平成19年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成19年12月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
 平成19年12月11日(火曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第153号から議案第177号まで
    (質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第153号から議案第177号まで
    (質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(46人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 川口文章
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 16番 下川俊樹
 17番 岸本 健
 18番 山下大輔
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 角田秀樹
 28番 江上柳助
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 服部 一
 34番 片桐章浩
 35番 原 日出夫
 36番 藤本眞利子
 37番 長坂隆司
 38番 玉置公良
 39番 小川 武
 40番 冨安民浩
 41番 奥村規子
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        原 邦彰
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      杉本雅嗣
 総務部長       小濱孝夫
 企画部長       森 崇
 環境生活部長     楠本 隆
 福祉保健部長     井畑文男
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      小倉正義
 教育委員会委員長   樫畑直尚
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員    片山博臣
 警察本部長      鶴谷明憲
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     垣平高男
 選挙管理委員会委員長 山本恒男
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       山本庄作
 次長         植野博文
 議事課長       薮上育男
 議事課副課長     土井敏弘
 議事班長       吉田政弘
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      石垣悦二
 議事課主査      瀧川泰治
 総務課長       下出喜久雄
 調査課長       佐本 明
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  午前10時1分開議
○議長(中村裕一君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第153号から議案第177号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 2番山本茂博君。
  〔山本茂博君、登壇〕(拍手)
○山本茂博君 皆さん、おはようございます。
 議長の許可を得ましたので、初めての一般質問をさしていただきます。
 きょう、このように県議会の壇上に登壇させていただきましたのも、県民の皆様、そして岩出市民の皆様の御支援のおかげであり、感謝申し上げる次第でございます。初心忘れることなく、県民の福祉向上を目指して頑張っていきたいと思います。知事初め職員の皆さん、また県議会の先輩、そしてまた同僚の皆さんにおかれましては、若輩者ではございますが、御指導、御鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
 小泉内閣の後を受けて安倍内閣が発足し、ちょうど1年で福田政権にかわりました。参議院選挙で与党が敗北し、参議院において与野党が逆転したからです。そこには、国民の行政に対する不信感、年金問題、国会議員の不祥事等に加え、格差社会の拡大への警鐘を打った地方の反乱といったものがあったのではないかと思います。
 福田内閣は、新たに「自立」「共生」というキーワードを挙げられております。地域の自立と、1つの自治体ではなく他の自治体と支え合う共生による地方の元気が日本をよくし、地方が主役となる国づくりを目指されております。
 そこで、地方分権と道州制についてお伺いいたします。
 先日、分権型道州制を考えるシンポジウムin関西に参加いたしました。総務大臣のビデオメッセージがあり、増田大臣は地方分権改革担当大臣、そしてまた道州制担当大臣を兼務されております。今までにはなかった動きを感じました。
 道州制の論議は明治時代からありましたが、地域格差の拡大に伴い地方は低迷し、いわゆるシャッター通り、寂れる町並み、流出する人口、低迷する経済、倒産する地方企業など、東京一極集中になっております。そして、戦後の人、物、金、情報が不足する中での大量生産、大量消費が行われ、我が国を1993年には1人当たりGDPを世界一に押し上げたわけであります。
 しかし、今は、1人当たりGDPは14番目となっております。また、1ユーロが98円であったのが、今では168円であります。ユーロから見ると低下しております。国力が低下し、日本がアジアの片隅の国になるのではないかと危惧いたします。
 日本経済がこのように中堅になったのは、経済政策が護送船団方式による政策で行ってきた点、また、教育において辛抱、協調、知識、個性の独創性をなくし、比較大量生産をした結果ではないでしょうか。地域についても、頭は東京、そして手足は地方となっているのではないかと思います。また、結果として会社の本社は東京に移り、文化創造、情報発信についても東京であるわけです。また、多様な知恵でうまく変化に対応できる国にすべきであったのが、何も解決できない国になったと思います。
 4年前、年金100年安心プランをつくられましたが、4年で変わったことにもあらわれていると思います。我が国は、これから少子高齢化の時代であり、社会構造は効率と集中、画一から選択、分散、多様、個性へとシフトする必要があります。90年代から、住民満足度または身近な選択が満たされる社会形成が求められるようになってきていると思います。
 人、物、金、情報を一極集中させるのが今までの中央集権体制の選択でありましたが、今こそ明治以来の開国的発想で中央集権体制を打破することが必要になっているのではないかと思います。中央と地方の権限分与においては主従関係があり、また行政において二重行政、いや三重行政が行われております。また、その結果、責任の所在があいまいになっております。そうして、交付金、補助金などの陳情政治がまかり通っているのが現状であります。地域主権で、国と地域の対等関係、パートナーとならなければならないと考えます。まさに地域主権型道州制が求められているのではないかと思います。
 国においては、地方制度調査会において、昨年2月末に、府県を廃止し、9から13の道州に再編する改革案が答申されたことを受けて、道州制担当大臣の下に道州制ビジョン懇談会を新設されております。また、国民的論議の喚起のため、全国の各ブロックの経済界の方々を構成員とする道州制協議会を設けられております。また、北海道を道州制特区として、今、北海道において計画されており、北海道からの提案が平成20年の春ごろに出てくる動きとなっております。まさに動き始めた感があります。
 しかし、兵庫県の井戸知事などは道州制に異議を唱え、大都市はどうするのか、そしてまた、一国の人口、経済規模にも匹敵する自治体が憲法上抵触しないのか、住民自治の確立をどうするのか、税財源の確保ができるのかという問題点を指摘されております。
 また一方、道州制の受け皿として、河川、道路、空港、港湾等についての広域連合をつくろうという動きもあります。どちらも中央省庁の再編が必要という点では一致しております。
 11月11日の日本経済新聞社の都市と地方に関するアンケート調査によりますと、道州制について8割の人が賛成であり、また福田政権に期待する地域振興策として、地方分権の推進が38.7%で最も多かったとあります。国民が道州制、そして地方分権を必要であるという認識をされていると考えます。
 新地方分権一括法を3年以内に国会に提出予定で、総務大臣は6カ月前倒ししたい意向であり、知事会、そして地方6団体も地方分権改革推進委員会に期待を寄せていましたが、11月30日の中間報告が出され、地方共有税の導入や地方行財政会議の法律による設置などは触れられておりませんでした。しかし、私は分権改革の道が見えてきたなと思います。またさらに、分権の後には道州制の議論が進むと思います。今まさに動き出した構造変化の波に取り残されることなく、自治体はこれから素早い対応に迫られると思います。
 そこで、和歌山県と和歌山県民の代表である知事に、地方分権に係る所見と将来の分権社会の確立に向けてどう取り組まれていくのか、お伺いいたします。
 また、木村前知事の官製談合事件は和歌山県民への裏切りであり、その行為は非難されるものがあります。しかし、前知事は、全国知事会議の平成16年の道州制研究会会長、そして平成17年、道州制特別委員会委員長をされております。道州制に対して全国的にリードされた面があります。こうした業績には私は評価したいと思います。
 職員も道州制について勉強されたと思います。政治は継続されるものです。前知事の道州制に対してその総括をどのように考えているのか、知事にお伺いいたします。
 次に、地方法人2税についてお伺いいたします。
 いわゆる地方法人2税、つまり法人事業税と法人住民税であります。和歌山県において、平成18年度決算において337億円で、県税に占める割合は35.4%であり、主幹税の1つであります。都市と地方の格差是正のため、法人2税の見直しが政府によって検討されております。
 私は、コンビニエンスストアを経営しておりますが、フランチャイズ店において、営業利益の一部はロイヤルティーとして本社に納め、法人事業税は東京に納められております。しかし、道路などの公共施設の利用や警察による治安、保健衛生などの各種のサービスは地方自治体から受けております。私は、利益の一部を地方自治体に還元すべきであると思いますし、法人2税の見直しは絶対必要だと考えます。また、利益に対してかかる税金が東京などの本社事業所に納められ、税収の地域間格差が広がっていると思います。
 今、総務省案によると、都会に集中しがちな法人2税の一部を国税に移すかわりに、都道府県の小売年間販売額などに応じ再配分し、地域間の隔たりが少ない地方消費税をふやすというものがあります。また、財務省案によると、法人2税を国が一括徴収し、自治体で分配するとあります。
 また、国の法人事業税の4分の1、約1兆3400億円を東京が占めております。平成18年度の緊急処置として3000億円の規模の配分見直しを行いたいということであります。
 一方、地方分権委員会においては、地方交付税の総額確保と地方共有税の導入を提言されております。政府においては、地方分権委員会とは乖離した点があるとは思います。
 このように、国税、地方税をめぐり、国、政府においてさまざまな議論が行われているところであります。和歌山県として、財政安定化のために国に対して地方の声を要望していく必要があると思います。知事に所見をお伺いいたします。
 次に、和歌山県における財政の見通しについてお伺いいたします。
 和歌山県の18年度決算を見ますと、自主財源である県税、諸収入が伸びており、国庫支出金の減少はありますが、17年度に比べて増加しております。経常収支比率は89.6%で、前年度より2.2%改善されております。類似団体と比べるといいように思いますが、財政の硬直化が危惧されます。財政力指数も0.304と、0.3以下の4グループ14県から抜け出すこととなったわけで、少しは財政改革が進んだ結果だと思います。
 しかし、県債及び基金の状況は、18年度末における一般会計と特別会計を合わせた県債現在高は7989億円、17年度は7776億円、16年度は7655億円で、約100億円ずつふえております。19年度当初予算は151億円の収支不足となり、財政調整基金、県債管理基金を取り崩して対応されておりますが、19年度末残高では191億円の収支不足であり、長期的に見ると29年度では2637億円の収支不足になると予測されております。基金が枯渇され危機的状況に陥る、そういう危惧をいたしております。
 日本の政治情勢は混迷の度合いを強めております。アメリカの衰退、中国、インドの台頭、そしてグローバル社会が加速する中で、日本の経済は本当に難しいかじ取りであると思います。
 経済情勢は今までと違った動きがあり、アメリカのサブプライムローンの問題、原油価格の高騰等により自主財源がこれから伸びるとは限らないと思います。
 平成27年には和歌山国体が開かれます。1回目の和歌山国体は、国体道路の建設、各競技施設の整備等、財政支出がなされました。今回は1回目とは違って財政支出は少ないとは思いますが、多少の出費はあると思います。そのような中で長期総合計画が策定されようとしておりますが、財政に対する認識がないように思います。
 そこで、県として、現在の財政状況を踏まえ、将来的な財政をどのように考えているのか、知事にお伺いいたします。
 次に、県の未利用地利用についてお伺いいたします。
 行政運営は、スリムで柔軟さが求められます。財政の格言に「入るをはかりて出るを制す」とあります。歳入を的確に推計し、その範囲内で歳出を定めることです。財政においては、我々は歳出の方に目を向けがちでありますが、歳入について目を向ける必要があると考えます。
 和歌山県では、歳入において、財政健全化のために未利用地の財産処分をされております。また、東京都においては、先進的に税金滞納の物納品または不動産をインターネット公売で成果を上げておられます。
 和歌山県においてインターネット公売を行っていると聞いておりますが、まずその現状について、総務部長にお伺いいたします。
 次に、岩出市の元那賀高校実習田跡地についてであります。
 この跡地は、インターネット公売の対象の中に入っているとお聞きしております。この跡地は国道24号線沿いにあり、また南に隣接の岩出警察署、そして那賀振興局があります。西側には那賀高校といったぐあいに県施設が集積しております。交通の便もよく、600メートル南には岩出駅があります。このように、岩出市のこの跡地は中心地にあります。現在、1万平方メートルの真四角の雑種地となっております。
 かつて岩出市民は、那賀高校、いわゆる公共施設ができるということで土地の提供等いろいろな点で協力した経過があると思います。岩出市民からは、教育施設、官公庁関係の施設等の誘致を期待する声が聞こえてきます。公共施設のみならず、少なくとも岩出市民のためになる施設の誘致が求められているのではないかと考えます。
 例えば、9月議会において、我が自民党の花田議員の一般質問に対して、知事はPFI事業を検討していくと答弁されております。県において、財政緊迫している中、民間活力を導入したPFI事業の推進は欠かすことのできない手法であると考えます。私は、和歌山県で開催される平成27年の国体に向けて、老朽化した施設をPFI事業で再活用することができないものか検討すべきであると考えます。
 また、岩出市は平成18年に市制施行され、人口増加率も県内で1番の市で、都市化が進む中、一方では市民の健康づくりや憩いの場となる公園の整備がおくれているように思います。
 新潟地震の被災地に震災10日後に視察に行きました。本当に大変だなと、そしてこれからどうなっていくんだろうという気がいたしました。公民館に多くの住民の方が避難されて、一刻も早くプライバシーの保護、また行政負担を少なくするという点から仮設住宅の建設が必要だなと思いました。このように、災害時には住宅の建設地の確保が緊急に求められるわけであり、公園などはまさしく最適地であると思います。
 こうしたことから、元那賀高校実習田跡地の活用について、都市公園のPFI事業の可能性も含め、その考えを総務、企画部長にお伺いいたします。
 次に、自殺対策についてであります。
 地域社会において非常に関心の高い自殺についての課題、また自殺予防について質問させていただきます。
 昨今において、松岡農林水産大臣の自殺、またこの人はと思う有名人の自殺、インターネットを通じた集団自殺など、社会問題化しております。
 警察によりますと、平成18年度中における国内の自殺者数の総数は3万2150人で、交通事故による死者数の5倍になっています。また、OECD主要加盟国の自殺率は日本の自殺率の半分以下という国が多く、日本は先進国の中では際立って多い状況であります。自殺大国と言っても過言ではないと考えます。
 また、人口動態調査によりますと、県内の自殺者は、平成17年には267人、平成18年には255人で、10年連続して250人を超えております。県人口10万人当たりの自殺者数は24.9人と、全国平均23.7人を上回っているのが現状です。憂慮される事態です。景気回復のおくれが和歌山県の中小企業、零細企業を直撃し、倒産という事態に追い込まれて、また社会情勢の悪化による自殺が懸念されます。
 自殺は、個人が自己決定する事柄であるから行政として公的部門がかかわるべき問題ではない、いわゆる個人的な悩みをどう解決するかということだから自殺は個人の問題であるという意見もあります。しかし、果たしてそうでしょうか。自殺の原因は個人的な問題にかかわっていることが多いと思いますし、自殺の要因はさまざまで、いわゆる社会的要因が複雑に絡まっていると思います。
 例えば、警察庁による遺書をもとにした自殺の原因・動機別統計によりますと、健康問題、経済・生活問題、家庭問題、勤務問題、男女問題、学校問題、いじめ、介護の疲れ、子育ての悩み、被虐待、多重債務、連帯保証債務等、平成19年から分類が行われているところであります。
 NHKの「クローズアップ現代」を拝見いたしまして、自殺は個人の問題ではなく、明らかに社会問題であると認識いたしました。例えば、倒産して借金を抱えた経営者が家族や債権者に迷惑をかけないように生命保険を当てにして自殺するという話、また周囲に頼る人のいない年老いた夫婦の一方が寝たきりになり看病疲れの結果自殺するという話、本当にだれにでも起こる話だなと思いました。また、自殺が社会の関心事になってきたなという思いと総合的な対策の必要性を改めて認識させられました。
 平成18年に自殺対策基本法が成立いたしました。
 政府の自殺総合対策大綱によりますと、「人の『命』は何ものにも代えがたい。また、自殺は、本人にとってこの上ない悲劇であるだけでなく、家族や周りの人々に大きな悲しみと生活上の困難をもたらし、社会全体にとっても大きな損失である。国を挙げて自殺対策に取り組み、自殺を考えている人を一人でも多く救うことによって、日本を『生きやすい社会』に変えていく必要がある」としております。「今後、大綱に基づき、地方公共団体をはじめ、医療機関、自殺の防止等に関する活動を行う民間の団体等との密接な連携を図りつつ、自殺対策を強力に推進する」とあります。
 国の政策として、自殺予防の対策、被害者家族の支援などを盛り込み、また平成28年までに平成17年の自殺死亡率を20%以上削減するという数値目標を定めております。また、内閣府に特別機関として自殺総合対策会議を設置し、自殺や精神疾患の正しい知識と普及を図るとともに、偏見をなくすため、9月10日の世界自殺予防デーに絡んで、毎年9月10日から1週間を自殺予防週間として、国、地方公共団体が連携し、啓発活動を推進するとしております。
 知事は自殺に対してどう認識されているのか、お伺いいたします。
 こうしたことを踏まえ、自殺予防対策についてお伺いいたします。
 さて、和歌山県においてはどうか。私は、自殺対策が立ちおくれているのではないかと思います。
 10月10日の「紀伊民報」によりますと、NPO法人自殺対策支援センターライフリンクが全国の都道府県と政令指定都市を対象に行った調査で、自殺対策の実施状況を5段階評価のアンケートを実施したとあります。それによりますと、対策を進めるための自殺対策協議会の設置の有無やその内容についてを20点、遺族の支援については10点、自殺対策に取り組む民間団体の支援については5点、啓発活動の状況について5点、個性的な取り組みについては10点と、以上50点満点で評価し、各都道府県の取り組み状況をAからEまでの5段階に分けたとあります。結果、和歌山県が得た点数は8点であります。奈良県、山形県とともに最低レベルのEランクでした。
 評価を見ると、啓発活動の項目で、シンポジウムを開くなどしているものの、厚生労働省が設置を求めている協議会が設置されていないことや、自殺をした遺族への支援が不十分などとして、調査時点で協議会を設置していないのは全国の都道府県で和歌山県を含む4県だけだったとあります。調査を行ったライフリンクの代表は、「地方自治体には自殺対策をとる責務があるという自覚が欠けていると言わざるを得ない。一刻も早く協議会をつくり、対策の一歩を踏み出してもらいたい」と指摘されております。
 さて、自殺件数の一番多い県として秋田県があります。汚名返上のため、秋田県においてさまざまな対策がとられており、ランクはAランクで、評価点数は44点です。平成13年から4年間で47%も自殺者が減ったと言われております。早い取り組みが自殺者を減らすことにつながるということです。
 秋田県において、秋田県健康推進条例が制定され、健康増進法では定められなかった心の健康の保持及び自殺の予防を入れたとお聞きしております。この条例によって、自殺予防が県の施策として正式に位置づけられると思います。
 我が和歌山県としても、自殺予防の観点も含めた健康推進施策のより一層の充実が求められます。仮称「県自殺予防対策推進会議」の内容について、福祉保健部長にお伺いいたします。
 最近の研究から、自殺はうつ病と関係が深いことがわかってきました。うつ病は、何らかの原因で気分が落ち込み、生きるエネルギーが乏しくなって、その身体のあちこちに不調があらわれる病気です。日本人の5人に1人が一生のうちで一度はうつ病にかかると言われております。
 うつ病の症状は、身体の症状と心の症状にあらわれるわけです。自殺の予防には、うつ病に対して正しい知識を持ち、早期に対処することが重要です。理解の普及と啓発を徹底し、うつ病のサインに気づき、周りの人が声をかけることが重要であります。そして、専門家の先生に診てもらうシステムづくりが大事であります。
 また、平成14年厚生労働省の患者調査によりますと、うつ病を含む気分障害の患者数は71万人でありました。また、うつ病にかかっている人のうちで医療機関を受診している人は4分の1にすぎず、4分の3は受診されておりません。
 心の病であるうつ病の人の数を減らすことは、緊急の課題であります。うつ病の人を専門医に診察・診療してもらう、かかりつけ医と精神科医の連携、病院におけるうつ病の治療の充実など、医療体制の確立が求められていると思います。いかがでしょうか。また、県民に向けた一層の啓発等が求められると思いますが、いかがでしょうか。あわせて福祉保健部長にお伺いいたします。
 次に、職員のケアについてお伺いいたします。
 さて、県の職員は、教育部門を入れると約1万2000人の職員がおられます。和歌山県にとって大企業と言っても過言ではないと思います。今年度から監察査察制度ができ、職員の分限違反者に対して処分を下されております。職員の分限違反者は、その人なりに問題があった人であったと思いますが、その違反者がうつ病という問題を抱えていなかったのか疑問ですし、また県職員の中には休職されている方もおられると聞いております。休職されている方の中に心の病を抱えている人がおられないか心配です。
 また、教育現場においては、他県において、校長先生、また新人教員の中にも自殺される痛ましい出来事が報道されております。財団法人労働科学研究所が行った教職員の健康調査によりますと、教員の67%が強い不安やストレスを抱え、抑うつ感を覚える教員は一般労働者の1.3倍になると言われております。特に、学校教育の中で子供のいじめによる自殺等問題となっている中で、うつ病にかかった先生が生徒の指導ができるのか疑問であります。子供にとっても悲劇であると思います。
 そこで、現在休職されている方は何名で、うつ症状の方はおられないか、もしおられるならどういう心のケアをしているのか、総務部長、教育長にお伺いいたします。
 また、例えばうつ病の早期発見と普及、啓発を図るため、インターネット上に自己診断が可能となるストレス度合いスクリーニングテストを開設するなど、だれもが気軽に利用できる仕組みを取り入れることが有効と考えます。
 職員や教員の心の病を予防するための相談や研修など、メンタルヘルスに係る体制はどうなっているのか。あわせて総務部長、教育長にお尋ねいたします。
 次に、中国山東省報告をさせていただきます。
 去る11月19日から21日まで、知事並びに中村議長、井出議員、山田議員、玉置議員、岸本議員、さらに和歌山大学システム工学部部長、環境保護分野で先進的な取り組みをされている民間企業の代表の方々とともに、本県の友好提携先であります中国山東省を訪問いたしました。
 19日午前に関西空港を出発し、直行約3時間で山東省の東部沿岸地域における青島市に到着。まず、山東省の莱陽市にあります山東朝日農場を訪れました。
 ここは、付加価値の高い農産物を生産することを目的に、我が国のアサヒビール、住友化学、伊藤忠商事3社共同出資により、山東省の協力のもと設立した農業法人であります。中国では、経済成長による生活水準の向上に伴い、食生活に対する安全・安心、高品質というニーズが高まるとともに、食に対する諸課題が叫ばれております。ここでは、農産物の栽培から物流、販売まで一貫したシステムを構築し、新たな農業経営モデルを示し、中国の食に対する問題解決の一翼を担っております。
 20日には、山東省済南汚水処理第2工場を視察いたしました。
 この施設は、2002年に完成の80平方キロメートルの大規模な汚水処理施設で、1日に20万キロ立方メートルもの汚水を処理しているとのことであります。済南市の人口の約3分の1をこの処理場でカバーしております。当処理場の陶俊木代表によりますと、済南市民に対し、よりよい科学技術でよりよいサービスを提供できる企業を目指して努力していきたいということでありました。
 山東省の大規模なスーパーであります銀座商城や泉城広場、そして済南市内の施設でありますしゃく突泉を視察いたしました。
 その後、山東省政府のトップである姜大明省長との会談に臨みました。
 この会談では、両県省のトップクラスの相互訪問と対話の継続、経済貿易交流のさらなる推進、環境保護分野における交流の重視、促進、観光分野の交流促進による双方の観光市場開発の推進、農業・林業分野での新たな協力の模索、文化・芸術・スポーツ分野での交流、人的交流の推進など、今後の具体的な成果が期待できる実質的な交流の展開について突っ込んだ話し合いが行われました。
 特に、中国でも国家的な課題となっております環境保護対策に係る具体的な国際協力プログラムを進めることで合意を得、また済南─関西空港の直行便について山東省側の積極的な協力の姿勢を引き出せるなど、実りのある会談であったと思います。
 その後、場所を移し、我々立ち会いのもとに、仁坂知事と姜省長による「和歌山県・山東省友好交流関係の発展に関する覚書」の調印が行われた次第であります。
 この会談は、本県と山東省が新しい時代を迎え、これまでの交流に加え、環境分野での人的交流や直行便運航の検討など、さらに実質的な交流を展開していくことが確認されました。
 また、この会談に先立ち、両県省の産官学の方々が参加して環境対策国際セミナーが行われ、活発なセッションが行われたと伺っております。その結果、山東省側の強い要望で年明けには山東省の訪問団来県が予定され、第2回目のセッション開催と企業施設の視察を行う方向で協議が継続されているとのことであります。
 翌21日には、中国共産党山東省委員会の李建国書記を表敬訪問の後、和歌山県・山東省企業商談会2007の開幕式典に出席し、本県から参加の11社14名の方々を激励させていただきました。ここでも、山東省からの参加企業140社210名に及ぶ方々との間で活発な交流が行われております。
 行程が2泊3日と強行スケジュールの訪中でした。しかしながら、今回話し合われた内容は、両県省の新しいトップが一堂に会し、また日中国交正常化35周年の記念の年に本県と山東省との交流が新たな段階に達したという意味においては、まことに有意義な訪問であったと思います。
 以上で、報告並びに一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの山本茂博君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、地方分権と道州制についての見解ということでございます。
 私は、地方分権とは、地方に住む我々、者が自分たちのあり方を自分たちで決められるというようにする大変崇高なものであると思っております。そのためには、責任を一方ではとらないといけない。また、自己責任と、一方ではその地域に住んでいる人たちの日本国民としての最低限のものが保障されなきゃいけない。まあナショナルミニマムというふうに言うべきだと思いますが、そういう2つを達成しながらやっていくという作業だと思っております。
 これを進めるためにも、すなわち和歌山県でいえば和歌山県の人たちのナショナルミニマムをちゃんと守って、それで和歌山県が責任のある行政ができるかということを考えていくときに、地方の権限と、それから責任に見合った財源をきちんと保障するということもまた大事だと思います。どの地域に暮らしていても勇気と希望がもたらされるような豊かな自治が実現されなければ、それはただの観念的な産物になってしまうということだと考えております。
 また、分権型社会は、地方が相互に競い合うという状態をつくり出しますので、地域の自力を育てておくということも肝要であろうと思います。そのためには、企業誘致を初め県産品の販売促進、観光振興などに戦略的に取り組むことで地域の経済力向上を図るとともに、経済活動の基本的なスタンス、基本的なチャンスを保障し、地域間競争の条件を平等にするという観点から、今度は高速道路ネットワーク形成、それから通信インフラ、そういうものの必要性を国に訴えるなど、他地域に比べて劣っている基盤整備、これに取り組んでいるところでございます。
 次に、道州制に関しましては、私は大きく分けて2つの流れがあると思います。
 1つは、特に国の財政再建を考える、あるいは効率性を考える、もっと端的に言うと、経済界にこういうことを言う人が大変多いのですが、今の47都道府県というのは多過ぎる、知事なんか例えば近畿地方で1人でよろしい、議会の人たちもこんなにたくさん要らん、それでそれぞれの県庁の役人がいっぱいレッドテープばっかりしてるから面倒くさくてしようがない、そういうようなことを考えて、効率的な行政体制をつくれ、こういうような流れが1つあると思います。これは、1つは思想的な問題ではありますけれども、もう1つは、例えば時間距離がどんどん短くなっているという現状を考えると、不可避的な1つの流れではないかということも考えられます。
 一方では、地方分権がなかなか進まないので、地方分権を進める手段として道州制を考えて、大きくまとまれば、国は地方になかなか権限や財源を渡そうとしないけれども、大きく分けると分けざるを得ないかなと、それによってなかなかいい地方分権ができるのではないかというような考え方もあると思います。私は、この考え方にも実は賛成であります。ただ、その具体的な中身については、県単位でなかなかできないということを道州制でまとめればすぐできるのかということもまた、何も筋道がついていないというような事態であります。
 実はもう1つ、私が考えなければいけないと思いますのは、私は今、和歌山県の知事であります。和歌山県の100万人の人々、ここに住んでおる人々に責任を持っているし、その子々孫々が和歌山で立派に暮らせるということをどうやってこの制度改革の中で保障していくかということが私に課せられた任務であると思っております。
 したがって、前の知事がどのような考え方でやっておられたか、私は余り──インタビューをしておりませんので実はわかりませんけれども、多分2番目に言った考え方に即してやっておられたんではないかというふうに思います。
 ただ、例えば3番目の私が言った懸念について言えば、県というのは、今、近畿地方の中で、県があることによって、例えば基礎自治体に対して、県道をつくるとか、県としての共通の行政を提供するとか、河川や港湾に責任を持つとか、そういうことで結構実は国の資源をより和歌山の方へ持ってきているというメカニズムがあることも事実であります。したがって、この県という単位がなくなって一気に近畿地方というようなものができてしまったときに、果たしてその地域間のバランスをとるための調整が今までと同じようにきちんとできるかということを考えておかなけりゃいけないというのが、多分私が申し上げなきゃいけないポジションではないかとずっと思っております。
 ただ、驚くべきことは、これを全国知事会で申し上げたときに、変なことを言うやつがいるなというふうにみんなから思われたということも事実であります。ただ、賛成する方も徐々にふえてきましたので、今だんだんそういうふうに流れておりますけれども、こういう、私に言わせると3つの流れを総合的に考えながらこれから道州制というのが固まるときに、私としては和歌山の方々の幸せを第一に考えてこの議論に参加していきたいと、そういうふうに思っております。
 それから、その次に、和歌山県の行財政改革、特に地方法人2税の見直しということでございます。
 これは、税源の偏在の是正策として、地方法人2税の一部と消費税の一部を交換する案とか、あるいは地方法人2税の一部を国税として再分配すると、いろいろ政府・与党及び全国知事会などでさまざまな議論がなされているところでございます。
 私としては、地方法人2税の見直しを初めとする税の偏在の是正や、さきの三位一体改革により大幅に削減された地方交付税の充実強化などについてしっかりと議論をしていただきまして、何よりも大事なことは、本県のような地方圏の団体の歳入総額が実質的にふえるというような制度にぜひしてもらいたい。
 いろいろな理論的なことを申しましても、それによって実質的に我が県が今大変な苦境にあえいでいると。これはほかの県もそうでございますが、そういうこともまた事実です。そういう状況を何とか打開する方向に、一歩でも二歩でも三歩でも百歩でも進めていただくような、そういう方向を後押ししていきたい。方法論は、これでなきゃいかんということを言いますと、かえってその流れにさお差す可能性もありますので、慎重に実利を追求していきたいと。私としては、志が低いようですが、和歌山県のためにはそう考えざるを得ないというふうに思っております。
 もちろん、その議論においては、結論を先に申し上げましたけれども、偏在性の少ない地方税体系を構築するというようなことのほうが和歌山にとっては絶対に有利であります。地方交付税も、ぜひふやしてもらうように工夫してもらうというのが有利でございます。そういうことを、議員各位の御協力も得ながら、今後とも粘り強くやっていきたいと思っております。
 次に、県財政の将来見通しとその対応策でございます。
 議員御指摘のとおり、県財政は大変厳しくて、平成19年度当初予算、これは私が就任した直後に最終的な知事査定がございました。そのときには、一昨年策定されました行財政改革プランでほとんど全体的な予算ができていました。それは、私は踏襲をいたしまして、それで中身の組みかえを若干やったということであの予算案を提出させていただいたところなんでございます。
 そのときの考え方におきましては、基金の取り崩し予定額が、実は151億円でありました。その結果、平成19年度末、来年の3月末の──これは19年度当初の見通しですが──基金残高は191億円になるということでございました。
 この基金残高は、平成4年度末がピークでありましたが、このときに和歌山県は952億円という基金残高を持っていました。これに比較すると、大変財政状況は厳しい、しかもこれだけ行財政改革をやっているにもかかわらず、実はまだ基金を取り崩さなければいけない、それも単年度じゃなくてずうっと取り崩さなきゃいけないかもしれないというのは、実は先般公表させていただきまして議会にも提出されました、現状のままでいったときの行財政見通しなんでございます。これでは持続可能な財政が営めないということでございますし、せっかく新しい長期総合計画を議決していただいても、財政難からこけてしまうというか実施できない。そういうことになると大変でございます。したがって、それがきちんとできるようにやっていかなきゃいけない。そこで、国に対して引き続き地方税財源の拡充に向けた制度改正を強力に働きかけていくことはもちろんのことでありますけれども、さらなる行財政改革を同時に強力に推進しなきゃいけないということだと思っております。
 本県では、繰り返しになりましたが、これまでも行財政改革に懸命に取り組んでいます。新たな行財政改革への取り組みは、そういう意味では大変厳しいものになるということでございます。ただ、事情が事情でございますので、聖域を設けることなく、現行の行財政改革推進プランで行っている人員の削減あるいは組織のスリム化、民間活力の導入、選択と集中による事務事業の見直し、未利用県有財産の処分等あらゆる手段を総動員いたしまして、本年度当初予算における151億円の財政収支不足額を今後段階的に解消して、ソフトランディングできるようにしてまいりたいと思っております。
 議員の皆様におかれましては、大変申し上げにくいことを申し上げてるんでございますが、どうぞよろしく御協力のほどお願い申し上げます。
 それから、自殺問題でございます。
 全国で年間3万人、和歌山県では260人の方々がみずから命を絶っておられる。これは、交通事故死者数の5倍に当たる驚くべき数字であると思います。議員御指摘のように、これは大変だと。それから、自殺を図ったものの幸い命を助けられた人は、実際に自殺をされた方の10倍もあるということだそうです。
 それから、自殺をされますと、本人ももちろん命がなくなるわけですが、その周りの方々にいろんな精神的打撃を与えると思います。そういう意味で、研究報告によると、最低でも5人ぐらいの方はとんでもない精神的打撃を受けるというふうに言われております。
 みずから命を絶つ人だけの問題ではございませんで、家族や周囲の者にとっても深刻な問題であります。私は、自殺を考えてる人を1人でも多く救うために自殺対策を進めてまいらなきゃいけないと思います。
 御指摘のように、和歌山県の対策がおくれているのではないかという点については、どうもそのような評価に反論が難しいという点もございます。山本議員がおっしゃるように、これから大いに取り組みを強化すべく努力をしていきたいと思います。
 内容については、既にもう手をつけておりますけれども、井畑福祉保健部長にお尋ねでありましたので、部長から答弁をさせたいと思います。
○議長(中村裕一君) 総務部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○総務部長(小濱孝夫君) 県有地のインターネット売却の状況について、それから那賀高校実習田跡地とPFI事業の活用についてお答えいたします。
 県有財産の有効活用につきましては、平成18年3月に公表した行財政改革推進プランにおいて、歳入確保策の1つとして未利用県有財産の処分を掲げ、インターネットオークションを利用した売却等により計画的な処分を図っているところでございます。
 県では、全国初のインターネットオークションを利用した公有財産売却システムをヤフー株式会社と共同開発し、平成19年1月に本県を初め10自治体の参加により実施いたしました。
 本県の実績といたしましては、出品した7物件のうち6物件が落札され、予定価格の1.2倍の約1億8000万円の歳入確保を図りました。また、今月5日から申し込み受け付けを開始しております19年度の第2回目の入札におきましても、8物件を出品しているところであります。
 議員御指摘の那賀高校実習田跡地につきましては、平成3年に用途廃止され、現在、普通財産として管理しておりますが、県の処理計画において、処分すべき財産の1つとして位置づけをしております。
 当該地は国道に隣接する約1万平方メートルの整形地であり、県の施設が集積する地域に位置する財産であります。売却も含めて、その利活用については慎重に検討する必要があると認識しておりまして、地元自治体など関係機関とさらに協議をしてまいりたいと思っております。
 次に、職員の状況とケア並びにメンタルヘルス体制についての御質問にお答えいたします。
 最初に、職員の状況についてでございますが、知事部局における病気休職者は現在13人であり、このうちメンタル系疾患による休職者数は9人であります。
 次に、職員に対するケア及びメンタルヘルス体制といたしましては、本庁及び各振興局等に産業医を配置するほか、専門家であるカウンセラー2名を委嘱し、本庁及び西牟婁振興局においてストレス相談を実施するとともに、地方機関への巡回相談、新規採用職員に対するふたば相談をあわせて行い、心の病の予防や早期発見等、心のケアに努めているところであります。
 また、メンタルヘルスに関する知識の普及、啓発といたしましては、管理監督者を対象といたしましたメンタルヘルス講座の開催や、職員研修にメンタルヘルス関連の講義を組み込むなどの取り組みを行っております。
 議員から御指摘のありました職員のメンタル面での健康管理につきましては非常に重要なことと認識しておりまして、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(中村裕一君) 企画部長森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○企画部長(森 崇君) PFIの活用についてお答えいたします。
 本県には市町村も含めてPFIを活用した事業はございませんが、行政負担の軽減や質の高い公共サービスの提供ができるなどのメリットがありますので、公共施設を整備する場合は1つの有効な手段と考えております。
 県では、現行の行財政改革推進プランにおきましてPFI手法を検討することがうたわれており、メリットが大きい案件につきましては、他府県での公園事業や体育施設などの事例も踏まえ、積極的に検討してまいります。
 また、市町村事業においてもPFIの活用を検討していただきたいというふうに考えております。このため、県では、昨年度に引き続き、本年度も市町村や民間の方々を対象としたセミナーや相談会の実施を計画しているほか、PFIの活用事例や研修会などの情報を提供し、周知を図ってまいります。
○議長(中村裕一君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 自殺予防対策についてでございますが、自殺は、健康問題、経済・生活問題、家庭問題などのさまざまな社会的要因が関係しており、自殺予防対策の推進に当たっては、多角的な検討と総合的な対策が必要であると考えております。
 このため、県では、医師会、弁護士会、大学、精神科病院協会、教育庁、県警本部、労働局、いのちの電話協会、臨床心理士会、商工会議所連合会等の関係機関で構成する和歌山県自殺対策連絡協議会を本年12月20日に発足し、自殺予防対策にかかわる機関の相互の連携や情報交換を行い、具体的な取り組みの方向性を協議してまいりたいと考えてございます。
 次に、自殺対策に関連いたしまして、うつ病対策についてでございます。
 自殺がうつ病と精神疾患との関連性が高いことから、それについての正しい知識の普及啓発を一層進めるとともに、うつ病等の早期発見、早期治療のためには、かかりつけ医師の診断技術の向上や専門医との連携が重要であり、自殺の危険を示すサインに気づき、適切な対応を図ることができる人材の育成を図る必要があります。
 また、不幸にして自殺されました遺族の方々等に対する相談窓口を精神保健福祉センターに設置し、心のケアに当たっているところでございます。
 さらに、自殺予防対策は、自殺の要因が、議員御指摘のとおり精神保健の要因に限られるものでなく、さまざまな社会的要因が複雑に絡まっていることもあり、他の関係機関と密接に連携しながら包括的な取り組みをしていく必要があることから、先ほどもお答え申し上げましたように、県自殺対策連絡協議会におきまして今後の施策を具体的に検討してまいりたいと、そのように考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教職員のメンタルヘルスについての御質問にお答えいたします。
 本年11月現在、県内公立学校で休職中の教職員は60名、そのうち約6割が精神疾患によるものでございます。
 こうした課題への対策として、現在、学校長等の管理職、県及び市町村教育委員会の人事担当者や健康教育担当者を対象に教職員メンタルヘルス研修会を実施するとともに、和歌山市、田辺市、那智勝浦町の3会場で、教職員を対象にストレス相談を行っております。
 さらに、労働衛生の推進、個人の健康・安全の増進を目的として設置しております総括安全衛生委員会では、昨年度から県立学校教職員に対しまして、生活状況アンケートと健康状態自己チェックを始めたところであります。これらの結果を先ほどの研修会や相談に有機的につなげて、防止に役立てていきたいと考えております。また、こうした県立学校における取り組みを市町村教育委員会にも周知し、普及するよう働きかけているところでございます。
 議員御指摘のとおり、子供たちの成長に大きな影響を与える教職員のメンタルヘルスケア対策は大変重要であることから、今後ともその充実に努めてまいりたいと考えます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 以上で、山本茂博君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 45番野見山 海君。
  〔野見山 海君、登壇〕(拍手)
○野見山 海君 おはようございます。
 通告に従いまして、議長のお許しをいただきましたので、質問をさしていただきます。
 最初に、南北格差是正についてお伺いいたします。
 さきの県会議員選挙において、私は「なくせ格差、紀南に光を」とスローガンを掲げて選挙戦を戦い、県会に送り出していただきました。これは、多くの住民の皆さんがこのスローガンに心を寄せ、支持をしていただいた結果であると思っております。
 ことし7月末の参議院選挙におきまして、格差是正を訴えた野党候補者が大きく票を伸ばしましたが、これも国民の多くが格差是正を望んでいるあかしであると私は考えます。
 国が構造改革を進める中、格差と言われるさまざまな問題が生じています。地方人口が減少し、その結果、雇用の場や医療機関が減少するなど、地方は悪循環に陥っております。国は、地方の状況を把握するために進んで地方に足を運び、地方の皆さんの声に真摯に耳を傾け、地域再生に向けての取り組みをされようとしております。私も、その成果を期待するところであります。
 仁坂知事も、就任されてからはや1年が経過しようとしています。この間、県内各地域を回られ、地域の声をお聞きになられたと思います。今や格差是正は国民や県民の声でありますが、知事はこうした声にどうこたえるのか、まず格差是正に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 現在、我が国では、雇用や所得などさまざまな分野で格差が進行し、その格差が都会と地方という地域間の地域格差としてもあらわれていると言われております。
 和歌山県におきましては、紀北と紀南の地域格差が大きく、その解消が依然として大きな課題となっております。特に紀南は、都会と比べ、公共交通、雇用、教育、医療、スポーツ及び福祉施設など、多くの分野で立ちおくれが指摘されております。この結果、多くの若者が都会へと流れ、過疎化の進展に歯どめがかからず、特に山間部では65歳以上の老人が50%以上を占める、将来に集落維持が困難になりつつありますいわゆる限界集落がふえ続けております。
 昨年度の総務省の調査、最近の新聞報道によりますと、限界集落は全国で7878、近畿圏では417あり、そのうち本県が半数近くを占めております。
 ことしの6月16日付の「紀伊民報」では、田辺市が市内の限界集落の実態調査を行ったと伝えています。田辺市にある35の限界集落のうち幾つかを選び、住民から聞き取り調査を行ったようでありますが、多くの住民から、「病院や買い物に行くのに自家用車を利用しているが、高齢化でだんだん車を運転できる人が少なくなり、将来どうすればいいのか」、「災害時に集落が孤立するのではないか」といった不安や、「有害獣による農作物被害が多くて困る」といった声が寄せられたと言われております。
 私も実際に過疎地域を何回か回ってみましたが、お年寄りから同じような悩みを聞きながら、格差社会の矛盾が今、紀南の山間部に集中的にあらわれていることを肌で感じました。
 格差を是正し、限界集落を再生させることは、政治の大きな責務であります。どう再生させるのか、大変難しい課題であります。
 ことしの10月18日、19日の2日間にわたり、綾部市で限界集落の再生を考える全国水源の里シンポジウムが開かれ、この中で注目を集めたのが地元綾部市の水源の里条例でした。上流部の水源の里に人が住むことで森林環境が守れ、森林環境が守られれば下流の住民も水質汚濁や水害などから守られるという考えから限界集落を水源の里としてとらえ、みんなで支援していこうという全国初の条例であります。
 綾部市は、市内5つの限界集落を支援対象に選び、4000万円の予算を組み、5年間の期限つきで特産物開発や空き家の活用による新住民の誘致などに助成するそうですが、これまでの過疎対策と違ったところは、行政が規格品を押しつけるのではなく、住民みずから自立への道を考えて取り組み、行政がそれを支援するということです。
 限界集落再生の道は数多くあろうかと思いますが、私は1つの道が示されたのではないかと思います。知事は、こうした取り組みをどう評価され、本県の限界集落再生に向けたプログラムをどうつくろうとされているのか、お伺いいたします。
 次に、阪和自動車道の南紀田辺インターチェンジ開通に伴う諸課題についてお伺いいたします。
 去る11月11日、阪和自動車道みなべ―田辺間が開通し、田辺―大阪間が2時間足らずで結ばれるようになりました。私も記念式典に出席させていただきましたが、地域住民の長年の悲願であっただけに、大変感慨深いものを感じました。地元では、これによって京阪神が近くなり観光客がふえる、国道の渋滞が緩和されるなど多くの期待を寄せているところであります。この阪和自動車道の開通を真に地域の発展に結びつけたいと思います。
 活力ある地域、安心・安全な地域づくりの課題も多くあります。まず、高速道路と出口付近の交通安全対策であります。
 高速道路と申しましても、中央分離帯のない片側だけの2車線道路でありますから、目が疲れ、眠くなると訴えるドライバーも多くあります。しかも、トンネルが多い区間であり、事故が起これば大惨事につながりかねません。加えて、出口付近は急カーブであるため、十分な減速が必要であります。さらに、インターチェンジへのアクセス道路では、自動車が集中し、混雑と事故が予想されます。
 4年前、阪和自動車道がみなべまで開通した直後には、出口付近で追突事故等が多発したことがあります。平成16年には、人身事故69件のうち、御坊―みなべ間で起きた人身事故は23件に上りました。そうした教訓を踏まえて、今回は開通直後の事故に十分な安全対策をお願いするわけでございますが、現在どのような対策を講じられているのか、その取り組みについてお伺いいたします。
 次に、治安対策についてであります。
 高速道路は、人や物の流れをスムーズに運んでくれますが、同時に犯罪も運んでくると言われます。
 4年前にみなべまで高速道路が南下したとき、みなべ町で買ったばかりのベンツが盗まれたという事件を聞いたことがあります。その後も、高速道路上を走行中、エアガンで銃撃された事件や、阪和自動車道の印南サービスエリアで3人組の男に田辺の男性の車が奪われるという事件が起こっております。
 地元では、高速道路の南下で確かに便利になったが、犯罪まで南下するのではないかという不安感があり、治安対策は警察だけではなく地域住民と一体となった取り組みが必要であろうかと思いますが、どのような取り組みが必要なのか、その対策についてお伺いいたします。
 さらに、高速道路の開通を地域の活性化にどう結びつけるのかという点であります。
 かつて吉備インターが開通したとき、インター出口付近の企業団地に企業が進出したことがありました。私は、今回、阪和自動車道南紀田辺インターチェンジ開通を機会に、ぜひとも田辺周辺地域を本県の企業誘致最重点地域として位置づけて誘致運動に乗り出していただきたいと思うわけでございます。
 幸い、ことしの2月の定例議会の冒頭で、「職づくり、人づくり、地域づくり」と題して、知事は「より戦略性の高い効果的な企業誘致活動を展開し、誘致活動を進める中で、必要に応じて私がみずからトップセールスを行ってまいりたい」と力強く発言されたところであります。
 こうした姿勢が功を奏したのか、知事は11月15日の臨時記者会見で、大阪の守口市にある松下電池工業が紀の川市に工場を増設するという発表をされました。雇用人数も150人に上ると言われ、地元の雇用が大いに期待されるところであります。
 全般的な日本経済の景気回復傾向の中、県内への企業誘致も少しずつ進んでいるようでありますが、しかし私ども紀南から見れば、北高南低と申しますか、企業誘致も紀北や紀中に偏っていると感じます。
 私がぜひ田辺周辺地域を企業誘致重点地域にしてほしいと訴えるのは、理由があります。それは、田辺地域の雇用状況は大変厳しい状況にあるということであります。田辺地域の有効求人倍率は、県内でも大変低く、平成16年の平均は0.5、平成17年は0.57、平成18年は0.65と低迷し、ことしになって少し上昇して、9月にはようやく0.81と回復しましたが、それでも県内8つのハローワークの中で下から2番目という低さでございます。ちなみに、全国平均は1.05、本県全体では0.96となっております。
 特に、田辺の高校の間では、地元に残りたい、地元で就職したいと希望する生徒が多いにもかかわらず、働く場所がなく、仕方なしに都会に出てしまう生徒が多くございます。その結果、人口減少が続くという悪循環に陥っています。
 県内の地域格差を是正する意味でも、田辺市周辺への企業誘致は大きな課題であると考えます。ぜひ地元産業と共存できる企業誘致を積極的に進めてもらいたいと思います。
 幸いにして、旧白浜空港跡地は広大な面積を有しており、紀南の企業集積地に適していると考えますが、いかがでしょうか。知事の御見解をお伺いいたします。
 次に、橋梁の維持管理についてお伺いいたします。
 今まで車で走行中に、「もし、今渡っている橋が壊れたらどうしよう」というようなことを考えたことはございませんが、ことしは橋梁に対する不安感を抱かせるようなニュースが相次ぎました。
 8月1日には、アメリカのミネソタ州ミネアポリスで高速道路の橋が一瞬のうちに崩壊し、50台を超える車が川へ放り出され、死者9名、行方不明20名という大惨事が起きたことがテレビのニュースで報道されました。
 日本でも、三重県内の国道23号木曽川大橋の橋脚の鋼材が破断するという事故が伝えられました。また、つい先日は、栗本鐵工が高速道路の橋脚に使う型枠の強度試験のデータを偽装したというニュースが伝えられております。栗本鐵工の方では橋梁の安全性は問題ないと発表しましたが、ドライバーにとりましては、崩れた道路行政に対する信頼感や橋梁の安心感を取り戻すことができません。
 橋梁の老朽化は、今後大きな問題となってくると思います。県内の状況を調べましたところ、平成18年までに県が管理してる15メートル以上の橋梁は、国の補助事業によるものと県単独の県道橋梁を合わせ881橋ありますが、そのうち築30年以上経過する橋梁が全体の44%に当たる386橋あり、40年以上が26%、50年以上が11%となっております。ということは、10年後には築50年を経過する橋梁は全体の26%に当たる332橋、40年以上経過する橋梁が386橋になります。つまり、高度経済成長期につくられた橋梁は、大量に寿命に近づくということであります。
 アメリカでは、連邦府が1970年ごろから高速道路に対する安全管理を強めていると伺っております。しかし、我が国では、国が管理する国道橋梁については5年に1度、目で確かめたりハンマーでたたいたりという方法で定期検査を実施してるようでありますが、市町村に至っては、予算がない、職員が足りないといった理由で、9割の自治体で定期検査を実施していないという報告もございます。
 そこで、本県では橋梁の定期検査をどのように実施していかれるのか、お伺いいたします。
 私は、これまで新しい橋梁ばかりをつくることを考えてきましたが、人口減少時代を迎え、これまでつくってきた道路や橋梁などの社会資本をどう管理し、維持していくかということに重点を置く時代に入ったと考えます。
 財政難の折から、橋梁の維持管理費を削減したいところでありますが、考え方によれば、早めに必要な補修をすれば、結果として橋梁の寿命を延ばすことができ、逆に将来的な建設費の削減につながると思いますが、いかがでしょうか。今後の橋梁の老朽化に対する対策をお伺いいたします。
 最後に、有害獣の農作物被害防止対策についてお伺いいたします。
 最近、紀南地方では、中山間地域を中心に、イノシシ、シカ、猿などの有害獣による農作物被害が多発し、農家の人々を大変困らせております。
 私も、近畿で最も広いと言われる田辺市の中山間地域を回ってみて、驚いたことに、どの地域に行っても家の周りや地域の周囲に有害獣よけのネットや金網、電気さくを設けていることでした。しかし、防護さくを設けても、頻繁にさくを破り侵入し、農作物を荒らすそうです。被害は中山間地に限らず、純農村部でも広がり、梅やミカンの根を切ったり、スプリンクラーの施設を壊したりして、畑にまで及んでいるということであります。
 ある地域住民は、「もう何もつくれない。何とかならないのか」と嘆いておられましたが、有害獣による農作物被害は農家の人々の生産意欲も減退させることに注意しなければならないと思います。
 被害防止対策としては、防護さくを設けて有害獣の侵入を防ぐという方法のほかに、有害獣の捕獲があります。この捕獲には、狩猟によるものと有害鳥獣捕獲がありますが、ことし4月、環境省は、ツキノワグマの保護のため、狩猟によるくくりわなの口径が12センチを超えるものについては禁止するという省令を出しました。規制されるとイノシシによる農業被害の拡大が懸念されるため、被害農家が反発し、規制緩和の要望が相次いだ結果、本年8月、本県は有害捕獲に限りくくりわなの口径を規制しない方針を出しました。
 このことに関しては一定の評価をしたいと思いますが、くくりわなの許可を判断する市町村では、狩猟期間中の有害捕獲について、許可を出している市町村と許可を出していない市町村があり、対応にばらつきが見られ、被害農家の間から狩猟期間中の有害捕獲の全面解除を求める声が寄せられています。さらに、有害捕獲の申請手続が煩わしいといった声も寄せられております。県としても何らかの対応をすべきであると考えますが、いかがでしょうか。
 また、ことしから、イノシシに限り猟期を半月前倒しして11月1日から来年3月15日まで延期されましたが、田辺市ではシカの猟期についても延長してほしいという声が上がっております。イノシシ同様、シカについても、捕獲頭数は狩猟、有害捕獲ともに大きくふえております。平成14年度には1800頭だった捕獲頭数が平成18年度には3700頭に上り、4年間で2倍以上にふえております。それだけシカの生息密度が上がり、被害もふえているということであります。
 私もシカの猟期延長については検討すべき時期に来ていると考えますが、いかがでしょう。
 さらに、有害獣対策として、捕獲のほかに、最近では地域ぐるみで里に有害獣を近づけない対策をとる必要があると主張する専門家もおられます。
 例えば、休耕地や荒廃地は有害獣を呼び込む場所になりやすいので、ここに牛や犬を放して有害獣を近づけないようにするといった対策が他の県では既にとられております。成果を上げています。
 本県といたしましても、このような有害獣を近づけない対策が効果的であり、今の深刻な被害状況を見れば、侵入を防ぐ対策などとともに、早急に総合的な対策を実施する必要があると考えますが、県としてどのように対応するのかお伺いいたします。
 これで、第1回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの野見山海君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、南北格差是正の御質問について、一括してお答えさしていただきたいと思います。
 どの地域に住まれようとも、県民だれもが誇りを持って「和歌山こそ我がふるさと」と言えるような、そういう地域づくりに取り組むことが大事でありまして、県内各地において必要な政策を一生懸命実施することで、結果として地域全体が伸びる形を考えていかなければならないと思っております。
 私は、何でも和歌山市というのは──私自身和歌山市で生まれましたけれども、何でも和歌山市というのはいかんと思っております。各地で、できるだけ行事とか、あるいはプロジェクトとか、そういうことを興して、みんなが参加できるようにならないといけないと思います。
 私自身も、それから県庁の職員も、全部県庁に来ていただくんではなくて、できるだけ出向くということを心がけていこうとも思っております。例えば、新長計の市町村長との議論につきましては、一度は来ていただいたんですけれども、もう一度、2回目やったときは、紀中、紀南、紀北と分けまして、それぞれ一番便利なところへ出かけていきまして議論をさせていただきました。
 そういうような考え方に基づきまして、各地域の産業分野ごとの成長可能性あるいは県内の各地の既存産業との相互補完関係などを勘案しながら地域の特性に合った重点的な産業振興、あるいは新たな企業誘致を行う必要があると考えております。
 また、特に紀南地域の強みであります農林水産業の振興、あるいはそれの県外のプロモーション等を通じた農林水産物の売り込み、温泉や熊野古道、体験型観光など、南紀のすぐれた地域資源を生かした観光客の呼び込み等にも取り組む必要があると考えております。
 これらの施策を支える高速道路の紀南延伸あるいは県内道路ネットワークの整備、それから通信環境の基盤強化、それから安心・安全の大もとである地域医療を支える医師確保など、今後とも着実な取り組みを進めていかなければいけないと思います。
 私がずっと努力をして、かつまた国にも働きかけてやっております今申し上げましたような基盤整備につきましては、とりわけ和歌山県でいうと紀中や紀南あるいは山村部の方々の生活、それからそういう方々にチャンスを与える源であるというふうに思っております。そういう意味では、絶対におろそかにできないことであるということであろうかと思います。
 次に、いわゆる限界集落の再生に向けての取り組みについての御質問がございました。
 現在、この問題は深刻な問題になっておりまして、全国的にさまざまな議論があります。綾部市の水源の里条例における取り組みもその1つだと思っております。
 そういう取り組み、いろいろな議論によって、活力のある集落づくりを支援する方策がいろいろ模索されているということではないかと考えております。
 本県でも、新長期総合計画の検討の中で、地域の実情や住民の意向を十分踏まえ、市町村と連携しながら集落の維持などのための総合的対策を実施することを基本的方向として導き出そうとしているところでございます。
 今後、議論の内容を踏まえ、生活環境等定住条件を整備するとともに、特産物の振興や体験交流など地域資源を生かした取り組みを進め、ソフト、ハード両面から支援してまいりたいと考えております。
 次に、阪和自動車道の南紀田辺インターチェンジ開通に伴う企業誘致でございます。
 阪和自動車道が南紀田辺まで開通し、大阪と直接高速道路でつながりましたことは、紀南地域にとって大きなチャンスであり、この機会をすべての面で生かさなければならないと考えています。特に企業誘致については、高速道路を初めとする社会インフラの整備がこの誘致について必要不可欠であると常々痛感してるところであります。
 紀南地域につきましては、議員お話しのとおり、製造業の企業誘致は進展しない状況にあります。しかしながら、南紀白浜空港による東京との利便性や豊かな自然など地域のポテンシャルを生かしながら、これまで企業の誘致活動を行ってきたところでございます。
 議員から御提案のありました旧白浜空港跡地については、現白浜空港が隣接するため、航空法などさまざまな規制もありますけれども、空港跡地の利用を検討していく中で、企業誘致についても1つの方法として考えていき、地元の方々とよく話し合って、我々のプロモーション活動にできれば加えていきたいと、こういうふうに思っております。
 今後とも、阪和自動車道開通による関西圏との近さを大いにアピールするとともに、温暖な気象条件や豊かな農林水産資源など、紀南の持つ強みを生かして、より積極的な企業誘致に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(中村裕一君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 橋梁の定期点検、それから老朽化対策についてのお尋ねでございますけれども、議員御調査のとおり、県が管理いたします15メートル以上の橋梁は881橋ございます。
 橋梁というのは、最低限の維持管理ですと、およそ50年程度で高齢化すると言われておりますけれども、本県の建設後50年を経過する橋梁は、現在で約1割の96橋、20年後には約4割の386橋となり、急速に橋梁の高齢化が進展してまいります。
 そのため、県では平成14年度から橋梁の調査に着手いたしておりまして、平成18年度末までにすべての橋梁につきましてデータベースを作成いたしました。その上で、平成19年度から、そのデータを活用して、全橋梁につきまして5年ごとに定期点検をすることといたしております。
 今後の橋梁の老朽化対策につきましては、橋梁損傷の早期発見に努め、従来の事後的な修繕、更新というものから、予防的な修繕、計画的な更新へと移行していくこととしております。橋梁の長寿命化、それからライフサイクルコストの縮減など、効率的な維持管理に努めることによりまして、地域の道路網の安定性、信頼性を確保してまいりたいと考えております。
 市町村に対しましても、橋梁点検、国庫補助による長寿命化修繕計画を策定し、効率的な維持管理を行うよう、今後とも協力してまいりたいと考えております。
○議長(中村裕一君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 有害獣の被害防止対策に係る2点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、有害捕獲の許可についてでございます。
 県におきましては、有害鳥獣捕獲基準につきまして、許可期間の延長あるいは許可頭数の枠の拡大など、さまざまな規制緩和を行い、有害捕獲の推進を図ってまいりました。
 また、有害鳥獣捕獲は、農業被害等がある場合、狩猟期間中におきましても市町村長の許可を受けて行うことができるものでございます。狩猟期間も含めた有害捕獲の推進につきましては、許可権者であります市町村長に対し再度申し入れを行うとともに、市町村と連携しながら鳥獣による農業被害等の防止に努めてまいりたいと考えております。
 次に、シカの狩猟期間の延長についてでございます。
 西牟婁、東牟婁地域を中心にいたしまして、シカによる農業被害等が増加しております。このため、その対策といたしまして、現在、シカの生息調査を行っております。
 今後、その調査結果を踏まえまして、県議会を初め県民の皆様方の御意見を伺いながら、狩猟期間の延長についても検討をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) イノシシ、シカなどの有害獣を防ぐ対策についてでございますが、農山村では、かつては人々が里山へ日常的に出入りをいたしまして、農地周辺の管理についても集落ぐるみで行われてきたことによりましてイノシシやシカなどの有害獣の被害防止が図られてきたところでございます。
 しかし、御承知のように、近年、過疎化や高齢化等による集落機能の低下等もございまして、農作物の被害が毎年3億円を超えるというようになってきてまいっております。そうした中で、お話ございましたように、生産農家の営農意欲の減退も招くというような深刻な状況にあるというふうに認識をいたしてございます。
 こういったことから、農地周辺に生息をする有害獣の捕獲、これを重点にいたしまして、電気さく等による防護、またやぶの刈り払いなど、集落へ近づけない取り組みを加えました総合的な対策について、地域の方々や、また市町村などの関係者と一体となって推進してまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 警察本部長鶴谷明憲君。
  〔鶴谷明憲君、登壇〕
○警察本部長(鶴谷明憲君) 初めに、阪和自動車道南紀田辺インターチェンジ開通に伴う終点出口付近の交通安全対策についてお答えをします。
 阪和自動車道みなべ―南紀田辺間開通により、田辺市内国道42号の渋滞が緩和されるなど、現在のところ比較的円滑な交通流となっているところであります。
 議員御指摘のとおり、御坊―みなべ間が開通した際には交通事故が多発したところであり、警察といたしましては、今回、みなべ―南紀田辺間が開通するに当たり、道路管理者と協議の上、交通の円滑化と事故防止のための対策として、流出料金所ブースの4レーン化、トンネル内における終点を知らせる電光掲示板の設置、ランプウエーへの視線誘導標や大型案内標識、車両を安全に導く導流レーンマークの設置などの諸対策を講じたところであります。その結果、現在のところ、料金所ブースでの追突物損交通事故1件の発生となっております。
 今後、年末を控え、交通量の増加による交通渋滞や交通事故の発生が懸念されるところから、その推移を見ながら交通監視活動の強化や信号の時間調整などを行い、交通渋滞の緩和や交通事故防止などの必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
 次に、高速道路の延伸に伴う治安対策についてお答えをします。
 警察といたしましては、従来から犯罪の未然防止と早期事件検挙を主眼に、自治体や関係機関・団体、地域住民の方々と一体となった警戒活動の強化による安全で安心できるまちづくりを強力に推進しているところであります。
 今回の高速道路の延伸に伴うこれまでの対策につきましては、夜間パトロール体制の強化や道路管理者対策を推進するとともに、インターチェンジ周辺住民に対しまして、防犯対策の一環として広報啓発ビラ約4000枚を配布するなど、地域住民1人1人の自主防犯意識の向上に努めているところであります。
 また、田辺警察署管内では、ことし9月から10月にかけて新たに自主防犯組織3団体が結成され、14団体、約1300人になるなど、地域の安全は地域で守るという防犯意識が高まっているところであります。
 観光シーズンなどに流しの犯行がふえる懸念もあり、今後とも犯罪の発生状況等を踏まえた上で、警戒警ら活動や犯罪発生情報等の発信強化を図るとともに、自治体等との連携によります防犯灯や防犯カメラの設置など犯罪の起こりにくい環境づくりや自主防犯パトロール活動に対する一層の支援など、諸対策を講じてまいる所存であります。
 以上であります。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 45番野見山 海君。
○野見山 海君 答弁、ありがとうございました。
 2点だけちょっと要望させていただきたいと思います。
 1つは、企業誘致につきましては、用地問題、コスト問題、人材問題の問題が、多く課題がありますが、若者が生まれ育ったふるさとで働く場所を確保することが人口減少にも歯どめかかると思いますし、またふるさと保全につながると私は思いますんで、ぜひとも、厳しい企業誘致の状況でありますけども、頑張っていただきますことを心から願います。
 もう1つは限界集落の再生についてでございますけれども、近畿圏の限界集落の半数が和歌山県内に占めている状況を見たときに、本県での早期の対策が今求められていると私は思います。よって、地域住民の皆さん、それから地方自治体、県との連携を密にしながら、地域住民の思いを少しでも実現していただきますことを心からお願い申し上げまして、要望といたします。
○議長(中村裕一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で野見山海君の質問が終了いたしました。
 これで午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時37分休憩
────────────────────
  午後1時1分再開
○副議長(新島 雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 9番川口文章君。
  〔川口文章君、登壇〕(拍手)
○川口文章君 私は、本年4月の県議会議員選挙におきまして、単独で市制施行いたしました初めての岩出市選挙区から県議会議員選挙に立候補し、市民の皆様の絶大なる御支援をいただき、当選の栄誉を与えてくださった皆様に感謝いたしますとともに、与えていただいた任期を和歌山県の発展に尽くしてまいる所存であります。
 私は、行政畑一筋45年、180度の転換でありまして、議員活動は全くの素人でございますが、先輩議員諸氏の御指導と仁坂知事初め県御当局の皆様の御指導をいただきながら一生懸命に努めてまいりますので、高いところではございますが、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、議員として初めての一般質問をさせていただきます。
 まず第1点の、元気な和歌山実現のための予算編成のあり方についてお伺いいたします。
 今議会において、先輩議員の一般質問の中で平成20年度予算編成方針の質問がございまして、重複する点があると思いますが、お許しをいただきまして、私は少し違う視点から質問をさせていただきます。
 小泉内閣において三位一体改革が進められ、県、各地方公共団体の財政が非常に厳しいものになったことは御存じのとおりであります。三位一体の改革では、国から地方へ約3兆円の税源移譲が実現したものの、その一方では5兆円を超える地方交付税の大幅な減額が行われました。その結果、本県及び県内市町村は収支不足に陥り、財政的に大変な苦境に立たされているものと思います。
 このような状況の中で平成20年度予算編成要領が示されましたが、元気な和歌山の創造に向けて、新長期総合計画の将来像の実現のための施策、事業に重点化する必要があるとし、また新政策事業については原則として要求限度額を設定しないなど、元気な和歌山実現のために積極的な予算編成がされるものと期待するものであります。
 仁坂知事は、昨年12月に就任され、前知事のあおりを受けて難問題に取り組まれ、元気な和歌山の創造、健全な財政の実現に積極的に取り組まれていることに改めて敬意を表するところであります。
 しかしながら、十分な歳入が確保できない中で、県民の期待にこたえ、積極的な予算編成に取り組むことは至難のわざであります。
 先般示された長期財政収支見通しでは、このままでは平成21年度にも基金が枯渇する現状が示され、身の丈に合った財政運営が必要と総括されております。
 厳しい財政状況の中で行財政改革を断行することは、もちろん大切なことと思いますが、歳出抑制策だけでは限界があり、当然歳入については、国が改正しなければ解決しない地方税財政制度から生じる構造的な課題等もございますが、県みずからも積極的に歳入を確保していく必要があるのではないかと考えております。
 それは、徹底的な歳出削減による身の丈を縮めていく緊縮型予算の編成という考え方もございますが、私は、あらゆる歳入確保策を施し、少しでも身の丈を伸ばし、県民が元気になるような積極的な予算編成の考え方が必要でないかと考えるからでございます。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 元気な和歌山を実現するために積極予算を編成すべきと考えますが、いかがでしょうか。知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、数値目標を定めたさらなる税収確保の取り組みについてお伺いいたします。
 元気な和歌山を実現するためには、あらゆる歳入確保策を施し、積極的な予算編成が必要であるということは先ほど申し上げましたが、歳入の中でも特に大きなウエートを占める地方税について、私はさらなる徴収努力が必要であると思います。幾ら身の丈と言われても、徴収努力によって歳入が最大限確保されなければ、結果として必要な歳出も削らざるを得ない状況が生じます。
 昨年度、県が音頭をとり、県内市町村が共同で設置した和歌山地方税回収機構が、市町村税や県民税などの徴収困難な滞納事案を引き受けて大きな成果を上げていると聞いておりますが、県、市町村にとっては、平成18年度決算による滞納繰越額から考えますと氷山の一角であるように思います。
 特に重要な視点は、税源移譲といった地方自治にとって大革命がなされる中で、県の収入源の大きなウエートを占めることになる住民税について、法律では市町村の責任となっておりますが、県は徴収を市町村に任せっ切りでよいのでしょうか。県は、市町村と一体となって、さらなる徴収努力をすべきであると考えるところであります。
 そこで、総務部長にお伺いいたします。
 県みずからが元気な和歌山の実現に向けてさらなる歳入確保に取り組むべきであり、より一層市町村との連携を図り、一定の数値目標を定めるなどして、今まで以上の徴収対策に取り組む必要があると思いますが、総務部長の所見をお伺いいたします。
 次に、2点目の防災についてでありますが、まず自主防災組織の育成についてお聞きいたします。
 災害がいつやってくるかもしれないとの不安は、県民の皆様のだれもが持っております。
 私は、防災・環境問題等対策特別委員会の委員として、11月29日から30日の2日間にわたり県内外調査に参加し、和歌山県防災センター、稲むらの火の館、津波防災教育センターと徳島県の防災センター、また兵庫県の野島断層保存館、耐震工学研究センターを視察し、地震等の災害に関する施策について調査してまいりました。
 平成7年1月17日の阪神・淡路大震災は、多くのとうとい命を奪うとともに、都市基盤や建築物に甚大な被害を与え、住民に間接的、直接的に大被害を及ぼしました。また、復旧は長期にわたり、産業、特に地場産業、都市基盤、ライフラインの整備等は市民生活にさまざまな大きな影響が出たことは、我々県民にとっては想像を絶するものであり、教訓を与えていただきました。
 本県に甚大な影響を及ぼす東海・東南海・南海地震は、1498年の明応地震、1605年の慶長地震、1707年の宝永地震、1854年の安政東海・南海地震、昭和19年(1944年)・昭和21年(1946年)には昭和東南海・南海地震が起こり、約100年周期で発生しております。
 ことしは既に2007年で、今後50年の間に、あしたにも起こるかわからない状況で、県民の不安は非常に大きいものがあります。
 そこで、防災対策について、県民に対して家屋の耐震診断、耐震改修の補助制度を県は各自治体とともに実施され、防災対策等に取り組まれておりますが、有事に際して、県民の防災意識の認識を県全域に啓発し、あらゆる機会をとらえ防災意識の高揚に県御当局は努められていることは理解しております。しかし、防災条例を制定しても、防災のための県民、市町村、県がそれぞれの責務と役割を果たし、相互に連携を図ることが明記されますが、それを実行するための施策を実施することが重要であると考えます。
 地震にかかわらず、自然災害が起こったときは、被害情報を知るよりも救助体制が重要であり、先決問題であります。
 過去に起こったとき、命を救われた方の70%から80%は隣近所の方に救助されたと聞いております。県下市町村で住民相互のつながり、特にコミュニケーションが希薄化している状況の中で、県や市町村に任せておけばよいとの他力本願的な考えの住民が多いのではないでしょうか。もっときめ細かな自主防災組織の充実を図ることが重要であります。
 自主防災組織の充実については市町村が行うことと災害対策基本法において義務づけられておりますが、各市町村では、自主防災組織への資機材の経済的支援は、財政状況が厳しい中で非常に難しい状況であります。
 そこで、危機管理監にお伺いいたします。
 県は、これまで自主防災の立ち上げについて積極的に啓発されていますが、防災に対する県民意識の状況はどうでしょうか。また、自主防災組織の育成とともに、自主防災組織の資機材整備に対し、県は県民の生命と財産を守る立場から、また防災支援の立場から市町村に対するきめ細かな支援が必要であると考えますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
 次に、道路の防災対策、橋梁の耐震対策についてお伺いいたします。
 午前中に野見山議員から同様の質問がございましたので重複する点があると思いますが、私は視点を変えて一般質問させていただきます。
 自然災害から被害を最小限にするために、国、県はもとより各市町村においては、県民の団体、企業、各地域と協働して積極的にさまざまな取り組みがなされています。それらの活動に対してでき得る限りこたえるのが国、県、市町村であると私は思います。
 前にも述べたとおり、東南海・南海地震は、歴史的に100年から150年の間隔で繰り返し起こっており、今後30年以内での発生確率は50%から60%の高い確率となっております。
 また、自然環境の異常気象で、常識では考えられないような大規模の台風、大雨など、いつ発生するかわからないような状況の中で、県民の大きい不安の声が聞かれます。「もし災害が起こったら私たちはどうなるのでしょうか」「避難場所は大丈夫だろうか」「備蓄は大丈夫だろうか」「電気、ガスのライフラインは大丈夫だろうか」「医療体制はできているだろうか」などであります。
 これは住民の皆様の一部の意見でありますが、私は、この中で、避難場所、備蓄については県と市町村で対応されつつあり、医療体制についてはドクターヘリ、防災ヘリの充実などの活動が期待されますので、今回は私はライフラインを維持するための道路管理についてお聞きいたします。
 公共団体の広域的な相互応援協定、各種企業との災害応援協定が相互協力によって締結されておりますが、国、県、市町村が管理する道路が寸断されたときは相互応援協定ができるでしょうか。もちろん、ライフラインも寸断されてしまいます。
 私は、10月25日の新聞に、国土交通省が全国自治体を調査したところ、橋梁15メーター以上が8万8000カ所、過去5年間未点検との報道がありました。都道府県の管理分では、わずか29%、1万2649カ所で定期点検、緊急点検が未実施だったと報告されておりました。国土交通省では、各自治体に早期の改修、補修を呼びかけており、平成20年度をめどに制度化を検討していく考えだとの報道がありました。
 和歌山県は、道路が寸断された場合、孤立する可能性の高い地域が多く、災害が発生した場合、救助・救急活動、救援活動など予測できない事態が発生する危機感を持っております。
 そこで、県土整備部長にお伺いいたします。
 県が管理する道路ののり面等の要対策箇所について、財政事情もありますが、年次計画的に防災対策がとられていると思いますが、今後の方針についてお答えください。
 また、市町村の管理する道路の防災対策を要する箇所について、どのような指導をされておりますか。また、県が管理する道路の緊急点検、定期点検の実施状況はいかがですか。県が管理する道路橋の耐震調査、耐震改修の実施状況はいかがですか。市町村に対しての指導はいかがですか。
 以上のことについてお答えをいただきたいと思います。
 次に、3点目の都市計画についてお伺いいたします。
 まず、都市計画と復興支援のまちづくり計画についてお伺いいたします。
 都市計画法では、「都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする」と定められ、制定された法律であります。
 前の質問でも申し上げましたが、自然災害、地震等に対する復興支援と都市計画についてでありますが、整合がない質問と思われますが、あえてお伺いいたします。
 現在の和歌山県下を鳥瞰したときに、今の町の状況はどうでしょうか。火災が起こったときに消防車が入れない。急病人が出たときに救急車が入れない。もちろん、災害が発生したときは緊急事態であります。和歌山県にはこのような地域が多いのではありませんか。また、災害が発生したときは救援活動が阻害され、救出がおくれ、生命を落とすことが考えられます。
 それではいかにすればよいのかということでありますが、都市計画の土地区画整理事業でまちづくりができればよいのであります。しかし、本県は都市計画事業はおくれているのが現状であります。あってはならないことですが、災害がいつ起こるかわからない現在、2次災害の被害を最小限に防ぐためにもこの手法が最適であると考えます。
 本事業を実施するための事業手続は、もちろん財源の問題もありますが、住民同意から始まって都市計画決定まで、県はもちろんのこと、国との事業計画、補助金等の協議、調整のためにかなりの時間がかかり、現在の法律の範囲では、都市計画決定をしていなければ急を要する復旧事業での都市計画の事業化は不可能に近いのが現状であります。
 都市計画法は、今までは国が中心になって都市計画を指導してきたということはありましたが、これからは地方分権一括法を含めて、地方が主体となって都市計画を進めていくというような方向に、制度上では権限移譲に変わっていくものと考えます。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 災害が起こった場合、このような惨事を二度と繰り返すことのないようなまちづくりをする都市計画法の特例を設けていただくよう、また県民が文化的に安心して暮らせる環境のまちづくりのために国に対して働きかけていただきたいと思います。これは御提案とさせていただきますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、都市計画決定の変更及び見直しについてお伺いいたします。
 現在の和歌山県の都市計画決定の状況は、和歌山県ホームページで調べたところ、平成18年4月1日現在で、例えば都市計画道路の都市計画決定路線数は284本、計画延長703.58キロメートルで、そのうち改良済み延長はわずか239.3キロメートルであり、改良率は実に34%であります。また、公園緑地では、都市計画決定箇所数は219カ所、面積は1580.558ヘクタールでありますが、供用箇所は183カ所、面積にしてわずか524.228ヘクタールで、供用率は33.2%であります。
 各決定年度を見てみますと、昭和30年代、40年代の決定が数多くあります。都市計画は百年の大計と言われますが、既に50年近く経過し、道路の規格、また社会経済の発展により、社会環境の変化に伴い、当時の計画決定の工法、規格と現在の差が大きく、既計画決定のままでは事業化することが非常に難しいと思います。いかがでしょうか。
 都市計画決定した都市施設は、都市計画道路、公園緑地、公共下水道、都市下水路、土地利用、供給処理施設、駐車場等の各都市施設に分類すると、かなりな箇所数であります。一度計画決定すると、都市計画法で、良好な住民関係を保つために個々の土地利用について規制を加え、適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきであることは理解できますが、県民の財産を制限し、公の権限が発生します。
 そこで、現在の既都市計画決定箇所を、都市計画事業が実施可能なもの、不可能なものを箇所ごとに市、町と協議し、見直し、まさに必要な都市計画決定にすべきでないかと考えます。
 県土整備部長にお伺いします。
 都市計画決定箇所を市町と協議し、廃止または見直すべきであると思いますが、いかがでしょうか。お答えをいただきたいと存じます。
 次に、4点目の中高一貫教育についてお伺いいたします。
 まず、教育長の考える中高一貫教育についてお伺いします。
 さきの議会で先輩議員が中高一貫教育について一般質問されましたが、私は違う視点でお伺いいたします。
 平成15年3月に設置された和歌山県中高一貫教育推進懇談会において協議された「今後の中高一貫教育の在り方について」の報告の中の「設置に当たっての基本的な考え方」で、「6年一貫教育を通して主体的に判断できる資質や能力を育成し、一人ひとりの生徒の能力をより一層推進するとともに、中等教育における学校制度の複線化・多様化を実現する観点から中高一貫教育を推進」すると報告されております。
 また、「中高一貫教育の設置形態及び配置」では、「その配置に当たっては、県内すべての児童生徒に選択の機会が与えられるよう、これまでの各通学区域ごとの設置を目標としながら、当面併設型中高一貫教育校を中心として複数校設置することが適当である」と報告されております。
 現在、中高一貫校は、公立では、和歌山県向陽中学校、古佐田丘中学校、田辺中学校、桐蔭中学校、平成20年に開設する日高高等学校附属中学校であり、それぞれの私立高校でも中高一貫教育に取り組まれております。
 そこで、教育長にお伺いいたします。
 報告書には、各通学区域ごとの設置を目標としながら、「当面併設型中高一貫校を中心として複数校設置することが適当である」と報告されておりますが、教育長は中高一貫教育をどのようにお考えか、お伺いいたします。
 次に、中高一貫校の今後の開設の方針についてお伺いいたします。
 生徒が高等学校に進学する中で、その能力、適性、興味、関心、進路希望等が分化していく時期の生徒たちにどのような中等教育の場を用意するかは、教育上、極めて重要な課題であると考えます。また、従来の制度を選ぶか、中高一貫教育を選択するかの考えは、生徒や保護者によって違うと思います。
 そこで、さきに述べた報告書で、「県内すべての児童生徒に選択の機会が与えられるよう」と報告されているように、より一層の生徒の個性を伸ばすためにも、県内すべての生徒、保護者に機会を提供すべきではないでしょうか。
 私の那賀地域、特に岩出市での保護者の皆様の意見を聞いたところ、「那賀地域には粉河、那賀、貴志川の県立高校が3校もあるのに、どうして中高一貫校ができないのですか。ぜひとも開設してほしい」との声が聞かれます。
 そこで、和歌山県中高一貫教育推進懇談会の報告の中にも、「県内すべての児童生徒に選択の機会が与えられるよう」、また「通学区域ごとの設置を目標としながら」とあるように、中高一貫校の今後の開設の方針について、また県下の中高一貫教育は県民の思いを反映しているのかについて、教育長のお考えをお伺いいたします。
 御答弁のほどよろしくお願い申し上げまして、私の一般質問を終わります。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの川口文章君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず初めに、積極予算を編成せよという御意見についてお答え申し上げたいと思います。
 議員御指摘のとおり、三位一体の改革により約5.1兆円もの大幅な地方交付税が削減され、本県におきましても、平成16年度から18年度まで3カ年で、地方交付税と臨時財政対策債を合わせまして約341億円減少しているというところでございます。その結果、大幅な収支不足に陥りまして、平成19年度当初においては基金の取り崩し予定額が151億円に上り、平成19年度末の基金残高が191億円になると見込まれるなど、財政的に大変な苦境に立たされております。このままの財政構造で推移すると近いうちに基金が枯渇し、県財政が立ち行かなくなることが先般お示しした長期財政収支見通しでも明らかになっております。
 こうした県財政の現状及び将来見通しにかんがみれば、今後、段階的に収支不足額を縮減していくということが不可欠であり、それを前提とした上で、元気な和歌山を実現するための予算を編成することが私に与えられた至上命題であると考えております。
 ただし、どんどんしょぼくれていくというか、そういうことではなくて、積極的に歳入を確保するように政策を打っていくべきだというようなお話がありまして、これはそのとおりだと思っております。すなわち、現在やっております和歌山の元気の出る政策、例えば企業誘致でありますとか、産業を育てるとか、農林水産物をもっと高く売るとか、観光を振興するとか、そういうような政策によりまして収入がもっと上がるということをねらいとしてやっていくのが正道、王道だと考えております。
 ただ、それにはなかなか時間もかかります。その間、和歌山県が財政的におかしくなるということになっても困りますので、そのために、行財政改革による行政の効率化を図るとともに、議員御指摘のような点に特に留意して政策をとり、和歌山活性化のための事業に充てる財源を最大化するように工夫した上で限られた財源を新政策を初めとする事業に重点的、効率的に配分することによりまして、何とか平成20年度予算が編成できるように県庁挙げて取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、都市計画と復興支援のまちづくり計画についての御質問にお答えしたいと思います。
 県では、災害に備えてハード・ソフト両面で対策を実施しているところでありますが、災害発生後におきましては、災害復旧事業にあわせ都市基盤整備を行う復興まちづくりが急務となってくることは、議員御指摘のとおりでございます。そのため、事業手法として区画整理事業等がありますが、事業化までにこれまた時間を要するのが通常であります。
 議員御提案の復興を円滑に行うためには、主体となる市町村が、災害が発生した場合に備え、災害復興のまちづくり計画について地元住民と十分話し合いを行い、あらかじめ可能な準備をしていくことが重要であると考えております。
 ただし、一たん急あるときに手続が円滑に行えるように日ごろからよく勉強して、それでもし問題がある場合があれば、いろいろな手は事前に打っておくということもまた必要であるかと思います。
 県といたしましては、都市計画マスタープランに基づいた安全・安心なまちづくりが推進されますように、災害が起こった後の復興の事業手法やその手続の簡素化など、事業が円滑に進められるように市町村と協議し、必要に応じて国とも協議して対策に怠りなくやっていきたいと思っております。
○副議長(新島 雄君) 総務部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○総務部長(小濱孝夫君) 数値目標を定めた税収確保の取り組みについてお答えをいたします。
 財源、とりわけ県税収入の確保につきましては、平成15年度から徴収体制を整備し、財産の差し押さえや公売の定期的実施など、滞納処分の強化を図ってまいりました。さらに、平成18年度から、インターネット公売、走行を不可能とする機材を用いての自動車の差し押さえを導入するなど、積極的に滞納整理に臨んでいるところでございます。その結果、平成15年度以降、4年連続で徴収率を向上させるとともに、県税収入未済額を約20%縮減してまいりました。
 また、県税収入確保には、県税の収入未済額の約50%を占め、税源移譲により調定額が大幅にふえた個人県民税の徴収対策が喫緊の課題であると認識しております。
 これまでも、滞納住民税の県による直接徴収、県税務職員の市町村への派遣、不動産等の合同公売の実施など直接的な支援を実施するとともに、和歌山地方税回収機構の設立に向けた支援や運営のための人的、財政的支援を行ってきております。
 また、市町村の徴収力を向上させるため、県、市町村が参加する和歌山県税務協議会において、徴収強化に向けた企画、研究のほか、滞納整理の研修を実施しているところでもございます。
 いずれにいたしましても、県税は県財政の中心的な財源でありますので、新たな行財政改革推進プランにおいて税収確保に係る目標を掲げ、みずからもその確実な徴収に努めるとともに、市町村に対しましても今まで以上の連携、支援を講じ、税収確保に努めてまいる所存でございます。
○副議長(新島 雄君) 危機管理監杉本雅嗣君。
  〔杉本雅嗣君、登壇〕
○危機管理監(杉本雅嗣君) 自主防災組織の育成についての御質問にお答えいたします。
 平成17年に本県が実施いたしました県民意識調査によりますと、今後、特に県が重点的に取り組むべき施策として、県民の33.4%の方が防災対策を挙げておりまして、防災に対する関心が非常に高い状況にあります。
 議員御指摘のとおり、阪神・淡路大震災において多くの方が隣近所の方に助けられたということから、大災害時に自主防災組織が果たす役割は非常に大きいものがあると考えております。
 平成19年3月改定の県地震防災対策アクションプログラムにおきましても自主防災組織の活性化を位置づけまして、平成27年度末までに自主防災組織率100%を目指し、取り組みを進めているところでございます。
 県といたしましては、自主防災組織の結成促進を図るため、従前から資機材整備に対する補助を行っているところであります。さらに、平成17年度から紀の国防災人づくり塾を開講いたしまして自主防災組織などにおける防災リーダーの育成を図っており、また本年度から自主防災組織が作成する地域版ハザードマップや訓練実施などに対する補助制度を創設し、ソフト対策にも補助しているところでございます。
 今後とも引き続き支援に努めるとともに、市町村と連携しながら自主防災組織の必要性についての啓発をより一層進めてまいります。
○副議長(新島 雄君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 先生お尋ねの道路の防災対策、橋梁の耐震対策等につきましてお答えいたします。
 県が管理いたしております道路ののり面等の防災対策につきましては、日常の道路パトロールにより発見しました支障物件、それから道路の破損、こういったものにつきまして随時対策を実施しております。
 また、平成8年度に、これは全国的にやったものですが、防災総点検、こういうものをやってございます。その際の要対策箇所、この時点で約2000カ所ございましたが、順次対策を実施してきているところでございます。
 平成16年度から、このうち東南海・南海地震対策といたしまして、地震発生時の物資輸送、それから緊急車両の通行を確保するための緊急輸送道路における重点対策箇所112カ所につきまして、平成22年度の完了を目途に優先的に対策を実施しているところでございます。
 道路橋につきましては、平成14年度から18年度にかけてデータベースを作成いたしまして、平成19年度より、このデータを活用して5年ごとに各橋梁の定期点検を行ってまいります。また、必要に応じまして迅速な緊急点検も実施したいと思っております。
 次に、道路橋の耐震対策でございますが、県管理15メートル以上の橋梁881橋のうち、昭和55年以前の基準で設計されました耐震補強を必要とする橋梁が247橋ございます。このうち、平成16年度から跨線橋、それから第1次緊急輸送道路に係る115橋、こういったものにつきまして耐震補強を実施してきており、平成20年度でこれらについては完了する予定でございます。引き続きまして、第2次緊急輸送道路に係ります132橋につきまして、平成25年度完了を目途に平成19年度から対策を進めているところでございます。
 なお、県下の市町村におきましては、財政的困難や技術者不足のために橋梁の定期点検はほとんど行われていないのが実態でございます。しかしながら、市町村の橋梁につきましても、老朽化が進展していくと考えられるため、防災対策も含めまして、県としてはできるだけの技術支援等をしていく必要があると考えております。
 平成19年度から、新しく長寿命化修繕計画策定事業費補助という補助事業が創設されたところでございますので、この制度も活用し、効率的な維持管理に向けて、県、市町村が一体となって取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、都市計画決定の変更及び見直しについての御質問にお答えいたします。
 都市計画道路を初めとする都市施設につきましては、昭和30年から40年代にその多くが計画決定されており、近年の少子高齢化など社会情勢の変化に伴い、その見直しが必要な都市施設もあると認識しているところであります。
 そのため、県では、まず和歌山市域の都市計画道路につきまして、未着手路線の道路幅員とか、その存廃も含めまして見直し作業を行っており、引き続きほかの市町村についても都市計画の見直しを進めていきたいと考えております。
○副議長(新島 雄君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 中高一貫教育についてお答えいたします。
 中高一貫教育は、中学校と高等学校の接続を複線化、多様化いたしまして、生徒1人1人の能力、適性に応じた教育の展開や特色ある学校づくりを推進することを目指して導入された制度でございます。
 本県では、和歌山県中高一貫教育推進懇談会の報告を受けるとともに、パブリックコメント等、県民の意見を伺いながら策定いたしました高等学校再編整備計画及び平成18年度から20年度の具体的な取り組みを示した第1期実施プログラムに基づきまして、全県的なバランスや地域の実情等を考慮しつつ、これまで積極的に取り組んでまいりました。
 その結果、本県は、来春の日高地方への県立中学校の開設によりまして、連携型3校、併設型5校を持つこととなり、県内すべての地域の御要望を満たすまでには至らないものの、小学校の児童数に対する募集人員は全国的にも高い割合となってございます。
 しかしながら、中高一貫教育を導入してまだ日が浅く、教育システム全体の中で乗り越えなければならない課題もありますことから、一定の時間をかけて既設校の教育内容を評価、分析する必要があると考えてございます。その結果を踏まえるとともに、地元の市町村や学校等の御意見を伺いながら、今後の高等学校再編整備計画の中でそのあり方について総合的に検討してまいります。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
 9番川口文章君。
○川口文章君 私の一般質問に、知事、教育長初め関係部長の前向きな御答弁をいただきました。ありがとうございました。
 知事におかれましては、前知事の後を受け難問題に取り組まれ、また財政状況の厳しい中、県民の県に対する信頼回復のため日夜御苦労されていることに対して、改めて敬意を表したいと存じます。
 平成20年度は、県民が期待する知事のカラーを出す年であると私は考えます。元気な和歌山の実現のための積極予算編成については、御答弁のとおり、知事の前向きな意気込みに期待するものであります。
 県、各市町村にとっては、財政状況は非常に厳しい状況が続くことが予想されますが、27年に開催予定の和歌山国体を、市町村の協力のもと、ぜひとも成功させたいと思います。
 また、防災と都市計画に関連して、災害に強いまちづくりを進めるためには、災害から県民を守るための防災対策が重要であることは先決問題でありますが、復興支援対策も重要であると思います。
 知事におかれましては、このことに御理解をいただき、機会あるごとに国に対して働きかけていただきたいと存じます。
 次に、中高一貫教育についてでありますが、教育長は、今後の高等学校の再編整備の中で、そのあり方について総合的に検討してまいりますとの御答弁のとおり、よいほうの検討と理解してございますので、ぜひとも那賀地域に開設していただきますことをお願い申し上げまして、以上、要望といたします。
 これで、私の一般質問は終わります。ありがとうございました。
○副議長(新島 雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で川口文章君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、本日最後の質問に入らせていただきます。
 今回は、3点について質問をいたします。
 まず1番目は、少子化対策と、安心して子育てできる社会的環境についてでございます。
 先日、和歌山市内でも、子供が犠牲となる大変痛ましい事件が起こってしまいました。その前には香川県坂出市の3人遺棄事件で子供が犠牲になるという悲しい出来事が起こり、私は和歌山で起こることのないようにと願っていましたが、本当につらく悲しいことです。子供をめぐる事件・事故が後を絶ちません。
 子供を取り巻く環境は、大変厳しいものがあります。1人1人の命が大切にされ、安心して子育てができる社会的環境が求められているのではないでしょうか。
 子供たちにも暮らしの不安がのしかかっています。訪問先での話ですが、小学生の孫が──低学年のお子さんですが──「僕、大きくなっても結婚せえへん」と言っているのです。わけを聞くと、「子供を育てるのにお金がかかって大変だから」ということです。また、別の訪問先でも、子供の家に家庭菜園でできた野菜を送ってあげたところ、小学生の孫が電話口で「おばあちゃん、助かるわ」と言ったというのです。この子も低学年のお子さんだということです。しっかりしてきた孫の成長に目を細め喜ぶ反面、大人たちの家計のやりくりの会話を通して経済的な不安を肌で感じているのではないでしょうか。
 子供たちが安心して自由に将来への夢を持ち、希望を感じることができる社会が求められています。
 日本の出生率は、1973年以来、低下傾向を続け、2005年からは人口も減少に転じています。和歌山県においても、2005年は出生率が戦後最低となりました。昨年は、出生率、出生数ともわずかに増加していますが、少子化問題は深刻です。
 私は、少子化で何を問題としてとらえるかという点では、産みたいけれど産めない現実が問題であり、子供を産みたい人が安心して産み、子育てのできる社会が問われているのではないかと考えます。
 ヨーロッパにおいて、少子化対策という言葉で政策が論議されることはほとんどないと聞いています。
 新長期総合計画素案では、「人口減少や高齢化は、経済成長の鈍化、税や社会保障における負担の増大、地域社会の活力低下などの要因となるおそれ」があると書かれています。その観点から少子化を何とかしたいという発想のように思いますが、いかに子育てがしやすく、人間的な生活を営むことができるかが基本的な視点ではないでしょうか。少子化対策の基本的な考え方について、知事のお考えをお聞かせください。
 県少子化対策推進協議会は、3つの提言をしています。1、子供は宝との観点から子育て機運を醸成し、県民理解のもと、大胆な経済的支援を、2、仕事と子育ての両立可能な仕組みを、3、若年者の就労支援の3点について提言しております。私も、この3つのことは非常に大切なことだと思います。
 まず、若年者の就労支援についてです。
 「労働白書」によれば、この10年間で非正規雇用が急増しています。年収150万円未満の低所得層が15.3%から21.8%へと増加し、こうした低所得層の非正規雇用者は結婚する割合が低く、少子化の原因となっていると考えます。
 2005年3月に策定された紀州っ子元気プランでは、若年者の失業率が2002年12.3%にも上っていることから、それを2007年度には9.5%に下げる目標を持っています。しかし、2006年度末の到達状況を見ると、残念ながらその時点での失業率は把握されていません。
 また、賃金や労働時間などの労働条件も含めた雇用のあり方が結婚や出産に大きく影響してきます。97年の均等法改正で、妊産婦の通院休暇や通院緩和休暇措置、休憩時間延長などが措置されました。安心して妊娠、出産できる職場づくりが重要です。
 商工観光労働部長にお伺いいたします。
 少子化問題と労働施策は密接に関係していると思いますが、労働施策についてどのような取り組みをされていますか、お尋ねいたします。
 次に、環境生活部長にお尋ねいたします。
 提言では、仕事と子育ての両立可能な仕組みについて書かれております。子供を持つ男女の働きやすい周辺環境の整備や精神的支援、企業、地域、行政が一体となって整備する連携施策が必要と述べられています。そのためには、まずは家族、パートナー関係における平等と共生の関係をどうつくっていくのか、大きな課題でもあります。男女平等な家族生活の考え方、男女がともに子育てを担う考え方がどれだけ普及されてきたのでしょうか、お答えください。
 2番目に、提言で指摘された大胆な経済的支援の問題です。
 子育ての深刻な状況は、さきにも述べたように、親の生活実態が非常に不安定になっていることです。そうした世帯の子育てを社会的にバックアップする仕組みが問われています。しかし、バックアップの仕組み自体がどんどん政策的に後退しているのが現状です。
 そして、子育てには大きな費用がかかるという問題があります。知り合いの高校生を持つお母さんが、「来春、2番目の子供が高校に行くのだが、1カ月1万円以上もの授業料を納めるのも大変。それ以外にもいろいろとお金が要ってくるし」と頭を痛めています。
 子育て費用の試算では、中学、高校が公立で国立大学を卒業するまでで、基本的養育費と教育費の合計が1人当たり3000万円かかるということです。
 御存じのように、内閣府の少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査によると、子育て世代の女性が望んでいる少子化対策のトップは経済的支援です。提言にもあるように、本当に子供は宝と思えるようにしていくことが国、自治体に問われることではないでしょうか。
 そこで、福祉保健部長にお聞きいたします。
 安心して産み育てるために早急に解決すべき課題は、保護者の経済的負担の軽減を図ることです。
 そのために、1、乳幼児医療費無料化を小学校卒業まで拡充する考えはありませんか。
 2、保育料や障害児の通所施設の利用料の負担を軽くし、子育てしやすい環境づくりを推し進めることが必要です。市町村では保育料の多子家庭負担軽減制度がありますが、第2子が障害を持っている場合、障害児通園施設の利用料の軽減制度がありません。対象者も多くないと思われますので、できるところから早急に対応策を考えていくべきではないでしょうか。
 最後に3つ目は、妊産婦健診の公費負担の拡充です。健診費用や出産にかかる費用も若い世代にとって負担が重く、2人目、3人目とはならない現状です。厚生労働省のことし1月の通達には、「妊婦健康診査の公費負担の望ましいあり方について」ということで、妊婦が受けるべき健康診査の回数について、14回程度行われることが望ましいが、そのうち各市町村が5回程度の妊婦の公費での実施を行うことと、公費負担の状況調査を県に求めました。県下の市町村の実施状況はいかがでしょうか。市町村が実施に踏み切るよう、県としてどのようなアプローチをお考えでしょうか、お聞かせください。
 次に、障害者自立支援法と小規模作業所の問題についてお聞きします。
 障害者自立支援法は、昨年4月の施行後、障害を持つ人と家族に応益負担という過酷な負担を押しつけることで深刻な矛盾があらわれています。政府は昨年末に軽減策をとらざるを得なくなりましたが、事態は1年たっても何ら改善されませんでした。日本共産党は9月に実態調査を行いましたが、月額1万円以上の負担増になった人が6割に上りました。事業所の収入も1から2割減少したところが6割以上に上り、障害福祉の現場から離職者が出ています。
 こうした状況の中で、応益負担の撤廃を求める障害を持つ人や家族の粘り強い運動が広がっています。この声が政府・与党を動かし、先日、与党のプロジェクトチームが障害者自立支援法の見直し方向をまとめ、負担軽減策や作業所の経営安定化を図る改善措置などを行うことで合意しました。応益負担と作業所の報酬日割り方式には固執をしておりますが、ここまで見直しが必要になっているのですから、応益負担と日割り方式の廃止に踏み出すべきだと思います。
 こうした中で、自立支援法の問題が大きくあらわれている分野について、福祉保健部長にお聞きいたします。
 まず、小規模作業所の問題です。
 小規模作業所は、現在16カ所になっていると聞いていますが、利用人数も多いところでは30人から、少ないところでは5人の方が利用されているところです。
 小規模作業所は、障害を持っている方と家族、地域など、皆さんが悩みながら力を合わせて育ててきた施設です。「県民の友」12月号──今月号ですが──その1面に大きく「すべての人が安心して暮らせる社会をめざして」と書かれていました。どこに住んでいても安心して暮らせる、まさに小規模作業所は障害を持つ人たちに居場所をつくり、障害を持っている人が仕事や創作活動などを通して社会への道を切り開く貴重な役割を果たしてきました。今後も身近なところできめ細かな施策を行う上で大変重要だと考えています。
 しかし、今、小規模作業所は、自立支援法の中で、法定の施設としてやっていくか、それとも地域活動支援センターとして存続していくか、選択を迫られています。ある作業所では一般の棟続きのアパートの1室を借りており、このままでは新事業に移行はできず、場所探しに苦労されていたり、また作業所では補助金は年2回に分けて受け取っていますが、年度初めにはおりてこないため、新しく物品を購入したり新しいことに取り組みたくてもできないなど、困っています。ある作業所では、利用者さんに渡せる給料が月5000から6000円です。昼食代のお弁当に350円、これだけでもうなくなってしまいます。その上に、通所するための交通費、利用料を合わせると、とても自立した生活が成り立ちません。事業所職員の給与も2万から3万円しか出せない現状です。県としての小規模作業所への支援状況をお聞かせください。
 次に、障害児施設における応益負担の考え方についてお聞きします。
 「障害があっても、まず子供として見てほしい」、「障害があるからこそ、できるだけ早く療養を受け、安心して子育てがしたい」、保護者の皆さんの当たり前の思い、それが、切実に願わざるを得ないところに非常に胸が痛みます。
 自立支援法は、本来なら感じることの要らない障害児を産んだ悲しみと責任を押しつけています。子供は成長し、発達するものであり、障害を固定的に見るのではなく、日々の働きかけで改善することも事実です。しかし、適切な働きかけがなければ改善しません。つまり、自立支援法のもとでは、お金がなければサービスを受けられないという仕組みには大きな問題があります。私は、憲法13条の幸福権の追求に沿って根本から改めるべきだと思います。いかがお考えでしょうか。
 次に、通所施設における運営の問題です。
 施設にとって、利用者が休めば収入が減ってしまうという日額単価の実績方式のため、利用者側も気を使って、しんどくても休めないという状況があります。運営に当たって、絶えずお金のことを考え、びくびくしていなければいけないという現状で、本当に職員がやりがいを持って働けるようにするには、安定的に運営できるようにすることが大事です。どのようにお考えでしょうか。
 最後に、3番目の質問です。原油価格高騰にかかわる緊急対応策について御質問いたします。
 ひとり暮らしで70歳の年金生活のOさんを訪ねました。Oさんは、障害者の子供さんを施設に預けて働いてきました。息子さんのことで指導員の先生から褒められることを唯一心の支えにして毎日頑張っています。御自分は糖尿病の治療を続けています。「歯医者や目医者にも行きたいけど、とても年金だけでは食べていかれへん」と言っています。ことしは住民税も上がり、介護保険料、国保料もはね上がりました。さらに負担が重くのしかかっています。
 県民の暮らしは、来年度も年金課税の強化や、ことし6月にも住民税が上がり、国保、介護保険料の負担がふえました。来年もさらに負担がふえることになっています。定率減税も廃止されました。生活保護世帯の高齢者加算の廃止、母子家庭の母子加算の段階的廃止が進み、生活扶助基準の引き下げが進められようとしています。そこへ、重油価格の高騰により、石油関連商品、生活必需品の値上げラッシュが始まっています。便乗値上げなども憂慮される状況です。
 障害者施設など福祉の現場では、送迎の燃料費や作業所の経費、燃料代の増大に悲鳴が上がっています。一刻も早い対応が求められています。学校給食などにも影響があらわれています。中小企業、サービス業、飲食業者など、産業への影響も深刻です。また、県経済や県民生活への影響が大きいと考えます。
 それぞれ関係部長にお尋ねいたします。
 環境生活部長には、県民生活への影響についてどのようにお考えでしょうか。
 商工観光労働部長には、中小企業への支援策をお尋ねします。
 けさのニュースで、湯たんぽが売れ、出荷が間に合わないと報道されていました。灯油を使わないで暖をとる方法など、庶民はいろいろと工夫し、節約に必死なことがうかがえます。今ある制度を十分活用していくことも大事だと考えます。例えば、軽油引取税の免税軽油利用状況はいかがでしょうか。総務部長、お答えください。
 以上、1回目の質問を終わります。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの奥村規子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 少子化対策の基本的な考え方についてお答え申し上げます。
 和歌山県の出生数は30年前の半数以下まで減少しておりまして、人口減少や急激な少子高齢化社会の進展に伴う地域社会の活力低下が懸念されているところであります。
 こうした中、子供を持ちたい人が安心して子供を産み育てることができる社会を実現することが重要と考え、本年度から第3子以上を妊娠している妊婦の健診費の助成等を中心とする紀州3人っ子施策など、少子化対策に重点的に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、子供を産み育てようとする家庭への一層の支援、充実を図るとともに、仕事と出産や育児が両立できる環境整備などの施策を展開し、子育て環境ナンバーワン和歌山を実現すべく取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(新島 雄君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) まず、少子化における労働施策についてお答えいたします。
 少子化の進行の中で、育児中の労働者の負担を軽減し、働きながら子供を育てやすくする環境を整備していくことは重要な課題であると認識してございます。
 平成18年度の和歌山県労働条件等実態調査では、育児休業制度の規定を設けている事業所は63.8%で、育児休業の取得率は、男性が0.9%、女性が89.5%であり、男性の育休取得率などまだまだ十分とは言えず、男女ともにさらなる子育てに関する意識の向上と育児休業等を取得しやすい職場の環境づくりが必要であると考えてございます。
 そこで、県といたしましては、事業主等を対象に育児休業等をテーマとした仕事と家庭の両立に関するセミナーの開催や中小企業労働施策アドバイザーの巡回訪問等により、子育て支援に対する意識が向上するよう鋭意取り組んでいるところでございます。
 また、育児をしながら安心して働けるように、育児の支援を受けたい人と支援をする人がともに会員となり、地域において助け合うファミリーサポートセンターの設置促進を図っているところでございます。これまでに和歌山市、田辺市、橋本市と海南市の4市が設置し、平成18年度の会員は約1500名、活動件数は約5300回で、年々その活動が充実してきてございます。
 今後とも、仕事と家庭の両立が図れるよう積極的に取り組んでまいります。
 次に、原油価格高騰にかかわる中小企業者への支援についてお答えいたします。
 原油価格につきましては、冬の需要期も相まって、ここ数カ月、急激に高騰しており、地場産業やトラック運送業などへの影響が顕著になってきておりますが、コスト上昇分を価格に転嫁できないなど、中小企業者が苦境にあると認識してございます。
 そのため、県の相談窓口を初め商工会連合会、和歌山商工会議所や政府系金融機関などに特別相談窓口を設置し、中小企業者の相談に応じているところでございます。
 また、県では中小企業者向けに信用保証制度による低利融資制度を設けてございますが、今般の原油価格の高騰で、運送業などセーフティーネット対象となる業種の方々にはより低利の設定をし、中小企業者の負担軽減を図っているところでございます。
 今後とも、原油価格の推移を注意深く見守りながら適時適切に対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 2点の御質問がございました。
 まず、家族生活における男女平等の意識についてお答えを申し上げます。
 平成18年度に実施をいたしました男女共同参画に関する県民意識調査におきまして、仕事と家庭に関する男女の役割分担についてお尋ねをいたしましたところ、性別による分担をせずに夫婦に合った形で役割分担をする、また、男女とも仕事を持ち家庭においても男女で協力することが理想であると考えられておられる方が全体の約6割を占めております。しかしながら、一方で、実際の生活では理想と一致している方は約2割と、理想と現実には大きな開きがあるという結果が出ております。
 こうした調査結果を踏まえまして、ことし3月に改定をいたしました本県の男女共同参画基本計画では、施策の方向の1つに仕事と家庭の両立支援を位置づけまして、男女共同参画を推進する事業者の登録制度等によりまして、男女がともに働きやすい職場づくりのための事業者の取り組みを支援しております。
 また、女性の社会参画を進めていくためには、これまで仕事中心の生活をしてきました男性が子育てや介護等の家庭生活にも積極的に参画し、その責任をともに担うことが重要であることから、本年7月に子育てに活かすコミュニケーション講座を開催するなど、意識啓発を行ったところでございます。
 今後とも、関係部局との連携を密にいたしまして、男女共生社会実現のため、積極的に取り組みを行ってまいる所存でございます。
 次に、原油高騰価格にかかわる緊急の対応策のうち、県民の暮らしへの影響についてお答えを申し上げます。
 原油価格高騰に伴いましてガソリンや灯油などの石油製品価格が値上がりをしており、県民生活への影響も懸念をされているところでございます。
 昨日、議論がございました農林水産業あるいは御指摘の中小企業への影響のみならず、各家庭におきましてもこれから暖房を利用する季節を迎えることから、その影響は大きいものと認識をしております。
 ガソリン等の石油製品の価格状況につきましては、私どもにおきましても毎週把握をしているところでございますが、現時点で全国平均あるいは近畿府県との価格と比べて特に突出をしている状況にはございませんが、今後、不当な価格のつり上げ、あるいは便乗値上げなどのおそれもございます。これらに対しましては適切に対応してまいりたいと考えております。
 この問題につきましては、現在、国におきましても緊急対策を講じる方針であると承知をしておりますが、一方では、化石燃料への依存をできるだけ少なくするという意味からも省エネルギーのより一層の推進も図ってまいらなければならないと、かように考えている次第でございます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 少子化対策と安心して子育てできる社会的環境に関連いたしまして、乳幼児医療費の無料化の拡充という議員の御提案についてでございますが、少子化対策の一環として、昨年10月に、他府県の実施状況や本県の財政状況を勘案の上、通院にかかる対象年齢を拡充し、入院、通院とも義務教育就学前の児童までとしたところでございます。
 本県の乳幼児医療費助成制度は、全国的に見ても高い水準にあるものと認識しており、現行で御理解を賜りたいと思っております。
 次に、保育料、利用料の軽減についてでございますが、保育所は保育に欠ける乳幼児を保育することを目的とし、一方、知的障害児通園施設は、障害のある幼児に対し、療育訓練を通して発達を促すことを目的とするもので、施設の役割や保護者負担制度などの相違がございますが、保育料、利用料の軽減につきましては、国に対して、障害児施設等に入・通所する就学前児童も対象にするなど、多子家庭に対する軽減措置の一層の充実を図るよう、近畿府県とともに要望しているところでございます。
 また、障害の子供を持つ御家庭の負担を軽減するため、特別児童扶養手当や税の軽減措置などの支援制度もございます。
 また、障害児施設の利用者負担につきましては、過大な負担とならないよう低所得者の方への減免措置がなされていましたが、本年度から、さらなる負担軽減措置としまして、月額の上限額の引き下げや軽減対象世帯の拡大などの措置が講じられているところでございます。
 3点目の妊婦健診の公費負担の拡充につきましては、議員御指摘のとおり、安全な分娩と健康な子の出生のためには妊婦健康診査は重要であり、出産に至るまで14回程度の健診の受診が望ましいと考えられています。
 現在の実施状況につきましては、県内全市町村におきまして、すべての妊婦に対して、妊婦の前期、後期に各1回の合わせて2回、さらに1市──これは海南市でございますが──本年度から、さらにプラス1回の合わせて3回、公費による健診を実施しています。
 国においては、平成19年度より妊婦健診の充実を含めた地方財政措置の拡充がなされたところであり、県といたしましては、市町村に対し、機会あるたびにその拡充を働きかけているところでありますが、今後ともさらなる妊婦健診の充実に向け、積極的な取り組みが推進されるよう働きかけてまいります。
 また、県におきましても、少子化対策として、第3子以上を産み育てようとする夫婦に対し妊婦健診にかかる費用を原則無料とする市町村に対し、その経費の2分の1を補助する制度、紀州3人っ子施策を創設し、経済的負担の軽減を図っているところでございます。
 次に、障害者自立支援法と小規模作業所への支援についての3点の御質問にお答え申し上げます。
 まず、小規模作業所への支援の状況についてでございますが、障害者自立支援法に基づく新たなサービスへの移行に向けて調整段階であったり、直ちに移行できない小規模作業所に対して、県では経過的な措置として、市町村が行う運営補助に対し、2年間に限り助成する新たな支援を行っているところでございます。
 今後、小規模作業所につきましては、新事業体系の中にある就労継続支援事業などの自立支援給付事業への移行や市町村が実施いたします地域活動支援センター事業への移行となることから、引き続き関係市町や作業所と個別に協議を行ってまいりたいと考えてございます。
 次に、障害児施設における応益負担の考え方についてでございますが、障害児施設につきましては、昨年10月から利用者本位の契約の仕組みに見直すのに合わせまして、障害者のサービスと同様、サービスの利用に応じた負担をお願いしてございます。
 ただし、一般の子育て世帯との均衡から、応能負担である保育料程度の負担水準となるよう軽減され、さらに19年度からは、障害児のいる世帯は若い世帯が多く、負担感が大きいといったことから、もう一段の利用者負担軽減措置が──これは経過措置でございますが──講じられているところでございます。
 障害児支援につきましては、国において、法施行後3年を目途に施設、サービス体系等について検討が行われることになっておりますので、国の動向について注視してまいりたいと、そのように思っております。
 次に、通所施設における安定的な運営についてでありますが、利用実績払い――日払い方式でございますが――の導入に伴い、一定限度内であれば定員を超えての受け入れや通所施設の開所日数をふやすことなど、弾力的な運営が可能となっております。
 また、障害者自立支援法円滑施行特別対策において、従来の報酬額の90%保障するなどの事業者に対する激変緩和措置が講じられております。
 今後、激変緩和措置後の影響等を見ながら、その上で改善すべきところは国に対して働きかけてまいりたいと、そのように考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 総務部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○総務部長(小濱孝夫君) 軽油引取税の減免状況と周知徹底についてでございますが、本県における軽油引取税の免税状況につきましては、平成18年度実績では、免税軽油使用者は2932名、免税軽油数量は2万4821キロリットル、免税額は約8億円となっております。
 免税制度につきましては、小冊子「県税のあらまし」の配布や県のホームぺージでの掲載によりまして周知を図っているところでありますが、今後、県税事務所の窓口や農協、漁協など関係機関を通じて周知をしてまいりたいと考えております。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ございません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
 41番奥村規子君。
○奥村規子君 御答弁、ありがとうございます。
 しかし、少子化問題の基本的考えについてというところで、知事は少し元気がないように思いました。子育てナンバーワン和歌山を目指す、そういったところでは将来にも非常にかかわる問題で、私自身、今回この問題を、なぜ基本的な考えを問いたかったかと申しますと、新長期総合計画素案というものが出されている、その素案の間に、いろんな計画のベースになる、やはり人間を大切にする、和歌山の1人1人の方がこの長期総合計画を見て本当に元気になっていく、そういうものをつくっていかなければいけないなと思ったからです。
 先ほど前段に申し上げました、今、本当に人間の命が軽んじられている、そういう状況の中で、まずはやはりすべての人が安心して住める、そういう制度を確立していく、そういうことが──国の制度だけでなくって県自身、自治体が補完していく、そういったことが非常に大事だと思います。
 そういう点でも、少子化問題については、特に今回、労働施策との関係ということでは、やはりいろんなアンケートの中でも、安心して経済的に安定する、そこのところが非常に子育てしていく上での大きな要求にもなってると思います。
 そういった面で、やはり8時間労働制をきっちり守ることとか、生活を豊かに送っていける、そういった賃金の問題などが非常に関係してくると思っていますので、そういった点で、今後とも元気な和歌山ということの前に1人1人が元気の出る和歌山にしていく、その施策を本当に考えていかなければと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、自立支援法の問題で、この県議会に来させていただいてこれだけは私はどうしても理解ができないという問題は、障害を持つことによって、そのサービス、お金を払わなければいけない、そのことがどうしても理解ができないんです。特に子供、障害を持って生まれたお子さんが成長、発達していくために適切な療養や医療や福祉が提供される、そのことが先進的な国ではないかと思うんです。そういう意味でも、ぜひ今度、見直しという中でそのことについても大きく取り上げて、県が国にやはり働きかけていただきたいと思うんです。
 最後に、原油問題のことでは、この間、農林水産とか商工、いろんなところに関連してるということで答弁もいただきました。そういう意味では、今、県民の生活が非常に毎日毎日──深夜、室温をはかってみたんですけど、やはり10度以下なんですよね。その中で、私はまた心配してるのは、ひとり暮らしのお年寄りや高齢者の方、いろんな方が凍死するということ、本当にそういう事件が起こらないか心配なんです。
 そういう意味でもぜひ、各部局でするということがなかなかこの問題は困難だと思うんですが、そういった形では、やはり適切な対策で、対策本部を設置するなど、ぜひお考えいただきたいなあと思います。そのことを申し上げて、要望といたします。
○副議長(新島 雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で奥村規子君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時38分散会

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