平成19年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

平成19年12月
和歌山県議会定例会会議録
第2号
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議事日程 第2号
 平成19年12月10日(月曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第153号から議案第177号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第153号から議案第177号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(46人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 川口文章
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 16番 下川俊樹
 17番 岸本 健
 18番 山下大輔
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 角田秀樹
 28番 江上柳助
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 服部 一
 34番 片桐章浩
 35番 原 日出夫
 36番 藤本眞利子
 37番 長坂隆司
 38番 玉置公良
 39番 小川 武
 40番 冨安民浩
 41番 奥村規子
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        原 邦彰
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      杉本雅嗣
 総務部長       小濱孝夫
 企画部長       森 崇
 環境生活部長     楠本 隆
 福祉保健部長     井畑文男
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      小倉正義
 教育委員会委員長   樫畑直尚
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員長   大岡淳人
 警察本部長      鶴谷明憲
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     垣平高男
 選挙管理委員会委員長 山本恒男
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       山本庄作
 次長         植野博文
 議事課長       薮上育男
 議事課副課長     土井敏弘
 議事班長       吉田政弘
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      石垣悦二
 議事課主査      瀧川泰治
 総務課長       下出喜久雄
 調査課長       佐本 明
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  午前10時1分開議
○議長(中村裕一君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第153号から議案第177号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 16番下川俊樹君。
  〔下川俊樹君、登壇〕(拍手)
○下川俊樹君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 仁坂知事が、ふるさとの危機に際して、県民の信頼を回復し、経済の活力を取り戻して和歌山を元気にするんだとの決意のもと知事に就任されて1年になります。県民のさまざまな期待を背にスタートした1年であったと思いますが、就任早々、県政の信頼を回復することに全力で取り組まれるとともに、元気を取り戻すには雇用の拡大とのことで、企業誘致を初め、県産品の販路拡大、観光プロモーションなど、みずからトップセールスで大いにアピールをされてきたところであります。そして、何よりも県民にとって大切な医療や福祉の充実については、いち早く着手され、大きな成果を上げられています。また、県民の悲願であった紀伊半島一周の高速道路の実現にも大きな一歩を踏み出すことができました。さらに、新長期総合計画の策定を進め、これからの10年間の本県のあるべき姿を県民に示されようとしています。
 そこで、知事自身が奔走してきたこの1年を振り返り、どう総括されるのか、知事にお伺いをしたいと思います。
 次に、平成20年度の当初予算編成と長期財政収支見通しを踏まえた今後の財政運営についてお伺いをいたします。
 和歌山県の現状を見ますと、高齢化の進展と若者の流失による生産年齢人口の減少、景気に回復が見られても個人所得水準が上向きにならない中で、物価上昇など、県民生活は非常に苦しいものとなっています。
 県民だれもが和歌山が元気になることを願っているところであります。そうした県民の声にこたえるためにも、希望と夢を持てる政策を打ち出すことが強く求められているところであります。
 知事は、就任早々から、県政を進める上での指針となる新長期総合計画の策定に取り組まれ、さらに本年度当初から、元気な和歌山実現のため、平成20年度の新政策の議論を積み重ねてこられたと聞いております。先般、記者発表された平成20年度予算編成要領においても、新政策の重点6分野が示され、元気な和歌山の創造に向けた施策を積極的に展開すると述べられています。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 知事にとりましては、今回が実質的に初めての本格的な予算編成だと思います。和歌山県の現状や県民の切実な声、これまでの新長期総合計画や新政策の議論を踏まえてどのような予算を組まれるおつもりか、その意気込みをお聞かせいただきたいと思います。
 また、さきの9月定例会において、今後10年間の県政の財政収支見通しの試算が示されました。一定の前提条件のもとではありますが、現在の財政構造が将来的に持続不可能なものであることが示されたところであります。このような非常に厳しい財政状況の中、知事は今後どのように県政のかじ取りを進めていくおつもりであるか、今後の財政運営の基本姿勢について、あわせてお伺いをいたしたいと思います。
 次に、救急医療体制についてお伺いいたします。
 救急医療の最も重要な課題は、いち早く現場に到達し、いかに早く治療行為を開始するかであります。特に、本県のように南北に長く山間地が多い地理的特性や、高度の医療機関が最北端の和歌山市に集中するという立地特性にあっては、ドクターヘリが救命に大きな効果をもたらすものと考え、私は本会議での一般質問等を通じてドクターヘリの導入を訴え続け、その結果、本県においては、全国に先駆けて平成15年度から運航を開始するに至った次第であります。
 これまでの運航状況を見ますと、運航開始から昨年度末まで1326件にも上っており、出動件数は年々増加していると聞いてございます。紀南地域においても、運航開始から315件となっており、全体の4分の1を占める状況であります。
 このように、多くの生命が救われたことは高く評価するものであり、全国的に見ても誇れるものであると思います。
 全国の状況を見てみますと、本年6月19日の衆議院本会議において、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法が可決をされ成立し、施行されました。法律が整備されたことにより、現在配備されている11道県に加え、今後ますます全国各地域にドクターヘリが導入されていくことを期待するものであります。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 この救急ヘリ特措法とも言うべき法律は、何を目指し、何を内容とした法律なのか、その要点を伺うとともに、この法律の施行によって財政的な支援がどうなっていくのか、お伺いをいたしたいと思います。
 また、ドクターヘリを導入して約5年、今後の制度の充実に向けて自治体が抱える課題を、要望等を反映させるため、この際、全国の関係する自治体に呼びかけて、例えば全国ドクターヘリ推進協議会なるものを立ち上げてはどうか。本県が、これまでのノウハウを生かしてその先導的役割を発揮されてはどうか。これまでの実績を踏まえて、今後ドクターヘリを活用した救急医療をどのように充実をさせようとしているのか、お伺いをしたいと思います。
 次に、新宮市立医療センターの充実並びに広域連携についてであります。
 新宮医療圏の救急医療体制の整備については、私はこれまで一貫して、その対象範囲を熊野広域圏とすべきという考え方を主張してまいりました。何度も申し述べてきましたので詳しい重複は避けて申し上げますが、考え方の大枠は次のとおりであります。
 私は、新宮市発展のキーワードを広域ととらえています。新宮市が紀伊半島南端の中心都市として地域社会を形成し、健全な発展を続けるためには、県や郡の境を越えた周辺地域、すなわち新宮市、東牟婁郡町村、奈良県、三重県の南部を含んだ地域、私はこれを熊野広域圏と呼んでいますが、この熊野広域圏を対象とした広域施策、例えば広域交通、広域商業、広域医療、広域消防など、広域的な視点を持った施策の展開が必要であると確信をしております。このことが新宮市の中心都市としての役割と機能を高め、新宮市の熊野広域圏の中心都市としての発展につながり、結果として熊野広域圏の安定的な地域社会の形成、維持につながると考えるからであります。
 広域交通のかなめである熊野川河口大橋については後ほど触れますが、ここでは広域医療に限定をして議論を進めていきたいと思います。
 熊野広域圏の医療機関の整備状況をかんがみますと、新宮市立医療センターは、単に新宮市民のみを対象としているのではなく、広く東牟婁各町村、三重県の南・北牟婁郡の広域の住民を対象としていることは明々白々であります。換言するならば、新宮市立医療センターは郡市や県境を越えた熊野広域圏の中核病院としての役割を担い、さらに一層の機能強化を求められているのであります。翻って、新宮市立医療センターの救急医療の現状を見ますと、まことにお寒い深刻な状態に陥っているのであります。
 知事に提案をいたします。
 和歌山、三重、奈良の3県は、紀伊半島知事会を定期的に開催をしています。そのテーマとして、紀伊半島の南端に住まいをして、その地理的制約から大都市の医療サービスの半分も受けられない地域の住民の立場に立って、県の境を越えた、例えば広域医療行政のあり方といったようなテーマの設定をお願いしたいと思っております。市町村合併が進み、今また道州制の議論がある中、私は、こうした住民レベルから見て真に必要な広域行政をモデルケースとしてはと考えるのであります。
 そこで、知事にお尋ねをいたしたいと思います。
 新宮市立医療センターの充実についての取り組み状況と、三重県、奈良県の一部を含めた、いわば県際プロジェクトとも言うべき広域医療の立場からの所見と取り組みについてお伺いをするものであります。
 次に、研修医の確保についてであります。
 全国的に医師不足が社会問題となっている中、本県においても、医師の地域偏在、診療所の偏在による通勤医不足が、紀南地域を初め県内各地で顕著になっているところであります。特に、地域医療を支える役割を担う公的医療機関での勤務医不足は深刻の度を増しており、私の地元である新宮市立医療センターにおいても、他県の大学からの医師引き揚げにより、今年10月から分娩の予約を受け付けることができない状況に陥っているところであります。幸い、国の緊急臨時的医師派遣により9月から産婦人科の医師を派遣していただいたおかけで、現在、分娩予約が再開をされてございますが、今なお現場の医師の熱意と努力により何とか維持できているというのが実情であります。
 危機的状況が続いていることは何ら変わりもないところであり、そうした中、今回、県内唯一の医師養成機関である県立医科大学において25名の入学定員増が認められたことは、非常に心強いことであります。県立医科大学は、全国で最も少ない定員の中で、県内公的医療機関の医師の約8割を供給するなど、地域医療体制の維持に大変努力をしていただいております。医師の絶対数が少なければ幾ら定着策を講じても限界があることから、今回の定員増により、県内の医師不足の解消に向けた可能性を広げたとも言えるのではないかと思います。
 しかしながら、その効果が出るのは、早くても8年先であります。この間、地域医療の崩壊を回避するために、即戦力となる医師をいかに確保するかが非常に重要であると考えます。
 現在の医師不足は、平成16年度の新医師臨床研修制度導入を契機として、研修医の大学離れや都市部への人気集中により地域偏在が加速した結果であると考えます。都市部の病院に人気が集中する中、和歌山のような地方の病院が研修医を確保するため、いかに知恵を絞っていくのか、そして、確保した医師を県内にいかに定着をさせるのかが問題であります。さらに、このことの縮図は、県内にあっても同様のことが指摘をされるわけです。すなわち、和歌山市とその他地域、その他地域にあっても、特に紀南地方の医師不足は目を覆うばかりであります。
 そこで、知事にお伺いをいたしたいと思います。
 新医師臨床研修制度が導入されて、ことしで5回目であります。県立医科大学を初めとした県内の病院における臨床研修医の確保の状況はどうでしょうか。また、県内において、研修医の確保やその他の定着をどのように図っていくのか。特に、紀南地方の医師不足を視野に入れた答弁を求めるものであります。
 参考に申し上げますと、私が申し上げている熊野広域圏、和歌山県は新宮市、東牟婁を含めて7万9397人、三重県南牟婁、北牟婁郡含めて4万4136人、奈良県南端を含めますと約13万人の人が紀伊半島南端で生活をしているわけであります。
 最後に、道路整備についてお伺いをいたします。
 まず、紀伊半島一周高速道路の実現に向けてであります。
 去る11月11日、多くの県民が待ち望んでいました田辺市までの高速道路が実現をいたしました。こういう表現をしてはどうかと思うんですけれども、たったの5キロです。5キロでも、我々にとっては、時間的には15分から20分の時間の短縮ができたわけであります。いかに高速道路が我々にとって時間的短縮に、そして今後のいろんな発展に必要であるかということは、この事例を見ていただいてもおわかりだと思います。そして、その5キロの竣工にわざわざ国土交通大臣もお越しをいただいて、そして次なる紀伊半島一周に向けての決意もお語りをいただいた。我々、我が県にとっては本当に千載一遇のチャンスだと思います。
 そして、次なる紀伊半島一周に向けて熱気が冷めぬ翌々日、13日ですか、国土交通省から10年間の中期計画の試案が発表され、悲願でありました紀伊半島一周高速道路が位置づけをされたわけであります。紀伊半島南部地域の住民を初め、県議会議員に初当選以来、紀南への高速道路延伸を訴えてまいりました私にとっては、まことに大きな喜びでもございます。
 聞くところによりますと、南紀田辺インターチェンジの開通以降、みなべ─田辺間の交通量が予想の2倍を超える毎日平均1万台以上に上るなど、京阪神方面からの観光客が増加し、白浜温泉なども予約が増加しているとのことであり、さらなる高速道路の南伸により紀南地方の活性化への夢が大きく膨らむものと期待をされています。この上は、一日も早く紀伊半島一周の高速道路が実現されることを心から待ち望んでいるところであります。
 今後の田辺以南の高速道路整備に向けた取り組みについて、知事の御所見をお伺いしたいと思います。
 次に、熊野川河口大橋の建設についてであります。
 新宮市と三重県紀宝町を結ぶ熊野川河口大橋につきましては、昨年開催をされた決起大会を通じて、地元でも早期実現に向けた機運が大いに盛り上がっている中、国の中期計画の試案においてこの間が高速道路として位置づけられることになり、さらに一歩前進したものと大変喜んでいるところであります。
 これまでも本会議で訴えてまいりましたとおり、熊野川河口大橋は、新宮市を中心とする三重県、奈良県を含めた熊野広域圏にとってなくてはならないものであり、近畿と中部の生活、経済、文化等、さまざまな交流のかけ橋として極めて重要であります。熊野川河口大橋の一日も早い実現に向けて、取り組み状況と今後の予定について、知事にお伺いをいたしたいと思います。
 次に、最後になりますけれども、道路特定財源の暫定税率の維持についてであります。
 先ほど申し述べましたとおり、紀伊半島一周の高速道路整備がいよいよ具体化をし、本県にとってこれからという大事な時期に来て、道路特定財源が大きな問題となってございます。
 これまで道路整備の大きな財源となってきた揮発油税の暫定税率の法期限が来春迎えることとなっており、万が一この暫定税率がなくなった場合、本県では、県と市町村で約170億円もの財源がなくなり、道路整備の根幹を揺るがすのみならず、本県の財政破綻にもつながりかねない極めてゆゆしき事態となるわけであります。
 道路特定財源に係る揮発油税などの暫定税率の問題は、我々としても人ごとでは済ませられない深刻なことであり、大都市部の意見だけでこの問題が左右されないよう、ぜひとも地方から暫定税率の維持が不可欠であると大きな声を上げていく必要があると考えます。私も、自由民主党和歌山県連の幹事長として、また自由民主党全国幹事長会議の会長として、道路特定財源の暫定税率の維持に全力で取り組む所存であります。
 知事の御所見をお伺いして、一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの下川俊樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、知事就任1年を振り返っての所見でございます。
 和歌山の危機、そして元気のなくなっている我がふるさとを見て、何とかしたいとの思いで知事に就任さしていただきまして、あっという間に1年がたちました。
 振り返りますと、それこそあっという間の1年でございましたけれども、私にとっては大変重い1年であったと考えております。和歌山県が負ったマイナスイメージを払拭するというスタートでありました。ただ、県民の皆さんや各界の方々とお会いして、できるだけ多くの御意見を聞かしていただきながら、守りの政策よりも攻めの政策に徹して、今そこにある危機に対して打てる手は着実に打ってまいったつもりであります。
 元気和歌山のためには、まず信頼回復であります。就任直後から公共調達制度改革に取り組みまして、だれもが正々堂々と挑戦できる制度を目指しました。一生懸命働いておられる企業の方々がだれにも後ろ指を指されなくて済むように頑張れるような、そういう制度をつくりたいと思いました。幾つかの段階を経て、来年の6月からその完全実施を予定しているところですけれども、県民の皆さん、特に企業の皆さんから理解がちゃんと得られて、それをちゃんと利用してもらえるように、現在、説明会等を重ね、スタートに備えているところであります。
 私は、元気の源は、何と言っても働き場所の拡大であると思っています。和歌山に戻って改めて発見したことは、自慢すべき素材が非常に多いということ、そして人々の心が温かくて豊かであるということでございます。ただ、それらが埋もれていたり、あるいは自信を失ったりと十分生かされていないということに気づき、持てる資源を全部洗い出して、企業誘致を初め、和歌山の誇る農産品、その他の製品の販路拡大や観光宣伝など、それぞれの分野で戦略を立てて実行してまいりました。
 さらに、県民の皆さんがチャレンジできる機会の平等を確保するためには、高速道路や幹線道路、あるいはIT基盤などの公共インフラの整備がまず必要である、でなければ我々はチャンスも生かせない、そういうふうに県内外に強く訴えてきました。
 また、医師不足問題は、生きる根幹にかかわる問題でありまして、県議会や国会、そして関係の方々の力強い御支援を賜った結果、医科大学の定員25名増など、国の施策を動かしてまでかち取ることもできました。
 このほかにも数々の施策を打ち出してまいりましたけれども、まだまだスタートしたばかりで、これらを確実に実らせるためにも、策定中の新長期総合計画では、これからの10年、県民の皆さんが夢と希望が持てるような方針を打ち出さねばとの思いで、現在、鋭意検討を進めているところでございます。
 これからも議員各位の御協力を一層賜り、幸い県職員も、新しいことがたくさんあって私は大変だと思いますが、県民のために頑張ってくれておりますので、これらと一丸となって、子供たちもわくわくできるような、そういう元気な和歌山づくりに邁進したいと考えております。
 次に、平成20年度当初予算編成方針と今後の財政運営について御質問がありました。
 まず先に、今後の財政運営の基本姿勢についてお答えしたいと思います。
 議員御指摘のとおり、和歌山県を元気にすることは県民の皆様の最大の願いであると思っております。このような期待にこたえるべく、現在、新長期総合計画の策定作業を進めております。この計画の柱となる本県の活性化策を計画的に実施していくためには、将来にわたって持続可能な財政基盤が大前提でありますけれども、先般お示しした長期財政収支見通しによれば、このままでいくと、現在の財政構造を変えていかなければ近いうちに県財政が成り立たなくなる、そういうふうになってしまっております。
 そこで、現在、持続可能な財政構造への転換を図るべく、行財政改革推進プランの見直し作業を鋭意進めているところでございまして、今後、2月議会までに素案を策定し、議員を初め県民の皆様の御意見をいただいた上で、今年度末までに新たな行財政改革プランを策定したいと考えております。この新たな計画のもとで、さらなる行財政改革を強力に推進する必要がございます。
 次に、平成20年度当初予算編成への意気込みについてお答え申し上げます。
 平成20年度は、新長期総合計画の初年度となります。その予算は、実施する施策の選択と集中を図るとともに、限られた財源を、既に発表しておりますが、6分野20項目の新政策を初めとする事業に重点的かつ効率的に配分することにより、県民の皆様が切望されている元気な和歌山の創造に向けて第一歩を踏み出すものである、そういうものでなければいけないというふうに考えております。
 こうした和歌山の活性化と財政健全化を同時に実現するための予算を編成する、あるいは編成できるよう、県庁挙げて現在頑張っているところでございます。
 次に、医療でございます。
 今、ドクターヘリの問題について下川県議からお話がありました。私は、下川県議を初め多くの方々の努力で、和歌山県のドクターヘリを含む緊急医療体制、そういうシステムは大変よくできていると、特に近隣諸県に比べて大変よくできているというふうに考えております。また、これについては後で答弁があると思いますが、関係者の日ごろの努力にも大いに感謝したいと考えております。その上で広域的な協力についてお答え申し上げたいと思っております。
 和歌山県も、そのように、他県に比べてすぐれているとはいえ、完璧ではありません。また、他県の困っている人々についても冷たくあってはいけないと思います。と同時に、他県の協力によって和歌山県がまだまだ不十分なところも補完できればいいと、そういうふうに思っております。
 そういう観点から、紀伊半島知事会議におきまして、本年7月に、紀伊半島における地域の医療連携を議題にいたしまして、共通の課題である医師の確保、県境を越えた医療連携、法の制定を踏まえた今後のドクターヘリの3県共同利用のあり方について、引き続き3県で情報交換をしながら検討を行うという合意を得ているところでございます。
 新宮市立医療センターの充実についての取り組み状況についてでございますけれども、県から国への要請による緊急臨時的な産科医師の派遣や、新宮保健医療圏における僻地医療等確保のための自治医科大学卒業医師の派遣などの支援を行っているところであります。
 県境を越えた広域医療連携につきましては、新宮市立医療センターの休日における緊急医療体制を、県境、県域を越えた開業医と勤務医の連携により確保する取り組みや、あるいは三重県の医療機関との間で遠隔医療の取り組みなどを行ってきておるところでございます。
 議員御提案の広域医療体制のあり方については、現在既に着手しているこうした取り組みを踏まえながら、一層、三重県及び奈良県とも十分協議してまいりたいと考えております。
 次に、研修医の確保についてお答え申し上げます。
 本県は、人口10万人当たりの医師数では、実は全国平均を上回っているわけでございます。ただし、和歌山市に50%強の医師が集中しておりまして、紀南地域を初め多くの地域では、医師不足により地域医療を担う中核的医療機関において診療体制の維持が困難に時々なる、あるいは困難を来しているというようなことでございます。
 私は、このような事態にかんがみまして、国への働きかけなど、ありとあらゆる運動をいたしました。その結果、さまざまな医師確保対策に加え、抜本的な対策として、平成20年度より県立医科大学の入学定員を25名増員し、その効果を最大限に生かすことができるよう、紀南地域を初めとする僻地の医療機関での勤務、それから拠点病院への勤務、これを行うような医師確保対策を講じてまいる所存であります。
 当面、即戦力として期待される臨床研修医の確保も重要であるというふうに考えております。なぜならば、新たに養成する25名の方々は、研修が終わって、そこから稼働ですから、8年間かかります。それまで、何とかいろんな政策を講じて、これをもたさないかんということでございます。現在、県立医科大学及び臨床研修指定病院等関係機関で構成する県医師臨床研修連絡協議会を設置し、魅力ある研修プログラムづくりなど、臨床研修医確保に取り組んでいるところであります。
 こうした取り組みもありまして、県内の臨床研修医は、新制度導入時には一時低下いたしましたけれども、その後は毎年増加いたしまして、平成20年度は県下全体で78名の採用を予定しておりまして、特に和歌山県立医科大学におきましては、そのうち57名を占め、全国の大学病院の平均を大きく上回っております。ちょっと専門的な用語ですが、マッチング率という概念で言いますと、実は全国の並みいる有名医科大学を押さえて全国9位の実績(中間公表)を上げております。こういう観点について、これまで行ってこられた大学関係者の御努力に心から敬意を表したいと思います。
 しかしながら、研修医を集めるためには、今後集め続けるためには、大学の学問的レベルも落とさないようにしないといけません。それから、研修の環境も、物理的な環境も高く保っていかないといけません。したがいまして、今後とも県立医科大学及び臨床研修指定病院等と連携しながら、研修体制の充実や後期研修プログラムの体制整備などにより研修医の確保を図り、県内定着に結びつけてまいりたいと考えております。
 次に、道路整備についてでございます。
 紀伊半島を一周する高速道路は、人が暮らすための平等な権利の保障や、企業誘致などの経済活動の基本的なチャンスの保障など、ナショナルミニマムの観点から不可欠であり、これまでも早期実現に向けて国、関係機関に強く訴えてきたところでございます。いわば、和歌山県の悲願であったと言ってもよいかと思います。
 去る11月11日の南紀田辺インターチェンジまでの開通、さらに、このたび公表されました道路の中期計画の素案の中で整備すべき路線とされたことは、紀伊半島一周の高速道路の早期実現に向けた大きな第一歩であると受けとめております。今後は、現在事業中の那智勝浦道路の那智勝浦─新宮間の今年度の供用と残る区間の事業促進を、また新直轄事業で事業中の田辺─すさみ間についても用地取得などの協力体制を整え、平成27年開催が予定される第70回国民体育大会に間に合わせるよう国に対し強く働きかけてまいります。
 さらに、田辺─すさみ間の事業推進とあわせ、すさみ─熊野間の未事業化区間の整備については、国による環境調査やルートなど必要な調査を進め、早期に事業化を図り、今後の10年間で整備が促進されるよう、国、関係機関に強く働きかけていく所存であります。
 次に、熊野川河口大橋の建設についてでございますが、新宮市は、紀南地方における産業、経済及び文化の拠点でありまして、今後一層活性化が期待される地域でありますが、高速交通体系の整備が大きな課題となっております。このため、熊野川河口大橋については、平成16年度から和歌山県と三重県で調整をしつつ、高速交通ネットワークと整合を図りながら調査を進めているところでございます。
 このたび、紀伊半島一周道路が中期計画の素案の中で整備すべき路線とされたことから、今後、熊野川河口大橋を含む高速道路の未事業化区間について、三重県と連携し、ルートや構造、整備手法などの必要な調査を国で早急に実施していただけるように要望してまいりたいと考えております。
 続きまして、道路特定財源の暫定税率の維持についてでございますが、議員御指摘のとおり、暫定税率等の法案が成立しなければ、試算では本県分として約120億円、市町村分を合わせると約170億円もの減収となります。
 県の財政状況は厳しい中、暫定税率廃止の影響は多方面に及ぶと考えられますが、例えば、京奈和自動車道、近畿自動車道紀勢線といった高速道路の整備は半減し、また老朽化する橋梁などの道路構造物の維持、修繕すらできなくなるなど、今後の道路整備が立ち行かなくなる、あるいは一般財源を道路整備に投入することにより他の分野の予算をこれまた圧迫するなど、県、市町村の財政に重大な影響を与えかねない死活的な問題となります。そうなれば、いわば地方は切り捨てられるということになって、私どもとしてはゆゆしき事態だと考えております。
 そのため、先月11月14日には、政府主催の全国知事会の席上でも、暫定税率の維持と地方道路整備臨時交付金制度の維持・拡充を訴えてきたところでございます。さらに、11月22日には、自由民主党の政務調査会、道路特定財源見直しに関するプロジェクトチームの会合に出席し、地方の道路整備の必要性と暫定税率維持、地方道路整備臨時交付金制度の維持・拡充による道路特定財源の確保を訴えたところでございます。引き続き、国政レベルへの働きかけを県民と一丸となって行っていきたいと考えておりまして、議員各位の御理解と御協力をお願いします。
 下川議員のお話にありましたように、私は、紀伊半島一周の高速道路がようやく苦節何年、あるいは何十年、そういう時期を経て県民の悲願がようやく達成されるかなと、こういう時期にこれが根本から覆ってしまうということについては我慢ができない思いがいたします。一部には、もう道路など要らないのではないかというような議論もあります。また、ガソリン代が下がっていいじゃないかというような議論もあります。また、一般財源にすれば、それで財源はどっかから持ってくればいいんじゃないかというような議論もあります。しかしながら、すべてそれは政策の実現性という観点からきちんとしたメニューを提示した議論であるとは私は思いません。
 したがいまして、和歌山県のような地方が、せっかく県民挙げての悲願であることがもうちょっとで実現されるようになったときに、その実現が不可能になるような、そういう制度的変更を国あるいは全体で行われるということは、和歌山県を挙げてやっぱり抵抗しなきゃいけないのではないかと、そんなふうに思っている次第であります。
 県民を代表される議員各氏におかれましては、ぜひ県民の将来、現在の御生活はもちろんのこと、子々孫々の御生活も踏まえて御協力くださいますようにお願い申し上げます。ありがとうございました。
○議長(中村裕一君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法についてでございます。
 同法は、救急医療用ヘリコプター、すなわちドクターヘリを用いた救急医療が傷病者の救命、後遺症の軽減等に果たす役割の重要性にかんがみ、ドクターヘリを用いた救急医療の全国的な確保を図るための特別な措置を講じることにより、良質かつ適切な救急医療を効率的に提供する体制の確保に寄与することを目的として制定されたものでございます。
 また、同法におきましては、ドクターヘリを用いた救急医療体制を、地域の実情を踏まえつつ全国的に整備することを目標として規定しているほか、現行の国及び都道府県によるドクターヘリを用いた救急医療を行う病院に対する補助に加えまして、団体や個人からの寄附を財源とする基金を用いた助成金交付事業制度の設置を規定してございます。
 現在のドクターヘリの運航経費につきましては、ドクターヘリ導入促進事業により、経費のおおむね2分の1の額が県に対して補助され、患者は救急搬送診療料及び往診料のうちの一部を負担することとなってございます。
 新たな助成金交付事業制度につきましては、交付対象など具体的な内容につきましては、現在、国のドクターヘリ導入促進検討会において詳細な検討がなされておりますので、その動向に注視してまいりたいと、そのように考えてございます。
 ドクターヘリ制度の充実に向けた全国ドクターヘリ推進協議会の立ち上げについてでございますが、今後ドクターヘリによる救急医療の充実を図るという観点からも重要であると認識してございまして、既にドクターヘリを導入している10自治体とも協議しながら進めてまいりたい、そのように考えてございます。
 次に、ドクターヘリを活用した救急医療の充実についてお答え申し上げます。
 平成15年1月から運航開始して以来、本年11月までのドクターヘリの出動回数は1601件となっており、地域別の要請件数は、紀北地域724件、紀中地域431件、紀南地域392件となっております。この間、運航時間の拡大や高速道路本線上へも着陸できるよう関係機関と調査検討を進めるなど、ドクターヘリの充実に取り組み、救命率の向上と後遺症の軽減に大きな成果を上げているところでございます。
 今後のドクターヘリの活用につきましては、将来的には三重県、奈良県においてドクターヘリが導入された場合には、紀伊半島におけるドクターヘリ運航の相互協力応援体制を構築するとともに、来年1月に導入が予定されております大阪府との広域的な連携についても研究してまいりたいと、そのように考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 以上で、下川俊樹君の質問が終わりました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 では、議長のお許しを得ましたので、早速質問に入りたいと思います。
 初めに、私のほうからちょっと資料を提出さしていただきました。これについて詳細に説明するということではなくて、私の今回の質問の全体を通じて、今、気候変動並びに環境、地球温暖化の問題の中で、我々和歌山県としてどういうふうな政策でもって臨んでいくのかというのが根本的にあると思うんで、その中で、私は、21世紀は第一次産業の時代、そのことについて、一次産業のとりわけ農業、林業について問題提起しながら当局の見解をお聞きしたいというふうに考えております。
 この資料にもあるとおり、この色分けしたところの分野と、いわゆる海南から和歌山市、それから紀北という部分での全体としての地理的条件、それと環境、そういう意味での違いの中で、私たちは和歌山県とりわけ和歌山県政はどういうふうな重点施策で進めるべきかということについて、私は感じておるわけであります。
 そこで、人口については、ごらんのとおり全体として65対35、林野面積に至っては11対89、土木建設業は、ここでは事業所数が43.5と56.5てなってますが、人口比にしますと、既にその他の23市町村が10倍もこの北部7市町よりも事業者が多いと、こういう形になります。
 だから、そういう意味で、1つは、一次産業を中心としながら観光、そして公共事業に依存したいわゆる土木建設事業が地域で成り立ってきた、そういう実態の中で今後我々はどうあるべきかということについて、私自身も考えながら問題提起しながら当局の見解をお聞きしたいというふうに考えているわけであります。
 まさに、この表のとおり、人口減と高齢化、森林、農業、水産業が、いわば全体、政府の工業中心の日本経済の政策の中で最も影響を受け、農産物をつくる人、森林を守る人、魚をとる人が減少しているのは事実です。しかし私は、21世紀は第一次産業の時代であり、第一次産業はよみがえらせる、よみがえらせなくては地球そのものの、また人類そのものの危機になるんではないか。
 ここに、私は、国連環境計画第4次地球環境概況を一部紹介してみたい。同報告書によると、1987年から20年間で世界の人口は50億人から67億人にふえた。貿易量は3倍になり、1人当たりの収入は40%増加。こうした社会経済面の激変が環境の変化を引き起こしているとして、例えば大気汚染、改善されてきた地域もあるが、地球全体で見ると毎年200万人以上が大気汚染が原因で死期を早めている。有害な紫外線から人々を保護しているオゾン層も、南極上空の穴はこれまで最大の規模になった。さらに水、1人当たりが使える淡水の量は地球規模で減少。汚染された水は病気や死亡の最大要因となっている。2025年までに18億人が水不足となり、世界人口の3分の2は日常生活に支障を来す水ストレス下に置かれるおそれがあるというふうに言われています。しかも、生物多様性もこれまでになく急速に低下していると指摘。1万6000種以上が絶滅の危機にあると指摘されております。
 私は、そういう意味で、近い将来、水不足、食料不足、空気不足になることは確実であること、日本は、農産物、水産物、林産物の輸入依存は、早晩輸入したくても輸入できない事態になることは明らかであります。
 私たちは、和歌山県のすぐれたこの一次産業の環境をいかに守り、持続させていくかにかかっています。私たちの和歌山、とりわけ紀中・紀南は、太陽に緑に水、土と農業に、海に恵まれ、しかも農産物は、1年じゅうどんな果実、野菜、花卉も生産可能な環境立地条件。生物資源の宝庫の和歌山には、私は明るい未来があると思います。それには、そこに住む人たちはもちろんですが、政治の政策がそこに目を向けた、そこに重点を置いた政治が求められているのではないでしょうか。
 そこで、私は知事に、一次産業である農業、林業についてお尋ねしたいと思います。
 まず、農業振興についてお伺いします。
 今、世界の食料事情は、人口増加による需要量増加、温暖化等による耕地面積の減少や干ばつ、台風の大型化など異常気象による減産に加えて、昨今では、トウモロコシ、サトウキビを主体にしたバイオエタノールといったエネルギー生産の原料として、需要増加による食料とエネルギーとの競合など、将来に向かい確実に逼迫する状況にあり、ことしあたりから食品価格への転嫁による家計の圧迫が懸念されています。
 そのような中で、日本は経済の発展に伴い食料輸入が増加するとともに、とうとう食料自給率は40%を割ってしまい、なかなか増加に転じそうでもありません。
 顧みて本県はというと、経済発展は少し残念ながらおくれましたけれども、そのかわり果樹を中心とした農業生産基盤というすばらしいものが残されています。特に、紀中・紀南地方では農業が地域経済に大きな役割を果たしています。しかし、今、その農業が農産物価格の低迷による農業経営の圧迫などにより、担い手の減少、高齢化、それに伴う耕作放棄地の増加など、疲弊してきています。
 農業振興の基本は、皆さん、再生産できる農業経営が成り立つ農家を育てることにあります。意欲がわく農業を保障すれば担い手育成につながります。田辺地域にも、50歳代の人で農業に意欲のある人も多く、ふえてきております。今、県が進めている新規就農支援を一歩進めて、そのような人たちを集団化し農業経営に携わらせば、担い手の育成と遊休農地の解消につながるのではないでしょうか。
 さらに、以前から私は提唱してるんですが、和歌山は資源の宝庫であり、農産物の宝庫であります。生産物に付加価値をつける新たな加工商品、加工品開発など食品加工業との連携も農業振興に重要であると考えます。食品産業との連携の中では、単に加工品開発にとどまらず、本県においては水も豊富にあるので、それを利用する食品加工産業などの立地により、地産地消や安全・安心といった消費者ニーズの観点、雇用創出による地域活性化の面やコスト面、環境面から考えても、地域でとれた農産物をその地域で加工することが必要であると考えます。このことは、企業にとっても、環境に貢献する産業としての企業ブランドの高まりに貢献するというメリットがあると考えます。食品産業の企業誘致も視野に入れた対策も考えていっていただきたいと思いますが、そこで知事にお尋ねします。
 来年度の新政策の中で、農業振興において、どのようなことに重点を置いて、具体的に何をするのかお伺いしたいと思います。
 次に、紀州林業の復権について知事にお尋ねします。
 豊富な森林資源を抱える和歌山県は、これを守り生かすことで環境立県を目指すべきだと考えております。しかしながら、昭和35年の丸太輸入の完全自由化に始まり、その後も安価な外材製品の流入によって国産材自給率が2割に落ち込むなど極度の林業不振が続き、戦後の拡大造林による広大な人工林は、手入れが滞って森林荒廃という結果をもたらしています。今こそ、森林を適切に管理、保全して、環境保全機能を発揮させながら国産材の利用を増加させ、地方の活性化を担う産業として林業を再生させることが最もこの紀中・紀南には必要ではないかと考えます。
 特に紀中・紀南は、県内森林面積の黄色の部分では88.7%という大幅な資源を有しており、林業が基幹産業の1つであるべき地域であります。また、この地方では、独自の特用林産物、シイタケとかいろんな分野での特用林産物があります。森を守る山村住民の貴重な収入源となっており、地産地消を推進する意義もあると思います。
 こうした認識のもと、和歌山県として森林の整備と林業の再生をどのように進めていくのか。知事は、平成20年度新政策の中で示している紀州林業の復権について、具体的にどういう政策で実現しようとするのでしょうか。
 特に、本県の森林所有規模を見てみると、1つの壁になってるのは、5ヘクタール未満の小規模の林家が全体の71%を占めており、森林事業が進まない要因となっています。この方々の森林整備も推進するための施策が今必要ではないでしょうか。
 こういう状況を踏まえ、今までの計画を見直して、平成20年度以降のアクションプログラムを作成する必要があるのではないか。その際、林業関係者の意見も聞きながら、単に木材生産のみでなく、木材の加工や販売をセットにしたアクションプログラムを作成する必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 また、林業の再生を図る上でも、環境立県を目指す上でも、私は以前から木質バイオマスのエネルギー利用は重要だというふうに訴えてまいりました。県は、平成16年5月に、木質バイオマスエネルギー利用調査報告書を出しました。どのように利用推進に結びつけていくのでしょうか。
 現在、低炭素化、脱化石燃料化の国際的な動きが加速化している中で、木質バイオマスなど自然エネルギーの利用推進に向けて大きなチャンスとなっています。今こそ、和歌山県の木材資源を生かすチャンスがめぐっております。そのことが森林整備についてもつながっていくのではないでしょうか。木質バイオマスのエネルギー利用推進について、知事のお考えをお尋ねします。
 次に、観光振興と県観光連盟についてお尋ねします。
 3つの柱である農業、林業、もちろん水産、これの観光についてでありますが、観光は、地域の農業、林業、漁業の体験、地域の自然、歴史への参加、地域に住む人たちとの交流といった体験型観光へと進んでいます。観光振興は、地域資源を生かし、農林水産業など地域の産業を創出することで、そこに住む人たちの仕事と生活を守っていくこと、また交流人口をふやすことで地域の活力を高めることにあります。
 私は、地域産業振興と観光振興は一体のものとして進めなくてはいけないと考えます。観光振興だけをうたっても、地域が高齢化し、そこに訪れた人たちを迎える人がないような寂れた農山村地域では、なかなか、観光振興をうたっても、それの受け皿が、地域が崩壊している中ではいかない。ここに、私は、地域産業振興と観光振興というのは一体のものとして考えながら観光振興を進めるべきではないか、特に県観光アクションプログラムは地域産業振興なしには実現しないと考えますが、いかがでしょうか。
 また、県行政において、地域振興のその部門、セクションと観光部門のセクションとに分かれて事業活動を行っています。市町村や地域の観光関係団体等は、県のセクションがそんなに違っていても受け皿としては同じ体制で対応しています。私は、県行政として、地域振興と観光振興を一体化することで事業内容も充実するし、予算においても効率性を高めると思いますが、いかがでしょうか。
 次に、県行政と県観光連盟のあり方についてお尋ねします。
 県観光連盟の見直しについて、私の考えを提起したいと思います。
 県観光連盟そのものは、私は思うんですが、市町村の観光協会や観光関係者などで構成する組織として見直してはどうかということであります。行政と切り離して考える必要があるんではないか。現状は、県観光連盟は役員も予算も県行政丸抱えの組織になっています。私は、観光振興と地域振興が一体という考え方から言うならば、観光振興プランについては、関係する観光団体の意見を聞きながら県行政と市町村行政と連携した、そういう主体的な組織として切り離していくべきだというふうに考えています。
 こういう立場から、県観光連盟の組織のあり方について、一度見直してはいかがかということについて御提起申し上げたいと思います。
 次に、環境立県和歌山を基本理念にした政策づくりと組織体制についての質問であります。
 県の和歌山県地球温暖化対策地域推進計画によりますと、平成22年度を目標年度に、平成2年度と比較して和歌山県内における温室効果ガス排出量を3.9%削減するとともに、森林の吸収量の最大6.7%の確保をそれぞれ目指し、削減目標と最大吸収量を合わせ最大10.6%の削減を目指す、そのために排出削減に向けた取り組みを推進するとして、省エネルギー活動の推進や資源の循環利用の推進、建築物のグリーン化などを行うとともに、二酸化炭素の吸収源対策の推進として、森林の管理整備を推進するほか、二酸化炭素の貯蔵庫である木材や木材加工品の使用を推進するとしているほか、自然エネルギーの普及を図るとしています。
 ところが、現実はどうでしょうか。先ほど国が発表しました日本の平成18年度の温室効果ガスの排出量は13億4100万トンとなり、6%の削減どころか、京都議定書の基準年度と比較しても6.4%の増加となり、京都議定書の約束の達成すら厳しい状況になっています。
 私は、EU諸国が目指している2016年になると、何百万人という人間にさまざまな気候リスクが及ぶと心配されている中で、産業革命以前と比べて2016年には摂氏2度を突破するんではないかという、その確率が50%を超える事態になると予測されています。そのためEUでは、気温上昇を摂氏2度以下に抑制する長期政策目標を掲げるなど、各国の政治家や科学者が気候ターゲットを摂氏2度に設定してさまざまな活動を行っています。
 2016年というと、皆さん、ことしは2007年ですから、私たちに残されてる時間はあと10年もありません。世界各国が空前絶後の政策転換を行わないと間に合わない時期が差し迫っています。そういう中で、9月3日からバリ島で行われたいわゆる会議でも、世界の皆さんが論議して、2020年までには1990年より25から20%削減しよう、2050年までは50%削減しようということの計画も今議論されているところです。それだけに、大変な状況にあるということを私たちに示してるんではないか。
 和歌山県として、今のままの施策の実施だけで目標は達成できるのでしょうか。来年は新長期総合計画の初年度になりますが、私は、環境を最大優先課題とし、環境立県和歌山を基本理念として政策を実施していくべきだと考えますが、いかがでしょうか。知事の見解をお願いします。
 例えば、公立学校を初め公共施設には太陽光発電を設置することや、雨水を利用した水の環境を図るとか、壁面緑化を行うとか、施設の内装を木質化するとか、和歌山の自然環境を生かした太陽光、木質バイオマス、花卉からのバイオ、風力など自然エネルギー政策を着実に実行していくなど、一歩踏み込んだ施策を行っていくべきであり、政策立案は環境をどう生かすかという議論で実行することが大切ではないでしょうか。
 次に、環境立県和歌山を目指す指導的組織であります。
 県の政策を実施する上で環境を基本に据えたものにするためには、現状は、各部がばらばらに責任を持って施策を実施している中では環境を基本にした施策として進みにくいというふうに私は考えております。そこで、環境保全をベースとした地域振興施策を推進するためには強力なリーダーシップが必要であり、知事直属で各部局をコントロールする指導的な組織、環境官房とも言うべきもの、つまり環境立県和歌山を目指す指導的組織が必要だと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、環境政策に関連して、紀の国きらら債について総務部長にお尋ねします。
 私は、平成14年12月議会において県民参加型公募債の発行を提案し、県は平成15年度から住民参加型市場公募債「紀の国きらら債」として発行、主に県立学校の大規模改造や耐震化に、橋の耐震化、県庁舎及び振興局の耐震化等の事業に充当しています。
 私は、今回このことについて取り上げたのは、紀の国きらら債が真に県民が参加しているというテーマのきらら債になっているかどうかという問題であります。15年から18年の発行はすべて金融機関に丸投げで、現実的に県民が直接参加する形になっていないからです。今回、私は、環境をテーマにした環境対策建設事業債に主に特化した、県民への啓発を含めた県民参加の紀の国きらら債の発行を提起したいと思います。
 今、世界的にもエコファンドの投資が大きくクローズアップされています。個人投資家は、CO2削減に自分のお金が役立っているという手ごたえと実感を感じたいという状況が生まれている中での世界的な投資ファンドがどんどん伸びているということであります。
 私は、今回のテーマ、環境立県和歌山を提案する中で、省エネの公共建設を初め環境を目指す事業にきらら債が住民参加とその投資を県民が実感できるものとしていくことを提示しますが、いかがでしょうか、お尋ねします。
 最後になりますが、私は県議会において、選んでいただきました平成11年から一貫して、梅生産農家の立場に立った梅の生育不良に関する問題や梅の消費拡大、梅生産の環境改善について訴えてまいりました。今回、仁坂知事1年目にして初めて梅の生育不良の現状と原因究明について御質問申し上げたいと思います。
 梅の生育不良の新規発症は、平成18年3209本、平成19年2703本と、依然として、少ないですけども発症はしています。その原因究明は、県行政は、うめ研究所を中心に、梅の生理、生態を初めとして梅の新品種づくりも含めて研究されております。問題提起して既に10年を経過していますが、いまだに原因が解明されていません。
 私たちは、田辺市、JA、生産農家でもって田辺うめ対策協議会を組織して、独自の調査研究を進めてきましたし、今進めています。土壌、水不足、ならせ過ぎ等、うめ研究所を含め調査しても、その原因はつかめていません。
 私たちは、大気環境が主たる要因として研究テーマを絞り、研究をしてきました。中間総括は、大気と山桜の立ち枯れの要因、火力発電所から排出されるばいじんによる暴露試験による山桜の立ち枯れの要因を研究する中で、大気の化学物質、ばいじんが立ち枯れの1つの要因ではないかという研究結果が発表されています。
 私たちは、生産農家の梅生育不良の原因究明の運動は、もう10年を超えます。梅の立ち枯れは、昭和59年、御坊火力発電所が稼働し、昭和61年ごろから発症が見え始め、平成3年5120本、平成8年から平成12年は毎年1万2000本から1万8000本と大変な数の立ち枯れが起こり、農家によっては園地が全滅するという事態が発生しました。平成19年まで、累計すると12万8683本という立ち枯れであります。
 今、私たち生産農家は、この原因究明の中で、梅の立ち枯れは地球温暖化への警告ではなかったのかと感じ始めました。日本の電力需要にこたえて全国に設置される火力発電所は毎年増設され、そこから排出される二酸化炭素を初め化学物質は、大気汚染と地球温暖化に与える二酸化炭素排出量の全体の40%を占めるに至っています。電力事業者へのこの二酸化炭素排出規制はタブー化していましたが、2005年2月、京都議定書が発効されて、政府は地球温暖化対策推進法に基づき、やっと電力事業者にも二酸化炭素排出量に規制がかかりました。1999年度実績から2010年まで20%程度を低減させるよう指導しています。
 地球温暖化防止には、まず低炭素化、脱化石燃料で、依存はやめることが最大テーマになっています。ICPP(気候変動に関する政府間パネル)報告の中でも、二酸化炭素排出によって一番最初に生物態系の中で影響を受けるのは森林であり、植物であることを提起しています。
 電力業者は、二酸化炭素を低減させるため、東京電力では石炭火力発電所に低減装置を開発し、テスト試行に入りました。関西電力は、舞鶴発電所1号機に木質ペレット混焼の石炭火力バイオマス発電を2008年から本格始動されます。CO2排出量は、これによって9万2000トン削減できるとしています。
 私は、この中で、木質ペレットは年間6万トン、これにより今言いましたCO2の削減が9万2000トン削減できると、こういうふうに言ってます。ちなみに、木質ペレットは、調達はカナダかららしいんですが。一方、四国電力は、愛媛県西条発電所は1、2号機は2005年から既に木質ペレット発電所として稼働しており、木質ペレットは年間1万5000トン。ペレットは四国で調達。そのほか、北陸電力、中国電力、J-POWER──電源開発ですが──実証試験を終え、本格運転へ入ろうとしてます。
 このように、火力発電所は、少なくとも今までも、今も大気汚染に大きな影響を与えています。平成6年から梅の立ち枯れと火力発電所の因果関係は、具体的な原因究明はいまだにできていなくても、二酸化炭素等化学物質が地球温暖化を初め、しかも最初に影響を受けるのは森林植物であることは、世界の科学者が認めるに至ってきたことであります。これは、地球の将来をよくする科学者の良識であります。
 そこで、まず知事に御質問申し上げます。
 1つは、梅生育不良と大気との因果関係についてどうとらまえていますか。
 2つ目は、梅生育不良という梅に限定しなくても、地球温暖化による農作物への影響について、県が昭和55年度から昭和62年まで調査した農作物への大気環境保全対策試験を基本に、大局的見地から調査を再び再開することを求めますが、いかがでしょうか。
 3つ目は、御坊火力発電所が稼働してから3号機に脱硫装置、1、2号機に脱硝装置を設置し、化学物質排出を低減してきたことから、梅の立ち枯れも少しずつ減少しています。しかし、平成18年度は福井原発停止の影響で稼働率も高く、その後の影響が心配されています。私は、脱硫装置をつけた3号機を主体にした稼働計画を提唱して、18年、19年を見ますと、その方向が数字で示されていることについては大変感謝していることでありますが、そこで私は、関西電力に対し、御坊火力発電所の1号機、2号機を木質ペレット、木質バイオマス発電のモデルテストとして計画することを、知事、申し入れることを要望しますが、いかがでしょうか。
 最後に、梅産業の果たしている役割は大変大きい。地域産業複合体として600億から700億円を生み出しているというふうに言われています。県内産業を中心に、産業の事業所を中心にお金が県内で循環しているという唯一の梅産業であり、大きな役割を果たしています。
 知事就任1年目、梅の立ち枯れの現状を初め、梅産業が今抱えている課題を含めて、現地踏査と梅生産農家、JA関係者との懇談会を持って実態把握することを要望しますが、いかがでしょうか。
 以上で、私の第1回の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、平成20年度新政策の農業振興についてでございますけれども、農業分野では、農産物の販売促進、農業王国和歌山の創造の2項目を重点としております。
 御承知のように、本県の農業は多くの種類の農産物がありまして、特に果樹生産については議員御指摘のように全国1、2を争うなど農業王国であり、中でも紀中・紀南地域は、ミカン、梅を初め農業が地域経済を支える重要な産業となっております。しかしながら、農産物価格の低迷等により、農業所得の減少、あるいは担い手の高齢化、耕作放棄地の増加といった厳しい状況に置かれていることも、また事実であります。
 こうした状況を打開するため、新政策では、特に農産物の販売促進に力を入れ、収益性の高い農業を実現することにより担い手の確保も図ってまいりたいと考えております。
 まず、農産物の販売促進については、新政策を待たず、既に私の就任以来、農産物販売促進アクションプログラムをつくりまして、全国の大消費地でのトップセールスや輸出を含めた新たな販路開拓、食品加工と連携した新たな商品開発に取り組んでおりまして、その成果はその都度発表さしていただいているところでございます。
 また、御指摘の食品加工についての企業の誘致についても既に取り組んでいるところでございますが、新しい年度においても特に重点的にやっていきたいと考えております。
 さらに、農業王国和歌山の創造という点については、担い手の確保と農地の有効利用に視点を置き、JAの選果場を中心とした農業法人化に向けた取り組みや農地流動化を通じた遊休農地解消対策、園内道を組み合わせた優良農地づくりに取り組んでまいりたいと考えています。
 こうした攻めの農政に向けた施策の展開によりまして、和歌山県の農業王国の地位を確固たるものにしてまいりたいと考えております。
 次に、林業でございます。
 紀州林業の復権というお言葉がございましたけれども、本県では、現在まで育成してきた人工林は10年後には伐採利用可能な面積が倍増するとともに、近年、国産材の需要も高まりつつあり、また森林の環境保全に果たす役割に対する期待も高まっております。これらを好機ととらえ、低コスト林業の推進と紀州材の販路拡大を施策の2つの柱とし、豊富な森林資源の有効活用を図り林業・木材産業の再生に取り組むとともに、これにより健全な森林づくりを進めてまいりたいと考えております。
 このため、小規模な所有者も参画できるよう森林の団地化を図りながら、作業道整備や高性能機械の利用により低コストな素材の増産を行うとともに、大消費地を見据えた加工体制を整備し、紀州材の新たな販路開拓を積極的に展開することにしておりまして、現在、林業関係者等の意見を聞いているところでございます。
 また、木質バイオマスにつきましては、二酸化炭素の排出削減や木材のトータルの利用の観点から大変有効な政策であると考えておりまして、現在、その可能性を、これまたずうっと探っているところでございます。木材の増産に取り組みながら、そのエネルギー利用についても進めてまいりたいと考えております。
 次に、観光振興と他の産業との関係でございますが、議員御指摘のように、両方が密接な関係を持って補完するものであるというようなことについては、私も同感をいたします。観光は実に懐の深い産業でありまして、農林水産業の一次産業から、あるいはサービス業の三次産業、もちろん加工品の二次産業まで深く関連しております。また、今日、体験観光や、あるいは最近の言葉で言うと産業観光が脚光を浴びるなど、あらゆるものが観光資源となり得る時代となっております。
 こういった観点から、国においても観光立国推進基本法が制定されるなど、観光における活力ある地域づくりが叫ばれているところでございます。県におきましても、本年4月から商工労働部の部の名称を商工観光労働部といたしまして、観光振興による元気な和歌山を目指して取り組むという姿勢を一層鮮明にしたところでございます。
 いずれにいたしましても、紀中・紀南の活性化につきましては、本県の強みである農林水産業や、あるいは地場産業などの連携を強化し、観光を柱とした地域産業のいわばスパイラル的発展につなげてまいりたいと考えております。
 次に、環境理念を基本とした政策を実施するようにというような点でございます。
 地球温暖化対策につきましては、昨年3月に和歌山県地球温暖化対策地域推進計画を策定するとともに、本年3月には和歌山県地球温暖化対策条例を皆さんの御議決によりまして制定し、9月から実施をし、さまざまな分野において環境に配意した施策を実施することとしております。これらを着実に実行することが肝要であると考えております。
 さらに、現在策定中の新長期総合計画におきましても、環境先進県として、行政のみならず、あらゆる主体が地球温暖化対策や資源等の循環的利用などに積極的に取り組んでいくということにしていきたいと思っております。
 今後の施策の実施に当たっては、議員御提案の趣旨を踏まえまして、常に環境に着目しながら進めてまいりたいと考えております。
 次に、環境立県和歌山を目指す指導的組織としての御質問でございますけれども、環境問題は各部局にまたがる横断的な対応が必要であります。
 これまでも関係部局の連携を密にし、県政全体で取り組んでまいったところでございますけれども、地球温暖化対策が喫緊の課題となっている昨今の状況にかんがみれば、今まで以上に関係部局の連携を強化するとともに、環境により一層着目した施策を推進できるようにしていく必要があると思います。そのため、私がリーダーシップをとり県政を推進し、県庁内の各組織が縦割りの弊害が出ないように環境先進県和歌山を実施してまいりたいと考えております。
 次に、梅についてでございます。
 梅は、紀南地域の基幹産業であり、その振興は本県にとって大変重要であると認識してございます。
 梅の生育不良につきましては、発生当初より実態把握に努めるとともに、原因究明に向けた研究体制の強化を県としては行ってきたところであると承知しております。
 平成9年に立ち上げた和歌山県うめ対策研究会や、地元JAを中心とした梅生育障害対策研究会において、生育不良は、栽培要因、気象要因、土壌要因などが複合的に絡み合って引き起こされたものとの報告がなされているところでございます。
 こうした中で、県では、大気環境調査を初め、平成16年に新たに設置したうめ研究所を中心に、樹勢低下の再現試験や樹体の養水分管理方法の検討、また改植と土づくりによる現地総合実証園の設置など、生育不良の原因究明と対策の確立に取り組んでいるところでございます。
 地球温暖化の影響につきましては、国連の気象変動に関する政府間パネル報告書が発表され、農業についても産地の北上等の影響が出ると言われてございます。そうした中、本県の基幹作物である果樹が永年生作物で気象変動の影響を最も受けやすいということもあり、農業生産のベースとなる気象や土壌といった生産環境をもう一度とらえ直していくことが重要であると考えてございます。
 これまで、県では、常時測定局を県下41カ所に設置し、大気環境調査を行っており、また、農耕地土壌の実態調査につきましても県下各地で実施してございますけれども、今後、温暖化対策について、国や大学の試験研究との連携を一層密にしデータの充実を図るなど、調査研究を進めてまいりたいと考えております。
 また、農家の方々との懇談につきましては、私は、できるだけ時間を見つけて県内各地を訪れ、農家の方々の声を直接聞いている、農家の代表の方々の声をできるだけ聞くようにしているということでございます。今後もこういう姿勢を貫いて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 さらに、木質バイオマス発電についてでございますけれども、自然エネルギーの利用の観点から重要と考えてございます。採算性や技術的な面の課題もございますので、議員お話しの趣旨につきまして、もう一度頭に置いて十分に努力をしてまいりたいと考えております。
○議長(中村裕一君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 議員御指摘の社団法人和歌山県観光連盟につきましては、現行、県、市町村、市町村観光協会並びに観光関連事業者により構成されており、各構成員が連携と協働の精神でプロモーション活動などの観光振興に取り組んでいる組織となってございます。また、市町村から職員の派遣を得て、地域と密着した観光振興に取り組む体制を整えてございます。
 県では、本年7月、関係者が一体となって取り組むための指針である観光振興アクションプログラムを策定し、また、民間ノウハウの導入を図るため、観光産業プロジェクトマネジャーを配置しているところでございます。
 今後とも、地域の特性を十分生かした効果的な、効率的な観光振興が推進できるような県観光連盟のあり方について真摯に考えてまいります。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 総務部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○総務部長(小濱孝夫君) 紀の国きらら債の発行についてお答えいたします。
 議員お話しのとおり、和歌山県におきましては、資金調達の多様化や県民の県政参加の促進といった観点などから、平成15年度から「紀の国きらら債」の名称により住民型市場公募債を発行してまいりました。その対象事業といたしましては、県民の県政参加の促進という趣旨から、県民の関心が高く当県の喫緊の課題である、県立学校の耐震化工事や防災センター建設などの東南海・南海地震に向けた防災関連事業や、水産試験場や警察署の整備といった県民に身近な施設の整備を対象としております。
 紀の国きらら債は、公募債という形態で発行し、広く県民に購入していただくことを想定しております。10億から30億円程度の発行規模を確保したいと考えておりますので、特定の分野のみに対象を絞り込むことは難しいものがありますが、環境は重要な分野であり、今後の発行に際しては対象事業について十分に検討を行い、県民の県政参加意識が一層高まるようなものになるようにしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 35番原 日出夫君。
○原 日出夫君 御答弁ありがとうございます。
 一次産業を中心に話さしてもらいましたし、それで、私は農林水産委員でもありますので、細かいことについての具体的な問題は委員会でやらしていただくということで、この本会議では、基本的な問題について要望にかえさしていただきます。
 1つは、私はなぜ21世紀は第一次産業の時代かと言うのは、それだけに私たちが、今まで工業中心の時代から、少なくとも地球温暖化を迎えるこの時代には改めて和歌山県のよさがクローズアップされると、それに私は確信を持ちたい。限界集落や、10月に綾部で行いましたいわゆる水源の里シンポジウムを見ましても、私たちはそういう条件の中の参加者の状態を──この間、きのうもテレビも見たんですが、BSでやってました。その調査をずっと見ますと、私たちは、その限界集落や非常に問題の抱えてるところよりも、よりすぐれた農林水産の立地条件があり、恵まれた環境にあると。我々の努力次第では、これは必ず切り開けるし、そういう時代が必ず来ると、近い将来。そういうふうに私は考えた上で、和歌山県の特に紀南・紀中のこの現況を、本当に行政が手を差し伸べ、その地域の人たちのやる気が起これば必ず切り開けるんではないかということをお訴えしたかったわけで、資料をつけて御質問さしていただきました。
 次に、林業について。まあ農業もしかりですけど、今、3日から行われましたインドネシアのバリ島での会議の中で、改めてまた──ここには大量に日本は輸入してますけど、そういう輸入する飛行機や船、その他に対して、量に合わして税金をかけるという方向に今議論されています。これは、かなりインパクトのある状況だと。私たち日本が食料自給率40%を切って、すべての食料が輸入されている中での、これを考えさせる大きなインパクトではないか。
 しかも、林業に至っては8対2の割合です。輸入が8割。自然木を切ったり外国の木を切って二酸化炭素をふやし、輸送によってさらにプラス二酸化炭素をふやして日本に持ってくる。もし日本に木がなければ別ですけども、日本に大量の国内林業が、この5年から10年すれば輸出できるぐらいの量になってくるわけですから、そういう意味では二重の誤りを犯してるんではないか。日本の国の林業政策については二重の誤りを犯してると。
 これを克服しない限りだめなんじゃないかということを、私は、県自身も国に対して食料自給率の問題──森林・林業を和歌山県が活性化する上では、8対2の割合を少なくとも6対4にするならば林業は活性化する。そういう、WTOにかかわらず、国の政策が食料や農業や林業に対して目を向けることが過疎化する地域活性に大きくつながっていくんではないかということを根本に据えながら、そのことを要望したいと、県のほうも国に対して物を言ってほしいということを要望したい。
 次に県と県観光連盟ですが、観光行政について、予算を見ましても、企画部で上げられてる地域振興政策と観光部門で上げられる観光政策がほとんどダブっている。世界遺産の問題、熊野古道の問題、地域観光を振興していくという問題、それで地域地場産業を振興していく、そういう部分では少し一体化したら、政策的に統一すれば、もっと効率のある、予算ももう少し考えたものになっていくんではないかと、常々現場でおりながら感じているところで、そのことを要望しました。
 組織について、県観光連盟ですが、県から一般会計2億5000万、南紀白浜空港利用促進に1200万、世界遺産関係では約1800万円の特別会計として別に出してると。こういう部分を見ますと、私は、少しこの昔からの古い観光がそのままずうっと延ばされてきてるんではないかと。だから、思い切り観光行政は、県が主体的にさっきの地域振興とあわせて持ちながら、観光連盟というのは社団法人ですから、社団法人としての役割を果たしていくと。県行政丸抱えの外郭団体としてでは組織的におかしいんじゃないかと。このことについて私は常々考えています。思いました。そのことについても、行財政改革という立場で一度見直してはどうかというふうに要望しておきたいと思います。
 最後に、梅の生育不良に対してですが、私たちは、ばいじん暴露試験は田辺うめ対策協議会で広島大学に研究を依頼して、一定の研究成果が報告されている段階に来ています。県のうめ研究所はこの研究報告を研究テーマに組み入れ検証することを、1つは強く要望したいというふうに思います。
 次に、答弁にあった梅生育不良は、県研究会のまとめた栽培要因、気象要因、土壌要因などが複合的に絡み合って引き起こされたものとの報告は、何の要因、科学的にどうということもないまま、わからないまま幕引きしたというふうに私たちは考えています。私が質問したように、火力発電所の大気への与える影響、最初に影響を受ける森林・植物、昭和59年の建設から、昭和61年ごろから急激に山桜が一斉に枯れ始め、同じサクラ科である梅の立ち枯れが起こったということは事実であります。
 私は、梅の立ち枯れは地球温暖化への警告と言ったのは、昭和59年の、私たちの人間活動に伴う大気の温室効果ガスであった実態から、新たな火力発電所の建設によって大気中への与えた影響が大きく、生態系に、とりわけ弱いサクラ科や梅に影響したのではないかというふうに考えているわけであります。県研究会の関係する学者の考え方やそのまとめは全く抽象的、観念的なものに終わったのではないか。体制内の学者範囲であったことを私はつくづく教えられました。
 このような学者間の考えは、今、地球温暖化は何によってもたらされてるかとの議論と経過を勉強してみますと、いみじくも同じような状況にあると思います。
 地球温暖化の原因は、人間活動に伴う温室効果ガスの大気中への大量放出がもたらしたものと断定するのに、世界の科学者はかんかんがくがくの中、17年かけてその結論に達したわけであります。ICPPの気候変動に関する政府間パネル、1990年の第1次報告書から2007年の第4次報告書でもって初めて、地球システムの温暖化は疑う余地がない、20世紀半ば以降に観測された世界気温の上昇のほとんどは人為起源、いわゆる人間活動によるものだと、温室効果の増加が温暖化の原因であった可能性が高いと断言したのです。これに対して17年かかってる。
 このような結論が出ても、いまだに人間活動によるものでなく、あくまでも地球の自然現象を唱える学者がいるのも事実ですが、時の世には企業御用学者が、いつもこういうのはおるものです。
 私たち梅生産農家と田辺うめ対策協議会は、10数年かけてあらゆる角度から解明するため実証研究を重ねてきた中での火力発電と梅の生育量の相関関係は否定できないものであり、世界的にも火力発電所は、地球温暖化を進行させ人類にとっても多くの生物に影響を与えるとして、火力発電所の規制を初めCO2削減の設備なしには許可しない動向が今生まれていることを私たちは見詰めてみる必要があるんではないかと思います。
 少し、まだちょっと時間あるんですが。──私はなぜこれ力説するか。アメリカのいわゆる石炭火力発電所が─アメリカでさえですよ。ヒューストン市長、民主党ですけど、テキサス州内の16件の石炭火力発電所新設計画に反対するため、州内の他都市の市長が全部共同でこの建設に対して反対していく決議をしました。それで、もしするのであれば、汚染防止、いわゆる温室効果ガスを最小限に食いとめるべき設備を投入しない限り認めないという方向に、今、世界の動きはそうなってきてる。
 そういう意味では、私たちは10数年かけてその原因解明について、大気といわゆる梅立ち枯れとの関係を、いつまでもこそくに考えないで、県当局もその観点で研究する時期に、もう世界的にそういうことを認められてる中で、やるべきではないかというふうに私は考えますので、その点も十分調査をしていくということですから、そういう観点も据えながら、繰り返しますが、ばいじん暴露の問題についても、うめ研究所で1つの研究テーマとして取り上げていただくことを要望して、質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
○議長(中村裕一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時44分休憩
────────────────────
  午後1時2分再開
○副議長(新島 雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 25番多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕(拍手)
○多田純一君 皆さん、こんにちは。
 午前中は諸先輩の熱い思いを聞かしていただきましたので、私は、教育問題と、それから若者の雇用を中心に一般質問さしていただきたいと思います。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、1問目の新長期総合計画と平成20年度予算編成の方針についてお伺いしたいと思います。
 現行の長期総合計画は、西口勇知事の時代に「わかやま21世紀計画」として策定され、「ゆとりと充実 輝く和歌山新時代」を基本目標に置き、平成9年度を初年度とし、平成22年度を目標年度として策定されたものです。人口や経済の枠組み、それぞれの分野の主要な項目の数値目標や基本方向及び達成へ向けて重点的、戦略的に展開する構想を示しておられます。
 先日、新長期総合計画の素案をいただきました。現在の長期総合計画策定から10年が経過したとして、このたびの総合計画策定となっています。そして、本計画の期間は2008年(平成20年)度から2017年(平成29年)度までの10年間としています。前回は審議会への諮問と答申というやり方をしていましたが、今回は審議会体制をつくらず策定本部体制主導で、知事みずから本部長として陣頭指揮をとられていることや、前回は2年の歳月をかけたものでしたが、今回はわずか半年でつくり上げていく計画となっております。策定本部長としての知事の思いがこの計画には大きく反映されているものと思われます。
 しかし、10年計画だけでは、今の時代、長過ぎると思われます。知事の任期も、早いもので、あと3年ほどしかありません。総合計画とは別に、知事としての3年間の実施計画を県民にお示しする必要があろうかと思いますが、この点についての御見解を知事にお伺いします。
 このたびの長期計画の将来像を、「未来に羽ばたく愛着ある郷土 元気な和歌山」にされております。そして、その将来像を6つあらわしています。この6つは、平成20年度の予算方針の中で、新政策として20項目になっています。この事業については積極的に要求を受け付けるとまでしています。この項目のすべてをお聞きすることは避けますが、教育という観点でお聞きをしたいと思います。
 1番目に、「未来を拓くひたむきな人間力の育成」とされています。そして、初等・中等における和歌山モデルの確立ということになっております。知事がお考えになるところの和歌山モデルについて、その御見解をお聞かせください。
 大きな2点目といたしまして、教育は子供の幸せを最優先に考えるべきです。教育を取り巻く状況が大きく変化する中、国におきましては、教育基本法が改正されるとともに、学校教育法、地方教育行政の組織及び運営に関する法律、教育職員免許法、教育公務員特例法が改正され、平成20年4月より順次施行されます。そして、学校教育の目標と重点、学力の定義、学校の組織運営、教員免許更新制や人事管理の強化、教育委員会の体制の刷新、責任の明確化など、改革の方向と内容が具体的に示されています。
 また、中央教育審議会の中間報告が先日発表になり、新指導要領が明らかになってまいりました。このたびの指導要領は、平成21年から試行的に、そして24年には完全実施をうたっております。
 戦後、幾度となく指導要領の改訂は行われてきました。平成10年の第6次改訂が平成14年に実施されました。そのときの基本方針が、「ゆとりの中で生きる力をはぐくむ」というものでございました。そして、教育内容の精選、3割削減、総合的な学習の時間が新設され、中学校、高校の必修クラブ活動は廃止され、中学校の外国語、英語を必修としました。ゆとり教育そのものは、高度成長期の高学歴社会と詰め込み教育の反省から、昭和52年の指導要領の改訂の際に「ゆとりと充実」としてうたわれてきたものです。今の長期計画の目指す方向も、ゆとりと充実ということでございます。世の中が、高度成長期の後、余暇やゆとりを求めていた、そういう時代でした。
 それが、昭和52年から30年を経て、要するにゆとりがなくなってきた。教育先進国と自負していたのに、経済協力開発機構(OECD)加盟の地域を対象にした学習到達度調査(PISA)の結果や国内のいろんな調査結果の裏づけから、日本の子供たちの課題が鮮明になってきたものだと思われます。このままでは日本の教育が深刻な事態になりかねないとの危機感を抱いたのか、このたびの改訂に踏み切ったようです。
 そして、中央審議会は、異例とも言えるゆとり教育の反省をしています。5つの反省として、生きる力について、文部科学省と学校関係者、保護者、社会の間に十分な共通理解がなかった、子供の自主性を尊重する余り指導をちゅうちょする教師がふえた、総合学習は各学校で十分理解されていなかった、必修教科の授業が減少した、家庭や地域の教育力の低下への対応が十分でなかったとしています。
 教育現場関係者の責任や理解不足とされても、本当の反省になっていないような気がいたします。これまでその指導要領に沿って教えられてきた子供たちに対してどうしていくのでしょうか。反省に立って補習でも考えていくのでしょうか。地方ごとに全国の説明会を20年ぶりに開催するとしていますので、ぜひこの点についても確認をしてほしいものです。
 改訂されると、授業時間は30年ぶりに増加します。小学校の授業時間は6年間で現行より278時間ふえ5645時間、中学校では3年間で105時間ふえ3045時間となります。総合学習の時間も週1~2時間削減、その分、国語、算数、数学など主要教科と体育をふやすことになります。中学校体育では武道が選択から必修となり、施設面の整備だけでなく教師の人事配置にも大きく影響してまいります。
 また、組織再編という意味では、改正学校教育法の中で新たな学校組織運営が改正されました。校長、教頭、一般教諭のフラット型から、校長、副校長、主幹、指導教諭、一般教諭のピラミッド型と改編されるとのことです。階層をふやしてそれぞれの責務や負担をふやすだけでは効果は期待できません。
 「『ダメな教師』の見分け方」などという本も出版され、「『先生選び』が教育を変える」、「教師を格付けする方法」などとも書かれています。本当にそうでしょうか。教師という仕事を選んだ限り、だれでも児童や生徒と向き合うことや教えることの覚悟を持って臨んでいる、そう思います。その上で、教育改革の柱は校長や教頭だけでなく、子供と一番接している担任の教師が一番大事だし、その教師を中心に据えて子供の幸せを最優先にして考えていくべきだと思います。
 以下、教育長にお伺いします。
 ゆとり教育の見直しと新指導要領についての御見解、新たな学校組織運営への対応について、また、教科ごとの見直しをした場合、主要教科だけでなく、体育、武道の担当も含め現在の教員体制で臨めるのか、施設や教材、設備面の計画や準備はどのようになさるのか、お答えください。
 先日の全国一斉の学力テストの結果を踏まえ、幾つか質問をしたいと思います。
 県が独自で行ってる学力診断テストと全国一斉の学力テストとの違い。全国的な調査の結果として、読書や復習をする時間で知識の習得に差が見られるとされております。その点での傾向。この結果を踏まえ、学校や担当の教師、そして教育委員会として今後の生かし方、課題の見られる学校への支援策等、お示しください。
 11月は、きのくに学びの月間となっております。この学校開放期間を利用して、県内の小中学校を訪問してまいりました。校長先生の忌憚のない意見をお聞きできましたし、授業中の児童生徒の様子なども拝見できました。問題行動を起こすような生徒も見かけましたが、一時期に比べると落ちついてきているのかなという印象を私なりに持ちました。
 県が今年度から実施しています問題行動対策サポート事業は、ほとんどのところで効果を発揮しているようです。担当していただいている方の経験は得がたいものがあり、落ちつきを取り戻してきているようでした。しかし、別な学校では、授業がおもしろくないのか、ついていけないのか、全く下を向いたまま授業を聞いていない生徒もおり、そういう生徒が教室に複数いたりしてもカリキュラムどおり授業は進めていかなければならない厳しい現実も目の当たりにしました。
 公明党では、「緊急提言・現場からの教育改革─希望が持てる教育へ─」を取りまとめ、本年発表いたしました。現場から特に要望が強かったのは、いじめ、不登校、親、格差の4項目です。
 特に、いじめの問題は深刻化しています。先日、文科省の発表では、前年度の6.2倍、12万5000件、今回の調査では、いじめられた側の調査に定義が変更されたこともありますが、和歌山でも小学校で90件、中学校では116件、高校では59件となっています。
 その中で言われてるのは、いじめの中身が変わってきているということです。冷やかし、からかいなどに加えて、インターネットなどを使い陰湿でわかりにくくなっていることだと言われております。例えば、ネット掲示板「学校裏サイト」がいじめの温床につながっているとの指摘もあります。e―ネットキャラバン事務局の山田能弘氏によると、フィルタリング機能を設定し、コミュニケーションや出会いなどの分野を規制すれば、掲示板や出会い系サイトにはアクセスできなくなるそうです。
 持たせるのであれば一定の条件を与えるべきだと考えます。そして、子供や保護者、教員など、だれでも安心して相談でき、問題解決に力を発揮する第三者機関のいじめレスキュー隊の設置をするなど、新しい取り組みにも考慮していく必要があります。
 不登校対策では、先日、有田市で行われました教育セミナー和歌山2007での講演で、宮崎大学・小野昌彦教授の「不登校ゼロへの挑戦」と題した講演は大変興味深く聞かしてもらいました。いじめ、不登校を一体にしたきめ細やかな視点が不可欠です。講演の中で、不登校への初期対応の指標は欠席3日であるとしています。そして、連続でも断続でも欠席が3日になった時点で要注意とし、本人が動き出すまで待っているのじゃなく、早期に手を差し伸べることの重要性を指摘していました。
 担任と学級主任と教頭や校長先生の連携がとれる組織づくりが今こそ必要です。教職を目指す大学生や教員OBのボランティア登録制などを活用して取り組み強化を図られてはどうでしょうか。
 親の問題も社会的になってきています。地域関係の希薄化や核家族化の進行で、身近に相談できる相手がいない、子供にどのように接すればいいかわからない、そして学校との信頼が保てなくなっているという側面もあり、問題が生じたときに一気に法律で解決となるケースがふえているとのことです。
 今の忙しい親や保護者に学校として接触を持つのは困難な場合が多いようです。学校開放期間や保護者会を設けてもなかなか参加してもらえない現状の中、時間をやりくりして家庭訪問を考えてる校長もおられました。
 今の子供の問題は、親が変われば子供も変わると指摘されてるぐらいです。いじめ、不登校、家庭の教育力を高めるという点での親、その対応について教育長にお聞きします。
 次に、教員のサポートについてお伺いします。
 先日も、県内で事件があったばかりです。経験が乏しい場合や精神的に弱い場合などで、教師がうつ病など精神的な病気で休職してしまうケースもふえているとのことでございます。ちなみに、全国ではわずか5年で1.6倍にふえているとされております。和歌山県での実態について状況をお聞かせください。
 子供に接する機会をふやすために、教員業務の整理と教育力の向上におけるサポートという点でお考えをお聞きします。
 教育についての質問の最後に、文字・活字文化振興法と学校図書充実の進捗についてお聞きします。
 平成17年、文字・活字文化振興法が成立し、施行されています。児童生徒の本離れが深刻な問題となる中、活字文化を振興するための国や地方自治体の責務を定め、学校教育や地域で施策を講じることが定められております。それに伴い、国は2007年度から毎年200億円、5年間で1000億円の図書整備費を地方交付税で配分する新学校図書館図書整備5カ年計画を進めています。
 この問題につきましては、公明党議員団の新田議員が平成17年に登壇し、質問も行っています。その後、国語力、読解力の向上をどのように進めてこられたのか、学校図書館への地方交付税は十分生かされているのか。以上、教育長にお尋ねをいたします。
 3点目の質問で、若者の雇用対策と自立・就労支援。
 1991年のバブル崩壊以降、景気が悪化し、企業が軒並み新規採用を抑制。とりわけ1993年から2003年に就職する新卒が困難な就職活動を強いられ、就職氷河期の始まりとされております。「ロストジェネレーション」とも呼ばれる世代です。この世代は、正社員になれなかった者が多く、「フリーター」や「ニート」と言われる非正規雇用や若年無業者の新語として社会問題化されてます。
 平成19年7月現在、高校新卒者の求人・求職者状況を見ますと、全国平均は求人倍率1.29で、昨年の同時期に比べますと0.15ポイントの改善となっています。近畿圏においては、昨年より0.12ポイントの改善が見られます。和歌山県の場合でも、求職者2073名に対し求人数が1358名、求人倍率0.66。昨年と比べると少しはよくなってきてると言えます。一方、1985年に655万人だった非正規雇用者は年々ふえ続け、2007年には2.6倍の1726万人まで膨れ上がっていると総務省は発表しています。今や、若者を中心に雇用者全体の3分の1が非正規社員ということになります。
 インターネットカフェに寝泊まりしながら不安定な就労を繰り返すネットカフェ難民が都市近郊を中心に問題になってきています。厚生労働省の調査では、その半数を派遣やアルバイトなど非正規雇用が占めたほか、失業者や無業者も全体の4割に達しているそうです。
 24時間対応のネットカフェは、和歌山市内の中心周辺や紀南地方にも数カ所見られます。パック料金なら1000円から2000円程度の費用で済み、深夜の利用者も多く見受けられます。まだネットカフェ難民と呼ばれるその心配は和歌山ではないのでしょうか。
 先ほども教育問題のところで触れましたが、和歌山市の平成17年度の不登校生の進路状況について確認してみますと、不登校生210名のうち、全日制29%、定時制32%、通信制5%で、高校進学については139名、66%となっています。また、専門学校と就職は16人で7%となってます。残りは、その他、家事手伝いや調査不明も含めて55名、26%というのが数字として上げられております。つまり、不登校生の4分の1が進学も就職もしていないという実態を考えますと、憂慮すべきものがあると言わざるを得ません。
 もちろん、不登校生のうち専門学校や就職し頑張った生徒もいますが、途中で挫折した人も多いと言われております。つまり、それがニートや引きこもりにつながっていることは想像にかたくないと言えます。高校生の卒業者でも、7~8%が就職も各種専門学校や職業訓練施設にも進学しない無業者になっており、つまり、引きこもりかニートになっている可能性が高いと言わざるを得ない状況です。
 厚生労働省が平成18年度から新たな施策として始めた地域若者サポートステーションという取り組みがあります。若者の社会的自立を目指し、各若者の状況に応じた個別・継続的な支援を実施していき、地方自治体の主導による各地域の特性に応じた若者支援ネットワークの構築、維持を行います。従来の支援施設が若年求職者の参加から出口(就労)定着までをやっていたことと比較すると、ニート及びニート予備軍の若者を発見し、支援施設に誘導する体制を、地元自治体並びに各種団体、例えばPTAや教育委員会、保護司会、民生委員、社会福祉ケースワーカー等々と連携しながら確立していることです。
 さらに、アウトリーチ型の手法を用いた支援、すなわち、ニートの若者がいる家庭を訪問して当事者を掘り起こす作業をしていることも大きな特徴です。生活保護世帯や母子家庭や父子家庭など、単身ひとり親家庭の子弟が自立が難しいということで、そういう御家庭の支援を重点的に行い、一定の成果を出していることもわかりました。
 平成18年度、全国25カ所でスタートし、今年度は50カ所にふえてきています。残念ながら、この50カ所に和歌山は入っておりません。教育の深さ、温かさ、そして若者に対する取り組みで未来の日本を決定するし、なかんずく和歌山の将来を決定すると言っても過言ではありません。
 若年無業者、いわゆるニート等の実態、若年者就業支援センター・ジョブカフェの取り組み状況、そして今御紹介しました地域若者サポートステーションの設置についての今後のお考えを商工観光労働部長にお聞きし、第1回の質問といたします。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの多田純一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、新長期総合計画についての御質問にお答えしたいと思います。
 新長期総合計画には、「未来に羽ばたく愛着ある郷土 元気な和歌山」を目指す将来像として掲げ、その実現に向けて取り組む10年間の施策の基本方向を盛り込んでまいりたいと考えております。
 これは10年間の目標ではありますけれども、実施は10年間サボっとってそのときというわけにはまいりません。その実現のためには日常的な努力が必要であると考えております。3年といわず、1年1年が全力投球でございます。したがって、計画に基づく施策の実施に当たりましては、まず毎年毎年進捗状況をチェックいたしまして、和歌山県が次年度に向けてどうしていくべきかという新政策について、これをインプットして全庁的に議論する中で具体的に微調整をしながら検討を行い、推進してまいりたいと考えております。
 次に、初等・中等教育における和歌山モデルということでございます。
 人づくりは県勢発展の基盤でありまして、また、県行政の要諦であると考えております。現在策定中の新長期総合計画の中においては、将来像を構成する6つの分野の中で、「未来を拓くひたむきな人間力を育てる」ということを1番目に掲げております。
 本県における人づくりにつきましては、基礎学力や体力を高めることはもちろん、正義感、親切心、郷土愛といった美徳をはぐくみ、国際性や、あるいは創造性等の社会ニーズに応じた教育を実践しつつ、さまざまな分野で活躍できる人材の育成に取り組んでまいりたいと考えております。そのためには、和歌山が誇る地域の力や、あるいは自然・文化を生かし、家庭や地域の力を結集していくことが重要となっております。
 学校を地域に開き、地域の人材、大学、企業など学校外の社会資源の方々と学校が一体となることで、学校の活力と地域の活力をともに高める中で、和歌山が元気になり、和歌山の未来である子供たちが元気になる、そんな和歌山モデルの構築を目指して頑張ってまいりたいと考えております。
○副議長(新島 雄君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 若者の雇用対策と自立・就労支援につきまして、一括してお答えさしていただきます。
 まず、若年無業者等の実態でございますが、平成18年に総務省が実施いたしました労働力調査によれば、全国にフリーターと呼ばれる不安定な就業形態にある若者は187万人、ニートと呼ばれる若年無業者は62万人で、それぞれ減少傾向にはあるものの、依然として高水準となってございます。
 また、県内の状況につきましては、平成17年2月に実施いたしました和歌山県若年者雇用実態調査によれば、フリーターは約1万4000人、ニートは約5700人いると推計してございます。
 このような状況に対しまして、本県では、不安定な就業形態にある若者に、相談から就労、定着までをワンストップで提供するジョブカフェ・わかやまを、平成15年11月、全国に先駆けて設置し、現在まで約2万1000人の若者に御利用いただいております。また、昨年度のぶらくり丁への移設を契機にハローワークの学生職業相談室を併設し、職業紹介業務を充実させるとともに、今年度は、新たに配置いたしましたジョブナビゲーターが大学や各地域などにおいて巡回相談をきめ細かく実施しているところでございます。
 一方、若年無業者に対しましては、職業意識の啓発や社会適応訓練など、個々の状況に応じた包括的な支援を行っていく必要があると考えてございます。そのため、議員御提案のような教育、医療、福祉等の関係機関や民間支援機関などと連携し、社会的、職業的自立を支援する地域若者サポートステーションの設置について鋭意検討を進めさせていただいているところでございます。
 なお、インターネットカフェ等を生活拠点とした不安定な就業形態にある若者などに対しましては、現在、国において対策を検討しているところであり、その動向を注視してまいりたいと考えてございます。
 今後とも、雇用の場の創出を図るとともに、若者が自立、就労できるよう全力で取り組んでまいりたいと考えてございます。
○副議長(新島 雄君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教育問題6点についてお答えいたします。
 いわゆるゆとり教育につきましては、子供たちに家庭や地域で豊かな体験活動が行えるよう授業時間数にゆとりを持たせるとともに、総合的な学習の時間を重視し、生きる力の育成を進めてまいりました。その中で、十分に趣旨が生かされなかった面があることは中央教育審議会の答申でも指摘されておりますが、総合的な学習の時間につきましては、主体的に課題に取り組んだり、地域と連携した体験活動を行うなど、すぐれた成果を上げている実践も少なくありません。
 新しい学習指導要領では、生きる力をはぐくむという理念を継承しつつ、確かな学力の定着を図るために必要な授業時間数を確保し、言語活動や体験活動、理数教育などを充実させる方向が示されてございます。
 また、我が国固有の伝統と文化により一層触れることができるよう、中学校保健体育科におきまして武道が男女とも必修化されることが提言されております。
 今後、教員体制を確保する中で、武道実技指導者講習会の充実や社会人の活用など、武道指導の体制を拡充するとともに、体育館等の計画的な使用、用具の整備等に取り組むことが重要になると考えております。
 新たな学校組織運営ですが、副校長、主幹教諭、指導教諭の新しい職の設置につきましては、ますます複雑多様化する今日の教育課題に機敏に対応して教育活動の充実向上を目指すために、学校の組織がより有効かつ円滑に機能する体制を整備することとなってございます。
 現在、文部科学省において概算要求中であり、制度的にまだ不明な点もあることから、今後、国の動向を見きわめながら、本県の各学校の実態に合った効果的なあり方を検討してまいりたいと考えます。
 次に、学力テストにつきましては、本県独自の学力診断テストが基礎的、基本的事項の定着状況を見る調査であるのに対しまして、国の調査では、基本的事項に加えて、知識や技能を活用する力も見るものとなってございます。国の調査での本県の状況は、知識に関する問題は8割程度できているのに対して、活用に関する問題は6割ないし7割の正答率となっており、課題が見られます。
 議員御指摘のように、県学力診断テストなどのこれまでの結果から、子供たちの家庭生活での自立や読書の習慣などが学力と密接に関係していることがわかっております。今後、学習指導の改善とあわせまして、家庭や地域との連携を深め、みずから学ぶ力を育てることが重要であると考えてございます。
 なお、現在、県検証改善委員会におきまして詳細な分析を行っているところでありまして、今後、学校や教員が活用できるように、3月にはシンポジウム等で分析結果を報告する計画でございます。
 また、課題の見られる学校に対する支援につきましては、本県の調査結果に基づいて非常勤講師の配置や研究指定などさまざまな取り組みを進めてきたところであり、国におきましても必要な支援策が概算要求に盛り込まれてございます。
 いじめ、不登校につきましては、何としても解決しなければならない重要課題であると認識をしてございます。平成18年度いじめの件数は、統計上の扱いが変わったこともあって全体に増加しておりますが、本県では全国に比べて低い発生率となっております。今後も、落ちついた学習環境を保持するための問題行動対策サポーター配置事業や早期発見のポイントを示したリーフレットの活用等、いじめの根絶を目指して学校と家庭、地域が連携した、よりきめ細かな取り組みを行ってまいります。
 また、携帯電話、インターネット等を使ったいじめや犯罪を防止するため、青少年課や県警察本部少年課とも連携をして、具体的な対策について協議を行っております。さらに、きのくに教育協議会におきましても現実的な指導のあり方を検討していく予定でございます。
 不登校につきましては、未然防止や早期発見、早期対応のために子供と親の相談員等の配置やスクールカウンセラーの拡充を行い、教育相談体制の強化に努めているところでございます。
 次に、教員へのサポートについてでございますが、本県では、現在、病気休職中の教職員60名の約6割が精神性疾患であり、その背景には、複雑な課題を抱えた児童生徒の指導や多様な価値観を持つ保護者への対応の難しさなど、さまざまな要因があると考えられます。
 県教育委員会といたしましては、教職員メンタルヘルス研修会やストレス相談等、教職員への支援を行ってございます。また、教員が子供と接する機会をふやせるよう校務分掌等の見直しを進めるとともに、今後とも、少人数学級編制の実施や非常勤講師等の配置に努めてまいります。
 なお、議員御指摘いただきましたいずれの問題につきましても、学校、家庭、地域の枠を超えた協力、協働の取り組みが不可欠になっておりますので、今後、社会教育との連携、融合を図りながら社会全体で子供を育てる体制を構築し、その中で保護者に対する適切な対応も行えるよう指導してまいりたいと存じます。
 国語力、読解力につきましては、これまでも、きのくに学びのルネサンスプランや小中連携の国語力向上モデル事業などを実施し、その向上に努めてまいりました。しかしながら、各種調査において多くの課題が見られることや、PISA型読解力向上プランや子どもと本を読もうキャンペーンなど、全校種・教科での読解力向上に向けて取り組んでいるところでございます。
 また、文字・活字文化振興法と学校図書充実につきましては、子供の読書離れ、活字離れが指摘されておりますことから国の地方交付税措置がなされており、本県では平成18年度、半数以上の市町村で90%以上の予算措置がなされている状況でございます。
 今後、地方交付税措置を適正に活用するよう指導するとともに、文字・活字文化振興法の趣旨も踏まえ、家庭、地域を含めた読書文化の向上に努めてまいりたいと考えます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
 25番多田純一君。
○多田純一君 それぞれ御答弁いただきました。
 再質問につきましては、教育に絞ってということでお伺いさしていただきたいと思いますけども──お伺いというよりは要望という形にさしていただきたいと思っております。
 先ほど、学力向上につきましてですけども、さまざまな比較、さまざまな各県の分析がされてきておりますけども、今、全国的に秋田県の取り組みが非常に話題になってるんですね。知事も、この学力テストにつきましては記者会見でお述べになったようでございますけども、私も点数を上げればいいというような安易な傾向には賛成をできないという立場でございますけども、秋田県の場合は早くから少人数制を取り入れておりますし、県教委の本当にすばらしい姿ということで、算数と数学の学力向上推進班が各学校を回って個別指導をし、現場の教師の教育力を改善していく、そういう姿が報道もされておりましたし、私も事務局を通じて秋田県から資料を取り寄せさしていただいて、そう思います。
 そういう点からすると、先ほどのゆとり教育ではございませんけども、まだまだいろんな意味で学力の向上につきましては取り組みする余地があると思いますので、この行いました学力テストの分析を行った上で平成20年度の学校教育に生かしていただきたいと、こういうふうに要望さしていただきます。
 それから、文字・活字文化振興法と学校図書充実につきましてということなんですが、17年度に比べてということなんですけども、県立学校は確かに充実してきておりますけども、市町村の小中学校では、平成17年に比べて、予算ベースですけども、大分19年度は減ってるんですね。だから、これは全体ですから、個別によく見ていただいた上で、この文字・活字文化振興法という法律の意思を尊重していただいて国語力とか読解力の向上にぜひ役立てていただきたいなと思います。
 私、学校訪問を幾つかさしていただいたんですけども、先日、文科省から指定を受けた学力向上拠点推進事業をやっておられる新宮市の中学校にお邪魔したんですね。教育長も訪問されたようでございますんでよく御存じだと思いますけども、評判を聞いて行ってまいりました。非常にすばらしいと感じたのは、学校全体で取り組みがされておりまして、非常にまとまってるという感じがいたしました。
 その1つに、朝の読書活動というんでしょうかね、8時ぐらいにお邪魔したんですけども、8時20分から、もう子供たちは教室に入って、静かに10分間、毎日、しゃべらない、立たない、歩かないなどという7つのルールを決めて朝の読書運動をやってらっしゃるんですね。特に、学校によっては「やっておきなさい」という形でやるケースが多いんですけども、担任の先生も一緒になって全員が自分の本を静かに読んでおりました。その成果で、子供たちの80%は読書好きになったそうです。1時限目の授業がスムーズに入っていけるということでいうと、学習態度に非常に効果があらわれてるんじゃないかなと、そんな感じをいたしました。教室やちょっとしたコーナーにも本が並べられておりましたし、身近に図書があるという、そういう環境にしてるんですね。各教科の基礎を身につけさせるためにも、ぜひそういう取り組みが必要かなと思います。
 それと、もう1つは、この学校では小学校の学力を補習してるんですね。漢字と計算を中心に小学校段階から学び直すと。このリピートをしていただいてるというのが、これが先生の、また学校の努力じゃないかなと思うんです。1、2年生は火曜日6時限目、3年生は放課後に設定して、教科の枠を超えてすべての教員が指導に当たってると。これは非常にすばらしいことだと思いますし、教員の意識が同じ方向に向いて注がれてると、こういう感じをいたしました。
 その成果として、ここの学校では、不登校の子供たちが──子供たちって、不登校生が現在は1名か2名という。全体的に和歌山の中学校では平均的に10名前後、不登校がいると言われてますけども、この学校は1名か2名ということですから、非常に不登校の対策でも効果が出てるんじゃないかなと思われます。校長先生いわく、「不登校になったら早期に訪問して解消に努めている」と、こういう話でございました。
 それから、もう1つは、保護者会や地域の住民の参加が非常に多くなってきてると。いろんなことをやってるから、やっぱり地域もそこに目を注いできてるという点も効果を生んでる点じゃないかなと思います。また、ある先生は、学級通信というのを毎日発行して、子供に持たして、親にそれをメッセージとして届けてるんですね。これを見たら、親としては、本当にその毎日の先生の努力、また学校の姿がわかるということでいうと、信頼関係がよみがえってくるんじゃないかなと、こんな感じをいたしました。
 説明をしていただいた校長先生や教頭先生──この教頭先生は、特に長くこの学校にいた経験から、地域のさまざまな課題を抱えてる中で何回か荒れてきた経験をしてきただけに「まだまだ安心できません」としながらでも、大変熱心にお話を、その取り組みの一端をお聞かせいただきました。2時間があっという間に過ぎてしまいました。
 9月下旬に行われました発表会には、暑い体育館で行われたそうですけども、県内外から220名が参加して熱心に聞き入っておられたようでございます。
 先ほど紹介しました宮崎大学の小野教授も「学校が変われば不登校は予防されて再発防止はできる」と、そんな話にも符合してまいります。知事からも、先ほど力強い後押しのお話もいただきました。ぜひ総がかりで和歌山らしいモデルをつくっていただきたいし、そして平成20年度予算にその思いを大いに反映していただきたいということを要望し、質問とさしていただきます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で多田純一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に従いまして、早速一般質問をさせていただきます。
 まず、ミカン対策について質問をいたします。
 本年2007年度産ミカンは、夏に雨が少なかった影響で、糖度も平均1度ほど高く、大変甘くておいしいミカンとなっています。選果場でも、光センサー導入以来最高の数値と言われて、一生のうちに何遍もない甘さやと評判です。ところが、この苦労してつくったミカンですが、値段のほうは大変安値に泣かされている現状です。11月の市場の平均単価は1キロ160円程度と、昨年よりもキロ当たり100円も安いんです。表年と言われて安かった一昨年と比較してもわずかに上回るだけであり、ことしは表年と言われながら小玉傾向であり、この値段のつくL、M級の量が少なく、農家手取りの減少は深刻です。
 私は、知事のトップセールスにも御一緒して、大阪市場に出向き、また先月末には東京の大田市場にも行って、関係者から市場の状況も調査をしてまいりました。どちらの市場でも、11月のわせミカンの出荷量のだぶつきという、この構造的な問題に加えて、この10月末の極わせが出荷終了期を前にして大量に市場に押し寄せ、過去に例のないほどの滞留を生んだとの分析をお聞きしました。また、この安値には、格差社会の影響に加えて、石油製品や食料品などの相次ぐ物価値上げが消費者の財布を直撃し、消費の落ち込みを招いている面も大きいと指摘しなければなりません。
 ことしのミカンの安値、生産者から見てみれば、こんなにうまいミカンがなぜこの値段なのかと、こういう気持ちでいっぱいであります。これまで「生産量が多過ぎると安い」、こんなふうに言われて生産調整をし、「おいしいミカンをつくりさえすれば売れるんだ」と言われて頑張って元を入れてきた。ところが、この間の現実は、ミカンが多くても安いし少なくても安い、おいしいミカンをつくってもそうでなくても安いという状況が続いてきたわけですね。幸い、昨年は価格形成が持ち直していい値段をつけたわけですが、昨年以上においしいことしのミカンがこのありさまでは展望が出てこないし、後継者も育ちません。
 ことしの和歌山県産ミカンが食味がよくておいしいにもかかわらず安値となっている現状をどう分析し、対策を打とうとしているのか、御答弁を願います。
 次に、ミカンの販路拡大やミカンの加工食品についてお尋ねをいたします。
 ミカンの消費を拡大していこうと思えば、おいしい和歌山県産ミカンをPRし、和歌山ミカンのブランド力を高めていくことが大切です。県がこの間、知事を先頭にさまざまな方面で生産者と一緒に努力をされている点を評価するものですが、まだまだ課題は山積していると思います。生果を食べてもらう努力とともに、消費のすそ野を広げるためには、ジュースを初めとする加工食品の役割、欠かすことはできません。オレンジ自由化を機に、国内ジュース原料のミカンの利用は進まなくなり、農家の声としては、「ジュース用のミカンは安くて少ししかとってくれないのに、高いジュースを農協から買わされる」と、そういう声が絶えませんし、ミカンの加工食品といえばジュースかゼリーどまりというように、商品のバリエーションも広がりがなかったように思います。
 そんな中ですが、最近は、これまでのミカンジュースのイメージを変えるような、おいしい個性化商品などが光ってきた。この流れを一層広げていくべきだというふうに考えています。
 この冬、料理やスイーツの素材に有田ミカンをと、インターネットの日本最大の料理レシピサイト「クックパッド」でこの有田ミカンを特集し、レシピを募集したところ、「いつもはレモンでつくっていた料理もミカンを使うと色もきれいで大成功」といったぐあいに大変好評であったようです。情報化社会の中で、アイデアは予想外の広がりをするものです。
 私、東京市場に調査に行ったとき、有楽町にある和歌山県産品のアンテナショップ「わかやま喜集館」にも伺いました。店頭では今、ゼリーのカップの中に小さなミカンが丸ごと3個入った有田のミカンゼリーが売り上げ2位になるというほど売れてるそうなんですね。これは、先日、テレビ番組で紹介をされた影響だそうでして、「何、これ。ミカンが丸ごと入ってる。しかも3個」と言って職場へお土産に持って帰るお客さんで大評判だそうです。このかいわいは各府県のアンテナショップも多くて、マスコミもカメラを持ってネタ探しによく来るそうで、そういう意味ではわかやま喜集館はよく頑張ってるというふうに思います。
 そのとき、消費拡大の話題で伺った話なんですが、エディブルフラワーというのがあるそうなんですね。これは、食用の花、食べられる花という意味で、見て美しい、食べておいしい、料理に使える花を栽培し、販売する。また、粉状なんかにして料理の色つけとか香りつけとかにも使うものもあるそうです。花農家の方は、「花の消費を伸ばすためにはいろいろやってるんだよ」と語るそうです。このミカンの加工品も、ジュースなどの消費者に直接届く最終商品、こういったものだけでなくて、料理人やパティシエにも使ってもらえるような素材、それから中間加工品、こういったものの幅も広げることが必要ではないかという話を伺って、全くそのとおりだなというふうに思いました。
 そして、それをすぐに実感する出来事がありまして、わかやま喜集館を出て、東京駅の八重洲口で取り組まれてた「東京駅美味しい6週間、まるかじり和歌山フェア」と、こういうのをのぞいてきました。これは県もバックアップしたイベントでして、地下街や飲食街の参加店舗の前には、ミカンや柿、トマト、キヌサヤ、マグロ、トビウオなど、和歌山の食材を使った商品とか料理のパネルが掲示されています。
 ミカンの関係を回ってみますと、ジュースとかケーキが多かったんですけど、その中で、マグロとミカンのカルパッチョ、この看板を出している店に入って注文をしてみました。私は、マグロやサラダと一緒にミカンを口にして、そのミカンの味にとても新鮮な感動があったんですね。というのは、どうやら私の頭の中には、ゼリーとかサラダに入ってるミカンというのは、あのシロップにつかった味のミカンというか、シロップの味しか浮かばなかったんですね。それがみずみずしい本来のミカンの味だったんです。しゅんのミカンが料理の中ですばらしい味を出していました。ミカンの産地にいながら、こういう固定観念にとらわれていたのかと再認識をした次第です。
 そこで、お伺いいたします。
 ミカンの販路拡大については、本年度の取り組み状況と今後の強化点について、また消費拡大に欠かせないミカン加工食品については、その方向性と展望について県はどう考えておられるのか、御答弁を願います。
 続いて、ミカンの機能性成分の研究について伺います。
 昨年はミカンダイエットというのが随分話題になりましたが、ことしもミカンの機能性成分に関する報道が続いています。この10月だけ見ましても、1つは、ミカンのベータクリプトキサンチンがメタボリックシンドロームに対して予防効果が期待できるとの日本肥満学会での発表、2つ目に、厚生労働省研究班の調査で果物は脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患になりにくいということがアメリカの医学専門誌で発表、3つ目に、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所などが行った調査で、ミカンに骨粗鬆症の予防効果があることが骨粗鬆症の国際専門誌に掲載された、こんな報道が相次いでされたんですね。諸外国と比較して果物の消費量が少ない日本の食生活を改善するためにも、また消費者の今の健康志向にぴったりと照準を合わせて、県としてもこれらミカンの機能性成分の研究とアピールに一層力を入れるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 さて、この柱の最後に、石油高騰対策についてお聞きをいたします。
 昨今の原油価格高騰による国民生活への影響は大変大きいものがあります。ミカンのハウス栽培に使うA重油などは、これまで1リッター40円ぐらいだったんですね。ところが、昨年は70円、ことしは85円と、もう倍以上になっているわけなんです。有田地方では、ハウスミカンの農家初め、バラとかスプレー菊、こういったものを栽培している花の農家などから悲鳴が上がっています。私は、和歌山県の進むべき方向としては、石油高騰に対する有効な対策を打つとともに、ハウス栽培などの燃料に木材チップや木質ペレットなどの森林エネルギーを生かす取り組みが不可欠だと考えています。
 石油高騰対策では、これは国に対しても緊急の対策をとるよう求めるものですが、県としてもできることから早急に取り組む必要があると思います。石油高騰問題、とりわけ県内の主要産業である農林水産業への影響と県としての対策はどうお考えでしょうか。
 以上、5点の質問に対して農林水産部長の答弁を求めます。
 質問の2つ目の柱に移ります。
 新長期総合計画と新年度予算における農山漁村対策について質問をさせていただきます。
 まず、いわゆる限界集落に対する支援施策についてです。
 私は、6月県議会の質問で限界集落を問題提起し、そして県としての取り組みを訴えました。仁坂知事は、新長期総合計画の中での対応を検討していきたいと答弁をされました。秋には県としての過疎地域での調査もし、そして振興局単位でも議論が積み重ねてこられたと聞いております。今議会では、新長計の素案によって和歌山県の将来像とそれに向けた取り組みの概要が示され、政策課題、さらに今練り上げている最中とのことであります。
 和歌山県の将来像を描くときには、この農山漁村の果たす役割と目指すべき姿、これは欠かすことのできない課題です。都市と農山漁村とは、それぞれの役割があります。そして、補い合いながら21世紀の人間社会を支えていくものだというふうに思っています。自然の中で人間らしく生活をしたいとか、自分自身が大きな機械の歯車の1つじゃなくて、かけがえのない1人の人間として生きがいを感じられる地域社会を、そんな願いにこたえられるのが農山漁村だと思うんです。
 フランスの「ミシュラン」というガイドブックが最近東京版を発行しまして、東京では、三つ星だ、行列だと大騒ぎをしていて、いかがなものかと思いますが、あのミシュランガイドブックというのは、本来、本国のフランス版では、29ある三つ星レストランのうち19のレストランはパリ以外の町にあるんですね。そして、1000人、2000人の小さな町のよい料理屋、農村レストランを紹介してるという話を聞きました。そして、そこには世界じゅうからお客さんが訪れて、土のにおいのする料理を楽しんでいくんだそうです。
 長野県へも先月伺ったんですが、栄村の「げたばきヘルパー」という近所のおばちゃんが介護をやってくれるような制度とか、下條村の若者住宅による若年人口増加など、僻地を逆手にとって、身の丈に合った福祉や医療、定住政策というのは、大変住民の満足度の高い、そういう取り組みとなっています。
 田辺市の旧中辺路町や旧大塔村へ調査に行ってまいりましたが、限界集落で暮らす高齢者の方々、とっても表情豊かで元気であることにすばらしさを感じると同時に、不安なことと言って聞くと、病気になったときのこと、病院や買い物への交通手段、鳥獣害対策、こういったことが出されて、これは県内共通の課題だと感じてまいりました。
 仁坂知事は、この新長期総合計画、そしてスタートの年となる来年度予算、この中で農山漁村と限界集落問題、どういうふうに位置づけ、どう論議し、計画や予算に取り入れようとしているのか、知事の御所見を伺います。
 続きまして、こういった中山間地における交通手段の確保の問題をお尋ねいたします。
 県内どこでも、公共交通には深刻な事態が進行しています。路線バスは赤字による撤退が相次いで、有田の谷でも有田鉄道バスの楠本路線が廃止をされました。これに続いて、上湯川と清水の間の線が廃止に向けて減便、花園─清水間が乗降客が減ってしまって来年度から国、県の補助対象から外れてしまう、もう補助金来なくなるということで先行きが不透明、こういった待ったなしの状態となっています。
 そんな中、住民の交通手段を確保しようという努力が広がっています。昨日、日曜日の「朝日新聞」に、長野県の木曽町の取り組みが実は特集をされていたんですね。「木曽路に命の交通網、「『すべて山の中』町の挑戦」、こういう題なんですね。1町3村の合併でできたこの木曽町というのは、人口1万3000人、面積は476平方キロ、高齢化率30%を超える町なんですが、思い切った交通対策をとらないと地域が崩壊しかねない、こういう思いで、合併をきっかけに、町全体をカバーする交通網を自前でつくり上げたと言います。「以前はバス停まで歩いて30分。荷物は持てず、買い物もできなかった。今は安く自宅まで送ってもらえて、本当にありがたい」、こんなふうに話す老婦人は、自宅から40キロ離れた病院に月2回通うそうですが、料金は乗り合いタクシーと幹線バスを乗り継いで片道200円。民間路線バスのときは1500円かかっていたそうなんですね。
 高齢化により、車に乗れない交通弱者がこれからふえてきます。有田川町でもコミュニティーバスの運行を始めましたけれども、県内各地でこういったコミュニティーバスやタクシーなどの努力と工夫が広がっています。ところが、現行の今の支援制度では、不採算路線の赤字補てん、それから2つ目にバス路線が廃止された区間に限って代替交通の立ち上げ補助、この2つしかないのが実情なんですね。これでは、これからやろうとしてるところには光が当たらないし、今のこの焦点からずれてると思うんですね。
 交通という分野では県のかかわる役割、大きいと思います。中山間地における交通手段の確保という点で、県内市町村がこういった取り組みに踏み出しやすいように、県としてもこれまで以上に支援していく必要があるのではないか。この点についても、これは企画部長に御答弁を願います。
 3つ目に、合併によって削られた地域を支える施策の見直しという点についてお伺いをいたします。
 有田の旧清水地域や田辺市の旧町村部を回って、市町村の担当者の方々からも、「住民の実態から見て、どんな施策が望まれているか、どんなことが必要と思ってらっしゃいますか」、こんなふうに聞いてみたところ、同じ傾向の問題意識が実は返ってきたんですね。それは、集落機能が低下した個々の住民を支援しようとするときに、旧町村で工夫されていた、2戸以上でなくても補助対象でするというようなさまざまな制度、例えば、歩いて上る道しかなかった自宅まで車が入ってこれるような進入路をつくる際に支援する制度とか、大雨の後、水道に使ってる沢水、これの取水口、詰まるんですが、この詰まりを役場から委託して掃除に行ってもらう制度、こういった僻地のハンディを補う仕組みが市町村合併の調整の中でやむなく、またことごとく廃止をされた現実があります。
 決してぜいたくを望むわけではない。そこで暮らしていくために平地では考えられない僻地のハンディを補う、そのための手だてや施策なんですね。限界集落に必要な支援を検討する際に、こういった地域の現状や課題、現場に合わせた制度がかぎとなるという御意見です。これらを見直し、再評価をし、中には新しい形で復活させることも大変意味があると思います。これを復活させようとすれば、でも、市町村はかなり重い腰を上げなければなりません。
 公共の仕事というと、ともすれば小さい事業は市町村の責任でやると、一定の規模以上になれば県が役割分担をすると、こういった考え方があるんですけども、そういう考え方に、規模によるすみ分けに固定化することなく、集落を支え維持するための知恵を絞った工夫、こういった市町村の動きが出てくるとするならば、県としてもしっかりと支援すべきではないでしょうか。この点についても知事のお考えを聞かせていただきたいと思います。
 続きまして、3番目の柱、県指定史跡である有田川町鳥屋城山の城跡について質問をいたします。
 この間、住民の方から、「鳥屋城山の山頂にある城跡へ行ったけれども、草ぼうぼうで、イノシシが遊歩道や石垣やら掘り返して大変荒れたまま放置されている。県の文化財に指定されているということだけども、こういう状態でほうっておいていいのだろうか。草刈りのボランティアぐらいならできるので、少しでも協力をさせていただきたいと思っている」、そんな相談を受けたんですね。
 私も、現地の状況を詳しく知らなかったので、住民の方々とともに実際に鳥屋城山に登ってみました。県、町の担当者の方も同行していただきました。有田の平野と山並みを一望できるすばらしい大パノラマに感動するとともに、中世の山城跡ということで、荒々しい石垣や敵の攻撃に備えた堀切りとか、そういったものが確認されて、古代へのロマンを感じました。しかし、残念なことに、この御指摘どおり、城跡には低灌木やススキが生い茂って眺望もきかず、イノシシの被害も多数見られ、荒れ放題という印象を受けました。
 この鳥屋城史跡については、「和歌山県の城」、こういう書籍の中でも、鳥屋城は紀伊の中世城郭の中ではその存廃が確かな史料に登場する貴重な遺跡であると紹介をされているんですね。こういった中世の城跡というのは、江戸時代の後の世の文献にしか載ってこないものが多い中で、湯浅氏と畠山氏によって南北朝の時代から秀吉紀州攻めまでの間約200年間にわたって継続的に使用されてきたことがその当時のリアルタイムの一級の文献資料で残ってるという、なかなか例のない貴重な山城跡なのだそうです。
 ところが、その一方で、詳しい現地での調査とか発掘調査、資料分析がされてこなかったために詳細なデータや図面、出土品などがほとんどないと聞いて驚いたと同時に、これは何とかしなければというふうに思いました。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 鳥屋城山は、県文化財指定をしている唯一の山城であり、貴重な史跡であるが、県としてこの現況をどう認識しておられるか。そして、地域住民の関心を高め、郷土の地域資源を大いに生かして地域づくり、まちづくりを進めるという点からも、今後、有田川町と力を合わせて城跡の調査、保存、整備に取り組むべきではないか。
 以上、2点について御答弁を願います。
 最後の質問の柱として、県立高校等の授業料値上げについて質問をさせていただきます。
 議案第167号は、県立高等学校初め看護学校、農業大学校などの授業料の値上げを提案するものであります。弱者切り捨ての構造改革路線のもと、格差社会と言われる問題は、全国的にも、そして県内でも深刻化しています。非正規雇用が増大し、年収200万円以下の世帯が急増しているなど、貧困のすそ野が広がっています。
 経済的理由などから授業料の減免を受ける家庭が増加傾向にあります。平成15年度には6%であった減免率が、平成18年度には7.8%にまで上昇しています。そして、平成15年度にはなかった授業料未納者も、18年度には累計24件となっています。この経済的困難が家庭のすさんだ状況や、ひいては子供の心に困難を生み出す大きな要因ともなっていることに、私は大変心を痛めています。
 私は、この議案が発表されてから、有田管内の中学校や高校の関係者の方々から話を伺いに回り、子供たちを通して見えてくる深刻な状況と、そして子供たちとしっかり心をつないで頑張っておられる現場の先生方の御苦労をお聞きしてまいりました。
 例えば、家庭訪問の時刻が大変遅くなっている傾向があります。何か問題を起こしてから指導するのじゃだめだからと、気になる子供のことを学年などで相談し、電話では事務連絡だけにしようと、子供のことは顔を見て話をしようと家庭訪問などするそうですが、仕事が終わって帰ってくるのが8時を過ぎる家庭が大変多くなってきている、その仕事もパートとかだと休んでもらうこともできない、正社員なら1時間休みをとってもらうことなどできるけども、パートだと1時間抜けるとすべてにかかわってくる、2つも3つもパートをかけ持ちしている、こんな苦労が見えてくるそうであります。
 これは、ある県内の県立高校の新入生の手引なんですけども、ここには、授業料11万5200円を初め、入学時に必要な費用がずっと説明をされています。制服に約10万円、体操服1万8000円、PTAなど諸会費に2万円、入学寄附金1万8000円、学校独自の運営協力費に5000円、このほかにも学級で集金するのが年間1万円と、こんなふうなことをいろいろ説明をいただきました。
 このように、授業料のほかにも父母負担となる諸経費の集金が重くのしかかってきているんですね。学校運営やPTAの会費も、その厳しさを増しているんですが、その要因の1つに、この間の県補助金など財政支出の削減があるんですね。補助金の削減が結果として父母負担の増という形で降りかかっているんです。
 長引く深刻な不況のもと、授業料の値上げには、慎重の上にも慎重であるべきです。なぜ今回授業料の値上げをするのか、どうしても値上げをしなけりゃならないのか、いろいろな補助金が削られているが授業料値上げでそれが少しでも戻るのかと、県民の目は厳しく向けられています。私は、この厳しい経済状況のもとでは機械的な値上げはやめるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 また、2点目に、これまでも機会あるごとに、授業料の減免制度の基準を見直して必要な家庭が減免を受けられるようにと改善を求めてまいりましたが、このことを初め、さまざまな手だてをこの機会に工夫し、検討して、今こそ経済的困難を抱えながら子育てをしているその県民を支え、守る姿勢が必要ではないか。
 以上2点については、教育長の御答弁を願います。
 以上で、第1回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) いわゆる限界集落への対応につきまして、お答え申し上げたいと思います。
 これにつきましては、新長期総合計画における「誇れる郷土づくり」の項目の中で検討を進めておりまして、策定本部会議等においても特に時間をかけて議論を重ねているところでございます。
 これまでの議論の結果、農山漁村の持つ多面的な機能や置かれている現状を分析した上で、地域の実情や住民の意向を十分踏まえ、市町村と連携しながら、集落維持等のための総合的対策を実施することということを基本的な方向性として導き出そうとしております。
 これまで、農山漁村対策として、特産物の振興などの就労対策、簡易水道などの生活基盤整備、都市住民の田舎暮らし支援や子供たちの農山漁村での体験交流などを実施してきたところでございます。
 今後、議論の内容を踏まえ、定住環境の整備や地域資源等を活用した活性化推進策など、集落機能維持対策等の施策充実に向けて一層努力してまいります。
 なお、合併後の施策の話もあわせてございました。合併をした後、各市町村の中で人口の少ないところを不当になおざりにする、あるいは旧町村の施策が不当に無視されるというようなことはないと信じておりますけれども、以上述べましたようなそういう考え方のもとで集落機能維持対策等の施策充実に向けて努力していきたいと思っております。
○副議長(新島 雄君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) ミカン対策についてでございますが、5点についてお答えをさせていただきます。
 本年産のミカンにつきましては、御承知のように表年にも当たりますことですから、10月1日の調査によりますと、本県では前年対比121%の18万5000トン、同じく全国では124%の104万トンの生産が見込まれてございます。
 果実につきましては、お話ございましたように小玉傾向でありますが、平年に比べて糖度が高くて食味もよいということで、価格的には順調な販売ということでスタートいたしておりましたですが、11月に入りまして、他産地におきまして極わせミカンの着色のおくれ等もございまして、わせミカンとの出荷時期が重なったということから価格が低下をいたしてございます。
 そうした中で、全国組織でございます果実生産出荷安定協議会が中心になりまして、生食用の果実の一部を市場隔離いたしまして加工用に回す緊急対策が、11月の26日からきょう12月の10日の間実施をされてございまして、現在、回復の兆しも出てきているということでございます。
 また、最近のミカンの消費動向についてでございますが、1人当たりの消費量が約5キロ程度ということで、以前に比べまして大きく減少いたしてございます。また一方、飲料などの簡便な加工品というのが非常に伸びておりまして、その消費行動も大きく変わってきてございます。
 今後、高品質生産はもちろんでございますが、産地間競争に打ち勝つブランド力の向上に加えまして、販路拡大や食品産業と連携した加工品づくりなど、新たな取り組みが必要であるというふうに考えてございます。
 こうしたことから、本年7月に策定いたしましたアクションプログラムに基づきまして、知事を先頭といたしましたトップセールスの実施、また和歌山フェアの開催、それから東アジア地域への試験輸出など販路の拡大に積極的に取り組むとともに、振興局単位に、JAあるいは商工会、また地域の食品加工業者などで構成いたします協議会を立ち上げまして、地域の特色ある地場産品を生かした新しい加工品づくりや食材フェアを通じた新たな用途開発に取り組むなど、産業としてのすそ野を広げるということにしてございます。
 また、機能性成分の研究についてでございますが、これまでベータクリプトキサンチンの発がん抑制効果など、ミカンの持つさまざまな機能成分が解明をされてきてございますが、消費拡大の観点からも非常に重要であるというふうに考えてございます。このため、平成18年度から戦略的研究開発プランによりまして、県立医科大学や社団法人である和歌山県農産物加工研究所と連携をいたしまして、ポリフェノールの含有量の多いミカンの栽培法の研究や柿酢入りミカン果汁の健康への影響に関するモニター調査などに取り組んでございます。今後とも、機能性に着目した取り組みを積極的に行ってまいりたいと考えてございます。
 それから、最後でございますが、石油価格の高騰につきましては、経営の中で燃料費の占める割合の高い施設園芸、また水産業にとりまして深刻な問題であるというふうに認識をいたしてございます。
 現在、国におきましては、中小企業や農林漁業者に対する緊急対策をまとめる方針を決めまして、現在議論が進められているところでございます。
 県といたしましては、これまでも農業関係につきましては、平成17年に策定をいたしました省エネ技術対策指針に基づきまして、ハウス内の温度のむらをなくす循環送風機、また加温温度をきめ細かく管理する変温管理装置などの省エネ設備の導入について支援を行ってございます。さらに、現在、民間の協力を得まして、従来の重油ボイラーとヒートポンプを組み合わせることによりまして高い石油削減効果が得られる暖房装置や温風式の木質ペレットボイラー等について実証試験を開始したところでございます。
 また、水産業におきましては、県独自の緊急対策といたしまして、過去1年間の石油相当額を限度とする運転資金の利子補給、それから省エネ型エンジンの導入に対する近代化資金の上乗せ利子補給を行う融資の受け付けを県信連──県信用漁業協同組合連合会でございますが──ここにおいて本日から開始をしたところでございます。
 今後とも、引き続き省エネ対策を進めるとともに、国の緊急対策の動向等も見守りながら積極的に対応してまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 企画部長森 崇君。
  〔森 崇君、登壇〕
○企画部長(森 崇君) 新長期総合計画と新年度予算における農山漁村対策のうち、中山間地における交通手段の確保についてお答えいたします。
 公共交通機関は地域の実情によって役割が異なることから、国や市町村、また事業者と連携しながら、その実情に即した、利便性が高く住民生活を豊かにする交通ネットワークを維持・充実していくことを目標に、新長期総合計画を策定中であります。
 県では、幹線となる県内40系統のバス路線の運行欠損額や低床バスの購入に対し支援することによりまして、広域的な路線の維持確保を図っているところでございます。一方、市町村では、路線バスが廃止された後に地域住民の交通手段を確保するために、あるいは市町村合併に伴い住民サービスの格差を解消するためにコミュニティーバスが導入されておりまして、本年11月現在では18市町村において運行されております。
 御指摘の交通手段の確保につきましては、コミュニティーバスを初めデマンドバスやデマンドタクシーの導入など、市町村や事業者、地域住民と一体となり、地域の実情に合ったきめ細かな接続向上と交通ネットワークづくりの確立に努めてまいります。
○副議長(新島 雄君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 鳥屋城山の城址は県文化財指定唯一の山城跡であるが、その現況をどう認識しているかということについてでございます。
 和歌山県には多くの山城跡がございますが、その中で、これまでに中世の城址として県史跡指定されているのは鳥屋城山頂に築かれた鳥屋城址だけであり、現在、本丸跡が残っておりまして、東西に長い方形の平地になってございます。山頂までは旧金屋町により遊歩道がつくられておりますけれども、季節によって草が生い茂るなど、歴史をたどる場所としてふさわしいとは言いがたい状況であると把握をしてございます。
 次に、町とともに城址の調査、保存、整備に取り組むべきではないかということにつきましては、鳥屋城址は鳥屋城山の山頂の一部のみが県史跡指定されてございますけれども、城址全体の把握、史跡追加指定のために不可欠な土地等の権利関係が明らかではございませんで、見直しができない状態になってございます。県といたしましては、現在、有田川町で進められております地籍調査の早期完了を促しまして、その成果を得た時点で指定の見直し、保存整備等を町教育委員会とともに検討を進めてまいりたいと考えます。
 次に、県立高等学校の授業料につきましては、これまでも適正な受益者負担となるよう、地方財政計画や他の都道府県の動向を考慮の上、改定を行ってまいりました。
 既に国の平成19年度の地方財政計画において高等学校の授業料については改定されているところであり、全国の半数以上の県においては、既にそれを踏まえて改定をしております。残りの都道府県につきましても、ほとんどが平成20年度からの改定を予定しているところでございます。本県におきましても、これらの状況を踏まえ、平成20年度入学生から授業料の改定をお願いするものでございます。
 次に、授業料減免制度は、経済的な理由により修学が困難な生徒に対して授業料の免除を行い、修学機会の確保を図る対策の1つでございまして、その基準と運用については、県民の理解が得られる負担の公平性が必要でございます。したがいまして、この公平性を確保するため、社会保障制度の根幹である生活保護基準を判定基準としております。
 生活保護世帯につきましては、生業扶助の中で高校の修学費が対象とされておりますが、それ以外については、生活保護基準に準じる世帯には全額免除を、収入が生活保護基準の1.2倍までの世帯につきましては半額の免除を行ってございます。なお、減免対象にならない生徒については、奨学金制度を含めた修学支援制度全体の中で対応をしてございます。
 厳しい財政状況ではございますけれども、今後とも修学支援対策として、教育の機会均等と進路選択を保障するセーフティーネットの観点から、公平性を担保しつつ、真に必要としている生徒が必要なときに利用できる制度となるよう努力をしてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
 42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 知事並びに関係部長、教育長から御答弁をいただきました。
 ミカン対策では、価格も若干持ち直してきたという御報告とともに、その販路拡大とか、それから食品産業とも連携をした加工品づくりと、こういったことに積極的に取り組んでいくという御答弁をいただきました。
 石油高騰対策でも、融資の分野で一歩踏み出していただくと答弁をいただきました。このミカン対策は、有田地方の元気の源、和歌山の元気の源ですから、引き続き全力を挙げていただくことを要望しておきます。
 1つだけ注文をつけるなら、和歌山県内を走っているJRきのくに線の特急くろしお号やオーシャンアロー号、この車内販売のカートに並んでるジュースというのは、何と愛媛県産のポンジュースなんですよ。知事、御存じでしたか。これ、せめて県内の観光客を乗せて走る特急や関西空港、こういったとこにおいても和歌山のミカンが元気にアピールする姿が見えるように、県としても働きかけに努めていただくように要望をしておきたいと思います。
 それから、限界集落、農山漁村の問題では、知事からも、なおざりにされないようにと、こういう率直な思いも聞かせていただきましたし、実態をつかみ、市町村とも連携し、総合的な全庁的課題として議論を進めているという答弁をいただきました。
 また、鳥屋城山の史跡についても、地元有田川町と検討を進めていくという旨の答弁をいただきました。
 どちらも、今後の取り組みが前に向いて進んでいけるように要望をしておきたいというふうに思います。
 さて、最後に、高校などの授業料値上げの件で教育長に再質問をさせていただきます。
 答弁をお聞きしていて、私、感じたことは、まず値上げの理由というのが、国の基準に沿って値上げを各県ともにするんだから理解してほしいということだったと思いますが、この3年ごとの基準の見直しだって、その年に上げる県、その次の年に上げる県──和歌山もこのうちに入ろうとしているわけですが──そして3年間かけて少しずつ上げる県、値上げを見送る県とさまざまに対応が分かれているわけで、画一的な対応にならなくてもいいんではないかというふうに感じております。
 また、この授業料の減免制度の見直しなど何らかの手だてをというふうに、私、求めたのに対して、困難な生徒には授業料減免と奨学金で対応を今までもしてきましたよという答弁でした。その上で、教育の機会均等と進路選択を保障するセーフティーネットとなるよう努力するという答弁を聞かせていただきました。これは制度の問題ですから、一存ではいかないということは十分承知をしてるつもりです。しかし、本当に援助の手が必要な家庭に必要な援助がされているかといえば、私はまだまだ不十分だと思ってるんですね。
 これも現場でお聞きしてきた話なんですけども、給食費を長い間滞納していた子供のケースです。給食費を払うということは修学援助を受けていない家庭なんですね。この家庭、小学校と中学校にそれぞれ子供がいて、月々8000数百円というこの給食費の負担がつらくなって長く滞っておったと。何度も連絡をとり家庭訪問もするんだけれど、いつも家は留守のようで連絡がとれてなかったというんです。仕方がないので、学校の帰りに子供についていって家へ行ったそうであります。すると、真っ暗な家の中から電気をつけてお母さんが出てこられたというんですね。留守なんかではなくて、電気をつけずにいたんです。お母さんは失業中だったそうで、先生に何度もわびながら支払いの約束をしたそうです。そして、しばらく期間を置いて、お母さんは学校にやってきました。その手には、やっと入った失業手当のお金が握り締められてたというんですね。
 この修学援助や授業料免除、本当にこのセーフティーネットが予防的役割を果たせているでしょうか。減免基準の金額、これをとっても、パートを2つも3つも一生懸命かけ持ちをして必死に働いていることが、わずかに基準を上回ってそういうことになったりとか、画一的にその金額だけで線を引くことがいいのかどうかという悩みの声も聞いてまいりました。
 こういったボーダーラインすれすれで頑張っている家庭にも授業料の値上げだけでは済まない出費がどんどんどんどん重なっていく、こういう大変苦しい家庭、ふえてるわけです。これに何らかの手だてを検討できないかというのが私の趣旨でございまして、食い下がるようですが、再度この授業料値上げ問題で、もう一度教育長の答弁を願います。
○副議長(新島 雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 再質問をいただきました授業料の問題でございますけれども、この値上げをせざるを得ないという状況につきましては、和歌山県としても財政的に非常に難しい困難な状況の中で、一定の負担増もお願いせざるを得ないという状況が一般的な状況でございますけれども、ただ、私どもとすれば、むしろ積極的に上げたいというよりも、やはり国の状況に合わせていかざるを得ない面もあるという、そこの事情を逆に御理解をいただきたいなというふうに思っております。
 それから、この基準の適正、適切さということについて、議員が御紹介いただきましたように、大変苦しい家庭が決して珍しくない状況もあるということは重々承知してございます。私も現場におりましたときに、そのような家庭にたびたび遭遇をいたしました。そのときに、例えば前年度の収入は十分あるけれども、会社のリストラに遭って今大変生活に困っているというような状況もございました。そういう場合には、個々のケースに応じた、かなり丁寧な弾力的な対応も県のほうでとっていただいた経験もございます。
 そういうこともございまして、一律に金額だけの基準で措置するということは避けるように丁寧な対応を心がけてきていると思いますので、今後とも、個々の具体的なケースに応じた丁寧な対応ができるよう心がけてまいりたいというふうに考えます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再々質問を許します。
 42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 教育長から答弁いただきました。本当に苦しい家庭も珍しくない、個々のケースに応じた丁寧な対応を心がけていきたいという、そういう決意も聞かせていただきました。
 この問題は、今後のこの議会での議論と新年度に向けた取り組みに譲りたいと思いますけれども、ぜひこの長引く不況や格差社会といった社会の波に翻弄されながら懸命に成長していく和歌山の子供たちに、ぜひ心寄り添いながら取り組んでいただきたい、そしてまた、新年度事業でもそれを踏まえて頑張っていただきたいということを要望いたしまして、私の質問は終わらせていただきます。
○副議長(新島 雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時37分散会

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