平成19年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(江上柳助議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 28番江上柳助君。
  〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 皆様、おはようございます。
 思い起こせば、ちょうど昨年のきょうでございました。9月20日は、大阪地検特捜部が強制捜査に入った日でございます。この議場からここにお座りの前知事を見ておりますと、汗をふきふき、答弁はしどろもどろ、上のそらという感じでございました。それからこの1年、激動の1年であったと思います。仁坂知事が誕生して、そして県民の負託にこたえるために一生懸命に、二度とこういった不祥事を起こしてはならない、そしてまた再発防止のためのいわゆる公共入札制度の改革や監察査察監制度の導入など、取り組んでこられました。高く評価をしたいと思います。
 そしてもう1つは、仁坂知事への大きな期待の1つは、何といっても経済産業省におられて、そして通商産業政策のエキスパートとして取り組んでこられたその実績と申しますか、その手腕を和歌山県発展のために生かしてもらいたい、企業誘致に取り組んでもらいたい、和歌山県を活性化してもらいたいというのが県民の大きな期待の1つであろうと思います。
 そういった点も、特にきょうはそういった企業誘致、企業立地という観点からも質問をさしていただきますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。
 最初に、関西国際空港に関する課題についてお尋ねいたします。
 本年8月2日、関空は待望の第2滑走路がオープンしました。これにより関空は、世界の国際空港では常識と言える4000メートル級の滑走路を複数持つ、完全24時間空港となりました。この条件を満たす空港は日本にはなく、関空が初めて世界標準空港の仲間入りを果たすことになりました。
 滑走路が2本になることで何が変わるのか。第1に、朝夕のピーク時のフライトの増便が可能になることであります。第2に、滑走路のメンテナンスを交互に行えることで、完全24時間離着陸ができるようになります。第3に、関空では国際線の4分の1が貨物便で、国際貨物便が大活躍することができます。
 関空では、アジア、そして世界を結ぶゲートウエーとして国際線と国内線の乗り継ぎにすぐれ、首都圏需要も補完できる国内基幹空港を目指すとともに、日本初の国際貨物ハブ空港として、アジアと欧米をつなぐ中継拠点を目指しております。
 成長著しいアジア諸国では、国家戦略として巨大空港が次々と建設され、各国がアジアのハブ空港を目指す激しい空港間競争の時代を迎えております。こうした時代に、世界標準空港の仲間入りをすることで、日本、そしてアジアにおける関空の役割がどのように変わっていくのか、関空のこれからに大いなる期待が寄せられているところであります。
 ところが、今回の第2滑走路のオープンは、航空機が離着陸するために必要不可欠な滑走路や誘導路などの最低限の施設に限定されております。今後、2期空港島全体の施設を整備し、完全供用することで貨物及び旅客の航空輸送機能を強化していくことが大きな課題になっております。本県からわずかの距離に位置するアジアと世界を結ぶゲートウエーが整備されることは県益につながるわけであります。
 国は、施設整備の条件に、今年度13万回程度、来年度13万5000回程度の発着回数の達成を建設条件としております。関空の航空機需要に本県としてどのように貢献していくのか、知事のお考えをお聞かせください。
 次に、国際線、国内線の便数確保についてお尋ねいたします。
 関空の歴史を振り返ってみますと、代々の知事及び県議会は、本県発展のために政治生命をかけて関空の問題、課題に取り組んでまいりました。とりわけ、国内線の便数確保に取り組んできたところであります。
 昭和50年7月、大橋知事は、当時の航空審の中で和歌山県が関係府県として位置づけられていなかったことに対して、当時の木村睦男運輸大臣に、「大臣、和歌山を無視して泉州沖でやれるものならやってみなさいよ」と怒りを爆発。また仮谷知事は、国内線の大幅な確保が県益を左右するとあって、「国内線確保に政治生命をかける」と表明しております。
 一方、平成元年11月、昭和49年8月に出された航空審議会答申の「新しい空港は大阪空港廃止を前提にして」の解釈をめぐって、当時の運輸省航空局の水田飛行場部長は、この答申というものは「仮に廃止しても対応できるようにという意味です」と説明をしたということでございますが、当時の県議会の関西国際空港対策特別委員会、木下秀男委員長らは、「それ前提と言うけれど、それは廃止ということだったんだ。今になって勝手過ぎるじゃないか」と猛反発をしております。
 関空開港当時は国内線の便数は多かったものの、新幹線の運賃の大幅値下げによって航空機がこれに対抗するため、国内線はだんだんと大阪空港にシフトしてまいりました。
 関空は、このような歴史を歩みながら、待望の第2滑走路がオープンしたわけであります。
 7月26日にはマカオ空港の関空─マカオ線の就航、9月14日にはスターフライヤーの関空─羽田線が就航いたしました。今回の就航により関空と羽田空港を結ぶ便は1日15便から19便になり、観光や出張が大変便利になりました。
 今後、国際線や国内線の便数確保に取り組む知事の決意を聞かしてください。
 次に、県産品の関空からの輸出についてお尋ねいたします。
 和歌山県道路懇談会の「和歌山県に真に必要な道路整備への提言」の中で、関西国際空港株式会社代表取締役村山敦社長は、「長く美しい海岸線、豊かな山、温泉、世界遺産があり、紀伊半島一周道路ができれば、関空─中部空港がアジアで話題の観光ゴールデンルートになる。カナダではクリスマスオレンジとして大変人気のあるミカンなどの果物や特産品も、関西空港から上海や北京へ飛ばせば国内より高値で売れるだろう。その上で、優先順位、完成時期を明確にする。地域振興に寄与する紀伊半島一周道路を1番として完成時期を明確化し、集中的に投資すべき」と述べております。日本初の国際貨物ハブ空港の誕生によって、ミカン、柿、桃などの農産物の宝庫和歌山にとっては大きな期待が高まっているところであります。
 9月定例議会に補正予算案として、県産農水産物・加工食品輸出促進として500万円計上されております。本県として農産品の輸出にどのように取り組むお考えか、知事にお伺いいたします。
 次に、関空へのハブ道路の整備についてお尋ねいたします。
 これは私が勝手につけたハブ──いわゆる自転車のハブですね──のように、関空から広がっていくという道路でございます。これを生かして、関空を生かして本県の発展を図っていくには、関空へのアクセス道路を早急に整備すべきだと考えます。
 具体的には、関空から、今申し上げたように放射線状に伸びる第2阪和国道、泉佐野岩出線、泉佐野打田線の府県間道路の整備であります。
 実は、一昨日、泉佐野岩出線で土砂崩れがございまして、おととい2時10分から通行どめ。この道路は、物流道路、産業道路としても非常に活用されておりますし、また朝夕、大阪へ向かう生活道路、いわゆる通勤をされる方の道路でもあるんですね。大変な混乱を来したと伺っております。したがいまして、早急に泉佐野打田線、これも整備すべきであるというふうに私は考えております。ぜひお願いしたいと思います。
 これらの道路を重点的に整備すべきであると思います。これには、大阪府側の協力が不可欠であります。知事を初め実務者間で協議を積極的に進めるべきであると考えます。
 また、関空の村山社長が、紀伊半島一周道路ができれば関西空港─中部空港がアジアで話題の観光ゴールデンルートになると提言されています。府県間道路の整備と紀伊半島一周道路建設に取り組む知事の決意をお伺いいたします。
 次に、企業誘致について知事にお尋ねいたします。
 県内事業所の数は、平成13年の調査時に比べて7.2%減で、全国平均より減少幅が拡大しております。また、従業者数も5.3%減少、県内に働く場所が少ないことがうかがえます。このことは、若者の県内定着率が低くなる原因になり、少子化社会に拍車をかけることになってまいります。
 県では、働く場所を確保し産業構造の転換を図るため、企業立地の促進対策として、投下固定資産に対する奨励金と雇用に対する奨励金を合わせて最大100億円の全国最大水準の優遇制度を用意して企業誘致に積極的に取り組んでいるところであります。
 成果といたしましては、平成18年度で立地件数県内4件、県外6件──いわゆる県内というのは県内にある企業がその規模を拡張されたという意味でございます──雇用数401人、19年度が立地件数県内2件、県外2件でございます。雇用数が106人となっております。なお、雇用数はあくまでも予定であります。企業立地奨励金は今日まで約28億円交付されております。企業用地が少ない、また地形的に都市部から遠く離れているといった悪条件の中、企業立地課の皆さんは大変な御苦労をされております。
 企業誘致は、開発許可や融資、環境対策、道路や下水道、情報ネットワークなどのインフラ整備が伴ってまいります。本県への企業進出を希望する企業から条件を提示されたり、また「この道路、何とかならんか」といったそういう相談を持ちかけられたりすることがあるわけですね。そのとき担当者は、恐らく、「検討します」「考えます」とおっしゃるでしょう。しかしながら、県の縦割り行政の中で、じゃ、県土整備部に行って、「この道路何とかなりまへんか」「いや、うちの県土整備部、予算ないんや」、そういうことに陥ってしまうんではないだろうか。そういった意味で、結果的に断る──「検討します」と言ったことが断る口実と受け取られる場合があるわけであります。
 そこで、企業誘致は企業立地課だけの対応ではなくて、縦割り組織から組織横断的な企業立地プロジェクトチームを編成して体制を強化する必要があると考えます。
 特に、コスモパーク加太用地への企業誘致は遅々として進んでおりません。平成16年3月にカゴメのトマト栽培施設が誘致されただけであります。約220ヘクタールがそのままであります。県庁所在地の中核市にこれだけ広大な企業用地を所有している県はどこにもありません。いろんなホームページ、企業立地ナビゲーターとかいろんなもんを見ましても、これだけのもの、広大な土地を県庁所在地に持った県はどこにもございません。したがいまして、一日も早くコスモパーク加太用地再生会議などのプロジェクトチームを編成して、企業誘致を積極的に進めるべきであると考えます。企業立地プロジェクトチームの編成とあわせ、知事の御見解を承りたいと思います。
 次に、医療体制の充実強化についてお尋ねいたします。
 最初に、がん対策についてお尋ねいたします。
 本県は、がん死亡率が全国平均に比べて高く、肺がんによる死亡率は、この5年間のうち4年間は全国第1位であります。がんの種類別の死亡率を見ますと、胃がんが全国第4位、大腸がんが第8位、乳がんが33位、子宮がんが10位となっております。
 本年4月、国のがん対策基本法が施行され、6月には、75歳未満のがん死亡率を10年以内に20%減らす、患者・家族の苦痛を軽減して生活の質を上げるを2本柱とするがん対策推進基本計画が閣議決定されました。この基本計画に基づいて、県ではがん対策推進計画の策定が義務づけられております。
 私は、これから策定される県のがん対策推進計画の基本方針として、予防と治療と研究にわたるがん対策の先進県を目指す、県内どこに住んでいても高度ながん医療が受けられる体制づくりの推進、患者や家族の視点に立ったがん対策の実施の3点を柱とすべきであると考えます。
 また、国から、がん診療連携拠点病院に指定されております県立医科大学初め、日本赤十字社和歌山医療センター、紀南病院、南和歌山医療センター、橋本市民病院の5病院の拠点病院の放射線療法や外来化学療法の体制整備、痛みや息苦しさといった不快な症状をできるだけ緩和する緩和ケアチームの育成、20歳未満の小児がん対策などを盛り込む必要があると考えます。
 そして、何よりも県民が、県のがん医療は変わったと実感できることが重要であると思います。そのかぎを握るのが、まさに基本計画をもとに策定されるがん対策推進計画であります。
 国の基本計画では、「策定に当たっては、がん患者及び家族または遺族の視点も踏まえることが重要である。このため、関係者の意見の把握に努めるものとする」としております。地域のがん医療をどうしていくのか。患者、住民が医療関係者らとともに計画づくりに参加することで意識を高めるきっかけにもなります。地域のがん医療格差の解消は県の取り組みにかかっていると言っても過言ではありません。
 県は、がん対策推進計画の策定にどのように取り組むお考えか、知事にお伺いいたします。
 次に、ドクターヘリコプターの夜間照明設備と夜間運航体制についてお尋ねいたします。
 本県のドクターヘリコプターは、平成15年1月運航開始以来、1511回空を飛び、無事故で多くの救急患者の命を救ってまいりました。救急救命センターには、篠崎教授以下25名の医師、それから看護師などの、また別にスタッフが常時待機しております。懸命に救急患者の治療に当たっております。これだけの救急医療体制は全国でもトップレベルであろうと私は思うわけであります。もちろん、近畿圏ではトップであります。なぜならば、ドクターヘリコプターがある県は、近畿では和歌山県だけであるからであります。まさに本県はドクターヘリコプター先進県であります。
 さきの通常国会で、私ども公明党が推進してまいりました救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法が成立いたしました。6月27日に公布され、このドクターヘリ法に基づき全国的な整備が進められることになっております。来年1月からは、大阪大学医学部附属病院を基地病院として運航が開始されます。4年前からドクターヘリが導入されている本県では、救命率が大幅に向上し、感動的な救命のドラマが私のもとにも届けられております。
 本年2月、和歌山市小倉で農作業をしていた男性が耕運機に巻き込まれ、太ももに耕運機の刃が刺さり、刃を耕運機から外して、そして太ももに刃が刺さったまま止血をしてドクターヘリコプターで搬送され、命が助かりました。5月には、紀の川市で57歳の男性が、軽トラックと10トントラックとの接触事故で内臓破裂、出血性ショックに対し、ドクターヘリで医大へ搬送、救急手術で救命。また、先月末でございますか8月末に、かつらぎ町の建設現場で約8メートルの高さから転落された作業員が、転落したとき19ミリ──約2センチですね──の鉄筋が腹に刺さり、背中から腹部に貫通していたのをヘリコプターで運ばれまして救急手術で救命されました。
 さらに、大阪から白浜に来られた86歳の男性観光客が8月5日に白浜のリゾートホテルのプールでおぼれ、意識不明の重体で南和歌山医療センターに救急車で搬送されました。意識不明でございまして、南和歌山医療センターの川崎先生のほうから篠崎教授のほうに相談があって、「じゃ、すぐ搬送してくるように」ということで、医大にドクターヘリで搬送いたしました。これが8月の8日でございました。それは意識不明の状態で、それから6日たって8月の14日に意識が回復いたしました。それからその後、22日には大阪に搬送したわけでございます。当初はヘリコプターで運ぶかということで、医大の基地病院のいわゆるドクターヘリは使うわけにいきませんので、予備機、有料で行こうかと。予備機は今修理中だということで、「じゃ、民間のヘリコプターやったら60万かかる」「いや、それでも行こう」と言っておりましたが、フライト許可が出ないとかいろんな難しいことを言われて、最終的には寝台タクシーで搬送されて無事大阪に送り届けた次第でございます。
 こうした観光客の皆さんにも、和歌山に来てもこのドクターヘリがあるから安心だと、大丈夫だということは私は大いにアピールできるんじゃないかと思うんですね。
 実は、ここにおられます尾崎要二先輩議員のお父さん、別院兵治さん、一昨年7月5日、農作業車が転倒し、下敷きになり、右2ないし5──2、3、4、5、4本ですね、肋骨──左2、3、4、5、6、5本、9本の肋骨骨折で重体のところを海南市消防本部の救急救命士の適切な判断でドクターヘリを要請しました。医大へ搬送して救急手術で助かりました。
 実は、ここに機関誌「救急ヘリ病院ネットワーク」2006年冬号がございます。(資料を示す)ここに紹介されているんですね。それで、どうおっしゃってるかと言いますと、「日暮れ前、ドクターヘリが飛ぶことができるぎりぎりの時間、私は本当に幸運でした」と、「救急ヘリ病院ネットワーク」という雑誌でドクターヘリに救われた人として紹介をされておりますね。このように目まぐるしいドクターヘリの活躍でございます。
 これらは、ほんの一部であります。とうとい人命を救い、救命率向上に尽力をされております医科大学救命救急センターの篠崎教授以下、医師、スタッフの皆様に敬意を表するとともに、医科大学周辺地元の皆様には、ドクターヘリの騒音に御理解と御協力をいただいておりますことに心から感謝を申し上げます。
 現在、ドクターヘリの運航は、有視界飛行であるため、夏時間で朝8時から6時までとなっております。東南海・南海地震が叫ばれておりますが、地震などの災害が夜中に起きた場合、ドクターヘリで救急患者を運ぶことはできないわけであります。もちろん、平時でも夜間の救急患者を運ぶことはできません。
 平成15年度の県の調査によりますと、夜間──夕方の午後5時から朝の9時にドクターヘリがもし運航されているとするならば要請されていたと想定される件数は、現場救急、病院間搬送を合わせて453件であります。15年度の昼間のドクターヘリ出動件数265件の約1.7倍に上っております。18年度では昼間の出動件数は347件でありますから、夜間にドクターヘリが要請されたであろう想定件数はもっと多いと思われます。
 夜間運航想定件数の47%は、何と4割は午後5時から9時までとなってるんですね。要するに、夜の早い時間帯に救急患者が発生をする、夜間の早い時間帯で救急患者が集中してることが容易にうかがわれるわけでございます。
 ドクターヘリは有視界飛行が原則でありますが、安全確認ができれば技術的には可能であります。晴天時に海岸線を目視して、視認して、夜間照明の設置されている場所との定期飛行はできるわけであります。
 そこで、夜間の離発着が可能なヘリポートが必要になってまいります。夜間照明のあるヘリポートは、白浜空港、新宮紀南へリポートのみであります。和歌山市及び紀の川筋の紀北部には夜間照明設備の整ったヘリポートはありません。ドクターヘリ基地病院の医科大学にも夜間照明設備がないわけであります。特に、夜間の地震などの災害に対応するため、早急に医科大学に夜間照明設備を整備すべきだと考えます。
 そんなにお金はかからないんです。この間、防災センターを視察さしてもらってヘリポートを見まして、「これ、夜間照明幾らかかるんですか」「いや、そんなにかかんないですよ。わずか500~600万ぐらいでいけるん違いまっか」というような話でございます。それすらないという現実でございます。したがいまして──また、救急患者が集中するいわゆる午後5時から9時まで4割ですね。4割集中する時間帯での夜間運航を開始すべきだと私は考えます。いかがでございましょうか。
 次に、ドクターヘリの病院間搬送についてお尋ねいたします。
 現在も救急患者の病院間搬送は行われているわけでありますが、もっと積極的に行うべきだと考えます。医師及び看護師、医療スタッフも病院に運ぶことも必要であると思います。
 日赤医療センターの本部棟建設がいよいよ始まります。本部棟にはヘリポートも設置されると聞き及んでおります。日赤医療センターは第3次医療機関で、救命救急センターでもあります。医科大学附属病院は、救命救急用のベッドは26床。医科大学26床、救命用がですね。日赤医療センターのベッド数は約3倍ありますね。医科大学から医師、看護師を乗せ飛び立ったドクターヘリが現場に急行して救急患者を乗せて日赤医療センターにも運び込むことも考えたらどうか。ドクターヘリの病院間搬送の充実とあわせお答えいただきたいと思います。
 次に、防災ヘリの医療用への積極的な活用についてお尋ねいたします。
 現在、防災ヘリは白浜に常時待機しております。防災用でありますが、本県では医師と看護師を乗せ、医療用としても活用がなされているところであります。
 本県の地形は半島に面し縦に長く、ドクターヘリを運航しても、新宮市までドクターヘリ基地病院のある医科大学から往復1時間かかるわけであります。白浜から防災ヘリを活用すれば、新宮─医大間は15分短縮されます。45分程度で行けるわけでございます。田辺市の救急救命センター間でしたら、わずか30分、35分で救急患者を運び込むことができるわけであります。防災ヘリは白浜から新宮まで15分から20分で救急患者のもとに到着します。初期治療が重要でございます。本来ならば、紀南にもう1機ドクターヘリコプターが欲しいところでありますけど、これは財政的にかないません。許せないと思います。
 そこで、紀南方面の救急患者を救命するために、防災ヘリを医療用として、今も本当に活用されておりますけれども、もっと紀南方面はこの防災ヘリでカバーするんだというくらいの意気込みで積極的に活用すべきであると考えます。いかがでしょうか。
 次に、ドクターカーの導入についてお尋ねいたします。
 現在、ドクターカーの運行は、平成5年から大阪府済生会千里病院千里救命救急センターで開始されております。当センターのドクターカーは、病院間搬送も含め年間1500件以上と、我が国トップレベルの出動回数を誇っております。また、千葉県船橋市では、平成5年から、市の医師会、消防局、市立医療センターのスタッフが特別救急隊を編成してドクターカーを運行しております。さらに、札幌市立病院救命救急センターでは平成7年にドクターカーが運行されております。
 ドクターカーには救急の医師が同乗しているため、現場に着いたその瞬間から治療が始まります。近年、救急医療に対する関心の高まりから、病院外における救命救急士の医療行為の質を保証するというメディカルコントロールの充実が叫ばれております。ドクターカーシステムは、医師が現場に出動して傷病者を治療するとともに救急隊の指導も行うという、メディカルコントロールの中では最も重要な要素の1つであり、欠くことのできないものであると考えます。
 本県においても、救急患者の救命率を上げるために、遠くにはドクターヘリを活用する、そして近くには医師、看護師を同乗させたドクターカーを導入すべきだと考えます。
 これは何も新しい機材を購入してというんじゃなくて、救急車に医師と看護師が乗り込めば、それで済むことなんですね。実は、もう医大の救命センターのほうと和歌山市消防局、そして市長との間でも話が進められていると聞き及んでおります。早急にこのドクターカーを導入すべきであるというふうに考えます。御見解を承りたいと思います。
 次に、医療体制の充実強化の最後になりました。医科大学附属病院の病床、手術室の拡充についてお尋ねいたします。
 このたび、知事を初め関係者の御尽力によりまして、深刻な医師不足を解消するため、医科大学の入学定員は25名増の85名となりました。大変喜ばしいことであります。これに伴って、この本定例会に補正予算案として医科大学基礎教育棟整備のための基本・実施設計に要する経費2500万余が計上されているところであります。
 一方で、医科大学附属病院の病床、手術室が手狭になってきております。高齢化社会を迎えて患者の数が増加したことにも起因するでありましょうか。ドクターヘリや救急車で救急患者が毎日のように運び込まれております。吉田教授の整形外科では手術は予約がいっぱいであります。半年先まで予約が入っております。これからがん治療、がん対策が充実されていきますと、ますます医大の病床、手術室、厳しくなってまいります。
 医大の稼働している手術室は12ですね。日赤医療センターは、本部棟が建設されますと22。医大の約2倍になります。患者はどんどん日赤医療センターにシフトしていくんではないかと危惧するものであります。手術症例数の減少というものは医療水準の低下にもつながりかねません。
 今、医大の病床及び手術室の拡充に取り組まなければならないと考えます。どのような対策を講じるお考えか、お聞かせください。
 最後に、プレジャーボートの放置艇対策についてお尋ねいたします。このテーマにつきましては、本会議で何回か質問さしていただきました。これで、私、4回目だと思います。
 本県においては、プレジャーボートの数は約6000隻が確認されております。このうち、マリーナなどの係留・保管施設を利用しているものは、公共施設、民間施設合わせまして約1000隻。したがって、約5000隻は放置艇となるわけであります。放置艇割合は80%。近畿地区では最も高い割合を示しております。
 こうした中、港湾や河川などに無秩序に係留されたプレジャーボートのため、漁船など他の利用船舶の係留・保管の阻害、港内の安全航行に支障が生じ、一部の心ない利用者によるごみの投棄や違法駐車、住民からは、早朝からのエンジン音など苦情も寄せられております。
 このように、地域社会にさまざまな問題を引き起こしております。また、河川などの不法係留の壊れた船──難破船ですね──これは景観を悪くし、河川のしゅんせつなどへの大きな障害になっております。
 地震による大津波、津波の被害は、海岸沿いだけではなく、河川沿いでも起きるわけであります。津波の高さが3メーター、5メーターとなってまいりますと、一気に河口から津波が逆流してまいります。それも、上流に行けば行くほどその津波の勢いが増してまいります。無秩序に係留された放置艇は、一気に物すごい勢いで川の上流まで押し上げられます。プレジャーボートの放置艇が大災害を引き起こすという事態が十分考えられるわけであります。
 この不法係留、放置艇問題は、本県にとって緊急の課題であり、地震・津波による防災上の観点からも、一日も早く改善しなければならないと思うわけであります。
 新聞報道によりますと、強制撤去の可能性も盛り込んだ条例制定の議論がなされているようであります。県は、港湾法に基づいて係留や放置の禁止区域を定めることができるとしておりますが、河川への係留はどのようになるのか。
 この問題は、プレジャーボートの係留施設が不足して、一定のルールのもとに水域や施設の利用が行われていないことにも大きな要因があると考えます。プレジャーボートの放置艇対策についてお伺いいたしまして、私の第1問といたします。
 御清聴、大変ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの江上柳助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、関西国際空港についてでございます。
 関西国際空港の航空機需要への貢献につきましては、去る8月2日に第2滑走路がオープンいたしまして、本県の発展に寄与するものと大変喜んでおります。今後、第2ターミナルなどさらに整備を進めるためには、航空機需要を拡大し、発着便数をふやすことが不可欠であります。
 関空が元気であれば、和歌山県もその恩恵を必ず受けますし、和歌山県が発展すれば、私は関空の発着回数がふえることに貢献できると思っております。本県が関空から至近距離にある、一番近い和歌山県のメリットを最大限に生かし、国内外の観光客の誘致、あるいは県産品の輸出、企業誘致等により一層積極的に取り組みまして航空機需要の創出に努めてまいりたいと思っております。(「白浜空港、忘れるなよ」と呼ぶ者あり)白浜空港もあわせて大事でございまして、これについても頑張ります。
 あわせまして、今度は便数確保の問題でありますけれども、議員御指摘のとおり、関空につきましては、誕生から歴代知事や県議会を初めとして、本県が強く深く関与してきたところであります。国際線では、エアポートプロモーションを関空会社等と連携して行い、ことしの7月には過去最高の週771便を達成しております。最近も企画部計画局長を団長とする関西のミッションを中国に派遣して、空港プロモーションに励んでまいったところであります。
 特に国内線につきましては、羽田便などの国内線ネットワークの拡大を国に引き続き要望しているところでありまして、平成17年以降3カ年で伊丹から関空へ19便のシフトがありましたし、9月14日の関空─羽田線の増便などは成果の1つであると考えております。
 今後とも、関西経済連合会、関係自治体などで組織する関西国際空港全体構想の促進協議会を中心に、関西が一体となって取り組み、国内外へのエアポートプロモーションや集客・利用促進活動などを実施し、増便に努めてまいりたいと考えております。
 引き続きまして、関空に関する県農産品の輸出でございます。
 県農産品の輸出につきましては、関西国際空港を利用した本県農産品の輸出が大変有効であると考えております。
 JAグループを中心に、既に台湾向けに桃が、昨年実績で申しますと42トン、本年で50トン輸出されております。こういう動きをもっともっと拡大していかないといけないというふうなことだと思っております。
 特に近年、東アジアなど近隣諸国では、経済発展に伴う富裕層ができてきております。そういう富裕層は、日本食文化あるいは日本自体への関心が大変高いわけでありまして、日本に対する、日本の食品に対するあこがれもあります。
 したがって、こうした機会をとらえ、和歌山県の誇る農産品の輸出促進へ積極的な取り組みが重要であるということを常々考えているところであります。このため、今議会に補正予算をお願いしているところでございまして、今後、これをてこに、県内生産者団体初め流通関係者や学識経験者等で構成する輸出促進協議会を設置いたしまして、県内での輸出促進セミナーの開催、あるいは柿、ミカン等の農産物や加工食品の台湾、香港でのフェアの開催などに取り組むこととしてございます。
 その際、とりわけ、議員のお話のように、本県にとって利便性が高い、かつまた24時間稼働の国際物流ターミナルとしての機能を有する関西国際空港を最大限に活用しながら農産品輸出に力を入れ、本県農業の活性化につなげてまいりたいと考えております。
 次に、この関空と道路との関係でございます。
 第2阪和国道や、あるいは泉佐野岩出線等の府県間道路は、関西国際空港へのアクセスを強化するとともに、京奈和自動車道と一体となりまして関西都市圏を拡大し、和歌山県のみならず関西全体の経済を活性する重要な道路であります。そういう意味で、議員御指摘の言葉でありましたが、関空を中心とするようなハブ道路というような、そういう整備が大事だと思っております。
 これまでも、大阪府と連携を密にして、このようなものの整備、特に府県間道路の整備を推進することに努めてきたところでございまして、本年になりまして、未着手区間でありました第2阪和国道の府県境部が直轄国道事業の和歌山岬道路として新規事業化されたところでございます。まだまだ残されたところもありますので、引き続き頑張っていきたいと思っております。
 また、紀伊半島を一周する高速道路は、和歌山県人が日本人として暮らすためのナショナルミニマムとして、また企業立地における機会の平等、あるいはポテンシャルを生かした観光や農林水産業の発展について不可欠な道路であります。さらに、国際的な観点から、関西国際空港の効果を最大限活用した広域的な国際観光ルートとなり得る道路だとも思っております。このため、これら道路の整備を、必要性を国に対して強く訴えるために和歌山県道路懇談会を設置し、提言をいただくとともに、県内各界の御意見をいただきながら和歌山県道路整備中期計画の中間取りまとめを行い、既に国及び関係機関に強く働きかけているところでございます。
 今後とも、府県間道路の早期整備、紀伊半島を一周する近畿自動車道紀勢線の早期実現、それから京奈和道路の早期完工に向け、国に対し強く働きかけてまいりたいと思っております。
 次に、企業誘致についてでございます。
 議員御指摘のとおり、企業誘致を円滑に進めていくためには、多くの法令手続や適合性の確認、あるいはインフラの整備など、これらを所管する私ども県庁の庁内部局及び外部の関係機関との一致団結した取り組みが必要であります。県におきましては、企業へのスピーディーな対応を可能にするために、企業立地課がワンストップサービスの窓口として、各種手続のみならず、当該企業のニーズに応じた対応を講ずるよう心がけております。
 今後とも、庁内部局及び関係機関との連携を密にし、体制の強化に努めてまいりたいと思っております。
 これにつきましては、経済産業省のアンケートがございました。これで、実は和歌山県は、企業が企業立地を打診するためのワンストップサービス制についてはどうかという点については、現在ではかなり高い合格点をいただいております。一方、立地企業へのアフターサービス、いろいろな問題点が生じていることについてちゃんと対応しているかという点については、あんまりいい点をいただけていませんでした。そこで、この間御説明申し上げましたように、県庁の担当者をそれぞれの産業別に張りつけて、それで企業の方々に「現在うまくいってますか」とか、そういうような話を情報収集するように回らせているところなのでございます。
 また、案件に応じ、関係市町村及び関係機関とプロジェクトチームを結成するなど、問題解決に当たっての地域一丸となったきめ細かな対応に今後とも万全を期してまいりたいと考えております。
 また、このような中、特に大事なコスモパーク加太につきましては、これについて一応の処理策が私の就任前に議会にお認めいただいて決定されているところでございますが、企業用地として有効に活用する場合、法令手続やインフラの充実など、多くの課題をまだまだ抱えていると思っております。
 プロジェクトチーム及びワンストップサービスなど既存の体制をもって対応に当たるのみならず、その利活用に向けた取り組みを私はさらに強化せなければいけないというふうに認識しているところであります。
 具体的には、このような問題も含めまして、私みずから企業誘致のトップマネジメントを行うということを強化していくとともに、インフラの強化など誘致企業の、あるいは誘致営業の確度を高める必要な措置のあり方を検討してまいりたいと考えております。
 次に、がん対策でございます。
 このがん対策につきましては、議員御指摘のとおり、本県のがんの死亡率は非常に高いということを私も意識しております。これまた議員御指摘のとおり、和医大を初めとして県の医療機関の士気は大変高いと私は思っております。それなのにおかしいなあというのが実は正直な気持ちであります。したがいまして、一刻も早くこの原因を究明し、その原因に合った対策を打っていくということが県民に対する大事なサービスではないかというふうに思っております。
 既に、がん診療連携拠点病院の機能強化を初めとした対策は進めているところなんでございますけれども、以上のような問題意識を持ちまして、本年4月に施行されましたがん対策基本法及び本年6月に国に定められたがん対策推進基本計画を踏まえ、県においてもがん対策推進計画を本年度中に策定することとしております。このため、がん医療に携わる各分野の専門家にとどまりませず、がん患者の代表の方にも加わっていただきました和歌山県がん対策推進委員会、これを設置いたしまして現在御議論いただいているところでございます。
 先般、その主要なお医者さんの方々とお会いして問題の所在などをお聞きしたところでございますが、一層の検討をお願いしたいと思っているところであります。
 また、ただいま県の計画に係る基本方針として、議員から3点の柱、第1に予防と治療、あるいは研究の先進県になってもらいたい、それから、県内どこにいても高度ながん治療を県民が受けられるようにしてもらいたい、あるいは患者や家族の拠点の視点に立ったがん対策をやってもらいたい、こういうようなお話がありました。これについて御意見を踏まえて、計画を策定する上で、こういうことは大変重要な視点として取り入れていけばいいというふうに考えております。
 今後、計画策定に当たりましては、今申し上げましたことを踏まえ、県民の視点に立脚した総合的かつ効果的な計画となるよう、がんの克服に向けた戦略の第一歩として全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、プレジャーボートの放置艇対策につきましてでございます。
 これにつきましては、まさに御指摘のとおり、船舶航行の障害、あるいは流水の阻害、景観の悪化等による問題の発生に加えまして、和歌山県が直面するかもしれない津波のときに、あるいは高潮のときに2次被害の懸念が大変強いということで、早急に取り組むべき課題であると認識しております。
 このため、係留施設整備等におけるコスト縮減における裏づけ、受け皿づくりのスピードアップを図るということも考えておりますが、これは単に取り締まるだけじゃなくて、一方ではこのプレジャーボートというのは、ある意味では和歌山県の雇用にもつながるし、観光の振興にもなるし、それから市民の方々が実は利用が多いんですが、この方々の楽しみという点も奪ってはいけないというところもございますので、今申し上げました受け皿づくりということも同時に行って、かつ受け皿づくりも行うからといって、ぐずぐずしないで平成20年の議会にこれを処理するための総合的な条例案を提案させていただきたいと思っております。加えて、法令等に基づく放置等禁止区域等の設定を行うことによりまして規制の強化に取り組み、また、それを非常にいい形でプレジャーボートを楽しんでいただくような環境もつくり、ハード・ソフトの両面から具体的な対策に取り組んでいきたいと考えております。
 それから、河川におきましても係留施設の整備を進めなければいけません。もっとも、同時に悪質な放置艇に対しては、行政代執行による撤去を視野に入れた取り組みも行わなければいけません。それから、秩序における水辺利用と災害に対する安全性の向上を図りたいと考えております。これにより、美しい和歌山の海や川を取り戻し、それから健全な水上レクリエーションの基地として和歌山を栄えさしたいと、こんなふうに思っております。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 医療体制の充実強化に係る御質問のうち、ドクターヘリの夜間照明設備と夜間運航についてお答え申し上げます。
 議員御指摘のとおり、本県のドクターヘリの稼働実績は、平成15年1月から運航を開始して以来、平成19年8月までの累計で1511件に上っており、救命率の向上と後遺症の軽減に大きな成果を上げているところであります。この間、平成18年4月からは運航開始時間を1時間早め、朝8時から運航するなど、ドクターヘリによる救急医療の充実に努めてまいりました。
 ドクターヘリの夜間運航につきましては、安全面を最優先するという観点から、現在は、ドクターヘリを導入しております本県を含む10道県──北海道プラス9県でございます──10道県においても、日中の運航のみ行っているのが実情でございます。県立医科大学附属病院の入院患者や地域住民への騒音による影響、経費面や人的体制等の課題も残されており、夜間照明設備の設置も含め、特に安全性の担保など、検討課題であると考えてございます。
 次に、ドクターヘリの病院間搬送の充実についてでございます。
 ドクターヘリにより救急現場から患者を搬送する病院は、基本的には基地病院である県立医科大学附属病院となっておりますが、患者の容体等考慮の上、基地病院以外の病院にも搬送しているところでございます。
 県下で限りある高度な救急医療を行う病床を最大限有効活用することは重要であると認識しており、当該病床を有する日赤和歌山医療センターへのドクターヘリによる患者搬送につきましては、既に搬送実績もございますが、今後、日赤和歌山医療センターの建設計画にあわせ、日赤和歌山医療センター及び関係者、関係機関・団体と協議を行いつつ検討してまいります。
 最後に、ドクターカーについてでございます。
 議員御指摘の大阪府済生会千里病院千里救命救急センター等において現在稼働しているドクターカーにつきましては、新生児に限らず一般成人までも対象としたものであり、積極的に現場まで出動して、病院に到着する前に応急治療を行うことで救命率の向上を図るものであると承知してございます。
 なお、本県では、新生児の病院間の救急搬送を目的といたしまして、県立医科大学附属病院と社会保険紀南病院にドクターカーを導入しているところであり、平成12年4月から搬送を開始して以来、本年8月までの累計で153件の実績がございます。
 今後、広域的に、またより広い対象者に対してドクターカーを運用することにつきましては、消防機関の協力体制いかんや現在の新生児を対象とした取り組みをしている中での課題等の検証を行った上で、医師、看護師、救命救急士等の確保と資質の向上、ドクターヘリによる搬送や消防機関による一般的な救急搬送との役割分担等を踏まえながら、関係機関と十分協議を行いながら適切に推進してまいりたいと、そのように考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 危機管理監杉本雅嗣君。
  〔杉本雅嗣君、登壇〕
○危機管理監(杉本雅嗣君) 防災ヘリの医療用への積極的な活用についての御質問にお答えいたします。
 防災ヘリコプターを医療用に活用することは、災害や急病発生時の傷病者の救命率の向上を図る上で大変効果的であると考えております。
 防災ヘリコプターは、救助、救急患者の搬送及び山林火災の消火など、各種防災活動のため整備したものでございまして、平成18年度の緊急運航は、救助活動32件、救急活動29件、火災防御活動など5件、計66件となっております。
 また、山間地などにおける救急救助活動での救命率の向上を図るため、医師が同乗して現場で傷病者の治療、処置などを行う和歌山県防災ヘリコプター医師等同乗救助活動、この活動を国立病院機構南和歌山医療センターの全面的な御協力をいただきまして、平成19年4月1日から実施しているところでございます。なお、活動を開始いたしました4月から8月末までの実績は4件となっております。
 今後とも、航空消防・防災体制の充実強化に努めまして、積極的に災害防御及び傷病者の救命率の向上を図ってまいります。
○議長(中村裕一君) 総務部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○総務部長(小濱孝夫君) 県立医科大学の病床、手術室の拡充についての御質問にお答えいたします。
 平成18年4月から公立大学法人としてスタートいたしました和歌山県立医科大学は、現状の800床を前提とした6年間の中期計画を策定し、病床管理センターを設置し、病床の効率的な利用、手術室の効率的な運用による手術件数の増加など、収入確保を図るとともに、患者が安心して治療を受けられる体制の確保、サービスの向上など積極的な改善策により、法人の初年度である平成18年度において一定の成果を上げたところでございます。
 今後とも、県民医療の確保という視点に立ったサービスの提供、法人としての経営改善になお一層取り組んでいくところでございます。
 御提言のありました病床及び手術室の拡充につきましては、公立大学法人において、大学附属病院としての水準の向上、人員体制の整備及び収入の見通しなど、まず多角的に考えていく必要があります。県といたしましては、その結果を踏まえ、公立大学法人及び庁内各関係部局等と協議・検討してまいりたいと考えております。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 28番江上柳助君。
○江上柳助君 ただいま知事並びに関係部長から御答弁いただきまして、ありがとうございました。
 私、いわゆる企業誘致に関連しまして、なぜ横断的なプロジェクトチームの編成をということをしつこく申し上げたかと申しますと、実は、私の先輩で昔一緒に仕事をした先輩が、愛知県の一宮市で合成樹脂プラスチックの成形加工の仕事をされております。これは、電気部品、それからあと機械部品等、愛知県で100名の従業員です。中国にも進出しております、50名。そして、昨年の秋に高知県に進出したというんですね。
 和歌山出身ですから、「何で和歌山にならないんですか」と、もう再三にわたって聞いたんです。私も、もう1時間近く押し問答やりました。そこでおっしゃるのは、「和歌山県で『検討します』と言ったら、それは断る言葉やないか」と。いわゆる「『検討します』ということが検討せえへんやないか」と。それで私、考えたんです。縦割りやから難しいんかなと。「一遍、静岡県の湖西市、豊田佐吉──トヨタ自動車の創始者──並びに本田技研の本田宗一郎の生まれたところに行ってみろ。そらもう検討といったら、ねじり鉢巻で夜を徹してやってる」という話を聞きました。「それは昔のことや。今は一生懸命頑張ってるから頼むよ」というふうに再三申し上げました。
 したがいまして、やはりそうした「呼ぶ」とか、そういう「検討します」といったことについては本当に汗をかくという姿勢が──私は、企業立地課の皆さん、一生懸命されておりますから、そういうことないと思います。今はそういうことはない。しかし、これは全庁的にも通じることだと思います。県民に対して、「検討します」「考えます」と言ったことは、しっかりとひとつ誠意を持って取り組んでいただきたい。これは要望1つ。
 もう1つは、私、1問で申し上げました。大変な期待を知事に、この企業立地にしてるわけですね。私も、いろんな知事の通商政策局の審議官のころの講演、さらには座談会、全部読ましていただきました。そうしますと、ちょうど今から6年前、2001年、WTOに中国が加盟をしたんですね。これは、世界貿易機構に加盟した、画期的なことだったと思うんですね。それを受けての講演ございましたね。
 そのとき、その後来るのがFTA、すなわち自由貿易協定なんですね。これは、中国と結ばれると、いわゆるバリアがとれますから、どんどん中国の製品が入ってくると。知事は、ここでこうおっしゃってるんですよ。日本証券経済倶楽部での講演です。この末尾に、要するに「経済環境の激変から苦しい状況と言える農業関係者、中小企業者の方々の多くを選挙区に抱えている国会議員の先生方も、内心ではこの流れ、自由貿易協定の流れというものをせきとめることはもはや難しいことは十分に認識しておられ、最終的には御理解いただけるものと思っている」と。
 これ、攻守所を変えますと、知事はやっぱり和歌山県民の県益を考えなきゃいけません。農業関係者、いっぱいいらっしゃいます。まあ幸い果樹等多いわけですけど。近郊農業の野菜とかあるわけですからね。(「時間過ぎとるよ、1時間」と呼ぶ者あり)──じゃ、そういうわけで、ひとつ県益のためにしっかりと取り組んでいただくことを強く要望いたしまして、私の2問といたします。
 ありますけど、1時間というのがちょっと私も、出発時間がわかりませんでしたんで、大変失礼をいたしました。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) ただいまの質問は要望でありますので、以上で江上柳助君の質問が終わりました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時40分休憩
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