平成19年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(野見山 海議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 45番野見山 海君。
  〔野見山 海君、登壇〕(拍手)
○野見山 海君 おはようございます。
 通告に従いまして、議長のお許しをいただきましたので、質問をさしていただきます。
 最初に、南北格差是正についてお伺いいたします。
 さきの県会議員選挙において、私は「なくせ格差、紀南に光を」とスローガンを掲げて選挙戦を戦い、県会に送り出していただきました。これは、多くの住民の皆さんがこのスローガンに心を寄せ、支持をしていただいた結果であると思っております。
 ことし7月末の参議院選挙におきまして、格差是正を訴えた野党候補者が大きく票を伸ばしましたが、これも国民の多くが格差是正を望んでいるあかしであると私は考えます。
 国が構造改革を進める中、格差と言われるさまざまな問題が生じています。地方人口が減少し、その結果、雇用の場や医療機関が減少するなど、地方は悪循環に陥っております。国は、地方の状況を把握するために進んで地方に足を運び、地方の皆さんの声に真摯に耳を傾け、地域再生に向けての取り組みをされようとしております。私も、その成果を期待するところであります。
 仁坂知事も、就任されてからはや1年が経過しようとしています。この間、県内各地域を回られ、地域の声をお聞きになられたと思います。今や格差是正は国民や県民の声でありますが、知事はこうした声にどうこたえるのか、まず格差是正に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 現在、我が国では、雇用や所得などさまざまな分野で格差が進行し、その格差が都会と地方という地域間の地域格差としてもあらわれていると言われております。
 和歌山県におきましては、紀北と紀南の地域格差が大きく、その解消が依然として大きな課題となっております。特に紀南は、都会と比べ、公共交通、雇用、教育、医療、スポーツ及び福祉施設など、多くの分野で立ちおくれが指摘されております。この結果、多くの若者が都会へと流れ、過疎化の進展に歯どめがかからず、特に山間部では65歳以上の老人が50%以上を占める、将来に集落維持が困難になりつつありますいわゆる限界集落がふえ続けております。
 昨年度の総務省の調査、最近の新聞報道によりますと、限界集落は全国で7878、近畿圏では417あり、そのうち本県が半数近くを占めております。
 ことしの6月16日付の「紀伊民報」では、田辺市が市内の限界集落の実態調査を行ったと伝えています。田辺市にある35の限界集落のうち幾つかを選び、住民から聞き取り調査を行ったようでありますが、多くの住民から、「病院や買い物に行くのに自家用車を利用しているが、高齢化でだんだん車を運転できる人が少なくなり、将来どうすればいいのか」、「災害時に集落が孤立するのではないか」といった不安や、「有害獣による農作物被害が多くて困る」といった声が寄せられたと言われております。
 私も実際に過疎地域を何回か回ってみましたが、お年寄りから同じような悩みを聞きながら、格差社会の矛盾が今、紀南の山間部に集中的にあらわれていることを肌で感じました。
 格差を是正し、限界集落を再生させることは、政治の大きな責務であります。どう再生させるのか、大変難しい課題であります。
 ことしの10月18日、19日の2日間にわたり、綾部市で限界集落の再生を考える全国水源の里シンポジウムが開かれ、この中で注目を集めたのが地元綾部市の水源の里条例でした。上流部の水源の里に人が住むことで森林環境が守れ、森林環境が守られれば下流の住民も水質汚濁や水害などから守られるという考えから限界集落を水源の里としてとらえ、みんなで支援していこうという全国初の条例であります。
 綾部市は、市内5つの限界集落を支援対象に選び、4000万円の予算を組み、5年間の期限つきで特産物開発や空き家の活用による新住民の誘致などに助成するそうですが、これまでの過疎対策と違ったところは、行政が規格品を押しつけるのではなく、住民みずから自立への道を考えて取り組み、行政がそれを支援するということです。
 限界集落再生の道は数多くあろうかと思いますが、私は1つの道が示されたのではないかと思います。知事は、こうした取り組みをどう評価され、本県の限界集落再生に向けたプログラムをどうつくろうとされているのか、お伺いいたします。
 次に、阪和自動車道の南紀田辺インターチェンジ開通に伴う諸課題についてお伺いいたします。
 去る11月11日、阪和自動車道みなべ―田辺間が開通し、田辺―大阪間が2時間足らずで結ばれるようになりました。私も記念式典に出席させていただきましたが、地域住民の長年の悲願であっただけに、大変感慨深いものを感じました。地元では、これによって京阪神が近くなり観光客がふえる、国道の渋滞が緩和されるなど多くの期待を寄せているところであります。この阪和自動車道の開通を真に地域の発展に結びつけたいと思います。
 活力ある地域、安心・安全な地域づくりの課題も多くあります。まず、高速道路と出口付近の交通安全対策であります。
 高速道路と申しましても、中央分離帯のない片側だけの2車線道路でありますから、目が疲れ、眠くなると訴えるドライバーも多くあります。しかも、トンネルが多い区間であり、事故が起これば大惨事につながりかねません。加えて、出口付近は急カーブであるため、十分な減速が必要であります。さらに、インターチェンジへのアクセス道路では、自動車が集中し、混雑と事故が予想されます。
 4年前、阪和自動車道がみなべまで開通した直後には、出口付近で追突事故等が多発したことがあります。平成16年には、人身事故69件のうち、御坊―みなべ間で起きた人身事故は23件に上りました。そうした教訓を踏まえて、今回は開通直後の事故に十分な安全対策をお願いするわけでございますが、現在どのような対策を講じられているのか、その取り組みについてお伺いいたします。
 次に、治安対策についてであります。
 高速道路は、人や物の流れをスムーズに運んでくれますが、同時に犯罪も運んでくると言われます。
 4年前にみなべまで高速道路が南下したとき、みなべ町で買ったばかりのベンツが盗まれたという事件を聞いたことがあります。その後も、高速道路上を走行中、エアガンで銃撃された事件や、阪和自動車道の印南サービスエリアで3人組の男に田辺の男性の車が奪われるという事件が起こっております。
 地元では、高速道路の南下で確かに便利になったが、犯罪まで南下するのではないかという不安感があり、治安対策は警察だけではなく地域住民と一体となった取り組みが必要であろうかと思いますが、どのような取り組みが必要なのか、その対策についてお伺いいたします。
 さらに、高速道路の開通を地域の活性化にどう結びつけるのかという点であります。
 かつて吉備インターが開通したとき、インター出口付近の企業団地に企業が進出したことがありました。私は、今回、阪和自動車道南紀田辺インターチェンジ開通を機会に、ぜひとも田辺周辺地域を本県の企業誘致最重点地域として位置づけて誘致運動に乗り出していただきたいと思うわけでございます。
 幸い、ことしの2月の定例議会の冒頭で、「職づくり、人づくり、地域づくり」と題して、知事は「より戦略性の高い効果的な企業誘致活動を展開し、誘致活動を進める中で、必要に応じて私がみずからトップセールスを行ってまいりたい」と力強く発言されたところであります。
 こうした姿勢が功を奏したのか、知事は11月15日の臨時記者会見で、大阪の守口市にある松下電池工業が紀の川市に工場を増設するという発表をされました。雇用人数も150人に上ると言われ、地元の雇用が大いに期待されるところであります。
 全般的な日本経済の景気回復傾向の中、県内への企業誘致も少しずつ進んでいるようでありますが、しかし私ども紀南から見れば、北高南低と申しますか、企業誘致も紀北や紀中に偏っていると感じます。
 私がぜひ田辺周辺地域を企業誘致重点地域にしてほしいと訴えるのは、理由があります。それは、田辺地域の雇用状況は大変厳しい状況にあるということであります。田辺地域の有効求人倍率は、県内でも大変低く、平成16年の平均は0.5、平成17年は0.57、平成18年は0.65と低迷し、ことしになって少し上昇して、9月にはようやく0.81と回復しましたが、それでも県内8つのハローワークの中で下から2番目という低さでございます。ちなみに、全国平均は1.05、本県全体では0.96となっております。
 特に、田辺の高校の間では、地元に残りたい、地元で就職したいと希望する生徒が多いにもかかわらず、働く場所がなく、仕方なしに都会に出てしまう生徒が多くございます。その結果、人口減少が続くという悪循環に陥っています。
 県内の地域格差を是正する意味でも、田辺市周辺への企業誘致は大きな課題であると考えます。ぜひ地元産業と共存できる企業誘致を積極的に進めてもらいたいと思います。
 幸いにして、旧白浜空港跡地は広大な面積を有しており、紀南の企業集積地に適していると考えますが、いかがでしょうか。知事の御見解をお伺いいたします。
 次に、橋梁の維持管理についてお伺いいたします。
 今まで車で走行中に、「もし、今渡っている橋が壊れたらどうしよう」というようなことを考えたことはございませんが、ことしは橋梁に対する不安感を抱かせるようなニュースが相次ぎました。
 8月1日には、アメリカのミネソタ州ミネアポリスで高速道路の橋が一瞬のうちに崩壊し、50台を超える車が川へ放り出され、死者9名、行方不明20名という大惨事が起きたことがテレビのニュースで報道されました。
 日本でも、三重県内の国道23号木曽川大橋の橋脚の鋼材が破断するという事故が伝えられました。また、つい先日は、栗本鐵工が高速道路の橋脚に使う型枠の強度試験のデータを偽装したというニュースが伝えられております。栗本鐵工の方では橋梁の安全性は問題ないと発表しましたが、ドライバーにとりましては、崩れた道路行政に対する信頼感や橋梁の安心感を取り戻すことができません。
 橋梁の老朽化は、今後大きな問題となってくると思います。県内の状況を調べましたところ、平成18年までに県が管理してる15メートル以上の橋梁は、国の補助事業によるものと県単独の県道橋梁を合わせ881橋ありますが、そのうち築30年以上経過する橋梁が全体の44%に当たる386橋あり、40年以上が26%、50年以上が11%となっております。ということは、10年後には築50年を経過する橋梁は全体の26%に当たる332橋、40年以上経過する橋梁が386橋になります。つまり、高度経済成長期につくられた橋梁は、大量に寿命に近づくということであります。
 アメリカでは、連邦府が1970年ごろから高速道路に対する安全管理を強めていると伺っております。しかし、我が国では、国が管理する国道橋梁については5年に1度、目で確かめたりハンマーでたたいたりという方法で定期検査を実施してるようでありますが、市町村に至っては、予算がない、職員が足りないといった理由で、9割の自治体で定期検査を実施していないという報告もございます。
 そこで、本県では橋梁の定期検査をどのように実施していかれるのか、お伺いいたします。
 私は、これまで新しい橋梁ばかりをつくることを考えてきましたが、人口減少時代を迎え、これまでつくってきた道路や橋梁などの社会資本をどう管理し、維持していくかということに重点を置く時代に入ったと考えます。
 財政難の折から、橋梁の維持管理費を削減したいところでありますが、考え方によれば、早めに必要な補修をすれば、結果として橋梁の寿命を延ばすことができ、逆に将来的な建設費の削減につながると思いますが、いかがでしょうか。今後の橋梁の老朽化に対する対策をお伺いいたします。
 最後に、有害獣の農作物被害防止対策についてお伺いいたします。
 最近、紀南地方では、中山間地域を中心に、イノシシ、シカ、猿などの有害獣による農作物被害が多発し、農家の人々を大変困らせております。
 私も、近畿で最も広いと言われる田辺市の中山間地域を回ってみて、驚いたことに、どの地域に行っても家の周りや地域の周囲に有害獣よけのネットや金網、電気さくを設けていることでした。しかし、防護さくを設けても、頻繁にさくを破り侵入し、農作物を荒らすそうです。被害は中山間地に限らず、純農村部でも広がり、梅やミカンの根を切ったり、スプリンクラーの施設を壊したりして、畑にまで及んでいるということであります。
 ある地域住民は、「もう何もつくれない。何とかならないのか」と嘆いておられましたが、有害獣による農作物被害は農家の人々の生産意欲も減退させることに注意しなければならないと思います。
 被害防止対策としては、防護さくを設けて有害獣の侵入を防ぐという方法のほかに、有害獣の捕獲があります。この捕獲には、狩猟によるものと有害鳥獣捕獲がありますが、ことし4月、環境省は、ツキノワグマの保護のため、狩猟によるくくりわなの口径が12センチを超えるものについては禁止するという省令を出しました。規制されるとイノシシによる農業被害の拡大が懸念されるため、被害農家が反発し、規制緩和の要望が相次いだ結果、本年8月、本県は有害捕獲に限りくくりわなの口径を規制しない方針を出しました。
 このことに関しては一定の評価をしたいと思いますが、くくりわなの許可を判断する市町村では、狩猟期間中の有害捕獲について、許可を出している市町村と許可を出していない市町村があり、対応にばらつきが見られ、被害農家の間から狩猟期間中の有害捕獲の全面解除を求める声が寄せられています。さらに、有害捕獲の申請手続が煩わしいといった声も寄せられております。県としても何らかの対応をすべきであると考えますが、いかがでしょうか。
 また、ことしから、イノシシに限り猟期を半月前倒しして11月1日から来年3月15日まで延期されましたが、田辺市ではシカの猟期についても延長してほしいという声が上がっております。イノシシ同様、シカについても、捕獲頭数は狩猟、有害捕獲ともに大きくふえております。平成14年度には1800頭だった捕獲頭数が平成18年度には3700頭に上り、4年間で2倍以上にふえております。それだけシカの生息密度が上がり、被害もふえているということであります。
 私もシカの猟期延長については検討すべき時期に来ていると考えますが、いかがでしょう。
 さらに、有害獣対策として、捕獲のほかに、最近では地域ぐるみで里に有害獣を近づけない対策をとる必要があると主張する専門家もおられます。
 例えば、休耕地や荒廃地は有害獣を呼び込む場所になりやすいので、ここに牛や犬を放して有害獣を近づけないようにするといった対策が他の県では既にとられております。成果を上げています。
 本県といたしましても、このような有害獣を近づけない対策が効果的であり、今の深刻な被害状況を見れば、侵入を防ぐ対策などとともに、早急に総合的な対策を実施する必要があると考えますが、県としてどのように対応するのかお伺いいたします。
 これで、第1回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの野見山海君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、南北格差是正の御質問について、一括してお答えさしていただきたいと思います。
 どの地域に住まれようとも、県民だれもが誇りを持って「和歌山こそ我がふるさと」と言えるような、そういう地域づくりに取り組むことが大事でありまして、県内各地において必要な政策を一生懸命実施することで、結果として地域全体が伸びる形を考えていかなければならないと思っております。
 私は、何でも和歌山市というのは──私自身和歌山市で生まれましたけれども、何でも和歌山市というのはいかんと思っております。各地で、できるだけ行事とか、あるいはプロジェクトとか、そういうことを興して、みんなが参加できるようにならないといけないと思います。
 私自身も、それから県庁の職員も、全部県庁に来ていただくんではなくて、できるだけ出向くということを心がけていこうとも思っております。例えば、新長計の市町村長との議論につきましては、一度は来ていただいたんですけれども、もう一度、2回目やったときは、紀中、紀南、紀北と分けまして、それぞれ一番便利なところへ出かけていきまして議論をさせていただきました。
 そういうような考え方に基づきまして、各地域の産業分野ごとの成長可能性あるいは県内の各地の既存産業との相互補完関係などを勘案しながら地域の特性に合った重点的な産業振興、あるいは新たな企業誘致を行う必要があると考えております。
 また、特に紀南地域の強みであります農林水産業の振興、あるいはそれの県外のプロモーション等を通じた農林水産物の売り込み、温泉や熊野古道、体験型観光など、南紀のすぐれた地域資源を生かした観光客の呼び込み等にも取り組む必要があると考えております。
 これらの施策を支える高速道路の紀南延伸あるいは県内道路ネットワークの整備、それから通信環境の基盤強化、それから安心・安全の大もとである地域医療を支える医師確保など、今後とも着実な取り組みを進めていかなければいけないと思います。
 私がずっと努力をして、かつまた国にも働きかけてやっております今申し上げましたような基盤整備につきましては、とりわけ和歌山県でいうと紀中や紀南あるいは山村部の方々の生活、それからそういう方々にチャンスを与える源であるというふうに思っております。そういう意味では、絶対におろそかにできないことであるということであろうかと思います。
 次に、いわゆる限界集落の再生に向けての取り組みについての御質問がございました。
 現在、この問題は深刻な問題になっておりまして、全国的にさまざまな議論があります。綾部市の水源の里条例における取り組みもその1つだと思っております。
 そういう取り組み、いろいろな議論によって、活力のある集落づくりを支援する方策がいろいろ模索されているということではないかと考えております。
 本県でも、新長期総合計画の検討の中で、地域の実情や住民の意向を十分踏まえ、市町村と連携しながら集落の維持などのための総合的対策を実施することを基本的方向として導き出そうとしているところでございます。
 今後、議論の内容を踏まえ、生活環境等定住条件を整備するとともに、特産物の振興や体験交流など地域資源を生かした取り組みを進め、ソフト、ハード両面から支援してまいりたいと考えております。
 次に、阪和自動車道の南紀田辺インターチェンジ開通に伴う企業誘致でございます。
 阪和自動車道が南紀田辺まで開通し、大阪と直接高速道路でつながりましたことは、紀南地域にとって大きなチャンスであり、この機会をすべての面で生かさなければならないと考えています。特に企業誘致については、高速道路を初めとする社会インフラの整備がこの誘致について必要不可欠であると常々痛感してるところであります。
 紀南地域につきましては、議員お話しのとおり、製造業の企業誘致は進展しない状況にあります。しかしながら、南紀白浜空港による東京との利便性や豊かな自然など地域のポテンシャルを生かしながら、これまで企業の誘致活動を行ってきたところでございます。
 議員から御提案のありました旧白浜空港跡地については、現白浜空港が隣接するため、航空法などさまざまな規制もありますけれども、空港跡地の利用を検討していく中で、企業誘致についても1つの方法として考えていき、地元の方々とよく話し合って、我々のプロモーション活動にできれば加えていきたいと、こういうふうに思っております。
 今後とも、阪和自動車道開通による関西圏との近さを大いにアピールするとともに、温暖な気象条件や豊かな農林水産資源など、紀南の持つ強みを生かして、より積極的な企業誘致に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(中村裕一君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 橋梁の定期点検、それから老朽化対策についてのお尋ねでございますけれども、議員御調査のとおり、県が管理いたします15メートル以上の橋梁は881橋ございます。
 橋梁というのは、最低限の維持管理ですと、およそ50年程度で高齢化すると言われておりますけれども、本県の建設後50年を経過する橋梁は、現在で約1割の96橋、20年後には約4割の386橋となり、急速に橋梁の高齢化が進展してまいります。
 そのため、県では平成14年度から橋梁の調査に着手いたしておりまして、平成18年度末までにすべての橋梁につきましてデータベースを作成いたしました。その上で、平成19年度から、そのデータを活用して、全橋梁につきまして5年ごとに定期点検をすることといたしております。
 今後の橋梁の老朽化対策につきましては、橋梁損傷の早期発見に努め、従来の事後的な修繕、更新というものから、予防的な修繕、計画的な更新へと移行していくこととしております。橋梁の長寿命化、それからライフサイクルコストの縮減など、効率的な維持管理に努めることによりまして、地域の道路網の安定性、信頼性を確保してまいりたいと考えております。
 市町村に対しましても、橋梁点検、国庫補助による長寿命化修繕計画を策定し、効率的な維持管理を行うよう、今後とも協力してまいりたいと考えております。
○議長(中村裕一君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 有害獣の被害防止対策に係る2点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、有害捕獲の許可についてでございます。
 県におきましては、有害鳥獣捕獲基準につきまして、許可期間の延長あるいは許可頭数の枠の拡大など、さまざまな規制緩和を行い、有害捕獲の推進を図ってまいりました。
 また、有害鳥獣捕獲は、農業被害等がある場合、狩猟期間中におきましても市町村長の許可を受けて行うことができるものでございます。狩猟期間も含めた有害捕獲の推進につきましては、許可権者であります市町村長に対し再度申し入れを行うとともに、市町村と連携しながら鳥獣による農業被害等の防止に努めてまいりたいと考えております。
 次に、シカの狩猟期間の延長についてでございます。
 西牟婁、東牟婁地域を中心にいたしまして、シカによる農業被害等が増加しております。このため、その対策といたしまして、現在、シカの生息調査を行っております。
 今後、その調査結果を踏まえまして、県議会を初め県民の皆様方の御意見を伺いながら、狩猟期間の延長についても検討をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) イノシシ、シカなどの有害獣を防ぐ対策についてでございますが、農山村では、かつては人々が里山へ日常的に出入りをいたしまして、農地周辺の管理についても集落ぐるみで行われてきたことによりましてイノシシやシカなどの有害獣の被害防止が図られてきたところでございます。
 しかし、御承知のように、近年、過疎化や高齢化等による集落機能の低下等もございまして、農作物の被害が毎年3億円を超えるというようになってきてまいっております。そうした中で、お話ございましたように、生産農家の営農意欲の減退も招くというような深刻な状況にあるというふうに認識をいたしてございます。
 こういったことから、農地周辺に生息をする有害獣の捕獲、これを重点にいたしまして、電気さく等による防護、またやぶの刈り払いなど、集落へ近づけない取り組みを加えました総合的な対策について、地域の方々や、また市町村などの関係者と一体となって推進してまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 警察本部長鶴谷明憲君。
  〔鶴谷明憲君、登壇〕
○警察本部長(鶴谷明憲君) 初めに、阪和自動車道南紀田辺インターチェンジ開通に伴う終点出口付近の交通安全対策についてお答えをします。
 阪和自動車道みなべ―南紀田辺間開通により、田辺市内国道42号の渋滞が緩和されるなど、現在のところ比較的円滑な交通流となっているところであります。
 議員御指摘のとおり、御坊―みなべ間が開通した際には交通事故が多発したところであり、警察といたしましては、今回、みなべ―南紀田辺間が開通するに当たり、道路管理者と協議の上、交通の円滑化と事故防止のための対策として、流出料金所ブースの4レーン化、トンネル内における終点を知らせる電光掲示板の設置、ランプウエーへの視線誘導標や大型案内標識、車両を安全に導く導流レーンマークの設置などの諸対策を講じたところであります。その結果、現在のところ、料金所ブースでの追突物損交通事故1件の発生となっております。
 今後、年末を控え、交通量の増加による交通渋滞や交通事故の発生が懸念されるところから、その推移を見ながら交通監視活動の強化や信号の時間調整などを行い、交通渋滞の緩和や交通事故防止などの必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
 次に、高速道路の延伸に伴う治安対策についてお答えをします。
 警察といたしましては、従来から犯罪の未然防止と早期事件検挙を主眼に、自治体や関係機関・団体、地域住民の方々と一体となった警戒活動の強化による安全で安心できるまちづくりを強力に推進しているところであります。
 今回の高速道路の延伸に伴うこれまでの対策につきましては、夜間パトロール体制の強化や道路管理者対策を推進するとともに、インターチェンジ周辺住民に対しまして、防犯対策の一環として広報啓発ビラ約4000枚を配布するなど、地域住民1人1人の自主防犯意識の向上に努めているところであります。
 また、田辺警察署管内では、ことし9月から10月にかけて新たに自主防犯組織3団体が結成され、14団体、約1300人になるなど、地域の安全は地域で守るという防犯意識が高まっているところであります。
 観光シーズンなどに流しの犯行がふえる懸念もあり、今後とも犯罪の発生状況等を踏まえた上で、警戒警ら活動や犯罪発生情報等の発信強化を図るとともに、自治体等との連携によります防犯灯や防犯カメラの設置など犯罪の起こりにくい環境づくりや自主防犯パトロール活動に対する一層の支援など、諸対策を講じてまいる所存であります。
 以上であります。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 45番野見山 海君。
○野見山 海君 答弁、ありがとうございました。
 2点だけちょっと要望させていただきたいと思います。
 1つは、企業誘致につきましては、用地問題、コスト問題、人材問題の問題が、多く課題がありますが、若者が生まれ育ったふるさとで働く場所を確保することが人口減少にも歯どめかかると思いますし、またふるさと保全につながると私は思いますんで、ぜひとも、厳しい企業誘致の状況でありますけども、頑張っていただきますことを心から願います。
 もう1つは限界集落の再生についてでございますけれども、近畿圏の限界集落の半数が和歌山県内に占めている状況を見たときに、本県での早期の対策が今求められていると私は思います。よって、地域住民の皆さん、それから地方自治体、県との連携を密にしながら、地域住民の思いを少しでも実現していただきますことを心からお願い申し上げまして、要望といたします。
○議長(中村裕一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で野見山海君の質問が終了いたしました。
 これで午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時37分休憩
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