから、まさにここに焦点を当てるべきだと私は思うんですね。
 だから、同和であろうとなかろうと、きちんと審査ということで、知事は同和対策の地改案件の数字を出されましたけども、同和対策であってもちゃんと返してるところもあれば焦げついてるとこもある、一般でもちゃんと返してるところもあれば焦げついたとこもあると、これやったら、私、当たり前だと思うんですよ。ところが、それならば質問しますが、この資料3で出してる49組合ありますね。焦げついてるグループと順調に返済してるグループに分かれますけども、じゃ、この残っている49組合の中で同和対策の地改案件はそれぞれ何割ずつに分かれているか、知事、御承知だと思います。延滞法人が何割、期限内法人に何割あるかお答えになってください。これが3つ目の再質問です。
 それから、部長には2つ質問いたします。
 1点目は、この間の取り組みの調査報告のことについてなんですね。午前中の答弁では、委員会には報告するというふうにおっしゃいました。ところが、継続審議になっている案件なのに、開会日に何らその報告もない。一言の報告もない。きょうから一般質問が始まるというのに出てこない。こんなことで審議ができますか。中間的なものでも結構です。きょう、すぐに出してください。いかがですか。
 それから2点目、先ほどの融資資格要件にかかわる疑念を具体的に申し上げましたが、これらの疑いは、調査して、私、いろんな資料を提示しましたが、こういった疑惑はちゃんと調査してはっきりしてるのか、それとも、調査したけども制約や限界があって、わからない部分残っているのか。その融資要件の問題点についての部長の認識、現時点での認識をお答えください。
 最後に、福祉保健部長に1点だけ再質問して、確認させてください。
 移送費のあり方、質問いたしまして、言葉だけじゃわからないので、具体的なイメージを例示して移送費の対象かどうかをお聞きしました。その分についての答弁ありませんでした。その個別のケースの、これが支給の可否を聞いたんであれば、それは個別の審査で判断することだから答えられないというのはわかるんですよ。でも、私は、移送費の考え方の対象になりますよねと質問したわけです。ですから、もう一度この移送費の対象、申請の対象になるかどうかだけお答え願いたいと思います。
 以上で、2問目を終わります。
○副議長(新島 雄君) 以上の再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず第1点の点でございますけれども、私は、まさに御指摘のように、本件についての審査がおかしかったかどうかということについてよく調べましたから──それについておかしかったかというのは、例えばこれでもって拒絶ができるかとか、そういうような意味できちんとやっとったかということについては調べましたので、それでは、そういう点は調査の結果ありませんでしたということを申し上げてるわけです。
 それで、私は今、松坂さんがおっしゃったように、いろんな疑いがあるということを、別に疑いはありませんということを言っておりません。松坂議員がそういうふうにお考えになるのも自由であろうし、それから皆さんが、どんな人がどういうふうに言おうと、それは自由だと思います。ただ、県としては、その中の意図はともかくとして、ちゃんとこれが適正に申告されて、認めるべきものかどうかということをちゃんと審査しなきゃいけない。これは我々の義務であって、それ以上のものを、それを超えるものでもありません。また、個人的に何となくごまかしがあったと思うかどうかなんて言われても、こんな神聖な場所でそんなことを申し上げられるような立場には私はないと思います。
 それから、次にその融資案件としてどうだったか、合わせて90%云々というような話がありました。私については、担当者でもありませんから、その辺、松坂さんほど1件1件の詳細について知悉しているわけではありません。だけど、聞いてみて思ったのは、国から最終的な確認を求められたというけどなあと。実は、この融資をしたのは県でもあるとともに国なわけですね。それで、その天下の審査が厳しいと言われている中小企業事業団とか開銀とか、そういうところが一緒になって主体として認めたということでありますから、途中経過はいろんな議論があったと思いますけれども、最終的にそれはクリアされて認められたものだと思いますということを申し上げたいと思います。
 それから、情報公開について、いろいろと問題があったとおっしゃったわけでありますが、私は、情報公開はどんどんやったらいいと。本件のような、なかなか、県にとって結果的には失敗した案件を議会にお出しするというのは、県庁当局の中にも大分抵抗ありました。だけど、それはいつまでも隠してて──隠しててと言ったらおかしいですけど、今ちょっと撤回しますが──いつまでも議論を提起しないで、それで結果的には不良債権になってるというのは全くおかしいから、それは議会の方々にちゃんと開示をして、公開をして、まあこういう議論もあるかもしれないけれども、それについては堂々とお答えすればいいじゃないか、そういうふうに言うたわけでありまして、考え方としては情報公開は賛成でございますので、私のところへ判断を求められたら何でも出してしまおうと言うんであろうと思います。
 それで、最後にそれについて答えろというのがありましたが、現在償還中の組合が49あります。もっとたくさんの数のところに貸したんですけれども、随分前になっていまして、平成12年ぐらいからもう貸してませんから、それは現在でも返し続けてるというのは49あり、延滞組合はそのうち34であります。34のうちの地域改善対策は24であります。しかし、尋ねられてないのですが、申し上げますと、地域改善対策で既に返したのもあります。45件という全体の総額の中で21件は既に完済されています。そういう状況ではないかなというふうに考えます。
○副議長(新島 雄君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) まず、再調査結果の報告書が非常に遅いということでございますけども、まことに申しわけございませんけども、今、最終段階、取りまとめてございまして、早急に各会派のほうに、まとまり次第、御説明をしたいというふうに思います。
 それから、さきの議会からこの間の認識ということでございますけども、私ども償還指導の担当職員、10年から30年間、前の書類をすべてひっくり返してとことんしてきまして、議員からの提言につきましても一切隠し立てすることなく、すべて出すという原則でやってまいりまして、その辺の努力が足りないということでございますけども、その辺の一縷のことを御理解賜りたいというふうに思います。
○副議長(新島 雄君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 通院移送費につきましての再質問でございます。
 それぞれの事例につきましては、個々の疾病に対して、福祉事務所管内の最寄りの医療機関で受診が可能かどうか具体的にわかりませんので、移送費の給付対象になるかどうかは即答することができませんが、事例に応じ、福祉事務所が適切な手続にのっとり審査することになりますので、福祉事務所に御相談願いたいと思います。
 なお、個別事案につきまして、現場で疑義がある場合は、必要に応じて、本庁担当課、福祉保健総務課でございますが、相談に応じることとしてございます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) この際、申し上げます。
 所定の時間60分を過ぎておりますが、発言時間が4分残っているのが現実であります。それをもって再々質問をされますか。
  〔「要望だけなんで」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) はい、手短にお願いいたします。
 42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 ありがとうございます。
 それでは、今回の質問を通じて審査など融資のずさんさがより明らかに、私はなったというふうに思うんですね。ですから、ぜひ、借りたほうも貸したほうも、まさにその疑惑は深まったと、犯罪的とも言えるごまかしの実態、融資要件の疑惑が深まったというふうに思います。これ、ぜひ引き続き頑張って調査しなきゃならないと思ってます。
 情報公開が不透明で遅過ぎるんです。私は、努力が足りないなんて言ってません。一生懸命頑張ってるけども、債権放棄の段階でやっと出てきたものもあるし、どこへ行ったのかわからないものが多過ぎる。図面がないなんていうのは信じられないです。ですから、これ、ぜひ──議会の審議のチェックは始まったばかりです。知事に対して本格的な調査、報告を求めるとともに、十分な審議なしに債権放棄を急がないように要望するものです。
 それで、先ほどの……(「60分超えてるわけや」と呼ぶ者あり)はい。じゃ、説明責任を果たそうとしていない今の姿勢のままでは債権放棄は認められないということも強調して、今回の質問を終わります。
 以上です。
○副議長(新島 雄君) 以上で、松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時54分散会

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