平成19年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成19年12月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
 平成19年12月12日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第153号から議案第177号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第153号から議案第177号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(46人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 川口文章
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 16番 下川俊樹
 17番 岸本 健
 18番 山下大輔
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 角田秀樹
 28番 江上柳助
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 服部 一
 34番 片桐章浩
 35番 原 日出夫
 36番 藤本眞利子
 37番 長坂隆司
 38番 玉置公良
 39番 小川 武
 40番 冨安民浩
 41番 奥村規子
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        原 邦彰
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      杉本雅嗣
 総務部長       小濱孝夫
 企画部長       森 崇
 環境生活部長     楠本 隆
 福祉保健部長     井畑文男
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      小倉正義
 教育委員会委員長   樫畑直尚
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員    高垣博明
 警察本部長      鶴谷明憲
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     垣平高男
 選挙管理委員会委員長 山本恒男
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       山本庄作
 次長         植野博文
 議事課長       薮上育男
 議事課副課長     土井敏弘
 議事班長       吉田政弘
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      石垣悦二
 議事課主査      瀧川泰治
 総務課長       下出喜久雄
 調査課長       佐本 明
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  午前10時0分開議
○議長(中村裕一君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第153号から議案第177号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 3番前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕(拍手)
○前芝雅嗣君 おはようございます。一般質問も3日目でございます。そろそろお疲れも出てくるところでございますが、何とぞ御清聴のほど、よろしくお願い申し上げます。
 さて、私の住んでおります串本町を中心とした紀南地方は、地場産業と言われております公共事業はだめ、一次産業もだめ、観光に少し光も見えてまいりましたが、経済は冷え切っています。道路に至っては、近畿自動車道紀勢線のすさみ─熊野間が位置づけられましたが、いつできるやら、夢のまた夢でございます。また、すさみ町から那智勝浦町までの約50キロメートルは、国道42号線がストップすれば迂回路もございません。
 本年10月1日現在の本県の市町村の人口増減を見てみますと、私の選挙区では、人口減少の著しい市町村ベスト4に古座川町、串本町と2町も入っております。限界集落どころか限界町と言わなければならないような状況であります。県土の均衡なる発展のためにも、どうか紀南地方に救いの手を差し伸べていただけますよう、よろしくお願いいたします。
 このたびの一般質問に対しましても、紀南地方の住民が希望を持てるような温かい御答弁をお願い申し上げまして、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 まず初めに、トルコ共和国との交流についてお伺いいたします。
 私の住んでいる串本町では、トルコの軍艦が串本沖合で沈没し、600名近くの方が命を落とすという悲しい出来事がありました。このときの地元民の救護がきっかけで、串本とトルコとの長期交流が始まりました。串本の姉妹都市であるトルコのメルシン市には、串本町樫野に建てられている慰霊碑と同じ慰霊碑が建てられ、串本通りと名づけられた通りもあるほど、串本とトルコは特別な関係にあります。
 皆様も御認識と思いますが、その出来事について少し紹介させていただきます。
 1890年(明治23年)9月16日、トルコ皇帝ハミル2世が日本に派遣した特使一行を乗せたエルトゥールル号が、帰路、暴風雨に遭い、串本大島の沖合で岩礁に衝突し、遭難するという事故が起きた。この事故で特使を含む587名は、死亡したが、死を免れた69名は地元民の救護により一命を取りとめた。このとき、村人たちは、台風のため漁ができなく、自分たちの食べるものさえなくなってしまうという状況にあったにもかかわらず、非常時のため最後に残されていた鶏までも振る舞い、介護しました。そして、遭難者の遺体を引き上げ、丁重に葬ったのです。
 この話は、和歌山県知事から明治天皇に伝えられ、その後、助けられた人たちは軍艦2隻でトルコに送り届けられました。このことは、当時、日本じゅうに大きな衝撃を与えたのです。
 時代は下って、イラン・イラク戦争が始まりました。1985年3月17日、イラクのサダム・フセインが、今から40時間後にイランの上空を飛ぶ飛行機を撃ち落とすということを世界に向けて発信しました。イランに住んでいた日本人は慌ててテヘラン空港に向かったが、どの飛行機も満席で乗ることができませんでした。世界各国は自国民の救出をするために救援機を出しましたが、日本政府は素早い決定ができず、空港にいた日本人はパニックに陥ったのです。そんな中、1機のトルコ航空の飛行機が到着しました。トルコ航空の飛行機は、日本人216人全員を乗せて成田に向かって飛び立ったのです。タイムリミットの1時間15分前でした。
 なぜトルコ航空機が来てくれたのか、日本政府もマスコミも知りませんでした。このとき、元駐日トルコ大使のネジアティ・ウトカン氏は次のように語られました。「エルトゥールル号の事故に際して日本人がしてくださった献身的な救助活動を、今もトルコの人たちは忘れていません。私も、小学校のころ歴史の教科書で学びました。トルコでは子供たちでさえエルトゥールル号のことを知っております。今の日本人が知らないだけです。それで、テヘランで困っている日本人を助けようとトルコ航空機が飛んだのです」。
 このことは3年ぐらい前にテレビでも放送され、大変反響を呼びましたが、そのときに助かった216名の方々、どの会社も、まただれ1人として串本町に何の連絡もございませんでした。大変残念なことだと思います。
 私は、先般、この方々を串本に招待し、交流を持ちたいと考え、本県の東京事務所に調査をお願いしましたが、個人情報保護法等もあり、残念な結果となりました。この件は無理だといたしましても、このすばらしい串本とトルコの関係をより一層充実したものにしていただきたい。
 正直に申し上げまして、トルコという国と串本という町では、財政も含め、これ以上の発展的関係は難しいと感じるところであります。どうか、県におきまして、串本町と協議の上、財政も含め積極的にトルコとの友好に加わっていただき、トルコと和歌山県としてもすばらしいよりよい関係を構築していただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 続きまして、知事のトップセールスについてお伺いいたします。
 我が県におきましては、観光立県を宣言し、和歌山大学の観光学部の設立も部長の就任も決まり大変喜ばしく、前途洋々に見えますが、実情はどうでしょうか。この定例会での知事説明で、観光客、入り込み客数は昨年まで3年連続して3000万人台を確保し、本年度につきましても堅調に推移しておりますとの説明がございました。宿泊者数も前年比で少しではありますが伸びも示し、一定の評価はできますが、一昨年と比べますと総数、日帰り客、宿泊客とも、ともに減少しております。
 雑誌「週刊ダイヤモンド」による最も満足した観光地ランキングでは、白浜が31位に入っております。最もがっかりした観光地ランキングでは、同じく白浜が13位に入っております。一方、最も満足した温泉地ランキングでは、白浜温泉は13位に、勝浦温泉は24位に入っております。最もがっかりした温泉地ランキングでは、30位までに両温泉とも入っておりません。また、同誌誌内においての都道府県の温泉、スキー場、名所旧跡から世界遺産、観光の目的となる観光資源、宿泊施設の規模等、観光インフラとも呼ぶべき観光産業の規模をあらわす項目等を集計対象とした47都道府県観光力ランキングでは、和歌山県は富山県と同位の31位でした。
 そして、この7月に国土交通省から発表されました、従業員10人以上のホテル、旅館などを対象とした初の全国調査である宿泊旅行統計によりますと、平成19年1月1日から3月31日までの調査期間で、和歌山県は31位でした。ちなみに、京都府は12位、奈良県は最下位です。宿泊施設の稼働率を見てみますと、和歌山県は33%、京都府は47%、奈良県は30%を切っておりました。
 この調査結果に、「読売新聞」の経済部長の上野氏は、「この関西の意外な不振の理由は一言で片づけられない。ただ、日本の世界遺産14件のうち5件が関西に集中しております。その中でも、奈良県に3件といった恵まれた環境を集客に十分生かせていないことだけは確かだ。時には関西もなりふり構わぬPRをしてみてはどうか。状況はそれほど厳しい」と論じております。
 先ほどの「週刊ダイヤモンド」のアンケートによりますと、1週間ぐらいのまとまった休みがとれたら国内旅行と海外旅行、どちらに行きたいかという問いに、62%が国内と回答しております。アンケート結果だけで判断するわけにはいきませんが、これらの結果を見て、多少なりとも和歌山県が観光振興に対してどう取り組んでいくのか見えてくるのではないでしょうか。国内外も含めた観光に限ってのトップセールスと観光に対する意気込みを知事にお聞かせ願います。
 続きまして、農家・漁家ホームステイについてお伺いします。
 この定例会の知事説明にもありましたが、去る10月16日に、本県初となる漁家ホームステイによる修学旅行受け入れを串本において実現させることができ、大変うれしく思っております。受け入れた家族の皆様も、生徒との交流で大変楽しい有意義な交流だったと喜んでおりました。そして、参加された生徒やその保護者の方々からもお礼のお手紙が寄せられ、私も拝見しましたが、それは大変喜んでいて、楽しいものだったと、今度は親の私も一緒に訪問したいというようなことがお礼とともに書かれてありました。サービスや料理の均一等々の課題もあろうかとは思いますが、まずは成功だったと思います。来年はもっと多くの修学旅行生が紀南地方を訪れると聞いておりますが、きっと皆さん満足して帰っていただけると思っております。
 今回の漁家ホームステイは、串本町教育旅行誘致協議会が中心となり、頑張っていただきました。白浜にも同様の組織ができました。勝浦にも、恐らくできるでしょう。紀北にも、紀の川市、JA紀の里を中心にした農家ホームステイが受け入れを希望しているそうです。
 このように、ほんまもん体験の修学旅行は年々増加していくと予想され、観光振興はもちろん、第一次産業の活性化になると大変期待していますが、今回の修学旅行の受け入れを行ってみて、今後解決していかなければならない課題も浮かび上がってきたものと思います。
 そこで、今後解決していかなければならない課題とその対応策を商工観光労働部長にお伺いいたします。
 続きまして、小型漁船緊急通報システムについてお伺いいたします。
 現在の漁協の皆様の防災対策は、各漁協の漁業無線と携帯電話であります。ほとんどの漁協では、漁業無線は24時間稼働していないのが現状です。また、携帯電話は送信電波に限界があります。そこで、漁業者の皆様方の海上の安全対策として、小型漁業緊急通報システムの導入はいかがなものでしょうか。長崎県で導入されているそうですが、海中に転落した場合は自動的に船のエンジンが停止したり、体のぐあいが悪いときはボタンを押すだけで信号が発信され場所がわかる等、大変すぐれていると聞いております。
 現在、漁業者の高齢化が進む中、1人で漁に出る方もたくさんおられます。また、先ほど質問いたしましたように、漁家ホームステイの体験においても、船上の生徒の安全の確保は絶対であります。財政上の問題もあるでしょうが、まず勝浦の基地局から紀南一帯だけでも試験的に行ってはどうでしょうか。農林水産部長にお伺いいたします。
 続きまして、清流古座川についてお伺いいたします。
 私の知人で環境問題等に一生懸命取り組んでいる千葉県の方が、「古座川は日本の清流四万十川よりきれいだね」と言っておりました。本当に古座川はきれいです。清流の証明でもあるオオサンショウウオがたくさん生息し、見るだけでも必ず心も洗われ、いやされます。それほどきれいな川です。
 しかし、それはダムより上流のことであります。ダムより下流が汚いと言ってるのではありません。しかし、以前よりは汚れてきていることも事実であります。それをいち早く知った地元古座川町の皆様が、このままでは大変なことになってしまうと清流古座川を取り戻す会を結成され、いろんな活動を行ってまいりました。
 古座川町の宝でもあるのはもちろんのこと、和歌山県、いや日本の宝でもあります古座川を守るために、地域住民だけでなく、古座川町も本県も参加し、古座川流域協議会を立ち上げ、行動していただいておりますが、どのような活動をされているのか、県土整備部長に御答弁をお願いいたします。
 最後に、振興局のコンペ事業についてお伺いいたします。
 平成15年より始まったこの事業を拝見しますと、本当にいろいろな事業が行われており、大変楽しく見させていただきました。その中で、ことしの東牟婁振興局の那智湾へのサーフィンリーフの形成は諸事情で延期になったのは、まことに残念に思います。しかし、西牟婁振興局のおやじバンドの事業は楽しそうで、地域の活性化はもちろん、観光の振興にもなり、どのように大きく成長していくのか大変楽しみであります。「日経新聞」主催のおやじバンドコンテストもあったようですが、「日経新聞」に負けないような大会になることを心から願っております。
 振興局コンペの事業の意義とおやじバンドについて、知事室長に御答弁をお願いいたします。
 以上で、私の1回目の一般質問を終わらしていただきます。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの前芝雅嗣君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、トルコ共和国との交流について御答弁申し上げます。
 前芝議員御紹介のとおり、トルコと串本町の友好関係につきましては、本当にすばらしい、緊密な関係が築かれていると実感しております。トルコ共和国政府並びに国民の皆様方の串本町に対する敬意と感謝の思いの深さは本当に格別なものがあると思いますし、また、串本町が町民を挙げて主体的な交流活動を長年にわたり営々と続けられたということには、心から敬意を表する次第であります。
 私も、去る10月、三笠宮殿下がおつくりになった東京三鷹にあります中近東文化センターでのエルトゥールル号展のオープニングに出させていただきました。そのときに実感しましたのは、串本町長がお見えでございましたけれども、トルコの方々がいかに串本ということを意識して、それで感謝をし敬意を表しているかということを実感いたしました。
 和歌山県といたしましては、現在も串本町、駐日トルコ大使館との情報の共有や連携に努めているところでございますけれども、今後、こうした市町村、大使館、民間団体との連携をさらに強化いたしまして、県民の皆様の交流活動の促進、支援に努めてまいりたいと考えております。
 次に観光の振興について、特に知事のトップセールスということでございました。
 議員のお話にありましたとおり、本県には、世界遺産に登録されている高野・熊野を初め、魅力あふれる観光資源が物すごくたくさんあるというふうに思っておりますが、それにもかかわらず、まだまだ十分誘客に結びついていないものと私は感じております。
 例えば、東京で言いますと、南紀白浜空港の存在を知らない人がいっぱいいる、それから、我が地元関西でも、全部ではありませんが、パンダが白浜に6匹もいるということを知らない人もたくさんいるということを私は発見しております。このため、本年7月に策定した観光振興アクションプログラムにおいて、和歌山の魅力を国の内外に向けて売り出すことを最重要課題として取り上げるなど、懸命の取り組みを進めてきたところでございます。
 今後も、議員のお言葉をかりますと、なりふり構わぬPRを進めなければならないというふうに考えております。その一環といたしまして、私みずからが和歌山のセールスマンとしての役割を担ってまいりたいと考えております。
 もともと少し恥ずかしがり屋で、スタンドプレーは嫌いなんですけれども、そんなこと言ってられませんので、これまで大阪や名古屋でのラジオ出演とか、首都圏主要紙での全面広告において私自身のメッセージを入れるとか、あるいは東京の世界遺産コンサートに出さしてもらうとか、名古屋でマスコミのトップと懇談をして和歌山を売り込むとか、大阪でふるさと自慢セミナーというのがあったら、それをつかまえて自慢をしてくるとか、いろいろできるだけ多くの機会に自分もセールスマンとなって和歌山を売り出していきたいと思ってまいりました。メディアを通じてだけでも十数回の働きかけを行ってまいりました。
 また、各国大使を和歌山にお招きしたときに、自分自身が、ちょっと恥ずかしいんですが、観光案内役をやりまして、また企業誘致で、数えてみますと40社を超える企業のトップに会って、来てちょうだいというような話をしてるんですが、そのときに企業誘致だけだと少し不足なんで、せめてと言ったらおかしいんですが、観光もいいですよと言って観光のPRも多くやってまいりました。そういう機会をつかまえて、今後とも大いにセールスをやっていきたいと思います。
 本県の観光の魅力を積極的に情報発信することで、より多くのお客様が和歌山に来て和歌山のよさを味わっていただくということのために、引き続き私が先頭に立つとの意気込みで、なりふり構わないPR活動をやってまいりたいと思っております。
○議長(中村裕一君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 観光振興における農家・漁家ホームステイについてお答えいたします。
 議員の御質問にありましたように、今回の修学旅行の受け入れは訪問側と受け入れ側双方とも大変好評であったと伺ってございまして、修学旅行の誘致に取り組んできてございます本県にとって大変喜ばしい結果でございました。
 しかし、持続可能な取り組みとするためには、議員の御指摘のとおり、料理等の平準化や来年度に向けた受け入れ家庭の増加など、今後取り組むべき課題も明らかになってきております。また、受け入れ施設整備等のハード面や安心・安全の確保等のソフト面での対応も必要であり、これらの課題に対応するため、現在、各課室との調整を行っているところでございます。
 農家・漁家ホームステイの実施は、観光の振興はもとより、第一次産業の発展にも大いに寄与することから、今後とも地元との連携を図るとともに、関係部局一丸となって受け入れ態勢の整備等に万全を期してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 4点目の小型漁船緊急通報システムについてでございますが、お答えをさしていただきます。
 海上における安全対策といたしましては、県ではこれまでライフジャケットの着用等について指導を行ってきたところでございますが、議員お話しの小型漁船緊急通報システムにつきましては、有効な安全対策の1つであるというふうに考えてございます。
 このシステムの実用化につきましては、信号受信の中継局等の整備が必要であり、また管理運営主体、あるいはまた漁業者の利用率等の維持管理の問題もございます。
 現在、お話ございましたように長崎県漁業無線協会がシステムを運営いたしてございますが、今後、その運営状況について情報収集を行うとともに、本県の漁業者や漁協等の意向も聞きながらこのシステムについて研究してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 先生お尋ねの古座川につきましてお答えいたします。
 議員御指摘の古座川流域協議会は、清流古座川を取り戻すための諸施策を総合的に進めていくことを目的に、流域関係機関、事業者、住民の方々を中心に平成18年1月に設立され、現在、県と協力いたしまして、汚濁防止、水質改善方法について検討を進めているところでございます。
 古座川につきましては、自然豊かな川でございまして、観光資源としても河川環境の保全に努めていくことは重要なことと認識しており、県といたしましても、ダム湖の水質調査、底質調査、放流時の濁度の調査などを行っているところでございまして、今後とも積極的に協議会の活動を支援してまいりたいと考えております。
○議長(中村裕一君) 知事室長曽根義廣君。
  〔曽根義廣君、登壇〕
○知事室長(曽根義廣君) 振興局のコンペ事業についてお答えいたします。
 振興局政策コンペ事業は、地域に最も近い振興局みずからが地域の課題や埋もれている資源を発掘し、その解決や活用に新しいアイデアや手法を用い、地域と一体となって進めることで活性化を図ろうとするものです。
 議員御指摘の南紀おやじバンドコンテストは、今年度の西牟婁振興局の政策コンペ事業である団塊世代・音楽交流事業から生まれたもので、この世代のキーワードの1つとなっている音楽を通して誘客と交流を図るとともに、新たな南紀の魅力を生み出し、全国に発信することを目的としています。
 第1回のことしは、全国から67組、うち県外からは39組の応募があり、ビデオ審査、ライブ予選を経て、去る12月2日には11組で決勝戦が行われました。これは、地元のNPOや観光協会、企業、自治体の皆さんと一致協力し、持てるネットワークを十分生かして推進してきたことが大きな力を生み出したものと考えております。
 県といたしましても、若い職員の発想や日ごろの地域に根差した活動が新しい提案につながり、地域の方々と一緒につくり上げていく過程こそが活性化に直結するものと考えておりまして、こうした取り組みやその継続には、今後もさまざまな面で支援をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 3番前芝雅嗣君。
○前芝雅嗣君 御答弁、大変ありがとうございました。
 私は、今回の質問を観光振興というくくりでどの項目も、これはちょっと違うんじゃないかなというような項目も皆、観光振興ということで入れさしていただきました。
 私は、観光産業が和歌山県のリーディング産業になると信じております。また、そうならなければ和歌山県の発展はないと、そのようにまで思っております。特に紀南地方は観光産業を盛り上げていかなければならないと、そのように思っております。
 そのためには、知事を先頭に県職員全員、特に商工観光労働部に頑張っていただかなくてはならないなと。観光業者はもちろんのことでございますが、各市町村にも頑張ってもらわないと。それに、地域全体でやっぱり観光客を温かくお迎えするホスピタリティーの心が一番必要じゃないかなと、そのように思っております。
 「週刊ダイヤモンド」の観光力ランキングは低かったですけれど、北山村であったり、また体験型のこの修学旅行、田辺でやってる弁慶の映画祭り、上富田町のおやじバンドなど、新しいそういう楽しみな催しも出てきております。
 我々県民が力を合わせれば間違いなく他県にも観光で勝利できる、本県の観光がリーディング産業になるんじゃないかなと、そのように思いますんで、ぜひ県職員がその和歌山県のリーダーとなって頑張っていただけますよう要望しておきます。(「県会議員も頑張れ」と呼ぶ者あり)頑張っております。先生も頑張ってください。(「余分なこと言うなよ」と呼ぶ者あり)わかりました──もう次何言うか忘れてしまうじゃないですか。
 民間の方でやはり観光に一生懸命頑張っていただける方もありまして、その方から──いろんな民間がやっている取り組みがありますんで、ちょっと御紹介だけさしていただきます。
 和歌山県内の風光明媚な場所に、100カ所にキヤノン製のライブカメラを民間が設置しようと。それを案内をするホームページを作成後──ここからが問題なんですけど、民間でそのぐらいのことを頑張ると。その頑張って100カ所ぐらいにキヤノンのライブカメラを設置して全部に報告したのと同時に、知事に、そのキヤノンの御手洗会長に、民間でこんなに御社のカメラを100台も設置して和歌山県を全世界の方々にごらんいただいておると。それにつきましては、全世界のキヤノンにお勤めの社員にぜひお知らせ願いたいと。また、和歌山にすばらしい温泉とかいろいろございますので来ていただけませんかというようなPR文を、できればできたときに知事に書いていただきたいなあと、そういうことをおっしゃっておりました。
 また、その方は、「ジャパン」と検索すれば和歌山県、そのぐらい出てくるようなやつで、伝統、文化、歴史、生活様式などはまあ日本全国似通ったものであると。そこで、和歌山県下のプロ、アマ問わず、カメラマンに祭りや棚田などアジア的な写真を提供していただき、同時に映像や書画なども募集いたし、それらの作品を、著作権は放棄せずに無償でネットからダウンロードできるサイトを構築して、ねらいは「日本を知りたければ和歌山県の発信しているサイトを訪問」をキーワードで自動的に和歌山県のPRとなるような仕掛けをつくり、その中へは物販のページなど数カ国語を作成し、和と健康、美などを勧めます。和歌山県は、日本でも有数の温泉や世界遺産、梅干し、備長炭、棚田などすばらしい保有県であるので、どうかこういうのも参考になればやっていただきたいなと、そのように思います。
 最後に古座川の問題なんですけど、古座川の流域協議会というのは、確かに全般的に考えて古座川をきれいにするためにやってくれているのは大変よくわかりましたし、これからも続けていってほしいなあと、そのように思いますが、古座川の清流を取り戻す会の方々にとっては、少し動きが違うんじゃないかという疑問も持っております。
 今、少しやはり現実的に古座川が、汚いとは言いませんけど汚れてきていると、今きれいにしないと大変なことになるという、古座川の清流を取り戻す会の方は危機感を持っております。
 本県の観光立国の推進基本法、今年度出されたものによると、その観光立国推進戦略会議の報告書で、観光立国推進基本計画というのがこの間6月に出されてましたけど、その中にも観光資源としての河川環境の保全、創出及び活用というのがありまして、汚濁が著しい河川の定例しゅんせつや浄化用水の導入による水質改善、多自然川づくりの推進等による良好な河川空間を保全・創出しなさいというようなこともあります。
 ダムのもとから三尾川ぐらいまでが少し汚れてきてるんじゃないかと現場でもおっしゃっております。早急の手当てをしてほしいんですけれど、県土整備部長にお伺いいたします。再質問をお願いいたします。
○議長(中村裕一君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 議員御指摘の真砂─三尾川付近のことにつきましては、現地調査を行うとともに、土砂の堆積状況、水質などの調査を行っていきたいと考えておりますが、地元の方々の御意見も十分にお伺いした上で、協議会と連携を図りながら清流古座川の環境保全に努めてまいりたいと考えております。
○議長(中村裕一君) 再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 以上で、前芝雅嗣君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 34番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 おはようございます。
 ただいま議長からお許しをいただきましたので、通告に従いまして、今回は和歌山県の防災対策について一般質問を行います。どうかよろしくお願いいたします。
 さて、地震対策というのは、そのうち行えばいいと、こういうもんではなくて、今起きたとしても県民の皆様方の生命の保全を図れること、これを前提として対策を講じるべき、こういう問題だと思います。
 既に県では、耐震診断、建物改修についての施策は実施されているところでありますが、それと比較しておくれていると感じるのが事前対策であります。過去にも、事前対策、いわゆる室内対策なんですが、県議会で取り上げられたこともありますが、どうも具体化されていない、そういうふうに感じます。
 ことし2月、本会議で知事は、防災対策は県政の最重要課題の1つに位置づけている、このようにお答えをした上で、本庁舎、警察本部、総合庁舎あるいは学校施設、こういったものに関して平成22年度までに耐震化を図ると答弁されています。しかし、室内対策については具体的には触れられていませんでした。
 ところが、室内対策というのは建物の耐震化、耐震補強と同じように生命を守る上で重要な事前対策なのです。例えば阪神・淡路大震災、これを例にとりますと、国土交通省のデータに基づいたところによりますと、死因の原因の約80%、これは家屋、家具の倒壊による圧死、また日本建築学会によりますと、負傷原因の約50%は家具の転倒と落下、なお30%がガラスの破損によるもの、こう報告されております。このように家具や備品に地震が発生したときの危険が潜んでいるわけですから、これらに対する事前対策が建物改修と同様に重要性があると言えます。
 ここで事前対策といいますのは、3つあります。室内における転倒防止、落下防止、ガラスの飛散防止、この3つでありますから、たとえ耐震構造を施した家屋であっても、家具やテレビなどの転倒、ガラスの飛散対策、こういったものがなければ事前対策は不十分、このように言えると思います。つまり、大震災による大きな揺れが発生すると、耐震補強している建物であっても、室内で固定していないものは、移動する、倒れる、こういったレベルではなく、飛んでくる、こういう状況になります。生活環境の中にある家具や室内の備品が凶器となり飛び交い、私たちを直撃したり、下敷きになって犠牲者が出る、こういうおそれがあるわけです。
 また、備品内に収納していたもの、あるいはガラス、こういったものの散乱で避難するときに負傷すること、こういったことも考えられます。さらに、転倒した備品類が避難経路をふさいだりドアの開閉を妨げたりして避難できなくなると、こういうおそれも出てくるわけです。
 防災対策の先進県と言われている静岡県、ここではこういったコメントがあります。「津波やがけ崩れ対策としては、一刻も早く避難できるかどうかにかかっている。過去に発生した地震では、部屋の中で家具が転倒し、落下物が散乱し、さらに停電でなかなか玄関までたどり着けなかったというケースがありました。つまり、家を出るまでにかなり時間がかかり、本来であれば避難に余裕がある場所にいたはずなのに避難時間がなくなってしまったケースです。一見無関係に見えますが、家の中の防災対策は津波などの対策に極めて有効です」、このように報告しております。スムーズに私たちが避難するためには事前対策がいかに大きな役割を果たしているか、これをうかがい知ることができます。
 これらの室内対策は、繰り返しますが、建物の耐震補強と同等の重要性を持ちますが、耐震補強と比較すると比較的少額で、防災対策としては極めて効果的なものであると、このように評価できると思います。ところが、防災対策の現状は、建物の倒壊を補強するために耐震補強を行えばほぼ対策は終えた、このような空気があり、室内対策は余り重点を置かれていないように思います。地震の後、建物がたとえ残ったとしても、肝心の家族がそこにいなくなってしまう、これでは何の意味もありません。
 阪神・淡路大震災は、御存じのように早朝午前5時46分に発生した地震ですから、自宅での死亡者、負傷者、これが大半でした。また、これ以外にも大きな地震は、偶然だと思いますが、土曜、日曜、祝日、こういった日に発生しておりまして、これが平日の昼間であれば職場での死傷者も発生する、こういう危険性が潜んでるわけです。ですから、家庭だけの問題ではなく、企業も含めて、あるいは職場も含めて積極的に事前対策を講じる、こういう必要があろうかと思います。つまり、建物、室内、50対50の同等の割合で対策を講じなければ安心・安全な空間は確保できないと思います。
 内閣府発行の「減災のてびき」、これによりますと、「『生き残ってから』のことよりも、『生きるため/死なないための努力』を先に行いましょう」、そのためには、「まずは、身近な空間の安全点検と必要な対策が最優先です」、このように記載されてるわけであります。
 また、今回質問するに当たりまして、中央防災会議前委員、内閣府地震防災対策強化地域判定会会長の溝上恵東京大学名誉教授にも、和歌山県が防災対策として欠けていると思われる点の指摘について御協力をいただいております。同教授によりますと、「家具類の転倒、落下防止をするだけで被害は相当防げる。市民でもできる範囲で対策をしてほしい」と所見を述べた上で、御自身が和歌浦に住んでいたこの経験からも、「和歌山県は直下型についても危ない地域なので、その対策については常日ごろから気にしている」、こう話されております。
 防災対策の要諦は、教授によりますと、事前の予防対策、直後の応急対策、これが2本柱であります。3つ目の柱、これを入れるとすれば早期検知、こういったものを辛うじて立てているとした上で、防災会計を先手必勝的な概念とセットにすべきだというふうに指摘をいただきました。
 愛知県を引き合いに出さしていただきますが、同県では「被災後の災害対策は、警察、消防、自衛隊、こういったところの役割であり、県行政としては、事後対策も当然のことですが、事前対策を実施することも復旧活動と同等に防災の目的である」、このように話されております。愛知県の方針を受けた豊田市、ここでは、予防にまさる防災対策はない、このような考え方から、平成14年度から16年度、既に公共建築物の耐震化、本庁舎と公共施設の窓ガラスの飛散防止、本庁舎と公共施設の書庫、ロッカーなど事務機器などの転倒防止、これは既に終了しております。現在は、パソコンの転倒防止策を講じるとともに、一般の門やブロック、遊具、こういったものの工作物、観光施設、文化財、展望台、こういったところの耐震改修に着手していると、進んだ活動をしております。まさに溝上教授の考え方を実践する形で対策を講じているわけであります。
 我が県におきましても、何点かの指摘がされております。
 平成18年9月、和歌山県立医科大学、ここで行われました和歌山県災害医療従事者研修会におきまして、兵庫県災害医療センターの顧問・鵜飼卓先生は「予防、事前対策にまさる治療なし。今1000万円で済むことが、災害に遭ってしまったら100億円では済まなくなる。悔いを残さないようにしてください」、このような教訓を残してくれております。
 また、平成17年、和歌山市に来てくれました当時の消防庁長官の林省吾さん──後の総務省の事務次官になられた方ですが──林さんからも、「家具の倒れの防止、それとガラスの飛散防止、これが大変大事だ」と、こう話していただいたことが思い出されます。
 このように、防災の専門家と言われる先生方からは、一様に事前対策の重要性、これの指摘がされているわけであります。
 また、内閣府の中央防災会議、ここでは、平成18年4月21日に決定された災害被害を軽減する国民運動、この推進に関する基本方針には次のような記載があります。「近年の度重なる自然災害や事件・事故により、安全・安心の価値がこれまでになく社会の中で認識されるようになってきた」として、「個人や家庭、地域、企業、団体等が日常的に減災のための行動と投資を息長く行う国民運動を展開することにより、災害の被害を軽減し、1人でも多くの人を救うことにつなげていかなければならない」、このようにされております。つまり、何度も「減災」という言葉が使われているように、減災、すなわち災害を減らす行動は、まさに事前対策でなければなし得ない予防対策だと言うべきものです。
 そこで、知事にお伺いさしていただきます。
 1点目、溝上教授は、家屋密集地帯の火災対策あるいは工業地帯の火災対策が都市が持つ共通した課題だと指摘をした上で、中央構造線による地震への対応は決して進んでいるとは言えないとされています。このように、和歌山県では和歌山市が県内で一番地盤が弱い地域だという認識の中、東南海・南海地震に関しての見解はよく聞くことがありますが、和歌山市を中心とした中央構造線による地震に関しての知事の認識と、その防災対策の考え方についてお聞かせいただきたいと思います。
 2点目、愛知県や豊田市の防災の目的と同様の考え方で、防災とは未然に災いを防ぐことであり、被害を低減する、いわゆる減災の効果が生じる事前対策でなければならないわけですが、災害が発生してから対応する災害後の処置、対策では減災にならず、人的被害を低減できません。和歌山県でも事前対策による防災対策を実行する必要性があると思いますが、この点についてどうお考えでしょうか、お答えください。
 3点目、限られた予算と手段、これをどう組み合わせて減災するのかが大切な問題ですが、そのために防災会計、この経済的概念の中で、どの順序でどこへ投入しているのでしょうか。平成20年度の防災予算の考え方についてお示しください。
 続いて、公共施設の事前対策についてお伺いします。
 大地震が発生した際には、指定された避難場所、ここに避難することになります。ただ、過去、大地震の事例では、市町村の庁舎や公民館、こういったところにも避難する事例が多くあります。ですから、その場所に事前対策が施されていないとすれば当該施設は活用できなくなる、こういうおそれがあります。
 先ほど引き合いに出しました愛知県、あるいはそのほかの地震対策先進県と言われる静岡県、三重県では、建物の耐震対策と室内対策の2つを1つとして耐震補強ととらえています。
 全国に先駆けて愛知県の豊田市──先ほどの豊田市ですが──事前対策として、転倒、落下、ガラス飛散防止、これを市民に呼びかけるとともに、本庁舎、ここも事前対策を既に実施されております。それまで、東海地震や津波、こういったものは静岡県に来ても愛知県には来ないものとされていましたが、平成14年4月、東海地震防災対策強化地域に愛知県を含めとする地域が指定され、以降、愛知県58市町村はすべて事前対策に取りかかっていると聞いております。
 そこで、質問でございます。危機管理監にお尋ねいたします。
 平成18年の9月議会におきまして危機管理監は、公共施設の室内対策の質問に対し、「耐震化だけではなく、備品等の転倒防止が欠かせず」、このように答弁されております。その後、現状と今後の取り組みについてお示しをいただきたいと思います。
 また、公助を行う側の行政機関の職場環境、これもいざというときの備えを平素から万全にしてほしいと思っております。公助を施す方々が被災に遭い、活動に支障を来すようでは、公の存在はなくなってしまいます。私たちと同様に公助を行う立場の職員の皆さんの職場環境を整備することは、公務員の皆さんにとっての自助であります。県民の皆さんよりも前に規範を示してほしいと思いますが、県庁を初めとする庁舎での事前対策についてお答えをいただきたいと思います。
 3点目、室内対策というのは物品を買うのと意味が全く違います。いわゆる高い安いの問題ではなくて、安全と県民の皆さんの生命、これを守るために実施するものです。ですから、安全だという実証データのある工法や物品、こういったものを事前対策として活用すべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか、お答えいただきたいと思います。
 続きまして、自助・公助への支援対策についてです。
 防災対策の基本は、まず家庭にあります。まず家族単位での話し合いから、自身の身は自分で守る、自助を理解、認識し、その上、御近所、自治会、職場、こういった社会環境における共助につながっていくと思います。
 平成17年度「兵庫県生活復興調査結果報告書」、ここで自助に取り組むべき課題として、家具などの転倒防止が86.6%とトップを占めております。家庭で災害が起こる前に事前の対策をしていくことが自身を災害から守り、減災することにつながる、このような意見が出ているわけであります。
 そこで、これも危機管理監にお尋ねをさしていただきます。
 県では、平成16年、県地震防災対策アクションプログラムを作成、その後、ことし3月に改定をしております。ここでは、死者数ゼロ、これを目指して、平成27年度までに最大想定死者数5000人を半減させるという減災目標と、その目標を達成するための具体的な対策が既に定められております。その中で、住宅の必要な部分、家具固定率については、平成27年度までに平成16年度の24%から51%に引き上げることを目標に定めておりますが、県民の皆さんへの周知方法と具体的支援について現状をお示しください。
 また、神戸市では、家具の固定促進事業として、高齢者や子供、障害者のいる世帯を対象に、家具固定などの室内対策に要した費用の2分の1、ただし上限は1万円となっておりますが、補助する制度を設けております。和歌山県として、国の指摘もあり、被災市が実施している室内対策への支援施策を導入する考えがありますか。この点についてお答えをいただきたいと思います。
 続きまして、病院の耐震補強と室内対策、この点についてであります。
 災害発生時には民間の児童施設、老人施設、病院に近隣の方が避難してきた、こういう事例は数多く報告されております。新潟中越沖地震の例を挙げますと、新潟県小千谷市では、小千谷市民病院内が地震によって手術室、病室、ナースセンター、院長室、すべての部屋が混乱し、病院機能は全室使用不可能となりました。たまたま隣に病院が経営する老人介護施設がありましたから、震災後も入院患者をそこに移動する、こういうことで対処できたわけですが、このように住民の方々に助けを求められ、避難施設に指定していなかった老人施設が急遽臨時避難所になった、こういう実例があります。
 阪神・淡路大震災の病院も同じような状況がありました。病院の建物が持ちこたえたとしても、病院内のモニターや手術機器類が固定されていなかったことから転倒・落下、薬は一面に飛散、注射器、注射針もばらばらになってどこに行ったかわからない、応急治療も手術もできない、こういった事例が数多く報告されております。また、医療スタッフも被災者と言えますから、医者も医療機器の下敷きになったりすれば、これはどうすることもできません。
 愛知医科大学の教授の野口宏先生は、日本集団災害医学会会長として、震災時の転倒防止、ガラス飛散防止を熱心に説いておられます。東海地方と同様に大地震の影響を受けるとされている和歌山県でも、危機感を持って具体的な取り組みが必要だと思っております。
 県も、必要とされる予算枠はいっぱいで、いつ来るかわからない災害への事前対策を講じるのは、これはもう大変なことはわかっております。しかし、人の生命に直接かかわる問題ですから、大事なことです。
 愛知県では、発生が危惧されている東海・東南海地震などの大規模地震から人の命や財産を守るために、地域ぐるみで家屋の耐震化、家具の転倒防止、ブロック塀などの安全対策に取り組むまちづくりを進めると宣言しております。事前対策が整うまで大地震が待ってくれるわけではないからです。既に静岡県では、静岡市総合病院ではこの室内対策を完了しておりますし、静岡の日赤病院、ここでは室内対策を現在実施中です。また、伊勢にあります日赤病院、こちらも室内対策を準備中。
 このように、地震が予測されている地域の病院では事の重大性をわかっているので取り組みを既に開始しているところであります。
 以下、福祉保健部長にお尋ねをしたいと思います。
 災害拠点病院や医師会、病院協会を中心に構成する災害医療対策会議等において具体的な転倒防止策について研究するとともに災害拠点病院に対しても適切な措置を講じるように指導すると、福祉保健部長は以前、議会答弁されておりますが、県内8施設の災害拠点病院の耐震補強と室内対策の現状についてお示しください。
 また、愛知県や静岡県と比べた和歌山県の災害医療にかかわる予算配分の比率についてもお答えください。
 続いて、県立医科大学附属病院の室内対策に万全を期すべきだと考えますが、この点についてはいかがでしょうか、お答えください。
 それから、最大の優先課題として、災害拠点病院の室内対策は無論のこと、69ある民間病院に対しても対策を講じる、このように働きかけてほしいところですが、これらの点について福祉保健部長の答弁をお願いしたいと思います。
 次に、学校への事前対策についてお伺いいたします。
 私たちは、災害対策ですが、自己管理、自己責任、このようにして地震に対処すべきものだと思いますが、子供たちに関しては大人が守ってあげる、この責任があります。家庭のことは家庭で、企業は企業内で対処してもらわなければなりませんが、こういった学校施設は行政が責任を持って対処していただきたい、このように思います。
 学校施設には、ピアノ、エレクトーン、テレビ、こういった重量のあるものが設備されておりますが、阪神・淡路大震災のとき、被災地のある学校ではグランドピアノが壁を突き破って外に出てしまった、こういう事例があります。また、神戸市内の幼稚園ではアップライトピアノはほとんどひっくり返ってしまった、このように報告されております。私のところにも子供を持つ保護者から、児童施設への地震の事前対策について備えは大丈夫か、こういった相談をいただいているところであります。
 そこで、教育長に質問いたします。
 県立中学校、県立高等学校における室内対策は実施されているのでしょうか。実施しているのであれば、どの点について実施しているのか。実施されていないようでしたら、今後の対応について、また、いつまでに市町村を含めて事前対策が講じられる予定なのか。この点に関してお答えをいただきたいと思います。
 残り2点であります。災害時要援護者救済、こちらへの対応についてお伺いをさしていただきます。
 国が定めている災害時要援護者とは、高齢者、障害者、乳幼児、傷病者、妊産婦、難病者、外国人、こういった方々を指すとされております。高齢者は老人福祉施設、障害者は教育委員会及び福祉施設、乳幼児は福祉保健施設、傷病者は医療法人あるいは福祉施設、こういったふうに、教育委員会を除けば県が認可した福祉法人、医療法人、このような方々が運営されている法人施設にお世話になっている、このような状況であります。
 先ほどの小千谷市での前例のように、緊急時には公的な役割を担う社会的立場として、緊急時の避難施設に指定されていないこれらの施設に対しても、平素から事前対策を講じておく必要があるのではないでしょうか。健常者の方であっても、災害が起こったときには、今まで述べましたように事前対策をしていなければ、そこにいる環境によって生命を左右されることにもなりかねないのに、要援護者の皆さんにとって何も対策を施されていない環境にいることは、どれだけ不安な状況に置かれているのか、このことを考えていただきたいと思います。1人では移動できない、介護を要する方が災害に遭われたときの過去の例からしても、それは大変な社会問題の1つであります。
 そこで、質問をさしていただきます。
 行政が認可した法人として、その施設に入園、入院されている幼児や高齢者、そして患者さんの危機対策、安全対策としても平素からの事前対策は必須であると考えますが、福祉保健部長には、県の認可された施設の現状についてお答えをいただきたいと思います。
 最後になります。企業への事業継続計画の普及、この点についてお伺いをさしていただきます。
 企業が地震対策に備える、このことにつきましては、既に上場企業を中心に緊急時事業継続計画、一般的にBCPと言われておりますが、この策定が活発化しております。BCPを一言で言いますと、企業が被災しても重要事業を中断させないこと、また、中断したとしても可能な限り短時間で再開させるための計画であります。リスクマネジメントシステム構築のための指針として受けとめられておりますが、それがすべてではなく、事業計画とともに生命の安全確保、2次災害の防止、地域貢献、地域との共生、こういったものに合わせて対応する、これも必要とされているわけであります。
 企業を1つの家庭と考えた場合、個人と同様に企業防衛を行うことは企業としての自助でもあります。企業というあるじが社長であり、社員の命を左右することになります。これは、大会社だからこそしなければならない、こういった問題ではなく、地場産業、中小企業、これらの企業に関しても同様なことが言えると思います。
 和歌山県内を調べてみすまと、株式会社オークワさん、ここが既に防災への取り組みが特にすぐれた企業として日本政策投資銀行から防災格付融資を実行されましたが、ここに続く企業は今のところまだ見当たりません。もちろん和歌山県は、最近、「県民の友」やラジオ、こういった媒体を通じてBCPについての呼びかけを県内企業にしているところでありますが、企業ではまだ具体的な取り組みに至っていない、これが現状であります。
 和歌山県内部の都市部に地震や津波が発生すれば、無防備状態の企業は一夜にして操業停止に陥り、和歌山県経済は崩壊しかねません。自然災害に対する危機意識の向上、危機管理の重要性を企業管理責任者の胸に痛感することがない限り、和歌山県の企業防衛はなかなか難しいと言えます。震災からたとえ企業が生き残れたとしても、建物がつぶれてしまえば多くの社員の生活も路頭に迷う、こういうことになるわけです。
 震災は、私たちの生活環境を奪ってしまいます。だからこそ、企業責任者の方々の意識改革は必要だと思います。大企業だけのテーマにすることなく、中小企業の生き残りの対策として自然災害の脅威、恐ろしさを認識していただき、危機意識と企業責任を真摯に学んでいただきまして、被災後に後悔しないための取り組みを今から実施していただきたいと、このように思う次第であります。
 参考までに、ことし7月16日に発生いたしました新潟県中越沖地震の震源地・柏崎市の柏崎商工会議所が会員企業2045社を対象にアンケート調査をした結果があります。回答した724社──これ、全体の35%でありますが──被害額は、直接被害71億4053万円、間接被害95億8522万円、合計いたしますと167億2575万円、雇用状況につきましては31社が従業員の方を解雇、今後の見通しについては50.8%の企業が厳しい、このように回答しているわけであります。
 このように地震が残したつめ跡の深さが明らかになっておりますが、幸い、これにしても、被災した日が海の日、祝日だったことからこの程度の被害におさまっておりますが、これが平日だったとしたら、企業の被害額、これは数倍以上になっていると思われますし、しかもこのデータは2045社のうち724社の回答ですから、実際の新潟県経済の被害額というのはこの回答以上、このようになるのではないかというふうに思えます。
 そこで、質問をさしていただきます。
 このような事例が少しでも減災されるように、県内企業の有志の皆さんに、行政指導まではいかなくても、BCPの根本的な意味と重要性を把握し、早期に事前対策を実施するように一層強く働きかけていくべきではないでしょうか。
 11月17日付の「朝日新聞」でも、「巨大地震 会社にいたら」という記事が掲載されております。東京消防庁では、日本家具オフィス協会の協力を得て、オフィスでの転倒・落下防止、これに関する指針を策定して企業への呼びかけを実施しているようであります。
 この点に関しましては商工観光労働部長の答弁をお願い申し上げまして、第1問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 御質問のうち、私に対して答弁せよというお話がありました点について御答弁申し上げます。
 まず、中央構造線による地震への対応についてということでございます。
 中央構造線による地震につきましては、国の地震調査研究推進本部によりますと、活動期間が2000年から1万2000年とされております。2000年前に一度起こったということでございまして、今後30年以内の発生確率は0から5%となっております。しかしながら、ゼロではありません。
 そこで、本県では、海溝型地震の東海・東南海・南海地震とあわせて、内陸型地震の中央構造線による地震についても被害想定調査を実施し、公表いたしました。
 この被害想定調査によりますと、和歌山市から橋本市にかけての紀の川沿いの低地で震度7の揺れが予想されるということで、和歌山市等の低地で液状化危険度が極めて高いとされているところが広く分布しております。このため、県内で最大死者数4500人、負傷者数1万3000人、全壊・焼失の建物数13万8000棟と、東海・東南海・南海地震と同程度の甚大な被害が予想されております。死者の大半が建物の倒壊と火災によるものであり、住宅の耐震化と密集市街地、狭隘道路の解消などの災害に強いまちづくりの推進が特に重要であるというふうに認識しております。
 これらを踏まえまして、県地震防災対策アションプログラムを平成19年3月に改定いたしまして、最終的には想定死者数を限りなく減少させることを目標としておりますが、平成27年度末までに半減させるという減災目標と、それを達成するための具体的な目標を定め、対策を進めておるところでございます。
 今後とも、防災対策の着実かつ迅速な実行に努め、あらゆる地震に備えてまいりたいと考えております。
 2番目に、和歌山県の事前対策ということでございます。
 防災対策の中でも事前対策が大変重要でありまして、アクションプログラムにおいても、平成27年度末までに住宅の耐震化率を67%から85%にすることや、家具の固定率を23%から51%にすることなどの具体的な数値目標を定めて取り組んでいるところであります。そのため、議員御指摘のようにいろいろな対策をとっておりますけれども、特に民間住宅の耐震助成を用意しておりますが、これが静岡などの他府県に比べますと、御利用いただいている率が極めて少ないわけでございます。逆に言うと、民間住宅の耐震化がなかなか進んでおらんということであろうかと思います。利用のしやすさを図って、これをもうそれこそなりふり構わずPRをしてるんですが、残念ながら余り進んでないということを自覚しております。
 そこで、さらに町内会などの組織を通じて、ぜひ御近所の方々に勧めてくださいということをお願いしようとしておりまして、これを関係部局に指示をしたところなんです。今後、その実行を期待していきたいと思っております。
 第3に、平成20年度防災予算の考え方についてでございます。
 今議会で議論をお願いしております新長期総合計画の素案におきまして、「県民の命と暮らしを守る安全・安心和歌山」というのを大きな柱立てにしようとしておりますが、これに向けた取り組みとして防災・減災社会の実現を位置づけているところであります。
 平成20年度予算編成の方針においても、これは過日発表いたしましたけれども、元気な和歌山を創造するためにこの県民の命と暮らしを守る安全・安心の確立を6つの柱の1つに位置づけまして、とりわけ東南海・南海地震対策の充実を重点項目にいたしまして、現在、予算編成作業を行ってるところでございます。
 引き続き、アクションプログラムに定めました減災目標をぜひ実現したいということで、効果的な対策の推進に努めてまいりたいと考えております。
○議長(中村裕一君) 危機管理監杉本雅嗣君。
  〔杉本雅嗣君、登壇〕
○危機管理監(杉本雅嗣君) 防災対策に関しまして、公共施設の事前対策、室内対策についての御質問にお答えいたします。
 地震による被害を軽減するためには、議員御指摘のとおり、建物の耐震化とともにロッカーや家具類の転倒防止などの室内対策が大変重要であると認識しております。
 県庁舎などの室内対策についてでございますが、本庁舎や総合庁舎などの防災拠点施設につきましては平成22年度までに耐震化を図ることとしております。計画的に耐震化を行いまして、各課各室などの移転の関係もございますので、今後、耐震化と調整を図りながら順次計画的に室内対策に取り組む方向で関係部局と協議を行い、検討を進めてまいりたいと考えております。その際、家具などの固定が有効に行われる工法や器具などを活用した室内対策につきましては、今後、実施に当たり効果的に行うよう検討を進めてまいります。
 また、市町村の庁舎や公民館などの公共施設の室内対策につきましては、市町村防災担当課長会議などを通じ助言、指導に努めているところでございまして、今後とも引き続きさまざまな機会をとらえて市町村などの施設管理者の取り組みを促してまいります。
 次に、自助・公助への支援対策についての御質問にお答えいたします。
 県民の皆さんに取り組んでいただく住宅の室内対策を促進するため、県では、市町村と連携して自主防災組織の活動強化を図るとともに、防災講座の開催、「県民の友」やパンフレットの配布などにより県民の皆さんへの啓発を進めておりまして、今後も一層情報発信に積極的に取り組んでまいります。
 また、住民の皆さんを対象にした家具の固定促進につきましては、基本的には市町村が取り組む課題ではありますが、重要な問題でありますので、今後、市町村と十分協議してまいります。
○議長(中村裕一君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 病院への耐震補強と室内対策についてお答え申し上げます。
 災害拠点病院の耐震補強の現状につきましては、県内8病院のうち、既に耐震化されている施設が5病院、未耐震棟の建てかえ工事を計画されている施設が1病院、耐震診断を実施している施設が1病院となってございます。また、室内対策の現状につきましては、7病院で転倒防止器具を備品に設置し、壁面に固定するなどの取り組みを行っているところでございます。
 次に、災害医療にかかる他県との予算配分の比較につきましては、平成19年度の予算においては、愛知県は災害拠点病院のヘリポート整備に要する経費など約9700万円、静岡県は災害拠点病院の耐震整備に要する経費など約5700万円を計上してございます。本県の19年度予算額は約1億1900万円を計上いたしまして、民間の救急告示病院等の耐震診断や耐震整備などに取り組んでいるところでございます。
 県立医科大学附属病院の室内対策につきましては、本県における災害時の医療対策の中核施設である総合災害医療センターとして県内全域の医療救護活動を担うことから十分な対策を講じる必要があり、集中治療室等において医療機器の固定などの室内対策に取り組んでいるところでございます。今後も順次、室内対策を実施する計画となっております。
 民間病院の室内対策については、本年3月に県内の全病院に対して対策を講じるよう働きかけを行うとともに、本年7月と8月には、全病院の職員等を対象に、医療機器等の転倒防止対策の必要性等について研修会を行ってございます。今後とも、県内の医療機関の耐震化や室内対策について積極的に働きかけを行ってまいります。
 次に、災害時要援護者救済への対策についてでございますが、議員御指摘のとおり、高齢者や障害者などの方々が入所する社会福祉施設での災害の事前対策は大変重要であると認識してございます。
 社会福祉法人等が運営する施設におきましては、関係法令等により、非常災害に関する計画の作成、定期的な避難訓練の実施、地域協力体制の整備等の災害時事前対策をみずから行わなければならないとされております。県といたしましては、こうした防災対策の徹底を図るため、各施設への指導監査または実地指導におきまして、施設の避難体制や防災計画の内容の確認を行うとともに、防災対策への適正な取り組みを指導しているところであります。また、市町村に対しましても、平素から管内の福祉施設等との連携を密にし、災害発生時の連絡、情報伝達方法の整備を図るよう指導しているところでございます。
 また、児童入所施設における防災対策の補助施策といたしまして総合防災対策強化事業がございます。県といたしましては、こうした事業の活用を促進するとともに、今後ともさまざまな機会を通じ、各福祉施設管理者に対しまして、入所者や利用者の方々の不安を解消し、生命の安全確保に万全を期すよう指導してまいりたいと、そのように考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 企業への事業継続計画の普及についての御質問にお答えさしていただきます。
 議員御指摘のとおり、企業のオフィス、工場等が被災した場合に備えた事業継続計画の策定を普及させることは、従業員や地域住民の安全確保のみならず、災害後の県経済の復興を速やかに進める上でも重要なことであり、特に東南海・南海地震の発生可能性が高まっている本県におきましては、積極的な対応が必要であると認識してございます。
 国においては、ほぼすべての大企業と過半数の中堅企業が今後10年間に事業継続計画を策定するよう防災計画に位置づけることとなっており、同時に中小企業に対しましては中小企業事業継続計画策定運用指針を示し、その普及啓発を行っております。県におきましても、商工会議所、商工会等を通じ、国の指針をPRするとともに、本年度には、県内中小企業の方々を対象に、具体的な計画策定のポイントを説明するセミナーを県内2カ所で開催することとしてございます。
 今後、より一層効果的、実践的な普及策を講じながら、中小企業の規模、業態に応じた事業継続計画の策定が着実に進展していくよう取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 学校への事前対策についてお答えいたします。
 県教育委員会では、平成15年に「学校における防災教育指針―地震・津波等の災害発生に備えて―」を定めまして、その中で学校での室内対策の推進を図っているところでございます。
 現在、県立中学校及び県立高等学校におきましては、ほとんどの学校がピアノやテレビ、ロッカー等の転倒・移動防止対策を施しておりまして、未実施校に対しましては早急に実施するよう指導しているところであります。
 また、市町村教育委員会に対しましては、これまでも学校における防災対策の充実を働きかけてまいりましたが、今後も県下市町村教育委員会教育長会議や学校安全講習会等さまざまな機会をとらえ、建物の耐震化とあわせ、学校における室内対策を徹底するよう働きかけてまいります。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 34番片桐章浩君。
○片桐章浩君 御答弁いただきましてありがとうございます。2問目は要望ということでさしていただきたいと思います。
 新潟県の例なんですけども、新潟県中越地震の折、これは震度6弱、マグニチュード6.8、こういった震災を受けた長岡市長岡駅前にあるホテルでは、4階から12階、これ最上階なんですが、すべての室内のテレビが吹っ飛んで壁にぶち当たってしまった、数メートル先に飛んでベッドの下に落ちたり、机の横に組み込まれている冷蔵庫が飛び出していた、こういう事例が報告されております。また、ホテルの半数以上のドアの開閉ができなくなって係の人がお客様の安否を確認する、これも大変だった、このように報告されております。
 この事例を申し上げましたが、近年のたび重なる地震の発生によりまして、団体旅行あるいは観光先、どこに行くか、観光にもこういった危機管理ができているか否か、こういったところが選択肢の1つというふうに、今指摘さしていただきましたように、学校や医療機関、官公庁だけではなくて、社会としては観光事業にもこういう目が向けられている、こういう厳しい状況がございます。
 本日提案した学校や病院、これらの防災対策、企業への減災対策などは、ぜひとも県が主導して実効性のある対策を講じる、あるいは指導力を発揮して取り組んでほしいというふうに思います。
 現在策定中の新長期総合計画にも記載されておりますように、和歌山県は防災対策における先進地である、住んでも安心、訪れても安心、このような地域づくりを目指していただくことをお願い申し上げまして、一般質問とさしていただきます。ありがとうございます。
○議長(中村裕一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問は終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時33分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(新島 雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 26番中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕(拍手)
○中 拓哉君 皆さん、こんにちは。「なかなか頑張る中拓哉」って市会のときからずっと自分で言い続けてきております。こういう席に立たせていただけることを光栄に思いながら、しっかり質問していきたいと思いますんで、御清聴のほどよろしくお願い申し上げます。
 光陰矢のごとし、タイムフライズ。仁坂さんが県民の支持を受け知事選に当選して、この17日ではや1年になります。マイナスを払拭しつつ攻めに転じ、あっという間の1年であったとのことでございます。まずはお疲れさま、御苦労さまとおねぎらい申し上げたいと思います。
 顧みまするに、去年の12月20日、初登庁の記者会見で、仁坂知事に対しまして新聞記者が、前日19日の当選証書の授与式に本人が出席していなかったことの理由を問いました。それを受けて知事は、「授与式をどうでもいいと思っているわけではなく、選挙で応援してくれた自民党、公明党の本部や国会議員にあいさつに行った。特に国会の最終日、閉会日なのでこの日しかなかった。できれば身が2つあったらな。両方行きたかった」とお述べになっております。恐らくや、知事という公職につかれてからは、できれば身が2つあれば、時には3つでも4つでもと思う場面がたびたびだろうと思います。しかし、身は1つ。公務が重なるたびにつらい決断を迫られる連続でありましょう。
 去年の12月12日──ちょうどきょうです──きょうの1年前、仁坂さんを推薦しておりました公明党の一員として、和歌山市のあいあいセンターで党員さんに集まってもらいまして仁坂勝利に向けラストスパートの集会を持った折、あなたが到着するまでの間、前座を務めさしてもらったことが懐かしく思い出されます。
 一般質問の初日に下川先輩が質問されておりますので、重複を避けつつ、この1年を振り返って、ままならぬ点、思うに任せぬ点、難儀だったなあ、そういった点も含めて、御自身のこの1年の県政の評価とその省察、さらには2年目への御決意をお述べいただきたいと思います。
 知事の公約の進捗の状況を監視することも私ども議員の務めであるとともに、おのれ自身、議員として選挙で県民に約束してきましたその公約の実現に邁進することも私の重要な責務であります。私自身、この4月で、選挙で幾つか掲げた公約がございます。その責めを果たそうと6月議会では、木村前知事の事件で刑事事件を問われなかった21会や翔樹会、青樹会のことをただしましたし、再発防止には公益通報の外部機関としての設置、あるいは紀の国森づくり税の矛盾点、さらには和歌山市直川地区の治水対策の促進などを求めたところであります。
 今回、2回目の一般質問に臨むに際し、やはり同じく公約に掲げた、事業の仕分け・行政評価で健全財政の推進、あるいは生活支援と福祉の充実、こういった観点から何点かお尋ねしたいと思います。
 市会議員2期8年の経験の中から、つくづく思い知らされることがございます。それは、役所の仕事の中には後片づけの概念が薄いということであります。新しい事業を立ち上げ、施設をつくったり制度をつくったりすることには熱心なのに、時代に合わなくなった事業の廃止や使われなくなって久しい施設の撤去や再利用には関心が薄く、放置されたままであるということでございます。
 そもそも行政とは、強制的に徴収した税金を住民福祉の増進のため、最少の経費で最大の効果が上がるように使わなければなりません。にもかかわらず、パーキンソンの法則よろしく漫然と前例踏襲主義で仕事をし、スクラップ・アンド・ビルド、こういうことのかけ声が出ても、指示が出ても換骨奪胎して──そういう能力にたけてるんですね。もとのをやめたようにして同じのをつくるという──そういう換骨奪胎の能力にたけまして、焼き直し、同工異曲でやり過ごす、そういうのが役人の習性であると言えると思います。だからこそ、事業の仕分けや行政評価の必要が叫ばれ、たゆまぬ行政改革が求められるのであります。
 本県も行財政改革推進プランを策定し、取り組んでいるところです。その中を調べてみますと、未利用県有財産の処分につきまして、15億円を目標に掲げ、売却や貸し付け等に係る事務の所管を集約し一括管理することとありますし、さらに、インターネットオークションの活用や一般競争入札、民間企業との連携など、新たな手法の導入により売却等を促進するとございます。総務部長のほうから、この行政改革推進プランに──県当局、自分で示してるわけですけども──示したそれぞれの進捗状況をお示しください。
 いささか乱暴かもしれませんが、後片づけが苦手、後片づけが下手──これは僕も言われるんですけども──役所の仕事の中でそういう例を申し上げたいと思います。
 例えば関西国際空港、これを海の上につくろう、そのために土砂が必要だ、土砂を供出しよう、そうすると跡地に立派な土地ができる、コスモパーク加太として活用しよう、こういう思いで大きくはスタートしました。結果は御承知のとおりでございます。また、白浜空港にジェット機の離発着のできる滑走路を備えた立派な空港をつくろう、もとの空港には航空工科大学をつくろう、いややめようということで、この議場でも白浜空港の跡地利用について議論が盛んなところでございます。
 和歌山市でも同じでありまして、ごみの焼却工場を青岸につくって、もうはや20数年になります。残った岡崎や塩屋の工場は、いまだに撤去されることなく廃墟のままであります。調べますと、この塩屋の工場は、県が管理する和歌川河川敷を当初は占用許可ということで5年ごとの更新で占用され続けてきました。もう既にやまった後でございますんで、ずっと5年で来たんですけども、あるときから1年更新、平成14年から1年更新で占用許可を与えてるんですね。しかし、あの場面にああいうのが建っていますから、市民の方からの不興を買っております。
 県は、このほど、和歌川公園を整備しまして指定管理者にしようという条例も提案されておりますし、市民の憩いの場として提供しようとお金をかけて準備してきました。その市民の憩いの場になっていますし、これからも整備していこうとする和歌川公園の一角で、あのようなごみ焼却施設の廃墟が放置され続けている。占用許可を与えている。一体いつまでこういった状態を許すおつもりでしょうか。県土整備部長、お答えください。
 かくのごとく、用途目的が廃止されたにもかかわらず放置されている県有施設はほかにはございませんか。あれば、総務部長、お示しください。
 次に、建築確認事務についてお伺いします。
 市会議員の折、建設の常任の委員長の充て職で市の建設審査会の委員を務めさしてもらいました。その折に、例の、マンションの耐震強度の数値をごまかして建築確認を受けて、それを承知しながら販売するという、日本の建築行政の根幹を揺るがす大事件がありました。和歌山市でも、とあるビジネスホテルがその対象物件だとわかり、住民に大きな不安が広がりました。
 この耐震偽装事件を踏まえ、建物の耐震強度を左右する構造設計につきまして、審査の厳格化やチェック体制の強化を図る建築基準法の改正があり、本年6月20日から施行されております。国土交通省が毎月末に発表する数値で、新設の住宅着工戸数の大幅な落ち込みがこのほど判明しまして、住宅市場全体に悪影響が及ぶのではと危惧されております。
 本県における建築確認のおくれを示すそういう推移をお示しいただいた上で、この混乱の原因でもある改正点の周知方──新しく法律変わったんですけど、なかなか皆さんにわかってなくて、その周知方、あるいは新しい基準を決めたけども、それに基づく設計図書、申請図面のつくり方、そういったことへのアドバイスなど県当局の取り組み、さらにはこれら混乱に伴う関係業種、中小企業事業者に対するセーフティーネットなんかも政府は用意しておりますけども、そういうことの取り組み、あるいは事前審査の延長等々、まあなさってると思いますけども、今後の対策等を県土整備部長からお答えください。
 また、同じく建築審査会の委員として毎月の建築許可の業務に携わっていて疑問に思い続けたことがございます。それは、道とは何かということです。かつて仮谷知事は、「道とは首にしんにゅうと書く。政治家が首をかけて取り組むべき対象、それが道なんだ」、このようにおっしゃってました。今回の道路特定財源の問題を考えると、むべなるかなの感強しでございます。
 建築審査会に諮られる案件のうち、どうも合点のいかぬ点、だれが見ても道路なのに道路法の道ではないという理由で、普通の道路であれば許可まで得ることなく建築確認の作業だけでスムーズにいきますのに、道路法の道でない、その理由で月に1回の建築審査会にかかり、許可を待たなければなりません。
 その代表的な道路が臨港道路なのであります。西浜の工業団地に走るあの道は、大型トレーラーが余裕で行き交いする立派な道であります。あるいは、マリーナシティの中を走る道も立派な道であります。にもかかわらず、道路法上の道にあらずと。そこに倉庫や社屋を建てよう、あるいはマリーナシティにマンションを建てよう、こういうときに許可が要ります。こんな不合理は一刻も早く解消しなければなりません。施主さんの不都合この上ございませんし、関連の書類の審査に関する手数料もばかになりません。また、期間もかかります。
 県も、西浜の工業団地につきましては、企業誘致を図り、1件でも多く進出してもらって県民の財産である工業団地の活用を迫られておりますことからも、この際、県道やあるいは市道へと移管するとか、あるいは法律上難しいんであれば、建築基準法42条1項5号で言うところの通称5号道路としての位置指定を進めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。県土整備部長、御見解をお示しください。
 次に、道にちなんでもう1題申し上げます。
 昨今、大きな話題となっております道路特定財源の問題についてでございます。これも下川先輩との重複を避けて、特定財源のうち特に暫定税率について、その期限が到来するいわゆる日切れ法、この部分について議論を深めたいと思います。
 御案内のとおり、参議院では野党が過半数を占めております。暫定税率を維持しようとするならば、5年ごとに更新されてきましたこの日切れ法案の延長が必要でございます。民主党では、特定財源そのものを一般財源にすべしとの方針でございます。まして暫定税率については、仮に新年度予算が衆議院の優越、これを利用して成立したところで、根拠法である暫定税率を定めた関係法令が成立しないことには税は徴収できません。個別の法律には衆議院の優越はございません。まして、みなし否決の60日後の衆議院の3分の2の再可決、これを迫ろうとしても、3月末や4月末という期間には間に合いません。決着はつかないのであります。
 先般の下川議員への答弁にございましたように、和歌山県には120億という財源が見積もられております。この本県の税源がなくなるとすれば、どのような事態が起こるのでしょうか。県土整備部長のほうから、県民にわかりやすくお示しください。
 また、知事には、過日の政府・与党合意への評価もお示しいただけたらと思います。
 知事も、さきの答弁で、ゆゆしき事態、あるいは11月14日には、暫定税率の維持と地方道路整備臨時交付金制度の維持・拡充を全国知事会で訴えてきたと。あるいはそのときの報道によりますと、その後、自民党と民主党に要望活動した由、拝見しましたが、我が公明党には要望しなくてもよろしかったんでしょうか。さきの答弁では、県民の将来、子々孫々の生活まで踏まえて御協力をと、知事はこの壇上で私ども議員に呼びかけました。そのあなたの熱意ととられた行動の落差に、公明党議員の端くれとして釈然としないものが頭をかすめます。
 さはさりながら、県民生活にゆゆしき事態を招くわけにはいきませんし、道路整備のみならず生活関連予算の執行にも支障が及ぶわけですから、挙げて民主党の参議院議員の先生方に理解を求めていく必要があります。
 幸い、11月11日にみなべ─田辺間の高速道路の開通式の折に、本県出身でこの議場にも立たれた大江参議院議員、先輩があいさつをしてくれましたけども、そのあいさつが救いであります。大江氏は、特定財源は必要と力強く述べておりました。知事は、長年通産官僚として国会議員にも知己も大勢おありでしょうから、獅子奮迅の奮闘をともどもにやっていきたいと思います。
 この際、こういったねじれ国会に対する仁坂知事の評価と、仁坂知事なりのとり得る対応をお聞かせいただきたいと思います。
 最後に、C型肝炎についてお尋ねします。
 あす13日に、大阪高裁が原告と国に対して和解案を示す予定でございます。一昨日も原告団の代表の方が政府の政治決断を求めて首相官邸に訪問したものの、福田首相には面会できなかったとの報道がございました。
 昭和39年に製造承認されたこの血液製剤フィブリノゲンがウイルス不活性化処理のされないままに流通し、昭和62年に青森県内の産婦人科医院で8人の集団感染が見つかりました。この青森の産婦人科に残されておりました、保管されていたフィブリノゲンをとあるマスコミがスクープしまして、それを分析した結果、いわゆる薬害であるということが判明したわけでございます。
 感染源が特定されたことに伴い、厚生労働省は、このフィブリノゲンを使用した可能性のある医療機関805軒を公表し、広く国民に検査を受けるよう呼びかけました。また、平成14年、当時の坂口厚生労働大臣の指示で、各種健康保険の基本健診、組合健保も政管健保も国保も、あるいは老人保健法で言うところの基本健診、そういった折にこのウイルス検査が導入されました。そのことから早期発見、早期治療の道が開かれてまいりました。肝がんへの進行を防ぐ上で有効とされるインターフェロン治療も、現在約5万人の方が受けておりますが、既に東京や北海道、長野県では、こういった治療費への助成も実施されております。
 今国会に自民・公明両党で、慢性肝炎患者を7年間でゼロにしようと、毎年10万人にインターフェロン治療を施して、患者の所得に応じてその治療費の上限──所得の少ない方は1万、中間の方は3万、上の方は5万、それぞれ上限を設け、それ以上の治療費を公費で助成するなどの肝炎対策基本法を提出しております。民主党さんも、同じくこういった肝炎患者の救済の法律を出されております。まあ、国会議員同士も対立はやめて協議しようかという雰囲気は出てきておりますけども、私もこういったいわれなき患者の方々の苦しみを我が苦しみとする公明党の議員として、一日も早い法律の成立を望むわけでありますが、県当局のこの新法に対する御所見をお伺いするとともに、何より急がれるのはキャリアの方々の早期発見であります。ウイルス検査の無料化を速やかに実施すべきと考えますが、福祉保健部長の見解をお示し願いたいと思います。
 以上、何点かお伺いしまして第1問といたします。知事初め答弁者にあっては、わかりやすく丁寧で誠意のこもる御答弁をお願い申し上げます。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの中拓哉君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいまの御質問について、私への御指名のありました点についてお答え申し上げたいと思います。
 まず第1に、この1年の評価と、それから2年目への決意ということでございました。
 元気が失われている故郷を私の手で何とかしたいと走り始めましてから1年。評価は自分ではつけられませんけれども、県政の信頼回復を初め、少しでも私自身が問題だと思ったことはすべて手がけてきたというふうに自分では正直に思っております。
 信頼回復の柱であります公共調達制度とあわせて、職員倫理規則や監察査察制度を導入しました。さらに、景観条例や自然保護または長期計画など、ずっとこれまで手をつけていなかった分野についても、時代に即した制度への転換をいち早く指示して作業を開始したところでございます。
 私にとってこの1年、本県の持つ資源や素材の豊富さには改めて驚きの連続でございました。こうしたすぐれた産物や観光資源については、関係の皆さんや職員と徹底的に議論をして、その売り出し方策をアクションプログラムとしてまとめ、確実な実行を目指しているところでございます。中でも、観光はさまざまな分野での切り札となり得るもので、念願の和歌山大学への観光学部設置が来春に決まり、また専門のプロジェクトマネジャーも県に雇いまして、観光業界と一層連携を図り、基盤をより強固なものにして、なりふり構わずPRをしていきたいというふうに思っております。
 また、将来を支える子供たちへの投資は大変重要だと考えております。医師不足と並び深刻な少子化問題ですが、安心して産み育てられる環境づくりに就任当初から取り組み、紀州3人っこ政策や私立幼稚園の預かり保育の推進、あるいは不妊治療などの施策も進めました。さらに、子供たちにはよき刺激を与え続けることが大切だという信念で、一流の成功者を招致したり世界水準の技術に触れることなど、例えばロボットとか「ちきゅう」とか、そういうことについても努力してまいりました。紀伊半島一周の高速道路実現や企業立地、医師確保などの面でも、だんだんと明るい兆しが見えてまいりました。
 振り返れば、あっという間のこの1年、たゆまず努力をしてきたつもりですが、まだまだ成果はわずかだろうと思います。職員の熱意とやる気をさらに引き出し、私も先頭に立ち、機会あるごとにトップセールスを行うなど、確実に成果が出せるよう一層努力してまいりますので、今後も議員各位の御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
 特に、後片づけというようなお話がありましたけれども、実は私自身も、その前々からの後片づけの仕事に追われているところも一部ありました。そのお話の相手につらいことも言わなければいけないということもありました。後の世代にこういう後片づけを残さぬように、その都度その都度いつもよく配慮してまいりたいと思っております。
 次に、道路特会の話でございます。とりわけ政府・与党合意案への評価と知事の要望活動についてのお話でありました。
 道路特定財源の見直しについての12月7日の政府・与党合意につきましては、真に必要な道路整備を計画的に推進するということや現行税率水準の維持など、地方の道路整備に対する十分な配慮がなされてることから、県としては高く評価しているところでございます。今後とも、引き続き法案の成立まで県として、あるいは私としても可能な限りの取り組みを続けてまいりたいと考えております。
 なお、これまでも政府主催の全国知事会の機会あるごとに、暫定税率の維持と地方道路整備臨時交付金制度の維持・拡充を強く訴えてきたところでございます。
 議員御指摘の要望活動につきましては、和歌山県と大分県が中心となって、高速道路がいまだつながっていない13県の合同で道路特定財源の暫定税率に関する緊急提言を行ったときのものでございます。
 御指摘のとおり、当日は公明党への要望活動を行うことができなかったのは、まことに遺憾に存じます。与党公明党議員の皆様にも本県の実情を十分に御理解いただけるように努めてまいりたいと考えております。
 次に、暫定税率の維持ということでございますけれども、政府・与党では本件については合意されましたが、民主党を初めとする各野党にはいろいろな意見があると聞いています。
 厳しい財政状況の中、まだまだ道路整備を進めなければならない本県としては、暫定税率等が維持されなければ京奈和自動車道やあるいは近畿自動車道といった国の事業がペースダウンするということはもちろんのこと、県の事業も道路の維持修繕などといった義務的な経費以外はほとんど実施できなくなるなどの危機的な事態を招きかねないというふうに考えております。したがいまして、この暫定税率を維持する法案の成立が地方にとって、特に和歌山にとって死活問題であります。
 国会においては、与野党を問わず、本県を初め地方の実情を御理解いただき、ぜひとも現行の税率等を維持できるように御配慮願いたいと考えております。
 本件については幾つかの意見があります。暫定税率を廃止しても必要な道路はつくるんだからいいじゃないかとか、あるいは暫定税率に限らず全部一般財源化しても必要な道路はつくるんだからいいじゃないかとか、そういうような議論があります。しかしながら、仮に暫定税率を廃止したときに、全国でいえば2.7兆円の財源が一挙になくなるということであります。この2.7兆円の財源をだれがどうやって確保していただけるんでありましょうか。もし、その暫定税率を廃止してもいいじゃないか、ガソリン代がちょっと下がるからいいじゃないかと。ガソリン代を例えば月何百円か何千円か下がることによって、つかの間の幸せを皆さん少し感じられるかもしれない。しかし、それによって和歌山の特に高速道路がついていないところの人たちは、自分の将来の設計とか、あるいは子孫のそこにおける設計とか、そういうことができなくなるじゃないかというようなことを私は申し上げたいと思っております。
 また、一般財源についても、その一般財源にしたときに、この財政再建の世の中で果たして今までと同じような、本当に必要な財源が道路に確保していただけるんだろうか、そういうことを考えるところでございます。そのいいところだけを言って、それですべての解を示さないで、それで何となく人気をとろうというような考え方は、私は間違ってると思いますし、それから特に和歌山のような地方県については、深刻な影響を与える話だと思っております。
 ましてや、和歌山県においては、特に紀伊半島一周高速道路などについては何十年来の県民の悲願であります。この県民の悲願を美辞麗句だけで片づけて、解がなくなる状態で放置されるということは、和歌山県にとっては我慢のできないことではないでしょうか。和歌山の100万人の県民は、ぜひこういう点についてちゃんと声を上げて、それで我々としての悲願をぜひ達成さしてもらいたい、地方を見捨てないでもらいたいということを言うべきであろうと私は考えております。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 総務部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○総務部長(小濱孝夫君) 公有財産の管理・処分状況のうち、所管の集約と一括管理、新たな手法の導入、処分目標15億円の進捗状況、その他用途目的の廃止後の状況について一括してお答えいたします。
 県有財産は、県の貴重な行政資本であるとともに県民の財産でもあることから、常に良好な状態で維持管理するとともに有効に活用すべきものと認識しております。
 県有財産は、その利用目的により行政財産と普通財産に分類されますが、普通財産のうち、将来にわたり利用計画のない、いわゆる未利用地につきましては、売却等の早期処分が必要であると考えております。このため、用途廃止された財産につきましては、各部局との定期的な情報交換や財産の実情調査を実施し、情報の一元的な管理に努めるとともに、売却可能財産の洗い出しを行い、境界確定や測量を実施し、有効な利活用ができる環境整備を進めております。
 また、新たな取り組みといたしまして、測量等の経費を総務部で一括予算計上し、財産処分の事務の効率化を図るとともに、インターネットオークションを活用した売却を実施しているところでありますが、さらに民間企業のノウハウを取り入れた財産の利活用や財産の処分を行う新たな手法についても、あわせて研究をしてまいります。
 次に、行財政改革推進プランに掲げている目標額15億円の進捗状況ですが、平成18年度から平成19年度上半期において13件を売却し、約5億8400万円の歳入確保を図りました。また、今月5日から申し込み受付を開始しております19年度の第2回目の入札におきまして8物件を出品しているところでございます。
 以上です。
○副議長(新島 雄君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 先生お尋ねの和歌川河川敷占有の御質問についてお答えいたします。
 御指摘の土地は、昭和46年8月に和歌山市がごみ焼却場を建設する際に県から占用許可を与えたものでございます。施設は既に休止されておりますけれども、施設撤去には多額の費用を要するということで、施設が残存しているため、やむを得ず継続して占用許可を与えているところでございます。
 占用許可の更新に当たりましては、早期撤去を指導しておりまして、これまでに煙突等の施設の一部を撤去、施設解体工事のための事前調査が実施されております。県といたしましても、今後、早期に撤去していただくように強く指導してまいりたいと思います。
 それから、建築確認のおくれとその影響についてでございますが、一昨年末の事件を踏まえまして、建築物の安全・安心の確保を目的として建築基準法が本年6月20日に改正されました。審査の厳格化や構造計算適合判定など新たな手続が追加されましたために、多少審査期間が長くなったりしております。また、申請者の方の手控えも見られるようでございます。
 県内の確認申請件数につきましては、改正前の5月から推移を比較いたしますと、駆け込み申請の影響で5月は対前年度比16.7%増でございましたが、同じく6月にも5.4%の増となってございます。改正後、7月以降は、7月につきまして47.5%減と著しく減少いたしておりましたが、8月には26.2%減、9月には17.7%減、10月には2.8%減となっておりまして、現在は昨年水準に戻っているものと思われます。
 国交省も、確認申請の円滑化に向けて施行規則を改正し、添付書類の簡素化など、さまざまな対応策を打ち出しております。県におきましても、相談窓口の設置や事前審査を実施するなどしておりますが、今後とも確認申請手続が円滑に進みますように努めてまいります。
 それから、議員御指摘の建築確認事務の迅速化についてでございますが、臨港道路に係る建築確認の迅速化、事務の軽減を図りますために、案件ごとに建築審査会の同意を得る必要がないように、特定行政庁から建築基準法第42条の位置指定を受けてまいりたいと考えております。
 議員御質問にありました和歌山下津港西浜地区や和歌山マリーナシティにつきましては、建築確認申請が多い地区でありますことから、特定行政庁であります和歌山市と協議いたしまして優先的に作業を進めているところでございます。
 最後に、日切れ法案未成立に伴います県への影響でございますが、道路特定財源の暫定税率等に係ります関連法案の日切れにつきましては、国全体の特定財源の税収が約2.7兆円の減収、それに伴いまして県の道路財源は約120億円の減収、県下の市町村も合わせますと170億円の減収となりますことから、財政状況が厳しい中、これからもまだまだ道路整備を進めなければならない本県にとりまして非常に大きい影響がございます。
 例えば、県民の悲願でございます近畿自動車道紀勢線や京奈和自動車道はもとより、例えば和歌山市内でも実施いたしております街路事業、こういったものもペースダウンするだけでなく、通学路におけます歩道整備、老朽化した橋梁の維持修繕など、県民の安全にかかわる事業ですら実施が困難になることが十分に予想されます。
 具体的には、既に契約している工事の債務分、舗装の補修などの義務的な経費の支出以外は極めて困難になり、既に事業中の区間であっても用地補償、工事の発注など新たな契約がしにくいなど、影響が生じることが十分に考えられます。和歌山県に真に必要な道路整備として今年8月に取りまとめた中期計画の実現が不可能になることは言うまでもございません。仮に、こうした減収分をすべて一般財源で補って道路整備を行うと、ほかの分野の予算を圧縮する必要が生じるなど、県の財政に重大な影響を与えかねない状況ともなります。
 このように、暫定税率等に係る関連法案の日切れにつきましては、県政にとりまして甚大な影響があると認識しております。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) C型肝炎対策についてお答え申し上げます。
 我が国には、肝炎ウイルスに感染し、あるいは肝炎に罹患した人が多数いらっしゃること、肝炎は適切な治療を行わないまま放置すると慢性化し、より重篤な疾患に進行する可能性があることなど、肝炎が国民の生命及び健康にとって重大な問題となっている現状にかんがみ、肝炎対策を総合的に推進するため、議員立法により与党から肝炎対策基本法案が、民主党から特定肝炎対策緊急措置法案がそれぞれ提出され、国会で審議されていると認識してございます。県といたしましては、国政の場における審議等を注視しながら肝炎対策を進めてまいりたいと思ってございます。
 なお、地方公共団体に新たな財政負担が生じる施策につきましては、十分に地方公共団体の意見を聞いていただくとともに必要な財政措置を講じることを全国知事会等を通じて国に対して要望しているところでございます。
 次に、C型肝炎ウイルス検査につきましては、感染者の早期発見と早期治療につなげるため、本県においては、既に平成18年4月から県立保健所でB型及びC型肝炎ウイルス検査を、感染の不安がある方を対象に無料で実施しているところでございます。検査を希望される県民が保健所以外でも検査を受けやすい体制の確立を図ることが重要であると認識しており、医療機関において無料で検査が受けられるよう関係機関とも協議を進めているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
 26番中 拓哉君。
○中 拓哉君 じゃ、再質問させてもらいます。
 県有の財産のことで疑問を持ちまして勉強しました。いろいろ自分なりに思うことを、それぞれ仕事してる方に、役人の方に聞きました。
 まず最初は管財課で聞きました。管財課は、今言うような総務部長の答弁で、「やってる、やってる」ということなんですけども、「じゃ、その管財課の仕事で回ってきたことだけでいいんですか。まだまだ原課が抱えてて無駄なとこあるんじゃないんですかという視点でもって調べたらどうですか」ということをしきりに聞いても、管財課さんは、うちの仕事じゃないみたいなことをしきりに言うわけですね。
 それで、原課に聞きますと、それは、「中議員言うように、例えば道をつけかえた、旧道残った。それを普通財産に戻して処分せなあかん」。しかし、そういうところができたとしても、管財課へ持っていくと、まあわかりやすく言うたら「のしつけて持ってこい」と。「ちゃんと客も探して、引き取ってくれるところも見つけてきてからうちへ持ってこい」、こういうことの発言というか説明がしきりにあります。(発言する者あり)ねえ。だからおかしいでしょと。
 だから、それはそれでいいんですよ。例えば雑草生えて草刈れと言われたって、管財課が刈りに行くわけにいかんのですから。原課で持っててそういう維持はするということも1つの利点はあるかわかりませんけども、そうしてたら、いつまでたっても処分しようかというモチベーションが働かないんですよね。
 いろいろ調べたら、土地の不整形があるとか何とかかんとかといってそれなりの理由はあるんですけど、理由はあって、ほっててええんかえと。やっぱりその理由を1個1個取り除いていって──県が引き続き使うなら使う、花壇にするなら花壇にする、それも1つの手やと思いますけど、ちゃんと片づけようらよ、片づけしようらよというのが趣旨なんですよ。
 それで、例えば、例はぴったし合わんかわかりませんけども、職員の不正がないかどうやといって、今までは人事考課でやってたわけですね。あるいは行政ホイッスルあったわけですね。しかし、木村さんの事件があって、仁坂知事が、それじゃいかんということで監察査察監をつくって、制度をつくって、今は改まってきてると思います。それと同じで、こういう、管財課もいろいろお仕事、日ごろのことが忙しいんでしょうけども、そういう目で見る人、県有財産をしっかり管理して、処分できるものは処分しよう、有効に使おうという部署が要るん違うんかえとしきりに言うんですけども、返事がないわけですよ。それでええんかの。
 それで、私なりに調べましたら、他府県でもやっぱり同じようなことが問題になってまして、全庁的にやっぱり委員会つくってます。名前は検討会であったりしますけども、要するにそういうとこを見つけて、やろうと。幸い、今は外部監査入れなあきませんね。外部監査の視点も同じですわ。会計士さんからしたら、「役所の財産てどうなってんのよ」。それでこういうほかのやつも調べさしてもうたら、台帳すらお粗末な状況なんですね。役人のする台帳すら、1つに貸してるのに2つで上がってみたり、そういうことをいっぱい指摘されています。
 和歌山県もそういうことを、今進んでるようですけども、そこをまずやった上で、その上でしっかり県民の財産やと。「もしこれ自分の土地やったらしますか」と言った。職員さんにね。自分の土地で遊んでてほったらかしときますか。違うでしょ。自分の土地違うて役所の土地やから、「まあええわ、まあええわ」で来るんですよ。そういうところの視点を変えてもらいたいんで、総務部長さんが、そういう御答弁かわかりませんけども、やっぱり全庁挙げてやるとか、あるいは今あるところをもう一遍ちゃんと点検するとか、そういう視点で取り組んでほしいな。
 それで、ほかにないかえ。新しい事業やって古いとこほったらかしてるとこ、ほかにないかえ。まあ答弁がないとこ見たら──答弁がないというか、あればと聞いてますから、ないからないんかわかりませんけども、もしあったときは、僕またここで指摘もさしてもらいますんで、その点、もし踏まえて総務部長のほうから御意見なり御答弁あればお願いしたいと思います。
 それで、特定財源。これはもう仁坂知事の先ほどの熱弁で熱意はわかりました。本当にテレビや新聞──新聞ではないですな、テレビのわかりやすい報道見たら、やっぱり「ガソリン25円取られへなして」、あるいは「灯油15円取られへなして」、このガソリン代払うたんびにそれがしんどいんですから、「そのほうがええわして」、こうなったら「そやな、そやな」と、こうなるかもわかりません。
 しかし、おっしゃったように子々孫々のことを考え、あるいは和歌山県でも道路懇談会をつくり、またこれもお金かけてその理屈を構築して──構築したと言ったらおかしいけど、ほんまに必要やからそういうことになるんでしょうけども、取り組んできている中で、今言うように参議院で──一般財源がええんか、特定財源のままがええんか、これはいずれ解散になって全国民が判断してくれたら僕はいいと思います。それはそれで大事な政治のマターだと思いますけども、とりあえず新年度予算組んで、今編成してて、県土整備部長のお話によると、「どころの街路がとまるかわからん」、「歩道の整備ができなくなって子供の通学に危ない」、あるいは「橋のかけかえ進まんかわからん」というたら、直接僕ら日ごろ使ってる道にかかわってくるじゃないですか。そういうところをやっぱり住民にも説明して、今組んでる予算がこうこうなんで、まあ国のけんかはけんかとして、とりあえず予算組んで、予算案が国で通ったとするならばその裏づけである日切れの法案もとりあえず通した上で、後で大きなけんかしてくれというのが私の考えなんですよ。
 ところが、国会は残念ながら──私どもから言うたら残念ながら──私ども21人しかありませんし、自民党さんも84人しかありませんし、110人そこそこですわ。一方、民主党さんとこはもう119人おりますし、ほか、共産党さんや社民党さん加えたら130人ですね。こういう中でいけば、もう間違いなく法律は切れます。
 切れたらどうなるんよということをまた私なりに勉強したいなと思ってやるんですけど、それがなかなか難しくて、僕が払うたガソリン代、3月末に入れんのと4月に入ってから入れんのとどう違うんよ。これは法律ないから25円安いと、こういうことなんですけども、3月に払うたガソリン代がどういう感じで国へ入んのよということを調べてもらったり、あるいは灯油のことも調べてもらったりしたら、結局6月や7月に国の財布に入って、その中、地方へ回ってくるのが、例えば地方道路譲与税なんかは3月から5月までの3カ月分が6月に国に──その前に国に入ってるんですね──国に入ってて、3月から5月までの分の中で国から、国庫から和歌山県に回ってくるんですけども。3カ月分回ってくるんですけど、3と4はちゃんと入ってくるけど、5月は日切れの関係でその分減ってしまうとか、非常に混乱を来すわけです。
 たちまち契約の支払いができやんということはないと思いますよ。ないけども、契約したことは払うていかんなんから、県の財布の中からお金は渡していかなあかん。そうすることによって、どっかでお金が足りなくなる事態が起こりますから補正を組まなあかん。じゃ、その時期はいつよといったって、それは今は言えません。こういうことですよね。だから、いつお金が穴あいて、いつそういう判断していくんよということに──もうたちまち3月の末、通らないということがもし確かであればですよ、やっぱり準備もしとかんなんことですわ。そんな中で、そうならんように通してもらいたい。
 幸い私も、その11月11日のみなべ─田辺の開通式に行きました。知事のごあいさつ、たった5分の中で「えー」というのを私、勘定したら75回あったんで、「えー」が多いなと思った。それはまあ余談ですけども、その後、大江さんの話の中で、大江さんは力強いあいさつでした。「和歌山は中連立でやってるやないか」と、「私はその国土交通の理事でもあるし、そんなことは関係なしに通すんだ」と、非常に力強いごあいさつでございました。その点はこの前テレビでも、立派にやってると、そういうことは拝見した方から聞きました。私自身は見てませんけどね。
 そういう中で、仁坂さんの人脈なり皆さんの人脈で何とか参議院の中でこの問題だけは可決していくような方向で──もし仁坂さんにそういう魂胆というか算段というか、つもりがあれば、お答えしていただけたらなと思って質問した次第でございます。そういう再質問の気持ちを受けて、なおその道があればお示しいただきたいと思います。
 以上です。
○副議長(新島 雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先ほど申し上げましたような和歌山県の悲願を、知事として県政を預かっている限り、無視することはできません。
 それから、私は、単に日々の暮らしだけじゃなくて、和歌山県の、住んでいる方々の暮らしがこれからどうなっていくかということについても責任があると思います。したがいまして、本県の問題を、そういうことを大いに訴えて、自分の人脈だけじゃなくて、ありとあらゆる手段を講じてできるだけわかっていただけるようにしていきたいと思います。
 和歌山県を代表しておられる県議の方々もぜひお力をおかしいただけますように、与野党を問わずお願い申し上げます。
○副議長(新島 雄君) 総務部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○総務部長(小濱孝夫君) 中議員の再質問にお答えいたします。
 用途廃止された財産につきましては、道路や河川等で用途廃止したものなどはそれぞれの担当部局で管理をしておりまして、そのすべてを総務部で把握しているものではありません。これは議員御指摘のとおりであります。しかし、処分あるいは利用可能なものにつきましては総務部で把握しておりまして、その数につきましては、現在総務部で把握しておりますのは20数件であります。この中には、議員御指摘の旧白浜空港跡地も入っております。
 一層の取り組みを進めていくために、売却等含め、効果的な利活用を検討するための全庁的な体制づくりをいたしまして、今後、早急に取り組んでまいりたいと思っております。
 以上です。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再々質問を許します。
 26番中 拓哉君。
○中 拓哉君 知事の決意のほど、よくわかりました。ともどもに頑張りたいと思います。
 また、庁舎管理につきましても、よくわかりました。ただ、やっぱり全庁的に今、総務部さんがつかんでるとこだけかの、それだけかのというのが今でも疑問に思いますんで、私もまた勉強しまして、こういうところも抜けてるんじゃないか、こういったことをこの場で指摘していきたいと思います。
 以上、これは私の決意と感想を申し上げまして、第3問を終わります。
 以上です。
○副議長(新島 雄君) 以上で、中拓哉君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 20番藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕(拍手)
○藤山将材君 4番バッターと言えば聞こえはいいですが、本日のラストバッターを務めさしていただきます。皆さんお疲れのところだとは思いますが、できるだけ質問は簡素につくってきたつもりでございます。当局の皆さんにおかれましては、何とぞ前向きな御答弁、よろしくお願いを申し上げます。
 では、議長のお許しをいただきましたので一般質問に入りたいと思いますが、質問に先立ちまして御報告申し上げます。
 去る10月18日、中村裕一議長を団長に、浅井修一郎議員、花田健吉議員と私は中国陝西省の西安市を訪問してまいりました。その目的は、西安中学の創立100周年記念式典に出席をし、また、翌19日から大連市で開かれるアジア観光博覧会を視察するためであります。
 西安中学校と和歌山県立日高高校は姉妹校となっており、山下眞玄校長御夫妻に記念式典の御案内をいただいたからでありますが、日高高校は中村議長や冨安議員、花田議員の母校でもあり、西安市の要請もあり、同行することになりました。
 そもそもこの西安中学校と日高高校が姉妹校となるきっかけとなったのは、3年前、全国で公募された海外短期留学生の1人に日高高校の女子生徒が選抜され、西安中学校に派遣されたことに始まります。この女子生徒は、成績も大変優秀だったこともさることながら、日本人としての品格や礼儀正しさに西安中学校の関係者が大変驚かれ、高く評価をしてくださり、ぜひ出身校である日高高校と交流を図りたいとの親書が届いたことから始まったとお聞きをいたしております。
 通常、姉妹都市や姉妹校等の提携は、政治、行政上の意図や都合により結ばれることがほとんどではないかと思いますが、まさしくこの姉妹校の提携は、本県の1人の女子高生が心で結んだ友好のきずなであり、大変貴重なケースだと言えます。
 一昨年に締結し、昨年は日高高校の生徒が西安中学校のお世話でホームステイをさしていただき、中国の文化や歴史、生活等、充実した体験学習ができ、すばらしい成果を上げたと聞いております。また、ことしは西安中学校から8名の生徒と教職員が本県を訪れ、友好の輪を広げるとともに、世界遺産である高野山、白浜のワールドサファリ、また和歌山市においては県庁や和歌山城を訪れ、本県のすばらしい自然に感動し、また和歌山の歴史と文化を学んで帰国されました。
 御承知のとおり、西安は、1200年以上も前に高野山金剛峯寺の開祖であります空海上人が遣唐使として派遣され、修行された唐の都・長安の現在の都市名であります。修行された寺は青龍寺と言いますが、空海上人出身の四国4県で復興され、現在、ゆかりの品々が展示をされております。四国八十八カ所を回られる中でも特に熱心な方は、この青龍寺をゼロ番所と位置づけて、まずこの青龍寺を訪れてから四国の八十八カ所を回られるそうであります。ただ、残念だったのは、せっかく弘法大師が開かれた高野山がある和歌山県がこの青龍寺で全然名前をお聞きできなかったのが、ちょっと残念な気持ちでありました。
 私も、1200年の時を超え、空海上人や当時命がけで海を渡った遣唐使と同じ大地に立っていると思うと、非常に感慨深いものがございました。
 私たち一行は北京経由で西安に入りましたので、到着は夕刻になりました。早速、西安中学校の関係者の皆さんに大変御丁重な歓迎を受け、意見交換の場を設けていただきました。そして、翌日の記念式典は午後3時からでありましたので、午前中は中国が誇る世界遺産である秦の始皇帝陵と兵馬俑を見学いたしました。皇帝の墳墓を守るために地中に建設された、その圧倒的な規模と実物大の精巧な兵馬俑に驚嘆をいたしました。
 さて、西安中学校は中国では大変優秀な進学校として有名であり、たくさんの著名な卒業生を多く輩出しております。生徒数は約4000名もあり、近隣の都市ばかりではなく遠方からも優秀な生徒が集まっており、約3800名の生徒は学生寮に入っていると聞きました。校舎も近年建てかえられた大変清潔感のある校舎で、生徒は礼儀正しく、私たち一行の校内見学の案内役を務めていただきましたが、そのきびきびとした対応や丁寧な説明に大変好感を抱きました。
 そして、100周年記念式典では、中村議長と山下校長が、数千人の聴衆が見守る中、壇上において来賓として御紹介をいただきました。私たちは、次の目的地であるアジア観光博覧会の会場がある大連市に向かわねばならず、その式典終了後、直ちに空港に向け出発をいたしました。
 大連に着いたのは、もう夜の10時を過ぎており、遅い夕食をとり、翌日の博覧会に備えました。同日の夕刻、その大連市では観光博覧会のレセプションが行われておりましたが、中村議長の到着が間に合わないということで、井出益弘議員が代表で出席をしていただきました。
 翌日、井出議員と合流し、県の職員の皆さんに御案内をいただき、観光博覧会の会場に入り、アジア各国のブースを見学さしていただきました。もちろん、日本各地からも出展されていましたが、和歌山県のコーナーは工夫も凝らされており、大変盛況で、中国を初め各国の見学者の方が次々と訪れてパンフレットを持っていかれる様子を見て、改めて本県の観光資源の豊かさを再認識するとともに、さらなるPR活動を繰り広げることにより、まだまだ多くの人々が和歌山を訪れていただけると確信をした次第でございます。
 その日の午後、私たちは大連市役所を訪問し、大連市人民代表大会常務委員会副主任である劉長徳氏や幹部の方々と懇談し、和歌山県と遼寧省大連市が今後さらに観光や経済を通じてよい関係を深め、相互交流の輪を広げていくことで意見が一致いたしました。夜は、お互いの親睦を図るため懇親会を持ち、大変有意義な1日でありました。
 翌日、井出議員の御案内により、遼寧省の省都であります瀋陽市を表敬訪問いたしました。瀋陽市は、「ラストエンペラー」で有名な清国の首都であり、また満州国の中枢都市で有名であります。しかし、当日は書記長である李克強氏が全国人民大会出席のため北京に行っておられ、副市長ほか幹部の皆さんの歓待を受けました。
 日本に帰って間もなく、次期中国の若手指導者の1人に李氏の名前が世界的に大きく報じられ、胡錦濤国家主席の後継者の1人として今後最も注目されるであろうとの報道に驚きました。
 こうして私たち一行は、無事10月の22日に関西空港に到着をいたしました。
 中国沿岸には数百万単位の都市が数多くあり、その経済発展を考えるとき、本県も農産物や県産品の販売戦略を早急に具体化していかなければならないと強く感じます。仁坂知事初め当局の皆さんには、JAや関係諸団体と連携をとりながら、一刻も早く戦略会議を持ち、具体的な対応を希望するものであります。24時間運航可能な関西空港を武器に大消費地にいかにアプローチしていくかが、今後、本県の発展を左右する大きな要因であると同時に、無限の可能性を和歌山県に与えてくれる地域であると考えます。
 知事も、先般、山東省を訪問されましたが、今後、より一層交流を深めていただけますようお願いを申し上げ、報告を終わり、引き続き質問に入らせていただきます。
 さて、今、報告の中でも触れさしていただきましたが、中国やインドを中心として、アジア諸国の成長は目まぐるしいものがあり、観光、ビジネスともに大きな需要増が見込まれています。ある商社の方から聞いた話によりますと、海外から日本への販路というのはほぼ成熟しているのに比べ、日本のものを中国に売るルートというのはまだまだ未成熟だそうであります。
 8月2日には関西空港第2滑走路がオープンし、24時間眠らない国際貨物ハブ空港として大きく注目されているわけでありますが、この好機を的確にとらえ、関空に隣接する地の利を生かして、農林水産物を初め梅干し、しょうゆなどの加工品のほか、県特産品の海外への輸出を進めていく絶好の機会であると考えます。県としての販路開拓等に係る今後の戦略等について、現在の取り組みも含めてお聞かせください。
 また、国内においては、高い商品開発力と広い販売網を持つ量販店、スーパーとの協働なども実施をしておりますが、先日、観光振興として県発行の「紀州浪漫」を設置していただき、現在お弁当の分野でも協働していただいているあのセブン-イレブンで知事のポスターをお見かけしました。
 お弁当の陳列場所をのぞいてみましたら、競争激しいコンビニ弁当の中で、一番売れ筋が置かれる棚に、空揚げ弁当とかハンバーグ弁当などと並んで置かれていました。以前、テレビで見たんですけども、コンビニの陳列というのは、一番上はおむすびを置いてまして、下に行くほどよく売れるものが置かれるそうであります。一番下の一番のぞき込める棚にそのお弁当が置かれてたわけでございます。
 ふだんは派手な弁当を好む私でありますが、試しにその「紀州産しらすと梅煮しめのお弁当」を食してみました。派手さこそありませんが、コンビニで売られるお弁当にしてはおかずはかなり多く、聞いてみますと実際よく売れているそうで、和歌山限定販売だったのが最近県外でも販売されるようになったというのも、うなずける話でありました。素材のよさはもちろんでありますが、知事のトップセールスを初めとする各方面への働きかけの成果を実際見て感じることができたわけでありますが、今後、新たな取り組みなどについて、先ほどの項目とあわせて知事にお伺いをしたいと思います。
 次に、2次元バーコード(QRコード)を活用した販路拡大についてお尋ねをいたします。
 QRコードというのを御存じでない方もいらっしゃるかもわかりませんけども、今、新聞とか週刊誌とかそういったたぐいのもん、またいろんなポスターみたいなもんに、四角い中にモズクみたいなぐちゃぐちゃとなったようなもんがプリントされてるんをよく見かけるんですけども、簡単に言えば、それを携帯のカメラで撮って、そこに含まれてるその情報を映し出すというんですか、インターネットにすぐアクセスできるとか、今までみたいに「http」みたいな形で一々打たんでもすぐアクセスできるという便利なもんを今よく見かけるんでありますけども、販路開拓等を進める上での一工夫について私なりに提案さしていただきたいと思います。
 高度情報化の現在、インターネットはもちろん、契約者数が1億人にも迫り、「携帯電話依存症」と言われる言葉ができるほど携帯電話というのは私たちの生活になくてはならない存在になりました。町や電車の中でも、メールやインターネットをされているんだと思いますが、携帯電話とにらめっこをしている人がどれほど多いことか。
 現在、和歌山県の携帯電話用のホームページ、いわゆるモバイルサイトでありますが、この和歌山県情報館というモバイルサイトでありますが、そのどこを探しても観光とかの情報──桜の見ごろとかそういうのは載っているんですけども、本県の県産品を紹介するような情報というのはどこにも掲載されておりません。
 販路開拓を図っていく上でインターネットの活用は当然のことでありますが、例えば県が推奨する優良県産品であることを示すシール──銀色のシールに和歌山の青い字で県推奨品、和歌山のデザインされた張ってるやつなんですけど──そこにそのQRコードも一緒に載せて携帯電話のカメラで読み取れるようにして、県が中心になって設けたモバイルサイトに簡単に接続できるようにすれば、直接消費者に対して県産品の認知や購入機会の拡大につながっていくと思いますが、いかがでしょうか。
 そのほかにも、ちょっとした工夫で販路拡大につながることがあると思いますが、県として新たなアイデア等があればお示しをいただき、あわせてこのQRコードを活用する手法の導入について商工観光労働部長にお尋ねをいたします。
 また、QRコードは農水産物等の販売促進においても非常に有効であると考えております。一部の農園などでは、QRコードに生産者自身の住所や氏名、顔写真に至るまでの情報を入れることにより、現在、産地偽装などが後を絶たず食に対する不信感が強まる昨今、より食の安全を求める消費者ニーズにこたえるべく、既に取り入れたりされています。ぜひとも県が中心になって運営していますインターネットショッピングモールであるふるさと和歌山わいわい市場での活用について、これは農林水産部長にお尋ねをさしていただきます。
 3つ目、地球温暖化対策について2点お尋ねをさしていただきます。
 去る10月に発表されました本年度のノーベル平和賞の受賞者は、「不都合な真実」の著者であるアメリカ元副大統領のアル・ゴア氏と国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)でありました。この「不都合な真実」は、ゴア氏が温暖化へと突き進む地球を憂い、温暖化によって引き起こされる数々の問題を説くもので、後に映画化され、アメリカで公開されるや否や、ドキュメンタリー映画史上に残る記録的大ヒットとなった話題作でありました。文部科学省特選作品でもありましたが、私はあいにくこの映画を見損ねてしまい、本を買って読んでみました。
 内容をまとめると、地球は、二酸化炭素を初めとするさまざまな温室効果ガスにより、大気中に太陽熱を閉じ込めることで自然に地表を温めています。その恩恵を受けて生き物は地球に住むことができますが、森林の伐採に始まり、化石燃料の燃焼などにより、産業革命以降、人類は大気中の二酸化炭素濃度を劇的に増加させており、地球の気温は上昇を続けています。それが自然現象ではなく、私たち人類の活動に起因するものだということは論をまちません。
 氷河は解け出し、動植物は生息地を追われ、熱波や干ばつ、集中豪雨などが増しております。例えば、アメリカで災害史上最悪の被害をもたらしたカトリーナ級のハリケーンの発生数が過去30年でほぼ倍増しておりますし、マラリアの生息地がアンデスなどの高原にも広がり、グリーンランドの氷河の流出量が過去10年間で2倍以上に増加をしています。このまま温暖化が進めば破壊的な事態が予測されるとして、次のようなことを挙げています。
 グリーンランドと南極大陸の棚氷の消失により海面が大幅に上昇するため、世界地図を書きかえなければならないほどに海岸線が変化をいたします。熱波の頻度と激しさが増し、干ばつや山火事も増加をします。2050年までには夏の北極海から氷が消え、100万種以上の動植物が絶滅をします。2100年には、地球の肺と言われる地球上の淡水の20%をたたえるアマゾンや東南アジアの原生林も砂漠と化してしまう。こうした異変はすべて温暖化が原因であるとされております。
 そういった今の状況の中で、ゴア氏が人々の意識改革に乗り出すべく地球と人類の危機を訴えてきたというような内容でありました。この「不都合な真実」は、さまざまな科学者の意見を集約したものであり、決して大げさなものではないようであります。
 一方、IPCCも温暖化の実態と今後の見通しについての報告書を発表しておりますが、その根拠となるのは横浜市にある地球海洋機構の地球シミュレーターというスーパーコンピューターの計算によるものであります。
 先々月、上京した折に訪れてまいりました。体育館2つ分ほどのとても大きなコンピューターで、行ったからといって何が見えるというものではありませんでしたが、お話を伺うと、普通のコンピューターが丸1日かかる計算をたった1秒でやってのける世界有数のスーパーコンピューターだそうで、海と大気を1億1000個の格子に分け、そこに気温や風、海流などの情報を入力し、本物そっくりの仮想地球をつくり上げ、そこにCO2濃度などを入力していくと未来の地球の姿がわかるというもので、天気予報のように、いつ、どこに雨が降るというものを予想するものではありませんが、近未来、100年先までの気候をシミュレーションできたのだそうであります。
 半信半疑で聞いておりましたが、地球シミュレーターが計算を始めてまだ間もないころ、南大西洋の温帯で低気圧が発達するさまを仮想地球が示したそうであります。気候学者たちも何かの間違いだと思ったそうでありますが、事実、その数年後、台風、ハリケーン、サイクロンといった、それまで呼び名すらなかった大西洋上で猛烈に発達した低気圧によりブラジルで4万棟を全壊させる被害が出たことにより、皮肉にもそれが地球シミュレーターの実力をあらわす1つの結果になったそうであります。
 その地球シミュレーターの予測によると、2100年ごろの東京の気候はといいますと、今よりも温暖化が進み、紅葉の見ごろは1月にまでずれ込みます。4月、桜の季節には初夏を思わせる日差しが照りつけ、5月の端午の節句には海開きが開かれるようになり、30度を超える真夏日は現在の45日から100日程度にまでふえ、1年の半分が夏になるそうであります。気候だけでなく、例えば今は台湾の南部が北限で、人間を死に至らしめることもあるデング熱を媒介する熱帯シマカの生息地域などにもなってしまうそうであります。そうなると、もはや温帯とは言えません。
 この報告書を受けて、日本の科学者たちは、温暖化が人間社会に及ぼす影響は重大であり、そのような未来を子供たちに残してはいけない、政府はもちろんのこと、都道府県や市町村も低炭素社会に向けて大きな責務があるわけであり、積極的に対応をすべきであると緊急メッセージを発しております。
 これらの情報を目の当たりにしてみますと、私たちが生きている今のこの時代から子供たちの時代に確実に世界的に大変な事態が起こることが想定され、決して遠い未来の出来事であったり映画の中での話ではないと、身につまされる思いで帰ってまいりました。
 現在の日本の温室効果ガスの排出量は増加する一方であり、本県もまた2010年に達成すべき目標数値に及ばず、増加をしております。これまでも温暖化対策や環境問題については、先輩・同僚議員からさまざまな質問、提案がなされてまいりましたが、科学の進歩で何とかなるなどと楽観することなく、これまで以上に本気になって温室効果ガスの抑制、すなわち低炭素社会に向けた対策を講じていかなければならないと考えます。
 そこで、以上御説明申し上げた現状や数値についての感想や御所見、環境立県をうたう本県が目指す方向性について知事にお伺いをさしていただきます。
 最後に、温室効果ガス排出抑制の取り組みとCO2排出軽減に寄与するLED照明の導入についてお尋ねをさしていただきます。
 先月、岡山県を訪れたときのことであります。路線バスに乗っておりましたら、夜だったのでたまたま気づいたのですが、少し変わった歩道照明を見かけましたので、バスが信号待ちで停車した際によく見てみますと、光源にLEDを用いた照明でありました。
 御承知のように、LEDは、炎、電球、蛍光灯に次ぐ第4世代の光と言われ、明るさ、長寿命もさることながら、エネルギー効率が非常に高く、環境負荷が少ないため、今では携帯電話、自動車のブレーキランプやインパネのメーター類、看板、球場やビルの大型ディスプレー、そしてこれからの時期、私たちの目を楽しましてくれるクリスマスのイルミネーションなど、今では大変身近なものになっております。
 調べてみますと、大阪府は全国に先駆けLED道路照明を導入し、横浜市も、行政課題解決型技術革新事業の一環で、民間企業に助成をしてソーラーバッテリーと組み合わせたものを開発し、昨年の4月から設置をしております。こちらの方は、何と10年間メンテナンスフリーでいけるんだそうであります。まだ本県では道路照明や歩道照明などには導入されていないようでありますが、信号機は現在すべてLED式の仕様とされ、順次整備されております。
 もともとはLEDの持つ視認性を生かし、西日対策として導入されたそうでありますが、耐用年数が電球の1年というのに比べLEDは8年から10年ということや、消費電力が4分の1で済み、信号機自体のコストは電球式の約2倍というものの後々負担が少なくなるとともに、発電に伴う二酸化炭素の排出を低減し、結果として温暖化防止に寄与しているものと言えます。これは、信号と同じく県下に数多く設置されている道路や歩道、トンネルなどの照明のたぐいにも同じことが言えるのではないでしょうか。
 そこで、県土整備部長にお尋ねをいたします。
 京都議定書の発効に合わせて改正されました地球温暖化対策推進法の第20条に基づき、本県でも平成18年3月に和歌山県地球温暖化対策地域推進計画を策定し、具体的な取り組みとして、グリーン販売、グリーン購入の推進、また省エネルギー型電気機器等の優先的な使用の促進というのを挙げておられますが、これまでに進められてきた環境に対する配慮や温室効果ガス抑制に対する取り組みなども含めて、LED照明の導入についてのお考えをお聞かせください。
 以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの藤山将材君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 農産物、加工食品等の販路開拓についての御質問について申し上げたいと思います。特に、海外戦略と国内の取り組みについてお答え申し上げます。
 本県には、御承知のように全国1位を占めるミカン、柿を初めとする安全でおいしい農水産物や加工食品が数多くありまして、元気な和歌山を実現していくためにはこれらの販売促進が大変重要であると考えております。そこで、県では7月に販売促進のためのアクションプログラム2007を作成し、販売促進へのさまざまな取り組みを始めたところでございます。
 この中で、海外戦略につきましては、議員お話しのとおり、近年、中国を初めとするアジア諸国は著しく経済成長を遂げておりまして、富裕層もできております。したがって、和歌山にとりましても大変魅力的な市場であります。このため、輸出に関する専門的な知識を有する商社OBをアドバイザーに迎えるとともに、10月には農水産業の生産者団体や輸出に取り組む企業等を構成メンバーとする和歌山県農水産物・加工食品輸出促進協議会を設立いたしまして、10月から11月にかけては台湾、香港で、それからマレーシアなども含めまして和歌山フェアを開催するなど、大いに和歌山の産品をPRしてきたところでございます。
 今後は、海外バイヤーを招聘しての商談会を開催するとともに、中期的な視点に立って対象国ごとの品目を明確にするなど、新しい輸出戦略の構築に向け、積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 さらには、中国については、現在、リンゴとナシ以外は検疫の関係でなかなか持ち込みにくいというところもございます。農林水産省及び外務省に交渉していただかないといけないのでございますけれども、これについては、さらに積極的に後押しできるように努力をしてまいりたいと思っております。
 国内対策につきましては、東京、名古屋、大阪といった大消費地のトップセールスや量販店でのフェアなどのほか、来年2月には大阪市で和歌山産品商談会を本年に続きまして開催するとともに、3月には幕張メッセで開催されます世界的規模の食品・飲料展示会であるFOODEX JAPAN2008に──これは10万人ぐらいのバイヤーが来ると言われておりますが──国内自治体としては最大規模の陣容で出展をするなど、本県農水産物、加工食品を大いに売り込んでまいりたいと考えております。
 とりわけ、生の青果に加えまして、加工品はこういうプロモーションに大変有効であると思います。特に本県では、有名なモンドセレクションで全国の何と10分の1もの最高金賞、金賞を獲得してる企業がたくさんあるわけであります。それ以外の企業も十分有望だと思います。最近では、ある県議さんに御紹介いただいて、新しいタイプの押しずしを発売するんだという非常に立派な企業がお見えくださいまして、非常に力強い思いをしたところでございます。県内でも、県のこういう取り組みにこうしてだんだんと「よし、一発頑張るか」というような感じが出てきてるんじゃないかと期待しているところでございます。
 それで、今後とも生産者や関連企業とも協働して、工夫を凝らしながら、県産農水産物や加工食品の販路開拓にぜひ取り組んでまいりたいと思っております。
 続きまして、地球温暖化対策でございます。
 議員御指摘のとおり、地球温暖化問題は気候の変動をもたらし、生態系への悪影響や人間への健康被害、自然災害の増加など、その影響の大きさ、深刻さから見て人類の生存基盤にかかわる最も重要な問題の1つだと考えております。喫緊に取り組むべき課題であると考えております。
 このことから、本県でも昨年3月に和歌山県地球温暖化対策地域推進計画を策定いたしまして、京都議定書による温室効果ガスの6%の削減を上回る、森林による吸収6.7%を含む最大10.6%の削減を目指すとともに、本年3月には和歌山県地球温暖化対策条例を皆様の御議決により制定し、大規模事業者を対象として温室ガス削減の中で中長期計画の提出等の義務づけを行うなど、さまざまな施策を実施してまいったところであります。
 今後とも、環境対策、とりわけ地球温暖化対策を県行政の柱の1つとして位置づけまして、環境先進県和歌山を目指して、行政による温室効果ガスの排出抑制の推進のみならず、あらゆる主体が地球温暖化対策や資源等の循環的利用などに積極的に取り組んでいけるよう県行政を推進してまいりたいと、そういうふうに考えております。
○副議長(新島 雄君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 優良県産品推薦制度での2次元バーコード、いわゆるQRコードの活用につきましてお答えいたします。
 優良県産品の推薦制度につきましては、現在、関係部局を交えて、現行の優良土産品推薦制度を発展させる形で検討を進めてございます。新しい制度では、従来の加工食品と工芸品に生鮮物も加え、すぐれた県産品を広く消費者にPRしていくこととする予定でございます。
 年内にも携帯電話の契約台数が1億台を突破すると言われている今日の情報化社会において、議員御提言のQRコードの活用につきましては、消費者に県産品を紹介する極めて効果的な手法の1つであり、現在検討中の新たな制度におきまして取り入れてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 2次元バーコード、いわゆるQRコードを活用した販路開拓についてでございますが、先般、大手量販店で実施をいたしましたみかん船プロジェクト、ここにおきまして、そのQRコードを用いまして、ことしのミカンの作柄とかできばえ、また観光情報などを入れまして消費者に提供し、販売促進につなげる取り組みを行ってございます。
 携帯電話やインターネットを活用した電子商取引につきましては、今後ますます拡大していくということが予想される中でございまして、平成13年に設置をいたしましたインターネットでのショッピングモール、いわゆるふるさと和歌山わいわい市場の運営におきましても、変化するネット環境への適切な対応と、そういうことを図っていく上において、システムの再構築を視野に入れて運営改善の検討を行うこととしてございまして、その中で、お話ございましたようにQRコードを活用して携帯電話から手軽にわいわい市場にアクセスできるような検討も行ってまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 議員お尋ねの温室効果ガス排出抑制の取り組みとLED照明の導入についてでございます。
 まず、道路における温室効果ガス抑制の取り組みといたしましては、走行速度の向上が不可欠でありますので、バイパス整備、交差点のボトルネック対策、交通渋滞の緩和・解消を図っておるところでございます。
 また、省エネルギー型の機器等の導入も重要な課題であり、御指摘のとおり、道路照明におけるLEDの導入も有望な候補の1つであります。
 LEDは、消費電力が従来型の照明に比べまして少ない一方で、現段階ではまだコスト面で課題もあると聞いております。
 本県といたしましては、今後、価格の動向も踏まえ、検討してまいりたいと考えております。県営住宅、それから県営都市公園につきましても、道路照明と同様、製品の開発動向等を踏まえ、検討してまいりたいと考えております。
 なお、本県では、平成18年3月に地球温暖化対策地域推進計画を取りまとめたところであります。その中で、例えば物流の効率化、資源の循環利用などを推進することといたしておりまして、今後ともこうした課題に積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 以上です。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
 20番藤山将材君。
○藤山将材君 御答弁いただきました。
 LED照明についてなんでありますが、御答弁いただいた中で、知事は、環境先進県和歌山を目指して取り組んでいくという御答弁いただいたんですが、LED照明については、「コスト」「価格の動向」「コスト」と3回──CO2削減のための取り組みでお話しさしていただいてるのに、ちょっとコスト意識がすごい強いなというふうな自覚を非常に受けました。
 もう少し研究していただいたらおわかりになると思うんですけど、(「ランニングコストは安くなんのやな。わかってるか」と呼ぶ者あり)いや、それで、研究していただいたらわかると思うんですけども、例えば道路照明というような大きな容量を持たれる分に関しては、まだまだランニングコスト的なもんも含めて合わないと思うんですけども、ただ、身近なもんでいけば、例えば蛍光灯のたぐいであるとか、そういったものというのはどんどん取りかえていくわけですよね。
 それで、今であれば、ざっと40ワットとかそれぐらいであれば、大体普通の蛍光灯であれば1000円、LED式であれば3000円。これ、もう電気代は、大体40ワットであれば15ワットぐらいでおさまりますんで、もう十分コスト的にも元とれる話でありますんで、やっぱりそのCO2を削減していく、県として取り組んでいくという1つの県民の目から見てもわかるようなことで──今回、県土整備部長にお尋ねしましたけども、やっぱりこういうCO2削減に向けての取り組みというのをぜひ全庁挙げて取り組んでいただきたいと思います。要望です。
 以上です。
○副議長(新島 雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤山将材君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時35分散会

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