平成19年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(藤本眞利子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 おはようございます。
 昨年の9月、初めて県議会壇上に登壇をさせていただき、早いもので1年が経過をしました。昨年は、議会中の大阪地検による知事室捜索に続く前代未聞の官製談合事件が発覚、前木村知事の逮捕に至りました。前知事は当初、「やましいところはないが、県政の混乱の責任をとって辞任する、退任する」と発言され、引責辞任をされました。その後、逮捕されましたが、当初は全く無責任きわまりない発言をされました。
 また、国のトップである安倍首相は、参議院選挙の結果を受け、「反省すべきは反省し、人心一新」という発言をされ、8月27日に改造内閣を発足されましたが、その舌の根も乾かないうちに、「今身を引くことが最善と判断した」とおやめになりました。国、県のトップのお2人の言動とその引き際を見るにつけ、政治家としての身の処し方にその人なりの人格を見る思いがいたします。私は、1人の議会人として、自分の発した言動の重みをしっかり認識し、活動を続けたいと思いを強くしております。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 9月に入ったというのに、本当にまだまだ暑い日が続いています。「暑さ寒さも彼岸まで」と言われていますが、ことしは本当に暑い夏であります。地域によっては40度を記録する猛暑となり、いやが応でも温暖化の影響と考えざるを得ません。
 アル・ゴア前副大統領が監督された「不都合な真実」という映画を見ました。南極や北極が、崩壊していく氷河の映像が映し出されました。ヒマラヤに象徴される山岳地帯の氷河の後退と、解けた氷河によってつくり出された4977個にも及ぶ湖が、まるで鏡のように光を反射していました。また、このように自然につくり出された湖はもろいため、いつ決壊するかわからない状態で、決壊した場合の破壊され尽くすであろう村々のことを語りかけていました。また、氷河が縮小されていった場合、氷河を水源としているガンジス川などの河川は恐らく干上がり、その地域の人々の暮らしはどうなっていくのかと問いかけていました。映像は、今まさに加速度を増して温暖化が進んでいる地球の状況を映し出していました。
 2007年2月、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が地球温暖化に関する第4次報告を発表しました。IPCCは、全世界で300人の気候変動を研究する科学者と多分野の専門家を含めて1000人以上が集まって、国連に直接属する形で調査・発表している団体であります。「気候システムの温暖化には疑う余地がない。このことは、大気や太陽の世界平均気温の上昇、雪氷の広範囲にわたる融解・溶解、世界平均海面水位の上昇が観測されていることからも今や明白である」と明言しています。
 イギリスの「インディペンデント」紙などの外国のマスコミでは、間に合わないかもしれない、間に合うとしたらいつまでかという議論が行われています。1つのきっかけが次の温暖化を招き、その次の事態を加速させるとしたら、雪玉が転がり始めるとどんどん大きくなって坂を転がり落ちる状態にあると言えます。
 和歌山県は、森林に恵まれ、海の豊かさを受けている地域であります。県土総面積の77%が森林であります。今回のIPCCの報告で、10年当たり0.13度の気温上昇があったとしています。気温が変わってくるので、寒帯の地帯は亜寒帯に、温帯の地域は亜熱帯地域に移動していくことになります。和歌山の果樹のミカンなども生産地域が変わってくると予測されています。
 温暖化が進むことにより、二酸化炭素を吸ってくれるはずの木が気候に合わなくなって立ち枯れ、微生物に分解され、逆に二酸化炭素を出すことになります。
 黒潮に恵まれた海はどうでしょう。沖縄県南西部の石垣島と西表島の間にある日本最大のサンゴ礁、石西礁瑚、面積130平方キロメートル──山手線の内側が2つ入る大きさでありますが──1980年から2003年に石西礁瑚のサンゴの75%が死滅したと伝えています。石西礁瑚の最大の原因は、温暖化による海水温上昇と考えられています。サンゴの中に炭酸カルシウムの形で固められていた二酸化炭素が大量に溶け出し、海が二酸化炭素を吸収しなくなると、今度は逆に二酸化炭素を排出する側になっていくと考えられます。ラムサール条約に登録された串本の海は大丈夫でしょうか。
 このように、温暖化の上昇スピードはどんどん加速されていきます。これまで進んできた温暖化の現象と、これから進むであろう温暖化のレベルでは、けたが違います。掛け算と2乗の違いがあると言われています。
 8日にシドニーで開幕したアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は、初めて地球温暖化問題の特別声明「シドニー宣言」を採択しました。温室効果ガス削減の新たな枠組みをにらみ、交渉に入りました。日本も12年度までに──2012年度です──排出削減6%を達成しなければなりませんが、今現在、逆に排出量がふえているといった状況です。
 今般、平成19年度での「和歌山県環境白書」が示されました。和歌山県においても、和歌山県地球温暖化対策地域推進計画において、2010年度までに1990年と比べ3.9%の削減目標を示していますが、同計画の将来推計によると、何の対策も講じなければ、1990年と比較して2010年度には2.6%増加する見通しが示されています。森林による吸収最大6.7%と効果ガス削減3.9%を合わせた最大10.6%の数値を目標とされており、残念なことに、県においても、何もしなければ国同様に排出量がふえてくると思われる状況であります。
 私は、この現状を憂慮し、今こそ森林と海、日照時間が長いといった恵まれた自然に囲まれた和歌山が、例えば化石燃料から自然エネルギーへの転換を進めるなど、全国のトップを切って環境先進県へとかじを切るべきだと考えます。
 そこで、知事にお伺いをします。
 温室効果ガス削減に向け、県のトップである知事の認識と取り組みへの決意が大変重要であると思いますが、その点について知事の御所見をお伺いします。
 次に、環境保全といった観点から、農業問題について農林水産部長にお伺いをします。
 和歌山市は、米の生産量が県内の40%を占めるなど、稲作を行う兼業農家が多い地域であります。中心市街地から少し離れると、まだまだ多くの田んぼが見られます。和歌山市では、都市計画で言う市街化地域と調整地域という区分けを行っております。地域によって、同じように米をつくっていても、土地にかかる所得税に大きな違いが生じています。
 市街地では、1反につき10万円の固定資産税がかかります。1反で最大10俵の米が収穫できますが、平均9俵だそうです。1俵1万2000~3000円ですので、収入はおよそ11~13万程度です。それに肥料代、農薬、水利費等々の経費を入れると赤字といった経営状態です。
 農業者も高齢になって後継者もいないという中で、市街化区域ではどんどん農地が宅地化されてきました。私の近所でも、湊神前線沿いの田んぼはどんどん宅地化され、大型スーパーや大型店舗が進出し、住民にとっては大変便利になりましたが、田んぼは確実に減少をしています。
 また、貴志川線沿いの神前の周辺は、反対に調整区域であったので農地を売ることができなかったのですが、和歌山市が都市計画での調整区域開発要件の緩和を行って以来、瞬く間に田んぼが宅地に変わってきました。和歌山市の農地の減少率は、25年前と比べると30%近くに上っています。このままでは和歌山市の農地は、近い将来、ほとんどが宅地化されていくと考えられます。
 しかし、田んぼは、畑やお米や野菜をつくるというだけでなく、環境の保全という大きな役割もあります。また、水を張った田んぼというのは本当にすがすがしいものですし、洪水時には遊水地として大きな役割を担ってくれます。身近な田や畑は教育的にも大きな意義を持っています。
 国においては、品目横断的経営安定化対策として、担い手事業で、4ヘクタール以上の認定農業者あるいは20ヘクタール以上の集落営農にのみ、米、麦、大豆、てん菜、でん粉原料のバレイショの5品目にのみ価格支持をしています。和歌山県にその条件を満たす農業者や品目があるでしょうか。
 和歌山県の大半は中小零細農家であります。命を支え、環境を育て、文化をつくるといった視点から、この中小零細農家が農地を守られるような経営基盤確立のための施策が必要だと考えます。取り組みの現状と今後の対策についてお伺いをします。
 有機農業推進法、岸本議員からもお話がありましたが、昨年の12月に衆議院本会議で可決・成立しました。国と自治体に、農業者や消費者の協力を得ながら有機農業を推進する責務を課した画期的な法律であります。
 埼玉県比企郡小川町下里で30年来有機農業を実践され、全国有機農業団体協議会の代表として有機農業推進基本方針策定に関する有機農業者からの意見を農水省に提案した人物でもある金子美登氏の講演を聞く機会があり、その内容に大いに感銘を受けました。
 たった1人で始めた有機農業は、今では水田は150アール、雑穀畑30アール、野菜畑100アール、果樹園10アール、ハウス2.5アールを栽培し、山林1.7ヘクタールの育成、乳牛3頭、鶏200羽を飼育する農業に成長しています。農業を営む傍ら、1994年に乳牛のふん尿、生ごみを使いバイオガス施設を建設し、自宅台所のガスの供給を開始。昨年には、500世帯分、学校給食残滓も活用した新たなバイオガス新プラントも着手をしました。2003年には特別栽培大豆集団栽培を開始し、その後、耕作面積を拡大しながら生産された大豆の買い取りを地場の豆腐加工業者に任せるなど、集落全体が再生可能な有機農業を営む村に生まれ変わりつつあります。
 小川町下里では、安全と信頼を獲得した農作物は付加価値がつき、再生産可能な価格で取引をされ、有機農業と地場食品産業の立ち上げ、バイオエネルギーの利用とともに持続可能な農業へと大きく転換を果たしました。「最初は、変わり者だということで、だれも相手をしてくれなかったんですよ」と金子氏はおっしゃっていましたが、今では国内40人、国外36カ国80名の研修生を受け入れています。
 和歌山県においても、わらしべ農法というやり方で、農薬を使わずに葉野菜を栽培しているグループの皆さんにお話を聞かせていただきました。農薬も全く使用せず毎日出荷可能な農法ですが、まだまだ少人数の取り組みにとどまっています。そのような環境と調和のとれた持続可能な農業の推進が必要だと考えます。
 そこで、和歌山県における環境保全型農業の推進に向けた取り組みについてお伺いします。
 森の保全について、引き続き農林水産部長にお伺いをします。
 ことしの夏は和歌山県下を走り回りまして、和歌山というのは本当に森林の多いところだなあというのを実感いたしました。県土総面積の77%を占める森林は95%近くが民有林で占められており、その民有林の60%近くが人工林という現状であるというふうにお聞きをしました。
 「森は海の恋人」というキャッチフレーズをお聞きになった方も多いと思いますが、森の健全な育成は、自然の循環を豊かにするために大きな役割を負っています。また、環境問題を考える上でも、今後重要な課題であると考えます。
 しかし、残念なことに、手入れのされていない人工林が目立ちます。間伐が行われていないため、森の中は暗く、細い木ばかりが林立しているという状況が見られるという事実であります。森の健全な育成のためには、間伐を行い、下草を刈り、枝打ちをするといった手入れが欠かせないことは、もう皆さんだれもが承知をしていることですが、そういった林業に従事する人材が、緑の雇用で若干ふえたものの、戦後どんどん減少をしています。従業員数は10年前と比べてもさらに1000人程度少なくなり、現在1021人という就業者数であります。これでは、30万ヘクタールを有する和歌山県の森林の手当ては到底できません。
 就業者数の減少の原因は幾つかあると思いますが、その最大の原因は、木の価格低下による林業経営の破綻にあると考えられます。現在、杉山元立木価格が1立方メートルにつき3542円であります。全国平均3628円ですので、全国平均よりやや低い状態です。これが10年前だと1万1730円ですので、その価格の低落は目を覆うばかりです。そういった価格は、もちろん木材価格にも反映されています。
 これからの森林の健全な育成のために、林業経営の健全化は欠かせません。現在、大量に入ってきていた外材も、資源の減少や違法伐採の問題等々があり、縮小の動きが見え始めました。また、中国やインドの需要の高まりを受けて、今後は国産材の需要が高まると予測され、和歌山の木材を売り出す格好の時期が来たと言えます。そのため、森林の環境整備を早急に行う必要があると考えます。
 現在、林道整備は順次行われておりますが、林道から入る作業道の整備が大変おくれています。作業道は、森林の手入れや切り出しのためにはなくてはならない道であります。しかも、急傾斜地にある紀州材は切り出すのにコストがかかるため、他の府県よりも割高になってしまいます。コスト削減を図り、林業経営の健全化を進めるためにも、作業道の整備は不可欠です。作業道に係る予算額の優先順位を高め、早急に進めるべきだと考えます。
 そこで、現在の作業道の進捗状況と今後の取り組みをお伺いします。
 コスト削減を図りながら、さらに、他府県との競争に負けないために、今後、紀州材の質の向上を目指すべきであると考えます。和歌山の杉、ヒノキは強いと言われています。それを裏づけるデータの集積や木材の基礎研究が必要不可欠であると考えます。研究の現状をお伺いします。
 また、現在、中国の木材需要が高まっているとお聞きしています。最大の需要先である国内や中国など外国に売り出すため、品質のよい紀州材といったブランド化を進めるべきだと考えます。取り組みの現状をお聞かせください。
 さらに、県としても木材需要を進めるための施策が必要と考えます。現在の取り組みと、今後、需要拡大・開拓に向けた新たな施策のあり方についてお考えをお聞かせください。
 次に、奨学金制度について教育長にお伺いをします。
 県は、修学奨励事業として、高校奨学金と大学進学助成金の貸し付けを行っています。これらの事業は、同和対策特別措置法が失効し、解放奨学金制度が廃止された後を受け、部落解放運動等の要望の中で新規の一般対策として2002年度より国の補助事業として高校奨学金事業が立ち上がりました。しかし、2005年度より、地方への税源移譲、国の補助金廃止という三位一体改革の中で、一たん高校奨学金制度も廃止となりました。
 スタート時は、原資として旧日本育英会の91億円と事務経費が交付金として県にも交付され、補助事業の奨学金から県固有の高校奨学金制度として運用されています。県では、高校生を対象とした高校奨学金制度と大学進学時に貸し付ける進学助成金制度の2本の貸し付け制度を行っています。この高校奨学金制度は、全国的にはほぼ同じ基準で設置をされており、年々利用者が増加しています。大学進学助成金は全く県単独事業であります。
 和歌山県の場合、公共交通のない山村が多く点在しています。例えば北山村では、一番近い新宮の高校に通うにも交通手段がないため、ひとり暮らしをしなければなりません。こういったことは紀南地方では決して珍しいことではありません。高校入試が全県1区になったため、高校進学時に親元を離れ、ひとり暮らしをしなければならない生徒もあります。また、全県1区にしたため、選択肢が広がったという反面、経済的な理由から選択肢が狭まったということも言えます。選択肢の広がりは経済的な裏づけを伴うため、費用を捻出できる家庭はいいのですが、負担のできない家庭も多いと聞いています。高校から親元を離れると保護者の負担は大変大きなものがあります。毎月の仕送りに四苦八苦といった実態ではないでしょうか。
 そこで、和歌山県のこういった地域的な問題、入試制度の問題を考えるとき、奨学金制度をもっと充実させるべきだと考えます。
 1つに、高校入学時の諸費用をカバーする入学支度金の新設と貸与基準額の撤廃をぜひ検討していただきたい。教育の機会均等という意味から高校選択を全県1区にしたのであれば、それに見合う何らかの手当てをするべきだと考えます。
 また、大学進学助成金についても、50万円の貸与額では到底足りません。和歌山県は全国の中でも県外に進学する生徒が最も多い県であります。通学費だけでも大変な負担です。保護者に負担をかけなくても安心して大学に行けるような貸与額の拡大についても検討していただきたいと思います。教育長の所見をお伺いします。
 最後に、インターネット、携帯サイトによる犯罪防止対策についてお伺いします。
 警察庁8月付の発表によると、出会い系サイトの関係した事件の検挙件数は上半期で907件となっています。そのうち、被害者708人のうち18歳未満の児童が604人、85.3%を占め、そのうち女子が601人と99.5%です。児童の性的被害に係る事犯は689件、検挙全体の76%。そのうち、出会い系サイトへのアクセス手段として携帯電話を使用した被害児童は、604人のうち577人で、99.5%を占めています。この数字から、検挙数の8割近くが出会い系サイトによるもので、被害者は18歳未満の女子、携帯サイトからアクセスをし、被害に遭っているという状況が浮かび上がります。
 具体的な事例を少し紹介します。
 出会い系サイトを通じて知り合った女子児童を援助交際目的でホテルに連れ込み性交するとともに、性交場面を撮影した児童ポルノを製造し、同画像を成人向け雑誌に投稿した。出会い系サイトで知り合った女子児童にホテルでわいせつな行為をするとともに、覚せい剤を注射したとする者。出会い系サイトで知り合った女子児童をパチンコ店駐車場に呼び出し、強姦するとともに財布、携帯電話を窃取し、取り返そうとした同児童に暴行を加えたなどなど、枚挙にいとまがありません。これは、警察発表による、あくまで事件として検挙された数ですので、こういった事例は氷山の一角とみなさなければなりません。
 最近は、小学生に携帯電話を持たせる家庭も年々ふえてきています。小学生の保護者の多くは、子供の安全のために携帯電話を持たせているとの理由がほとんどでありますが、この安全は親の自己満足の安全でしかないということ、その裏にある途方もないやみの危険を余りにも認識していないというほかありません。しかも、こういったインターネット絡みの事件が多発しているにもかかわらず、その危険性を保護者や大人が十分認識していないということも問題ですが、子供たちをサイバー犯罪から守るための法律やシステムのない社会であるといった点で大変深刻な問題だと考えます。
 また、出会い系サイト以外にも、携帯から裏サイトへ接続し、学校間でのトラブルやいじめに発展しているといった事例も多発しています。中学校の掲示板に、ある1人の生徒がある生徒の実名を挙げ誹謗中傷を繰り返す、それについて複数の生徒が書き込みを繰り返しいじめに発展していくといった事例が報告されています。また、中学校裏サイトでの人権侵害事例も多発しています。学校の掲示板からの書き込みは中学校での報告が多いようですが、小学校に波及してくるのは間違いありません。
 こういった事例は、今のところ、被害を受けた本人が担任や生徒指導の教師に報告し、サイトの管理者に削除を求めるといった方法がとられているようでありますが、本当のところ、イタチごっこであります。1つが削除されても、次の日にはまた違う書き込みが発生するという状況であります。
 しかし、一番の問題は、こういった携帯電話からのさまざまな事件や人権侵害が発生しているにもかかわらず、保護者、学校関係者、教育委員会など、児童生徒を取り巻く関係機関が実態を把握していないということです。反対に、実態を把握しようにも被害実態が把握できないといった問題にあります。
 現在、こういった問題に対して国レベルの規制がない中、法的な規制のよりどころとしては、県の青少年健全育成条例があります。21条の7に、関係者は青少年が有害情報を閲覧や視聴することのないようにそれぞれの立場で努めなければなりませんといった努力義務が明記をされていますが、実態とはおよそかけ離れたものであると考えます。
 そこで、環境生活部長、教育長、警察本部長、それぞれ現在の取り組みの状況をお聞きしたいと思います。
 誠意ある御答弁をお願いして、第1問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの藤本眞利子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 地球温暖化についてでございます。
 地球温暖化問題は、気候の変動をもたらし、生態系への悪影響や人間への健康被害、自然災害の増加など、その影響の大きさ、深刻さから見て人類の生存基盤にかかわる最も重要な問題の1つでありまして、喫緊に取り組むべき課題であると認識しております。
 本県では、昨年3月に和歌山県地球温暖化対策地域推進計画を策定し、平成22年度の温室効果ガスの排出量を平成2年度と比較して3.9%削減することを目標に、すべての主体による二酸化炭素の排出抑制や、森林県である特徴を生かして二酸化炭素吸収源対策を推進することとしております。また、この9月からは、多量に二酸化炭素を排出する事業所に対し、温室効果ガス削減の排出抑制計画、定期報告の提出を義務づけるなどを内容といたしました和歌山県地球温暖化対策条例を施行するなど、積極的に地球温暖化対策に取り組んでいるところであります。
 さらに、化石燃料から自然エネルギーへの転換は地球温暖化防止を図る上で重要であると考えておりまして、日照時間が全国でも長いという本県の特性を踏まえた太陽光発電を初め、風力発電など新エネルギーの導入促進につきましてはあらゆる制度を活用しながら一層推進してまいりたいと考えております。
 本件は、産業活動のみならず、運輸活動あるいは民生活動すべてにかかわる大問題であります。それゆえに大変な広がりを持った政策を推進していかないといけないと思っております。
 今後とも、この環境対策を県行政の柱の1つといたしまして位置づけまして、環境先進県和歌山を目指して積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
○議長(中村裕一君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 農業問題2点と林業問題2点についてお答えをいたしたいと思います。
 まず、農業問題でございますが、第1点目の小規模零細農家に対する支援と今後の対策ということでございますが、先ほど話ございましたように、本県の農業というのは、傾斜地を利用しました果樹をベースにした農業ということでございまして、国の規模をベースにした、規模拡大といいますか、それをベースにした品目横断的な農業経営というんですか、農業振興とは若干なじみにくいところがあるというふうに考えてございます。
 お話のように、都市部の農家の経営規模というのは小さいということでございまして、兼業化を初めとして、高齢化あるいはその都市化の進行等もございまして、厳しい現状にあるというふうに認識をしてございます。
 そういう中で、意欲を持っておられる農家に対しまして、県単事業の野菜花き産地活性化事業などを活用しながら、野菜との複合経営とか、あるいはその施設栽培などの振興に努めてきてございます。
 また、その基盤となる農地でございますが、生産の場であると同時に、景観の維持とか、あるいは洪水調節機能といった環境保全の面、また学童農園などの教育の場としても重要な役割を果たしてございます。
 今後、さらに地域農業あるいはその環境を守るという観点から、これまでの生産振興策に加えまして、集落での話し合いによる農地の流動化、また作業受託等による組織の育成に努めまして経営の安定化を図るとともに、農地・水・環境保全向上対策等による農地や水の管理など、共同活動への支援を積極的に進めてまいりたいというふうに考えてございます。
 次に、環境保全型農業の推進についてということでございますが、農業者の環境保全に対する理解の深まりとか、あるいは消費者の安心・安全に対する関心の高まりということの中で、県としては、平成6年に既に策定をいたしました環境保全型農業推進基本方針ということに基づきまして、これまで有機物を利用した土づくり、これを基本にいたしまして、減農薬等に取り組むエコファーマーの育成、また化学肥料・農薬を従来の50%以下に制限をした特別栽培等の促進などに取り組んできてございます。特に最近では、輸入農産物の問題とか、あるいは食の安全を揺るがすような問題の発生などもございまして、これまでに増して安心・安全な農産物に対するニーズが高まってございます。
 こうしたことを踏まえまして、県といたしましては、有機農業の推進に関する法律の制定を契機にいたしまして、天敵とか、あるいはフェロモン剤を利用した防除技術の開発、またそれを実践するグループの育成、そういったことを通じまして環境保全型農業への取り組みというものをより一層強化してまいりたいというふうに考えてございます。
 次に、森林保全等に関する林業問題でございますが、まず作業道の整備についてでございます。
 議員御指摘のように、林業経営の健全化を図っていくという上におきまして、作業道というのは不可欠でございまして、県としても、これまで森のチカラ再生サポート事業という県単事業等を始めまして、国の事業も活用しながら積極的に取り組んできてございます。しかしながら、御承知のように、本県の地形というのは非常に急峻でございまして、17年度末でその作業道の率といいますか、ヘクタール当たり3.2メーターというような状況がございまして、全国平均の5.3メートルというのに比べまして若干おくれているということになってございます。
 今後、低コストな作業システムを定着させまして林業の活性化を図るということには作業道の整備というのは最重要課題であるというふうに考えてございます。そういう中で、安価に整備ができる方法などを取り入れまして、延長の確保ということを基本にして積極的に、計画的に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
 次に、紀州材のブランド化と需要拡大についてでございますが、紀州材につきましては、林業試験場のこれまでの試験結果からしまして、曲げ強度といいますか、その指標となるヤング係数というのがございますが、これにつきましては、杉、ヒノキ両方、国が示した数値を上回ってございまして、強度的にはすぐれてございます。また、色合いのよさということも含めまして、従来から市場の評価も得ているところでございます。
 こうした中で、紀州材の需要拡大を図っていくというそのために、公共施設への率先的な利用、また住宅に対する費用の一部助成、それからマリーナシティにおけるモデル住宅の展示とかPRイベント、こういったことを開催するほか、中国市場での販売の可能性についても調査を行ってございます。
 今後、こうした取り組みに加えまして、東京あるいは大阪南部といった大消費地における販売、また合板メーカーへの原木の出荷といった新たな販路開拓に積極的に取り組むなどいたしまして紀州材のブランド力の向上に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) ネット犯罪に関する御質問にお答えを申し上げます。
 インターネットに絡む犯罪から青少年を守るための取り組みについてでございます。
 高度情報化社会の進展によりまして、社会活動あるいは経済活動等の利便性が飛躍的に高まった一方、議員御指摘のとおり、情報化のやみの部分として、インターネットを利用しての誹謗中傷メール、あるいは出会い系サイトに絡んだ事件など全国的に多発をしておりますこと、極めて憂慮すべき状況にあると考えております。
 このような状況を踏まえまして、県におきましては、平成17年の1月、御指摘がありましたように青少年健全育成条例を改正いたしまして、保護者やインターネットカフェ業者等に対しまして、青少年に有害情報等を閲覧・視聴をさせないような措置を講じるよう自主的な取り組みを促進しているところでございます。
 また、これに加えまして、インターネットカフェ等に対するいわゆる立入検査を行いまして、青少年の利用する端末へのフィルタリング措置を指導しているところでございます。
 また、保護者や関係機関等に対しましても、平成14年以降、出会い系サイトの危険性等の啓発を行いますとともに、本年5月には、県内の地域指導者等を集めまして、ネット社会の現状や対策についての研修会も開催をしたところでございます。
 今後とも、引き続き積極的に啓発活動を推進してまいりますとともに、教育委員会や警察本部とも連携を図りまして、青少年に対し、情報化社会における正しい知識と能力の向上に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) まず、奨学金制度の拡充についてお答えいたします。
 高等学校等の生徒に対する奨学金は、経済的事情によって修学が困難な生徒への修学の奨励と教育の機会均等を図ることを目的とするものでございます。こうした奨学金の趣旨から、経済的事情を判断するための貸与基準を撤廃するということは困難でありますが、貸与基準となる世帯の年間収入額を平成17年度から生活保護基準の2倍までに緩和をしたところでございまして、その後、貸与人員が増加している状況にあることを御理解いただきたいと思います。
 高校入学時の入学支度金の新設や大学進学時の進学助成金の貸与額の増額につきましては、厳しい財政事情の中、極めて困難でございますが、今後とも他府県の状況等を勘案しながら研究をしてまいりたいと考えてございます。
 次に、インターネット、携帯サイトによる犯罪防止対策についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、近年、携帯電話やインターネットが急激に普及したことに伴い、子供たちが犯罪に巻き込まれたり、健康面や精神面に悪影響を及ぼしたりする状況が生じていると認識してございます。
 教育委員会では、平成13年度から携帯電話を学校に持ち込ませないことを原則とする一方で、各学校において、出会い系サイトに関連した性犯罪の防止や人権への配慮等について関係機関と連携して日ごろから取り組むよう指導をしてまいりました。
 こうした中で、今年度は、県警察本部の協力を得まして、生徒指導担当教員に対しまして、サイバー犯罪から子供たちを守るため、その具体的な指導方法や対応について研修会を実施し、改めて全教職員が危機意識を持って取り組むよう指導したところでございます。
 また、保護者が現状への危機意識を持って子供の携帯電話やパソコンの利用を注意深く見守ることが極めて重要であると考えてございます。そのため、危機的現状の理解や有害情報から子供を守るフィルタリングの利用等につきまして、保護者の取り組みが進むよう、PTA活動など、さまざまな機会をとらえて働きかけているところであります。
 今後とも、子供たちが有効かつ適切に情報機器を活用できるよう指導するとともに、保護者や関係機関と連携を密にしながら情報を的確に収集し、子供たちを守る取り組みを進めてまいります。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 警察本部長鶴谷明憲君。
  〔鶴谷明憲君、登壇〕
○警察本部長(鶴谷明憲君) 出会い系サイトなどによる福祉犯被害から子供を守る取り組みについてお答えをします。
 議員御指摘のとおり、特に子供の携帯電話の利用に関しては、緊急連絡用や子供の居場所確認などにおいて有効に利用されている反面、インターネット上にはわいせつな情報、暴力的な情報など、さまざまな違法・有害情報が存在しております。
 子供の被害に係る福祉犯罪の検挙は、昨年中19件13人でありまして、そのうち出会い系サイトに関係した事犯は6件で、小学生2名を含む女子児童8名を保護しております。本年も、昨日までに同サイトに係る事犯で3件を検挙し、女子児童3名を保護しているところであります。
 こうした状況を踏まえ、出会い系サイト事業者に対する児童の利用防止や不適切な書き込みの削除など指導の強化を図っているほか、サイバーパトロールを通じた取り締まりを行うとともに、特に教育委員会との連携のもと、学校関係者、保護者に対する危険性の認識を共有していただくための安全講習の実施、携帯電話のフィルタリングの普及活動、さらには子供たちに対する非行防止教室での出会い系サイトの利用禁止等の指導活動を行っているところであります。
 今後とも、引き続き取り締まりの強化とともに、関係機関と連携した取り組みを強化してまいりたいと考えております。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 36番藤本眞利子君。
○藤本眞利子君 それぞれに御答弁をいただきましてありがとうございました。
 環境問題につきましては、日本人というのは本当に根がまじめで、こんだけ分別を行っているというのは、ほかの国ではないというふうに聞いています。
 ドイツなんかは、風力発電とか太陽光発電にするというのは、そういうことをすると得になるというふうな社会システムに変えているというふうなことで、まあドイツにできることはこんだけ一生懸命働く日本人にできないことはありませんので、ぜひとも進めていっていただきたいんですが。
 きょうの「毎日新聞」のほうにも、市民が資金を出し合って自然エネルギーで発電する市民共同発電所が全国に広がり、185基に上ることがわかったというふうな記事も載っておりまして、国民的にもかなりこういった問題には関心が高まっているというふうなことだと思います。温暖化に待ったはありませんので、知事の決意のもとに着実に取り組んでいただきたいというふうに要望します。
 それから、奨学金制度について、すぐに拡充というのは大変難しい、今後の研究にゆだねたいというふうな御答弁でしたので、ぜひとも研究を進めていっていただきたいんですが、この制度を知らない県民の皆さんも多いようにお聞きしておりますので、こういったことの周知をよろしくお願いしたいと思います。
 それから、インターネット、携帯サイトによる犯罪防止対策であります。
 環境生活部長、教育長、警察本部長と、それぞれにお答えをいただきました。そやけど、こんなことでこの犯罪は取り締まれるのかな、なくなっていくんかなあ、ほんまに緩い取り組みしかできてないなあというのが本音のところです。情報化のやみの部分として認識してるとか、それから、極めて憂慮すべき状況やとおっしゃってくれてるんですが、それに対して有効な手が打てていないというのが今の実態だというふうに思います。もう今の時点でも子供が犠牲になっているかと思うと、本当に歯がゆい思いをしているわけですが、もう啓発とか指導ではこの問題を解決できないんじゃないか。
 条例でどこまで規制をかけられていくのかとか、それから業者を──NTTさんとか、auさんとかの業者を巻き込んでどこまでフィルタリングの措置を進められていくのかとか。それから、監視する機構ですね。学校の現場から今の実態を把握できなくなってるんですね。黒潮ネットとかでカットされてますので。そういったことも、きちんと調べなければいけないところはきちんと調べられるようなところが必要だと思いますので、そういった機構をどうするのかというものは、やっぱり解決をしてほしい課題だと思います。これも山積しておりますので、ぜひとも各関係者が連携を密にしながら取り組みを強化していただきたい。早急に協議を始めていただきたいというふうに強く要望します。
 知事にも今の実態を聞いていただきましたので、この問題について取り組んでいただきますように強く要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(中村裕一君) ただいまの質問は要望でありますので、以上で藤本眞利子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時40分休憩
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