平成19年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(岸本 健議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後1時2分再開
○副議長(新島 雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 17番岸本 健君。
  〔岸本 健君、登壇〕(拍手)
○岸本 健君 ただいま議長からお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 このたび、県民の皆様に御支持をいただき、多くの先輩議員の皆様方が築いてこられました歴史と伝統ある和歌山県議会に初めて参画させていただきましたこと、また本日、一般質問の機会をいただきましたことに、心より感謝を申し上げます。私自身、微力でありますが、県勢発展のため一生懸命に取り組んでまいる決意でございます。どうか、先輩・同僚議員の皆様はもちろん、仁坂知事を初め県庁の職員の皆様の御指導、御鞭撻を心からお願いを申し上げます。
 まず、第2期地方分権改革についてですが、第1期の地方分権改革におきましては、地方分権推進一括法の施行によりまして中央集権の象徴でありました機関委任事務が廃止され、国と地方との関係は上下・主従の関係から対等・協力への関係へと法の上では変わりがありました。
 しかしながら、税財政面での分権化は果たされないまま先送りとなりました。そして、第1期改革の置き忘れと言われた財源移譲の壁を突破すべく、小泉内閣により三位一体改革が提唱され、3兆円の税源移譲が行われたのは記憶に新しいところであります。
 この三位一体改革による国から地方への税源移譲の実現は画期的なものであり、まさに戦後の自治史において初めてのこととして歴史にさん然と残るはずであったのですが、現実として、地方自治体の間からはこの三位一体改革を評価する声は残念ながら余り聞こえてきません。
 それはなぜかといえば、皆様も御承知のことと思いますが、3兆円の税源移譲とともに4兆円の国庫補助負担金の削減、さらに5.1兆円に上る地方交付税の削減が行われたからであります。
 補助金の削減、地方交付税の縮小、税の移譲はバランスのとれたものとして行うべきものであったにもかかわらず、地方の財源は結果として6兆円以上の純減という著しくバランスを欠いたものになりました。地方自治体に大きな弊害と不信を残すことになったのは、非常に残念なことであります。三位一体改革がいつの間にか国の財政健全化に置きかえられたという気がいたします。
 この交付税の大幅な減は、地方全体を衰退へと向かわせるとともに、税源移譲により税源の偏在が増大したことも重なり、地域間格差という新たな、そして大きな問題を生じさせました。一方で、不交付団体である東京都を中心として大都市圏は、好調な税収増を背景に福祉政策などの充実を図るなど、対照的な光景が見られております。こうした結果は、地方分権とは単に「強い者が勝つ」の世の中をつくっただけという感想を抱いている市町村長さんも多いのではないかと思います。
 繰り返しになりますが、三位一体改革の問題点は、大幅な交付税の削減が行われたため単なる地方の切り捨て策となったこと、税源移譲は画期的であったが、都市と地方の格差是正が不十分だったため不公平感だけが残ったのではないかということがあります。
 私は、地方分権の推進を決して否定しているものではありません。第2期の地方分権改革においては、今までの反省の上、税財源の格差を生じさせないように税財政を抜本的に見直し、地方交付税の総額確保をした上で自治体の自由度を高め、地域の個性を生かした活性化を図ることにより地域間格差の問題も解決していくべきだと考えております。
 そこで、第2期の地方分権改革ですが、重要になってくるのは、権限の移譲とともに、やはり税財源の充実確保ということになってくると思うのですが、そのためには、地方の実情を国にきちっと理解してもらうとともに、国民に地方分権の意義や地方の取り組みを正しく理解していただくことが大事であると思います。
 三位一体改革のときは、一部の団体の不祥事を殊さらに大きく取り上げ、地方の無駄遣いがあたかも交付税に原因があるようにマスコミ等で報道されました。交付税削減の国民の合意みたいな流れになってしまいました。今回こそは偏った報道で世論が間違った方向に行かないように、地方のほうも国よりずっと真剣に行革に懸命に取り組んでいるということや、交付税の削減が国民生活に直結するということをもっと効果的にアピールしていくことが必要だと考えます。そして、全国知事会など地方六団体で一致団結して取り組み、地方にとって不利にならないように、真に地方のための地方分権改革となるよう働きかけていくべきだと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 それから、地方全体の不利にならないように働きかけるのは当然ですが、地方の間にも格差が生じております。今回の税源移譲により都市と地方の財政力格差がさらに増大したと考えられますが、今後、地方税源の偏在度あるいは格差是正に向けて県としてどのように国に働きかけ、また提言を行っていくのか、あわせて知事にお伺いをいたします。
 今後は、我々議員も地方の行財政運営に大きな影響が出る国の政策決定に際しては、常に関心を持って意見を述べていかなくてはならないと思います。県の役割として、地方の財政を直撃するような国の政策案件については、地方の実情を無視した間違った方向に行かないようにするのがいかに大事かと感じている次第であります。
 こうした中、和歌山地方税財政協議会が設立され、10月1日に講演会を開催する旨の御案内がありました。私もぜひ参加したいと思いますが、税財政の制度や国の動きというものを詳しく知る機会はなかなかないので、こうした講演会を通じて地方の皆さんが共通認識を持ち、これによって提言すべきところは提言していくことが非常に大切なことで、まさにタイムリーな取り組みだと思います。こうした取り組みを通じて、我々1人1人が理解を深めるとともに、連携を深めていきたいと考えております。
 次に、財政健全化法についてであります。
 地方公共団体の財政の健全化に関する法律が平成19年6月22日に公布されました。従来は、財政状況の悪化した地方公共団体については地方財政再建特別措置法によって財政再建制度が用意されてきたわけですが、これは、御承知のとおり、赤字が生じた団体がみずから申し出て財政再建計画を策定し、総務大臣の同意を得ることにより計画的な財政再建を行う仕組みであります。
 再建法によって再建するかしないかは、あくまでも当該地方公共団体の自主性にゆだねられておりますが、標準財政規模に対する赤字の比率が道府県で5%、市町村で20%以上となっているものについては起債の制限がかかることになっております。このような現行制度に比べ、今回の財政健全化法による新しい制度は、夕張市の教訓などを踏まえてつくられたと聞いていますが、どういった特徴、ねらいがあるのでしょうか。
 また、最近、和歌山市がこの法律の成立を受けて財政健全化に取り組み出したとの報道がなされていますが、本県については、普通会計以外の会計を連結した指標やその他の指標により財政健全化計画策定の対象となるおそれがあるのでしょうか。あわせて総務部長にお伺いをいたします。
 続いて、食育推進についてであります。
 和歌山県の基幹産業は農林水産業でありますが、そうであるならば、和歌山県は先進県でなければならないと感じております。そう感じられないのが現状ではないでしょうか。
 農業は、食料を安定的に供給することや国土の保全等、国民の生活に直結する重要な役割を担っています。しかし、国内の食料自給率は大幅に低下しているほか、農産物の輸入自由化による国内農産物の生産者価格が低迷、農家の老齢化の進行、後継者不足など、生産者を取り巻く環境は大変厳しいものがあります。それぞれの生産者はもちろんでありますが、和歌山県においても競争力強化、生産性向上、後継者の育成に向けた取り組みをしていかなければなりません。
 先日、わかやま食育推進プランを推進するため、県の食育推進会議が行われ、今後、県では、ラジオを使って食育の重要性をPRするほか、地域の農産物や伝統料理を紹介する催しを行うなど、いろいろな推進活動を計画しているということを伺いました。
 食育とは、国民1人1人が生涯を通じた健全な食生活の実現、食文化の継承、健康の確保等が図られるよう、みずからの食について考える習慣や食に関するさまざまな知識と食を選択する判断力を楽しく身につけるための学習等の取り組みであります。
 「食育」という言葉は、明治31年に石塚左玄という方が「通俗食物養生法」という本の中で、「今日、学童を持つ人は、体育も智育も才育もすべて食育にあると認識すべき」、また明治36年には、「報知新聞」編集長であった村井弦斎が連載してきた人気小説「食道楽」の中で「小児には徳育よりも、智育よりも、体育よりも、食育が先。体育、徳育の根元も食育にある」と記述しております。食育というのは大変古くからのものであると感じております。やはり、食育は子供たちに大変必要であると感じております。
 あるハンバーガーの会社の戦略の1つに、子供のときに毎日ハンバーガーを食べた子供は大人になっても毎日ハンバーガーを食べるというのがあります。家庭での食育が原点であると考えますが、学校給食はまさに毎日教育の場で食習慣、食文化を身につけていく場であると考えております。
 聞いた話ですが、子供がある日、学校から家へ帰ってきまして、「きょうの給食はカレーとゼリーだった」と。母親は子供の好きなもので、「大変よかったね」と言ったそうです。よくよくその話を聞いておりますと、子供はゼリーはデザートとしてではなくて、おかずのつもりで食べたと言うそうです。どのような味がしたのか少し興味深いですが、献立がどうだったのか、給食指導ができていないのか、家庭での食育ができていないのかと考えさせられる話でありました。
 また、食文化の多くは、その地域でとれる農産物を食材として利用することで成り立ってまいりました。その地で生産される農産物は、昔からそこに住む人にとって身体に一番合っていると言われております。これが地産地消の本来の目的であるとも感じております。
 まずは、学校給食から地産地消をしていくことが必要ではないでしょうか。学校給食に地場産品を活用することは、新鮮で安全な食材を確保することにより安心・安全であるということ、地元の産業に直接還元される経済効果、また学校教育の中で、総合学習や給食指導などで子供たちが生産者と交流し、食の大切さを知り、地元の産業を学ぶことなどで地域理解や郷土、伝統食文化への関心を深める機会になるのではないでしょうか。
 県によっては、学校給食で主食の御飯、それから牛乳はすべて県内産を使用しているところもあります。
 学校給食は、市町村の教育委員会の役割であります。給食現場で県外産品や輸入品ではなく地場産品を優先的に使うには、既存の食材流通を変えなくてはなりません。行政が動いて、きちんとした調査のもとで流通計画をつくれば地場産給食が実現するのは可能ではないでしょうか。県内だけでなく、安心・安全、そしておいしい給食のブランド化をし、産地を持たない都市部と契約すれば、自給率はもちろん、和歌山への経済効果も考えられるのではないでしょうか。
 そこで、お尋ねをいたします。
 県は、わかやま食育推進プランを作成されていますが、これまで食育の推進にどのように取り組んでこられたのか、また今後どのように取り組まれるのか。
 全国的な食育運動が展開されるよう毎年6月を食育月間、運動の一定の定着を図るため毎月19日を食育の日とし、また、和歌山県では食育運動の継続性を高めるために毎年10月を和歌山県食育推進月間として運動をするということですが、具体的にどのような運動なのかをお伺いいたします。
 和歌山県においても地場産物による学校給食は行われているようですが、今後どのような取り組みをなされていくのか、どのような考えがあるのかをお伺いいたします。
 また、学校給食における地場産自給率を調査しているのか、していないのか。しているのであれば、どれくらいの自給率か。また、調査していないのであれば今後する予定はあるのか。お伺いをいたします。
 学校給食については、給食費、食材購入費等たくさんの課題があると思われますが、未来を担う子供たちにとって重要でありますし、県がリーダーシップをとって和歌山県民全体で食育、地産地消に取り組むよう、すばらしい取り組みをしていただきたいと思います。
 次に、有機農業の推進についてであります。
 農産物は、消費者に対して安心・安全でなくてはなりません。また、環境や生態系を考え、化学物質の利用をやめ、旧来のような天然の有機物による肥料などを用いるなど、自然の仕組みに逆らわない有機農業があります。
 近年、国内では重要な家畜疾病や集団食中毒の発生、食品表示や農薬にかかわる不祥事など、消費者の信頼を損なう事件・事故が続発し、食の安全・安心の確保は急務となっております。
 食の安全への期待から有機農産物に対する消費者のニーズは高く、また、さまざまな場面で環境に対する国民の意識は高まっており、生産性と経済性の向上を追求してきた近代農業とは異なる理念に基づいて、土づくりを十分に行い、自然と調和することによって環境負荷を軽減するように行われています。農業においての生産活動が環境に及ぼす影響は無視できない状態となってきていることから、有機農業を含む環境保全型農業の重要性はさらに高まっているように感じます。
 現在、有機農産物を取り扱う業者やデパート、スーパーマーケットがふえ、少し高くても有機農産物を買うという消費者もふえているようです。有機・無農薬野菜、天然魚などのオーガニック食材だけを使うレストランも人気があるようであります。
 私の住む紀の川地域は果樹や野菜の栽培が盛んな地帯でありますが、このような消費者の意向を受け、環境に優しい農業への取り組みの機運が高まっております。有機農業の取り組みについては、まだまだ点の広がりしかございませんが、指導員との情報交換を行うとともに、栽培方法の工夫や独自の販路開拓をするなど、頑張っておられる方が大変多くおられます。
 こういった方々を支援するため、法律として、昨年の12月15日に超党派の議員立法として国会に上程され、全会一致で採択された有機農業の推進に関する法律が施行され、また、これを受けて国の有機農業の推進に関する基本的な方針がことしの4月27日に公表され、これに対する国の予算も10倍に推移するなど、有機農業の推進は、今や国を挙げた施策として取り組まれるようになりました。
 こうした状況の中、以下の点についてお尋ねをいたします。
 そもそも有機農業とはいかなる農業であると認識しておられるか。また、それが今日においてかくも重視せられるように至った理由、有機農業が本県内においてどの程度普及しているかについてお伺いをいたします。
 先ほどの法律及び国の方針は、有機農業にかかわる技術体系の確立及び普及、新たに有機農業を行おうとする者への支援、有機農業により生産される農産物の流通または販売への支援を初め、地方公共団体における組織内の連携体制の整備とあわせ、有機農業者や民間団体、消費者等の連携体制の構築など、有機農業の普及推進にかかわる多様なプログラムを展開することとしていますが、これらの施策を本県で実施するに際してどのように取り組まれる意向か、お伺いをいたします。
 次に、中山間地の果樹園の圃場整備についてであります。
 和歌山県の農業では、中山間地域の占める割合が高く、耕地面積では国の42%に対して58%、経営耕地面積では国の39%に対して67%と、さらに高くなっております。中山間地として、和歌山県内では29市町村を中山間地としております。しかしながら、和歌山県の中山間地域では、全国に誇るべき果樹を中心とした農業を展開していることもあり、耕地10アール当たりの生産農業所得は全国平均の倍以上の金額となっております。これにより和歌山県の農業が支えられているとも言えます。
 しかし、近年、農家の高齢化、担い手不足等で多くの荒廃農地が見られるようになってまいりました。立地条件の悪い園地が、基盤整備のおくれが課題であり、それを解消しないと規模拡大も利用集積も実現できない。後継者を初めとする受け手も必要であるが、実態は、立地条件が悪い場合や手入れの度合いの違う園地が貸し手から出され、借り手のニーズと合わない状況もあります。反面、圃場整備を行った地区は若い担い手も多くなり、熱心に農業に取り組んでいる地域もあります。
 和歌山県は、全国的に見ても圃場整備がおくれております。その中でも、特に中山間果樹地帯の整備がおくれております。原因の1つは、地元負担金と、整備後、永年作物のため水田地域と違いすぐに収益が得られないことが大きな要因となっております。優良農地、担い手の確保、生産性の向上には圃場整備が必要不可欠と考えますが、中山間地果樹園の圃場整備について、整備事業の推進、農家への負担軽減策などのお考えをお伺いいたします。
 最後になりましたが、家族経営協定についてお伺いをいたします。
 定義として、農業経営の近代化を促進し、魅力ある職業とするためには、農業経営に携わる家族員が経営目標、経営内において各人の地位及び役割を明確化し、収益配分等を話し合い、それぞれの意欲と能力が十分に発揮できる環境づくりをするとされています。特に、女性や若い農業者がそれぞれ個人として尊重され、経営のパートナーとして位置づけられることが重要であり、それを実現するため、家族農業経営における家族相互間のルールを家族みんなで話し合い、取り決めることとあります。
 もちろん、この協定によって農業者年金の政策支援や配偶者の農業改良資金借り入れが可能になることなど、制度的なメリットがあるようですが、特段すばらしい制度であるならばかなりの農家が利用すると考えられておりますが、制度開始から現在まで和歌山県において締結した農家にとって効果はあったのか、有効なのか、また個々の農家からどのような声が出ているのかをお伺いいたします。
 「これからは地方の時代だ」、そんな言葉を聞いたこともありましたが、実際の地方は大変厳しい状況であります。財政難を乗り切り、特に和歌山は基幹産業である農業に光を当て、未来ある躍動する和歌山の実現に向けて県を挙げて取り組んでいただきたいと要望するものであります。
 以上をお尋ねいたしまして、私の質問といたします。御答弁のほど、よろしくお願いを申し上げます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの岸本健君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 第2期地方分権改革についての御質問でございますが、三位一体の改革により削減された補助金に見合うだけの税収が得られない自治体の財源保障機能を果たすべき地方交付税が大幅に削減された結果、全国のどこの地域に暮らしていても日本国民として受けるべき必要最小限の行政サービス──ナショナルミニマムと申し上げますか──の提供ですら支障を来しかねない状況に至っているというのが現状ではないかと思います。
 私は、地方分権とは、単に国から地方へ権限や財源を移すことだけではなくて、大事なことは、住民がみずから幸せになるためにさまざまな選択を自分ですることができる社会を実現することだと考えておりますが、このため、全国知事会などと連携をしつつ地方交付税の総額を確保することが県民の皆様の生活を守るためには必要であるということを大いにPRし、どの地域に暮らしていても勇気と希望がもたらされる地方分権改革となるように国に働きかけてまいりたいと思います。
 また、地方財源の偏在性あるいは格差是正につきましても、地方がその責務に見合った財源を確保できるよう、地方消費税を拡充していくなど偏在度の小さい基幹税を中心とする地方税体系の構築とともに、財政調整制度を含め一体として議論すべきことなど、本年6月に国へ要望を行っておりますが、全国知事会を通じても提言しているところであります。今後ともこの趣旨に沿って頑張っていきたいと思っております。
○副議長(新島 雄君) 総務部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○総務部長(小濱孝夫君) 財政健全化法についての御質問にお答えいたします。
 まず、本年6月に公布された地方公共団体の財政の健全化に関する法律の特徴等についてでございます。
 現行の財政再建制度については、一般会計等の実質赤字というフロー指標のみを用いていること、財政悪化を早期に防止する機能がないこと等の問題点が指摘をされておりました。そこで、新法は、現行制度を抜本的に見直し、長期負債などのストック面に着目した新たな指標を整備するとともに、財政悪化に至るまでの早い段階から自主的な財政健全化計画の策定を義務づけており、財政状態の多面的把握と地方の自己規律による財政再建の促進をねらいとしたものと認識しております。
 次に、本県が財政健全化計画の策定を義務づけられるおそれがあるかという御質問がございました。
 新法では、財政健全化計画の策定を義務づける規定については、平成20年度決算から適用することとされております。また、新たな財政指標の算出方法及び財政健全化計画の策定が義務づけられる水準につきましては、年内に政省令によって示される見込みでございます。したがって、平成20年度決算以降、本県が財政健全化計画の策定を義務づけられることになるおそれがあるかどうかということにつきましては、現段階では明確にお答えすることはできません。
 しかしながら、知事の提案説明にもありましたように、早急に今後の財政収支見通しを取りまとめる予定でありますので、財政健全化計画の策定が義務づけられる水準等が示され次第、本県において中長期にわたりその水準をクリアしていけるかどうか検証してまいりたいと考えております。
○副議長(新島 雄君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 農業問題に関連して、4点についてお答えをいたしたいと思います。
 まず初めに、第1点目の食育の推進状況についてでございますが、食育につきましては、農業振興を図る上でも非常に重要であるというふうに考えてございまして、本県では地産地消を進めるなどの観点から、平成16年に県独自で食育推進協議会を設置いたしまして食育に対する取り組みを始めてまいってございます。
 その後、国におきまして食育基本法が制定をされまして、昨年9月には、新たに県条例に基づく県食育推進会議を設置いたしまして、お話ございましたように、本年3月に「食べて元気、わかやま食育推進プラン」を作成してございます。
 現在、この計画に基づきまして、関係部局や教育委員会、また各種団体等と連携をしながら、学校給食などさまざまな取り組みを進めてございます。
 食育月間につきましては、本県の食材が豊富な時期であり、県民の関心を持ってもらいやすいこと、また国の食生活改善普及運動が既に10月に行われていることなどから、国の食育月間とは別に、県独自で10月を和歌山県食育推進月間と定めてございます。特にこの期間中につきましては、「県民の友」10月号での特集記事の掲載を初めといたしまして、路線バスの中づり広告、あるいはチラシの配布による街頭啓発、またテレビでの特集番組やラジオでのスポット放送など、各種の広報媒体を利用した啓発を行うこととしてございます。
 また、多くの民間団体の方々が食育の普及啓発に取り組まれてございますので、今後、これらの方々や市町村との一層の連携を図りまして、幅広い県民運動として食育を推進してまいりたいと考えてございます。
 2点目の有機農業の推進についてでございますけれども、県といたしましては、これまでも安全・安心な和歌山の農産物の生産販売ということを基本にいたしまして、化学農薬や化学肥料に過度に頼らない環境保全型農業を積極的に推進してきてございます。こうした中で、現在、減農薬等に取り組む農業者として認定をしてございますエコファーマーが1454人、また有機JAS認証を受けた農家が84戸ということで、近畿各府県の中でも多くの取り組みが見られてございます。
 有機農業につきましては、無農薬での栽培の難しさということもございまして不安定な面もございますが、安全な農産物への国民の関心がますます高まる中で今後取り組むべき課題であるというふうに認識をいたしてございます。このため、県では、お話のございましたように、有機農業の推進に関する法律の成立を受けまして、有機農業者を初め有機認証協会など関係団体と県の試験研究機関等による検討会を9月10日に開催をいたしまして、今後この検討会での意見を踏まえながら有機農業の施策に関する推進計画の策定に取り組むなど、関係者が一体となって有機農業の推進に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、3点目の中山間地果樹園の整備についてでございますが、御承知のとおり、本県の樹園地は非常に急峻であるということもございまして、お話ございましたように、全国平均よりもその整備率は低位になってございます。こうした中で、県といたしましては、周辺林地も含めました急傾斜既成園の圃場整備など樹園地の再編整備に取り組んできたところでございますが、お話ございましたように、地元負担金の問題、あるいは工事期間中の収益の減少などの課題もございます。
 このため、今後、老木園の若返りや優良品種への転換など改植事業との一体的な推進、また建設発生土の有効活用による負担軽減を図るとともに、JAや市町村の協力を得ながら農地流動化対策に取り組みまして、その所得確保に頑張っていきたいというふうに考えております。いわゆるソフト事業とハード事業を組み合わせることによりまして、果樹基盤の整備に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
 4点目の家族経営協定についてでございますけれども、国の通達に基づきまして、平成7年度から、経営感覚を取り入れた新しい農業経営への脱皮を図るため、これまでの経営主を主体とした家族経営から構成員の役割を明確にした家族経営協定を推進してきてございます。その結果、現在の締結農家数は約1000戸ということでございまして、全国的に見ても高い水準となってございます。この結果から、農家の方々から理解も得ているのではないかというふうに考えてございます。
 このような中、本年3月に家族経営協定実態調査を実施いたしまして、その中での回答でございますが、家族の役割分担が明確になった、あるいは労働意欲が向上し所得の増大につながった、また報酬や休日等を取り入れることにより後継者の確保ができたなどの回答もいただいてございまして、一応成果も上がっているのではないかというふうに考えてございます。
 今後とも、家族内での話し合いを基本にいたしまして、家族経営協定を積極的に推進してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 学校給食における地場産物の活用についてお答えいたします。
 学校給食への地場産物の活用は、学校における食育推進の大きな柱と考えてございまして、これまでも積極的な活用を啓発してきたところでございます。
 平成17年度の文部科学省による学校給食における地場産物の活用状況調査におきましても、本県の使用率は33.7%となっておりまして、全国平均の23.7%を大きく上回る結果となっております。
 また、県内4校の高等学校の農業関係学科等で生産・収穫された農産物を地域の小中学校に供給するなど、地域との連携や学校間の交流も図っております。
 「食べて元気、わかやま食育推進プラン」におきましても、学校給食における地場産物を使用する割合を平成23年度までに40%に増加させるという目標を掲げてございます。
 今後とも、学校給食を生きた教材としてとらえ、積極的に地場産物を活用し、学校での食育を推進してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 以上で、岸本健君の質問が終了いたしました。

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