平成19年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(松坂英樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に従いまして、早速一般質問をさせていただきます。
 まず、ミカン対策について質問をいたします。
 本年2007年度産ミカンは、夏に雨が少なかった影響で、糖度も平均1度ほど高く、大変甘くておいしいミカンとなっています。選果場でも、光センサー導入以来最高の数値と言われて、一生のうちに何遍もない甘さやと評判です。ところが、この苦労してつくったミカンですが、値段のほうは大変安値に泣かされている現状です。11月の市場の平均単価は1キロ160円程度と、昨年よりもキロ当たり100円も安いんです。表年と言われて安かった一昨年と比較してもわずかに上回るだけであり、ことしは表年と言われながら小玉傾向であり、この値段のつくL、M級の量が少なく、農家手取りの減少は深刻です。
 私は、知事のトップセールスにも御一緒して、大阪市場に出向き、また先月末には東京の大田市場にも行って、関係者から市場の状況も調査をしてまいりました。どちらの市場でも、11月のわせミカンの出荷量のだぶつきという、この構造的な問題に加えて、この10月末の極わせが出荷終了期を前にして大量に市場に押し寄せ、過去に例のないほどの滞留を生んだとの分析をお聞きしました。また、この安値には、格差社会の影響に加えて、石油製品や食料品などの相次ぐ物価値上げが消費者の財布を直撃し、消費の落ち込みを招いている面も大きいと指摘しなければなりません。
 ことしのミカンの安値、生産者から見てみれば、こんなにうまいミカンがなぜこの値段なのかと、こういう気持ちでいっぱいであります。これまで「生産量が多過ぎると安い」、こんなふうに言われて生産調整をし、「おいしいミカンをつくりさえすれば売れるんだ」と言われて頑張って元を入れてきた。ところが、この間の現実は、ミカンが多くても安いし少なくても安い、おいしいミカンをつくってもそうでなくても安いという状況が続いてきたわけですね。幸い、昨年は価格形成が持ち直していい値段をつけたわけですが、昨年以上においしいことしのミカンがこのありさまでは展望が出てこないし、後継者も育ちません。
 ことしの和歌山県産ミカンが食味がよくておいしいにもかかわらず安値となっている現状をどう分析し、対策を打とうとしているのか、御答弁を願います。
 次に、ミカンの販路拡大やミカンの加工食品についてお尋ねをいたします。
 ミカンの消費を拡大していこうと思えば、おいしい和歌山県産ミカンをPRし、和歌山ミカンのブランド力を高めていくことが大切です。県がこの間、知事を先頭にさまざまな方面で生産者と一緒に努力をされている点を評価するものですが、まだまだ課題は山積していると思います。生果を食べてもらう努力とともに、消費のすそ野を広げるためには、ジュースを初めとする加工食品の役割、欠かすことはできません。オレンジ自由化を機に、国内ジュース原料のミカンの利用は進まなくなり、農家の声としては、「ジュース用のミカンは安くて少ししかとってくれないのに、高いジュースを農協から買わされる」と、そういう声が絶えませんし、ミカンの加工食品といえばジュースかゼリーどまりというように、商品のバリエーションも広がりがなかったように思います。
 そんな中ですが、最近は、これまでのミカンジュースのイメージを変えるような、おいしい個性化商品などが光ってきた。この流れを一層広げていくべきだというふうに考えています。
 この冬、料理やスイーツの素材に有田ミカンをと、インターネットの日本最大の料理レシピサイト「クックパッド」でこの有田ミカンを特集し、レシピを募集したところ、「いつもはレモンでつくっていた料理もミカンを使うと色もきれいで大成功」といったぐあいに大変好評であったようです。情報化社会の中で、アイデアは予想外の広がりをするものです。
 私、東京市場に調査に行ったとき、有楽町にある和歌山県産品のアンテナショップ「わかやま喜集館」にも伺いました。店頭では今、ゼリーのカップの中に小さなミカンが丸ごと3個入った有田のミカンゼリーが売り上げ2位になるというほど売れてるそうなんですね。これは、先日、テレビ番組で紹介をされた影響だそうでして、「何、これ。ミカンが丸ごと入ってる。しかも3個」と言って職場へお土産に持って帰るお客さんで大評判だそうです。このかいわいは各府県のアンテナショップも多くて、マスコミもカメラを持ってネタ探しによく来るそうで、そういう意味ではわかやま喜集館はよく頑張ってるというふうに思います。
 そのとき、消費拡大の話題で伺った話なんですが、エディブルフラワーというのがあるそうなんですね。これは、食用の花、食べられる花という意味で、見て美しい、食べておいしい、料理に使える花を栽培し、販売する。また、粉状なんかにして料理の色つけとか香りつけとかにも使うものもあるそうです。花農家の方は、「花の消費を伸ばすためにはいろいろやってるんだよ」と語るそうです。このミカンの加工品も、ジュースなどの消費者に直接届く最終商品、こういったものだけでなくて、料理人やパティシエにも使ってもらえるような素材、それから中間加工品、こういったものの幅も広げることが必要ではないかという話を伺って、全くそのとおりだなというふうに思いました。
 そして、それをすぐに実感する出来事がありまして、わかやま喜集館を出て、東京駅の八重洲口で取り組まれてた「東京駅美味しい6週間、まるかじり和歌山フェア」と、こういうのをのぞいてきました。これは県もバックアップしたイベントでして、地下街や飲食街の参加店舗の前には、ミカンや柿、トマト、キヌサヤ、マグロ、トビウオなど、和歌山の食材を使った商品とか料理のパネルが掲示されています。
 ミカンの関係を回ってみますと、ジュースとかケーキが多かったんですけど、その中で、マグロとミカンのカルパッチョ、この看板を出している店に入って注文をしてみました。私は、マグロやサラダと一緒にミカンを口にして、そのミカンの味にとても新鮮な感動があったんですね。というのは、どうやら私の頭の中には、ゼリーとかサラダに入ってるミカンというのは、あのシロップにつかった味のミカンというか、シロップの味しか浮かばなかったんですね。それがみずみずしい本来のミカンの味だったんです。しゅんのミカンが料理の中ですばらしい味を出していました。ミカンの産地にいながら、こういう固定観念にとらわれていたのかと再認識をした次第です。
 そこで、お伺いいたします。
 ミカンの販路拡大については、本年度の取り組み状況と今後の強化点について、また消費拡大に欠かせないミカン加工食品については、その方向性と展望について県はどう考えておられるのか、御答弁を願います。
 続いて、ミカンの機能性成分の研究について伺います。
 昨年はミカンダイエットというのが随分話題になりましたが、ことしもミカンの機能性成分に関する報道が続いています。この10月だけ見ましても、1つは、ミカンのベータクリプトキサンチンがメタボリックシンドロームに対して予防効果が期待できるとの日本肥満学会での発表、2つ目に、厚生労働省研究班の調査で果物は脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患になりにくいということがアメリカの医学専門誌で発表、3つ目に、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所などが行った調査で、ミカンに骨粗鬆症の予防効果があることが骨粗鬆症の国際専門誌に掲載された、こんな報道が相次いでされたんですね。諸外国と比較して果物の消費量が少ない日本の食生活を改善するためにも、また消費者の今の健康志向にぴったりと照準を合わせて、県としてもこれらミカンの機能性成分の研究とアピールに一層力を入れるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 さて、この柱の最後に、石油高騰対策についてお聞きをいたします。
 昨今の原油価格高騰による国民生活への影響は大変大きいものがあります。ミカンのハウス栽培に使うA重油などは、これまで1リッター40円ぐらいだったんですね。ところが、昨年は70円、ことしは85円と、もう倍以上になっているわけなんです。有田地方では、ハウスミカンの農家初め、バラとかスプレー菊、こういったものを栽培している花の農家などから悲鳴が上がっています。私は、和歌山県の進むべき方向としては、石油高騰に対する有効な対策を打つとともに、ハウス栽培などの燃料に木材チップや木質ペレットなどの森林エネルギーを生かす取り組みが不可欠だと考えています。
 石油高騰対策では、これは国に対しても緊急の対策をとるよう求めるものですが、県としてもできることから早急に取り組む必要があると思います。石油高騰問題、とりわけ県内の主要産業である農林水産業への影響と県としての対策はどうお考えでしょうか。
 以上、5点の質問に対して農林水産部長の答弁を求めます。
 質問の2つ目の柱に移ります。
 新長期総合計画と新年度予算における農山漁村対策について質問をさせていただきます。
 まず、いわゆる限界集落に対する支援施策についてです。
 私は、6月県議会の質問で限界集落を問題提起し、そして県としての取り組みを訴えました。仁坂知事は、新長期総合計画の中での対応を検討していきたいと答弁をされました。秋には県としての過疎地域での調査もし、そして振興局単位でも議論が積み重ねてこられたと聞いております。今議会では、新長計の素案によって和歌山県の将来像とそれに向けた取り組みの概要が示され、政策課題、さらに今練り上げている最中とのことであります。
 和歌山県の将来像を描くときには、この農山漁村の果たす役割と目指すべき姿、これは欠かすことのできない課題です。都市と農山漁村とは、それぞれの役割があります。そして、補い合いながら21世紀の人間社会を支えていくものだというふうに思っています。自然の中で人間らしく生活をしたいとか、自分自身が大きな機械の歯車の1つじゃなくて、かけがえのない1人の人間として生きがいを感じられる地域社会を、そんな願いにこたえられるのが農山漁村だと思うんです。
 フランスの「ミシュラン」というガイドブックが最近東京版を発行しまして、東京では、三つ星だ、行列だと大騒ぎをしていて、いかがなものかと思いますが、あのミシュランガイドブックというのは、本来、本国のフランス版では、29ある三つ星レストランのうち19のレストランはパリ以外の町にあるんですね。そして、1000人、2000人の小さな町のよい料理屋、農村レストランを紹介してるという話を聞きました。そして、そこには世界じゅうからお客さんが訪れて、土のにおいのする料理を楽しんでいくんだそうです。
 長野県へも先月伺ったんですが、栄村の「げたばきヘルパー」という近所のおばちゃんが介護をやってくれるような制度とか、下條村の若者住宅による若年人口増加など、僻地を逆手にとって、身の丈に合った福祉や医療、定住政策というのは、大変住民の満足度の高い、そういう取り組みとなっています。
 田辺市の旧中辺路町や旧大塔村へ調査に行ってまいりましたが、限界集落で暮らす高齢者の方々、とっても表情豊かで元気であることにすばらしさを感じると同時に、不安なことと言って聞くと、病気になったときのこと、病院や買い物への交通手段、鳥獣害対策、こういったことが出されて、これは県内共通の課題だと感じてまいりました。
 仁坂知事は、この新長期総合計画、そしてスタートの年となる来年度予算、この中で農山漁村と限界集落問題、どういうふうに位置づけ、どう論議し、計画や予算に取り入れようとしているのか、知事の御所見を伺います。
 続きまして、こういった中山間地における交通手段の確保の問題をお尋ねいたします。
 県内どこでも、公共交通には深刻な事態が進行しています。路線バスは赤字による撤退が相次いで、有田の谷でも有田鉄道バスの楠本路線が廃止をされました。これに続いて、上湯川と清水の間の線が廃止に向けて減便、花園─清水間が乗降客が減ってしまって来年度から国、県の補助対象から外れてしまう、もう補助金来なくなるということで先行きが不透明、こういった待ったなしの状態となっています。
 そんな中、住民の交通手段を確保しようという努力が広がっています。昨日、日曜日の「朝日新聞」に、長野県の木曽町の取り組みが実は特集をされていたんですね。「木曽路に命の交通網、「『すべて山の中』町の挑戦」、こういう題なんですね。1町3村の合併でできたこの木曽町というのは、人口1万3000人、面積は476平方キロ、高齢化率30%を超える町なんですが、思い切った交通対策をとらないと地域が崩壊しかねない、こういう思いで、合併をきっかけに、町全体をカバーする交通網を自前でつくり上げたと言います。「以前はバス停まで歩いて30分。荷物は持てず、買い物もできなかった。今は安く自宅まで送ってもらえて、本当にありがたい」、こんなふうに話す老婦人は、自宅から40キロ離れた病院に月2回通うそうですが、料金は乗り合いタクシーと幹線バスを乗り継いで片道200円。民間路線バスのときは1500円かかっていたそうなんですね。
 高齢化により、車に乗れない交通弱者がこれからふえてきます。有田川町でもコミュニティーバスの運行を始めましたけれども、県内各地でこういったコミュニティーバスやタクシーなどの努力と工夫が広がっています。ところが、現行の今の支援制度では、不採算路線の赤字補てん、それから2つ目にバス路線が廃止された区間に限って代替交通の立ち上げ補助、この2つしかないのが実情なんですね。これでは、これからやろうとしてるところには光が当たらないし、今のこの焦点からずれてると思うんですね。
 交通という分野では県のかかわる役割、大きいと思います。中山間地における交通手段の確保という点で、県内市町村がこういった取り組みに踏み出しやすいように、県としてもこれまで以上に支援していく必要があるのではないか。この点についても、これは企画部長に御答弁を願います。
 3つ目に、合併によって削られた地域を支える施策の見直しという点についてお伺いをいたします。
 有田の旧清水地域や田辺市の旧町村部を回って、市町村の担当者の方々からも、「住民の実態から見て、どんな施策が望まれているか、どんなことが必要と思ってらっしゃいますか」、こんなふうに聞いてみたところ、同じ傾向の問題意識が実は返ってきたんですね。それは、集落機能が低下した個々の住民を支援しようとするときに、旧町村で工夫されていた、2戸以上でなくても補助対象でするというようなさまざまな制度、例えば、歩いて上る道しかなかった自宅まで車が入ってこれるような進入路をつくる際に支援する制度とか、大雨の後、水道に使ってる沢水、これの取水口、詰まるんですが、この詰まりを役場から委託して掃除に行ってもらう制度、こういった僻地のハンディを補う仕組みが市町村合併の調整の中でやむなく、またことごとく廃止をされた現実があります。
 決してぜいたくを望むわけではない。そこで暮らしていくために平地では考えられない僻地のハンディを補う、そのための手だてや施策なんですね。限界集落に必要な支援を検討する際に、こういった地域の現状や課題、現場に合わせた制度がかぎとなるという御意見です。これらを見直し、再評価をし、中には新しい形で復活させることも大変意味があると思います。これを復活させようとすれば、でも、市町村はかなり重い腰を上げなければなりません。
 公共の仕事というと、ともすれば小さい事業は市町村の責任でやると、一定の規模以上になれば県が役割分担をすると、こういった考え方があるんですけども、そういう考え方に、規模によるすみ分けに固定化することなく、集落を支え維持するための知恵を絞った工夫、こういった市町村の動きが出てくるとするならば、県としてもしっかりと支援すべきではないでしょうか。この点についても知事のお考えを聞かせていただきたいと思います。
 続きまして、3番目の柱、県指定史跡である有田川町鳥屋城山の城跡について質問をいたします。
 この間、住民の方から、「鳥屋城山の山頂にある城跡へ行ったけれども、草ぼうぼうで、イノシシが遊歩道や石垣やら掘り返して大変荒れたまま放置されている。県の文化財に指定されているということだけども、こういう状態でほうっておいていいのだろうか。草刈りのボランティアぐらいならできるので、少しでも協力をさせていただきたいと思っている」、そんな相談を受けたんですね。
 私も、現地の状況を詳しく知らなかったので、住民の方々とともに実際に鳥屋城山に登ってみました。県、町の担当者の方も同行していただきました。有田の平野と山並みを一望できるすばらしい大パノラマに感動するとともに、中世の山城跡ということで、荒々しい石垣や敵の攻撃に備えた堀切りとか、そういったものが確認されて、古代へのロマンを感じました。しかし、残念なことに、この御指摘どおり、城跡には低灌木やススキが生い茂って眺望もきかず、イノシシの被害も多数見られ、荒れ放題という印象を受けました。
 この鳥屋城史跡については、「和歌山県の城」、こういう書籍の中でも、鳥屋城は紀伊の中世城郭の中ではその存廃が確かな史料に登場する貴重な遺跡であると紹介をされているんですね。こういった中世の城跡というのは、江戸時代の後の世の文献にしか載ってこないものが多い中で、湯浅氏と畠山氏によって南北朝の時代から秀吉紀州攻めまでの間約200年間にわたって継続的に使用されてきたことがその当時のリアルタイムの一級の文献資料で残ってるという、なかなか例のない貴重な山城跡なのだそうです。
 ところが、その一方で、詳しい現地での調査とか発掘調査、資料分析がされてこなかったために詳細なデータや図面、出土品などがほとんどないと聞いて驚いたと同時に、これは何とかしなければというふうに思いました。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 鳥屋城山は、県文化財指定をしている唯一の山城であり、貴重な史跡であるが、県としてこの現況をどう認識しておられるか。そして、地域住民の関心を高め、郷土の地域資源を大いに生かして地域づくり、まちづくりを進めるという点からも、今後、有田川町と力を合わせて城跡の調査、保存、整備に取り組むべきではないか。
 以上、2点について御答弁を願います。
 最後の質問の柱として、県立高校等の授業料値上げについて質問をさせていただきます。
 議案第167号は、県立高等学校初め看護学校、農業大学校などの授業料の値上げを提案するものであります。弱者切り捨ての構造改革路線のもと、格差社会と言われる問題は、全国的にも、そして県内でも深刻化しています。非正規雇用が増大し、年収200万円以下の世帯が急増しているなど、貧困のすそ野が広がっています。
 経済的理由などから授業料の減免を受ける家庭が増加傾向にあります。平成15年度には6%であった減免率が、平成18年度には7.8%にまで上昇しています。そして、平成15年度にはなかった授業料未納者も、18年度には累計24件となっています。この経済的困難が家庭のすさんだ状況や、ひいては子供の心に困難を生み出す大きな要因ともなっていることに、私は大変心を痛めています。
 私は、この議案が発表されてから、有田管内の中学校や高校の関係者の方々から話を伺いに回り、子供たちを通して見えてくる深刻な状況と、そして子供たちとしっかり心をつないで頑張っておられる現場の先生方の御苦労をお聞きしてまいりました。
 例えば、家庭訪問の時刻が大変遅くなっている傾向があります。何か問題を起こしてから指導するのじゃだめだからと、気になる子供のことを学年などで相談し、電話では事務連絡だけにしようと、子供のことは顔を見て話をしようと家庭訪問などするそうですが、仕事が終わって帰ってくるのが8時を過ぎる家庭が大変多くなってきている、その仕事もパートとかだと休んでもらうこともできない、正社員なら1時間休みをとってもらうことなどできるけども、パートだと1時間抜けるとすべてにかかわってくる、2つも3つもパートをかけ持ちしている、こんな苦労が見えてくるそうであります。
 これは、ある県内の県立高校の新入生の手引なんですけども、ここには、授業料11万5200円を初め、入学時に必要な費用がずっと説明をされています。制服に約10万円、体操服1万8000円、PTAなど諸会費に2万円、入学寄附金1万8000円、学校独自の運営協力費に5000円、このほかにも学級で集金するのが年間1万円と、こんなふうなことをいろいろ説明をいただきました。
 このように、授業料のほかにも父母負担となる諸経費の集金が重くのしかかってきているんですね。学校運営やPTAの会費も、その厳しさを増しているんですが、その要因の1つに、この間の県補助金など財政支出の削減があるんですね。補助金の削減が結果として父母負担の増という形で降りかかっているんです。
 長引く深刻な不況のもと、授業料の値上げには、慎重の上にも慎重であるべきです。なぜ今回授業料の値上げをするのか、どうしても値上げをしなけりゃならないのか、いろいろな補助金が削られているが授業料値上げでそれが少しでも戻るのかと、県民の目は厳しく向けられています。私は、この厳しい経済状況のもとでは機械的な値上げはやめるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 また、2点目に、これまでも機会あるごとに、授業料の減免制度の基準を見直して必要な家庭が減免を受けられるようにと改善を求めてまいりましたが、このことを初め、さまざまな手だてをこの機会に工夫し、検討して、今こそ経済的困難を抱えながら子育てをしているその県民を支え、守る姿勢が必要ではないか。
 以上2点については、教育長の御答弁を願います。
 以上で、第1回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) いわゆる限界集落への対応につきまして、お答え申し上げたいと思います。
 これにつきましては、新長期総合計画における「誇れる郷土づくり」の項目の中で検討を進めておりまして、策定本部会議等においても特に時間をかけて議論を重ねているところでございます。
 これまでの議論の結果、農山漁村の持つ多面的な機能や置かれている現状を分析した上で、地域の実情や住民の意向を十分踏まえ、市町村と連携しながら、集落維持等のための総合的対策を実施することということを基本的な方向性として導き出そうとしております。
 これまで、農山漁村対策として、特産物の振興などの就労対策、簡易水道などの生活基盤整備、都市住民の田舎暮らし支援や子供たちの農山漁村での体験交流などを実施してきたところでございます。
 今後、議論の内容を踏まえ、定住環境の整備や地域資源等を活用した活性化推進策など、集落機能維持対策等の施策充実に向けて一層努力してまいります。
 なお、合併後の施策の話もあわせてございました。合併をした後、各市町村の中で人口の少ないところを不当になおざりにする、あるいは旧町村の施策が不当に無視されるというようなことはないと信じておりますけれども、以上述べましたようなそういう考え方のもとで集落機能維持対策等の施策充実に向けて努力していきたいと思っております。
○副議長(新島 雄君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) ミカン対策についてでございますが、5点についてお答えをさせていただきます。
 本年産のミカンにつきましては、御承知のように表年にも当たりますことですから、10月1日の調査によりますと、本県では前年対比121%の18万5000トン、同じく全国では124%の104万トンの生産が見込まれてございます。
 果実につきましては、お話ございましたように小玉傾向でありますが、平年に比べて糖度が高くて食味もよいということで、価格的には順調な販売ということでスタートいたしておりましたですが、11月に入りまして、他産地におきまして極わせミカンの着色のおくれ等もございまして、わせミカンとの出荷時期が重なったということから価格が低下をいたしてございます。
 そうした中で、全国組織でございます果実生産出荷安定協議会が中心になりまして、生食用の果実の一部を市場隔離いたしまして加工用に回す緊急対策が、11月の26日からきょう12月の10日の間実施をされてございまして、現在、回復の兆しも出てきているということでございます。
 また、最近のミカンの消費動向についてでございますが、1人当たりの消費量が約5キロ程度ということで、以前に比べまして大きく減少いたしてございます。また一方、飲料などの簡便な加工品というのが非常に伸びておりまして、その消費行動も大きく変わってきてございます。
 今後、高品質生産はもちろんでございますが、産地間競争に打ち勝つブランド力の向上に加えまして、販路拡大や食品産業と連携した加工品づくりなど、新たな取り組みが必要であるというふうに考えてございます。
 こうしたことから、本年7月に策定いたしましたアクションプログラムに基づきまして、知事を先頭といたしましたトップセールスの実施、また和歌山フェアの開催、それから東アジア地域への試験輸出など販路の拡大に積極的に取り組むとともに、振興局単位に、JAあるいは商工会、また地域の食品加工業者などで構成いたします協議会を立ち上げまして、地域の特色ある地場産品を生かした新しい加工品づくりや食材フェアを通じた新たな用途開発に取り組むなど、産業としてのすそ野を広げるということにしてございます。
 また、機能性成分の研究についてでございますが、これまでベータクリプトキサンチンの発がん抑制効果など、ミカンの持つさまざまな機能成分が解明をされてきてございますが、消費拡大の観点からも非常に重要であるというふうに考えてございます。このため、平成18年度から戦略的研究開発プランによりまして、県立医科大学や社団法人である和歌山県農産物加工研究所と連携をいたしまして、ポリフェノールの含有量の多いミカンの栽培法の研究や柿酢入りミカン果汁の健康への影響に関するモニター調査などに取り組んでございます。今後とも、機能性に着目した取り組みを積極的に行ってまいりたいと考えてございます。
 それから、最後でございますが、石油価格の高騰につきましては、経営の中で燃料費の占める割合の高い施設園芸、また水産業にとりまして深刻な問題であるというふうに認識をいたしてございます。
 現在、国におきましては、中小企業や農林漁業者に対する緊急対策をまとめる方針を決めまして、現在議論が進められているところでございます。
 県といたしましては、これまでも農業関係につきましては、平成17年に策定をいたしました省エネ技術対策指針に基づきまして、ハウス内の温度のむらをなくす循環送風機、また加温温度をきめ細かく管理する変温管理装置などの省エネ設備の導入について支援を行ってございます。さらに、現在、民間の協力を得まして、従来の重油ボイラーとヒートポンプを組み合わせることによりまして高い石油削減効果が得られる暖房装置や温風式の木質ペレットボイラー等について実証試験を開始したところでございます。
 また、水産業におきましては、県独自の緊急対策といたしまして、過去1年間の石油相当額を限度とする運転資金の利子補給、それから省エネ型エンジンの導入に対する近代化資金の上乗せ利子補給を行う融資の受け付けを県信連──県信用漁業協同組合連合会でございますが──ここにおいて本日から開始をしたところでございます。
 今後とも、引き続き省エネ対策を進めるとともに、国の緊急対策の動向等も見守りながら積極的に対応してまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 企画部長森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○企画部長(森 崇君) 新長期総合計画と新年度予算における農山漁村対策のうち、中山間地における交通手段の確保についてお答えいたします。
 公共交通機関は地域の実情によって役割が異なることから、国や市町村、また事業者と連携しながら、その実情に即した、利便性が高く住民生活を豊かにする交通ネットワークを維持・充実していくことを目標に、新長期総合計画を策定中であります。
 県では、幹線となる県内40系統のバス路線の運行欠損額や低床バスの購入に対し支援することによりまして、広域的な路線の維持確保を図っているところでございます。一方、市町村では、路線バスが廃止された後に地域住民の交通手段を確保するために、あるいは市町村合併に伴い住民サービスの格差を解消するためにコミュニティーバスが導入されておりまして、本年11月現在では18市町村において運行されております。
 御指摘の交通手段の確保につきましては、コミュニティーバスを初めデマンドバスやデマンドタクシーの導入など、市町村や事業者、地域住民と一体となり、地域の実情に合ったきめ細かな接続向上と交通ネットワークづくりの確立に努めてまいります。
○副議長(新島 雄君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 鳥屋城山の城址は県文化財指定唯一の山城跡であるが、その現況をどう認識しているかということについてでございます。
 和歌山県には多くの山城跡がございますが、その中で、これまでに中世の城址として県史跡指定されているのは鳥屋城山頂に築かれた鳥屋城址だけであり、現在、本丸跡が残っておりまして、東西に長い方形の平地になってございます。山頂までは旧金屋町により遊歩道がつくられておりますけれども、季節によって草が生い茂るなど、歴史をたどる場所としてふさわしいとは言いがたい状況であると把握をしてございます。
 次に、町とともに城址の調査、保存、整備に取り組むべきではないかということにつきましては、鳥屋城址は鳥屋城山の山頂の一部のみが県史跡指定されてございますけれども、城址全体の把握、史跡追加指定のために不可欠な土地等の権利関係が明らかではございませんで、見直しができない状態になってございます。県といたしましては、現在、有田川町で進められております地籍調査の早期完了を促しまして、その成果を得た時点で指定の見直し、保存整備等を町教育委員会とともに検討を進めてまいりたいと考えます。
 次に、県立高等学校の授業料につきましては、これまでも適正な受益者負担となるよう、地方財政計画や他の都道府県の動向を考慮の上、改定を行ってまいりました。
 既に国の平成19年度の地方財政計画において高等学校の授業料については改定されているところであり、全国の半数以上の県においては、既にそれを踏まえて改定をしております。残りの都道府県につきましても、ほとんどが平成20年度からの改定を予定しているところでございます。本県におきましても、これらの状況を踏まえ、平成20年度入学生から授業料の改定をお願いするものでございます。
 次に、授業料減免制度は、経済的な理由により修学が困難な生徒に対して授業料の免除を行い、修学機会の確保を図る対策の1つでございまして、その基準と運用については、県民の理解が得られる負担の公平性が必要でございます。したがいまして、この公平性を確保するため、社会保障制度の根幹である生活保護基準を判定基準としております。
 生活保護世帯につきましては、生業扶助の中で高校の修学費が対象とされておりますが、それ以外については、生活保護基準に準じる世帯には全額免除を、収入が生活保護基準の1.2倍までの世帯につきましては半額の免除を行ってございます。なお、減免対象にならない生徒については、奨学金制度を含めた修学支援制度全体の中で対応をしてございます。
 厳しい財政状況ではございますけれども、今後とも修学支援対策として、教育の機会均等と進路選択を保障するセーフティーネットの観点から、公平性を担保しつつ、真に必要としている生徒が必要なときに利用できる制度となるよう努力をしてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
 42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 知事並びに関係部長、教育長から御答弁をいただきました。
 ミカン対策では、価格も若干持ち直してきたという御報告とともに、その販路拡大とか、それから食品産業とも連携をした加工品づくりと、こういったことに積極的に取り組んでいくという御答弁をいただきました。
 石油高騰対策でも、融資の分野で一歩踏み出していただくと答弁をいただきました。このミカン対策は、有田地方の元気の源、和歌山の元気の源ですから、引き続き全力を挙げていただくことを要望しておきます。
 1つだけ注文をつけるなら、和歌山県内を走っているJRきのくに線の特急くろしお号やオーシャンアロー号、この車内販売のカートに並んでるジュースというのは、何と愛媛県産のポンジュースなんですよ。知事、御存じでしたか。これ、せめて県内の観光客を乗せて走る特急や関西空港、こういったとこにおいても和歌山のミカンが元気にアピールする姿が見えるように、県としても働きかけに努めていただくように要望をしておきたいと思います。
 それから、限界集落、農山漁村の問題では、知事からも、なおざりにされないようにと、こういう率直な思いも聞かせていただきましたし、実態をつかみ、市町村とも連携し、総合的な全庁的課題として議論を進めているという答弁をいただきました。
 また、鳥屋城山の史跡についても、地元有田川町と検討を進めていくという旨の答弁をいただきました。
 どちらも、今後の取り組みが前に向いて進んでいけるように要望をしておきたいというふうに思います。
 さて、最後に、高校などの授業料値上げの件で教育長に再質問をさせていただきます。
 答弁をお聞きしていて、私、感じたことは、まず値上げの理由というのが、国の基準に沿って値上げを各県ともにするんだから理解してほしいということだったと思いますが、この3年ごとの基準の見直しだって、その年に上げる県、その次の年に上げる県──和歌山もこのうちに入ろうとしているわけですが──そして3年間かけて少しずつ上げる県、値上げを見送る県とさまざまに対応が分かれているわけで、画一的な対応にならなくてもいいんではないかというふうに感じております。
 また、この授業料の減免制度の見直しなど何らかの手だてをというふうに、私、求めたのに対して、困難な生徒には授業料減免と奨学金で対応を今までもしてきましたよという答弁でした。その上で、教育の機会均等と進路選択を保障するセーフティーネットとなるよう努力するという答弁を聞かせていただきました。これは制度の問題ですから、一存ではいかないということは十分承知をしてるつもりです。しかし、本当に援助の手が必要な家庭に必要な援助がされているかといえば、私はまだまだ不十分だと思ってるんですね。
 これも現場でお聞きしてきた話なんですけども、給食費を長い間滞納していた子供のケースです。給食費を払うということは修学援助を受けていない家庭なんですね。この家庭、小学校と中学校にそれぞれ子供がいて、月々8000数百円というこの給食費の負担がつらくなって長く滞っておったと。何度も連絡をとり家庭訪問もするんだけれど、いつも家は留守のようで連絡がとれてなかったというんです。仕方がないので、学校の帰りに子供についていって家へ行ったそうであります。すると、真っ暗な家の中から電気をつけてお母さんが出てこられたというんですね。留守なんかではなくて、電気をつけずにいたんです。お母さんは失業中だったそうで、先生に何度もわびながら支払いの約束をしたそうです。そして、しばらく期間を置いて、お母さんは学校にやってきました。その手には、やっと入った失業手当のお金が握り締められてたというんですね。
 この修学援助や授業料免除、本当にこのセーフティーネットが予防的役割を果たせているでしょうか。減免基準の金額、これをとっても、パートを2つも3つも一生懸命かけ持ちをして必死に働いていることが、わずかに基準を上回ってそういうことになったりとか、画一的にその金額だけで線を引くことがいいのかどうかという悩みの声も聞いてまいりました。
 こういったボーダーラインすれすれで頑張っている家庭にも授業料の値上げだけでは済まない出費がどんどんどんどん重なっていく、こういう大変苦しい家庭、ふえてるわけです。これに何らかの手だてを検討できないかというのが私の趣旨でございまして、食い下がるようですが、再度この授業料値上げ問題で、もう一度教育長の答弁を願います。
○副議長(新島 雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 再質問をいただきました授業料の問題でございますけれども、この値上げをせざるを得ないという状況につきましては、和歌山県としても財政的に非常に難しい困難な状況の中で、一定の負担増もお願いせざるを得ないという状況が一般的な状況でございますけれども、ただ、私どもとすれば、むしろ積極的に上げたいというよりも、やはり国の状況に合わせていかざるを得ない面もあるという、そこの事情を逆に御理解をいただきたいなというふうに思っております。
 それから、この基準の適正、適切さということについて、議員が御紹介いただきましたように、大変苦しい家庭が決して珍しくない状況もあるということは重々承知してございます。私も現場におりましたときに、そのような家庭にたびたび遭遇をいたしました。そのときに、例えば前年度の収入は十分あるけれども、会社のリストラに遭って今大変生活に困っているというような状況もございました。そういう場合には、個々のケースに応じた、かなり丁寧な弾力的な対応も県のほうでとっていただいた経験もございます。
 そういうこともございまして、一律に金額だけの基準で措置するということは避けるように丁寧な対応を心がけてきていると思いますので、今後とも、個々の具体的なケースに応じた丁寧な対応ができるよう心がけてまいりたいというふうに考えます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再々質問を許します。
 42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 教育長から答弁いただきました。本当に苦しい家庭も珍しくない、個々のケースに応じた丁寧な対応を心がけていきたいという、そういう決意も聞かせていただきました。
 この問題は、今後のこの議会での議論と新年度に向けた取り組みに譲りたいと思いますけれども、ぜひこの長引く不況や格差社会といった社会の波に翻弄されながら懸命に成長していく和歌山の子供たちに、ぜひ心寄り添いながら取り組んでいただきたい、そしてまた、新年度事業でもそれを踏まえて頑張っていただきたいということを要望いたしまして、私の質問は終わらせていただきます。
○副議長(新島 雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時37分散会

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