平成19年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 44番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 最後の質問になりました。議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
 第1の柱は、教育の問題でございます。
 「教育の荒廃」とか「教育困難」という言葉がよく使われます。教員免許の更新制という議論がありますし、また、学力の低下が問題になれば、学力テストをやれという短絡的な施策が進められているようにも私には思われます。そんな中で、教育現場が大変窮屈になっているんではないか、こういう心配をするわけでございます。
 JR福知山線の脱線事故がありましたが、あのときの運転士は、列車を時間どおりに運行しないと懲罰的な研修を受けさせられるというのが怖くて、無理な運転でかえって大きな事故を起こしたのでありました。あの事故が起こったとき、私は、教育の世界でもこれは人ごとではないと思ったわけでございます。人間は失敗するものです。失敗の教訓を共有して成長することが必要であろうと思います。
 私は、現場教員からスタートしました。教員をやめたいと悩んだこともありました。教員になったのは1967年。未熟な英語の教員でした。でも、民主的な教員でありたいという願いだけは持っていましたので、子供を殴ったりしてはいけないと思っていました。
 ところが、私の英語の授業では子供がざわざわします。ふざけて授業をまじめに受けない生徒も出てきます。そのときにずしんとこたえたのは、まじめな女の子が書いてきた学級日誌でございました。「先生は優し過ぎるから男の子はまじめにやりません。もっと厳しくしてください」、これを読んで私は焦りました。あの一番ふまじめなやつをきつくしかってやろう──この子を仮に達也と呼んでおきます。
 あくる日の英語の授業で達也に注意しても聞かないので、いきなり近寄って「これだけ言うてもわからんのか」と「ニュープリンスリーダーズ」の教科書を丸めて思いっ切り頭をたたいたわけでございます。初めて先生が殴ったものだから、教室は一瞬静かになりました。その女の子の日誌を見ると、「きょうの先生はいつになく厳しかった。こんなふうにやってほしい」と書いているのを見てほっとしたものでございます。
 けれども、それで解決するわけがありません。私の英語の授業が下手でわからないんです。また、「勉強してもどうせ高校へ行かれへん」と思っているわけです。達也はもっと授業妨害をするようになりました。私は教師に向かないのかと悩みました。
 そうした中で、1学期の終わりの父母との面接の日のことです。私は親に言いたい苦情をノートにいっぱい書きためて待っておりました。最低の先生でございます。そして、そのお父さんが実は話し始めたわけです。「達也が先生に迷惑かけて済みません。実は家内が入院していまして、食事の用意をみんな達也がやっています。この間、わしは『もっとうまいもんを食わしてくれ』と言ったんです。そしたら、達也が言うんです。『お父ちゃん、おいしいもんつくろうと思ったらお金かかるんや。お母ちゃんの病気でお金要るんやろ。僕も辛抱してるんやから、お父ちゃんも辛抱してくれ』」。この話を聞いて、私は頭をがーんとやられた思いがいたしました。子供の表面しか見ていなかった自分が恥ずかしくなったわけでございます。その後もいろいろなことがありましたが、そこからこの子供との心のつながりができたように思います。達也は、中学校を卒業して、単車の修理屋さんに就職して働いていましたが、その後、縫製の会社をつくり、今は社長さんでございます。
 私が頭をがーんとやられたという話を職場の先輩の先生に話したとき、職場の先生は、「おまえは大事なことに気がついた」と、それを評価して励ましてくれたわけでございます。失敗を乗り越えさせてくれるのは職場の同僚、先輩の支えだろうと思います。これがなかったら、私は引きこもってしまったかどうなったかわかりません。
 私は、最近の学校現場の若い先生と初任者研修の体制を見てみますと、若い先生が「失敗してはいけない」というプレッシャーに押しひしがれているのではないかという心配をするわけです。人間は失敗しながら成長していく。失敗を隠すのではなく、失敗から学び、励ますような環境をつくらなくてはなりません。
 私は、6月の県議会では、学力調査を毎年繰り返して結果を公表するようなことはやめてはどうかという提案をいたしましたが、残念ながら前向きの回答はいただけませんでした。実は、これも現場の先生方がプレッシャーにひしがれるようなことではいけないと思ったことが質問をした理由の1つでございます。
 今度は少し持って回ったような質問の仕方でございますが、教育長にお伺いいたします。
 若い教員を育てるために、失敗をも糧にしながら子供と教育を語り、若い先生が成長できるような雰囲気を学校現場につくらなくてはならないと思いますが、教育長はどうお考えでしょうか。
 第2の柱は、同和行政の終結と子供会の問題についてであります。
 私たちは、同和問題の完全解決を目指す立場から、特別行政としての同和行政は終結すべきであると主張してまいりました。同和対策の特別措置の法律も期限が切れ、国民的にもそのことは合意される段階になっています。この立場から本日は、同和子ども会としての補助金が廃止になって、現在進められている地域子ども会活動支援事業補助金についてお伺いいたしたいと思います。
 担当課から資料をいただきましたが、県が補助金を出している子供会は、地域総合と呼ばれるものと地域集団と呼ばれるものの2種類があります。地域総合と呼ばれるものは、一般には県から30万円、市町村から30万円の補助金、合計60万円が出されています。20人というのが補助を受ける要件です。地域集団と呼ばれる子供会は、補助金がそれぞれ6万円でございます。この2つの種類の子供会には大きな補助金の格差があります。
 ところで、地域総合と言われる子供会は、県下に105単位の子供会があります。そのうち、和歌山市には77単位の子供会が認められています。そのうち、ある小学校区に13単位の子供会があって、それぞれの単位子供会が、県から30万、和歌山市から30万の補助金を受けているわけです。実際は1つの子供会として運営されているんでしょうが、それが13単位に分けられ、補助金が780万円にもなっているわけでございます。
 さらに、私は子供会の実績報告を1枚1枚繰ってみました。驚くべきことに、第1子供会から第9子供会まで、活動実施報告書、収支決算書、年間の月別活動報告が全く同じ数字、同じ文章なのです。決算報告の体験活動、キャンプ、スキー研修という費用の項目があります。9つの子供会で12万8656円という端数まできちんとそろっています。キャンプやスキーなどの行事で9つの子供会、各20人の子供が1人残らず参加する、あるいは全く同じ人数参加するなどということが果たしてあるのでしょうか。あと4つの子供会でも金額の違いはごくわずかで、ほぼ同じような報告書が出されているわけです。
 一方、地域集団と呼ばれる補助金の少ない子供会ですが、親子クラブ、子供クラブなどありますが、地域の実情を調べてみますと、補助金の総額が少ないので、それぞれ6万円という少ない補助金もローテーションで、毎年もらえずに、何年かに1回しかいただけていないという実態があるわけです。
 環境生活部長にお伺いいたします。
 第1は、同じ子供会でありながら補助金が6万円の子供会と30万円の子供会がある。しかも、6万円の補助金も毎年もらえていないで、ローテーションで組んでいるという実態がある。どうしてこんな格差があるのか、お答えいただきたいと思います。
 第2に、私が指摘した1つの小学校区に13単位もの子供会があることになっていると申し上げたケースでは、補助金の総額が780万円。特定の子供会だけが異常に多くの補助金を受けていると考えます。また、私が例に挙げた小学校区の13単位の子供会の実績報告が極めて不自然であるという私の指摘についてどうお考えでしょうか、お答えいただきたいと思います。
 第3の柱として、子供会ともかかわるのですが、学校現場に配置されている学習支援推進教員の役割についてお伺いいたします。
 歴史的に振り返ってみますと、同和問題が大きな教育課題を残していた時代、同和教育推進教員が配置されました。国で措置された教員が約140人、県単独で措置された教員が約140人、半数が同和地区の35人学級実施に充てられ、半数は加配教員として各学校に配置され、同和教育の推進、学力向上、教育困難の克服に当たってきたと思います。その後、特別措置法は終了すべき段階に至りました。国が配置したかつての同和推進教員の定数は一定残され、今日、学習支援推進教員として102名が学校現場に配置されているわけです。同和という名目はなくなったわけですから、旧同和地区を抱えているかどうかに関係なく、教育困難を抱えた学校に配置されるべきものです。そういう点では、学校現場からは大変期待されているものでございます。
 まず、配置について申し上げます。
 和歌山市には46人が配置されています。1つの小学校を除いてはすべてが旧同和地区を含んでいた学校です。その一方では、例えば私の出身である海南・海草ではゼロであります。それほど和歌山市が教育困難で、海南・海草は学校が安定しているんだろうか。さらに言えば、同じ和歌山市の中でもこの46人が本当に必要な場所に配置されているんだろうかという疑問を持つわけでございます。
 さらに、配置された教員が本当に教育困難に立ち向かう上で子供と保護者、そしてその学校の教職員が期待するような役割を果たしているのだろうかという問題です。
 県下の多くの学校では大事な役割を果たしていると思います。しかし、一部ですが、学習支援教員の実績報告を見て、また驚きました。
 和歌山市のある中学校の例ですが、授業時間ゼロの先生がいる。そこの学校には3人の先生が配置されているが、3人で授業の合計が4時間、5時間という状況でございます。小学校でも6時間ぐらい、他の一般の先生は小学校では25時間ぐらい授業をしているわけです。ある学校では、職員会議などの場からも、水曜日の4時前になれば「子供会に行ってきます」と言って席を立つのが常態になっているということを現場の先生からお聞きいたしました。
 教育長にお伺いいたします。
 学習支援教員というものをどういう基準で、どういう任務を持って配置されているのでしょうか。また、学習支援推進教員が学校で全く授業を担当しないということは正常なことだと考えられているのでしょうか。地域子ども会とのかかわりで、推進教員の勤務に問題ないのでしょうか。お答えいただきたいと思います。
 次に、第4の柱でございます。貧困と格差の問題について申し上げます。
 第1は、生活保護の問題です。
 全国に大きな衝撃を与えたのは、北九州市で生活保護を打ち切られた男性が「おにぎりを食べたい」と書き残して餓死したという事件でございました。私は、こうしたニュースを聞きますと、こうした悲劇を和歌山県では、特に海南・海草地方では絶対に起こさせないぞという決意を新たにするわけでございます。北九州市で起こったことを和歌山県では絶対起こさせない──これは恐らく私だけではないでしょう。知事を初め、この議場におられるすべての皆さんの共通の思いであろうと私は思います。
 しかしながら、市役所の窓口では、心ならずもそれと違った対応が和歌山県内にもあるわけでございます。
 生活保護の申請に行きます。働きたくても働けない。もう貯金もなくなってしまった。生活の窮状を訴えて生活保護の申請をしたいと言います。そうすると、係の方は「生活保護を受けられる条件はこういうことです」という説明をします。「親戚で経済援助をしてもらえる場合は援助してもらうことのほうが先です」など、説明をします。そして、「改めて来てください」と帰らせようとするわけでございます。付き添ってきた市会議員は、できるだけ自分は前に立たないようにと黙ってそばで聞いていたんだそうですが、たまらなくなって口を挟んだそうです。「この方は生活保護の申請に来たんですよ。申請が認められるか却下されるかは別として、受け付けはしなくてはいけないでしょう」、そう言われて職員の方がやっと申請用紙を渡して、書き方の説明をしてくれたそうです。そのままにしておいたら、受け付けてもらえずに帰ってくるということになる。
 この生活保護の申請では、申請の日がいつになるかが大変重要な問題です。というのは、申請が認められるのは後になったとしても、申請を提出し受け付けた日から支給が行われるからであります。ところが、「また来てください」と言われる。
 そこで、福祉保健部長にお伺いいたします。
 北九州市の事件も踏まえて、またそれによく似たことが全国的にあることが新聞でも報道されておりますが、県内市町村でもそういう生活保護申請を受け付けようとしない、いわゆる水際作戦というようなものが強まっているという私の指摘についてどう考え、どう指導なさるんでしょうか。
 第2点は、私の地元、海南・海草地方には日本共産党生活相談所というものを開いてございます。海南のハローワークの向かい側、もとの海南市のメーンストリートにありますから、大変よく目立ちます。海南市民の皆さんには、困ったときにはあそこの相談所に行けば相談に乗ってもらえるということになり、かなりの範囲で浸透していると自負しているところでございます。けれども、それでも十分ではございません。
 地方税回収機構がスタートしてから、私は回収機構に回された方から相談をよく受けました。事情を聞いてみると、税金を滞納するということはもちろん許されないんだけれども、こんなに税金を滞納する前に行政の支援を受けられたのではないか。国保税の減免ということもあるでしょう。就学援助もあります。ところが、そういう方は多くの場合、そういう、どこにも相談せずに、そんな支援も受けることもなしに、とにかく払えないものは払えないといって滞納してしまって回収機構に回されているケースがあるわけです。
 こうした状況を見るとき、生活相談窓口が、私たちがもっとやらなければならないと思いますし、もっともっと行政が開かなくてはならないと思います。しかし、役所というものは県民、市民にとって敷居が高いだけでなく、どこに相談に行ったらいいのかわからないものです。私たちの生活相談所だって初めて入る人は入りづらくて、事務所の前を何度も行ったり来たりして、意を決して飛び込むものです。
 私は、県庁であろうと市役所であろうと、わかりやすい相談窓口が大変大事と思っています。県庁の中には県民相談室がございます。先日、見学させていただきました。県庁OBの皆さんが相談員になって頑張っておられる。どういう成果を上げておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 ただ、この相談室は大変奥まったところにあってわかりにくい。県庁北別館に入ると、矢印のマークで案内があるんですが、外から入ってきた人にもわかりやすくすることが必要だと思います。環境生活部長、いかがでしょうか。
 第3点、福祉保健部長への質問です。
 6月に海南市議会で、国保加入者が医療費の減免を申請できるようにすべきだ、法律上当然だという質問がありました。当局はそれを受け入れたのですが、県下で初めてだそうでございます。その答弁の後で当局が、「実は県議会でこの問題についての質問があって、国民健康福祉課長からの通知が出ています」と言ってまいりました。それは、昨年2月の県議会で藤井健太郎議員の質問に福祉保健部長がお答えになったものです。ちゃんとその年の3月24日付で通知が出されている。ところが、せっかくの通知が出ているのに、よく勉強している市会議員が質問をして、やっと日の目を見るようなことだったわけであります。それが県下で初めてという話でございます。
 せっかくの通知が本当に生きるようにできないのかと思ったのですが、福祉保健部長、いかがでしょうか。
 第5の柱でございます。紀南の廃棄物最終処分場の用地選定にかかわってであります。
 通称「南紀フェニックス」と言われる紀南3郡の廃棄物最終処分場の選定が進められています。紀北・紀中地域は大阪湾に最終処分場があるわけですが、紀南にはそれがない。そこで、財団法人紀南環境整備公社が最終処分場建設用地の選定を進めてまいりました。最終選定で残った5カ所のうちで串本の高富地区については、地元住民、串本町議会から強い懸念の声が起こっています。
 1970年の自然公園法の改正により、海中公園制度が成立しました。串本付近の海域は、最初に指定された10カ所の海中公園地区の1つでございます。その特徴は、テーブルサンゴの大群落と、そこに生息する多様な熱帯性の魚類や無脊椎動物の存在です。この海域が、2005年11月、ウガンダで開かれたラムサール条約締約国会議で認定を受けました。しかも、北緯33度30分というのがその緯度だそうですが、こういう高緯度に位置するサンゴの大群落というのは、ラムサール条約で認定されたものの中でも世界じゅうでここだけという貴重なものでございます。納得する解決に向かえるようにという立場から、環境生活部長にお伺いいたします。
 第1に、ラムサール条約で保護されるべきサンゴの群生地が5カ所への絞り込みでどう考慮されているのかを見ると、熊野古道と同列に景観を壊すかどうかという点からしか扱われておりません。建設工事が海に与える影響など調査すれば、大きなマイナスポイントとなり、候補地から外れるだろうと私は考えていますが、いかがでしょうか。
 第2は、調査の結果、万一高富地区が選ばれ、しかも住民が納得しない場合、強制収用など強行建設するようなことがあってはならないと思いますが、いかがでしょうか。
 第3に、この最終処分場には紀南3郡以外から廃棄物が持ち込まれるようなことはないのでしょうか。また、廃棄物の減量の努力をすればこれだけの規模のものが要らないのではないかという意見もありますが、いかがでしょうか。
 最後に、海南市の津波対策について要望を申し上げたいと思います。
 私は、海南市は津波に弱い町であるとして、津波対策、堤防の高さなど問題を取り上げてまいりましたが、このたび県としても対政府要望に取り入れられ、国土交通省からは黒江湾を津波から守るための大規模な工事についての概算要求が行われているとお聞きしています。
 地元では対策協議会がつくられ、私も地元の他のお2人の県議の皆さんと一緒に顧問としてこれに協力させていただきたいと思っています。ぜひとも県としてもその推進をよろしくお願いしたいと思います。
 また、津波対策はこれだけでなく、各地域の実情に合わせてさまざまな対策が必要だと思っています。一層の推進をしていただけますようお願いいたしまして、私の第1回目の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) お答えを申し上げます。
 まず、子供会補助金に関する2点の御質問にお答えを申し上げます。
 1点目の子供会補助金の格差についてでございますが、地域子供会は、子供たちが健やかに成長できる地域社会の実現を図るため活動している団体でございます。子供会活動はもとよりのこと、青少年の団体活動はその健全育成を図る上で大変重要であると考えております。
 県といたしましては、組織的、継続的な子供会活動を推進している市町村に対しまして、市町村が交付している補助金の2分の1を交付しております。この補助金は、活動日数が50日以上行われ、かつ活動内容が4つの活動──1番目が創作活動、スポーツ・レクリエーション活動、人権学習、2つ目が野外活動、ボランティア活動、3つ目が子供集団の相互の交流、地域住民との交流、4番目といたしまして青年リーダー等の育成など指導者養成、この4つのすべての活動を行っている地域子ども会に対しましては30万円、一方、活動日数が12日以上行われ、ただいま申し上げました4つの活動のうち2つ以上の活動を行っている地域子ども会に対しては6万円を上限として交付をしております。
 次に、2点目の子供会補助金に問題はないかとの御質問でございます。
 子供会活動につきましては、それぞれの市町村が地域の実情に応じて支援をしているところでございます。また、子供会を構成する会員の人数につきましても、地域の実情に応じ異なっております。
 地域子ども会活動支援事業につきましては、市町村が行う補助事業、例えば人権学習、ボランティア活動、地域住民との交流、青年リーダー等の養成など、市町村におきまして精査された活動実績に基づいてその2分の1を助成しているところでございます。
 次に、県民相談室の役割についてお答えを申し上げます。
 県では庁内に県民相談室、交通事故相談所を設置しており、県民の皆様方の相談に応じております。
 県民相談では、行政相談、民事相談合わせまして年間約3000件ございますが、その内訳は、9割以上が民事に関する相談でございます。その内容は、金銭の貸借問題でありますとか、離婚問題、相続問題等、多岐にわたっております。
 それぞれの相談の処理につきましては、まず相談員が内容をお伺いし、その場で処理できない場合は他の関係機関を紹介するなど、適切な対応を行っているところでございます。
 また、法律の専門家が必要なケースも多く、県庁内では年間30回の無料弁護士相談、また県庁に来所しにくい県民の皆様方には、県内各地域におきまして年間20回の巡回相談を行っております。
 今後とも県民の皆様からの相談にスムーズに対応するためにも、法テラスや弁護士会など関係機関と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
 なお、御指摘の県庁内の案内表示につきましては、県民の皆様にできるだけわかりやすい表示をするよう工夫をしてまいりたいと考えております。
 最後に、紀南廃棄物最終処分場に関しまして3点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、1点目の建設工事の海に与える影響についてでございますが、最終処分場には適正な廃水処理施設を想定しております。下流域への影響はほとんどないものと考えております。ただし、工事期間中の濁水の影響につきましては、今後の現地調査を十分踏まえまして適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に、2点目の強制執行の可能性についてでございますが、本年3月24日に開催をいたしました紀南環境整備公社理事会におきまして、強制執行は行わないことを申し合わせているところでございます。
 今後とも、地元の皆様方の御理解をいただけるよう粘り強く話し合いを続けていく必要があると考えております。
 最後に、地域外からの搬入及び施設の規模についてでございますが、現在計画をしております最終処分場は、紀南地域の11市町村から排出される廃棄物を埋め立てるための施設でございます。区域外からの搬入はございません。また、規模につきましても、公社設立時のデータをもとに想定をしておりますが、最終候補地が決まった段階で最新のデータに基づき精査をすることとしております。
 県といたしましても、候補地となる地元の合意形成を図られるように最大限努力をするとともに、紀南環境整備公社に対しましても助言をしてまいりたい、このように考えている次第でございます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 生活保護申請に関する御質問でありますが、種々の事情で生活に困窮されている方からの相談には、活用できる資産の有無や他法、他施策による給付の有無など、相談者に対するきめ細やかな面接相談の実施、生活保護申請の意思のある方については申請に必要な書類等手続の説明を行うよう、従来から各福祉事務所に対し指導しているところでございます。
 生活保護は社会保障制度最後のセーフティーネットと言われる制度であり、今後とも生活保護行政の適正な実施、執行に努めてまいります。
 次に、国保加入者の医療費減免受付窓口にかかわってについてでございますが、一部負担金の減免及び徴収猶予は国民健康保険法において定められており、一部負担金支払いの義務を負う世帯主が震災等災害や失業などの特別な理由によって支払いが困難であると認められる場合に保険者の判断により減免や徴収猶予を行うことができる制度であります。
 県といたしましては、この制度の適切な取り扱いについて、平成18年3月に国民健康保険の保険者に対して通知したほか、市町村への担当者会議においても周知してきたところであります。
 今後とも、保険者に対し、一部負担金の減免等について、法に基づいて適切な取り扱いがなされるよう周知に努めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 若い教員が成長できる教育現場についてお答えいたします。
 ただいま議員から、教師としてのあり方について、大変含蓄のあるお話を伺うことができました。
 多くの教員がそうでありますように、私にもさまざまな苦い経験がございます。名前の呼び方がまずかったせいで3年間口をきいてもらえなかった生徒もございますし、また、いじめに苦しんでいる生徒や退学を余儀なくされた生徒を支え切れなかったことなどは、今も心にかかっている問題でございます。このほか、自分では気づかない間に心を傷つけたことも多々あったに違いないと思っております。
 これらの一つ一つは、私にとりましては、失敗というよりも教育に携わった者の罪として背負っていかなければならないものと考えてございます。
 しかし、これは個人的な感懐でございますから、多くの若い先生方には、教師としての良心と誠意に基づく限りは、失敗を恐れず、謙虚に、かつ勇気を持って生徒にかかわっていただきたい、そして、教師同士が不断に子供について語り合い、互いに高め合い、支え合える環境づくりを大切にしていきたいと考えます。
 次に、学習支援推進教員の配置と役割についてでございますが、学習支援推進教員は、学習指導、生徒指導及び進路指導上、多くの課題を抱える学校を支援できるように、市町村教育委員会と十分な協議の上で配置しているところでございます。
 担当する授業時数や地域子ども会とのかかわり方などにつきましては、学校長が児童生徒の状況や課題に応じてより大きな教育効果が得られるよう決定しているものと認識をしてございます。
 なお、学級担任を初めすべての教職員が児童生徒の学習や生活面での課題解決に向けて保護者や地域の方々と連携しながら取り組んでいくことが大切であると考えているところでございます。
 以上です。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
 44番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 御答弁ありがとうございました。
 幾つか要望と再質問を申し上げたいと思います。
 教育の問題は、多角的に議論していかなくてはなりません。そこで、きょうは少し余り県議会らしからぬ議論をぶつけてみたんですが、教育長のお話は「さすが教育者だ」と感じながら聞きました。そのベースの上で、今後、私が問題があると考える教育行政の問題について、また次の機会に厳しく迫っていきたいと思っています。
 今、文教委員会では地域の学校現場の実情を聞こうという取り組みも始まっています。そういう実情も踏まえながら、今後もさらに議論を深めていきたいと思っています。ただ、学習支援推進教員の配置の問題、これはなかなかまだ納得できません。
 まず、推進教員の配置についてだけ再質問いたしますが、例えば一例を挙げますが、今、岩出中学校、岩出第2中学校でまだ35人学級が実施されていないということで、この地域で署名が集められて、そして岩出の町議会にも請願があったというふうに聞いています。これは(「岩出やったら市議会やろ」と呼ぶ者あり)──済みません、岩出市議会、市議会のほうで上がっているというふうに聞いています。これは、大規模校だから35人学級をやろうとすると学級が足りないということで、県の教育委員会のほうでも、研究的な措置だから、とにかく地元のほうからやりたいと言うてくれんことには定数も配置できないということなんでしょうけれども。
 例えばそういう大きな学校、恐らくいろんな課題があると思うんですね。そこにそれぞれ1人だけ推進教員を配置されてるわけですけども、そういう35人学級の定数が配置できないとすれば、もう少しそういうところに回せないだろうかと思ったりもします。あるいは、そのほかにも教育困難な学校というのもあると思うんですが、ただ、どこどこというふうに名前を挙げるわけにもいきませんから抽象的な言い方しかできないんですけれども、今配置されている、多く配置されている学校というのは、この旧同和地区を抱えた学校ということに大きく引っ張られた配置になっているというふうに思います。本当に必要な学校から配置するようにさらに検討する必要があるというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。これは再質問です。
 2つ目に、子供会予算の問題です。
 1つの子供会に780万円の補助金というのは、他の子供会に比べてやっぱりバランスを欠いてると思います。そして、そういう多額の補助金を受けているのは旧同和子ども会でございます。和歌山市でそれが著しい。
 この制度は、県で補助金要綱はつくってるわけですね。県の補助金要綱でつくったものについて、和歌山市のほうで、ある地域については13単位の子供会を置きましょう、補助金つけましょうというふうに780万つけて、それでその半額を県が補助するんだというような説明ですね。ですから、和歌山市のほうで──その要綱のほうは県でつくってるんだけども、ここに補助金をつけるというのは和歌山市のほうで決めてきたら、そのまま自動的に県のほうではそれに乗っかって補助金をつけるという、こういうことになってるわけです。
 しかし、これは、私が申し上げたような実績報告が極めて不自然だということも含めて、県のほうでも、和歌山市が申請してきたものをそのまま受け取るかどうかというものは、やっぱり精査する必要があるんではないかというふうに思います。監査の課題にもなると思うんですが、担当課としても調査する必要があると思います。ぜひそういう点は、市が決めてきたんだから自動的につけるんだということでなくて調査をお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。これも再質問でございます。
 それから、医療福祉の問題、相談窓口の問題、いろいろお答えいただきました。県としてはいろいろな出先に相談機能を持っているわけですから、一般県民はどこに行っていいかわからないという問題があって、あるいは役所へ行ったらたらい回しにされたという不満も聞くわけでございます。
 そんな場合に1つの窓口へ行ったら、「その問題ならここへ行きなさい」と言うだけでなくて、「こちらから、新しく行くところに電話も入れておいてあげますよ」と言ってくれれば、困っている方は大変救われる気分になると思います。もちろん、これはそういうことをやってくれてると思うんですけども、とにかく県民というものは、役所というのは敷居が高いという中で来るわけですから、十分配慮をしてやっていただきたいというふうに思っています。
 学習支援教員の問題と、それから子供会の補助金の問題、この2つの点については再答弁をお願いします。
○副議長(新島 雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 再質問にお答えを申し上げます。
 子供会補助金につきましては、ただいま御答弁申し上げましたとおり、市町村が交付している補助金に対し、その2分の1を交付しております。
 各子供会に対する補助の適否につきましては、市町村におきまして収支決算書等で交付対象事業やそれに要した経費を確認した上で適当と判断されたものでございます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 再質問にお答えいたします。
 まず1つは、35人学級の件につきましては、これは市町村と十分話し合ってる中でございますけれども、全体として配置できる人数に限りがある中で調整した結果、やむを得ずこういうふうになってるということで御理解をいただきたいと思います。
 次に、配置されている学校が同和地区の学校が多いのではないかという御質問でございます。
 これにつきましては、それ以外の学校も含まれていることは御承知いただいているとおりでございまして、あくまでも市町村教育委員会と協議する中で、課題の大きさに基づいて配置をした結果であるというふうに御理解いただきたいと存じます。よろしくお願いします。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 44番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 子供会の問題については、市町村が認めてきたんだから、それについてはもうどうこう言わないんだという、こういう御答弁と思うんですけど、やはりこれはちょっと県としても、それが適正なものなのかという判断は要ると思うんですよ。これは監査の関係、対象にもなるかもしれませんし、きょう、知事には質問をしてませんけども、知事もこの実情は聞いていただきましたんで、一度この問題は、本当に適正な支出なのかどうかというもののひとつ調査、判断をしていきたいと思います。これは要望でございます。
 それから、教育委員会の関係の推進教員の配置の問題ですが、そういうふうに言われますが、私が見たところでは、なかなか納得できないということだけは申し上げて、ただ、そのことを、どこどこの学校が教育困難だからおかしいじゃないかという論議もここでできませんので、さらに皆さんが納得できるような配置をしていただきたいというお願いだけ申し上げまして、私の討論を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○副議長(新島 雄君) ただいまの再々質問は要望でありますので、以上で雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時38分散会

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