平成20年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


県議会の活動

平成20年2月
和歌山県議会定例会会議録
第6号
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議事日程 第6号
 平成20年3月7日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議員提出議案第1号、議員提出議案第2号、議案第1号から議案第16号まで、議案第31号から
議案第61号まで、及び議案第63号から議案第76号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議員提出議案第1号、議員提出議案第2号、議案第1号から議案第16号まで、議案第31号から
議案第61号まで、及び議案第63号から議案第76号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(46人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 川口文章
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 16番 下川俊樹
 17番 岸本 健
 18番 尾崎太郎
 19番 藤山将材
 20番 新島 雄
 21番 山下直也
 22番 井出益弘
 23番 宇治田栄蔵
 24番 多田純一
 25番 中 拓哉
 26番 角田秀樹
 27番 江上柳助
 28番 山田正彦
 29番 坂本 登
 30番 尾崎要二
 31番 中村裕一
 32番 服部 一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 藤本眞利子
 36番 長坂隆司
 37番 玉置公良
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        原 邦彰
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      杉本雅嗣
 総務部長       小濱孝夫
 企画部長       森 崇
 環境生活部長     楠本 隆
 福祉保健部長     井畑文男
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      小倉正義
 教育委員会委員長   樫畑直尚
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員長   大岡淳人
 警察本部長      鶴谷明憲
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     垣平高男
 選挙管理委員会委員長 山本恒男
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       山本庄作
 次長         植野博文
 議事課長       薮上育男
 議事課副課長     土井敏弘
 議事班長       吉田政弘
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      石垣悦二
 議事課主査      瀧川泰治
 総務課長       下出喜久雄
 調査課長       佐本 明
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  午前10時0分開議
○議長(中村裕一君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議員提出議案第1号、議員提出議案第2号、議案第1号から議案第16号まで、議案第31号から議案第61号まで、及び議案第63号から議案第76号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 18番尾崎太郎君。
  〔尾崎太郎君、登壇〕(拍手)
○尾崎太郎君 おはようございます。議長の許可を得ましたので、一般質問をいたします。
 昨年、さきの大戦での沖縄における集団自決の記述に対する文部科学省の検定における修正意見をめぐって一連の騒動があり、もう随分以前のことになりますが、高校時代の友人と口角泡を飛ばして議論したことを思い出しました。友人は、大江健三郎氏の「沖縄ノート」を読んでいたようで、私は曽野綾子氏の「ある神話の背景」を読んでいたのです。議論はかみ合わず、平行線をたどりましたが、心優しいこの友人が、日本軍イコール悪と考えることこそ良心的であると思い込んでいることには閉口してしまいました。
 旧帝国陸海軍は、当然のことながら反社会的な集団ではありません。そもそも、我が国が明治維新を経て近代国家に生まれ変わったのは、帝国主義が吹き荒れる世界情勢の中で独立を維持するためでありました。世界のほとんどの国が植民地にされていく中で、辛うじて独立を保っていたとはいえ、我が国は不平等条約のくびきに苦しんでいました。当時、対等の外交を展開できたのは、列強と呼ばれる白人の国だけであったのです。
 我が国が治外法権から脱却したのは、明治も27年になってからであり、日清戦争の前日でありました。関税自主権の回復は、日露戦争に勝ってようやくなし遂げられましたが、本県出身の陸奥宗光がこれに貢献したことはよく知られているところです。
 我が軍はよく戦いました。日清、日露戦争を戦い、日本は有色人種の国としては唯一、白人の国と対等になり得たのです。また、大東亜戦争は、結果として世界から植民地を一掃し、日本以外の有色人種の国々を初めて白人の国と対等、平等にしたと言えるでしょう。このことの歴史的意義は極めて大きいと言わねばなりません。まさに世界のありようを一変させたのです。
 旧帝国陸海軍には、愚かで反省すべき点は山のようにあります。戦史を読めば切歯扼腕することしきりであり、日本軍の失敗から学ぼうとしないのは、それこそ愚かだと言うべきです。しかし同時に、日本軍には誇ってよいところもたくさんあるのであり、世界的には相当高く評価されているのではないでしょうか。
 ところが、規則正しく、精強で士気旺盛な日本軍の復活を恐れた米軍と我が国の革新勢力の奇妙な利害の一致が、日本軍をおとしめるプロパガンダを容易に浸透せしめ、他の国々には全く類例のないことながら、戦後の我が国では自国の軍は悪であるとの図式が成り立つ風潮にあります。いわゆる従軍慰安婦問題も南京事件も、そして沖縄の集団自決の軍命令も、この風潮の中でこそ成立した神話だと言えるでしょう。
 大江健三郎氏に「沖縄ノート」の中で「人間としてそれをつぐなうには、あまりにも巨きい罪の巨塊のまえで、彼はなんとか正気で生き伸びたいと願う」と書かれた、渡嘉敷島で住民に集団自決を命じたとされる赤松嘉次大尉は、海上挺身隊、すなわちベニヤ板でできた船に爆雷をつけて敵艦に体当たりする水上特攻隊の隊長でありました。
 「ある神話の背景」を読んで、初めてこの事実を知りましたが、生き延びたいと願うどころか、赤松大尉にとって死ぬことは任務の一部であったのです。しかし、さまざまな困難を乗り越え、出撃準備を整えたにもかかわらず、無念にも作戦は中止され、特攻舟艇は自沈を余儀なくされます。
 赤松隊長は、「正直言って、初め村の人たちをどうするかなどということは頭にありませんでした。なぜかとおっしゃるんですか。我々は特攻隊です。死ぬんですから、後のことはだれかが何とかやるだろうと思っていました」と後年語っています。しかし、彼は、全精力を傾けてきた作戦が無に帰し、茫然自失となりながらも、装備も訓練も行き届いていない隊を率いて、渡嘉敷島を死守せよとする絶望的な任務を全うしようとしたのでした。
 「沖縄ノート」が引用している本に「沖縄戦史」がありますが、この本は、「沖縄戦記・鉄の暴風」に依拠していると思われます。私は通読したことはありませんが、ある有名な場面はよく引用されます。「そのとき赤松大尉は『持久戦は必至である。軍としては最後の一兵まで戦いたい、まず非戦闘員をいさぎよく自決させ、われわれ軍人は島に残った凡ゆる食料を確保して、持久戦態勢をととのえ、上陸軍と一戦交えねばならぬ。事態はこの島に住むすべての人間の死を要求している』ということを主張した。これを聞いた副官の知念少尉(沖縄出身)は悲憤のあまり、慟哭し、軍籍にある身を痛嘆した」というところです。
 何とも文学的というか、映画の一場面を見るようですが、それだけに現実感が希薄です。しかし、よくできているといえばよくできているので、このくだりは人口に膾炙され、神話の一部となりました。もちろん事実ではなく、これを聞いたとされる知念少尉本人が全面的に否定しています。しかし、一度成立してしまうと、神話は容易なことでは覆りません。
 同じような例を挙げてみます。吉田満の「戦艦大和ノ最期」です。天声人語にも引用された一節、「ココニ艇指揮オヨビ乗組下士官、用意ノ日本刀ノ鞘ヲ払イ、犇ク腕ヲ、手首ヨリバッサ」、「敢エナクノケゾツテ堕チユク、ソノ顔、ソノ眼光、瞼ヨリ終生消エ難カラン」はよく知られていますし、私も小学生のころに児童向けの「戦艦大和ノ最期」を読んで、手首切りを知ったときは随分衝撃を受けたものです。
 この本も名文の誉れ高く、手首切りは神話になっていきました。しかし、当の艇指揮であった松井一彦氏の手記が、平成17年の「文藝春秋」8月号に掲載されました。それによると、そもそも救助艇内に軍刀などを持ち込むはずもないこと、たとえ持っていったとしても、バランスの悪い艇内で、しかも足元は重油で滑りやすいので、とてもそんなものを振り回せるものではないことなどが語られており、いずれもなるほどとうなずけるものでした。さらに、私が感心したのは、現実には将兵は海上に漂いながら整然と救助を待っていたということでした。
 我々は、つい今日の常識で当時のことを判断しようとしてしまいます。自分が海にほうり出されたら、きっと無我夢中で船べりにしがみつくのではないか、それこそ手首でも切られなければとても引き離せるものではないのではないかと。
 しかし、極限状況の中でも、日本の将兵は我先に救助艇に殺到するようなことはしなかったのです。乗員2498名が戦死した大和の戦いは悲惨であり、艦内は酸鼻をきわめた地獄であったでしょう。その中にあっても、なお品格ある振る舞いをし得た我が軍の将兵に驚き、畏敬の念を抱くものです。
 沖縄は戦場となり、さまざまな悲劇が起こりました。けれども、とらの子の大和は沖縄を守るために出撃したのではなかったのか。どれだけの特攻機が沖縄の空に散っていったのか。沖縄は、紛れもなく日本であり、まさに祖国日本を守るため彼らは散華したのではなかったのか。沖縄の人々も軍も、ともに協力し、よく戦ったのではなかったのか。であればこそ、大田実少将は、自決前に「沖縄県民斯ク戦ヘリ県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」と有名な電報を打ったのでありましょう。
 現代の日本では、軍は限りなく遠い存在になってしまいました。今や、軍は一般市民からかけ離れた、わけのわからない異質なものなのです。軍を不当におとしめてきた結果であると言えます。
 しかし、大戦当時の我が国では、軍はごく身近な存在であり、あこがれであり、道徳の体現者でありました。実際、日本軍の下士官、尉官のレベルは、あらゆる面で世界一であったと思われます。軍民の一体感は、今日では想像もつきません。
 沖縄における集団自決については、それが軍命令によるとは少なくとも実証的には裏づけ得ないということはさまざまな研究で明らかになっていますし、軍命令があったことにしなければ戦傷病者戦没者遺族等援護法が適用されない可能性が高かったということなども関係者が告白しています。
 こうした近年の動向を見て、昨年の高校教科書の検定では修正意見がつきました。例えば、実教出版「日本史B」では、「日本軍は、県民を壕から追い出し、スパイ容疑で殺害し、日本軍のくばった手榴弾で集団自害と殺しあいをさせ、800人以上の犠牲者を出した」との記述は、修正後、「日本軍は、県民を壕から追い出したり、スパイ容疑で殺害したりした。また、日本軍のくばった手榴弾で集団自決と殺し合いが起こった。犠牲者はあわせて800人以上にのぼった」となり、三省堂「日本史A・B」では、「さらに日本軍に『集団自決』を強いられたり、戦闘の邪魔になるとか、スパイ容疑をかけられて殺害された人も多く、沖縄戦は悲惨をきわめた」との記述は、修正後、「さらに追い詰められて『集団自決』した人や、戦闘の邪魔になるとかスパイ容疑を理由に殺害された人も多く、沖縄戦は悲惨をきわめた」となり、東京書籍「日本史A・B」では、「そのなかには、日本軍がスパイ容疑で虐殺した一般住民や、集団で『自決』を強いられたものもあった」との記述は、修正後、「そのなかには、『集団自決』に追い込まれたり、日本軍がスパイ容疑で虐殺した一般住民もあった」となりました。
 控え目過ぎるぐらい控え目な修正であり、一体どこに大騒ぎするほどの問題があるのか全く理解できません。むしろ、私などは、手りゅう弾を配ったのが日本軍かどうかも未確定だし、自決には手りゅう弾も使われたと記述すべきだと思ってしまいます。
 高等学校教科用図書検定基準に、「未確定な時事的事象について断定的に記述しているところはないこと」との一条があります。私は、個人的には軍命令はなかったと確信しておりますが、少なくとも軍命令があったかどうかは未確定ではありましょう。したがって、今回の修正意見は、法令にのっとり最低限付されてしかるべきものであったのです。
 ところがであります。あろうことか、「沖縄県民の気持ちを受けとめ、何ができるのか検討する」などと言い、法令を恣意的に運用してまで特定のイデオロギーに奉仕することをいとわない文部科学大臣が、検定制度を事実上崩壊せしめてしまいました。歴史的事実が県民の気持ちによって変わるなどということはあるはずもありません。もちろん、事実だとされていたことが、新たな発見や証言により見直されることはあるでしょう。歴史の研究が進むとはそういうことであり、例えば今や「いい国つくろう鎌倉幕府」ではありません。鎌倉幕府の成立は1185年と教えられているのです。今回のケースがまさにそうであり、実証的な研究の成果が検定に生かされただけなのです。
 訂正申請の結果は、一例を挙げるならば、実教出版「日本史B」では、「日本軍のくばった手榴弾で集団自害と殺しあいがおこった」が、「日本軍は、住民に手榴弾をくばって集団自害と殺しあいを強制した」となってしまっており、これでは検定前以上に軍命令であることを強調してしまっているではありませんか。
 日本軍は、どこまでも悪逆非道な存在でなければならない。──もういいかげんにしてもらいたい。日本軍は、大方の我が国の組織がそうであるように、愚かでまたすばらしく、度しがたくまた誇るべき存在なのです。
 高校の教科書なのですから、負の面は負の面として淡々と書けばよいでしょうし、美点は美点として書いてもいいでしょう。取捨選択はすればいいことですが、最低限歴史的に疑義があることを書いてはならないことは余りにも当然であります。
 集団自決がなぜ起こったのか、それを今日の常識で推しはかることはできますまい。家族や友人が殺し合い、あるいはみずから命を絶つなどということは想像を絶することであります。しかし、だからといって、我々はこの余りにも悲しい事実から目を背けるわけにはいきません。きちんと後世に伝えていくべきでありますが、願わくば当時の時代精神に迫る歴史教育であってほしいものです。
 今回のてんまつを見るにつけ、以前取り上げました昭和57年の「侵略」を「進出」に書きかえたとした歴史教科書誤報事件を想起します。書きかえられた事実はなかったのです。そんなことは、少しでも調べてみれば明らかなことでした。
 この誤報を受けて、中国は日本に猛烈な抗議をし、余りのけんまくに恐れをなした宮沢官房長官は、事実無根であるにもかかわらず、近隣諸国条項なるものを定め、自国の教育に他国が容喙する道を開いてしまいました。たとえ事実に基づかなくても、騒げば日本政府の腰は砕けることを内外に知らしめたのです。
 いわゆる従軍慰安婦問題も同じ構図にあります。軍が強制連行したものではないことは政府の調査が明らかにしたにもかかわらず、まさにその政府の一員たる官房長官が、韓国に騒がれて河野談話を出してしまいます。今や、米国下院に続いて、オランダ下院、カナダ下院、欧州議会で、これを根拠に対日非難決議が採択されているのです。このまま放置すれば、いわゆる従軍慰安婦の強制連行は世界の新たな神話となっていくでしょう。
 そして今回は、昨年9月の2万人足らずの県民集会が11万6000人結集と報じられたことがきっかけとなっています。熊本大学の学生グループが、新聞に掲載された県民集会の会場の全景写真に写っている人を1人1人数えたところ1万3037人でありましたし、さらに別の航空写真をもとに警備会社のテイケイが数えたところ1万8178人でありました。控え目過ぎる修正意見を、あたかも深刻な問題かのように思わせるためには、11万人というとてつもない数字が必要だったのでありましょうか。ともあれ、虚構の11万という数字は、票欲しさの政治家や基地問題で住民の機嫌を損ねたくない政治家を動かすことができるであろう。虚構であることはさほど問題ではない。騒げば無理が通るのは実証済みなのであります。果たして検定制度には政治介入がなされ、歴史はゆがめられてしまいました。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 第1点、教科書検定制度の意義をどのように考えているのか。
 第2点、検定制度に政治が介入することについてどう思うか。
 第3点、日本史を教えることの意義をどのように考えているか。
 一昨年、本県は官製談合事件に揺れました。知事の逮捕という最悪の事態を招いてしまいましたが、仁坂知事のもと、再発防止に向け新たな入札制度の検討が進められ、本年6月から、原則的に一般競争入札により公共調達が行われます。
 もともと、公共調達のあり方は、明治22年に会計法により、予定価格以下で最も低い札を入れた者と契約をするよう定められています。また、地方自治法は、234条で契約の締結については一般競争入札によることとしており、指名競争入札や随意契約は、政令で定める場合に該当するときに限り、いわば例外的に認められているものなのです。したがって、本県が進める入札制度改革は、もともと法令で定められた姿に入札制度を戻すことにすぎないと言えなくもありません。
 では、なぜ本県のみならず多くの自治体で、談合を助長するとされる例外にすぎない指名競争入札が常態化していたのでしょうか。談合は、我が国の社会で極めて広く行われてきた商慣習のようなものであり、事業者にも発注者にも違法性の意識は希薄でありました。近年、スーパーゼネコン数社が談合決別宣言を出しました。それはそれで結構なことではありますが、それまでは談合を繰り返していたことを告白したようなものです。
 実際には、談合は、違法性は別として、公共調達のシステムとしてはすぐれたところもあったと言えます。発注者側としては、まず施工管理を徹底する必要がありません。きちんと施工能力がある業者が選定されているからです。また、仕様書等も厳密に書かれたものである必要もありません。仮に不十分なものであっても、仕事が不十分になることはまずありません。入札後でも適当に変更すればよいですし、発注者は事業者との独特の貸し借りで個別の仕事の不都合を円滑に処理してきました。予算の積み残しの心配もありません。
 一方、事業者の側にも、受注計画を立てることができる、無駄な見積もりのコストをかけずに済む、ある程度の利潤を確保することができる等のメリットがあります。また、社会全体としても、公共事業は富の再配分や地方経済のカンフル剤であるとの認識から、極端な安値受注につながる一般競争入札では、むしろこの役割を十全には果たし得ないと考えられてきました。
 昭和59年に、公正取引委員会が公表した「公共工事に係る建設業における事業者団体の諸活動に関する独占禁止法上の指針」によりますと、事業者団体が構成事業者から公共工事についての受注実績、受注計画などに関する情報を任意に収集し提供することや、事業団体が採算性を度外視した安値での受注に関し自粛を要請すること自体は違法ではないとしています。この指針が出た背景には、談合は、会計法上は問題であるが、その果たしている役割は決して小さくはないので、直ちに独禁法上違法ということにはしたくはないという社会的要請があったと思われます。
 役所は業界に仲よくせよと言い、業界は談合にくみしない事業者──これらの事業者は必ずしも建設業法を遵守している優良事業者とは言えないのですが──を行儀が悪いと役所に注進していました。
 談合は、和をもってとうとしとなす我が国の国柄と相性がよかったことや、日本人独特の法意識に支えられ機能してきましたが、競争を国是とする米国とのいわゆる日米構造協議の中で、談合はやり玉に上げられます。国際建設市場に我が国のゼネコンや機械メーカーが多数進出していることや、米国のリーガルマインドからいえば、これは当然の要求であったと言えます。ただし、米国は談合を深く研究しており、それが日本のゼネコンや機械メーカーの高い技術力の源になっていることや、公共調達のシステムとしてはそれなりに洗練され、ある意味で極めて効率的であることを知っていました。
 こうした流れの中、独禁法は強化され、平成6年には昭和59年の事業者団体ガイドラインは廃止されます。談合は、形式的な犯罪ではなく社会悪であるとの世論が高まり、全国各地で摘発が続き、その延長線上に本県の事件もあったと言えるでしょう。本県の事件の場合は、知事がその知人を通じ、業界団体と特異な関係にあったことが特徴的ではありますが、談合そのものは木村知事の時代になって初めて行われたものではないことはもはや明らかであります。
 さて、以上述べてきましたとおり、談合は違法ではありましたが、かつては反社会的なものではなく、それなりに広く日本じゅうで有効なシステムとして機能してきたことを考えますと、談合を完全に封じ込めた場合、従来談合が担ってきた機能をどのように代替するかが問われます。また、事業者だけを悪者扱いし、行政側は一方的な被害者であるかのような姿勢には感心できません。
 初めの問いに戻ります。なぜ、地方自治法234条があるにもかかわらず、本県は一般競争入札を採用してこなかったのか。罪なきもの、まず石を投げよ。本県も事業者も、ともに襟を正さなければいけないのです。
 新たな制度は、法令の遵守、公正な競争、透明性の確保、適正な価格、品質の保持、地元企業の育成、本県の実情等を勘案し、構築すべきであります。単に談合の抑制だけを目的として入札制度をつくり、安かろう悪かろうの公共事業であってはいけません。
 また、地元経済が冷え込んでしまってはいけないでしょう。競争は、自由主義経済の命ではありますが、どのような場合にでも常に必ず善というわけでもなく、過度の競争は競争の大前提である市場の荒廃を招きかねません。競争の強度は、事業者の規模に応じて変えてもよいでしょうし、価格だけを競争の基準にする必要もないでしょう。
 ともあれ、どのような制度も法律も、それだけで完全に取引の安全を図ることなどはできはしません。よき商道徳や慣習の存在が大前提なのです。例えば、発注者側に「仕事を出してやっている」というおごりがあれば、よき公共財を県民に残すことは難しいし、事業者によい意味での職人かたぎがなくなれば、やはりそれは難しいでしょう。
 我々自由民主党県議団も、政務調査会に公共調達検討委員会を設け、本県のあるべき入札制度について勉強を重ねているところであります。
 そこで、県土整備部長にお尋ねします。
 第1点、本県における建設業の就労人口はどれだけか。また、それは本県の就労人口の何割に当たるのか。
 第2点、本県における建設業の全売り上げのうち、公共事業の占める割合はどれだけか。
 第3点、地元企業の保護、育成についてはどのように考えているのか。
 第4点、本県における公共事業の品質保持は十分であるのか。
 第5点、予定価格とは何であるのか。また、予定価格に近い落札とは何を意味するのか。
 第6点、一般競争入札を実施した場合、いわゆる企業舎弟の疑いのある者や、実態を伴わず丸投げをする会社をどのように排除するのか。
 第7点、国土交通省が実施している総合評価方式と本県のそれはどう違うのか。
 第8点、県産品登録制度は、公共調達にどのように生かされているのか。
 昨年、自由民主党の青年局は、約100名の団を結成し、深せん、マカオを視察いたしました。団長は、自由民主党青年局長で観光特別委員会カジノ・エンターテイメント検討小委員会の事務局長を務める萩生田光一先生であり、私も副団長として参加をいたしましたが、カジノをてこに爆発的な発展を遂げているマカオの姿には唖然とさせられました。
 ラスベガス資本が展開する新たなカジノエンターテインメントは、マカオを一変し、以前の少々うさん臭げなマカオのイメージは過去のものとなりつつあります。昨年の時点で、既にマカオのカジノの売り上げはラスベガスを凌駕しているそうです。
 マカオでは、オープン前のベネチアンホテルで経営陣と話す機会があり、日本の幕張メッセが世界的なコンベンションを呼び込めないのは、ゲストが夜遊びに行くところがないからだというような極めて示唆に富む話を聞くことができましたが、彼らは国際的なコンベンションを収益の大きな柱と考えているのです。実際、ラスベガスではそうであり、ショッピングモールでの収益もカジノの収益を上回っているそうであります。カジノはツールの1つであり、それを他のツールと複合的に組み合わせた新しいビジネスが創出されています。
 国際会議等も、その数は年々増加しておりますが、日本での開催は減少の一途をたどっています。アジア諸国のハード整備が進んだこと、我が国には24時間空港がないことなども大きな理由でしょうが、日本では大人の遊ぶ場がないというのが本当のところかもしれません。
 また、環境に特に配慮しているとのイメージが強いシンガポールでも、カジノ解禁にかじを切りました。自国の産業の多くを中国に持っていかれ、得意であった金融センターも上海にお株を奪われつつあります。どのようなカジノをつくり出し復活を期すのか、興味深いところであります。
 豊かさを享受できるようになった現代社会においては、エンターテインメントは人々の大きな関心事であり、大人が楽しくエキサイティングに、かつ安全に遊べる空間の創設は社会的要請であるとも言えます。アジアでは一足先に豊かになった日本人は、世界じゅうに出かけていき、カジノも大いに楽しんできました。悪いことではないでしょう。
 しかし、今や世界各国の人々、とりわけ人生を楽しみ出したアジアの人たちに、いかにして日本に来ていただくかが問われる時代であります。
 そのためには、ゲストの視点に立った利便性や快適性の向上に努めなければなりません。例えば、空港なども、我々が外国へ行きやすいかどうかよりも、外国の方が日本に来やすいかどうかという視点から整備することも必要でしょう。本県も、観光立県を目指すのであれば、生活者としての県民の視点とホストとしての県民の視点という必ずしも利害が一致しない方程式を解いていかねばなりません。ありていに言えば、観光客の増加には、いろいろと不都合ももたらすが、改善や整備できる点は善処し、受け入れるべきところは受け入れていく覚悟も必要だということであります。
 我が国では、カジノというとまだまだ頭から否定する人がいますが、お酒と同じで、適度であれば、それは人生を豊かに楽しくするものであり、過度になれば身を滅ぼすたぐいのものでありましょう。
 今やカジノは、国連加盟国192カ国のうち120カ国余りが導入しているエンターテインメントであり、青少年に与える影響や犯罪の増加率なども極めて科学的に研究されており、対策も講じられております。国際観光立国を宣言する日本にとって、カジノは必須のエンターテインメントだと言えるのです。
 報道によりますと、いよいよカジノ法案が、来年の通常国会への提出を目指し動き出しました。前知事の時代には、地方自治体カジノ協議会に参加し、積極的に勉強していく姿勢を見せていましたが、平成20年度予算案には、カジノエンターテインメント誘致可能性検討費200万円が計上されています。
 自民党のカジノ法案の骨子によると、施行主体は地方自治体かその一部事務組合で、当面2~3カ所に設置し、最大10カ所程度に段階的に拡大していくなどとなっており、本県がカジノエンターテインメントを展開するには、他県との競争に勝ち抜かなくてはなりません。もし展開を目指すのであれば、周到な準備と世論の形成が必須であります。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 第1点、カジノについてどのようなイメージを持っているか。
 第2点、カジノを本県で展開することについてどのように考えるか。
 第3点、ダイナミックに変貌するアジアを体感し、カジノエンターテインメントを勉強するために、積極的に職員をマカオやシンガポールに派遣すべきだと考えるがどうか。
 以上、お尋ねして質問といたします。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの尾崎太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) カジノについて、知事にお尋ねがございましたので、お答えさしていただきたいと思います。
 その前に、尾崎議員の御質問というか、その前の御見解につきましては、極めて示唆に富む、しかも共感を呼ぶようなお話であったかというふうにお聞きしておりました。
 さて、お尋ねでございますが、まず私のイメージということでございます。
 カジノエンターテインメントは、御指摘のような海外の成功事例に見られるように、観光客の増加による雇用の拡大など大きな経済的メリットがありまして、また、本県においても、地域の活性化に十分資するものであると考えております。当県は、観光立県を目指し、何とか雇用の種をもう少し一段とふやさなきゃいけない、そのためにはいろいろなことを考えていかないといけないということの中で、これは1つのメニューになり得るのかなというふうに思っております。
 一方で、もうこれも御指摘でございましたけれども、カジノについては、犯罪組織の資金源にならないかとか、青少年に悪い影響を与えないかとか、ギャンブル依存症の方がふえないかとかなどの懸念もあることも事実でありますので、これらをうまく克服することを考えていかなきゃいけないということも大事であると考えております。
 カジノエンターテインメントの誘致につきましては、こういう意味での県民の理解が何よりも重要であると考えておりまして、その上でカジノに伴う諸懸念が払拭されるのであれば、本県への誘致にもぜひ前向きに対応していきたいと考えております。このために、平成20年度は、県民に向け、カジノエンターテインメントに関する情報を十分提供し、講演会や研究会を行い、県民の方々に理解をしていただきたいと考えてございます。
 誘致に向けての諸条件が整った場合、他府県でも誘致の動きが活発化しておりますが、それに負けないような魅力的な誘致策を展開していかなければならないと考えております。
 尾崎議員のお話の中で、カジノはカジノとして独立しているのではなくて、ほかの要素と複合して初めて生きてくるというような趣旨の御発言あるいは御指摘がございました。そういう点で、和歌山でそれをつくっていくことが可能かどうかということも考えないといけないと思いますし、これはまた、余り申し上げたくありませんが、これまでの資源から考えると、ほかのところのほうが優位であるということもまた事実であるかなというふうに思います。それをどうやって考えていくかというのは、知恵の絞りどころかなというふうに考えております。
 海外のカジノエンターテインメントに関しましては、研究会を通じまして海外の事例や情報の収集に努めているところでございますけれども、より具体的な内容把握の必要が生じた場合には、御指摘のように職員を海外に派遣することも検討したいと考えております。
○議長(中村裕一君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 議員から、入札制度について8つの御質問がございました。
 まず、1点目の建設業の就労人口及び就労人口に占める割合でございますけれども、平成17年の国勢調査によりますと、本県における建設業に係ります就業者は約4万1000人、全就労者数は約47万8000人であり、全就業者に占める建設業就業者の割合は約9%となっております。
 2点目の建設業の売上高に占める公共事業の割合でございますけれども、平成17年度の建設工事施工統計調査における完成工事高は、本県全体で約2450億円、そのうち公共発注工事は約880億円となっておりまして、全体に占める割合は約36%でございます。
 3点目の地元企業の保護、育成についてでございますけれども、発注に際しましては県内業者を最優先することとし、施工可能な県内業者がない工事についても、県外業者に県内業者とのJVを義務づけることといたしておりまして、地元業者の保護、育成に努めております。また、建設工事に係ります委託業務につきましても、建設工事と同様に地元業者へ優先的に発注することに努めております。
 4点目の県における公共事業の品質保持についてでございますけれども、本年6月から実施いたします新しい業者評価制度におきまして、過去の工事成績、それから技術者を適正に評価する、こういったことによりまして品質の保持を図るとともに、価格と品質、その両方で落札者を決定いたします総合評価方式につきましても積極的に導入することとしております。
 5点目、予定価格と予定価格に近い落札の意味についてでございますけれども、予定価格とは、標準的な材料を使って標準的な工法で施工した場合に要する経費と考えております。地方自治法では、予定価格を超える価格では契約できませんが、予定価格に近い金額での落札につきましては、標準的な材料を使って標準的な工法で積算が行われたものと考えられ、発注者が求める性能を持った工事の完成が期待できるものと考えてございます。
 6点目のいわゆる企業舎弟の疑いのある者や丸投げをする会社の排除についてでございますけれども、新業者評価制度におきましては、従前の法人役員に加え、5%以上の株式を保有する株主につきましても、暴力団関係者が含まれる場合は入札参加資格を与えないこととしております。また、自社ではほとんど施工を行わない事業者の排除を進めるために、外注比率が著しく高い、かつ技術者が少ない、こういった場合につきましては、一定のペナルティーを与えることとしております。
 7点目の総合評価方式における国土交通省と本県の違いでございますけれども、国土交通省と本県の実施いたしております総合評価方式については、制度としては大きな違いはございません。
 最後、8点目の県産品登録制度の活用についてでございますけれども、施工に当たりましては、これまでに登録されました約700品目の建設資材等の優先使用を求めるとともに、使用した場合は工事成績評定におきまして加点しているところでございます。なお、積極導入いたします総合評価方式におきましても、県産品の使用を評価項目の1つとして今後検討してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 御質問の教科書検定制度の意義についてお答えいたします。
 学校で使用する教科書は、児童生徒が学習するための主たる教材であり、その教科書が客観的で公正な記述で著されているか、かつ適切な教育的配慮がなされているかを検定することは大変重要な意義のあることであると認識してございます。
 また、その検定は、教育水準の維持向上、適正な教育内容の維持あるいは教育の中立性の確保などの要請にこたえるために、法令で定められた機関におきまして、慎重な手続を経ながら行われなければならないということは言うまでもございません。
 また、検定制度への政治介入という御指摘につきましては、教育は、あくまでも教育基本法にうたわれておりますとおり、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力のもと、公正かつ適正に行われなければならないというふうに考えてございます。
 次に、日本史を教えることの意義については、新しい教育基本法を踏まえ、先般示されました中教審の答申におきましても、我が国の伝統や文化に関する教育の充実が重視されておりまして、また今後、それを基盤として、国際社会を生きる上で、日本人としてのアイデンティティーを確立するためにも、自国の歴史を学ぶことは重要であり、意義があるものと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 18番尾崎太郎君。
○尾崎太郎君 何点か要望と、それから意見を申し上げておきたいと思います。
 まず入札制度、いろいろと御検討いただいておりますけれども、先ほど質問でも申し上げましたが、私どもも、自由民主党県議団でも、いろいろと議員それぞれにいろんな意見の相違はあるんですけれども、やっぱりその議論を重ねて、こうあるべきじゃないかというようなものをまたお示しをしていきたい、それをやはり当局の皆さん方もぜひ参考にしていただきたいなと思っております。
 一番、私、個人的に懸念しますのは、例えば平成15年に朱鷺メッセの連絡通路崩落事故というのがございました。そういうのは、今までの日本の公共事業では考えられないような事故だったわけですけれども、これがいわゆる、俗な言い方ですが、たたき合いによって行われた入札の結果、そういうことが起きてきた可能性もないとは言えないわけでありまして、仕様書に従って、設計図書に従って、きちっと施工せないかんのですけれども、しかし、その管理を、果たして、ずっと見てるわけにいかないので、徹底できるかというと、疑問に思うところもあるわけなんです。
 ですから、その辺のところ、品質の保持、施工管理をどのようにしていけるのかということも、ぜひ新しい入札制度をつくっていく上で御留意をいただきたいと思います。これは要望しておきます。
 それから、教科書検定の問題につきまして教育長に答弁いただきましたが、この教育基本法の不当な支配ということ、これは我々自由民主党が安倍内閣のときに教育基本法を改正するときに、この文言をなくすかどうかで随分もめました。
 結局は残ったわけですけれども、皮肉なことに、こういう不当な支配というのが、この文言は、今まで私ども保守の立場からいうと、それこそ不当にこの文言を解釈に使われてきたというような思いがあって、これはもう削除せな教育の中立性は保たれへんと、こういうふうに考えてきたんですけども、今回まさにこういうことがあるんで、やっぱり置いといたほうがええんかいなと、変にこう思ったわけでありますけれども、まさにこの不当な支配には断固として服しちゃいかんわけでして、それが仮に見た目上、何か同情を呼ぶようなものであっても、やっぱり歴史的な事実というものに対して敬意を払っていく態度じゃないと、何かわあっと騒擾したものが正しいというようなことではいかんわけであります。そういう断固たる姿勢というものも、教育者たる者お持ちをいただきたいと、これも要望をしておきます。
 それから、カジノについてであります。
 仁坂知事も、いろいろと動いていただけるかなという思いを持ちました。もともとカジノというものは、東京みたいにもともと発展してるところにまたつくる、これも国際競争力を保持する上で大事なことなんですが、もともとは、そういうラスベガスのネバダ州の砂漠みたいなところに、何も地域振興するものがないから持ってきたというところから始まってると思いまして、この自民党の法案の立案の趣旨にもそういうことがうたわれております。むしろ、過疎的にあんまり産業が興ってこないような地域にどうかというようなことを盛り込まれておりまして、決して用意ドンで競争して、必ずしも和歌山が負けるとは限らないと思っております。
 仮に、今、関西で手挙げてるのは、和歌山、大阪、滋賀の一部も挙げてるらしいですけれども、仮に大阪にできたとしても、それを利用してといいますか、それを拠点に、また和歌山に新たな産業が勃興してくるということも考えられますので、このカジノ法案について、常に注意をしていただいて、そして情報収集していただいて備えていくと、こういう姿勢でやってもらいたいと思います。
 以上、要望して終わります。
○議長(中村裕一君) ただいまの発言は要望であります。
 以上で、尾崎太郎君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、順次質問をさしていただきます。
 1つ目に、食品加工による新産業創出についてであります。
 昨年9月議会において、和歌山県の誇る農産物、特に果樹を利用した食品加工戦略について質問をさせていただいて、農林水産部長から「食品産業との連携による加工品づくりを進めて、新たな需要を創出し、地域の特色を生かした加工品づくりを積極的に進める」、そして知事からは「今後、消費者ニーズに対応した商品開発など食品加工分野での取り組みが地域の農業の将来を、あるいは雇用の将来を左右するのではないか、そのために産業としての農業を育てていきたい、そして、県庁で特定の責任者によるヘッドクオーター制をしいて横の連絡をとり、研究開発と農業と食品加工業の振興と3つ合わせて元気な産業をつくっていきたい」と力強い御答弁をいただきました。
 知事の答弁の実現のためにも、食品加工研究の核となる研究機関がどうしても必要との思いで、本年2月早々、「食品開発研究最前線」と題したフォーラムで広島県総合技術研究所食品工業技術センター食品加工研究部長の坂本宏司氏のお話を聞くことができました。坂本氏によれば、「食品はおいしくないといけない。しかし、食べる楽しみを奪われている方々、例えばそしゃく、嚥下困難者のために食品加工開発を行った。そして、落ち込んでいる産業を引き上げることより、伸びる産業をより伸ばす、すなわち選択と集中が大切だ」と言われておりました。
 その後の講演で、わかやま産業振興財団科学技術コーディネーターで、元花王の執行役員であった木村昭雄氏は、花王商品の長く愛されるブランドづくり、健康「エコナ」や「ヘルシア」緑茶に代表されるライフスタイルの変化に着目した健康食品開発と情報戦略の重要性を説明いただいて、和歌山県の果樹産業への期待として、農産物振興にとどまらず、機能性加工食品の開発、製造業との連帯と一体化の必要性を説いてくださいました。
 機能性を追求する農産物加工戦略の方向性に間違いはないという確信のもと、さらに秋田県農林水産技術センター総合食品研究所と新潟県農業総合研究所食品研究センター、そして新潟大学地域連携フードサイエンス・センターの取り組みを、自分の目で見て、自分の耳で聞いてこようと、2月6日、7日の2日間で視察に行ってまいりました。
 秋田県総合食品研究所は、平成7年4月に、もともと醸造研究所であったところを、当時の知事が「米作といった1次産品だけでは財政基盤が脆弱だ。だから付加価値を上げるために加工を考えた一般食品もやろう」と、いち早く食品加工に着目したのであります。スタッフ30人弱で、技術職が10名強もいて、企業向けの開放研究室が5室、技術支援、研修、そして情報提供と、いいものをつくるための積極的な、具体的な取り組みをしておりましたし、秋田県自身が職員の研修に熱心で、人材を育成しようという意気込みを持って、秋田大学や秋田県立大学の力もかりて健康強調表示ができる特定保健用食品を取得していこうという明確な意図を感じました。
 次に、新潟県でありますが、ここも水田とコシヒカリにずっと頼ってきた体質があったのですが、昭和33年4月には、農産物の利用加工と食品産業をということで新潟県食品研究所が設立されたのであります。平成9年4月に今の食品研究センターとなり、同12年に産学官連携ということで3室の企業向け開放研究室がつくられました。見事なくらい食品加工プラント機器類が設備されており、目の前で企業が実地研修に取り組んでおりました。代表的なのが、「サトウの切り餅」で有名な佐藤食品工業や、「柿の種」やあられの亀田製菓であります。
 また、興味深かったのが、柿渋液でラーメンのめんを製造、商品化して好評を博しているということであります。柿渋液に含まれるポリフェノールがたんぱく質とくっつく特性を利用して、ビタミンCを添加して、腰の強い延びにくいラーメンを開発したのです。早速、御紹介いただいた新潟駅前の店でおいしいしこしこめんを食べてまいりました。おいしかった。和歌山県が先にお株を奪われたようなものであります。
 今や、新潟県には1000社、売り上げ6300億円強の食品加工産業の集積があります。昨年来、韓国、タイなど東南アジアからの視察も多く、米粉の特許を使わせてほしいそうです。
 最後に、新潟大学地域連携フードサイエンス・センターでありますが、平成16年に大学が独立法人化され、何か地域貢献、社会貢献をということで、農学部が音頭をとって、工学部、そして医学に比べて危機感のあった健康志向の歯学部、それに教育学部、最後に医学部が入って、大学の組織の中でバーチャルなフードサイエンス・センターがスタートしました。産学官のイベント開催などで手持ちのシーズ発信から始めてみると、各学部にとっても新鮮な刺激となり、相乗効果を生み出し、翌年から活動資金ももらって、県の新潟県産業創造機構も協力して企業を30社集めてくれたようです。競争的研究資金も獲得できるようになり、震災時に食品メーカー自体が被災したこともあって、非常食、災害食の研究も進んでいます。あのブルボンも、おいしい乾パンをつくっています。
 今後、センターとして、大学の教育的なところに特化して、企業の中堅社員を強化するための社会人教育も行って、人材育成、そして横断的な総合的大学院をつくっていこうとしています。
 県はもちろん、政令指定都市となった新潟市とも連携し、3年前から食と花の世界フォーラムを国際会議と国際見本市と抱き合わせで開催しています。多くの食品企業と県食品研究センター、そして大学のフードサイエンス・センターがうまくリンクされれば、食品王国新潟県がこれからも飛躍的に発展するのではないか、そして和歌山県も大いに学ぶところがあるのではないかと痛感いたしました。
 そこで質問ですが、1つ、このたび県は、新年度予算に、おかげさまで県工業技術センターに(仮称)食品開発室を設置いただくということであります。もともと定員4名の生活産業部の食品工学担当がいらっしゃいますが、この際、スタッフを増強して、付加価値の高い機能性食品の開発を実施して、新食品産業を創出していただきたいと大いに期待するものです。
 それには、農水のものづくりと商工のものづくり、このリンクさせた取り組みが欠かせません。ぜひ技術者、研究者といった専門家をトップとした、まさに先述の新潟大学で各学部横断的につくられたフードサイエンス・センターのようなものを、この食品研究室を核にして、県、そして県農林水産総合技術センターなどの試験研究機関、県内各大学、そして企業とともにつくっていってほしいと思いますが、いかがですか。あわせて、この食品開発室をどう発展させていくのか知事にお伺いします。
 2番目、例えば「体脂肪が気になる方のためのお茶」とかいった健康への効用を表示することが認められた食品、すなわち特定保健用食品、題して「特保」ですが、今般の新長期総合計画にも「特定保健用食品の認定も視野に入れた機能性食品等の研究開発に取り組む」と初めてうたわれております。和歌山県においても、ぜひ本県の恵まれた農水産物資源から幾つか「特保」を生み出していただきたい、いや、必ず生み出せると思うんですが、このいわゆる「特保」を取得していく取り組みもこの食品開発室の大きな役割と考えてもよろしいでしょうか。知事、御答弁ください。
  〔議長退席、副議長着席〕
 3番目に、和歌山県立医科大学も独立法人化しております。今後、和歌山県のアグリビジネスの発展のためには、健康学、健康食といった分野で和歌山県立医科大学の参画は欠かせないのではないでしょうか。知事、公立・私立を問わず県下各大学に号令をかけてください。新産業創出のために産学官民を束ねられるのは知事しかいません。ぜひよろしくお願いいたしまして、現段階、要望させていただきます。
 2番目に、和歌山県の救急医療体制についてであります。
 最近、救急搬送の患者が病院に受け入れを拒否されて死亡に至るケースが全国各地で続発して後を絶ちません。一昨年8月には、32歳の妊婦が奈良県で救急搬送を19カ所断られて死亡、昨年8月には、奈良県橿原市で38歳の妊婦が延べ12回の照会をかけたが、病院に受け入れを断られ、救急車内で死産という事件もありました。大阪府では、大阪市の男性が、近隣の病院を含めて何と39回拒否された末、ようやく見つかった病院に到着後に死亡しました。
 大阪府医療対策課によると、昨年、重症患者の搬送で1回以上受け入れを拒否されたのは約3200件、拒否の理由で最も多いのが満床で617件、手術中か患者の対応中が421件、処置が難しいが362件、専門外が175件、医師不足が53件だったそうです。
 また、2月25日付「朝日新聞」朝刊によると、大阪府の救命救急センターが満床で重篤患者の受け入れが不能になる事態を避けようと、入院患者の転院先、空きベッドの確保のため躍起になっているようで、朝9時に2~3人の救命救急センターの医師がタウンページ片手に、あ行から順に病院に電話をかけまくっているというのであります。
 病院の医療機関の病床数は、96年の191万床から06年は179万床に減少、一方、救急搬送される患者は324万人から489万人に急増しているのです。冬場は、特に病床の確保が難しいようです。全国都道府県には救急医療情報システムがあって、病院の受け入れ状況がパソコンで示されるようになっています。京都府では、本年2月末現在で、搬送中に死亡したケースはありませんでしたが、重症患者のたらい回しは1割超あるようで、府消防室によれば、京都府救急医療情報システムはリアルタイムの更新に限界があるといい、的確な病院を選定するには、システムの改良や消防と病院が日ごろから連絡を密にとるしかないと言っています。
 また、兵庫県で昨年、姫路市の男性が救急搬送の受け入れを17病院に断られ死亡した事件がありました。17病院に拒否された際、姫路市消防局は、病院側に空きベッドの状況や診療科目などを入力してもらう広域災害・救急医療情報システムで空床の病院に問い合わせましたが、既に状況が変化していました。システムは、情報の更新が毎日朝と夕の2回だけで、緊急時に有効していなかったということです。今後、満床になるなど状況の変化に伴い随時更新するよう、各病院に県から要請したとのことです。
 そこで、質問に移りますが、1つ目、和歌山県救急医療情報センターは、現在、県防災センターの2階にあります。和歌山県救急医療情報システムは、昭和57年5月に運用を開始し、県内262カ所の医療機関に端末機を設置して、医療機関から随時応需状況を登録してもらって、救急患者発生時、緊急の場合並びに県民からの問い合わせに対し、救急医療情報センター及び県内22消防機関に設置されている医療端末装置で即座に情報を取り出し、救急患者などを迅速かつ的確に医療機関に案内することを目的として24時間体制となっております。
 しかるに、県救急医療情報センターでは、絶えず正確な情報提供ができるような進行管理はなされていますか。医療端末が設置されている救急告示病院が、絶えず情報更新を徹底すべく指導をなさっているのでしょうか。県下各市町村消防にとっても当センターは情報の発信源でありますが、センター運営の予算措置はどうなっているのでしょうか。福祉保健部長にお伺いいたします。
 2番目、救急車による出動件数、搬送人数は年々増加の一途をたどっております。平成18年で出動件数4万5466件、搬送人員は4万3606人で、前年比約2.3%増、平成9年に比べると約1.5倍もの数に上っています。限りある救急車台数であるので、出動件数が多くなると、どうしても救急車の現場到着も遅くなり、一刻を争う重症患者の患者搬送に支障が出かねない状況であります。
 救急出動の中には、緊急性が低いのにタクシーがわりに救急車を要請するケースも少なくないと聞いております。利用者も、症状が軽い場合は、自分で最寄りの医院や病院へ行ったり、早目の診療を受けるなどして救急車の適正運用に理解、協力していかなければなりません。病院においても、救急車で運ばれてきた人も、病院で診療を待っている人も、同じ患者の立場でトリアージしていく受け入れ側の意識も重要であります。
 県として、救急車の適正利用について、どのように啓発を行っていますか。また、全国的に現在有料の民間搬送事業者もできておりますが、低所得者にも配慮し、かつ高齢化、核家族化のあおりを受けた独居老人などに対する弱者対策も必要であります。今後の救急車での搬送について、県の方針を危機管理監にお尋ねします。
 3番目、全国的な傾向でありますが、救急告示病院を初めとする2次救急医療機関が減少してきております。本県においても、救急告示病院を撤回する病院も出てきているとお聞きしております。本県における救急医療体制の中で、病院群輪番制や救急告示医療機関体制は、問題なく適切に機能、活用されているのでしょうか。福祉保健部長にお伺いいたします。
 4番目、大阪府を初め他府県において、救急搬送のたらい回しの報道が増加の一途をたどる中、和歌山県下においては、幸い今は問題が起こっていませんが、絶対安心はしていられないと思います。救急車の呼び出し件数は増加傾向で、いつか消防もパンクするかもしれません。そして、受け皿たるべき救急告示病院は減少していく、救急医療現場に携わる人々の心身疲労、それに厚生労働省の看護師1人に患者7人という割合での人材確保が困難な病院も少なくありません。
  〔副議長退席、議長着席〕
 不安な病根は、和歌山県下にもはびこっていないかと思います。相変わらず救急医療においても北高南低の状況であります。他府県のような事態が生じないよう、今こそ将来に向けた安全・安心な救急医療体制をいま一度再整備、再構築していかなければならないと思いますが、いかがですか。救急医療体制の現状把握とあわせて知事にお伺いいたします。
 3点目に、和歌山下津港についてであります。
 去る2月28日、2007年の県内輸出入額が発表されました。輸出額は8年連続でふえ続け、初めて5000億円を超えて5728億円となりました。鉄鋼は、量は減ったものの、アジア中心に輸出額がふえ、他に石油製品、繊維機械等が好調、輸入額は全体の7割を占める原油が価格の高騰を受けており、あとは鉄鉱石等です。
 国では、輸出はアジア向け、特に中国、中東向けが増加し、輸入ではロシアからの原油や鉄鋼がふえているようです。おかげさまで、ガントリークレーンも週1船のコンテナ荷役のほかに鋼管等のばら積み荷役にも利用され、雑賀崎の工業団地に立地された日本石油鋼管株式会社も、輸入主体に3カ月に2船ぐらいのトラフィックがあるようであります。
 先日、港湾関係者の方からお話を伺いましたが、ある荷主の方が「中国から見て和歌山県は決して不便ではない。むしろ魅力もある。それに製品が最終的に日本で完成された場合の『メード・イン・ジャパン』の表示は、他国向けにも大きなブランド力がある。食の安全が問題になって、食品でも日本製というだけで自国のものより重宝がられているのが現状だ」と言われていたそうです。
 また、雑貨等一般コンテナ貨物は、原油高がこたえて厳しい状況だし、中国からの川砂も輸出禁止のあおりを受けて、去年3月に取り扱いが全くなくなっています。コンテナの横持ち輸送、すなわちドレージでも、ゲリラ的な料金でかき回す業者も出てきたりで、港湾関係の景気も殊さらよくない状況であります。
 最近、私も和歌山港を眺めてまいりましたが、ただ1つ、今、和歌山港のヤードには、ピーク時とはいかないまでも木材がいっぱい積まれており、たくさんの労働者が忙しくされており、重機を四方八方に動かしているさまを見て、久しぶりに活気を感じた次第です。
 先月、北米からの輸入材が和歌山港で陸揚げされたようであります。瀬戸内海の港より、大阪、名古屋といった大消費地にも近い利点もあり、もともと木材荷役はお手の物、荷主側も港を1つか2つに絞りたい意向を考えれば、和歌山港も利用促進されれば、木材港としてかつてのように活況も呈してくる可能性もあるのではないかと期待するものであります。休む間も惜しんで、現場担当の方も事務職員も総動員で頑張っておられるのが印象的でありました。
 そこで質問に入りますが、1つ目、今回の新長期総合計画において、前回の長計に比べて、随分港湾施策が意気込みも取り組みも減退したように感じますが、今後、和歌山下津港を本県の発展にとってどう位置づけ、利活用促進を図られるおつもりか、知事にお伺いいたします。
 2番目、スーパー中枢港湾への機能集中という国策もあり、コンテナ貨物の取り扱いには苦戦している和歌山港でありますが、木材港として、ばら積みの在来船の取り扱いとしては昔から定評のあった和歌山港であります。中国との定期航路開設の努力は引き続きお願いをするものでありますが、木材あるいは鋼管を初めとする在来カーゴなら他港に負けないといった特徴のある外貿港湾として、セールスポイントを絞った戦略が重要ではないかと思いますが、県土整備部長、いかがですか。
 3番目、輸出入取り扱いのメーンである和歌山下津港本港区周辺の港湾整備の現況と、今後どのような港湾づくりをされるのか、県土整備部長にお伺いします。
 4番目に、南海本線紀ノ川橋梁についてでありますが、平成15年9月の予算委員会、平成16年の6月議会の一般質問でも取り上げさせていただきました。
 予算委員会では、平成15年に鉄橋建造100年を迎えて、東南海・南海大地震が勃発したときの耐震性、特に津波が襲来したときに持ちこたえられるのかお聞きしたところ、当時の企画部長の答弁で、「会社として平成6年から継続監視を行っている。また、本県の地域防災計画の鉄道施設災害予防計画において、南海電鉄が鉄道施設の地震災害予防のための諸施設の整備を行うとしている。県としても、会社に対して徹底の申し入れを行う」と答弁されました。水中での調査、補修を聞きましたら、企画部長が、「直近では平成13年11月から14年3月まで大規模な詳細調査を行って、これに基づいて必要な補修を行っている。下部工、橋脚の検査については、河床の変動調査と橋脚の衝撃振動調査を実施して、それについては異常がなかったと聞いている」と答えていただきました。
 平成16年6月議会では、「ことし2月27日から3月31日にかけて、南海電鉄において定期検査を実施したところであり、同社から耐震性及び津波の耐久性など安全性については十分確保されているとの報告を受けている」と企画部長から答弁がありました。
 しかし、減価償却資産の耐用年数等に関する省令によると、鉄道用の橋梁は、鉄筋コンクリートづくりのものが年数50年とされています。南海紀ノ川鉄橋は、ことしで105年経過し、金属疲労、ピア(橋脚)の劣化は甚だしいと思います。それに、橋げたの底も実に浅い構造なのです。上流がはんらんして、大木が流れてきて橋脚に激突したらひとたまりもないのではないでしょうか。
 昨年8月には、アメリカにおいて、ミシシッピ川にかかる高速道路橋が崩壊する惨事も発生しました。この橋はわずか築40年であったと聞きます。
 一方、南海の大規模複合商業施設なんばパークスは、平成15年に第1期完成、第2期は平成19年4月にグランドオープンされました。すなわち、南海電鉄は、鉄道会社としての企業経営の第一の理念であるべき大阪府民、和歌山県民を初めとする乗客の命と安全を守ることを放棄し、第二義的な表面的に華やかな商業開発のほうへ貴重な経営資源を突っ込んだのであります。2期オープンの直前、平成19年1月25日には、7つの子会社を取締役会において解散することを決議しております。
 南海和歌山市駅周辺は衰退し、かつてのにぎわいはうせております。乗降客も少なくなっております。以前南海電鉄に勤めておられた運転手OBの方が、「命拾いした」と言っているのです。「もともと4両編成であった電車が8両編成になって、荷重が倍増し、何十年も耐用年数を過ぎた南海鉄橋がいつ崩れるかと、運転しながらいつも冷や冷やしていた」と言うんですね。
 私も、競輪場下からボートで海釣りに出かけるときにこの鉄橋の下を通りますが、何とも古びた、カキ殻のいっぱい付着したれんが橋をいつも眺めては、大丈夫かと素人目に心配をしております。
 実際に橋脚を水中撮影いただいたカラーコピーを入手しております。皆様の手元にお配りしたものであります。ピンクの部分が実際に撮影をしたところで、特徴的なところをこの黄色のマーカーで表示しました。特徴的なところですね。これには剥離、十分見られると思いますし、れんがもかなり崩れてきておりますし、カキもこんなにごぼっとこぶのように付着している状況であります。橋脚に亀裂や破壊は見当たらなかったけれども、上流側のコンクリート側に、こういった5~6センチの剥離が幾つも発見されております。
 私の亡き父は南海電鉄の社員でした。約27年間も南海にお世話になった者です。平成3年に亡くなりましたが、そういえば、「近いうちに南海鉄橋は危ないぞ、崩落事故で県民の多くの命がなくなれへんか」といつも心配しておりました。鉄道会社が乗客の安全を放棄することは、企業としての使命を放棄することに等しいと思います。何も起こらなければ大丈夫では済みません。まして、東南海・南海地震も近々起こる確率が極めて高いのです。県民の命を守るべき行政も、至急厳しく対処すべきであります。大惨事が起こってからでは遅いのです。事前に対応する、これが行政の責務ではないでしょうか。
 2007年3月20日付「読売新聞」に、現静岡文化芸術大学学長川勝平太氏と国土交通省技監谷口博昭氏の対談記事「国土形成計画がスタート」が載っておりました。今までは、国力を上げるため、道路交通網の整備を中心とした全総で国からどう変えていくかという視点でありましたが、これからは大きく変わって国土形成計画になり、国と地方が協働してビジョンづくりを進めるとともに、地域ブロックごとに地域の独自の計画を実行していく時代だと言われています。すなわち、阪神大震災の悲劇を教訓に、地方みずからが自立して地域住民の生命の安全を確保していく時代なのであります。
 知事、県下にあるたくさんの橋のうちの1つのささいな問題と片づけないでください。県民の命を守ってください。ぜひ南海電鉄に強く働きかけて、紀ノ川橋梁の改築を実行させてください。知事に答弁を求めます。
 また、企画部長には、平成15年9月の予算委員会、それに平成16年6月議会の当時の企画部長答弁に間違いはないか、お答えください。
 これで、第1問を終わらしていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、食品加工による新産業創出についてお答え申し上げたいと思います。
 食品加工による新産業創出につきましては、新長期総合計画の中で、産業部材、素材、暮らし、観光とともに5つの重点分野の1つとして取り上げておりまして、その背景には、本県の果樹などの農産物資源の豊富さから食品加工分野に注目しまして、これを先行的に取り組んでまいりたいと考えております。
 最近、国におきましても、地域資源活用とか、あるいは農商工連携とか、そういうものがキーワードとなっておりまして、さまざまな施策が展開しつつあります。
 当県におきましても、このような動きは結構ございまして、例えばきのう、坂本県議からも御発言がありましたように、梅の機能性研究講座を和歌山県立医大につくるとか、あるいは柿酢を一緒に研究するとか、それから国の研究資金を持ってまいりまして、それでアグリバイオ、これの研究をみんなでやるとか、そういうことについても取り組んでまいりました。ただ、明確な意識、意図というふうに御発言がありましたが、そういうものをさらに明確にして、そういう意味で長計に書いて、新政策でも大いに取り上げて、今後頑張っていきたいと思っております。
 で、その1つが本県におきます、新年度からの工業技術センターに食品開発室を置きまして、農林分野とものづくりとの融合を目指す、それから健康ブームや高級志向に対応した機能性食品や食品素材などの新たな分野への研究開発に取り組むということをやろうとしているところでございます。特に、ここには少しお金をつけまして、なけなしのお金をはたきまして、特にその研究資材、これを装備しておく。我が工業技術センターは、和歌山県の中小企業の方々が大いに利用するという意味で大変すぐれた、他県に比べても自慢できるような、そういう存在であると思います。その中小企業者の方が、これから特に重点になっていくような商品、食品加工分野で十分な共同研究ができるように、なけなしと申し上げましたが、予算をつけさしていただいたということでございます。
 今後、具体的なそのほかの共同研究といたしましても、和歌山県立医科大学あるいは和歌山大学、近畿大学などの県内の大学を初め関連企業、農協、食品研究機関等と協同して、新たな食品産業の創設に向け取り組んでまいりたいと思っております。
 2点目の特定保健用食品についてでございます。
 これにつきましては、県では平成17年度から和歌山県立医大と連携し、柿酢の機能性についてモニター調査を実施し、血圧の低下をもたらす可能性があるという報告がなされております。また、これにつきましても、幾つかの企業で既に幾つかの商品を出して全国に売り出していると、あるいはプロモーションをかけているというような動きもございます。
 議員御指摘のように、「特保」も視野に入れた検討を行ってまいりたいと思いますし、また、民間の企業にも大いに頑張っていただきまして、「特保」につきまして、医学的あるいは栄養学的な見地から多くの試験データの蓄積をしていくということをやっていきたいと思っております。それによりまして、この「特保」みたいな機能性食品工業がどんどん盛んになるということを期待していきたいと思います。
 食品開発室、これは工業技術センターの食品開発室におきまして、産学官の連携を推進する中で、新たな食品産業の形成や、こうした企業の「特保」取得の取り組みを積極的に推進してまいりたいと思います。
 次に、和歌山県の緊急医療体制でございます。
 これにつきましては、本県の救急医療体制は、地域の拠点病院を中心に、救急救命センターである日赤医療センター、それから和歌山県立医大という大御所が2つ、後ろに控えている、こういう体制で救急患者を受け入れる体制を確保しておりまして、幸い、他県で発生しているようないろんな問題は和歌山県には発生していないと思います。ただ、これはひとえに県内の医療従事者、特に病院に勤めておられる方々の献身的な御努力、御尽力によるものと感謝しているとともに、この方々の努力だけではいかんというふうにも思っているところでございます。
 近年、医師不足や軽症の疾病者が2次、3次の救急医療に集中化してくるということが御指摘されておりましたが、そうした機関の負担が大きくなり過ぎると、今後の救急医療体制の適切な確保が懸念されるところでございます。県といたしましては、病状等に応じた適切な受診をしていただくなど、県民に救急医療に対する御理解と御協力をいただくとともに、救急医療機関と緊密な連携をとりながら、診療体制を堅持し、救急医療体制を確保してまいります。
 幸いといいますか、このような努力の一環で、私ども「新宮モデル」と言っておりますけれども、開業医の方々と病院が協力して、少しでも病院の勤務医の宿直とか、そういうのを減らしていこうというような試みもできてまいりました。それから、この動きは田辺にもありまして、小児科でみんなで協力して何とか守り立てようと、こういうような動きも出てきております。お医者さん、あるいは看護師の方、こういう方の献身のみに甘えるということなく、県としてもあらゆる努力をしてまいりたいと考えております。
 それから、和歌山下津港でございます。
 和歌山下津港は、年間4600万トンの貨物を取り扱う本県最大の港湾であり、和歌山市、海南市を初めとする紀北地域の産業の発展に今後とも重要な役割を果たしていくものと考えております。このため、陸上高速交通網と連携した効率的な物流機能を整備するという前計画の理念を引き継ぎ、今後とも港湾の利便性向上に資する施設整備を進めていく考えであります。
 また、和歌山下津港のみならず、他港も含めて、議員御指摘のような、ばら積みにもその可能性を探ってまいりたいと思いますし、また、その積む荷物のもとになるような、そういう産業を振興して、それでまた、その産業振興で出てきた産業の方に和歌山の港を使っていただくということもまたお願いをし、これを前提にして国際コンテナ航路を誘致したり、あるいは、これは別の観点からですが、クルーズ客船に寄港してもらうように働きかけたり、いろいろな方策を通じてポートセールスに努力し、頑張ってまいりたいと思っております。
 それから次に、南海本線の紀ノ川橋梁についてでございます。
 私も、もちろん県民の命と安全にかかわる、これは大変重要なことであると考えております。
 南海電鉄からは、東南海・南海地震などの地震対応について、平成16年から17年に橋脚の耐震性能評価を実施し、橋脚の安全性が確保できる結果が得られ、あわせて平成18年10月には、震度5弱以上の地震が到達する前には車両の停止を指示するような、あるいは橋から出てもらうというような緊急地震速報システムを導入したという報告は受けております。
 しかしながら、議員御指摘の趣旨を踏まえ、今後とも南海電鉄に対して、安全性は確保する、徹底するというふうに強く申し入れを行ってまいりたいと考えております。
○議長(中村裕一君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 県救急医療情報センターについてお答え申し上げます。
 和歌山県救急医療情報センターにおきましては、和歌山県広域災害・救急医療情報システムの管理運営業務を行っておりまして、救急等に関する医療機関の空床情報等を消防機関や医療機関等に情報システムを通じて適切に提供するとともに、県民からの問い合わせに対しましても情報案内を行ってございます。
 県救急医療情報システムによる空床情報等の正確な情報提供につきましては、情報の更新されていない医療機関に対しまして、1日2回の督促メールにより情報更新を促すとともに、情報システムに登録している医療機関に対して、救急医療に対応できる状況を常時把握するとともに、状況が変わり次第、速やかに情報更新を行うよう依頼を行ってございます。
 また、県救急医療情報センター運営の予算措置につきましては、国、県及び市町村の負担により、平成20年度当初予算案では1億1584万4000円となってございます。
 次に、病院群輪番制と救急告示医療機関体制についてでございますが、入院治療を必要とする患者を対象とした2次救急医療を担う救急告示医療機関及び病院群輪番制病院の役割は非常に重要であると認識してございます。市町村や関係機関の連携のもと、こうした救急医療制度を効果的に活用するなどにより、県内の2次救急医療体制を確保しているとこでございます。
 議員御指摘のとおり、本県におきましても救急告示を撤回する医療機関はございますが、それぞれの保健医療圏における医療機関間の連携や御協力により、現在のところ、救急患者の受け入れに関して支障が生じていないものと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 危機管理監杉本雅嗣君。
  〔杉本雅嗣君、登壇〕
○危機管理監(杉本雅嗣君) 救急車搬送の適正利用についての御質問にお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、救急車による出動件数は年々増加しておりまして、現場到着時間が徐々に遅延する傾向にございます。このような状態が続けば、救命率に影響が出るおそれがあります。
 このため、従来から市町村消防本部などと連携いたしまして、「県民の友」や市町村の広報紙などを通じて、急を要しない場合の通報は救急活動の支障となりますので、タクシーや公共交通機関など他の手段を御利用いただくよう、救急車の適正な利用を啓発しているところでございます。
 県といたしましては、真に緊急を要する方がすぐに救急車を利用できる救急体制が必要と考えておりまして、病院情報提供サービスや利用者の理解を前提とした民間の患者等搬送事業の活用など、適切な救急体制の確立に向け、市町村に対し指導、助言を行ってまいります。
○議長(中村裕一君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) まず、和歌山下津港のポイントを絞った利活用促進戦略についてでございます。
 県におきましては、現在、中国航路も視野に入れた和歌山下津港への新たな国際コンテナ航路の誘致に向けて貨物需要を掘り起こすなど努力をしているところではありますが、議員御提案の在来カーゴを特徴とする外貿港湾としてセールスすることも和歌山下津港の発展につながるものと考えております。
 今後とも、御指摘の点も踏まえまして、港湾施設の整備に加えまして、背後圏に立地する企業へのポートセールス、それからPRに引き続き努めてまいりたいと思います。
 次に、和歌山下津港の港湾整備の現況、それから今後の港湾づくりについてでございます。
 和歌山下津港本港区周辺では、大型船舶に対応しました水深12メートルの岸壁2バースやコンテナクレーンなど、効率的な国際海上輸送に対応した施設が整備されております。今後、これらの施設をより有効に活用していくために、臨港道路、防波堤などの整備により、港湾の利便性の向上に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 企画部長森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○企画部長(森 崇君) 南海本線紀ノ川鉄橋についてでございますが、平成15年9月予算委員会及び平成16年6月議会での当時の企画部長答弁につきましては、私も改めて確認をいたしましたが、いずれもそのとおりでございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 36番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 御答弁いただきました。
 食品加工については、ぜひ和歌山県ならではの、さしずめ紀の国フードサイエンス・センターといったものに発展できるよう、今後の食品開発室の発展、充実に期待いたします。
 救急医療体制については、救命救急センターといった3次救急医療機関に過大な負担がかからないよう、2次救急医療体制の充実とチェックを要望いたします。
 南海紀ノ川鉄橋の件で再質問をさせていただきます。
 1つ目、平成15年9月議会予算委員会での企画部長答弁の中にある補修というのは、どんな工事でしたか、どの程度の補強をしたのですか、具体的にお示しください。
 2番目、平成12年後半には、既に南海電鉄の内部的な意思決定機関で2億円ぐらいの必要な補修を決定していると聞いておりますが、事実でしょうか。
 3番目、補修を行うということは、南海電鉄も紀ノ川鉄橋の改築の必要性を認識しているからだと思います。補修を行ったのは、企画部長の答弁によれば平成14年ごろになると思うのですが、その前に橋梁の改築の話が南海側から、あるいは河川管理者たる当時の建設省から県側へ説明がありませんでしたか。
 4番目、県側への改築説明が、もしないというのなら、県から会社へ紀ノ川橋梁の改築計画があったかどうか事実関係を問い合わせてみてください。運輸事業というのは、所轄官庁の監督下にあるものです。南海電鉄内部で紀ノ川橋梁の改築を決定していたのかどうか、行政には調査する責務があると思います。
 私が議政壇上でお尋ねするからには、確固たるものを持って申しております。私の手元にある文書、平成12年12月20日付、南海電鉄鉄道営業本部より南海の関係各社へ、「南海本線紀ノ川橋梁の改築計画について(報告)」という文書が送られているではありませんか。その中に、「耐震性に欠けた橋梁であり南海道地震の再現周期も近づいていることから、平成10年7月22日付け常務会において、全面改築の方針で詳細設計の実施と河川協議の開始を進めること」を決定いただいたとあります。平成10年には、会社側は耐震性に問題ありと認めて改築しようと決定してるんですよ。
 続けて、「本事業の実施は、工事規模・費用ともに大きく、経営収支に及ぼす影響が懸念されることから、『事業内容の精査による費用最小となる工事計画』『公的補助・助成金の適用』『可能な限りの延命化』等を主眼とし、その後、社内関係先ならびに河川管理者等と検討・協議を行いました」と続きます。「今回、改築計画の概略がまとまりましたので、本案により実施設計及び許認可申請準備等を引き続き実施いたしたい」とうたっております。
 工事計画では、まず工事方式として、「現下り線を単線運行で使用し、現上り線と計画上り線とが同位置となる、新橋梁を築造する」とあり、スケジュールは、工事開始が平成17年度ごろ、新橋梁切りかえが平成22年度ごろという明確な計画がうたわれているのです。本来なら、遅くてももう改築工事にかかっている時期なんですよ。
 そして、新橋梁へのかけかえまでの延命対策として、「より適切な検査・診断と時機を逸しない最小必要限度の補修を行うことで、延命化を図ることといたしたい。なお、補修概算総額は周期塗装を含め約2億円程度必要である」と、ここに書いてあるんですね。
 その当時、鉄道営業本部の統括部長をされていたのが亘現社長であり、鉄道営業本部の施設部長をされていたのが現常務で現鉄道営業本部長の山部氏であります。当時、橋梁改築の重要性を力説されたまさに当事者が、今、会社の中核を担っているわけであります。県から南海へ強く抗議してもいいと思うんです。
 この内部文書を見ますと、平成15年、16年の私の質問に対する当局の答弁は、不誠実、偽りになるのではないですか。平成10年7月22日付で全面改築の方針が打ち出されていること、平成12年12月20日に改築計画が配布されているということは、それ以前に調査をして認識しているはずであります。県にも、当然、改築に当たっての相談があったはずです。それなのに、平成13年から14年に調査、補修をしたとだけ答弁しているのは、その時間的なずれをどう説明するのですか。納得できません。企画部長、お答えください。(拍手)
○議長(中村裕一君) 企画部長森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○企画部長(森 崇君) 再質問にお答えいたします。
 まず、1番目の補修工事の中身でございます。
 15年9月の予算委員会での企画部長答弁に関してでございますけども、このとき、平成13年11月から14年3月にかけて大規模な詳細調査を実施──南海電車がですね──しております。これについて、上部工についても下部工についても検査をし、それに対して必要な補修工事、ボルトの交換とかそういうことを行っております。
 それから、2番目の平成12年、内部での問題につきましては、私は承知しておりません。
 それから、3番目の問題についても、認識しているんではないかというような問題につきましても、承知しておりません。
 それから、4番目の、やはり県から会社へ言うべきではないかということにつきましては、実は鉄道事業者の施設に関して、法的に県が権限を有しておりません。しかし、先ほども知事申し上げましたように、県民の安全・安心にかかわる問題でございますから、南海電鉄から引き続き情報収集をしたいというふうに思ってございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再々質問を許します。
 36番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 答弁いただきました。まあ、ボルトの交換ぐらいですかね。
 私は、高松に住んでおりますので、どちらかというと、大阪へ行くのに、JR和歌山駅よりも、おやじが勤めとった南海の市駅を利用することが多い。今でも南海電鉄ファンです。南海が嫌いだから、憎いから申しているのではありません。県民の命にかかわる問題だから言うのであります。
 あいまいな県の答弁、南海側の県当局への回答を総合しますと、納得できない。ぜひ調査する必要があります。質問を留保して、県議会へ特別委員会を設置して、なお詳細を県議会の問題として調査する必要があると思います。後刻、議長、会派から申し入れをさしていただきたいと思います。
 府県間道路が大事なように、南海本線も和歌山県と大阪府をつなぐ和歌山県民にとってはなくてはならない交通手段であります。ぜひ前向きに県が、そして県議会が全体の問題として対処していくよう要望さしていただいて、時間がありませんので、本日は降壇さしていただきます。(拍手)
○議長(中村裕一君) 以上で、長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時48分休憩
────────────────────
  午後1時1分再開
○副議長(新島 雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 26番角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕(拍手)
○角田秀樹君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 本日で、当初の議案に対する質問も4日目、13人目でございまして、質問内容につきましては一部重複するところもあろうかと思いますけれども、どうかよろしくお願いを申し上げます。
 まず初めに、1月18日より第169回通常国会で次年度予算が審議されております。特に、道路特定財源の取り扱いについては、本県においても大変重要なことであり、県民ニーズを踏まえ、年度内での成立を願うものでございます。
 仮に道路特定財源諸税の暫定税率など延長されない場合は、県及び市町村の税収が大幅に減少することはもちろんのこと、地方道路整備臨時交付金が廃止となり、道路整備に大きな支障が生じることはもちろん、地方財政が危機的状況に直面することは必然であると思われます。特に、道路特定財源が過去の道路整備の起債償還に充当されていることを勘案すれば、一般財源からの充当を行う必要があり、借入金返済のためのさらなる借り入れという事態や一般財源にも影響を及ぼす上から、福祉や教育といった財源にも圧迫する危機的事態も想定されると危惧するものであります。
 平成15年以来、地方交付税が減額される中、今後の地方自治体の安定的財政運営の確保をすることが最重要であると思います。知事の御見解をお伺いいたします。
 次に、市町村合併と地方行政の今後の見通しについてでありますが、新長期総合計画に関連してお伺いをいたします。
 初めに、今後の地方分権について。
 地方分権改革は、平成12年の地方分権一括法施行後、平成15年の三位一体改革により進められてきました。こういった情勢の中、本県では、50市町村の自治体が現在では9市20町1村の30市町村に再編され、県からの権限移譲事務も、平成19年4月の時点で34法令及び13条例、事務数では238に及んでおります。今後、それぞれの自治体が地域ごとの主体性と個性と特色ある行政執行に期待を寄せるものであります。
 新長期総合計画の地方分権や市町村合併の進展の項目に、税財政面では、地方における税財源の格差是正を図るため、地方消費税の拡充など偏在の少ない地方税体系を構築するよう制度改革が急務とし、本県及び県下市町村は、その財源を地方交付税に大きく依存している状況の中では、所要の地方交付税の総額確保が重要であり、平成の大合併を進める目的の大きな1つに、実は地方の財政基盤の強化があるとされておりました。合併した自治体の財政力はどのように変化してきたのか、また権限移譲についても今後どのような状況なのか、ひとつ総務部長にお伺いをいたします。
 また、田辺市のように、1市2町2村の合併で、面積では近畿で一番大きな自治体ができ上がりました。それぞれ合併後の住民が抱える課題についての分析と2次合併に向けた対策について、これも総務部長にお伺いをいたします。
 次に、各自治体と県との住民への行政サービスを行う上で大変重要な役割を果たしてきました各振興局体制のあり方についてお伺いをいたします。
 本庁の出先機関として、現在、県下に7つの振興局がございます。地方の広域行政のかなめとしてその役割を担ってきたと思いますが、町村合併が進む中、行財政改革をまた遂行する観点から、現行の振興局体制について、知事の御所見をお伺いいたします。
 さらに、本県の人口減少の諸問題について幾つかお伺いをいたします。
 直近の平成17年度の国勢調査では、本県の人口は103万5969人と、過去5カ年で全国ワースト2位となる急速な人口減少となっております。昭和60年をピークとして、人口の減少がとまらないのが現状であります。一昨年の平成18年には7930人と減少したことは、まことに憂慮すべき事態であると思います。
 さらに、人口減少傾向は、本県の経済活動の根幹をなす個人消費に直結したことでもあり、将来に大きな不安を抱くものであります。
 さて、昨年、法律が成立いたしました企業立地促進法に基づき、現在、知事が先頭になって企業立地を推し進めている紀ノ川企業集積ベルト地帯構想にも影響を及ぼしかねないと思う次第でございます。
 本年1月9日に開催されました平成19年度第2回和歌山県地域産業活性化協議会の報告書の基本計画によりますと、平成17年の工業統計調査による集積業種全体の付加価値額3675億円を、平成24年に15%向上させ4227億円とすることを数値目標と定めてあります。それには、産業資本、すなわち人、物、金、わざ等の流入促進が必然であるとも指摘されておりました。すべての物事の成り立ちは、まず人であると思う次第でございます。よい環境に人が集まり、産業が発展し、また、文化も向上していくのではないでしょうか。
 そこで危惧するのは、今後も現在のように人口減少が続くと、地域活性力にも影響を与えかねないと思われますが、知事の基本的なお考えをお伺いいたします。
 また一方、県は各関係機関と連携し、人口転出への歯どめを最重要課題であると位置づけをし、地域経済基盤の構築を目指し、若年層を中心とした人口流出の抑制や、U・J・Iターンによる転入にも積極的に取り組まれております。今後の人口増加への見通しについて、知事にあわせてお伺いをいたします。
 また、多くの企業が本県に拠点を置き事業展開を図るとき、人材確保といった問題が生じてくると思われますが、知事にお伺いをいたします。
 続いて、本県の出生率につきまして、本県も全国的な推移と同様で減少をしております。
 今年度予算に、少子化対策の強化として紀州3人っこ施策の予算が計上されております。3人以上の子供を産み育てようとする家庭に対する経済的負担を軽減するため、平成20年度より新たに3歳未満児の保育料を無料化、また、就学前児童の一時預かり等の利用料助成や、3人目を出産する際の妊婦一般健診費の原則無料化は継続するといった内容でございます。安心して子供を産み育てられる環境の整備と女性の就業環境の整備を進める上で、大変喜べる制度であると評価するところであります。今後の拡充策と各市町村への働きについて、福祉保健部長にお伺いをいたします。
 次に、県民の健康についてお伺いをいたします。
 初めに、大きく社会問題となっています肝炎対策についてお伺いいたします。
 我が国において、国民病とも言われる多くのウイルス性肝炎の患者がおられます。感染経緯についてはさまざまではありますが、その大半が輸血やフィブリノゲンを初めとする血液製剤の投与、予防接種による針、筒の不交換などの不潔な医療行為による感染、すなわち医原性によるものと言われております。
 B型肝炎については、集団予防接種によるB型ウイルス感染被害者が国を被告として損害賠償を求めた訴訟の最高裁判決が昨年6月に言い渡され、国の行政責任が確定いたしました。
 また、C型肝炎についても、血液製剤の投与によるC型肝炎ウイルス感染被害者が国と製薬企業を被告として損害賠償を求めた薬害肝炎訴訟の大阪地裁判決が同6月に、福岡地裁判決も同8月に、いずれも国の行政責任と製薬企業の不法行為責任を認めた判決を言い渡したのであります。
 司法の場で、ウイルス性肝炎の医原性について、国の施策の過ちが明確に認定されたわけであります。
 一方、国においても、一連の判決を重要視し、議員立法にて本年1月8日に衆院、そして1月11日に参院で、それぞれ全会派一致で救済法が可決いたしました。そして、薬害C型肝炎の被害者を救済する特別措置法が1月16日に施行されたわけでございます。その前日には、同訴訟の原告団と国との間で和解の枠組みをまとめた基本合意書が交わされました。それを受け、2002年10月から全国10カ所の裁判所で続けていた訴訟は、本年の2月4日から順次和解、そしてまた成立し始めました。
 この法律は、汚染された特定血液製剤を投与されC型肝炎に感染した患者、相続人に対し、症状に応じた給付金を支給することなどが柱となっております。具体的には、肝硬変、肝がん、死亡の場合は4000万円、慢性肝炎には2000万円、未発症の感染者には1200万円が支払われる法律であります。給付金の請求期間は、法施行から原則5年間ではありますが、10年以内に症状が進行した場合、医師の診断書を提示することで追加の給付金が受けられます。投与や因果関係の有無、症状については、カルテなどをもとに裁判所が認定していくが、既に廃棄されているケースも多いことから、カルテ以外にも医師や本人の証言なども考慮して、幅広く救済を行う予定であるということであります。
 薬害肝炎問題につきましては、我が党も、いち早く一律救済を主張してまいりました。昨年12月19日には、福田総理に直談判も行ったところでございます。それを受け、福田総理は23日、議員立法による救済を決断し、実現に至ったわけでございます。
 最初の提訴から5年余りを経て、訴訟はこれで一区切りの体をなしたと言えますが、今後は、インターフェロンの治療費助成を機縁にして、訴訟の外にいる被害者のための救済が不可欠となってきます。国として製薬製造の承認を行った以上、当然のことであり、それが行政の責務であります。
 新聞報道によりますと、今回の原告以外の薬害肝炎の被害者は、三菱ウェルファーマ──旧ミドリ十字社でございますが──2002年3月、厚生労働省に提出した報告書によりますと、血液製剤フィブリノゲンの場合、1980年以降、01年12月末まで、約28万3000人に投与され、このうち約1万600人が肝炎に感染したと推計されております。しかしながら、年月の経過とともに、カルテなどの証拠文書が破棄されているケースも多く、投与を証明できる患者は一部と見られると言われております。
 厚生労働省は、04年12月、80年以降にフィブリノゲンを購入した全国6611医療機関を公表いたしました。本県においても、和歌山県立医科大学附属病院を含み96医療機関が公表されております。
 当初、投与期間は平成6年以前の約30年間、このうち何人がC型肝炎に感染したかは不明ということで、医療機関から事実を伝えられた人は41%の3632人にとどまっております。しかし、2月15日の報道によりますと、厚生労働省は、これまで血液製剤フィブリノゲン投与の事実が確認された患者数は全国で8896人に上ると発表いたしました。2月29日には、血液製剤の購入医療機関1757施設でカルテなど投与当時の資料が残っており、9176人への投与が確認されたとの新たな情報が報道されました。
 前回の調査では患者数までは確認しておらず、厚生労働大臣は記者会見で、きちんと調べていれば患者数がわかったはずと同省の対応の不十分さを指摘いたしました。
 今回判明した患者に対し、医療機関を通じ、ウイルス検査を呼びかける考えを明らかにし、前回の調査結果で投与が確認されたにもかかわらず本人に伝えていない理由として、投与後に死亡1711人(19%)、連絡先不明が1696人(19%)、その他が1857人(21%)。保存されていた資料の内訳は、手術記録や出産記録1288カ所、カルテ1213カ所、処方せん116カ所でありました。
 調査については、被害者の立場に立って、今後とも対応を丁寧にしていただきたいものであるということを訴えておきます。
 一方、私どもにも複数の方から現在問い合わせがございます。
 例えば、御坊市にお住まいの女性の方は、結婚をいたしまして御坊市に在住、そして昭和59年に出産のため出身地の鳥取県は八頭郡智頭町の病院で治療を受けました。そのとき、輸血が必要となり、止血剤として投与されたようであります。以降、本人はその内容につきましてはわからず、46歳のときに子宮がんで和歌山労災病院に入院、手術のため検査を受けた際に初めてC型肝炎であると診断をされました。その後、現在に至り、インターフェロン治療で病気と闘っておられます。もとの肝臓にはなれないけれども、今はその治療方法しかない、時間と体力と気力で頑張っていきますと、こういうふうにもおっしゃっておりました。
 また、和歌山市内の男性のケースは、地元の県立医大で昭和61年に手術を受け、約3カ月間入院、昭和62年の約1年間のしばらくの間、医大に通院をいたしました。その男性の方は、医大に対し、入院時のカルテの開示を求めております。初診時と通院時のカルテはあるが、入院手術のカルテがないということであります。私もそのお話をお聞きいたしましたが、いかんせん納得いかないというふうに思う次第でございます。その男性は、この2月の後半に肝臓がんの手術のために、県外の別の医療機関にて治療を現在受けているところであります。
 今後は、こういったことが大いに想定されるところから、県としての今後の対応策についてお伺いをいたします。
 第1点は、県として、患者支援の立場から、専門の相談窓口を設置し、関係機関とともに情報の共有を図りながら迅速な対応が必要であると思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 第2点は、肝炎患者の多くは自覚症状が余りなく、発症と同時に重症的な事態に陥ることが危惧されます。現在の検査体制と今後の取り組みについて、福祉保健部長にお伺いをいたします。
 第3点は、新年度予算で、肝炎対策として、経済的な負担を軽減するとともに、治療を効果的に促進するため、インターフェロン治療に要する医療費の助成やウイルス検査のための予算が計上されております。現在、県下の患者数及び今後の検査対象について、福祉保健部長にお伺いをいたします。
 第4点は、去る2月の19日、我が公明党県議団といたしまして申し入れをさせていただきました肝炎対策について、県下30市町村との情報提供も含めた協議会設置が必要と思いますが、福祉保健部長のお考えをお伺いいたします。
 次に、かねてより心配されております鳥インフルエンザについての対応をお伺いいたします。
 近年、家禽の高病原性鳥インフルエンザが世界的に流行している現況から、我が国は本年1月25日現在、55カ国・地域からの輸入を制限しております。そういった中、新型インフルエンザの発生に備えた対応が世界的に急務となってきております。
 一方、国連環境計画の移動性野生動物の種の保全に関する条約、事務局長のロバート・ヘップワース氏は、このほど国連大学で高病原性の鳥インフルエンザ、いわゆるH5N1の流行がおさまらない状況について、「最大の要因は、渡り鳥ではなく家禽の取引にある」と語り、一方的な渡り鳥の運び屋説に反論をしております。
 「鳥インフルエンザ対策に貢献するため、国際機関などと協力して鳥インフルエンザの特別委員会を2005年に設立し、調査研究の結果わかったことは、大陸から大陸への拡散の多くは、実は家禽の取引が原因であった。有名なのは、06年のアフリカ・ナイジェリアで確認された例である。当時、感染経路は欧州からの渡り鳥とされたが、実際はアジアからの輸入した鳥のひな鳥であった。エジプトでも同様に家禽に広がったのは、中国からトルコなどを経由して輸入されたひな鳥であった」と記者に語っております。
 ここで重要視しなければならないことは、実は他人事ではないということであります。この新型インフルエンザは、東南アジアを中心に鳥インフルエンザが鳥から人に感染する事例が増加しているということであります。2月の19日の報道によりますと、インドネシアにて、新たに鳥インフルエンザの感染により2名死亡、累計死亡者103人に達した。感染総数はそれ以上であり、ベトナムの死者の48人を大きく上回り、世界最悪を更新し続けておる。中国でも、2月の18日の報道で、湖南省の22歳の男性が感染して死亡と伝えられております。オリンピックにも影響はしないのかと危惧する面も出てきております。
 この新型インフルエンザは、鳥などの動物に流行するインフルエンザウイルスが変異し、人から人への感染力を強くしたものであります。したがって、ほとんどの人はこのウイルスに対して免疫を持たないため、大きな健康被害を受けることになる可能性があります。今日も、人類は幾度かのウイルスと戦い、生存を勝ち取ってきました。過去10年から40年周期で出現しては、世界的な流行を繰り返してきたスペイン風邪とかアジア風邪などが例として挙げられます。
 鳥インフルエンザの人から人への感染も報告もされておりますが、幸いにして数例にすぎず、発生場所も東南アジアなどに限定されています。しかし、先ほども申し上げましたが、隣国の中国で人から人への感染が確認されている現状から、専門家の間で時間の問題とされてきた新型が、いよいよ現実味を帯びてきたと指摘されております。
 日本にこの新型が上陸したならどういうふうになるか、都市部を中心に瞬く間に全国に広がると予測されております。厚生労働省は、国内で最大2500万人が感染して病院を受診、約64万人が死亡すると推定しております。2次的被害として、経済・社会活動の停滞、低下が大きく懸念されており、その損失は約20兆円にも達すると試算されております。しかも、その影響は数年間にわたって続くとも言われており、事前の備えが重要であることは言うまでもありません。我が国の行動計画に沿って、重症化を防ぐためのタミフルなどの治療薬や、流行初期に接種するワクチンの備蓄などが進められております。
 昨年は、人から人への感染が確認された段階で、行政や医療機関、企業、個人がとるべき具体策をまとめたガイドラインがつくられたほか、治療薬やワクチンの確保など種々の対策強化が図られることになりました。国においては、流行に備え、国内への流入を防ぐための法整備も進んでいると聞き及んでおります。
 新型が一たん流行したならば、健康被害をゼロにすることは不可能と言われております。それゆえ、いかにして初期段階で感染拡大を封じ込め、被害を最小限にとどめるかが基本であると思われます。今後の健康危機管理について、福祉保健部長にお伺いをいたします。
 次に、環境保全の観点からお伺いいたします。
 我が和歌山県は、平成16年7月に、高野・熊野の自然を背景に、「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されました。いにしえの時代から自然と人が調和し、今日まで歴史を積み重ねてきたと言われるゆえんであります。
 また、本県は我が国最大の半島である紀伊半島に位置し、リアス式の海岸線は約650キロに及び、半島の先端である潮岬は本州最南端にあり、その眺望は日本一であると思う次第でございます。
 さて、1957年(昭和32年)に、日本のすぐれた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図り、もって国民の保健、休養及び教化に資することを目的とする法律として自然公園法が制定されました。国立公園、国定公園、都道府県の県立自然公園の3種類の自然公園を定め、土地所有関係にかかわらず、民有地についても公園区域として指定し、風致景観を保護するといった観点から、一定の行為について規制があり、地域性方式がとられております。
 自然環境の保護と快適な利用を目的として、全国に392カ所の国立・国定公園、そして自然公園が指定され、本県には国立公園並びに国定公園、そして県立自然公園が10カ所あり、14カ所が指定されております。公園面積は4万2885ヘクタールで、県土面積の47万2625ヘクタールに対し9%の占有であります。
 各都道府県から対比すれば少ないようにも思えますが、県の全体面積の77%が森林であり、緑豊かな県であります。現在の県立自然公園も、県民の憩いの場所として多くの人々にいやしの空間として親しまれております。本年度予算に、その県立自然公園の抜本的見直しに係る予算が計上されております。現行の10カ所を、グランドデザインによりますと13カ所にするというものであります。
 その1つに、皆様もよく御承知の日高郡由良町に位置する白崎海岸県立自然公園がございます。自然公園の中心地には、氷山を思わす石灰岩の岬や、立巌と言われる岩門を思わす奇怪な岩があり、万葉公園には2首の歌が石碑に刻まれ、訪れた人々をしばし心落ちつかせてくれます。その自然公園内にある白崎青少年の家で、観光や体験学習等を楽しむ子供たちの利用も少なくありません。
 また、隣接する自然公園の南に位置する阿戸という地区がございますが、ここは煙樹海岸県立自然公園の北端にも当たり、以前より、この地区において、土砂砕石場が県の許可のもとに岩石採取が行われております。
 隣接する自然公園を含めた景観の保全と自然を守るという観点から、今後、この地区の土砂砕石等の跡地復旧及び緑化計画についてお伺いをいたします。
 次に、住友金属和歌山製鉄所の新高炉建設に関連してお伺いをいたします。
 皆様も御承知のとおり、住友金属は和歌山県及び和歌山市の基幹産業の1つとして今日まで多大な貢献をしてきた企業であります。ちょうど私が中学生のころ、昭和42年の3月、新炉としてできた第4高炉が、当時のソビエト連邦の製鉄所にある高炉を上回る快挙を打ち立て、世界一の製鉄高炉として大きな話題となりました。
 昭和40年代から50年代にかけ、当時、住友金属は年間最大920万トンの粗鋼生産を誇り、成長を続け、地域の活性化と大勢の人が流入し、住宅建設も、また商店街もにぎわい、大変活況したのであります。小学校の増設や、また、それに伴い道路整備も頻繁に行われるようにもなりました。
 当時は、高度成長時代として、日本全体が経済至上主義的な価値観で突き進む時代背景もあり、住民は劣悪な環境の中においても日々過ごしてきたわけであります。
 このような状況から、住友金属工業は、昭和42年4月に鹿島工場の建設本部を設置し、翌43年12月に鹿島製鉄所が発足し、今日に至っております。しかしながら、依然変わらない環境状態の中、社会的問題として公害への関心が高くなりました。コークス炉の煙突から出る降下ばいじんで地域住民が苦しんだことも事実であります。また、公害という言葉が出始めたのもこのころからであります。
 そこで、全国の企業の環境破壊に対し、公害対策基本法が昭和42年8月3日に初めて制定されました。法の目的は、「国民の健康で文化的な生活を確保するうえにおいて公害の防止がきわめて重要であることにかんがみ、事業者、国及び地方公共団体の公害の防止に関する責務を明らかにし、並びに公害の防止に関する施策の基本となる事項を定めることにより、公害対策の総合的推進を図り、もつて国民の健康を保護するとともに、生活環境を保全することを目的」として制定とあります。そして、現在、環境基本法の施行に伴い、1993年には公害対策基本法は廃止されました。
 公害問題は、産業の発展に伴い、経済合理性の追求を目的とした社会・経済活動によって、人々の生命、健康、生活環境を侵して害を与える「社会災害」とも言われております。
 過去、日本が歩んだ負の遺産の1つに、熊本県の水俣病、また新潟県における水俣病と、ともに水銀による病気でございました。また、富山県神通川の流域では、第2次世界大戦のころから発生したイタイイタイ病、これはカドミウムが原因であります。四日市のぜんそくは、石油化学工場から出たばい煙の中に含まれる亜硫酸ガスによる空気の汚れ、同様のぜんそくは、川崎市や尼崎市などでも発生したとされております。
 以上が、代表的な4大公害裁判としても余りにも有名な事件でありました。いずれも、地域住民が犠牲になったことは否めない事実でもあります。
 和歌山においては、地域住民の公害防止に対する要望を受け、発生源とされていたコークス炉等の沖出しが検討され、当時の県、市、事業者、地元住民らの意見調整が行われ、公有水面である西防波堤沖に高炉の沖出しを目的として建設用地の埋め立てが進められたのであります。また、平成4年のこの埋め立ての中におきまして、第1工区、第2工区、第3工区として、それぞれ公有水面を埋め立てていきました。そして、住友金属用地は第1工区、そして第2工区は関西電力、また第3工区は現在県が所有となっております。
 昨年、住友金属は、鉄鋼需要が好調であるため粗鋼生産の増産を決め、新高炉の建設の計画を発表いたしました。続いて、新たな高炉建設の計画も発表しております。
 以上のことから、関係部長にお伺いをいたします。
 第1点は、住友金属が関係すると思われる地域での現在の大気汚染、水質汚濁の状況についてお伺いをします。
 第2点は、新高炉建設計画に伴う環境負荷について、どう予測されているのか。
 第3点は、当初の計画に工場敷地と住民地域との緩衝緑地が協議されているが、その進捗状況はどうなっているのか。
 第4点は、関西電力が購入した西防埋立用地にLNG火力発電所の計画があるが、現在どうなっているのか。
 以上、4点については、関係部長にそれぞれお伺いをいたします。
 最後に、障害者自立支援法の抜本的な見直しに向け、緊急措置についてのお伺いをいたします。
 現在、我が国の障害者福祉は大きな転換期にあり、障害者福祉の骨格を形成してきた3法、いわゆる身体障害者福祉法と知的障害者福祉法、そして精神保健及び精神障害者福祉に関する法律が、2005年に制定され2006年に施行されました障害者自立支援法に統合され、障害の種別を越えた援護サービスが始められております。
 そして、昨年より、障害者自立支援法について、抜本的な見直しを検討するとともに、障害福祉基盤の充実を図るとされたことを受けて、障害者自立支援法施行後3年目の見直しを見据えながら、昨年の12月に緊急措置がとられました。
 障害者自立支援法は、施行後1年半が経過し、改革に伴うきしみに丁寧に対応するため、国費1200億円の特別対策を決定し、利用者負担のさらなる引き下げや、事業者に対する激変緩和措置等を実施されるものであります。
 このことは、抜本的な見直しの全体像を提示した上で、基本的な課題とその方向性を明示することなど、また、当事者や事業者の置かれている状況を踏まえ、特に必要な事項について緊急措置を実施するものであります。
 抜本的な見直しの視点として、介護保険との統合を前提とせず、障害者施策としてのあるべき仕組みを考査する、また、利用者負担については、低所得者の負担をさらに軽減するなど、負担の応能的な性格を一層高めるとともに、特に障害児を抱える世帯の負担感や子育て支援の観点を考慮するとあります。
 さらに、障害福祉サービスの質の向上、良質な人材の確保、事業者の経営基盤の安定を図るため、障害福祉サービス費用、いわゆる報酬の額の改定の実施を明記されております。
 さらに、障害福祉サービスについては、障害者が地域で安心して暮らせる社会の実現に向けて、地域の受け皿づくりや、入所施設の拠点的な役割を重視した基盤整備を含め、利用者の立場に立って、簡素でわかりやすい制度体系を目指すと明記されております。
 以上のことから、このたびの緊急措置の内容については、どういったものなのか、福祉保健部長にお伺いをいたしまして、第1問を終わります。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの角田秀樹君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、道路特定財源の暫定税率が延長されない場合の県及び市町村財政への影響についての御質問にお答え申し上げたいと思います。
 この問題につきましては、平越議員の御質問に対して御答弁申し上げたとおり、本県にとっては大変重要な問題であります。
 県財政全体から見て、現在、提案さしていただいております平成20年度当初予算は、暫定税率等の延長に関する関連法案が成立する前提で編成しておりまして、仮に法案が成立しなかった場合は、20年度予算におきましては、約110億円もの巨額の歳入欠陥が発生することになります。
 さらに、これまで地方財政の窮状を訴えてきたことが実を結びまして、地方再生対策費の算入等によって、臨時財政対策債を含めた実質的な地方交付税が5年ぶりに増額されるなど、地方が安定的な財政運営を確保できる一筋の光明が見えかけた──完全に見えておりませんが、見えかけたやさきのことでありまして、暫定税率の廃止による歳入欠陥は、到底受け入れられるものではございません。
 また、市町村財政への影響についても、現時点では全体像が定かではありませんが、過去の決算からの推計値によりますと、道路特定財源について、約48億円の減収が見込まれることから、県と同様の事態に陥ることは明らかであります。
 したがいまして、市町村とも連携し、関連法案が年度内に成立するよう、強く関係方面に訴えてまいりたいと考えております。
 第2に、市町村合併が進む中での振興局体制のあり方についてお尋ねがございました。
 振興局につきましては、市町村合併の進展等により、平成18年4月に、それまでの振興局が担ってきた市町村行財政運営への助言業務あるいは商工会への指導業務などを本庁へ集約・一本化するとともに、税務部門の広域化を図るなど、内部の組織体制の簡素化、効率化を図ってきたところでございます。
 とはいえ、地元からの情報収集あるいは県政策の普及等の面で、振興局の持つ意味も大きいと考えております。そういう意味で、もう少し機能が強化できないかという点で、現在、工夫を凝らしたいと思って検討を進めているところでございます。
 そうしつつも、新行財政改革推進プランでも記述しておりますように、一層の行財政改革に取り組むということにしておりますが、その中には、振興局を含めた地方機関のあり方全体について検討してまいりたいと考えておるところでございます。
 その次に、市町村合併に絡みまして、将来の人口見通しと人材確保についてということでございます。
 議員御指摘のとおり、急激な人口減少は本県活力の低下に影響を及ぼすおそれがありまして、その減少に何とか歯どめをかけたいということを考えてるところでございます。大変重要な問題であると思っております。
 新たな長期総合計画におきましては、子育て環境ナンバーワン和歌山を目指す少子化対策の取り組みや、あるいはその雇用の前提になる地域の特性を踏まえた重点的な産業振興や企業誘致による働く場の確保、さらには本県の豊かな自然や温暖な気候等を生かした大都市等からの移住促進などを積極的に推進することにより、本県の人口減少を何とか食いとめ、計画最終年度には、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口から算出した、これは推計人口92万8000人ということになっておりますが、それを上回る97万5000人になるようにしたいというふうに見込んでいるところでございます。
 今後、本計画の実現に向け、これら施策の着実な進展を図ってまいりたいと考えております。
 なお、誘致企業等に対する人材確保といたしましては、就職面談会の開催あるいは東京、大阪でのUIターンフェアなど、今年度は15回実施いたしました。延べ3000人の参加をいただいたところであります。その中で、今年度面談会等に参加があった誘致企業のうち、現在までの集計では、求人数に対して70%の方が内定したと聞いております。
 また、誘致企業の意向も踏まえまして、3月22日には誘致企業就職説明会の開催を予定しているところでありまして、県内誘致企業への就職希望者を登録するきのくに人材バンクの情報を随時提供するなど、きめ細かい対応を行っているところでございます。
 今後とも、誘致企業が事業を円滑に行うため、また、県内にもともといる企業が業績を伸ばして、そのために必要な人材確保対策をきちんとやっていくということに全力で私どもとしては努めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、県民の健康対策、特に薬害肝炎の相談窓口の拡充の問題でございます。
 C型肝炎ウイルスの感染被害を受けられた方々に対しましては、国においては、早期一律救済の要請にこたえるべく、議員立法により、特定C型肝炎ウイルス感染被害者救済特別措置法、これが1月16日に施行され、給付金が支給されることになったところであります。
 また、肝炎の早期発見あるいは早期治療のために検査受診を勧める政府広報が再度出されたことから、県におきましては、従前から設置しております関係課、すなわち健康対策課及び薬務課及び各保健所の相談窓口で、県民の皆様方からの検査とか、あるいは救済等に関して、相談を現在受けているところでございます。特に、政府広報が出されましてからは、約3300件の相談を受けまして、国等関係機関と連携し、必要な情報をそういう方々に提供しているところでございます。
 県におきましても、肝炎対策は大変重要な課題と位置づけておりまして、無料で受けられる肝炎ウイルス検査体制の拡大と、新年度からインターフェロン治療に対する医療費助成を実施してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 総務部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○総務部長(小濱孝夫君) 市町村合併に関する2項目の御質問に一括してお答えいたします。
 まず、市町村合併後の自治体の財政力の変化と権限移譲についてでありますが、合併団体におきましては、市町村建設計画に基づき、合併特例債等を活用しながら積極的に新市町のまちづくりに取り組まれ、一時的に歳出が増加している一面がありますが、スケールメリットによる効率化の効果などにより、中長期的に財政基盤の強化が図られていくものと考えております。
 権限移譲につきましては、本県においては、法令上、県が処理する事務の市町村への移譲は、全国的な状況を見ますと進んでいるとは言えないのが実情でありますが、第2期地方分権改革によって県事務の市町村への移譲がさらに進められていくものと考えております。
 次に、住民の抱える課題の分析と2次合併に向けた対応についてであります。
 昨年8月に実施した合併団体へのアンケート調査において、例えば田辺市では過疎化・高齢化が進む周辺地域の活性化などを課題として上げられており、その解決に向けて鋭意取り組まれているものと考えております。
 最後に、2次合併に向けた対応につきましては、各地域に設置されている研究会や勉強会などにおいて、地方分権改革の検討状況を初めとする地方行財政を取り巻く情勢など、市町村が合併を検討する上で必要な情報の提供に努めているところであります。
 以上です。
○副議長(新島 雄君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 人口減少への対応策等についてのうち、安心して子供を産み育てやすい環境整備等に関する御質問にお答え申し上げます。
 少子化対策といたしましては、紀州3人っこ施策の拡充等、安心して子供を産み育てられる環境整備に努めてまいりたいと考えてございます。
 最近の厳しい少子化の現状にかんがみれば、今後とも子育て環境の充実強化を進めるとともに、子育てに関する身近な行政サービスを提供いたします市町村との協働が不可欠であります。このため、新長期総合計画案にも記載しております経済的負担の軽減のほか、子育てと仕事の両立支援など、幅広い取り組みが必要であると考えており、引き続き市町村にも積極的な取り組みをお願いし、連携して少子化対策を進めてまいります。
 次に、薬害肝炎の対策について、3点の御質問でございますが、まず肝炎ウイルス検査につきましては、県立保健所において、早期発見、早期治療を目的に無料で実施するとともに、検査実施日をふやすなど、検査機会の拡大を図ってきたところでございます。
 また、医療機関での検査につきましては、県と和歌山市、それぞれが実施することとしており、県の事業といたしましては、この3月5日から、医療機関で無料で受けられることができる体制を整備しております。現在、505の医療機関において受診できるようになってございます。
 今後は、感染が判明した方につきまして、適切な治療につながるよう受診の勧奨を行うなど、医療機関等と連携して対策を進めてまいります。
 次に、インターフェロン治療に伴う医療費助成につきましては、患者さんの経済的負担を軽減し、治療を受けやすくする観点から、このインターフェロン治療に伴う医療費を助成するものでございます。
 なお、本県のインターフェロン治療対象者となる患者の方は、平成17年度の国の患者調査等から、約6800人と推定されてございます。
 また、医療機関での無料検査の対象といたしましては、市町村や職域で受診の機会がある方については、その健診機会を優先させていただくこととした上で、肝炎の感染の心配のある方については対象としているところでございます。
 次に、県内自治体への情報提供等についてでございますが、市町村代表者を含む肝炎対策協議会を既に設置し、検診、検査、診療のネットワークの構築に向けて情報交換等を行っているところでございます。
 今後は、さらに市町村等と連携し、ウイルス性肝炎に関する正しい知識の普及啓発等にも努めてまいります。
 次に、鳥インフルエンザへの感染対策と健康危機管理についてでございます。
 現在、世界各地で発生している高病原性鳥インフルエンザウイルスが、人に対して感染しやすい新型インフルエンザウイルスに変異することが懸念されてございます。
 国においては、新型インフルエンザを入院、検疫等の措置の対象となる感染症とするほか、新型インフルエンザにかかっている疑いのある方に対する蔓延防止策の拡充を図るなど、関係法律の改正法律案が提出されているところでございます。また、国会においては、プロジェクトチームを立ち上げられ、治療薬やワクチンの備蓄状況等について、現行での対策が十分かどうか検討されているものと認識してございます。
 県といたしましては、平成17年12月に和歌山県新型インフルエンザ対策行動計画を策定し、緊急事態を想定した訓練を実施するなど、対策を進めるとともに、海外の状況についても注意をしているところでございます。さらに、国の動きや国会における議論、検討状況にも十分注視しながら、適切に対応してまいります。
 最後に、今回の障害者自立支援法の抜本的な見直しに向けての緊急措置の内容についてでございますが、詳細については、一部未定の部分がございますが、大きく分けて3つございます。
 まず1つ目は、利用者負担について、在宅の障害者及び障害児について、低所得世帯の利用者負担上限月額を現在の約半分に軽減、障害児を抱える世帯について、軽減対象を年収がおおむね890万円程度の世帯まで拡大、成人の障害者について、利用者負担上限月額の所得階層区分を世帯単位から個人単位とするもので、これらの見直しについては、平成20年7月から施行予定でございます。
 次に、通所サービスについて、報酬単価を約4%引き上げるとともに、受け入れ可能人数について、さらなる弾力化を図ります。入所サービスについては、入院・外泊時の支援について拡充されます。
 また、障害者自立支援対策臨時特例交付金による特別対策事業に新たな事業が追加され、これらにより、事業者の基盤強化が平成20年4月から図られる見込みであります。
 最後に、現在、県内約1万300人の知的障害者、精神障害者のうち407人が78カ所あるグループホーム、ケアホームで生活されていますが、障害者の地域移行を促進するため、平成20年度から、グループホーム等の整備について、社会福祉施設整備費補助金等の対象とし、さらなる整備促進を図られる見込みとなってございます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 環境保全に関する御質問のうち、まず県立自然公園の保全についてお答えを申し上げます。
 県立自然公園内における土石の採取につきましては、県立自然公園条例に基づきまして、第1種特別地域あるいは植生の復元が困難な地域を除きまして許可をしております。
 議員御指摘の箇所につきましては、申請者から提出された採取及び跡地整理に関する計画を審査いたしまして、緑化等を含めた跡地の整理を適切に行うということを条件に許可を行っております。
 既に県立自然公園内での土石の採取は完了しておりまして、跡地の整理工事も7割程度進捗をしているところでございます。
 引き続き、緑化状況等について定期的に報告を求めるなど、適切な指導を行ってまいります。
 また、県立自然公園につきましては、現在、抜本的な見直しを進めているところでございますが、今後とも貴重な自然環境の保全が図られるよう、適切な運用を行ってまいりたいと考えております。
 次に、住友金属の新高炉建設に関する2点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、現在の大気汚染、水質汚濁の現状についてでございます。
 県が和歌山市とともに住友金属工業和歌山製鉄所との間で締結をしております環境保全協定では、大気汚染や水質汚濁などについて協定値を設けるとともに、周辺環境や発生源の排出状況についての監視、測定について取り決めを行っております。
 平成18年度の結果で見ますと、大気関係のうち周辺環境につきましては、浮遊粒子状物質など自然的要因に起因すると思われるものを除きまして、二酸化硫黄、二酸化窒素、降下ばいじん等は、いずれも基準値を達成している状況にございます。また、硫黄酸化物、窒素酸化物などの製鉄所からの時間当たりの総排出量につきましても、すべて協定値を下回り、その80%程度の数値で推移をしている状況でございます。
 水質関係につきましては、各排水口における汚濁物質の濃度あるいは負荷量、総排水量とも協定値を下回っておりまして、公共水域の港口、いわゆる港の口でございますが、環境基準を満足しております。
 次に、新高炉建設計画に伴う環境負荷についてでございます。
 新2号高炉は、既設の5号高炉に比べまして規模が大きくなることから、硫黄酸化物や窒素酸化物などに係る排出量の増加が予想されます。しかしながら、新高炉への高性能集じん機の設置あるいは環境保全対策に万全を期すことはもちろんのこと、既存の施設においても、脱硫、脱硝効率の強化を図るなど、その他の設備への対策を講じることによりまして、製鉄所全体としての総排出量を抑制し、環境保全協定に基づく基準値の遵守について問題のないよう指導、監視をしてまいります。
 また、今回の新2号高炉建設計画に当たりましても、事業者に対し、自主的な環境アセスメントの実施を促しまして、周辺環境への影響について、支障のないよう指導をしてまいります。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 煙樹海岸県立自然公園に隣接します砕石場の跡地復旧及び緑化についてでございますけれども、当該岩石採取事業につきましては、先ほど御説明ありました和歌山県立自然公園条例に基づく許可にあわせまして、採石法に基づき採取計画を認可しているところでございます。
 この採取計画では、跡地復旧につきまして、盛り土の上、緑化、植栽等による整備が行われることとなっております。
 今後、この跡地整備が確実に実施されるよう、引き続き採石業者を指導監督してまいります。
 それから、河西緩衝緑地につきましては、昭和57年に都市計画決定され、県と企業で共同して整備に努めてまいりました。県実施分につきましては、全体面積の83%で、平成16年度をもって終了、企業実施分につきましては、全体面積の17%で、平成19年度末には安治川緑地の部分竣工を予定しており、順次整備が進んでおります。
 平成19年度末時点での全体の進捗率は98%となっております。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 企画部長森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○企画部長(森 崇君) 関西電力LNG発電所についてでございます。
 関西電力和歌山発電所の建設は、近年の電力需要の伸び悩みに伴い、運転開始時期が繰り延べられておりまして、平成19年度関西電力グループ経営計画におきましては、着工準備中であり、運転開始時期を平成29年度以降とされております。
 今後の電力需要動向を見守りながら、事業者への対応をしてまいりたいと考えております。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
 この際、申し上げます。所定の時間が過ぎておりますので、簡素にお願いをいたします。
○角田秀樹君 じゃ、端的に1点だけ、要望という形でお話しさせていただきます。
 西防波堤の第2工区につきましては、平成3年に、当時の住友金属が沖出しをやめやということで、関西電力さんのほうへという、こういうお話が唐突に出たわけでございまして、今、和歌山県が企業誘致並びに企業の立地について、大変知事先頭に頑張っておられると。今、目の前に第2工区の電力発電所の用地がある、こういうことを現実に踏まえて、できれば関西電力さんに企業の誘致ということにも、目の前にあるんやから、早いことつくっていただけるように、ひとつ御尽力をいただきたいということを要望して質問とさせていただきます。
 終わりです。
○副議長(新島 雄君) 以上で、角田秀樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 議長の許可を得て、早速通告に基づき質問をさせていただきます。
 まず初めに、産廃土砂にかかわる県条例の制定についてお伺いをいたします。
 先月19日、知事は記者会見で、産業廃棄物の保管及び土砂等の埋立て等の不適正処理防止に関する条例(仮称)の制定に向けた県の見通しを発表されました。
 土砂の処分場にかかわる問題では、私たち有田地方の山合いに、10トンダンプにして約3万台、約20万立方メートルもの大量の土砂が持ち込まれるとともに、産業廃棄物が隠して埋め込まれ、そして業者が逮捕されるという事件がありました。
 私は、初当選した03年6月議会の最初の質問でこの問題を取り上げまして、残土規制の条例制定の必要性を訴えてまいりました。そして、05年9月議会でも、この土地に別の業者が架空の老人ホーム建設計画を持ち上げて土砂の搬入をねらっている問題とか、また近年、関東地方からも船でわざわざ土砂が和歌山まで大量に運び込まれてきている、こういった問題を指摘し、早急な対応を求めてきたところであります。
 今回、こうした県民の声と願いにこたえて条例制定の発表にこぎつけたという点では、関係者の皆様の御努力に心からお礼を申し上げるものです。
 この土砂処分場の問題では、県内各地で問題が進行中です。この間も、集落の真上にある急な斜面に土砂を積み上げていて、災害が起こらないか心配だという住民からの相談がありました。また、遠く県外から土砂が搬入されてきていて、あの土は大丈夫かと、そういう声が出ても、ここは産業廃棄物処理場ではないからと言われて行政がなかなか入っていけないというところがあったりと、早急な手だてが求められている現状があります。
 また、県外からの土砂搬入も、トラックはつかみようがないんですが、記録に残る船による搬入だけを見ても、和歌山下津港が、16年度の2100トンが18年度には2万4000トンと約10倍に、新宮港では、16年度が2万8000トン、17年度が5万5000トン、18年度では1けた上がって10万6000トンと、倍々ゲームにふえてきているんですね。
 前回の質問では、土砂処分場事件で大変な御苦労をされた地元区長さんの話を紹介いたしました。あんなに土砂をたくさんほうり込んで大丈夫かと心配したが、どうにもならなかったこと。何度も区の会を持ったこと。そして、業者にやめてくれと言いに行っても、嫌なら山の上から土を入れるぞと言われて、急な谷の上から土砂を入れられると災害の危険性が余計に高くなると思って、それ以上のことが言えなかったこと。においがひどいんだと言って訴えに行くと、わしらは命は欲しくないんやと逆にすごまれて恐怖を感じたこと。区長さんは、もう前回のような二の舞いを踏んじゃいけない、前回詰め切れなかったこと、例えば不法投棄の証拠が出るまで手が出せなかったという問題や土地所有者の責任とか、そういう教訓をもとに、こんなことが今後起こらないようにしてほしいというお話でした。こういった県民の願いにこたえた条例になることを望むものであります。
 この立場から、今回、県が制定をしようとしている条例の基本方向について何点かお伺いをいたします。
 第1点目に、不適正処理の早期発見、未然防止のための手だてはどうか。
 2点目に、立入調査並びに違反行為に対する罰則、是正策についてはどう考えているか。
 3点目に、今後の対応だけでなくて、今ある現状、既設の現場に対する対応はどうするのか。
 4点目として、既に市町村が同様の条例を持っているところもあるんですが、こういった条例との関係や役割分担、県内市町村との連携、協力についてはどう考えているのか。
 以上の点について、条例案をまとめていく基本的な考え方を環境生活部長より答弁をお願いいたします。
 次に、震災津波対策について質問をいたします。
 今議会に提案をされた来年度予算案の中には、東南海・南海地震対策の充実として、津波避難困難地域への対策、堤防や水門等の修繕・補強、水門遠隔操作化などによる浸水被害軽減対策に取り組むとして、湯浅広湾の水門遠隔操作のための予算が盛り込まれています。
 湯浅広湾には、湯浅町に弁天堀水門、広川町には養源寺堀水門、江上川の河口水門の3つの水門があります。私、5年前の一般質問で、この水門の修繕と遠隔操作の問題を取り上げました。そのとき、水門の管理を任されている町職員の方の声を紹介いたしました。地震が起きたときに、水門を操作するためには、海側から山側に避難するその人の流れと逆行して水門まで走っていって、余震が続いてあろうその中で、あの高い水門の操作室までらせん階段を駆け上がると。そして、多分停電しているでしょうから、発電機を始動させて、それから水門を降下させる。この作業は余りにも危険で現実的ではありませんと。職員に「町民何千人の命を守るために自分は死ぬかもしれないが行ってこい」と言わなければならないのですと。早く確実に水門を閉めるためにも、他県では遠隔操作や一定震度以上で自動的に閉まる施設もあると聞いている、何とかそんな改善ができないのでしょうかというものでした。
 県は、その後県内の水門の点検・改修を進め、昨年遠隔操作化が完成した海南市の水門などに続いて、今回湯浅広湾に事業着手するとのことであり、「稲むらの火」を前面に津波防災に取り組む現地湯浅広湾としても、また和歌山県としても、大変大事な事業であり、お礼を申し上げるものでございます。
 また、県は先般、津波から「逃げ切る!」支援対策プログラムを発表し、津波による避難困難地への対策を市町村とともに進めようとしています。
 この震災津波対策で何点かお伺いをいたします。
 まず第1に、この津波から「逃げ切る!」支援対策プログラムは、県のアクションプログラムというような震災対策の計画とどういう関係にあり、何をどう具体化しようとしているのか、湯浅町の避難困難地への対策とあわせて、危機管理監に答弁を求めます。
 次に第2点目には、今回予算化された湯浅広湾の水門等の遠隔操作化はどのような内容で進めようとしているのか、全県的な現状、見通しとともに御答弁を願います。
 そして3点目には、広川町が西広地区の海岸防波堤の補強とかさ上げに取り組んでおりますが、その事業見通しをお示しください。
 以上、2点目と3点目は県土整備部長に答弁を求めます。
 さて、3番目の柱であります中小企業高度化資金債権放棄の問題に移らせていただきます。
 今回の債権放棄議案は、中小企業高度化資金の融資先破綻企業5組合の合計26億4000万円余を回収不能として債権放棄をするものです。また同時に、設備近代化資金における合計4400万円余を、時効等により同じく債権放棄する内容となっています。
 この議案については、26億円余という額の大きさからいっても慎重な審議が求められます。この中小企業高度化資金は、中小業者の共同化による体質改善を目的とするものでしたが、日本共産党県議団は、このずさんな融資審査と債権回収を怠ってきた問題をこれまでも県議会の場で指摘をしてまいりました。
 その中でも特に、今回債権放棄する中のこのプラスパフーズという豆腐製造業者に対する融資は、土地代金12億5000万に対して10億円の融資、建物ほか18億円に対して14億円の融資、合わせて24億円もの無利子の融資を受けながら、わずか1%の返済で倒産してしまったという最も問題点の大きいケースであります。
 倒産後、担保として残った土地と建物、これを競売にかけても1億円にしかならず、差し引き22億4000万円もの国民・県民の税金が泡と消えたことになります。
 県は、これまで、滞納額が多額に上っているのは重大な問題だと認め、滞納者に違約金も請求せずに放置してきた問題点は改めて償還指導を強化してきましたが、融資のあり方そのものについては、手続上問題はなかったと責任を認めてきませんでした。今回の債権放棄に当たっての県の姿勢がこれまでの延長線上であるならば、県民の理解は得られないというふうに私は考えます。
 そこで、私は、情報公開で明らかになった具体的な資料に基づいて、融資のずさんさを指摘するとともに、債権放棄の責任の所在、県は説明責任を果たしたのかと、こういう3つの角度から質問をさせていただきたいと思います。
 まず、融資そのものに問題はなかったのかという点です。
 今回のプラスパフーズの債権放棄の結果内容を見ると、融資決定そのものへの疑問を持たざるを得ません。債権が回収できずに、わずかな返済で終わったのは、担保にとっていた不動産がわずか10分の1の値段でしか売れなかったことと、それから、事業を行った組合員5人が連帯保証人となっていたんですが、倒産して自己破産するなど保証能力がないということが理由になっています。
 競売での回収額、それから保証人の保証能力、これを結果から見てみると、もともと担保価値も保証能力もなかった、返済能力に疑問があったということではないでしょうか。担保価値も不足し、保証人からも債権回収できずに債権放棄しなければならないというような融資は、融資決定そのものが不自然ではないかという点でまず見解を求めます。
 次に、利害関係者との取引の結果、土地代金が2.5倍、建設費用が2倍についたというのは、これは過剰融資ではなかったのかという点をお聞きいたします。
 この12億円もする土地への融資に対して、県は専門家の不動産鑑定すらとっていなかったこと、これは議会でも外部監査でも問題になりました。県は、後に土地建物を競売にかけるときに専門家の不動産鑑定をとっています。これを見ますと、近隣の用地は1平方メートル当たり3万5000円だというふうに鑑定をし、当該用地は有効面積割合も少なくて、行きどまりなどのマイナス要因が多く、単価は約2万円の価値だと判断しています。それで、土地全体の価格は3億5000万円という鑑定価格が出てるんですね。これは重要な基準となる価格です。
 一方、平成14年度包括外部監査結果報告は、土地については、さきの不動産鑑定とともに、隣接した県の工業団地、この価格とも比較しながら、当時推定5億円の土地を12億5000万円で買ったのは非常に高額と判断できる、こういうふうに指摘をしています。同様に建物については、4億5000万円の算定に対して購入価格8億5000万円となっていて、両者の間には大きな格差が見られる、こういうふうに指摘をしています。実に土地価格では2.5倍、建物は約2倍の高い価格で購入をしているんですね。
 また、土地の購入先である開発会社阪和住建も、そして工場の建設工事を受注した阪和建設も、両方ともプラスパフーズ代表理事の息子が経営する別会社なんですね。ですから、外部監査は、利害関係者の間の、この親子の取引の際には、問題が生じないように鑑定評価や相見積もりを指導すべきであると、審査に厳しい注文をつけております。
 このように、専門家の鑑定意見から見ても、外部監査の意見から見ても、非常に高い価格の融資となっていて、過剰融資だったのではないでしょうか。この異常な格差を認めますか、それともこれでも高くないとでも言うのでしょうか。
 次に、3点目ですが、購入土地の面積変更は、審査を通すための単価操作ではなかったかという点で、具体的に資料もお示ししながら質問をさせていただきます。
 県は、土地価格について、不勧告通知以下の価格だから高いものではない、こういう立場をとって、国の審査も経ているから融資に問題はないという理屈をこれまでずっと押し通してまいりました。しかし、開示請求で明らかになった資料を私も精査してみますと、高い融資を無理やり通すためのそのからくりが明らかになりました。
 以下、資料を示しながら、議場の皆さんにもお配りをいたしておりますが、その資料を示しながら質問をさせていただきます。
 まず、資料1は、融資決定2カ月前、直前ですね、2カ月前、1月24日付の国土利用計画法に基づく売買届出書であります。数字の欄をよく見ていただくと、ここには融資計画で申請していた1平方メートル当たり9万1000円で1万3700平方メートル余の土地を12億5000万円で買うことが記載をされておりますが、後に数字が訂正をされて申請された跡があります。
 私は、これは高過ぎるという勧告が出ないように、不勧告通知となるように、単価を9万円から6万6000円に事前に修正した跡ではないかというふうに思っています。この申請をもとに県は判断をするわけです。
 資料2、これは不勧告通知でありますけれども、この金額、この資料で示された金額以下だったから適正価格だと、セーフだということを県はこれまで繰り返し弁明してきたわけなんですね。
 この前後、国からは最後の最後まで、これ、土地の購入の価格、高いぞという指摘がされてきました。この問題をクリアすべく、不勧告通知の6万6000円以下だから高くないという、その結論づけられるように、予備申請、それから本申請、どちらも終わっていたのに、この融資年度の平成7年度末、これ最終段階の平成8年3月に、異例の計画変更というのが行われているんです。
 資料3をごらんください。
 お配りしているのは、こういう写真だというふうに思います。これは、旧桃山町にある県の桃山第2工業団地の国道がありまして、国道424の横にある桃山の工業団地、その一番奥の山際にあるのがこの工業用地であります。山を削って、それで造成をしたところなんですね。
 もともと、今回のこの事業は、予備申請、本申請ともに、この①の青い土地を買い取る予定でした。で、②で示した黒い線で引いた土地というのは、実際はこれ、造成しておりますから、企業用地と一体となった土地なんですね。ところが、造成の関係で、公図混乱とか分筆できない等の理由で簡単に登記できそうにないと、だから融資まで間に合わないので、とりあえずは永久に貸与するという形で、これは使ってよろしいということになった土地なんですね。ところが、ここまでは計画にあった土地なんです。
 ところが、この融資最終段階の変更で、赤い線で囲んだこの③の土地を買い足すことになったんですね。なぜか。それは、分母面積を大きくして、融資額を一切下げずに、土地単価を下げると、こういう強引な手法をとったからなんですね。
 普通、土地単価が高いですよと指摘されて、先ほどの土地利用計画にあったように6万6000円の単価がいいということになれば、合計9億円で買ったらいいんですよ。安くなったといって、12億円で買わずとも、喜んだらいいんです。これで事業もよりうまくいくと。ところが、安く買うのではなくて、無理やりに③の土地を買い足して、当初の融資12億円が出されるように仕組んだとしかとれません。
 この③の土地というのは、変更計画に添付をされた図面では大変わかりにくいので、私も現場へ行ってきました。横から見たこの現場写真も張りつけてありますので、御参照ください。
 この土地を、こののり面ですね、これ、上から見ると広い平地のように見えますが、実際は斜面なんですよ。だから、この土地を高いこの工業用地単価で買い足したことの異常さがはっきりこの写真でわかると思うんです。こんなのり面を工業用地の単価で買い上げたとしたら、これは大問題です。
 それで、この変更が行われたのが、皆さん、3月の25日、年度末ぎりぎりです。そして、それまたぎりぎりの3月28日に融資決定の知事の決裁がおりてるんですね。
 資料4をごらんください。
 この資料4は、融資決定後にこの計画変更を県が診断した4月8日付の報告書です。下から3行目途中からの文章には、国土利用計画法の用地単価と当初計画の用地単価との格差を是正するために買ったということを正式に県が文書で認めてるんですね。繰り返しますが、この土地が、さっきの斜面が必要だったから買ったんじゃなくて、用地単価を下げ、融資審査が通るように買い足したわけなんですね。
 だから、この後の不動産鑑定、先ほど専門家が不動産鑑定して、3億5000万円というふうに安く評価された最大の要因というのはこれなんです。敷地全体の4分の1を占めるこののり面、これは使えないから、マイナスをして、有効土地面積をもとに算出しているからなんですね。
 県が言ってるような、その後経済情勢で土地の値段が安くなったというんじゃありません。つまり、土地単価を下げるために、当初の計画にもなかったお隣ののり面等を抱き合わせで収得し、その結果、利用価値のない土地を高額で購入したことになります。のり面等を工業用地と同額で取得したというのは、ずさん以外の何物でもありません。そして、融資の破綻により損害を県民に与える結果となったわけです。
 幾ら県の審査が通った、国の審査も通った、こういっても、問題がないとは言えないと思うんですね。審査を通すためのごまかしをずっとやっているわけです。
 そこで伺います。
 これは審査を通すための単価操作ではないか、こういうごまかしまでやった審査を通したことは問題ではないのか、この点にお答えいただきたいと思います。
 融資の問題4点目に、事業計画についてお伺いをいたします。
 プラスパフーズの事業計画段階での国の診断は、こんなふうに書いてます。「本計画の成否は、生産能力に見合う販売力の確保いかんにかかっている」、こんな勧告なんですね。
 高額な工業製品を生産する事業などと比較すれば、もともと今回の事業は利幅の大きい事業ではないわけで、今回の巨大な設備投資と販売能力が、これはこのバランスがとれないと計画はうまくいきませんよという忠告でした。ところが、県はプラスパフーズの事業計画と対応策を妥当なものとして丸のみしてきました。
 しかし、スタートをしてみると惨たんたる結果でした。初年度で計画の達成率はわずか51%、次年度53%、その次47、44と、全く振るいませんでした。事実上の初年度の損益計算書を、私、見ましたら、減価償却する以前に既に1億円の赤字です。操業わずか半年で、支払い方法に間違いがあったといって県に始末書を書いてるんですが、それほど資金繰りに困っていることがうかがえます。
 そして、操業開始2年後には、既に1回目の不渡りを出し、わずか5年数カ月後に自己破産をしているんですね。
 操業前の組合員5社それぞれが売り上げをしている、それを足した金額と比べても、共同したら、一緒になったら有利になって、少しずつでも売り上げが伸びていくんじゃなくて、逆に売り上げが共同する前よりも半分になってるんですね。
 これがもし、初めはうまくいっていたのに途中でどんどんどんどん減ってきたというのならば、経済的要因だとか、取引先が倒産したとか、そういう要因で説明できるわけですが、初めから計画の半分だというのでは、当初の計画がずさんだったという以外にありません。非常にずさんな事業計画だったのではないですか、御答弁を願います。
 この融資問題の最後に、資料5をごらんいただきたいと思います。
 情報公開によって開示されたプラスパフーズの平成8年4月の総勘定元帳です。融資をされた土地代金10億円が、通帳や会計で適正に処理されたか報告するために、企業から、組合から県に提出をされた書類なんですね。平成8年4月3日、一番上のほうにありますが、その欄に「開業費、県庁餞別3名、15万円」というのがありますね。私、これを見てびっくりしました。この平成8年4月3日という時期は、先ほど解説いたしましたように、最後まで難航した融資決定がとうとう決裁をされた3月28日の直後であり、土地代金10億円のキャッシュが振り込まれた4月26日の直前なんですね。贈った方も、贈られた方も、堂々とこんなことをして平気なんですね。
 この資料を見れば、融資先企業と県に癒着があったのではないかと疑われても仕方ありません。県は、このことにどういう認識を持っているのか、また、この問題を知り得てから調査をしたのか、答弁を願います。
 以上5点の質問については、商工観光労働部長より答弁を願います。
 今度は、債権放棄の責任の問題について知事に質問をいたします。
 私、知事のこの問題での記者会見や、また先日の一般質問での答弁を聞いて愕然といたしました。知事は、設備近代化資金の時効問題については、大変な失態だったと、何十年間の県庁を代表しておわびをすると、職員にも厳正な処置を行ったと言って、県としての落ち度を反省しながら随分詳しく語られました。
 ところが、片やこの高度化資金の26億円の問題になると、途端に簡単なコメントになっています。厳正な審査を経ていて県に落ち度はないとか、後の予期せぬ経済的要因だと、県は正しかったとばっかり言って、県民に申しわけないという姿勢がないように見受けられます。
 御承知のように、この設備近代化資金のほうは、3億円は焦げついたものの、259億円融資して256億円まで正常に返済が進んできた融資事業です。
 ところが、こっちの高度化資金のほうはというと、全国一、和歌山の滞納が多いという問題のこの融資事業なんですね。国費ベースで171億円の滞納のうち、和歌山の分は56億円と、全国の滞納額の約3割を和歌山県1県で占めています。県内の分をまとめますと、総額470億円が融資をされていて、そのうち109億円も焦げついているんです。特に、同和対策の融資218億円のうち、92億円までもが滞納され、焦げつきの約9割を占めています。一般分の融資250億円で17億円の焦げつきという割合と比較をしますと、突出した数字となっております。
 配付させていただいております資料6をごらんください。これは、18年度末での償還状況のまとめであります。
 ページ右下の欄をごらんください。末償還額のところの欄を見ていただきますと、約109億円の未償還額のうち約92億円までが同和対策・地改事業関係だということが数字で見てとれるというふうに思います。全国と和歌山を比べてもおかしいし、一般分と同和対策分を比べてもおかしい、こういう二重の問題点があるわけです。
 こういう状況の中、今回債権放棄をする融資案件は、不動産担保も保証人の保証能力も初めから不足し、高い土地の購入価格を無理やり審査を通させたという不自然な高額融資であったと思います。その結果として、今回合わせて26億円もの債権放棄をすることになりました。
 債権放棄とは、言いかえれば、借金の肩がわりを県民にさせることになったわけです。このことに対する責任はないというのでしょうか。知事としての責任、県としての責任をどう考えているのか、知事の考えをお聞かせください。
 あわせて知事の認識をお尋ねいたします。
 日本共産党県議団は、この高度化資金の焦げつきが明らかになった当初から、この問題は同和行政を本来の姿からゆがめて、ずさんな融資をし、回収を怠ってきた結果ではないかと指摘してまいりました。滞納額109億円のうち92億円までが同和対策のものとなっている、この結果を知事はどう認識しているのかお尋ねいたします。
 この問題の最後に、県は説明責任を果たしたと言えるのかという問題で、知事に3点お尋ねをいたします。
 まず1点目、債権放棄に当たって、融資決定、償還指導の総括をし、教訓を引き出したのでしょうか。
 破綻企業は、当然事業収入による回収というのは見込めないので、財産処分と、それから保証人に弁済を求める以外にありません。その上で、回収するものがなければ債権放棄するしかないわけです。以前は破綻処理を先延ばしてきた面がありましたけれども、これはきちんとやろうというのが今の県の姿勢です。
 しかし、先ほども述べたように、債権放棄は、借金の肩がわりを何の責任もない県民に押しつけることになります。県民に肩がわりを求めるには、十分に説明をして、そうかと納得してもらう以外にこれは方法ないんですね。このことは外部監査でも繰り返し強調されている点です。
 県は、この間、償還指導がされてこなかった問題を指摘されて、体制も整えて努力をしてまいりました。ところが、いよいよ、今回、債権放棄以外に方法はないということで、最終段階に入ろうとしたときに、競売の手続とか保証人のチェックはやりました。ところが、残念ながら、県が自分のやったことを振り返った形跡がありません。他人には厳しく、自分には甘い、ツケは県民にと、これでは県民は納得しません。
 債権放棄を県民にお願いするに当たり、1から10まで包み隠さず振り返って、融資決定、償還指導の総括をして、教訓を引き出し、それを県民に明らかにしたのでしょうか。説明責任を果たさずに債権放棄だけを押し付けているのではないでしょうか。この点をお答え願いたいと思います。
 2点目は、外部監査で指摘された点を再調査して公開すべきではないかということです。
 この説明責任ということで、特に振り返って再点検すべき点としては、外部監査で具体的に指摘された点にどう取り組んできたのかが問われています。
 今回のプラスパフーズだけでも、販売計画と実績との乖離、土地の取得価額、建物の取得価額、取引先の問題等が指摘をされています。外部監査が発表されてからこの4年間、指摘された点を、どう調査し、どう検討したのか。ここに問題があったからこうすることにしたとか、そういう真摯な対策をとったのか、また今後とるべきではないか、お答え願いたいと思います。
 最後に、知事の姿勢をお聞きいたします。
 このままの県の姿勢で債権放棄をすれば、県は同和行政の一部にあらわれたゆがみをタブー視してメスを入れられないと県民からは見られるんじゃないでしょうか。乱脈な同和行政の実態にメスを入れないままでの債権放棄は県民の理解が得られないと思いますが、知事はどうお考えになるでしょうか。
 以上で、第1問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 中小企業高度化資金の債権放棄につきましてお答え申し上げたいと思います。
 順番からいたしますと、松坂議員お尋ねのように、まず商工観光労働部長に対する御質問に対する答弁が先に来たほうがわかりやすいかなという感じもいたしますが、知事が先にお答えすることになっておりますので、先に私のところの話をさせていただきます。
 まず、近代化資金の時効問題では債権管理を怠ってきた責任を問いながら、高度化資金の債権放棄の責任はどう考えているのかということでございます。
 これにつきましては、これは両方共通なんでございますけれども、近代化も高度化も、ちょうど平成14年ぐらいでございましょうか、先ほどお話のある外部監査などがあるときから債権管理をきちんとしようということになって、厳しく債権回収に当たってきたわけでございます。
 今回の議案につきまして、もちろん最終的には、これは事業が破綻をして貸し付けの回収ができないということになってるのは大変残念でありまして、この結果責任は県庁が負うべきものであるし、その最高責任者として私は責任がないとか、そんなことを言っているわけではございません。
 ただ、調べてみますと、貸し付け時に何かこう全くずさんなことをやっていたか、後でちょっと御説明しますけど、近代化資金のようにほったらかしてたり、むちゃくちゃなことをやっとったかということについては、なかなかそうとも言えんなということではないかと思うんです。
 例えば、これは高過ぎる、おかしいといって、それを要するに認めないというような正当性があったかというと、どうもそうではなかったんじゃないかなと、必要な手続はやって、その上で貸したのではないかというふうに思うわけであります。
 ただ、残念ながら貸し付け後の経済情勢の変化等により組合が破綻をしてしまって、連帯保証人に対しても、処分できるものは処分して厳しく追及を行ってきたけれども、結果として回収が見込めなくなったものがかなりあるということは御指摘のとおりでありまして、これについては、結果として県庁は責任を負うべきものだというふうに思います。
 近代化資金につきましては、これとは全く次元の違う話でありまして、本来ならば、もちろんきちんと貸して、それでそれの債権回収をやらなきゃいけないということであろうかと思いますが、平成14年度までのずっと長い間、この債権管理をほとんどやってこなかった、これは県庁として仕事をサボっとったということになりますので、県庁を預かる最高責任者として県民に陳謝をいたしまして、それで歴代のこの問題に責任のある者に対する責任を問うというわけであります。
 今回の高度化貸し付けについては、これについて同じようなものが数年前に発表しておりますけれども、2件ばかり同じようなケースで、これは完全に失態であるというようなことを県としても認めて発表したものがございます。
 それ以外のものについては、今申し上げましたような、そういう失態はなかったと考えておりまして、同じような責任は問えないというふうに思ったということでございます。そのように御説明したつもりでございます。
 次に、高度化資金の延滞額の内訳についての御質問でございますけれども、高度化資金の地域改善対策の追加につきましては、国の同和対策の推進を背景に、昭和44年に施行された同和対策事業特別措置法にあります同和対策の基本理念に基づき、昭和47年度から、新たに対象地域の産業振興や産業育成のために設けられたものでございます。
 本県では、県経済活性化の一翼を担ってきた繊維、皮革等の地場産業のウエートが高くて、その産業高度化、地域環境の改善を実施してきたため、必然的に貸し付けが多くなったものと私は理解していますが、その後の経済環境の悪化等で御承知のように延滞額がふえたものであると思います。
 これは大変残念なことであります。県として、貸付者としての立場で、回収ができなくなったという意味で残念であるだけじゃなくて、この貸し付けの目的であった産業発展などが十分達成できなかったということでもあると思いますので、そういう意味では大変残念であるというふうに思っております。
 次に、説明責任ということでございました。
 まず、高度化資金の貸し付け実行に当たっては、中小企業庁の通達に従いまして企業診断を行います。予備申請の段階から、中小企業基盤整備機構、当時は中小企業総合事業団と言っておりました──「総合」もついてなかったんじゃないかという気もしますけど──と協議を重ねながら、同機構による審査も受け、承認も得た上で貸し付け決定をしておりまして、貸し付け手続につきましては、デュープロセスに従って私はやってきたものと考えております。
 その償還指導につきましても、先ほど申し上げました昔の2件を除きまして、組合破綻後、現在では、あらゆる法的手段を駆使して債権回収をきっちり図ってございます。
 しかし、貸し付け審査とか、あるいは債権管理について、その時々において正当な手続に従って処理を行ってきたとはいえ、不測の結果もあるんでしょうが、結果として回収ができなくなったことについては残念であり、もちろん結果としての県の責任、ひいてはトップとしての私の責任もあるというふうに、昔のこととはいえ、現在、私は県庁を率いておりますので、そういうつもりで感じております。
 今後とも、そのときに最善と思われる措置をとってまいりたいと考えておりますが、教訓としてはどうかということをおっしゃいました。そこについて私が思いますのに、こういうふうに貸し付け等と、よほど慎重に考えないと、後々こういうことが起こるということもあるなというふうには思います。
 ただし、一方では、これは政策金融であります。政策金融であるということは、民間の金融機関のように何も考えないで債権の管理だけしてりゃいいんだというわけでも、これはまたないと思うわけです。
 したがって、安全ばかりでは政策金融としての立場もなくなってしまう。したがって、だからといって債権について、貸し付けについて、甘けりゃ甘いほどいいんだというわけでも全くないわけでありますので、この辺は大変難しいところではないかと思います。
 したがって、私は、もし手続的に何かおかしい、サボった、あるいは過失があった、そういうときには当然処分の対象にしないといけないと思いますけれども、そうでなければ、もし結果責任ばかり問うてると、果たして県の職員が普通の業務ができるでありましょうか。いろいろこの議場でもございましたように、萎縮が起こって何でも門前払いということになっても、これはまた問題ではないかと思うわけでございます。
 ただ、もう1つ言えば、現在、問題にしておられる1つの案件については、取引が身内で行われたというところがございました。それは、成功してれば、ちゃんとお金が返ってきて問題はなかったかもしれませんが、現に失敗をした。そういうときには、特に身内のときには、取引におかしなところがあったんじゃないかというような議論が当然出てくると思いますので、私の今の教訓としては、特にこういうときには慎重に、少し余計目に審査をするということが必要ではあったかなというふうに考えております。
 次に、包括外部監査の指摘でございますけれども、このことについては、もちろん当時から県は真摯に受けとめておりました。
 以来、実は担当課室の格上げをしたり、職員の増強をしたり、サービサーの活用などさまざまな手法を取り入れて、延滞債権の早期縮減に取り組んでいた、まさにそのきっかけになるものであったと考えております。
 その結果、先ほど申し上げましたように、高度化資金について2件失態があったということであるし、それから、これは私が就任してから聞きましたので、直ちにもう全部明らかにしようということで、近代化資金についてはまだ残っておりましたから、今、それを回収業者を入れて全部明らかにして、どんどんと表へ出していくという作業をしているところでございます。
 したがって、この包括外部監査の内容については、県庁としては十分これからの業務に生かしておるというふうに私は思っております。もちろん、今後も頑張ってまいりたいと思います。
 それから、高度化資金の地域改善対策案件については、同和対策事業特別措置法による社会的な背景を受け、県としては、昭和47年度以降、対象地域内の地場産業の振興、環境の改善等のために、合計で45件、約218億円の貸し付けを実行して一定の成果を得たというか、成果が不十分であったというか、そういうことかなというふうに思います。(「どっち」と呼ぶ者あり)両方ですね。つまり、失敗したものについては、残念ながら、その産業の振興を図り損なったということだろうと思います。
 ただ、議員御指摘のように、同和対策だからといって、それを一概に問題にするというのはいかがなものかと私は思います。個々の案件については、同和対策であろうとなかろうと、きちんとそれを審査をして、それで、その対象が栄えるように配慮し、それでまた一方では債権管理もきちんとやって、県民の財産を無駄遣いしないようにするということが我々に課されたこれからの義務ではないかなというふうに考えております。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 土砂等に関する条例に係る4点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、早期発見、未然防止のための手だてについてでございます。
 廃棄物処理法では、産業廃棄物の排出に当たりまして、その処理を許可業者に委託した場合、産業廃棄物管理票、いわゆるマニフェストを交付しなければならないこととされておりますが、産業廃棄物の自己物を排出場所とは別の場所に一時保管する、自己物を一時保管する際、届け出や許可も必要なく、帳簿等の作成義務もございません。行政が、その保管場所を把握しにくい状況になっております。
 したがいまして、一定規模以上の土地で産業廃棄物を一時保管する場合につきましては、排出事業者に届け出をさせることによりまして、その保管状況の把握を行いますとともに、適正な処分に向けた行政指導等が可能になるものと考えております。
 また、土砂の埋め立てに関しましては、過去にも廃棄物や汚染物質が混入された事件もございまして、県民の皆様からも、そういった埋め立てに対する懸念の声もございます。これらのことから、生活環境保全上の支障を未然に防止するため、土砂の埋め立てについて、水質や土壌の環境基準の遵守が必要であると考えております。
 さらに、崩落や流出といった災害発生のおそれもございますので、その防止のための土砂堆積の構造基準を整備いたしまして、一定規模以上のものにつきましては、その基準に適合するかどうか、審査をする許可制度を導入してまいりたいと考えております。
 次に、立入調査あるいは違反行為に対する罰則や是正策についてでございます。
 適正な処理や埋め立てがなされていないような場合の対応につきましては、事業者や土地所有者に必要な行政指導を行いますとともに、生活環境保全上、支障を来すおそれがある場合、措置命令等の行政処分を行うことも視野に入れてまいりたいと考えております。
 また、無届け出あるいは無許可での事業の執行、あるいは措置命令等の行政処分に従わない場合につきましては、懲役や罰金等の罰則での対応も必要ではないかと考えておりますが、今後、検察庁との協議を行ってまいりたいと考えております。
 次に、既設の現場に対する対応についてでございます。
 議員御指摘の条例施行前に完了している埋め立てにつきましては、条例の適用を行うことは、法的に遡及して規制することになるため、これは難しいと考えておりますが、条例施行の際、現に埋め立てを行っているものにつきましては、施行日から一定期間の経過後には許可を必要とするというふうに検討してまいりたいと考えております。
 先ほど申し上げました既に完了している現場における廃棄物による生活環境保全上支障や災害発生のおそれ等がある場合は、既存の法令、例えば廃棄物処理法等によりまして、積極的な行政指導を行ってまいりたいと考えております。
 最後に、市町村との連携・協力についてでございます。
 土砂の埋め立てに関しましては、県内7つの市町で独自の条例が既に制定をされておりますが、条例により規制のない市町村は依然として多いために、県下全域で土砂の埋め立てを適正に行わせるような条例が必要であると認識をしております。
 今後、県内の市町村との間で、規制の規模あるいは役割分担などにつきまして十分意見交換を行いまして、互いの連携を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 危機管理監杉本雅嗣君。
  〔杉本雅嗣君、登壇〕
○危機管理監(杉本雅嗣君) 津波から「逃げ切る!」支援対策プログラムについての御質問にお答えをいたします。
 県では、国の中央防災会議が策定した地震防災戦略及び県が実施した被害想定調査結果を踏まえまして、平成19年3月に和歌山県地震防災対策アクションプログラムを改訂したところでございます。
 このアクションプログラムでは、減災目標と、それを達成するための具体的な対策の目標を定めるとともに、個別アクションの見直しや追加を行ったところであります。
 その中で、津波対策の推進の具体的アクションの1つとして、津波から「逃げ切る!」支援対策プログラムの策定を位置づけております。
 支援対策プログラム(案)の主な内容でございますが、1つ目に、津波第1波の到達時間までに避難を完了させる対策として、新たな津波避難ビルや避難目標地点の設定及び避難路・避難施設の整備、2つ目に、津波第1波の浸水抑制により避難時間を確保する対策として、堤防・護岸の整備などを行うこととしております。これらの対策を関係8市町と協力し、取り組んでいくこととしており、現在、パブリックコメントを実施中でございまして、その意見を踏まえ、今年度末までに策定することとしております。
 次に、湯浅地区の避難困難地域の対策でございますが、湯浅町民体育館など、既に指定されている数カ所の避難場所などに加え、津波の浸水が想定されない安全な場所を避難目標地点として新たに設定することによりまして、避難困難地域を解消するものでございます。
○副議長(新島 雄君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 水門等の遠隔操作化や自動化についてでございますけれども、海南市を初めといたしまして、県下に6カ所の水門等で平成19年度中に運用を開始しております。
 湯浅広湾につきましては、地元湯浅町、広川町と協議を進めまして、平成20年度より2カ年をかけまして、3カ所の水門と4カ所の陸こうにつきまして、遠隔操作化等を実施する予定でございます。
 今後とも、短時間で安全に閉鎖できますよう、水門等の遠隔操作化を進めまして、津波被害の軽減を図ってまいりたいと考えております。
 それから、広川町西広地区の海岸につきましては、広川町が管理いたします唐尾漁港の区域内であります海岸でございまして、平成19年度より国、県の補助を受け、広川町が海岸耐震対策緊急事業に着手いたしまして、防潮堤の耐震調査を終えたところでございます。
 今後は、この結果を踏まえまして、防潮堤の補強、かさ上げを平成23年度までに完成する計画で進めていくと聞いております。
 県といたしましては、町と連携を図りながら事業を促進してまいります。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 中小企業高度化資金債権放棄の5項目の質問についてお答えしたいと思います。
 まず、融資決定までの手続についての御質問でございますが、申請当時、組合員5社は、直近の平成5年度決算におきまして、約16億円の売り上げ実績がございました。競争の激しい豆腐製造業界で今後生き残っていくためには、大型近代化製造設備の導入による経営の合理化・集約化を図り、あわせて労働環境の整備を図ることで、大手取引先からの需要ニーズに対応していくことが重要であると判断し、高度化事業の活用を図ったものでございます。
 融資の決定までの事務手続につきましては、平成6年5月に組合代表から旧桃山町を経由して借入予備申請の提出があり、現地調査や組合員ヒアリング等を実施いたしました。
 同年10月に提出されました事業実施計画書に基づき、県での予備診断実施後の同年12月には中小企業基盤整備機構──旧の中小企業総合事業団でございますが──と県との合同で本診断を実施しております。
 その後、当該組合に対しての診断勧告、組合からの回答、変更計画書の提出等の指導手続を中小企業基盤整備機構並びに中小企業庁などと密接な連携のもとに実施し、融資を実行したものでございます。
 なお、貸し付け時には、土地建物等の担保を設定し、組合員の責任の所在を明確化するため、全員が連帯保証人となるなど、債権保全策を図ったところでございます。
 次に、土地・建物の取得についての2番目、3番目の御質問についてでございますが、平成14年度包括外部監査における土地価格の算出につきましては、取得面積に基準地価格の平米単価5万円を掛け合わせ、さらに不動産鑑定評価の1つの手法でございます減価率54%を掛け合わせて取得見込み金額を試算しておりますことから、議員御指摘のように実際の取得価格と大きく乖離したものでございます。
 貸し付けに際しましては、土地売買契約の前に国土利用計画法第23条に基づく土地売買等届け出を行い、平成8年3月1日付の不勧告通知により、平米単価については許容範囲であるとの手続を踏んでおり、平米単価6万2500円は勧告上限の範囲内であると判断いたしました。
 土地の取得面積についてでございますが、事業の必要性から、周辺の3筆を買い足したものとなってございます。
 この事業計画の変更につきましても、変更診断を実施し、中小企業基盤整備機構と協議の上、処理したものでございます。
 また、建物につきましては、基本・実施設計段階から中小企業基盤整備機構の専門家の指導を仰ぎ、効率的な施設設計を進めるとともに、適切な投資額の指導をしてまいりました。当該施設は、最新の衛生管理システム、通称HACCP導入のための管理システムを備え、さらに施設コンセプトとして、豆腐製品製造工程を理解していただくため積極的に見学者を受け入れるための施設を充実させております。
 なお、組合は建築工事契約に際して、見積もり合わせを実施し、価格の適正化を図ったところでございます。(「答弁、手短に願います」と呼ぶ者あり)はい。
 また、貸し付け実行には、現場において、設計書をもとに構造的な検査を県の技術担当課が実施しており、整合性を図ったものと考えてございます。
 次に、4番目の事業計画の精度についてでございますが、先ほどもお答えいたしましたが、組合から提出されました事業実施計画書によれば、当時、既に組合員5社で相当売り上げ実績がありましたが、当高度化事業実施により、さらに毎年10%程度の売り上げ増が計画されておりました。
 中小企業基盤整備機構が中心となって実施いたしました本診断の結果、事業計画の内容は適格であり、目標の達成は可能であるとの報告を受けたところでございます。
 しかしながら、貸し付け後、大手取引先の破綻や競争激化からの値下げ要求等、取引先を取り巻くさまざまな環境の変化により、当初の事業計画を遂行できなくなったものでございます。
 最後でありますが、県と組合との関係についての御質問でございますが、融資の実行に当たりましては、先ほどから申してますように、中小企業基盤整備機構と県とで貸し付け事務手続に基づいて実行しておりますが、議員お話の総勘定元帳の件につきましては、組合役員等関係者の聞き取りを行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
 42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 答弁いただきました。
 時間の関係で、知事に再質問をさせていただきます。
 知事は、最近は逆質問が多いようでして、責任ばっかり問うては職員仕事でけへんというふうなお話ありましたけれども、私はそうじゃないと言ってるんですね。職員に責任とらせるんだったら、この250名の名簿を出して、先ほどの不作為の問題を、サボっていたといって職員処分したのあなたですよ。私は、職員を処分しろと言ってるんじゃない。この責任を、教訓を引き出して、どこに問題があったかというのをきっちり調べるのが県庁のとるべき責任だというふうにお願いをしているわけなんですね。
 経済的困難で、今ほんとに県民皆大変です。税金払えなかったり、国保払えなかったりして苦しんでます。その人たちは、整理回収機構へ送られて、通帳まで取られて、持ってる家まで追い出されて、本当に大変な目に遭ってるんですよ。ところが、こっちは金融債権だから、通帳もさわりにいかないわけでしょう。こんな中では、県民、これ納得できません。
 融資がおかしいんじゃないかと言って問うても、そのときは正しかったが、その後の経済のせいだと言う。もっと突っ込まれると、今度は国の承認も得てるので適正だと言うんですね。これは、いかにも責任逃れです。
 知事は結果責任、きょうおっしゃいましたけれども、私がきょう指摘した融資経過について、ずさんな融資を引き出した相手方にも、その融資決定をした県にも責任ないというふうにお考えなのかということを私は問うてるわけです。
 それから、部長のほうは、15万円のことについては、一度よく調べると言いました。これは今までとは違う答弁でした。でも、あとの全部は今までの延長線上だったというふうに思っております。これではだめだというふうに思うんですね。
 だから、知事に再質問をします。
 私の今回の質問の内容を聞いても、国の審査通ってるので、全く疑問の余地なしだというふうに知事は思ってらっしゃいますか。
 それから、2つ目には、あなた自身がみずから指示して、先ほどの設備のほうはいろいろ調べさせたと言いましたけども、これまでの融資に問題なしという県の説明を聞いて、高度化のほうは、その説明をうのみにして再調査を指示しなかったということなのかと、この2つ、お聞きをしたいというふうに思います。
 以上です。
○副議長(新島 雄君) この際、申し上げます。
 松坂議員の所定の60分を過ぎておりますので、御了解をいただきます。
 以上の再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 問題の案件についてというよりも、債権放棄について、県が責任がないとか、それから全く問題はなかったとか、そんなことを言ってるわけではありません。
 御質問の趣旨あるいは今まで聞かれてきたことは、例えば近代化資金との関係で、言っていることが違うじゃないかと言われたので、それはそんなことはございませんと。近代化資金の点については、それはあくまでも怠業であって、あるいは組織的な怠業があったので、この際、県民に陳謝をいたしますということを言うたわけです。
 今回の件についても、そもそも県が債権管理をして、本来ならば回収していてしかるべきものを、債権放棄のやむを得なきに至ったということについて、いけしゃあしゃあとお出ししているわけではございませんで、私は結果として県民の懐を痛めているということについて大変申しわけなく思っております。
 ただ、先ほど言いました物事の対比からすると、手続上、手続的に例えばこれをとめることができたかとか、あるいは何かの手続を全く怠ってやっていたかとか、そういうことについては、どうもなかったような気がするなというようなことを、今までの説明を聞いた中で私は理解しておりますということを申し上げたわけでございます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 所定の時間が参りました。
 以上で、松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は3月10日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後3時5分散会

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