平成19年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(吉井和視議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 5番吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 おはようございます。
 私も、きょうで20数回の質問をするわけでありますけれども、これで、きょうで最後という気持ちで──これから何回もするかわかりませんけども──そういう気持ちでやっていきたいなと、そんなように思います。
 先般、政府の地方分権改革推進委員会が「中間的な取りまとめ」ということで地方分権のまとめを総理に報告したわけでありますけれども、その報告の中で、地方分権のテーマである「地方が主役の国づくり」、すなわち地方政府の樹立について報告をしておるわけであります。地方分権、第2期の分権というのは、やっぱり地方で、地方の政府が成立しないと完全にはならないという趣旨からであります。
 平成の初め、これは平成7年でありますけども、地方分権推進法が施行され、「地方にできることは地方で」ということで地方分権が進んでまいりました。そして、三位一体の改革。ちょうど私が議長をさせていただいたときでありますけれども、地方の意見、地方6団体の意見を聞いてあげよう──地方6団体といえば知事会、我々も地方6団体に入るわけですけれども、知事の意見しか国は聞かなかったように思うわけなんですけれども、とりあえず地方の意見を聞いてやろうということで地方分権が大きく前進しました。これは、私は歴史的な出来事であろうということで大変評価をいたしております。
 そういうことで、地方分権がようやくスタート台に着いたな、これからこの地方分権が本流になるんではないかと、そういう気がいたしたわけであります。それで、地方分権。権限を地方に譲ること。
 そして、もう1つの観点である地方主権。これは、地方主権というのは、その地方自治の観点で、いわゆる県民、あるいはまた地域住民が自分たちの意思でやるんだという、その自分たちの思いでやるんだというのが、私は地方主権であろうと思うわけであります。
 そういう形で、今回の第2期の地方分権改革推進委員会の「中間的な取りまとめ」の中で、地方自治の成立──道州制という形で進めておられる方もありますし、また、道州制を早く進めなけりゃいけないという最近の論調もあるわけであります。しかし、なかなかこの道州制についてもまだまだ意見が熟しておらない。おとついの知事の答弁にありましたように、まだまだ議論の最中である、そういうことを知事もおっしゃられておった。そして、一番大事に考えなけりゃいけないことは、県民がいかに望んでおるか、どういうことを望んでおるか。県民の幸せを中心にして考えていきたいという答弁であったように思うわけであります。それは実にそうなんです。県民が主役、それこそまさに地方主権、地域主権、そういうことであろうと私は思うわけであります。
 そういうことで、この地方主権に基づいて、道州制のような地方政府の樹立について、私は、知事はやっぱり地方主権という立場の中から県民の意見を十分聞かなけりゃいけないと思うわけであります。まさに地方主権、主役は県民であるわけであります。
 そういうことで、県民の意見をどのようにして聞くかというこの機関を今からつくっておかなければいけない、私はそう思うわけであります。まさに今こそ意見を聞く重要な時期にあると思うわけであります。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 応答責任という観点から、私は、県民の意見を吸収する機関を準備する必要があると思うわけでありますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、公共調達制度改革についてお尋ねいたします。
 昨年の秋、前知事の不祥事を受け、仁坂知事は、談合の再発防止と、そして清潔な県政の実現ということで、就任後すぐに日本でトップクラスの有識者6名で構成される公共調達委員会を設置されました。この委員会に対し知事は、4つの法益、すなわち効率性の向上、公共工事の質の確保、天の声の排除と県の規律、そして建設業界の健全な発展をお願いしたと聞いております。5月に委員会から提出された報告書をもとに、知事は6月に2項目から成る公共調達制度改革を発表し、11月には新業者評価制度を発表されたところであります。これは、来年1月から新しい業者評価制度に基づいて入札の資格申請受け付けが行われ、いよいよ来年の6月から条件つき一般競争入札が全面実施されるということであります。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 公共調達検討委員会の議論も含め、この改革について県民の意見をどのようにして吸収しておられるのか。また、知事の判断からして、この新業者評価システム、その制度の完成度がどの程度であるかということをお尋ねいたしたいと思います。
 次に、県土整備部長にお尋ねいたします。
 建設投資額の大幅な減少により大変競争が激化しております。このような状況のもとで、今後さらに条件つき一般競争入札を全面実施することにより、結果として不適格な業者の参入、そしてまた工事の品質の低下、県内優良企業いわゆるまじめにやってる業者が淘汰される、消滅する、そういうおそれがないでしょうか。私は、この新業者評価システム、評価制度の所期の目的が達成されるような入札制度を強く望んでおります。どのように考えておられるのか、当局のお考えをお示しいただきたいと思います。
 次に、審議会のあり方についてお尋ねいたします。
 私は、知事と議会の関係というのは、知事は議会にいろんな施策についてこうしたいという提案をして、そしてそれを議会が認めて、そして当局、知事が実施すると、それを再び議会が評価すると、そういうたすきがけの関係であると思うわけであります。そしてまた、よく「車の両輪」ということが言われます。前輪であったり後輪であったりしてはいけないわけであります。
 そして、私は特に思うのは、議会と知事の関係というのは、ややもすると、車で例えるならばタイヤと空気のような関係になってしまうんでないかと思うわけであります。そういうことになってしまったら、やっぱり困るわけであります。高速道路を走るときにタイヤの空気圧も調べてもらわな事故起こすんで、気つけてもらわな困るわけなんですけども、結局、車の両輪になってこの二元代表制というものを守っていただいて、それで議会の言うことを十分聞いていただけるという、そういう知事と議会の関係でなけりゃいけないと思うわけであります。
 先ほどの公共調達制度改革についても、この制度のよしあしは別として、新しい政策、制度を決めるときには、やっぱり知事が審議会──調達委員会ですね──日本のトップクラスの学者を招いてつくったという、そういう調達制度をつくって、そして県民のパブリックコメントをやって、こういう評価制度をつくったと聞くわけでありますけれども、私は、やっぱり議会と知事の関係という本来の姿に返るならば、選挙で選ばれた議員が初めからその議論に参加をさしていただいて、そして提言をさしていただいて、そしてそういう中でその新しい評価制度、そういうシステムをつくっていくという、そういう形をつくっていただきたい。
 何も、初めから審議会の委員に入れろとか、そういうわけではないわけですけれども、そういう初めからかかわりを持たせていただきたいと、そう思うわけであります。
 議員は、選挙で選ばれて、それで地域の中で、政務調査の中で地域のいろんな状況を調査、勉強してるわけであります。県民のいろんな意見も吸収してるわけであります。そういう議員の立場も考えていただいて、初めから議論に参加さしていただける、そういう制度をつくっていただきたいなと、そういうふうに思うわけであります。
 それで、そういうことに関して、私、初めから県民の負託を受けた議員が提言をできるような機会をつくるべきではないかと考えておるので、その点についての御所見をよろしくお願いいたします。
 次に、教育改革のあるべき姿について質問さしていただきます。
 私たちは、県政の柱は人づくりであるということから、自民党を中心に和歌山県教育を考える議員連盟をつくり、そして教育の改革とか再生について日夜取り組んでいるところであります。そして、安倍内閣のときに60年ぶりに教育基本法が改正され、そしてそれに基づく教育三法も改正されたわけであります。これは、私は歴史的な安倍内閣の仕事であったのであると思うわけであります。そういう意味において、今、教育の改革が至るところで叫ばれておるところであります。
 そこで、教育は不当な圧力に屈しない、これは教育基本法に載ってるわけでありますけれども、政治的中立性が強く求められるところであります。県においては、知事から独立した教育委員会が教育全般の責任を担ってきたところであります。
 さて、ことしの4月に、43年ぶりに義務教育における全国学力調査が行われました。そして、この全国一斉調査の結果について、知事がマスコミの記者発表の席上で、この成績の結果を公表すれば点取り虫になって競争が激化するから公表しないと、こう発表されたわけであります。コメントをされたわけであります。これは、こういう教育の重大な、教育の方針といいますか、大変重要なことについて知事が記者会見の席上コメントされたということについて、私は大変大きく評価するわけであります。従来であれば、教育のことは教育委員会が責任を持ってやるということであったわけでありますけれども、しかし私は、政治家としての知事が──例えば知事が選挙のたびにいろんなところで教育のことについて公約、あるいはまた基本方針を述べるわけであります。そして、県民の負託にこたえてそれを実施するのは、当然、知事の仕事であろうと思うわけであります。
 そういうことで、教育のことについても、重大な事柄については知事が先頭に立ってやらなけりゃいけない、そう思うわけでありますけれども、教育委員会のほうで責任を持つというそういう大きな前提があるので、私は、知事は、この教育委員会と、そして知事というそのかかわりの中で今後教育行政をどのようにやっていくのか、そういうことについてお尋ねしたいと思うわけであります。
 そして、今回の全国の調査は2つの目的を持っておると言われています。1つは、全国的な義務教育の水準の維持向上の観点から、児童生徒の学力・学習状況を把握・分析することによって教育の成果と課題を検証し、改善を図ることであります。2つ目は、児童生徒1人1人の学習の改善や意欲の向上につなげることであります。
 そこで、文部科学省は都道府県の教育委員会に対し、市町村単位の平均や学校ごとの結果など、情報開示を原則不開示にするよう指導したと聞いております。私は、生徒児童に最も身近なところにある保護者、あるいはまたその設置している自治体、地域住民、そういうところに公表をしないということは、そういう自治体や地域の教育力、そういうものを信用しておらない、否定するものだと私は思うわけであります。また、こういうことを公表しない、そういうことでほったらかしにするということは、自治体の責任の回避につながるものではないかと、そういうふうに思うわけであります。
 そこで、今回の学力一斉調査の結果をどのようにしてとらえているのか、また結果をどのように活用していこうとされるのか、お伺いいたしたいと思います。
 次に、地方教育事務所の廃止後の市町村教育委員会への支援についてお伺いいたします。
 平成16年度末をもって、県内7カ所の地方教育事務所が廃止されました。これは、地方分権の進展を踏まえながら教育行政組織のスリム化、効率化を図ろうとしたものであります。地方教育事務所は、市町村教育委員会と連携して、市町村立学校の教育や社会教育などの支援を行ってまいりました。その教育事務所が廃止され、市町村との関係は今どうなってるのか。
 私は、文教委員の一員として、教育長を初め教育委員会の方々とともに県内各地域の教育懇談会に参加して、市町村の教育長さんや学校の校長さんとの意見を──文教委員長の坂本委員長がお骨折りいただいて各地域でやっておるわけでありますけれども、先日も有田で私も参加さしていただきました。そして、各地域の教育長さん、学校の校長さんのいろんな忌憚のない御意見をいただいて、やっぱり市町村の教育委員会の役割の重要性、そしてまた、いかに教育委員会に対して期待をしているか、そういうことをわからせていただいて、本当に勉強させていただきました。
 そして、今、県内幾つかの市町村に指導主事が派遣され、市町村の教育行政に重要な役割を果たしておりますが、3年間を期限としてこの派遣が終了するということを聞いております。このたび改正されました地方教育行政の組織及び運営に関する法律でも、市町村教育委員会は指導主事を置くよう努めることが明示されたのを初め、市町村教育委員会の体制の充実強化が必要とされております。しかし、市町村の財政的な問題もあり、なかなか実施することができません。そういう状況のもと、県教育員会として市町村教育委員会をどんなに支援して連携を強めていくのか、そういう取り組みを教育長さんからお伺いしたいと思います。
 最後に、新しい学校の職の導入について質問させていただきます。
 教育基本法第6条2項に、「学校においては、教育の目標が達成されるよう、教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならない」とあります。これを受けて学校教育法では、学校の組織改革の1つとして、今度新たに教頭の上に副校長、それから主幹教諭、それから指導教諭、そういう新しい職を置くことができるということが書かれております。そこで、これはもう新しい仕事、職ができても人がなければいけないわけであります。そういうことで、20年度から組織的、機動的な学校の組織運営ができるように新しい職を提案がされております。
 そこで、この新しい職について、教育長、どういう効果や期待感を持っておられるか、そういうことをお聞きして、質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの吉井和視君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、地域分権型社会への取り組みという第1点でございます。
 私は、知事就任直後の本年1月に、臨時議会の冒頭におきまして、県政運営を進めていく上での基本姿勢について、県民の皆様の御意見を聞くことがすべての出発点であるというふうに申し上げました。この1年間、私なりに県民の声に真摯に耳を傾け、県の施策に生かしていくために、私自身が県民の皆様から直接御意見をお伺いする機会を、時間が許す限りできるだけ数多く設けてきたつもりでございます。
 とりわけ、議員御指摘のように、県民の皆さんからお聞きすることの中で、これから和歌山県あるいは日本がどういうふうになっていくかという地方分権のこの議論をお聞きしていくということは大変大事な点であろうかと思っております。
 地方政府の樹立、道州制等の議論の動向、私の考え方につきましても、私自身が県民の皆様と意見交換をする機会をとらえてお伝えするとともに、地域の主役であります県民の御意見をじっくりと時間をかけてお聞きしてまいりたいと考えております。その上で、議員御提案の県民の意見を吸収する機関につきましても、必要に応じて検討して設置してまいりたいと考えております。
 次に、公共調達制度の改革でございます。
 これにつきましては、まず前知事の汚職の背景がこの県の公共調達制度の上にかぶってるということで、直ちに私も、現在の県の公共調達制度がどういうふうになってるかというふうに調べてみました。その結果、汚職があった当時と比べて、どんどん制度が競争強化の方向へもう既に進んでいるというようなことを発見しました。一方、公共工事の質の確保とか、あるいはまじめな企業の成長をどうやって図るかという観点がこの制度の中にビルトインされてるかというと、そうでもないんではないかという疑問も感じました。
 そこで、すぐに同じような事件がまた起こるということではございませんので、この際じっくり、時間は短くですけれども、日本で有数の知識を持ってる人を皆集めて考えてみようというふうに思った次第でございます。
 当時、ちょうど1年ほど前ですけれども、全国でどういう議論がなされていたかというと、ちょうど数人の方々の知事の逮捕を受けて、全国知事会でこういうふうな公共調達にしたらいいんじゃないかというような推薦案が出されていました。それに対して、例えば一般競争入札をどのレベルまでやるかというのをそれぞれの県の進歩の度合いとしてはかろうというような、そういう風潮がありました。
 私は、それはあんまり意味がないというふうに思いまして、やっぱり議員御指摘のように、4つの目標をきちんとかなえられるような制度をつくっていかないといけないと思いまして、郷原委員長を初め6名の委員の方々から成る公共調達検討委員会をやってまいりました。大変、志を感じてくれまして、熱心に議論していただきました。
 私たちが必ずしも全部入れたわけではない。自分たちだけで議論をしたいというような時期もありました。しかしながら、最終的には、精力的に御検討いただいた結果、効率性と工事の質の確保のバランスをどうするかとか、あるいは県内の建設業の健全育成を図っていくかをどうするか、それから透明性を確保し効率性を追求するには手法として何がよいか、そういうようなことを考えていただいたと理解しています。
 この検討に当たりましては、大変なヒアリングもしてもらいました。私たちも、また情報を提供しました。そこで、5月に報告書が出て、その後6月15日に発表いたしました公共調達制度改革につきまして、これを発表いたしまして、この提言に対する皆様方の御意見を十分聴取したつもりでございます。
 さらに、それをもとにして制度を確定して、今度はその実施として新しい業者評価制度をつくりませんと、まじめな業者が排除されて怪しげな人たちが入ってくるということになると困りますので、それをきちんとやっていくという作業に入りました。この原案の作成の段階で、いつもやっている1カ月の意見募集の期間よりも10日間延長して延べ40日にわたり意見募集を行って、あわせて建設業者の方々に対する説明会もどんどんやりました。全体で1700名余りの参加をいただいたと聞いています。その結果、貴重な意見をいただきまして、それを踏まえて一部修正をして、先般、業者評価制度を確立したところでございます。
 本制度は、この業者評価制度とそのもとになる公共調達制度ですが、建設業界の健全な発展を支援し、成長する企業を応援することを目的として、不良不適格業者の排除、工事における品質の確保、優良県内業者の育成といった3つの課題の同時解決を目指す、全国的に見ても最も進んだ制度であると考えております。
 例えば、今までの採用された、現在使っている制度なんですけれども、最低価格制度を──最低価格というものを公表しています。その結果、仕事がどうしても欲しい気の毒な企業の方は、最低価格のところに全部入札、応札をして、そのコストにかかわらず応札をして、そして抽せんで業者を決めてるわけでございます。それからまた、1人の人がたくさんとってしまって丸投げをしても、今の制度ではなかなかそれを制肘できないということにもなります。したがって、まじめな人が自然に自分の身の丈に応じて一生懸命頑張ったら、県の工事はたくさんありますから、それが正しい、あるいは公正な競争を通じてしかるべき人に流れていく、また地元の雇用も守る、そういうような制度をつくったと私たちは思っています。
 今後とも、県議会を初め県民の皆様の御意見をいただきながら、さらにすぐれた公共調達制度の構築に引き続き取り組んでまいりたいと、こんなふうに思っております。
 次に、審議会等のあり方ということでございましたけれども、議員の御質問あるいは御意見を聞いておりますと、むしろそういうものを超えて、議会と県庁あるいは知事とのかかわりということについての御質問であったというふうに理解をいたしまして、そちらを中心にして申し上げたいと思います。
 いろんな政策について初めからかかわりを持ったほうがいいんじゃないか、そういうようなお話でございますが、まことに私はそのとおりだと思います。県議会と県庁は車の両輪でありまして、議場での討論は最も大切でありますけれども、意思疎通を日ごろから図っておくということは大変大事なことであると、私はそういうふうに思っています。
 実は、就任して間もなく感じたことは、当県においては、議会の皆様と、それから知事及び県当局とコミュニケーションが少し少ないなあというふうに思いました。この原因は私はわかりません。しかしながら、それよりも多いほうがいいわけだから、日ごろから職員にも指示をいたしまして、私自身も努力して、できるだけ意思の疎通に努めてまいったつもりです。それから、今後もそれは続けていきたいと思っております。
 ただ、私自身も忙しさにかまけて「しまった」と思うことも、正直に言うとあります。例えば例を申し上げますと、私はこの議場で「白浜にチャーター便が来ます」ということを申し上げたことを覚えております。そのときはほとんど確実であったんですが、残念ながら、ある事情でうまくいかなくなった。業者が突如方針を変更して、うまくいかなくなりました。言ってしまって、それがうまくいかなくなったときに、議員の方々に「あれはちょっとうまくいきませんでした」というようなことを申し上げなくて、忘れていたというのがございます。それを信じて、大変な御不都合をかけた方もいらっしゃいます。あれを信じてくださった方に対してですね。本件は、本当に私が至らないことであったなあというふうに思います。
 そういうこともございますけども、今後、努力をいたしまして、議員の方々と意思疎通をできるだけ図って、また御指導いただいて、県の行政を、あるいは県の政治を車の両輪として一緒に進めていっていただきたい、そのための御協力をぜひお願いしたいと、そんなふうに考えてるところでございます。
 それから、教育改革についてでございますけれども、教育行政のあるべき姿、この問題については、私は、もちろん教育委員会がきちんとするという前提であろうかと思いますけれども、私自身も、和歌山の若い人たちを育てるということについて人任せというわけにはいかんというふうに思っております。
 教育委員会のあり方については、昨今いろいろ議論のあるとこでありますけれども、教育基本法の趣旨からも、教育委員会の中立性、独立性ということは念頭に置かなければいけない。県行政全体の中では、部局の行政との整合性や共通理解、協力関係が必要だということは論をまたないところであります。特に近年は、教育委員会だけでなくて、幾つもの部局にまたがるような課題が実は多くなっております。一例を挙げますと国体などがそうでございまして、全庁挙げて取り組まなければいけない事業もございます。
 また、教育の中身、あるいは若い人たちを育てるときの考え方として、私は今、教育委員会に対して、例えば和歌山県の若者の心をもっとよくするような教育をしてくれないか、またの名前で言えば「道徳」をきちんと教えられるような、あるいは教育長のお言葉で言うと市民性を高めるような、そういう教育をこれからもっと採用していただけないだろうか、あるいは、子供たちに勇気を与えるために何らかの刺激、例えば先人の知恵などを子供たちに語ってもらうというようなことが大事なんじゃないか、そういう機会を多くふやせば子供たちは勇気を持てるんじゃないかと、そういうようなことを申し上げております。また、この郷土についての正しい知識を持って和歌山に生まれたということを誇りにできるような、そういう教育をできないもんかというようなことを教育委員会にお願いをして、いろいろ御検討いただいているところでございます。
 私といたしましては、現在策定中の新長期計画においても、実は人づくりを第一に取り上げておりまして、私も大いに自分の意見をこのように申し上げ、議論もさしていただきながら、教育委員会もその中核的な役割を果たしてもらいたいと、そんなふうに期待するところでございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 新業者評価制度についてでございますけれども、条件つき一般競争入札の実施に当たりましては、一般的に議員御指摘のとおり、不良不適格業者の参入、工事の品質の低下、県内優良業者の淘汰について懸念されているところでございます。
 本県におきましては、条件つき一般競争入札の実施に当たりまして、これらの懸念される事項に対応するために、今回、法令遵守や災害対応などの地域社会への貢献、それから品質確保の観点から建設業者の方々を評価する新業者評価制度を導入することといたしました。この制度によりまして、不良不適格業者の排除や工事における品質の確保、地域社会の要請にこたえる県内優良業者の育成が図ることができ、まじめに努力している優良な建設業者の方々がより一層報われるようになるものと考えております。
 あわせまして、最低制限価格などを事後公表するということで、発注者の積算能力を向上し、単純なくじなどによる落札者の決定を防止するとともに、価格のみならず、品質、技術をも含めた総合的な評価を行う総合評価落札方式の積極的な導入にも取り組むことによりまして、より望ましい入札制度が実現できるものと考えております。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) まず、文教委員会の皆様方が県内各地方で市町村教育委員会や学校長から直接意見をお聞きいただいていることに厚く御礼を申し上げまして、教育関係の3点についてお答えをいたします。
 まず、全国学力・学習状況調査の結果につきましては、知識、技能にかかわる問題ではおおむね良好と言えますが、それらを活用する力や読解力を初め国語力に課題が見られました。
 全国調査の結果につきましては、国からの指導を受けまして原則非開示としておりますが、各市町村、各学校には結果情報が送られておりまして、現在、それぞれにおいて分析を行い、今後の対応を検討しているところでございます。
 なお、県学力診断テストにつきましては、学校ごとに各問題の正答率を公表しているところでございます。
 今後は、全国調査の分析を行っている県検証改善委員会の結果を3月に報告するとともに、学校改善支援プランを策定いたしまして各学校の取り組みを支援してまいりたいと存じます。また、家庭や地域と連携しながら読書習慣や読書文化の形成を促し、学力の基盤となる国語力を高めるとともに、みずから学ぶ力を育成していきたいと考えてございます。
 次に、市町村教育委員会への支援についてでありますが、県教育委員会では、地方分権の推進と市町村合併の動向を踏まえまして、市町村への権限移譲を進めながら、平成16年度末に地方教育事務所を廃止いたしました。これに伴って、市町村支援室を設置するなど本庁各課の体制を強化するとともに、田辺市にあります教育センター学びの丘内に学校教育指導と生涯学習支援の拠点を設け、市町村への支援体制の充実を図ったところであります。
 また、市町村における自主的、主体的な教育行政の推進を支援するため、平成17年度から3年間、指導主事を派遣してまいりました。今年度末をもってこの派遣期間が原則終了することとなってございますが、市町村教育委員会から要望の強い、教育事務所にかわる支援が行えるよう、その配置も含め、県教育委員会としての役割のあり方等について検討をしているところでございます。
 新しい職の設置につきましては、今日、学校を取り巻く状況が大きく変化をし、ますます複雑多様化する教育課題に的確かつ迅速に対応することが求められております。このような状況の中、改正学校教育法で設置することができると定められた副校長、主幹教諭、指導教諭は、校長のリーダーシップのもと、学校をより組織的かつ機能的に運営し、責任ある対応を促す方策の1つとして導入されたものと考えます。
 制度の詳細につきましてはまだ明らかになっていない点もございますので、今後の国の動向を見ながら本県の各学校の実態を踏まえて検討してまいりたいと考えますが、大切なことは、職員や児童生徒のやる気が高まり、生き生きと活力に満ちた学校生活を送る中で個性やよさが発揮される体制をつくることでございます。したがいまして、今後、設置することになった場合は、そのような学校づくりにふさわしい人材を配置しなければならないと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 5番吉井和視君。
○吉井和視君 知事の答弁の中で、教育関係ですけども、教育については、知事が思ったことで、和歌山県で生まれてよかったとか、道徳的なことについてもっとやってほしいという注文をつけるということ、私は大変いい答弁であったなと、そんなに思うわけなんです。
 それで、教育基本法にも、不当な圧力に屈しないというのは、これ、旧来の教育基本法であったわけですけども、今回も残っています。これは本来なくなればいいんですけども、残ってるわけなんですけども、しかし透明な、いわゆる通達とか透明的な指示に基づいてのそういうことは圧力にならないと、私はそう思うわけなんです。ですから、和歌山県の人づくりを担っておる知事は、どんどんどんどん教育委員会に対して注文をつけてやっていっていただきたい。そしてさらに、さらにというよりも、それにもう1つ、謙虚に耳を傾けて教育委員会の意見も聞いていただきたい、そのように思うわけであります。
 それから、教育の役職のことについては、いろんな、複雑になりますけれども、せっかくの新しい職でありますんで、そういう人を、学校の先生を育てていっていただきたいなと、そんなに思います。
 あとについては、私も文教委員会の委員ですから、細かいことについてはまた文教委員会で聞かせていただきたいなと思います。どうもありがとうございました。
 以上です。
○議長(中村裕一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で吉井和視君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時26分休憩
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