平成20年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(江上柳助議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番江上柳助君。
  〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 おはようございます。ただいま議長のお許しをいただきました。通告に従いまして、一般質問をさしていただきます。
 最初に、道路特定財源と和歌山県長期総合計画(案)についてお尋ねいたします。
 皆様御承知のように、平成20年度政府予算案は、先月29日、衆議院本会議で可決されました。現在、参議院予算委員会で審議されることになっておりますが、審議がストップしております。どうやら今週ぐらいから開会の様子でございますが、いずれにしましても、衆議院の優越によりまして政府予算は4月の新年度から執行されるわけであります。
 一方、暫定税率の10年間の延長を初めとする租税特別措置法などの法案は、予算案と同日に衆議院で可決。論戦の舞台は参議院に移されております。道路特定財源の暫定税率の延長については、1月30日の衆参両院議長のあっせんで、国会審議を通して税法に関して各党間で合意が得られたものに関しては立法府で修正するとの合意がなされており、その審議の行方が注目されているところであります。
 道路は、救急医療や地震、津波などの災害時の命の道であり、通勤や買い物などの生活の道でもあります。しかし一方で、ガソリンが非常に高騰していることもあって、何とか暫定税率を下げてもらいたいとの強い声もございます。
 現在、本議会におきましては、本県の平成20年度予算の審議中でありますが、暫定税率が廃止されますと、歳入欠陥など、県財政を大きな混乱に陥れる結果になります。また、議案として提案されております和歌山県長期総合計画(案)の中には、本県として必要な道路整備が盛り込まれております。これらを実現するためにも、道路の暫定税率の延長がぜひ必要であります。道路特定財源諸税の暫定税率などが廃止された場合、和歌山県長期総合計画(案)に盛り込まれました道路整備への影響について、知事にお伺いいたします。
 次に、自動車ユーザーの負担軽減についてお尋ねいたします。
 ガソリンの急激な高騰で、自動車ユーザーの負担は非常に大きいものがあります。本県のように公共交通機関が少ない、また、ない地域においては、病院に行くにも仕事に行くにも、また仕事での営業活動にも、買い物に行くにも自動車を使わざるを得ないわけであります。
 先般、我が党の強い主張で、自賠責保険料の引き下げや一部高速道路料金の引き下げが行われました。ガソリンの高騰や暫定税率の延長による自動車ユーザーの負担を軽減するために、県としてどのように取り組むお考えか、知事にお伺いいたします。
 次に、和歌山市内の朝夕の交通渋滞緩和対策についてお尋ねいたします。
 和歌山市の北部、紀の川右岸の河西地域の人口は約15万人とも言われております。第2阪和国道の北バイパス、いわゆる紀の国大橋が平成15年に開通したものの、和歌山市御膳松から紀の川大橋を渡る1日平均の交通量は、本県で一番多い5万443台であります。お手元に資料が配付されておりますが、後で議論しますけれども、このように、御膳松から紀の川大橋にかけまして本当にすごい交通量でございます。朝の時間帯7時から8時だけを見ますと3480台ですので約1分間に58台、となりますと1秒で1台というようなことで、本当に数珠つなぎという状況でございます。
 それだけではなくて、あと2位は和歌山市田中町から田中口の5万360台、3位は紀三井寺から布引の4万8653台、4位は手平1丁目から手平3丁目の3万7910台、5位は琴の浦から海南市船尾東の3万6683台であります。せっかく高速道路も田辺まで開通いたしまして、田辺、みなべ、御坊、さらには有田の方面から通勤の皆さんが高速道路をおりても海南から渋滞してると、大変な混雑の模様でございます。
 特に、先ほど申し上げた和歌山市御膳松から紀の川大橋を渡る朝夕の交通量には目を見張るものがあります。この御膳松から紀の川大橋を初めとする和歌山市内の朝夕の交通渋滞をどのように受けとめ、その渋滞緩和に取り組むお考えか、県土整備部長にお尋ねいたします。
 次に、紀の川河口大橋の通行料金無料化についてお尋ねいたします。
 御膳松から紀の川大橋を渡る朝7時から8時の交通量は、先ほど申し上げたように3482台、1分間に58台でございます。8時から9時は3333台。合計しますと6815台。一方、このお手元の資料にございますが、紀の川河口大橋の朝7時から8時の交通量は295台、1分間に5台ということで、要するに、たまたま車が通ってなかったもんですから、車が走っておりません。朝の大体8時から8時半の状態でございました。たまたま通ってなかったと思います。要するに、紀の川河口大橋の通行量は紀の川大橋の1割にも満たないわけであります。(写真を示す)ちょっと写真、大きくしますと、この裏が御膳松からいわゆる紀の川大橋に向かってるところですね。それから、これが紀の川大橋の──もう本当に数珠つなぎですから、たまに交通事故も起きております。本当に交通事故など起きますと、さらに渋滞が起きると、こういう状況でございます。大きい写真にしますと、非常に細かく人の顔も車の車番も出ますんで、知事には御参考までに。(写真を渡す)
 そういうことで大変な渋滞でございます。参考まで、紀の川河口大橋はこのようになってますね。たまたま車が通ってなかったと、こう申し上げます。念を押しておきます。
 そういうわけで、御膳松から、これは100円の有料道路であるから通行量が極端に少ないというふうに思います。それで、御膳松から紀の川大橋を渡る自動車の通行を分散させる必要があると、このように考えます。なぜならば、紀の川大橋を渡った多くの車が大浦街道を走ります。大浦街道というのはこれですね。お手元のは小さいですけど、こういうふうに大浦街道へ向かっていく。結構これも車が多いんです。そうなりますと、県立工業高校などの通学生の自転車と車、自転車と高齢者の通行者との交通事故が後を絶ちません。実際、どんな状況かということで、私も、その通学生の状況──こんな状況ですね。要するに、ここは人の通る道になりますね、いわゆる歩行者道路。ですから、自転車はどうしても県道を走るというんかな、大浦街道を走りますね。ですから交通事故が後を絶たないと、こういう状況になってございます。
 それで、自転車保険があるんです、学校にはね。これだけでも、実は19年度で和歌山工業高校で17件自転車保険が使われた、生徒さんたちのね。そこで、県警やまた県土整備部、また学校関係者などで通学生の安心と安全を確保するため、この大浦街道の4車線を片側3車線にしまして、一方を1車線にすると、通学生の自転車道を確保するための社会実験が計画されておりましたけれども、さまざまな課題で実施が今見送られております。したがって、この御膳松から紀の川大橋、さらに大浦街道へ抜ける車の量を減少させるために、紀の川河口大橋を無料化して、無料開放して、車を和歌山市水軒口方面、さらには西浜方面に分散させる必要があると考えます。
 現在、暫定税率の議論が交わされてるときでもあり、ガソリンの急激な高騰で自動車ユーザーの負担軽減のためにも、道路特定財源の議論の中で紀の川大橋の渋滞緩和につながったと言えるように、この紀の川河口大橋の通行料金無料化、すなわち無料開放というものをすべきである。そのために、まあ一気というわけにいかんでしょうから、どれだけの効果があるのか、その社会実験を一度実施すべきであると、このように考えます。知事の御見解を承りたいと思います。
 次に、建築基準法の新たな運用基準と建築士の技術力向上についてお尋ねいたします。
 改正建築基準法の施行などを受け、本県の2007年の新設住宅着工戸数は、前年比13.5%減の6137戸と大きく落ち込んでおります。改正建築基準法では、住宅などの増築工事で既存建築物の安全性確認のために構造計算書の提出などが求められ、増築工事の断念や見送りをするケースが多く見られます。
 そこで、増築工事の既存建築物が木造3階建て、または木造以外で昭和56年6月1日以降に建築確認され、チェックリストで安全性が確認された場合や、また木造住宅で建築確認が平成12年6月1日以降の場合の物件について、既存建築物の建設時期や増築の形態などから一定の安全性が確認できるものについては、県のチェックリストなどで弾力的に法令の適合性を確認する新たな運用基準を策定すべきであると考えます。新たな運用基準の策定について、県土整備部長にお伺いいたします。
 また、県内の構造計算適合性判定の状況は、この構造計算適合性判定機関の日本建築総合試験所によりますと、昨年8月から受諾件数は49件、終了件数は32件、今17件滞ってるようでございます。
 今回の建築確認のおくれは、ひとえに構造計算書の作成とそのチェック体制にあると考えられます。本県において、建築士の構造計算を初めとする技術力向上に資するため、定期的に研修会を開催する必要があると考えます。県土整備部長、いかがでしょうか。
 次に、指定管理者制度についてお尋ねいたします。
 指定管理者制度は、平成の18年4月から本格的に始まりました。県民の財産である公の施設の管理運営を指定管理者に委託する、それは行政改革の一環であり、公の施設に対する多様な住民ニーズにより効果的かつ効率的に対応するため、公の施設の管理に民間の能力やノウハウを活用しつつ経費の削減、サービスの質の確保・向上、安定的な提供につながることにあります。
 他府県では、管理運営状況を定期的に把握し、県の求めるサービス水準を充足しているかの確認、検証及び改善指導を行うため、指定管理者管理運営状況評価、いわゆるモニタリングを実施し、結果を公表しているわけであります。このことは、他府県では運用指針の中で定められております。本県の「指定管理者制度に関する和歌山県指針」では、このモニタリングの実施とその公表というものが定められておりません。したがいまして、指定管理者業務基本協定指示事項でないために、いまだモニタリングの実施と公表がなされていない状況であります。
 なぜ、県民の財産である公の施設を指定管理者に業務を委託した後の管理運営についてモニタリングの実施と公表をしないのか、制度導入を契機とした利用者の利便性やサービス向上へのモニタリングの実施と公表及び指定管理者制度導入の現状と課題について知事にお伺いいたします。
 次に、県営住宅の指定管理者制度の導入についてお尋ねいたします。
 宮崎県では、全国に先駆けて、指定管理者制度を活用して県営住宅の管理運営を民間に委託しております。県から提示された県営住宅の一部──これは宮崎市内でございます──33団地265棟4481戸の管理運営委託費1億2000万円を、3分の2近い額の8700万円で社団法人宮崎県宅地建物取引業協会、宅建協会が落札しまして、指定管理者のこの協会と、それから協会のグループ、指定管理グループの業者6社で管理運営が行われております。入居申し込みの受け付けは、今まで県の運営であったときは8時半から5時15分まで、休日の受け付けはありませんでした。ここにこういうチラシがあるんですけれども、(資料を示す)ところが、この指定管理者を導入しますと、グループのこの宅建業者6社と協会の1カ所、7カ所で朝の8時半から夜の7時半までこの申し込みが行われる。そしてまた、休日も受け付けが行われる。申し込みも、今まで年に3回だったんですけれども、4回にしております。
 一方、県営住宅の管理と運営も、こうして「本日より、宮崎県営住宅の管理を始めました。安心・安全な24時間365日をサポートします」と。水回りなど、本当に緊急を要する場合もありますね。24時間体制で管理してると、こういうことになっております。それからまた、夜間の滞納者に対しての徴収も一生懸命行われてると、こういう状況でございます。宮崎県では、この県営住宅の指定管理者制度の導入が大変好評で、今後、住宅の指定管理を拡大していく予定と、このようになっております。
 課題は、県営住宅入居者の決定であろうと思います。宮崎県では、最終的に入居者の決定は、もちろん県が行っております。指定管理者制度を活用してる県というのは、宮崎県、石川県、神奈川県などであります。本県においても、県民のサービスの向上、さらには経費の削減を図るため、県営住宅の一部の管理運営について、県住宅供給公社に配慮しつつも指定管理者制度の導入を検討すべきだと考えます。知事の御見解を承りたいと思います。
 次に、コスモパーク加太への企業誘致についてお尋ねいたします。
 企業立地促進法に基づき県が作成した紀ノ川流域地域基本計画が、本年2月1日、国の同意を受けました。紀ノ川流域地域基本計画は、和歌山市から橋本市までを紀ノ川企業集積ベルト地帯と定め、和歌山市のコスモパーク加太、橋本市の紀北橋本エコヒルズを中心に、情報家電関連産業や新エネルギー関連産業の集積を目指すとしております。
 課題は企業用地の確保であると思います。平成20年度重点施策では、コスモパーク加太の県土地開発公社所有地の一部を県が借り上げ、企業誘致のための用地として利活用するとともに、大規模災害時における防災用地としての利活用を検討するとして、6億5000万円は計上されております。
 予算の内容をお尋ねしますと、おおむね県から公社への賃借料、また土地開発公社の金融機関への元本及び利息の支払い、人件費などの事務費に充当してると。だったら、明確にこう変えてもらいたい。紛らわしく、あたかも防災用地として活用していくんだとか、また、企業用地のために活用していくんだとか、これは紛らわしい記述がなされておりますね。今後注意していただきたいと思います。
 いずれにしましても、コスモパーク加太の利活用については、新行財政改革推進プラン(素案)の中で、県としてはこの土地を現状のまま置いておくことは得策ではないと、企業誘致等により土地の利活用を推進していくものとすると記述されておりますが、平成15年11月に県土地開発公社と5金融機関との間で特別調停、すなわち調停に代わる決定を受けております。
 企業誘致は、企業用地を売却しなければなかなか進みません。特別調停のスキームを崩さない形でのコスモパーク加太の売却を考えているのか。本気で企業誘致を考えているのであれば、事前インフラ整備が必要であります。
 企業立地促進法に基づく紀ノ川流域地域基本計画の期間は5年間となっております。5年間の期間内でのコスモパーク加太への企業誘致は可能かどうか、知事にお伺いいたします。
 最後に、子育て支援についてお尋ねいたします。
 少子化対策として、3人以上の子供を産み育てる家庭の経済的負担を軽減するため、3歳未満児保育料、妊婦健診費用、一時預かり等利用者に対して助成を行う市町村に補助を行う紀州3人っこ施策として1億4500万円余が予算案に計上されております。特に、第3子以降の3歳児未満保育料の無料化について、補助が全額ではなく新たな財源が必要になることで導入を見送る市町村もあるようです。市町村間の保育料の格差はますます広がるおそれがあります。
 現行の市町村の保育料には格差があります。例えば、和歌山市と海南市とを比較してみますと、所得税額標準世帯で、1歳児、3歳児、5歳児とが3人同時に入所した場合、現在、和歌山市は2万7750円であります。海南市は2万1230円。この格差は何と6520円であります。県の新たな施策であります第3子以降の3歳児未満保育料の無料化を導入した場合、和歌山市は既に同時入所の3人目以降は無料でありますので、そのままの2万7750円、海南市は県の補助制度を導入して1歳児が無料になりますので1万9650円、保育料の格差は8100円になります。
 さらに、県の補助制度を導入する海南市は、一番上の子が卒園をしまして、2歳児、4歳児、いわゆる1歳の子が2歳に、それから3歳の子が4歳に、そして5歳の子が卒園ということになりますと1万3100円ということになります。県の補助制度を導入しない和歌山市は、一番上の子が卒園して2歳児、4歳児の場合、3万150円。何と保育料の格差は1万7050円になってしまいます。
 本県の人口減少の中で、少子化対策としての保育料の無料化などの子育て支援施策が、市町村の財政事情によって、状況によって実施できない。県下の市町村間の保育料に大きな格差があることに疑問を感じます。
 現在の保育料の市町村間の格差をどのように受けとめ、その格差解消に取り組むお考えか。また、県の新たな補助制度、第3子以降の3歳児未満保育料の無料化施策の導入に向けた市町村への取り組みについて福祉保健部長にお伺いいたしまして、私の第1問といたします。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの江上柳助君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、道路特定財源、特に和歌山県長期総合計画とのかかわりという点でございます。
 和歌山県長期総合計画のうち、道路整備の部分については、実は昨年取りまとめました和歌山県道路整備中期計画の中間取りまとめの状態でございますが、その内容を踏まえたものでございます。この計画において、和歌山県の今後10年間を見据え、紀伊半島一周の高速道路や京奈和自動車道、府県間道路やX軸ネットワークを初め、その他の道路は選択と集中により最低限整備しなければならない道路を取りまとめたものでございまして、それらを整備するためには、今後10年間にこれまでの2倍の予算が必要となるという結果が出ております。
 道路特定財源の暫定税率等が廃止された場合、本県の新たな道路整備への投資が10分の1になってしまいまして、逆に地方の財源を確保するために国の部分から地方の分へ回しますと、国の予算規模が今度は5分の1になってしまいます。和歌山県長期総合計画のうち、少なくとも道路整備の部分は、これは国が中心となってやるところ、県が中心になってやるところ、2つございますけれども、この部分については、計画としては実行ができなくなってしまうんじゃないかなというふうに思っておりまして、困ったことだというふうに私は考えております。
 それから2番目に、自動車ユーザーの負担軽減の問題でございます。
 これは、ガソリン税などの引き下げということがありますけれども、これまで申し上げてきたとおり、安定的に道路財源が確保されないため道路整備ができなくなるというようなおそれもあります。
 負担軽減に関連しましては、昨年末の道路特定財源の見直しについての政府・与党合意では、既存高速道路ネットワークの有効活用、機能強化として、物流の効率化や渋滞解消の観点から、高速道路料金の引き下げ等に道路特定財源を活用することが盛り込まれております。自動車ユーザーの負担軽減にも、これはつながるものと考えております。県としましては、これまでも阪神高速道路の長距離料金の引き下げの要望を行ってきたところであります。
 今後とも、本県の自動車ユーザーの負担軽減につながる既存高速道路の料金引き下げなどについて、国や関係機関に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、紀の川河口大橋の通行料金無料化の件でございます。
 この紀の川河口大橋につきましては、借入金によりまして有料道路事業で建設された橋でございまして、現在のところ単年度収支は、とりわけ市民の皆様から通行料金をいただいておりますので、約4000万円の黒字になっております。一方、国や県から約3億3000万円の借入金残高が残っている状況でございます。
 こうした中で、議員御提言の紀の川河口大橋の通行料金を無料化するということによって国道26号線の紀の川大橋付近の渋滞緩和を行うという意見については、その効果を把握し、県の財政状況や今後の維持修繕費なども勘案した上で、広く県民や議会の御意見をお聞きし、判断する必要があると考えております。すなわち、借金も返さなければいけないし、一方では議員御指摘のように和歌山市を中心とするような渋滞緩和につながる話なので、これを放置するのもまたいかがなものかというところがあって、悩ましいところなのでございます。このため、御提案の社会実験につきましては、渋滞緩和効果を検証する方法の1つでありますので、期間中の収入減に対する損失補てんも伴いますけれども、今後、その有効性等については検討してまいりたいと、こういうふうに考えております。
 それから、指定管理者制度でございます。
 指定管理者制度導入の現状につきましては、平成15年6月の地方自治法の改正を受けまして、平成17年1月、Big・Uに導入したのを初め、現在、例えば県民文化会館、紀三井寺公園等、43施設に導入しております。また、平成20年4月より和歌川河川公園、日高港浜ノ瀬緑地の2施設に対しても新たに導入いたします。
 平成18年度における各指定管理者からの運営状況の報告を見ますと、22施設において利用状況が伸びるなど、サービスの向上と経費の節減の両立がなされておりまして、その導入成果はおおむね良好であると考えております。
 課題といたしましては、行財政改革の推進の観点から導入施設数を増加させるということを考えておりまして、さきに発表いたしました新行財政改革推進プランにおいても、同制度の導入を位置づけるということにしているところでございます。
 今後、その導入が適切であると判断される施設に対しては、積極的な導入を図ってまいりたいと考えております。
 ただ、議員御指摘のように、例えばサービスはどうであるかとか、あるいは指定管理者といっても県としてはお金を払っておりますので、そのお金が過大ではないかどうかとか、そういう点については、いつも真摯にチェックをしていかないといけないと思っております。そういう意味では、議員御提案のモニタリングの実施につきましては、利用者アンケートや管理者からの業務報告書の提出等により、1つの意味では実施してるというところでございますけれども、その結果の公表を含め、指定管理者に対してさらなる県民サービスの質の向上を促す意味からもさらに有効なものと思われますので、今後、こうした制度の導入もぜひ考えてやっていきたいと考えております。
 次に、県営住宅について指定管理者を導入したらどうだというお話でございます。
 これにつきましては、現在、和歌山市及びその周辺部の県営住宅につきましては、管理代行制度による住宅供給公社への委託を行っております。住宅供給公社は、この管理代行制度により、事業主体である県にかわりまして、入居決定等の手続と、それから団地管理を一元的に行うことができるため、まあいわば事務の効率化、スピードアップを図ることができる、あるいは可能性がある、そういうふうに考えて現在やってるところでございます。すなわち、住宅供給公社は自分の──自分のと言ったらおかしいんですが、住宅供給公社が運営するその住宅の一元的な管理と、それから県営住宅の管理もあわせてやっていただいていて、理論的には両方合わせるとコストパフォーマンスがいいのではないかと考えておるわけでございます。
 一方、制度的には、実は県営住宅等の地方公共団体が直接やっている住宅については、全面的に全部指定管理者に任せるということはできないようになっております。なぜならば、議員御指摘のように、県か、あるいは住宅供給公社という、まあいわば県から監督をされている立場の人でないと、どういう人を県営住宅に入れるか、どういう人にはお断りをするかということについての判断を全部任せてしまっちゃいかんということのようでございます。
 ただ、御指摘のように事務的な部分、例えば料金の取り立てとか、あるいは修繕とか、そういう点については別にやってもよろしいわけでございます。現在のところは、先ほど言いましたように、住宅供給公社がやる自分の部分と、それから県の部分をあわせてやったほうが効率的かなと一応思ってやっとるわけでございますけれども、今後とも本当にそうであるかどうかということは、いつも我々としても見ていかないといけないというふうに思っておりまして、さまざまな観点から検討していくこととしていきたいと思います。
 それから、議員御指摘の点、宮崎県の例なども参考にして、ぜひ今後、一番いい方法で県民のために尽くしてまいりたいと思っております。
 それから、コスモパーク加太への企業誘致等々利活用でございます。
 これにつきましては、議会にも大変な御尽力をいただきまして、調停に代わる決定というのがなされております。これで県の債務保証もかかっておりますので、これを考えますと、基本的にはそのスキームを維持しながら土地の利活用を図っていくという現実的要請があると考えております。すなわち、企業用地として土地の利活用を図る上で、調停に代わる決定そのものの変更が必要となる可能性もあり、そのときには債務保証を実行しなきゃいけないということである可能性もあります。したがって、その時々の県の財政状況と企業誘致による経済波及効果を勘案しながら対応しなければいけないと考えているところでございます。
 しかしながら、何もそのままほっといていいというものではございませんので、現実的な対応をいつも図りながら苦渋の選択をしていかなきゃいかんかなというふうに考えているところでございます。
 インフラ整備につきましては、そういう状況にございますので、もっと県の財政が余裕があれば、あらかじめやっておくというのも1つの考え方なんでございますが、ちょっとたくさんのお金をつけておくというのはなかなかつらいところがございますので、誘致企業の意向、すなわちどういう企業がどういうとこへ来そうだとかいう、そういうことを踏まえまして迅速な対応に努めて、県議会にもまた御相談さしていただきたいと思っております。
 コスモパーク加太は、本年1月に策定いたしました5年間の基本計画であります紀ノ川企業集積ベルト地帯構想の中でも重点促進地域と位置づけておりまして、こういう点でも、県の長期計画だけじゃなくて、あるいは行財政改革だけではなくて、国に認定していただいた構想の中でも積極的に企業誘致を展開するものとして位置づけて、チャンスをうかがってPRに努めていきたいと、そういうふうに考えております。
○議長(中村裕一君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 和歌山市内におきまして、これまでも、国道24号の和歌山バイパス、国道26号和歌山北バイパスなどの国の直轄事業を初めといたしまして、幹線となります都市計画道路の整備、それから交差点の改良などによりまして渋滞の緩和に努めてきたところでございます。しかしながら、依然として中心部市街地への流入部で通勤時間帯を中心にしまして慢性な渋滞が見られ、今後も対策が求められております。このために、主な取り組みといたしまして、第2阪和国道の和歌山岬道路の早期整備を働きかけますとともに、都市計画道路の西脇山口線や松島本渡線、南港山東線などの幹線道路の整備や交差点改良を促進し、引き続き渋滞緩和対策に取り組んでまいります。
 なお、こうした整備を計画的に進めますためにも、暫定税率等の延長により財源を確保することが不可欠であると考えております。
 それからもう1つ、改正建築基準法の新たな運用基準についてでございます。
 平成16年に構造計算偽装問題が発生したことによりまして、建築物の安全・安心の確保を目的としまして、昨年6月20日に建築基準法が改正されました。改正後、確認申請件数が全国的に減少いたしましたけれども、県内の最近の確認申請数につきましては、11月は対前年度比で同月比0.2%減、12月には0.5%減、1月は昨年と同数となっておりまして、昨年の水準に戻ってきておると思っております。
 国土交通省は、確認申請の円滑化に向けて、改正についての質疑応答集や建築確認手続の要点を示しましたパンフレットを作成しておりますけれども、県としましても、さらなる円滑化に向けまして審査の運用基準など作成いたしまして、建築士の方々に対して周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
 それから、建築士の技術力の向上についてでございますけれども、改正建築基準法に係ります施行令が平成19年3月16日に公布され、6月20日に施行されましたけれども、その期間が短かったこともございまして、建築士の方々への十分な周知ができずに建築確認申請について混乱が生じたのではないかと考えておるところでございます。
 国土交通省におきましては、さまざまな相談窓口の開設によりまして、建築士の方々の疑問に対応できる体制がとられてまいりました。県としましても、今後とも、よりきめ細やかな情報の伝達や技術講習を機会あるごとに実施して、構造計算、省エネルギー対策、200年住宅、そういったさまざまな要求に対応できますよう建築士の技術力向上に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 子育て支援についてお答え申し上げます。
 まず、保育料の市町村間の格差解消についてでありますが、保育料につきましては、児童福祉法で、市町村長が家計に与える影響等を考慮して決定できるとされておりますが、現実には、国の徴収基準額表に示された範囲内で、市町村が児童福祉や少子化対策の観点からそれぞれ独自に保育料を定めております。
 市町村間で保育料に差異が生じていることは認識してございますが、保育料は、先ほど申し上げましたように、地方自治の本旨に基づき市町村みずからが決定するものであると考えてございます。
 県においては、保育所における児童の処遇、職員の配置、設備の状況等の運営管理全般について助言等を行い、児童福祉行政の適正かつ円滑な実施を確保してまいりたいと、そのように考えてございます。
 次に、第3子以降の3歳児未満の保育料無料化についてであります。
 少子化対策は、我が国の、そして本県及び市町村の共通の課題であり、今後も少子高齢化の進展が予想されることにかんがみれば、県と住民にとって最も身近な自治体であります市町村が連携して、積極的に取り組んでいかなければならないと考えてございます。
 紀州3人っこ施策のうち、新年度の新規事業であります第3子以降3歳未満児の保育料の助成制度については、おおむね半数程度の市町村で平成20年度当初から取り組んでいただける見込みでありますが、残る市町村につきましても、少子化対策についての課題認識を共有していただくとともに、補正予算対応も含め、早期に取り組んでいただけるよう要請してまいりたいと、そのように考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 27番江上柳助君。
○江上柳助君 知事並びに関係部長、御答弁いただきました。ありがとうございました。
 紀の川河口大橋の通行料金の無料化についてでありますけれども、私、今必要だというふうに思うんです、交通渋滞緩和。それから、団塊の世代の皆さん、定年で退職されますと、やはり現役を退きますと通勤スタイルも変わってまいります。そうすると、3年ないし5年たったら朝夕の通行量は減少していくんじゃないかということも考えられます。
 実は、知事、御承知かどうかわかりませんけれども、平成15年の10月1日から、実は273億円で高野龍神スカイラインを県が買い上げまして無料開放しました。これは政策目的もありました。しかし、今回は、交通渋滞緩和という1つの政策目的、さらには今の暫定税率の議論の中で負担軽減という観点からですね。お金も──実は社会実験していただきますと、先ほども568台と申し上げました。1日、朝の7時から9時までを無料開放しますと、社会実験でやりますと5万6800円ですね。これがずっと22日間で124万、1月ですね。3カ月で、まあこれ、どうでしょう、400万ぐらいで社会実験できるわけでありますね。その効果というものを一遍よく見ていただきたい。和歌山市域の県会の先生方も、先輩・同僚議員、機会あるごとにこのテーマについては議論をされております。そういうわけで、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思います。
 それから、建築基準法の運用基準、これ、しっかりやっていただきたいと思います。
 それからあと、モニタリングの実施ですね。何か随分アンケートとかやっていらっしゃるように聞こえてきますけど、実は何か意見箱を置いているとか。やっぱり県で1つの目的を持ってスタイルを決めてアンケートも実施する。
 それから、この評価というんですか、これはきちっとやっぱりやっていくということ。
 それと、今の43施設のいわゆる施設についてはもう一度やっぱりきちっと点検をして、修繕箇所とかそういうものの履歴というものもきっちり押さえとかないと、もし万一事故等起きたときに、じゃ、どこに責任があるかと。勝手に修繕して、こういうとこ悪かったんやというようなことにもなりかねません。これは、全国的にもそういう事例が出ております。一方的に指定管理者のほうに負わしてしまったという事案もございます。ということで、やっぱり意思の疎通が非常に大事だと思いますので、その辺含めて取り組んでいただきたいと。
 それから、県営住宅の指定管理者制度ですね。これにつきまして、私、県の住宅供給公社をどうするかという話は1つも聞いておりません。配慮をしてくださいと言っただけです。私は、これにつきましては非常に悩ましいとこもあると思うんですけれども、いわゆる事務の効率化、スピードアップ、これは県庁、県の論理ですね。住民サービスという視点、この視点が私は大事だと。全然それには触れられておりませんね。スピードアップとかね。やはり住民サービスという視点で、しかし、まださまざまな課題もありますのでね。最後に、さまざまな観点から検討していくということですので、こういった指定管理者も十分踏まえながら、また開発公社の方たちにも配慮しながら進めていただきたいと。
 実は、これ、3年間で委託業務が切れるんです。来年3月で切れるんです。そうしますと、次の3年までには、4年後には結論を出していただくということで、終期を決めてひとつ議論をお願いしたいと思います。
 それから、最後ですけれども、例の子育て支援の関係ですけれども、これ、いわゆる市町村の格差あると。まあこれは議会でお決めになることでしょう。和歌山市もこのたびまた月300円、3600円値上げの議案が出てるようでございます。何にも言えないというふうなことになるわけですけれども、じゃ県の進める3人っこ施策、これも市町村にとっては余計なおせっかいやないかというふうにもとられかねませんね。しかし、私は、今日の人口減少と少子化という流れを見たときには大事な施策であるし、このことをやっぱり強力に進めていかなければいけないということで、いろんな障害もあるかと思いますけれども、3人っこ施策──何か半分ぐらいというふうに聞いてますけど、これを進めることによって、また格差も是正されるわけでございますから、しっかりと取り組んでいただくことを要望しまして、私の一般質問を終わります。
○議長(中村裕一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で江上柳助君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時27分休憩
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