平成19年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

平成19年12月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
 平成19年12月13日(木曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第153号から議案第177号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 請願付託の件
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会議に付した事件
 第1 議案第153号から議案第177号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 請願付託の件
 第5 休会決定の件
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出席議員(46人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 川口文章
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 16番 下川俊樹
 17番 岸本 健
 18番 山下大輔
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 角田秀樹
 28番 江上柳助
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 服部 一
 34番 片桐章浩
 35番 原 日出夫
 36番 藤本眞利子
 37番 長坂隆司
 38番 玉置公良
 39番 小川 武
 40番 冨安民浩
 41番 奥村規子
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        原 邦彰
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      杉本雅嗣
 総務部長       小濱孝夫
 企画部長       森 崇
 環境生活部長     楠本 隆
 福祉保健部長     井畑文男
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      小倉正義
 教育委員会委員長   樫畑直尚
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員長   大岡淳人
 警察本部長      鶴谷明憲
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     垣平高男
 選挙管理委員会委員長 山本恒男
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       山本庄作
 次長         植野博文
 議事課長       薮上育男
 議事課副課長     土井敏弘
 議事班長       吉田政弘
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      石垣悦二
 議事課主査      瀧川泰治
 総務課長       下出喜久雄
 調査課長       佐本 明
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  午前10時1分開議
○議長(中村裕一君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第154号から議案第159号まで、議案第162号、議案第163号及び議案第166号は、いずれも職員に関する条例でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 日程第1、議案第153号から議案第177号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 38番玉置公良君。
  〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 皆さん、おはようございます。最終日の4日目の一般質問でございますけども、どうかよろしくお願いいたしたいと思います。
 まず、質問に入る前に、去る6月議会で提案をさせていただきました、土が地球を救うと質問をさせていただきました。早速、県の農林水産部、とりわけ農業試験場の方々が土壌モノリス、土壌の断面の標本をつくっていただきました。そして、11月の10日にそのお披露目が農業試験場でありましたけども、行かしていただきました。この素早い行政の対応に対しまして、厚くお礼を申し上げたいと思います。それとともに、できればやっぱり県民に幅広くこれを普及していただきたいと思います。
 さらに、11月の15日でございましたけども、「日本農業新聞」のトップ記事で、国が土をCO2の吸収源として位置づけをしていくと、この検討を始めていくということが載っておりました。これも私が提案をさしてもらいましたけども、こういったことが急速に展開をしてまいりました。県としても、どうか積極的な取り組みをお願いしておきたいと思います。
 それでは、早速通告に従って一般質問を行います。
 その第1番目の質問として、中国山東省との環境協定の具体化と新しい日中時代へについて質問をしてまいります。一昨日、山本議員からも報告がありましたので、重複を避けて申し上げたいと思います。
 和歌山県が中国山東省と環境協定を結ぶために、11月19日から21日の3日間、山東省を訪問するということを聞き、環境協定、これはすばらしいことだと心を打たれ、急遽この訪中団に手を上げ、参加をいたしました。大変きつい日程でしたが、中身の濃い、意義のある訪問でありました。知事を初め随行していただきました県職員関係者、また議長を初め同僚議員の皆様にお礼を申し上げたいと思います。
 山東省の青島空港におり立つと、パトカーの先導という大変な歓迎をしてくれ、私どもはマイクロバスに乗せていただき、中国では制限速度が110キロということで、道路を100キロメートルを超える猛スピードで走り、青島から済南市まで、途中で視察もありましたが、約400キロメートルを横断したのには少々疲れました。
 その車窓から見た私の感想ですが、道端では自転車、バイクの後にリヤカーや子供を抱いた親が横断しようとするその光景を見て、驚きとともに、これからの交通災害も心配になりました。古い住宅を壊し、高層住宅建設ラッシュであり、近代化との格差が大きく、日本の高度経済成長の時代であった1970年代のようでありました。青空が全く見えない、木々が少なく乾燥しているので、至るところ、砂ぼこりや砂で覆われていました。ほとんどの田畑は地下水を利用しており、化学肥料等でかなり汚染が進んでいるのではないかと心配をされました。また、和歌山県との友好提携25周年である2009年に向けて、トップの新しい和歌山との友好提携の息吹を感じました。
 今回、私にとって一番収穫のあった環境対策国際協力セミナーに参加した中で、和歌山の企業の皆様方の環境技術のすばらしさを感じ、例えば、公害問題を解決する技術開発からシステム開発までの対応や、農業関連の環境問題、特に肥料由来の硝酸性窒素問題は中国では重要な課題ですが、大抵の水処理技術は対応可能だと思いました。また、中国山東省の環境問題に対する真剣な取り組み姿勢というものを肌で感じたところであります。
 山東省は、10年後には必ず中国一の環境産業市場になる目標を掲げていること、そのため、中国政府が打ち出している環境基準より3倍から5倍も厳しくして、企業が山東省へ来る場合は政府基準クリアだけでは入れない仕組みをつくり、循環型エコ山東省を目指しているということでありました。トップのあいさつの節々に、環境先進省、地球的なレベルで物事を考えていこうとする姿勢が見えました。
 私は、和歌山に帰ってきてから、文化国際課の協力を得て、山東省の和歌山県に対する要望というのをさらに取材をいたしました。山東省が和歌山に求めていることは、大きく言って3点ありました。
 1点目は、人材の育成であります。環境保護局などの環境にかかわる管理機関の専門的な人材が不足になっていること、国際協力と交流を通じて、セミナー、研修などの形で環境法律、法令の制定、環境管理の体制と方法などをよくわかる人材を育成していきたいと考えていることであります。
 2点目は、技術の指導と導入であります。水、空気、土壌、工場などの測定浄化技術の指導をいただきたい。必要であれば、設備も含めて技術の導入を考えていること。
 3点目は、企業間の協力であります。環境技術、リサイクルなどの企業の間で協働協力、設備投資、合弁などの形でビジネスのつながりを促進していきたい。
 以上の3点であります。そして、来年の1月に早速和歌山へ環境技術の視察に来たいと言ってきています。
 そこで、知事にお伺いをしたいと思います。
 環境とは、国境を越えていや応なしにお互い被害を受けます。中国の山東省対策だけではなくて、日本を含めた対策なのであります。今までの対中政策と違う新しいスタートだと思います。中国に対する日本のODAの一部が来年最後になり、形を変えたものが検討されていく中で、これからは環境技術や人材育成などの支援が重要視をされてくると思います。
 中国から感謝をされ、和歌山の新しい技術が生まれ、新しく和歌山が生まれ変わるチャンスでもあると思いますが、今回結ばれた環境協定に基づく具体的な交流を実のあるものにするためにも、今回訪問していただきました和歌山大学や環境企業を中心とした皆様に参加をしていただき、国際的、地球的な環境問題に対応できる産学官の組織を立ち上げることが必要だと思いますが、いかがでしょうか。知事にお伺いします。
 もう1点は、白浜空港の跡地を利用して、県下にあるフィールドや研究所、大学、産学官などのネットワークの拠点基地というものをつくってはどうかという提案であります。
 私は、環境対策国際協力セミナーのあいさつの中で、「1200年前、空海が中国に学んだ。今度は、中国に新しい日本の技術を学んでもらう空海の恩返しの現代版として、シンボリックな新しいつき合い方として交流を進めたいと思います。今、日本がアジア、世界に貢献できるものは何かといえば、武器を持つことではなく、地球温暖化防止や環境技術に貢献することであります。中国を中心としたアジアの地球環境や温暖化防止のため、日本の最高の技術水準の環境機器や技術を学ぶ国連環境大学的なものを、日中政府を巻き込み、山東省と和歌山県が連携をして、例えば地球環境のシンボルである世界遺産地の白浜空港跡地にその中心基地をつくったらどうでしょうか。関係者の御意見も聞きながら知事に提言をしていきたい」と、そのように申し上げてきました。
 また、このことによって、白浜、関空、アジアの往来が激しくなります。その中で、関空から白浜空港のコミューター導入や白浜空港へのチャーター便の増便なども考えられます。従来のようなただ単なる観光客ではなく、個人の意識の変化によって、中国の訪日の客層が変わってくる。つまり、観光客ではなくて環境客──私なりに「環境客」と言ってるんですが──どんどんふえてくると思いますが、いかがでしょうか。知事にお伺いいたします。
 最後に、新しい日中関係をつくる意義のある訪問でありました。それを、より中身のあるものにすることが大事だと思いました。中国は環境問題と経済格差をなくすことに大きな力を注いでいる中で、山東省は中国一の環境産業市場になる目標を持ち、環境問題に取り組もうとしている。環境協定については、アジアのモデルになるチャンスであると私は思います。
 時を同じくして、11月の21日、福田総理が東アジアサミットでアジアにおける日本の環境問題貢献に取り組むことが打ち出されましたが、日中の真剣な地方での国際環境貢献の1番目に出てくるのは、和歌山県と山東省との取り組みだと思います。したがって、県と山東省での単なる環境協定ではなく、アジアや日本全国から注目をされ、モデルとなる具体的な政策をつくるチャンスでもあると思いますが、知事の御見解を伺いたいと思います。
 続いて、海の環境保全についてであります。
 1点目は、白浜海岸の環境問題についてであります。
 白良浜は、夏のシーズンだけでも60万人を超す人が訪れる、県を代表する海水浴場であります。夏だけでなく、四季を通じて白砂の浜を舞台としたイベントが開かれる名勝地としても知られています。つまり、和歌山の宝であります。
 ところが、ここ数年、浜の中央部にだけ高波が立つようになったほか、昨年の秋には貝殻まじりの砂利が打ち上がり、近くの住民の方々から、これまでになかった現象だと指摘されています。
 さらに、ことしの夏になって、浜の北側や南側の波打ち際付近の海底で砂が黒ずんでいるのが見つかりました。黒ずんだ砂は台風の襲来で一時的になくなったのですが、その後、また見られるようになったことが住民有志と県の情報交換で確認をされています。砂の黒ずみ問題については、県が6月に調査をし、サメよけネットに付着した海藻による影響も要因の1つに挙げています。
 そこで、皆さん方にもお配りをしていますけども、これが住民の方々が撮られた白良浜の波打ち際のちょっと黒い砂です。(写真を示す)これが、ちょっとぼけていますけども、海底の黒い砂であります。
 県が白良浜に建設中の海の中に設置する堤防との関連や、白良浜へ流れ込む生活雑排水による影響も含めた調査なども必要になってきています。そこで、県も積極的に協力をし、原因究明とその対策に取り組んでいただいているところでございますが、まず19年度は県と町が一緒になって取り組みをしていただくことになっています。こうした調査は、専門家から言えば数年かかると言われています。
 きょうここに、この和歌山の宝を守るため地元白浜で地道に環境を守る取り組みを続けておられる皆様もお見えでございます。一度、知事に白良浜に足を運んでいただき、こうした方々との意見交換や現地調査をしていただくことを知事に要望しておきたいと思います。
 また、来年度以降も継続した調査をしていただきたいと思いますが、県土整備部長の御見解をお伺いしたいと思います。
 もう1点は、公共事業に係る事前の環境調査についてお伺いします。具体的には、白浜町が実施主体となり、早急に国へ事業再開に向けて申請をしようとしている湯崎漁港整備事業と温泉との関連についてであります。
 この事業については、整備計画どおり海底の岩礁を掘削すると温泉への影響が起きることも考えられ、地元住民や温泉会社が大変心配をし、事業計画段階で温泉への影響を考えたかなど、町の既存温泉に対する認識度合いを質問し、温泉に影響を及ぼさないよう海岸や海底調査などを求める要望書が白浜町及び町議会に出されています。この地域は、重要な第1種指定地域として県の温泉保護地域の指定を受けています。ここに要望書の写しがありますが、結びに「万一、これらの心配が的中すれば、単に温泉関係者への影響だけではなく、温泉を観光の中核として発達してきた白浜町の基本をも揺るがす大問題であることは論をまちません」と訴えています。
 私も現地に行き、地元関係者の方々や専門家の意見を聞いてきました。また、専門家の意見も紹介をしておきます。白浜温泉を長い間調査をしていただいています日本の温泉の第一人者の中央温泉研究所の甘露寺先生は、論文の中で、「温泉地をめぐる環境整備で留意すべき点は、温泉の湧出状況は周辺環境の変化をかなり受けることがある。土木工事など人為的な行為が温泉資源の質と量に影響を与える。したがって、資源の状況のみならず、周辺の状況の管理も大変重要である」と述べられています。
 そこで、まず環境生活部長にお伺いいたします。
 現在、国では、個々の事業実施に先立つ早い段階で、その事業に係る環境への影響を把握し、その評価等の結果を計画に反映させる戦略的環境影響評価といった視点からの検討が始まっていると聞いています。また、県事業については、地域整備における環境配慮への手引を作成し、計画段階からの環境への配慮について取り組みをしているところですが、この事業について、その環境への配慮について県としてどのように考えているのか、その基本的な考え方をお伺いいたします。
 続いて、県土整備部長にお伺いいたします。
 事業計画段階で影響調査をすべきであると思うが、それができていない中で計画を出していくことに地元関係者の皆さん方は大きな危惧を持っていますが、こうした地元の声に県としてどのようにこたえていくのか、その考え方をお伺いしたいと思います。
 最後の質問に移ります。世界遺産登録4周年記念セレモニーについてであります。
 私は、和歌山県議会議員に初当選をした12年前から、ひたすら環境問題に取り組んできた中で、小著でありますが、タイトル「環境」という本を出版いたしました。一言で言えば、今のままでは地球がなくなる、空海や熊楠、世界遺産を生んだ和歌山が地球を救うということであります。本を読んでいただいた方々や各界各層の方に中心になっていただき、紀南と和歌山市で、環境・エコロジー和歌山が地球を救う集いというものを8月と10月に開催をしていただき、紀南では約700名、和歌山市では約500名の各界各層の方々が参加をしてくれました。参加していただきました皆様に、心からお礼を申し上げます。
 参加してくれた方々や、そのことを聞いた方たち有志が、来年の世界遺産登録4周年記念セレモニーとして、熊野が地球を救う集いの企画を検討しています。その趣旨について少し紹介しますと、「温暖化による地球絶滅の危機が叫ばれ、このままでは地球がなくなってしまう。人間優先の社会が人間のエゴが地球を滅ぼしつつある。世界各地では、宗教戦争や民族紛争が、そしてテロ活動が勃発している。これらの諸問題を解決するには、日本文化の原点、すなわち古事記の精神、人間が自然や神々とともに生きる文化を継承し発展させることが今この地球に最も求められていることである。そのために、日本人の心のふるさと、ユネスコが公認した世界遺産の地である熊野本宮大社の大斎原で、日本人の心の原点である古事記を舞台芸術として披露し、世界に発信する。それが世界遺産に登録された日本の責務である。この取り組みは、今後の日本の果たす役割に大きな期待と、世界から信頼される唯一の道なのである。地球人としての模範として人間の考え方や地球のあり方を考える一大セレモニーであり、タイムリーなものである。日本人の優しさや日本人の尊厳、日本人の心を取り戻す契機となり、その心の魂が地球を救うのである」ということであります。
 日本に14ある世界遺産地のほとんどが、世界遺産に絡む記念事業など、地元でセレモニーを開いています。それぞれにその名目は打ち出していますが、我が高野・熊野の世界遺産を持つ和歌山には、ほかとは違う、ぜひ実行しなければならない必然性があります。この地でセレモニーをすることによって我々地球の未来に自信と希望を与えてくれるという意味のことであります。
 今、日本に対する各国の期待、それから、これからの世紀は、日本が取り組んできた環境と平和に各国が多大の期待と関心の異常な高まりが起きているからであります。それは、先進各国とも、今までのリーダーである大国アメリカなどにかわってこれからのリーダーシップを日本がとってほしいと、直接的、間接的にもそうした声が日々高まっていると思います。それゆえ、一刻も早く日本がそのリーダーシップをとり、世界じゅうの人々に期待と努力をしてもらうための発信をこの高野・熊野からしなければならないと思います。それをすることによって世界じゅうの人々の期待にこたえることになるのです。
 それと、もう1つは、世界の紛争を一刻も早く終わらせ、早く世界に平和が訪れるようにしなければなりません。
 今、日本では、ことしの12月にアジアの水サミットが大分県で開かれました。来年の7月には、北海道で洞爺湖サミットが開催されます。日本に期待するかのように、その会場も日本で行われることが1つの世界のうねりになってきています。そうした現状を踏まえて、平和の教えを説いた空海や平和の精神文化を持っている高野・熊野で大々的な集いを開くことは、まさに地球を救うためのセレモニーになるのであります。
 熊野の地でセレモニーを行ってほしいという声が、単なる日本だけではなく、世界からも聞こえてきます。著名な文化人の方々などからも賛同が寄せられ、高野・熊野の世界遺産というものに関心が高まっています。また、地元でも、NPOの方々を中心に、世界遺産をもっと世界に発信していこうと活動が活発化してきています。
 先日、NPOクリエイティブ・クラスたなべの多田泰教さんたちが世界遺産を世界へ発信するために熊野古道ランドマークソングの歌をつくり、歌手の庄野真代さんが歌う集いに参加をさせていただきました。すばらしい、心打たれる思いでありました。知事も御存じやと思いますけども、県も御支援いただいていますこのCDであります。(CDを示す)
 来年の4周年の7月ごろにこの熊野本宮大社の旧社地・大斎原で熊野が地球を救うセレモニーを開けることが実現をしたら歴史的意義を持つ高度な催しになり、世界からの観光客や日本の新しい進路として、日本こそ地球を救う一番の中心として世界は日本を見ることになると思います。できれば、来年の「紀伊山地の霊場と参詣道」世界遺産登録4周年記念セレモニーとして、奈良、三重県を含んだ実行委員会を立ち上げ、知事が会長となり、その実現に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
 また、こうした高い精神性を持つ世界遺産、高野・熊野のかけがえのない教育文化的価値を発信していくことに関して、教育長の見解をあわせてお伺いいたします。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず中国山東省との環境協定の具体化、それからこの件に関しまして産学官の組織立ち上げ、あるいは環境協定を和歌山のチャンスにというようなことについてお答え申し上げたいと思います。
 議員御紹介のように、このたび23年間にわたり友好関係を築いてまいりました山東省政府からの強い要望に基づきまして、環境問題の解決、あるいは環境産業の振興などを盛り込んだ「和歌山県・山東省友好交流関係の発展に関する覚書」に調印をしたところでございます。これは、地球規模での対応が求められている地球温暖化対策に加えて、和歌山県も昔苦しみ、そしてそれを克服した公害予防なども含めまして、政府、NGOの国際協力とともに、地方自治体間あるいは地方における民間企業レベルでの協力も含めまして、連携・協力をやっていくという双方の共通認識に基づきまして締結したものであります。
 今後、県といたしましては、本覚書に基づきまして、双方の民間企業間における技術指導や、あるいは事業提携の実現に向けたセッションの開催、あるいは環境規制制度の専門家の相互派遣、山東省の産学官の研修員、視察団の受け入れなどに取り組みながら、議員御提案の産学官の連携につきましても検討してまいりたいと考えております。
 また、国際協力につきましては、今回の山東省とのプロジェクトの推進を機に、産学官の連携をもって、今後さらに取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 次に、白浜空港跡地に本県と山東省との環境協定の具体化ということでございます。
 アジアの環境リーダーの育成の学術研究中心機関の設置についての御提案でございますけれども、国際的に活躍できる環境にかかわる人材を育てていくということは、地球規模で大変大事なことであると考えております。旧南紀白浜空港跡地の活用に向けての議員の御提案は、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」にも近いという本地域の特色を生かすとともに、国内外との交流を通じて地域の活性につなげようというものでありまして、大変魅力的な御提案ではございます。しかしながら、財政的な問題、管理の能力等々、さまざまな難しい課題もまたあろうかと思います。
 いずれにいたしましても、旧南紀白浜空港跡地の活用につきましては、議員の御提案の精神を生かし、議会の皆様を初め県民の皆様にお諮りしながら検討してまいりたいと考えております。
 次に、高野・熊野の登録4周年記念セレモニーというお話でございます。
 本県の世界遺産は、紀伊山地の深い自然がなければ成立し得なかった世界遺産でありまして、議員御質問にありましたように、まさしく自然と人が共生する精神によりはぐくまれた世界遺産であります。そして、私もまたこの神聖性の高い自然をこよなく愛する1人であります。自然を畏怖し、神とあがめた日本人の心の原点に触れることができる、また、さまざまな人をだれでも分け隔てなく温かく迎え入れるということのすばらしさを発信するということも、また和歌山ならではのメッセージになるんじゃないか。時宜を得た大変意義深いことだと思います。
 今後、ことしも来年も、7月の世界遺産週間などの機会をとらまえまして、議員提案にありました命や環境を大切にする心に通ずるメッセージ性の高いイベントなどを実施してまいりたいと考えております。
 また、環境、あるいは別の言葉で言うと、この地域の持っている雰囲気を守らなければならないと思います。これが、現在作業中の景観条例の1つの根拠、あるいは背景でございます。
 あわせて、4周年記念セレモニーということでございましたけれども、4年ではちょっと数が悪いという説もありまして、節目となる5周年に向けて、できますれば3県連携の取り組みを強化し、世界に存在感をアピールできるような記念行事について検討を進めてまいりたいと思います。その5年目に、ちょっと世界遺産が落ち目だから退勢を挽回するというようなイベントではなくて、ますます盛んになる世界遺産をさらにアピールするというふうになるように、ことしも来年も頑張っていきたいと考えております。
○議長(中村裕一君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 白浜海岸についてでございますけれども、白良浜は和歌山を代表する海水浴場であり、また四季を通じた貴重な観光資源であります。この白良浜をより安全で快適な海岸として保全するために、これまでも地形の変化等の調査、観察を行ってきております。
 黒い砂の発生に際しましては、専門家の御指導のもとに調査を行いまして、その原因が、砂が還元状態となって嫌気性のバクテリアの働きによって硫化水素が発生して砂の鉄分が黒い色を示すということで、硫化鉄となったことが原因であると推定されました。
 今後、黒い砂や高波等の問題に関しまして、県と白浜町が協力いたしまして、環境面からの調査や波浪調査など、白良浜の保全に必要な調査を引き続き実施していく予定でございます。
 それから、漁港整備事業における環境調査についてでございますが、湯崎漁港は白浜町が管理する漁港でございまして、平成17年度末に策定した基本計画に基づく国庫補助事業として平成18年度よりその事業に必要な調査を行って、また計画の見直しがなされたところでございます。
 県といたしましては、地元関係者より白浜町に対して要望の出ています温泉への影響などの調査を十分に行って、地元関係者が御心配ないように理解を得て事業を進めていくように町を指導してまいります。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 公共事業に係る事前の環境調査についてお答えを申し上げます。
 白浜地域は、本県の観光にとりまして大きなウエートを占めております。中でも、温泉は重要な資源となっておりまして、工事の実施によりまして万が一温泉の湧出に支障が出るということになりますれば、白浜町のみならず県経済への影響も大きなものとなります。
 県におきましては、議員御指摘のとおり、公共工事を実施する際、環境に配慮された形で実施されるよう環境配慮の考え方や方策をまとめました「地域整備における環境配慮の手引」を作成し、事業計画段階から地域の特性あるいは規制など環境情報の把握に努めまして、これらに配慮した事業実施に取り組んでいるところでございます。市町村におきましても、同様の考え方での対応を期待してるところでございます。
 温泉は、本県にとりまして大切な資源の1つでございます。事前調査や工法の工夫など、温泉資源に配慮しながら進めていただくことが重要であると考えております。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 紀伊山地の霊場と参詣道につきましては、紀伊半島の神秘的な山岳を神仏の宿るところとして数多くの人々がいやしを求めて訪れた結果形成されたもので、議員御指摘のように、共生と平和を希求する日本人の精神文化をあらわす、世界にも比類のない文化遺産であると考えてございます。
 教育委員会では、世界遺産を構成する個々の建造物や史跡、名勝、天然記念物等の保存を進める一方、印刷物やホームページ等によりまして紀伊山地の霊場と参詣道の概要と特徴の周知を図ってまいりました。さらに、世界遺産の理解と保全に取り組む高校生を育成する高野・熊野ワールドヘリテージレンジャー事業の実施や、古座高校の世界遺産教育の一環としてのユネスコ協同学校への参加申請など、世界遺産の未来の担い手である若い世代の育成にも取り組んでまいりました。
 教育委員会といたしましては、今後とも高野・熊野が人類と自然の共生を目指す上で重要な示唆を含むとともに、これからの世界をリードすることのできる平和の精神を持った奥深い世界遺産であることを広く世界に向かって情報発信し、理解を求めてまいりたいと考えます。また、世界に誇る貴重な教育資源といたしましても、環境教育とも関連づけながら大いに活用してまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 38番玉置公良君。
○玉置公良君 御答弁、ありがとうございました。
 まず、中国山東省との環境協定の具体化と新しい日中時代のことでありますけども、大変前向いた御答弁、ありがとうございました。
 知事と私も一緒に初めて行かしていただいたんですけども、大変きつい日程でありましたけども、やっぱり大変な知事のこれにかける熱意と意気込みというのを僕は感じさせていただきました。そのことが、そのあらわれというのが、やはりこの1月に早速環境の視察団が山東省から来るということだと僕は思っております。
 先ほど提案をしたことも含めまして、アジアや日本全国から注目されるモデルとなる具体的な政策を今後ともつくり上げて取り組んでいただくことを要望しておきたいと思います。
 そこで、2つ目の、私の地元の海の環境保全のことでありますけども、答弁で、白良浜の黒い砂や高波等の問題など白良浜の保全に必要な調査を県として引き続きしていくと、こういうことを御答弁いただきました。表明をしていただきました。きょうは、実は傍聴席のほうにも白浜の海を守る住民の有志の方々もお見えでございます。この方々は、行政と反目するんではなくて、行政と一緒になってこの白良浜の保全を守っていこうということで、ずっとやってこられています。どうか、この方々とも連携をしていただきまして和歌山の宝を守っていただきたいと思います。
 そしてもう1つ、湯崎漁港整備事業における温泉への影響についてでありますけども、答弁の中で、県としましては、地元関係者より白浜町に対し要望の出ている温泉への影響等の調査を十分に行い、地元関係者の理解を得て事業を進めるよう町を指導してまいると、的確な答弁いただきました。何とぞよろしくお願いをしておきたいと思います。
 最後であります。世界遺産登録4周年記念事業については、5周年が一番ええんではないかという──私も思いますけども、まあ来年が4周年でありますから、時宜を得た大変意義深いことだと、そういう賛同を寄せていただきました。そして、来年の7月にも、4周年でありますけども、世界遺産週間などの機会をとらまえ、私が提案しましたようなメッセージ性の高いイベントなどを実施していくということ、そして、あわせて節目となる5周年に向けて3県連携の取り組みを強化し、世界に存在感をアピールできるような記念事業について検討を深めていくと、こういうことも約束をしていただきました。教育長からも、世界に誇る貴重な教育資源として大いに活用してまいりたいと、積極的な御答弁いただきました。
 実は、きょうも地元の世界遺産関係者の方々も来ていただいております。大変勇気づけられたと思います。どうか、この成功のために地元の世界遺産関連のNPOなどの方々と十分連携をしていただき、実現をさせていただくことを要望して、終わりたいと思います。
○議長(中村裕一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 5番吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 おはようございます。
 私も、きょうで20数回の質問をするわけでありますけれども、これで、きょうで最後という気持ちで──これから何回もするかわかりませんけども──そういう気持ちでやっていきたいなと、そんなように思います。
 先般、政府の地方分権改革推進委員会が「中間的な取りまとめ」ということで地方分権のまとめを総理に報告したわけでありますけれども、その報告の中で、地方分権のテーマである「地方が主役の国づくり」、すなわち地方政府の樹立について報告をしておるわけであります。地方分権、第2期の分権というのは、やっぱり地方で、地方の政府が成立しないと完全にはならないという趣旨からであります。
 平成の初め、これは平成7年でありますけども、地方分権推進法が施行され、「地方にできることは地方で」ということで地方分権が進んでまいりました。そして、三位一体の改革。ちょうど私が議長をさせていただいたときでありますけれども、地方の意見、地方6団体の意見を聞いてあげよう──地方6団体といえば知事会、我々も地方6団体に入るわけですけれども、知事の意見しか国は聞かなかったように思うわけなんですけれども、とりあえず地方の意見を聞いてやろうということで地方分権が大きく前進しました。これは、私は歴史的な出来事であろうということで大変評価をいたしております。
 そういうことで、地方分権がようやくスタート台に着いたな、これからこの地方分権が本流になるんではないかと、そういう気がいたしたわけであります。それで、地方分権。権限を地方に譲ること。
 そして、もう1つの観点である地方主権。これは、地方主権というのは、その地方自治の観点で、いわゆる県民、あるいはまた地域住民が自分たちの意思でやるんだという、その自分たちの思いでやるんだというのが、私は地方主権であろうと思うわけであります。
 そういう形で、今回の第2期の地方分権改革推進委員会の「中間的な取りまとめ」の中で、地方自治の成立──道州制という形で進めておられる方もありますし、また、道州制を早く進めなけりゃいけないという最近の論調もあるわけであります。しかし、なかなかこの道州制についてもまだまだ意見が熟しておらない。おとついの知事の答弁にありましたように、まだまだ議論の最中である、そういうことを知事もおっしゃられておった。そして、一番大事に考えなけりゃいけないことは、県民がいかに望んでおるか、どういうことを望んでおるか。県民の幸せを中心にして考えていきたいという答弁であったように思うわけであります。それは実にそうなんです。県民が主役、それこそまさに地方主権、地域主権、そういうことであろうと私は思うわけであります。
 そういうことで、この地方主権に基づいて、道州制のような地方政府の樹立について、私は、知事はやっぱり地方主権という立場の中から県民の意見を十分聞かなけりゃいけないと思うわけであります。まさに地方主権、主役は県民であるわけであります。
 そういうことで、県民の意見をどのようにして聞くかというこの機関を今からつくっておかなければいけない、私はそう思うわけであります。まさに今こそ意見を聞く重要な時期にあると思うわけであります。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 応答責任という観点から、私は、県民の意見を吸収する機関を準備する必要があると思うわけでありますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、公共調達制度改革についてお尋ねいたします。
 昨年の秋、前知事の不祥事を受け、仁坂知事は、談合の再発防止と、そして清潔な県政の実現ということで、就任後すぐに日本でトップクラスの有識者6名で構成される公共調達委員会を設置されました。この委員会に対し知事は、4つの法益、すなわち効率性の向上、公共工事の質の確保、天の声の排除と県の規律、そして建設業界の健全な発展をお願いしたと聞いております。5月に委員会から提出された報告書をもとに、知事は6月に2項目から成る公共調達制度改革を発表し、11月には新業者評価制度を発表されたところであります。これは、来年1月から新しい業者評価制度に基づいて入札の資格申請受け付けが行われ、いよいよ来年の6月から条件つき一般競争入札が全面実施されるということであります。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 公共調達検討委員会の議論も含め、この改革について県民の意見をどのようにして吸収しておられるのか。また、知事の判断からして、この新業者評価システム、その制度の完成度がどの程度であるかということをお尋ねいたしたいと思います。
 次に、県土整備部長にお尋ねいたします。
 建設投資額の大幅な減少により大変競争が激化しております。このような状況のもとで、今後さらに条件つき一般競争入札を全面実施することにより、結果として不適格な業者の参入、そしてまた工事の品質の低下、県内優良企業いわゆるまじめにやってる業者が淘汰される、消滅する、そういうおそれがないでしょうか。私は、この新業者評価システム、評価制度の所期の目的が達成されるような入札制度を強く望んでおります。どのように考えておられるのか、当局のお考えをお示しいただきたいと思います。
 次に、審議会のあり方についてお尋ねいたします。
 私は、知事と議会の関係というのは、知事は議会にいろんな施策についてこうしたいという提案をして、そしてそれを議会が認めて、そして当局、知事が実施すると、それを再び議会が評価すると、そういうたすきがけの関係であると思うわけであります。そしてまた、よく「車の両輪」ということが言われます。前輪であったり後輪であったりしてはいけないわけであります。
 そして、私は特に思うのは、議会と知事の関係というのは、ややもすると、車で例えるならばタイヤと空気のような関係になってしまうんでないかと思うわけであります。そういうことになってしまったら、やっぱり困るわけであります。高速道路を走るときにタイヤの空気圧も調べてもらわな事故起こすんで、気つけてもらわな困るわけなんですけども、結局、車の両輪になってこの二元代表制というものを守っていただいて、それで議会の言うことを十分聞いていただけるという、そういう知事と議会の関係でなけりゃいけないと思うわけであります。
 先ほどの公共調達制度改革についても、この制度のよしあしは別として、新しい政策、制度を決めるときには、やっぱり知事が審議会──調達委員会ですね──日本のトップクラスの学者を招いてつくったという、そういう調達制度をつくって、そして県民のパブリックコメントをやって、こういう評価制度をつくったと聞くわけでありますけれども、私は、やっぱり議会と知事の関係という本来の姿に返るならば、選挙で選ばれた議員が初めからその議論に参加をさしていただいて、そして提言をさしていただいて、そしてそういう中でその新しい評価制度、そういうシステムをつくっていくという、そういう形をつくっていただきたい。
 何も、初めから審議会の委員に入れろとか、そういうわけではないわけですけれども、そういう初めからかかわりを持たせていただきたいと、そう思うわけであります。
 議員は、選挙で選ばれて、それで地域の中で、政務調査の中で地域のいろんな状況を調査、勉強してるわけであります。県民のいろんな意見も吸収してるわけであります。そういう議員の立場も考えていただいて、初めから議論に参加さしていただける、そういう制度をつくっていただきたいなと、そういうふうに思うわけであります。
 それで、そういうことに関して、私、初めから県民の負託を受けた議員が提言をできるような機会をつくるべきではないかと考えておるので、その点についての御所見をよろしくお願いいたします。
 次に、教育改革のあるべき姿について質問さしていただきます。
 私たちは、県政の柱は人づくりであるということから、自民党を中心に和歌山県教育を考える議員連盟をつくり、そして教育の改革とか再生について日夜取り組んでいるところであります。そして、安倍内閣のときに60年ぶりに教育基本法が改正され、そしてそれに基づく教育三法も改正されたわけであります。これは、私は歴史的な安倍内閣の仕事であったのであると思うわけであります。そういう意味において、今、教育の改革が至るところで叫ばれておるところであります。
 そこで、教育は不当な圧力に屈しない、これは教育基本法に載ってるわけでありますけれども、政治的中立性が強く求められるところであります。県においては、知事から独立した教育委員会が教育全般の責任を担ってきたところであります。
 さて、ことしの4月に、43年ぶりに義務教育における全国学力調査が行われました。そして、この全国一斉調査の結果について、知事がマスコミの記者発表の席上で、この成績の結果を公表すれば点取り虫になって競争が激化するから公表しないと、こう発表されたわけであります。コメントをされたわけであります。これは、こういう教育の重大な、教育の方針といいますか、大変重要なことについて知事が記者会見の席上コメントされたということについて、私は大変大きく評価するわけであります。従来であれば、教育のことは教育委員会が責任を持ってやるということであったわけでありますけれども、しかし私は、政治家としての知事が──例えば知事が選挙のたびにいろんなところで教育のことについて公約、あるいはまた基本方針を述べるわけであります。そして、県民の負託にこたえてそれを実施するのは、当然、知事の仕事であろうと思うわけであります。
 そういうことで、教育のことについても、重大な事柄については知事が先頭に立ってやらなけりゃいけない、そう思うわけでありますけれども、教育委員会のほうで責任を持つというそういう大きな前提があるので、私は、知事は、この教育委員会と、そして知事というそのかかわりの中で今後教育行政をどのようにやっていくのか、そういうことについてお尋ねしたいと思うわけであります。
 そして、今回の全国の調査は2つの目的を持っておると言われています。1つは、全国的な義務教育の水準の維持向上の観点から、児童生徒の学力・学習状況を把握・分析することによって教育の成果と課題を検証し、改善を図ることであります。2つ目は、児童生徒1人1人の学習の改善や意欲の向上につなげることであります。
 そこで、文部科学省は都道府県の教育委員会に対し、市町村単位の平均や学校ごとの結果など、情報開示を原則不開示にするよう指導したと聞いております。私は、生徒児童に最も身近なところにある保護者、あるいはまたその設置している自治体、地域住民、そういうところに公表をしないということは、そういう自治体や地域の教育力、そういうものを信用しておらない、否定するものだと私は思うわけであります。また、こういうことを公表しない、そういうことでほったらかしにするということは、自治体の責任の回避につながるものではないかと、そういうふうに思うわけであります。
 そこで、今回の学力一斉調査の結果をどのようにしてとらえているのか、また結果をどのように活用していこうとされるのか、お伺いいたしたいと思います。
 次に、地方教育事務所の廃止後の市町村教育委員会への支援についてお伺いいたします。
 平成16年度末をもって、県内7カ所の地方教育事務所が廃止されました。これは、地方分権の進展を踏まえながら教育行政組織のスリム化、効率化を図ろうとしたものであります。地方教育事務所は、市町村教育委員会と連携して、市町村立学校の教育や社会教育などの支援を行ってまいりました。その教育事務所が廃止され、市町村との関係は今どうなってるのか。
 私は、文教委員の一員として、教育長を初め教育委員会の方々とともに県内各地域の教育懇談会に参加して、市町村の教育長さんや学校の校長さんとの意見を──文教委員長の坂本委員長がお骨折りいただいて各地域でやっておるわけでありますけれども、先日も有田で私も参加さしていただきました。そして、各地域の教育長さん、学校の校長さんのいろんな忌憚のない御意見をいただいて、やっぱり市町村の教育委員会の役割の重要性、そしてまた、いかに教育委員会に対して期待をしているか、そういうことをわからせていただいて、本当に勉強させていただきました。
 そして、今、県内幾つかの市町村に指導主事が派遣され、市町村の教育行政に重要な役割を果たしておりますが、3年間を期限としてこの派遣が終了するということを聞いております。このたび改正されました地方教育行政の組織及び運営に関する法律でも、市町村教育委員会は指導主事を置くよう努めることが明示されたのを初め、市町村教育委員会の体制の充実強化が必要とされております。しかし、市町村の財政的な問題もあり、なかなか実施することができません。そういう状況のもと、県教育員会として市町村教育委員会をどんなに支援して連携を強めていくのか、そういう取り組みを教育長さんからお伺いしたいと思います。
 最後に、新しい学校の職の導入について質問させていただきます。
 教育基本法第6条2項に、「学校においては、教育の目標が達成されるよう、教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならない」とあります。これを受けて学校教育法では、学校の組織改革の1つとして、今度新たに教頭の上に副校長、それから主幹教諭、それから指導教諭、そういう新しい職を置くことができるということが書かれております。そこで、これはもう新しい仕事、職ができても人がなければいけないわけであります。そういうことで、20年度から組織的、機動的な学校の組織運営ができるように新しい職を提案がされております。
 そこで、この新しい職について、教育長、どういう効果や期待感を持っておられるか、そういうことをお聞きして、質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの吉井和視君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、地域分権型社会への取り組みという第1点でございます。
 私は、知事就任直後の本年1月に、臨時議会の冒頭におきまして、県政運営を進めていく上での基本姿勢について、県民の皆様の御意見を聞くことがすべての出発点であるというふうに申し上げました。この1年間、私なりに県民の声に真摯に耳を傾け、県の施策に生かしていくために、私自身が県民の皆様から直接御意見をお伺いする機会を、時間が許す限りできるだけ数多く設けてきたつもりでございます。
 とりわけ、議員御指摘のように、県民の皆さんからお聞きすることの中で、これから和歌山県あるいは日本がどういうふうになっていくかという地方分権のこの議論をお聞きしていくということは大変大事な点であろうかと思っております。
 地方政府の樹立、道州制等の議論の動向、私の考え方につきましても、私自身が県民の皆様と意見交換をする機会をとらえてお伝えするとともに、地域の主役であります県民の御意見をじっくりと時間をかけてお聞きしてまいりたいと考えております。その上で、議員御提案の県民の意見を吸収する機関につきましても、必要に応じて検討して設置してまいりたいと考えております。
 次に、公共調達制度の改革でございます。
 これにつきましては、まず前知事の汚職の背景がこの県の公共調達制度の上にかぶってるということで、直ちに私も、現在の県の公共調達制度がどういうふうになってるかというふうに調べてみました。その結果、汚職があった当時と比べて、どんどん制度が競争強化の方向へもう既に進んでいるというようなことを発見しました。一方、公共工事の質の確保とか、あるいはまじめな企業の成長をどうやって図るかという観点がこの制度の中にビルトインされてるかというと、そうでもないんではないかという疑問も感じました。
 そこで、すぐに同じような事件がまた起こるということではございませんので、この際じっくり、時間は短くですけれども、日本で有数の知識を持ってる人を皆集めて考えてみようというふうに思った次第でございます。
 当時、ちょうど1年ほど前ですけれども、全国でどういう議論がなされていたかというと、ちょうど数人の方々の知事の逮捕を受けて、全国知事会でこういうふうな公共調達にしたらいいんじゃないかというような推薦案が出されていました。それに対して、例えば一般競争入札をどのレベルまでやるかというのをそれぞれの県の進歩の度合いとしてはかろうというような、そういう風潮がありました。
 私は、それはあんまり意味がないというふうに思いまして、やっぱり議員御指摘のように、4つの目標をきちんとかなえられるような制度をつくっていかないといけないと思いまして、郷原委員長を初め6名の委員の方々から成る公共調達検討委員会をやってまいりました。大変、志を感じてくれまして、熱心に議論していただきました。
 私たちが必ずしも全部入れたわけではない。自分たちだけで議論をしたいというような時期もありました。しかしながら、最終的には、精力的に御検討いただいた結果、効率性と工事の質の確保のバランスをどうするかとか、あるいは県内の建設業の健全育成を図っていくかをどうするか、それから透明性を確保し効率性を追求するには手法として何がよいか、そういうようなことを考えていただいたと理解しています。
 この検討に当たりましては、大変なヒアリングもしてもらいました。私たちも、また情報を提供しました。そこで、5月に報告書が出て、その後6月15日に発表いたしました公共調達制度改革につきまして、これを発表いたしまして、この提言に対する皆様方の御意見を十分聴取したつもりでございます。
 さらに、それをもとにして制度を確定して、今度はその実施として新しい業者評価制度をつくりませんと、まじめな業者が排除されて怪しげな人たちが入ってくるということになると困りますので、それをきちんとやっていくという作業に入りました。この原案の作成の段階で、いつもやっている1カ月の意見募集の期間よりも10日間延長して延べ40日にわたり意見募集を行って、あわせて建設業者の方々に対する説明会もどんどんやりました。全体で1700名余りの参加をいただいたと聞いています。その結果、貴重な意見をいただきまして、それを踏まえて一部修正をして、先般、業者評価制度を確立したところでございます。
 本制度は、この業者評価制度とそのもとになる公共調達制度ですが、建設業界の健全な発展を支援し、成長する企業を応援することを目的として、不良不適格業者の排除、工事における品質の確保、優良県内業者の育成といった3つの課題の同時解決を目指す、全国的に見ても最も進んだ制度であると考えております。
 例えば、今までの採用された、現在使っている制度なんですけれども、最低価格制度を──最低価格というものを公表しています。その結果、仕事がどうしても欲しい気の毒な企業の方は、最低価格のところに全部入札、応札をして、そのコストにかかわらず応札をして、そして抽せんで業者を決めてるわけでございます。それからまた、1人の人がたくさんとってしまって丸投げをしても、今の制度ではなかなかそれを制肘できないということにもなります。したがって、まじめな人が自然に自分の身の丈に応じて一生懸命頑張ったら、県の工事はたくさんありますから、それが正しい、あるいは公正な競争を通じてしかるべき人に流れていく、また地元の雇用も守る、そういうような制度をつくったと私たちは思っています。
 今後とも、県議会を初め県民の皆様の御意見をいただきながら、さらにすぐれた公共調達制度の構築に引き続き取り組んでまいりたいと、こんなふうに思っております。
 次に、審議会等のあり方ということでございましたけれども、議員の御質問あるいは御意見を聞いておりますと、むしろそういうものを超えて、議会と県庁あるいは知事とのかかわりということについての御質問であったというふうに理解をいたしまして、そちらを中心にして申し上げたいと思います。
 いろんな政策について初めからかかわりを持ったほうがいいんじゃないか、そういうようなお話でございますが、まことに私はそのとおりだと思います。県議会と県庁は車の両輪でありまして、議場での討論は最も大切でありますけれども、意思疎通を日ごろから図っておくということは大変大事なことであると、私はそういうふうに思っています。
 実は、就任して間もなく感じたことは、当県においては、議会の皆様と、それから知事及び県当局とコミュニケーションが少し少ないなあというふうに思いました。この原因は私はわかりません。しかしながら、それよりも多いほうがいいわけだから、日ごろから職員にも指示をいたしまして、私自身も努力して、できるだけ意思の疎通に努めてまいったつもりです。それから、今後もそれは続けていきたいと思っております。
 ただ、私自身も忙しさにかまけて「しまった」と思うことも、正直に言うとあります。例えば例を申し上げますと、私はこの議場で「白浜にチャーター便が来ます」ということを申し上げたことを覚えております。そのときはほとんど確実であったんですが、残念ながら、ある事情でうまくいかなくなった。業者が突如方針を変更して、うまくいかなくなりました。言ってしまって、それがうまくいかなくなったときに、議員の方々に「あれはちょっとうまくいきませんでした」というようなことを申し上げなくて、忘れていたというのがございます。それを信じて、大変な御不都合をかけた方もいらっしゃいます。あれを信じてくださった方に対してですね。本件は、本当に私が至らないことであったなあというふうに思います。
 そういうこともございますけども、今後、努力をいたしまして、議員の方々と意思疎通をできるだけ図って、また御指導いただいて、県の行政を、あるいは県の政治を車の両輪として一緒に進めていっていただきたい、そのための御協力をぜひお願いしたいと、そんなふうに考えてるところでございます。
 それから、教育改革についてでございますけれども、教育行政のあるべき姿、この問題については、私は、もちろん教育委員会がきちんとするという前提であろうかと思いますけれども、私自身も、和歌山の若い人たちを育てるということについて人任せというわけにはいかんというふうに思っております。
 教育委員会のあり方については、昨今いろいろ議論のあるとこでありますけれども、教育基本法の趣旨からも、教育委員会の中立性、独立性ということは念頭に置かなければいけない。県行政全体の中では、部局の行政との整合性や共通理解、協力関係が必要だということは論をまたないところであります。特に近年は、教育委員会だけでなくて、幾つもの部局にまたがるような課題が実は多くなっております。一例を挙げますと国体などがそうでございまして、全庁挙げて取り組まなければいけない事業もございます。
 また、教育の中身、あるいは若い人たちを育てるときの考え方として、私は今、教育委員会に対して、例えば和歌山県の若者の心をもっとよくするような教育をしてくれないか、またの名前で言えば「道徳」をきちんと教えられるような、あるいは教育長のお言葉で言うと市民性を高めるような、そういう教育をこれからもっと採用していただけないだろうか、あるいは、子供たちに勇気を与えるために何らかの刺激、例えば先人の知恵などを子供たちに語ってもらうというようなことが大事なんじゃないか、そういう機会を多くふやせば子供たちは勇気を持てるんじゃないかと、そういうようなことを申し上げております。また、この郷土についての正しい知識を持って和歌山に生まれたということを誇りにできるような、そういう教育をできないもんかというようなことを教育委員会にお願いをして、いろいろ御検討いただいているところでございます。
 私といたしましては、現在策定中の新長期計画においても、実は人づくりを第一に取り上げておりまして、私も大いに自分の意見をこのように申し上げ、議論もさしていただきながら、教育委員会もその中核的な役割を果たしてもらいたいと、そんなふうに期待するところでございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 新業者評価制度についてでございますけれども、条件つき一般競争入札の実施に当たりましては、一般的に議員御指摘のとおり、不良不適格業者の参入、工事の品質の低下、県内優良業者の淘汰について懸念されているところでございます。
 本県におきましては、条件つき一般競争入札の実施に当たりまして、これらの懸念される事項に対応するために、今回、法令遵守や災害対応などの地域社会への貢献、それから品質確保の観点から建設業者の方々を評価する新業者評価制度を導入することといたしました。この制度によりまして、不良不適格業者の排除や工事における品質の確保、地域社会の要請にこたえる県内優良業者の育成が図ることができ、まじめに努力している優良な建設業者の方々がより一層報われるようになるものと考えております。
 あわせまして、最低制限価格などを事後公表するということで、発注者の積算能力を向上し、単純なくじなどによる落札者の決定を防止するとともに、価格のみならず、品質、技術をも含めた総合的な評価を行う総合評価落札方式の積極的な導入にも取り組むことによりまして、より望ましい入札制度が実現できるものと考えております。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) まず、文教委員会の皆様方が県内各地方で市町村教育委員会や学校長から直接意見をお聞きいただいていることに厚く御礼を申し上げまして、教育関係の3点についてお答えをいたします。
 まず、全国学力・学習状況調査の結果につきましては、知識、技能にかかわる問題ではおおむね良好と言えますが、それらを活用する力や読解力を初め国語力に課題が見られました。
 全国調査の結果につきましては、国からの指導を受けまして原則非開示としておりますが、各市町村、各学校には結果情報が送られておりまして、現在、それぞれにおいて分析を行い、今後の対応を検討しているところでございます。
 なお、県学力診断テストにつきましては、学校ごとに各問題の正答率を公表しているところでございます。
 今後は、全国調査の分析を行っている県検証改善委員会の結果を3月に報告するとともに、学校改善支援プランを策定いたしまして各学校の取り組みを支援してまいりたいと存じます。また、家庭や地域と連携しながら読書習慣や読書文化の形成を促し、学力の基盤となる国語力を高めるとともに、みずから学ぶ力を育成していきたいと考えてございます。
 次に、市町村教育委員会への支援についてでありますが、県教育委員会では、地方分権の推進と市町村合併の動向を踏まえまして、市町村への権限移譲を進めながら、平成16年度末に地方教育事務所を廃止いたしました。これに伴って、市町村支援室を設置するなど本庁各課の体制を強化するとともに、田辺市にあります教育センター学びの丘内に学校教育指導と生涯学習支援の拠点を設け、市町村への支援体制の充実を図ったところであります。
 また、市町村における自主的、主体的な教育行政の推進を支援するため、平成17年度から3年間、指導主事を派遣してまいりました。今年度末をもってこの派遣期間が原則終了することとなってございますが、市町村教育委員会から要望の強い、教育事務所にかわる支援が行えるよう、その配置も含め、県教育委員会としての役割のあり方等について検討をしているところでございます。
 新しい職の設置につきましては、今日、学校を取り巻く状況が大きく変化をし、ますます複雑多様化する教育課題に的確かつ迅速に対応することが求められております。このような状況の中、改正学校教育法で設置することができると定められた副校長、主幹教諭、指導教諭は、校長のリーダーシップのもと、学校をより組織的かつ機能的に運営し、責任ある対応を促す方策の1つとして導入されたものと考えます。
 制度の詳細につきましてはまだ明らかになっていない点もございますので、今後の国の動向を見ながら本県の各学校の実態を踏まえて検討してまいりたいと考えますが、大切なことは、職員や児童生徒のやる気が高まり、生き生きと活力に満ちた学校生活を送る中で個性やよさが発揮される体制をつくることでございます。したがいまして、今後、設置することになった場合は、そのような学校づくりにふさわしい人材を配置しなければならないと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 5番吉井和視君。
○吉井和視君 知事の答弁の中で、教育関係ですけども、教育については、知事が思ったことで、和歌山県で生まれてよかったとか、道徳的なことについてもっとやってほしいという注文をつけるということ、私は大変いい答弁であったなと、そんなに思うわけなんです。
 それで、教育基本法にも、不当な圧力に屈しないというのは、これ、旧来の教育基本法であったわけですけども、今回も残っています。これは本来なくなればいいんですけども、残ってるわけなんですけども、しかし透明な、いわゆる通達とか透明的な指示に基づいてのそういうことは圧力にならないと、私はそう思うわけなんです。ですから、和歌山県の人づくりを担っておる知事は、どんどんどんどん教育委員会に対して注文をつけてやっていっていただきたい。そしてさらに、さらにというよりも、それにもう1つ、謙虚に耳を傾けて教育委員会の意見も聞いていただきたい、そのように思うわけであります。
 それから、教育の役職のことについては、いろんな、複雑になりますけれども、せっかくの新しい職でありますんで、そういう人を、学校の先生を育てていっていただきたいなと、そんなに思います。
 あとについては、私も文教委員会の委員ですから、細かいことについてはまた文教委員会で聞かせていただきたいなと思います。どうもありがとうございました。
 以上です。
○議長(中村裕一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で吉井和視君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時26分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(中村裕一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 一般質問も既に最終日、午後1番の質問ということでありますが、気合いを入れ直してやっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 ことしも、早いものでもう師走を迎えました。年の瀬を迎え、県民の暮らしも大変なものがありますが、当局の皆さんも新年度の予算編成、大変なところでありましょうが、一歩ずつでも前進していけるように、そういう願いから、私なりの質問、要望をさせていただきたいと思います。
 まず、新年度予算と財政健全化法について、知事にお尋ねをいたします。
 ことしの6月、御承知のように、地方公共団体の財政の健全化に関する法律、いわゆる財政健全化法が成立をいたしました。これまでの地方財政再建促進特別措置法、いわゆる地方財政再建法でありますが、都道府県においては、決算での実質収支額における赤字額が標準財政規模の5%以上、市町村においては20%以上となった場合、財政再建団体の指定を受けなければ公共施設の整備のための地方債が発行できない、こういうことであります。起債ができなくても自主再建の道というのもありまして、自治体での自己決定ができていたわけです。しかし、起債に頼らない地方財政の運営というのは実質的に不可能なことであります。財政再建団体指定の申請をする、こういうことになろうかと思います。
 この15年間ほどは、財政再建団体の指定は、たしか記憶するところではなかったのではと思いますが、御承知のように、ことしに入って北海道夕張市が財政再建団体の指定を受けました。国の管理のもと、18年間かけて財政再建を進めるということであります。
 夕張市は「幸福の黄色いハンカチ」でも全国的に有名になりましたが、炭鉱の町として栄え、人口11万人を擁していた町が、今では1万3000人、財政再建完了後の18年後には何と7300人の町になるという見通しを立てています。収入の確保のために、個人市民税、固定資産税を初め保育料の国基準への引き上げなど、税や負担金、使用料などの大幅引き上げ、支出を削減するために職員数270人を103人に削減をする、給料の30%、ボーナスは60%カット、退職手当は最大75%のカット、市の単独事業の原則廃止──これでは地方自治体の体をなさないと思うわけですが──4つある中学校、7つある小学校、それぞれ1校ずつに統合する、集会施設、体育施設、公園、図書館、美術館、養護老人ホームの廃止など進める計画となっているようです。
 18年後には赤字を解消して財政の再建を果たしたと言えるかもしれませんが、果たしてそれまで町がもつのか、市民生活、一体どうなるのか、夕張市に残って懸命に頑張っている職員や市民の皆さんのことを思うと心が痛くなってまいります。行財政の運営の衝に当たっていた市長や幹部職員の責任はもちろんですが、国や道に責任はなかったのか、監査委員や議会のチェック機能はどうであったのか、学ぶべき多くの問題があるように思います。
 財政再建団体入りは何としても避けなければならない、そのためにも実質収支の改善を目指すという財政規律が働いて、今日、地方財政が厳しい、そう言われながらも再建団体への指定はこの間なかったわけです。
 従来の財政再建法は、実質収支の標準財政規模に対する比率、この1つが指標とされていましたが、今回の財政健全化法は、財政の健全性を判断する指標として、新たに実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率、非常にわかりにくい言葉ばかりですが、この4つが設けられて、毎年公表が義務づけられることとなりました。要するに、これまでは一般会計のみの指標だったものが、公営企業や公社、第三セクターなどの会計にまで拡大されて、それらを連結して赤字額がどうなのか、こういうカウントがされるようになりました。
 4つの指標のうち1つが一定の基準以上になれば早期是正団体。外部の監査を受け、財政健全化計画を策定し、国へ報告、健全化に向けての総務大臣または県知事の勧告がされることになります。さらに、将来負担比率という指標を除いて他の3つの指標のうちの1つがさらに悪化した基準となれば、財政再生計画を策定し、総務大臣の同意が必要となります。同意のない場合は、地方債の発行ができない、計画どおり進んでいない場合も予算の変更など必要な措置が国から勧告をされるという、これまでの財政再建法と同じような国からの強い関与を受けることになります。つまり、これまでの財政再建団体入りするよりもより早い段階でイエローカードが示されて、その手だてをとらなくてはいけない、しかも公営企業や出資法人の会計が連結されての指標で判断されることになるという、2段階の地方財政の健全化、再生への基準が示されたということであります。
 前段階である早期是正団体となるのを避けるためにこの指標がひとり歩きをして金科玉条のごとく最優先されることになると、いろいろな疑問や問題点が出てくるのではないでしょうか。
 1つは、自治体の一層のリストラと財政規模の縮小を招く結果になるということです。
 今日、国の地方財政計画の歳出削減が続き、県も含めて県内自治体の財政規模は縮小をし続けています。そうなれば、歳出に占める扶助費や人件費、公債費の比率が高まり、いわゆる地方財政の硬直化が進む。当然のことであります。地方財政の危機の主な原因は、90年代、バブル崩壊後の経済対策として公共事業を起債を財源として集中的に行ってきましたが、税収増には結びつかず、逆に借金の返済を膨らませました。
 それと、三位一体改革による地方交付税など、大幅カットが挙げられます。三位一体の改革では、税財源の移譲があったものの、補助金カットと交付税などの削減で本県財政も大きな影響を受けました。改革期間の3年間で実に343億円もの財源がなくなっています。地方税財源の強化充実が進まない限り、自治体は一層の歳出削減を迫られることになります。そうなれば、県民の暮らし向け予算の一層のカットや官公需のさらなる縮小など、地域経済にも悪影響を与えることとなります。
 国が地方自治体の財政悪化の早期是正のために指標をつくって、それを示し、基準数値以内でおさめよ、こういうふうに言うのならば、自治体財源の縮小ばかりを進めるのではなくて、国の責任において地方自治体の財源保障と充実を図ることがまずなされてしかるべきではないでしょうか。
 2つ目に、自治体の行政需要への対応は、それぞれの自治体の抱える課題によって変わってくるということです。
 大災害に見舞われたときの復旧、これもあるでしょう。和歌山でいえば国民体育大会を目指しての施設づくり、全国水準から見ておくれている道路整備や公共下水道の整備、施設の耐震化補強など、多額の投資を必要とする課題も残されています。公立病院を持つ自治体の財政負担、所得の低い人の多い自治体の国民健康保険、介護保険などへの一般会計からの補てん、小規模自治体での学校建てかえなど、地域の実情やその時々の行政需要によって財政状況は変わるわけです。全国一律の指標で早期健全化が必要と判断されることには疑問があります。
 3つ目に、早期健全化指標の1つの将来負担比率の中に、全職員が退職したときの退職手当総額を将来負担として計算することにもなっています。
 民間企業の退職引当金制度を倣ったのかもしれませんけども、全職員が一気に退職することなど、あり得ないことです。非現実的で、過大な将来負担についてまで財政健全化の指標とすることには疑問があります。
 4つ目に、新指標の基準値は法定ではなく政省令で定められる、つまり国民が関与することなく国の裁量で決められることです。
 地方自治体の意見を反映する確かな仕組みが必要だと考えます。地方財政については、極力国の関与は排除し、それぞれの自治体がみずからの判断で適切な財政運営のための計画をつくることが肝心ではないでしょうか。国が定めた指標についてはしんしゃく基準にして、国はアドバイス、助言にとどめることでいいと思うところです。大事なのは、それぞれの自治体で規律ある財政運営を進めることです。そのためにも、当局は財政に関するごまかしのない正確な情報を県民に提供し、監査委員、議会はチェック機能を十分に果たしていけるようにすることが重要です。行財政運営の短期、中期、長期の見通しと計画をつくって議会に報告することが求められています。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 財政健全化法、これをどのように受けとめて対応されようとしているのか。財政健全化を自己目的化することはなく、あくまでも住民の暮らしの向上や地域実態に応じた施策の展開が図れるような財源の確立が必要であります。
 また、市町村への助言のあり方をどのように考えているのか。繰り上げ償還の指導を強めていくことや、財政の健全化、公営企業の健全化計画の策定などを求めていくことになるのか。それぞれの自治体が自主的な判断で改善に取り組まねばならない、これは論をまちませんが、県からの関与の度合いによりましては、自治体病院の運営や公共下水道事業などの進め方、財政規模の小さい市町村での学校や公共施設の耐震化、建てかえなど事業のあり方にも大きく影響してくるのではないでしょうか。
 また、知事は、財政健全化法で国が定めるこの4つの指標について、現在の県財政の姿はどのようになっているのか、そしてどう評価しているのかもお尋ねをいたします。
 次に、知事は今議会の冒頭にも、財政は厳しい、財政構造を変える必要がある、持続可能な財政構造の確立が必要だと言われています。そして、9月の議会では今後10年間の財政見通しを示されましたが、それによりますと、2年後には財政調整基金、減債基金が底割れをし、財源不足となる見通しが立てられています。3年目以後、退職手当債や行政改革債などの発行を行おうと思えば、新たに職員数削減、行政経費削減に向けた計画づくりが必要になってきます。いずれにせよ、具体的な手だてを早急に打たなければならないことは明らかです。
 知事は、県財政の今の全体的な姿をどのように考え、どこに問題があって何を変えなくてはいけないのか、持続可能な財政構造とはどのようなものだと考えておられるのか。また、一般会計や公営企業会計、特別会計、公社出資法人の会計実態、債務保証や損失補償の内容、将来債務なども含めて、全体像と問題点を県民の前に、議会の前に明らかにしていく必要があるのではないでしょうか。
 新年度予算編成と財政健全化法との関連をどうするのか。財政健全化法は、09年4月1日施行です。08年度つまり来年度の決算に基づく指標で判断をされるということですが、したがって、来年度の予算編成からこのことを頭に入れて進めなくてはならないわけです。4指標の数値を下げることを目指しての編成となるのでしょうか。財政健全化法の枠内であればそれで了とするのでしょうか。それとも、独自の目標を持って取り組むのか。新年度予算の内容にどのように影響してくるのでしょうか。
 次に、後期高齢者医療制度について知事並びに福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 新長期総合計画の素案が示されました。その中で、健康づくりを推進していくとして、健康長寿日本一和歌山を目指すとあります。健康で長生きしたい──人間だれもの願いではないでしょうか。
 ところが、県の平均寿命を見てみますと、2000年の数値、これは直近の数字でありますが、男女ともに全国41位という水準です。日本一を目指すには前途多難なものが予想されるわけですが、平均寿命を考える上で、病気の予防も含めた医療の果たす役割は極めて重要なものがあります。早期発見、早期治療、生活習慣病を悪化させない日常の医学的な管理が必要で、気軽に健康教育や健康相談、健康診断を受けられて、その後のフォロー体制も整っていることが必要です。そのためには、保険料や医療費の自己負担が負担能力の範囲内であること、提供される医療が必要十分な内容の給付であることが求められます。
 このたび、県下全市町村で構成される後期高齢者医療広域連合の議会において、75歳以上の後期高齢者医療にかかわる条例が議決をされ、来春4月から実施されることとなりました。後期高齢者医療制度が健康長寿日本一を目指そうとする本県においてどのように運営をされていくのか、県民の老後の安心を保障できるような医療制度となっていくのか、そうすることができるのか、このことが問われているのではないでしょうか。
 そもそも後期高齢者医療制度は、ふえ続ける医療費をどう抑制するのか、その対策の柱として、75歳以上の高齢者を対象として独立した医療制度としてつくられました。高齢者の医療の確保に関する法律では、これまで老人保健法で明記をされていた国民の老後における健康の保持という規定にかわって、医療費の適正化が明記をされました。そのことから、幾つかの疑問や問題点を指摘することができると思います。
 どういう医療が提供されるのか。これはいまだに示されていません。保険料も診療報酬も別建てとなって、医療の中身は出来高ではなく定額制にして、保険が使える医療の上限を設けることも検討されています。後期高齢者医療が、これまで継続して受けてきた糖尿病や高血圧や心臓病など、こういった治療について医療内容を薄めることはないのか。必要な検査や治療の継続は保障されるものとなるのか。その上で75歳以上の高齢者にとって特別に必要とされるものが加味されていくのか。医療費抑制のための医療制度では、必要とする医療の提供が保障されたものとなるのかどうか。大いに心配をされるわけです。
 保険料も決められました。2年ごとに改定がされ、医療費がふえたり、75歳以上人口がふえることに応じて保険料が引き上がる仕組みとなっています。また、保険料を滞納した高齢者に、保険証にかわって保険のきかない資格証明書が発行されることとなります。果たして75歳以上の人に保険証を渡さないことができるのでしょうか。高齢者は、日ごろ健康に自信がある人でも、ちょっとした変化で急に体調が崩れることがあります。また、すべての高齢者が経済的に余裕に満ちた生活を送っているわけでもありません。
 本県での高齢者単独世帯は世帯数の11%、高齢者夫婦のみの世帯は12%、高齢者のみの世帯が全世帯の33%。全国的に見ても、どちらも非常に高い割合となっています。05年国民生活基礎調査では、高齢者世帯の43%が年収200万円以下、100万円未満も17%となっています。一般世帯よりも経済的に厳しい状況に置かれていることがわかります。高齢者のみの世帯が多い本県では、その点はよく見ておく必要があると思います。
 そして、高齢者が出費で一番負担を感じてるのが医療費の負担です。高齢者1000人のうち、病気やけがで自覚症状を感じてる人は約500人。半数の人が何らかの病気を持っています。経済的負担能力の低い、いつ医療が必要となるかわからない高齢者に、保険料滞納を理由に保険証を渡さないことには大いに疑問を感じます。
 和歌山市がことし医療機関にアンケートを行い、資格証明書での受診の実態調査を行いました。腹痛を訴えて11月11日来院し、即日入院、肝がんの進行が認められ、12月17日に死亡。婦人科受診で子宮がんが発見され、早期手術を勧めるが、以後受診なし。視力障害を訴えて来院、血糖値高く、即日入院。こういう重症化した事例が幾つか報告されています。
 後期高齢者医療制度が始まるに当たりまして、健康長寿日本一を目指そうとする本県にとって、高齢者の安心につながる医療制度としてその機能を果たしていけるのか。果たしていかなくてはなりません。医療費抑制が最大目的の医療制度としてしまうことには問題があると言わねばなりません。
 そこで、知事並びに福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 後期高齢者医療制度を知事はどのように受けとめているのでしょうか。今、私は、医療制度のあり方、その中での高齢者医療や保険料負担のあり方、医療の給付内容、資格証明書の発行などについて私なりの思いを申し上げてまいりました。果たして、この制度で安心の老後は期待できるのか。安心して受けられるような医療制度として運営していけるように、国への申し入れ、広域連合への指導や助言、また県としての独自の努力が必要であると思うところですが、知事の所見についてお尋ねをいたします。
 制度の中止や撤回、または実施の延期を国に求める考えはないのか。福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 提供される医療の中身がまだ知らされない中で来年4月1日実施が決められ、保険料率も決められました。果たして4月1日実施でいいのでしょうか。また、県民の制度への理解と納得がどこまで得られているのでしょうか。
 中止や延期を求める理由は、この制度が実施されると新たな保険料負担となり高齢者の負担が増大すること、保険料が負担できなければ保険給付の差しどめとなること、高齢者だけの医療内容、この医療内容が従来から薄まる別建ての診療報酬となることが懸念されることなど、高齢者にとって必要十分な医療制度とならないのではないかということが1つあります。また、医療費の抑制をしていく、そう言うならば、健康づくりの増進や病気の予防に積極的に取り組むということがまず先決問題ではないのかということが2つ目の理由です。
 高齢者の税負担、社会保障負担が増大をしてきております。県として、後期高齢者の保険料負担を軽減させる方策を考えられないか、お尋ねをいたします。
 県内9市の国保税との比較をしてみますと、単身世帯の場合は国保税のほうが高く、高齢者2人世帯では後期高齢者医療のほうが保険料が高くなるように見受けられます。扶養家族だった人への保険料軽減が経過措置として年限を区切って行われますが、恒久措置ではありません。低所得者軽減は、本人の収入のみではなく世帯の収入で見ることになっています。したがって、本人所得では軽減されることになるとしても、同居している子供の所得が一定額あれば、7割、5割、2割の準備された軽減はされないこととなります。
 保険証は1人1人に渡され、保険料や医療費の自己負担割合、1割になるか、3割になるか、これは75歳以上の人のみの所得について計算されるわけですが、保険料の軽減をするかどうかの所得については、若年者を含めた世帯の総所得で見ることになっています。これも問題があるのではないでしょうか。
 65歳以上の高齢障害者について、県は、65歳以上で新たに重度障害となった人への医療費助成制度を廃止しました。その理由の1つに、老人保健法の適用を受けて1割給付にとどまるんだということが言われておりました。老人保健法だと保険料負担は従前と変わりません。
 今回、老人保健法での適用を受けていた人は自動的に後期高齢者医療に加入することとなりますが、脱退することも認められました。というのは、扶養家族だと、新たに後期高齢者医療の保険料の支払いが必要になってまいります。保険料負担の要らないこれまでの扶養家族にとどまるのか、それとも後期高齢者医療に加入するのか、どちらを選択するか本人が決めてくださいということです。
 従来から加入している国保や健保を選択すると、保険料負担が変わらなかったり要らなかったりしますが、窓口負担は一気に3割になります。後期高齢者医療を選択すると、自己負担は1割にとどまりますが、新たな保険料負担が必要となってまいります。どちらにしても負担がふえることには変わりません。この際、重度心身障害者医療助成をもとに戻し、65歳以上で新たに重度障害となった人も助成の対象にしていくべきではないでしょうか。
 次に、多重債務者対策についてお尋ねをいたします。
 県の多重債務者対策協議会が11月28日に設置をされ、楠本環境生活部長が会長に就任をされました。報道によりますと、対策協議会は、和歌山弁護士会、県司法書士会、県警など9団体で構成、当面、多重債務者相談会を振興局単位で開催していくということです。これまで、対策協議会の早期設置と取り組みを急ぐことを訴えてきたところです。
 御承知のように貸金業法が改正され、利率の引き下げ、過剰融資の禁止、強引な取り立て行為の禁止など、前進が図られました。しかし、法の完全実施は3年後となります。多重債務に陥っている人への新たな融資が絞り込まれ、資金繰りに逼迫する状況が懸念されるわけですが、既に現実のものとなってきております。資金繰りに追われた末の自殺や犯罪に結びつくことが心配をされます。
 多重債務問題は、相談に結びつけば必ずと言っていいほど解決の道筋が開ける問題です。利息制限法の年利29%で借りていたものを出資法の20%までの利率で計算し直すと、既に元金の返済を終え、過払いとなっていたという事例もあります。対策協議会の活動に大いに期待するものですが、ゆっくりと取り組む時間はありません。より多くの人の解決に結びつけるためには取り組みを急ぐ必要があります。
 そこで、今後の進め方、どのように考えているのか、環境生活部長と商工観光労働部長にお尋ねをいたします。
 対策協議会の構成団体はどのようになっているのでしょうか。それはどのような考えに基づくものでしょうか。貴重な経験と実績を持っている運動団体、支援者団体を構成員にすることは考えられないんでしょうか。とりわけ、かつて多重債務者であって今は整理をして生活の再建を果たした人の体験から直接学び、広げていくことが、同じ問題で悩む人への励ましにもなり、解決への展望を実感することができることになります。そういった人の協力を得ることが対策協議会の活動の幅を広げることにもつながってまいります。
 対策協議会の今後の方針はどのようなものとなっているのでしょうか。とりわけ、市町村での対策協議会づくりへの支援や相談窓口づくりをどのように進めていくのか。多重債務の相談は、胸を張って相談に来れるような性格のものではありません。敷居をより低くしていくためにも多くの窓口を開いていくことが大切だと思います。
 多重債務者の積極的な掘り起こしが必要と考えます。県税や各種の貸付金、施設の負担金、使用料や利用料が滞納になっていて、滞納処分されることについてたびたび相談を受けるわけですが、よく話を聞くと、多重債務に陥っている人がいることをたびたび経験します。庁内での多重債務者掘り起こしのネットワークづくりが有効ではないでしょうか。
 年金を担保にして融資を受け、それがもとになって、生活費の逼迫から貸金業者に頼り、多重債務に陥ってる人の相談もあります。本来、生活の糧である年金、とりわけ障害年金や遺族年金など福祉的な年金を担保にとることなどはもってのほかだと思うところですが、とにかく一般的には、年金を担保にすることは原則禁止をされております。
 しかし、例外的に独立行政法人福祉医療機構が金融機関を窓口にして年金担保融資を行っております。福祉医療機構自身が利用者の調査を行っているわけですが、その中でも年金にかわる生活費、これを新たな借金で賄っているとか、または公的援助に頼る──生活保護のことだと思いますが──そういうふうに答えている人があるということです。年金担保の融資に当たっては審査を厳密にして、その使い道、また返済能力の見きわめ、これをしっかりすることを申し入れるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 貸金業者の年金担保まがいの違法ともとれる行為に対する指導の強化が必要ではないでしょうか。裁判を起こして、ようやく年金証書と通帳、印鑑を取り戻した事例もありますが、もともと年金担保の貸金業者の融資、それまがいのことは違法です。そんなことのないようにしっかりと指導を強めていただきたいと思います。
 最後に、グリーンピア南紀のその後についてお伺いをいたします。
 全国13カ所あった年金保養施設グリーンピアが平成17年12月に全施設の譲渡が終了、施設の建設に直接要した費用だけでも1953億円かかったものが総額48億円で売却。結果的には年金保険料の大変な損失を招くこととなったわけです。
 和歌山のグリーンピア南紀は、昭和61年に建設費122億円で開設。施設は県と那智勝浦町、太地町が出資して設立した財団法人グリーンピア南紀によって運営されました。一時は予約がとれないほど人気がありまして、私も予約を何回か申し込みましたが、とれないことが何回かありました。しかし、結果的に時流に乗れず、平成15年3月末で閉鎖。閉鎖に当たって、紀陽銀行に残った債務1億9400万円について、裁判所の調停を経て、県は財団への出資額を超える1億3600万円余の負担を行いました。その後、土地と施設は那智勝浦町と太地町に2億7000万円で売却され、両町の活性化につながる有効利活用を期待したわけです。
 その後の報道を見ておりますと、平成17年12月に那智勝浦町と中国香港の事業者ボアオが土地、建物などの賃貸借契約を締結したということですが、最近、町長が契約を白紙に戻すことを表明し、現在、契約解除の条件について町と事業者が対立しているというように聞き及んでおります。
 県は、財団を清算し施設の譲渡を完了した時点で個々の契約内容にまで関与する余地はないもの、このように私、理解をしておりましたが、那智勝浦町の当時の担当者の会議記録、議事録というものではありませんが、担当者のメモ書きのようなものがあって、グリーンピア南紀を閉鎖する前後のあらましが時系列で見てとれるものとなっております。那智勝浦町議会の場でも、参議院の厚生労働委員会でもそのことが明らかにされました。それを見ますと、グリーンピア南紀が閉鎖される前後、跡地の利活用について、地元自治体や関係機関、県も含めて協議が数回にわたってされております。町の担当者から県に相談が持ちかけられていたり、打ち合わせ的なこともされていたことが読み取れるわけです。問題になっている香港ボアオとの契約に至る過程の中でのメモ書きと、こういう内容であります。
 県は、財団清算後もどのようにかかわっていたのでしょうか。かかわっていた内容によっては、今回の事態について、県としてのしかるべき対応が求められることになるのではないでしょうか。福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 財団清算後の経緯はどのようなものなのか。県はどういう立場でかかわってきたのか。県民の利益を損なわない、過大な負担とならない、そういう方向での解決、また今後の施設の有効利活用が期待されるわけですが、県の今後の対応についてどう考えているのかお尋ねをいたしまして、私の第1問といたします。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、新年度予算と財政健全化法について幾つかの御質問がございましたので、お答え申し上げたいと思います。
 まず財政健全化法の受けとめ、これはどういうことかと、こういうことでございました。
 本年6月に成立いたしました財政健全化法については、財政状況の把握の仕方が多面的になったこと、あるいは財政悪化の早い段階から自主的な財政健全化を促すものとなった点で評価できると考えております。すなわち、財政健全化法では、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率の3つの健全化判断指標を新たに整備し、健全性の判断が多面的になっております。また、財政健全化法では、財政悪化の早期段階で早期健全化団体となり、議会や住民と一体となって財政健全化計画の策定等に取り組むことが義務づけられる等、地方の自己規律による早期健全化を促す制度設計となっております。
 本来、このようなことは、別に法律で決まらなくても、それぞれの自治体でそれぞれがおやりにならなければいけないことだと思っております。和歌山県におきましては、こういう見地から、先に我が県の、このままでいったときの財政見通しを公表しました。これを健全化するために、県議会の皆さんと一緒になってこれから考えていこうという方式でございます。ただし、すべての地方公共団体がこういうことをやらないかんということを決めておくということも評価できることであります。
 次に、市町村への対応でありますけれども、県と市町村は対等の関係であるという地方自治の基本理念を踏まえると、市町村財政に対する県の過度の関与は適切とは言えず、一義的には各市町村の自助努力、自主的な判断にゆだねることが基本と考えております。しかしながら、市町村が財政再生団体等となる場合には県民生活への影響は小さくないと考えられますので、財政健全化法に規定する各指標の状況等を踏まえつつ、関係法令に基づき市町村行財政の適切な運営について一定の助言等を行うことは必要と考えております。
 次に、4つの指標と県財政の姿でありますけれども、財政健全化法は平成20年度決算から全面的に施行される法律でありまして、4つの新しい財政指標の計算方法の大枠は年内に政省令で定められる予定ですけれども、現時点の情報に基づきまして、これは計算基準が示されてる3つの基準について、平成18年度決算について試算してみますと、実質赤字比率、実質公債費比率、連結実質赤字比率の3指標についてはいずれも、12月7日に出ました基準では早期健全化基準までには至っておらんという試算結果が出ております。
 しかしながら、先般お示しした長期財政収支見通しの試算結果によりますと、平成21年度には、御承知のように財政調整基金及び減債基金が枯渇する見通しとなっておりまして、近いうちに実質赤字比率について早期健全化基準、ひいては財政再生基準を超えることもあり得ることになっております。このことは、引き続き国に対して地方税財源の拡充に向けた制度改正を強く働きかけていく必要があると同時に、我々としても早急なる行財政改革を進めるための新しいプランをつくって実行に移していくことの必要性を示しているものと認識しております。
 次に、県財政の問題点と持続可能な財政構造でございます。
 まず、持続可能な財政構造の意味についてでございますけれども、一般論として答えるとすれば、財政健全化法の4指標がいずれも早期健全化基準を超えない水準で保たれ、かつ将来的にも保たれるであろうと合理的に予想されるような財政構造ということになろうかというふうに思います。これを本県の財政構造に当てはめて考えてみますと、先ほど申し上げましたように、長期財政収支見通し、現在発表しているものによれば、近い将来、早期健全化基準を超えることも予想されますので、現在の財政構造は持続可能とは言えないと認識しております。
 すなわち、県財政の問題点として、当面特にクローズアップしないといけないのは実質赤字比率の主要構成部分である一般会計の財政収支でありまして、今後、一般会計の収支不足額を段階的に縮小していくことが不可欠であると考えております。
 次に、新年度予算についてでございます。
 これにつきましては、財政健全化法が全面的に施行されるのはまさに平成20年度決算からでありまして、新年度予算の執行結果が法の適用対象となるということを念頭に置いて新年度予算編成を行う必要があります。
 具体的には、平成19年度当初予算における151億円の財政収支不足額を今後段階的に解消していくという基本方針のもと、平成20年度予算編成における収支不足額の縮減を持続可能な財政構造への転換に向けた一里塚と位置づけまして、県税徴収率の向上とか、あるいは未利用県有財産の処分による歳入確保、それから事務事業の見直しによる歳出削減等、あらゆる手段を総動員して財政の健全化に取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、次の問題といたしまして、後期高齢者医療制度の受けとめ方ということでございます。
 後期高齢者医療制度については、人口減少社会の中で少子高齢化が急速に進みまして、医療費負担が増大していくことが見込まれております。国や地方とともに財政が厳しく、多額の借金を抱えており、医療保険制度を維持していくためには、受益と負担の関係がいかにあるべきかということを問わなきゃいけない、非常に難しい問題であろうかと思います。
 こうした中で、来年度から始まる後期高齢者医療制度は、増大する老人医療費を負担する現役世代と高齢者世代との間で、互助の精神のもとに、負担と給付の関係をわかりやすくするために創設された制度であると認識はしております。新しい制度においても、高齢者の方が必要な医療を適切に受けられるというようにすることが重要でありますので、実施状況を注視しながら、広域連合や市町村に対して助言を行ったり必要な対策を打ってまいりたいと、こういうふうに考えております。
○議長(中村裕一君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 後期高齢者医療制度の中止、撤回または延期を国に求めることについてでございますが、現在、来春の後期高齢者医療制度開始に向け、和歌山県の後期高齢者医療広域連合及び各市町村において精力的に準備が進められているところでございます。
 後期高齢者医療制度は、保険料負担に経過措置を設けるなどさまざまな配慮がなされており、県といたしましても、来年4月の全国の一斉実施に向け、制度の運営開始が適切に行われることが重要であると考え、広域連合及び市町村への助言や県民への啓発を行ってまいりたいと、そのように考えてございます。
 次に、保険料負担の軽減についてでございますが、後期高齢者医療制度の保険料には、国民健康保険制度と同様に、軽減措置、徴収猶予、減免の制度があり、低所得者に配慮された制度となってございます。
 軽減措置は、同一世帯内の被保険者と世帯主の総所得金額により、保険料の均等割額に対し7割、5割、2割の軽減を行うものであります。広域連合が平成18年度の所得に対して行った試算では、被保険者の約40%の方が7割軽減、他の軽減割合と合わせますと約半数の方が軽減対象になる見込みであると伺ってございます。
 県では、制度設計に伴い、新たに保険料軽減分の補てん、高額療養費の負担、財政安定化基金の創設などの財政措置を新年度から講じていく必要があるものと考えてございます。さらに、県といたしましては、今後、生活習慣病の予防の徹底に努めることにより県民の医療費負担の軽減につながる取り組みも進めてまいりたいと、そのように考えてございます。
 次に、65歳以上の高齢障害者への対応についてでございます。
 現行の重度心身障害(児)者医療費助成制度は、若年期から重度障害になられた方は一般的に経済的基盤が脆弱な場合が多いこと、また65歳以上で新たに重度障害になられた方については、現行の老人保健法により医療費の自己負担を1割とする措置や、生活実態に配慮し低所得者に対し自己負担の限度額の措置が講じられていることを考慮した上で、県の厳しい財政状況を踏まえ、県単独医療制度全体の中で重度心身障害児(者)医療費助成制度の存続が何よりも肝要であると、そのような観点から、65歳以上で新たに重度障害になられた方については昨年平成18年8月から対象外としたものであり、御理解を賜りたいと思います。
 なお、65歳以上の重度障害のある方の来年4月以降の保険制度は、議員御指摘のとおり御本人の選択が可能となっておりますが、後期高齢者医療制度に加入した場合、現行の老人保健法と同じく医療費の自己負担は1割で、月ごとに上限額が設けられるなど、その軽減措置が講じられておるところでございます。
 最後に、グリーンピア南紀に関連した3点の御質問に一括してお答え申し上げます。
 財団法人グリーンピア南紀は、昭和60年4月に設立され、昭和61年4月より年金福祉事業団より県を通じて紀南大規模年金保養基地グリーンピア南紀の管理運営を受託してまいりましたが、平成13年12月の国における特殊法人等整理合理化計画により、平成15年3月31日をもってグリーンピア南紀は運営停止され、同年7月には財団法人グリーンピア南紀は解散いたしました。その間、年金福祉事業団が解散し、その業務を引き継いだ年金資金運用基金から県、那智勝浦町及び太地町に用地利用計画について照会があり、両町から利用計画を提出したと認識してございます。
 その後、県が出損する財団法人が運営していた経緯から、跡地が両町に払い下げられるまで年金資金運用基金と両町との連絡調整を行うほか、財団法人の従業員の再就職についての雇用問題連絡調整会議を設立し、雇用対策について対応してまいりました。さらに、財団法人清算後も年金資金運用基金から両町への土地譲渡に伴う事務手続などについて両町に助言を行っております。
 跡地の利活用につきましては、取得した町が計画、実施していくことでありますが、地域の活性化のために有効活用されることを願ってございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 多重債務者対策に係る4点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、対策協議会に多重債務者の声をということでございます。
 和歌山県多重債務者対策協議会の構成員につきましては、他府県の参加状況も参考にいたしながら、機動的な開催運営ができるようにメンバーを選定いたしたところでございます。その構成員は、弁護士会、司法書士会、司法支援センターいわゆる法テラス、国からは財務事務所、そして市町村といたしましては市長会、町村会、県関係では、警察本部、教育委員会、そして商工観光労働部、福祉保健部、そして環境生活部から成っております。この体制で幅広く議論ができる体制となっております。
 御指摘の支援者団体の御意見につきましても十分にお聞きをし、協議会の議論に反映をさせてまいりたいと考えております。
 次に、協議会の今後の活動と市町村での対策協議会づくりについてでございます。
 現在、県内各地域におきまして無料法律相談会を開催しております。その内容等も参考にいたしまして、また協議会の構成員の御意見もお伺いしながら、必要に応じて協議会を開催いたしたいと考えております。
 市町村に対する支援につきましては、この協議会に市長会並びに町村会も構成員として参加をしていただいておりますが、この参加によりまして、市町村が弁護士会や司法書士会あるいは法テラスなどのいわゆる専門機関とのネットワークを活用していただきまして、住民に対する相談対応に寄与することができると考えております。また、市町村職員に対しましては、弁護士、司法書士による多重債務者無料法律相談へのいわゆる取り組みの中で実地研修を実施しているところでございます。今後とも、機会をとらえまして研修を計画していきたいと考えております。
 次に、多重債務者掘り起こしネットワークについてでございます。
 地方自治体は、複数の部署で住民の皆様方との接触機会がございます。そのことによりまして、多重債務者の発見につきましても機能を発揮できるものと考えております。こういう意味から、多重債務者の発見、あるいは相談窓口への誘導などの取り組みを協議するための庁内関係部局を構成員といたしました庁内会議の設置につきましても、現在、検討を行っているところでございます。
 最後に、年金担保融資の審査についてでございます。
 御指摘のとおり、年金担保融資につきましては、現在、法的に認められておりますのは、独立行政法人福祉医療機構の行っている融資のみでございます。
 御質問の趣旨につきましては、協議会の構成メンバーであります財務事務所等も通じまして、国に対して申し入れを行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 多重債務者対策における貸金業者の年金担保まがいの行為の規制についてお答えしたいと存じます。
 貸金業の規制等に関する法律では、貸金業者に年金などの公的給付に係る預金通帳等の保管の制限が課せられ、あわせて、その運用を定めた金融庁のガイドラインでも、預金通帳、証書、印鑑等を預かる行為そのものが禁じられてございます。そのようなことから、県では貸金業者に対し、これら禁止事項に違反することのないように立入検査や研修会を通じて指導を行っているところでございます。
 今後とも、財務事務所や警察本部などの関係機関や、この12月19日に発足予定の新しい業界の自主規制団体である日本貸金業協会などとも連携して、貸金業者に対し法令を遵守するよう積極的に働きかけてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 43番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 答弁いただきまして、再質問、知事と福祉保健部長にさしていただきます。
 知事には、持続可能な財政構造とはどういうものだと考えているのかということで質問いたしまして、一般論として4つの指標の基準の範囲内であればというお話であったわけですが、全国一律その基準でやるわけですから、だったら全国一律その基準以内であれば財政構造は問題ないということになってしまうわけでして、和歌山県としての問題はどこにあるのかということをお聞きしたわけです。
 例えば、実質収支ということを考えてみますと、実質収支で歳出を膨らまそうと思えば、繰り上げ償還をしたり基金に積み立てをすれば歳出額はふえるわけです。そのことによって実質収支が縮小するわけです。しかし、実質単年度収支ということで正確な姿を見ようと思えば、例えば県の一般会計の18年度決算、たしか実質収支40億円の黒字だったと思うんですが、実質単年度収支では90億円、この金額も財政規模にすれば微々たるもんですが、そういうふうに、一定、財政当局の操作によっては、この実質収支というのは膨らませたり小さくしたりすることができるもんなんですよね。
 私は、この際、財政健全化法でも透明にすると。財政の姿をね。しかも、一般会計ではない公営企業や公社や第三セクター、県が出資している法人──議会にも毎年6月議会に経営の報告というのは出されますけども、また決算報告も県報で回されますけども、それらを全部集めて一体県の本当の今の姿はどうなっているのかということを正直に、包み隠さずこの際示すべきだと。そして、議会がそれについて議論できるように、そういう材料を提供すべきではないのかと。
 一般会計については、プログラムをつくるというお話でした。しかし、ほかの会計もあるわけです。例えば、特会や外郭団体で見ても、わかやま森林と緑の公社、141億円という長期債務残高を抱えてるわけですね。あと、土地造成事業も157億とか、また開発公社も加太で265億円の債務保証してるというような問題が幾つかあるわけです。そのことも含めてすべての県の財政の姿を明らかにして、オープンにして、それで議論をしていくということが私はこの際ぜひ必要だと思うんですが、そういった姿勢を持たれるのかどうか。これは知事にお伺いをしたいと思うんです。
 それから、福祉保健部長にグリーンピア南紀について。清算までに至る経過と、清算後、年金基金と関係町との協議、残務整理ですよね、これは行ったと。それから一気に有効な利活用していただけるようにと飛んでるわけなんですが、その間、今問題になっている香港ボアオですか、そこの事業者との契約のかかわりについて、県としてあったのかなかったのかと、このことを私、聞いたわけですね。そのことについてはしかとした答弁がなかったように思いますのでね。
 私は、まあわかりませんけども、そのことについて、メモ書きの中でもその契約に至る過程の中での県とのやりとりらしきものが書かれてあるわけですから、それはどうなのかという質問なんですから、その点をしっかりと答えていただきたいと思います。
 後期高齢者医療制度については、知事は必要な対策とっていくという答弁ありましたので、これはまあまあ実施されるんでしょう。実施されていく中で本当に和歌山県が長寿日本一を目指す、それにふさわしい医療制度として運営できるのかどうか、その点の見きわめと必要な対策を十分にとっていけるように、そういう準備をしていただきたいということを申し上げまして、また多重債務者対策については、これはほんまにのんびりとゆっくりとしてる間はありませんので、県の庁内体制つくって、県民の多くの方がこれによって救われて再び生活の再建を果たして二度と多重債務者に陥らないと、そういう姿勢で、そういう県民を支えていくということでぜひ頑張っていただきたいということを申し上げまして、第2問といたします。
○議長(中村裕一君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、私に追加の御質問のあった点についてでございますけれども、透明にするということは一番大事なことであると思います。一般会計についてもそうでございますが、残りのすべてについてもそうであると思います。
 この間から一般会計について長期見通しを、このままでいくとこうなるということを申し上げました。ああいうことを見ているだけでも気がふさいでくる思いがいたしまして、多分ここにいらっしゃる県議の方々、みんな同じお気持ちではないかと思います。ただ、それを隠しておくよりは全部明らかにして、みんなで考えておくということのほうがはるかに大事だと思ってそうしております。
 公営企業や公社、第三セクター等につきましても同じでございまして、決算報告等で情報開示に努めているところでございます。議員がちゃんと数値を知っておられると、今挙げておられましたというのがその証左であるというふうに考えております。
 そうでございますけれども、財政健全化法に基づき、公営企業会計等を含めて、今後、健全性の判断を多面的に行っていくこともまた必要ではないかと思います。今後も一層の情報開示に努め、また説明責任を果たしてまいりたいと思っております。
○議長(中村裕一君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) グリーンピア南紀の跡地利用計画につきまして、那智勝浦町におきまして事業者を選定し、それをもって議会に諮っていったものと理解してございまして、その過程におきまして県は一切関与してございません。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) この際、申し上げます。
 所定の時間の60分を過ぎておりますので、再々質問をされる場合は簡潔に願います。
  〔「結構です」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 以上で、藤井健太郎君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番冨安民浩君。
  〔冨安民浩君、登壇〕(拍手)
○冨安民浩君 中村議長より質問のお許しをいただきました。まことに感無量であります。通告順に従いまして、今議会最終質問者として6項目にわたりまして端的に質問を始めさしていただきます。
 昨年末の前知事にまつわる不祥事に伴う突然の引責辞任によるいわゆる出直し知事選挙において、県民の厳粛なる審判の結果、仁坂新知事が誕生いたしました。仁坂知事が取り組むべき最初の課題は、前知事の不祥事により失墜した県民の県政への信頼回復に向けての取り組みでありました。県政は県民のために存在し、また機能すべきであり、県民との信頼関係なくして健全なる県政推進はかないませんし、また、その効果は十分発揮できません。まさに「信なくば立たず」であります。
 知事就任直後の果敢なる制度改革に向けての真摯なさまざまな取り組みや知事自身の人柄が県民の理解とするところとなり、最初の大きな知事としての課題である責務は果たされたやに思われますが、昨今の急変する社会経済情勢がもたらすさまざまな県内の地域問題、そうした問題への解決期待、要望が大きく膨らみつつあります。
 仁坂知事は、長年、現在の経済産業省、元の通商産業省の官房の筆頭3課長の一角をも務められ、まさに幹部役人として我が国の経済産業振興やエネルギー問題等々に尽力されてこられました。しかしながら、その任は、大分や浜松にその成功例が見られるテクノポリス構想や、あるいは工業再配置等々の地域振興を見据えての取り組みもあったと思いますが、あくまでもオールジャパンとしての経済産業振興に向けての取り組みだったと思います。
 今、和歌山県知事に就任して丸1年を迎えようとしております。退官前にブルネイ大使として日本外交にも寄与されたと思われますが、あくまでも経済産業を見据えたオールジャパンの経済産業に限定された分野を長年背負ってこられたと思います。一県の知事として本当に間口の広い、奥行きの深い、本当に広範な任を背負った立場とはかなり違ったと思います。
 県民は、知事、あなたが長年培った人脈や体験、あるいは経験を駆使して本県振興に向け大いに御奮闘願えるものと期待をいたしております。1年間の知事としての地方自治の最高責任者の県政を担当した体験を踏まえて、今後3年間、県政推進に向けての決意のほどをお尋ねいたすものであります。
 次に、昨今とみに拡大しつつあるさまざまな格差問題の中で、地方政治に参画する立場で、その是正が地方の健全なる歩みにつながり、ひいては都市部を含めての日本国民の安心と国家の安泰に結びつくと信じて疑わない都市部と地方との財政力を縮めるための極度の税財源偏在是正に向けての見解と取り組みについて知事にお尋ねをいたします。
 戦後、我が国は、国土の均衡ある発展を国づくりの大きな基本方針として、地方財政については、その運営に支障なきよう、制度に基づく補助金とは別に国は特別会計制度を設け、地方に財源配分、すなわち交付税配分措置を続けてまいりました。その制度は、国家のためにも有効に作用し、国土の有効活用も図られ、それぞれの地域の人々の頑張りの中で国づくりが推進され、今日、個人金融資産が1500兆円をも数える世界第2位の経済大国の地位を占めるに至っています。制度がその設置目的どおりに機能した結果であろうとも思います。
 しかしながら、バブル崩壊後の長年にわたる景気低迷による税収不足下の予算編成時における赤字国債発行の増発や、それまでの累積赤字をふやさないためのいわゆるプライマリーバランスの確立論議の中で、大幅な歳出削減策や国、地方における行財政改革指針が示されました。国家財政健全化を見据えた行財政改革を初めとする諸取り組みは時代要請でありますし、さらなる大幅赤字国債の発行は我が国の信用力低下を招き、国の経済の底割れをも招きかねず、許されません。ただ、国の財政健全化に向けての取り組みが、地方へのしわ寄せが過ぎないかという点であります。
 国の財政健全化のため、税源移譲、交付金削減、補助金カット、いわゆる三位一体改革が2004年から3年間で始められましたが、地方交付税の総額はおおむね5兆1000億円削減され、本県においては、税源移譲分を差し引いても、おおむね340億円強の歳入減になっております。類似県も、しかりであります。まさに都市型重視の地方にしわ寄せした地方いじめにつながる改革であり、この是正は絶対図らねばならない、そうしたことを訴えねばならないと思います。
 目下進められておる地方における行財政改革には、そのスピードや内容にも限度や限界があり、財源不足がどうしても生じがちになります。その財源不足を補充するためには、全法人2税の4分の1も偏在する東京の理解が肝要でありますし、東京にはそれを認めねばならぬ今日までのさまざまな経緯があると私は思います。
 そもそも今日の東京は、どうした形態をもって形成されたのかであります。戦後、我が国の歩みを考えるとき、敗戦の廃墟からの復興の過程で、東京の食糧問題に対し、都市の復興を早めることが日本の復興につながり、また経済の進展にもつながるという国民的コンセンサスの中で、統制経済とも言える国の政策誘導の食管制度にも地方は従い、東京に計画安定的に安価で米を中心とした農産物を初めとする食糧を提供し続けてまいりました。
 先般の安倍前総理の突然の辞任に伴い、いわゆる自民党総裁予備選挙におきまして、現福田総理と戦った前麻生太郎外務大臣は、その予備選挙の遊説の福井で、まさに日本農政を守りから攻めへと訴える中で、中国では日本の米を富裕層は1俵8万円で買って食べておるというお話がございました。私は、米生産農家はどうした思いでこれを聞いたんだろうという思いをしたと同時に、この米の──今、過剰でありますが、もし万が一、地方の米生産体制が崩れて輸入に頼るというようなことになれば、日本は8万円の米を買わなきゃいけないんじゃないかなあというようなことを裏返しに思ったわけでありまして、やはり地方が安定的にすべての分野でその運営が続けられる体制が、ひいてはやっぱり日本国民のいわゆる食糧問題を初めとする安全保障につながるんだなという思いもしたわけであります。
 さらにまた、戦後復興途上、加工貿易国家として我が国の主たる貿易相手国はアメリカでありました。それゆえ、効率の観点からも、東京を中心とする太平洋ベルト地帯を最優先して長期間にわたりさまざまなインフラ整備を行ってきましたし、効率のよい経済活動に不可欠な治安維持安定に向けても警察力増強整備も行われてまいりました。国税が優先的に大量投入されてまいりましたし、もし財源不足の場合は、公団、公社を使い、いわゆる財政投融資資金を投入し、整備が進められてきたのであります。財投資金の原資は、申し上げるまでもなく郵便貯金であり、利払いは受けているとはいえ、地方の郵便貯金資金が大量投入されたのは紛れもない事実であります。
 国民のコンセンサス下における国の政策や地方の個人資産、資金の投入のもとで今日の東京の繁栄の礎が構築されたのは確かであり、グローバル化等の進展の中で本社機能が自動的に東京に集中して繁栄する、その結果、生み出される豊富な果実、すなわち税財源は、財源不足がちな地方に配分されてしかるべきであると考えるものであります。
 以上、東京に偏在する法人2税の税財源を財源不足の地方に配分すべきとする私見を申し述べてまいりました。もちろん東京には、日本の政治経済の中心都市として、また世界の東京としての特殊事情がもたらす特殊財政事情も認めるわけではありますが、本当に極度に東京に偏在する法人2税は、国のためにもその是正を図るべきであります。知事の見解とその取り組みについてお尋ねをいたします。
 地方財源を語る中で、私はこのこともひとつ一考を要するんじゃないかということで申し述べたいと思います。
 それは、雇用対策と税財源創出対策として、今まさに地方は企業誘致──まさに競り市的構想で企業誘致競争が盛んであります。三重県における大型液晶メーカー200億。大阪府の650億円の巨費をかけて大企業群を誘致する。果たしていいんだろうか。例えば、和歌山県だけがこの制度を利用してやるんであれば効果があると思いますが、大企業の企業立地の一番要素になるのは何かと考えれば、私はもう、企業はこの制度があれば恩典にあずかるのは当然であると思いますから、有利にこの制度を利用するように、競り市的に、こっちとこっちと候補にかけて、どっちがお金をたくさん出すか、まさにそういう構図が私はできておるんじゃないかという懸念をいたすわけであります。
 私は、知事会等でこういう制度はもう廃止しようという訴えがあってしかるべきでありますし、そしてさらにまた国に対しては、小泉内閣において廃止されました都市部やあるいは近畿圏の中心部に工業、工場等を建設しないことを制限しておりました工業、工場等の制限法をまた改めて続けてもらうとか、やる方法はいろいろあると思うんです。ぜひそうしたことも一考を要すということを、答弁は求めませんが、申し述べておきます。
 次に、公共調達制度についてお尋ねをいたします。
 正当なる競争の中で仕事を受注して、それが労働の対価として、技術力の対価として競争の中でいささかなりとも利益が出る制度であるべきだ、そんな観点からお尋ねをいたします。
 仁坂知事は、知事としての当然の責務として、公共工事発注に伴う不祥事により県行政に対する県民の信頼が著しく失墜したことを受け、県民の信頼を取り戻すべく公共調達のあるべき制度構築を目指し、就任直後の本年1月、有識者6名から構成される県公共調達検討委員会を立ち上げられました。
 委員会は、設立目的を果たすべく9回にわたって開催され、さまざまな観点から検証、議論が展開され、5月10日に検討報告書が提出されました。報告書は広範にわたっておりますが、煮詰めるところ、当然のこととはいえ、談合の徹底排除、不良不適格業者の排除であります。
 県民生活の基盤となる社会資本の整備を目的とする公共工事が、雇用を含め地域社会に果たしてきた役割を認め、なおかつ今後の期待も込め、工事代金は工事の品質の安全性の確保が担保されるバランスのとれた工事代金のあり方が指摘されており、かつ地域にとっても最大の利益につながるさまざまな配慮を要すべき必要性も盛り込まれています。
 こうした提言に沿って公共調達制度設計がなされるべきであり、ややもすれば、安ければ安いほうがよいという風潮が事件発生以来広がっておりますが、将来に向かって間違いのないあるべき制度構築を築くべきであると思います。
 本県では、県土整備部発注工事において年々落札率が低下傾向にあり、平成16年度平均落札率91.4%、17年度は90.8%、18年度89.0%となっており、これは条件つき一般競争入札の範囲の拡大、指名業者等の拡大等、県が行ってきた入札制度改革の効果とも考えられます。
 しかし一方で、公共投資が減少する中で建設業界においては供給過剰構造が存在し、競争が激化する中で、採算性を度外視した低価格入札による熾烈な競争が行われております。
 最近、指名競争入札において多くの業者が最低制限価格と同じ価格で入札し、くじにより落札者が決定する事例や、条件つき一般競争入札において低入札調査基準価格を下回る入札が行われる事例が目立ってきていると聞いております。
 このように、採算性を度外視した低価格入札が横行すると、建設業者が地域の雇用を含めた地域経済に果たしてきた役割を果たすこともかないませんし、下請業者が泣かされたり、粗雑工事が行われることにより工事の品質が確保できなくなります。このような状況では健全な建設業界の発展は望めないと思いますし、提言の指針に反すると思います。
 本年6月に発表された公共調達制度改革では、建設業者を適正に評価し、来年6月から条件つき一般競争入札を全面導入することとされておりますが、条件つき一般競争入札を導入することにより、さらにそのような状況がふえることが懸念されます。私は、このように競争激化による地域経済の混乱を招くおそれのある採算性を度外視した低価格入札に対して歯どめをかけるための何らかの制度が、対策が必要と考えます。
 そこで、県土整備部長にお尋ねをいたします。
 このように、採算を度外視した入札に対しどのような対策を考えておられるのか、答弁を求めます。
 次に監察査察制度について、その存在は是としつつも、その運用については一考をという立場で知事の見解をお尋ねいたします。
 県組織は、その基盤は税財源であり、その存在目的は、県民の安全・安心の創造を初めとする県民の幸福に寄与すべきために県民の合意のもと存在する組織体であります。申し上げるまでもございません。組織を構成する県職員が、コンプライアンス(遵守)に努め、業務、任務の遂行に精励すべきも当然であります。
 昨年末の忌まわしい不祥事により、失われた県民の県政への信頼回復に向けて県職員の規律を高めるべく設置された監察査察制度については是とするところでありますが、今日までの運用状況の報告を受けるとき、職員の個性を画一化させないか、また意欲を減退させはしないかという懸念が生じます。組織は、一定のレンジ内のさまざまな個性とすぐれた能力の結合体が一番よく機能すると言われております。職員が公務員としてそのあるべき姿を求めてチェックし合うのも肝要でありますが、信なくば、まさになせずでもあります。
 今日までの運用状況に照らし合わせ、その制度は是としつつも、不正行為等通報制度について、匿名による通報を受け付けるような運用形態については、その一考をという立場で知事の見解をお尋ねいたします。
 次に、野生鳥獣被害対策についてお尋ねをいたします。
 イノシシ、シカ、猿、タヌキ、アライグマ、カワウ、ヒヨドリ等々、まるでミニ動物園並みであります。こうした多種なる野生鳥獣が県内各地に生息、はんらんし、農林水産業者に多大な被害を及ぼし、時としては生命権をも奪われかねないほどの事態であります。被害農家や被害地域の強い要請を受け、こうした事態改善に向け国の補助制度の活用や県単制度を設け、ここ10年で20項目余の対策を県において講じられてまいりましたし、新年度から野生鳥獣被害対策の主管を農林水産部に移管されるとのこと。被害の観点からのそのきめ細かい取り組みに向けての県の姿勢がうかがい取れ、御精励ぶりを評価するところであります。
 そこで、担当部長にお尋ねをいたします。今年度から実施される運びとなりましたいわゆる鳥獣被害対策支援事業に、そのさらなる中身の厚み、いわゆる補助率のかさ上げをという観点からお願い申し上げたいと思います。
 御承知のとおり、中山間における農業経営は、効率性はもとより、本当に高齢化が伴い、大変な状況であります。そうした中で、防衛の観点から、いわゆるわな猟免許を取得せざるを得ないというような状況に陥っておるわけであります。いわゆる防衛で、まさに防衛一筋であります。そうしたものに対して、県では、ことしから市町村と連携してこの取得経費の2分の1を援助していただくことになっておりますが、さらなる上積みと、そして免許更新時におきましても、ちょっとその支援をできないもんだろうか、せめても過疎法の適用区域ぐらいはそうできないものだろうかということをお願いして、質問にいたしたいと思います。
 最後に、道路財源確保に向けての県における暫定税率維持に対する取り組みについてであります。
 国の10年間を見据えた道路中期計画が発表されました。知事が高速道路はナショナルミニマムだと言われておりますが、そのナショナルミニマムとも言うべき本県の一周する高速道路整備がようやくそこに盛り込まれたわけであります。まさに今日までの長きにわたる多くの皆様方の支援のたまものでもありますし、二階先生を初めとする県選出の国会議員の先生方の頑張りに、心から感謝を申し上げる次第であります。
 こうした高速道路の必要性はもとより、本当に地方道にあっては生活・産業道路でもありますし、山村地域におきましては道路はまさに地域存在の命綱でもあります。もう道路整備に向けての必要性というのは、県内それぞれの地域で悲痛な叫びがあります。
 しかし、要は財源であります。そうした財源を何とか確保しよう、確保してほしいということで、県議会ではたびたびその財源確保を求める意見書を採択し続けてまいりました。9月議会におきましては、この暫定税率の維持、続行も視野に入れた中でのこの意見書を、私は採択されたと思います。まさに道路財源の確保は、党、会派を乗り越えての県民党の立場でお互い議会が取り組むべき問題であると思います。
 地方の声を受けて政府・与党は、衆議院の再議決も視野に入れた決意を固めていただいております。しかしながら、油の急騰、さらにマスコミ等による、地方の道路はもう無駄だとか必要ないという報道がどんどん──これから特措法の問題が解決すると、これがテレビ番組でどんどん流れてきて、我々にとってはもうアゲンストな流れになってくると思います。ぜひ、手をこまねいておることなく、この3月末に向けまして、県は一体となって、議会とも一体となって、引き続いて間髪を入れずに継続的な行動を必要とすると思いますが、県の取り組み、知事の考え方をもう一度確認する意味でお尋ねを申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの冨安民浩君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 第1に、知事としての県政に向ける決意ということでございますが、30数年ぶりの故郷は、相対的に経済発展から取り残され、人の心も少し沈んでいたという感が否めないスタートでございました。ただ、次第に本県の持つポテンシャルの奥深さを再発見する日々となっていきました。そのポテンシャルとは、全国に誇れる農水産物であり、観光資源であり、歴史・文化、さらには世界に通用するすぐれた技術、そして、こうしたものに裏打ちされた人々の豊かな心であります。しかしながら、豊富な産物や人材も十分生かされていなかったり、そのよさに気づいていないケースも見受けられました。また、御指摘のように、県政は経済に限らず大変幅広いものがあります。福祉や教育の面で現状に心を痛めたり、何とかしようと我が身を励ましたところもございます。
 こうした潜在的にすぐれた素材をできる限り伸ばし、効果を上げる方策を、また各界の意見を十分聞きながら、制度疲労はないか、住民の視線やニーズに的確であるかどうかなどを検証しながら改善すべき打開策を、私のこれまでの経験、知識、人脈を総動員して打てる手は打ち、まける種はまいてきた、そうした1年であったと自分では思います。余りにも多くの項目に手をつけておりますので、県庁の諸君もついてくるのが大変であったと思いますけれども、よくついてきてくれるというふうに考えております。
 私がこの1年間に手がけたラインナップは、年度末には出そろう予定でございます。まいた種をしっかり育て、一歩一歩実現していくのがこれからであります。半年や1年で育つ種もありますれば、医師確保のように8年後になる場合もあります。常に新しい種を見つけてはまき続けていくつもりですし、まけなくなれば去るべきだと決めております。
 新政策の重点分野に掲げている6分野20項目がこれからの具体的な課題であります。これらの制度化や実現化に粘り強く努力してまいりますが、県民皆様の営みや御尽力により成果が発揮されるものも数多くあり、何よりも関係の方々と対話を重ね、一緒に実現してまいりたいと念願しているところでございます。
 県民の皆さんには、こうした重点を盛り込んだ新長期総合計画で10年後の和歌山の姿をしっかりお示しをし、夢と希望が持てるような、また生きる上で何らかの指針になれるような、そういう内容にしたいと考えております。
 この長計をもとに、本県の持てる底力を最大限に発揮できるよう邁進してまいる決意でございます。議員各位におかれましては、これからも御助言、御協力、よろしくお願い申し上げます。
 次に、極度な税財源偏在についての見解及びこれへの取り組みということでございます。
 税財源の偏在について、特に冨安議員がおっしゃったように東京の一極集中の様相とその背景についての御見解につきましては、私も全く同感であります。とりわけ、例えば戦後、中央官庁がやってきたことといいますと、どうも東京に資源を集中した。これは、戦前と比べると、かなり違いが見られます。私もその一員ではありましたけれども、自分自身が地域開発に携わってきた少しの経験のときには、できるだけ、今のような流れにさお差して地域経済が発展できるようにと努力してきたつもりであります。
 こういうような税財源の偏在についてはさまざまな要因があるとは思いますけれども、現在の地域間の経済力格差が生じ、その結果として税財源の偏在が生じているということだと思っております。さらに、近年の大都市圏を中心とした景気回復に伴う法人2税等の増収が地域間の税収格差を顕在化させる一方で、財政力格差を調整する上でその機能をずっと果たしてきた、果たすべき地方交付税が大幅に削減されたことにより、都市と地方の格差が一層拡大したというふうに考えております。このようなことから、地方税の中で最も偏在度の高い法人2税の偏在是正は避けて通れないという状況になっていると思っております。
 現在、法人事業税のうちの何割かを地方間の調整財源とする方向で議論が進められているというふうに理解しておりますけれども、私としては、本県を初めとした地方団体が必要な住民サービスすら支障を来す可能性があるほど困窮している状況を十分御理解いただいた上で、国においてしっかりと議論をしていただき、本県のような地方圏の地方団体の歳入総額が実質的にふえるような制度をぜひ構築していただきたいと、そんなふうに願っているところでございます。
 また、中長期的に持続可能な財政運営ができ、地域住民に果たすべき役割と責任に見合った地方固有の財源を安定的に確保できるということが大事でありますから、やはり偏在の少ない地方税体系を構築していかなけりゃいけないということも、また事実であるというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、本県の財源が今まで以上に何とか総額としてふえるよう、議員各位の御協力を得ながら国に対して引き続き要望してまいりたいと思っております。
 次に、不正行為等通報制度についてでございます。
 これについては、県政史上未曾有の不祥事が行われまして、失われた県政の信頼を取り戻し、本県の名誉と県民の誇りを回復するため、再発防止策の1つとして4月1日からスタートさした制度でございます。
 冨安議員から、県庁職員の画一化、個性を減退させないかというお話がございました。このことが事実であるとすれば、県庁の力をそぐわけでございますので、大変な問題でございます。御懸念は大変ごもっともでございますけれども、私は、現にそこに疑いがあるというときに、みずから疑いを晴らすという努力をしながらやっていくと。それによって県民に信頼され、県民にサポートされて、それによって信任を得て頑張るんだということが、私は大事ではないかと思っているんです。
 したがって、これだけの制度をつくっておけば、もうもはやだれが登場してもそんなことはあり得ない。そういうことをわかっていただければ、この上で、何も個性を画一化するようなことに目的があるわけではありませんので、みんながそれによって県民の方々と積極的につき合って、それで頑張っていこうと、そんなふうに実は職員に申しているところでございまして、今後の運用をぜひ御期待いただきたいと、そんなふうに思っております。
 次に、匿名による通報でございます。
 これにつきましては、この制度自身が、県の業務等における不正行為の事実について通報があった場合、監察査察監が調査の必要性を十分検討した上で、通報者を初め関係者の秘密保持等に配慮しながら処理するものであるわけでありますので、もとよりそういうことが制度的にちゃんとビルトインされておりますから、堂々と名前を名乗って、それで文句があったら言うというのが男らしいあるいは女らしいやり方ではないかと私は思っております。
 したがって、それについて、例えば匿名による通報を、そう重んじるものではありませんが、しかしながら、それはだめよというところまで、またかたく考えなくてもいいかなというぐらいの感じで考えております。
 匿名によってもたらされた情報は、そのまま発表したり、不名誉になるような形でだれかの、真実をねじ曲げて不名誉になるような形でこれを明るみに出すというようなことは絶対にしてはいけないというふうにも思っておりますので、実はああいう制度をつくったわけでございます。それを外に出すんではなくて、すぐ発表するんではなくて、ちゃんと調べてもらってから真実を見きわめていくということをやっていくというのが監察査察制度の真髄でございます。
 したがって、堂々と議論してくださいということを申し上げながら、今後とも御懸念の形にならないように配慮しながら、私も、それから監察査察監にも申しまして運用をやっていきたいと、こんなふうに思っております。
 続きまして、道路財源について、特に暫定税率についてでございます。
 これについては、今後の地方における道路整備が立ち行かなくなるだけではなくて、県、市町村の財政に重大な影響を与えかねない死活的な問題であるということは、この議会でも何度も申し上げたとおりであります。12月7日の道路特定財源の見直しについての政府・与党合意では、ようやく私どもの意見が入れられて暫定税率等の維持が決定されましたが、現在の国会の状況を見る限り、なかなか予断ができないような気もいたします。
 ガソリン代が下がるからいいじゃないか、こういうことによって何百円、何千円、例えば月に下がると。しかし、その人の一生を考えると、その人の将来がどんどん可能性が狭められる、それからその子孫が働けなくなっていく、そういうふうな状況に追い込むことは、私はいけないと思っております。
 また、暫定税率を廃止しても必要な道路はつくるからいいじゃないかというふうにおっしゃる向きもありますけれども、ならば、その財源はどうするんであろうか。同じぐらいの道路をつくるということであれば、そういう期待を持たせるのであれば、その財源はどうするんだろうか。消費税でも上げようと言うのか。そんなことをだれもおっしゃらないで皆さんは議論されるわけであります。そこまで保障していただかないと、地方の気持ちの優しい方を欺くことになるのではないかな。そんなふうに思います。
 こういう背景のもと、県の取り組みといたしましては、11月14日の政府主催の全国知事会や、本県と大分県が中心となって、高速道路がまだつながっていない13県合同の要望活動などを行ってまいりました。さらに、11月22日の自由民主党の政務調査会道路特定財源見直しに関するプロジェクトチームの会合など、これまでもお呼びがかかったり、機会のあるごとに与野党を問わず暫定税率の維持と地方道路整備臨時交付金制度の維持・拡充を訴えてきたところであります。また、県内市町村においても、11月6日には市長会、町村会が合同で要望活動を行っていただきまして、11月29日の道路整備の促進を求める全国大会においては、県内全市町村長が暫定税率の延長等に関する要望書に署名を行うなど、一丸となった取り組みを展開しているところでございます。
 暫定税率等の維持については、本県にとっては本当に死活問題であるにもかかわらず、新聞などのマスコミの論調では、いまだ国民全体に理解を得ている状況とは言えず、引き続き広く県民、国民に訴えてまいりたいと思っております。
 さらに、年度内に関係法案が成立するよう、県内での決起大会の開催や、あるいは国、関係機関への要望活動を通じ、与野党を問わず国政に携わるすべての方々の御理解が得られるよう、今後も県、市町村一丸となって取り組んでいきたいと考えておりますので、議員各位の御理解と御協力をお願いしたいと思います。
 中央における政争は別といたしまして、県内においては、国政における与野党の支持状況はともかくといたしまして、県民を長い目で見て、欺くような、地方を見捨てるような考え方にはぜひ異論を唱えていただきますよう、皆さんにお願いを申し上げたいと思っております。
○議長(中村裕一君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 低価格入札への対応についてでございますが、従来から、応札時に低入札価格調査実施要領等に基づきまして調査を行うとともに、工事の品質確保を図るために重点監督の実施や施工体制についての立入調査の強化を行っているところですが、今回の新しい入札制度改革の中で、ダンピング対策として、最低制限価格及び低入札調査基準価格を事後に公表することとして、単純なくじによる落札者の決定を防止して受注者の積算能力の向上をも図ることといたしております。
 あわせまして、価格と品質、技術を含めました総合的な評価による落札者を決定する総合評価落札方式につきましても、積極的に導入していくこととしております。さらに、粗雑工事や安全対策の欠如による事故などを起こした場合には厳しい評価をするなど、不適切な行為に対する措置を導入したところでございます。こうしたさまざまな取り組みを、公共工事の適正な実施に努めてまいりたいと考えております。
 今後とも皆様の御意見をちょうだいしながら、さらにすぐれた公共調達制度の構築に取り組んでまいりたいと思います。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 有害鳥獣対策についての御質問にお答えを申し上げます。
 増大する農林水産業への鳥獣被害に対しまして、県といたしましても、これまでさまざまな対策を実施してまいりました。特に今年度は、自民党県議団有害鳥獣対策プロジェクトチームからの御提言、あるいは県民の皆様からの御要望のありましたイノシシの狩猟期間の延長、あるいはくくりわなの規制解除につきましては、先般実施をいたしたところでございます。
 現在、イノシシと同様、その被害が増加をしておりますシカの生息調査を行っておりまして、今後、皆様方の御意見を伺いながら、シカの狩猟期間の延長についても検討してまいりたいと考えております。
 議員のお話にもございましたが、自分の田畑は自分で守るという考えから狩猟免許の取得を推奨いたしまして、狩猟者をふやすことにより農林水産業被害の防止につなげたいと考えております。
 このような観点から、今年度から、自己防衛のためのわな猟免許を取得する農家に対しまして新たに補助制度を行っておりますが、議員御提言の趣旨を踏まえまして、さらなる支援策がどのような方法で可能であるのか、現在国において議論されております特別措置法の動向も見据えながら検討してまいりたいと考えております。今日における鳥獣被害の深刻さをしっかりと受けとめまして、その対策の推進により一層取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 以上で、冨安民浩君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 次に日程第4、請願付託の件について報告いたします。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、御了承願います。
 お諮りいたします。12月14日及び17日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 御異議なしと認めます。よって、12月14日及び17日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、12月18日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時51分散会

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