平成19年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(玉置公良議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番玉置公良君。
  〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 おはようございます。
 きょうは、西牟婁の方々や、また日置川の川添地区の公民館の皆さん方がこの議場に見えておられます。
 まず、この間の選挙を戦わせていただきまして、私も4期目を当選させていただきました。特に、選挙期間中も聞かしていただいたんですけども、きょうもお見えの方から聞かしていただきましたけども、仁坂知事が1人で語り部さんと一緒になって中辺路の熊野古道を歩いておられると、こういうことを聞きました。私はそのことを聞いて、県内を隅々やっぱり歩いて自分の目で確かめてやられておると、そのことに対しまして本当に大変うれしく思いました。きょうも大辺路の語り部さんも見えておりますから、できたら大辺路も歩いてほしいなと思っております。
 それと、もう1つだけ報告をしておきます。
 欧州の、いわゆるヨーロッパの県人会でございます中口和己さんという方が、ずっといろいろ世界遺産の関係で取り組んでおられますけども、このたび県の御協力も得て、この7月の9日から、デンマークのコペンハーゲン、ここで高野・熊野の我々ふるさとの世界遺産展をやってくれると、こういうことを聞いておりますので、重ねて報告をしておきたいと思います。
 それでは、早速通告に従って質問をしてまいりたいと思います。
 きょうは、2つに絞って──大きく言えば3つですけども、質問をしたいと思ってます。
 1つは、この選挙期間中、地元西牟婁郡のいろんな課題を聞いてまいりました。その中で、とりわけやっぱり重要やなと思っておるのが医療問題でございます。これともう1つは、さきのドイツのサミットで、経済問題よりも環境問題が最優先をしていくと、こういった1つの取り組みがされてきましたけども、その中で、まだ議論はされておりませんけども、実は土でありますけれども、土が地球環境を救うんだと。このことについて、ぜひとも県当局にも理解をしてほしいと思いますし、和歌山県発としてやってほしいと。このことをこれから申し上げていきたいと思っております。
 ちょっと風邪を引きましたんで、声が汚いんですけども、お許しをいただきたいと思います。
 まず最初に、医療の格差をなくし、安心できる地域医療の確立について質問をしてまいります。
 身近なところに安心できる病院や診療所が欲しい──どんな地域でも住民の願いは同じであります。きょうもお見えの日置川川添診療所については、この1年間、医師の確保について地元の皆さんは大変心配をし、御苦労をされてきました。このたび、県の支援をいただき、地元白浜はまゆう病院の御尽力もあり、医師の確保ができることになりましたことを、この場をかりてお礼をまず申し上げたいと思います。
 今、よく「格差社会」という言葉を聞きますが、医療の現場では、都市と地方、大きな病院と中小の病院との医師や看護師の確保で格差が大きく広がっています。こうした医療格差を解決し、安心できる医療をつくるために現場の声を反映した提言をこれから申し上げてまいりますので、当局の御見解をお願いしたいと思います。
 それでは、まず1つ目ですが、医師の格差とその確保についてであります。
 全国的には、3年前からスタートしました国の新研修医制度の影響によって、大きな病院に医師が流れ、田舎や地方の病院には医師が来なくなるという、都市と地方の医師格差が問題となっています。
 実は、私ども紀南においてもそのあおりを受けて、自治体の病院や診療所の医師不足が深刻な状態になっています。例えば田辺市にある紀南病院では、血液内科の医師がこの4月からゼロになりました。昨年の実績を聞いてみると、1年間で入院患者が延べ333名、外来が延べ1762人もかかっていましたが、それができなくなったのであります。脳外科の医師も、この6月からゼロとなりました。
 県においては、従来の県立医大や自治医大の派遣を初め、新たに県立医大の定員増を国に働きかけ、医師確保を進める取り組みも進めていただいています。また、さらに一昨年からは県のドクターバンク制度を立ち上げて取り組んでいただいていますが、残念ながら10名の目標が、ようやくことしの4月に1名だけが応募され、登録されたところであります。地元の自治体関連の病院も独自で動いているようですが、なかなか進んでいないのが実情であります。
 そこで、私の提案を申し上げたいと思います。
 私の地元に第三セクターの白浜はまゆう病院という地域医療を担う病院があります。13年前のスタート時は47床でしたが、今では300床と大きな病院になり、財政運営も単年度黒字です。
 私自身も立ち上げ時からかかわらせていただきましたが、この病院は自治体病院のように系列の大学病院を持っていませんから、医師の確保は全くゼロからのスタートでした。そのため、人脈だけを頼りに、地域医療日本一の長野県の諏訪中央病院の医師を含め、3人の若い医師に強くお願いをし、来ていただくことになりました。そして、その医師の方々の人脈で新しい医師確保をお願いし、また地元の方々の人脈をおかりして医師を確保してきました。
 今は、県立医大や県の御支援もいただき、現在では22名の医師を確保しています。最近の医師確保の特徴は、ホームページを立ち上げ、団塊の世代の医師を募集しています。この4月から、山形県からと東京からの2名の医師が赴任をしてくれました。
 これは一例ですが、このような取り組みを、医師不足に陥っている自治体病院、診療所みずからが特色あるセールスポイントを打ち出し、ホームページなどを利用し全国募集をしたり、また地域に住んでいる住民の方々のそれぞれの人脈やつながりを見つけ、スカウトしていく取り組みを促していただく。県はこれらを総合的に取りまとめ、県立医大卒業生や全国の団塊の世代の医師に対しての募集、アプローチや体験研修の受け入れなど、知恵を出し工夫をしてインターネットや広報啓発を積極的に進める支援体制をつくることを提案しますが、いかがでしょうか。また、医師確保に対する知事の考え方をお伺いしたいと思います。
 それと、もう1つでありますけども、診療所へ自治医大の医師が派遣をされていますが、地域医療に頑張られる医師への支援体制が私は必要だと思います。
 診療所に勤務されています医師との取材もさせていただきましたが、1人ですべてを任されることは、地域医療を担う使命感があっても、なかなかそれは長く続きません。結局、燃え尽き症候群ではありませんが、そのようになるのです。そこに週のうち1日でも地元の連携できる病院があれば、ほかの医師が応援に来ていただけることになり、精神的にも大きく違うと思います。
 派遣する県の当局は、そうした医師の支援体制や意見を聞く場を定期的につくり、現場をチェックし、受け入れの自治体をきちんと指導できる、そうした体制をつくることを提言いたしますが、これは福祉保健部長にお伺いをしたいと思います。
 続いて第3点目は、看護師の格差とその確保についてであります。
 和歌山県全体の看護職員の需給計画を見てみますと、昨年度だけでも1303名の不足となっている、そういう数字が出ています。昨年から紀南の看護学校の卒業生が和歌山や大手の病院に流れ、紀南地域の就職が極端に少なくなって、地元の病院は危機意識を持っています。これは、入院時に1人の看護師が7人の患者を見るという新しい看護基準が昨年の4月から導入されたのがきっかけだと言われています。
 保険で賄う看護の費用は、1人の看護師が見る患者の数で決まるのです。看護が手厚いほど病院の報酬は高くなる。このため、全国で看護師の争奪戦が繰り広げられていると言われています。都市の大病院が看護師の確保に走り、地方の中小病院は防戦に追われ、このままでは地域医療が崩壊しかねないという声も出るほどであります。
 手厚い看護は必要ですが、新基準さえ満たせば診療報酬を引き上げるという今回の国のやり方が拙速で荒っぽかったためか、看護師確保の格差が出てきているのであります。こうしたことに対して知事の考え方をお伺いしたいと思います。
 話は地元に戻しましょう。具体的な事例を申し上げます。南紀高校看護科の──これは今、田辺にありますが、卒業生で言えば平成18年度の卒業生の就業先を調べたところ、30名、実は卒業いたしました。ところが、地元田辺に10名しか残らず、県外の一番多い大阪の11名を初め、半数以上が県外に行っている状況であります。地元の病院などは、学校に対して研修生の受け入れや講師の協力など尽力をしてきていますが、先ほど申し上げました国の政策等の問題もありますが、まず解決できるのは、地元の学校で卒業する者については地元に優先して就職するよう進路指導を積極的にするべきだと考えますが、教育長にお伺いしたいと思います。
 もう1つ提案をしたいと思います。
 看護師の養成カリキュラムの考え方を変えて、国家資格を取得した後、平成16年度から始まった医師の新医師臨床研修制度と同様に、1年程度の期間でいいから、看護不足で困っている県内の、特に紀南の病院に派遣研修をするという、こうした方法はどうでしょうか。これは国が検討すべき事項でありますが、知事の裁量で派遣先を決定し、1年間その病院で看護のイロハを学ぶ。場合によっては定着することにもつながります。資格取得後の1年ということで即戦力とはならないかもしれませんが、検討する価値は十分にあると私は思います。これらのことを国に提言してみてはいかがでしょうか。あわせて知事にお伺いいたします。
 最後の4点目については、僻地への救急対策についてであります。
 今回見えています川添地区の急病人に来る救急車は、約27キロ離れています日置川消防署から来るため、時間で言えば約40分ぐらいかかります。平成17年では年に42件ございました。例えば、重い心筋梗塞等であれば間に合いません。ところが、隣の上富田町にある田辺市消防本部の上富田消防署からであれば、約20分ぐらいで到着します。命にかかわることであり、こうした自治体の枠を超えた広域での救急体制を早急につくるべきだと私は考えます。
 課題は、救急車両と人員体制の問題や財政負担の問題等がありますが、県としてその実現を図るような支援をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。さらに、県下全域でもこのような同じようなことがあると思いますが、あわせて危機管理監にお伺いをしたいと思います。
 2つ目の質問に移ります。本日も議会傍聴にお見えですが、私ども白浜町椿に設置をされています県立の軽費老人ホーム無憂園について質問をしてまいります。
 昭和39年に開設をされ、平成14年11月、老人休養ホーム真静荘を改修して全面移転され、ことしの4月現在、20人の方々が入所中であります。昨年の4月から指定管理者和歌山県福祉事業団に運営管理を委託して、14人の職員の方々が働かれています。
 ところが、昨年であります、県の耐震診断結果で本館が震度6強で倒壊または崩壊の危険が高いと発表されて以来、入所者の方々を安全な場所への確保など話し合いを進めてこられたのですが、また、私自身も昨年から委員会でも取り上げ、先月は入所者の方々との話し合いもさせていただきましたが、長く住みなれた入所者の方々にとっては突然のことであり、大きな不安と混乱をしているのが実情であります。また、地元住民としても心配をしています。
 県当局もそうしたことを配慮していただいて取り組みを進められていますが、先般、入所者のアンケートで、18名の方が、今の場所に残りたい、そういった結果が出たと聞いています。こうした事情をかんがみて、今後2年間をめどとして転居を進める方向だと聞いていますが、この議会の中でまずそのことを確認しておきたいと思います。
 それからもう1つ、今後のことについてですが、椿地区の将来の活性化につながる対策について、地元住民を初め関係者と十分協議を図り、新しい方向を打ち出していただくことを強くお願いするものですが、福祉保健部長の御見解をお伺いしたいと思います。
 今までは地域問題について質問してまいりました。これから地球を救う土壌保全の発信について質問をしてまいりたいと思います。(発言する者あり)まあ一遍聞いていただきたいと思います。
 今までサミットと言えば経済問題でありましたが、今回ドイツで行われましたサミットは全くさま変わりをして、地球環境問題に変わりました。この間、ようやくアメリカが重い腰を上げ出しました。それほど地球の崩壊は許されないと、地球温暖化防止は全世界の共通の緊急的課題として進み出しました。
 私は、これまで地球温暖化防止の観点から、空気、森林、水、海、世界遺産などを取り上げてきました。しかし、一番の究極のテーマが残っていました。それは土、つまり土壌であります。
 我々の食べ物を栽培してくれるのも土。我々が植林をしたり、また自然が森林をつくり上げる土台となるのが土。我々の生存に不可欠な澄んだ水をつくるのも土。つまり、自然環境のメカニズムを生かし、地球温暖化防止の究極のかぎとなるのは土であることが実はわかってきました。
 土壌学の権威者であり、日本のノーベル賞と言われる日本国際賞の審査員も務められる京都大学の久馬一剛名誉教授は、「土とは何だろうか?」という、こういった本でありますけども、(本を示す)この著書の中で、実は地球上で土壌は悪玉の二酸化炭素の最大の隠れ家となっておる、そして、世界の土壌の含有するCO2の総量は表層1メーターだけでも1兆5000億トンもある、これは陸上のあらゆる植物の中に存在するCO2のざっと3倍、大気中のCO2のほぼ2倍に相当する、そう言っています。ですから、大気中に放出される二酸化炭素をまず植物に吸収させた上で、土壌にも炭素有機物としてうまくためることができれば、温暖化防止に大きな役割を果たすことになるのです。逆に、もし土壌の中に眠っている炭素有機物が分解をし、CO2となって大気中に放出されたら、これは大変なことになります。そういう意味で、土壌は地球温暖化問題の帰趨を決する重要な役者であると言ってもいいのですと、このようにこの本の中では述べています。
 私は、この本を読んでから、昨年から土について、県の農業試験場や日本で一番進んでいますつくばの独立行政法人農業環境技術研究所の取材をさせていただいたり、オランダの土事情など、現場に行き、調査をしてきました。
 土が私たちの生活にとってどんなにありがたいものであるかは、自然豊かな和歌山に暮らす私たちでもつい見過ごしがちであります。しかし、その大切な土が今大変な危機的状況にあるのです。
 表土といって、これは一度だめになったら取り返しのつかない繊細な物質ですから、壊れる前に予防することが何より大切であります。私が昨年調査に行きましたオランダでは、表土をわざわざほかの国から買っているぐらい、そういったことをしています。1センチメートルの表土がつくられるのに何と100年から500年の歳月がかかると推定をされています。
 そして、黒々とした滋養分たっぷりの表土は世界にも少ないのであります。フィリピンやタイなどの熱帯途上国の多くは赤土で覆われています。ですから、日本の黒土は世界的に見ても本当に貴重かつ希少な天然資源であります。
 私も、調べれば調べるほど、そうした土の重要さがわかってきました。大気や水と違い、すぐには変化しませんが、確かに土は地球の肝臓であります。
 全地球的に見れば、人口の急増とそれに伴う農業生産拡大の中で土壌の劣化が進みつつあり、土壌の保全が極めて重要になっていることを世界じゅうは認識をし始めました。従来の化学製剤、薬とか肥料ばかりに頼る農業でいいのか。さらに、土は地球温暖化問題のキャスチングボートを握ることになってきました。
 ただ、土壌保全、活性化には膨大な費用がかかることも事実であります。しかし、土を21世紀の人類生存のための基礎的な社会資本、公共財と考えれば、こうしたコスト負担は、お金がかかろうと社会的に必須なものとして考えるべきだと私は思いますし、それを担保とする立法措置がぜひとも必要であると思います。
 こうした背景のもとで、これまで農家の方が守ってこられました梅やミカンなど多くの優良農地、さらには世界遺産を抱える我が和歌山県こそが率先をして先駆的な条例への取り組みをやってみようというのが私の提案であります。和歌山から全国初の土壌保全の発信をしようということであります。
 具体的にこれから申し上げます。
 第1点目は、土壌保全に対する基本認識と地球を救う土壌保全調査事業の継続実施と研究体制の充実や専門家の養成であります。
 私は、今回の調査を通じて勇気がわいてきました。実は日本は、土壌保全については先進的な国であります。日本は紛れもない農業国でしたから、土の大切さは古くから認知されており、既に明治時代から農の基本である土壌の調査が行われていました。
 ところが、そのやさき、国の財政改革によって、昨年でありますが、2006年からこの土壌調査を国が行うことをやめて、その費用を交付税として地方に回し、調査を続けるか否かは地方の裁量にゆだねるということになったのであります。財源不足にあえいでいる地方自治体としては、その費用を待ってましたとばかりにほかの使い道に回すところも出てくると思います。現に、聞くところによると、近畿の某県では土壌調査はやめる方向だそうです。これは大変なことです。長年日本が積み上げてきた土壌のデータベースの宝庫が用をなさなくなるおそれがあります。
 国の根幹的な政策を地方に丸投げをするのは、地方分権に名をかりた政策放棄と言われても仕方がないでしょう。私は、このやり方には賛成ができません。事の重要性から見て、土壌調査は国が全責任を持って遂行すべきものだと考えておりますが、まず和歌山県は、農業県としても率先してこの事業の継続を図り、土壌研究体制の充実や専門家の養成を行うことが私は大事だと思います。
 そこでまず、知事に土壌保全に対する基本認識をお伺いするとともに、土壌保全調査事業については農林水産部長にお伺いをしたいと思います。
 第2点目は、土壌を地球温暖化防止対策の新しい戦略にすることについてであります。
 もう1つ、大きな発見が生まれました。それは、土壌保全の重要性が地球環境の視点からもますます高まっていることです。地球温暖化防止対策の新しい戦略によって土が浮上してきたのです。というのは、2013年以降のポスト京都議定書の国際交渉の中に、土のCO2吸収能力がカウントされることが濃厚となってきたからであります。
 農業環境技術研究所、これは独立行政法人でありますが、つくばにございます。ここの大倉主任研究官に聞いてみますと、つまり「温暖化対策の重要なファクターとして土のCO2吸収力が認められたのです。そのときこそ日本が積み上げてきた土壌のデータベースが威力を発揮するのです。CO2をどこにどれだけ効率よくためられるか、そうした点も、他国よりもすぐれた土壌改良技術、例えば森林管理の技術などの実績を持っているのです。これこそ日本の強みであります」、そう語ってくれました。
 温室効果ガスの中で最も影響の多いこのCO2については、その発生にも吸収にも土壌は大きい役割を担っております。こうしたことが実は発見されました。
 そこで、やはりさすがだと思ったのは、一方、アメリカです。京都議定書に批准しないことで世界じゅうから非難をされていますけども、この土に目をつけて、今に見ていろよと言わんばかりに土壌保全調査に巨額の連邦予算をつけ、温暖化対策のかなめにしようとしています。あの広大なアメリカの土地がCO2をどれだけ吸収しているかデータをとり、それを武器に反撃をしようとしているのであります。
 今、EU、ヨーロッパやアメリカは、日本の土壌調査の実績を参考にしてこうした動きに出てきているのに、肝心の日本が土壌保全政策を後退させようとしている。これではポスト京都議定書やWTOの国際交渉における我が国の優位性が揺らぎかねません。それがとても心配ですが、知事の考え方をお伺いしたいと思います。
 第3点目は、県民啓発やPRについてであります。具体的には土壌博物館の新設などであります。
 今、世界的に各種の博物館がブームとなっています。であれば、土も水や空気と同じように博物館で展示されるべきだと思います。
 例えばアメリカのスミソニアン自然史博物館では、来年2008年から全米各州の代表土壌の標本を展示して、国土の成り立ちと多様性を啓発しようとしています。何をどのように展示すればいいのか、いろいろあるでしょうが、欠かせないのは土壌の断面標本であります土壌モノリスです。
 ちょっとつくばのほうから本物を借りてきましたんで、見ていただきます。(現物を示す)こちらが典型的な水田土壌の一例です。これ、土壌のモノリス、断面です。これは、河川いわゆる川から砂や粘土、こういうものが運ばれて堆積をした、それが学者の言葉で言うたら無機質材料になってできた土壌がこういうことになるらしいんですけども、分類名は「灰色低地土」と言います。これは日本の全体の農耕地で21%を占めるらしいです。これにも、もちろんCO2の先ほどの吸収能力があるわけです。
 こちらは、典型的な畑の土壌、主に富士山からの火山灰、これが無機質材料としてできた土壌、こういうことを言われています。「黒ボク土」と別名言われています。それで、これは、ニュージーランド、フィリピン、さらにはインドネシア、こういった火山活動の活発な地域にあると。ちょっとここ、黒くなってますね。この辺がCO2の吸収量が多いんですよ。それで、ここはなかなか栄養もあってあれですけども。こういった中で、大体これ約25%を占めるということです。──まあ、知事にもね。これ、本物です。これは和歌山県で実はできてないんですよ。ぜひともやっぱりこれをつくっていただいて、お願いをしたいと思います。
 土壌博物館を別名「土壌モノリス館」と言うぐらい、土壌を知る最も有力な手がかりであります。ですから、土壌の大切さを訴えるには、こうした土壌モノリスをつくり、博物館に展示することが最も手っ取り早い方策です。
 私は、つくばにある土壌博物館を昨年見たとき、ぜひ和歌山県にもつくりたいという思いを強くしました。我が和歌山県には、粘菌学者として世界的に有名な南方熊楠の研究功績を展示している南方熊楠記念館があり、また、自然博物館や農業試験場など、土壌博物館をつくる下地と受け入れ態勢が他県と比べてより整っていると私は思います。和歌山県にぜひ土壌モノリス館をつくってもらいたいと思いますが、農林水産部長の考えをお伺いしたいと思います。
 第4点目は、戦略的環境影響評価条例の制定についてであります。
 これまでも、何か事業を起こしたり建物を建てたりする際には、その事業の実施を前提として環境への影響を評価する法律、環境アセスメント法がありました。しかし、この法律は、あくまで事業実施が前提であるため、周辺への影響や事業の実施そのものの是非を問うことはできにくかったのであります。そこで、そうした事業のよしあしそのものを評価するべく新たに制定をされたのが戦略的環境影響評価条例であります。平成18年度現在で、この制度を導入している自治体は4、検討中が25、関連する取り組みを実施しているのが10都道府県と聞いています。しかし、残念ながら我が和歌山県では検討がされておりません。
 世界を見ると、OECD加盟国の先進国では、戦略的環境影響評価、これを上位に位置づけて土地利用計画のマスタープランの作成などに活用する動きがございます。我が日本ではまだ法制化はされていませんけども、環境省がガイドラインを決めたところであります。
 緊急の課題である土壌保全を考えると、また世界遺産地を持つ環境先進県として土壌に対する大きなビジョンを持ち、環境財を守る発信をしていくためにも、条例の制定を進めることが私は必要だと考えますが、環境生活部長にお伺いをしたいと思います。
 最後の第5点目であります。表土を守り活用することや、災害予防や防災対策への活用についてであります。
 アメリカなどは、天然資源保全局が土壌保全の事業の成果を各州で災害防止に活用されています。日本は、地形、地質が複雑であることを考慮すると、災害防止のためには、より精密な土壌図が必要であります。そのことに国も気づきまして、農林一体となった総合的な土壌調査に取り組むことになったと聞いています。今までのばらばらの地図では、特に自然災害や山火事などの非常時に有効な対策が立てようがなかったのですが、一本化によって、例えば山火事の起こりやすいところ、起こりにくいところなども具体的にわかると言われています。
 表土を守り活用することや、災害防止や防災対策の活用について、農林水産部長の見解を求めたいと思います。
 以上、申し上げてきましたが、私が強く申し上げたいのは、土を大切にしなければ大変なことになるということであります。
 国連環境計画のまとめによると、現在、世界の砂漠は毎年6万平方キロメートル、恐るべきスピードで広がっており、九州と四国を合わせたそういった面積とほぼ同じ、そういった土地が毎年砂漠化をしていると言われています。言いかえれば、悪玉のCO2をどんどん放出しています。
 とうとう、私も選挙期間中もあったんですけども、日本や韓国にも中国からの黄砂が飛んでくるようになりました。中国で進む砂漠化がとても心配になってきました。
 私は、和歌山県議会議員に初当選をした12年前から、このままではやっぱり和歌山県がだめになる、日本もだめになると訴えてきました。すべては地球環境破壊にその原因があります。どんな経済浮揚策や地方振興策や経済のグローバル化を推し進めても、結局地球環境破壊の問題を後回しにしている現状では、そんな小手先の改革は何の意味も持たなくなる、そのことを訴え、警鐘を鳴らしてきました。
 ようやく、さきのドイツで開かれたサミットでは、地球環境の問題が最優先される時代に入りました。地球の肝臓と言われるこの土壌保全を先取りし、全国、世界に発信をしていくことが世界遺産を持った環境先進県の役割であるとともに、和歌山県民に、森林同様、大きな宝を残すことになるのだと私は思います。
 以上申し上げ、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、議員の御質問のうちの、特に地域における医者の問題でございます。都市とそれから地方の医師格差と、その対策についてお答えを申し上げたいと思います。
 議員御指摘のとおり、平成16年度からの医師臨床研修の必修化を契機にいたしまして、全国的に医師の偏在という現象が起こっております。医師不足が本県のような地域においては一層顕著となります。
 実は、単に例にお挙げになったような、例えば人口が少ない地域の診療所の問題とかそういうことだけではなくて、和歌山県としては人口がたくさんある地域の拠点病院でも医師不足が大変深刻な状況となっていて、拠点病院における機能が停止すると、その近隣の人口の少ないところの機能もまた同時に停止するということになりますので、これはゆゆしき事態だというふうに考えております。
 県といたしましては、地域医療体制の維持、充実を図るために医師確保が喫緊の課題であると考えておりまして、さまざまな対策にこれまでも取り組んでいるところであります。
 議員御提案のインターネットとか広報啓発を積極的に進める支援体制をつくるということについても、これまでも県としては随分やってまいりました。
 昨年度、医師求人情報を初め、県内の医師募集に関する情報を集約発信する専用のホームページ、すなわち華岡青洲さんにちなみまして青洲医師ネットを立ち上げまして、県内の医療機関に対し積極的に活用を呼びかけるとともに、登録された医師へは県内の就業につながる情報を提供してまいってきたところでございます。
 実は、それに加えまして、今度はコンピューターを使って、プッシュアウトといいますか、ホームページで見てくださいだけではなくて、和歌山県ゆかりの、すなわち出身とかそういう方の医学生、研修医の方向けの情報マガジン、青洲医師ネット通信をスタートするところでございます。これについて、そういう方々がお望みならば、パソコン通信を通じて和歌山県としての情報をどんどん提供をしていこうということでございます。
 この問題につきましては、若干個人情報保護法との問題がありまして、必ずそのEメールアドレスを全部我々が知り得て、それで無理やり送りつけるというのはなかなか難しいんですけれども、工夫をいたしまして、それを送ってもいいよという方についてはそういう青洲医師ネット通信というのをやるということで、実は先週でございますが、記者発表をさしていただいたところでございます。その辺は議員の御指摘にこたえているところだと思っております。
 それから、御指摘の団塊世代の医師への対応につきましては、わかやまドクターバンク制度を見直して、団塊世代の医師や定年退職された医師にも応募していただけるように年齢制限を緩和したというところでございます。
 議員御指摘のように、さまざまな人脈を活用しながら幅広く情報を収集しながら説得をしたりしていくということが大事でございますので、例えば、先ほど言いました和歌山県出身の医学生になっておられる人の情報とか、あるいは県立医大のOB会の情報とか、そういうことも、先ほどの個人情報保護の制約がありながらも、許される範囲において頑張っております。
 これについては、私は個人的な述懐をいたしますと、知事になる前は、多分、今話題の日置川のあたりのああいうところの先生方はそれは大変だろうと、だけど、田辺とかそういう大きな都市ではまずまず大丈夫なのではないかと、こういうふうに思っておりました。そしたら、先ほども申し上げましたように拠点病院がその制度の変更に伴ってなかなか大変になっている。そうすると、これを崩壊させると和歌山県の医療が全体として、和歌山市を除いてみんな苦しくなってしまう。もう既に、これは市町村長の方々だけだと手に負えなくなりつつありまして、病院長でももちろんですね。したがって、私も就任以来、県庁の部局、和医大等々と相談をしながら、自分自身で出向いていって、それで何人かのお医者さんを確保して、どこかに派遣して応急措置をやってきたというのが結構ございます。
 ただ、これも少し抜本的な対策を講じなきゃいけない。議員御指摘のような情報提供というのもそうですが、和歌山県立医大は、実は定員が一番少ない大学であります。60人しかありません。60人しかないところを研修医に残ってもらって、それで少ない人数の人を、県下のいろんな拠点病院に行っていただくということをやってくれているわけです。そうすると、この体制を少し直さないと和歌山県としてはなかなか将来つらいものになるということでございますので、これについても抜本的な対策を考えて実行していきたいと思っております。
 それから、看護師の問題でございます。
 都市と地方の看護師格差については、やっぱり本県では看護職員の不足が続いているということをよく認識しております。
 議員御指摘のようないろんな制度の導入によって、その影響を受けたかというところもあろうかと思います。我々としては、その看護職員の確保のために必要なことをいろいろやっていかないといけないというふうに考えているところでございます。
 県内定着を図るためということでございますが、就職説明会の機会の増加とか看護学生の進路指導の強化を図って、あるいは修学資金貸与促進などの施策を講じているところでございますが、今後とも関係機関と協働して若者が定着できるような環境づくりを構築してまいりたいと考えております。
 また、新人看護職員の派遣でございますけれども、これについては、現在、国においていろいろ考えているところだと考えております。私もアイデアの1つだろうとは思いますけれども、一方、看護師の方もそれぞれの人生、それぞれの職業選択ということもございます。したがって、この辺を調整しながら今後必要なことを考えていくということではないかと思います。
 県としては、就業促進を初め、養成力確保、離職防止、資質向上を4本柱として、質・量の両面にわたって看護職員の確保に努めてまいりたいと思っております。
 それから、土壌の問題でございます。
 土壌の問題に対する議員の知識には、大変敬服いたします。仕事を離れて、県政を離れて考えても、このぐらいの知識を持っておられるのは、まあ私に例えると、私のチョウに対する知識を凌駕しているなというふうに考えるところであります。(「そんなことないでしょう」と呼ぶ者あり)いえいえ。
 砂漠化の進行とか温暖化とか地球環境を取り巻く情勢が変化する中で、本県では、古来より恵まれた気象条件あるいは自然条件、文化条件の中で先人が営々として築いてきた肥沃な土壌というのがございます。それでもって、ミカンとか梅などの果樹を中心とするいい果物をつくっていく、こういう産地の発展が図られてきたものと承知しております。77%は森林でございまして、これの二酸化炭素吸収能力も、地球温暖化防止の観点から大変有用だと考えております。
 森林を育てるのも土壌でございますから、おっしゃるように土壌の問題は大事だと思っております。むしろ、議員御指摘のように、環境問題に直接効くかどうかというところもこれからの課題としてあると思いますが、少なくとも言えることは、林業あるいは森林、あるいは農業、あるいは農作物の生育というところを通じて、これは必ず地球環境問題にも、少なくとも間接的には役に立つという問題だろうと思います。
 私もボルネオにおりました。皆伐をした後は赤土どころか白土になります。それで全く栄養分がなくなります。ただし、例えば土壌が保全されている森林の中を見ましても、有機物がたまっています。たまっていると土壌が豊かであると、こういうことになりますが、たまにはCO2のかわりにメタンも発生します。メタンが発生すると、CO2の数十倍の環境破壊効果がまた出てくるわけでございます。この辺をよく考えて、今後とも土壌の問題について取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、今の点で大体申し上げることは尽きているかと思いますけれども、二酸化炭素の吸収源として、地球環境問題、森林保全を土壌対策でということであります。
 森林保全が重要でありますので、地球温暖化対策として土壌の保全に注目すべきであるということは大変重要な視点であると思っております。
 ポスト京都議定書の地球温暖化対策につきましては、京都議定書で削減を求められていない中国、インド、あるいは最大排出国でまだその議定書に署名をしていないアメリカなど、全世界が一丸となって温室効果ガスの排出削減に取り組むことが不可欠であるということは論をまたないところであります。
 さきのサミットで安倍総理が提唱いたしました、世界全体の温室効果ガスの排出量を現状から2050年までに半減するということを真剣に検討することが合意されました。このようなことから、我が国が主張した森林吸収が京都議定書で認められたように、今後すべての国々を取り込むためには、それぞれの国の事情や特性を認め合う新たな仕組みの構築を検討することが大事だと思います。土壌の問題もそういう問題かもしれません。そういうことを視野に置いて、地球環境問題に県としてもそれぞれの我々の持ち場を踏まえて取り組んでいきたいと思っております。
○議長(中村裕一君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 地域医療に貢献する自治医大の医師派遣についてお答え申し上げます。
 派遣する医師の負担を軽減するためには、休暇の取得時や病気のとき、また学会の出席時等における代診医の派遣体制並びに診療に係る技術支援体制が必要であると考えております。
 県といたしましては、地域の拠点病院へ派遣するなど地域全体で僻地診療所を支援する体制がとれるよう努めるとともに、直接僻地診療所へ派遣する場合には、議員御指摘のとおり、地域の拠点病院との連携が図れるよう取り組んでまいります。
 また、自治医大卒業医師の派遣に当たっては、派遣医師との会合の場を持つとともに、派遣先の自治体及び医療機関への指導や現場チェックをしているところでありますが、今後もさらに派遣医師が安心して業務に従事できるよう支援体制の充実に取り組んでまいります。
 次に、2点目の無憂園についてでございます。
 昨年8月の耐震診断結果の公表を受けまして以後、県におきましては、入所者に対し、他の転居可能な施設の紹介を行うとともに、無憂園の移転先を探してまいりました。その結果、和歌山市にある県の福祉施設の一時的利用を考えまして、移転日を本年8月1日と仮設定いたしまして、入所者及び保証人等への説明や入所者の施設見学等に取り組んでまいりました。その後、入所者に対し移転の同意を得るために意向を確認いたしましたところ、移転に反対18名、賛成2名の結果となりました。
 県といたしましては、地震等から入所者の生命を守ることを第一と考え、早期の移転を考えていたところでございますが、移転を強行するわけにもいかず、苦慮した結果、とりあえず8月1日と仮設定いたしました和歌山市への移転を見合わせたところであります。
 しかしながら、震災のリスクは解消されたわけではございませんし、転居を進めるについて一定の期間が必要であるとの入居者の御意見等を踏まえまして、今後は退所期限目途を平成21年3月31日とし、入所者等みずからも他の施設等をお探しいただく中、県といたしましても新たな転居先を親身になって積極的に紹介、あっせんし、早期に順次転居できるよう取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、無憂園の跡地利用についてでございますが、旧無憂園の浄化槽設備を現無憂園に再利用している現状にあります。跡地利用に関しましては、現無憂園の今後の対応についてもあわせて検討する必要があると考えております。
 また、現在、現無憂園には入所者が居住しておりますので、まずは入所者を安全な他の施設への転居を最優先することといたしまして、将来の方向性につきましては、今後、地元関係者の御意見もいただきながら進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 教育長山口裕市君。──危機管理監杉本雅嗣君。
  〔杉本雅嗣君、登壇〕
○危機管理監(杉本雅嗣君) 僻地の救急対策についてお答えいたします。
 医療機関への緊急搬送の救急業務につきましては、消防法及び消防組織法により、各市町村がその区域において十分に果たす責任があります。しかしながら、議員御指摘の白浜町川添地区のように、地理的条件や道路事情などにより、管轄する市町村の消防署から出動するよりも隣接する他の市町村の消防署から出動するほうが現場への到着時間が短い場合がございます。このようなケースに適切に対応するためには、関係市町村間で消防事務の共同化や相互応援協定などを活用すべきものと考えております。
 県といたしましても、過疎化、高齢化に対応した消防・救急業務の円滑な推進のため、市町村間の枠を超えた消防・救急体制が必要と考えておりまして、消防事務の広域化や相互応援協定などの推進に向け、適切に各市町村に助言、指導してまいります。
○議長(中村裕一君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 地球温暖化に関する土壌保全について、3点についてお答えをいたします。
 まず、第1点の土壌保全調査事業の継続実施、それから研究体制の充実等についてでございますけれども、まず農業生産の基本でございます土壌の保全調査につきましては古くから取り組んでございまして、お話がございましたように、18年度の交付税措置への変更後も県として土壌モニタリング調査として実施をしておりまして、継続して取り組むこととしてございます。
 また、土壌の研究につきましては、現在、農業試験場が中心となりまして、関係試験研究機関と連携をしながら実施をしているところでございまして、今後とも引き続き、その研究体制の充実、また専門知識の向上に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
 2点目の土壌モノリス館の整備に関してでございますが、土壌の大切さにつきましては十分承知をいたしてございまして、これまで農業団体あるいは関係機関を対象にいたしまして、生産の基盤としての土壌の維持・増進、環境への負荷の低減ということから土づくりの研修会等を毎年実施するなど、自然との共生を目指しまして環境保全型農業というのを積極的に進めてございます。
 御提言の趣旨を踏まえまして、土壌保全の重要性を県民の皆様に広く知っていただけるよう、予算上の問題もございますけれども、土壌モノリスの製作等も含めまして、その周知方法について今後検討してまいりたいというふうに考えてございます。
 それから、3点目の土壌を活用した災害予防と防災対策でございますけれども、農林一体となった土壌調査につきましては、農林水産省の農林水産技術会議が平成17年に策定をいたしました農林水産基本計画の中で、耕地・非耕地の包括的な土壌データベースの構築を図るとともに、新しくその活用方法を開発するということになってございまして、今後、こうした国の動向を十分注視しながら、土壌保全の観点から災害の予防と防災対策に役立ててまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 戦略的環境影響評価、いわゆるSEA条例制定についての御質問にお答えを申し上げます。
 戦略的環境影響評価とは、議員御指摘のとおり、個々の事業実施に先立つ早い段階、例えば事業計画の立案や政策決定の段階で、その事業に係る著しい環境への影響、例えば大気あるいは水質、御指摘の土壌、動植物の生態系、あるいは景観などへの影響を把握し、複数案についての環境影響を比較・評価し、そして環境配慮事項の整理を行い、その結果を計画に反映させるための制度でございます。
 この制度につきましては、本年4月、環境省におきまして戦略的環境アセスメント導入ガイドラインが取りまとめられ、現在、関係省庁が個別事業に関して具体的手法の検討を開始したところでございます。
 本県では、平成12年に「地域整備における環境配慮の手引き」を作成し、その後、リサイクル法等の法整備や京都議定書の発効など状況の変化に対応いたしまして平成18年に改訂を行い、計画段階からの環境への配慮について取り組みを行ってきたところでございますが、今後、国における戦略的環境影響評価についての具体的な検討状況を踏まえながら、環境先進県を目指す立場からも、その制度の導入についてさらなる検討を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 先ほどは、初めての答弁でございまして、大変失礼いたしました。
 御質問ありました南紀高校看護科を卒業した生徒の進路についてお答えいたします。
 同校に設置している看護科は、県立高等学校唯一の看護科といたしまして県内全域から入学生を迎えているところでございます。
 卒業後の進路につきましては、近年、卒業生の3分の2が県内に、3分の1が県外に就職するという状況でございました。しかしながら、本年3月の卒業生につきましては、県外への就職者数が県内を上回ってございます。この要因につきましては、分析を進めているところですが、議員御指摘のとおり、新たな看護基準の導入による全国的な看護師需要の増加もその一因ではないかと考えてございます。
 就職指導につきましては、生徒本人の希望を尊重するといった原則にも配慮しながら、地元医療の大切さを認識させるとともに、今後も医務課と連携を図りながら地元への定着に向けた進路指導を続けてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 所要の時間が過ぎておりますが、再質問をされますか。
  〔「再質問やります。要望、1分だけ下さい」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 簡潔にお願いします。
○玉置公良君 ありがとうございました。いろいろ誠意を持って答えていただきました。
 1つだけ、私は決してほらは吹いてません。ポスト京都議定書の2013年以降には必ず土が入ると。これは、いろんな聞き取りをする中で、例えば批准をしていないアメリカも、やっぱり批准をしていこうと思えばこの土を批准しなくては皆から合意を得られないと、こういう状況になってきてるということをぜひとも知ってほしいと思いますし、それをできたら──まだまだ国は、聞きますと鈍いです。できたら、そういう土が入っていくということを和歌山県から提言してもらうと。仁坂知事にその先頭の旗振り役をやってもらうと、そのことをお願い申し上げまして要望といたします。
○議長(中村裕一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午後0時0分休憩
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