平成19年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(町田 亘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前10時1分開議
○議長(中村裕一君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第115号から議案第143号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 8番町田 亘君。
  〔町田 亘君、登壇〕(拍手)
○町田 亘君 おはようございます。
 私たち人間にとって幸せって何だろう。私たち人間にとって本当の幸せって何だろう。お金でもなけりゃ地位でもない。名誉でもない。私は、人の幸せっていうのは、何の憂いもなく死んでいけること、何の心配もなく死んでいけることだと時々思うときがあります。どんな障害であれ、障害の子供を持つ親にとっては、もし自分が死んだらこの子はどうなるんだろう、多くの人に迷惑をかけながらも生きていけるんだろうかということであります。
 前にもお話ししたことがあるんですけれども、先日、山下清さんをモデルにした「裸の大将」のビデオを借りてきて見ました。ドラマを見る限り、少し障害があるようだけれども、人情味にあふれ、親切で、絵がうまく、旅から旅と一ところに落ちつかないが、彼が行く先々で大勢の人たちに親しまれ、おにぎりをほおばりながら、笑いと涙で感動の放浪生活を送っております。もしドラマのような人生なら、ドラマのような人生を送れるなら、これほど、ある意味で幸せな人生はなかったと思います。
 私は、山下清さんの作品展を見に行ったことがありますが、本当の山下清さんってどんな人だったのか、生い立ちや日常生活について書かれた資料がないかと議会事務局にもお願いして探していたところ、大阪の中之島図書館に、昭和12年に山下清さんについて書いた戸川先生の「特異児童」という本を見つけてくれました。「特異児童」──特別に異なる児童て書いていますが、以下、この本の中から山下清さんについて少し紹介してみたいと思います。
 彼は、大正11年、東京の浅草で生まれ、今生きておれば85歳です。昭和46年に49歳の若さで亡くなっています。彼の家庭は悲惨で、実の父は彼が幼いときに死亡、弟が1人いましたが、不良少年で何度も教護院に入れられたそうであります。母は再婚しましたが、養父は大変な酒乱で浪費癖があり、家は貧しさをきわめたために、母は清君を連れて母子寮に入りました。彼は母子寮から小学校に通ったのでありますが、学業は劣等、その上、現在で言ういじめに遭うので友達と一緒に遊ばず、遠回りして家に帰ったり、病的なほどの臆病から発作的に見境なくナイフで傷つけるなど凶暴な面を持つ子供でもあったそうです。彼がいじめれられた原因の1つは、知的能力の低さのほかに、偏屈な性格、そして盗癖があり、まさに手のつけられない子供でもあったからだそうであります。
 このような境遇と経歴から、12歳のときに千葉県にある知的障害者のための施設・八幡学園に入所されたのであります。私たち自民党県議団でつくっている福祉議員連盟はこの施設を見学させていただきましたが、彼にとってはこの学園は、それまでのようにいじめもなく、勉強は易しく、第一、張り絵ができる。彼が何よりも好きだった森があり、虫がいる、花がある、チョウ、ハチ、セミがいる。今まで抑えられていた彼の天分は一気に開花し、異常なくらいの進歩で、画家の大家をして「天才」とまで言わしめた作品を多く生み出したのであります。テレビで見る山下清さんからは想像することができない生い立ちであります。彼にとって八幡学園は、まさにオアシスであったそうであります。
 私は、数年前まで近くの養護学校の卒業式に招かれ、来賓として祝辞を依頼されたことがありましたが、断り続けました。小学部の卒業生の親は、まだ中学部がある。中学部の卒業生の親は、まだ高等部がある。しかし、高等部の卒業式では、「御卒業おめでとう」と言われても、不安と心配で喜んでいる顔をした親はおりませんでした。いっそ落第させて学校に置いてくれないだろうか、あしたからどうしようと心配で、曇った顔をした保護者ばかりでありました。
 そこで、教育長にお尋ねします。
 まず、特別支援教育、特別支援学校の目的とそのあり方についてお考えを教えてください。
 そして、県内の特別支援学校に通う生徒は何人おられますか。毎年高等部を卒業する生徒は何人おられますか。また、卒業後の進路について調査をしていますか。卒業しても施設にも入れず、また仕事もなく、自宅にいる人はどのくらいいるのか。卒業後の追跡調査を行ったことがありますか。地域によっては寄宿舎がないために通学距離等で特別支援学校に行けず、義務教育の中学校を卒業した子供の進路についてお教えを願います。
 本論に入ります。平成17年に実施された障害者自立支援法についてお尋ねします。
 私は、この法律の理念は、障害者1人1人の人権尊重の推進により人間的な解放を具現化していくという歴史的な課題に迫る方向を示しており、理念としては正しいものと認識すべきかもしれません。先ほど述べたように、障害者が山下清さんのように社会の中で一緒に生活できることが望ましいことであります。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねします。
 現実には一般就労への移行が難しくなっている障害者自立支援法の弱点を県としてどう補っていくのか。また、精神障害者が地域で安心して生活ができる環境が本当に整っているのだろうか。
 今後、特別支援学校を卒業し施設への入所希望者数と、福祉計画にあるように差し引き入所者が103人減少するとありますが、こんなに簡単に割り切れるものなのでしょうか。
 施設を出た障害者のためにグループホーム等の整備を促進するとありますが、具体的には空き家の情報の提供と空き家の修理支援だけで、だれがグループホームをつくるのですか。人件費を含めて維持管理等はどうなるのでしょうか。
 グループホームに入った後、病気やけがをしたときや仲間とのトラブルなどの対応策など、受け皿は十分機能するようになっておるのでしょうか。
 私は、和歌山県障害者福祉計画第1期を見る限り、国から数値目標を与えられ、それに理由をつけただけのようにしか思えてなりません。さらに、私は、今の時点では、まず現状の施設や関係者等の条件整備を行い、施設の経営の安定、職員の待遇の改善等、関係者が障害者のニーズに応じた問題意識の向上と、施設と同様以上の運営費や職員の報酬等を確保しなければ地域移行は進展しないのではないだろうか。
 話は変わりますが、私は、近所にある牟婁あゆみ園にはぶらっとよく出かけていきます。昨日も行ってまいりました。そこで、自治会長の上田君や副会長の栃野、田中さんらと、皆さんたちからいろんな相談を受けてきました。道路の段差、岡川への転落防止さくの設置等。また、施設内では1部屋6人の共同生活を送っているために、入居者のプライバシーが確保されているのかという問題があります。耐震性の問題も含め改善する必要があると思いますが、これらの問題への取り組みについて御説明願います。
 グループホームに行くたびに思うことは、グループホームの世話人はだれにでもできるというものではなくて、1人1人の心のケアもでき、グループホーム内での利用者の融和等、専門性が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
 先日ある新聞に載っていた記事ですが、「知的障害者が地域での生活になじめず、家族も手を差し伸べず、ホームレスとなり、刑務所しか行くところがないと犯罪に手を染める人もいる。福祉が保護すべき人々の受け皿が刑務所しかないとは、まさに福祉の貧困だ」と書かれていました。私は、このような将来を大変恐れているわけであります。
 次に、南紀白浜空港関連の質問をさせていただきます。
 平成8年に私が県会議長をさせていただいて近畿議長会に出席したときに、三重県の議長が「町田さん、和歌山はうらやましいですよ」とおっしゃるので、「何もしてなく自然がいっぱいだからですか」と聞くと、「何を言うんですか。近畿地方でジェット機の飛び立つ空港は幾つありますか。(当時)関西空港、伊丹空港、白浜空港の3つだけではないですか。私とこの三重県にも、奈良県にも、京都府にも、滋賀県にもないんですよ。すばらしい宝ではないですか」と言われました。まさにそのとおりであります。
 このすばらしい宝を残してくれた先輩たちに感謝するとともに、私たちは今後これを発展させ、次の世代に引き継いでいく義務があり、紀南の活性化につなげていかなくてはなりません。
 現在、白浜空港の定期便は、日に2から3便の南紀白浜─羽田間の路線のみであります。運賃は片道2万6700円から2万8700円。平均搭乗率は54~55%で推移しているようであります。このような状況が続けば定期便そのものの存続が危ぶまれるということで、仁坂知事を先頭に、奄美空港と白浜空港のみなかった通称「特割7」の適用を日本航空へ強力に働きかけ、本年4月から6月までを試験期間として実施され、10月以降についても引き続き特割7を継続することが決まりました。知事は、「大変喜ばしい。首都圏で南紀をPRし、今後も空港を使ってくれるようお客をふやしたい」とコメントされております。私たち県議会も、高速議員連盟で、ことし11月開通予定のみなべから田辺間の道路を視察した後、白浜空港を利用して東京への陳情を行ってまいりました。
 このように、知事初め関係者の皆さんの今日までの御努力に、地元の1人としても心からお礼を申し上げたいと思います。
 本来であれば、この質問は、南紀白浜空港のことでありますので、県の組織上、県土整備部にお尋ねすべきことかもしれませんが、私は常々、南紀白浜空港の存続は観光を主体とする活用方法以外にその存続を図るすべはないと思っておりますので、イレギュラーかもしれませんが、あえて商工観光労働部長に幾つかの点をお尋ねさしていただきます。
 まず、今回の特割7の導入のためにどのような努力をされたのでしょうか。
 また、日本航空が特割7の暫定導入に踏み切るに当たり、同期間と前年同期間を比較して売り上げが下回った場合、仁坂知事が会長に就任されている社団法人和歌山県観光連盟がその減収額の補助を2240万円を上限として計画していたとお聞きしました。観光連盟は利用客数によっては多額の経費を負担しなければならないかもしれないという大きな危険性を持つことになっていたわけでありますが、法人の財政は大丈夫なのかと危惧するところであります。
 そこで、減収に対して補助が必要となった場合に備えていた財源についてもお教えください。
 そして、19年10月以降、正式導入するとありますが、当然この制度は長く続けられるものと認識してよいのでしょうか。
 喜んでばかりいられないことがあります。1つには、1便当たりこの特割7が何席確保されているのでしょうか。例えば1便当たり10席とか20席という設定であれば、利用が限定されるわけであります。また、5月の連休、お盆の時期、年末年始といった繁忙期は適用除外ということはある程度理解できますが、夏休み期間中の7月、8月の2カ月特割7を利用できないのでは、結局は利用が遠のくのではないだろうか。多くの企業、自治体の保養所が閉鎖された白浜近辺の状況では、頼れるのは紀南地方を訪れてくれる観光客のみであります。
 そこで、定年を迎えた「サンデー毎日族」と言われる大量の団塊の世代をどう取り込めるのかといった空港を利用した観光での施策展開がぜひとも必要と考えますが、いかがでしょうか。
 また、昨年度、台湾からの国際チャーター便が運航されましたが、今後の取り組みについてお教え願います。
 また、和歌山県は、豊かな観光資源に加え、温暖な気候に恵まれた自然環境を持っております。これを生かして国内の気候立地条件の異なる地域間、例えば雪国とのチャーター便の誘致もぜひ御検討をお願いしたいと思います。
 最初に申し上げましたように、近畿の府県がうらやましがるこの空港の建設には巨額の費用が投じられております。そして、空港では、1日2回か3回の定期便の運航のために、民間、国の職員、県の職員合わせて約150人もの人が働いておられるそうであります。ターミナルビルの管理運営は南紀白浜空港ビル会社が行っておりますが、その社長には仁坂知事が就任されておられます。ビル会社という民間の活力と、そこで働く多くの人を生かした新たな事業展開、例えば航空機の運航・管理という基本的な業務に加え、多くの人が集まる空間としてのターミナルビルの新たな活用方法、旅情あふれるイベントの開催等々、できる限り柔軟な考えでの取り組みが必要になってくると思います。
 この白浜空港の活性化は至上命題であり、すべての関係者が知恵を出し合っていかなければならないのは当然であります。利用促進実行委員会が組織され、そこでるる御検討いただいていると思いますが、さらなる空港の発展のため、観光面からのアプローチ、交通手段としてのアプローチ、雇用の場としてのアプローチ、また念願でありました旧空港跡地の活用等々、多元的に県庁を挙げて今後も取り組んでいただきたく、強く要望しておきます。
 2日前のテレビ「知事と語る」でもお話しされていましたが、南紀白浜空港の活性化と空港を核とした紀南地方の発展について知事のお考えをお尋ねいたします。
 次に、和歌山県が抱える多くの課題を解決し、県民の幸せを実現していくためには、まず県の財政が健全でなければなりません。それが大前提であります。そこで、県の財政見通しについてお尋ねします。
 本年2月の議会で、知事は、「基金があと1~2年で枯渇する見通しであり、県の財政は極めて厳しい状況にある」と答弁をされました。また、先日の9月11日の提案説明でも、「中長期の財政収支見通しを早急に示す」とも述べられました。
 厳しい財政状況の中、和歌山県の将来の指針となる新長期総合計画の策定に向け議論を進めるためには、まず計画期間中の財政見通しを明確にすることが必要ではありませんか。今議会中に県の財政見通しを取りまとめ、県民と議会に説明することが必要だと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
 最後に、昨年秋、前木村知事が起こした前代未聞の事件がありました。全国各地の自治体で発生した官製談合事件は、国民、県民に地方政治への不信感を与えた残念な事件であり、去る9月10日には、木村前知事に懲役3年、執行猶予4年の判決が大阪地方裁判所で下されたところであります。
 仁坂知事は、県政に対する信頼が著しく失墜したことに、勇気を持って知事選に立候補されたわけであります。待ち受ける苦難に果敢に立ち向かわれた知事に敬意を表するものであります。
 知事当選後、約8カ月余りがたちました。立候補する前の知事像と8カ月たった現在の知事の御感想があればお聞かせ願います。
 次に、和歌山県庁改革制度についてお尋ねいたします。
 知事は、今後の県発注の公共工事のあり方、談合防止策等の効果的なシステムづくりについて、公共調達検討委員会を立ち上げられ、新たな公共入札制度の構築に御努力されてきたところであります。
 さきの6月定例会では、談合に限らず違法行為を防止し、職員の規律を高めるために、本年4月1日から監察査察制度及び職員倫理規則の運用をスタートさせたと説明されたところであります。また、7月1日からは、検察関係者を監察査察監として配置されておられます。
 平成19年6月13日の知事記者会見では、「この監察査察監を導入するのは他府県では恐らくないと思う。公の機関では類似の制度は外務省だけだ。地方公共団体は初めてである。外務省と違うのは、知事の犯罪も暴けるような工夫をした」という説明もされておられます。
 7月1日には、監察査察監が着任するのにあわせて、和歌山県不正行為等通報処理要領も施行されました。県庁では、9月から、監察査察監が本庁や出先機関に対して県職員の服務などについて職員から事情を聞き意見を求める定期監察査察が行われております。
 不正行為等の通報受理・処理状況について、8月9日記者発表された内容のコピーがありますが、その一部を読んでみると、幼稚園の子供が先生に告げ口をしているようで、寂しくなりました。
 例えば、発表した通報内容の一部を見てみますと、1つ、振興局の職員が事務用品を不正使用している、応対が悪いとの通報を受け、管理者に事務用品の管理状況を確認したところ問題はなく、接遇の指導を要請した。1つ、実習生に対する指導員の言動に行き過ぎがあるという匿名の通報を受け調査した結果、指導員が実習生を自宅に招いて飲酒していた際、実習生の服装を注意したところ反抗的な態度をとったことから、胸ぐらをつかみ暴言を発するなどの行為が確認されたことから、同人を訓告処分した。県職員と名乗る人物が勤務時間内にチャットをして遊んでいるとの通報を受け調査したが、該当する職員はなかった。1つ、県職員が議員と癒着しているとの通報を受け、本人から聴取したが、昼食をともにしただけだった。
 ほかにもありますが、例えば今後、議員がかかわる通報があったときにはどのように処理をされるのですか。我々議員は、県下各地から選ばれております。各地域は、それぞれ問題を抱えております。この問題解決のために、議員と県職員が一杯飲みながら胸を開いて忌憚のない建設的な意見交換をしている姿を通報されると、1回1回職員に理由を聞くのでしょうか。政治家として大人の話し合いもできないのだろうか。取り越し苦労かもしれませんが、人事異動の時期になると、先輩・同僚の中傷が県庁内を飛び交うのではないだろうかと危惧するところであります。
 最近、私もインターネットというものを少し習い、暇を見てはいろんな情報をそこから得るようになってきました。インターネットは自宅にいながら多くの情報をいとも簡単に入手できるという大変便利なものであり、IT革命のすばらしさを体験できる反面、多くの情報が瞬時に全国に、あるいは全世界に広がってしまうという危険性も感じるところであります。
 なれない手つきでパソコンを操作し、時々あるサイトを見ます。そこに掲載されている県や知事に対する声に驚きを禁じ得ないことが多々あります。
 昨年、本県で起こった不幸な事件は、前知事と一部の幹部職員が悪いことをしたのであって、他の職員は悪くはないと私は思っております。この構図は、他県での事件も酷似しているところでもあります。県の職員は、過去の不適切な公金支出により県に十数億円を返済し、その返済代金に充てるために借り入れた金品を管理職が中心となって返済し続けてきて、やっとその返済が終了したと聞いております。職員には、もう二度とこのような不祥事は繰り返したくない、繰り返さないと個々の胸に強く決意したところだと考えます。
 この決意がなかったのは、前知事と一部幹部職員だったのではないでしょうか。今後とも法令遵守を厳格に行い、情報の公開を積極的に図っていけば、悲しむべき事件は起こり得ない。職員間での相互抑制、牽制で守るべきルールは徹底できるのではないでしょうか。
 規則、要領、制度等で、職員にとって身動きのとりにくい環境をつくり出すことは、県民の幸せの実現に向けて日夜働く県庁職員のフットワークを鈍らせてしまわないだろうか。萎縮させてしまわないだろうか。同僚、周囲の顔色ばかりを気にする職場環境をつくってしまわないだろうか。せっかくの制度が全体として職員のやる気をそぎ落としてしまわないだろうかと危惧するところであります。
 知事、県政を明るくすることも、職員の士気を奮い立たせることも、すべて知事の重大な任務であると思うのであります。特別職の公務員としての知事、政治家としての知事の所見をお伺いして、終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの町田亘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 幾つかございました御質問のうち、まず南紀白浜空港の将来像についての私の考えを申し述べさしていただきます。
 まず、観光を中心としてこの空港の振興を図るべきだという議員御指摘の点については、全く同感でございます。
 実は白浜温泉は、東京から見ると時間的には熱海に次いで近い温泉であります。また、白浜にはパンダが8匹おりまして、もちろん日本一ではございますし、中国を除くと世界一でございます。熊野古道、世界遺産、ラムサールの海、それから日本有数の幾つもの清流など、たくさんの観光資源を和歌山は保持していると思っております。ところが、残念ながらこういうものをうまく紹介してこなかったという嫌いはあるというふうに考えております。
 そこで、先ごろ観光振興アクションプログラムとして取りまとめを行いまして、とりわけその中でも、首都圏に向けて計画的かつ戦略的に紀南地方のすばらしさを売り出して首都圏から観光客を招くという取り組みをこれから大いにやっていこうということで、観光立県和歌山、ひいては紀南地方の地域づくりを進めてまいりたいと考えております。まだまだこれからでございますけれども、頑張ってまいりたいと思っております。
 その際、その橋頭堡が空港であります。空港を拠点として紀南地域の各地へのネットワークを考えるということが、この際、大変戦略的であり、肝要であると考えております。
 私は、白浜空港の差し当たっての戦略のうち、1つは関東圏からの観光客を連れてくると。これが軌道に乗ってまいりますと、ほかの地域──まあ関西はちょっと近過ぎて空港ということではないのかもしれませんが──ほかの地域からの便も期待できるということで、まず関東をねらいにしてやっていくということだろうと思っております。
 それから、それに加えて、外国からのチャーター便をぜひ白浜に連れてきたい。年末から年始にかけて少し努力が実りまして、19便、香港から飛んでくることになっておりますけれども、そういう試みをもっともっとふやしてまいりたいというふうに思っております。
 それから、自家用機についても、できるだけこの白浜空港を母港にして収容して、いろんな方に白浜を多面的に利用していただくと。それがまた白浜のイメージアップになって、たくさんの人が来てくれる材料になるんではないかと、そんなことも考えております。
 一方、高い航空料金の問題とか2次交通の問題等々、さまざまに課題はございます。ただ、関係者の皆様と一つ一つ取り組みまして、こういうことを解決してまいりたいと思っております。
 次に、県の財政でございます。
 議員御指摘のとおり、住民福祉の向上や和歌山を元気にする施策の推進は、財政の裏づけがあって初めて十分に可能となるものでございます。しかしながら、本県の財政は大変厳しい状況にあります。持続可能な財政構造を確立しておきませんと、将来にわたって安定的に各種施策を行っていくということが不可能になってしまいます。
 そこで、私は、提案理由で申し上げましたように、県政の指針となる新長期総合計画を策定するに当たりましては、持続可能な財政構造の実現を図ることを前提とする必要があると考えております。そのために、計画策定に向けた議論を進める上で今後の県の財政見通しを示すことが不可欠であると、先生御指摘のように不可欠であると認識しております。そこで、今議会中に計画期間中の財政見通しを取りまとめ、県民及び議員各位にお示しし、御説明をしてまいりたいと考えております。これは、今議会中に議会に御説明を申し上げる所存でございます。
 その次に、立候補前の知事についての考え方、それから現在どうであるかという感想を述べよということでございました。
 これにつきましては、昨年末、歴史と伝統を誇る和歌山県が県政史上始まって以来の難局にある中で、県人の1人として和歌山県のために力を惜しんではならないと深く考えました。強い郷土愛とそれから決意を胸に、生み育ててくれた恩人であるふるさとのために、私が培ってきた経験や知識、人脈のすべてを注ぎ込んで、清潔な行政を実現して県政への信頼を回復するとともに、経済の活力を取り戻して和歌山を元気にすることを最大の使命と考えまして立候補さしていただきました。この考えました使命感は、私は現在でも正しかったと、あるいは正しいと思います。
 実は、選挙期間中に町田県議から「知事というのは知ることである」というお話をいただきました。「知る事」と書くんだぞ、だから、ちゃんと知ることを主眼にして考えないと、ひとり勝手ではいかんということを教えていただきました。そういうことで、多方面の方々から情報をいただいて、いろんな方とお話をして、各地に出ていって知ることを心がけてまいりました。
 ただ、知ることを心がければ心がけるほど、この使命感のもとになった和歌山県の抱える問題というのは大変深刻であるということも、またわかりました。そこで、この使命を達成するために懸命に働かなきゃいかんと、しかも急いで働かなきゃいけないというようなことを考えた次第であります。
 はや9カ月たちました。今般の効率的かつ効果的な公共調達制度の構築とか、御指摘にありましたが、監察査察制度の整備などで、まず官製談合等の不祥事が二度と起こらないような清潔で透明な行政の実現が期待できるところまで来たと思っております。
 また、そのほかにたくさんの問題がありまして、医療の問題もそうでありますし、それから道路整備の中期計画の中間取りまとめを行った。あるいは、農産物や観光についてのアクションプログラムをつくりました。それから、新長期総合計画の骨子案の取りまとめなど、これからの和歌山県を目指して大急ぎでいろいろな考え方を取りまとめて議論をして、目標を掲げていきたいというふうに考えております。
 以上、そういう中で思いますのは、繰り返しになりますけれども、どうもいろんな問題が山積していて、この山積している問題に早く手をつけないと取り返しがつかなくなるという思いがいたします。
 例えば、道路について言うと、我が和歌山県にとって近畿自動車道の紀勢線の紀伊半島一周は悲願であります。京奈和の早期開通も悲願であります。ところが、昨今の政治情勢を考えますと、道路特会について非常に暗雲が漂っております。こういうことについて早急に手を打たないと、あっという間に時代から取り残されると。そうなると、泣くのは県民であります。したがって、どうも最近やっておりますことは、急いで仕事をしている、知ることではなくて行うことで行事のような感じになっておるというのが私の現在のところであります。
 友人、知人は「そんなに急がなくてもいいんじゃないか」というようなことも言うてきてくれますが、しかし、「あっ、やっぱり早くやらないといけない」ということで頑張っております。
 知事というのは県民の代表でありますので、その一挙手一投足に県民の名誉がかかっております。したがって、日ごろから一層の精進をしてまいりまして、我が県の誇るべき歴史的伝統を大切にして、楽しい県民生活、温かみのある県政を実現して頑張っていきたと思っております。
 その次に、和歌山県庁改革関連の諸制度についてでございます。
 これにつきましては、その県政史上未曾有の不祥事によって失われた県政の信頼を取り戻し、本県の名誉と県民の誇りを回復することが、まず知事として私に与えられた使命であるというふうに考えました。そのための再発防止のシステムを構築してまいりました。そのうちの一部が、県庁に関しましては、倫理規程の問題と、それから監察査察制度であります。この制度を運用することによって透明性を高め、職員の規律を保障していくということをやっていきたいと思っております。
 これは、議員御懸念がありましたように、職員のやる気をそぐというものでは私はないと思っております。なぜならば、堂々と仕事をしている職員がこれによって問題が起こるということはむしろなくて、きちんと調べて、中傷を受けたときは、その中傷が中傷であるということをちゃんと明らかにしてくれるというような制度でもあるわけであります。
 また、倫理規程については、ルールを守っていればどんな人と──そのルールに従っておつき合いをするということが批判されるということはなくなるわけであります。したがって、むしろこのルールを守りながら積極的にいろんな方とおつき合いをするということが大事で、そういうふうに県庁の職員を私も指導しておりますし、自分もそういうふうにさしていただいております。その上で、そのマイナスのところ、きちんと規律を──マイナスをなくするということだけで県庁がよくなるわけではないと思っております。
 私は2つ申し上げておりまして、1つは県民にもっと親しもうということであります。意見を進んで聞きに行こうということで、一例を申し上げますと、産業ごとに担当を決めまして、県庁の諸君みんながいろんな人の話をどんどん進んで聞きに行くというようなことを始めております。
 もう1つは、県民のためにその任務でもって物を考えようというようなことを言っております。よくある批判というのは、「私はその権限がないから」とか「私はその予算がないから」ということで、余り県民の意見に耳を傾けない。そうなると、お役所仕事的になってしまいます。したがって、仮に今予算がなくても、その任務から考えて、それがどれだけ必要かということについてはよく耳を傾けてやっていこうじゃないか、それで何か工夫ができないかということをそれぞれ考えていこうじゃないかと、そういうようなことを指導さしていただいているところでございます。引き続き頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○議長(中村裕一君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 障害者自立支援法に関連しての何点かの御質問にお答え申し上げます。
 まず、就労及び生活環境についてでございますが、障害者自立支援法では、就労支援の抜本的強化が大きな柱となってございます。
 県といたしましては、企業等における一定期間の職場体験等の実施を通して就労意欲を促進するとともに、企業等の障害者雇用に対する理解と関心を一層深める取り組みを進め、職域の拡大や就労の促進を図ってまいります。
 障害者、特に精神障害者が地域で安心して生活していくためには、県民みんなが障害者のことを正しく理解することが必要であり、そのためには、地域での交流の促進や広報活動を通じて地域社会の理解の促進に努めてまいります。
 次に、本県の障害福祉計画についてでございますが、障害福祉計画では、地域の実情に応じて目標数値を設定することとなっており、障害福祉関係団体の方々との意見交換や市町村との調整等十分行いながら努力目標を設定いたしました。
 県といたしましては、利用者本人の意向等を最優先しながら地域で安心して生活できるよう、ハード・ソフト両面からさまざまな支援を行い、その結果として目標が達成できるよう進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、グループホームに関連しての御質問についてお答え申し上げます。
 グループホームは社会福祉法人等の法人が設置することとなりますが、県ではグループホームへの転用可能な空き家情報の提供や空き家の改修費補助のほか、敷金、礼金に対する補助や地域で障害者の理解を深めるための啓発を行い、円滑な地域移行を進めることといたしてございます。
 グループホーム等の職員の人件費については自立支援給付で賄われる制度となっておりますが、支援に見合った適正な水準であるか現状を十分見きわめながら、必要に応じて国に対しても働きかけてまいりたいと、そのように考えてございます。
 障害者が施設から出てグループホーム等に入居後の病気やけが、トラブルにつきましては、まずそのグループホームの世話人等がその支援に当たりながら対応することとなりますが、入居者御本人の意向を十分尊重した上で他のグループホームへ移っていただいたり施設等での支援を受けられるよう、関係機関と連携を図ってまいります。
 利用者の心のケア、利用者間の融和、トラブル等の対応等、グループホームの世話人には、議員御指摘のとおり、高い専門性を持って支援していただく必要がございます。そういった意味で、世話人の専門性の向上のための必要な施策について、今後十分研究してまいりたいと考えてございます。
 最後に、牟婁あゆみ園に関する御質問でございますが、牟婁あゆみ園につきましては、昭和55年建築の建物であり、平成18年に耐震診断を行いましたが、診断結果は、建物そのものの耐震性には問題はございませんでした。また、居室につきましては、簡易なつい立てやカーテンにより入居者に配慮いたしておりますが、プライバシーの確保のため、今後どういった改善方法があるのか前向きに検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 南紀白浜空港関連についてお答えいたします。
 特便割引7、いわゆる特割7についてでございますが、県議会の皆様方を初め多くの関係者からの御協力をいただいた結果、本年4月から6月の需要調査期間中の対象搭乗券収入額が昨年実績を大幅に上回り、特割7の10月以降の正式導入が実現したところでございます。
 この間、県におきましては、首都圏の東京モノレール等での車内広告、観光物産フェアの開催等によるPRを行う一方、県内向けには、県や市町村の広報紙、マスコミ等を通じ制度の周知を図るとともに、特割7等の利用者に地域商品券を交付するなど、羽田線利用促進のキャンペーンを大いに展開してまいりました。
 なお、経費負担に関してでございますが、社団法人和歌山県観光連盟では、平成16年に解散いたしました財団法人新南紀白浜空港周辺整備基金の所掌していた業務、財産のうち、観光客誘致による南紀白浜空港の利用促進に関することを引き続き担当してございまして、今回の特割7の正式導入に向けた取り組みにつきましても、この一環として対応いたしました。
 次に、特割7の継続につきましては、基本的には航空会社JALの経営上の判断によるものではございますが、引き続き首都圏からの誘客など積極的に利用促進に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
 また、特割7対象座席数、期間の問題につきましても、航空会社の採算性が優先されるところではありますが、県といたしましては、観光振興並びに空港の利用促進の観点から今後ともその拡大につきまして航空会社に強く要望していきたいと考えてございます。
 次に、白浜空港を利用した観光での施策展開についてでございますが、首都圏からの誘客につきましては、わかやま喜集館を活動拠点として、紀南の魅力をテレビ、雑誌などマスコミに発信するとともに、中高年層の会員を多く持つ百貨店系の旅行エージェントに対する働きかけや、カルチャーセンターにおける熊野講座の開催などによる団塊世代の取り込みに加え、高校生の修学旅行の誘致などにも取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、チャーター便の誘致につきましては、空港の利用促進、本県の観光振興など紀南の活性化のために、韓国や台湾など東アジアからの誘致に積極的に取り組んできてございます。
 今後とも、チャーター便のメリットや支援体制を航空会社や旅行会社にアピールするなど、従来を上回る積極的なプロモーション活動を行ってまいりたいと考えております。
○議長(中村裕一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 特別支援教育の目的並びに特別支援学校のあり方についてお答えいたします。
 特別支援教育の目的は、障害のある幼児・児童・生徒1人1人の状況、ニーズを的確に把握し、自立や社会参加を目指してその持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善、克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うことにございます。
 県内の特別支援学校に在籍する幼児・児童・生徒の数は平成19年5月1日現在で1180名、また、高等部卒業生はここ数年150名前後で推移している状況にございます。
 教育委員会といたしましても、卒業予定者の進路希望や卒業生の就労先等について、毎年の調査の中で、過去3年間の離職並びに転職も含めまして実態把握を行ってございます。卒業後の支援につきましても、自宅で過ごしている生徒も含め、各特別支援学校独自の工夫でその充実を図っているところでございます。また、中学校の特別支援学級卒業生の進路につきましても、特別支援学校の適正配置を進める一方、希望するすべての生徒を特別支援学校高等部に受け入れるなど、教育環境の整備と就学機会の保障に努めてまいりました。
 議員御質問の趣旨を踏まえまして、障害のある子供たちの未来が輝くように、今後とも特別支援教育の充実、発展に取り組んでまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 以上で、町田亘君の質問が終了いたしました。

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