平成20年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成20年2月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
 平成20年3月4日(火曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第17号から議案第30号まで、及び議案第62号(委員長報告・同質疑・討論・表決)
 第2 議員提出議案第1号、議員提出議案第2号、議案第1号から議案第16号まで、議案第31号
から議案第61号まで、及び議案第63号から議案第75号まで(質疑)
 第3 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第17号から議案第30号まで、及び議案第62号(委員長報告・同質疑・討論・表決)
 第2 議案第76号(当局説明)
 第3 議員提出議案第1号、議員提出議案第2号、議案第1号から議案第16号まで、議案第31号
から議案第61号まで、及び議案第63号から議案第75号まで(質疑)
 第4 一般質問
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出席議員(45人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 川口文章
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 16番 下川俊樹
 17番 岸本 健
 18番 尾崎太郎
 19番 藤山将材
 20番 新島 雄
 21番 山下直也
 22番 井出益弘
 23番 宇治田栄蔵
 24番 多田純一
 25番 中 拓哉
 26番 角田秀樹
 27番 江上柳助
 28番 山田正彦
 29番 坂本 登
 30番 尾崎要二
 31番 中村裕一
 32番 服部 一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 藤本眞利子
 36番 長坂隆司
 37番 玉置公良
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
欠席議員(1人)
 46番 松本貞次
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        原 邦彰
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      杉本雅嗣
 総務部長       小濱孝夫
 企画部長       森 崇
 環境生活部長     楠本 隆
 福祉保健部長     井畑文男
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      小倉正義
 教育委員会委員長   樫畑直尚
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員    高垣博明
 警察本部長      鶴谷明憲
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     垣平高男
 選挙管理委員会委員長 山本恒男
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       山本庄作
 次長         植野博文
 議事課長       薮上育男
 議事課副課長     土井敏弘
 議事班長       吉田政弘
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      石垣悦二
 議事課主査      瀧川泰治
 総務課長       下出喜久雄
 調査課長       佐本 明
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  午前10時1分開議
○議長(中村裕一君) これより本日の会議を開きます。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前10時1分休憩
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  午前11時0分再開
○議長(中村裕一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第1、補正予算等議案、議案第17号から議案第30号まで、及び議案第62号を一括して議題とし、順次、常任委員会委員長の報告を求めます。
 農林水産委員会委員長山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕(拍手)
○農林水産委員会委員長(山田正彦君) 農林水産委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案3件であります。
 委員会は、2月26日、第4委員会室において開催し、農林水産部長から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第17号、議案第18号及び議案第62号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、付託案件に係る質疑事項を申し上げますと、木の国森林づくり事業の増額補正内容についてただされました。
 以上をもちまして、農林水産委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
○議長(中村裕一君) 建設委員会委員長野見山 海君。
  〔野見山 海君、登壇〕(拍手)
○建設委員会委員長(野見山 海君) 建設委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案5件であります。
 委員会は、2月26日、第5委員会室において開催し、県土整備部から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査をいたしました結果、議案第62号は賛成多数をもって、議案第17号、議案第23号、議案第24号及び議案第27号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、付託案件に係る各委員の質問項目を申し上げますと、一般会計補正予算における河川改修費の減額理由について、建設事業施行に伴う市町村負担金についてただされました。
 以上をもちまして、建設委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願いいたします。(拍手)
○議長(中村裕一君) 文教委員会委員長坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕(拍手)
○文教委員会委員長(坂本 登君) 文教委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案2件であります。
 当委員会は、2月26日、第6委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第17号及び議案第20号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、付託案件に係る各委員の主な質問項目を申し上げますと、退職手当の補正要因について、就学奨励費の執行状況について、退職者数の見込みと採用計画について。
 以上をもちまして、文教委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
○議長(中村裕一君) 総務委員会委員長須川倍行君。
  〔須川倍行君、登壇〕(拍手)
○総務委員会委員長(須川倍行君) 総務委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案5件であります。
 委員会は、2月26日、第1委員会室において開催し、出納局、人事委員会事務局、監査委員事務局、選挙管理委員会、県議会事務局、知事室、企画部、総務部の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第17号、議案第21号、議案第25号、議案第26号及び議案第28号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、付託案件に係る各委員の質疑項目を申し上げますと、企画部関係では、企画部予算の全般的な減額補正について、地域交通システム推進事業について、総務部関係では、地域中小企業応援ファンドに係る財源の更正について、防災総務費における人件費の増額についてただされました。
 以上をもちまして、総務委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
○議長(中村裕一君) 福祉環境委員会委員長花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○福祉環境委員会委員長(花田健吉君) 福祉環境委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案2件であります。
 委員会は、2月26日、第2委員会室において開催し、環境生活部、福祉保健部の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第17号、議案第29号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、付託案件に係る各委員の主な質疑項目を申し上げますと、福祉保健部関係で、病院施設耐震整備について、障害者自立支援特別対策について、在宅障害者対策についてただされました。
 以上をもちまして、福祉環境委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願いします。(拍手)
○議長(中村裕一君) 経済警察委員会委員長藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕(拍手)
○経済警察委員会委員長(藤山将材君) 経済警察委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案4件であります。
 委員会は、2月26日、第3委員会室において開催し、商工観光労働部・労働委員会、公安委員会の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査しました結果、議案第17号、議案第19号、議案第22号及び議案第30号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、付託案件に係る質疑項目を申し上げますと、商工観光労働部関係で、県営競輪事業における開催日数についてただされました。
 以上をもちまして、経済警察委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
○議長(中村裕一君) 以上で、常任委員会委員長の報告が終わりました。
 これより委員長の報告に対する質疑に入ります。質疑はありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 質疑なしと認めます。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております案件については討論の通告がありませんので、これより直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 これより採決に入ります。
 まず、議案第22号及び議案第62号を一括して採決いたします。
 本案に対する委員長の報告は、いずれも原案可決であります。
 本案をいずれも委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君は、御起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(中村裕一君) 起立多数であります。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。
 次に、議案第17号から議案第21号まで、及び議案第23号から議案第30号までを一括して採決いたします。
 本案に対する委員長の報告は、いずれも原案可決であります。
 本案をいずれも委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君は、御起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(中村裕一君) 起立全員であります。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時10分休憩
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  午後1時1分再開
○議長(中村裕一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 この際、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第33号から議案第40号まで、議案第53号、議案第54号及び議案第56号は、いずれも職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 次に、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
 お諮りいたします。議案第76号を本日の日程に追加し、これより直ちに議題といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 議案第76号を議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず当局の説明を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいま上程されました議案について、御説明申し上げます。
 今回追加提案いたしました議案第76号は、一昨年発生し、県政史上未曾有の不祥事となりました県発注工事をめぐる談合事件に関しまして、共同不法行為による損害賠償請求の訴訟を提起するものでございます。
 去る2月6日に、共同不法行為としまして、6件の工事について、個人4名及び22事業者に対して総額9億7049万8410円の損害賠償請求を行ったところ、2件の工事については納期限内に納入されましたが、いまだに納入が確認されていない4件の工事について損害賠償請求の訴訟を行うため、追加提案さしていただいたところでございます。
 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
 続きまして、本日議員の皆様に配付さしていただいております「新行財政改革推進プラン」につきまして、御説明申し上げます。
 先日の提案説明で、早急に素案を策定し、議員の皆様にお示ししてまいりたいと申し上げましたが、今般、新行財政改革推進プランとして取りまとめ、その内容を簡略にまとめた概要版と参考資料とをあわせて議員の皆様に配付さしていただいております。この場をおかりいたしまして、本素案の内容につきまして、少し御説明さしていただきたいと存じます。
 配付資料の中から概要版を御参照くださいますようお願い申し上げます。
 まず、基本的な考え方といたしましては、平成24年度までに、財政調整基金及び県債管理基金の大幅な取り崩しに頼ることなく、財政収支が均衡する状態を実現すること、また、財政健全化法にかかわる健全化判断4指標について、早期健全化基準を超えない水準を維持することを基本方針といたしまして、平成20年度から平成24年度までの5年間、財政健全化のための取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 また、プランの内容といたしましては、職員数990人の削減や給与の抑制による人件費総額の縮減など歳出抑制策で約687億円、財源対策のための県債の活用など歳入確保策で約690億円、総額で約1377億円の対策を行うとともに、特別会計や外郭団体等の現状と課題の検証を行い、計画期間中に一般会計の運営に重大な影響を与えることがないことを確認いたしました。その結果、基金の枯渇を回避でき、平成24年度には単年度収支が均衡するとともに、4指標についても早期健全化基準を超えない計画となっております。
 以上で、簡単ではございますが、本素案の説明とさしていただきます。
 なお、今議会で議員の皆様方の御意見を伺うとともに、同時に県民の皆様の御意見も伺いながら、本年3月末までに新行財政改革推進プランを策定してまいりたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
○議長(中村裕一君) 以上で、当局の説明が終わりました。
 次に日程第2、議員提出議案第1号、議員提出議案第2号、議案第1号から議案第16号まで、議案第31号から議案第61号まで、議案第63号から議案第75号まで、及び追加提出議案、議案第76号を一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。
 15番平越孝哉君。
  〔平越孝哉君、登壇〕(拍手)
○平越孝哉君 議長のお許しをいただきましたので、久しぶりに一般質問をさしていただきます。
 初めに、平成20年2月定例会の一般質問に当たり、最初に質問の機会をお与えいただきました皆さんに心から感謝申し上げます。
 まず最初に、平成20年度当初予算の基本的考え方についてお尋ねをします。
 我が国の最近の経済情勢ですが、先週の22日に政府が発表した2月の定例経済報告では、サブプライム問題の影響で米国向けを中心に輸出増に陰りが見え、生産が鈍化し始めたことにより1年3カ月ぶりに下方修正され、戦後最長の景気回復局面は正念場を迎えております。和歌山県においても、鉱工業生産指数が平成19年は12カ月中11カ月が前年を上回るなど景気の回復がうかがえるものの、その一方で企業の倒産件数が前年比で6割以上も増加するなど、県民にとって厳しい情勢は依然として続いております。
 本格的な景気回復を実感するにはほど遠い状況にある中で、和歌山県が本当に元気になるためには、さまざまな施策に予算を用いて積極果敢に取り組む必要があります。しかしながら、本県の財政は非常に厳しい状況にあり、昨年9月の和歌山県の財政収支見通しでは、財政調整基金と県債管理基金の両基金が枯渇し、その後も慢性的な財源不足が続くとの推計がなされ、このまま放置すれば、地方公共団体の財政の健全化に関する法律における財政再生団体への転落も危ぶまれる状況にあることが公表されております。このような厳しい財政状況の中で積極果敢に元気な和歌山を実現していくことは、非常に困難な道のりではないかと思うところであります。
 仁坂知事は、昨年の春から新政策の議論を重ね、長期総合計画の策定とともに元気な和歌山の創造に向けて懸命に取り組んでこれらました。就任が一昨年の12月であったため、仁坂カラーが本格的に具体化される初めての当初予算編成において、財政が非常に厳しい中、その行政手腕を発揮され、和歌山に元気を与えてくれるだろうと大いに期待するところであります。
 そこで、仁坂知事は、就任後初めての本格的予算となる平成20年度当初予算の編成に当たってどのような考え方で臨まれたのか、知事の所見を伺います。
 次に、県財政への展望と今後の課題についてお尋ねします。
 新聞報道によりますと、大阪府においては借金の返済を3500億円先送りにし、財政赤字を実態より小さくすることで財政再建団体への転落を回避していたということが伝えられております。まさに、最近の地方公共団体の厳しい財政状況を顕著にあらわす事例であり、その衝撃は大変大きいものがありました。
 現在、地方財政が置かれている問題は、医療費や介護保険といった社会保障関係経費が年々ふえていくとともに、団塊の世代の大量退職に伴う退職手当や公債費などといった義務的経費の増加が見込まれ、和歌山を元気にするような地域の振興のための財源が圧迫され、減少しているというところであります。また、歳入のほうで、三位一体の改革の影響により、地方交付税などのキャッシュが不足しており、借金である地方債に依存せざるを得ない現状にあります。
 このような中で、新しい長期総合計画に盛り込まれた政策を実際に行うだけの強固な財政基盤を確立することができるのか、私は非常に危惧しているところであります。
 先ほど、知事から新しい行財政改革推進プランについて説明がありました。これまでも、現行プランに基づき行財政改革を着実に実施してきたものと思われますが、今回新しいプランを策定し、より一層の行財政改革を断行することにより、持続可能な財政構造への転換を実現するというのが知事の強い決意ではないかと推察いたします。
 そこで、新しい行財政改革推進プランに基づく県財政の展望と今後の課題について、知事の所見を伺います。
 次に、新たな和歌山県長期総合計画についてお尋ねします。
 知事は、就任以来、ふるさと和歌山を元気にすることを目標に、公共調達制度改革を初め、農林業、観光、商工業の振興、景観保全、自然公園の見直しなど、本県の持てる資源を洗い直し、磨き、売り出すためのさまざまな戦略や基盤整備のための方策を立て、直ちに実行に移されております。今回、議案として上程されている和歌山県長期総合計画につきましても、就任早々知事の目指す将来像を県民にわかりやすく示すために、1年をかけて策定することをあらかじめ表明し、知事自身が先頭になって、有識者や市町村長等の意見を聞きながら県庁挙げて策定に取り組んできたと聞いております。
 来年度からは、この計画を指針として県政のかじ取りをしていくわけですが、本県では、原材料価格高騰の影響で県内企業の景況感が悪化し、また雇用動向を見ても、有効求人倍率が低下に転じるなど、本県の景気回復に対する懸念材料が散見される状況にあります。
 新年の新聞に、大変ショッキングな記事が掲載されておりました。それは、社団法人日本経済研究センターが試算した47都道府県の中期的な経済の実力を示す潜在成長率の推計値です。その報道によれば、和歌山県は2005年から2020年度までの潜在成長率が全国最下位で、しかも本県だけがマイナスという、私自身、目を疑うものでした。仁坂知事が昨年来まいてきた和歌山を元気にする種が芽を出しつつある中、また1年の計を立て、県民が元気を奮い立たせようとする年頭に冷や水を浴びせられるような記事に愕然といたしました。幸い、先般公表された平成17年度の県民経済計算では、本県の名目経済成長率が4.1%で全国1位、1人当たり県民所得も271万と過去最高額になったということで、少し安堵したところであります。
 私は、長期総合計画こそ、そこに描く将来像で、県民に夢を与える内容であることが求められると考えております。この計画には、今申し上げたことを初めさまざまな要因を織り込みつつ、県民にわかりやすく、また協力が得られるよう策定に努められたものと推察されますが、県民が共感し、共有できる計画となることを大いに期待し、これからの取り組みをしっかりと見ていきたいと思っております。
 そこで、従来とは違い、1年という短い期間で、また知事みずからが陣頭指揮をとって策定したこの長期総合計画について、知事自身どのように評価し、また今後、本計画に基づきどのように県政運営をされるのか、知事に伺います。
 次に、中小企業高度化資金及び設備近代化資金の債権放棄についてお尋ねをいたします。
 今2月定例県議会に、中小企業高度化資金で5件、総額約26億4200万円、設備近代化資金で19件、総額約4400万円の権利放棄の議案が上程されております。
 最近の新聞報道によりますと、本県が抱える中小企業高度化資金の延滞債権は約108億円に達し、その多くは回収困難、また、中小企業近代化資金で手続ミスから延滞債権約5800万円が回収不能となった以外に、新たに約1億7012万円の延滞額が時効になっている可能性が高いとの記事が掲載されております。ついては、延滞等の現況と、厳しい県財政状況の中でこれらの放棄に至った理由、また、今後の回収整理の方針について知事に伺います。
 次に、医療の問題でありますが、医師不足及び地域医療についてお尋ねします。
 まず、地域医療を支える自治体病院の赤字が膨らみ、存続の危機に立たされており、少子高齢化時代を迎え、県民が安心して生活を送る上で、地域における医療体制の確保が極めて重要な課題となっております。しかし、我が国における医師数は毎年増加しているにもかかわらず、地域における医師不足は全国的に報告されており、和歌山県も同様であります。
 県の医師数は、平成18年現在2532人であり、年々増加しております。人口10万人当たりでは247人と全国平均を上回るものの、和歌山市の医師数は1374人で、県内医師数の54%を占め、人口10万人当たり367人と全国的にも上位で、和歌山市への集中化が生じております。このことから、和歌山医療圏を除く県内の全医療圏が全国平均を下回るという状況であります。また、全国的な医師不足の中で、本県でも紀南地域を初め那賀・伊都地域等、和歌山市を除く拠点病院の医師数が過去5年間で約1割減少しております。
 このように、依然として医師の地域偏在が顕在化しており、また、これまで不足と言われてきた小児科、産婦人科、麻酔科だけでなく、内科や外科、整形外科などでも医師数が減少傾向となっており、地域医療に大きな影響を与えています。県内でも、特に地域医療の中核として高度医療や救急医療、僻地医療など地域医療を支える拠点病院の勤務医師不足は深刻であります。
 なぜ、地域の医師不足は生じているのでしょうか。その理由は、新医師臨床研修制度により研修医が都市や私立病院に集中し、大学医局に入局する医師の減少、地域偏在、診療科偏在、その上、医師不足による仕事の量と当直回数等の増加、医師の子供の教育問題などの理由で、多くの医師は開業するか都市部の病院へ転任しているなどの原因が指摘されています。実際、平成18年には、公立那賀病院において内科医師の一斉退職という問題が発生し、一時、一般内科の診療を休止するという事態になったことがあり、議会でも取り上げられましたが、県立医科大学からの支援により、現在は診療を再開しております。
 しかし、このような事態はいつ何どきどの病院でも起こり得ることであり、危機的状況の中、関係者の努力により、辛うじて今の診療体制を維持しているという状況なのです。仮に地域の拠点病院が倒れることになれば、地域医療全体が崩壊につながります。医療は地域にとって欠くことのできない最も重要な社会資源であり、県民がどこに住んでいても安心して良質な医療を受けることができる環境を確保することが必要であります。
 仁坂知事は、就任以来、県民の命を守ることの重要性を認識され、先頭に立って医師不足対策に取り組まれた結果、新宮市立医療センターに対する国の緊急医師派遣に基づく産婦人科医師の派遣や県立医科大学の入学定員の25名増員など、地域医療の維持に大きな成果を上げられてきました。しかし、先ほど申し上げましたとおり、地域医療を取り巻く環境は大変厳しい状況であることから、県としても、きめ細かな医師確保対策に全力を挙げて取り組むとともに、現状の医療資源を有効活用することができるよう、医療機関相互の機能分担やネットワーク化を進めることにより地域医療体制を守ることが必要であります。
 そこで、医師不足を解消し、地域医療を守るために今後どのような対策に取り組まれるのか、知事に伺います。
 次に、救急医療体制の充実についてお尋ねをします。
 私は、地域医療の中でも、特に県民の生命を守る救急医療体制を適切に確保することが非常に重要であると思っております。
 最近、毎日のように新聞紙上で全国の救急医療の現状と体制の不備が報道されております。昨年の8月末には、奈良県で救急搬送中の妊婦を受け入れる医療機関が見つからず、死産してしまうという痛ましい事件が発生し、国民に大きな不安を与えることとなりました。さらに、全国で、救急搬送において医療機関が受け入れを断るケースが相次いで発生しています。これは、高齢化社会を迎えての患者の増加、2次救急病院の救急医療からの撤退、そして、1人当直で総合診療や救急診療ができない、夜間診療の人件費などで経済的に成り立たない、患者の権利意識が強く訴訟になりがちであるなどの要因が考えられます。
 和歌山県では、3次救急医療機関は日本赤十字社和歌山医療センター、和歌山県立医科大学附属病院があり、平成15年に、和歌山県のドクターヘリ導入により昼間は和歌山県全域の3次救急患者に対応できるようになりました。また、平成18年、南和歌山医療センターに新型救急医療センターが設立され、紀南地域での3次救急患者に対応できるようになりました。
 本県の3次救急医療体制は、他府県と比較して充実しており、今のところ問題となるたらい回しがあったとの報道はありません。しかし、県内では2次医療機関の崩壊が懸念され、また救命救急センターは軽症患者も多数受け入れるなど、本来の重症患者の対応に支障が生じるおそれが出ております。患者が重症化し、心肺停止で病院へ運ばれる患者だけでも県では年間1000人を超えると聞いております。また、当然でありますが、肺炎、心疾患、脳卒中などの疾患により、救命救急センターへ搬送される患者さんは増加をしています。
 和歌山県立医科大学附属病院救命救急センターは、平成12年に26床の救命救急センターとして開設されました。その後、高齢化による3次患者の増加に加え、ドクターヘリの配備により県全域から3次救急患者を受け入れるようになり、夜間の時間帯においては一時的に満床となり、重症患者の受け入れが困難になっている時間帯もあると聞いております。
 救急医療を適切に提供するためには、救命救急センターを核として、各地域の拠点病院等の救急医療機関や消防機関の関係者との連携を常に密にしながら救急医療体制を確保し、充実させていくことが非常に重要であると思います。
 そこで、厳しい医師不足という状況の中、適切な救急医療をこれからも提供していくため、現在の医療資源をいかに有効に活用し、救急医療体制の強化を図っていくのか、そのための今後の対策について、また、県の救命救急センターにはまだ病床や職員の人員体制に余裕があるのかどうかについても、あわせて福祉保健部長に伺います。
 次に、紀北分院についてお尋ねをします。
 開院以来70年、紀北分院は地域医療の拠点病院として大変重要な役割を果たし、地元に十分寄与してまいりました。その分院について、老朽化した今の建物を現地で建て直すことが決まり、昨年1月に県立医科大学が紀北分院整備基本計画を発表いたしました。また、本年度、県において平成22年竣工を目指して建てかえるための設計を進められ、来年度末にはいよいよ建設の着手が予定されているとのことであります。
 これまで紀北分院の整備には、地域住民や関係者が一体となって取り組んでまいりました。それがようやく実現の運びとなったものであり、地元において大きな期待を寄せているところであります。
 私は、以前、平成15年9月の定例会で、紀北分院のあるべき姿について提言したことがあります。県立医科大学が有する高度な医療技術と高野山大学が持ついわゆる心の治療を組み合わせた先端的な医療の拠点として紀北分院を整備することがふさわしいのではないか、また、各診療科が専門的な医療を行う本院と違い、診療科の間で横の連絡を密にした取り組みができるのではないか、これらが実現可能な場所と規模ではないかと提言いたしました。具体的には、高野山大学の先生方による患者さんを対象とする心の持ち方講座の開設や、県立医科大学の学生、看護師を対象とする心の教育の開始、総合診療の提供などであります。
 新たな紀北分院においては、高野山大学と連携した研究を行うことも予定されており、私の提言の趣旨が取り入れられたことについては大変うれしく思っておりますし、紀北分院が将来大きな成果を上げ、発展していくことを強く願っているところであります。また、基本計画では、分院の地域医療における役割と、分院が大学附属病院であることから、和歌山県全体を視野に入れた特徴のある医療、医療従事者の教育に力を入れるとのことでありますが、医学生に地域医療の実際を教えるのも大切であります。
 しかしながら、建てかえ後の紀北分院では、病床数が内科系45、脊髄系35、緩和ケア20、感染病床4の合計104床となる予定であり、現在の146床から病床数をかなり縮小し、救急疾患としての心血管疾患を扱うような診療科等もない計画であると聞いております。また、現在、紀北分院においては内科医が不足しており、内科系の救急外来などにおいては十分な救急医療体制がとりづらいというような心配な話も聞き及んでおります。
 紀北分院の属する医療圏には高齢者が多く、今後さらに高齢化が進むということも考えて、紀北分院には夜間救急診療体制を初めとして地域医療に対して果たすべき役割があるのではないか、また地域住民の期待にこたえるべき責務があるのではないかと、私はかねてより強く思っております。
 そこで、紀北分院が夜間救急診療体制など地域医療に対して今後どのように貢献していけるのか、また医師等の確保をどうしていくのかについて、総務部長にお伺いします。
 次に、農業振興についてお尋ねをします。
 本県の農業は、温暖な気候を生かし、ミカン、柿、桃、梅など果樹を中心に和歌山ならではの農産物の生産に取り組み、これまで県内の地域経済に大きく貢献してきたところであります。しかしながら、農業の現状は、担い手の問題、高齢化の問題、耕作放棄地の問題など、多くの課題を抱えております。10年前の平成8年に産出額が全国では10兆4676億円、本県では1563億円だったものが、平成18年には全国では8兆6321億円、本県では1095億円とそれぞれ2割から3割減少しており、大変厳しい状況となっております。その原因として、手軽さを求める消費者がふえるなど嗜好が多様化していること、輸入農産物が増加していること、少子高齢化などにより、国内市場は縮小ぎみにあることなどが考えられます。
 近年、近隣アジア諸国が目覚ましく発展し、経済の国際環境が激変する中、安全で安心して食べることができる品質のよいおいしい果実等を生産してきた実績とすぐれた技術力を持った本県の農業、日本の農業においてもこれまで以上に重要性を増してくるものと私は確信しているところであります。また、本県の農業の重要性をかんがみると、先ほど申し上げた現状に対して手をこまねいているわけにはまいりません。
 今回、私は、本県の農業の振興を図るためには農家の所得拡大が最重要課題であるとの観点から、流通問題に的を絞り、国内での販売促進、海外市場の開拓という視点から質問をさせていただきます。
 知事は、昨年の機構改革において農林水産部に食品流通課を新たに設置し、7月には国内対策、海外市場への新たな取り組みなどを盛り込んだ農水産物・加工食品の販売促進戦略アクション・プログラム2007を策定しました。そして、商社OBをアドバイザーとして迎えるとともに、大阪、名古屋、東京での積極果敢なトップセールスや、2月4日のわかやま産品商談会in大阪の開催、さらには3月11日から幕張メッセで開催されるFOODEX JAPAN2008への出展など、大いに手腕を発揮されてこられました。
 また、海外市場開拓に向けては、我々農林水産振興議員連盟も参画して、昨年10月1日に和歌山県農水産物・加工食品輸出促進協議会を設置するとともに、10月下旬の台湾、11月上旬の香港、本年1月のマレーシアでの和歌山フェアの開催や県内の輸出セミナーの開催など、国内外ともに矢継ぎ早に県産品の販売促進、市場開拓に向けた各種施策に取り組んできたところであります。私は、これらのダイナミックで素早い施策の展開を大いに評価しているところでありますが、今後は、これらの結果を踏まえ、より大きな成果へとステップしていくことが重要であると考えます。
 まず、国内市場では、青果として生産・出荷するだけでなく、あんぽ柿やカット野菜など加工による付加価値をつけながら農産物の一層の消費拡大を図るといった工夫も必要であると考えます。
 次に、海外市場についてでありますが、さきに岩出市で開催された輸出促進のセミナーに参加させていただいたときの印象を率直に申し上げると、まだまだこれからといった感は否めませんでした。本県の農業の振興にとって海外市場の開拓は、大変重要な課題であります。また、国においても、農林水産物、食品について、平成25年度には輸出額1兆円を達成するという目標を上げております。その動きとも軌を一にしながら積極的に取り組んでいく必要があると私は考えます。
 そこで、国内での取り組みについて、トップセールスや商談会での実績などを踏まえ、平成19年度の取り組みをどう評価し、平成20年度への施策にどのように発展させていくのか、また、海外への取り組みについては、本格的な輸出に向け来年度はどのように展開するのか、知事に伺います。
 最後に、道路特定財源についてお尋ねします。
 道路特定財源の暫定税率の延長をめぐっては、現在、国会で審議が進められているところでありますが、残念ながら財源の使い道の無駄遣いや問題点だけが取りざたされ、我が国の将来を見据えた道路整備はどうあるべきかというような本質的な議論は余りなされておりません。
 道路は、国民の暮らしにかかわる最も基礎的で重要な社会資本であり、特に整備のおくれている地方にとっては、人々が暮らしていく上での基本的な権利や機会を確保する上で不可欠なものであります。道路整備のおくれに起因して生じた地域格差をこのままにして今、暫定税率を廃止することは、まさに地方の切り捨てと言わざるを得ません。
 ガソリン価格が高騰している今、1リッター当たり25円安くなるということは一見ありがたいことです。暫定税率を廃止することで、高速道路を初めとする必要な道路整備が立ち行かなくなり、県や市町村の財政にも大きく影響することもあわせて理解してもらわなければなりません。
 県議会としても、これまで暫定税率等の延長による道路財源の確保を強く訴えてきたところであり、昨年末からは、知事や各市町村長、各市町村議長を初め各種団体とも連携し、暫定税率等の延長を求める決起大会の開催や、関係機関、各政党に対する要望活動を行ってきたところであります。また、住民の理解を求めるため、各市町村長による街頭啓発や、仁坂知事も女性や青年を初めとする県民との対話集会を開催するなど、理解を求めるためのさまざまな取り組みが行われてきました。しかしながら、現国会において関係法案の成立はまだまだ予断を許さない状況にあります。
 我が自由民主党は、去る12月本会議で下川県連幹事長が発言をいたしましたが、本県の置かれた現状を踏まえ、本格的な高齢化社会が到来するまでの我が国に投資余力が残っているこの10年間に、京奈和自動車道や紀伊半島を一周する高速道路を初めとして県民の暮らしを支える必要な道路整備を今後も重点的、効率的に進めるべきであると考え、必要な財源を確保するため、引き続き暫定税率等の延長に取り組んでまいりたいと思います。
 ここで、改めてこのことに対する知事の考え、決意をお伺いして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの平越孝哉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、平成20年度当初予算の基本的考え方についてでございます。
 私は、就任以来、県庁に新政策の検討という制度を導入いたしました。これは、次の年度で何を実現するかにつきまして、予算期に限らず年間を通じていろんな問題点を提起したり、あるいは次の政策のための準備をしたりする、そういうプロセスでありまして、4月から1年かけて、和歌山県をこれからどうしたらいいのかという視点から県庁の総力を挙げてやってまいりました。既存の施策を見直すと同時に県が抱える課題を検討し、その課題を克服するために、予算や条例、県民運動など、あらゆる手法の検討に取り組んでまいった次第でございます。
 この結果、ことしは予算化すべきものとして、長期総合計画の6本柱であるところの、未来を拓くひたむきな人間力の育成、生涯現役で誰もが活躍できる社会の実現、国際競争力のあるたくましい産業の育成、癒しと感動を与える誇れる郷土づくり、県民の命と暮らしを守る安全安心の確立、それから、にぎわいと交流を支える公共インフラの整備のもとに、20項目に及ぶ新政策が生まれまして、総額643億円の新政策予算となって結実したところでございます。
 一方で、議員御指摘のような本県の厳しい財政状況を踏まえると、財政の健全化にも取り組む必要があることから、人件費の抑制や既存事業の見直しなどによりまして積極的に財源の捻出に努めまして、財政調整・県債管理基金の取り崩し合計額を前年度の当初予算の151億円から62億円へと大幅に圧縮したところでございます。
 財政健全化を図りつつ充実した新政策の予算を盛り込むということで、今議会にお諮りする長期総合計画のスタートを切るにふさわしい予算が作成できたのではないかと自分では考えております。
 次に、その予算を支える財政の展望と今後の課題でございます。
 長期総合計画に掲げました将来像を実現していくためには、持続可能な財政構造への転換を図ることが不可欠であります。しかしながら、現行のプランを着実に実施するだけでは収支不足の解消には至らず、残念ながら財政調整基金、県債管理基金も枯渇してしまうということが判明いたしましたので、新たな行財政改革推進プランの策定に取り組み、ようやく議員の皆様にお示しすることができたところでございます。
 お手元にお配りしております新プランの改善策を着実に実施することによりまして、財源対策のための県債にある程度依存する形ではございますけれども、収支不足を段階的に解消し、平成24年度において目標とする収支の均衡を達成することができ、財政調整基金、県債管理基金が枯渇して財政再生団体に転落するような、そういう事態は回避できる見通しがようやく立ったと考えております。
 しかしながら、社会保障制度の今後の動向によっては、新たな地方負担が生じる可能性もあります。本年度もまた、そういうことがありました。地方財政を取り巻く環境は依然不透明なものがございます。
 今後とも、和歌山を元気にするための施策を積極果敢に展開していくため、厳しい道のりでありますけれども、新プランに沿った行財政改革を確実に実行して持続可能な財政構造への転換を目指すとともに、県議会の皆様に御協力いただきながら地方税財源の拡充を国に対し強力に働きかけ、安定的な財源の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、長計でございます。
 計画の評価についてというお尋ねでございますけれども、本計画を、私は県民と共有できるものにしなければいけないと思いました。そこで、目指す将来像を簡潔かつできるだけ具体的に盛り込みまして、和歌山県をどのような方向に導くのか、そのためにどのような方向を、どのような取り組みを進めるのか、そういうものが県民の方に読んで御理解いただきやすいようにしたつもりでございます。
 ただ、短いとどうしても、原案作成の段階でございますけれども、抽象的になりがちでございまして、私、県庁の職員、みんな苦労いたしました。中身といたしましては、県民に夢と行動の指標を与えるというようなことを目指しましたが、一方で、それが絵にかいたもちにならないように実現可能性についてちゃんと検証いたしまして、同時に、進行中であった行財政改革プランに沿ってこれができていくだろうかというようなこともチェックの上、お諮りしたところでございます。
 議員御指摘のように、潜在成長率は、過去のトレンドを基本として計算すれば当県は残念ながらマイナスとなりますけれども、これは、潜在成長率という名前にそんなにふさわしいようなものではございません。最近、御指摘のように、本県経済にも明るい兆しも見えております。これを追い風といたしまして、本計画に盛り込んだ政策を積極的に推進することにより、今後10年間で本県経済は全国を上回る伸び率になるものと私は見込んでいるところでございます。
 私は、本計画が、持続可能な財政構造への転換を図るための行財政改革の取り組みを進めつつも県民が県の将来に大いに夢や希望を持っていただけるような、そういう内容になっているものと考えております。
 また、本計画に基づく県政の運用につきましては、県民に本計画を御理解いただくことが重要であります。
 今後、さまざまな機会を通じ積極的にアピールをしていくことが必要だと思っておりますが、本計画を県政運営の指針として座右にいつも置きまして、毎年度、本県が次年度に向けてどうしていくべきかという新施策について全庁的に議論し、選択と集中による施策の重点化を図りながらも、本計画に掲げたそれぞれの目標の達成のためにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、中小企業高度化資金及び設備近代化資金の債権放棄についてでございます。
 まず第1に、中小企業高度化資金の延滞状況でありますけれども、平成18年度末現在で、償還中49組合のうち延滞組合が34組合あります。延滞額で約108億7000万円となっております。今回は、そのうちの破綻5組合で、債権放棄額約26億4000万円をお願いしているところでございます。
 当資金は、中小企業者の協業化等によりまして経営基盤強化を図るための制度であり、地場産業の構造転換に相当な貢献をしてまいったと思っております。貸し付け時には、県、中小企業基盤整備機構──当時は中小企業事業団であったと思いますが──並びに中小企業庁等と密接な連携をとりまして、事業計画、資金計画等の適切な診断指導、厳密な貸し付け審査をしながら適正に実行したものでございます。
 しかしながら、貸し付けを実行した後、貸し付け先を取り巻く経済環境の変化など不測の事態も重なりまして、それぞれの組合が破綻したものであります。県といたしましては、平成14年度の包括外部監査での指摘なども受け、体制を強化し、組合資産の売却、連帯保証人、相続人への厳しい徴求など、あらゆる法的手段を駆使してまいりました。
 また、中小企業基盤整備機構など国においても、平成16年7月には債権放棄による免除規定の明記など早期処理スキームへの転換もありまして、県としてもさらなる早期処理に向けて、担当課室の格上げ、職員の増強等、さまざまな手法を取り入れて本格的な回収整理に入っているところでございます。
 一方、設備近代化資金につきましては、延滞額の状況は、償還中、現在償還をしている123件のうち延滞先121件、延滞額約3億円ありますけれども、今議会では、債権放棄は19件、4400万円をお願いしているところでございます。
 今回の案件につきましては、債権回収が困難と思われます92件を債権回収会社に調査委託した結果、貸し付け先の廃業、連帯保証人や相続人の破産や相続放棄等により回収の見込みがなくなったものでございます。また、今回の議案にはありませんが、同様の債権回収を進めている中で、債務者等の時効援用を受け、11件、約1400万円の債権が消滅することとなりまして、今年度中の処理をしたいと考えてございます。
 この設備近代化資金につきましては、過去営々と債権管理が徹底されていなかったことによるものでありまして、県庁全体の責任でございます。県庁を預かる者としてまことに遺憾であり、このような事態に至ったことについて率直におわび申し上げなければならないというふうに思います。同時に、歴代の当該機関の管理監督者に対しても厳正な処置を行ったところでございます。
 幸い、現在は、先ほど申し上げましたような体制も整備され、私の指揮のもとに担当が士気高く管理しているところでございます。したがって、現在はかつてのようなずさんな管理体制は払拭されているというものでございます。
 ただ、今後とも法的処理等を積極的に活用しながら、迅速かつ適正な債権回収に邁進し、延滞債権の早期縮減になお一層努めてまいりたいと考えてございます。同時に、現在、これから発生するであろういろいろな貸し付け等々の債権、これにつきましても、かつてのようなずさんな管理を二度と起こさないように努力してまいりたいと考えております。
 次に、医療問題でございます。
 御指摘のように、県民が安心して医療サービスを受けることのできる地域医療体制を堅持するためには、まず地域の拠点病院の医師を確保することが必要であると認識しております。そこで、医師不足解消に向けた抜本対策といたしまして、国への強い働きかけをいたしまして、平成20年度から県立医科大学の入学定員を25名増員いたしました。増員した25名につきましては、県民医療枠及び地域医療枠として、県内の公的医療機関において地域医療を担う人材として養成してまいります。特に、僻地医療を担う医師養成枠として設置した地域医療枠入学生に対しては、一定期間の僻地勤務を返還免除条件とする修学資金制度を創設いたしまして20年度当初予算に計上さしていただいているところでございます。
 しかし、県立医科大学の入学定員増員で養成したこれら医学生を戦力として地域に派遣するまでには8年間かかります。その間も、御指摘のように地域に必要な診療体制を維持することができるように頑張ってまいらなければならないと考えております。
 そこで、既に制度化されておりますわかやまドクターバンクや青洲医師ネットにより、県内外から地域医療に意欲ある医師を即戦力として確保するほか、小児科、産科、麻酔科を目指す医学生や研修生等を対象に修学資金を貸与する医師確保修学資金を引き続き実施することによりまして、地域偏在、診療科偏在の解消に取り組んでまいりたいと思います。
 さらには、医師不足により診療体制の維持が困難となった地域の拠点病院へ緊急臨時的な医師供給等を行う地域医療支援事業を実施することによりまして、県立医科大学と連携しながら地域医療体制の確保、充実に努めてまいります。
 今後も、限られた医療資源を効率的、効果的に活用することができるよう、議員御指摘のように県立医科大学や自治体等関係者と連携を図りながら医療機関相互の機能分担や病院と診療所の連携を進めるなど、県民全体が安心して医療サービスを受けられる環境を整備してまいりたいと考えております。
 次に、農産物の販売促進でございます。
 元気な和歌山を築く上で欠かすことのできないテーマは、この農業の振興であると思います。そのためには、生産振興はもとより販売促進に力を注ぎ、収益性の高い農業を実現していかなければいけないと思います。このような考え方のもと、19年度はアクション・プログラム2007を策定し、販売促進と販路開拓に計画的に取り組み、議員お話しのように、今月開催されるFOODEX JAPANへの出展など、数々のビジネスチャンスを県内の生産者の方々に提供する、そういうことができたものと考えております。
 先般の大阪での商談会では、アンケートを実施してまいりましたが、それにお答えいただいた流通関係者の方々から、満足した、いいのを見つけた、有意義な情報を得られた、次も参加したい、そういう回答もいただいてございます。こうした成果を踏まえ、近くアクション・プログラム2008を取りまとめ、また本年も計画的に施策を展開してまいりたいと思います。
 例えば、国内では首都圏を初め大消費地で和歌山産をPRする、そういうミニアンテナショップ「ミニわかやま喜集館」をJAグループと新たに進めてまいりたいと思います。また、食品加工については、これまで県内各地で柿酢や黒豆、サンショウなどを使った加工食品が誕生してきているところでございますけれども、これら恵まれた本県の地域資源を生かし、新たにわかやま中小企業元気ファンドも活用しながら、農商工連携によるアグリビジネスとして産業のすそ野を広げてまいりたいと考えております。
 さらに、海外市場に向けては、富裕層をターゲットに、台湾、香港、マレーシアにおいて、御指摘のように柿、ミカンなどの高品質な果実を中心にフェアを開催するとともに、開催国のバイヤーを招聘するなど、県産品の輸出に向けた取り組みも始めてまいりました。ことしもこれをもっと拡大してまいりたいと思っております。
 しかしながら、議員からお話のあったとおり、こうした取り組みは緒についたばかりでございます。20年度は、海外でのフェア開催等を継続するとともに、輸出にかかるコストやリスクの低減に関する調査を進めるなど、輸出環境の整備に努めてまいります。
 また同時に、中国に向けての輸出障壁となっております検疫上の問題点、これがございますが、これは我々もよく勉強して戦略を練るとともに、交渉してもらうのは国ですので、国にも力強く働きかけてまいりたいと思います。
 いずれにいたしましても、新政策としての農林水産物の販売促進に努め、厳しい産地間競争に打ち勝ち、和歌山県の農家の経営安定に努めてまいりたいと思います。
 次に道路特定財源について、暫定税率延長に対する私の考えと決意を申し述べたいと思います。
 現在、国会において道路特定財源に関する法案の審議が進められております。税制の審議が進められております。議員御指摘のとおり、本県にとって京奈和自動車道や紀伊半島を一周する高速道路を初めとした道路整備は極めて重要でありまして、必要な財源を確保するため、暫定税率等の延長は不可欠であると認識しております。
 仮に道路特定財源の暫定税率等が廃止されますと、国、地方を合わせて全体で2.6兆円の道路財源が減収となります。本県に置きかえますと、県で120億円、市町村を合わせて170億円の財源が減収となり、残された財源から過去の起債の償還や維持補修などの義務的な経費を差し引きまして、これまでやってきたいろいろな財政措置を前提にして考えますと、新たな道路整備へ投資できる経費はほとんどなくなってしまいます。
 県財政は、昨年9月に発表しました。きょうまさに申し上げましたように、ぎりぎりかつかつのところで行財政改革を進めているところでございます。したがいまして、他府県もそうでございましょうけれども、ほかの分野の予算からこっちへ持ってくる、あるいは懐から今の財政欠陥を補うという余裕は私は全くないというふうに思っております。
 一方で、最近言われておりますように、仮に直轄事業負担金をなくし、臨時交付金や補助金を現状水準とするということで地方の財源を確保するということになりましたら、今の問題はなくなるわけですが、今度は、それならそれで、この結果として国の道路財源がほとんどないぐらいに減少してしまいます。そうすると、県民の悲願であります紀伊半島一周の高速道路や、あるいは京奈和自動車道、直轄国道のバイパス整備など、これからまさに和歌山がお願いをしてつくっていただかなきゃいかんというふうに思い、かつ、この間の10年間の中期計画によると、「おっ、これはかなりうまくいっとるぞ」というふうに思ったものができなくなってしまうというおそれも大変強くなります。本県にとってこれは重大な問題であるというふうに考えております。
 こうしたことについては、紛れもない事実であります。したがって、真実を隠してほおかむりをしてるということは、責任のある立場としてはできません。事実を申し上げなければならないと思います。したがって、いろいろな方法を使って県民により多くの情報を提供したり、対話集会を通じて県民に説明したり意見を聞いたり、またそれに対して答えたり、そういうことをするなどのできる限りの取り組みを行ってまいりましたし、今後とも行ってまいりたいと思います。
 県といたしましては、地方の道路財源はもとより、国の直轄事業の財源についても十分確保することが必要であり、もちろん無駄は省き、不必要なものは整理していくということは必要でございましょうが、暫定税率等の延長に関する関連法案が年度内に成立するように強く訴えてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 医療問題についてのうち、救急医療に関する2点の御質問に一括してお答え申し上げます。
 まず、救急医療体制につきましては、県では、市町村や関係機関との連携のもと、傷病者に対し重症度に応じた迅速かつ適切な救急医療を提供するため、比較的軽症患者を受け入れる初期救急医療体制、入院治療を必要とする患者を受け入れる2次救急医療体制、重篤な救急患者に24時間体制で対応する3次救急医療体制から成る体系的な救急医療体制を確保しているところでございます。特に小児救急医療につきましては、小児科を有する病院が休日、夜間等の小児2次救急患者を受け入れる体制の整備を行うあんしん子育て救急整備事業の充実や、休日の夜間に実施している小児患者の保護者向けの小児電話相談事業を平成20年4月から毎夜間に拡大するなど、体制強化を図ることとしてございます。
 周産期医療につきましては、総合周産期母子医療センターを中核とした和歌山県周産期医療システムを確立し、病院と診療所等が連携し、リスクの高い妊婦や未熟児の救急搬送を実施しているところでございます。
 また、地域の救急医療体制を確保するため、開業医と病院勤務医とが連携し、県域を超えた救急医療体制を構築し、病院勤務医の負担軽減を図る取り組みも行ってございます。さらには、平成15年1月からは県立医科大学附属病院にドクターヘリを導入し、救命率の向上と後遺症の軽減に大きな成果を上げているところでございます。
 医師不足等が深刻な中、病状等に応じ適切な医療機関で受診していただくなど、県民の救急医療に対する御理解と御協力を得ながら、病院と診療所との連携を推進しつつ、消防機関を含む医療連携体制を構築し、地域の実情に応じた救急医療体制の充実強化を図ってまいります。
 なお、県内の救命救急センターにおける重篤患者の受け入れ状況につきましては、平成18年の病床利用率は3病院の平均で64.6%でありますが、80%を超えるセンターもあり、議員御指摘のとおり、一時的には満床となるなど厳しい状況でありますが、3次救急医療機関の相互連携、あるいはまた救急医療従事者の献身的な御尽力により受け入れ態勢は確保されているものと感謝してございます。
 今後におきましても、限られた医師や看護師等の人員体制のもと、より一層病床の効率的な利用を図るなど、重篤患者を円滑に受け入れる態勢の確保に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 総務部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○総務部長(小濱孝夫君) 紀北分院の地域医療に対する今後の貢献と医師等の確保についての御質問にお答えいたします。
 昨年1月の県立医科大学が策定いたしました紀北分院整備基本計画では、紀北分院の建てかえ後は、内科、小児科など7つの診療科を設置し、地域医療を分担する病院としてはもとより、大学附属病院としてチーム医療による総合診療の充実、脊椎・脊髄センターや緩和ケアといった新しい取り組みを行う特色のある施設として計画しております。
 議員御指摘のように、公立病院間の機能分担やネットワーク化が必要との方針は国からも示されているところでございます。建てかえに際しましては、病床数と一般外科の削減を予定しておりますが、地域全体としては医療資源の効果的な配置、活用と病院間の連携により、必要とされる医療サービスの提供につながるものと考えております。
 また、他の病院と同様、紀北分院においても常勤医師が不足している状況でありますが、本院からの非常勤医師や、月に1度は本院の病院長や副病院長も紀北分院に出向くなど、診療支援を行っております。今後とも、医師を初めとした医療スタッフによる必要な診療体制が維持されるよう大学に働きかけてまいります。
 いずれにいたしましても、紀北分院が機能分担による新たな診療体制のもと、夜間救急診療なども含め、地域内でその役割を果たしていくことが肝要であり、そのためには教育、研究、研修などの機能も充実した魅力ある附属病院として整備が必要であると考えております。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 以上で、平越孝哉君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 24番多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕(拍手)
○多田純一君 皆さん、こんにちは。議長のお許しをいただきましたので、早速質問に入りたいと思います。
 本日、2番手でございますので、多少先ほどの御質問とダブる部分があるかと存じますけども、視点を変えて質問さしていただきたいと思います。
 2008年の本年は、円高、株安、原油高騰、環境問題、小麦や大麦など生活関連のものが値上がり、そして追い打ちをかけるように中国製ギョーザによる食の不安という波乱の1月幕あけとなりました。激動の世界、加速度的なグローバル化の中、いやが応でも私たちは、世界の中の日本、国際社会での日本、その中で生きている現実を再認識させられた思いです。特に、中国製冷凍ギョーザによる問題で、日本の自給率がカロリーベースで39%ということについては、他国に依存している現状を正し、食育の推進を進め、今こそ農業王国和歌山として安全・安心な和歌山県産品を大いに売り出すチャンス到来のときでもあります。
 一方、国内に目を転じますと、国の平成20年度予算や関連法案が2月最終日に衆議院を通過、国会はいよいよ衆議院から参議院へ移り、道路特定財源の租税特別措置法をめぐって、今月31日に期限切れとなるガソリン税等の暫定税率を10年延長する与党と暫定税率廃止を主張する野党の対立が激しさを増しています。いわゆる「ガソリン国会」とも言われ、政局になる可能性を秘めているだけでなく、地方、とりわけ和歌山県にとりましては、この道路特定財源の暫定税率廃止による120億円の欠損は、県民悲願の高速道路の整備や通勤・通学路の道路整備に大きな影響を与えるだけでなく、県民の福祉や教育などのサービスへの低下にも影響するもので、5年連続マイナス予算、62億円の収支不足を県債管理基金の取り崩しで何とか予算を計上した和歌山県平成20年度予算にも多大な影響を与えるものと、国会の動きが気になるところであります。
 和歌山県の今年度予算は、仁坂知事が取り組んだ本格的な予算でもあり、今後10年間、和歌山県の方向性を示す新長期総合計画を県民にお示しし、その真価が問われるスタートの年でもあります。
 NHK「その時歴史が動いた」ではありませんが、歴史を振り返ると、そのときの分岐点がわかると言われます。県勢浮揚をなし遂げるためには県民への信頼確保が絶対条件です。県政が低迷している中にあって、そのときから和歌山が変わったと言われるぐらい大事なときを迎えております。就任以来、休む間もないほど動きに動いておられます、その大いなる紀州丸のかじ取りを仁坂知事に期待し、一般質問の本題に入りたいと思います。
 最初に、新長期総合計画についてお尋ねをいたします。
 この問題につきましては、12月定例議会でも若干触れさしていただきました。計画案策定まで骨子、素案、原案と検討精査されて、その過程で有識者の方々にも意見を聴取し、県内各市町村の方にも意見、要望を確認しながら、やっと本案を議会に上程しておられます。
 県民からのパブリックコメントは7名20件となっていますが、県民のための県政と県民からの信頼を得る県政という知事の理念からすると、新長期総合計画に理解を得る上で課題と言えます。知事も、計画は県民の皆さんと共有すべきと語っておられます。いかにすばらしい計画を立てても、県民と共有していかないとうまくいかないと思います。その点について、知事のお考えをお示しください。
 新長期総合計画の中でも、広域的な連携について触れています。歴史的にも文化的にもつながりが深い割には余り連携が今までよろしくなかったのかなあという気がいたしますが、大阪府に橋下知事が誕生し、いち早く関西のトップリーダーを期待して橋下知事に仁坂知事があいさつに行かれたとのこと。そのことで、和歌山の県産品の物産展の応援に答礼として駆けつけてくれたことは、これから連携を深める上で、いいスタートを切ったと思われます。
 大阪を中心とした近畿圏、愛知県を中心とした中部圏、東京を中心とした関東圏、その中で中部圏の躍進が目立ち、県内総生産は、実質連鎖方式による数値によると近畿圏を抜いて関東圏に次ぐ位置にあるということです。それに対し、長らく不況からなかなかきっかけをつかめないまま今日に至っておりましたが、大阪府も大阪市もトップがかわり、またシャープや松下という電子部品デバイス事業の集積が行われてきており、この関連企業の進出等で今後期待感が出てきております。現に和歌山県においても、このシャープの関連として、アルバックマテリアル株式会社、恵和株式会社、ビーウィズ株式会社など企業誘致が決まったのも、この影響と言えます。
 一昨年から始まった関西の2府7県4政令市の知事、市長及び経済団体の関西広域連合は、関西がその特色を生かし、魅力ある地域として自立的に発展するためには、関西にとって望ましい地方分権体制を早期に実現しなければならないとして、権限移譲の受け皿ともなり得る広域自治組織を検討しています。これが道州制への流れともなりかねませんが、近畿のおまけにならないためにも、和歌山県の存在感を示しながら大いに連携を強化していく必要があると思います。この点について、仁坂知事の御見解をお示しください。
 大きな2点目に、過疎集落対策及び情報格差への取り組みについてお伺いしたいと思います。
 右肩上がりの人口増を前提とした制度や仕組みを続けてきた我が国は、一転して人口減少に立ち向かう構造改革が迫られている事態となっています。その意味で、過疎集落問題は単なる過疎問題だけではない。日本古来の歴史的な遺産である山村風景が喪失し、伝統文化や芸能が廃れてしまい、日本の精神が引き継がれなくなる。そして、人がいなくなることで田や畑の耕作放棄地がふえ、自然環境の悪化となり、下流に渇水や水害をもたらし、新たな都市災害となっています。国土や環境の保全面で最前線の役割を担っていることを再認識し、効果の出る支援策を早急に講じるべきと考えます。
 政府の集落の状況に関する現況把握調査でも、我が国の過疎集落は6万2273に達し、このうち集落機能の維持が困難な集落は2914、4.7%とされています。和歌山県内には、過疎法に基づく過疎市町村は2市10町1村の13市町村に及んでいます。人口では22.3%、面積では67.2%がその対象地域になります。また、山村振興法に基づく振興山村市町村は、17市町村が指定されています。この対象集落として、市街地を除く分として547集落が存在し、そのうち193集落が、65歳以上の比率が50%を超える集落として限界集落に直面していると言われております。
 私たち公明党は、昨年、地域活性化推進本部を立ち上げ、共同体として機能の維持が困難な集落や将来消滅するおそれのある集落について、意識及び実態を把握することを目的に、集落の住民及び集落が所在する行政担当者を対象に全国の過疎集落実態調査を実施いたしました。期間は平成19年11月から12月、対象集落としましては、高齢化率が50%を超え、かつ共同体として機能の維持が困難な過疎集落及び同条件にほぼ該当すると推定される集落、調査事項としましては、集落の人口構成、過疎化の原因、集落の課題、集落所在市町村の集落の数、消滅のおそれ、過疎集落対策、市町村担当者回答数といたしましては261市町村、集落有力者の回答数といたしましては476集落となりました。
 党の集計結果から明らかになった主な点とその対策については、1つ、過疎集落の4割を占める20世帯50人未満の高齢化の高い集落については、共同体の存続・維持に特化した支援を検討するなど、早急な対策が求められる。2、高齢化イコール農林水産業の衰退と受けとめる住民が多い。農林水産業は、国土保全、雇用確保として効果が大きく、森林の荒廃や若者の流出、鳥獣被害、耕作地の放棄など、単なる産業施策としてではなく、過疎対策の重要な柱と位置づけられる。3、過疎集落においては、高齢の地域役員の兼務、継続が大きな負担となるなど、共同体維持のための人的パワーが不足している。このため、若手の人員派遣施策や学生インターンシップや過疎集落青年協力隊など、民間活力の活用も含めた人的支援策が検討されるべきである。4、過疎集落を多数抱える中小自治体は、過疎対策で大きな負担を強いられる一方で歳入も減少する結果、財政余力が弱体化している。過疎法が期限切れとなる平成21年度に向けた過疎地域自立促進法の抜本改正、もしくはこれにかわる新たな過疎対策立法が検討されなければならないと考えられます。
 私も、毎年キャンプでお世話になっております有田川町清水、旧の清水町に行ってまいりました。サンショウの生産が日本一というだけではなく、林業も全国でも有数な規模となっています。温泉が2カ所あり、かつては年間30万から50万人ぐらいの観光客もあったようですが、国道480号線の整備がおくれており、観光ルートからも外れてきているように思われます。幸い、内科医や歯科医ほか医師が頑張っておられることが救いですが、昨年4月現在、人口4627人、高齢化率45.5%となっており、ひとり暮らしのお年寄りも多く、高齢者対策も早急に必要になってきています。旧清水町の26地区すべてが難視聴地区で、2011年7月、地上デジタル放送完全移行後は、アナログでの放送が終了するわけですから、テレビが見れない、そういう事態になってしまいます。
 平成19年9月公表された地上デジタルテレビジョン市町村別ロードマップによれば、和歌山県では、2011年のアナログ放送終了時において地上デジタル放送を視聴できない世帯が、旧清水町を含め7市13町、約1万5000世帯にも及んでいます。これは、全国的に見てもワースト1位の状況です。
 以上を踏まえ、お尋ねをいたします。
 過疎地域の現状認識と待ったなしのこの状況を踏まえ、今後の過疎集落対策について、特に企画、福祉保健、農林水産、県土整備、教育委員会等横断的な取り組みを考え、組織再編を含む強化策が早急に必要ではないかと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
 県内全域で携帯電話の不感地域の解消とあわせて地上デジタル放送へのスムーズな移行に向けて、この3年計画について、企画部長、お答えいただきたいと思います。
 続いて、3点目の質問に移りたいと思います。元気な和歌山の未来を拓く人づくりについて、以下、教育長にお尋ねをいたします。
 教育委員会の新政策の柱として、きのくに共育コミュニティの形成を上げておられます。ここでの「キョウイク」とは、「共に育てる」と書く「共育」だそうです。基本的に各中学校区単位に、地域や家庭、そしてNPOや企業を巻き込んで地域共育コミュニティを形成していくとなっています。
 東京都杉並区立和田中学校では、民間人として校長に就任した藤原校長が提唱し、地域の大人も参加して実施される「よのなか」科の授業が注目されております。学校を使って夜間に塾を開くことで有名になった中学校です。学校で教わる知識をどう使えば世の中で使える知恵や技術に変えられるかを学ぶ授業を「『よのなか』科」と呼んでいます。土曜寺子屋、英語アドベンチャーコースなど、公開授業に参加した多数の協力者が支援ネットワークを構成し、図書室の自主運営化に伴う本好きのPTAネットワーク化、校庭芝生化に伴う芝生の保護活動を担うグリーンキーパーズの発足など、地域総がかりで学校を変えていると、そういう事例です。
 和歌山県としてお考えのこのきのくに共育コミュニティの形成、その新政策と進め方についてお聞きしたいと思います。
 教育の2点目に、県内の小中高校生の体力・運動能力は、ボール投げと長座体前屈以外はほとんど全国を下回ってるとの県教育委員会の報告書がこのほどまとまり、発表されました。お手元の配付資料にありますが、図-1は本県と全国を比較した体力・運動能力調査の年次推移となっています。小学校は96種目、青線です。中学校は赤線。高等学校は緑の線。中学校、高等学校は、それぞれ54種目。その種目の合計が全国平均値と同じか上回る種目数が占める割合のグラフとなっています。つまり、グラフを見ていただいて小学校の部分の72%という意味は、96種目のうち全国平均より下回るのは28%だったということでございます。
 小中学生では平成14年をピークに、高校生は、平成16年に少し持ち直しましたが、ここ数年間では小中学生以上に急落していることがわかりますし、小学生、中学生、高校生と進むにつれて全国との差が広がってきています。高校生では、54種目中93%、ほとんどが全国平均を下回っているという事実を示しています。
 図-2は国民体育大会の9年間の総合順位表です。何が言いたいかおわかりいただけると思います。最近では、平成13年が29位で一番よかったわけですが、先ほども触れました、小中学校でも平成14年がピークで、後は落ちていくわけですので、似ているように思います。国民体育大会での総合優勝を目標として、才能のあるアスリートの養成も大事ではありますけども、全体を底上げすることがポスト国体を考える上で、より堅実な取り組みと申せます。
 資料その2の図-3をごらんください。これは、加齢に伴う各種目ごとの県平均値と全国平均値との比較になっております。青い線が男子、赤い線が女子、点線が全国、実線が県内となっています。例えば左上の握力でいうと、小学校6年ぐらいから全国との差が開いてきていることがわかります。敏捷性や筋持久力を示すと言われている反復横跳びやそれ以外の種目でも、およそ男女とも小学校1年生から全国との差が開いてきているのがよくわかります。長座体前屈やソフトボール以外は全国との差がはっきりしています。とりわけ、小学校低学年から体力・運動能力の向上を図ることが喫緊の課題と言えるのではないでしょうか。
 そこで、これまで体力・運動能力が低下してきたその原因と今後の対応について、教育委員会としてのお考えをお示しください。
 この体力維持に関連して、健全なる精神、健全なる体力、健康の増進のため、食育の推進をますます進めていく必要があると考えます。朝食欠食率ゼロ、そして確かな食の安全・安心を求めて県産品の地産地消をふやす、そのお考えについてお答えください。
 教育の最後に、少子化や先ほど申し上げました過疎化に伴い、学校規模の適正化を目指し、学校の統廃合を支援してきています。小学校、中学校での今後の統廃合について、教育長のお考えをお尋ねいたします。
 続いて、文化芸術振興とその活用、保存についてお伺いします。
 文化で地域を元気にするという講演会が以前にありました。英語で「デプレッション」という言葉があり、抑うつ症、憂うつという意味や、または経済での不景気、不況という意味もあります。臨床心理学者でフルートも奏でた文化庁長官だった河合隼雄氏が長官をお引き受けになるとき、「経済の不況は僕には直せないけど、心の落ち込みなら文化芸術の力で元気にすることができる」と、そのときの心境を語っておられました。
 2001年12月7日に施行された文化芸術振興基本法の第4条、地方公共団体の責務について示された条文には「地方公共団体は、基本理念にのっとり、文化芸術の振興に関し、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。」と明記されております。また、その前文には「文化芸術を創造し、享受し、文化的な環境の中で生きる喜びを見出すことは、人々の変わらない願いである(中略)人々の創造性をはぐくみ、その表現力を高めるとともに、心のつながりや相互に理解し尊重し合う土壌を提供し、多様性を受け入れることができる心豊かな社会を形成するものであり、世界の平和に寄与するものである」とあります。
 文化芸術は、1人1人の持つ創造性を開き、多様性を尊重する社会をつくるための大切な要素であり、また青少年の豊かな心をはぐくむためにも重要な分野であると同時に、物の豊かさから心の豊かさへ価値観の転換を促すことでもあります。
 アメリカのルーズベルト大統領が、1930年代、アメリカの大恐慌を乗り切るためニューディール政策を行ったことは有名な話です。ダム建設など土木工事事業を中心とする公共工事でした。しかし、もう1つの大きな柱がフェデラル・ワンとして知られる文化芸術の政策でした。徹底した文化芸術政策を遂行し、暗く厳しい時代だからこそ次の時代に向けて豊かな心をはぐくみ、心のエネルギーの準備をしていく。それがブロードウエーのミュージカルを確立し、ハリウッドの巨大映画産業の成長の基礎を築いたと言われております。不景気で沈んでいたアメリカの国民の心に明るさを取り戻し、勇気を奮い起こさせました。それも文化芸術の持つ力です。
 「県民の友」に知事のメッセージが載っていました。ある和歌山出身のバイオリニストの話です。和歌山出身であることを誇りとして活躍されておられるそうです。その高名なバイオリニストを育てたのが数人の和歌山の篤志家だったそうです。文化や芸術への理解、それを大事にする豊かな心が和歌山にはあります。詩歌の天地、万葉のふるさと和歌山で詠まれた歌は約130首と言われておりますが、和歌山の自然そのものが文化であり、芸術であります。いやしのふるさと熊野古道、そして、和歌山県域には国指定等文化財537件、県指定文化財508件の文化財があり、国宝の数は全国第6位に位置しています。文化の県です。
 そこで、お尋ねします。
 新長期総合計画には、文化芸術振興条例を策定するとなっています。公明党議員団として長年要望してきた条例でもあります。その方針をいつ実現されるのか、手順も含めて知事室長にお尋ねをいたします。
 文化遺産の保護という観点から、国指定建造物等の文化財、その地震、火災等、防災への備えはどのようになっているのでしょうか、教育長にお尋ねします。
 そして、県民に親しみやすい文化芸術への工夫について、知事室長にそのお考えをお聞きしたいと思います。
 最後に、カジノエンターテインメント構想についてお聞きしたいと思います。
 今年度予算、新政策事業の中に、誘致可能性検討事業として200万円計上しています。この事業は、県民の理解を深めるとともに誘致の可能性について検討するとなってます。
 カジノの誘致に関しては、前知事のとき、平成15年2月に東京、大阪、神奈川、和歌山など6都道府県の研究会が発足しており、和歌山県でもその研究会も開催されております。現在は地方自治体カジノ協議会に変わっていますが、いずれにしても推進派として今日に至っています。カジノ特区の構想を政府に打診するなど、水面下の動きもあったようです。13の市町並びに商工会や商工会議所が参加してのカジノ・エンターテイメント研究会が発足しており、講演会なども行っています。国内外からの集客効果による経済活性化や雇用の創出が期待され、世界では既に120カ国近いカジノを合法化しています。
 御存じのように、カジノは刑法第23章「賭博及び富くじに関する罪」に該当し、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律においても規制の対象となっています。しかし、賭博及び富くじに関する罪に該当するものであっても特別法を制定し合法化されてるのが、競馬、競輪、競艇、オートレース、宝くじ、サッカーくじtotoなどの公営ギャンブルとなっています。法制度上の問題だけでなく、ギャンブルへの抵抗感や治安への不安、青少年、住環境への影響など、課題も少なくありません。
 一方、国においても自民党基本方針が発表され、カジノ合法化を目指す法案への動向もあるやに仄聞されます。全国の中でも、近畿圏では大阪府や、近くでは堺市なども熱心な取り組みが見受けられます。県民の合意が大前提ですが、それこそ、先ほど申し上げましたように、広域連携の中で近畿の役割分担という大きなコンセンサスも必要ではないでしょうか。県民意識調査などを行うための準備のための予算とされていますが、カジノエンターテインメントへのお考え、最終的には住民の判断をどういう方法で確認するおつもりなのか、最後に知事にお尋ねして、最初の質問を終わります。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、新長期総合計画につきまして、計画をいかに県民と共有していくかという御指摘、御質問であったかと思います。
 まさに議員御指摘のとおり、県民に夢と希望を与えるというためには、県民1人1人とその意識を共有していくということが大事ではないかと思います。そのために、県民1人1人の理解と自主的な取り組みを得るためには常に県民の目線を意識して県民が新長計を読んでわかりやすく理解していただくということが大事だということを念頭に置きまして、原案の作成に取りかかったところでございます。
 今後、長期総合計画を県民と真に共有できるように、テレビや広報紙などの県の広報手段の活用を初め、各地域における説明機会を積極的に創出するなど、県民に向けて情報発信をし、より具体的にわかってもらえるような方策を打ち出していく必要があると考えております。特に、具体的にその内容として打ち出していく必要がある個別の分野につきましては、アクションプランを策定したりいたしまして長期総合計画に基づく政策をしっかりとアピールしてまいりたいと考えております。
 それから、広域連携への取り組みということでございます。
 本県の発展は、関西における本県の果たす役割を明確にいたしまして、関西全体の発展と歩調を合わせながら推進していくということが重要であると考えております。具体的には、県境を超えた広域的なネットワークを構築し、関西全体のスケールを拡大すると同時に、関西の魅力をより一層高めるために、本県が持っております豊かな自然や歴史、あるいは特色ある産業、医療分野でも広域的な貢献などの強みを積極的に生かすということで、本県の位置づけを高めながら関西全体の発展を図ってまいるということが大事ではないかと考えております。
 このような認識のもとに、新長期総合計画においては「第3章 計画の推進」の中で広域的な連携について明記しておりまして、その新長計の計画の実現を広域的な連携の中で図っていくんだというようなことを強調しているところでございます。
 次に、過疎集落への取り組みでございます。
 過疎地域への現状認識と今後の過疎集落対策についてお答え申し上げたいと思います。
 少子高齢化の進行など我が国の社会情勢の変化や、古くからの基幹産業でありました和歌山県の林業の不振、こういうことによりまして、和歌山県では特にこの過疎集落の問題が大変厳しい現状にあると認識しております。さきに本県が実施しました集落調査でも、一部の集落においては、冠婚葬祭など地域住民が相互に助け合う生活扶助や、あるいは草刈り、道普請などの共同活動、また耕作放棄地の増加や、あるいは祭りの継承などについて集落機能の低下が見られると、こういういろいろな問題点が指摘されるところでございます。
 県におきましては、これまで集落間に最低限の道路をつけたり、あるいは林業の再興を図るためにさまざまな工夫をしたりしてまいりました。また、集落道あるいは簡易給水施設等の生活環境整備、こういうことにも力を入れてまいりました。それから、産業を盛んにするということもまた大事でございますので、先ほど申し上げました林業の再興、復活ということとともに、紀州備長炭、あるいはユズ、ジャバラ、サンショウ等の地域特産物の生産支援、そういうものにも支援をしてまいったつもりでございます。
 また、ほんまもん体験観光という、県としてはヒットの商品といいますか、そういうプロジェクトがございまして、主としてこういう人口の少ない地域をターゲットにいたしまして、都会のこういうことにあこがれている人たちを県が中心になって呼んでまいりまして、地元の方々と交流をしていただくというようなことをやってまいりましたし、あるいは緑の雇用政策などで都会の人たちを移住させる、あるいは地方における協議会などを利用して移住交流を促進する、そういうことで過疎地域の振興に取り組んでまいりました。
 今後とも、この問題は大変大事な問題でございますので、過疎集落対策を県政の重要な柱として位置づけまして、地域資源を生かした産業の育成に努めるとともに、道路・交通・情報ネットワークの整備、あるいはまた地域医療体制の充実、移住者のマンパワーを活用した新たなコミュニティーづくりなど、ソフト・ハード両面から施策を実現してまいりたいと考えております。
 また、県といたしましては、地域の実情や住民の意向を十分踏まえ、市町村と連携しながら集落の維持のための収入確保対策、生活基盤整備などさまざまな政策を、これは総合的に実施する必要があると認識しております。そういう意味で、今後、議員御指摘のようなそういう縦割りの弊害にならないような組織、横断的な取り組みができるような体制づくりに努めてまいりたいと考えております。
 次に、カジノ問題で、カジノエンターテインメント構想についてでございます。
 現在行われておりますこのことを合法化するということに向けた議論の中では、カジノだけではなくて、テーマパーク、劇場、スポーツ施設などを備えた、老若男女だれでも楽しめるようなそういう複合施設であって、地域の振興に貢献するものが想定されております。本県におきましても、カジノエンターテインメントへの理解を深めるため、昨年、市町村等の参加を得てカジノ・エンターテイメント研究会を立ち上げ、勉強会などを行ってまいりました。
 カジノ設置には、ともすれば犯罪組織、地域の風紀や青少年への悪影響などの諸懸念もございます。ただ、これらをうまく克服することで地域の雇用や経済活性化に資する有効な手段になると考えられますので、本県への誘致の可能性もまた検討してまいりたいと考えております。
 カジノエンターテインメントの設置については、何よりも県民の理解が重要であります。県民の理解のためには十分な情報の提供ということも大事だろうと思います。したがって、来年度は県民意識調査を実施するとともに県民向けの講演会を開催する、あるいは委員会を開いて県民の方々の意識を喚起し、関心を高めて現状、事実をよく知っていただくということをやってまいりたいと考えております。
○議長(中村裕一君) 企画部長森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○企画部長(森 崇君) 携帯電話不感地域の解消と地上デジタル放送へのスムーズな移行についてお答えいたします。
 携帯電話は、今や快適で安全・安心な生活のためになくてはならない通信手段となっております。県といたしましても、不感地域の解消は喫緊の課題であると受けとめておりまして、昨年3月、「和歌山県携帯電話つながるプラン」を策定し、県内146カ所の不感地域を平成19年度から22年度の4年間ですべて解消するとの目標を設定いたしました。このプランに基づきまして、県、市町村及び携帯電話事業者が連帯して取り組みを進めた結果、平成19年度中に43カ所で新たに携帯電話が利用可能となる見込みでございまして、今後も引き続き「つながるプラン」を強力に推進し、不感地域解消に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、地上デジタル放送に関しましては、国の責任で対応すべきとの立場で、議会の皆様方とも歩調を合わせながら、知事みずからも国に対し支援制度の拡充を要望してまいりました。その成果として、国の平成20年度予算案には、共聴施設の改修・新設に対する支援制度の拡充など大幅に改善された内容が盛り込まれることとなりまして、また県におきましても、国の支援制度をより活用しやすくするために、地上デジタル放送の受信状況に関する調査事業を当初予算案に計上させていただいております。
 こうした支援制度の改善により、来年度から県内でも本格的に共聴施設の改修などの地上デジタル放送対策の進展が期待されておりますが、県内の地上デジタル放送が見えない、いわゆる地上デジタル放送難視の計画的な解消に対しましては、各市町村との綿密な情報交換と連携が重要であり、県といたしましては、和歌山県地上デジタル放送推進連絡会等の場において各市町村との協議を行った上で、今後の進め方を検討してまいります。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 知事室長曽根義廣君。
  〔曽根義廣君、登壇〕
○知事室長(曽根義廣君) 文化芸術振興とその活用、保存についての2点にお答えいたします。
 まず、文化芸術振興条例についてでございますが、本議会に提案しております和歌山県長期総合計画(案)にお示ししているとおり、県民の皆様の文化芸術活動を振興し、文化で元気な地域づくりを図るために県が取り組んでいく施策の基本方向を明らかにし、関連事業を総合的に進めていくための新たな文化振興の条例を平成20年度中に策定したいと考えております。策定に当たっては、多くの皆様方の御意見をいただきながら、本県の多様で豊かな文化資源を生かした独自性のある条例づくりに努めてまいります。
 続きまして、県民に親しみやすい文化芸術への工夫についてでございます。
 本県では、これまで県民文化祭開催事業や県美術展覧会事業など、県内各地において実施する文化振興事業を通じて県民の皆様に文化芸術の鑑賞機会を提供してきたところでございます。さらに、平成19年度からは、こうした事業を県民参加型事業へと切りかえるなど、より親しみやすくなるよう取り組んでおります。平成20年度におきましては、民間団体や県民の皆様との連携により事業を企画実施する新たな制度も導入する予定でございます。
 このような取り組みにより、県民の皆様の文化芸術活動の支援と環境づくりをさらに進め、県内全体が文化の薫りあふれる地域となるよう努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教育関係、まず、きのくに共育コミュニティの形成についてお答えいたします。
 社会が著しく変化し、住民の価値観が多様化する中、子供の規範意識や道徳性の低下、いじめや不登校、学力や体力の課題等、さまざまな教育課題が提起されておりまして、学校だけでは解決できない状況や、家庭や地域の教育力が低下している状況もございます。
 これまでの学校、家庭、地域の3者は、どちらかといえば個々の会議や行事を実施するために集まるという関係がほとんどでありました。これからは、それぞれがお互いに学び合い、育ち合うという新しい関係づくりが必要であるということから、3者の意識やあり方が変わっていくための基盤といたしまして、きのくに共育コミュニティを形成してまいります。お互いが共通理解を図り、同じ方向に向かって大人と子供がともに育ち、育て合うことを願い、「キョウイク」は「共に育つ」という漢字を当てたいと思います。
 本県では、こうした取り組みを先進的に進めている例として田辺市がございます。田辺市では、市内11カ所で学校、家庭、地域、PTA等各種団体、NPO、公民館等の関係者が集まりまして地域シンポジウムを開催し、不登校の克服なども含め、現状や課題を共有し合い、解決の方向を見出し、学校と地域が一体となった取り組みを始めてございます。このような先進的な事例を参考にしながら、全県的に展開をしてまいりたいと考えております。
 具体的には、学校、家庭、地域の願い、思い、あるいは悩みを出し合い、課題を共有するために、県内全市町村において共育フォーラムを実施いたします。また、各地域には子供に熱心にかかわってくださっている方が必ずおられます。こういった方に学校と地域との連絡調整を図るコーディネーターをお願いし、3者が共同して、通学路の安全確保や地域人材を活用した授業、豊かな体験活動等、さまざまな教育活動を推進していきたいと考えます。
 この共育コミュニティの取り組みを通して、学校と地域双方の活力を高め、郷土への愛着と誇りを持ち、自信と夢のある子供を育てる関係を実現してまいりたいと考えます。
 次に、子供の体力についてお答えいたします。
 体力低下の原因には、さまざまな要因が考えられます。大きな要因の1つに、運動する機会の減少が考えられます。都市部では、子供が安全に活動できる空間の減少や、子供の安全面を考慮して車での送迎が増加傾向にあります。地方においてもスクールバスでの登下校が増加するなど、子供たちの1日に何歩歩いたかという総歩数が以前と比べてかなり減少をしております。また、学校体育において、子供たちへの意識づけや運動の指導に不十分さがあるのではないかということも懸念してございます。
 そこで、本県では、平成16年度から3年間、モデル地域を選定いたしまして、子どもの体力向上実践事業として、学校、家庭、地域が連携し、子供の運動機会の充実や保護者の体力に対する意識改革を図る取り組みを実施いたしました。その結果、体力向上プログラムを実践した学校とそれ以外の一般校の比較において、明らかに実践校に体力の向上が見られたため、この成果を県内の体育主任者会議等で実践例と提示をいたしました。
 また、幼児を対象とした体力づくりのための調査研究を本年度からスタートさせるとともに、体力づくりに主体的に取り組めるよう、きのくにチャレンジランキング事業を本年度創設いたしました。加えて、元気アップ親子セミナー等を開催し、親と子が一緒にセミナーや運動に参加する機会を提供しまして、運動習慣の確立を図ってございます。
 今後も、学校を核とした体力づくり、体力に対する意識改革、学校、家庭、地域、行政が連携した運動機会の提供、この3つを柱として子供の体力向上に取り組んでまいりたいと考えます。
 続きまして、食の安全・安心と地産地消についてでございます。
 子供たちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身につけていくためには、何よりも食が重要であると考えます。
 県食育推進計画におきましても、子供の朝食の欠食率ゼロを目指すとともに、学校給食における地場産物を使用する割合を平成23年度までに40%に増加させるという目標を掲げて取り組んでおります。具体的には、モデル地域において、生産者等の協力のもと、学校給食に地場産物や米飯を積極的に取り入れ、これらを生きた教材として食に関する指導実践を行ってきたところでございます。また、生活習慣に基づく食育アンケート調査を実施しまして、朝食欠食ゼロに向けた取り組みも行っております。平成20年度には、和歌山市において栄養教諭を中心に子どもの健康を育む総合食育推進事業を実施する予定となってございます。
 今後も、新政策のきのくに共育コミュニティの形成の中で、学校、地域や家庭が連携した食育の課題も取り入れ、食育を推進してまいりたいと考えます。
 次に、小中学校の統廃合についてお答えいたします。
 近年の少子化に伴う小中学校の統廃合などにより県内の学校数は減少してきておりまして、過去10年間に減少した公立の小学校は32校、中学校では10校となってございます。来年度は、新たに小学校で9校減少する見込みでございます。
 小中学校の児童生徒数は過去10年間で約2万人減少し、また、今後10年間で約1万人減少するということが見込まれております。これに伴いまして小中学校数も引き続き減少することが予測されますけれども、統廃合につきましては、小中学校の設置者である市町村が地域住民と協議をしながら決定していくということでございますし、児童生徒数や通学の利便性などについても、各地域での状況が異なるため、統廃合の予測を具体的にお示しすることは難しいと存じます。
 県教育委員会としましては、公立小中学校の適正規模化について、教育的な視点から検討する必要があるということを示しまして、市町村が積極的に小中学校の適正規模化に取り組む際には、今後も引き続き支援をしていくこととしてございます。
 次に、文化財の火災に対する備えについてでございますが、県内で国宝、重要文化財として国指定されております建造物は、石づくりのものなどを除き、対象となる木造建造物は73件でございまして、警報設備につきましては、71件に設置され、未設置は2件となっております。また、消火設備につきましては、69件に設置され、未設置は4件となってございまして、ほぼ設置が進んでいると把握してございます。
 なお、未設置の建造物につきましては、現在、修復保存事業を行う中で設置を進めているものもあり、今後とも、所有者に対しまして設備の改修も含め、設置を働きかけてまいりたいと考えてございます。
 次に、地震対策につきましては、阪神・淡路大震災以降、根本的な修理を行う際には耐震補強に配慮することとなってございまして、震災以降、これまでに5件の国指定建造物が耐震に配慮した補強を実施済み、または実施中でございます。また、そのほかにも解体修理などを行ったものにつきましては、一定の耐震性能の向上が図られたものと考えられ、県内では約8割の国指定建造物が解体修理等を実施済みまたは実施中でありますが、対策としてはまだ十分ではないと把握してございます。
 しかしながら、他の耐震補強が実施されていない国指定建造物につきまして、耐震診断方法や具体的な補強方法が確立されていない現状である上、所有者の相当な負担も見込まれるということから、早急に耐震補強を進めにくい状況でもございまして、対応に苦慮しているところでございます。
 今後は、文化庁による耐震診断のための補助事業の活用を視野に入れながら、文化財としての価値を損なうことのない補強方法について、文化庁初め関係機関と協議しながら、建造物等の文化財の耐震、防災対策を粘り強く推進してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 24番多田純一君。(拍手)
○多田純一君 るる御答弁いただきました。その中で、過疎集落の対策ということで再質問さしていただきたいと思います。
 過疎集落の対策として、待ったなしの状況下に置かれてるということは、もう十分認識していただいていると思うんですけども、よりスピーディーなというんでしょうか、早急な強化策を再度お願いしたいと思います。
 そして関連して、地上デジタル放送、2011年問題ですけども、あと3年しかないんですね。2008年度予算で、先ほど御説明ありましたように、調査費が計上されていますということです。調査は、現在電波が届いている地域だけの調査になっていくんですね。届いてない地域は2009年度以降の調査ということになってしまいますんで、先ほど御紹介さしていただいた旧清水町なんかは届いている地域なんですけども、総務省の計算では、難視世帯は1420世帯ということになっております。でも、現地では2017世帯全部が対象になるんじゃないかというふうに認識をされてるようです。その精査等も今後しなけりゃいけないと思います。
 また、その調査、それから精査をしながら各地域ごとに、ケーブルテレビがいいのか、また、その医療など遠隔操作ができるような、可能な光ファイバーがいいのか、これもそれぞれの集落ごとにヒアリングを行うということで、そのヒアリングを行って初めて予算化し、やっと工事に着手できると、こんなふうに思うんですね。2011年待ったなしということであれば、県としても国に強く働きかけるべきだと思いますし、その御意思を再度確認したいと思うんです。
 知事もこれまでみずからいろんな形で国に対しても働きかけてきたと存じますけども、県民が安心できるような知事の御答弁をお聞かせいただきたいと思います。
 それから、子供の体力・運動向上の問題ですけども、先ほどいろいろ図表をお示しさしていただきました。これは県教委のほうがおつくりいただいた資料でございますので、十分把握していただいてると思うんですけども、このままではいかんということなんです。体力・運動能力が低下してくると気力まで低下しますし、学力への影響も、これは必至だというふうに思います。すべてに影響してくるということが懸念されますし、先ほど新年度、新施策としてきのくに共育コミュニティというのを今年度、平成20年度の柱というふうにお話しされていました。
 その中で言うと、やっぱり地域とか、またPTAとか保護者の方とかいうことで巻き込みながらということはわかるんですけども、そのためには情報提供、どういう状況になってるのか、各学校ごとの課題はどうなのか、学力はどうなのか、体力はどうなのか、いじめとか不登校の状況はどうなのかという問題については、これは何度も御指摘さしていただきましたけども、なかなか情報を提供されてないということがあると思うんですね。
 山口教育長が就任されてからはや1年たちますけども、県内を回り、教育上の課題や問題点がはっきりしてきておられると思いますんで、ぜひこの諸課題について強い意思を持って改革をお願いしたいと思います。これは要望とさしていただきます。
 それから3点目に、文化財保護の観点からお聞きしました。国指定建造物76件、そのうち5件が耐震補強を実施済み、あとの71件については十分ではないし、これから診断、補強も未定ということでございます。全国的にもこの問題につきましては懸念されておるところでございますけども、国との協議を一日も早く急いでいただいて早く検討をしていただくように、強くこの点も要望さしていただきます。
 以上、要望2点と、再質問1点、知事にお答えいただきたいことを申し上げまして、質問とさしていただきます。
○議長(中村裕一君) 以上の再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 地上デジタル放送への移行に関しましては、これは明らかに国の政策転換によって発生したものであると。国が責任を持って対応すべきである、そういうふうに強く私も思っております。と申しますのは、アナログからデジタルに移る、これを決めたのは国でございますし、それからアナログはもう打ち切ってよろしいというふうに決めたのも国であります。したがって、ようやくアナログ波が見えるようになった、そういう山間部の住民の方にまた新しく過大な負担を強いるということは、国の立場としておかしいであろうというようなことを思いまして、たまたま議員御指摘のデータが出たときに、急いで総務省や財務省に要望活動を行ってまいった次第でございます。
 ただ、それは国の責任でとはいえ、和歌山県あるいは市町村もそれぞれ自分の持ってる資源、あるいは持ってる資産で御協力をして、一緒にやらしていただくということにはやぶさかではありませんということも申し上げました。
 こういう基本的な立場は、増田大臣を初め総務省あるいは財務省の方々もよく理解していただけたんではないかと思います。増田大臣に関しては、具体的に2人で話し合ったときに「よくわかってる」というふうにおっしゃっていました。その結果、平成20年度予算では、先ほど森部長から答弁がありましたとおり、19年度と比べると物すごい差のあるような助成策、支援策に大幅な改善があったというふうに認識しております。
 今後は、この改善された各支援策が県内における難視対策に確実に活用できるように、国の支援も得つつ市町村とも連携しながら早急に取り組んでいくということが必要ではないかと思います。
 また、最後のところ、これはもうじき期限が来ますので、それを一生懸命我々も努力をしてやった結果、最後のところをどうしようもなくなるというようなときには、これはまた国の責任で最後はきちんとやってくださいよというようなことはもう既に申し上げておりますが、改めてそれも申し上げて、地方あるいは地方に住んでいる住民、この方々が過大な負担を強いられるということがないように努力してまいりたいと思います。
 こういう取り組みによりまして、県内のあらゆるところでテレビが見られなくなるということをぜひ防ぎたいというふうに私としては考えております。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 所定の時間が参りましたが、再々質問されますか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 以上で、多田純一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後3時3分散会

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