平成19年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(藤井健太郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後1時0分再開
○議長(中村裕一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 一般質問も既に最終日、午後1番の質問ということでありますが、気合いを入れ直してやっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 ことしも、早いものでもう師走を迎えました。年の瀬を迎え、県民の暮らしも大変なものがありますが、当局の皆さんも新年度の予算編成、大変なところでありましょうが、一歩ずつでも前進していけるように、そういう願いから、私なりの質問、要望をさせていただきたいと思います。
 まず、新年度予算と財政健全化法について、知事にお尋ねをいたします。
 ことしの6月、御承知のように、地方公共団体の財政の健全化に関する法律、いわゆる財政健全化法が成立をいたしました。これまでの地方財政再建促進特別措置法、いわゆる地方財政再建法でありますが、都道府県においては、決算での実質収支額における赤字額が標準財政規模の5%以上、市町村においては20%以上となった場合、財政再建団体の指定を受けなければ公共施設の整備のための地方債が発行できない、こういうことであります。起債ができなくても自主再建の道というのもありまして、自治体での自己決定ができていたわけです。しかし、起債に頼らない地方財政の運営というのは実質的に不可能なことであります。財政再建団体指定の申請をする、こういうことになろうかと思います。
 この15年間ほどは、財政再建団体の指定は、たしか記憶するところではなかったのではと思いますが、御承知のように、ことしに入って北海道夕張市が財政再建団体の指定を受けました。国の管理のもと、18年間かけて財政再建を進めるということであります。
 夕張市は「幸福の黄色いハンカチ」でも全国的に有名になりましたが、炭鉱の町として栄え、人口11万人を擁していた町が、今では1万3000人、財政再建完了後の18年後には何と7300人の町になるという見通しを立てています。収入の確保のために、個人市民税、固定資産税を初め保育料の国基準への引き上げなど、税や負担金、使用料などの大幅引き上げ、支出を削減するために職員数270人を103人に削減をする、給料の30%、ボーナスは60%カット、退職手当は最大75%のカット、市の単独事業の原則廃止──これでは地方自治体の体をなさないと思うわけですが──4つある中学校、7つある小学校、それぞれ1校ずつに統合する、集会施設、体育施設、公園、図書館、美術館、養護老人ホームの廃止など進める計画となっているようです。
 18年後には赤字を解消して財政の再建を果たしたと言えるかもしれませんが、果たしてそれまで町がもつのか、市民生活、一体どうなるのか、夕張市に残って懸命に頑張っている職員や市民の皆さんのことを思うと心が痛くなってまいります。行財政の運営の衝に当たっていた市長や幹部職員の責任はもちろんですが、国や道に責任はなかったのか、監査委員や議会のチェック機能はどうであったのか、学ぶべき多くの問題があるように思います。
 財政再建団体入りは何としても避けなければならない、そのためにも実質収支の改善を目指すという財政規律が働いて、今日、地方財政が厳しい、そう言われながらも再建団体への指定はこの間なかったわけです。
 従来の財政再建法は、実質収支の標準財政規模に対する比率、この1つが指標とされていましたが、今回の財政健全化法は、財政の健全性を判断する指標として、新たに実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率、非常にわかりにくい言葉ばかりですが、この4つが設けられて、毎年公表が義務づけられることとなりました。要するに、これまでは一般会計のみの指標だったものが、公営企業や公社、第三セクターなどの会計にまで拡大されて、それらを連結して赤字額がどうなのか、こういうカウントがされるようになりました。
 4つの指標のうち1つが一定の基準以上になれば早期是正団体。外部の監査を受け、財政健全化計画を策定し、国へ報告、健全化に向けての総務大臣または県知事の勧告がされることになります。さらに、将来負担比率という指標を除いて他の3つの指標のうちの1つがさらに悪化した基準となれば、財政再生計画を策定し、総務大臣の同意が必要となります。同意のない場合は、地方債の発行ができない、計画どおり進んでいない場合も予算の変更など必要な措置が国から勧告をされるという、これまでの財政再建法と同じような国からの強い関与を受けることになります。つまり、これまでの財政再建団体入りするよりもより早い段階でイエローカードが示されて、その手だてをとらなくてはいけない、しかも公営企業や出資法人の会計が連結されての指標で判断されることになるという、2段階の地方財政の健全化、再生への基準が示されたということであります。
 前段階である早期是正団体となるのを避けるためにこの指標がひとり歩きをして金科玉条のごとく最優先されることになると、いろいろな疑問や問題点が出てくるのではないでしょうか。
 1つは、自治体の一層のリストラと財政規模の縮小を招く結果になるということです。
 今日、国の地方財政計画の歳出削減が続き、県も含めて県内自治体の財政規模は縮小をし続けています。そうなれば、歳出に占める扶助費や人件費、公債費の比率が高まり、いわゆる地方財政の硬直化が進む。当然のことであります。地方財政の危機の主な原因は、90年代、バブル崩壊後の経済対策として公共事業を起債を財源として集中的に行ってきましたが、税収増には結びつかず、逆に借金の返済を膨らませました。
 それと、三位一体改革による地方交付税など、大幅カットが挙げられます。三位一体の改革では、税財源の移譲があったものの、補助金カットと交付税などの削減で本県財政も大きな影響を受けました。改革期間の3年間で実に343億円もの財源がなくなっています。地方税財源の強化充実が進まない限り、自治体は一層の歳出削減を迫られることになります。そうなれば、県民の暮らし向け予算の一層のカットや官公需のさらなる縮小など、地域経済にも悪影響を与えることとなります。
 国が地方自治体の財政悪化の早期是正のために指標をつくって、それを示し、基準数値以内でおさめよ、こういうふうに言うのならば、自治体財源の縮小ばかりを進めるのではなくて、国の責任において地方自治体の財源保障と充実を図ることがまずなされてしかるべきではないでしょうか。
 2つ目に、自治体の行政需要への対応は、それぞれの自治体の抱える課題によって変わってくるということです。
 大災害に見舞われたときの復旧、これもあるでしょう。和歌山でいえば国民体育大会を目指しての施設づくり、全国水準から見ておくれている道路整備や公共下水道の整備、施設の耐震化補強など、多額の投資を必要とする課題も残されています。公立病院を持つ自治体の財政負担、所得の低い人の多い自治体の国民健康保険、介護保険などへの一般会計からの補てん、小規模自治体での学校建てかえなど、地域の実情やその時々の行政需要によって財政状況は変わるわけです。全国一律の指標で早期健全化が必要と判断されることには疑問があります。
 3つ目に、早期健全化指標の1つの将来負担比率の中に、全職員が退職したときの退職手当総額を将来負担として計算することにもなっています。
 民間企業の退職引当金制度を倣ったのかもしれませんけども、全職員が一気に退職することなど、あり得ないことです。非現実的で、過大な将来負担についてまで財政健全化の指標とすることには疑問があります。
 4つ目に、新指標の基準値は法定ではなく政省令で定められる、つまり国民が関与することなく国の裁量で決められることです。
 地方自治体の意見を反映する確かな仕組みが必要だと考えます。地方財政については、極力国の関与は排除し、それぞれの自治体がみずからの判断で適切な財政運営のための計画をつくることが肝心ではないでしょうか。国が定めた指標についてはしんしゃく基準にして、国はアドバイス、助言にとどめることでいいと思うところです。大事なのは、それぞれの自治体で規律ある財政運営を進めることです。そのためにも、当局は財政に関するごまかしのない正確な情報を県民に提供し、監査委員、議会はチェック機能を十分に果たしていけるようにすることが重要です。行財政運営の短期、中期、長期の見通しと計画をつくって議会に報告することが求められています。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 財政健全化法、これをどのように受けとめて対応されようとしているのか。財政健全化を自己目的化することはなく、あくまでも住民の暮らしの向上や地域実態に応じた施策の展開が図れるような財源の確立が必要であります。
 また、市町村への助言のあり方をどのように考えているのか。繰り上げ償還の指導を強めていくことや、財政の健全化、公営企業の健全化計画の策定などを求めていくことになるのか。それぞれの自治体が自主的な判断で改善に取り組まねばならない、これは論をまちませんが、県からの関与の度合いによりましては、自治体病院の運営や公共下水道事業などの進め方、財政規模の小さい市町村での学校や公共施設の耐震化、建てかえなど事業のあり方にも大きく影響してくるのではないでしょうか。
 また、知事は、財政健全化法で国が定めるこの4つの指標について、現在の県財政の姿はどのようになっているのか、そしてどう評価しているのかもお尋ねをいたします。
 次に、知事は今議会の冒頭にも、財政は厳しい、財政構造を変える必要がある、持続可能な財政構造の確立が必要だと言われています。そして、9月の議会では今後10年間の財政見通しを示されましたが、それによりますと、2年後には財政調整基金、減債基金が底割れをし、財源不足となる見通しが立てられています。3年目以後、退職手当債や行政改革債などの発行を行おうと思えば、新たに職員数削減、行政経費削減に向けた計画づくりが必要になってきます。いずれにせよ、具体的な手だてを早急に打たなければならないことは明らかです。
 知事は、県財政の今の全体的な姿をどのように考え、どこに問題があって何を変えなくてはいけないのか、持続可能な財政構造とはどのようなものだと考えておられるのか。また、一般会計や公営企業会計、特別会計、公社出資法人の会計実態、債務保証や損失補償の内容、将来債務なども含めて、全体像と問題点を県民の前に、議会の前に明らかにしていく必要があるのではないでしょうか。
 新年度予算編成と財政健全化法との関連をどうするのか。財政健全化法は、09年4月1日施行です。08年度つまり来年度の決算に基づく指標で判断をされるということですが、したがって、来年度の予算編成からこのことを頭に入れて進めなくてはならないわけです。4指標の数値を下げることを目指しての編成となるのでしょうか。財政健全化法の枠内であればそれで了とするのでしょうか。それとも、独自の目標を持って取り組むのか。新年度予算の内容にどのように影響してくるのでしょうか。
 次に、後期高齢者医療制度について知事並びに福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 新長期総合計画の素案が示されました。その中で、健康づくりを推進していくとして、健康長寿日本一和歌山を目指すとあります。健康で長生きしたい──人間だれもの願いではないでしょうか。
 ところが、県の平均寿命を見てみますと、2000年の数値、これは直近の数字でありますが、男女ともに全国41位という水準です。日本一を目指すには前途多難なものが予想されるわけですが、平均寿命を考える上で、病気の予防も含めた医療の果たす役割は極めて重要なものがあります。早期発見、早期治療、生活習慣病を悪化させない日常の医学的な管理が必要で、気軽に健康教育や健康相談、健康診断を受けられて、その後のフォロー体制も整っていることが必要です。そのためには、保険料や医療費の自己負担が負担能力の範囲内であること、提供される医療が必要十分な内容の給付であることが求められます。
 このたび、県下全市町村で構成される後期高齢者医療広域連合の議会において、75歳以上の後期高齢者医療にかかわる条例が議決をされ、来春4月から実施されることとなりました。後期高齢者医療制度が健康長寿日本一を目指そうとする本県においてどのように運営をされていくのか、県民の老後の安心を保障できるような医療制度となっていくのか、そうすることができるのか、このことが問われているのではないでしょうか。
 そもそも後期高齢者医療制度は、ふえ続ける医療費をどう抑制するのか、その対策の柱として、75歳以上の高齢者を対象として独立した医療制度としてつくられました。高齢者の医療の確保に関する法律では、これまで老人保健法で明記をされていた国民の老後における健康の保持という規定にかわって、医療費の適正化が明記をされました。そのことから、幾つかの疑問や問題点を指摘することができると思います。
 どういう医療が提供されるのか。これはいまだに示されていません。保険料も診療報酬も別建てとなって、医療の中身は出来高ではなく定額制にして、保険が使える医療の上限を設けることも検討されています。後期高齢者医療が、これまで継続して受けてきた糖尿病や高血圧や心臓病など、こういった治療について医療内容を薄めることはないのか。必要な検査や治療の継続は保障されるものとなるのか。その上で75歳以上の高齢者にとって特別に必要とされるものが加味されていくのか。医療費抑制のための医療制度では、必要とする医療の提供が保障されたものとなるのかどうか。大いに心配をされるわけです。
 保険料も決められました。2年ごとに改定がされ、医療費がふえたり、75歳以上人口がふえることに応じて保険料が引き上がる仕組みとなっています。また、保険料を滞納した高齢者に、保険証にかわって保険のきかない資格証明書が発行されることとなります。果たして75歳以上の人に保険証を渡さないことができるのでしょうか。高齢者は、日ごろ健康に自信がある人でも、ちょっとした変化で急に体調が崩れることがあります。また、すべての高齢者が経済的に余裕に満ちた生活を送っているわけでもありません。
 本県での高齢者単独世帯は世帯数の11%、高齢者夫婦のみの世帯は12%、高齢者のみの世帯が全世帯の33%。全国的に見ても、どちらも非常に高い割合となっています。05年国民生活基礎調査では、高齢者世帯の43%が年収200万円以下、100万円未満も17%となっています。一般世帯よりも経済的に厳しい状況に置かれていることがわかります。高齢者のみの世帯が多い本県では、その点はよく見ておく必要があると思います。
 そして、高齢者が出費で一番負担を感じてるのが医療費の負担です。高齢者1000人のうち、病気やけがで自覚症状を感じてる人は約500人。半数の人が何らかの病気を持っています。経済的負担能力の低い、いつ医療が必要となるかわからない高齢者に、保険料滞納を理由に保険証を渡さないことには大いに疑問を感じます。
 和歌山市がことし医療機関にアンケートを行い、資格証明書での受診の実態調査を行いました。腹痛を訴えて11月11日来院し、即日入院、肝がんの進行が認められ、12月17日に死亡。婦人科受診で子宮がんが発見され、早期手術を勧めるが、以後受診なし。視力障害を訴えて来院、血糖値高く、即日入院。こういう重症化した事例が幾つか報告されています。
 後期高齢者医療制度が始まるに当たりまして、健康長寿日本一を目指そうとする本県にとって、高齢者の安心につながる医療制度としてその機能を果たしていけるのか。果たしていかなくてはなりません。医療費抑制が最大目的の医療制度としてしまうことには問題があると言わねばなりません。
 そこで、知事並びに福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 後期高齢者医療制度を知事はどのように受けとめているのでしょうか。今、私は、医療制度のあり方、その中での高齢者医療や保険料負担のあり方、医療の給付内容、資格証明書の発行などについて私なりの思いを申し上げてまいりました。果たして、この制度で安心の老後は期待できるのか。安心して受けられるような医療制度として運営していけるように、国への申し入れ、広域連合への指導や助言、また県としての独自の努力が必要であると思うところですが、知事の所見についてお尋ねをいたします。
 制度の中止や撤回、または実施の延期を国に求める考えはないのか。福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 提供される医療の中身がまだ知らされない中で来年4月1日実施が決められ、保険料率も決められました。果たして4月1日実施でいいのでしょうか。また、県民の制度への理解と納得がどこまで得られているのでしょうか。
 中止や延期を求める理由は、この制度が実施されると新たな保険料負担となり高齢者の負担が増大すること、保険料が負担できなければ保険給付の差しどめとなること、高齢者だけの医療内容、この医療内容が従来から薄まる別建ての診療報酬となることが懸念されることなど、高齢者にとって必要十分な医療制度とならないのではないかということが1つあります。また、医療費の抑制をしていく、そう言うならば、健康づくりの増進や病気の予防に積極的に取り組むということがまず先決問題ではないのかということが2つ目の理由です。
 高齢者の税負担、社会保障負担が増大をしてきております。県として、後期高齢者の保険料負担を軽減させる方策を考えられないか、お尋ねをいたします。
 県内9市の国保税との比較をしてみますと、単身世帯の場合は国保税のほうが高く、高齢者2人世帯では後期高齢者医療のほうが保険料が高くなるように見受けられます。扶養家族だった人への保険料軽減が経過措置として年限を区切って行われますが、恒久措置ではありません。低所得者軽減は、本人の収入のみではなく世帯の収入で見ることになっています。したがって、本人所得では軽減されることになるとしても、同居している子供の所得が一定額あれば、7割、5割、2割の準備された軽減はされないこととなります。
 保険証は1人1人に渡され、保険料や医療費の自己負担割合、1割になるか、3割になるか、これは75歳以上の人のみの所得について計算されるわけですが、保険料の軽減をするかどうかの所得については、若年者を含めた世帯の総所得で見ることになっています。これも問題があるのではないでしょうか。
 65歳以上の高齢障害者について、県は、65歳以上で新たに重度障害となった人への医療費助成制度を廃止しました。その理由の1つに、老人保健法の適用を受けて1割給付にとどまるんだということが言われておりました。老人保健法だと保険料負担は従前と変わりません。
 今回、老人保健法での適用を受けていた人は自動的に後期高齢者医療に加入することとなりますが、脱退することも認められました。というのは、扶養家族だと、新たに後期高齢者医療の保険料の支払いが必要になってまいります。保険料負担の要らないこれまでの扶養家族にとどまるのか、それとも後期高齢者医療に加入するのか、どちらを選択するか本人が決めてくださいということです。
 従来から加入している国保や健保を選択すると、保険料負担が変わらなかったり要らなかったりしますが、窓口負担は一気に3割になります。後期高齢者医療を選択すると、自己負担は1割にとどまりますが、新たな保険料負担が必要となってまいります。どちらにしても負担がふえることには変わりません。この際、重度心身障害者医療助成をもとに戻し、65歳以上で新たに重度障害となった人も助成の対象にしていくべきではないでしょうか。
 次に、多重債務者対策についてお尋ねをいたします。
 県の多重債務者対策協議会が11月28日に設置をされ、楠本環境生活部長が会長に就任をされました。報道によりますと、対策協議会は、和歌山弁護士会、県司法書士会、県警など9団体で構成、当面、多重債務者相談会を振興局単位で開催していくということです。これまで、対策協議会の早期設置と取り組みを急ぐことを訴えてきたところです。
 御承知のように貸金業法が改正され、利率の引き下げ、過剰融資の禁止、強引な取り立て行為の禁止など、前進が図られました。しかし、法の完全実施は3年後となります。多重債務に陥っている人への新たな融資が絞り込まれ、資金繰りに逼迫する状況が懸念されるわけですが、既に現実のものとなってきております。資金繰りに追われた末の自殺や犯罪に結びつくことが心配をされます。
 多重債務問題は、相談に結びつけば必ずと言っていいほど解決の道筋が開ける問題です。利息制限法の年利29%で借りていたものを出資法の20%までの利率で計算し直すと、既に元金の返済を終え、過払いとなっていたという事例もあります。対策協議会の活動に大いに期待するものですが、ゆっくりと取り組む時間はありません。より多くの人の解決に結びつけるためには取り組みを急ぐ必要があります。
 そこで、今後の進め方、どのように考えているのか、環境生活部長と商工観光労働部長にお尋ねをいたします。
 対策協議会の構成団体はどのようになっているのでしょうか。それはどのような考えに基づくものでしょうか。貴重な経験と実績を持っている運動団体、支援者団体を構成員にすることは考えられないんでしょうか。とりわけ、かつて多重債務者であって今は整理をして生活の再建を果たした人の体験から直接学び、広げていくことが、同じ問題で悩む人への励ましにもなり、解決への展望を実感することができることになります。そういった人の協力を得ることが対策協議会の活動の幅を広げることにもつながってまいります。
 対策協議会の今後の方針はどのようなものとなっているのでしょうか。とりわけ、市町村での対策協議会づくりへの支援や相談窓口づくりをどのように進めていくのか。多重債務の相談は、胸を張って相談に来れるような性格のものではありません。敷居をより低くしていくためにも多くの窓口を開いていくことが大切だと思います。
 多重債務者の積極的な掘り起こしが必要と考えます。県税や各種の貸付金、施設の負担金、使用料や利用料が滞納になっていて、滞納処分されることについてたびたび相談を受けるわけですが、よく話を聞くと、多重債務に陥っている人がいることをたびたび経験します。庁内での多重債務者掘り起こしのネットワークづくりが有効ではないでしょうか。
 年金を担保にして融資を受け、それがもとになって、生活費の逼迫から貸金業者に頼り、多重債務に陥ってる人の相談もあります。本来、生活の糧である年金、とりわけ障害年金や遺族年金など福祉的な年金を担保にとることなどはもってのほかだと思うところですが、とにかく一般的には、年金を担保にすることは原則禁止をされております。
 しかし、例外的に独立行政法人福祉医療機構が金融機関を窓口にして年金担保融資を行っております。福祉医療機構自身が利用者の調査を行っているわけですが、その中でも年金にかわる生活費、これを新たな借金で賄っているとか、または公的援助に頼る──生活保護のことだと思いますが──そういうふうに答えている人があるということです。年金担保の融資に当たっては審査を厳密にして、その使い道、また返済能力の見きわめ、これをしっかりすることを申し入れるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 貸金業者の年金担保まがいの違法ともとれる行為に対する指導の強化が必要ではないでしょうか。裁判を起こして、ようやく年金証書と通帳、印鑑を取り戻した事例もありますが、もともと年金担保の貸金業者の融資、それまがいのことは違法です。そんなことのないようにしっかりと指導を強めていただきたいと思います。
 最後に、グリーンピア南紀のその後についてお伺いをいたします。
 全国13カ所あった年金保養施設グリーンピアが平成17年12月に全施設の譲渡が終了、施設の建設に直接要した費用だけでも1953億円かかったものが総額48億円で売却。結果的には年金保険料の大変な損失を招くこととなったわけです。
 和歌山のグリーンピア南紀は、昭和61年に建設費122億円で開設。施設は県と那智勝浦町、太地町が出資して設立した財団法人グリーンピア南紀によって運営されました。一時は予約がとれないほど人気がありまして、私も予約を何回か申し込みましたが、とれないことが何回かありました。しかし、結果的に時流に乗れず、平成15年3月末で閉鎖。閉鎖に当たって、紀陽銀行に残った債務1億9400万円について、裁判所の調停を経て、県は財団への出資額を超える1億3600万円余の負担を行いました。その後、土地と施設は那智勝浦町と太地町に2億7000万円で売却され、両町の活性化につながる有効利活用を期待したわけです。
 その後の報道を見ておりますと、平成17年12月に那智勝浦町と中国香港の事業者ボアオが土地、建物などの賃貸借契約を締結したということですが、最近、町長が契約を白紙に戻すことを表明し、現在、契約解除の条件について町と事業者が対立しているというように聞き及んでおります。
 県は、財団を清算し施設の譲渡を完了した時点で個々の契約内容にまで関与する余地はないもの、このように私、理解をしておりましたが、那智勝浦町の当時の担当者の会議記録、議事録というものではありませんが、担当者のメモ書きのようなものがあって、グリーンピア南紀を閉鎖する前後のあらましが時系列で見てとれるものとなっております。那智勝浦町議会の場でも、参議院の厚生労働委員会でもそのことが明らかにされました。それを見ますと、グリーンピア南紀が閉鎖される前後、跡地の利活用について、地元自治体や関係機関、県も含めて協議が数回にわたってされております。町の担当者から県に相談が持ちかけられていたり、打ち合わせ的なこともされていたことが読み取れるわけです。問題になっている香港ボアオとの契約に至る過程の中でのメモ書きと、こういう内容であります。
 県は、財団清算後もどのようにかかわっていたのでしょうか。かかわっていた内容によっては、今回の事態について、県としてのしかるべき対応が求められることになるのではないでしょうか。福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 財団清算後の経緯はどのようなものなのか。県はどういう立場でかかわってきたのか。県民の利益を損なわない、過大な負担とならない、そういう方向での解決、また今後の施設の有効利活用が期待されるわけですが、県の今後の対応についてどう考えているのかお尋ねをいたしまして、私の第1問といたします。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、新年度予算と財政健全化法について幾つかの御質問がございましたので、お答え申し上げたいと思います。
 まず財政健全化法の受けとめ、これはどういうことかと、こういうことでございました。
 本年6月に成立いたしました財政健全化法については、財政状況の把握の仕方が多面的になったこと、あるいは財政悪化の早い段階から自主的な財政健全化を促すものとなった点で評価できると考えております。すなわち、財政健全化法では、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率の3つの健全化判断指標を新たに整備し、健全性の判断が多面的になっております。また、財政健全化法では、財政悪化の早期段階で早期健全化団体となり、議会や住民と一体となって財政健全化計画の策定等に取り組むことが義務づけられる等、地方の自己規律による早期健全化を促す制度設計となっております。
 本来、このようなことは、別に法律で決まらなくても、それぞれの自治体でそれぞれがおやりにならなければいけないことだと思っております。和歌山県におきましては、こういう見地から、先に我が県の、このままでいったときの財政見通しを公表しました。これを健全化するために、県議会の皆さんと一緒になってこれから考えていこうという方式でございます。ただし、すべての地方公共団体がこういうことをやらないかんということを決めておくということも評価できることであります。
 次に、市町村への対応でありますけれども、県と市町村は対等の関係であるという地方自治の基本理念を踏まえると、市町村財政に対する県の過度の関与は適切とは言えず、一義的には各市町村の自助努力、自主的な判断にゆだねることが基本と考えております。しかしながら、市町村が財政再生団体等となる場合には県民生活への影響は小さくないと考えられますので、財政健全化法に規定する各指標の状況等を踏まえつつ、関係法令に基づき市町村行財政の適切な運営について一定の助言等を行うことは必要と考えております。
 次に、4つの指標と県財政の姿でありますけれども、財政健全化法は平成20年度決算から全面的に施行される法律でありまして、4つの新しい財政指標の計算方法の大枠は年内に政省令で定められる予定ですけれども、現時点の情報に基づきまして、これは計算基準が示されてる3つの基準について、平成18年度決算について試算してみますと、実質赤字比率、実質公債費比率、連結実質赤字比率の3指標についてはいずれも、12月7日に出ました基準では早期健全化基準までには至っておらんという試算結果が出ております。
 しかしながら、先般お示しした長期財政収支見通しの試算結果によりますと、平成21年度には、御承知のように財政調整基金及び減債基金が枯渇する見通しとなっておりまして、近いうちに実質赤字比率について早期健全化基準、ひいては財政再生基準を超えることもあり得ることになっております。このことは、引き続き国に対して地方税財源の拡充に向けた制度改正を強く働きかけていく必要があると同時に、我々としても早急なる行財政改革を進めるための新しいプランをつくって実行に移していくことの必要性を示しているものと認識しております。
 次に、県財政の問題点と持続可能な財政構造でございます。
 まず、持続可能な財政構造の意味についてでございますけれども、一般論として答えるとすれば、財政健全化法の4指標がいずれも早期健全化基準を超えない水準で保たれ、かつ将来的にも保たれるであろうと合理的に予想されるような財政構造ということになろうかというふうに思います。これを本県の財政構造に当てはめて考えてみますと、先ほど申し上げましたように、長期財政収支見通し、現在発表しているものによれば、近い将来、早期健全化基準を超えることも予想されますので、現在の財政構造は持続可能とは言えないと認識しております。
 すなわち、県財政の問題点として、当面特にクローズアップしないといけないのは実質赤字比率の主要構成部分である一般会計の財政収支でありまして、今後、一般会計の収支不足額を段階的に縮小していくことが不可欠であると考えております。
 次に、新年度予算についてでございます。
 これにつきましては、財政健全化法が全面的に施行されるのはまさに平成20年度決算からでありまして、新年度予算の執行結果が法の適用対象となるということを念頭に置いて新年度予算編成を行う必要があります。
 具体的には、平成19年度当初予算における151億円の財政収支不足額を今後段階的に解消していくという基本方針のもと、平成20年度予算編成における収支不足額の縮減を持続可能な財政構造への転換に向けた一里塚と位置づけまして、県税徴収率の向上とか、あるいは未利用県有財産の処分による歳入確保、それから事務事業の見直しによる歳出削減等、あらゆる手段を総動員して財政の健全化に取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、次の問題といたしまして、後期高齢者医療制度の受けとめ方ということでございます。
 後期高齢者医療制度については、人口減少社会の中で少子高齢化が急速に進みまして、医療費負担が増大していくことが見込まれております。国や地方とともに財政が厳しく、多額の借金を抱えており、医療保険制度を維持していくためには、受益と負担の関係がいかにあるべきかということを問わなきゃいけない、非常に難しい問題であろうかと思います。
 こうした中で、来年度から始まる後期高齢者医療制度は、増大する老人医療費を負担する現役世代と高齢者世代との間で、互助の精神のもとに、負担と給付の関係をわかりやすくするために創設された制度であると認識はしております。新しい制度においても、高齢者の方が必要な医療を適切に受けられるというようにすることが重要でありますので、実施状況を注視しながら、広域連合や市町村に対して助言を行ったり必要な対策を打ってまいりたいと、こういうふうに考えております。
○議長(中村裕一君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 後期高齢者医療制度の中止、撤回または延期を国に求めることについてでございますが、現在、来春の後期高齢者医療制度開始に向け、和歌山県の後期高齢者医療広域連合及び各市町村において精力的に準備が進められているところでございます。
 後期高齢者医療制度は、保険料負担に経過措置を設けるなどさまざまな配慮がなされており、県といたしましても、来年4月の全国の一斉実施に向け、制度の運営開始が適切に行われることが重要であると考え、広域連合及び市町村への助言や県民への啓発を行ってまいりたいと、そのように考えてございます。
 次に、保険料負担の軽減についてでございますが、後期高齢者医療制度の保険料には、国民健康保険制度と同様に、軽減措置、徴収猶予、減免の制度があり、低所得者に配慮された制度となってございます。
 軽減措置は、同一世帯内の被保険者と世帯主の総所得金額により、保険料の均等割額に対し7割、5割、2割の軽減を行うものであります。広域連合が平成18年度の所得に対して行った試算では、被保険者の約40%の方が7割軽減、他の軽減割合と合わせますと約半数の方が軽減対象になる見込みであると伺ってございます。
 県では、制度設計に伴い、新たに保険料軽減分の補てん、高額療養費の負担、財政安定化基金の創設などの財政措置を新年度から講じていく必要があるものと考えてございます。さらに、県といたしましては、今後、生活習慣病の予防の徹底に努めることにより県民の医療費負担の軽減につながる取り組みも進めてまいりたいと、そのように考えてございます。
 次に、65歳以上の高齢障害者への対応についてでございます。
 現行の重度心身障害(児)者医療費助成制度は、若年期から重度障害になられた方は一般的に経済的基盤が脆弱な場合が多いこと、また65歳以上で新たに重度障害になられた方については、現行の老人保健法により医療費の自己負担を1割とする措置や、生活実態に配慮し低所得者に対し自己負担の限度額の措置が講じられていることを考慮した上で、県の厳しい財政状況を踏まえ、県単独医療制度全体の中で重度心身障害児(者)医療費助成制度の存続が何よりも肝要であると、そのような観点から、65歳以上で新たに重度障害になられた方については昨年平成18年8月から対象外としたものであり、御理解を賜りたいと思います。
 なお、65歳以上の重度障害のある方の来年4月以降の保険制度は、議員御指摘のとおり御本人の選択が可能となっておりますが、後期高齢者医療制度に加入した場合、現行の老人保健法と同じく医療費の自己負担は1割で、月ごとに上限額が設けられるなど、その軽減措置が講じられておるところでございます。
 最後に、グリーンピア南紀に関連した3点の御質問に一括してお答え申し上げます。
 財団法人グリーンピア南紀は、昭和60年4月に設立され、昭和61年4月より年金福祉事業団より県を通じて紀南大規模年金保養基地グリーンピア南紀の管理運営を受託してまいりましたが、平成13年12月の国における特殊法人等整理合理化計画により、平成15年3月31日をもってグリーンピア南紀は運営停止され、同年7月には財団法人グリーンピア南紀は解散いたしました。その間、年金福祉事業団が解散し、その業務を引き継いだ年金資金運用基金から県、那智勝浦町及び太地町に用地利用計画について照会があり、両町から利用計画を提出したと認識してございます。
 その後、県が出損する財団法人が運営していた経緯から、跡地が両町に払い下げられるまで年金資金運用基金と両町との連絡調整を行うほか、財団法人の従業員の再就職についての雇用問題連絡調整会議を設立し、雇用対策について対応してまいりました。さらに、財団法人清算後も年金資金運用基金から両町への土地譲渡に伴う事務手続などについて両町に助言を行っております。
 跡地の利活用につきましては、取得した町が計画、実施していくことでありますが、地域の活性化のために有効活用されることを願ってございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 多重債務者対策に係る4点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、対策協議会に多重債務者の声をということでございます。
 和歌山県多重債務者対策協議会の構成員につきましては、他府県の参加状況も参考にいたしながら、機動的な開催運営ができるようにメンバーを選定いたしたところでございます。その構成員は、弁護士会、司法書士会、司法支援センターいわゆる法テラス、国からは財務事務所、そして市町村といたしましては市長会、町村会、県関係では、警察本部、教育委員会、そして商工観光労働部、福祉保健部、そして環境生活部から成っております。この体制で幅広く議論ができる体制となっております。
 御指摘の支援者団体の御意見につきましても十分にお聞きをし、協議会の議論に反映をさせてまいりたいと考えております。
 次に、協議会の今後の活動と市町村での対策協議会づくりについてでございます。
 現在、県内各地域におきまして無料法律相談会を開催しております。その内容等も参考にいたしまして、また協議会の構成員の御意見もお伺いしながら、必要に応じて協議会を開催いたしたいと考えております。
 市町村に対する支援につきましては、この協議会に市長会並びに町村会も構成員として参加をしていただいておりますが、この参加によりまして、市町村が弁護士会や司法書士会あるいは法テラスなどのいわゆる専門機関とのネットワークを活用していただきまして、住民に対する相談対応に寄与することができると考えております。また、市町村職員に対しましては、弁護士、司法書士による多重債務者無料法律相談へのいわゆる取り組みの中で実地研修を実施しているところでございます。今後とも、機会をとらえまして研修を計画していきたいと考えております。
 次に、多重債務者掘り起こしネットワークについてでございます。
 地方自治体は、複数の部署で住民の皆様方との接触機会がございます。そのことによりまして、多重債務者の発見につきましても機能を発揮できるものと考えております。こういう意味から、多重債務者の発見、あるいは相談窓口への誘導などの取り組みを協議するための庁内関係部局を構成員といたしました庁内会議の設置につきましても、現在、検討を行っているところでございます。
 最後に、年金担保融資の審査についてでございます。
 御指摘のとおり、年金担保融資につきましては、現在、法的に認められておりますのは、独立行政法人福祉医療機構の行っている融資のみでございます。
 御質問の趣旨につきましては、協議会の構成メンバーであります財務事務所等も通じまして、国に対して申し入れを行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 多重債務者対策における貸金業者の年金担保まがいの行為の規制についてお答えしたいと存じます。
 貸金業の規制等に関する法律では、貸金業者に年金などの公的給付に係る預金通帳等の保管の制限が課せられ、あわせて、その運用を定めた金融庁のガイドラインでも、預金通帳、証書、印鑑等を預かる行為そのものが禁じられてございます。そのようなことから、県では貸金業者に対し、これら禁止事項に違反することのないように立入検査や研修会を通じて指導を行っているところでございます。
 今後とも、財務事務所や警察本部などの関係機関や、この12月19日に発足予定の新しい業界の自主規制団体である日本貸金業協会などとも連携して、貸金業者に対し法令を遵守するよう積極的に働きかけてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 43番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 答弁いただきまして、再質問、知事と福祉保健部長にさしていただきます。
 知事には、持続可能な財政構造とはどういうものだと考えているのかということで質問いたしまして、一般論として4つの指標の基準の範囲内であればというお話であったわけですが、全国一律その基準でやるわけですから、だったら全国一律その基準以内であれば財政構造は問題ないということになってしまうわけでして、和歌山県としての問題はどこにあるのかということをお聞きしたわけです。
 例えば、実質収支ということを考えてみますと、実質収支で歳出を膨らまそうと思えば、繰り上げ償還をしたり基金に積み立てをすれば歳出額はふえるわけです。そのことによって実質収支が縮小するわけです。しかし、実質単年度収支ということで正確な姿を見ようと思えば、例えば県の一般会計の18年度決算、たしか実質収支40億円の黒字だったと思うんですが、実質単年度収支では90億円、この金額も財政規模にすれば微々たるもんですが、そういうふうに、一定、財政当局の操作によっては、この実質収支というのは膨らませたり小さくしたりすることができるもんなんですよね。
 私は、この際、財政健全化法でも透明にすると。財政の姿をね。しかも、一般会計ではない公営企業や公社や第三セクター、県が出資している法人──議会にも毎年6月議会に経営の報告というのは出されますけども、また決算報告も県報で回されますけども、それらを全部集めて一体県の本当の今の姿はどうなっているのかということを正直に、包み隠さずこの際示すべきだと。そして、議会がそれについて議論できるように、そういう材料を提供すべきではないのかと。
 一般会計については、プログラムをつくるというお話でした。しかし、ほかの会計もあるわけです。例えば、特会や外郭団体で見ても、わかやま森林と緑の公社、141億円という長期債務残高を抱えてるわけですね。あと、土地造成事業も157億とか、また開発公社も加太で265億円の債務保証してるというような問題が幾つかあるわけです。そのことも含めてすべての県の財政の姿を明らかにして、オープンにして、それで議論をしていくということが私はこの際ぜひ必要だと思うんですが、そういった姿勢を持たれるのかどうか。これは知事にお伺いをしたいと思うんです。
 それから、福祉保健部長にグリーンピア南紀について。清算までに至る経過と、清算後、年金基金と関係町との協議、残務整理ですよね、これは行ったと。それから一気に有効な利活用していただけるようにと飛んでるわけなんですが、その間、今問題になっている香港ボアオですか、そこの事業者との契約のかかわりについて、県としてあったのかなかったのかと、このことを私、聞いたわけですね。そのことについてはしかとした答弁がなかったように思いますのでね。
 私は、まあわかりませんけども、そのことについて、メモ書きの中でもその契約に至る過程の中での県とのやりとりらしきものが書かれてあるわけですから、それはどうなのかという質問なんですから、その点をしっかりと答えていただきたいと思います。
 後期高齢者医療制度については、知事は必要な対策とっていくという答弁ありましたので、これはまあまあ実施されるんでしょう。実施されていく中で本当に和歌山県が長寿日本一を目指す、それにふさわしい医療制度として運営できるのかどうか、その点の見きわめと必要な対策を十分にとっていけるように、そういう準備をしていただきたいということを申し上げまして、また多重債務者対策については、これはほんまにのんびりとゆっくりとしてる間はありませんので、県の庁内体制つくって、県民の多くの方がこれによって救われて再び生活の再建を果たして二度と多重債務者に陥らないと、そういう姿勢で、そういう県民を支えていくということでぜひ頑張っていただきたいということを申し上げまして、第2問といたします。
○議長(中村裕一君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、私に追加の御質問のあった点についてでございますけれども、透明にするということは一番大事なことであると思います。一般会計についてもそうでございますが、残りのすべてについてもそうであると思います。
 この間から一般会計について長期見通しを、このままでいくとこうなるということを申し上げました。ああいうことを見ているだけでも気がふさいでくる思いがいたしまして、多分ここにいらっしゃる県議の方々、みんな同じお気持ちではないかと思います。ただ、それを隠しておくよりは全部明らかにして、みんなで考えておくということのほうがはるかに大事だと思ってそうしております。
 公営企業や公社、第三セクター等につきましても同じでございまして、決算報告等で情報開示に努めているところでございます。議員がちゃんと数値を知っておられると、今挙げておられましたというのがその証左であるというふうに考えております。
 そうでございますけれども、財政健全化法に基づき、公営企業会計等を含めて、今後、健全性の判断を多面的に行っていくこともまた必要ではないかと思います。今後も一層の情報開示に努め、また説明責任を果たしてまいりたいと思っております。
○議長(中村裕一君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) グリーンピア南紀の跡地利用計画につきまして、那智勝浦町におきまして事業者を選定し、それをもって議会に諮っていったものと理解してございまして、その過程におきまして県は一切関与してございません。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) この際、申し上げます。
 所定の時間の60分を過ぎておりますので、再々質問をされる場合は簡潔に願います。
  〔「結構です」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 以上で、藤井健太郎君の質問が終了いたしました。

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