平成19年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(藤井健太郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行わせていただきます。
 最初に、前知事の官製談合・汚職事件の判決を受けて知事にお伺いをいたします。
 今議会の冒頭、知事は、前知事に対する判決を受けて、「多くの県民の信頼を裏切り、県政史上未曾有の不祥事を引き起こしたことは言語道断であり、県として、判決が確定し、判決理由や証拠書類等が明らかになった段階で十分精査し、県のルールに従って適切に対応していきたい」と、今後の対応について述べられました。再発防止策につきましては、できるところから取り組むとの姿勢で、既に公共調達検討委員会の報告を受けて入札制度の見直しを順次進められ、監察査察監の配置と査察制度の導入、職員倫理規則の制定を行われました。
 一方、事件そのものの解明については、県みずからの調査と解明への努力を求めてきたところですが、知事は、事件の解明については捜査機関にゆだね、司法の判決結果を待つという姿勢でした。県としてこの問題のけじめをどのようにつけていくのか。私は、県行政のトップである知事が関与していた事件であり、県としてのきちんとした総括を行い、県民への説明責任を果たすべきだと思っています。
 仁坂知事は、これまでも、「判決が確定した後、県のルールで適切に対応する」、このように繰り返し言われています。県庁内部での処理だけで終わらせることはないと思いますが、県政史上未曾有の事件であっただけに、判決を厳粛に真摯に受けとめ、その細部にわたって県としての検証を行い、また判決に触れられていない事項についても、関連する問題を含め、きちんと事件を網羅した総括を行い、文書化し、事件の全容と再発防止策について県民に示していただきたいと思いますが、そのお考えはあるのかどうか、お尋ねをいたします。
 次に、新長期総合計画についてお尋ねをいたします。
 新長期総合計画の骨子が提示をされました。今回策定を進めている長期総合計画は、コンサルタント依存ではなく、職員でのワーキンググループをつくり、有識者や県内自治体首長を初め、議員、県民からの意見聴取を行うなど、手づくりの長期計画になろうとしています。計画策定の姿勢として、その目的に、「和歌山県が目指す将来像を県民に示し、取り組む施策の方向を明らかにすること、そして県民と共有できる将来像、目標を示すことで県民各人の主体的な活動の指針として活用されることを期待する」としています。
 前木村知事は、みずからの選挙公約であるマニフェストを長期計画にかわるものとして行政運営の指針として位置づけ、その実現を目指してきました。どちらかというと、知事主導型の県政運営の指針であったようにも思います。今回の長期計画づくりにも、当然、仁坂知事の公約が盛り込まれることと思いますが、行政と県民が共有する目標を掲げ、それに向かってそれぞれの役割を果たしていく、行政と県民の共同作業として長期計画がつくり上げられ、行政と県民が共有する指針ということになるならば意義あるものになると思います。
 また、この10年ということを展望しますと、自治体そのものの形がどうなっていくのか、自治体財政がどのようになっていくのか、行財政運営の基盤そのものが揺らいでいる中で県民に約束できる将来像を描いていくことは極めて困難なように思います。それだけに、しっかりとした理念とそれに基づく長期計画として施策の方向性を示していくことが行政には求められています。骨子が示されて、これから中身の議論となるわけですが、知事、関係部長に基本的な考え方についてお尋ねをいたします。
 まず、知事の長期総合計画づくりの基本的考え方、その理念についてお尋ねをいたします。
 行政と県民が共有できる目標づくりを掲げられていますが、一口に県民と言いましても、大企業の社長さんから従業員と一緒に汗と脂まみれになり働く経営者、金利・配当所得で生活する資産家から生活保護に頼らざるを得ない人など、県民の置かれている状況、その立場によって県政に対する要望もさまざまなものがあります。
 そこで、計画の出発点をどこに置くのか、仁坂県政が取り組もうとする計画づくりに当たって県民生活の現状認識について現状をどのように把握されているのか、お尋ねをいたします。
 県内地域経済の特徴、暮らしの指標の動向をどのようにとらえ、決して明るい未来が展望できるものではなく、多くの県民が将来への不安を今抱いているのではないでしょうか。どのような現状認識をお持ちなのか。
 地方自治体の目的は、住民の暮らし、健康、福祉を向上させることにあります。目指すべきは県民全体の暮らしの底上げを図ることであって、県政が暮らしの格差、地域の格差をより拡大する役割を果たすようでは困ります。行政と県民が目指すべき方向と課題、解決の方向について、果たして共有できる計画となるのでしょうか。そのためにも、住民の計画づくりへの参画と住民参加のあり方が問題となってきます。また、目標達成に向けての計画の見直し、修正も臨機応変に必要となってくるのではないでしょうか。
 長期総合計画は理念重視型なんでしょうか。また、具体的な数値目標を織り込んだ施策重視型となるのでしょうか。県民にわかりやすくしていくためにも、具体的な施策と数値での目標づくりが必要ではないでしょうか。どのような指標を数値化していこうと考えておられるのでしょうか。
 また、既に各ジャンルでの基本計画が先行してつくられております。整合性をどのようにとっていくのでしょうか。もちろん、長期総合計画が上位計画となることになるわけですが、それに合わせて各ジャンルでの基本計画は修正されることになるのでしょうか。
 以上、知事から答弁をお願いいたします。
 次に、今、長期計画づくりの入り口の部分についてお尋ねをしたわけですが、これから幾つかの各論にわたって、将来の目指す姿、それに向けての施策の方向についてどのような考えをお持ちなのか、関係部長にお尋ねをいたします。
 まず、中小零細商工業と県民の雇用について、その目指す方向について商工観光労働部長にお尋ねをいたします。
 ことし3月に県が発刊した「きのくに産業白書」を見ますと、従業者4人以上の製造業の事業所数は、平成7年から16年までの10年間に約3500から2500へと1000事業所、30%も減少しています。また、同時期の新たな工場立地は71件となっています。従業者数は6万8000人から5万3000人に1万5000人、約23%の減少となっています。
 小売業では、平成6年1万6000店舗から平成16年1万4000店舗へと2000店舗、約17%減少。従業者数は、大規模小売店の出店ラッシュもこの時期あり、わずかばかりの伸びとなっていますが、平成14年から見ますと、この3年間では4800人もの減少となっています。
 農林水産業を含む民営の全事業所数、従業者数で見ると、平成13年から16年の3年間に5万6400事業所が5万2800事業所へ3600、約6%の減、従業者数では37万2000人から34万3000人へと約3万人、8%の減となっています。
 中でも、製造業の規模別事業所数で見ると、4人から19人までの中小事業所が平成16年では製造業全体の77%を占め、従業員数では72%も占めています。まさに県内の中小零細事業所は県民のなりわいの場でもあるし、地域経済を支える重要な担い手でもあります。
 ところが、事業所数、従業者数の減少は、これらの中小零細規模の事業所において今顕著にあらわれてきています。和歌山の地場産業でもあった木材、建具、家具や縫製業などが町から姿を消しつつあり、商店街では空き店舗がふえています。あと10年たてばこの町はどうなるのか、そういう不安の声も実によく聞きます。町全体の将来像への展望が描きにくくなってきているのではないでしょうか。
 中小零細の事業所、従業者の減少、小売商店の減少をどのように考えておられ、将来の姿をどのように描き出そうとしているのか、県民にどのような方向が示せるのでしょうか、お尋ねをいたします。
 あわせて、県民の雇用と所得についてどのような将来像を描き出そうとするのか。高齢者、障害者、母子家庭の雇用の将来をどう描くのか。
 県は雇用促進プログラムをつくって、県の実施する施策が雇用にどのように結びつくのか、推計を進めてきました。19年度でそれも終わりますが、その総括と新たな計画づくりの検討も必要となってくるでしょう。また、今日、労働法制の緩和により派遣、請負、パート労働が広がり、雇用形態の流動化が不安定雇用と低所得につながっています。正規雇用の拡大と県民所得の向上に向けての方向をどのように考えておられるのか。
 県民のセーフティーネットづくりとその目指す方向は、とりわけ生存権保障のかなめでもある医療保障の問題について福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 長期計画骨子では、県民が安心して医療サービスが受けられるような環境整備と言われています。この中身は医療の提供体制の充実を指しているものと思われます。初期救急から2次、3次の高度医療までのネットワークづくり、医師、看護師などのマンパワーの拡充が求められていますが、これらは長期的に整備する課題ではなく、緊急の課題でもあります。
 平成15年4月に県が策定した和歌山県保健医療計画の中で、県が目指すべき医療保障像が示されています。「『いつでも』、『どこでも』、『等しく』保健や医療についてのサービスを受けられるようにする」とあります。これは、夜間・休日であれども時間を問わず、都市・山村、場所を問わず、お金の負担能力の有無を問わず、県民が必要とする医療保障制度の構築を目指すものと受けとめるものですが、長期計画で目指すべき医療保障像をどのように描かれているのでしょうか。
 医療保障は、医療サービスの提供施設と医療従事者について整備すれば足りるものではありません。
 今日、国においては、国民医療費の増大に対して医療保険制度の改変が矢継ぎ早に進められています。医療保険制度が県民の医療を受ける権利を保障するものとして機能させていくことが求められています。自立支援医療などの一部自己負担金を伴う公費負担の医療制度、自治体独自の医療費への助成制度、乳幼児、母子、重度心身障害者(児)、老人医療など、必要とする人に保障をされなければなりません。
 医療の必要性は、必要とする人の経済的負担能力、お金のあるなしとは無関係にあらわれてきます。被用者以外が加入する国民健康保険では、保険料滞納が保険給付の差しどめとなっており、「負担なくして給付なし」が原則とされています。
 保険料滞納者に渡される資格証明書では保険給付を受けることができず、窓口では医療費の全額支払いが求められます。そのため、資格証明書での受診はほとんど見られなくなりました。しかし、これでよしということではないはずです。必要とする医療が受けられずに取り返しのつかない事態になっているとすれば重大な問題です。
 医療を受ける必要性があって保険料の支払い困難がわかっているのに資格証明書が渡されていることや、難病や精神などの公費負担医療の受給者にも資格証明書が渡されることのないようにしていかねばなりません。
 しかし、残念ながら実情はそのようにはなっていません。生計中心者が入院したことを訴えても、「保険料を払わなければ保険証は渡さない」、このように言われたり、精神の疾患があって自立支援医療の受給者証を持っていても資格証明書が手渡されていたこともあります。
 全国の自治体の中には、資格証明書発行の厳密な基準を設け、職員の適切な職権行使となるように、職員の職権の乱用とならないように加入者の医療を受ける権利を保障するよう努めているところもあります。
 県民のセーフティーネットづくりは、制度づくりに終わるものではありません。公務員が全体の奉仕者として県民の生存権をいかに保障していくのか、その目と心構えによって支えられていくものです。資格証明書を発行しなくてもいいような将来像が描ければ、それが最良の方向だと考えるところです。
 長期計画においても、医療供給体制の整備とともに、それを支える医療保障制度の構築、運用についても明記されてしかるべきものだと考えますが、いかがでしょうか。
 震災・災害対策の目指す方向について、危機管理監にお尋ねをいたします。
 長期計画の骨子は、防災・減災社会の実現を目指すとして、県民への防災教育・啓発、耐震化などの基盤づくり、災害応急対策と被災者支援、復旧対策の推進を掲げています。今回は、行政側からの課題だけでなく、住民側の課題でもある自主防災組織づくりと、その内容の充実強化についてどのような方向性と将来像を考えているのか、お尋ねをいたします。
 台風や大雨などは、気象予報の精度も向上し、注意報や警報の発令、また行政としては避難勧告、避難指示など、住民にとってもある程度準備期間が置けるようになっています。しかし、今日、地震の予知はまだまだ難しく、直前での予報がやっとという状況ではないでしょうか。したがって、いつ起こるかわからない大地震に対して被害を最小限に食いとめるためにも、県民1人1人の暮らしの中で備えが決定的に重要となっています。
 県の地震防災対策アクションプログラムの中で、住民による自主防災組織づくりが課題として掲げられております。その目標を100%の地域につくると置いて、既に80%の地域にできているということです。和歌山市でも自主防災組織づくりの取り組みが進められていますが、形だけはできていても中身が伴わない、中身は一体どうなっているのか、このように思えるところも随分あります。
 それぞれの取り組みには随分開きが出ています。市内の駅前商店街を中心とするある単位自治会では、大地震が起きたとき、高齢者のひとり暮らし、体に障害のある人など自力脱出できない、援護を必要とする家庭を町内の地図に詳しく書き込み、だれが援護者となるのかを決め、自分たちで相談して決めた一時避難場所への避難訓練を行っています。また、そのときに応急手当て、炊き出しの訓練も行い、そのことによってその町内の住民1人1人の意識も高まり、家具の転倒防止対策の普及も進んでいるということです。
 この自治会長は、「この取り組みを地区内すべての自治会にも広げたい」と言われていますが、「呼びかけてもなかなか進まない。それぞれの自治会内で、少なくとも中心になる人が3人は必要だ」と言われていました。このようにしてやっている、こうすればいい、どうすればいいのか、そういうことで悩んでいらっしゃる方もたくさんいらっしゃいます。
 こういった先進的と言うのはなんですが、実際に住民参加のもとで行われている自主防災組織の中身、それぞれの地域、さまざまな内容があるだろうと思うんですが、そういったモデル的な取り組みを紹介し普及をする、そして中心となる防災リーダーの養成など自主防災組織づくりへの支援を強化して、形だけではなく、中身のある自主防災組織の100%実現を目指してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、医療改革と後期高齢者医療制度についてお尋ねをいたします。
 平成15年3月に、高齢人口がピークとなる将来の医療保険制度の設計が必要として、医療保険制度体系及び診療報酬体系に関する基本方針、いわゆる医療制度改革についての基本方針が閣議決定され、法制化の必要な制度の見直しについて、昨年6月に医療制度改革関連法が成立しました。今回の改革は、昭和36年に国民健康保険制度が整備をされ、国民皆保険が達成されたことと並ぶ最大級の改革とも言われています。医療保険制度に自治体による医療費適正化計画づくりという仕組みの導入と、医療保険制度始まって以来の、年齢で一線を画す高齢者だけの医療制度が創設され、その本格実施が来年4月から始まります。現在、県においてもその準備作業が急ピッチで進められているとのことです。
 これまで、国民皆保険の歴史を見ますと、私は3つの時期に区分することができるように思います。
 1つは、医療保険制度の内容の充実、つまり保険給付率のアップの時期。窓口負担の軽減が進み、ついには老人医療費の窓口負担無料化の実現にまで至りました。我が国の経済成長が支えてきた時期でもあります。
 2つ目は、高度経済成長が終えんし、臨調行革政治によって老人保健法が昭和58年に施行、老人医療費に一部定額の自己負担が導入され、平成13年には原則1割負担となり、15年には老人医療を除きすべての医療保険が窓口3割負担に統一されるまでの時期。基本的には、制度そのものではなく、保険料と医療費の自己負担をふやすことによって医療費に対応してきた時期でもあります。
 そして今回、医療給付費の伸びの抑制を図るため、自治体での医療費適正化計画づくりと、とりわけふえ続ける老人医療費に対応するため、県内全市町村による広域連合が運営する後期高齢者医療制度の創設など、地方公共団体が医療費と高齢者医療問題に正面から取り組むこととなりました。来年4月からスタートする後期高齢者医療制度は、県民にとっては全く新たな高齢者向け医療保障制度としてどのような内容のものになるのか、高齢者の暮らしや命と健康にかかわる重要な問題でもあります。
 医療制度の運営主体は、県内全市町村が参加する広域連合が担うこととなります。県は広域連合に対して助言と指導をすることとなりますが、高齢者の必要とする医療の提供が阻害されることのないように適切な対応が求められています。
 今、知り得る内容として、後期高齢者医療の対象者は75歳以上の人、65歳以上75歳未満で重度障害の認定を受けた人、現在加入している医療保険を脱退し、新たに後期高齢者医療制度に加入し、加入した1人1人に対して保険証が渡されるということ。保険料は2年間を通した計算で、加入者1人1人に対する賦課となり、国保と同じく低所得者に対しては保険料減免制度が設けられます。県内どこの市町村でも保険料は原則として均一料金となり、年金が月額1万5000円以上であって、介護保険料と合算した金額が受給する年金の半額以下であれば年金天引きになるということ。窓口での医療費の自己負担は1割負担、現役並み所得は3割負担となる。これまで、老人保健医療で保険料滞納者に対する資格証明書は発行できませんでした。しかし、今回の後期高齢者医療では資格証明書を発行することとなり、その場合は窓口負担は全額自己負担となります。
 後期高齢者医療の財源として、患者の医療費自己負担分を除き、加入者の保険料1割、75歳未満の人の支援金4割、公費は5割、国3分の2、県、市町村6分の1ずつとなっています。75歳未満の人は、みずからの医療保険料と介護保険料、後期高齢者医療への支援金を支払うこととなります。加入者の保険料や受けられる医療の内容については未定であり、年内には明らかにされる見込みということですが、来年4月1日からの実施とされております。すべての内容がわかるのは、直前でないとわからないということでは困ります。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 後期高齢者医療制度の県民への徹底した広報はどのように考えているのか。実施直前では県民の意見を反映させることはできないのではないでしょうか。
 保険料負担はどうなるのでしょうか。いつ明らかにされるのでしょうか。国保より高くなるのでしょうか。75歳未満の人の後期高齢者医療費への支援金は、限度額が12万円と今言われています。国保加入者の場合であると、今、国保の最高限度額56万円ですが、この後期高齢者医療分を含めると59万円になるという話もあります。
 また、市町村国保で独自の保険料減免制度が行われておりましたが、後期高齢者医療に移行すると、この扱いはどうなるのでしょうか。広域連合でも、それぞれの市町村で行われていた保険料の独自減免制度が生かされることになるのでしょうか。
 資格証明書の発行をなぜ行うのでしょうか。行うべきではないと考えます。老人保健の場合、高齢者の心身の特性に合わせて、そういうことで資格証明書の発行がされてまいりませんでしたが、今回は発行されることとなりました。なぜ発行されることとなったのか。
 医療費適正化計画づくりとあわせて療養病床の削減が進められることとなります。全国で介護型13万床、医療型25万床、合わせて38万床を、2012年までに介護型を全廃することが介護保険法に明記されました。医療型は10万床削減するとし、比較的軽症の医療区分1の患者ベットは全廃、中程度の重症度2の患者ベットは30%削減するとなっています。
 来年4月から順次本格実施に移されるわけですが、本県でのベット削減の実施見込みはどうなのか。今、療養病床に入院されている方は、居宅での療養が困難な人が療養病床に入院されているわけですが、そのベットが廃止、削減をされますと、現在入院している人の受け皿をどうつくっていくのか。すべての人に必要とする医療、介護が提供できる見通しなのかどうか、あわせてお答え願います。
 最後に、多重債務者問題についてお尋ねをいたします。
 昨年の12月、国会において貸金業の規制等に関する法律の一部改正が、国民が抱える多重債務問題解決に向けての総合的施策を推進することを目的に、与野党の全会一致の賛成で成立いたしました。その中で多重債務問題とは何かが定義づけられています。かいつまんで言いますと、貸金業者の貸し付けを原因として返し切れないような多大な債務を負うことにより生活が行き詰まってしまい、社会生活を送る上でも地域社会にとっても重要な問題になっているということです。
 これまで、貸金業者の貸し付けの特徴として、高金利での貸し付け、必要以上の過剰な貸し付け、そして過酷な取り立てなどが挙げられており、借金を返すために借金を重ね、そのことによりヤミ金融の横行や途方もない高利での貸し付け業者があらわれるなど、借り手側の責任だけで済ませられる問題ではなくなっていました。多重債務を原因としての離婚、家庭崩壊、虐待、ノイローゼ、果てには自殺にまで追い込まれる事態も生まれました。同時に、税や社会保険料の滞納、さらに住宅家賃、子供の授業料、給食代、保育料の滞納など、地域社会にも深刻な影響を与えました。
 昨年の貸金業規制法の改正により、これまでのグレーゾーン金利を廃止し、出資法の上限金利を利息制限法の「15%から20%」にまで引き下げる、借り手の借入残高の総額把握や返済能力を超える貸し付けの禁止、日中の執拗な取り立て行為の禁止、借り手の自殺による保険金支払いができる保険契約締結の禁止などが盛り込まれ、これまでの問題点解決への展望を開くものとして期待が寄せられています。
 しかし、この改正ですべての借り手が抱える問題が解決するわけではありません。法律の全面施行は約3年後であり、将来への予防には期待が持てますが、既に多重債務に陥っている人や、この3年間に多重債務に陥ってしまう人まで救済することはできません。
 私のところにも、生活に行き詰まっている人からの相談が寄せられますが、よくよく話を聞いてみますと、貸金業者への返済を優先し、生活費を切り詰め、子供の教育費、税や社会保険料を後回しにしている人も少なくはありません。タクシー運転手で、母親の介護をしているため、日中の運転だけでは月10万円足らずの収入にしかならない、貸金業者から生活のため借りたお金が膨れ上がり、その返済に追われ、母親の介護保険の利用料も払えず、家賃も払えなくなったという人。また、重度障害のある子供と糖尿病で入退院を繰り返す妹の世話をしている人で、貸金業者からの膨れ上がった借金返済のためヤミ金に手を出し、その返済を迫られたため、年金を担保にして借り入れた、そのお金を全額ヤミ金に返済してしまって生活に行き詰まったなどなど、これらの問題は、高金利の支払い分を利息制限法に置きかえて再計算したり、違法なヤミ金融資を摘発することで解決に結びつく問題でもあります。
 うまく弁護士や司法書士に結びついたところでは、過酷な取り立てもとまり、破産手続の予定が利息制限法による再計算で過払いであることがわかり、任意整理により100万円を超えるお金が手元に戻った事例など数多くあり、ほとんどが解決につながっています。しかし、うまく法律関係者とめぐり会えるのは多重債務者の2割にすぎないと言われています。
 多重債務者問題は、きちんと話を聞いて、本人の生活の再建、自立への展望とあわせて取り組めば、ほとんど解決できる問題とも言われています。そういう点で、自治体は、税や社会保険料などの徴収と同時に、各種の生活相談、生活保護を初め社会福祉施策の実施、生活福祉資金など小口の生活資金や事業資金融資、消費者保護など、多面的に住民と結びついています。多重債務者の問題解決の視点から相談体制をつくり、庁内のネットワークが有効に機能すれば、相当大きな成果に結びつくことが期待されます。
 既に長野県、岐阜県などでは県としての取り組みが始められ、多重債務問題は個人の問題では済まされない、専門機関に丸投げしない、ゼロ予算事業で対策会議を設置し、多重債務者の現状を知り、困っている住民に手を差し伸べることで地域社会の安全・安心を守るとしています。
 鹿児島県奄美市では、多重債務者救済の最終目的は生活の再建である、多重債務状態の放置は社会環境の悪化につながる、病気、離婚、児童虐待、犯罪や自殺、税等の滞納、これまで悪質滞納者と言われていた人を善良な納税者に変えていくやりがいのある仕事、こういう姿勢で熱心に取り組まれ、この4月に開かれた総務省、金融庁後援の日本弁護士連合会主催のシンポジウムでも紹介されておりました。
 昨年12月、政府は貸金業規制法の一部改正を受け、内閣官房に多重債務者対策本部を設置し、借り手対策の課題を検討するため有識者会議を設け、そこでの意見取りまとめに基づき、ことしの4月20日に多重債務問題改善プログラムを決定しています。その主な内容は、借り手対策への取り組みが必要であり、自治体は住民への接触機会が多く、多重債務者の掘り起こしや問題解決に機能発揮が期待できるとした上で、自治体に対し必要と思われる課題への取り組みを要請しています。
 都道府県には、みずからの相談窓口における相談体制、内容の充実、関係部署、警察、弁護士会、司法書士会及び多重債務者支援団体による多重債務者対策本部または協議会の立ち上げ、市町村ネットワークづくりの支援などが要請されています。また同時に、多重債務問題解決として、セーフティーネット貸し付けの提供の検討、金融経済教育、消費者教育の強化、ヤミ金撲滅に向けた取り締まりの強化などが課題とされています。
 そこで、環境生活部長にお尋ねをいたします。
 多重債務者問題に対する基本的な姿勢、考え方はどのように持っておられるのでしょうか。
 県としての今後の方針はどうなのでしょうか。プログラムで要請されている多重債務者対策協議会の設置とその構成はどうするのか。一刻も早く立ち上げることと、広く住民団体への参加を呼びかけ、多重債務者の声が反映できるような対策協議会にすべきではないでしょうか。
 相談窓口の整備強化をどうするのか。担当の専任者を設け、庁内や振興局をつなぐネットワークづくりを進め、多重債務者の掘り起こしと相談員へのつなぎ、県民からの多重債務専用のホットラインの創設も考えられます。市町村への支援や解決までのフォロー体制づくりも必要ではないでしょうか。
 セーフティーネット貸し付けについて。現在、社会福祉協議会の生活資金、母子寡婦福祉資金、市町村での小口貸し付けの制度があります。これらは特定の目的での貸し付けとなっていて、多重債務者の解決までの生活つなぎ資金のような位置づけが、今後検討が必要となってくるのではないでしょうか。
 県民の金融経済教育、消費者教育の中で、多重債務問題について知識の普及と発生の予防につなげていくことが課題とされています。どのように取り組んでいくのか。
 貸金業者への規制が強まることから、ヤミ金など悪徳業者の横行が懸念をされます。取り締まりや被害予防への対策の強化はどのように考えられているのか。この点は警察本部長から御答弁をお願いいたします。
 以上で、私の第1問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 前知事の官製談合・汚職事件の判決を受けまして、事件の総括と県民への説明に関するお尋ねでございましたが、まず第1に、再発防止策については既に実施の段階にございます。
 それから、県といたしましては、これまでも申し上げてきたとおり、判決が確定し、証拠書類等が明らかになった段階で十分精査し、事実関係を把握した上で県のルールに従って責任を問うべきものは問い、また損害賠償請求についても適切に請求していくなど、県の対応について県民の方々の御理解をいただけるよう、きちんと事件のけじめをつけたいと考えております。
 次に、新長期総合計画についてでございます。この基本的な考え方についてのお尋ねがございました。
 暮らしを取り巻く現状の認識をどう見るかということでございますが、就労と子育てが両立しにくい社会環境などのもとで出生数が減少していること、それから、高齢化率が全国10位で、しかもひとり暮らし高齢者が増大していること、医師が地域的に偏在し、特定診療科での医師が不足していること、また経済面では、1人当たり県民所得が全国33位であり事業所数や従業員数も減少傾向にあることなど、克服すべき課題も少なくないと認識しております。
 新長期総合計画は、行政と県民がともに推進することで実現できるものと考えております。このため、策定に当たりましても、有識者や市町村長との議論、広報紙等を活用した県民からの意見募集などを通じ、行政と県民がこれら現状の認識を深め、共同して課題解決に向けての検討を進めることで県民と共有できる計画にしてまいりたいと考えております。
 新長期総合計画には、和歌山県が目指す将来像と和歌山の元気の創造に向けて取り組むおよそ10年間の施策の基本方向を盛り込んでいくこととしておりますが、時代の変化が激しく、計画との乖離が大きくなれば改定等をしていくことも必要と考えております。
 計画に基づく施策の実施に当たりましては、厳しい財政状況にあることから、年度ごとに事業評価手法を取り入れた施策検討を行い、推進してまいりたいと考えております。また、県民みんなで描く共通の目標設定や県民にわかりやすい計画づくりの視点から、必要な数値目標を掲げることとしております。
 なお、各分野の基本計画につきましては、その基本部分を新長期総合計画に盛り込んでまいりたいと考えております。
○議長(中村裕一君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 新長期総合計画における中小零細商工業と県民の雇用につきましてお答えいたします。
 平成18年事業所・企業統計調査によりますと、県内の事業所数の減少率は全国平均を上回り、小規模企業の割合が大変高い中で小規模企業の減少が顕著であり、地域経済、地域社会を支える中小零細企業の存続が大きな課題であると受けとめてございます。
 そこで、新長期総合計画では、1、地域産業の経営革新などによる成長力の強化、2、地域資源を活用した新事業、新産業の創出、3、産学官連携などさまざまな機関との連携強化などにより事業活動が継続でき、さらに発展が可能な産業づくりを目指してまいりたいと考えてございます。
 具体的な方向といたしましては、経済のグローバル化に伴い競争力が低下している地場産業では、産地の方々と十分協議しながら市場競争力の強化を図るための新商品開発や販路開拓に対する効果的な支援策を検討してまいりたいと考えてございます。
 また、商店街振興に関しましては、まちづくりと一体となった取り組みが極めて重要となっていることから、中心市街地の活性化や少子高齢化対策、地域コミュニティーの形成などの地域づくりに取り組む市町村を支援し、地域住民が魅力を感じ得る商店街づくりを目指してまいりたいと考えております。
 次に、県民の雇用と所得についてでございますが、本県の将来を担う若者がみずからの可能性に挑戦し、ふるさとで生き生きと働いていける社会づくりを目指してございまして、新長計では、ジョブカフェ・わかやまを拠点とした若者の雇用対策を主要施策に位置づけてまいりたいと考えてございます。
 また、障害者など就職を希望しながらその機会に恵まれない方々については、福祉部門との連携のほか、さまざまな取り組みを検討してまいります。
 さらに、若者の職業意識の醸成や非正規労働者に対するスキルアップなどの施策と成長性の高い企業づくりの施策が相まって効果を上げることで雇用の安定化につなげられるものと考えてございます。
 いずれにいたしましても、まちづくりと一体となって県内に働く場所をふやすことが県民所得の向上、ひいては格差社会の是正につながるものと考えており、雇用の確保を主眼として検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 新長期総合計画についての県民のセーフティーネットづくり、特に医療保険制度についてお答え申し上げます。
 県民のセーフティーネットづくりにつきましては、県民の皆さんが、いつでも、どこでも、ひとしく保健や医療についてのサービスが受けられることを目指していくものであります。これを支える医療保険制度は、国民皆保険のもと、相互扶助によって成り立っており、被保険者が保険料を出し合い医療を受けられることを保障している制度であります。
 運用面では、この保険料の収納確保のために資格証明書があります。資格証明書の発行には除外規定があり、御指摘のありましたように、障害者自立支援法に基づく自立支援医療費や結核予防法に基づく医療費など、国の公費負担医療対象者と災害その他政令で定める特別な事情がある者は資格証明書の交付対象者から除かれてございます。
 資格証明書の適切な運用については、市町村に対し徹底を図っているところであり、そういったことも含め、セーフティーネットとしての医療保険制度が今後とも機能していくことを前提として長期総合計画を策定してまいりたいと考えてございます。
 次に、医療改革と後期高齢者医療制度についてでございます。
 まず、制度の広報と県民の意見の反映でありますが、後期高齢者医療制度の施行は大きな制度変更であり、住民に十分周知することが重要であると考えてございます。
 現在、後期高齢者医療広域連合と各市町村が連携を図り、制度周知の広報に取り組んでいるところですが、県といたしましても、県の広報紙やマスメディアを利用して積極的に広報を展開していきたいと考えてございます。また、国におきましても、リーフレット、ポスターの作成及び政府広報の実施が予定されています。
 なお、保険料につきましては、県民の代表として、各市町村議会から選出された議員により構成されます広域連合の議会において検討がなされ、本年11月を目途に条例で決定される予定となっておりますので、決定後、周知ができるよう、広域連合、市町村と連携を図りながら取り組んでまいります。
 次に、保険料と減免制度についてでありますが、後期高齢者医療制度の保険料は、患者自己負担額を除いた保険財政の1割を負担することになってございます。被保険者の保険料負担能力に応じて賦課される応能分(所得割)と、受益に応じて等しく被保険者に賦課されます応益分(被保険者均等割)から構成され、個人単位で賦課されます。保険料には低所得者の方などへの配慮もなされているところです。
 具体的な保険料につきましては、先ほどもお答えいたしましたとおり、後期高齢者医療広域連合が保険料の試算を行った上で、今年11月を目途に広域連合条例で制定する予定となっておりますので、県におきましても、その時点でモデル的な試算を行いたいと考えてございます。
 また、保険料の減免につきましては、広域連合の条例で定めることができることになってございます。県といたしましては、来年4月に始まる後期高齢者医療制度について適切な運営が行われるよう、広域連合に助言を行ってまいります。
 次に、資格証明書の発行についてでありますが、後期高齢者医療制度では、保険料が徴収され財源を確保すること及び被保険者間の負担の公平を図るという観点から、国民健康保険制度と同様に短期被保険者証及び資格証明書の交付制度が導入されます。資格証明書は、特別な事情がないにもかかわらず保険料を長期間滞納した被保険者に交付されるものであり、短期被保険者証は、納付相談、指導を行うために有効期間の短い被保険者証を交付するものであります。
 県といたしましては、必要な医療を受けられないということがないように、広域連合及び市町村に対し、被保険者と十分話し合いを持ち、滞納者の状況を適切に把握しながら納付相談を行うよう助言を行ってまいりたいと、そのように考えてございます。
 最後に、療養病床の削減についてでございます。
 本年8月1日現在、県内には医療療養病床が1894床、介護療養病床が828床あり、2304人の方々が入院されております。このうち、医療の必要性が低いとされる6割程度につきまして、介護老人保健施設等への転換を進めることとなる見込みでございますが、療養病床再編後の医療療養病床の目標数につきましては、医療費適正化計画において、国の参酌標準を踏まえつつ、県独自の高齢化の進展なども勘案し、設定することとしてございます。
 このため、国において、入院患者にできるだけ負担をかけず継続して適切なサービスが提供できるよう、各医療機関の療養病床の円滑な転換を進めるため、医療機能強化型の老人保健施設の創設を初め種々の支援策が講じられているところでございます。
 県といたしましても、本年中の策定を予定しております地域ケア体制整備構想において、医療機関の意向等十分協議を行いながら平成23年度末までの転換計画をお示しするとともに、この構想を平成20年度に策定いたします次期介護保険事業支援計画に反映させることとしてございます。
 今後とも、介護を必要とする方々の状態に即した適切なサービスが提供されるよう、計画的な体制整備の推進に努めてまいりたいと、そのように考えてございます。
 以上です。
○議長(中村裕一君) 危機管理監杉本雅嗣君。
  〔杉本雅嗣君、登壇〕
○危機管理監(杉本雅嗣君) 新長期総合計画における震災・災害対策についてお答えいたします。
 新長期総合計画における震災・災害対策についてでございますが、予防、応急、復旧のそれぞれの視点を踏まえた総合的な防災対策に取り組み、県民1人1人が自分自身を災害から守ること「自助」、地域社会がお互いを災害から守ること「共助」、国、県、市町村など行政が住民を災害から守ること「公助」、この自助、共助、公助が相互に連携し合う防災協働社会を構築してまいりたいと考えております。
 被害を最小限に抑えるためには、県民の皆さん1人1人が取り組む自助と、地域や自主防災組織による共助が大変重要であります。防災講座の開催などを通じ、県民の皆さん1人1人が住宅の耐震化や家具の転倒防止対策などに取り組んでいただけるよう、防災意識の一層の向上に努めてまいります。
 また、これまで自主防災組織の育成に取り組んでまいりましたが、今後より一層の活動強化を図るため、中心的な担い手となる地域防災リーダーを養成するとともに、防災のまちづくりに積極的な取り組みを紹介するなど、市町村と連携を図りながら地域防災力の向上に努めてまいります。
○議長(中村裕一君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 多重債務者問題に係る2点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、多重債務者問題に対する基本的姿勢についてでございます。
 我が国における消費者金融の利用者は、少なくとも約1400万人、そのうち多重債務状態に陥っている人、200万人を上回ると言われております。その陥った原因は個々においてさまざまな事情があるものと思われますが、現在、多重債務問題が深刻な社会問題であると認識をしております。
 国におきましては、議員御指摘のとおり、貸金業法の改正によりまして、貸し付けにおける総量規制の導入、あるいは出資法の上限金利の引き下げ等の施策が講じられたところでございますが、今後この問題の解決が健全な社会形成に極めて重要であると考えております。
 次に、2点目の今後の方針についてでございます。
 今後の取り組みといたしましては、相談窓口の整備強化、あるいは金融経済教育、セーフティーネットの構築、またヤミ金融対策などが重要であると考えております。このため、県におきましては、多重債務者対策協議会の年度内設置に向けた検討を行っているところでございますが、今後、この協議会におきましてさまざまな議論を行っていく予定でございます。多重債務者の方の意見を直接十分反映されるよう努めてまいりたいと考えております。
 また、相談体制につきましては、既に県の相談窓口におきまして、弁護士相談などにより債務の任意整理あるいは自己破産などの解決方法を助言しているところでございますが、今後とも庁内ネットワークや市町村との連携を図りながら、さらなる充実に努めてまいりたいと考えております。
 また、金融経済教育につきましては、現在、教育委員会と連携して取り組んでいるところでございますが、県民の皆様を対象にした講座などには多重債務に詳しい講師を派遣するなど、多重債務に陥らないような教育、啓発にさらに取り組んでまいりたいと考えております。
 また、セーフティーネットの構築につきましては、今後、協議会の中で既存事業の活用などを含めた議論を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 警察本部長鶴谷明憲君。
  〔鶴谷明憲君、登壇〕
○警察本部長(鶴谷明憲君) ヤミ金融対策の強化についてお答えします。
 現在、警察では、ヤミ金融事犯に対し警察の総合力を発揮した強力な取り締まりを推進するため、平成15年8月15日付で警察本部生活環境課に、生活安全部長を取締本部長とした和歌山県警察ヤミ金融事犯取締本部を設置し、ヤミ金融事犯の検挙、被害防止のための口座凍結、広報啓発、被害相談等の諸対策を推進中であります。
 本年1月20日に罰則が強化され、その結果、検挙人員は、平成18年中は8名であったのが本年は8月末で11名となっており、口座凍結にあっては、平成18年中は11件であったのが本年は8月末で19件と、昨年からことしにかけて検挙人員、口座凍結数ともに増加している現状であります。
 議員御指摘のとおり、今後ともヤミ金融の横行が懸念されるところであり、警察としましては、今後も引き続き取締本部を中心に、警察の総合力を発揮した取り締まりや口座凍結等の諸対策を強力に推進するとともに、県商工観光労働総務課と連携を強化して、各種相談等にも積極的に応じていく所存であります。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 43番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 官製談合・汚職事件の問題ですが、知事からは県民に説明をするという言葉は聞こえてこないんですが、県としてルールに基づいて適切に対応していくと、そして県民の皆さんにも理解を求めていく、県としてのけじめをつけたいということですが、県民としても、この問題についてはけじめをつけたいと思うんですね。一体この事件がどういう事件であったのか、私たちは知る由もないとこもたくさんあるわけです。それをやっぱり全容解明を求めてきたというのは、県民にとってもこの事件は大事な問題であって、再びこういうことが起こらないようにするためには県民としてもどうすればいいのかということはともに考えていきたいと思うんですね。そういう点で、きちんと総括をして、文書化もして、県民にも説明をしてもらいたいということを申し上げたわけですが、いかがなもんでしょうか。同じ答弁になるんでしょうか。
 それと、長期総合計画は非常にもう先行きが不透明な中でつくっていかなくてはいけないという大変な状態があるんですが、今、県民の暮らし、中小商工、零細業者をめぐっても、医療を必要とする人をめぐっても、大変な状況にあります。そういう県民の暮らしに心を寄せていただきまして、ぜひそういった暮らしが底上げできるような──これは、制度をつくるだけではだめだと思うんです。申し上げましたように、県の職員の皆さんが本当に公務員として県民の生存権、暮らしをどう支えていくのかということを本気になって考えていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 多重債務の問題で、年度内に設置をしたいということですが、これ、一刻も早く設置をして、県としての相談窓口もきちっと開いて多重債務者に対応できるように。
 私は、今まで多重債務問題というのは、借りたほうが悪いと、借りた者の責任で解決しなくてはいけないということを思ってきた時代があるわけですが、しかし、今日の様子を見ますと、それが社会問題、自治体にとっても見過ごせない問題になってきてるという、ここの認識のもとでこれを解決していくということが県民の暮らしにとっても非常に大事な問題になってきているんだという認識のもとで事に当たっていただきたいと思うわけです。
 一刻も早く──3年後には新法が施行されるわけですが、その間にも多重債務者はどんどん生まれてきますので。総量規制ということになりますと、多重債務を抱えながら借りかえができないと。じゃどうするのかということで、ヤミ金に走るとか違法金融が横行するということも十分それは考えられますので。そうなりますと、さらに県民が不幸になります。そういうことが起こらないようにしっかりと対応していただきたいと、以上、要望として申し上げておきたいと思います。
 以上で終わります。
○議長(中村裕一君) 1問目の、その……(「要望、要望や」と呼ぶ者あり」)──要望ですか。ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤井健太郎君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時58分休憩
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