平成20年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(尾崎要二議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番尾崎要二君。
  〔尾崎要二君、登壇〕(拍手)
○尾崎要二君 今議会、一般質問も私が最終となりました。18人目の登場であります。できるだけ前の皆さんの発言に重ならんようにということで精査をいたしますと、ほとんど質問することがなくなってしまうということでもありますので、私なりの思いを持って、今回は、和歌山県長期総合計画、子育て支援、ミカン対策、道路特定財源の暫定税率の動向、以上の4点について質問をしてまいりたいと思います。
 まず、第1点目の和歌山県長期総合計画についてであります。
 私の手元に3冊の長期総合計画がございます。昭和61年に策定の第4次長期総合計画は、昭和75年を目標年次とした15年計画であり、21世紀への準備、心構えが強調されています。人口規模は、昭和55年が108万7000人、目標の75年、今から7年前になるわけでありますけれども、112万6000人になるとなっております。平成10年(1998年)に西口知事により策定されたわかやま21世紀計画は、文字どおり21世紀の本県の目指すべき方向をゆとりと充実ととらまえ、人口規模も目標年次の平成22年には109万7000人と設定、平成7年の108万人よりは拡大する計画となっています。以上が過去2回の長期総合計画の概要であります。
 その都度人口規模に触れてまいりましたのは、今回、仁坂知事によって策定された長期総合計画にあっては、初めて人口規模を縮小したことを、あえて正直であると評価をしようと思ったからであります。
 今回の長期総合計画は、平成20年から29年までの10カ年計画でありまして、人口規模の見通しは平成17年の103万6000人から97万5000人として、政策的に何もしないで自然の勢いに任せておけば92万8000人との見通しに対して4万人を上回る人口増加を計画し、それを支える経済成長率は年率2.23%の増加であります。
 今回の計画において、まず評価すべき点は、先ほども触れましたが、人口規模の想定を現実に即して引き下げたことです。将来予測の中で人口予測が最も確実と言われます。
 我が国の人口は、2004年に1億2779万人のピークを迎え、今後は減少傾向であり、さらに子供を産む特殊出生率も、やや持ち直したとはいえ、1.34人と長期的には減少、高齢化をたどることははっきりとしております。したがって、この期に及んで和歌山県の人口だけが拡大するはずもありませんが、そうは言いながら、この種の計画では将来の人口規模が縮小するとはなかなか言いにくいのも現実であります。
 現在の地域社会に目を向ければ、過疎化、高齢化が進む多くの地域で辛うじてこれまで人口の減少を食いとめ、地域コミュニティーを守ってきたのは、役場、農協、郵便局といった公的機関の持つ雇用効果に加え、土木事業などの公共事業による地域振興効果であります。
 しかし、今日、地域を支えてきた原動力がことごとく崩れ去っています。市町村役場は、また農協も、広域合併により規模の縮小や廃止を余儀なくされ、郵便局は民営化により効率追求一辺倒で、地域のことなど構っていられないほどの現状であります。土木事業に至っては、公共事業規模の縮小に加えて競争の激化で、事業廃止や倒産の危機を今まさに迎えようとしております。問題なのは、政策的に地方の衰退に拍車をかけようとしていることが正義であり、強いところだけが発展すればいいというような大都市中心の都市の論理がまかり通る非常に危険な時代になったと言っても過言ではないと思います。
 道路特定財源についても、しかりであります。「限界集落」という言葉に集約されるように、地域コミュニティーはまさに存亡の危機に瀕しております。農業政策に対しても無理解な論調があり、食料の自給率も、先進国の中では極端に少ない39%という状況でもまだ危機意識の低い現代社会の中で、県政を預かり、県民の生活を守る重大な使命が我々県議会、そして県行政のトップでもある知事にもあるわけであります。
 以上の認識に立って、人口減少、少子高齢化、地方分権、地域の自立の時代を迎えるこれからの時代における長期総合計画のあり方はどうあるべきか、知事の見解を承りたいと思います。
 そして、計画を現実のものにしていくためには、政策をば進めていかなければならないと。政策と事業が必要であると同時に、政策、事業には予算が必要となってまいります。県財政はまことに厳しい時期であり、財政調整基金も余裕のあるレベルではありません。予算、そしてそれを実行する県組織をどう考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
 2点目は、子育て支援についてであります。
 知事は、就任以来、常に子育て環境ナンバーワンの県を目指したいと話をされております。そして、今議会の長期総合計画案にも少子化対策の充実を載せておられます。早速今年度予算においても、新規事業として紀州3人っこ政策、保育対策事業等補助などを予算に計上しております。
 本県の特殊出生率は1.34人で全国31位になり、ちなみに日本一は沖縄県で1.74人となっています。沖縄県では県域が狭く、県内就業者比率が全国1位にあり、近くに親兄弟、親類等がいる割合が高く、それにより家族等からのサポートが受けやすい状況にあると指摘をされています。このことからも、周囲のサポートが大きな役割を果たすことがよくわかります。
 現在、人口の減少率ワースト2位の和歌山県において、2010年には100万人を割り込み、2020年には90万人を、2030年には80万人を割り込むというように、急速な人口減少について指摘をされております。
 人口減少に対する施策は県政の最重点にすべき課題となっております。その大きな柱の1つに少子化対策があるという認識については、私も知事と同じ思いであります。これらの事業を強力に進めるべきであると申し上げ、子育て日本一を目指すという知事の考えを承りたいと思います。
 3点目は、農業の振興、特に生産量3年連続日本一になったミカンについてお聞きをしたいと思います。
 長期総合計画においても述べられているように、農業を取り巻く環境は大変厳しいものがあります。所得の減少、不安定化、就業者の減少、高齢化、耕作放棄地の増加、加えてイノシシ、シカ、アライグマ等の鳥獣被害などであります。
 過去、県議会においても、議会として果樹振興の政策を強力に取り組んでいかなければということで、昭和63年に、オレンジ自由化を目前に控え、和歌山県議会自民党果樹議連の呼びかけでミカン生産の23府県が集まり、全国みかん生産府県議会議員対策協議会が発足して、初代会長に議場におられる岸本議員のお父上でもある岸本光造議員が就任をされました。その後任で門議員、また事務局長として吉井議員も長らく御苦労いただきました。現在、浅井議員が全国みかんの副会長を務められておられます。
 オレンジ自由化に対する事業を国として強力に進めるよう、当時の大蔵省、政党に物申す会として活動を展開してまいりました。その結果、廃園対策事業等、本県の果樹農業の大きな転換期を迎えることができたと思っております。その後、ガット・ウルグアイ対策、果樹経営安定対策、そして現在の果樹経営支援対策に移行しております。
 平成17年の春には、農林水産省生産局花き果樹課長を招いて、直接県内の樹園地の現状について見ていただきました。和歌山県の産地に合った県内の生産者が望む事業を国として取り入れるよう強く運動もしてまいりました。その成果が基金を活用する果樹経営安定対策事業に結びついたと考えております。
 今、申し述べたように、当局と議会が力を合わせて強力に国に物申すことが大切であります。
 今期のミカンの販売については、現在までで平均価格はキロ177円、10キロの箱で1770円であります。今期一番安いとき、1月16日でありますけれども、平均117円と、もう生産者にとっては全くの赤字になる数字であります。日本一の産地である和歌山県でありますけれども、安値が続くという大変苦しい状況であります。
 知事も、昨年11月の7日には、有田ミカンPRのため大阪中央卸売市場においてトップセールスを、ことし2月6日には、下津蔵出しみかんの販売促進に農林水産部長が札幌中央青果市場へ、私も2月9日、首都圏での蔵出しみかん販売促進PRのため、イオン津田沼店でJAながみね、海南市役所、生産グループの皆さんとキャンペーンをしてまいりました。イオン1階の中央にミカン舟を形どったコーナーを設け、私も、3時間、はっぴを着て、参加者の皆さんと一緒に大きな声を出してPRをいたしました。昨年の選挙のとき以来のことでありますが、声がかれてしまうほどでありました。
 販売をしたとき特に感じたのは、ミカンの試食品を食べてもらったら、おいしいという声を随分いただいたことであります。キロ200円の蔵出しみかんもよく売れ、一安心をしたところです。
 県の販売に対する姿勢は可とするところでありますが、なお一段の取り組みを求めるところであります。この点については、知事に答弁を求めます。
 ミカンについて気になるのは、温暖化が進むことによって浮き皮が多くなることなどへの対応であります。そして、果樹試験場において、優良品種改良などにおいても、わせミカンについては田口、ゆら早生など成果を上げておりますが、なかて、おくてについては大きな成果が上がっていないのが気になるところであります。
 今後、なかて、おくて、浮き皮などの温暖化に強い品種改良に特に力を入れるべきであると申し上げ、当局の今後の取り組みについて農林水産部長に伺いたいと思います。
 4点目は、道路特定財源の暫定税率の動向と今後の取り組みについてであります。
 有田市を初め、元の下津町にとって命の道と言われる国道42号渋滞対策について、多くの地域住民が一刻も早く対策をとってほしいとの強い要望を受け、平成4年に有田市と下津町で国道整備促進協議会が立ち上がったのは16年前のことであります。平成9年には国道42号・有田下津海南間整備促進協議会が設立され、首長を初め自民党、無所属、共産党所属の県議会議員、市町議会議員全員が参加をいただいて、その改修に真剣に全力をもって長年取り組んでまいりました。
 最初のころ、当時の有田市長の中本さんと建設省へお願いに参ったところ、「日本の道は朝夕どこでも込みますよ」と、鼻にもかけない冷たい返事、態度でありました。その後、何度も何度も上京し、また地元の近畿地建へも要望を重ねてまいりました。その結果、昨年、海南市冷水から藤白間の約1.1キロが冷水拡張としてやっと事業着手をしていただきました。また、有田市野から海南市冷水の間につきましても、有田海南道路としてバイパス計画が示され、現在、都市計画決定の手続が進められております。地元の悲願であった道路にやっと事業の準備が整ったわけであります。
 同じく国道370号についても、同じような努力が重ねられてまいりました。別名「高野西街道」、改良が少し前へ進みかけているところであります。国道370号の改修のおくれについては、海南市と海草郡の合併協議にさえ、暗い影を落としてまいりました。
 多くの関係者の御苦労の結果、少し明るい光が出てきた今、折しも時を同じくして現在、道路特定財源の暫定税率延長の問題が議論をされております。日本では道路はもう必要ないとか、ガソリン税を下げて、もっと自由に使える金にすべきだと、一見きれいごとを並べています。諸外国にハイウエーが整備されたころ、国道42号はまだ未舗装の砂利道で、いかに日本の道路がおくれてきたことか。そうした中、今、暫定税率が廃止された場合、今の道路財源は半減をいたします。
 和歌山県には、有田海南道路や国道370号だけでなく、県民の暮らしを守り、県勢の活性化に不可欠な道路整備はまだまだ多く残っております。暫定税率を延長し、地方の道路財源を確保しなければ、まさにこれからも続く車社会の中で生き残れなくなるわけであります。
 今の財源に異論を唱える人は、かわる財源案をしっかりと出して意見を言うべきであると考えます。そうした中でも、地方を守るため、子供たちの未来を守るため、知事や市町村長は必死の思いで頑張っておられます。
 そこで、知事にお聞きをいたします。
 地域住民の悲願である国道42号有田海南道路と国道370号の早期整備に対する取り組みと、道路特定財源の暫定税率等の廃止による整備への影響について御所見をお伺いいたします。
 以上で、1回目の質問を終わります。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの尾崎要二君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、和歌山県長期総合計画についでございます。
 議員御指摘のように、人口減少や少子高齢化の進行、あるいは地方分権の進展など、本県を取り巻く社会経済環境の変化が激しく、先行きの見通しが容易でない時代になってきたんだなあというようなことを認識しております。そのような認識のもとでも、和歌山県の元気を何とかして創造したいというような目標に向かって、県民がみんなで一生懸命努力するための道筋になるようなこと、そういうことを長期計画に書きたいというふうに私は思った次第でございます。
 そのためには、その目標がはっきりしているということと、それから県民にわかりやすくなっているかということと、それから実現が頑張ればできるというような目標であって、それで絵にかいたもちではないということが県民の皆さんにもちゃんと自覚していただけるような、そういうものにしたいというふうに考えたわけでございます。そういう意味では、県民がまず御理解いただいて、それで、よし、それならやろうじゃないかということを考えていただいて、そういう県民の理解と協力が不可欠であると考えております。
 今後、本計画を県政運営の指針といたしまして、目標の実現に向けて施策の実施に積極果敢に取り組んでまいりたいと考えております。
 続きまして、その長期総合計画を現実のものにするための予算、県組織ということでございます。
 議員御指摘のように、この長期総合計画を実現するためには、財政がきちんとそれをサポートできるような体制になってるかということと、組織の問題も大変大事でございます。
 本県の財政の将来を見通しますと、現状のままといいますか、この間発表する前の現状でございますけれども、そのままでは極めて厳しい状況に至るということが予想されます。近いうちに基金が底をついてしまう。そうなると、せっかく計画を実現しようと思ってやってきても、それは絵にかいたもちになってしまいます。したがって、先日公表いたしました新行財政改革推進プランに基づく取り組みを着実に実行いたしまして、財政の健全化を図りながら何とか長計を実行していくということをやっていかないといけないと思っております。
 こうした取り組みによる財政基盤の強化を前提とした上で、毎年の新政策の検討プロセスにおいて、本計画の目指す将来像にどれだけ近づいているか、あるいは新たな課題はないかという点について毎年議論を重ね、諸課題の克服のために必要な新政策に予算を重点的、効果的に配分し、それによりまして目指す将来像の実現に一歩一歩近づくように努力をしてまいりたいと考えております。
 また、県庁組織のあり方につきましては、新行革プランに基づき、簡素で効率的な組織とするため不断の見直しを行い、目指す将来像の実現のため、人的資源を重点的、効果的に配置してまいりたいと考えております。そうした財政運営を行いつつ、長計の目標実現のためにしっかりとした行政を行ってまいりたいと考えております。
 続きまして、子育て日本一を目指す政策についてということでございますが、核家族化の進展や地域社会のつながりの希薄化が言われております。その中で、和歌山県の出生率の低さ、これも大変なもんだというふうに認識しております。何とか子供さんをたくさん産み育てられるような社会をつくりたい。それには、子供を持ちたい方々が安心して子供を持ち育てることができるように、子育て世代の経済的、あるいは精神的負担の軽減や解消を図り、子供を、議員御指摘のように地域ぐるみではぐくむ環境を整備することが重要であると考えております。
 中でも、御指摘の子育て世代に対する周囲のサポートについては、子育て支援拠点の整備、あるいは地域コミュニティーやNPOの活用、場合によっては地域の病院や企業等とも一体となって、地域の特性を生かした子育て支援に取り組んでまいらなければならないと考えます。あわせて、子育て家庭への経済的負担の軽減、子育てと仕事の両立支援等にも積極的に取り組みまして、何とか子育て環境ナンバーワンと言われるようなそういう和歌山県にしていきたいと考えております。
 次に、ミカン対策でございます。
 ミカン対策につきましては、お話にございましたように、これまでオレンジの自由化問題等に対処するため、県議会を初め全国みかん生産府県議会議員対策協議会の皆様方と一体となって産地の実情を強く国に働きかけてまいったと承知しております。結果といたしまして、過去3回にわたるミカン園の転換等の施策をうまく地域に取り入れ、地域の特性も生かしたミカン、梅、柿、桃の産地が形成され、今日の果樹王国の地位を築いたものと認識しております。
 しかしながら、近年の果実需要全体が停滞する傾向の中で、和歌山ミカンのブランド力を一層高めなければ、せっかく築いた和歌山県の果樹王国の地位もなかなかつらいものがあるというふうに考えております。そのために、和歌山ミカンのブランド力を一層高め、生産振興はもとよりでございますけれども、とりわけ販売促進に力を注がなければいけないと考えてございます。
 そこで、就任以来トップセールス──大阪中央卸売市場でのミカン、桃のトップセールスを初め、御指摘のようにイオンと組んだみかん船プロジェクトとか、さまざまなありとあらゆるプロジェクトを実施いたしまして、何とか和歌山の果樹のPRに努めて、商談がもっと進み、高く売れるようにしたいと考えて努めてまいったところでございます。
 こうした考えのもとに、アクションプログラム2007というふうなものをつくりまして、販売に力を入れてまいりました。ことしもまた近くアクションプログラム2008を策定いたしまして、具体的な販売促進と販路開拓に計画的に取り組むこととしております。
 また、今回の予算の中でも、とりわけ本県についてさまざまな試みを盛り込ましていただいているところでございます。例えて申しますと、国内に向けましては、首都圏を初め大消費地で和歌山産をアピールするミニわかやま喜集館──わかやま喜集館というのは東京にございますが、それを幾つも小さいのをつくる。これをJAグループと連携して進めて、和歌山のブランド力を高めたい。それから、ITを活用した県産品情報の発信をしたい。そういうことに取り組んでまいりたいと考えております。また、海外市場に向けては、中国の植物検疫の問題、これも何とか努力をして近いうちにクリアをしていきたいと考えておりますが、それを待たずとも、香港、シンガポール、マレーシア等の東アジアの富裕層をターゲットとした輸出を積極的に行えるように輸出対策を取り組んでまいりたいと思います。
 と同時に、新政策予算におきましては、これまで申し上げました販売面の強化に加えまして、例えば出荷場単位で産地の生産体制をてこ入れしてまいる、そういうことにも取り組みまして、活力あふれる元気な和歌山を創造していくために、とりわけ果樹の生産振興と販売促進を車の両輪にいたしまして、収益性の高い農業の実現に努めてまいりたいと考えております。
 続きまして、道路整備の件でございます。
 道路整備の立ちおくれた本県にとって、和歌山の元気を取り戻すためには、高速道路を初めとした道路ネットワークの早期整備が不可欠であり、これまでも議員の皆様とともに重点的に取り組んできたところであります。また、今回の議会に提案さしていただいている和歌山県長期総合計画においても重要な施策として位置づけているところでございますけれども、その実現のためには、暫定税率等の延長による道路財源の安定的な確保がどう考えても不可欠であると私は考えております。
 こうした中、国道42号の有田─海南間につきましては、両地域を結ぶ重要な幹線道路でありまして、交通量が大変多い、1日2万8000台を超える大動脈であるにもかかわらず慢性的な渋滞によって産業経済活動に著しい支障が生じているということは事実であります。したがいまして、今年度、国直轄事業として、海南市冷水から藤白間が冷水拡幅として4車線化が新規事業採択されました。残るバイパス区間につきましても、有田海南道路として現在県で都市計画決定の手続を行っているところでございまして、これを速やかに完了いたしまして、その上で新規事業採択をしていただくようお願いをしてまいりたいと考えております。
 県といたしましては、このような手続を経まして、できれば都市計画決定を年度内に完了し、20年度、国に事業化決定をしてもらうようにお願いしたいと考えております。
 また、国道370号につきましては、高野山への観光ルートとして、また国内有数の日用雑貨などの地域の産業や生活を支える重要な道路であるとともに、阪和自動車道海南インターチェンジに直結する重要な路線であり、整備を推進してまいりたいと考えております。
 これらの道路についての地元の方々の期待は大きいものがあると思います。暫定税率等の日切れにより、県の新たな道路整備への投資がほとんどなくなってしまったり、あるいは県の道路財源を国のほうから取り上げるということによって国の道路事業の予算が5分の1ぐらいになるというようなことになると、このような直轄国道とか、あるいは国道370号は──これは主として県のもんでございますけれども──そういう生活道路の整備も大変しにくくなってしまうということは、これは明らかであると思います。したがって、暫定税率等の延長に関する法案が年度内に成立されて、財源だけは何とか確保されるように、そのようにお願いをしてまいりたいと考えております。
○議長(中村裕一君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) ミカン対策に関連をいたしまして、温暖化に強い品種改良に向けた取り組みについてでございますが、産地間競争が激化する中で、和歌山ミカンのブランド力を高めるためには、高品質なオリジナル品種の開発、育成を図ることが重要でございます。
 これまで、果樹試験場が生産現場と一体となりまして、ゆら早生、田口早生に取り組んでまいりました。その結果、現在市場におきましても高い評価を得ているところでございます。これに続く、なかて、おくて品種の育成につきましては、平成16年度から、糖度が高いなどの特性を有する新品種の育成を目指しまして研究を進めてございます。現在、11個体を選抜いたしまして、その特性調査を現在行ってございます。
 今後、有望と思われるものにつきましては、品種登録に向けた取り組みを進めてまいりたいというふうに考えてございます。こうしたことによりまして、極わせ、わせ、なかて、おくての県オリジナルな品種によりますリレー出荷体制の確立を図りまして、ブランド力の向上に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
 また、果樹につきましては、御承知のように永年性ということでございますが、特に気候変動、気象変動の影響を受けやすいということから、温暖化への対応が求められるところでございます。
 現在、果樹試験場におきまして、お話ございましたように浮き皮とか病害虫等の試験研究を行ってございますが、今後、カンキツグリーニング病等の問題もございますので、国、また大学等の試験研究機関と連携を深めながら取り組みを積極的に進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 30番尾崎要二君。
○尾崎要二君 まず、今御答弁をいただきました。新長期総合計画でありますけれども、過去に県がつくった長期総合計画というものは、描かれていることについて、実際ほとんどそのとおりにならなかったというような歴史があると思うわけであります。まるで、目標ということでありますけれども、甘いあんころもちの上へ砂糖を振りかけたような話が多かったと。そして、「花は咲けども山吹の実の1つだになきぞ悲しき」という言葉がありますけれども、やはり次から次へと花というか文章では長期計画で訴えているわけでありますけれども、ほとんど実がならない。そういうことから見ると、長計においても、「着々」「ますます」と書くぐらいならだれでも書けるわけであります。言うのならだれでも言えるという、それが今日までの長計に対する私自身の思いだということでありますけれども、やはり大事なことは、いかに現実のものとしてそれを実行していくかという、この辺が問われてくるわけであります。
 直接長計とは結びつきにくいかもしれませんけれども、過去にこんなことがございます。
 これは、海南市と岩出町の問題でありますけれども、昭和40年代前半でありますけれども、都市計画法の施行によって、海南市、岩出町、そして和歌山市周辺がその枠へ、計画法の枠へ入れて、そのまちづくりをしていくということでの県の指導もございました。海南市は、正直に「わかりました」ということで都市計画の線引きを受け入れたわけであります。和歌山市の東部も、その線引きを受け入れました。岩出町は、そういうことは、線引きというのはお構いなしに人口増加政策をどんどんとったというわけでありますけれども、当時、海南市と岩出町を比べますと、人口も産業の集積も、はるかに海南市のほうが大きかったわけであります。その当時の人口から見ますと、海南市5万2600人、岩出町は1万5200人と。
 そして皮肉なことに、県が申したのは、この都市計画法の事業を進めていけば、計画的に着々、ますますすばらしい町になると指摘された海南市が、その後、平成16年には人口が少なくなって4万4000人。どんどん人口政策をすると混乱をして将来大変なことになるんだと言われた岩出町が、岩出市になって現在人口が5万人を超えていると。若い人たちで活気に満ちたまちづくりができていると。海南市の一部では、あのときにまじめに線引きなんか県の言うとおりしなかったらよかったと、おかげで商店街も閑古鳥鳴いてるというような厳しい声すら出ているわけであります。
 要は、何を言いたいかというと、県が将来に向けてこういうような形で計画を進めればこうなりますよとお示しをいただいたことが、ひっくり返った現象としてできていると。ですから、長計もそうでありますけれども、県として責任を持ってこういう方向を示していくというときには、それに応じたなりの責任というのは必ず問われてくるということであります。
 そのようなこともぜひひとつ心してもらって、この長計に関して、実り多き長計であったなと後世で御判断をいただけるように今後努力を重ねてもらいたいということを、まずこれ1点、要望としてさしていただきたいと思います。
 特に今回の長計は、今までは当局が勝手につくったと言うと大変語弊ありますけれども、余り議会に諮られてなかったわけでありますけれども、今回は議案第67号ということで、議案として県議会ともともにということで初めて条例の改正で出てきた大事な長計だと思っておりますので、その点をひとつよろしくお願いを申し上げたいと思う。
 2点目に、少子化対策についてであります。
 早速、今年度予算で紀州3人っこ政策等でやっていこうということで、この点はひとつ評価をしたいと、先ほども申しましたが、そういう率直な思いであります。ただし、行政のトップである知事がナンバーワンを目指すという思いを言われる割には少し物足りないような感じがすると、今のままでは。本当にこれでナンバーワンになれるんかというような点がありますので、ひとつ、特に子育て世代にかかる荷の重さというのは現在大変重いものがあると、その障害をやはり取っていくと、サポートしてあげるという問題解決のために、そのことに対して全力を尽くしてもらいたいなと思います。
 つい先日でありますけれども、私の知り合いの若い夫婦、今2歳と8カ月と2人の子供がいるわけです。ちょうど2人と話をする機会があったんで、頑張ってもう1人産んでよというような話したところ、奥さん「うーん」と。「うーん」という返事しか返ってこないんです。それで、例えば保育所の保育料だとか小学校の給食費やとか、高校へ行ったら高校の、県立高校の授業料等、そういうのに3人目、4人目になったら補助制度なんかが仮にできるとするような形になってきたらどうやろということを聞かしてもらって話をしたところ、そういう制度がいろいろ出てくるようだったら、やっぱりまた考えてみようかなというような気持ちになりますという話をしてくれておりました。
 そういうことから見ますと、例えば県営住宅、平成16年度から母子家庭に追加をして多子──3人以上を「多子」と行政では言うようですけれども──3人以上の子供をお育てのお宅は優先的に県営住宅へ入っていただこうかという施策というか方向は既にそうなってるようでありますけれども、その点、もう1個進めて、もう3子おられるんなら必ず県営住宅を希望したら入ってもらうと、部屋代ももうこの際思い切って3分の2程度に値下げしようかと、もう1人産んでくれて4子で頑張ってみようというんなら部屋代半額でもええやないかと、それぐらいのひとつ思い切った姿というのを示してこそ、初めて子育て環境ナンバーワンという県を目指していけるんと違うんかなと。
 あくまでも一例でありますけれども、就労の問題、教育の問題、経済的な問題から始まっていろんな障害があるわけでありますので、ひとつすべての部挙げて何とかもう一歩、もう一歩と、その実現のためにできないかなという努力を、具体的に実現していくために再度お願いをしておきたいと思います。
 質問はここまでにして、本会議一般質問の最終者ということでありますので、一言御礼を申し上げたいと思います。
 といいますのは、今、3月であります。3月というと、ちょうど卒業式のシーズンであると。この議場にも、この春をもって県庁を退職される方が何名かおいでになられるというように承っております。今日までの長年にわたる御苦労に対して、心から感謝と御礼を申し上げたい。あわせて、今後ますますの御健勝、御多幸も祈念をする次第であります。大変御苦労さまでございました。
 これで、質問を終わります。すべて要望です。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で尾崎要二君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 お諮りいたします。議案第1号から議案第16号までの案件については予算特別委員会に、また議案第67号及び議案第68号については行政改革・基本計画等に関する特別委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次に、ただいま議題となっております全案件のうち、議員提出議案第1号、議員提出議案第2号、議案第1号から議案第16号まで、議案第67号及び議案第68号を除くその他の案件については、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 なお、委員会の会場はお手元に配付しておりますので、御了承願います。
 お諮りいたします。3月11日から14日までは委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 御異議なしと認めます。よって、3月11日から14日までは休会とすることに決定いたしました。
 次会は、3月17日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時44分散会

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