平成20年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(大沢広太郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前10時1分開議
○議長(中村裕一君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議員提出議案第1号、議員提出議案第2号、議案第1号から議案第16号まで、議案第31号から議案第61号まで、及び議案第63号から議案第76号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 13番大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕(拍手)
○大沢広太郎君 皆さん、おはようございます。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 なかなかこの機会に恵まれず、久々の登壇になり、また、本会議での一般質問になりますので、いささか緊張しております。どうか、県御当局のわかりやすい答弁をお願いいたします。
 さて、仁坂知事におかれましては、就任されて初めて最初から予算編成に取り組まれた平成20年度予算案は、財政大変厳しい折、特に国においては道路特定財源をどうするかといった大きな問題がある中で、県内の高速道路や基幹道路の整備、そして新設といった課題を解決してほしいという県民の切なる願いを実現するため先頭に立って指揮されていることに対して、まずもって感謝と敬意を表するものであり、新長期総合計画の実現に向けての第一歩であると評価をさしていただきたいと思います。
 さて、私のライフワークでもあります水産振興対策についてお伺いをいたします。
 現在の水産業界を取り巻く状況についてでありますが、漁獲量や魚価の低迷、昨今の原油価格の高騰に伴う燃料費の急騰は、県下の漁業関係者にとってはまさに危機的な状況下でございます。
 昨今、地元漁業者の集まりに呼ばれまして話をするたびに、漁業者の人から出てくる言葉には「沖に魚がない。釣れん」、「釣ってきても値段が安い」、「これでは生活できへん」と、言われる言葉が決まって同じであります。このような現状では、県下の漁村は跡継ぎもなく、漁業者は高齢化し、減少により、漁村の地域活性化を図っていく上においても大きな問題となってきているのであります。
 一方、世界的には水産物需要は、中国等の需要急増によって水産物は品薄となり、近い将来、日本の国内では水産物の絶対量が不足してくることが予想されるところであります。そのためには、沿岸漁業の生産性を高め、生産量を維持することが求められているところであります。つまり、沿岸主要漁業を持続するために、つくり育てる漁業の推進と養殖業の振興が重要となってまいります。
 本県の海面漁業は、昭和61年の生産量8万8000トン、生産金額432億円をピークとして減少の一途をたどり、平成17年には生産量3万5000トン、生産金額187億円と、昭和61年に対して生産量で39.7%、生産金額では43.3%と、その衰退ぶりには目を覆うものがあります。
 こういった状況の中、先日、県は平成20年度から5年間の「水産業活性化アクションプログラム」を公表されました。漁業所得の向上を目指し、経営基盤の再構築、流通戦略の構築、水産基盤の整備など、水産業活性化に不可欠な種々の施策を盛り込んだものであり、ぜひとも強力に推進していただき、本県漁業の再生の一日も早い実現を期待するものでございます。
 そこで、水産業の振興対策として、中型まき網漁業の再編、水産物産地市場の再編整備、養殖業の推進、つくり育てる漁業、イサキ資源回復対策の5点についてお伺いをいたしたいと思います。
 まず、1点目といたしまして、2そうまき中型まき網漁業は本県の主要漁業に位置づけられております。この10年間の漁獲量と漁獲金額を比較いたしますと、平成8年の漁獲量が1万6000トン、漁獲金額が32億1000万円であったのが、平成18年にはそれぞれ1万トン、15億3000万円と、漁獲量で62%に、漁獲金額では48%に大きく減少をしております。その上、燃油や漁業資材の高騰により、中型まき網の漁業経営はまことに厳しい状況になってございます。
 まき網漁業の不振は、田辺、日高周辺の運送や水産加工業を初めとする地域経済にとって大きな問題であり、根本的な漁業持続対策が望まれております。
 そこで、平成20年度当初予算に新規に計上されております漁船漁業構造改革事業の中型まき網漁業の再編について、知事の御所見をお伺いしたいと思います。
 2点目といたしまして、水産物の価格が大幅に低下し、沿岸漁業者の経営が厳しい中、水産業活性化アクションプログラムの流通戦略の構築として産地市場を拠点化する流通基盤の整備を掲げておりますが、私も漁業者の所得向上を図るためには産地価格を上げることが重要であると考えておりまして、一昨年、山口県の萩魚市場へ調査に行ってまいりました。この市場は、県一漁協となった山口県漁協が運営をしており、従来から水産物を仲買人に売り、市場流通をさすだけではなくて、萩しーまーとという直販施設を市場内に建設し、地産地消を目指し、直接消費者に販売をすることもやっておりました。本県も、多くの観光客が訪れる中、産地市場の整備の中に消費者に直接販売する施設をつくることも1つの案ではないかと考えます。
 また、価格向上のためには、衛生管理の行き届いた施設による水産物の安全で安心できる供給体制の整備が必要ではないかと考えられ、このためにも、産地市場の統合整備について、県、市町村、地元漁協の3者が一体となった取り組みが必要であり、そのもとに進められるよう私も提案をしておきたいと思います。
 そこで、アクションプログラムの主要事業であります新政策にも位置づけられている産地市場の再編整備について、知事の御所見をお伺いいたします。
 3点目といたしましては、養殖業の推進についてでありますが、養殖業者は、生産価格の低迷や魚粉の高騰による飼料価格の値上がり、それに加えて昨今の燃油の高騰等によって、まさに経営に窮しているのが現状であります。こういった状況を打破するには、漁業者サイドではいかんともしがたい問題があるわけでありますが、本県の主要養殖生産物のマダイにつきましては、経済的、効果的な飼育技術、価値を高める高品質化技術への取り組みが不可欠であります。
 試験研究機関である水産試験場においては、こういった技術開発に対する一層の取り組みと、現在進めているクエの種苗生産技術の安定化による新たな養殖魚種への取り組みが不可欠と考えられます。こういった技術開発に一層の取り組みと速やかな成果の普及に努力していただきたいと思うところであります。
 また、一昨年から、県南部の海域において県外からマグロ養殖企業を誘致しようとする動きがあり、新聞紙上でも話題となっております。本県でマグロ養殖が盛んになるということは、養殖業の活性化、さらには養殖マグロを目玉にした地域振興に大いに貢献するものと期待されるところであります。
 そこで、養殖業の推進に対する県の方針について、農林水産部長にお伺いをいたします。
 4点目といたしましては、つくり育てる漁業の推進についてでありますが、さきにも述べましたように、世界的な水産物需要の高まりの中、近い将来、いわゆる魚不足が深刻な問題となってくることは確実であり、その解決方法として、つくり育てる漁業の重要性が一層増してくるものと考えられます。県でもこれまで取り組み、アワビやヒラメ等では一定の効果を上げておりますが、今後どのように進めていくのか、県の方針を農林水産部長にお伺いいたします。
 5点目といたしまして、イサギ資源回復対策についてであります。
 田辺・西牟婁地区における個人経営体の漁業者の多くは一本釣り漁業者であり、その漁獲対策種としてイサギは主要な魚種となっており、そのイサギの資源の増大対策について質問をいたします。
 近年の燃油の高騰は漁業においても多大な影響を与えておりますが、田辺・西牟婁地区の一本釣り漁業者も、漁業経営の経費の負担が増大をしております。そこで、比較的沿岸域での操業で水揚げが可能なイサギの漁獲には、近年より大きな期待がかけられております。また、一本釣り漁業者から積極的な資源の増大対策を強く要望されております。
 そこで、イサギ資源の回復のために、現在の取り組み状況と今後の強化について、当局はどう考えておられるのか、農林水産部長の御答弁をお願いいたします。
 続きまして、高速道路関係についてであります。
 我がふるさと田辺市に、昨年11月に待望久しかった近畿自動車道紀勢線南紀田辺インターチェンジが開通をして115日が経過いたしました。このインターチェンジの開通で、田辺市内やみなべ町内で生じていた交通渋滞も一気に減少し、私の場合、この議場にマイカーで通うのに、自宅から早朝で1時間20分ぐらいで到着することができるようになりました。非常にありがたく思い、感謝の気持ちいっぱいであります。
 また、南紀田辺インターチェンジとみなべインターチェンジの12月の1日の平均利用台数は1万台を超え、多くの観光客や物流の大きな波が、紀南地方にも活性化をもたらすかのようにじわじわ押し寄せてきています。年末年始には、紀南地方を訪れてくれた観光客数も、白浜で対前年比2.6%増の8万2200人が、本宮では10.5%増の28万4700人が、県全体で5.1%増の108万5300人と、本県の人口数よりも多い観光客の数となりました。
 寒波に見舞われた2月の3連休には、近畿地方の高速道路では余り大規模な交通渋滞はなかったものの、湯浅御坊道路の上り線は有田インターチェンジから御坊インターチェンジにかけて最大25キロの渋滞が生じました。これは、梅林の花見客や温泉の日帰り客の増加で渋滞が生じたもので、紀南地方は京阪神からの日帰り観光地、つまり紀南は近い、いつでも行くことができるという身近な観光地となったということであります。
 道路が整備されると、多くの物資や観光客を安心に、かつ安全に紀南地方へ運ぶことができるのは間違いありません。救急医療、地域振興はもちろんのこと、観光振興から農林水産業の振興までも図れるばかりではなく、広くPRすることにより、企業誘致などにも大きく貢献できることは明らかであります。
 ところで、今、国や地方で大きな話題となっているのが道路特定財源問題でありますが、仁坂知事も、この財源がなくなれば県財政は破綻すると記者会見をされました。この財源がなくなれば、紀伊半島一周道路はそれこそ絵にかいたもちで終わるのであります。
 紀南地方は、過疎化により経済状況は年々疲弊してきています。高速道路がなければ、地方は陸の孤島となりかねません。本来、政治の原点とは、経済発展が停滞していたり過疎化している町や村にこそ力を差し伸べ、光を当てるのが政治のあり方ではないでしょうか。国土の均衡ある発展という観点から、紀伊半島一周高速道路は必要不可欠なものであります。
 現在、田辺─すさみ間の新しい道路づくりが新直轄方式によって進められており、知事は新長期総合計画で平成27年の供用開始に向けて取り組んでおられますが、この道路建設予定地の南紀田辺インターチェンジから白浜インターまでの間には約150軒余りの住宅が存在していると聞いており、用地買収交渉がかなり長引いてしまうのではないかとの心配の声が地元でもささやかれているのであります。私ども紀南地方の人間にとりまして、高速道路の一日も早い紀南地方への延伸は最大の悲願でもあります。
 地元住民は、県当局の用地買収交渉のスピードアップに向けた取り組みを強く望んでおり、平成27年の開通を待ち望んでいるところであります。田辺─すさみ間の早期供用に向けての取り組みについて、県土整備部長の答弁をお願いいたします。
 最後に、日本人のブラジル移住100周年についてであります。
 1908年4月28日、神戸港から出航した移住船「笠戸丸」に乗って日本人がブラジルのサントス港へ渡って以来、本年は100周年の記念すべき年であります。「笠戸丸」以降、日本からは戦前19万人、戦後6万人の約25万人の方がブラジルへ移住し、その子孫も含め約140万人とも言われる世界最大の日系社会を築き、日系人はブラジル国内では高い評価を得ています。
 我が和歌山県からも、戦前約5000人、戦後、特に28年水害の被災以降、約1700人が移住されており、苦難、苦闘の歴史の中で努力を重ねてこられ、多くの成功者を輩出しております。
 私の知人の1人でもあります、2003年から独立行政法人国際協力機構JICAの派遣により、日系社会シニアボランティアとして3年間ブラジルで活躍された眞砂睦君が「遠くて近い国」という本を出版され、その中で和歌山県出身の方々の活躍ぶりが報告されております。また、眞砂君も参画しているボランティアの皆さんが中心となって、この4月に和歌山県中南米交流協会が結成される予定であると聞いております。
 さて、ブラジルは、国土が日本の約23倍、人口は約1億8000万人、資源、エネルギー、食料などを豊富に有しております。また、世界的な航空機メーカーであるエンブラエル社を初め、自動車産業など中南米第一の工業国であり、日系企業もサンパウロ市を中心に約200社が進出しております。
 先日、ブラジルの鉄鉱石の値上げが大きなニュースとして報じられましたが、鉄鉱石も豊富で、住友金属工業においてもミナスジェライス州に合弁会社を設立し、高級シームレスパイプの製造を準備しているところであります。さらに、地下の水資源も豊富であるため、農業は有望であると考えられます。
 このようにブラジルは、移民という歴史的な視点からも、また経済的側面においても、本県にとっては非常に重要なパートナーであると思うところであります。
 このブラジルと本県との交流は、地理的に遠いということもあり、県人会との周年事業を中心とした交流などに限られてきました。県議会でも、平越孝哉先輩議員が会長をされております日伯友好議員連盟を組織して、県人会の周年事業に参加するなど、親善友好の活動を続けてきたところであります。しかし、前述しましたように、1世紀前には1カ月以上かかった2万キロの船旅も、現在、飛行機で24時間余り、近くなり、より県民レベルでの活発な交流が可能となってきております。
 また、近年、主に就労を目的に来日する日系ブラジル人の人たちが増加をしており、現在では在日外国人の第3位となる約27万人のコミュニティーが存在するまでになっております。
 このように、さらに密接な関係となったブラジルと日本が、移住100周年という記念すべき年を迎えたわけであります。また、来年は県人会を設立して55周年の節目の年でもあります。
 そこで、知事室長にお伺いをいたします。
 日伯交流の本年並びに今後の和歌山県の対応についてお答えをいただきたいと思います。
 また、ブラジルといえばサッカー王国であります。スポーツを通じての交流という観点から、本県とブラジルの中・高校生によるサッカー交流事業を立ち上げることもいかがなものでしょうか。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの大沢広太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先ほどの御質問に関しまして、まず中型まき網漁業の再編についてお答え申し上げたいと思います。
 議員御指摘のように、本県水産業につきましては、漁獲量の減少、それから魚価の低迷等により非常に厳しい、全国でも特に厳しい状況にあり、議員お話しの主要漁業である中型まき網漁業の不振は、漁協経営や流通など、地域経済に及ぼす影響が大きいと認識しております。そのため、県におきましては、平成20年度から24年度までの水産業活性化アクションプログラムを策定したところでございまして、この中で、とりわけまき網船団のスリム化につきまして、ミニ船団化によって現状の8船団から5船団に、80隻から35隻に再編成し、コスト削減及び資源の持続的利用を図ることにより経営の安定化を目指してまいりたいと考えております。
 次に、産地市場の再編整備についてでございます。
 漁獲高の減少によりまして、産地市場によりましては、必要最小最適規模を下回るんじゃないかと、そういうおそれのあるところが出てきております。そこで、産地市場に漁獲物を集約化し、水産物の安定供給と販路の開拓を図るため、現在ある46市場を10年後を目途に大規模な拠点市場を5市場に、それからシラス、イセエビ等の特定魚種については7市場とし、合わせて12市場を目指して再編整備を進める予定でございます。また、その中では、大沢議員御指摘のように、消費者にも直接アピールするようないろんな工夫もしてまいりたいと考えております。
 このような中、20年度におきましては、水揚げ用浮き桟橋、あるいは蓄養施設等の整備を行う合併漁協に対して支援を行うこととしております。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 水産振興対策につきまして、3点お答えを申し上げたいと思います。
 まず、最初の養殖業の推進に対する県の方針についてでございますが、本県の養殖業につきましては、漁業生産額の約30%を占めてございまして、本県水産振興の上で重要な柱となってございます。
 現在、魚類とヒロメを組み合わせました環境に配慮した養殖の取り組みも進めてございまして、今後は生産履歴を明らかにしながら、より一層安全・安心な本県の養殖業を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
 こうした中で、お話ございましたように、高級魚で知られますクエにつきましては、新しい養殖対象魚種として近年注目もされてございます。そうした中で、既に近畿大学と連携をとりながら取り組んでいるところでございまして、今後、より種苗の安定供給に努力をしてまいりたいというふうに考えてございます。
 また、近年、世界的な需要拡大による市場価値の高いクロマグロの養殖についてでございますが、資本と技術力を持った業者の参入につきましては、新たな地元雇用等、地域の活性化につながるというふうに考えてございまして、お話がございましたように、平成17年度から、勝浦湾における養殖に向けて、地元の町、また漁業関係者との調整を行ってきてございます。
 こうした中で、このたびこうした調整も整いまして、本日付でございますが、勝浦漁協に対して漁業権を免許いたしまして、この3月下旬から、150トン規模の養殖が開始をするということになってございます。地元も大いに期待をいたしてございまして、今後ともこうした地域と共存できる養殖に、より積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、つくり育てる漁業の推進についてでございますが、平成17年5月に策定をいたしました栽培漁業基本計画、これに沿いまして、これまでマダイ、ヒラメ、イサキ等の魚類、またクルマエビ、アワビ等の放流を行ってきてございます。
 今後、水産資源の維持拡大を図るべく、漁業関係者や県の栽培漁業推進協議会の意見を聞きながら、新たな対象魚種の選定を行うとともに、良質な種苗を確保するということに取り組んでいきたいと考えてございます。
 さらに、放流までの中間育成、また放流後の小型魚の増殖場の造成等に努めまして、計画的かつ効率的につくり育てる漁業を推進してまいりたいと考えてございます。
 最後に、イサキ資源の回復対策についてでございますが、資源の増大を図るということから、国の水産基盤整備事業を活用いたしまして、平成18、19年度におきまして、イサキ稚魚の育成を行う漁礁を田辺地区に15基、白浜地区に15基、印南地区に15基、それぞれ設置をいたしておりまして、20年度におきましては御坊地区に15基、印南地区に7基を設置する予定で、イサキ増殖場の造成を進めているところでございます。
 イサキの種苗につきましては、財団法人でございます和歌山県栽培漁業協会で生産をされておりまして、本年度は漁業関係者によって約30万尾の放流を実施したところでございます。今後も、増殖場を中心といたしまして30万尾の放流を継続していく予定でございます。
 一方、漁業者の資源回復対策といたしましては、増殖場周辺におきまして漁業者みずから周年禁漁の取り組みを行ってございまして、漁場におきましては全長で20センチ以下の小型魚の再放流が実施をされてございます。これらの取り組みによりまして、徐々にその効果もあらわれてきているということでございます。
 現在、こうした自主禁漁中の増殖場周辺におきましては、漁業者の方々から公的規制を求める要望もございますので、今後検討してまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 高速道路関係のお尋ねでございますけれども、本県にとりまして紀伊半島を一周いたします高速道路の早期実現は、県民が暮らして、あるいは発展していくためのチャンスを保障するものとして極めて重要であると認識しております。そのためには、まず田辺─すさみ間の早期供用が必要ですが、この区間は、御承知のとおり新直轄方式で事業中でございまして、道路特定財源を使って整備しているため、国体までに供用いたしますためには現行の暫定税率等の継続が前提となっております。
 さて、具体的な進捗状況でございますけれども、田辺─すさみ間のほとんどの区間で用地幅ぐいの打設が完了し、用地測量、物件調査を行っているところでございます。来年度からは、県及び地元の田辺市、上富田町、白浜町、すさみ町が国から用地取得を受託する予定となっておりまして、用地測量、物件調査を終了した箇所から順次用地の取得に入ることとしてございます。
 事業進捗のためにも全力で取り組んでまいりますので、関係者のなお一層の御協力をお願いするものであります。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 知事室長曽根義廣君。
  〔曽根義廣君、登壇〕
○知事室長(曽根義廣君) 日伯交流の本年並びに今後の県の対応についてのお尋ねでございます。
 ブラジルとの交流につきましては、これまで在伯和歌山県人会の周年事業への参加や県人会子弟を技術研修生として招聘するなどの事業を行ってまいりました。しかし、県人会の構成員も3世、4世の時代を迎え、日本や県人会に対する意識も大きく変わってまいりました。
 こうした中、県といたしましては、本年7月に移住100周年記念事業として、県人会と共同し、参加者を募り、県民の皆様にブラジルを訪問していただくとともに、県人会及び県民からの事業提案による新たな青少年交流事業を行ってまいりたいと考えております。
 さらに、県人会設立55周年に当たる来年におきましては、これまで以上に幅広い分野の多くの方々に御参加いただけるような県民挙げてのブラジル、和歌山間の交流事業を県人会や和歌山県中南米交流協会等の皆様との連携のもと実現できるよう努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 13番大沢広太郎君。
○大沢広太郎君 知事初め担当部長から答弁をいただきました。
 1点だけ要望させていただきたいと思います。
 きのうの坂本登議員の質問に対して、知事はミカンや梅農家の年間の所得を550万にふやすことを目標にしているという話がありました。
 一方、水産業に従事する人々、すなわち漁師と言われる人たちの所得は、年間200万どころか1カ月10万円も収入がないというのが現状であり、大変苦しい状況に置かれておることは事実であります。このままほっておくと大変なことになるのではないかな、そのように思っているところであります。
 そこで、県土の多くを海に面している地理的好条件を生かし、漁業、水産業の振興対策を図り、従事している県民の生活を安定させ、何とか漁業地域を活性化させて、かつて全国に名をとどろかせた水産王国和歌山をもう一度復活させていただきたい、そのように考えております。
 幸い、水産業活性化アクションプログラムを作成されておりますので、知事初め当局の皆さんのさらなる努力と実行を切に要望するとともに、水産業に取り組む人たちにも温かい手を差し伸べていただくことを強く要望して、私の質問を終わります。
○議長(中村裕一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で大沢広太郎君の質問が終了いたしました。

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