平成19年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(浅井修一郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前10時1分開議
○議長(中村裕一君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第115号から議案第143号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 4番浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕(拍手)
○浅井修一郎君 皆さん、おはようございます。
 本日は今議会の一般質問の最終日、きょうはトップバッターということで、少し早い目に議場へ入りまして、水も用意しまして、それで議事課長のサインを確認して、開会の通告をお願いし、また議長の一般質問の言葉で慌てて手を挙げ自分で登壇と、大変きょうは慌ただしいけさでございます。そのような中、私もきょうはミカンレンジャーとともに頑張ってまいりたいというように思います。
 仁坂知事が誕生いたしまして、6月議会、この9月議会のクールビズの期間中、私は知事のワイシャツを絶対、必ず見てました。いつになったら紀州レンジャーを連れて議場へ来てくれるのかということで待っておったわけですけども、きょうまでまだそれは確認されておりません。やはり前木村知事の時代に誕生した紀州レンジャーということで、少し抵抗があるのかなあというふうに思いながら、数名の職員さんに聞くと、「いや、知事はそういうようなちっちゃい人間じゃない。和歌山県を売り出すことになったら何でも使って売り出す」ということで、先日もはっぴを着て、桃レンジャーを連れて市場のほうへトップセールスに行ったというのを聞きまして安心したわけでございますけども、仁坂さんが知事になられてから、このクールビズで、職員さんが大分この紀州レンジャーを着る人が少なくなった。やはり知事さんが着ないと着づらいというふうな声もあります。
 木村知事は犯罪を犯しましたけども、紀州レンジャーには何も罪ございません。今また新たにかつらぎのカキレンジャーと加太のタイレンジャーが誕生いたしまして、10レンジャーが頑張っております。どうか、今議会まだ最終日まで日にちがありますので、仁坂知事には、できたら最終日あたりにだれかレンジャーを連れて登壇いただければ私としては非常にありがたいなというように思っているところでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさしていただきます。
 まず初めに、青少年健全育成についてお尋ねいたします。
 最近、テレビや新聞等を見ていますと、家族間での痛ましい殺傷事件に関するニュースが日々報道されています。例えば、本年5月には、福島県で高校3年生の息子が母親を殺害し、母親の頭部を持って自首するといった事件や、昨年には、東京の歯科医師宅で次男がその妹を殺害し、しかも死体を損壊するといった事件、秋田県では母親が自分の娘や近所に住む小学1年生の児童を殺害、また、つい3日前の18日には、京都の京田辺市で16歳の次女が警察官の父親を手おので首を切り殺害するなど、通常考えられないような家族間での、しかも残虐きわまりない事件が発生しています。
 お手元に資料を配付させていただいておりますが、近親者に対する主な事件数を調べてみますと、2001年つまり平成13年には7件、14年には4件、15年には5件、16年に16件、17年に31件、18年になりますと39件と急増しており、今年度、平成19年度は9月現在で16件であります。
 京田辺市の事件では、近くに住む女性は次女について、「家の前などで会うときちんとあいさつするようなおとなしい感じの子。小さいころから知っているが、父親に何かするような子に見えなかったのでびっくりした」と話していますが、特別な子供ではなく、ごく普通の子供が事件を起こしているのであります。
 家庭は、子供の人間形成を培う上で重要な場所であります。子供は親との関係を通して人への基本的な信頼関係や自尊感情をはぐくみ、それを基盤として社会の中で成長していくことができるものです。しかしながら、先ほど述べました事件を通してもわかりますように、親と子供といった最も基本的な人間関係において、1世代前では考えられないくらい家族間における人間関係が希薄なものになってきています。このことは、家庭のみが問題とされるべきことではなく、家庭とともに青少年の健全育成に重要な役割を持っている学校や地域社会においても、現在では人と人のつながりが非常に弱いものになってしまっています。
 このような状況に至った幾つかの原因を私なりに分析してみました。
 まず、1つ目の要因として考えられるのが少子化です。子供の出生率の低下により、子供同士が群れて遊ぶ機会が減少し、親の子供に対する過干渉、放任などといった問題が複雑に絡んで、人の痛みのわからない子供や集団における社会性が育っていない子供を増加させることになりました。すなわち、友達をつくる子供が減少するとともに、自然との親しみや相手への思いやりといった心も失われてきております。
 次に、核家族化とも関係するのですが、学歴社会の中で親が子供に勉強を強要する余り、そのことが子供のストレスとなり、そのことが不登校やひきこもりをつくり出すとともに、ストレスの積み重ねによって、すなわちストレスが爆発することで校内暴力や家庭内暴力に及んでいくのではないかと思います。
 また、親子の会話が少なくなっていることや子供部屋等の個室をつくってきたこと、さらには大人の中でもストレスや閉塞感を抱く人がふえていることなどが家庭における人間関係の希薄化の要因の1つであると考えられます。
 次に、高度情報化、消費社会の急速な到来等による青少年を取り巻く環境の変化による携帯電話を含めたインターネットの普及は、情報伝達手段を大きく変え、人々にとって日常生活に欠かせないものとなりました。そして、青少年にとってつながりを確認する重要なツールとして急速に普及し、生活形態、交友関係に大きな変化をもたらしました。しかしながら、利便性をもたらした一方、ネットによる犯罪や出会い系サイトによる犯罪など、過去になかった新たな問題が噴出し、法整備を初め、一刻も早く国を挙げて対策を講じていかなければならない課題が出てきています。そして、このような環境の変化が児童生徒のひきこもり、いじめ、虐待、薬物乱用、飲酒、喫煙問題など青少年問題への影響を与えており、今後もこのような状況が続いていくと考えられます。
 最後に、近年、社会全体に広がる規範、道徳性等の意識の低下、とりわけ青少年の自制心や規範意識の低下、社会性の欠如、あるいは自立の立ちおくれや人間関係を築く力の未発達など、物の豊かさゆえの社会のひずみとも言うべき問題が指摘されています。「子供は社会の鏡」と言われるように、青少年に関するあらゆる問題は、すべて大人と大人社会に問題があると言っても過言ではありません。青少年育成国民会議のキャッチフレーズにある「大人が変われば、子どもも変わる」にありますように、青少年はどのような時代であっても、大人や大人社会が教え、鍛え、守り、育てることが必要であると思います。
 人生のおよそ3分の1に当たる青少年期をどのように過ごすかということは、青少年自身の問題であると同時に、次世代の担い手として、その成長をいかに支援するかということが本県にとりましても最重要課題であると思います。
 以上のように、青少年問題について、人間関係の希薄化に視点を置き、現状、要因等を述べましたが、そこで、ブルネイ大使も歴任され、長年中央官僚として携わってこられた仁坂知事に、個人としてこの現状をどう思われるのか、また県行政のトップとしてどういう対策が必要であるとお考えか、お尋ねいたします。
 また、環境生活部長には、行政マンとしてこれまで携わってこられた中での個人的な見解と、担当部長として今後どのように取り組まれるのか、お尋ねいたします。
 また教育長にも、長年教育現場で直接子供たちにかかわってこられた経験から、教育長個人としてこの問題をどう思われるのか、また教育行政のトップとして今後どのように取り組んでいかれるのかをお尋ねいたします。
 次に、国道42号有田海南道路とその関連接続道路についてお尋ねいたします。
 この問題は、私が初当選をさしていただいた平成15年9月議会、つまりちょうど4年前にさせていただいております。
 国道42号は、紀伊半島の基幹道路であり、本県の経済や産業にとって極めて重要な社会資本であります。中でも有田─海南間は県下でも有数の交通量があり、特に朝夕の交通渋滞は深刻な問題であり、渋滞時の救急車両の通行もままならない状況であります。
 ちなみに、所要時間の比較をいたしますと、私が県庁へ到着するのと、本年11月に田辺インターまで高速道路が南伸しますと、田辺からとほぼ同じぐらいに到着するだろうというふうに思います。
 何と申しましても、有田市、旧下津町にとってこの国道42号は唯一の重要な産業道路であり、また生活道路でもあります。特にこの間の道路形態は急斜面の海岸線を切り開いて通したような箇所が多く、近い将来発生すると言われております東南海・南海地震が起こりますと、土砂崩れや道路のひび割れ、陥没等で道路が寸断され、通行どめが発生すると、その影響は非常に甚大であります。
 そうした問題を抜本的に解消すべく、災害時の緊急物資の輸送等の代替道路としてバイパスルートの整備が必要であるとのことから、15年さかのぼること平成4年には有田市と旧下津町でこの問題に取り組み、平成9年5月には有田市、有田郡町村会及び旧下津町、海南市で国道42号・有田下津海南間整備促進協議会を設置し、さらに下津町と海南市の合併に伴い、平成17年5月からは国道42号有田海南間整備促進協議会と改称し、抜本的対策としてのバイパスルートの整備促進を国や県に対し、15年もの長きにわたり陳情や要望活動を熱心に続けていただいてまいりました。
 もちろん、先輩・同僚議員にも同様にメンバーの一員として取り組みをいただいておるわけでありますけども、尾崎要二先生には発足当時より頑張っていただいており、その熱心な取り組み姿勢をお手本に、私も頑張ってまいりたいと思います。また、私と同期である共産党県議団の雑賀、松坂の両議員さんには、陳情の中に道路特定財源の確保についても含まれており、党の方針とは異なっているにもかかわらず毎回欠かすことなく県、近畿整備局、国交省への陳情に同行をいただいており、その熱意と勇気に心より敬意を表するものであります。それだけに、地域住民の要望が多いということであります。
 そうした協議会一丸となった取り組みと県当局の働きかけのおかげで、近年やっと明るい兆しが見えてまいりました。ルートの素案ができ、一昨年から昨年度にかけ、タカ、ワシなどの猛禽類の生息調査を終え、昨年12月には有田市、海南市の全世帯を対象としたアンケート調査を実施。有田市では88.6%、全体でも78.2%と、国交省も驚くほどの高回答率でありました。また、その内容については、「この道路は必要である」が8割で、そのうち「予定しているルートでよい」と7割の人が答えられました。ここでも住民の関心の高さがうかがえるわけであります。県当局におかれましても、一日でも早く着工し供用開始されるよう、さらなる働きかけを願うものであります。
 国交省では、今年度、都市計画決定の手続に着手すると聞いておりますが、現状と今後の予定について県土整備部長にお尋ねいたします。
 また、バイパスルートの有田市側の起点は国道42号有田市野付近だと思いますが、右岸には有田─高野間を結ぶ国道480号があり、この国道との交差については、利便性を考慮し、平面交差での新しい橋を強く要望しているところでありますが、いかがでしょうか。あわせてお尋ねいたします。
 それともう1点、そのバイパスの起点である国道42号への県道有田湯浅道路、いわゆる「キララときめきロード」との接続についてであります。
 有田川の市域内には6本の橋がかかっておりますが、貫通して他市町へつながっているのは国道42号の有田大橋1本のみであり、あとは右岸、左岸、国道42号と480号を行ったり来たりするだけでありまして、私はこれらの橋をやゆして「あみだ橋」と呼んでおります。
 そこで、先ほどのバイパス起点、国道42号と県道キララときめきロードを接続し、文字どおり我々県民の心を「ときめき」さしていただきたいと思いますが、県土整備部長のきらりと光った御答弁をいただきたいと思います。
 次に、有田川河川整備についてでありますが、有田川の河川整備については、過去、一般質問の機会ごと毎回させていただいておりますが、私たち有田市の住民にとりましては最大の要望事項であります。特に、梅雨時期から秋の台風シーズンにかけては一層過敏になり、市内各地区の自治会が中心となってそれぞれ設置している堤防強化委員会の皆さんから陳情・要望活動が活発になってまいります。
 あの未曾有の大被害をもたらし、死者、行方不明者1046名のとうとい生命と田畑や家屋を一瞬のうちに押し流した7.18水害からことしで55年目を迎え、あしき記念日の7月18日午前8時から私の地元宮原町で被災死者の55回忌追悼法要が営まれ、御遺族を初め多くの参列者が出席し、とり行われました。私も参列し、追悼の言葉を申し述べさしていただきましたが、御遺族から当時の恐怖の体験談をお聞きし、改めて災害の怖さを痛切に感じたところであります。
 ふだん多くの自然の恵みを与えてくれる母なる川、清流有田川も、一たび怒り狂いますと、私たちのかけがえのない生命や財産を一瞬のうちにのみ込み、押し流してしまうわけであります。
 先日9月10日には、その宮原町並びに下中島の自治会長さん初め堤防強化委員の皆さん方とともに、市当局と有田振興局の担当者立ち会いのもと、5カ所の要望箇所を視察したところであります。また、9月15日には河川敷において有田市水防訓練を実施するなど、本市における水害に対する関心の高さが御推察いただけるものと思うものであります。
 有田川下流域は天井川となっており、しかも市域内の支流が5本ありますが、そのすべての河川の勾配がぬるく流下能力が低いため、本流が増水したり流れが悪くなると、樋門を閉ざし、ポンプアップによる排水をしなければなりません。少しまとまった雨が降ると、そのポンプアップでは追いつかず、お仙谷川では糸我町真砂地区、高山川では山地地区においてたびたび冠水被害が発生する状況にあります。
 県当局におかれましては、スムーズな流下を妨げている樹木の伐採や一部区間の河床整正に着手するなど、御努力をいただいているところでありますが、まだまだ低水流路が蛇行し、堆積土砂が多く流路が狭くなるために急流となり低水護岸に直接当たり、本当に大丈夫だろうかと不安を与える箇所が数カ所あります。本来なら早急な堤防の整備強化を願うところでありますが、近年の財政状況をかんがみますと難しいというより無理であろうかというふうに言っても過言ではありません。
 そこで、できる限りの予算を確保していただき、危険な箇所からの堤防強化の整備を進めていただくと同時に、堤防に余分な負荷をかけることなくスムーズな流下が図られるよう、河床整正等、計画的かつ積極的に治水対策を進めていただきたいと願うものでありますが、県土整備部長にお尋ねいたします。
 次に、不法係留船対策についてお尋ねいたします。
 この問題について質問させていただくのは、平成16年の12月議会、翌17年の12月議会、そして今回で3回目であります。
 もともとこの事業は、有田川左岸安諦橋付近の環境整備をしていただくことが本来の願いであります。現在、有田川河口には130隻から140隻のプレジャーボートが不法係留をされており、環境整備を進める上において、これらの対策の解決のみならず、河川の安全な流下、また近い将来発生すると言われております東南海・南海地震による津波への対策の観点からもマリーナ整備計画は大変重要であります。
 この計画は、県内の河川では初めての事業ということで、各方面から注目を集めていました。そして、いざ進めようとしたやさき、平成16年1月、マリーナ整備候補地周辺が環境省指定の重要湿地であるとの指摘を受け、候補地の変更を余儀なくされたわけであります。環境整備しようとしているところを、法的規制はないものの環境省に待ったをかけられたような、いかんともしがたい気持ちであります。その後、当局は、春と秋の2回、干潟底生動物の生息調査を行い、新たな候補地の選定に向け、河川の流下能力の検討や波浪等の影響調査を実施しながら現在に至っているものであります。お聞きするところによりますと、現在、右岸側を新たな候補地として検討中であるとのことであります。
 先日9月14日付の地方情報紙「Tomorrow」のインタビューに仁坂知事は答え、放置艇・不法係留船対策について、「目に余るような放置艇には断固とした措置をとる。条件が整えば強制撤去も辞さない」と話し、放置艇・不法係留船問題の抜本的な解決を目指す姿勢を示したと掲載されていました。また、その中で「条例や係留施設など受け皿を整備した上で」とも書かれていましたが、まさに文中の「条件が整えば」ではないでしょうか。早急に条例を制定し、係留施設の整備に着手していただきたいと願うものであります。
 それに加え、放置艇対策が解消された後の当初予定地の左岸については、干潟を保全し、子供たちの自然観察等学習の場として、また周辺住民や隣接する有田市民病院の利用者等がリハビリや気分転換の場として、車いすなどでも安全に散策ができ、川に親しみ、憩えるような環境整備を図ることが不法占拠の解消につながるという観点からも必要不可欠であると思いますが、この点についてもお尋ねいたします。
 私の地元市議の先生や地域住民からは、事あるごとに進捗状況を聞かれ、「検討中です」としか答えられず、ある住民からは、「珍しい貝やカニが生息していると言うが、それで食べられるんか」とか、「我々にどんな利益があるのか」「自然環境も大切だと思うが、我々住民の生活環境とどちらが大事なのか」等々の質問に対し、「ともに共生できる環境整備を当局に対し強く要望しています」といった苦しい答弁を繰り返して、はや4年が過ぎました。
 進展のないままの3回目の一般質問、「三度目の正直」「仏の顔も三度まで」という言葉がありますが、今回の質問で地域住民の皆さん方に喜んでいただける説明ができるような、前向きかつ誠意ある御答弁を、ひとつ気合いを入れて県土整備部長からお願いしたいと思います。
 以上で、第1回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの浅井修一郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、青少年健全育成についての考えを述べよということでございます。
 申し述べる前に、紀州レンジャーのお話がございました。私は余り暑がらない体質なもんですから、実は半そでのシャツがございませんで、あんまり買いたいと思わなくてこのままおるんでございますが、いつもそういう切実感がないということで今日に至ってしまったのですが、いつも楠本部長などが──きょうは違いますな──格好いいレンジャーを着ているのをうらやましいなあと思っておったわけであります。せっかくのお話でございますので、ぜひこれから買っていきたいと思っております。
 何レンジャーにしようかなと思うんでありますが、浅井議員からのお話でございましたので、とりあえずはミカンレンジャーからにしようかな──とりあえずでございます──そうしたいと思っております。
 それで、青少年にかかわることでございますが、青少年にかかわる事件や犯罪については、御指摘のように日々報道されておりまして、私も大変胸を痛めております。
 その原因について私なりに考えてみますと、特に重要な点は3つぐらいあると思うんですが、1つは核家族化が一層進んだこと、それから2番目は、戦前の例えば軍国主義とかあるいは封建制に対する嫌悪感とか、そういうことが大変強くて、みんなが共通に思うような道徳とか市民性とか礼儀とか、そういうことについて大事だということを大人が言うことを少し臆病になっていたのじゃないかなというような気もします。それから、ちょっと恐れておりますのは、和歌山県の、あるいは日本の地域力の低下が背景にあるかなという気もいたします。
 かつて、大家族と地域社会の中で育った子供たちは、大人の背中を見て人間としての基本的なルールやマナーを自然に身につけるということができました。また、結構親は厳しかったですから、そういうことをしない子供たちにはきちんと教えたということであろうかと思います。すなわち、他人のことを常に思いやること、あるいは自分の主張だけでは物事を考えてはいけない、大勢の人の中で自分たちは生きるという意識をみずから持つことができたと思いますし、それをきちんと教えられたと思います。
 これに対して、現在では、核家族化や一人っ子といった環境の中で、自分の主張や欲求が通らないとき、そういう事態に直面いたしますと、その要求を満たすために余り考えないで罪を犯してしまうということがあるのではないかと思います。
 また、「恒産なければ恒心なし」という言葉がございますけれども、ひそかに恐れているのは、最近においては当県あるいは日本全土で人々がこういう経済的な疲弊から今のような事態を助長しているのではないかなというような気もするわけでございます。これらを解決するためには、家庭、学校、職場、地域社会が一体となって青少年を育てる環境づくりが大切であります。
 具体的には、家庭ではきずなを深める家庭生活の充実、学校では道徳または市民性をきっちり教えるということが大事であろうと思いますし、また、つながりのある温かい学校づくりということを推進する必要もあろうかと思います。職場では、健やかな青少年育成を理解し支援するような、そういう職場づくりをする必要があると思いますし、地域では、集いのある地域社会の、温かい地域社会の形成が大変重要であると認識しております。また、県民のいわば恒産を増すためにいろんな政策に取り組むことも大事だろうと思っております。
 県といたしましても、警察、教育委員会とより一層連携を図りながら青少年育成の諸施策を効果的に取り組んでいきまして、議員御指摘のようなああいう事件がもうゼロになるように一生懸命努力していくべきだというふうに考えております。
○議長(中村裕一君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 青少年問題について、個人的見解も含めてというお尋ねがございました。
 御質問にございましたように、青少年に係る事件、全国的に多発していること、私も大変憂慮をしております。この問題の解決が喫緊の課題であると強く認識をしております。
 しかしながら、一方では、和歌山県にはすばらしい子供たちもたくさんおります。私は、先般、和歌山県青少年育成協会が主催をいたしました少年メッセージに参加をし、子供たちの発表を伺いました。子供たちは皆純粋で、家族を思い、自分の将来に夢と希望を持って一生懸命生きている、そういう思いが強く伝わってまいりました。この子供たちをこれからも健全に育てていくためのいわゆる環境づくり、これが大変大切であるというふうに強く思った次第でございます。
 しかしながら、議員御指摘のとおり、青少年を取り巻く環境、大変厳しい状況にございます。今後の青少年問題を考えるとき、ただいま知事から御答弁申し上げましたが、家庭、学校、職場、地域社会が一体となって取り組んでまいることが何よりも重要であると考えております。
 現在、県におきましては、例えば、家庭の日推進事業、家族ふれあい優待制度、ワンスクール・ワンボランティア事業、あるいは青年長期社会体験活動や青少年を育てる地域づくり事業、ただいま申し上げました少年メッセージなど、さまざまな取り組みを行っているところでございます。
 特に私が思いますのは、最近少なくなりつつある青少年による団体活動への参加、これを今後積極的に推進してまいることが重要であると考えております。
 子供たちは、将来の日本を支える国の大切な宝であります。そのためにも、私たち大人が家庭や学校、職場、地域社会一体となって彼らを健全に育ててまいらなければならないと思っております。県といたしましても、より一層の取り組みを行ってまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 国道42号有田海南道路につきましては、県としてもかねてから国に対して早期事業化を強く働きかけてきたところでございます。現在、国において詳細なルートや構造について検討中であり、近い時期に県へ都市計画の手続開始の要請があるというふうに聞いております。
 今後、県といたしましては、その要請を受け、国や地元市町と連携し、早期に都市計画の決定ができるよう努力するとともに、国に対しましては早期事業化を強く働きかけてまいります。
 次に、国道480号との交差につきまして、国からは地域の利便性を考えて接続を考慮すると聞いております。また、湯浅方面への接続につきましては、現在、有田市から湯浅町の海岸部を通る有田湯浅線をいわゆるキララときめきロードとして整備を進めているところであり、今後、整備の進捗に合わせまして有田海南道路から湯浅方面へ円滑に連絡し、きらりと光る海岸線を生かした地域づくり、観光振興を進めることができるように検討してまいりたいと考えております。
 次に、有田川に関する御質問でございますが、まず有田川河川整備についてお答えいたします。
 有田川におきましては、堆積土砂によって損なわれております治水機能を回復するために、平成18年度から堆積の著しい区間で河床整正に着手しております。また、治水上影響の大きな樹木の伐採等を継続実施するとともに、糸我地区におきまして堤防の強化対策を実施しているところでございます。
 議員御指摘のとおり、低水路が蛇行して水衝部となっている区間につきましては、財政的に厳しい中ではございますけれども、今後とも緊急性の高い箇所から河床整正などの治水対策を計画的に進めたいと考えております。
 次に、不法係留船の対策につきましては、係留施設の整備と規制の強化など、ハード・ソフト両面から具体的な対策に取り組んでいくこととしております。
 有田川の係留施設整備につきましては、現在、右岸側での整備案について調査検討を進めており、今後、有田川プレジャーボート対策等協議会などの意見を踏まえて今年度中に詳細な設計に着手し、早期着工に向けて取り組んでまいります。
 今後、このような施設整備により利用者の利便に配慮しつつ、あわせて平成20年2月に条例案を上程し、係留施設の整備の後、放置等禁止区域などを設定して、悪質な不法係留船に対しては行政代執行による撤去も視野に入れてプレジャーボートを健全に楽しんでいただく環境をつくるとともに、災害に対する安全性の向上などを図りたいと考えております。
 さらに、左岸側の整備でございますが、議員御提案の子供の自然体験の場、それから病院利用者を初め地域住民による活用なども考慮し、干潟を保全した環境整備を基本として、今後、協議会、関係機関等と協議しながら積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 青少年の健全育成につきましては、私自身、失敗や至らない点の多い教師でございましたので十分なお答えは難しいのですけれども、まず、実感として、昔と変わらないよさを持った子供や若者が決して少なくはないということを念頭に置いておきたいと思います。
 その上で、議員から先ほどお示しいただきました資料にございますように、近年、子供たちが引き起こす事件を見ますと、今までの常識では理解ができないことが多くなり、議員が述べられたことには、私も含め、同じ懸念を抱き心を痛めている方々も多いことと思われます。
 昨今、国や県で進められてきた教育改革の多くも、もとをたどりますと、こうした状況を何とか改善したいという願いから出発したものと理解されますが、残念ながら、これという決定打を見出せていないのは、我が国のみならず多くの先進諸国に共通する悩みだとも伺ってございます。
 私たちは、ともすると大きな社会の流れや商業的、刺激的な情報の圧倒的な力の前に立ちすくんでしまったり、無力感に陥ったりするかもしれません。そうした大きな力にからめ捕られないようにするには、子供たち1人1人が家族や友人など身近な人々との人間的なきずなを実感し、確かな自分の居場所を獲得するとともに、何が本物であるかを見抜く力を身につけるようにすることが重要であります。そういう意味では、困難な状況の中でも、福祉や環境保護や子育て支援あるいは青少年保護など、さまざまな分野で献身的な活動を続け、すばらしい成果を上げている実践家も各地におられます。
 そうした状況を見ますと、議員が述べられましたような切実な思いを多くの方が声に出し、その思いを寄せ合い、身近なところ、できるところから実践を開始して積み重ね、その実践をつなぎ合い、1つのうねりをつくり出すこと、その中で、人間の存在そのもののかけがえのなさを出発点にして命を生かし合う関係を構築する、そのような共同学習、共同実践を構築することが今最も求められる大切なことではないかというふうに考えます。また、そのことが現代の課題を解決する自立した市民による新しい共同を形成することにつながるのではないかというふうに考えます。
 「夜回り先生」で知られる水谷先生にはなぜ多くの若者が心を開くのかということを考えますと、この先生が命そのものに向き合っていることを若者たちが感じ取って人間的なきずなへと立ち返るからだというふうに思われます。実践の形はさまざまではありますが、教育という仕事は本来そういう命に向き合う営みではないかというふうに思われます。
 具体的なお話ができず、抽象的になりましたが、私ども教育委員会もそのような思いや願いを共有し、それを広く発信して、市民性を高める教育などを手がかりに大きなうねりをつくる作業に貢献していきたいと念ずる次第です。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 4番浅井修一郎君。
○浅井修一郎君 知事初め関係部長並びに教育長には、誠意ある御答弁、ありがとうございました。また、仁坂知事には紀州レンジャーのこともお話をいただきまして安心しました。ありがとうございました。最終日まで楽しみにちょっとお待ちをしたいと思います。
 まず、1番目の青少年健全育成についてでありますけども、今回この質問をさせていただいたのは、資料をごらんいただいてもおわかりのとおり、近親者に対する事件が近年急増し、かつその遺体を損壊するというふうな残虐性この上ない事件が多く発生してきていると。まだまだ、事件までには至ってなくても、家庭内暴力や、あるいは児童虐待、DV等、数え切れないほどあるんじゃないか。一体世の中どうなっているのか、人間の特権である感情というものがどこへ行ってしまったのかというふうに考えてしまうわけであります。
 もちろん、この問題は本県だけの問題ではありません。社会全体であり、国全体の問題であるわけであります。したがって、今、国を挙げて取り組まなければならない非常に重要な問題であり、これからの日本の国のありようにも関係してくると言っても過言ではないというふうに思います。
 だからといって、国任せにほうってはおけません。我々和歌山から、地方から和歌山モデルなるものを発信し、全国に対して問題提起できないものだろうかという、そういう観点から、一石を投じる気持ちであえてこの幅の広い、奥の深い質問をさせていただいたところであります。
 以上のような観点から、ひとつ提案をさしていただきますと、青少年に関する問題が大きな社会問題となっている今現在でありますけれども、本県では紀州っ子元気プランがありますけれども、この部局の関連事業を合わせますと170事業、120億円の予算が組み込まれています。もちろんハード事業も含んでおりますけれども、これらの青少年施策を知事部局、そして警察、教育委員会がばらばらに取り組むのではなく、総合的に統一した行政組織を構築し、そしてより効果的、効率的な取り組みを進めていくことが最も肝要であると思いますが、御検討をいただきますよう要望いたしまして、一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浅井修一郎君の質問が終了いたしました。

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