平成20年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成20年2月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
────────────────────
議事日程 第4号
 平成20年3月5日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議員提出議案第1号、議員提出議案第2号、議案第1号から議案第16号まで、議案第31号から
議案第61号まで、及び議案第63号から議案第76号まで(質疑)
 第2 一般質問
────────────────────
会議に付した事件
 第1 議員提出議案第1号、議員提出議案第2号、議案第1号から議案第16号まで、議案第31号から
議案第61号まで、及び議案第63号から議案第76号まで(質疑)
 第2 一般質問
────────────────────
出席議員(45人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 川口文章
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 16番 下川俊樹
 17番 岸本 健
 18番 尾崎太郎
 19番 藤山将材
 20番 新島 雄
 21番 山下直也
 22番 井出益弘
 23番 宇治田栄蔵
 24番 多田純一
 25番 中 拓哉
 26番 角田秀樹
 27番 江上柳助
 28番 山田正彦
 29番 坂本 登
 30番 尾崎要二
 31番 中村裕一
 32番 服部 一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 藤本眞利子
 36番 長坂隆司
 37番 玉置公良
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(1人)
 10番 平木哲朗
────────────────────
説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        原 邦彰
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      杉本雅嗣
 総務部長       小濱孝夫
 企画部長       森 崇
 環境生活部長     楠本 隆
 福祉保健部長     井畑文男
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      小倉正義
 教育委員会委員長   樫畑直尚
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員長   大岡淳人
 警察本部長      鶴谷明憲
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     垣平高男
 選挙管理委員会委員長 山本恒男
────────────────────
職務のため出席した事務局職員
 事務局長       山本庄作
 次長         植野博文
 議事課長       薮上育男
 議事課副課長     土井敏弘
 議事班長       吉田政弘
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      石垣悦二
 議事課主査      瀧川泰治
 総務課長       下出喜久雄
 調査課長       佐本 明
────────────────────
  午前10時0分開議
○議長(中村裕一君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議員提出議案第1号、議員提出議案第2号、議案第1号から議案第16号まで、議案第31号から議案第61号まで、及び議案第63号から議案第76号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 29番坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕(拍手)
○坂本 登君 皆さん、おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさしていただきます。
 私の質問は、ふるさと再生の柱とも言うべき、過疎化する本県においての人材育成をどう進めるかと農業政策の2点について、当局にその考え方をお伺いするものであります。
 まず第1点目は、人材育成についてであります。
 私は、現在、議員の皆さん方の大変な御理解と御協力をいただき、文教常任委員長をさしていただいております。しかも、この常任委員長は前例にない2年続いてのものであり、このように光栄な職責を務めさせていただけるのも、ひとえに議員、とりわけ文教委員の皆さん方の温かい御支援があればこそ、深く感謝を申し上げます。この場をおかりして、厚くお礼を申し上げます。それだけに、文教委員長としての2年間の総括として、御協力、御支援をしていただいた議員の皆さんに、私の責任ある態度を明確にしておきたいと考えるからであります。
 私は、県議会議員になるに当たって考えたことは、議員になったら、ぜひ教育と農業政策に、少しでも県勢発展のために努力をしたいと考えていたからであります。梅農家に育った私は、農業をするんだから余り勉強する必要もないだろうと思い、高校時代には勉強も満足にせずにいました。しかし、そのことが社会人になって学力のなさを恥ずかしく思うとともに、家業の梅栽培・加工や建設業を経営する中で悔しい思いをしたときもありました。
 そのようなことから、子供たちには自分が歩んだ道や経験したことを家庭で話をし、子供たちへの勉強の必要さを何度も繰り返し話してきました。子供たちが学校へ行くようになってからは、私は、少しでも教育のことを知ろう、少しでも学校教育に協力しようと考え、微力ながら高等学校のPTAの会長を引き受け、さらには県高等学校PTA連合会の会長もさせていただき、未来の人づくり、学校教育の振興のために協力してまいりました。
 こうした経緯もあって、県会に身を置くようになっても、いつも文教委員を希望してきたわけであります。2年間の職責をいただいたことにこたえるためにも、一生懸命に取り組む必要を強く感じていました。そのためには、まず地元に足を運び、多くの方に耳を傾けることから実行したのであります。2年間の最後となる今2月議会には、子供たちの学力のこと、先生の資質、スポーツのことなど、それらの教育諸条件について私なりに総括できるよう勉強してまいりました。
 とりわけ、委員の御協力により県内6地方にわたって移動文教委員会を開催し、県教委から見えにくい東牟婁地方、西牟婁地方や、さらには伊都、那賀地方等の教育の現状を知りたいと思い、市町村教育委員会の委員、教育長や学校長などとも、それぞれの地方の教育上の課題や悩みを県教育長と一緒に聞いてまいりました。これは、ある意味では文教行政も地元に根差したものでなければならないと考えていたからでありますし、文教委員の全員もまたそのような考え方に立っていただいたからであります。このように県内6地方で文教委員会が地元の教育関係者と話し合いをしたのは、いまだかつて過去にも例がなかったと思います。
 私は、今置かれた立場、職責から新聞などを見たとき、すぐに教育などに目が移ってしまいます。本県の子供の学力テストは全国で44番目、国体成績は45位などの記事を見たとき、これで本当によいのか、2巡目国体をにらんだとき、もう今から何らかの手を打っておかなければいけないのではないかと思い、焦ってきます。これは、和歌山の子供たちは本当に学力が低いのか、和歌山の高校生の体力は全国的にも劣っているのか、それとも彼らの勉強する機会や経済的なゆとり、指導者や先生の資質に何らかの問題があるのか、教育条件が悪いのか、さらには県教委の指導等に問題がないのかなどの疑問が出てまいります。
 このような疑問から、子供のスポーツや学力の基礎を培う小学校、中学校の指導に当たっている市町村の教育長や校長の声をじかに聞きたいと思い、文教委員が6地方を回ったわけであります。その折、各地方の教育関係者からは次のような声が出ました。
 義務教育は地元に根差した教育でなければならないと言われながら、本当に地元に根差した、地域と結びついた教育行政をしてくれているのか。この考えに立つなら、何ゆえ県教育委員会は地方教育事務所を廃止し、それぞれの小中学校の人事配置を遠く離れた県教育委員会でしてしまうのか。地方の小中学校や地域の実情をよく知った指導主事や人事主事を教育事務所に配置し、市町村教育委員会と連携を密にして管理職の配置等をしていくことが必要不可欠であると思うが、県教委はこのことを軽視してしまっている。例えば、学校の管理職が3月末近くまで明らかにされず、その人事は市町村の教育長もわからない。そして、配置された校長は、「広域人事」という美名のもとに他の地方から配置される。学校の先生は、どんな校長がいつ来るのか不安の中で待ち、来た校長は、その地方のこと、子供のことなど何ひとつわからず戸惑ってしまっている。ひどいときには、校長も教頭も2人とも他の地方から配置され、新年度当初から本当に学校の機能がしていかないといったことも聞きました。
 また、県教育委員会は余りにも遠く、市町村の教育長や指導主事はすぐには相談ができず問題の処理が後手後手に回り、問題が大きくなってしまう。教育指導においても緊密な連携ができず、その指導力の弱さが問われ、さらに、人事は県教委がするのだからとの考えが現場で広がり、市町村の指導が現場に浸透しない。県教委は現場の声や意見を聞いていない。それがために現場の教師たちはやる気を失ってしまっている。もっと市町村教育委員会にも人事等の内申権を持たせてほしいといった声も聞きました。
 私の耳に聞こえてくる声には、市町村の教育長などは県教委に対してたくさんの意見や不満があるが、これを言ってしまうと、年度末の人事のとき教員の定数配置等で絞ってくるので損をするから言いたくとも言えない。それがため市町村教育委員会は、教育長や各学校長、さらには教師たちは自由な発想や意見が反映されず、学校現場は白けてしまい、やる気を失ってしまっている。そこから果たして、地元に根差した教育、地元に結びついた特色のある教育、子供たちの学力を伸ばすための教育が生まれてくるのだろうか。活気を失った学校現場では、PTA活動も活気を失うのは当然だと思います。
 全国の学力テストでは最上位にあるのは和歌山県と同じような県のように思います。ただ南か北かの違いだけであります。それらの県は、企業も少ない中で何とか優秀な人材を育成していこうとする教育委員会と学校現場との取り組みから出た結果であろうと思います。
 今までは、先生の仕事は楽だという声が一般的でした。しかし最近、国の教育再生会議等での調査では、先生の仕事は大変ハードであるとの結果が出ており、先生の勤務状態が見直されようとしています。これらの先生の勤務を軽減し、雑務をなくし、研修に打ち込むようにすることが大切であります。
 教師の資質の向上のための研修会も大事であり、それを指導する指導主事も大事であります。財政事情が厳しいということで各地方の教育事務所を廃止し、教育委員会の指導主事などの職員の人数を減らすことは、本県の子供たちの学力向上のためには、できるだけ避けるべきであります。
 次に、私が文教委員長1年目の昨年度、前教育長のとき、「和歌山県教育史」の史料編を作成しましたが、これには相当な県の予算を使ったと思います。しかし、この史料編には、平成3年から平成10年までの教育上の大きな出来事が、すっぽりと抜いています。このことについて、元教育長から前教育長に公開質問書を出し、彼はこれに答えず、元教育長から再度第三者すなわち教育関係者やマスコミ等の立ち会いのもとに公開討論をしたいと申し入れがあり、県議会議長と文教委員長あてにもその写しが送られてきて、協力を願いたいとの依頼がありました。
 私は、文教委員長という立場から、この提起を受け、前教育長に話し合うよう勧めましたが、逃げるばかりで、最終3人の教育局長を連れ、元教育長と話し合いをして、どうにか解決の方向を見つけましたが、この教育史料編を私は多くの教育関係者にも読ませ、その意見を聞きましたが、読んだ全員の意見は、余りにもずさんで、教育の歴史が埋没され、曲げられてしまっているとのことでした。
 元教育長は、天皇・皇后両陛下が全国の公立学校では初めてたちばな養護学校へ訪問したことや、国際理解教育、僻地教育の振興など重要な事項30項目ほどの例を挙げ、これらが教育の歴史から抜いてしまっている。これらの事項は、前教育長及び現在の教育委員が課長、次長当時のものであり、教育委員会のトップがすべてを知っていることである。したがって、これは意図的に抜いたものであり、県民の税金を使って後世の人々に和歌山の教育を完全にねじ曲げて伝えることであり、このことは見逃すことはできないといった内容であります。
 山口教育長は、この教育史のことを知ってますか。私は、文教委員長の責任を果たすため、このことを教育長はどう処理するのか確認をしておきたいと思います。
 なお、美術館の名誉館長についても聞きたいことがありますが、今回は質問を控えます。
 以下4点について伺います。
 国体成績45位はよくできた、国体はよく頑張ったというだけで済ませると思いますか。もちろん国体は成人も入っており、その主力は学校体育、スポーツにかかわると思いますが、7年後の本県開催2巡目国体を考えたとき、どう思いますか。もし国体の成績を上げる必要があると考えるなら、これからどのような方策を考えますか。過去のデータを示し、その対策を伺います。
 文教委員会が6地方を回ったとき、教育長も一緒に出席してくれたことは、私たち委員はその姿勢を高く評価します。これらの会場で出された問題点を聞き流すわけにはまいりません。意見に出された地元に根差した教育、子供の学力を高めるためには、地元を最もよく知った市町村の教育長などと密接に連携し、指導内容、人事等についてどうしていくのか。廃止してしまった教育事務所を復活できませんか。文教委員会の委員は、復活すべきであり、もしそれができなかったなら、教育事務所と同じような仕事をする室などを考え、その声にこたえるべきであると思っています。指導内容の充実、地域、学校をよく知った管理職を適材適所に配置すべく、地教委の意見を十分に聞くための教育事務所にかわる室だけでも置くべきではないかと考えていますが、その決意を具体的に伺います。
 我が国の子供たちの学力は過去世界でも高い水準にあったのが、今やそのレベルは国も慌てるほど低くなり、その低くなった国内にあって44位にある本県の子供の学力をどう見ますか。この子供たちの低い学力をどう高めていくのか、教育長の決意を聞きたい。
 小中学校の教育は、地元に根差した教育、地方の特色を生かした教育を進めながら子供の学力を向上させることは大事と思いますが、そのために、もっと学校現場の声や発想を受けとめ、それを聞けるような方途を探るべきであり、間違っても人事権などで押さえ込んでしまうような教育行政をすべきでないと思いますが、いかがですか。
 「和歌山県教育史」の予算はどれだけですか。教育長は、この教育史を読んで、県民に教育の歴史を正しく伝えると思いますか。抜けている大事な項目を今わかる範囲で具体的に説明していただきたい。教育長は、元教育長から質問書を受け取っていますか。この大きな予算を無駄遣いにしないため、教育長は教育史を今後どうしていきますか、具体的に伺います。
 以上、4点について伺います。
 次に、農業問題について伺います。
 私自身は、梅栽培面積2.5ヘクタールを持つ梅農家であります。それだけに、今回出された和歌山県長期総合計画における農業の位置づけ、方向づけには大変な興味を持ちましたし、農業で生計を立てているいわゆる専業農家、県下で9432戸の人々も同じ思いで受けとめたのではなかったかと推測します。
 この長期総合計画では、和歌山県の農業の特性は、和歌山県は恵まれた自然条件を生かした農林水産業が盛んであり、ミカン、梅などの果樹により果樹王国和歌山を形成、野菜や花卉は自然条件と高度な技術を生かした集約型農業を展開しているとの現状認識に立ち、さらに目指すべき方向は、安全・安心な農産物の安定供給を基本に、輸出も含めた新たな販売の開拓、加工品開発などにより農産物の高い付加価値化を図り、攻めの農業を目指すと述べ、これを受けて、農林水産業の振興は収益性の高い農業を目指す、具体的には担い手農家の年間農業所得を現在の1.5倍に当たる550万円と設定し、そのためにはおいしい和歌山のブランド力アップを図る、そしてさらに、今回力を入れていると思われる海外への輸出拡大によるミカン、柿、桃10億円作戦など意欲にあふれた取り組みが計画されておられます。
 また、新たな加工品づくりや県立医科大学と企業との共同研究など、産官学の連携による機能性食品の開発に取り組むことなどが約束されておられます。これは、さきに地元南部の梅農家が県立医科大学に対し、新たな梅の可能性を研究対象にしてほしいと寄附講座を開設したものを県が公式に取り上げたことであり、仲介の役割を果たした私といたしましても大きな充実感があります。また、寄附をした梅農家も、努力が報われたと大変喜んでおります。この成果を大いに期待するものであります。
 さて、私がこの長期総合計画で一番注目をしたのは、専業農家の所得水準を550万円と設定したことであります。本県の農業形態は、梅やミカン、そして柿などは極めて商品化率の高いものであり、その価格は、需要と供給の関係や自然条件に左右されることを考えますと、農産物を扱う農家の所得目標を設定したことは大変難しく、勇気の要ることであり、これをあえてしたことに敬意を表しますとともに、そんなにうまくいくものかと少し不安にも思います。この不安を、梅の栽培・加工に当たっている私の経験から述べたいと思います。
 かつて15年ほど前までは、梅は大変な好況を見せ、ミカンとともに本県を代表する果樹とまで言われました。私たち南部の里も活気づき、若者も地元に定着し、梅栽培を専業とする者も多く、テレビ、NHKでも、全国に誇る豊かな農村、若者が定着する農村、小学校の生徒がふえる農村と紹介されました。しかしながら、近年、外国産の梅なども入ってくる中で、梅の値段は低迷を続け、もはや梅の栽培・加工だけでは生活は立ち行かなくなり、加えて若者が農村から離れ、後継者のいない梅農家がふえ、過去の南部の姿を消しつつあります。
 現在では、農家の人々は、顔を合わせれば、「後継ぎが欲しい」、「嫁の来手がない」と言うのがあいさつがわりになっています。この梅農家にして、後継者不足と老齢化による問題が出てきています。他のミカン農家、米づくり農家も同じような状態なのではないかと思います。
 念のため、私は農業経営者です。県の目指す農業立県には大変大賛成です。特に、本県のような地理的環境の場合、地域の自然と結びついた農林水産業の振興は欠くことのできない重要な施策であります。
 評論家の金美鈴さんは、講演の中で、「和歌山は何てすばらしいところなんでしょう。食材がこんなに豊富なところに住んでみたい」と言っています。また、去る2月2日、3日の両日、日高郡を舞台に「人生の楽園」「にっぽん菜発見」──「サイ」とは野菜の「菜」です──これがテレビで放映されました。この放映の主たる目的は魚のクエでしたが、本当に和歌山の食材の豊富さを実感する番組でした。
 本県は、農産物、魚介類にも豊富な食材を有する県です。長期総合計画においても、「おいしい和歌山」の売り出しという魅力的な言葉を使いPR、販売戦略を強化することにより収益性の高い農業を実現すると、その戦略を明確に打ち出しています。「おいしい和歌山」とは、すなわち農産物を食材として位置づけ、この食材の付加価値化を高めていく宣言であろうと解釈します。農産物の高い付加価値化は、今後の産地間競争に勝ち抜く要因であるとするのであれば、現在の流通ルートに加え、こうした農産物、水産物などを県固有の食材として総合的にとらえ、文字どおり「おいしい和歌山」としてセットで消費者に提供することであろうと思います。
 私は、こうした取り組みが、生産の単位が小さく、ややもすれば市場競争力において劣ると言われる県内各地の特産物の付加価値化を、この際、連れもて引き上げていく効果が期待できるものと大きな関心を持っております。さらに、和歌山のグルメ資源、観光資源として売り出し、本県の魅力づくりに活用し、願わくば子供を対象にした食育の材料として活用し、郷土の味に誇りを持たしていってはどうかと提案するものであります。
 知事は、企業誘致を大きな看板にしています。私は、これについても大賛成です。企業の誘致政策は、いわば外部からの資本を導入して地域の活性化を図るやり方であり、一方、農産物の高付加価値化は、地域固有の資源を一層魅力的にした活性化であり、これら内と外との両面の政策には大きな期待をしております。
 そこで、知事及び関係部長に伺います。
 農業所得1.5倍作戦は大丈夫ですか。その根拠と今後の展望について伺います。
 現在の農家の平均所得はどれだけですか。農産物の価格は、自然との関係、需給との関係で決まります。そんなに直ちに1.5倍にはふえません。国の食料自給率わずかに40%程度の現状、しかも果樹や梅などは外国産に押され、値段がどんどん下落し、農家の経営は極度に苦しくなり、その影響から農家の若者は農村を離れていく中で、農業はもはや年寄りの仕事になっている現状をどう思いますか。
 専業農家の平均年齢は何歳ですか。過去10年間の専業農家の割合、後継者の割合はどうなっていますか。そして、これから後に、10年後にはどのようになるか伺います。
 販売の開拓と言っていますが、国内はもちろん、外国への輸出先はどのような国を考えていますか。温州ミカンは、梅と同じように確かにブランドとなるかもしれませんが、いろいろな理由から過去にも実現しなかったように聞いていますが、いかがですか。このような問題をどうクリアするのか、お伺いします。
 目標は高いほどよいと言いますが、根拠のある数値の上に立ったものでないと、結果は、夢を持たせ、県民や農民をだますことにつながります。「おいしい和歌山」の実現に向けて、知事はどういう政策展開を図ろうとしているのですか。具体的に説明をお願いします。
 以上、2項目について、知事、関係部長、教育長の答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの坂本登君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 農業所得、農業政策に関する御質問のうち、農業所得についてでございますが、議員御指摘のように、本県の主要農産物であります果実の国内消費の減少や、あるいは輸入農産物の一般的な増加等によりまして、本県でもまた農業所得が減少し、担い手の減少やあるいは高齢化など、農業を取り巻く情勢は厳しい状況にあるというふうに承知しております。
 こうした中で、農業生産法人を設立しインターネット販売等による独自の流通ルートの開拓や、あるいは農産物を活用した加工品づくり、あるいは養液栽培などの施設園芸の導入等により収入の幅を広げるなど、頑張っておられる農家の方々もございます。また、JAの中には、それぞれいろいろな工夫をして組合員の方々の所得を上げるような努力をしておられるところもたくさんあると承知しております。
 農業を魅力ある産業として持続・発展させるために、御指摘のように新長期総合計画においては、10年後に中核的な担い手農家1戸当たりの年間農業所得を、現在は377万円でございますが、そこから勤労者世帯並みの550万円にふやすことを目標にしております。その実現につきましては、議員御指摘のように、そんなに簡単ではないと思います。しかし、農業を再興し、後継者が喜んで農業を継いでいただくというためには、ぜひこの目標を実現しなきゃいけないというふうに思う次第でございます。
 そのためには、私は、特に流通段階での高付加価値化、高く売るということと、それから生産コストを下げるように生産側でも頑張るということが必要であると考えております。このため、多様な流通チャンネルへの販路開拓、あるいは海外の富裕層をターゲットとした本格的輸出の展開を初め、農商工連携による新たな加工品づくりとともに、生産側では遊休農地との一体的整備による省力化、こういうものを推進いたしまして所得の確保に努めてまいりたいと思っております。
 次に「おいしい和歌山」──これは新しい長期総合計画のキャッチフレーズでございますが──これの実現でございます。
 議員御指摘のように、梅、桃、ミカン、柿に代表される果実や、あるいはマグロ、カツオなど黒潮にはぐくまれました海の幸、伝統に培われたみそ、しょうゆなど、本県はまさに食材の宝庫であります。こうした地域資源の高付加価値化を図るため、その機能性に着目した特定保健用食品など新たな分野への取り組みが、ひいては農業の振興につながるものと考えております。
 今回の新長期総合計画においては、産学官の連携による研究開発など、積極的に取り組むこととしております。このためには、県の取り組みのみならず、農家の方々を初め民間の方々の盛り上がり、これも大事であると思います。その意味で、坂本議員初め南部の梅農家の皆様方が県立医科大学の寄附講座実現に御尽力いただきましたことに対しまして、改めて深く敬意を表したいと思っております。
 私は、農水産物や加工食品の販売促進に力を入れ、アクションプログラム2007を策定し、梅を初めとする4大果実のトップセールスを初め、商談会の開催、量販店等との協働によるフェアの開催など、いろいろな手を使いまして大いに販売促進に取り組んできたところでございます。さらに、県を代表するすぐれた県産品を広くアピールするための優良県産品推奨制度を近く立ち上げ、和歌山産のブランド力をさらに高めるとともに、食品加工を核といたしましてアグリビジネスの推進を通じまして、機能性を生かした商品づくりなどにも取り組んでまいりたいと思っております。これらの施策を総合的に推進することによりまして、和歌山産品の付加価値を高め、成果を高め、厳しい産地間競争に勝ち抜き、「おいしい和歌山」の実現を目指して頑張ってまいりたいと考えております。
○議長(中村裕一君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 農業問題の3点についてお答えをさしていただきたいと思います。
 まず、農家離れ等の現状と、それから専業農家の状況についてでございますが、この御質問につきましては一括してお答えをさせていただきたいと思います。
 農林水産省が行っております調査によりますと、本県における兼業農家も含めまして、販売農家の平成17年の平均の農業所得は153万円となってございますが、新長期総合計画に掲げております中核的担い手農家の所得につきましては377万となってございます。
 また、主に農業に従事する方の平均年齢でございますが、10年前の平成7年には59.1歳ということでございましたが、平成17年現在におきまして62.1歳と、3歳の上昇をいたしてございます。
 次に専業農家、いわゆる主業農家の割合についてでございますが、10年前は30%でございましたが、平成17年には26%と、4ポイント減少してございます。
 また、後継者たる30歳未満で主に農業に従事する方の割合につきましては、10年前の1.9%と同率ということでございます。
 こうした趨勢を踏まえまして、統計手法を用いて10年後を予測、推計をいたしますと、今後も専業農家あるいはその後継者の割合が低下をいたしまして高齢化が進むということを見込まれてございます。しかし一方、県のほうで調査をいたしております新規就農者数につきましては、平成14年度に105名ということでございましたが、平成18年には138名と増加をいたしてございます。特に、39歳以下の若い新規就農者につきましては、近畿府県の中でも最も多くなってございます。
 このように、10年先を見通した場合に、担い手の数、あるいはその年齢ともに厳しいものがございますが、今申し上げましたように一部に明るい兆しも見られてございます。
 今後、中核となる農業者を育成・確保していくという視点から、就農特待制度、就農安定資金の創設を初めといたしまして、新しい農業経営にチャレンジする認定農業者の育成、企業的経営を目指す農業法人の設立支援を行うなど、農業の内外からの多様な担い手の育成・確保を図りまして、専業農家等担い手が意欲を持って農業に取り組めるよう支援をしてまいりたいと考えてございます。
 次に4点目といたしまして、海外への農産品の販路開拓についてでございますが、これまでもミカンを中心にカナダ、香港等に向け実施をしてございましたが、円高による経済情勢の変化あるいはその代金決済、また商品の引き渡しの方法等によります商習慣の違いによりまして、本格的な輸出の定着には至らなかったのではないかというふうに考えてございます。
 また、近年、東アジアなどの近隣諸国では、経済発展に伴う富裕層の増加、また日本食への関心の高まりもございまして、こうした絶好の機会をとらえて、昨年より、商社OBで豊かな経験を持ってございます輸出アドバイザーからの支援を受けまして、台湾、香港、マレーシアでの海外フェアや海外バイヤーとの商談会などを実施してきてございます。この中で、現地の関係者の方々から、柿やミカン等について食味、また外観等がすぐれているなどの好評をいただいてございます。
 今後は、こうした経験を生かしまして、引き続きフェアや商談会を実施するとともに、新たに本格的な輸出につなげるための低温輸送システムの整備されているかどうかの状況、また嗜好性に関する市場調査等を行いまして、本県主要果実で10億円の目標達成に向けて努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教育関係、まず2巡目国体の取り組みと方策についてお答えをいたします。
 本県の国体での成績は、昭和46年の黒潮国体以降、昭和62年の1巡目国体最後となる沖縄国体で13位と全国上位を保っていたものの、平成13年の宮城国体で29位、ここ数年では40位台と低迷を続けておりまして、昨年の秋田国体では第45位となってございます。
 県といたしましても、7年後の和歌山国体では男女総合優勝を目標に掲げまして、昨年末の国体準備委員会常任委員会で決定いただきました競技力向上対策本部が中心となって、本県の競技水準を組織的、計画的に向上させることとしてございます。
 ジュニア競技者からの発掘・育成につきましては、私自身も講習会等において指導者の意識改革を呼びかけ、7年後の主役となる子供たち全体の体力向上を図りながら、平成18年度からスタートいたしましたゴールデンキッズ発掘プロジェクトと連動して、中学生、高校生の競技力向上に取り組んでまいります。
 また、競技力の向上を図る上で、優秀な指導者の養成・確保が不可欠であると考えますので、県教育委員会といたしましては、きのくにエクセレントコーチ制度を活用し、すぐれた指導力を有する現職及び退職した教職員などにより、より広域な場で指導力を発揮いただくとともに、広く県内外からすぐれた人材を確保し、適正な配置に努めてまいります。
 今後、育成・強化の主体となる各競技団体の積極的な活動を初め、県や県体育協会などの関係機関が一丸となって、7年後の和歌山国体における男女総合優勝の獲得を目指して総合的な競技力向上対策に取り組んでいく所存でございます。
 次に、教育事務所の機能を再考してはどうかという点についてお答えいたします。
 まず、坂本文教委員長を初め文教委員会の委員の皆様が県内6地方で市町村の教育長や小中学校の校長会の代表から意見を聞く機会を設けていただきましたことに、改めてお礼を申し上げます。
 県教育委員会では、地方教育事務所廃止に際し、本庁各課室の体制を強化するとともに、田辺市にある教育センター学びの丘内に市町村支援の拠点を設け、指導の充実を図ってまいりました。
 しかしながら、今回6地方でお聞きした意見等を踏まえ、来年度に向けましては、これまで以上に地方別の教育長会議や指導主事会を開催し、現場の意見を聞く機会をふやすこととしております。さらに、市町村の協力を得て指導主事が駐在する室を設けるなどし、地方における支援拠点の整備を図り、指導と人事の両面で市町村との密接な連携を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、学力向上と地域連携については、これまで本県では、平成15年度から児童生徒の学習状況を把握するため学力診断テストを実施し、さらに生活と学習に関する意識や実態調査も行うことで子供たちの学力向上を目指した取り組みを進めてまいりました。また、本年度実施されました全国学力・学習状況調査の結果を見ましても、基礎・基本を問う問題ではおおむね満足できる状況にあるものの、記述式問題におきまして、県学力診断テストと同様に無回答が多い状況や、読解力、思考力、表現力に関して課題が見られます。これらの課題を解決することが生きる力につながる確かな学力を育成する上で重要であると考えます。
 今後、新施策としての地域共育コミュニティの創設や学校評価等の充実を図りまして、より一層、地方の声や発想を大切にした施策が実施できるよう努めてまいります。また、今まで以上に指導主事が各市町村への支援を行うとともに、学力を高めるための拠点校を設置し、効果的な学力向上方策を普及してまいります。
 次に、「和歌山県教育史」につきましては、お話のように、元教育長から質問状をいただき、庁内において確認、検討を行ってまいりました。県教育委員会では、平成12年度から教育史の研究者等で構成する県教育史編纂委員会を設けまして、「和歌山県教育史」全3巻の編さんに取り組んでおり、今年度までの8年間に要した事業費は約3770万円となってございます。
 平成18年3月に刊行した史料編の編さんに際しましては、国立・県立の公文書館や図書館やあるいは県内の学校等を史料調査しまして2229点の掲載候補史料を選び、そこからさらに772点を選択して収録をしてございます。
 議員御指摘の質問書に示された内容といたしまして、天皇・皇后両陛下のたちばな養護学校訪問、トルコとの交流や各学校での姉妹校提携を初めとした国際交流、学校と聾学校など校種を超えた学校間連携、PTAの全国大会や近畿大会、全国アウトドアスポーツ大会、全国産業教育フェア、全国学校保健研究大会など多くの全国大会の開催、あるいはPTAの皆様に御苦労いただきました国旗・国歌の問題など30数項目が史料編に収録されておらず、国体につきましても開会式の記事が紹介されているだけでございました。
 県教育委員会といたしましては、この御指摘を真摯に受けとめまして、編纂委員会に相談するとともに、県教育史編纂庁内連絡会議におきまして、史料編に収録されていないすべての指摘項目について再調査と発掘に努めてまいりました。その結果を編纂委員会に報告し、現在編さん中でございます通史編のⅡに加える形で、新たに確認できた史料を活用し、その内容に応じまして、本文や年表、資料として適切に記述し、補足することになってございます。この教育史は、本県で初めての編さんであり、後世に残る記録でありますので、可能な限り重要な事項が網羅されるよう努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 以上で、坂本登君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番服部 一君。
  〔服部 一君、登壇〕(拍手)
○服部 一君 おはようございます。早朝より大勢の皆さん傍聴にお越しいただきまして御苦労さんでございます。
 ただいま議長から一般質問の許可をいただきました。通告に従って質問をさしていただきたいと思います。
 先ほど、坂本議員のほうから農政問題について質問されましたけれども、私も、今回、農業振興1本に絞らしていただいて質問をさしていただきます。答弁は、ダブるかもわからないと思いますので、省いていただいて結構でございます。質問は簡潔にさしていただきますので、十分時間があると思いますので、ゆっくりと丁寧にお答えをいただけたらと思います。
 まず、仁坂知事さんに考え方をお聞きしたいと思います。
 元気な和歌山を目指して、仁坂知事さんも大変頑張ってくださっております。10年後を目指して長期総合計画も立て、提案をされました。和歌山の人口が年々減少していく中で、10年後は97万5000人を推定して、全体から見て県民1人当たりの所得を400万を目指そうとしております。長い道中でありますので、社会、経済の変化によって見直しも余儀なくされると思いますが、まずは議会も県民もその気になって取り組まなければならないと思います。
 私は、この長期計画を立てるに当たっては、コンサルや専門家によって原案を作成して検討していく自治体も多くあると思いますが、今回は、仁坂知事みずからが和歌山を思い、和歌山の将来を考えて、時間をかけて真剣に取り組まれ、また議会も長計の特別委員会が設置されまして、細部にわたって検討された姿に敬意を表するとともに、私もその特別委員会を傍聴さしていただきまして、1つの考えを持ったのであります。
 和歌山県は半島というハンデもありますが、気候、風土に恵まれて歴史も古く、名所旧跡の多い観光立県であり、農業立県であります。長計を見直しながらもこれをすべてやるとするならば、すばらしい我が和歌山県になるでしょう。福祉はもちろんでありますが、仁坂知事は観光立県、農業立県に力を注がれています。私は、やり方によっては条件がそろっていると思います。
 実は、私は今も農業現役であります。農家の長男の宿命もありまして、小さいころから手伝い、経営をしてまいりました。まあ自慢やないけど、「農業にかけては任しといて」と言いたいぐらいです。
 約半世紀、よかったこともありましたけども、苦しかったこともあり、しかし、農業なればこそということもたくさんありました。しかし、今はどうでしょう。後継者不足になり、農業収入だけではやっていけない農家がたくさんあるでしょう。
 なぜ日本の農業が担い手を欠き、行き詰まっているのでしょう。私は、大きく2つあると考えます。
 まず1つは、経済発展による農外雇用の拡大で、貧しかった時代の自作農の若者が大量に農外に流出した。若者をとどめる農業の新しい発展、構造改革が大きく立ちおくれたことにあると思います。80年代から、自作農は上層規模の専業農家ほど苦しくなり、中核農家や主業農家、専業農家が消えていったと考えられます。
 2つ目は、経済発展は新しい仕組みの農業経営を生み出しましたが、行き過ぎた農産物輸入自由化と上からの農政手法がこれらの自主的発展を抑えたことにあります。惰性的なばらまき支援は日本農業の仕組みがえによる発展を妨げると言われています。国において、もっともっと農政に力を入れてもらいたいと思いますが、仁坂知事さんのトップセールスを筆頭にして、我が和歌山県独特の農業振興をやっていこうではありませんか。
 和歌山県は何でもつくれるメリットもありますが、これと絞って一本化した産地づくり、特産物ブランドづくりが難しい面もあると思います。しかし、皆が本当にその気になってアタックすれば、やれないことがないと思います。それぞれの地域の特性、特徴を生かせるような指導とバックアップだと考えます。
 そこで、知事さんに農業振興の基本的な考えをお聞かせください。
 また、私が9月の定例議会の一般質問で、かき・もも研究所を主に、試験場、センター、研究所の問題を取り上げました。知事さんは、全体を見る中で検討し、また、せっかくの提案であるので一度現地視察もしてみますということでした。大変お忙しい状況でありますが、できるだけ早い時期に御視察いただけますよう要望しておきます。
 次から、一つ一つ個別の問題については農林水産部長にお尋ねをいたします。
 まず、農業後継者の確保についてお尋ねします。
 長計では、新規就農者を年間200人を目指すということでありますが、ここ1~2年の新規就農者、Uターン、Iターンの状況はどうですか。また、農業後継者は、子弟だけでなく、農業をやっていない人、企業も含むという考えでありますが、特に企業を含むということについてはどうお考えですか。
 次に、優良農地の確保についてお尋ねします。
 農業振興をしていく上で、今後、優良農地の確保に、荒廃地、遊休農地をどのような考え方や手段で対応していくのか、お答えください。
 次に、ため池の保全と利活用についてお尋ねいたします。
 ため池と言いますと、江上先生から「ため池先生」と言われておりますが、これには私の考え方も入れてお尋ねをしたいと思います。
 規模拡大や近代的農業を目指したい人、新規就農者、Uターン、Iターンを歓迎する中で、資金もさることながら、まず土地の問題があります。さきの質問で、どのような形で優良農地をつくり出すのか聞いていますが、経営規模も問題であります。
 そこで、私は、老朽、危険、活用していないため池を圃場整備できないものかと考えるのです。もちろん持ち主や水利権者もあり、県がどうする、こうすると言うことはできないでしょうが、以下、お尋ねしてまいります。
 まず、ため池等整備事業の本来の性質と過去2年間の進捗状況、事業費はどのぐらいになっていますか。
 次に、県下にはたくさんのため池があると思いますが、県下のため池の数はどのぐらいありますか、お教えください。
 今、私、ここに池の分布図を持ってまいりました。全県下の分布図をつくるということは大変でありますので、旧粉河町と紀の川市の池の分布図をこしらえました。これは旧粉河町の池の分布図なんです。(図面を示す)経費節約の上で後ろのほうが大変見にくいと思いますが、内容は大変充実をしております。これも見にくいと思いますが、これが紀の川市全域の分布図なんです。余り、見えにくいとこにも意義があるのでございます。これも、市の職員さんや県の職員さんにつくっていただきました。大変見えにくいので失礼をいたしましたけれども、これを見る限り、いかに池の水利を中心にして農業が盛んになったかということがよくわかります。また、官地、団体、個人持ちと、この分布図で色分けもしてあります。
 そこで、この池についての質問をさしていただきます。
 平成17年3月末で終わりました国よりの里道水路の払い下げの中で、池について市町村に払い下げられた状況はどうなっていますか。
 古い昔、水利のために人力で池をつくり、相当な労力、資金を投じていると思います。今や地球温暖化が叫ばれる中、緑や水は最も大切であり、むやみやたらにつぶすというのではありません。活用していない老朽、危険なため池を修理するにしても、負担金を払えない池、市町村に払い下げられたこのような池について、圃場整備へと指導できないものか。
 もう1つ、紀の川用水との関係であります。
 ギブ・アンド・テークの考えで、ため池への補給など、紀の川用水の活用に対する方策はないですか。今回の補正でも、紀の川用水への貸付金10億7500万円が計上されました。私も委員会で賛成をしましたが、県が大きな借金があるのに他に金を貸すという考え方に私も考えを持つわけなんですけども、5~6年前に終了したと思いますが、紀の川用水受益者負担軽減ということで、県の指導もあって、沿線自治体が10年間負担をした経緯もありますが、現状を教えてください。
 最後に、ため池の安全・安心についてお尋ねします。
 東南海地震が予測される中で、特に津波対策については随分と綿密な対策も講じられてきています。しかし、ため池についても、淡路大震災のときを思えばおろそかにできないと思います。分布図でもわかるように、池は水利を考えて、水をまかせるように上から下へと考えてつくられています。そういう地域が多いのです。上が決壊すればドミノ倒しのようになり、下が大変な被害となるでしょう。
 当初予算に上げている農地防災事業費の中で、ため池関係で5億210万円計上されております。池に対する対応というのが大変だと思います。ため池調査費で2625万円が計上されていますが、池についてはどのような調査をされるのか、お尋ねします。また、紀の川市の調査はどのようになっているか、状況をお教えください。
 また、危機管理面からも見て、地域住民にももっともっと関心を持たせる必要があると思いますが、今後どうしますか。そして、ため池台帳とともに、一目でわかるような分布図もつくっておけばとアドバイスをして、私の一般質問を終わります。
 持ち時間、まだたくさん残っておりますので、ひとつゆっくりと詳しく御答弁をいただきたいと思います。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの服部一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 農業振興の基本的な考え方についてでございます。
 経済発展に伴い、農業構造も大きく変化していることは十分承知しておりまして、議員お話しの担い手の減少を初め、農業所得の減少・不安定化、あるいは耕作放棄地の増加といった現実を厳しく受けとめております。
 ただ、農業を世界的に見ますと、世界的には石油代替燃料としてバイオエタノール需要の拡大に伴う原料のトウモロコシや小麦の価格が高騰したり、あるいは国連が発表した世界人口の増加予測の中で、今後、食料の世界的な争奪戦が厳しくなるなど、農業が国際的な交渉を進める上での戦略の1つになっているということも事実ではないかと思います。
 そういう意味では、世界的に見ますと、農業は決して衰退産業でも、あるいはつけ足しでも残りでも全くありません。また、人々の需要も高度化すると思います。栄養の補給という観点は、どんどん相対的に小さくなって、むしろ健康あるいは安全などのほか、おいしさを求める、そういう消費者がふえてくると思います。そして、イメージと満足感、これで買うものを決めるというような傾向も強まっていると思います。
 そこで、本県の農業を見てみますと、本県は果樹王国であります。温州ミカン、柿、梅、桃などの果樹栽培を中心に、地域経済を支える重要な産業となっております。そういう意味では、まさにこれからの消費者の需要に合わせて、そういうものを我が物としていくチャンスがあるものと考えております。しかしながら、こういうチャンスはじっとしていては回ってはまいりません。チャンスを生かして収益性の高い農業を実現させることが重要であると認識しております。
 このような考え方のもとに、知事就任以来、生産振興に加えまして、農産物の販売促進に特に力を入れまして、販売促進アクションプログラムの作成を初め、全国の大消費地でのトップセールスや輸出も含めた新たな販路開拓、食品産業と連携した新たな商品開発に取り組んできたところでございます。
 今後、新長期総合計画や来年度の新施策として発表いたしました農林水産物の販売促進と農業王国和歌山の創造に基づきまして、国内外への販売促進の強化はもちろんでありますけれども、生産面でも担い手の育成・確保や働きやすい農地づくり、それから地域の特性を生かした高品質な農産物の生産対策や、あるいは皆さんお困りの鳥獣害防止対策にも積極的に取り組みまして農業の活性化を図ってまいりたいと考えております。
○議長(中村裕一君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 農業振興の問題につきまして、4点お答えをさしていただきたいと思います。
 まず、第1点目の農業後継者の確保についてでございますが、平成18年度の新規就農者は138名ということでございまして、前年度に比べて5名増加をいたしております。その内訳につきましては、新規学卒が38名、Uターンが69名、Iターンが19名、それから農業生産法人等への就農が12名ということになってございます。
 新しい長期総合計画におきまして、年間200名、これを目標にいたしてございまして、農業の就業者が減少して、また農業後継者のみではなかなかその地域農業を維持できない状況にあるということの中で、農外からの新規参入も積極的に確保をしていくことが重要というふうに考えてございます。そのため、農家子弟の方、また新規就農者を対象といたしまして、農業大学校での養成や就農支援センターでの就農研修などに加えまして、平成20年度から新たに就農特待制度、また就農安定資金の貸し付けを行う新農業人あんしん自立支援事業を展開することといたしてございまして、意欲ある担い手の確保により一層取り組んでまいりたいと考えてございます。
 また、お話ございました企業の農業参入につきましては、多様な担い手の1つと考えてございますが、市町村におきまして、農業経営基盤強化促進法がございます、これに基づいて参入区域が設定をされてございます。その中で、また地域における活動報告等が義務づけられてもございますので、今後、参入に当たりましては、こうしたことを踏まえまして地元関係者の意向を十分酌み、地域と一体となった産地づくりができるよう努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、優良農地の確保についてでございますが、将来的な産地の維持発展ということから必要不可欠なことであるというふうに考えてございます。このため、県では、傾斜地や、また形の悪い不整形園が多い条件不利地域におきまして、地元関係者の意向を踏まえながら耕作放棄地を取り込むなど、地域の実態に応じた新しい整備手法等によりまして優良農地の確保に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
 また、耕作放棄されている優良農地を対象にいたしまして、市町村の解消計画に基づいて、農業生産などに再利用する担い手等への復旧経費の支援、また6年以上の長期の貸借への誘導など、新たな対策に取り組むと。さらにまた、果樹産地におきましては、JA、農協選果場等を単位といたしまして、農地の流動化や労働力の調整機能を持った新しい組織づくり、これも進めてまいりたいと考えてございます。こうした施策によりまして担い手への優良農地の集積を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
 次に、ため池の保全と利活用についてでございますが、ため池等整備事業につきましては、農業用水の安定供給と被害の未然防止を図るという考え方のもとに、関係市町村と協議を行いながら計画的に改修整備を進めてきてございます。
 お話のように、過去2年間の事業の進捗状況につきましては、平成18年度において新規3地区を含む6地区、事業費で3億2970万円、平成19年度は新規3地区を含む8地区の事業費で3億8955万により県営事業として実施をしてございます。
 次に、ため池は県内に5566カ所ございまして、このうち国有財産である1226カ所のため池につきましては、平成17年3月31日までに市町村に移管がえされたものと承知をしてございますが、その後、ため池等につきましては廃止等もございますので、現在、市町村のデータと照合を行っているところでございます。
 次に、ため池の改修方策につきましては、議員お話しの数カ所のため池の統廃合や、また周辺農地との一体的な圃場整備につきましては、ため池の有効な活用方策の1つであるというふうに考えてございまして、今後、地元の要望を踏まえ、関係市町村と協議をしてまいりたいと思ってございます。
 また、ため池の統廃合などに伴う紀の川用水の活用についてでございますが、平成13年度から実施をしております国営農業用水再編対策事業、これでは、紀の川用水だけでなく、既存のため池とあわせて、橋本から和歌山市内の1900ヘクタールの農地をかんがいするということになってございます。このため、またため池への補給等につきましては、受益地全体の農業用水の需要を見ながら、個別具体的に紀の川用水土地改良区と協議をしてまいりたいと思ってございます。
 なお、紀の川用水土地改良区への貸付金につきましては、平成13年度をピークに毎年減少しておりまして、今後も順次減少していく計画となってございます。
 最後に、ため池の安全・安心につきましては、和歌山県地域防災計画に位置づけているため池も含めまして420カ所を対象に、平成16年度より耐震性などの安全性について現地調査、また土質調査を実施しております。このうち、紀の川市分につきましては78カ所の調査を実施してございます。この調査結果につきましては、関係市町村、また関係水利組合等に周知をいたしまして、ため池整備の推進を図っているところでございます。
 また、平成20年度からハザードマップ作成の指導も含めまして、地域住民の防災意識の向上を図るために新たに啓発資料を作成するとともに、ため池の適正な維持管理が地域ぐるみでの保全活動として定着できるよう取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 32番服部 一君。
○服部 一君 答弁、ありがとうございました。1点だけお聞きしたいと思います。
 紀の川用水については、また個別に勉強さしていただきますけども、貸付金について、13年度から減少しているということでありますが、最終年度はどのぐらいになるか、お示しいただけますか。
○議長(中村裕一君) 以上の再質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 紀の川用水土地改良区の経営状況等の問題もございますが、試算の方法もいろいろとあるかと思いますが、現在の試算では、まだ20年から30年ぐらいかかるというふうに思ってございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 以上で、服部一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時22分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(新島 雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 6番向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 皆さん、こんにちは。議長のお許しがありましたので、通告に従いまして一般質問を行わさしていただきます。
 私、きょうの一般質問は、県立中学校について、また近代美術館について、それからひきこもりについてということで質問をさしていただきます。
 まず、県立中学校についてでございますが、平成16年4月に向陽高等学校の中に向陽中学校が県立中学校として初めて開校されまして、自来4年が経過しました。平成18年に橋本、田辺両高等学校の中で中学校が誕生いたしました。本年度は、桐蔭高等学校の中に誕生いたしました。20年度には日高中学校が開校する予定でございます。
 私は、開校間もない向陽高等学校を訪ねまして、中学校の運営について幾つか質問をしてまいりました。そういうことを思い出しながら質問を進めてまいりたいと思います。
 平成15年3月に、和歌山県中高一貫教育推進懇談会が結成されまして、「和歌山県における今後の中高一貫教育の在り方について」の報告書を取りまとめてございます。平成16年に県下初の県立中学校が開校して4年。ここで一度振り返ってみて、4年間の実績等を踏まえ検証してみるのも大事かな、こういうふうに思うわけでございます。
 ここに、私の手元に、「向陽高校における併設型中高一貫教育について」ということで、資料がございます。それを少し紹介しますと、「このたび、本県では初めての公立の併設型中高一貫教育を開始することになりました」ということで、向陽高等学校の中に中学校を置くということが書いてますが、一番の目指す教育ということで、豊かな人間性と高い知性を持つスケールの大きな地球市民の育成に努めるんだと、こういうふうにうたってございます。この地球市民の育成に努めるという観点から、少し質問を進めてまいりたいと思うのでございます。
 県立中学校の入学選考等のあり方についてということで御質問いたします。教育長に御質問したいと思います。
 入学選考の時期が小学校6年生であります。今までランドセルを背負ってるかわいいお子さんであります。この年齢の男女の発育過程に、身体的にも学力的にも相当の開きがあります。これは認めざるを得ないわけでございます。女性の優位は顕著であります。県立中学校5校のうち、中でも古佐田丘中学校──これは橋本高校の中にあります──桐蔭の両校は男女比が顕著であります。募集定員は80名であります。本年合格者数は、古佐田丘が女子54人、男子26人、桐蔭は女子52人、男子28人となってございます。男子の中学生にとっては非常に狭き門であるということには間違いございません。
 全国で中学校を2校以上設置の都県の状況を調べてみました。和歌山県を入れて14都県のうち、入学選考における男女調整を行っているのが、栃木県、東京都、長崎県がいずれも男女50%ずつの調整をしております。本県でも入学選考における男女調整をする必要はないのかということをお尋ねいたします。
 ここで少し県下の5中学の本年の入学者の応募率、それから応募数と合格率、倍数を申し上げますと──定員はいずれも80名であります──古佐田丘、志願者数260人、倍率3.25、向陽、507名の志願者、倍率6.34、桐蔭、542名、倍率6.77、田辺、179名、倍率2.23、日高附属、128名の志願者に対して倍率は1.6と、こういうふうになっております。紀南のほうが志願者が非常に少ないということが数字で出ております。子供さんの数が少ないんかなという思いでございます。
 そういうことで、この入学者選考等のあり方について教育長に御質問したいわけでございます。
 続きまして、高校入学者選抜への影響につきまして御質問申し上げます。
 県立中学校の高校進学時には、80名、高校クラスが中学枠として割り当てられるわけです。もう既に向陽中学から高校へ進学したと。4年開校してますから、ことし高校へ入学する1年生が80名あるわけですね。当然、2クラス分の枠をそこで食ってしまうわけです。
 ちょっと例を挙げてお話しさしていただきますと、私の地元の橋本高等学校、20年度は普通科が1クラス減になりました。それで5クラスになりました。21年度には古佐田丘中学から進学80名が出まして、2クラスの枠を食ってしまうわけです。ということは、残される枠は3つしかないということです。120人の枠しか残らないということになるわけです。したがって、市町村立中学校から橋本高校へ進学する場合は、相当厳しい関門、厳しい門になるというふうに思うんです。そうではないでしょうか。
 それで、特に紀南のほうは、もともと子供さんが少ない。そこへ田辺と日高附属に2クラス分、それぞれ4クラス行くわけですから、それでなくても子供さんが少なくなっているのに、市町村立の中学校ではなかなか子供さんが来てくれないという状況になります。
 そういうことで、学校の運営もそうですが、PTAなんかの運営も大変だろうなと。現場の市町村の方々、教育関係者は非常に頭を悩ましてる1つの問題であります。1つのいいことがあったら、別な方向で苦労する人が必ずいるということであります。私は、こういうことで危惧しております。
 例えば、今までは──5つの中学校ですべて3年生まで生徒が埋まったときには、1200名の県立中学校の生徒がふえる。ということは、市町村立の中学校から1200名が減るという、これは事実です。ということは、1200人分の大きな経費の負担を県が抱え込むということも事実であります。
 そういうことで次に質問をさしていただくんですが、県立中学校の施設の整備についてであります。これは、教育長と総務部長にお答えいただきたいと思うんですが、高等学校の空き教室を利用してスタートいたしました県立中学校でございます。走りながら考えるスタートになりました。しかし、実績は上がっております。
 私、向陽高校に初めてお邪魔して話を伺ったときに──これは前にもお話ししました──校長いわく、夏休みに、「あんたとこは来年の4月から中学校開校するで」と言われて、ばたばたしながら、とにかく走りながら開校に何とかこぎつけた。しかし、おかげさまで全国統一の模擬試験も十数位に入るようなすばらしい子供が集まりました。走りながらやった割には非常に成果が上がった、こういうことで話しておりましたが、しかし、残念ながら施設はお粗末であります。現場へ行っても、お粗末であります。当然のことでありまして、空き教室を利用してのスタートであります。
 ほかの県へ研修に行きました。私、行ってきましたら、初めから中学校と高等学校を新しく建てて併設学校をつくっておるということも目の当たりにいたしました。設備がよくなったから学校の質もよくなるんか、そうとは一概には申し上げられませんが、この4年間経過して県立中学校整備のための経費が幾らつぎ込まれたんかよということを聞くときに、実情はいささかお寒い限りであります。
 県立中学校といえども義務教育であります。他の公立中学校に比べ設備が劣っていては、高い理念を掲げ、せっかく船出した県立中学校が、県民の期待とは裏腹に沈没してしまうのではないかと危惧するものであります。
 義務教育は、勉学はもちろんのこと、部活も大事であります。中体連という大きな大会もあります。そこにも参加できないという種目がたくさんあります。中学校で部活としてやっているのは、ほとんどが個人競技であります。高等学校のグラウンドを使って、高等学校でサッカーもやり、硬式野球もやっている、そこで、横で中学校が軟式野球の部活をやろうと思っても、これはできない。サッカーもできない。したがって、個人競技のみやっております。
 そういうことで、私は早急な施設の整備を望みます。ただ、私は、運動場をもう1つつくれとか、体育館をもう1つつくれ、プールをもう1つつくれというふうに申し上げているつもりはございません。私は、あくまでも、中学校設立について、非常にいい結果を残してきたことに対して、「フレー、フレー」ということで応援団であるという立場でお話をさしていただいておりますので、どうぞ間違わんようにお願いしたいと思います。
 次に、高校入学選抜の前・後期についてお伺いします。
 ことしから前期、後期に分けて選抜試験を実施しております。何でこの前期、後期を導入したか。恐らく、前に比べて非常にメリットがあるということでしたんだと思います。したがって、私は、どんなメリットがあるのかなと実施したてんまつをお伺いしたいのと、こんなことがよかったというふうに教えていただきたいなと思いますが、実情はそうじゃない。
 前期、後期に分けて募集枠を決めております。全部一遍に出さない。小出しにする。前期で本来一発でやってもろたら、定員募集枠いっぱいの合格者がその場で決まるわけです。ところが、前・後期に分けてやると半分ぐらいの受検者は必ず不合格になる。そうすると、学校へ帰ったら、だれがあかなんだというのはわかるわけ。そうすると、後期に合格するまでの間は、受検者にとって、また家族にとって非常に厳しい期間を強いられる。これを考えてやってもらいたい。
 いやいや、そうじゃない、その厳しい環境にも増してこんないいことがあるんやよということがあったら教えてほしい。私は、即刻廃止すべき、もとへ戻すべきだと考えております。あしきは速やかに廃止すべし、こういうことで、この質問をさしていただいております。
 続きまして、県立近代美術館についてお伺いします。
 「県立近代美術館はだれのもんですか」と尋ねられたら、当然、「県民のもんですよ」、だれも言います。設立に際しては広く県民に愛され利用されることを基本としてつくりますと、当時の西口知事が申しておりました。しかし、残念ながらそうでもなさそうなんです。
 県民から広く作品を募り、優秀作品を展示する、その作品の展示を近代美術館は頑固に拒み続けております。これは、私は県展の話をしています。60年の歴史があるんです。再優秀作品には知事賞も出ております。また、議長賞も出ております。玄関上がってもろたとこに議長賞を去年受賞した作品を展示さしていただいております。あの女性の絵ですが、あの非常にええ絵、あれを展示さしていただいとる。出展数も、毎年大体180点から190点と聞いております。知事賞、議長賞を出して表彰もしてる。関係筋から漏れ聞く話として、県展に出されてる──ちっちゃい声で言いますが──県展に出されてる、来る作品は県立近代美術館に展示するほどの作品ではない、こんなに聞こえてくる。
 そら世界の一流の作家がつくった作品と比べたら当然落ちるのは当たり前です。しかし、県民の本当に作品をつくる能力を持った人が一生懸命つくり上げた作品を、和歌山県の最高レベルの、まあ言うならば美術館の甲子園です。甲子園へ出たいと思って一生懸命やって、甲子園へ出る資格を得たら紀三井寺の球場でやれと言われたら、やっとった人はがくっ。こういうことが今起こっとる。したがって、私は、近代美術館に出展をしてもらいますよということで、この和歌山県の美術の底上げをねらってもらいたい、こういうことをお願いしたいわけでございます。
 県立の美術館と理解するならば、また入場者数の増加につながる催しをしなければなりません。今、県展は県内4カ所を巡回して県民に広く見ていただいていますが、各会場で相当な人がそれを見に来ております。そういう意味から、私は、県展はぜひ県立美術館で開催してほしいな、こういうふうに思うんですね。
 それで、たまたま去年が60回の記念、節目になっておりまして、その県立美術館で展示さしてもろたんですが、私は事あるごとにそういうことを言ってまして、県展を美術館でとうとうしてくれるようになったということで私もテープカットに行きまして喜んでやったら、その年だけやった。残念なことです。
 開館してからの入場者数についてお知らせください。また、展示開催はどのように、だれが決定しているのか。これも教えてほしいなと思うんです。
 それから最後に、県展の開催に向けて教育委員会は前向きに検討していただきたい。だめよという検討じゃなしに、するにはどうしたらええんかという検討をお願いしたいと思います。
 それから、最後になってまいりましたが、ひきこもり対策について、知事と、それから福祉保健部長にお伺いいたします。
 今、日本人の心は至るところで病んでおります。一見健康そうに見えても、昔の人のように他人を気遣う優しい心とか、また企業家、商売人の良心、すべての人々の心にその病がついてしもとる。生きていくことの難しさ、苦しさが蔓延しておると思います。
 かつて日本は、敗戦当時、みんなが貧しかった。「ひきこもり」といった言葉も、ここ15年くらい前から出てきたようにも思うんです。毎日食事するにも事欠く、生きるのが精いっぱいであったあのころは本当にみんなが元気であった、このように思います。この貧しさから抜け出したいと頑張って、今豊かになって、すると、思いもよらぬ心を病む人たちが多くなった。このことは、病んでいる人たちの責任でもなく、無論日本を豊かにした人たちの責任でもありません。飽食の陰につきまとう陰の部分のようにも思うのでございます。今後も豊かさを求め続けていくとするならば、陰の部分にも手を差し伸べる必要があるのではないでしょうか。
 この多くの福祉分野に、国、地方自治体は手を差し伸べておりますが、ひきこもり者に対しては、国、地方自治体は無関心をとり続けております。国は、法的な整備を怠り、地方自治体の対策をおくらしております。
 今、全国でひきこもり者が100万人と推定されております。この100万人の数字は和歌山県の人口に匹敵するものであります。和歌山県にも7000~8000人のひきこもり者がおられるというふうに言われております。これは、あくまでも推定の数字であります。かつて、広島市が個々にひきこもり者の調査をいたしました。そのときの率を出したものを掛けたのが、日本国では大体100万人、和歌山県では7000~8000人ということでありましょうか。
 こんなにも多くのひきこもり者がいるのに、国や自治体が動こうといたしません。あなた方は本当に何を考えているのかと言わざるを得ないと思います。もっと真剣に悩める人々の声なき声を、家族の声を真摯に聞いていただきたいと思うのであります。
 家族の方々とお話ししますと、ほとんどの家族の方は1回や2回、この子と一緒に死にたい、こういうふうに思ったという方が必ずいます。それだけ大変なんですね。国は早急にひきこもり者対策の法的整備を行うことを強く要請したいのであります。また、和歌山県議会としても、このことについて意見書の提出をすべく検討するよう、強く強くお願い申し上げておきたいと思います。
 ひきこもり者福祉に、国の厚い壁に風穴をあけたいのであります。和歌山県下を見ると、和歌山市、田辺市の2カ所で、ささやかではありますが、民間で作業所を開設しております。県もこの施設に対して補助金を支出しておりますが、「やっています」と言えるものではございません。
 そこで、今後の県の対応についてお伺いしたいと思います。
 ひきこもり者の居場所づくりについて、福祉保健部長にお伺いいたします。この施設、居場所は、ひきこもり者の家族の心のケア、それから相談、ひきこもり者の宿泊所というような施設でございます。
 もう1つ、ひきこもり者を支援する人材の育成についてでございます。福祉保健部長にお伺いします。
 国の法整備ができなくても、和歌山県では各保健所に専門員1名ずつ配備してくれております。また、ビッグ愛に家族会も結成されております。また、田辺市では専門員が1人おりまして、積極的に対応してくれてますが、自分とこのことが精いっぱいで、とても他のほうに手が回るというものでもないというふうに聞かされております。7000~8000人と言われているひきこもり者に対しまして対応するには、余りにも人材が少な過ぎます。ましてや市町村に至っては、辛うじて田辺市で1名の相談員がいるのみで、県は速やかにひきこもり者や家族に対して精神科医も含め人材の育成に取り組むことを強く切望いたしまして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ひきこもり対策について、私に御質問でございましたので、お答えをさしていただきます。
 県では、先ほど議員から御指摘がありましたように、和歌山市と田辺市におきまして、ささやかにと議員がおっしゃいましたけれども、国に先駆けてひきこもり対策に取り組んでおります。
 私は、心を元気にするということが和歌山を元気にする究極の課題であるというふうに思っております。議員御指摘のように、豊かになった社会の陰の部分、これを解決しなければならないということは、まことに御指摘のとおりだと考えております。その意味で、このひきこもりというのは、現象として、事実としてそこにある話でございますので、県としてもこれは放置できない問題だというふうに考えております。
 国のレベルにおきましては、残念ながら、ひきこもりに対する適切な支援方法あるいは対策、具体的な方法、こういうものについての取り組みがおくれているというか、まだやられてないというか、そういう状況にあります。和歌山県の対応につきましても、これでいいのかどうかというようなことについては今後とも検討していかなければならないと思っております。
 ひきこもり問題の重要性、多分今後ますます増加すると考えておりまして、国に対しては総合的なひきこもり者の支援を求めて要望していきたいと思っております。
 来年度に向けまして国に対して要望していく、そういうプロセスがあるかと思いますので、そのタイミングを見計らって、ぜひこれはちゃんと正面から取り上げてもらいたいというようなことを私は言っていきたいと思いますし、また県独自の対応につきましても、まさに国のモデルになるようなものをどうやったらつくっていけるのか、そういうことについて、議会の方々とも御相談を申し上げながら今後検討してまいりたいと考えております。
○副議長(新島 雄君) 総務部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○総務部長(小濱孝夫君) 県立中学校の施設整備につきましてお答えをいたします。
 県立中学校の運営に当たりましては、教室の改修や教材・備品の整備など、その都度必要経費について措置してきたところでございます。
 今後とも、県立中学校の施設整備につきましては、生徒の勉学等に支障を来さないように、教育委員会と十分協議しながら適切に対応してまいります。
○副議長(新島 雄君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) ひきこもり対策について一括してお答え申し上げます。
 県では、平成16年度から全国に先駆けて、ひきこもり者に対し、相談、居場所の提供及び家族支援を行っているNPO法人を社会的ひきこもり者社会参加センターとして県内で2カ所指定いたしまして、その所在する市とともに、センターに対する運営に補助する支援を行ってございます。
 ひきこもり対策については、国においては、地域保健福祉の分野に携わる人に対してひきこもりの対応指針であるガイドラインを示していますが、抜本的な対策がまだ明示されてございません。県では、先ほど申し上げた支援を行っているところでございますが、専門的、技術的はもとより財政的にも限界があることから、国に対してひきこもり者支援を早期に実施するよう引き続き要望するとともに、先ほど知事からも答弁させていただきましたように、今後とも国の対応を踏まえつつ、県としましても県の単独施策についてどのようなことがやっていけるか検討してまいりたいと、そのように考えてございます。
 ひきこもりの原因はさまざまであり、ひきこもりからの回復のためには、ひきこもり者やその家族に対して支援のできる人材の育成が必要でございます。県では、保健所及び精神保健福祉センターにおいて、ひきこもりの相談窓口を設置した上で、ひきこもり者支援相談者の養成や資質向上を図るため、ひきこもりサポーターの養成研修やひきこもり者相談従事者研修会を開催してございます。今後は、ひきこもり者やその家族からの相談のみならず、直接支援ができる人材の育成にも努めてまいりたいと、そのように考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教育関係、県立中学校の入学者選考についてお答えいたします。
 県立中学校の志願者は、学校説明会やリーフレット等を参考に、それぞれの学校の目標や特色を理解し、目的意識を持って出願しておりまして、この時点から男女数の差が見られます。
 入学者選考では、性差に関係なく志願者1人1人の意欲や適性等を多面的、総合的に判断しております。その結果として、学校によっては男子の多い学年、女子の多い学年があることは承知してございますが、それは6年間を見通した教育課程の特色が反映していることが考えられます。各校とも、全教職員が生徒の実態に合わせた指導を展開するなど、魅力ある充実した教育活動に努めているところでございます。
 今後とも、さまざまな観点から、よりよい選考のあり方について研究してまいりたいというふうに存じます。
 県立中学校を併設する高等学校の募集定員につきましては、小中学校卒業児童生徒数の推移ですとか地域の状況及び進学率等を踏まえまして、総合的な観点に立って決定をしております。その際、県立中学校の設置によって高等学校の入学者の枠が圧迫されることのないよう配慮してきたところでございますので、御理解をいただきたいと存じます。
 今後も、市町村立中学校及び県立中学校の卒業者や地域の状況、ニーズ等を考慮しながら慎重に検討を行ってまいりたいと考えます。
 次に、県立中学校の施設整備につきましては、議員お話しのように空き教室等を普通教室に改修するとともに、高校の特別教室や備品等を有効に活用しながら中学生の興味や関心に応じた専門の科目に対応できるよう、新たに技術教室の設置や中学校専用の職員室あるいは保健室を設けるなど、施設の整備に努めてきたところでございます。
 今後とも、より一層各学校と連携をとりながら、特色のある教育活動が実施できるよう工夫をするとともに、その充実に努めてまいりたいと存じます。
 次に、高等学校入学者選抜についてお答えいたします。
 以前行っておりました推薦入学につきましては、推薦を受ける生徒が一部に限られるため、すべての受検生に複数の受検機会を与えるべきではないかなど、中学校及び保護者からの要望を受けまして、平成19年度入試から前・後期制を導入したものでございます。
 現在のところ、余り頻繁に入試制度を変えることは混乱を招くとの中学校長会等の意見を踏まえまして、当面は継続する必要があるかと考えますが、今後、中学校、高等学校の校長会やPTA等の意見を聞きながら、よりよい入試のあり方を研究してまいりたいというふうに考えます。
 次に、県立近代美術館についてお答えいたします。
 県立近代美術館における入館者数は、平成6年の開館以来、81万人余りの方々に御来館をいただきました。近年、来館者数も増加傾向にございまして、本年度は現時点で既に昨年度実績を約2万9000人上回る8万9000人の方々に御来館いただきました。
 また、展覧会の開催につきましては、海外美術の秀作の紹介、和歌山ゆかりの作家の紹介、日本近代美術の再評価、同時代の美術という開催方針に基づき、諮問機関である美術館協議会の御指導もいただきながら、県民のための博物館施設として県民の皆さんに喜んでいただける企画開催に努力をしているところでございます。
 そういった状況の中で、県展を近代美術館で開催すべきではないかとの御指摘につきましては、これまでも平成12年度から美術館1階に和歌山のアートコーナーを設置しまして、県展の受賞作約35点を毎年御紹介しておりまして、また平成18年度には、県展60周年を記念した特別事業といたしまして「和歌山の美術を担う作家たち展」を開催し、県展創設時の審査員を紹介する部門を併設しまして、県展の歴史を振り返るなどの企画も提供してきたところでございます。
 なお、県展を近代美術館で開催することにつきましては、近代美術館のあり方に沿いつつ、県展の新しい形も含め、開催に向けて前向きな姿勢を持って関係部局と協議を重ねているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
 6番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 御答弁いただいたわけでございますが、近代美術館で前向きに検討してまいるということでありましたので、ありがとうということでございますが。
 高校入試の前・後期の制度を取り入れたということ。まあ確かに、今つくってまた改変ということはいかがかなということでございますが、それじゃ、やっぱり──今、父兄も、何よというので非常に戸惑っておるわけですね。教育委員会としたら、これはいい制度やと、そういう理念で導入していただいたんですが、現実、それを導入した結果が出ております。結果が出たら、何よという。確かに前期で落ちた人は後期でもう一遍という2回のテストの機会は与えられるわけでございますが、しかし、受検者の心を傷つける。これは、まあはっきり言うて、何かをするのに2回もプレッシャーをかけてやるなという、私はそういう思いで今質問しとるわけですね。
 それで、1回、たまたま不合格になったとしても、どこかで補欠の募集はあるわけです。そこへ応募はできるわけですから、やっぱりプレッシャーは1回だけにしたってほしいと。これは、家族のプレッシャーも大変ですし、学校の中での生徒間の話の中でもそれが出てくるらしい。そういうことを考えたら、いいと思ってやっても、そういう片方でデメリットが、非常に大きな、人の心を傷つけるようなことが起こってきつつあるんであれば、これは速やかに改めるべきが最善ではなかろうかな、こういうことでございますので、前向きというんか、とにかくもとへ戻してもろたら非常にありがたいと、こういうことを強く要望して質問を終わります。
○副議長(新島 雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、本日最後の質問をさせていただきます。御清聴、よろしくお願い申し上げます。
 まず最初に、新長期総合計画と社会保障について質問をいたします。
 新長期総合計画は、2008年から2017年の10年間を計画期間とし、県政を進める上での指針として提案されています。
 現在、日本の国は、政府が推し進めてきた構造改革路線のもとで貧困と格差の広がりが問題になっています。警察の統計によれば、自殺者が1998年から2006年の間、3万人前後にも上る方がみずから命を絶っています。中でも、中高年の男性の自殺が際立っているということです。和歌山県においても254人の方が自殺されています。そのうち圧倒的に男性が76%、そして自殺率は全国平均を上回っています。年齢別に見ると、40代、50代を合わせると40%近くを占めています。リストラによる失職や借金がその背景にあると指摘をされています。
 一方では、300万人以上もの失業者が出ているにもかかわらず、年間総実労働時間は短縮されず、さらに長時間過密労働になっています。しかし、労働者の賃金水準は徐々に下がる一方で、就職ができても今の初任給では自立した生活がなかなかできません。ホームレスも多数生み出されています。厚労省の概数調査によれば、全国に2万5000人もの人が野宿生活をしているということです。
 格差と貧困が広がり、深刻な状態になったのはなぜでしょうか。その要因には、規制緩和の名で労働法制の改定を次々と進め、正社員を減らし、極端な低賃金や無権利状態に置かれる不安定雇用の労働者を急増させてきたことがあります。また、連続的に進められた税制、社会保障改悪も、貧困と格差の広がりに拍車をかけました。
 県の2006年度労働条件等実態調査報告によると、3分の1がアルバイト、派遣、契約社員という不安定雇用となっています。
 私の知り合いで、県内の大手企業に派遣で勤めている方がいますが、「3年で現職場をかわらなければいけないことになっており、次の仕事があるかどうかもわからないので将来設計も立てられないし、夢を持つこともできない。私ら物扱いや」と言われています。パートは時間契約なので、残業できない分、派遣社員がその残業をカバーすることになり、残業ができなければ派遣会社にも雇ってもらえないとも言います。
 また、税制は所得の再配分という役割を果たしますが、この間進められてきたのは、年金所得者への増税、定率減税の廃止という庶民増税と大企業や大資産家への減税であり、社会的格差を拡大するものとなってきました。社会保障は、医療、年金、介護、障害者支援で連続的な改悪が強行されました。
 資本主義は、本来、優勝劣敗の自由競争を原理としています。そのマイナスの結果を補正しなければ、機会の平等も保てなくなるのではないでしょうか。社会保障とは、本来人間らしい暮らしの支えとなるべきものですが、支えが最も必要な低所得者を逆に社会保障から排除するものになってきていると思います。また、直接税、社会保険料が収入の低下ほどには減少しないために、可処分所得の低下を引き起こしていることも格差拡大の要因になっていると思います。
 日本における社会保障支出の対国内総生産比は、EU加盟諸国全体の26.2%に比べると、8.7%も低い17.5%しか占めていません。社会福祉分野における市場原理を排して、社会福祉利用費負担は応益ではなく応能負担の原則を貫くこと、そして人間らしく、人間らしい生活を保障することが緊急な課題だと考えます。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 厳しい状況のもと、県民の命、暮らしを守るということで県の果たす役割を今回の長計にはどのように盛り込まれたのでしょうか、お答えください。
 2番目に、後期高齢者医療制度について質問いたします。
 この4月から国が実施しようとしている後期高齢者医療制度は、県議会でも見直しの意見書が採択されました。日増しにこの制度に対する怒りの声が大きくなっています。地方議会の意見書の数も、現在で505自治体から出され、全体の28%にもなっています。県内では、県議会と15の市町議会から意見が上がっています。
 今、ようやく各自治体で説明会が行われていますが、多くの県民は、まだ制度の理解ができていないのが現状ではないでしょうか。中でも、説明を聞いた方は、検査を含め十分な治療が受けられるのか、医療内容のことについて説明がほとんどないのでということで不安を抱えています。「長生きせんでええと言われているようで仕方がない」と言っています。
 生活保護受給者を除く75歳以上すべての人が強制的に加入させられる後期高齢者医療制度は、今加入している健保や国保から抜けて加入しなければなりません。健保など被用者保険の扶養家族になっていた場合は、新たに保険料の負担がふえることになります。障害者や寝たきりの人、人工透析患者さんは65歳以上から対象になっています。死ぬまで保険料が年金から天引きされ、2年ごとに自動的に値上げされる仕組みです。
 一方、低所得者に対する保険料の軽減は、国保と同様に世帯の所得が算定基準になり、わずかな年金収入しかなくても保険料の減額対象にならない人もいます。65歳から74歳の方の国保料も、年金から天引きになります。そうなると、今まで支払い猶予や分納をしていた人は、それができなくなり、負担が重い上に、さらに支払い困難となります。
 現在、75歳以上の高齢者には資格証の発行が禁止されていますが、この制度では、保険料を滞納すれば資格証明書が発行されます。1年6カ月滞納すれば保険給付の一時差しとめになります。保険料が天引きでない年金収入年18万円以下の人も対象です。今までは、高齢者を医療から排除することは、命に直結する問題として、資格証の発行を禁止していたはずです。その高齢者から保険証を取り上げることは憲法の精神を損なうことではないでしょうか。
 福祉保健部長に、5点についてお尋ねいたします。
 1つ目は、4月から実施の後期高齢者医療制度を中止し、国に抜本的見直しを求めるお考えはないでしょうか。
 2つ目は、今までの国保保険料の負担より重くなるのではないでしょうか。県はどのようにお考えですか。健診費、審査料、葬祭費は保険料のみで充当することになっていますが、これを県として負担し、保険料軽減を図ることなどを考えてはいかがでしょうか。
 3つ目は、診療報酬改定の問題です。
 75歳以上の診療報酬は、外来、入院、在宅、終末期のすべての分野で74歳以下と差をつける項目が盛り込まれています。外来医療では後期高齢者診療料が新設され、慢性疾患を管理する医療機関を1カ所に限り、検査や画像診断を含む診療料を月6000円に制限することになります。ある医師は、自身の病院の場合で計算すると、この値段では現行の半分相当の治療しか行えないことになると言っています。
 入院をめぐっても、75歳以上だけ別建ての体系をつくっています。後期高齢者退院調整加算は、退院困難な要因のある高齢者に退院支援計画をつくって、退院させた病院への支払いを1000円ふやすというものです。
 こうした別建ての診療報酬により、後期高齢者の医療費の伸びを2025年には5兆円抑制しようというものです。お年寄りにとって診療抑制につながらないか、危惧しています。この点についていかがお考えでしょうか。
 終末期医療についても、75歳以上の患者だけに対する後期高齢者終末期相談支援料2000円を新設しました。回復見込みが難しいということを判断した場合、医師が患者家族と話し合い、その内容を文書や映像で記録したときに1回に限って支払われます。
 お年寄りは、家族に迷惑をかけたくないという思いで毎日過ごされています。意思表示や治療中止を強制することになりかねません。
 4つ目は、健診の問題です。
 2008年4月で老人保健法が廃止され、特定健診、特定保健指導が実施されます。40歳から75歳未満の方は保険者に義務づけられたが、後期高齢者の健診は広域連合が医療機関に委託して行い、努力義務になって、特に数値目標もないため、保健予防活動の低下につながらないでしょうか。集団健診も受けられるようにすべきだと考えます。
 5つ目は、制度導入に当たって、県としても1人1人丁寧に相談が受けられるように相談体制をつくることが必要と考えますが、いかがでしょうか。
 以上、福祉保健部長、お答えください。
 次に、保健医療計画と医療サービスの確保について質問いたします。
 和歌山県保健医療計画について改定案が出されていますが、以前の計画からどのように変えようとしているのでしょうか。
 また、地域では、今まで議会で何度も議論されてきた産科の問題や子供の救急、医療、福祉、介護の基盤整備不足の問題など、緊急な課題が横たわっています。医師不足の深刻さを抱えながら地域の目線に立って圏域単位で切れ目のない医療サービスを確保するために、県はどういう役割を果たしていこうと考えられているのでしょうか、お聞かせください。
 最後に、若者の不安定就労について質問いたします。
 さきにも述べましたが、2006年度の労働条件等実態調査報告書によりますと、県内の労働者のうち、アルバイト、派遣、契約社員などの非正規雇用が33%となっています。2月末に2007年の全国労働力調査結果が発表されましたが、正規雇用が48万人減り、非正規雇用が281万人ふえ、非正規雇用の占める割合が過去最高となりました。正社員から非正社員へ置きかえが依然として続いています。
 非正規の不安定雇用が急増し、中でも労働者派遣法の改定を繰り返して、以前は原則禁止されていた派遣労働を合法化し、規制緩和を繰り返すことで派遣労働を急増させてきたことが雇用の不安定化、労働条件の劣悪化の中核をなす問題となっています。派遣労働者は全国で321万人、うち、極めて不安定な登録型派遣は234万人に達しています。
 ある派遣労働者の青年の話を聞きました。この人は派遣会社に雇われている人ですが、1カ月ごとの契約を更新しながら派遣先の会社で1年以上働いていた人です。いつも来月更新できるかわからない状態で働いています。派遣先の職場では、正社員が事務をして、機械を扱う仕事は派遣社員がやっており、危険な作業でも、手順書もなく、指導もないまま作業に入っています。そのことで失敗も多く、仕事への不安が強い。派遣会社から委託されている相談員に相談しても、実務に関することは派遣先の上司か派遣元の営業担当に言ってほしいという回答で、派遣先に言えば契約を絶たれるかもしれず、派遣元に言っても派遣先企業に対して強いことは言えないのではないかと、結局だれにも相談できないという状況です。会社に社員食堂があるが、正社員と派遣社員では値段が違い、交通費は定期代の3分の1程度しか出ないということです。
 そもそも労働基準法、職業安定法では、人貸し業というのは厳しく禁止されており、政府が、派遣労働を導入するときに臨時的、一時的な場合に限る、常用雇用の代替、正社員を派遣に置きかえることはしてはならないという条件をつけています。しかし、この派遣労働者の例でもわかるように、通常の業務を連続的にする仕事を派遣労働者がさせられています。しかも、危険な作業や熟練が必要な仕事も突然させられる、そういう状況があるわけです。
 さらに、登録型派遣、日雇い派遣という形態になりますと、もっと深刻な状況になっています。日雇い派遣は、あすは来ないから目いっぱいへとへとになるまで使う。人間として気遣われることもない。行ってみたら冷凍倉庫だった。半日で両手とも凍傷になったが、それでも翌日は別の人が来るから改善されない。こうした人間性を否定した労働実態が起こっています。しかも、月のうちどれだけ仕事があるかわからず、極めて不安定な収入しか得られない状態です。
 県内の青年の失業率が2002年に12.3%、8人に1人が失業しているという状況になりました。県は、雇用創出計画をつくり、次世代育成支援行動計画では、若年者の失業率を2007年度には9.5%にするという数値目標も持って取り組んできています。しかし、今も正社員の有効求人倍率は全国で0.64倍。正社員としての就職を望みながらも採用がないため派遣労働者として働いている若者が多くいます。
 現在の派遣労働者の急増の中で、若者の正規雇用の拡大、不安定で無権利な派遣労働を規制することが急がれます。商工観光労働部長にお尋ねいたします。
 今、求められているのは、これ以上の雇用と労働のルール破壊や雇用の不安定化、生活保護水準以下の低賃金で働くワーキングプアなどの雇用格差の拡大を許さず、その是正のため実効ある取り組みをすることだと思います。いかがお考えでしょうか、お答えください。
 以上で、第1問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先ほどの御質問につきまして、私に対する県民の暮らしと社会保障についてということについてお答え申し上げたいと思います。
 本県では、全国に先行して人口減少、高齢化が進展しておりまして、また最近、経済面で明るい兆しも大分見えてきておりますけれども、これまでの長期にわたる経済低迷の影響で、県民の暮らしにもまだまだ厳しいものがあると認識しております。
 新長計におきましては、1つの柱として、県民に安全・安心の気持ちを与えるために、生涯現役で元気に暮らせる社会を実現しようということを目標にいたしました。一方、その前提として暮らしを支える職場づくりも必要でございます。そのために、もう1つの柱として、国際競争力のある産業をつくるということもまた目標としております。
 すなわち、例えばパートの問題を御指摘になりましたけれども、パートをいかんと言って批判ばっかりしておりますと、企業が、それじゃもう和歌山にいないと言ってどっかへ行ってしまうというと余計問題が深刻になるという可能性もあります。ここは、何といっても産業を呼んできて、あるいは産業を育てて、雇用をふやして、それでそのパートを雇っていた企業が常雇用にしないともうやっていけないというような囲い込みをしなきゃいけないというぐらいの力をつけるというのが制度ではないかと思っております。
 そういう意味において、まずその後者についてでございますが、和歌山全体の元気の創造に向けて、農林水産物の販売促進、あるいは観光の振興、あるいは産業の振興、地域特性を踏まえた農林水産物の加工とかそういうもの、それから企業誘致、そういうありとあらゆる政策を動員しまして働く場所の確保に取り組むということが必要であると長計では指摘しておりますし、また前者につきましては、高齢者や障害のある人等の中で真に社会保障が必要な人には安心のある生活が送れるように、例えば医療、介護、見守りサービス等の連携による地域ケア体制の確立とか、あるいは障害の状態に応じた適切なサービスを提供する生活支援体制の整備など、いろいろなセーフティーネットの充実を図って、だれもが安心して暮らせる社会づくりに努めていくんだというような、そういう考え方で長計を編集しております。
○副議長(新島 雄君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 後期高齢者医療制度についての5点の御質問にお答え申し上げます。
 まず、制度実施の中止、見直しについてでございますが、後期高齢者医療制度につきましては、和歌山県議会からの意見書提出などもあり、国において被用者保険の被扶養者の一定期間の保険料凍結が設けられるなど、保険料負担にもさまざまな配慮がなされており、県といたしましては、4月の全国一斉実施に向け、制度の運営開始が適切に行われることが重要であると、そのように考えてございます。
 次に、保険料の負担軽減についてでございますが、後期高齢者医療制度の保険料には、国民健康保険制度と同様に軽減措置などがあり、低所得者に配慮された制度になっております。
 国民健康保険の保険料は、市町村により保険料率等が異なり、また世帯構成などによっても異なることから、後期高齢者医療制度の保険料と一概に比較することは困難であり、1人1人の状況によって異なってくるものと考えてございます。
 なお、後期高齢者医療制度においては、保険料軽減分の補てん、高額医療費への支援、財政安定化基金の設置など、新たな県負担が生じることになってございまして、医療給付以外の県単独でのさらなる負担は県財政の現状から困難でありますので、御理解を賜りたいと思っております。
 続きまして、診療報酬改定と診療内容についてでございますが、後期高齢者医療における診療報酬体系につきましては、中央社会保険医療協議会において検討が進められ、過日、厚生労働大臣に答申され、本日告示されたところでございます。今回の改定では、後期高齢者の心身の特性に合った生活や安心を重視した医療を実現することが打ち出されてございます。
 議員御指摘の後期高齢者診療料は、例えば高血圧などの慢性疾患をお持ちの方が御希望に応じて御自身で選んでいただいた担当医から外来診療を受けられるものであり、後期高齢者の方の病状を総合的かつ継続的に把握することが重要であることから新たに導入されるものであると、そのように認識してございます。
 次に、健診と保健予防活動についてでございますが、後期高齢者の方は既に医療機関で受診されている方も多いことなどもあり、健診は後期高齢者医療広域連合の努力義務とされたところでございます。ただし、後期高齢者の方にも、糖尿病等の生活習慣病を早期発見するための健診は重要であることから、和歌山県後期高齢者医療広域連合において、希望者の方全員に健診を受けていただけるよう準備が進められているところでございます。県といたしましても、健診の機会が十分確保され、高齢者の方の保健予防の低下につながらないよう、広域連合に対して助言を行ってまいります。
 続きまして、制度導入に当たっての相談体制についてでございますが、後期高齢者医療制度についての住民からの相談につきましては、各市町村、後期高齢者医療広域連合及び県において対応しているところでございます。また、診療報酬に関しましては、社会保険事務局及び県が相談窓口となってございます。現在、広域連合と各市町村が連携を図り、県内全世帯にリーフレットを配布するなど、制度周知の広報に取り組んでおります。
 県といたしましては、今後も住民、県民からの相談については親切かつ丁寧に対応するとともに、この点についても、市町村、広域連合に対して助言を行ってまいります。
 最後に、保健医療計画と医療サービスの確保についてでございますが、保健医療計画は、これまで基準病床数制度による病床の量的規制を主眼としていましたが、今回の改定では医療の質に着目し、がんや脳卒中など主要な疾病や小児医療や周産期医療などの事業ごとにどのような連携体制を構築していくかについても記載することといたしました。また、患者や住民の視点に立ち、わかりやすい計画とするため、医療機関の持つさまざまな医療機能についても記載することといたしました。
 このたびの計画改定に当たっては、各保健医療機関において、保健所が中心となり、地域の医療機関、市町村、医療関係団体、消防等の関係者とともに医療連携体制構築を目指した協議を行ったところであり、今後もこうした協議の場を設定し、機能分担と連携により切れ目のない医療サービスの提供体制の構築を目指してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 若者の不安定就労についての御質問にお答えいたします。
 議員御指摘のように、労働者の所得格差の是正や安定した雇用の確保は重要な課題であると認識してございます。国におきましては、生活保護との整合性の観点から最低賃金法を改正するとともに、パートタイム労働者と正社員との均衡な待遇や正社員への転換等を促進するためのパートタイム労働法も改正いたしました。また、労使間での基本的なルールを定めた労働契約法が3月1日から施行されるなど、雇用の格差是正に向けた法整備が進められてございます。さらに、厚生労働省では、新年度から正社員化の促進のため、中小企業に対し、新たな助成金を支給する制度をスタートさせることとなってございます。
 県といたしましても、これら関係法令や制度の周知徹底に努めるとともに、派遣労働者などを含むすべての労働者が安心して働くことのできるよう、適切な労働条件の確保、改善に向けて鋭意取り組んでまいりたいと考えてございます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
 40番奥村規子君。
○奥村規子君 答弁ありがとうございます。
 知事に、新長期総合計画の中で、社会保障がどう位置づけられてきたかというところでお伺いをしましたが、やはり先ほど答弁の中にも、「高齢者や障害のある人などの真に社会保障が必要な人には」ということで、「安心ある生活」ということでおっしゃっていただきました。
 そういった中で、今先ほど、前段が非常に長かったんですが、国の今の状況、社会保障をやはり縮小、後退させていっているという状況の中で、地方自治体にとっても大変な苦労があると思うんですが、また、その長計の中でも、そのことで大変ないろんな論議がされたと思いますが、実際にこの4月から後期高齢者医療制度をする中で、非常に皆さんに不安の声がまだいっぱい実際にあります。
 その中で、先日も新聞の中であったんですが、ちょっと読ませていただいたら、「後期高齢者医療制度は、知れば知るほど怒りが募ります。ひとり暮らしも困難になっている94歳の母のわずかな年金からも保険料を取るとは、親に長生きしてほしいと言えないような制度は本当に考えてほしい」というような声も実際にはございます。
 こういう中で、やはりお年寄りへの医療の問題、安心して暮らせるということと、また障害を持っている方の応益負担の問題も何度か議会でも申し上げてきましたが、そういった中で、そこをカバーするということでは、非常に自治体も大変なところがあると思うんですが、今のこういうカバーしていくという中で、具体的にセーフティーネットの充実を図りということでいけば、具体的に何かあるのであれば、ぜひお答え願いたいなというふうに思います。
○副議長(新島 雄君) 以上の再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) どういうことをお答えすると一番よろしいかというのがちょっとわかりませんでしたけれども、安心・安全というのはやっぱり一番大事なことだと思うんです。そういう意味で、社会保障が不必要に効率性の観点からだけで議論されるということになると、これはいかんというふうに思っております。
 また、地方公共団体としては、きのう申し上げましたように、なかなか財政的に大変な状況にあって、国が簡単に肩がわりだけしてちょうだいというのも、またこれは我々としてはあんまり好ましくないし、反対しなきゃいけないことだと思います。
 そういう意味で、いろいろな問題がたくさん出てくると思います。例えば、障害福祉の問題にしても、その理想の1つの考え方としては、障害者をどんどん社会に出していこうという考え方は別に間違ってないと思いますが、それに対していろんな問題は発生する。いろんな問題が発生すると、またそれぞれによく考えて、国にお願いするものはお願いするし、県で補わなきゃいけないものは補うというようなことをこれからきめ細かくやっていく必要があるのかなと思いながらいつも行政をやっておりますが、そんなお答えでよろしゅうございますでしょうか。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再々質問を許します。
 40番奥村規子君。
○奥村規子君 済みません。今答弁いただいたので、ありがとうございます。
 最後に派遣労働、商工観光労働部長に答弁いただいた件で要望なんですが、なかなか和歌山県の実態ということではつかみにくいところがあると思うんですが、ぜひいろいろと検討していただいたりしながら、そういった派遣労働の若い人たちの実態をまたつかんでいただきたいなというふうに思います。
 前にも要望しました、若い人たちが本当に基本的な労働法の知識というのもなかなか得るところがなくて、それを知らなくていろいろ悩んでしまったりとかという点もありますので、そういったパンフレットもまたお考えいただきたいということもありますし、それをぜひ活用を──若い人たちの目につくところに置いていただけたらなと思います。
 これは要望で、よろしくお願いします。ありがとうございます。
○副議長(新島 雄君) 以上で、奥村規子君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時31分散会

このページの先頭へ