平成20年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(平越孝哉議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 次に日程第2、議員提出議案第1号、議員提出議案第2号、議案第1号から議案第16号まで、議案第31号から議案第61号まで、議案第63号から議案第75号まで、及び追加提出議案、議案第76号を一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。
 15番平越孝哉君。
  〔平越孝哉君、登壇〕(拍手)
○平越孝哉君 議長のお許しをいただきましたので、久しぶりに一般質問をさしていただきます。
 初めに、平成20年2月定例会の一般質問に当たり、最初に質問の機会をお与えいただきました皆さんに心から感謝申し上げます。
 まず最初に、平成20年度当初予算の基本的考え方についてお尋ねをします。
 我が国の最近の経済情勢ですが、先週の22日に政府が発表した2月の定例経済報告では、サブプライム問題の影響で米国向けを中心に輸出増に陰りが見え、生産が鈍化し始めたことにより1年3カ月ぶりに下方修正され、戦後最長の景気回復局面は正念場を迎えております。和歌山県においても、鉱工業生産指数が平成19年は12カ月中11カ月が前年を上回るなど景気の回復がうかがえるものの、その一方で企業の倒産件数が前年比で6割以上も増加するなど、県民にとって厳しい情勢は依然として続いております。
 本格的な景気回復を実感するにはほど遠い状況にある中で、和歌山県が本当に元気になるためには、さまざまな施策に予算を用いて積極果敢に取り組む必要があります。しかしながら、本県の財政は非常に厳しい状況にあり、昨年9月の和歌山県の財政収支見通しでは、財政調整基金と県債管理基金の両基金が枯渇し、その後も慢性的な財源不足が続くとの推計がなされ、このまま放置すれば、地方公共団体の財政の健全化に関する法律における財政再生団体への転落も危ぶまれる状況にあることが公表されております。このような厳しい財政状況の中で積極果敢に元気な和歌山を実現していくことは、非常に困難な道のりではないかと思うところであります。
 仁坂知事は、昨年の春から新政策の議論を重ね、長期総合計画の策定とともに元気な和歌山の創造に向けて懸命に取り組んでこれらました。就任が一昨年の12月であったため、仁坂カラーが本格的に具体化される初めての当初予算編成において、財政が非常に厳しい中、その行政手腕を発揮され、和歌山に元気を与えてくれるだろうと大いに期待するところであります。
 そこで、仁坂知事は、就任後初めての本格的予算となる平成20年度当初予算の編成に当たってどのような考え方で臨まれたのか、知事の所見を伺います。
 次に、県財政への展望と今後の課題についてお尋ねします。
 新聞報道によりますと、大阪府においては借金の返済を3500億円先送りにし、財政赤字を実態より小さくすることで財政再建団体への転落を回避していたということが伝えられております。まさに、最近の地方公共団体の厳しい財政状況を顕著にあらわす事例であり、その衝撃は大変大きいものがありました。
 現在、地方財政が置かれている問題は、医療費や介護保険といった社会保障関係経費が年々ふえていくとともに、団塊の世代の大量退職に伴う退職手当や公債費などといった義務的経費の増加が見込まれ、和歌山を元気にするような地域の振興のための財源が圧迫され、減少しているというところであります。また、歳入のほうで、三位一体の改革の影響により、地方交付税などのキャッシュが不足しており、借金である地方債に依存せざるを得ない現状にあります。
 このような中で、新しい長期総合計画に盛り込まれた政策を実際に行うだけの強固な財政基盤を確立することができるのか、私は非常に危惧しているところであります。
 先ほど、知事から新しい行財政改革推進プランについて説明がありました。これまでも、現行プランに基づき行財政改革を着実に実施してきたものと思われますが、今回新しいプランを策定し、より一層の行財政改革を断行することにより、持続可能な財政構造への転換を実現するというのが知事の強い決意ではないかと推察いたします。
 そこで、新しい行財政改革推進プランに基づく県財政の展望と今後の課題について、知事の所見を伺います。
 次に、新たな和歌山県長期総合計画についてお尋ねします。
 知事は、就任以来、ふるさと和歌山を元気にすることを目標に、公共調達制度改革を初め、農林業、観光、商工業の振興、景観保全、自然公園の見直しなど、本県の持てる資源を洗い直し、磨き、売り出すためのさまざまな戦略や基盤整備のための方策を立て、直ちに実行に移されております。今回、議案として上程されている和歌山県長期総合計画につきましても、就任早々知事の目指す将来像を県民にわかりやすく示すために、1年をかけて策定することをあらかじめ表明し、知事自身が先頭になって、有識者や市町村長等の意見を聞きながら県庁挙げて策定に取り組んできたと聞いております。
 来年度からは、この計画を指針として県政のかじ取りをしていくわけですが、本県では、原材料価格高騰の影響で県内企業の景況感が悪化し、また雇用動向を見ても、有効求人倍率が低下に転じるなど、本県の景気回復に対する懸念材料が散見される状況にあります。
 新年の新聞に、大変ショッキングな記事が掲載されておりました。それは、社団法人日本経済研究センターが試算した47都道府県の中期的な経済の実力を示す潜在成長率の推計値です。その報道によれば、和歌山県は2005年から2020年度までの潜在成長率が全国最下位で、しかも本県だけがマイナスという、私自身、目を疑うものでした。仁坂知事が昨年来まいてきた和歌山を元気にする種が芽を出しつつある中、また1年の計を立て、県民が元気を奮い立たせようとする年頭に冷や水を浴びせられるような記事に愕然といたしました。幸い、先般公表された平成17年度の県民経済計算では、本県の名目経済成長率が4.1%で全国1位、1人当たり県民所得も271万と過去最高額になったということで、少し安堵したところであります。
 私は、長期総合計画こそ、そこに描く将来像で、県民に夢を与える内容であることが求められると考えております。この計画には、今申し上げたことを初めさまざまな要因を織り込みつつ、県民にわかりやすく、また協力が得られるよう策定に努められたものと推察されますが、県民が共感し、共有できる計画となることを大いに期待し、これからの取り組みをしっかりと見ていきたいと思っております。
 そこで、従来とは違い、1年という短い期間で、また知事みずからが陣頭指揮をとって策定したこの長期総合計画について、知事自身どのように評価し、また今後、本計画に基づきどのように県政運営をされるのか、知事に伺います。
 次に、中小企業高度化資金及び設備近代化資金の債権放棄についてお尋ねをいたします。
 今2月定例県議会に、中小企業高度化資金で5件、総額約26億4200万円、設備近代化資金で19件、総額約4400万円の権利放棄の議案が上程されております。
 最近の新聞報道によりますと、本県が抱える中小企業高度化資金の延滞債権は約108億円に達し、その多くは回収困難、また、中小企業近代化資金で手続ミスから延滞債権約5800万円が回収不能となった以外に、新たに約1億7012万円の延滞額が時効になっている可能性が高いとの記事が掲載されております。ついては、延滞等の現況と、厳しい県財政状況の中でこれらの放棄に至った理由、また、今後の回収整理の方針について知事に伺います。
 次に、医療の問題でありますが、医師不足及び地域医療についてお尋ねします。
 まず、地域医療を支える自治体病院の赤字が膨らみ、存続の危機に立たされており、少子高齢化時代を迎え、県民が安心して生活を送る上で、地域における医療体制の確保が極めて重要な課題となっております。しかし、我が国における医師数は毎年増加しているにもかかわらず、地域における医師不足は全国的に報告されており、和歌山県も同様であります。
 県の医師数は、平成18年現在2532人であり、年々増加しております。人口10万人当たりでは247人と全国平均を上回るものの、和歌山市の医師数は1374人で、県内医師数の54%を占め、人口10万人当たり367人と全国的にも上位で、和歌山市への集中化が生じております。このことから、和歌山医療圏を除く県内の全医療圏が全国平均を下回るという状況であります。また、全国的な医師不足の中で、本県でも紀南地域を初め那賀・伊都地域等、和歌山市を除く拠点病院の医師数が過去5年間で約1割減少しております。
 このように、依然として医師の地域偏在が顕在化しており、また、これまで不足と言われてきた小児科、産婦人科、麻酔科だけでなく、内科や外科、整形外科などでも医師数が減少傾向となっており、地域医療に大きな影響を与えています。県内でも、特に地域医療の中核として高度医療や救急医療、僻地医療など地域医療を支える拠点病院の勤務医師不足は深刻であります。
 なぜ、地域の医師不足は生じているのでしょうか。その理由は、新医師臨床研修制度により研修医が都市や私立病院に集中し、大学医局に入局する医師の減少、地域偏在、診療科偏在、その上、医師不足による仕事の量と当直回数等の増加、医師の子供の教育問題などの理由で、多くの医師は開業するか都市部の病院へ転任しているなどの原因が指摘されています。実際、平成18年には、公立那賀病院において内科医師の一斉退職という問題が発生し、一時、一般内科の診療を休止するという事態になったことがあり、議会でも取り上げられましたが、県立医科大学からの支援により、現在は診療を再開しております。
 しかし、このような事態はいつ何どきどの病院でも起こり得ることであり、危機的状況の中、関係者の努力により、辛うじて今の診療体制を維持しているという状況なのです。仮に地域の拠点病院が倒れることになれば、地域医療全体が崩壊につながります。医療は地域にとって欠くことのできない最も重要な社会資源であり、県民がどこに住んでいても安心して良質な医療を受けることができる環境を確保することが必要であります。
 仁坂知事は、就任以来、県民の命を守ることの重要性を認識され、先頭に立って医師不足対策に取り組まれた結果、新宮市立医療センターに対する国の緊急医師派遣に基づく産婦人科医師の派遣や県立医科大学の入学定員の25名増員など、地域医療の維持に大きな成果を上げられてきました。しかし、先ほど申し上げましたとおり、地域医療を取り巻く環境は大変厳しい状況であることから、県としても、きめ細かな医師確保対策に全力を挙げて取り組むとともに、現状の医療資源を有効活用することができるよう、医療機関相互の機能分担やネットワーク化を進めることにより地域医療体制を守ることが必要であります。
 そこで、医師不足を解消し、地域医療を守るために今後どのような対策に取り組まれるのか、知事に伺います。
 次に、救急医療体制の充実についてお尋ねをします。
 私は、地域医療の中でも、特に県民の生命を守る救急医療体制を適切に確保することが非常に重要であると思っております。
 最近、毎日のように新聞紙上で全国の救急医療の現状と体制の不備が報道されております。昨年の8月末には、奈良県で救急搬送中の妊婦を受け入れる医療機関が見つからず、死産してしまうという痛ましい事件が発生し、国民に大きな不安を与えることとなりました。さらに、全国で、救急搬送において医療機関が受け入れを断るケースが相次いで発生しています。これは、高齢化社会を迎えての患者の増加、2次救急病院の救急医療からの撤退、そして、1人当直で総合診療や救急診療ができない、夜間診療の人件費などで経済的に成り立たない、患者の権利意識が強く訴訟になりがちであるなどの要因が考えられます。
 和歌山県では、3次救急医療機関は日本赤十字社和歌山医療センター、和歌山県立医科大学附属病院があり、平成15年に、和歌山県のドクターヘリ導入により昼間は和歌山県全域の3次救急患者に対応できるようになりました。また、平成18年、南和歌山医療センターに新型救急医療センターが設立され、紀南地域での3次救急患者に対応できるようになりました。
 本県の3次救急医療体制は、他府県と比較して充実しており、今のところ問題となるたらい回しがあったとの報道はありません。しかし、県内では2次医療機関の崩壊が懸念され、また救命救急センターは軽症患者も多数受け入れるなど、本来の重症患者の対応に支障が生じるおそれが出ております。患者が重症化し、心肺停止で病院へ運ばれる患者だけでも県では年間1000人を超えると聞いております。また、当然でありますが、肺炎、心疾患、脳卒中などの疾患により、救命救急センターへ搬送される患者さんは増加をしています。
 和歌山県立医科大学附属病院救命救急センターは、平成12年に26床の救命救急センターとして開設されました。その後、高齢化による3次患者の増加に加え、ドクターヘリの配備により県全域から3次救急患者を受け入れるようになり、夜間の時間帯においては一時的に満床となり、重症患者の受け入れが困難になっている時間帯もあると聞いております。
 救急医療を適切に提供するためには、救命救急センターを核として、各地域の拠点病院等の救急医療機関や消防機関の関係者との連携を常に密にしながら救急医療体制を確保し、充実させていくことが非常に重要であると思います。
 そこで、厳しい医師不足という状況の中、適切な救急医療をこれからも提供していくため、現在の医療資源をいかに有効に活用し、救急医療体制の強化を図っていくのか、そのための今後の対策について、また、県の救命救急センターにはまだ病床や職員の人員体制に余裕があるのかどうかについても、あわせて福祉保健部長に伺います。
 次に、紀北分院についてお尋ねをします。
 開院以来70年、紀北分院は地域医療の拠点病院として大変重要な役割を果たし、地元に十分寄与してまいりました。その分院について、老朽化した今の建物を現地で建て直すことが決まり、昨年1月に県立医科大学が紀北分院整備基本計画を発表いたしました。また、本年度、県において平成22年竣工を目指して建てかえるための設計を進められ、来年度末にはいよいよ建設の着手が予定されているとのことであります。
 これまで紀北分院の整備には、地域住民や関係者が一体となって取り組んでまいりました。それがようやく実現の運びとなったものであり、地元において大きな期待を寄せているところであります。
 私は、以前、平成15年9月の定例会で、紀北分院のあるべき姿について提言したことがあります。県立医科大学が有する高度な医療技術と高野山大学が持ついわゆる心の治療を組み合わせた先端的な医療の拠点として紀北分院を整備することがふさわしいのではないか、また、各診療科が専門的な医療を行う本院と違い、診療科の間で横の連絡を密にした取り組みができるのではないか、これらが実現可能な場所と規模ではないかと提言いたしました。具体的には、高野山大学の先生方による患者さんを対象とする心の持ち方講座の開設や、県立医科大学の学生、看護師を対象とする心の教育の開始、総合診療の提供などであります。
 新たな紀北分院においては、高野山大学と連携した研究を行うことも予定されており、私の提言の趣旨が取り入れられたことについては大変うれしく思っておりますし、紀北分院が将来大きな成果を上げ、発展していくことを強く願っているところであります。また、基本計画では、分院の地域医療における役割と、分院が大学附属病院であることから、和歌山県全体を視野に入れた特徴のある医療、医療従事者の教育に力を入れるとのことでありますが、医学生に地域医療の実際を教えるのも大切であります。
 しかしながら、建てかえ後の紀北分院では、病床数が内科系45、脊髄系35、緩和ケア20、感染病床4の合計104床となる予定であり、現在の146床から病床数をかなり縮小し、救急疾患としての心血管疾患を扱うような診療科等もない計画であると聞いております。また、現在、紀北分院においては内科医が不足しており、内科系の救急外来などにおいては十分な救急医療体制がとりづらいというような心配な話も聞き及んでおります。
 紀北分院の属する医療圏には高齢者が多く、今後さらに高齢化が進むということも考えて、紀北分院には夜間救急診療体制を初めとして地域医療に対して果たすべき役割があるのではないか、また地域住民の期待にこたえるべき責務があるのではないかと、私はかねてより強く思っております。
 そこで、紀北分院が夜間救急診療体制など地域医療に対して今後どのように貢献していけるのか、また医師等の確保をどうしていくのかについて、総務部長にお伺いします。
 次に、農業振興についてお尋ねをします。
 本県の農業は、温暖な気候を生かし、ミカン、柿、桃、梅など果樹を中心に和歌山ならではの農産物の生産に取り組み、これまで県内の地域経済に大きく貢献してきたところであります。しかしながら、農業の現状は、担い手の問題、高齢化の問題、耕作放棄地の問題など、多くの課題を抱えております。10年前の平成8年に産出額が全国では10兆4676億円、本県では1563億円だったものが、平成18年には全国では8兆6321億円、本県では1095億円とそれぞれ2割から3割減少しており、大変厳しい状況となっております。その原因として、手軽さを求める消費者がふえるなど嗜好が多様化していること、輸入農産物が増加していること、少子高齢化などにより、国内市場は縮小ぎみにあることなどが考えられます。
 近年、近隣アジア諸国が目覚ましく発展し、経済の国際環境が激変する中、安全で安心して食べることができる品質のよいおいしい果実等を生産してきた実績とすぐれた技術力を持った本県の農業、日本の農業においてもこれまで以上に重要性を増してくるものと私は確信しているところであります。また、本県の農業の重要性をかんがみると、先ほど申し上げた現状に対して手をこまねいているわけにはまいりません。
 今回、私は、本県の農業の振興を図るためには農家の所得拡大が最重要課題であるとの観点から、流通問題に的を絞り、国内での販売促進、海外市場の開拓という視点から質問をさせていただきます。
 知事は、昨年の機構改革において農林水産部に食品流通課を新たに設置し、7月には国内対策、海外市場への新たな取り組みなどを盛り込んだ農水産物・加工食品の販売促進戦略アクション・プログラム2007を策定しました。そして、商社OBをアドバイザーとして迎えるとともに、大阪、名古屋、東京での積極果敢なトップセールスや、2月4日のわかやま産品商談会in大阪の開催、さらには3月11日から幕張メッセで開催されるFOODEX JAPAN2008への出展など、大いに手腕を発揮されてこられました。
 また、海外市場開拓に向けては、我々農林水産振興議員連盟も参画して、昨年10月1日に和歌山県農水産物・加工食品輸出促進協議会を設置するとともに、10月下旬の台湾、11月上旬の香港、本年1月のマレーシアでの和歌山フェアの開催や県内の輸出セミナーの開催など、国内外ともに矢継ぎ早に県産品の販売促進、市場開拓に向けた各種施策に取り組んできたところであります。私は、これらのダイナミックで素早い施策の展開を大いに評価しているところでありますが、今後は、これらの結果を踏まえ、より大きな成果へとステップしていくことが重要であると考えます。
 まず、国内市場では、青果として生産・出荷するだけでなく、あんぽ柿やカット野菜など加工による付加価値をつけながら農産物の一層の消費拡大を図るといった工夫も必要であると考えます。
 次に、海外市場についてでありますが、さきに岩出市で開催された輸出促進のセミナーに参加させていただいたときの印象を率直に申し上げると、まだまだこれからといった感は否めませんでした。本県の農業の振興にとって海外市場の開拓は、大変重要な課題であります。また、国においても、農林水産物、食品について、平成25年度には輸出額1兆円を達成するという目標を上げております。その動きとも軌を一にしながら積極的に取り組んでいく必要があると私は考えます。
 そこで、国内での取り組みについて、トップセールスや商談会での実績などを踏まえ、平成19年度の取り組みをどう評価し、平成20年度への施策にどのように発展させていくのか、また、海外への取り組みについては、本格的な輸出に向け来年度はどのように展開するのか、知事に伺います。
 最後に、道路特定財源についてお尋ねします。
 道路特定財源の暫定税率の延長をめぐっては、現在、国会で審議が進められているところでありますが、残念ながら財源の使い道の無駄遣いや問題点だけが取りざたされ、我が国の将来を見据えた道路整備はどうあるべきかというような本質的な議論は余りなされておりません。
 道路は、国民の暮らしにかかわる最も基礎的で重要な社会資本であり、特に整備のおくれている地方にとっては、人々が暮らしていく上での基本的な権利や機会を確保する上で不可欠なものであります。道路整備のおくれに起因して生じた地域格差をこのままにして今、暫定税率を廃止することは、まさに地方の切り捨てと言わざるを得ません。
 ガソリン価格が高騰している今、1リッター当たり25円安くなるということは一見ありがたいことです。暫定税率を廃止することで、高速道路を初めとする必要な道路整備が立ち行かなくなり、県や市町村の財政にも大きく影響することもあわせて理解してもらわなければなりません。
 県議会としても、これまで暫定税率等の延長による道路財源の確保を強く訴えてきたところであり、昨年末からは、知事や各市町村長、各市町村議長を初め各種団体とも連携し、暫定税率等の延長を求める決起大会の開催や、関係機関、各政党に対する要望活動を行ってきたところであります。また、住民の理解を求めるため、各市町村長による街頭啓発や、仁坂知事も女性や青年を初めとする県民との対話集会を開催するなど、理解を求めるためのさまざまな取り組みが行われてきました。しかしながら、現国会において関係法案の成立はまだまだ予断を許さない状況にあります。
 我が自由民主党は、去る12月本会議で下川県連幹事長が発言をいたしましたが、本県の置かれた現状を踏まえ、本格的な高齢化社会が到来するまでの我が国に投資余力が残っているこの10年間に、京奈和自動車道や紀伊半島を一周する高速道路を初めとして県民の暮らしを支える必要な道路整備を今後も重点的、効率的に進めるべきであると考え、必要な財源を確保するため、引き続き暫定税率等の延長に取り組んでまいりたいと思います。
 ここで、改めてこのことに対する知事の考え、決意をお伺いして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの平越孝哉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、平成20年度当初予算の基本的考え方についてでございます。
 私は、就任以来、県庁に新政策の検討という制度を導入いたしました。これは、次の年度で何を実現するかにつきまして、予算期に限らず年間を通じていろんな問題点を提起したり、あるいは次の政策のための準備をしたりする、そういうプロセスでありまして、4月から1年かけて、和歌山県をこれからどうしたらいいのかという視点から県庁の総力を挙げてやってまいりました。既存の施策を見直すと同時に県が抱える課題を検討し、その課題を克服するために、予算や条例、県民運動など、あらゆる手法の検討に取り組んでまいった次第でございます。
 この結果、ことしは予算化すべきものとして、長期総合計画の6本柱であるところの、未来を拓くひたむきな人間力の育成、生涯現役で誰もが活躍できる社会の実現、国際競争力のあるたくましい産業の育成、癒しと感動を与える誇れる郷土づくり、県民の命と暮らしを守る安全安心の確立、それから、にぎわいと交流を支える公共インフラの整備のもとに、20項目に及ぶ新政策が生まれまして、総額643億円の新政策予算となって結実したところでございます。
 一方で、議員御指摘のような本県の厳しい財政状況を踏まえると、財政の健全化にも取り組む必要があることから、人件費の抑制や既存事業の見直しなどによりまして積極的に財源の捻出に努めまして、財政調整・県債管理基金の取り崩し合計額を前年度の当初予算の151億円から62億円へと大幅に圧縮したところでございます。
 財政健全化を図りつつ充実した新政策の予算を盛り込むということで、今議会にお諮りする長期総合計画のスタートを切るにふさわしい予算が作成できたのではないかと自分では考えております。
 次に、その予算を支える財政の展望と今後の課題でございます。
 長期総合計画に掲げました将来像を実現していくためには、持続可能な財政構造への転換を図ることが不可欠であります。しかしながら、現行のプランを着実に実施するだけでは収支不足の解消には至らず、残念ながら財政調整基金、県債管理基金も枯渇してしまうということが判明いたしましたので、新たな行財政改革推進プランの策定に取り組み、ようやく議員の皆様にお示しすることができたところでございます。
 お手元にお配りしております新プランの改善策を着実に実施することによりまして、財源対策のための県債にある程度依存する形ではございますけれども、収支不足を段階的に解消し、平成24年度において目標とする収支の均衡を達成することができ、財政調整基金、県債管理基金が枯渇して財政再生団体に転落するような、そういう事態は回避できる見通しがようやく立ったと考えております。
 しかしながら、社会保障制度の今後の動向によっては、新たな地方負担が生じる可能性もあります。本年度もまた、そういうことがありました。地方財政を取り巻く環境は依然不透明なものがございます。
 今後とも、和歌山を元気にするための施策を積極果敢に展開していくため、厳しい道のりでありますけれども、新プランに沿った行財政改革を確実に実行して持続可能な財政構造への転換を目指すとともに、県議会の皆様に御協力いただきながら地方税財源の拡充を国に対し強力に働きかけ、安定的な財源の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、長計でございます。
 計画の評価についてというお尋ねでございますけれども、本計画を、私は県民と共有できるものにしなければいけないと思いました。そこで、目指す将来像を簡潔かつできるだけ具体的に盛り込みまして、和歌山県をどのような方向に導くのか、そのためにどのような方向を、どのような取り組みを進めるのか、そういうものが県民の方に読んで御理解いただきやすいようにしたつもりでございます。
 ただ、短いとどうしても、原案作成の段階でございますけれども、抽象的になりがちでございまして、私、県庁の職員、みんな苦労いたしました。中身といたしましては、県民に夢と行動の指標を与えるというようなことを目指しましたが、一方で、それが絵にかいたもちにならないように実現可能性についてちゃんと検証いたしまして、同時に、進行中であった行財政改革プランに沿ってこれができていくだろうかというようなこともチェックの上、お諮りしたところでございます。
 議員御指摘のように、潜在成長率は、過去のトレンドを基本として計算すれば当県は残念ながらマイナスとなりますけれども、これは、潜在成長率という名前にそんなにふさわしいようなものではございません。最近、御指摘のように、本県経済にも明るい兆しも見えております。これを追い風といたしまして、本計画に盛り込んだ政策を積極的に推進することにより、今後10年間で本県経済は全国を上回る伸び率になるものと私は見込んでいるところでございます。
 私は、本計画が、持続可能な財政構造への転換を図るための行財政改革の取り組みを進めつつも県民が県の将来に大いに夢や希望を持っていただけるような、そういう内容になっているものと考えております。
 また、本計画に基づく県政の運用につきましては、県民に本計画を御理解いただくことが重要であります。
 今後、さまざまな機会を通じ積極的にアピールをしていくことが必要だと思っておりますが、本計画を県政運営の指針として座右にいつも置きまして、毎年度、本県が次年度に向けてどうしていくべきかという新施策について全庁的に議論し、選択と集中による施策の重点化を図りながらも、本計画に掲げたそれぞれの目標の達成のためにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、中小企業高度化資金及び設備近代化資金の債権放棄についてでございます。
 まず第1に、中小企業高度化資金の延滞状況でありますけれども、平成18年度末現在で、償還中49組合のうち延滞組合が34組合あります。延滞額で約108億7000万円となっております。今回は、そのうちの破綻5組合で、債権放棄額約26億4000万円をお願いしているところでございます。
 当資金は、中小企業者の協業化等によりまして経営基盤強化を図るための制度であり、地場産業の構造転換に相当な貢献をしてまいったと思っております。貸し付け時には、県、中小企業基盤整備機構──当時は中小企業事業団であったと思いますが──並びに中小企業庁等と密接な連携をとりまして、事業計画、資金計画等の適切な診断指導、厳密な貸し付け審査をしながら適正に実行したものでございます。
 しかしながら、貸し付けを実行した後、貸し付け先を取り巻く経済環境の変化など不測の事態も重なりまして、それぞれの組合が破綻したものであります。県といたしましては、平成14年度の包括外部監査での指摘なども受け、体制を強化し、組合資産の売却、連帯保証人、相続人への厳しい徴求など、あらゆる法的手段を駆使してまいりました。
 また、中小企業基盤整備機構など国においても、平成16年7月には債権放棄による免除規定の明記など早期処理スキームへの転換もありまして、県としてもさらなる早期処理に向けて、担当課室の格上げ、職員の増強等、さまざまな手法を取り入れて本格的な回収整理に入っているところでございます。
 一方、設備近代化資金につきましては、延滞額の状況は、償還中、現在償還をしている123件のうち延滞先121件、延滞額約3億円ありますけれども、今議会では、債権放棄は19件、4400万円をお願いしているところでございます。
 今回の案件につきましては、債権回収が困難と思われます92件を債権回収会社に調査委託した結果、貸し付け先の廃業、連帯保証人や相続人の破産や相続放棄等により回収の見込みがなくなったものでございます。また、今回の議案にはありませんが、同様の債権回収を進めている中で、債務者等の時効援用を受け、11件、約1400万円の債権が消滅することとなりまして、今年度中の処理をしたいと考えてございます。
 この設備近代化資金につきましては、過去営々と債権管理が徹底されていなかったことによるものでありまして、県庁全体の責任でございます。県庁を預かる者としてまことに遺憾であり、このような事態に至ったことについて率直におわび申し上げなければならないというふうに思います。同時に、歴代の当該機関の管理監督者に対しても厳正な処置を行ったところでございます。
 幸い、現在は、先ほど申し上げましたような体制も整備され、私の指揮のもとに担当が士気高く管理しているところでございます。したがって、現在はかつてのようなずさんな管理体制は払拭されているというものでございます。
 ただ、今後とも法的処理等を積極的に活用しながら、迅速かつ適正な債権回収に邁進し、延滞債権の早期縮減になお一層努めてまいりたいと考えてございます。同時に、現在、これから発生するであろういろいろな貸し付け等々の債権、これにつきましても、かつてのようなずさんな管理を二度と起こさないように努力してまいりたいと考えております。
 次に、医療問題でございます。
 御指摘のように、県民が安心して医療サービスを受けることのできる地域医療体制を堅持するためには、まず地域の拠点病院の医師を確保することが必要であると認識しております。そこで、医師不足解消に向けた抜本対策といたしまして、国への強い働きかけをいたしまして、平成20年度から県立医科大学の入学定員を25名増員いたしました。増員した25名につきましては、県民医療枠及び地域医療枠として、県内の公的医療機関において地域医療を担う人材として養成してまいります。特に、僻地医療を担う医師養成枠として設置した地域医療枠入学生に対しては、一定期間の僻地勤務を返還免除条件とする修学資金制度を創設いたしまして20年度当初予算に計上さしていただいているところでございます。
 しかし、県立医科大学の入学定員増員で養成したこれら医学生を戦力として地域に派遣するまでには8年間かかります。その間も、御指摘のように地域に必要な診療体制を維持することができるように頑張ってまいらなければならないと考えております。
 そこで、既に制度化されておりますわかやまドクターバンクや青洲医師ネットにより、県内外から地域医療に意欲ある医師を即戦力として確保するほか、小児科、産科、麻酔科を目指す医学生や研修生等を対象に修学資金を貸与する医師確保修学資金を引き続き実施することによりまして、地域偏在、診療科偏在の解消に取り組んでまいりたいと思います。
 さらには、医師不足により診療体制の維持が困難となった地域の拠点病院へ緊急臨時的な医師供給等を行う地域医療支援事業を実施することによりまして、県立医科大学と連携しながら地域医療体制の確保、充実に努めてまいります。
 今後も、限られた医療資源を効率的、効果的に活用することができるよう、議員御指摘のように県立医科大学や自治体等関係者と連携を図りながら医療機関相互の機能分担や病院と診療所の連携を進めるなど、県民全体が安心して医療サービスを受けられる環境を整備してまいりたいと考えております。
 次に、農産物の販売促進でございます。
 元気な和歌山を築く上で欠かすことのできないテーマは、この農業の振興であると思います。そのためには、生産振興はもとより販売促進に力を注ぎ、収益性の高い農業を実現していかなければいけないと思います。このような考え方のもと、19年度はアクション・プログラム2007を策定し、販売促進と販路開拓に計画的に取り組み、議員お話しのように、今月開催されるFOODEX JAPANへの出展など、数々のビジネスチャンスを県内の生産者の方々に提供する、そういうことができたものと考えております。
 先般の大阪での商談会では、アンケートを実施してまいりましたが、それにお答えいただいた流通関係者の方々から、満足した、いいのを見つけた、有意義な情報を得られた、次も参加したい、そういう回答もいただいてございます。こうした成果を踏まえ、近くアクション・プログラム2008を取りまとめ、また本年も計画的に施策を展開してまいりたいと思います。
 例えば、国内では首都圏を初め大消費地で和歌山産をPRする、そういうミニアンテナショップ「ミニわかやま喜集館」をJAグループと新たに進めてまいりたいと思います。また、食品加工については、これまで県内各地で柿酢や黒豆、サンショウなどを使った加工食品が誕生してきているところでございますけれども、これら恵まれた本県の地域資源を生かし、新たにわかやま中小企業元気ファンドも活用しながら、農商工連携によるアグリビジネスとして産業のすそ野を広げてまいりたいと考えております。
 さらに、海外市場に向けては、富裕層をターゲットに、台湾、香港、マレーシアにおいて、御指摘のように柿、ミカンなどの高品質な果実を中心にフェアを開催するとともに、開催国のバイヤーを招聘するなど、県産品の輸出に向けた取り組みも始めてまいりました。ことしもこれをもっと拡大してまいりたいと思っております。
 しかしながら、議員からお話のあったとおり、こうした取り組みは緒についたばかりでございます。20年度は、海外でのフェア開催等を継続するとともに、輸出にかかるコストやリスクの低減に関する調査を進めるなど、輸出環境の整備に努めてまいります。
 また同時に、中国に向けての輸出障壁となっております検疫上の問題点、これがございますが、これは我々もよく勉強して戦略を練るとともに、交渉してもらうのは国ですので、国にも力強く働きかけてまいりたいと思います。
 いずれにいたしましても、新政策としての農林水産物の販売促進に努め、厳しい産地間競争に打ち勝ち、和歌山県の農家の経営安定に努めてまいりたいと思います。
 次に道路特定財源について、暫定税率延長に対する私の考えと決意を申し述べたいと思います。
 現在、国会において道路特定財源に関する法案の審議が進められております。税制の審議が進められております。議員御指摘のとおり、本県にとって京奈和自動車道や紀伊半島を一周する高速道路を初めとした道路整備は極めて重要でありまして、必要な財源を確保するため、暫定税率等の延長は不可欠であると認識しております。
 仮に道路特定財源の暫定税率等が廃止されますと、国、地方を合わせて全体で2.6兆円の道路財源が減収となります。本県に置きかえますと、県で120億円、市町村を合わせて170億円の財源が減収となり、残された財源から過去の起債の償還や維持補修などの義務的な経費を差し引きまして、これまでやってきたいろいろな財政措置を前提にして考えますと、新たな道路整備へ投資できる経費はほとんどなくなってしまいます。
 県財政は、昨年9月に発表しました。きょうまさに申し上げましたように、ぎりぎりかつかつのところで行財政改革を進めているところでございます。したがいまして、他府県もそうでございましょうけれども、ほかの分野の予算からこっちへ持ってくる、あるいは懐から今の財政欠陥を補うという余裕は私は全くないというふうに思っております。
 一方で、最近言われておりますように、仮に直轄事業負担金をなくし、臨時交付金や補助金を現状水準とするということで地方の財源を確保するということになりましたら、今の問題はなくなるわけですが、今度は、それならそれで、この結果として国の道路財源がほとんどないぐらいに減少してしまいます。そうすると、県民の悲願であります紀伊半島一周の高速道路や、あるいは京奈和自動車道、直轄国道のバイパス整備など、これからまさに和歌山がお願いをしてつくっていただかなきゃいかんというふうに思い、かつ、この間の10年間の中期計画によると、「おっ、これはかなりうまくいっとるぞ」というふうに思ったものができなくなってしまうというおそれも大変強くなります。本県にとってこれは重大な問題であるというふうに考えております。
 こうしたことについては、紛れもない事実であります。したがって、真実を隠してほおかむりをしてるということは、責任のある立場としてはできません。事実を申し上げなければならないと思います。したがって、いろいろな方法を使って県民により多くの情報を提供したり、対話集会を通じて県民に説明したり意見を聞いたり、またそれに対して答えたり、そういうことをするなどのできる限りの取り組みを行ってまいりましたし、今後とも行ってまいりたいと思います。
 県といたしましては、地方の道路財源はもとより、国の直轄事業の財源についても十分確保することが必要であり、もちろん無駄は省き、不必要なものは整理していくということは必要でございましょうが、暫定税率等の延長に関する関連法案が年度内に成立するように強く訴えてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 医療問題についてのうち、救急医療に関する2点の御質問に一括してお答え申し上げます。
 まず、救急医療体制につきましては、県では、市町村や関係機関との連携のもと、傷病者に対し重症度に応じた迅速かつ適切な救急医療を提供するため、比較的軽症患者を受け入れる初期救急医療体制、入院治療を必要とする患者を受け入れる2次救急医療体制、重篤な救急患者に24時間体制で対応する3次救急医療体制から成る体系的な救急医療体制を確保しているところでございます。特に小児救急医療につきましては、小児科を有する病院が休日、夜間等の小児2次救急患者を受け入れる体制の整備を行うあんしん子育て救急整備事業の充実や、休日の夜間に実施している小児患者の保護者向けの小児電話相談事業を平成20年4月から毎夜間に拡大するなど、体制強化を図ることとしてございます。
 周産期医療につきましては、総合周産期母子医療センターを中核とした和歌山県周産期医療システムを確立し、病院と診療所等が連携し、リスクの高い妊婦や未熟児の救急搬送を実施しているところでございます。
 また、地域の救急医療体制を確保するため、開業医と病院勤務医とが連携し、県域を超えた救急医療体制を構築し、病院勤務医の負担軽減を図る取り組みも行ってございます。さらには、平成15年1月からは県立医科大学附属病院にドクターヘリを導入し、救命率の向上と後遺症の軽減に大きな成果を上げているところでございます。
 医師不足等が深刻な中、病状等に応じ適切な医療機関で受診していただくなど、県民の救急医療に対する御理解と御協力を得ながら、病院と診療所との連携を推進しつつ、消防機関を含む医療連携体制を構築し、地域の実情に応じた救急医療体制の充実強化を図ってまいります。
 なお、県内の救命救急センターにおける重篤患者の受け入れ状況につきましては、平成18年の病床利用率は3病院の平均で64.6%でありますが、80%を超えるセンターもあり、議員御指摘のとおり、一時的には満床となるなど厳しい状況でありますが、3次救急医療機関の相互連携、あるいはまた救急医療従事者の献身的な御尽力により受け入れ態勢は確保されているものと感謝してございます。
 今後におきましても、限られた医師や看護師等の人員体制のもと、より一層病床の効率的な利用を図るなど、重篤患者を円滑に受け入れる態勢の確保に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 総務部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○総務部長(小濱孝夫君) 紀北分院の地域医療に対する今後の貢献と医師等の確保についての御質問にお答えいたします。
 昨年1月の県立医科大学が策定いたしました紀北分院整備基本計画では、紀北分院の建てかえ後は、内科、小児科など7つの診療科を設置し、地域医療を分担する病院としてはもとより、大学附属病院としてチーム医療による総合診療の充実、脊椎・脊髄センターや緩和ケアといった新しい取り組みを行う特色のある施設として計画しております。
 議員御指摘のように、公立病院間の機能分担やネットワーク化が必要との方針は国からも示されているところでございます。建てかえに際しましては、病床数と一般外科の削減を予定しておりますが、地域全体としては医療資源の効果的な配置、活用と病院間の連携により、必要とされる医療サービスの提供につながるものと考えております。
 また、他の病院と同様、紀北分院においても常勤医師が不足している状況でありますが、本院からの非常勤医師や、月に1度は本院の病院長や副病院長も紀北分院に出向くなど、診療支援を行っております。今後とも、医師を初めとした医療スタッフによる必要な診療体制が維持されるよう大学に働きかけてまいります。
 いずれにいたしましても、紀北分院が機能分担による新たな診療体制のもと、夜間救急診療なども含め、地域内でその役割を果たしていくことが肝要であり、そのためには教育、研究、研修などの機能も充実した魅力ある附属病院として整備が必要であると考えております。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 以上で、平越孝哉君の質問が終了いたしました。

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