平成19年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(下川俊樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前10時1分開議
○議長(中村裕一君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第153号から議案第177号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 16番下川俊樹君。
  〔下川俊樹君、登壇〕(拍手)
○下川俊樹君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 仁坂知事が、ふるさとの危機に際して、県民の信頼を回復し、経済の活力を取り戻して和歌山を元気にするんだとの決意のもと知事に就任されて1年になります。県民のさまざまな期待を背にスタートした1年であったと思いますが、就任早々、県政の信頼を回復することに全力で取り組まれるとともに、元気を取り戻すには雇用の拡大とのことで、企業誘致を初め、県産品の販路拡大、観光プロモーションなど、みずからトップセールスで大いにアピールをされてきたところであります。そして、何よりも県民にとって大切な医療や福祉の充実については、いち早く着手され、大きな成果を上げられています。また、県民の悲願であった紀伊半島一周の高速道路の実現にも大きな一歩を踏み出すことができました。さらに、新長期総合計画の策定を進め、これからの10年間の本県のあるべき姿を県民に示されようとしています。
 そこで、知事自身が奔走してきたこの1年を振り返り、どう総括されるのか、知事にお伺いをしたいと思います。
 次に、平成20年度の当初予算編成と長期財政収支見通しを踏まえた今後の財政運営についてお伺いをいたします。
 和歌山県の現状を見ますと、高齢化の進展と若者の流失による生産年齢人口の減少、景気に回復が見られても個人所得水準が上向きにならない中で、物価上昇など、県民生活は非常に苦しいものとなっています。
 県民だれもが和歌山が元気になることを願っているところであります。そうした県民の声にこたえるためにも、希望と夢を持てる政策を打ち出すことが強く求められているところであります。
 知事は、就任早々から、県政を進める上での指針となる新長期総合計画の策定に取り組まれ、さらに本年度当初から、元気な和歌山実現のため、平成20年度の新政策の議論を積み重ねてこられたと聞いております。先般、記者発表された平成20年度予算編成要領においても、新政策の重点6分野が示され、元気な和歌山の創造に向けた施策を積極的に展開すると述べられています。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 知事にとりましては、今回が実質的に初めての本格的な予算編成だと思います。和歌山県の現状や県民の切実な声、これまでの新長期総合計画や新政策の議論を踏まえてどのような予算を組まれるおつもりか、その意気込みをお聞かせいただきたいと思います。
 また、さきの9月定例会において、今後10年間の県政の財政収支見通しの試算が示されました。一定の前提条件のもとではありますが、現在の財政構造が将来的に持続不可能なものであることが示されたところであります。このような非常に厳しい財政状況の中、知事は今後どのように県政のかじ取りを進めていくおつもりであるか、今後の財政運営の基本姿勢について、あわせてお伺いをいたしたいと思います。
 次に、救急医療体制についてお伺いいたします。
 救急医療の最も重要な課題は、いち早く現場に到達し、いかに早く治療行為を開始するかであります。特に、本県のように南北に長く山間地が多い地理的特性や、高度の医療機関が最北端の和歌山市に集中するという立地特性にあっては、ドクターヘリが救命に大きな効果をもたらすものと考え、私は本会議での一般質問等を通じてドクターヘリの導入を訴え続け、その結果、本県においては、全国に先駆けて平成15年度から運航を開始するに至った次第であります。
 これまでの運航状況を見ますと、運航開始から昨年度末まで1326件にも上っており、出動件数は年々増加していると聞いてございます。紀南地域においても、運航開始から315件となっており、全体の4分の1を占める状況であります。
 このように、多くの生命が救われたことは高く評価するものであり、全国的に見ても誇れるものであると思います。
 全国の状況を見てみますと、本年6月19日の衆議院本会議において、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法が可決をされ成立し、施行されました。法律が整備されたことにより、現在配備されている11道県に加え、今後ますます全国各地域にドクターヘリが導入されていくことを期待するものであります。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 この救急ヘリ特措法とも言うべき法律は、何を目指し、何を内容とした法律なのか、その要点を伺うとともに、この法律の施行によって財政的な支援がどうなっていくのか、お伺いをいたしたいと思います。
 また、ドクターヘリを導入して約5年、今後の制度の充実に向けて自治体が抱える課題を、要望等を反映させるため、この際、全国の関係する自治体に呼びかけて、例えば全国ドクターヘリ推進協議会なるものを立ち上げてはどうか。本県が、これまでのノウハウを生かしてその先導的役割を発揮されてはどうか。これまでの実績を踏まえて、今後ドクターヘリを活用した救急医療をどのように充実をさせようとしているのか、お伺いをしたいと思います。
 次に、新宮市立医療センターの充実並びに広域連携についてであります。
 新宮医療圏の救急医療体制の整備については、私はこれまで一貫して、その対象範囲を熊野広域圏とすべきという考え方を主張してまいりました。何度も申し述べてきましたので詳しい重複は避けて申し上げますが、考え方の大枠は次のとおりであります。
 私は、新宮市発展のキーワードを広域ととらえています。新宮市が紀伊半島南端の中心都市として地域社会を形成し、健全な発展を続けるためには、県や郡の境を越えた周辺地域、すなわち新宮市、東牟婁郡町村、奈良県、三重県の南部を含んだ地域、私はこれを熊野広域圏と呼んでいますが、この熊野広域圏を対象とした広域施策、例えば広域交通、広域商業、広域医療、広域消防など、広域的な視点を持った施策の展開が必要であると確信をしております。このことが新宮市の中心都市としての役割と機能を高め、新宮市の熊野広域圏の中心都市としての発展につながり、結果として熊野広域圏の安定的な地域社会の形成、維持につながると考えるからであります。
 広域交通のかなめである熊野川河口大橋については後ほど触れますが、ここでは広域医療に限定をして議論を進めていきたいと思います。
 熊野広域圏の医療機関の整備状況をかんがみますと、新宮市立医療センターは、単に新宮市民のみを対象としているのではなく、広く東牟婁各町村、三重県の南・北牟婁郡の広域の住民を対象としていることは明々白々であります。換言するならば、新宮市立医療センターは郡市や県境を越えた熊野広域圏の中核病院としての役割を担い、さらに一層の機能強化を求められているのであります。翻って、新宮市立医療センターの救急医療の現状を見ますと、まことにお寒い深刻な状態に陥っているのであります。
 知事に提案をいたします。
 和歌山、三重、奈良の3県は、紀伊半島知事会を定期的に開催をしています。そのテーマとして、紀伊半島の南端に住まいをして、その地理的制約から大都市の医療サービスの半分も受けられない地域の住民の立場に立って、県の境を越えた、例えば広域医療行政のあり方といったようなテーマの設定をお願いしたいと思っております。市町村合併が進み、今また道州制の議論がある中、私は、こうした住民レベルから見て真に必要な広域行政をモデルケースとしてはと考えるのであります。
 そこで、知事にお尋ねをいたしたいと思います。
 新宮市立医療センターの充実についての取り組み状況と、三重県、奈良県の一部を含めた、いわば県際プロジェクトとも言うべき広域医療の立場からの所見と取り組みについてお伺いをするものであります。
 次に、研修医の確保についてであります。
 全国的に医師不足が社会問題となっている中、本県においても、医師の地域偏在、診療所の偏在による通勤医不足が、紀南地域を初め県内各地で顕著になっているところであります。特に、地域医療を支える役割を担う公的医療機関での勤務医不足は深刻の度を増しており、私の地元である新宮市立医療センターにおいても、他県の大学からの医師引き揚げにより、今年10月から分娩の予約を受け付けることができない状況に陥っているところであります。幸い、国の緊急臨時的医師派遣により9月から産婦人科の医師を派遣していただいたおかけで、現在、分娩予約が再開をされてございますが、今なお現場の医師の熱意と努力により何とか維持できているというのが実情であります。
 危機的状況が続いていることは何ら変わりもないところであり、そうした中、今回、県内唯一の医師養成機関である県立医科大学において25名の入学定員増が認められたことは、非常に心強いことであります。県立医科大学は、全国で最も少ない定員の中で、県内公的医療機関の医師の約8割を供給するなど、地域医療体制の維持に大変努力をしていただいております。医師の絶対数が少なければ幾ら定着策を講じても限界があることから、今回の定員増により、県内の医師不足の解消に向けた可能性を広げたとも言えるのではないかと思います。
 しかしながら、その効果が出るのは、早くても8年先であります。この間、地域医療の崩壊を回避するために、即戦力となる医師をいかに確保するかが非常に重要であると考えます。
 現在の医師不足は、平成16年度の新医師臨床研修制度導入を契機として、研修医の大学離れや都市部への人気集中により地域偏在が加速した結果であると考えます。都市部の病院に人気が集中する中、和歌山のような地方の病院が研修医を確保するため、いかに知恵を絞っていくのか、そして、確保した医師を県内にいかに定着をさせるのかが問題であります。さらに、このことの縮図は、県内にあっても同様のことが指摘をされるわけです。すなわち、和歌山市とその他地域、その他地域にあっても、特に紀南地方の医師不足は目を覆うばかりであります。
 そこで、知事にお伺いをいたしたいと思います。
 新医師臨床研修制度が導入されて、ことしで5回目であります。県立医科大学を初めとした県内の病院における臨床研修医の確保の状況はどうでしょうか。また、県内において、研修医の確保やその他の定着をどのように図っていくのか。特に、紀南地方の医師不足を視野に入れた答弁を求めるものであります。
 参考に申し上げますと、私が申し上げている熊野広域圏、和歌山県は新宮市、東牟婁を含めて7万9397人、三重県南牟婁、北牟婁郡含めて4万4136人、奈良県南端を含めますと約13万人の人が紀伊半島南端で生活をしているわけであります。
 最後に、道路整備についてお伺いをいたします。
 まず、紀伊半島一周高速道路の実現に向けてであります。
 去る11月11日、多くの県民が待ち望んでいました田辺市までの高速道路が実現をいたしました。こういう表現をしてはどうかと思うんですけれども、たったの5キロです。5キロでも、我々にとっては、時間的には15分から20分の時間の短縮ができたわけであります。いかに高速道路が我々にとって時間的短縮に、そして今後のいろんな発展に必要であるかということは、この事例を見ていただいてもおわかりだと思います。そして、その5キロの竣工にわざわざ国土交通大臣もお越しをいただいて、そして次なる紀伊半島一周に向けての決意もお語りをいただいた。我々、我が県にとっては本当に千載一遇のチャンスだと思います。
 そして、次なる紀伊半島一周に向けて熱気が冷めぬ翌々日、13日ですか、国土交通省から10年間の中期計画の試案が発表され、悲願でありました紀伊半島一周高速道路が位置づけをされたわけであります。紀伊半島南部地域の住民を初め、県議会議員に初当選以来、紀南への高速道路延伸を訴えてまいりました私にとっては、まことに大きな喜びでもございます。
 聞くところによりますと、南紀田辺インターチェンジの開通以降、みなべ─田辺間の交通量が予想の2倍を超える毎日平均1万台以上に上るなど、京阪神方面からの観光客が増加し、白浜温泉なども予約が増加しているとのことであり、さらなる高速道路の南伸により紀南地方の活性化への夢が大きく膨らむものと期待をされています。この上は、一日も早く紀伊半島一周の高速道路が実現されることを心から待ち望んでいるところであります。
 今後の田辺以南の高速道路整備に向けた取り組みについて、知事の御所見をお伺いしたいと思います。
 次に、熊野川河口大橋の建設についてであります。
 新宮市と三重県紀宝町を結ぶ熊野川河口大橋につきましては、昨年開催をされた決起大会を通じて、地元でも早期実現に向けた機運が大いに盛り上がっている中、国の中期計画の試案においてこの間が高速道路として位置づけられることになり、さらに一歩前進したものと大変喜んでいるところであります。
 これまでも本会議で訴えてまいりましたとおり、熊野川河口大橋は、新宮市を中心とする三重県、奈良県を含めた熊野広域圏にとってなくてはならないものであり、近畿と中部の生活、経済、文化等、さまざまな交流のかけ橋として極めて重要であります。熊野川河口大橋の一日も早い実現に向けて、取り組み状況と今後の予定について、知事にお伺いをいたしたいと思います。
 次に、最後になりますけれども、道路特定財源の暫定税率の維持についてであります。
 先ほど申し述べましたとおり、紀伊半島一周の高速道路整備がいよいよ具体化をし、本県にとってこれからという大事な時期に来て、道路特定財源が大きな問題となってございます。
 これまで道路整備の大きな財源となってきた揮発油税の暫定税率の法期限が来春迎えることとなっており、万が一この暫定税率がなくなった場合、本県では、県と市町村で約170億円もの財源がなくなり、道路整備の根幹を揺るがすのみならず、本県の財政破綻にもつながりかねない極めてゆゆしき事態となるわけであります。
 道路特定財源に係る揮発油税などの暫定税率の問題は、我々としても人ごとでは済ませられない深刻なことであり、大都市部の意見だけでこの問題が左右されないよう、ぜひとも地方から暫定税率の維持が不可欠であると大きな声を上げていく必要があると考えます。私も、自由民主党和歌山県連の幹事長として、また自由民主党全国幹事長会議の会長として、道路特定財源の暫定税率の維持に全力で取り組む所存であります。
 知事の御所見をお伺いして、一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの下川俊樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、知事就任1年を振り返っての所見でございます。
 和歌山の危機、そして元気のなくなっている我がふるさとを見て、何とかしたいとの思いで知事に就任さしていただきまして、あっという間に1年がたちました。
 振り返りますと、それこそあっという間の1年でございましたけれども、私にとっては大変重い1年であったと考えております。和歌山県が負ったマイナスイメージを払拭するというスタートでありました。ただ、県民の皆さんや各界の方々とお会いして、できるだけ多くの御意見を聞かしていただきながら、守りの政策よりも攻めの政策に徹して、今そこにある危機に対して打てる手は着実に打ってまいったつもりであります。
 元気和歌山のためには、まず信頼回復であります。就任直後から公共調達制度改革に取り組みまして、だれもが正々堂々と挑戦できる制度を目指しました。一生懸命働いておられる企業の方々がだれにも後ろ指を指されなくて済むように頑張れるような、そういう制度をつくりたいと思いました。幾つかの段階を経て、来年の6月からその完全実施を予定しているところですけれども、県民の皆さん、特に企業の皆さんから理解がちゃんと得られて、それをちゃんと利用してもらえるように、現在、説明会等を重ね、スタートに備えているところであります。
 私は、元気の源は、何と言っても働き場所の拡大であると思っています。和歌山に戻って改めて発見したことは、自慢すべき素材が非常に多いということ、そして人々の心が温かくて豊かであるということでございます。ただ、それらが埋もれていたり、あるいは自信を失ったりと十分生かされていないということに気づき、持てる資源を全部洗い出して、企業誘致を初め、和歌山の誇る農産品、その他の製品の販路拡大や観光宣伝など、それぞれの分野で戦略を立てて実行してまいりました。
 さらに、県民の皆さんがチャレンジできる機会の平等を確保するためには、高速道路や幹線道路、あるいはIT基盤などの公共インフラの整備がまず必要である、でなければ我々はチャンスも生かせない、そういうふうに県内外に強く訴えてきました。
 また、医師不足問題は、生きる根幹にかかわる問題でありまして、県議会や国会、そして関係の方々の力強い御支援を賜った結果、医科大学の定員25名増など、国の施策を動かしてまでかち取ることもできました。
 このほかにも数々の施策を打ち出してまいりましたけれども、まだまだスタートしたばかりで、これらを確実に実らせるためにも、策定中の新長期総合計画では、これからの10年、県民の皆さんが夢と希望が持てるような方針を打ち出さねばとの思いで、現在、鋭意検討を進めているところでございます。
 これからも議員各位の御協力を一層賜り、幸い県職員も、新しいことがたくさんあって私は大変だと思いますが、県民のために頑張ってくれておりますので、これらと一丸となって、子供たちもわくわくできるような、そういう元気な和歌山づくりに邁進したいと考えております。
 次に、平成20年度当初予算編成方針と今後の財政運営について御質問がありました。
 まず先に、今後の財政運営の基本姿勢についてお答えしたいと思います。
 議員御指摘のとおり、和歌山県を元気にすることは県民の皆様の最大の願いであると思っております。このような期待にこたえるべく、現在、新長期総合計画の策定作業を進めております。この計画の柱となる本県の活性化策を計画的に実施していくためには、将来にわたって持続可能な財政基盤が大前提でありますけれども、先般お示しした長期財政収支見通しによれば、このままでいくと、現在の財政構造を変えていかなければ近いうちに県財政が成り立たなくなる、そういうふうになってしまっております。
 そこで、現在、持続可能な財政構造への転換を図るべく、行財政改革推進プランの見直し作業を鋭意進めているところでございまして、今後、2月議会までに素案を策定し、議員を初め県民の皆様の御意見をいただいた上で、今年度末までに新たな行財政改革プランを策定したいと考えております。この新たな計画のもとで、さらなる行財政改革を強力に推進する必要がございます。
 次に、平成20年度当初予算編成への意気込みについてお答え申し上げます。
 平成20年度は、新長期総合計画の初年度となります。その予算は、実施する施策の選択と集中を図るとともに、限られた財源を、既に発表しておりますが、6分野20項目の新政策を初めとする事業に重点的かつ効率的に配分することにより、県民の皆様が切望されている元気な和歌山の創造に向けて第一歩を踏み出すものである、そういうものでなければいけないというふうに考えております。
 こうした和歌山の活性化と財政健全化を同時に実現するための予算を編成する、あるいは編成できるよう、県庁挙げて現在頑張っているところでございます。
 次に、医療でございます。
 今、ドクターヘリの問題について下川県議からお話がありました。私は、下川県議を初め多くの方々の努力で、和歌山県のドクターヘリを含む緊急医療体制、そういうシステムは大変よくできていると、特に近隣諸県に比べて大変よくできているというふうに考えております。また、これについては後で答弁があると思いますが、関係者の日ごろの努力にも大いに感謝したいと考えております。その上で広域的な協力についてお答え申し上げたいと思っております。
 和歌山県も、そのように、他県に比べてすぐれているとはいえ、完璧ではありません。また、他県の困っている人々についても冷たくあってはいけないと思います。と同時に、他県の協力によって和歌山県がまだまだ不十分なところも補完できればいいと、そういうふうに思っております。
 そういう観点から、紀伊半島知事会議におきまして、本年7月に、紀伊半島における地域の医療連携を議題にいたしまして、共通の課題である医師の確保、県境を越えた医療連携、法の制定を踏まえた今後のドクターヘリの3県共同利用のあり方について、引き続き3県で情報交換をしながら検討を行うという合意を得ているところでございます。
 新宮市立医療センターの充実についての取り組み状況についてでございますけれども、県から国への要請による緊急臨時的な産科医師の派遣や、新宮保健医療圏における僻地医療等確保のための自治医科大学卒業医師の派遣などの支援を行っているところであります。
 県境を越えた広域医療連携につきましては、新宮市立医療センターの休日における緊急医療体制を、県境、県域を越えた開業医と勤務医の連携により確保する取り組みや、あるいは三重県の医療機関との間で遠隔医療の取り組みなどを行ってきておるところでございます。
 議員御提案の広域医療体制のあり方については、現在既に着手しているこうした取り組みを踏まえながら、一層、三重県及び奈良県とも十分協議してまいりたいと考えております。
 次に、研修医の確保についてお答え申し上げます。
 本県は、人口10万人当たりの医師数では、実は全国平均を上回っているわけでございます。ただし、和歌山市に50%強の医師が集中しておりまして、紀南地域を初め多くの地域では、医師不足により地域医療を担う中核的医療機関において診療体制の維持が困難に時々なる、あるいは困難を来しているというようなことでございます。
 私は、このような事態にかんがみまして、国への働きかけなど、ありとあらゆる運動をいたしました。その結果、さまざまな医師確保対策に加え、抜本的な対策として、平成20年度より県立医科大学の入学定員を25名増員し、その効果を最大限に生かすことができるよう、紀南地域を初めとする僻地の医療機関での勤務、それから拠点病院への勤務、これを行うような医師確保対策を講じてまいる所存であります。
 当面、即戦力として期待される臨床研修医の確保も重要であるというふうに考えております。なぜならば、新たに養成する25名の方々は、研修が終わって、そこから稼働ですから、8年間かかります。それまで、何とかいろんな政策を講じて、これをもたさないかんということでございます。現在、県立医科大学及び臨床研修指定病院等関係機関で構成する県医師臨床研修連絡協議会を設置し、魅力ある研修プログラムづくりなど、臨床研修医確保に取り組んでいるところであります。
 こうした取り組みもありまして、県内の臨床研修医は、新制度導入時には一時低下いたしましたけれども、その後は毎年増加いたしまして、平成20年度は県下全体で78名の採用を予定しておりまして、特に和歌山県立医科大学におきましては、そのうち57名を占め、全国の大学病院の平均を大きく上回っております。ちょっと専門的な用語ですが、マッチング率という概念で言いますと、実は全国の並みいる有名医科大学を押さえて全国9位の実績(中間公表)を上げております。こういう観点について、これまで行ってこられた大学関係者の御努力に心から敬意を表したいと思います。
 しかしながら、研修医を集めるためには、今後集め続けるためには、大学の学問的レベルも落とさないようにしないといけません。それから、研修の環境も、物理的な環境も高く保っていかないといけません。したがいまして、今後とも県立医科大学及び臨床研修指定病院等と連携しながら、研修体制の充実や後期研修プログラムの体制整備などにより研修医の確保を図り、県内定着に結びつけてまいりたいと考えております。
 次に、道路整備についてでございます。
 紀伊半島を一周する高速道路は、人が暮らすための平等な権利の保障や、企業誘致などの経済活動の基本的なチャンスの保障など、ナショナルミニマムの観点から不可欠であり、これまでも早期実現に向けて国、関係機関に強く訴えてきたところでございます。いわば、和歌山県の悲願であったと言ってもよいかと思います。
 去る11月11日の南紀田辺インターチェンジまでの開通、さらに、このたび公表されました道路の中期計画の素案の中で整備すべき路線とされたことは、紀伊半島一周の高速道路の早期実現に向けた大きな第一歩であると受けとめております。今後は、現在事業中の那智勝浦道路の那智勝浦─新宮間の今年度の供用と残る区間の事業促進を、また新直轄事業で事業中の田辺─すさみ間についても用地取得などの協力体制を整え、平成27年開催が予定される第70回国民体育大会に間に合わせるよう国に対し強く働きかけてまいります。
 さらに、田辺─すさみ間の事業推進とあわせ、すさみ─熊野間の未事業化区間の整備については、国による環境調査やルートなど必要な調査を進め、早期に事業化を図り、今後の10年間で整備が促進されるよう、国、関係機関に強く働きかけていく所存であります。
 次に、熊野川河口大橋の建設についてでございますが、新宮市は、紀南地方における産業、経済及び文化の拠点でありまして、今後一層活性化が期待される地域でありますが、高速交通体系の整備が大きな課題となっております。このため、熊野川河口大橋については、平成16年度から和歌山県と三重県で調整をしつつ、高速交通ネットワークと整合を図りながら調査を進めているところでございます。
 このたび、紀伊半島一周道路が中期計画の素案の中で整備すべき路線とされたことから、今後、熊野川河口大橋を含む高速道路の未事業化区間について、三重県と連携し、ルートや構造、整備手法などの必要な調査を国で早急に実施していただけるように要望してまいりたいと考えております。
 続きまして、道路特定財源の暫定税率の維持についてでございますが、議員御指摘のとおり、暫定税率等の法案が成立しなければ、試算では本県分として約120億円、市町村分を合わせると約170億円もの減収となります。
 県の財政状況は厳しい中、暫定税率廃止の影響は多方面に及ぶと考えられますが、例えば、京奈和自動車道、近畿自動車道紀勢線といった高速道路の整備は半減し、また老朽化する橋梁などの道路構造物の維持、修繕すらできなくなるなど、今後の道路整備が立ち行かなくなる、あるいは一般財源を道路整備に投入することにより他の分野の予算をこれまた圧迫するなど、県、市町村の財政に重大な影響を与えかねない死活的な問題となります。そうなれば、いわば地方は切り捨てられるということになって、私どもとしてはゆゆしき事態だと考えております。
 そのため、先月11月14日には、政府主催の全国知事会の席上でも、暫定税率の維持と地方道路整備臨時交付金制度の維持・拡充を訴えてきたところでございます。さらに、11月22日には、自由民主党の政務調査会、道路特定財源見直しに関するプロジェクトチームの会合に出席し、地方の道路整備の必要性と暫定税率維持、地方道路整備臨時交付金制度の維持・拡充による道路特定財源の確保を訴えたところでございます。引き続き、国政レベルへの働きかけを県民と一丸となって行っていきたいと考えておりまして、議員各位の御理解と御協力をお願いします。
 下川議員のお話にありましたように、私は、紀伊半島一周の高速道路がようやく苦節何年、あるいは何十年、そういう時期を経て県民の悲願がようやく達成されるかなと、こういう時期にこれが根本から覆ってしまうということについては我慢ができない思いがいたします。一部には、もう道路など要らないのではないかというような議論もあります。また、ガソリン代が下がっていいじゃないかというような議論もあります。また、一般財源にすれば、それで財源はどっかから持ってくればいいんじゃないかというような議論もあります。しかしながら、すべてそれは政策の実現性という観点からきちんとしたメニューを提示した議論であるとは私は思いません。
 したがいまして、和歌山県のような地方が、せっかく県民挙げての悲願であることがもうちょっとで実現されるようになったときに、その実現が不可能になるような、そういう制度的変更を国あるいは全体で行われるということは、和歌山県を挙げてやっぱり抵抗しなきゃいけないのではないかと、そんなふうに思っている次第であります。
 県民を代表される議員各氏におかれましては、ぜひ県民の将来、現在の御生活はもちろんのこと、子々孫々の御生活も踏まえて御協力くださいますようにお願い申し上げます。ありがとうございました。
○議長(中村裕一君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法についてでございます。
 同法は、救急医療用ヘリコプター、すなわちドクターヘリを用いた救急医療が傷病者の救命、後遺症の軽減等に果たす役割の重要性にかんがみ、ドクターヘリを用いた救急医療の全国的な確保を図るための特別な措置を講じることにより、良質かつ適切な救急医療を効率的に提供する体制の確保に寄与することを目的として制定されたものでございます。
 また、同法におきましては、ドクターヘリを用いた救急医療体制を、地域の実情を踏まえつつ全国的に整備することを目標として規定しているほか、現行の国及び都道府県によるドクターヘリを用いた救急医療を行う病院に対する補助に加えまして、団体や個人からの寄附を財源とする基金を用いた助成金交付事業制度の設置を規定してございます。
 現在のドクターヘリの運航経費につきましては、ドクターヘリ導入促進事業により、経費のおおむね2分の1の額が県に対して補助され、患者は救急搬送診療料及び往診料のうちの一部を負担することとなってございます。
 新たな助成金交付事業制度につきましては、交付対象など具体的な内容につきましては、現在、国のドクターヘリ導入促進検討会において詳細な検討がなされておりますので、その動向に注視してまいりたいと、そのように考えてございます。
 ドクターヘリ制度の充実に向けた全国ドクターヘリ推進協議会の立ち上げについてでございますが、今後ドクターヘリによる救急医療の充実を図るという観点からも重要であると認識してございまして、既にドクターヘリを導入している10自治体とも協議しながら進めてまいりたい、そのように考えてございます。
 次に、ドクターヘリを活用した救急医療の充実についてお答え申し上げます。
 平成15年1月から運航開始して以来、本年11月までのドクターヘリの出動回数は1601件となっており、地域別の要請件数は、紀北地域724件、紀中地域431件、紀南地域392件となっております。この間、運航時間の拡大や高速道路本線上へも着陸できるよう関係機関と調査検討を進めるなど、ドクターヘリの充実に取り組み、救命率の向上と後遺症の軽減に大きな成果を上げているところでございます。
 今後のドクターヘリの活用につきましては、将来的には三重県、奈良県においてドクターヘリが導入された場合には、紀伊半島におけるドクターヘリ運航の相互協力応援体制を構築するとともに、来年1月に導入が予定されております大阪府との広域的な連携についても研究してまいりたいと、そのように考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 以上で、下川俊樹君の質問が終わりました。

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