平成19年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成19年6月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
 平成19年6月20日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第95号から議案第113号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第95号から議案第113号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(46人)
 1番  泉 正徳
 2番  山本茂博
 3番  前芝雅嗣
 4番  浅井修一郎
 5番  吉井和視
 6番  向井嘉久藏
 7番  門 三佐博
 8番  町田 亘
 9番  川口文章
 10番  平木哲朗
 11番  花田健吉
 12番  須川倍行
 13番  大沢広太郎
 14番  谷 洋一
 15番  平越孝哉
 16番  下川俊樹
 17番  岸本 健
 18番  山下大輔
 19番  尾崎太郎
 20番  藤山将材
 21番  新島 雄
 22番  山下直也
 23番  井出益弘
 24番  宇治田栄蔵
 25番  多田純一
 26番  中 拓哉
 27番  角田秀樹
 28番  江上柳助
 29番  山田正彦
 30番  坂本 登
 31番  尾崎要二
 32番  中村裕一
 33番  服部 一
 34番  片桐章浩
 35番  原 日出夫
 36番  藤本眞利子
 37番  長坂隆司
 38番  玉置公良
 39番  小川 武
 40番  冨安民浩
 41番  奥村規子
 42番  松坂英樹
 43番  藤井健太郎
 44番  雑賀光夫
 45番  野見山 海
 46番  松本貞次
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        原 邦彰
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      杉本雅嗣
 総務部長       小濱孝夫
 企画部長       森  崇
 環境生活部長     楠本 隆
 福祉保健部長     井畑文男
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     宮地淳夫
 会計管理者      小倉正義
 教育委員会委員長   樫畑直尚
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員長   大岡淳人
 警察本部長      鶴谷明憲
 人事委員会委員長   西浦昭人
 代表監査委員     垣平高男
 選挙管理委員会委員長 山本恒男
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       山本庄作
 次長         植野博文
 議事課長       薮上育男
 議事課副課長     土井敏弘
 議事班長       吉田政弘
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      石垣悦二
 議事課主査      瀧川泰治
 総務課長       下出喜久雄
 調査課長       佐本 明
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  午前10時2分開議
○議長(中村裕一君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第95号から議案第113号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 25番多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕(拍手)
○多田純一君 おはようございます。
 本日、県政壇上に初めて立たせていただきました。この4月の統一選挙におきまして大変御支持、御支援を賜りました皆様方に感謝を申し上げながら、なおかつ、こんなに早い時期に一般質問さしていただく御配慮をいただきました議長初め先輩・同僚議員に感謝申し上げながら一般質問さしていただきたいと思います。どうか、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、通告に従い、議長のお許しをいただきましたので一般質問をさしていただきます。
 まず、元気な和歌山についてということでございます。
 最初に、期待とお願いということで申し上げます。
 仁坂知事が、5つの選挙公約を掲げ、県民の支持を得て和歌山県の知事に就任されました。私たちも、選挙を通じ、県民の負託にこたえるべく、今回の不祥事における問題点やその解決策を事あるごとに説明し、二度とこのような事件を起こさないように県民、市民に訴えてまいったところでございます。
 その1つ、談合をなくし、清潔で透明な行政を実現することであります。知事は、就任以来、早々に公共調達制度をつくり、実行段階に移しておられます。2つ目として、内部への監視と透明性を図るため、監察査察制度を設け、職員倫理規則も実行されています。
 約半年で知事として精力的に取り組まれたことに対し、支援させていただいた者の1人として大変評価できるものと思われます。負の遺産を整理したところで、仁坂知事に新しい和歌山モデルを期待したいと思います。
 和歌山県は高齢者比率が高く、なおかつ人口減少社会と言われる前から県勢、県民力が低下しています。元気の出ない和歌山を元気にしていく、県民の総合力を結集して事に当たらなければ、とても難しい課題でございます。
 仁坂知事が誕生した選挙では、前知事の突然の不祥事の発覚、辞任、逮捕、そして選挙、県勢回復に向け極めて重要な選挙という位置づけの割には投票率が40%を下回り、35%という低調に終わりました。この事実は県民の声なき声と受けとめなければならないと思います。
 和歌山は進取の気性に富み、情にもろいと言う人がいます。確かに、子供の安全・安心の問題が持ち上がったとき、和歌山市の場合、自治会や老人・婦人会などが立ち上がり、登下校時に子供たちの見送りや迎えをしていただいております。父兄としてこんなにありがたいことはありません。
 一方、知事さんを評価する最近の話として、きのうの議会でも出ておりましたが、コムスンの話があります。訪問介護最大手のコムスンがグループ内の別会社に介護事業を譲渡する方針をめぐり、この別会社から事業所指定の申請があった場合、認めない姿勢をいち早く示したのは和歌山だけでした。まだほかの自治体が法解釈等の問題で厚労省の態度を見守っている段階で、いち早く厳しい結論を示したことに大いに拍手が送られました。脱法行為を認めず、正義を貫くとの意志がよくわかりました。共感を抱きました。これは私だけではなかったようです。知事への手紙やメールは、就任以来3月まで274通だったものが、このコムスンの発言以降1週間ぐらいで約200通近い反響があったように伺いました。
 まさに、政治は生き物です。判断や発言1つで敏感に反応する。それがトップであればなおさらのことだと言えます。知事の基本姿勢である「よく聞くことがすべての第一歩」を推進するために、知事が県内各地に出向いて県内の各分野で活躍されている皆さんの生の声をお聞きし、県政に反映させる紀の国いきいきトークや土日のお休みのときにでも公務をこなしていることなど、大変御苦労なことでございます。
 和歌山再生のヒントは、県民との対話にあります。県下には、農業や林業、また漁業、そして和歌山を支える中小の地場産業、各企業や各界各層、そして女性団体や福祉団体、知事の考え方やお人柄を知りたいという声もあると思います。地域を支える団体や県勢浮揚のために努力を続けておられる諸団体等、県民力を結集し、総合力で和歌山再生を目指すため、時間をつくってできるだけ最前線に出かけていってください。そう願うものであります。
 県民との対話について、知事のお考えをお聞かせください。
 2つの傾向があります。
 1つは、ふるさと志向の低下であります。県雇用推進課による調査では、県出身の大学生らを対象に行った就職意識調査では、県内で就職を希望する人は前年を2.3ポイント下回る40.2%だったそうです。将来的にUターンを希望する人は70.9%に上ってはいるものの、これも前年に比べ4.6ポイント下がっています。ふるさと志向は高いものの、低下している傾向があります。
 もう1つは、県・市職員採用の申し込みの希望者の低下があります。和歌山県では2008年春の県職員採用Ⅰ種試験の申し込み状況が発表されています。それによると、上限年齢を従来の29歳から35歳へ引き上げたため、前年に比べ応募者がふえていますが、29歳以下の申し込みは14%減少しています。同様に県都和歌山市でも受験者数が低下しており、そのかわり新たな採用枠として、任期つき職員や民間経験者で年齢枠を拡大した取り組みで受験者をふやしているのが現状です。地方都市では県庁や市役所は魅力ある職場のはずでしたが、これも景気回復のあらわれでしょうか。
 ふるさと志向の低下の理由として挙げているのが、トップは、県内に希望の就職先がない、職種として専門的・技術的職業としています。これには、知事がおっしゃるように和歌山を元気にするしかないわけであります。知事を先頭にトップセールスを実現して、元気な企業を誘致することが必要となってきます。
 知事は、「私や県庁がやる気を出せば、きちんとした答えが出る。そんなに難しいことではない」とマスコミに語っておられます。確かに、景気回復がおくれていた前知事の時代でも、平成12年から18年度にかけ、県外から22社が本県に進出してきております。
 企業誘致のかぎは用地の確保にあると思います。既存の企業団地の活性化と進出企業のニーズに合わせて今回のように橋本隅田用地共同開発事業のように新たな土地整備に経費を投入していくのか、またそれぞれの市町村との連携はどのようにお考えなのか、お示しください。この間、知事としてトップセールスもおやりだと思いますので、知事にその現状をお聞かせ願いたいと思います。
 2点目の傾向も1点目と類似しますが、和歌山の魅力が乏しくなっています。私も高校まで和歌山で過ごし、約16年間、和歌山を離れていました。そのとき感じたことでありますが、和歌山の情報が入ってこない、情報の発信力が弱い。陸・海・空、海・山・川、三拍子そろった豊かな郷土和歌山をもっと売り出していくべきです。ひいては、それが和歌山の浮揚につながるものと思います。
 現在、観光情報誌「紀州浪漫」や「旬の宅急便」など旅行エージェントやマスコミ等に送付する、あるいは県産品販売業者の協力を得て県産品購入者に宅急便で品物を送付する際に観光パンフレットを同封するなど、広報宣伝に取り組み、努力をされているところでありますが、和歌山の情報発信については、いわゆる手を変え品を変え、工夫も必要かと思われます。
 和歌山大学観光学部設置促進期成同盟結成総会が開催されました。いよいよ、観光立県を目指す和歌山において、本格的な人材育成の最高学府をつくろうとの機運の盛り上がりです。グローバルな観光戦略、ビジット・ジャパン・キャンペーンによるところの外国から観光客を呼び込む、また観光で県や自治体を活性化させよう、そういうもくろみです。
 しかし、観光戦略に力を入れているのは和歌山だけではありません。今や全国が相手です。幸い、関空からのアクセスが近い観光ゾーンや白浜空港が近い観光ゾーンのメニューもお勧めの1つです。また最近では、ほんまもん体験ツアーも人気が高いとお聞きしました。
 先日の知事の御報告にもありました熊野古道周辺地域では観光客がふえている状況ですが、少し離れると、世界遺産登録された当初と比べ、現在は横ばいになってきています。まだまだ和歌山がどこにあるのかも知られていないし、まして白浜や那智勝浦といった我々としては当然と思うことが実は知られていない。先ほど申しましたように、海があり、山があり、きれいな川がある。それが住んでいる我々には当たり前のように映るんです。
 お隣の奈良県の人たちだって、海へあこがれ、白浜に連れていくと感激します。お城があって海で遊べて温泉に入れる和歌山市、意外と知られていないのが現実です。そんなふうに考えると、情報をつくり発信していくことの視点が変わると思います。
 郷土ふるさと和歌山の観光の振興は広報宣伝に尽きるわけですから、絶えず見直しと新しい試みを入れるべきではないでしょうか。商工観光労働部長にお答えをお願いしたいと思います。
 ふるさと納税の話が現実の問題として議論されてまいりました。昨日の井出先輩議員の御質問にもありました。知事も国への要望として、2地域居住税制として新たな提案を行ったと伺いました。今、大リーグで活躍するイチローや松井選手だけでなく、ふるさとへの愛着、その土地へのこだわりの中で税収面で貢献していく。おもしろい発想でしょうが、実現までは大変な議論が予想されます。
 我が党の弘友和夫参議院議員も2年前の3月、総務委員会にて麻生大臣に質問していましたが、ふるさとという定義、徴税コストなどの問題で、そのときは話もかみ合わない状況でした。
 最近、インターネット上で全国1万人ふるさと納税意識調査というのがありました。その中で、9割以上が「ふるさとがある」と回答し、回答者の約2人に1人が「現在住んでいる土地のほかにふるさとがある」と回答しております。回答者全体の半数にふるさと納税制度の対象になる可能性があると指摘されております。しかし、ふるさと納税については、4割以上が「全く知らない」と回答しており、これからの課題としております。
 また、この制度についての賛否は、「全体的に賛成」と答えた人と「条件つきで賛成」と答えた人を足すと42.5%となっており、「どちらでもなし」が38.7%、「反対」が18.7%となっています。賛成派の多くは地方からの回答者が多かったようです。
 国の動向として、総務省主催による研究会がこの6月にスタートしました。学識経験者や地方自治体では福井県知事や市川市の市長等が参加され、これから活発な論議が展開されることが期待されていますし、最近のニュースでは、この研究会に参考人として宮崎県の東国原知事と神奈川県の松沢知事2人が同じテーブルで意見を交わすそうであります。都市圏の4知事も反対のアピールをしています。
 地方対都会の綱引きのような構造になってまいりました。地方にとっては、財政基盤を補う上でも絶好のチャンスととらえ、知事さんたちの賛同の輪、ネットワークを築いて頑張ってもらいたいと思います。
 そこで、知事に、改めて実現に向けた行動を促す意味でもその決意を語っていただきたいと思います。
 2点目の教育問題について、るる御質問をさせていただきたいと思います。
 まず、教育関連法案等、国の動向と教育長のお考えについてでございます。
 今、国会で審議されている学校教育関連法案の骨子では、学校の運営体制を充実させるため、校長を補佐する副校長や校務の整理に当たる主幹教諭など新しい職の新設や、子供と接する時間をふやすため教員の事務負担の軽減を進めることや、一定水準以上の資質能力を保ってもらうため10年ごとの教員免許更新制の導入や教育委員会の責任の明確化などが織り込まれております。
 一方、教育再生会議がまとめた第2次報告では、土曜授業を可能にするなど、学校5日制を事実上見直す内容になっています。
 県の教育行政のトップリーダーとして、新しい教育、時代に即した教育について御所見をお願いしたいと思います。
 先日、新長期総合計画策定本部が立ち上がっておりますが、教育委員会としても、国の動向や時代の潮流をかんがみ、20年度以降の中長期計画を策定しなければと思われますが、策定に当たっての基本的方針をお聞かせください。
 2点目に、中高一貫教育の成果と今後の方針についてお聞きします。
 県の教育委員会は、今日まで数々の高校改革を進めておられます。全日制単位制や総合学科、中高一貫校などの多様な形態や教育機会の提供だけでなく、学区制の撤廃や、ことしの入学者選抜制度を前期選抜・後期選抜へと変更しました。試験の作成も一部自校方式をやめて県が作成した共通問題を使用するとし、改革が加速度的になってきており、父兄からも戸惑いの声すら上がってきております。
 高校進学率の上昇と少子化による適正規模の生徒という命題の中、学校の統廃合問題等も大きくかかわってきており、教育委員会の動向が注目されるところでございます。
 ことし、中高一貫教育の新たな取り組みとして、桐蔭高校に桐蔭中学校が併設校として開設されました。これで、県内の併設高校では、向陽高校、橋本高校、田辺高校に次いで4校目となります。志願者倍率も高く、ことし行われました桐蔭中学では7.76倍となっています。ちなみに、向陽中学は7.85倍、古佐田丘中学では3.43倍、田辺中学では2.38倍となっています。中高一貫教育への関心が高まる中、現時点での成果をお示しください。
 県内では併設・連携型ともに未設置の地域があるわけですが、まだ設置されていない地域はどうするのか、そのお考えをお示しください。また、今後の小中学校の連携の方針もお伺いしておきます。
 続いて、入試選抜制度についてお聞きします。
 県立高校入学者選抜制度が変更されました。従来の推薦入学を前期選抜、一般入学を後期選抜とし、募集枠を各学校ごとに定めることになりました。その改善の趣旨と、初めてことし実施され、来年度につなぐような課題等がありましたらお答えください。
 3点目に、高校の統廃合問題と今後の方針についてお聞きしたいと思います。
 海南・大成高校、串本・古座高校の統廃合問題が平成16年、突然に持ち上がり、早急過ぎるとの父兄の意見により、平成19年までの募集をかんがみてとなっています。より魅力的な高等学校づくりを進め、1人1人の生徒の力を伸ばす教育を推進するための適正規模として、現行の40人学級で1学年4から8学級を基本にしました。
 そして、統合に当たっての基本的な考え方では、1学年3学級以下となっている高等学校で今後入学者数が適正規模の下限である1学年4学級の募集定員の3分の2を維持することが見込めない高等学校では、地域の実情等踏まえながら統合を進めるとなっています。
 この件につきましては、紀美野町議会として大成高校の存続を求める意見書が採択され、県知事と教育委員長に提出されたと伺いました。どのようにこれを受けとめておられるのか。この2年間の現状と、それを踏まえた上での教育委員会の今後の方針についてお聞かせください。
 4点目に、公立学校の学校評価制度の取り組みについてお聞きしたいと思います。
 学校が保護者や地域住民の信頼にこたえ、家庭や地域と連携協力して一体となって児童生徒の健やかな成長を図っていくためには、教育活動その他の学校運営全般の状況について自己評価を実施し、その結果を公表するとともに、それに基づいて改善を図っていくことが重要であるとされます。また、開かれた学校づくりを推進し、学校としての説明責任を果たしていくためには、保護者や地域の人々に対して積極的に情報提供し、それに基づいて改善を図っていくことも必要です。本県の教育委員会が作成した平成18年度義務教育の質の保証に資する学校評価システム構築事業実施報告書にもそのことがうたわれております。
 現状は、自己評価は小学校・中学校で100%、外部評価では、小学校で42.1%、中学校では40.4%となっています。自己評価、外部評価、そして第三者評価の取り組みを始めている学校もあるようです。
 学校が地域住民の信頼にこたえ、家庭や地域社会と連携を深め、地域参加型の教育活動を充実させるため、教育委員会としての姿勢を示してほしいと思います。
 外部評価について問題点の検証や保護者への情報提供等、各教育委員会にはどのように指導されておられるのか、お答えください。
 大きな3番目の医療体制の充実についてお聞きしたいと思います。
 「県の女性死亡率全国3位」という見出しを見て驚きました。これは、ことしの4月29日、「読売新聞」の記事でございました。新聞の記事を紹介しますと、厚生労働省が発表した2005年「年齢調整死亡率の概要」で、前回の2000年の調査では女性が全国第12位、それが全国第3位となり、男性は前回の調査では4位から今回は9位となった。また死亡率の面でも、男性は全国平均の593.2人に対し626.9人、女性は平均の298.6人に対し319.9人と、いずれも全国の数値を上回っている。その死亡原因はがんが最も多く、男性が211.3人、女性は100.9人、次いで心疾患が男性101.0人、女性52.2人、脳血管疾患が男性49.6人、女性33.6人となっている。この年齢調整死亡率は、年齢構成の異なる都道府県間で比較できるよう調整された数字で、人口10万人当たりの年間死亡者数をあらわしているという記事でございました。
 現在、日本では年間108万人以上の方が亡くなり、そのうち約3分の1に当たる32万人強の死亡原因ががんということでございます。その数字はどんどんふえていて、近い将来2人に1人ががんで亡くなる時代がやってくると予測する学者も多くなっています。和歌山も例外ではなく、いやもっと深刻に受けとめなければならないデータがあります。
 平成17年の実績では、和歌山では年間1万1251人の人が亡くなり、そのうち3264人の人ががんで亡くなっています。死亡率は平成9年より9年間、毎年悪化しています。
 最も死亡率が高いのは、胃がん、大腸がんを抜いて平成13年から肺がんがトップに立っています。それも、全国でワースト1という状況が続いています。平成13年以来今日まで、平成16年の3位というのはありましたが、連続トップという不名誉な記録をつくっています。人口10万人当たり、平成13年では58.1人だったものが平成17年には67.8人になってしまいました。
 最初に、この事実についてどのように受けとめておられるのか、福祉保健部長にお尋ねをしたいと思います。
 2点目に、平成17年、がんで亡くなっている方が県内で3264名という中で、抜本的な見直しが迫られていると思います。なぜ和歌山がこれほど何年間も悪いのか。高齢化率が高いのもその要因の1つかもしれませんが、だからといって手をいつまでもこまねいていてはどうしようもありません。県民の安全・安心の確保のため、早急な対応が迫られます。
 がん対策基本法が平成19年4月1日に施行されました。同基本法では、「基本理念にのっとり、がん対策に関し、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する」と自治体の責務が定められております。その対策についてお聞かせください。
 3点目、基本法の中で、放射線治療医の育成、確保となっています。近年、患者の病気により、手術するより放射線治療を施す方が効果があると指摘されています。放射線治療の本県における実情と、放射線治療を受ける人が今後ふえてくることが予想されますが、それへの対応についてお聞かせください。
 4点目、がんの告知を受けたときや再発を知ったとき、患者にはさまざまな不安や悩みが重くのしかかるそうです。治療技術の進歩に伴い生存率も向上してはいるものの、心のケアを必要としている患者は少なくないのではないでしょうか。厚生省の研究班の調査では、患者が必要と考える対応策、支援策の1位は相談、心のケアとなっています。がん登録の推進や緩和ケアを含むがん対策の推進をお願いするものであります。
 また、計画策定に当たっては患者の参加も必要かと思われます。進捗状況とその考えをお示しください。
 がん登録も、院内がん登録の標準登録方式の普及を拠点病院だけでなく県内の病院に促進する必要があるのではないでしょうか。
 医療技術の向上を目指してという質問をさしていただきたいと思います。
 診療レベルの客観的な評価について、最近、情報誌が幾つか出版されております。「朝日新聞」発行の「手術数でわかるいい病院2007」「全国医療機関の手術数全覧4115」には、和歌山県の欄には、県立医大、日本赤十字社和歌山医療センター、和歌山労災病院、済生会和歌山病院以下、39の病院が紹介されております。各病院名の欄には、病床数、肺がんや前立腺がん手術、食道がん手術、心臓手術、ペースメーカー移植手術数等の1年間の手術数が記載されております。また、別のページでは各手術項目で全国ランキングが紹介されています。
 この本の使い方という説明の中で、「本誌は、いい病院の基準を手術数という客観情報に求めた。手術数の多さは、医師の技量の高さに結びつくという認識が医学界に広くあるのに加え、症例数が多ければ、看護師や技師など医療スタッフの充実、術後のフォローなどを含めた病院全体の質の高さが見込めると考えるからだ。また、多くの患者が集まるということは、患者を紹介する病院や地域の評判も高いと言えるだろう」としています。
 病院の診療情報の公表時代に向け、その病院のよしあしを判断し、評価していく時代になってまいりました。一昔前までは考えなかったことです。
 がん医療技術の向上を図るため、現在診療レベルの評価に用いられている5年生存率のほかに、がんの診療レベルを多面的に総合的に適切に公表することも検討してはどうかと思います。
 以上を福祉保健部長にお尋ねいたします。
 最後に、昨日も議論されておりました医師不足問題です。
 医師不足問題解決のための緊急医師確保対策で、大学医学部の地域枠拡大等の医師不足地域や診療科で勤務する医師の養成の推進が盛り込まれました。
 将来的な見通しとして、医大の募集定員をふやし、県内からより多くの学生を受け入れることが可能となると期待できます。平成20年度予算に対する提案、要望にもありましたので、十分視野におさめていただいていると思います。県内の公的病院の約8割を医大から派遣している状況は、より充実したものになってまいります。
 研修医の養成や定員の拡充には、それなりに財源の確保が伴います。医師不足やスタッフ不足、財源確保について最優先すべき課題ととらえます。
 最後に知事のお考えをお聞きし、第1問目といたします。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの多田純一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、県民との対話という点でございますが、私は、知事就任以来、県民1人1人の声を真摯に受けとめ、その中から多くのことを学んでいくことが非常に大切であると考えております。こうした気持ちと姿勢は引き続きずうっと貫いていきたいと考えております。
 現在、私のところには、毎日多くの手紙やメール、ファクスなどで、福祉とか医療とか環境とか、あるいは県庁の悪口とか、そういう幅広い分野の意見や要望などが寄せられております。こうしたお便りにはすべて自分で目を通しておりまして、余り長くは書けないんですけれども、必要に応じて速やかな返事もしたり、対応を職員に指示しているところであります。
 これは各論でありますけれども、それ以上に、各地域に行ってそれぞれの地域の代表の方々とお話をしたいと思っております。私の希望していた水準よりもなかなか行けないということがわかって残念でありますけれども、幾つかの地域には1日べったりいて、いろんな方とお話をさしていただいたりしております。
 それから、これは1つのイシューで行っておるんですが、そういういろんな催しにもできるだけ足を運んで、そのときにお話をさしていただくようにしております。
 それから、いきいきトークとか、いろんな各層の方々とお話をすることも、半分楽しみにしながら、できるだけサブスタンスで議論をしたい。そして、この場でいただいた御意見、御要望等についても実質的な議論をして、その上で全庁的な体制で対応さしていただくと。聞きっ放しに終わらないように努力しております。
 今後ともできるだけ早期に全市町村を訪問するとともに、もっと多様な形態で県民との対話の場を積極的に設けまして、県民の生の声を生かした県民本位の県政を努めてまいりたいと思っております。
 第2番目に企業誘致であります。
 企業誘致につきましては、私としては、既存用地の利活用はもちろんのこと、事業者のニーズも先取りして、そういう受け皿をつくるということも含めまして必要な対策を怠りなくとっていきたいと思っております。
 誘致に係る地域間競争が大変激しさを増しております。私もいろんな企業を自分で訪問したりしておりますし、県当局の諸君があっちへ行ったりこっちへ行ったりしてやっとる数は物すごいものがあるんでございますけれども、行く先々で、実は私だけじゃないということを発見する次第であります。
 そういう中で、これまで整備いたしました既存の工業用地だけではなくて、今後は、民有地も含め、和歌山県全体の可能性を企業誘致に生かした取り組みをしたいと思っております。県有地だけではなくて、市町村が持っておられるところ、それから民間が持っておられるところ、こういうのも全部生かしてやっていきたいと思っております。
 それから、企業誘致の決め手の1つはその受け皿、今は土地のことを申し上げましたけれども、そのほか例えば用水とか電力とかガスとか、そういうインフラも大事であります。それから、しばしば申し上げておりますように、今はスピードの時代ですから道路というのも大変大事でございます。そういうインフラの整備を図るということも大事でありますが、用地につきましては、和歌山県でいま一つ欠けていると私が思いましたのは、内陸部で大きな土地がちょっとメニューとして不足しているなというふうに思いました。
 実は、橋本隅田用地の件につきましては、今、今国会にお願いをしているところでございますけれども、これについて共同開発事業をして、できるだけ(「国会、県会」と呼ぶ者あり)──失礼いたしました。「この県会に」。大変失礼いたしました。──それにつきましては、先に用地を整備しておいて、それで企業に来ていただくように働きかけるということをやっていきたいと思っております。
 ただ、私は、先ほど多田議員のお話で、そんなに難しくないというふうに申し上げましたが、こうやって環境を整備したり努力をすることはそんなに難しくありませんが、結果を引き出してくることは結構難しゅうございます。なぜならば、今、一般に経済は拡張期であります。拡張期というのは、例えば1つの工場のラインがあると、そのラインをふやしていくというような形で拡張していくのが多うございます。そうすると、企業にとってはその隣にやるというのが一番よくて、用地がなくなったら近くにやる、とうとうなくなったら遠くへ行くと、こういうことなんでございます。
 ここ30年間、和歌山県は余り企業の誘致に成功していません。成功しているのもありますが、他県に比べると大変少のうございます。そういう意味では、種になる、今そこにある企業というのが少し少ない。したがって、その拡張期にはなかなか苦戦をするというのが現状であります。
 それから、少し企業を回っておりまして感じたのは、今までの県の、あるいは県民のと言ってもいいかもしれませんが、企業に対する態度とか、そういうのがかなりしみついておると。そういう考えですね。印象とかそういうのがかなりしみついておると。こういうとこもありまして、これを1つ1つ崩しながら、私は一番初めに「千三」と申し上げましたが、1000の努力をやってると、そのうちひょっとしたら3つぐらい当たるかもしれないという努力をこれからも頑張って続けていかないといかんと思います。努力をしてまいりたいと思います。
 それから、ふるさと納税制度につきまして申し上げます。
 これにつきましては、ふるさとに対する納税者の貢献とか、かかわりの深い地域への応援を真摯に生かすとともに、地域間の税収格差を是正する仕組みとして、私は有益であると考えております。
 つきましては、地方の活性化にも資する制度として、2地域間居住税制も含めて、今秋以後の税制改正議論などに向けて、趣旨に賛同する団体と連携するなどして活動してまいりたいと思います。
 これだけが地方公共団体の財政難というのを救うということではないと思っておりますが、こういうことも含めて全体として、国、地方、それから地方の中で財政力の豊かなとこと豊かでないところという全体のバランスをうまくとっていただくような制度をお願いしたいと、こんなふうに思っております。
 それから、医師不足への対応についてお答え申し上げます。
 これにつきましては、議員御指摘のように、本県の医師不足、大変深刻な状況にあります。この問題は、しばしば申し上げておりますように、私の最優先施策の1つと認識しておる以上に、既にそれは実際の問題として行動をしております。
 知事に就任した直後から、特に大きな問題であります県立医科大学の医学部入学定員の拡大について、国に対し強く働きかけてまいったところでございます。
 実は、この問題はかなり障壁がありまして、国の制度としては、医師が余りふえ過ぎてはいけないという考え方で、医療費の高騰を抑えるためにこれ以上医学部の定員をふやしちゃいかんというような、実は二重になっている閣議決定がありまして、医学部の定員というのは、和歌山県立医大といえども、実は国の制度によって支えられています。したがって、勝手にふやすわけにはいかんということでありまして、これができるように実は努力をしてまいりました。1月ぐらいから始めてるんですが、3月初めぐらいに本格的に始めたときは、かなり前途ほど遠いなあという感じでありました。
 ただ、去る5月末の医師確保対策に関する政府・与党協議会において、医学部における地域枠の拡大及び医師養成数の増加等の方針が示されたところです。特に医師養成数が少ない県については、それは配慮しろということを明言されておるところでありますし、この方針は骨太の方針2007、昨日閣議決定されましたが、それについても医師対策を緊急対策でやるんだということを明言していただいておりまして、実現まで一歩一歩進んでいるかなあということを思っております。
 定員枠の20名の拡大の実現に向けて、県立医科大学と連携しながら、議員の皆様の御協力を得て国に対して一層働きかけをし、我々も努力をし、詰めるところは詰めてやっていきたいと。そのために、拡大が認められた場合、必要な施設整備等について必要になってまいりますので、医科大学と協議し、また議会の皆様とも協議してまいりたいと思っております。
 ただ、あくまでも地域医療に貢献するお医者さんをふやしていくというのが主眼でございますから、そのような考え方でやっていきたいと思っております。
○議長(中村裕一君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 観光政策における広報宣伝についてお答えいたします。
 広報活動は誘客対策にとって極めて重要であり、従来より重点的に取り組んでございます。近畿圏あるいは首都圏などでの観光キャンペーンやホームページによる情報発信はもとより、国内外でのマスコミへの露出度を高めるため、テレビ局や旅行情報誌などに対し、本県の魅力ある地域資源を紹介する企画提案や紹介ツアーの実施など、積極的に対応しているところでございます。
 また、テレビや映画の撮影地を誘致していくフィルムコミッション活動など、積極的に取り組んでいるところでございます。
 さらに、全国に先駆け、県内各地域の自然、農林漁業、生活・歴史文化など、地域資源を生かした体験交流型観光の充実に取り組むとともに、体験プログラムを活用した修学旅行や教育旅行の誘致を積極的に進めてございます。
 今後ともこうしたさまざまな手法を用い、本県の持つ魅力をより多くの方々に知っていただき、訪れたくなるような情報の提供に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
○議長(中村裕一君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 医療体制の充実についての3点にお答え申し上げます。
 県民の皆様の暮らしの安心・安全を確保していく上で、本県のがんの現況はまことに憂慮すべき状況であり、緊急かつ重点的に取り組んでいかなければならない課題であると認識してございます。
 まず、本県のがん死亡率が高い原因につきましては、県立医科大学に委託をいたしまして県民の方々の生活習慣に関するデータの比較分析などを行い、現況分析及び原因究明を図ることといたしてございます。
 また、がんの早期発見治療のためには、がん検診受診率の向上が非常に重要でございます。本県の受診率は、平成17年度の肺がんの受診率が29.2%と、全国平均の22.3%を上回るなど、各がんの検診率は全国平均を上回っていますが、今後は受診率の目標値を定め、県民の方々にがん検診の重要性を認識していただき、より多くの方が受診されるよう市町村や医療機関などと連携して啓発等に取り組むとともに、検診の精度管理や検診体制の充実にも取り組んでまいります。
 放射線治療につきましては、全国的に専門家が少なく、本県においても放射線治療に携わる医師等の確保やレベルアップが重要だと考えております。がん診療連携拠点病院において従事者の研修等に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 今後とも、県内5カ所のがん診療連携拠点病院を中心にがん医療の質の向上を図るとともに、がんの予防及び早期発見の推進など、総合的ながん対策に取り組んでまいります。
 次に、緩和ケアにつきましては、議員御指摘のとおり、さまざまな不安や悩みを抱えるがん患者の心のケアや心身の痛みを和らげる緩和ケアは非常に重要と考えており、本年度策定予定のがん対策推進計画におきましても緩和ケアの充実等を盛り込むことといたしており、患者、家族を含め、県民の方々の御意見も聞きながら策定してまいりたいと考えてございます。
 最後に、医療技術の向上についてですが、がんの現状分析や原因究明を行っていく上で、がんの罹患率や生存率等を把握することが必要です。そのため、個々の患者データを登録するがん登録は非常に重要と考えており、がん診療連携拠点病院を中心に県内医療機関の院内がん登録を推し進めることといたしております。
 議員御指摘のとおり、院内がん登録を進める中で、医療機関が積極的に5年生存率などの診療情報を医療法におけます広告規制外でありますホームページで公表することは、重症度の違い等により客観的な評価が可能かどうか、あるいはまたその信頼性等課題もございますが、一方では患者の適切な医療機関選択に資するとともに、がん医療技術の向上にもつながるものと考えており、がん診療拠点病院とも十分相談してまいりたいと、そのように考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教育問題についてお答えいたします。
 近年、教育を取り巻く状況が大きく変化する中、国におきましては、昨年末に教育基本法が改正されるとともに、教育再生会議からの報告等を受けた教育関連3法の改正が議論されるなど、教育制度改革の動きが急速に進んでおります。
 その中で、家庭や地域の教育力、学校における徳育の重視、教員の資質・能力の向上、教育委員会の責任の明確化等が大きく取り上げられてございます。その背景には、今日の青少年の実態、ひいては我が国の将来について重大な危機感が表明されているものと受けとめております。
 このたび教育長を拝命するに際しましては、和歌山の教育を元気にしたいとの願いを表明させていただきました。不登校、いじめ、暴力などの問題の解決に努めるとともに、国における動向を的確にとらえながら、市町村や学校、地域との対話を大切にし、子供たちが生き生きと学べる環境づくりのため、精いっぱい努力をしてまいる所存でございます。
 また、学校と家庭、地域の連携、協力のもとに、子供たちにしっかりとした学力や体力、市民としての資質など、人間力を高める具体的な施策を構築していくことが重要であると考えております。
 現在進められております新長期総合計画の策定に当たりましては、こうした願いをしっかり反映させ、和歌山らしく、かつ時代に対応した視点と方向性を示しながら、着実で具体性のある施策を盛り込めるよう努めてまいりたいと存じます。
 次に、中高一貫教育についてでありますが、それぞれの学校では併設型・連携型の特性を生かしながら、6年間を見通したゆとりのある学校生活の中で教育活動が営まれており、地域や学校の特色を生かした継続的な学習の展開や教員の相互交流による個に応じたきめ細かな指導を行うなど、特色ある教育活動が行われております。
 なお、今後の設置につきましては、既設校での教育内容やその成果を分析するとともに、地元の市町村や学校等の御意見を伺いながら鋭意研究してまいりたいと考えております。
 また、小中学校の連携につきましては、県が実施している小中一貫モデル校として4地域8校において、9年間を見通した指導方法や組織運営のあり方について研究を進めているところであり、市町村にその成果を普及してまいります。
 次に、高校入試選抜制度についてお答えいたします。
 本年度導入いたしました前後期制の県立高校入学者選抜制度は、すべての生徒に複数の受験機会を保証すること、生徒の主体的な進路選択を促すこと、前期選抜においても学力検査を導入することにより中学校教育における基礎学力の充実に資することを趣旨として改善をいたしました。
 平成20年度については、平成19年度の結果を踏まえ、前期選抜においてもすべての県立高等学校で県の統一問題による入試を行います。それに伴って問題内容をより充実するとともに、学力検査の一部で時間を10分間延長するなど、実施について工夫をしてまいります。
 次に、高校の統廃合問題についてでありますが、平成17年に県立高等学校再編整備計画及び第1期実施プログラムを策定し、平成18年度から平成20年度までの3年間に取り組む具体的な内容を示し、現在、その実施に向けた取り組みを進めているところでございます。
 大成高校と海南高校、古座高校と串本高校の再編につきましては、現在、地元関係者との協議等を進めており、そうした場での御意見を踏まえるとともに、地元町議会等からの意見書や御要望の趣旨を十分に勘案しながら慎重に検討してまいります。
 最後に、公立小・中学校での学校評価についてお答えいたします。
 学校評価は、教育目標や教育計画等の達成状況を明らかにし、保護者や地域住民が学校運営に参画する開かれた学校づくりを進めることに大きな意義があると考えます。しかしながら、本県の外部評価とその公表につきましては、議員御指摘のとおり、十分な状況にあるとはとらえておりません。平成18年度からは推進地域を指定し、学校評価システムの研究を進めているところでございまして、今後さらに学校評価を充実させ、評価結果を公表することで信頼される学校づくりをより一層推進してまいります。
 答弁は以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 25番多田純一君。
○多田純一君 るる答弁いただきました。その中で、高校の統廃合の問題について再度質問さしていただきたいと思います。
 2年前に2校の統合問題が持ち上がり、この2年間の応募者数、受験者数等勘案した上で地域の住民の方との話し合いを進めながら結論を導いていくと、こういうことだったと思うんですけども、私の質問は、その2年間の実情はどうなっていますかということと、しかも、紀美野町議会のそういう意見書という非常に議会としては重みのある意見書も提出されているように伺っております。そういうことについて教育委員会としてどう受けとめておられるのか、明快な答弁がなかったように思います。
 また、大成高校を存続させる会のホームページなんかを見ますと、もう既に5月あたりに、教育委員会の方からこのことについて、来年は募集しないんだというふうなお話があったようなことをこのホームページで書かれておりますけども、その事実関係をきちっと明らかにしていただきたいと思います。そういうことがあったのかどうか、そのことをお聞きしたいと思います。
○議長(中村裕一君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) まず、2年間の取り組みの実情につきましてでございますけれども、これにつきましては、大成高校、古座高校ともに生徒の確保に十分努力をしてきております。また、県教育委員会自体といたしましても、例えば大成高校につきましては、多様なその選択が可能になる単位制を導入して、それを生かすように、教員の加配でありますとか指導者の配置についての配慮、さまざまそういった支援をしてまいりました。
 その結果、この2年間の結果でございますけれども、例えば大成高校でございましたら、平成18年度は目標として設定しておりました106名という数字に対しまして、受け入れいたしましたのが103名、それから平成19年が92名となってございます。また古座高校につきましては、平成18年度が71名、平成19年度が77名という結果になっておりまして、これを受けまして、2年前の経緯からしていきますと、教育委員会としてはまず2年前の原案を出発点にして説明をさせていただき、その後地元の方々の意見をいただいていくという進め方で、これまで何回か各地域において地域と学校との合同によります協議会を開いてまいりました。
 御指摘のとおり、先般、紀美野町の町議会から意見書をいただいてございます。これにつきましては、やはり自治体としての正式な議決を経た意見書であるということをしっかりと受けとめて、私たちも慎重に検討していかなければいけないというふうに考えてございます。
 それから、最後にございました募集停止についての話が出たということにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、2年前の経緯を踏まえまして、そのときの原案をスタートにしてお話を進めているということで御理解をいただきたいというふうに思います。これが最終結論ではなくて、これまでいただきましたいろんな意見を踏まえながら教育委員会で議論をし、結論を導いていきたいというふうに考えてございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再々質問を許します。
 25番多田純一君。
○多田純一君 続きはぜひ、文教委員会にも所属しておりますんで、委員会での話し合いをというふうに思っておりますけども、要するに2年前に決めたことをそのまま踏襲するだけではなくて、地域の実情ということもよく勘案していただいて、その上で和歌山県の教育委員会としての方針を十分検討していただいた上で出していただきたいと思うんですけども、やっぱり何といっても高校がなくなるということについては、父兄の立場からすると大変大きな問題でありますし、地域の活性ということもそのことで大きくかかわってくる問題でございますんで、十分な慎重な検討をお願いしたいということと、速やかな、いつまでにという分も含めてきちっとやっぱり出すべきじゃないかなと、こんなふうに要望させていただいて終わりたいと思います。
○議長(中村裕一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で多田純一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 皆さん、おはようございます。
 私も、地元初め県民の皆様に温かい御支援をいただきまして、四たびこの県議会に戻ってくることができました。本当にありがとうございました。この4年間でまたいろんな流れがあると思いますが、私なりに全力を込めて頑張ってまいりたいと思います。皆様方におかれましても、よろしく御指導、御鞭撻のほどお願い申し上げます。
 それでは、議長にお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして順次質問をさせていただきます。
 1つ目に、泥水噴出問題についてであります。
 去る4月12日夜、和歌山市湊の通称中洲と言われる地区の民家の床下の古井戸から突然大量の泥水が噴出、床が10センチメートルも持ち上がるなどの被害が出ました。6月15日に第2回目が開かれた6人の専門家による対策検討会によると、原因は、現場から約400メートル離れた紀の川大橋の国道拡幅のための橋脚3本の新設工事において、1月から土台となる筒状のケーソンを川に沈め、圧縮空気を送り込みながら掘削していたところ、この空気圧で空気を含んだ地下水が噴出したと工事との因果関係を認めた上で、複雑な地質構造のために予見は困難だったとの考えも示されました。
 まず、4月8日に工事現場から約150メートル上流の川の中から空気が噴出し、同11日から12日には周辺の井戸計2カ所で空気を含んだ水の噴出が確認されております。私もたまたま4月13日に民家の井戸からブクブクと激しい勢いで空気を伴った泥水が噴き出している状況をかいま見て、びっくりした次第です。
 同17日には、国土交通省和歌山河川国道事務所が近くの地表に空気や水を抜くための穴を開け、その後噴出量が減ったものの、19日まで断続的に噴出が続いていたようであります。もっとも、現在でも川では気泡が確認されております。
 23日には住民説明会、28日には大西有三京都大学大学院教授を委員長とする対策協議会が初会合を持ったとのことです。
 5月2日には仁坂知事も現地を視察し、被害に遭った方や地域住民の皆様に謝罪するとともに、国や施工業者と協議した上で補償を行うことを述べられました。
 当地区は砂地で、全国有数の高い品質のショウガの産地であり、新ショウガのおいしい季節、まさに今、繁忙をきわめる出荷時期であります。
 そこで質問ですが、以下4点、県土整備部長にお尋ねいたします。
 1つ目、そもそもどんな工事であったのですか。
 2番目、これだけ空気とともに地下水が噴出して、地盤沈下の心配は大きなものがあります。いかがでしょうか。
 3番目、また、海水の交わる汽水域での掘削工事であります。農作物に対する塩害が気になりますが、海水から来る塩分濃度の地下水への影響はいかがでしょうか。
 4番目、空気を伴った地下水噴出の原因究明の進捗はいかがでしょうか。また、工事は中断されておりますが、今後、原因究明、補償交渉が進んだ上で工事再開は可能なのでしょうか。
 2番目に、直川周辺にかかわる諸問題についてであります。
 昨年2月議会において、議案第102号紀の川大堰建設に関する基本計画の変更についてが可決されました。大阪府の水源計画見直しによるもので、大阪府は取水量を1日当たり2万5000立方メートルから1万立方メートルに大幅に減らしたのであります。コスト削減ということで、新六箇井堰全体を撤去するはずが固定堰を1メートル以上残し、川底も3メートル掘削するはずが行わないことにされてしまいました。当初、毎秒1万2000トンの流量対応であったのが、戦後最大規模の洪水のときの流量の毎秒8500トンに変更されて、それにあわせて新六箇井堰が一部残ることになったわけであります。
 これには、寝耳に水の和歌山市議会も猛反発し、その後の県、市の話し合いの結果、県と国土交通省は、当初どおりの治水効果が図れるよう国が内水対策を実施し、県と国とが内水対策を確認、さらに今後、古い新六箇井堰を国がすべて撤去するとの確認書が県、市で締結されたのであります。
 和泉山脈側も、近年、大規模に宅地化が進み、一たん大雨が降れば、地面の吸水力が落ちていますから山側から大量の水がおりてきます。ましてや基本計画変更によって河道掘削量が削減されて水位低下量及び内水被害軽減効果が減少するため、どうしても速やかな内水対策、治水対策が必要であります。
 直川周辺の和歌山市内北東部5地区、有功、直川、川永、山口、紀伊地区は4万人以上の人口を擁しておりますが、周辺には地域住民の活動拠点となる公共施設もなく、商業施設や企業の集積もなく、直川用地の有効利用についても地域住民の悲願でもあります。
 そこで質問ですが、1つ目、和歌山市が市の土地開発公社所有の直川用地利用計画を進めるためにも、直川用地の速やかな内水対策、治水対策が急がれます。和歌山市の北東地域の発展には、そして地域の生活の利便性向上には、県、市協調して直川用地の総合的な内水対策に当たる必要があります。紀の川大堰に係る内水対策協議会の進捗状況について県土整備部長にお伺いいたします。
 2番目、昨年3月13日、国、県、市の間で確認書が締結されたとおり、当初計画に見込まれた治水効果確保、古い堰の撤去、住民を交えた国、県、市の協議の場、すなわち内水対策協議会での話し合いなどの確認事項がほごにされることのないよう、県としても絶えず強力に国へ働きかけていただきたいと思いますが、いかがですか。
 3番目、昨年7月の和歌山市長選挙で大橋建一市長が公約として掲げられていた和歌山北インターチェンジ設置は、当地への企業誘致には大きな意味を持ってまいります。物流の1つの拠点としても期待が持てるものであります。
 去る3月16日に、和歌山市は、高速自動車国道法に基づく連結許可を国土交通大臣より受けました。今後、平成22年度供用開始を目指しているということでありますが、これも県と市の連携体制が必要です。和歌山北インターチェンジ早期設置に向けた取り組み状況を、県土整備部長、聞かせてください。
 3番目に、2巡目国体に向けた和歌山市周辺の幹線道路事業についてであります。
 8年後の平成27年に2巡目の和歌山国体開催が内々定ということで、各競技団体の国体に向けた取り組みも目に見えて活発化してきたようであります。
 思い出すのは、昭和46年に開催された第26回黒潮国体が和歌山県で開催されたときのことであります。私の家の前を通っていた和歌山軌道線、通称「市電」、チンチン電車が同年3月31日より廃止されたかわりに、高松交差点から堀止交差点まで大きな道路幅の国道42号線が開通、また、県道和歌山海南線のJR和歌山駅前交差点から紀三井寺交差点までの約5.2キロメートルの通称「国体道路」が完成しました。和歌山市の人口も昭和60年までふえ続け、1回目の和歌山国体のもたらした効果は大きかったと言えるでしょう。
 それからことしで36年目。時代も大きく変わり、財政難の中、国体のあり方も変わろうとしておりますが、やはりふるさとにおける開催は、全国から2万人以上の集客が見込まれる、全国の方々に和歌山県を知ってもらえる、県土整備の上でも大きな期待が持てるものであります。
 折しも、第2阪和国道の残区間、大阪府岬町深日から和歌山市大谷間7.2キロメートルが平成19年3月30日に平成19年度新規事業化発表され、また京奈和自動車道も、昨年2月27日に橋本インターチェンジから高野口インターチェンジが開通、本年夏には橋本東インターチェンジから橋本インターチェンジ開通予定。紀北東道路、紀北西道路も鋭意進められております。
 8年後、2巡目国体開催という明確な目標もできた中、恐らくはメーン開催地となるであろう和歌山市周辺のこうした国の直轄道路事業並びに西脇山口線、南港山東線、松島本渡線といった街路事業など、幹線道路の整備についての加速度的取り組みがなされるよう、今後、国のほうへ一層積極的に働きかけていただきたいと思いますが、県土整備部長の意気込みをお伺いいたします。
 4番目、企業誘致と起業支援についてであります。
 1つ目、景気の好転もあって近畿地区では工場立地が好調と、先日、「毎日新聞」朝刊に掲載されておりました。その特徴は、借地方式のウエートが大きいようです。それだけ進出企業のコスト負担を少なくしていることが評価されているようであります。電気、ガス、水道などのインフラが整っているとか優遇制度による立地コストの低下だけではなく、企業は、用地の確保のしやすさ、操業開始までのスピードも重視しているということであります。まさにそのとおりで、他府県でこうしたハード面で捨て身の工場誘致をされると和歌山県も非常に厳しいものがあります。
 また、ソフト面から言うと、例えば大阪府の彩都ライフサイエンスパークの取り組みのように、企業誘致にはテーマを設けて、専門知識を持ったアドバイザーらによる誘致戦略が必要であります。
 大阪府は、同パークへの企業誘致を促すため、大阪大学や大阪商工会議所などと連携し、産学官でつくる彩都バイオ戦略推進会議といったものをこの4月に発足させたと聞いております。来年度末までに100%の立地を目標にしているということであります。
 大学の研究者あるいは企業との調整等実務を担うコーディネーターができるような、例えば和歌山県ではアグリバイオなど和歌山県の持ち得る恵まれた農水産物資源を生かせる食品加工、製薬会社などのOBなど民間の実務経験を生かせるような人材の投入が欠かせないのではないでしょうか。せっかくの日本一の企業誘致施策を有効に活用するためにも、ソフト面でもさらなる充実した企業誘致施策が必要だと思われます。
 企業誘致におけるハード面の充実とともに、ソフト面の対策強化について、仁坂知事の御見解をお伺いいたします。
 2番目に、せっかくの技術、時代のニーズに合ったアイデアを持ちながらも、資金不足のため起業できない方のために、機械や製品、商品の試作段階から支援できるような制度があればいいのにといった話を伺うことがあります。試作品を製作したいから制度融資を利用しようとしても、ある程度自己資金がないと、また担保するものがないとスタート地点にすらつけないのが実際でありますが、それならその技術に裏づけられた製品をまずは試作品として世に出すために、そのアイデア、シーズの段階からソフト・ハード両面でサポートできる体制、制度の構築について商工観光労働部長にお伺いいたします。
 以上4点、第1回目の質問を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) たくさんの御質問の中で、知事にというお話がありましたのは企業誘致政策、特にソフト面の対策についてということであろうかと思います。
 これについては、議員御指摘のように、ハードウエアに対する対策、それから和歌山県がやっておりますような補助金とか、それから貸付金の枠もふやしましたが、こういうことに並びましてソフト面の対策も大事だろうと思っております。特に、和歌山県に対するイメージの向上を図ったり、あるいは和歌山県の実情をよくオピニオンリーダーの方やあるいは実際に企業活動をしておられる人にわかってもらうということは大事だろうと思っておりまして、そういう面の努力をしているところでございます。そのときに、例えば県出身の財界人の方、それから県に何らかのコミットメントをしておるような財界人の方とか、そういう人とのつながりは特に大事にしたいと考えております。
 先日、東京で県人会がありました。大阪でも財界人の会合がありました。そういうところに出席をさしていただきましたが、来てくれたのは20年ぶりだとか初めてだとか、そういうような話が大変ありました。だけど、別にそれに出向いてにっこり笑うということが大事ではなくて、そういうところの中で、何か県を愛してくださっている県出身の方々がそれぞれちょっとアイデアを持っておられるというのを引っ張ってくるということが大事ではないかと思いまして、こういう関係はできるだけ大事にしていきたいと思っております。
 それから、現に和歌山県で活躍しておられる──そのもとは企業誘致であったり、あるいは地場で伸びたそういう企業と、経済問題あるいは営業に伴ういろんな問題、そういう問題を御議論して実情を把握するということは大変大事だろうと思っております。
 実は、経済産業省が本年5月に「都道府県の企業立地支援体制等に関するアンケート調査結果」というのを発表しました。和歌山県も、最近、大変企業誘致には熱心であります。例えばワンストップショップの窓口などを開いて我が企業立地課が頑張っておりますが、そういうことについては見事にこのアンケートに出てまいりまして、和歌山県のランキングは大変高いということになりました。一方、既に進出しておる企業とか地元の企業に対していろいろなコミュニケーションをちゃんと図っているかとか、そういう点については、残念ながらランキングは低いという結果になっております。
 私も、就任以来、そういうソフトな情報収集あるいは情報交換というのは大変大事だというふうに思っておりますので、実は商工観光労働部の諸君に、それぞれ担当を決めて企業の人と堂々とつき合って情報収集したり意見交換をしたりするということを始めて、かつまた、それが県庁が産業についてどれだけ知ってるかということにつながるもんですから、そういうことをやろうとしておりまして、まさに次のこういう結果が出たら、この点がころっと変わって上位に行くと。それがまた企業立地環境のイメージを高めるということになるんじゃないかと思っておりますので、努力してまいりたいと思います。
 そのほか、平成17年度より企業誘致サーチャー事業というのをつくっております。これは、企業の地域進出情報の収集力とか、あるいは情報伝播力とか、そういうことを高めるためにやっておるわけであります。また、県内就職希望者を登録して企業の人材確保を支援するきのくに人材バンクというようなこともやっております。その他、できるだけマスコミあるいは経済雑誌、展示会、そういうところに和歌山県の情報を私も含めて露出して、それで和歌山県の、これから頑張りますという姿勢をできるだけ表に出していきたいと思っております。
 以上、頑張っておりますので、県議会の皆様におかれましても、どうぞ同じような方向でそれぞれの立場から御協力いただきますようにお願い申し上げます。
○議長(中村裕一君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 和歌山市湊の泥水噴出問題について4点お尋ねがありました。
 まず、工事の内容についてでございますが、県では、和歌山下津港の物流機能強化と大型貨物車両の市街地の通行回避のために、臨港道路紀の川右岸線工事を施工中であります。本工事は、これに伴う国道26号との取りつけ部において紀の川大橋の拡幅を行うものであり、国土交通省に委託をしている工事であります。
 次に、地盤沈下の心配についてでございますが、国土交通省が泥水噴出箇所周辺での物理探査及びボーリング調査を行った結果、異状が認められず、地盤沈下など地盤の安定性への影響はないと聞いております。
 また、海水から来る塩分濃度の地下水への影響についてでございますが、国交省は、事故発生後、塩分濃度調査を継続的に実施しており、これまで大きな変化は見られておりません。今後も引き続き観測を行うとともに、過去の測定結果や地下水の利用状況も調査すると聞いております。
 次に、原因究明と工事再開についてでございますが、国交省が紀の川大橋橋梁拡幅工事周辺における地下水噴出に関する対策検討会を設けて検討を行っており、これまで2回の検討会が開催され、ケーソン工事により圧力のかかった空気が周辺地層を伝わり噴出したことが究明されました。
 今後、適切な補償が行われるとともに、安全な工事再開ができるよう国交省に申し入れをするとともに、解決に向けて協力をしてまいりたいと考えております。
 続きまして、直川周辺にかかわる諸問題について3点お尋ねがありました。
 まず、内水対策協議会の進捗状況についてお答えをいたします。
 紀の川大堰事業の基本計画の変更に伴い、直川地区等の内水被害の軽減効果が減少することから、当初計画に見込まれた効果を確保するための内水対策の実施が国、県、市の3者で確認されており、国、県、市、地元から成る内水対策協議会を設置し、検討、協議を行っております。
 これまで5回の協議会を開催しており、先月の第5回協議会では、国土交通省から内水はんらんシミュレーションによる浸水域の状況と内水対策の考え方について説明がございました。次回の協議会では、具体的な内水対策案が示される予定と聞いております。
 次に、確認事項の国への強力な働きかけをとの御指摘でございます。
 国土交通省からは、紀の川大堰事業の当初計画で見込まれた直川地区の内水被害軽減効果が確保できるよう積極的に取り組む旨の回答を得ておりますので、県としても早期に対策が実施できるよう国交省に強く働きかけを行ってまいります。
 次に、和歌山北インターチェンジについては、地域活性化インターチェンジとして、これまでも市と共同調査を実施するなど連携して取り組みを進めてきた結果、本年3月16日、国土交通省により高速自動車国道法に基づく連結許可が行われました。これを受け、今年度は県、市、西日本高速道路株式会社の3者で地元説明を行い、概略設計及び用地測量等に着手いたします。
 今後も引き続き関係機関で協力して、早期のインターチェンジ設置を目指してまいります。
 最後に、2巡目国体に向けた和歌山市周辺の幹線道路事業についてお尋ねがありました。
 国体が開催された際には、全国から多くの方が和歌山市へ来られるため、アクセス道路となる高規格幹線道路や都市計画道路等の整備が必要であります。特に京奈和自動車道については全線の開通を、また今年度から事業着手された第2阪和国道の府県境部についても早期供用を国に働きかけてまいります。
 また、紀南方面から和歌山市への渋滞を解消するため、近畿自動車道紀勢線の海南─吉備の4車線化や国道42号バイパスの整備についても働きかけてまいります。さらに、和歌山市内の都市計画道路として現在整備中の西脇山口線や市駅小倉線、松島本渡線などの重点整備に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 商工観光労働部長永井慶一君。
  〔永井慶一君、登壇〕
○商工観光労働部長(永井慶一君) 起業支援についてお答えいたします。
 まず、新たな技術やアイデアを有し、起業を考えている方につきましては、財団法人わかやま産業振興財団や工業技術センター等において、民間人材等による経営面あるいは技術面でのきめ細かな相談、指導等を行ってございます。
 次に、創業段階におきましては、ビジネスインキュベーター施設を経済センター等に設置してございまして、昨年よりは起業支援の専門家も配置し、経営面や資金面などへの総合的な支援を行っているところでございます。
 今後とも、起業につきましては、その事業段階や課題に応じた相談、指導などを行うとともに、新たな事業や起業活動を積極的に掘り起こし育てることで県経済の活性化をさらに目指してまいりたいというふうに考えてございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
 37番長坂隆司君。
○長坂隆司君 御答弁いただきました。
 和歌山下津港が外貿コンテナ港として発展を遂げるためには、この臨港道路紀の川右岸線は、豊かで円滑な物流を生み出すためにも必要な道路であります。しかし、農家にとっては死活問題になりかねない事態が発生したわけであります。二度とこのような噴き出しが起こることのないように安全対策に留意して、十分な調査をしていただいた上で万全を期して住民の目線に立って工事再開に向けて推進いただきたいと思います。
 また、去る6月1日には、国土交通省近畿地方整備局長が知事に対し、奈良県川上村に建設されている大滝ダムの地すべり対策追加工事のため、県に対し約17億8000万円の追加負担に対する協力を求めたわけです。今まで何と45年以上もかかって6度も計画変更したと。総事業費も約16倍に膨れ上がるなど、国の見通しの甘さにはあきれるばかりでありますが、悲しいかな、この地すべり対策をしておかないと、治水にしろ、利水にしろ、ダムが使えないわけであります。
 県民の命、財産にかかわること、本当に厳しい苦渋の選択を迫られるわけでありますが、先ほどの直川の内水対策にも、どうしても大滝ダムが必要なわけであります。だからこそ、大滝ダムの事業追加負担はふえますが、その分、直川用地の治水対策も国にしっかりやってもらわないといけないし、それが直川用地の利用計画、それに和歌山北インターチェンジ設置にも大きな影響を及ぼすのであります。
 加えて、8年後の和歌山国体の開催のことを考えれば、どうしても国にはそれまでに第2阪和国道や京奈和自動車道を完成さしていただいて、主要な都市計画道路、西脇山口線、南港山東線、松島本渡線等、一部和歌山市の事業も県としてフォローしながら、全国から2万人以上の方々が和歌山県にお越しになるときには十分供用がなされているように、強力に、しつこく国には要望していただくべく切にお願いをする次第であります。
 以上、要望さしていただいて、私の一般質問を終了さしていただきます。
○議長(中村裕一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時34分休憩
────────────────────
  午後1時3分再開
○副議長(新島 雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 19番尾崎太郎君。
  〔尾崎太郎君、登壇〕(拍手)
○尾崎太郎君 議長の許可を得たので一般質問をいたします。
 県民の審判を仰ぐ統一地方選挙がございました。選挙が近づいてまいりますと、この議場に戻れるか心配でなかなか本を読む気にもなれませんでしたが、選挙が終わったら読もうと決めていた本がありました。1冊は、持ってはいたのですが通読はしたことがなかった中村粲著の「大東亜戦争への道」であり、もう1冊は「リットン報告書」です。
 「リットン報告書」は、名前だけは知らない人は恐らくいないでしょう。日本の満州での行動は侵略であったと当時の国際社会も認識していたということの証左として持ち出されます。これに納得しなかった日本は反発。昭和8年(1933年)の国際連盟総会で、松岡洋右ら日本代表団は議場から退場し、国際連盟を脱退。孤立化した日本はやがて大戦争へと突入していく。大方の日本人は中学生のときにこんな授業を受けたでしょうし、私もリットン報告書の中身については特に興味を持っていませんでした。しかし、詳しくは覚えていないのですが、しばらく前に櫻井よしこさんの、実はリットン報告書はかなりの程度日本の立場を理解していたとする評論を読んで、いつかは「リットン報告書」を読まなければと思っていたのです。
 戦後、我々には幾つかの刷り込みがなされています。例えば、日本は無条件降伏をしたというのも刷り込みの1つであります。大体、ポツダム宣言は、その本文で、我らの条件は次のようなものであると書いています。有条件なのです。
 少し前にクリント・イーストウッド監督の「硫黄島からの手紙」や「父親たちの星条旗」等が公開され、書店の店頭にも小笠原方面総司令官であった栗林忠道中将関連の著作が所狭しと並んでいました。ちょっとした栗林ブームのようでしたが、実は、この硫黄島での戦闘があったればこそ、ルーズベルトやチャーチルが日本の無条件降伏を企図していたにもかかわらず、我が国は無条件に降伏しなくて済んだのでした。
 硫黄島での戦闘は苛烈をきわめました。3日間、それこそ島の形が変わってしまうのではないかと思えるほどの艦砲射撃を加えた後、圧倒的な兵力をもって上陸したにもかかわらず、米軍の死傷者は、戦闘開始わずか3日間でノルマンディー上陸作戦での死傷者を上回ることになります。
 占領まで5日もあれば十分と考えていた米軍の顔色は変わりました。栗林中将以下守備隊2万人の鬼神もかくやと思わるる働きは、米軍最強の海兵隊が我がほうの3倍の兵力と圧倒的な火器をもってしても、わずか約22平方キロの小さな島を占領するのに36日という日数と我がほうの戦死傷者を上回る、実に戦死傷者約3万人という余りにも甚大な損害を米国に強いたのでした。その結果、米国は日本の無条件降伏をあきらめ、有条件のポツダム宣言を出すに至ったのです。
 ちなみに、無条件とは、各地の日本軍は無条件で降伏せよ、停戦交渉等には応じないというほどの意味でした。
 戦後のアメリカの巧みなプロパガンダと、負けたものはしようがないといった日本人特有のある種の諦観、潔さが相まって、今日、日本は無条件降伏をしたということを疑う人はほとんどいない状況であります。
 日本は、極東軍事裁判いわゆる東京裁判を受諾して、サンフランシスコ講和条約で国際社会へ復帰したというのも刷り込みの1つでありましょう。以前にも論じましたが、受諾したのはあくまで言い渡された判決であり、裁判そのものではありません。
 そして、最近は、危うく、いわゆる従軍慰安婦の強制連行が刷り込まれそうになっていました。慰安所があったことは事実ですが、それを軍が管理したことも、いわんやそのために女性を強制連行したというような事実はありません。そのようなことを立案、実行したのであれば、近代国家における軍は役所の1つですから、必ず文書が残っているはずです。ところが、どこを探してもそのような文書は出てこなかったのです。平成9年3月12日の衆議院予算委員会で平林内閣外政審議室長は、「政府の発見した資料の中には強制連行を直接示す記述は見当たらなかった」と答弁しています。
 関係者の御努力で、ようやくいわゆる従軍慰安婦の記述が中学校の歴史教科書から姿を消しつつあるのに、今ごろになって米国下院でいわゆる従軍慰安婦をめぐる対日非難決議が提案されました。驚くべき内容ですが、御紹介いたします。
 第110回議会第1会期下院第121決議案。「下院は次のような見解を表明する。すなわち、日本政府は、1930年代から第2次世界大戦の全期間にわたり、アジアの植民地支配と太平洋諸島を占領していた戦時に、日本の軍隊が強制力を行使し若い女性を性奴隷にしたことを──その性奴隷とは、現在では「従軍慰安婦」としてすっかり知れ渡っているのだが──公式かつ平明なやり方で認め謝罪すべきであり、また、そのような事実に対する歴史的な責任も同様に平明で明瞭な形式を通じて受け入れるべきである」と。
 アメリカの傲慢さにはあいた口がふさがりませんし、このような決議案が出された背景には、あるいは他国のロビー活動があったのかもしれませんが、しかし、やはり何より河野談話が大きい。たとえ法的な拘束力はなくとも、世界で最も影響力のある超大国の下院でこのような決議が採択されるようなことになれば、それこそ世界じゅうの人々の頭の中に、日本軍は性奴隷にするため朝鮮半島の人々を強制連行したと刷り込まれてしまいかねません。また、それをもくろんでいるような勢力もあるでしょう。そんなことになれば、どれほど我が国の名誉と国益が損なわれることになるかと思うと、暗たんたる気持ちになります。一刻も早く河野談話を否定しなければなりません。
 当時、売春は合法的な産業でありました。無論、後ろめたい日陰の産業ではありましたが、慰安婦となった女性は業者と契約をしていたのです。あるいは、女性の父親が業者と契約をしていた場合もあったでしょう。私はそんな職業にはつきたくなかったという女性はお気の毒でありますが、悲しいことに、当時、日本人も朝鮮人も総じて貧しかったのです。そして、売春は、特に戦地の場合、かなりの高収入を保証するものであり、慰安婦は募集すれば強制連行などする必要もなかったのが実情でありました。
 今月号の「正論」で、茂木弘道氏が2件の米軍公式記録を紹介しています。米陸軍インド・ビルマ戦線所属の戦争情報心理班の報告は「慰安婦とは売春婦にすぎない」、「月平均1500円の総収入を上げ、マスターに750円を返還する」とあり、朝鮮人軍属の証言として、「太平洋の戦場で会った朝鮮人慰安婦は、すべて志願したか両親に売られた者である。もし女性たちが強制動員されれば、すべての朝鮮人は老人も若者も激怒して決起し、どんな報復を受けようと日本人を殺すだろう」とあります。ちなみに、日本の軍曹の月給は30円で、慰安婦は実にその25倍を稼いでいたことになります。
 もちろん、慰安婦は日本人も多数いましたし、戦後、焼け野原になった我が国で、米兵相手に春をひさぐ女性がいたことは周知の事実であります。日本人として愉快な話ではないですが、だれかの責任を追及するようなたぐいの話でもないでしょう。
 安倍総理も、狭義の強制だの広義の強制だのとややこしいことを言わず、「国家として性奴隷とするために朝鮮半島その他の地域から女性を強制連行したという事実はない」と毅然と主張すべきでありました。
 本来保守派であるはずの安倍総理の手足を縛ってしまった河野談話ではありますが、ごく一部、真っ当なところがあります。「歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい」とするくだりであります。まさにそのとおりであります。我々は、教科書問題での宮沢談話、いわゆる従軍慰安婦問題での河野談話等、目先の摩擦を恐れる余り、真実をねじ曲げてまで相手におもねり御機嫌をとることがどれほど国益を損なってきたかを歴史の教訓としなければなりません。
 さて、話を「リットン報告書」に戻します。私は、長い間、リットン報告書は我が国の満州政策を列強各国が自分たちのことは棚に上げて非難したレポートであると思い込んでいました。しかし、この報告書を読めば、私がしばしば主張してきたことを裏づけてくれています。それは、大陸は恒常的に内乱状態にあったということです。
 大陸の内乱といえば、清朝の名君乾隆帝が退位した翌年に発生した白蓮教徒の乱、1851年に始まった太平天国の乱、列強出兵のきっかけとなる義和団の乱等、いわゆる共匪の乱が世界史の授業には出てきます。それぞれ我が国では考えられない大規模なものではありますが、実は大陸では、これらの乱以外にも回教徒の反乱や匪賊組織の跳梁ばっこ、軍閥の対立等があり、まさに内乱、反乱が繰り返されてきたのです。というより、清朝末から大戦後、共産党が国共内戦に勝利して中華人民共和国を樹立するまでの間、日本的感覚からすれば、ずっと内乱状態にあったと言ったほうがよいのかもしれません。大陸は絶えざる混乱の中にあったのです。このことは近代日本の大陸政策を理解する上で決定的に重要であると考えます。
 混乱の中で清朝が倒れ、辛亥革命が成った後も、決して統一された国家が出現したわけではありません。大陸のあちらこちらに政府がつくられ、それらがお互いに相争っていたのです。さながら五代十国時代のようなものであります。
 「リットン報告書」は、「この十数年間、シナは軍閥間の戦争によって荒廃し、いたるところに出没した匪賊は、零落した農夫や飢饉に襲われ絶望した住民、あるいは給料不渡りの兵士を仲間に加え、ますますその数を増し、有力な軍隊を構成することになった」「当時、シナは北京と広東にまったく異なった政府をもち、奥地の交通・通信をしばしば妨害する多くの匪賊のために混乱し、さらにシナ全体を渦中に投じるような内乱の準備もなされていた」「独立を主張する政府はじつに3つもできてしまった。そのうえ実際に自立した省、または省の一部がいくつかあった」と書いています。
 この報告書を読みながら、私はふと「坂の上の雲」を読みながら浮かんだ疑問を思い出しました。歴史的な知識の乏しい中学生だった私は、血沸き肉躍るこの国民的小説を読みながら、何で日本とロシアの戦場は満州なのだろうかと思ったのです。
 義和団の乱で列強とともに出兵したロシアは、これに乗じて満州を実効支配してしまいます。「リットン報告書」には、「1900年にロシアは、義和団の乱がロシア国民に危険を与えるからといって、満州を占領した」とあります。満州を取れば朝鮮半島まであとわずか、そのすぐ先には日本があるんです。当時の日本の指導者は、朝鮮半島が前線基地の役割を果たした元寇を思い浮かべたことでしょう。
 ところが、清朝は全くロシアの勢力を満州から追い出す努力をしようとはしません。既に満州はロシア領となってしまっていたかのようでした。
 日露戦争は、結果として満州からロシアを追い出すことになりました。我が国はポーツマス条約により、ロシアから南満州鉄道の権益と遼東半島の租借権を得ましたが、満州の地は清朝に返ったのでした。
 さて、先ほど述べたとおり大陸は混乱が常であったので、清朝では満州の治安を維持することはとてもかないません。我が国は南満州鉄道の権益を守るため、条約に基づき守備隊を置きました。後の関東軍ですが、そのため、大陸の他の地域に比べ満州の治安は格段によくなり、大陸各地からは大勢の民衆が安定した満州に流入し、経済的にも発展を遂げていきました。当時、満州は大陸で最も暮らしやすい土地であったのです。
 「大東亜戦争への道」には、昭和3年(1928年)秋、満州を視察した米モルガン財団代表ラモントがオールズ国務次官にあてた手紙が紹介されています。「自分の観た所では、今日満州は全支那で殆ど唯一の安定せる地域である。かつ日本人が存在することによつて満州は支那問題に於ける不安定要素であるよりは安定勢力となることが期待される。日本は軍事的意味に於いてのみならず、経済的にも満州を発展せしめつつある。日本がかくするのは、満州に赴く少数の日本人開拓者の利益のためではない。実際の話、満州開発は中国人の利益となつてゐるのだ。不安定な戦争状態が中国の広大な部分に広がってゐるため、今や中国人は、他の何処に於いても受けねばならぬ匪賊行為や略奪から逃れるために、何千人と云ふ単位で南満州へ流れ込みつつある」。侵略とはほど遠いイメージであります。
 しばらくは平和に繁栄するかに見えた満州は、ロシア革命後コミンテルンが結成され、国際共産主義運動が展開されるにつれ、様相が変わってきます。このあたりの事情は「大東亜戦争への道」に詳しいのですが、「リットン報告書」には「ソ連政府および第3インターナショナルは、現行条約を基礎として対支関係を維持しようとする帝国主義諸国に強く反対する政策を採用、シナの主権回復闘争においてシナを援助することもありうるとした」とあります。
 ソ連の世界革命戦略は、大陸において民衆の反日、侮日を扇動したのではなかったか。満州の混乱こそは彼らの望むところではなかったのか。せっかく国防上最大の脅威であった満州のロシアを駆逐したのに、ソ連の共産主義が大陸での革命を目指し、暗躍していったのです。そして、さらには繁栄を遂げる満州を我がものにせんとする軍閥がばっこしていたのでした。
 満州事変とは、リットンに言わせれば、「問題は極度に複雑だから、いっさいの事実とその歴史的背景について十分な知識をもったものだけがこの問題に対して決定的な意見を表明する資格があるというべきだ」「満州においては、世界の他の地域に類例を見ないような多くの特殊事情があるからだ」といった性格を持つものなのです。河野氏の言うように歴史の真実を回避しないとするならば、果たして満州事変は単純に日本の満州侵略であったと言えるものなのでしょうか。
 歴史の真実は、日本人の耳に心地よいものばかりではないでしょう。柳条湖での満鉄の爆破は日本側が引き起こしたものであることを知らぬ者はいません。失敗から反省し、学ぶことは大切です。しかし、いわゆる自虐史観に陥ることは、百害あって一利なしであります。中村先生の言葉をかりるならば、「柳条湖事件とは、無数の原因の累積の上に加えられた最後の小原因」だったのです。大陸や半島の人々の耳に心地よく響かないからといって、歴史の真実を、無数の原因の累積を回避することもまた、してはならないのです。
 さて、2月議会の予算委員会で申し上げましたが、教科書問題とは、つまるところ社会科、特に歴史教科書の問題であります。頭のやわらかい中学生の時代に刷り込まれたものは容易には消えないのですから、中学校の歴史教科書の採択は極めて重要であります。
 「教科書はだれが決めるのですか」との問いに「教育委員会です」と答えるのは正解ではありますが、同じ問いに「教員です」と答えるのも間違いとは言えません。
 2月議会の予算委員会で教科書採択のあり方と建設談合の相同性を論じたところ、小関教育長は憤慨しておられましたが、建設談合では、価格競争によって決められるべき落札者を業界と呼ばれる世界の仕切り役が決めてきたのです。例えば、「この工事の受注者はどのようにして決めるのですか」という県民の問いに、「条件つき競争入札で決めます」と答えるのは間違いではないですが、「大阪の仕切り役が決めます」と言うのもそのとおりであったわけです。要は、形式的な決定権者と実質的な決定権者ということでしょう。これはよくあることであります。
 サラリーマンであったころ私は営業をいたしておりましたが、訪問する会社の真の決裁権者はだれであるのかを常に探っておりました。社長がそうであるとは限らないのです。奥さんのこともあれば、実力専務の場合もあります。はたまた引退した父親であることもあるでしょう。すぐれた営業マンには、それをかぎ分ける嗅覚がなければなりません。ゼネコンの営業担当者は、こぞって仕切り役の覚えをめでたくするよう頑張ったはずです。
 業界は、単に無法者の集団ではありません。独特のルールに支配された、それなりに秩序立った世界であったのです。
 例えば、汗かきルールというものがあるそうです。コンサルタント会社が本来作成すべき図面をゼネコンが手伝うということらしいですが、その際、ゼネコンは図面にある種の細工をするらしい。一般人にはわからないその細工が仕切り役の目にとまるとポイントアップとなるそうです。工事を受注するにはコンサルタント会社に営業すべし、まさに将を射るにはまず馬からであります。
 和歌山の場合にはその奥に知事がいましたので問題はさらに複雑でありますが、それは置くとして、私が教科書出版社の営業担当だとしても、教育委員の方に営業しても仕方がないのです。もしするとしたら、教育委員が相談をする相手、コンサルタント、すなわち調査員にすべきなのです。
 予算委員会で小関教育長は、「調査員はどのような人たちなのか」との問いに、「教科書採択に携わる人の公表というのは、慎重を要する点がございます。かつて、非常に激しい教科書売り込み時には疑獄事件に発展した歴史もある中で、事前に氏名とかどういう役職の人ということを公表することは避けるということで、事後公表というやり方をとっております」と答えておられます。営業のターゲットとされないよう氏名の公表を避けるということですが、これは調査員こそが真の決定権者であることを物語っているのではないでしょうか。何となれば、教育委員はその氏名を公表しているのですから。
 しかし、もし教育委員の方々が主体的に採択にかかわろうとした場合には、かなりのプレッシャーがあるそうです。このプレッシャーは、残念ながら教科書会社の甘いささやきではなく、ある種の団体からのプレッシャーである場合もあるので、そのときにはよほどの覚悟がないと主体性を保てないのが現状でしょう。
 本県の建設談合事件では、コンサルタント会社の選定から官が関与し、選定事務をゆがめていたことが明らかになっています。教科書のコンサルタントと言うべき調査員会の構成メンバーの選定はどのようにして行われているのか、非常に気になるところであります。
 調査員会なるものがなぜ必要かということについて小関教育長は、「教科書というものは非常に種類がたくさんあります。学年もさまざまです。内容も非常に細かい点がある。校長や教頭がすべてに通じているとは言えません。ですから、国語の教科書を選ぶ場合には、国語の専門家をやっぱりそれぞれ委嘱して細かい作業をしないと成り立たないわけです」と答えておられます。しかし、そうであれば、そもそも教科書検定制度というのは一体何であるのか。検定を通ったということはとりあえず一定の水準はクリアしているはずなのですから、教科用図書選定審議会がつくる教科用図書選定資料を参考に教育委員が選べばそれでいいのではないですか。
 教科書は、まず文科省で検定され、教科用図書選定審議会に諮られ、法律に定めのない調査員らに専門的な審議をされ、さらに念のため選定委員会で審議され、そしてやっと教育委員会の出番となって採択されるのです。屋上屋を架すと言いますが、それ以上でありましょう。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 第1点、県立中学校の教科書採択において、選定委員会の委員はどのようにして選定されているのか。選定委員は何人か。また、どのようにして選定委員会は教育委員会に報告をしているのか。
 第2点、同じく調査員はどのようにして選定されるのか。調査員は1種目何人か。また、どのようにして調査員は選定委員会に報告をしているのか。
 第3点、市町村立中学校の教科書採択において、無料措置法第13条4項で、当該採択地区内の市町村の教育委員会は、協議して種目ごとに同一の教科書を採択しなければならないとなっているが、法律はこの協議のための機関については特に定めていない。文科省は2002年に、採択協議会の決定手続をあらかじめ定めておくこととの通知を出しているが、現状はどうなっているのか。
 第4点、教科用図書の展示会場の増設についてはどのようになっているのか。
 第5点、教科用図書に関するアンケートの様式はどのように改善されているのか。
 第6点、教科用図書の見本本の有効利用はどのようにして図っているのか。
 さて、去る6月16日、海南市総合体育館で北朝鮮による拉致被害者救出のための国民大集会が、有本さん御夫妻、中山恭子補佐官らをお迎えし、開催をされました。我々自由民主党県議団が中心となって結成いたしております和歌山県拉致議連も共催をいたしましたが、大勢の県民の方々に御参加をいただき、まことにありがとうございました。また、お手伝いをいただきました県庁職員の皆さん、ボランティアの方々、関係各位に心から感謝申し上げます。
 日本国憲法は13条で、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と規定しています。憲法とは本質的に国家に対する命令であるのですから、国は日本国民の生命、自由が脅かされるようなことがあれば、どんなことをしてでもこれを守らなければなりません。しかるに国は、北朝鮮に拉致された国民を救出すべく最大限の努力を傾注してきたと言えるでしょうか。確かに、小泉、安倍と続いてきた政権は、これまでとは違います。しかし、何十年の間、拉致被害者の方々やその御家族の苦しみを思うとき、国家とは何ぞやと改めて問わざるを得ないのです。
 アフガン攻撃の際、米軍がアルカイダのメンバーらしき者たちを拘束したときのことです。このメンバーたちはキューバの米軍基地に送られました。アルカイダは正規の軍ではないので、その構成員は正規の戦闘員の扱いを受ける権利はありません。ゲリラは捕虜になることができないのです。したがって、極論すれば、米軍にはアルカイダのメンバーを裁判にかけることなしに射殺することすら許されるのです。
 御承知のとおり、イギリスはアメリカのアフガン攻撃を支持しました。小泉首相と並んでブレア首相はブッシュ大統領に大声援を送っていましたが、このメンバーの中に英国籍の人物がいることがわかるや否や態度を豹変、キューバに拘束されているメンバーに人道的対応をするようアメリカに求めたのです。自国民であれば、ゲリラですらかくのごとし。もしも英国や米国の市民を拉致したら、しかも子供を拉致したらどうなるのか。北朝鮮はよく知っていることでありましょう。
 現在、政府が認定しています拉致被害者は10件15人でありますが、それ以外に、特定失踪問題調査会によれば、北朝鮮による拉致の疑いが極めて濃厚であるとリストアップしている失踪者は、平成16年末の時点で33人。代表の荒木和博氏によれば、調査会にも警察にも届け出ていないケースや身寄りのない場合もあるので、拉致被害者はどう見ても100人を下ることはないとのことであります。まさに北朝鮮による拉致は組織的な軍事行動であると言え、そもそも個別の犯罪として警察が捜査をするというだけでは無理があります。
 我が国にはいわゆるスパイ防止法のような法律はなく、北朝鮮の工作員を工作員であるという理由で逮捕できるわけではありません。北朝鮮による拉致は軍事マターなのですから、政治家が国防上の観点から必要な立法措置をとり、軍事行動まで視野に入れた安全保障の機関を創設し、対処すべきでありました。
 それにしても、これほどの規模で組織的に行われてきた拉致を本当に歴代政府首脳は知らなかったと言うのでありましょうか。薄々は気づきつつも、問題の余りの深刻さに有効な手だてを講じるのをちゅうちょしてきたのではなかったか。それは、軍事をも語らねばならない事態の重圧から逃れたかったからではないのか。余りにも深刻な問題に対するこの恐るべき無責任の構造は我が国の宿痾であり、拉致問題に対する不作為は、確固たる戦略も持たず、なし崩し的に大戦争というそれこそきわめつけの深刻な事態へ踏み出していった戦前をほうふつさせるものです。ここにも反省すべき歴史があると言えましょう。
 社会保険庁のていたらくには目に余るものがあり、歴代厚相の責任を問う声まで上がっていますが、国民には塗炭の苦しみを味わわせ、自分はぜいたく三昧の将軍様が支配する独裁国家へさらにそのぜいたくを続けさせることになるにもかかわらず、人道支援などとへ理屈をつけて米を送っていたのですから、拉致被害者の御家族の御無念は察するに余りあります。
 米を送ることを決めた外務大臣は、いわゆる従軍慰安婦の強制連行を認める談話を出した、かつての官房長官でありました。彼の人道支援などというへ理屈の裏にあるのは、戦前、我が国は朝鮮半島で残虐なことをしたとする自虐史観ではなかったのか。北朝鮮は我が国首脳の自虐性を見透かし、高笑いしたことでありましょう。ゆめ奇妙なおあいこ論につき合ってはなりません。
 極めて深刻な問題、とりわけ軍事に対する責任を政治家がきちんと担うこと、そのためのシステムを整備すること、そして自虐史観から脱却することが我が国の国防上必要不可欠であります。いずれ機会があれば、朝鮮半島における我が国の戦前の政策がそれほど侵略性を帯びたものではなかったということも論じてみたいと思います。
 それにしても、家族とは何とすばらしいものでありましょうか。子供や兄弟を拉致されるということはこの上もない悲劇であります。しかも、その苦悩は数十年にも及んでいるのです。それでも御家族らは決してくじけることなく、日々運動を展開なさっておられます。
 我々は彼らと接するとき、改めて家族のとうとさ、ありがたさ、それが人をどれだけ強く、優しくすることができるのかということを学ぶのです。国の基である家族の解体を推し進めるような夫婦別姓などの制度は、断じて取り入れるべきではありません。個人の自由とは、安定した社会があって初めて実現できるものだからです。
 横田早紀江さんはおっしゃいました。「私はめぐみを取り返すことによって日本という国の誇りを取り返したいのです」と。何を食べてもおいしいと感じることのない日々を過ごしながら、筆舌にしがたい苦しみを国を憂える気持ちにまで昇華なさった御家族の方々には、ただただ頭が下がる思いであります。しかし、何分、今回和歌山にお越しいただきました有本さん御夫妻を初め家族会の皆さんは御高齢であります。有本恵子さんが拉致されてから25年にもなるのです。もう余り時間は残されていません。
 今回の大集会には1500人を超える県民の方々に御参加をいただきました。安倍総理はビデオメッセージで「拉致問題の解決は自分の内閣の最優先課題だ」とおっしゃっていましたが、我が国は民主国家でありますから、国民1人1人の拉致被害者を何としてでも取り戻すというかたい決意こそが北朝鮮への最大のプレッシャーになるはずです。その意味で大変意義のある大会でありました。
 さらに、今回の大会の特徴は、主催者の1人に和歌山県がなったことであります。この種の大会を地方自治体が主催するのは全国で初めてだそうであり、画期的なことでありました。
 そこで、質問をいたします。
 第1点、いかなる考えのもとに本大会を和歌山県が主催することになったのか。
 第2点、本大会に参加して、どのような感想を持ったのか。
 以上を知事にお尋ねして質問といたします。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの尾崎太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先ほどの尾崎議員の御発言について、例えば自虐史観、歴史のタブー、日本人の中にある言霊信仰、あるいはリアリストを嫌う風潮というようなものについて深く考えさせられるものがありました。しかしながら、御質問ではございませんので、御質問に限ってお答えさしていただきます。
 昨年6月に制定された拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律では、拉致問題について、国と連携を図りつつ国民世論の啓発を図るよう努めることが地方公共団体の責務として定められております。
 和歌山県といたしましても、広く県民の皆様方に拉致問題について理解をしていただき、その解決に向けた機運を盛り上げることが極めて重要と考え、今回、全国で初めて地方自治体として主催者団体の一角を担うことといたした次第であります。
 今回の集会に参加し、今まで拉致問題解決に尽力された方々や会場にお越しいただいた多くの方々の思いが1つになり、拉致被害者救出への機運が高まっていくのを強く感じました。
 今回の集会がこれから全国で開催される集会のモデルケースとなって、全国的に大きな運動となって拉致問題解決の機運が全国で高まりますよう、私は期待しております。
○副議長(新島 雄君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教科書の採択についてお答えいたします。
 まず、県立中学校の教科書採択に係る選定委員会の委員につきましては、学校長、教育行政関係者、学識経験者及びPTA代表者等の中から教育長が委嘱または任命した10名で構成しております。
 また、選定委員会は、研究、選定した内容を資料や口頭で教育委員会に報告いたします。
 調査員会の調査員は、教諭及び県の指導主事から1種目につき2~3名を選出し、教育長が委嘱または任命しています。
 調査員は、研究、調査した内容を資料や口頭で選定委員会に報告いたします。
 次に、市町村立学校の教科書採択にかかわる採択地区協議会は、県内8地域に設けられております。また、選定委員会や調査員会の設置を採択地区協議会の規約によって定めてございます。教育委員会が行う採択地区の設定につきましては、各市町村教育委員会の意向等を踏まえ、より適切なものとなるよう今後も努めてまいります。
 次に、教科書の展示会場につきましては、本年度も3会場を新設し、全体で22会場となっております。
 次に、教科書に関するアンケートの様式につきましても、展示会に関する意見に加え、閲覧した教科書についての意見も記入できるよう工夫、改善を図っております。
 最後に、見本として使用されました教科書は、公民館や図書館、各学校などで保護者や教員、地域住民の方々が閲覧や調査研究できるよう条件整備に努めております。
 答弁、以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
 19番尾崎太郎君。
○尾崎太郎君 教育委員会が主体的に教科書の採択にかかわる、これは当たり前のことなんですが、現実にはそれがなかなかかないにくいシステムになっております。談合問題に関しては、知事がそういう作為が入り込む余地がないようなシステムをつくるというふうにおっしゃって、今、改革が進んでおるところで、非常によいことだと思っております。この教科書採択のシステムも、もう教育委員が主体的に選ばざるを得ないシステムに変えていくということが大事なんじゃないかと思うんです。
 今、教育長の答弁をお聞きしまして、例えば「教育委員の選定というのはどうやって選ぶんですか」という私の質問に、「2~3名程度選出し、教育長が委嘱する」と答えておられます。この「選出し」ということの主語が抜け落ちとるんです。じゃ、だれが選出するのか。委嘱は教育長がすると、今、答弁でありましたが、だれがというのが抜けとるんです。恐らく意図的に抜いてるんだろうと思います。答えにくいんだと思います。そういうところが非常に見えにくい、システムとして明確ではないように思っているわけであります。
 まあ、この問題につきましては、私も今後ともさまざまなところで発言をしてただしてまいりたいと思います。
 教育委員の皆様方には、ぜひ主体的に自分たちが教科書採択にかかわっていくんだという意識をお持ちいただきますようお願いを申し上げまして、要望とさしていただきたいと思います。
○副議長(新島 雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で尾崎太郎君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 10番平木哲朗君。
  〔平木哲朗君、登壇〕(拍手)
○平木哲朗君 まず、今回の統一選挙におきまして、橋本・伊都地域では実績ある先輩議員とともに無投票で当選さしていただきましたことに心から感謝を申し上げます。そして、今後とも、県議会の先輩・同僚議員の皆さん、そして仁坂知事を初め県職員の皆さんにはよろしく御指導、御協力いただきますことを、まずはお願いを申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、県議会初めての一般質問をさせていただきます。このような機会をいただきまして若干緊張しておりまして、以前と違う風景に若干のプレッシャーを感じておりますので、よろしくお願いします。
 県議会に来ていまだ短期間のことでありますので、先輩議員におかれましては、以前された質問と重複しましたらお許しを願いたいと思います。
 まず最初に、仁坂知事には、平成19年度6月補正予算に、企業誘致促進のため、都市再生機構が施行する橋本市隅田地区内の施設用地の整備について、県が参画して造成工事を進めていくことを決定され、補正予算を組んでいただきましたことに対し、橋本市選出議員として心からお礼を申し上げます。ありがとうございます。市民の皆さんも大変喜んでいます。先輩・同僚議員にもよろしく御協力のほど、お願いを申し上げます。
 最初の質問は、国道371号バイパスの建設促進についてお聞きします。
 この道路は、亡き父の悲願の道路でもあり、私自身にとっても、また和歌山県の東の玄関口橋本市を、また和歌山県を発展させるためにも、絶対に早期に完成させなければならない道路であります。
 国道371号バイパスは、大阪、神戸、京都の3大都市と和歌山、奈良とを結ぶ関西大環状道路を放射線状に接続する道路の1つであり、環状道路を強化し、広域交流圏を拡大する重要な道路となります。
 国道371号バイパスの近年の状況は、朝の通勤渋滞や土曜、日曜、祝日は、高野・熊野が世界遺産に登録されてからは観光渋滞がさらにひどくなっています。また、この道路で事故が起こると、迂回路がなく、大渋滞となってしまう道路であります。南海・東南海地震が発生したとき橋本市が孤立してしまうようなことも考えられます。
 現在、橋本市の活性化策の大きな柱の1つとして企業誘致を進めていますが、企業からはアクセス道路のことを一番よく聞かれています。
 本年2月25日、国道371号橋本バイパス建設促進懇話会は、国道371号橋本バイパスの早期完成を願って建設促進決起大会を開催し、市民1200人が集結をしました。決起大会では、商工部門、農林部門、一般部門の3人から国道371号バイパス早期完成に対する熱い思いが発表され、仁坂知事を初め国会議員、また県会議員、関係機関の皆さんにも聞いていただいたところです。
 その後も、橋本市長から河内長野市長へ、橋本市議会から河内長野市議会へ協力を依頼し、河内長野市選出の西野府会議員の事務所にも協力をお願いに行ってまいりました。また、石田衆議院議員の御紹介で大阪府選出の竹本衆議院議員への協力依頼を私を含めた懇話会委員でお願いし、御協力をしていただけるようになりました。先日も、国土交通省の陳情終了後、衆議院会館の石田、竹本事務所にお邪魔し、再度のお願いをしてきたところです。
 国道371号バイパス早期完成のため、今できることは積極的に取り組んでおります。今後とも県との連携を図り、早期完成に向けて取り組んでいただけたらなと思います。
 今回の質問は、橋本市民の皆さんへの情報提供をするということを主眼に置いておりますので、次の質問にお答えいただきたいと思います。県土整備部長にお聞きします。
 平成元年の事業着手以来、歴代の県知事、県議会議員の皆様方、また県土整備部、国、国会議員の皆様方の御尽力により予算措置をしていただき、事業の進捗が見えるようになり、感謝をしているところであります。
 市民や関係団体に情報発信するために、現在の国道371号バイパスの進捗状況と平成19年度の予算と工事概要について、和歌山県側、大阪府側の状況についてお聞きします。
 工事が順調に進むように市長、市議会、関係団体の皆さんも今まで以上の協力をしていただけますので、仁坂知事にも来年度以降も十分な予算措置をお願いしたいと思います。
 最も気になる国道371号バイパス全線開通の現在の取り組み状況についてお聞きします。
 以前、石田衆議院議員が国土交通省の政務官のときに担当官を呼んでいただいて開通年度を聞いたところ、「これは府県間道路なので正確な答えはできませんが」と前置きされ、「今の予算措置状況から考えますと長期にわたるのではないかと思います」と答えられています。仮称・新紀見トンネルを国直轄で工事ができないのかをお尋ねしたところ、「和歌山県では現在2カ所ありますので、それはなかなか難しい」という答えでした。
 この厳しい現実の中、企業誘致や通勤・観光渋滞の解消、防災上の観点から早期完成に向けて取り組んでいかなければなりません。
 今、市長、市議会、建設促進懇話会が河内長野市へ、また河内長野市選出の西野府会議員への働きかけ、石田衆議院議員を通じての大阪府選出の国会議員への働きかけを積極的に取り組んでいます。
 仁坂知事にお聞きします。
 今後、早期開通に向けて県は国、大阪府、関係機関への働きかけをどのようにしていくのか、お聞きします。熱い決意をお聞かせください。
 次に、併設型中高一貫高校の今後の運営と課題についてお聞きします。
 併設型中高一貫高校が向陽高校、田辺高校、橋本高校、そして本年、桐蔭高校に開設され、来年には日高に開設され、5校になると聞いています。各学校とも中学受験の競争率が高く、今のところ上々のスタートが切れたのかなと思います。反面、併設型のため、限られたスペースの中で学校生活を送っているので十分満足のいく学習環境にはなっていないと思います。年の離れた中学生と高校生が同居するということは他校では経験できないことであり、人間形成上プラスになると思いますし、思いやる心も生まれ、人間関係づくりやコミュニケーション能力の向上につながることだと思います。
 これは橋本市の場合ですが、中高一貫校が開設されたことによって公立中学に大きな影響が出ています。少子化が進む中、私立中学に進学する子供の数については余り変わっていません。県立中学へ進学する分、公立中学へ入学する生徒が減少しているという状況にあり、学校運営が難しくなってきたという不満もあるようです。
 市町村教育委員会では小中一貫教育を進めていくようでありますので、県立と公立中学校の競争が激化しますので、地元中学と県立中学の関係が悪くならないように教育委員会の十分な対応をまずはお願いしたいと思います。
 併設型中高一貫高校をつくったという意味を教育委員会はよく考えてほしいと思います。これは1つの学校をつくったということであり、その重大性をよく考えてほしいと思います。高校の中に1つの科をつくるのとは意味が違うという認識を持ってほしいと私は思います。家に近い市立中学に進学せず、中学受験までして6年間中高一貫教育校を選んだ子供や保護者の思いを裏切らない学校づくりをしてほしいと思います。
 県立中学校1期生の子供たちが卒業して大学に入学するときに、その評価が下されます。期待外れに終わらないように願い、私も今後の動向をしっかりとチェックしていきたいと思います。
 教育長にお聞きします。
 そこで、県立の中高一貫教育とはどのような教育なのか、どのような学校づくりをしていくのか等、私が疑問に思っていることの幾つかを質問します。
 第1番目は、私学の中高一貫教育と県立の中高一貫教育の違いはどこにあるのか、目指すべきものは何なのか、そしてどのような学校づくりをしていくのか、どのような子供たちを育てていくのか、お聞きします。できるだけ具体的にお願いをします。
 第2番目は、公立中学と県立中学を選択する基準は、地域の学校が荒れているからという理由、高校受験がない、6年間の一貫教育、経済的な問題、県立中学校へ行けば国公立大学や有名私立大学に入れると考えた子供や保護者は多いと思います。中学受験の競争率も大変高く、県立中学校に対する期待がそれだけ大きいということです。
 公立中学と県立中学校の教育カリキュラムの違いはどこにあるのか。高い競争率の中学受験をしてまで県立中学を目指す子供や保護者に訴えるべきメリットは、セールスポイントは何か、お聞きします。
 第3番目は、併設型のため教室が少なく、特別教室も高校との共有となり、十分な環境にないと思われます。また、クラブ活動やその他さまざまな問題があると思いますが、今後の対応はどうしていくのか、お聞きします。
 第4番目は、中学校を併設した県立高等学校の募集定員がどのように変わっていくのか心配をしています。高校に入学する子供の数が減少していきますが、定員がどのように変わっていくのか、最終的に中学校を併設した県立高等学校入学枠がなくなり、中高一貫教育校になってしまうことはないのか、お聞きします。そうなれば高校の再編計画にも影響が出るのではないかと考えます。
 第5番目は、中高一貫教育校において高等学校から入学した生徒にはどのようなメリットがあるのか。高等学校から入学した高校生も中高一貫教育の特色を生かした授業や学校独自の教科を受けることができるのか。他校では経験できない体験や授業を受けさせてやってほしいと考えるが、教育委員会はどのように考えるか。
 第6番目は、現在4校しかありませんので、県立中学校間の情報交換、学校の取り組み、子供の安全対策等を含めた会議を教育委員会、学校長、副校長、教員、PTAが参加して行ってはどうかと思う。不審者対策や子供の安全対策について、地域社会や市教委やPTA連合会との連携ができるように十分な配慮をお願いしたい。
 次に、教育問題について。特に最後に教育問題の学力充実策について質問します。
 今、学力の問題が大きく取り上げられています。文部科学省においても、ゆとり教育、週5日制等の教育問題に対しようやく見直しの議論が始まり、学力調査のための全国一斉の学力テストが行われました。今後、国が議論をする教育改革を見守っていきたいと思います。
 私は、単純明確に、今、子供の教育に何が必要かという、子供や保護者や教師の立場に立った議論をしてほしいと思います。
 私は長年PTA活動に取り組んできましたが、今、学校はなぜこんなに休みが多くなってしまうのかと思います。学校での授業時間も減り、時間割も窮屈になり、授業時間確保のため学校行事を減らしたり2学期制を導入、また、高校では7時間授業し、クラブ活動にも影響を与え、おまけに未履修問題まで発覚しました。今の学校は、勉強やクラブ活動や学校行事を楽しくできる時間が減ってしまいました。
 親と子供が一緒に過ごす時間をつくることが週5日制の主な目的だったと思いますが、しかし、今の社会環境では無理なことです。これだけ休日がふえれば、学習意欲をなくす子供、また経済的要因による経済格差がふえてきたのではないかと。ニート、フリーターがふえた1つの要因ではないかと思います。
 私学は土曜日にも授業を行い、春、夏、冬休みを短縮し、学力向上に取り組んでいます。公立は国の制度としてあるのでできない、これでは私立と公立の学力格差が広がり、大学受験にも不公平感が生まれます。
 できないことを幾ら議論しても時間の無駄なので、私は提案します。教育長にお聞きします。
 学力充実策として、土曜日、早朝等の活用について提案します。特に土曜日を活用したいと考えています。これは、希望する学校、PTAに限りますが、先生の出勤をお願いするということは難しいと思うので、外部講師を招いてPTA主催という形での土曜講座の開設をしたらどうかと思います。強制的ではないので当然受益者負担になりますが、勉強したい子供にそういう機会が与えられることは大切なことだと思います。
 県立古佐田丘中学校において、PTA主催事業として外部講師を招いて、ことし1月から土曜講座をスタートしています。スタディーアップ講座と少し学校の授業におくれている子供のフォローアップ講座と、保護者も受けられる講座も設けて取り組んでいます。PTAが教室の開閉をし、講座にも参加してもらえるようにしています。保護者にも大好評です。教員に一度見てもらえれば刺激を受け、塾が培ってきたノウハウを活用し、子供の学力向上と教員の指導力向上に生かす試みになるのではないかと思います。
 早朝あるいは放課後については、時間外の対応や外部講師の導入を考えていただきたいと思います。希望する子供たちへの対応を図ってほしいと思います。私の提案に対する見解をお聞きします。
 次に、クラブ指導教員の適正配置と支援と外部指導者の確保についてお聞きします。
 県下の広い地域においてスポーツ少年団活動が熱心に行われています。また、県大会、近畿大会、全国大会に出場する選手もたくさんいます。保護者、指導者もボランティアで大変熱心に活動されています。
 しかし、少子化の影響により、生徒の減少により中学校教員の数の減少やクラブの顧問を持たない教員もおり、校長先生みずからクラブの顧問をしていただいている学校もあると聞きます。スポーツ少年団の保護者や指導者からは、一生懸命選手を育てても指導者がいないとおしかりをよく受けます。教育事務所廃止以来、教員の異動に配慮がなくなってきたのではないかと考えてしまいます。
 県では外部指導者派遣制度がありますが、市町村の教育委員会との連携を含めて、きめ細かい対応をしていただけないか。団塊の世代の大量退職もあり、各競技の指導者として優秀な人材がたくさんおられますし、退職教員、スクールボランティアの協力をしてもらう方法があるのではないかと思いますが、どう考えられますか。
 子供たちが教育の一環であるクラブ活動を熱心に取り組める環境をつくってほしいと思います。将来性の高い選手が、中学校、高校に指導者がいないために他のスポーツに転向したり県外の高校に行ってしまうのが残念でなりません。和歌山国体に向けての選手の発掘と競技力向上につながるのではないかと思います。
 最後に、県立医科大学の県内高校生への推薦枠の拡大と和歌山大学の県内高校生への推薦枠の確保について質問をします。
 和歌山県の県外大学進学率は1番です。県内の高校生は、和歌山に残りたくても大学がないため他府県の大学を受験し進学をしていき、和歌山県から転出する要因にもなっています。一度転出してしまえば、なかなか和歌山県には帰ってきません。
 県内高校生が和歌山県のために頑張ってもらうために、人材確保の努力をしていただきたいと思います。当然、受験には厳しい審査が必要です。優秀な人材の流失を防ぐためにも必要だと思います。
 県立医科大学では推薦枠を設けていただいておりますが、さらなる拡大をお願いしたいと思います。
 和歌山大学では、まだ残念ながら設けられていません。観光学科が開設され、さらに観光学部設置に向け取り組んでおられる中、ぜひ推薦枠の確保に取り組んでいただきたいと思います。和歌山県の教育、経済、観光のさらなる発展のため人材確保は必要であり、地元の学生を登用するためにもよろしくお願いをしたいと思います。
 以上で、1回目の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの平木哲朗君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 諸質問の中で、国道371号バイパス建設促進についての県の取り組みについて述べよという御質問についてお答え申し上げます。
 議員御指摘のとおり、国道371号は、近畿圏の中心である大阪府からの放射線道路として京奈和自動車道路と一体的に整備することで、関西都市圏の拡大、あるいは和歌山県の発展に必要不可欠な道路であると認識しております。これまでも、両府県の道路整備など諸課題について協議や確認をする阪和開発連絡協議会というのがありまして、そういうところでこの早期開発について協力をしようではないかというようなお話を続けてまいりました。
 また、私が就任いたしましてから、特に大阪府との間の府県間道路については、幾つか課題がありますので、早期に国としても直轄事業で取り上げてほしいというような話をしてまいりまして、長年の懸念でありました第2阪和道についてはようやく事業化を認めていただいたところであります。
 ただ、まだその東のほうに幾つか残っております。これについて最大の問題は、和歌山県側に比べて大阪府側に若干そのおくれ、あるいは意識の少なさというのがあるというのが国の事業採択の際にも困難な原因となっております。したがいまして、例えば私は関経連で講演の機会を与えられたときなどには、大阪の発展のためにも、あるいは関西の発展のためにも、和歌山の少なくとも一部などはその一体的な地域として利用できるようにならないと大きな東京圏にはとても対抗できない、したがって、大阪府だけで考えるんではなくて、そんなもの県境などないような気持ちで、和歌山との道路、あるいは奈良との道路なども考えていただけないものかというようなことをあちこちで述べているところでございます。
 同じような考え方は太田大阪府知事にも申し上げまして、去る4月23日に大阪府を訪ねました。それでいろいろ議論をいたしました結果、太田知事からは、大阪府自身の財政事情により大阪府南部の開発は凍結をしていた、しかし、これはそういうことではいけないので、20年度からもう一度考え直すから一緒に考えていこうというような御発言をいただいたところであります。
 大阪府と協力して、それぞれの立場で府県間道路の開発も進めながら、国にもお願いをして、最終的にはできるだけ早期に府県間道路の開通を図っていきたいと思っております。
○副議長(新島 雄君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 国道371号バイパス建設促進についてお答えをいたします。
 まず、現在の進捗状況でございますが、和歌山県側につきましては、国道24号交差点から京奈和自動車道橋本IC間1.3キロメーターを平成18年4月に供用したところであります。橋本ICから三石台間3.0キロメーターは用地買収率が74%で、用地買収と工事の促進を図っております。また、慶賀野から柱本間1.2キロメーターは用地買収率が97%となっており、用地買収の早期完了と工事の促進を図っております。
 大阪府側につきましては、河内長野市の石仏から府県界までの6.1キロメーターのうち、石仏から岩瀬間の1.8キロメーターを供用しております。また、続く岩瀬から天見間の1.9キロメーターのうち、トンネル2本を含む約1.2キロメーターが概成しており、この間の早期供用を図るべく工事が進められております。さらに、天見から府県界の約2.4キロメーター区間は用地買収を99%完了していると聞いております。
 次に、平成19年度の予算と工事概要についてでございますが、和歌山県の今年度の予算は10億100万円でございます。橋本ICから三石台間につきましては、用地買収及び南海電車車庫西側の改良工事及び菖蒲谷川にかかる橋梁工事を推進してまいります。慶賀野から柱本間につきましては、残る1名の地権者に対する用地買収と工事促進を図ってまいります。
 大阪府側の今年度の予算は6億円で、岩瀬から天見間のバイパス部ののり面工事、擁壁工事、橋台工事を促進しております。また、天見駅付近から現国道への取りつけ道路の用地買収や工事を実施すると聞いております。
 今後の取り組みについてでございますが、和歌山県側については、府県間トンネルを除く残工事費は約63億円であり、用地の取得が工事期間のかぎとなるため、土地収用法も活用するなどして事業の進捗を図ってまいります。
 大阪府側については、岩瀬から府県間トンネルまでの残工事費が約73億円、このうち岩瀬から天見間で残工事費は約20億円であり、現在、この間の工事を促進しております。この工区の完了後、天見から和歌山県側への工事に着手すると聞いております。
 また、府県間トンネルにつきましては、大阪府側の進捗が不可欠であり、今後とも岩瀬から天見間の早期完成と天見から和歌山県側への工事着手を大阪府側に働きかけ、全線の早期供用に努めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 併設型中高一貫校の運営と課題についてお答えいたします。
 まず、私立及び市町村立中学校との違いにつきましては、併設型中高一貫教育校では、教育課程の基準の特例を活用することで6年間を見通した特色ある系統的、継続的な教育を行います。例えば、70分授業の実施、学校独自の教科の設置、中学校・高校の枠を超えた弾力的な学習内容の構成などにより、確かな学力の向上を目指してまいります。また、バランスのとれた教科学習に留意するとともに、さまざまな体験活動等による全人教育を展開し、新しい時代を切り開く人材を育成してまいります。
 施設面、設備等につきましては、併設型中高一貫教育校の授業展開におきまして一部の共用に係る制約があることは承知してございますが、中高の連携を図りながら、今後もより一層連携及び工夫をして現有施設を有効に利用していきたいと考えております。
 中学校を併設した県立高等学校の募集定員につきましては、今後とも、公立中学校の卒業者や地域の状況、ニーズ等を考慮しながら策定をしてまいります。高等学校から入学した生徒については、県立中学校からの内部進学生と切磋琢磨し、ともに高め合いながら学習活動や部活動を展開できると考えております。
 また、高等学校からの入学生の教育課程についても、中高一貫教育におけるよさを生かし、指導方法や内容の改善、充実を図っているところでございます。
 県立学校間及び地域社会、市町村教育委員会、PTAとの連携につきましては、現在設置している4校で副校長会を設け、学校運営等について情報交換を行っております。
 今後、さらに市町村教育委員会や保護者、地域との連携を深め、地域に開かれ、信頼される学校づくりを進めるよう指導してまいります。
 次に、教育における学力充実策についてお答えいたします。
 議員御指摘の土曜日、早朝等における外部講師の活用につきましては、学校週5日制の趣旨を踏まえ、学校教育との関連を十分考慮し、国の動向を見守りながら対応してまいりたいと考えます。
 次に、クラブ指導員の確保等については、現在、県立学校の運動部活動の底辺拡大並びに活性化を図るため、指導者を派遣する事業を展開してございまして、平成19年度は25校の31運動部に対して派遣を行っております。また、市町村が行う地域の人材を生かした運動部活動外部指導者派遣事業に対して補助金を交付しているところであります。
 今後とも、市町村教育委員会と連携しながら、退職教員等を含めた外部指導者のより一層の確保と活用に向けて鋭意努力してまいります。
 大学の推薦枠につきましては、地域の人材確保といった点からも意義があると考えてございます。そのため、県教育委員会と高等学校長会が県立医科大学、和歌山大学それぞれにつきまして関係者と協議の場を設け、情報の交換を行っているところでございます。
 今後も、推薦枠の拡大、確保について、両大学に働きかけてまいりたいと考えます。
 答弁、以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
 10番平木哲朗君。
○平木哲朗君 再質問ということではありません。要望ですが、やはりまず中高一貫校ということで、先ほども申しましたように、1つの学校をつくったという責任をしっかり持っていただきたいという中で、教育委員会の中で、その中高一貫校が今後どの部署がしっかりとした責任を持った活動をしていくのかということを明確化してほしいということと、そして、やはりこの中高一貫教育校の6年後に評価が下されるということになろうかと思いますけども、その外部評価がしっかりできるような形をやっぱり考えていただきたい。
 これから、小中一貫教育との中で、市町村立の中学校と県立中学のどっちを選んだらいいかというような話が保護者の中に必ず出てきます。そのときに十分な情報を与えないと、後で子供たちが悲しむような結果になろうかと思いますんで、私はより充実した中高一貫校をつくってほしいと思いますんで、ぜひお願いをしたいと思います。
 もう1点、外部講師なんですけども、今の答弁ではなかなか難しいという話だったんですけども、現に東京都のある小学校へ行きましたら、塾との連携ということをやっております。学校の授業の中に塾の講師に入ってもらって授業をしているというところもあります。大体1校当たり40時間、1時間2500円ぐらいの謝礼を払ってやってるようでありますが、これ、平成16年からスタートしたところが、現在では小学校で10校やったり、本年度は小学校13校、中学校2校ということで、私は、行政に民間の活力をということも今大きな問題になってますけども、教育の中でもそろそろ民間のノウハウを生かした教育ということも取り入れていく時代が来てるんではないかと思います。
 そういうことも、決してやれと言ってるわけではありませんので、ぜひ教育委員会あるいは市町村の教育委員会とこのことについても十分な協議をしていただきたいと思います。
 以上で、一般質問を終わります。
○副議長(新島 雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で平木哲朗君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時20分散会

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