平成19年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(井出益弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前10時3分開議
○議長(中村裕一君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第98号は、職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 日程第1、議案第95号から議案第113号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 23番井出益弘君。
  〔井出益弘君、登壇〕(拍手)
○井出益弘君 議長にお許しをいただきましたので、順次一般質問をさせていただきます。
 まずその前に、7期目の県政へ引き続いて送っていただきました県民の皆様、そしてまた後援会の皆様に感謝を表しますとともに、今回、仁坂県政の真価が問われるという来年度予算政府要望等について、この選挙後の初めての6月議会でトップバッターで質問させていただける機会をいただきました先輩・同僚の皆さんにも心より感謝を申し上げまして、質問に入らせていただきます。
 まず、質問の1番目に上げております来年度政府要望についてお尋ねいたします。
 今月初め、平成20年度国の施策及び予算に関する提案・要望について、企画部初め各部局から詳しく説明を受けたところであります。既に先週14日に、仁坂知事以下各部長が国土交通省や文部科学省など関係省庁に対して精力的に要望活動を行ったと聞いてございます。仁坂知事は、昨年の就任以来これまでの間、国の省庁等に対して、例えば道路の整備など特定分野の要望を適宜行っていることは県のホームページ内の活動報告や記者会見により公開されていますので、私を含め、県民の皆様も注目しているところであります。
 毎年、この時期は国の骨太の方針が示され、また8月末には国の各省庁が概算要求を財務省に提出することとなっておりますので、本県にとりましても、6月は国等に対して提案・要望を実施する非常に重要な時期でもあります。そうしたとき、この和歌山県から国等に対して提案・要望がなされたところでありますが、このたびの提案・要望は、仁坂知事にとりましても、県政のすべての分野を網羅して取りまとめたという意味からは初めてのものであり、知事の目指す元気な和歌山を表現するための初めての全庁バージョンであると存じております。
 内容につきましては、重点項目として9つの政策課題があり、16の提案・要望事項で構成されております。また、一般項目としては9つの政策課題と24の提案・要望事項がございますが、いずれも和歌山県が抱える課題について検討に検討を重ねられ、県民生活の向上に密接にかかわりのある事項を絞り込んだと感じているところであります。
 現在、多くの自治体の財政状況は大変厳しく、和歌山県にとりましても同じ状況にある中では、県がみずからの投資により各分野にわたりさまざまな施策はなかなかしにくい状態ですが、このような状態で仁坂知事はどのような信念のもとでこのたびの政府要望事項を取りまとめたのか、具体的に何を強調しながらその編成作業を進めたのかを改めてお伺いいたします。御答弁をお願いします。
 2番目の質問として、地方税の偏在について。
 まず1つ目に、地方税の偏在についての私の考え、そしてまた今後の課題について知事からもお考えを述べていただきたいと思います。
 今、地方税の格差をめぐる問題がにわかに脚光を浴びてまいりました。その様相たるや、各論者とも格差是正の必要性では大筋で一致するものの、具体的になると百家争鳴であります。
 去る5月25日に開催された平成19年第14回経済財政諮問会議におきましては、菅総務大臣は、「地方分権にはこれにふさわしい税制改革が必要である」と前置きした上で、「国と地方の歳出比が4対6であるのに税源配分は6対4と逆転している状況を踏まえ、まずは税収比5対5を目指して地方税を充実させるべきだ」とし、税の中で偏在度の小さい地方消費税の充実を主張されました。また、これと同時に地方間の偏是正も必要だとして、法人課税の国と地方の配分の見直しの必要性など示唆されております。
 これに対し、尾身財務大臣は、地域間の財政力格差の最大の要因は、地方法人の税収が偏っており、最大・最小の比率が6.5倍になっていることにあるとし、「今後、これについて自治体間の調整を行うことが先決である。また、国と地方の税収配分を5対5にすべきという議論があるが、国から地方へのさらなる税源移譲は、ますます都市と地方の格差を広げることにほかならない。そして、消費税と地方消費税との配分見直しとの関連では、少子・高齢化が進む中で、社会保障給付や少子化対策に要する費用を踏まえると消費税は極めて重要な税目である」と位置づけ、地方消費税を含めた消費税のあり方については、「国、地方の財政状況や消費税の使途などを踏まえ、秋以降の税制改革全体の中で検討すべき課題である」とされました。
 民間議員はと言えば、地方分権の時代にふさわしい国税、地方税の設計を提案し、格差を是正する方法として3つほど挙げられております。その第1に、地域によって偏在度が大きい法人2税配分を見直す、第2に、法人2税を減らすかわりに地方消費税をふやす、第3に、法人2税を交付税の財源とするかわりに交付税財源となっている消費税を地方消費税に移行するの3案を提案されました。なるほど、個人都道府県民税の住民1人当たりの地方税収の格差は税源移譲後の平成19年度予算ベースで、最高の東京都と沖縄県で3.3倍、東京都と本県では2.2倍もあるわけでして、何らかの是正が必要であります。
 何より格差の拡大を象徴するものが、景気回復に伴う法人2税の偏在です。これらも、平成19年度予算ベースで、最高の東京都と最低の奈良県で5.8倍にも及び、東京都と本県では4.7倍であります。また、地方財源のよりどころとなる地方の財政力格差を調整するための地方交付税は、三位一体改革で3兆円規模の税源移譲が実現した見返りに、地方交付税の総額は平成18年度までの3年間で5兆円以上も削減されてしまい、この状況が続けば地方交付税に格差調整の機能を期待できない状況も出てまいりました。
 私は、地方分権改革の中核たる地方税制改革については、国から地方への権限移譲とセットで、必要な税源移譲を行う垂直調整、そして自治体間の水平的な調整、これを同時に行うことが絶対に必要であると思うわけであります。
 2番目に、ふるさと納税について。
 また、地方間の税収偏在を是正する手法の1つとして、ふるさと納税に関する検討が始められています。これは、今住んでいる自治体へ納める個人住民税の一部を生まれ育った自治体へ納めることができるようにするという構想であります。
 ふるさと納税は菅総務大臣が5月に初めて明らかにしたものですが、安倍首相も検討に前向きな姿勢を示し、総務省はふるさと納税研究会を設置して、今月1日に会合を開催いたしました。年末の税制改正に向けて検討を始めたということであります。
 現段階のイメージとしては、個人住民税のうち現在居住する自治体へ納めるのは約9割にし、約1割はふるさと自治体などに納めるという形であります。個人住民税は平成19年度税収見込みで総額12兆円なので、約1.2兆円程度が動くということになるのでしょう。税制をめぐっては、自治体へ寄附する形にして、現行の寄附金税制を拡張してはどうかなどの意見があるようです。
 なるほど、個人住民税は現に居住する自治体から受けるサービスの対価という意味からは、この制度は応益課税原則に反するとの意見もありますが、私は、地方が子供を18歳まで育てるのに必要なコストは2000万円近いと言われており、過去に受けた行政サービスの対価を考えれば、逆に応益課税原則によりかなう、また、一部とはいえ自分の納めたい自治体に気持ちよく納税ができる、そしてこれが地方間の税収の偏在是正にも資するわけでして、なかなかいい制度だと評価しているところであり、今後の議論に大いに期待しているところであります。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 地方税の偏在是正についてどのようなお考えを持っておられるのか、また、ふるさと納税制度についての評価を含め、お聞かせをいただきたい。
 次に、今、財政負担として大変大きな問題の1つになっております大滝ダム建設に関する基本計画の変更について、これについて知事にお尋ねいたします。
 大滝ダムは、昭和34年、紀の川流域に未曾有の被害をもたらした伊勢湾台風を契機に計画されたダムであると聞いています。たびたびはんらんする紀の川の治水のため、また渇水時には水不足に悩む紀の川流域の利水のため大滝ダムは大きな効果を発揮するとの期待のもと、和歌山県と和歌山市、橋本市が大滝ダム事業に参加し、これまで負担金を支払ってきた経緯があります。
 大滝ダムは、平成14年8月にダム本体が完成し、15年3月に試験湛水を実施しています。その後、4月には白屋地区において亀裂が発生し、その地すべり対策を実施するために前回の変更につながったわけであります。
 大滝ダムが治水・利水に効果があるのはわかるが、問題は、計画変更に伴う追加負担が今回で6回目であるという点であります。これまで国は何回も何回も負担を求めてきているが、これがいつまで続くのか、いつになったら大滝ダムは供用できるのか、今後、追加負担をして地すべり対策をしてもまた同じようなことがあるのではないかということが心配されております。このように何回も同じことが続くことは国の調査不足があるのではないかというような疑問も生じてくるところであり、計画変更に同意をしなければどうなるのかとも考えるところであります。
 前回の計画変更時に白屋地区の地すべり対策をするとのことで国が県に負担を求めてきたときには、これが最後ということであったが、調査したらまた出てきたでは県民に対して説明が足りないのではないかと考えております。
 また、今回の変更により、利水予定者として大滝ダムに参加している和歌山市が9億5000万円、橋本市が4億6000万円の追加負担を求められていると聞いております。和歌山市長、橋本市長も今回のことはつらいのではないかと思います。県以上に財政的に厳しい状況にある両市にとって、この負担は耐えられるものではないのではないかと思うのであります。
 このような状況の中、県当局から議案第112号を上程してきているが、大滝ダムの必要性と基本計画の変更について知事はどのように考えているのか。また、県当局においては、国から技術的な説明を受け検討した結果、問題ないと判断して議案の提出に至ったと思うが、技術的に見て、今回の地すべり対策に伴う追加負担は、関係法律等で決められているところのやむを得ないものなのか。また、今後このような大規模地すべり対策をするようなところはもうないのか。県土整備部長からも答弁をいただきたい。
 質問4番目に、コムスン問題についてお尋ねいたします。
 県では、県民のだれもがいつまでも健康で長寿を喜び合える社会の実現に向けてさまざまな施策を展開していますが、その中で介護保険制度は、介護が必要な方々に対して、訪問介護やデイサービスなどの居宅サービスを初め、特別養護老人ホームなどの施設サービスを含めさまざまな介護サービスを提供しており、医療保険や年金と並ぶ重要な社会保障制度であります。
 県内では、現在、居宅サービスや施設サービスなどの介護サービスを多くの方々が利用しているところでありますが、介護保険制度は、市町村が保険者となり、利用者が介護サービスや事業所を適切に選択し、事業者と契約を結んでサービスを利用する仕組みとなっております。
 今回、その訪問介護最大手のコムスンが介護事業所の指定を不正取得したことが全国的に問題とされ、厚生労働省から指定の更新をしない処分の方針が示されると、コムスンの親会社であるグッドウィル・グループは同じ企業グループ会社に譲渡すると言い出しました。
 この譲渡の方針に対して仁坂知事は、定例記者会見でいち早く、「あれは脱法行為である」として、譲渡先から新規申請があっても絶対に指定を認めない方針を打ち出されました。この知事の発言に対して県庁に電話やメールで多くの意見が寄せられ、その大半が賛成意見だったと伺っておりますが、私もこのたびの知事の発言を高く評価している1人であります。その後、親会社であるグッドウィル・グループは介護事業から完全撤退することが新聞やテレビなどマスコミ各社で大きく報道されたところであります。
 しかしながら一方、利用者からは、今後介護サービスを継続してもらえないのではないか、気心の知れた担当のヘルパーさんが来てくれなくなるんではないか、また24時間の介護サービスを受けることができなくなる等、意見を寄せられ、また、従業員からは雇用に対する不安の声が多くあることも事実であります。
 こうした不安を解消し、高齢者の方々が住みなれた地域で安心して生活を送ることができるよう、引き続き適切な介護サービスを受けることができるようにするのが何よりも大切であると考えます。
 また、厚生労働省は各都道府県に対し、コムスンの利用者のサービス確保対策について指示したとも聞いております。
 そこで、福祉保健部長にお伺いします。
 まず、県内にコムスンの介護保険の事業所が何カ所あり、何人の方が介護サービスを利用されているのか。また、コムスンを利用されている方々の不安を解消し、引き続き適切な介護サービスを受けることができるようにするのが重要なことであると考えるが、これに県はどのように対応するのか。今後、県としてどのように事業所の不正防止に取り組むのか。部長の御所見をお聞かせ願います。
 今、社会保険庁の年金不備問題が新聞やテレビで大きく取り上げられていますが、この問題は、基礎年金導入時に計画的に統合を進める施策がなかったことが原因の1つであるとされています。
 社会保険庁では24時間対応の無料電話相談が始まったが、相談が殺到して電話がつながらなかった事態や、システム障害により相談に来た加入者の記録照会ができなかったこともあるようです。
 年金は老後の生活を支えるかなめであります。その年金がきちんと支払われるのかどうか、不安が県民の間に広がっていることも事実であります。
 年金問題は社会保険庁の管轄でありますが、当該関係県民のために、確認作業等の対応的なものなどについては県のほうでも何かできることがあればぜひ取り組んでいただきたいと考え、質問をしようと思ったんですけど、やはりこれは知事の所管外のことになるのでぜひ──もともとの責任というのは県民、国民にあるんではなくて、年金のことについてのいろんな記録の不備ということが社会保険庁の責任あるいは国の責任としてあるもんですから、何かの形でこれを県民、国民が安心できるような状態にするために──社保庁だけに任しておいてはなかなか調査とかいろんなことができない。また、これを余りアルバイトやあるいは他の人にやってもらうということも──私は、できれば公務員的な人たちに応援をしていただいていろんな不備の捜査をしていただく、あるいはその人の家に出向いていただく、そういうふうなこと、いろんな公務員の方でできるだけ体制をとれば1年以内にということが本当に可能になると思います。どうかひとつ、そのことも強く、県としてできることがあれば精いっぱい取り組んでいただきたいということを要望しておきます。これは要望にしておきます。
 5番目の、最後の2巡目国体の施設整備及び選手育成強化対策についてお伺いいたします。
 8年後、すなわち平成27年に、和歌山県が2巡目国体を和歌山県で開催の立候補をするに至り、今年度、和歌山県として仁坂知事もこの件を関係先に正式表明され、県議会もこれに関しては賛同するとともに成功に向かって支援を決意しているものであります。
 1巡目国体では、国体開催のために多くのスポーツ関係施設を設置、整備するとともに、「国体道路」とまで言われるほどの道路整備なども国体の機会に整備されたのは、当時を生き抜いてきた我々の知るところであります。
 2巡目国体開催は、青少年、そして和歌山県民の悲願でもあり、和歌山県民のスポーツを志す者にとって飛躍、成長の絶好の機会であります。
 近年の国体における和歌山県の成績は、47都道府県中、最も悪い順位とされる最低レベルの位置を低位安定固定の状態であります。これは、和歌山県民を初め日本国民から和歌山県を見たときのイメージの1つとしても、また熊野古道を初め世界遺産等を国内外に向かってPRをしている和歌山県としては残念な案件の1つであることは、言うまでもありません。しかしながら、和歌山県の財政を考えるとき、大変財政難を心配するものでもあります。
 最近の国体開催状況を考えるとき、近隣の府県と広域開催的な国体の開催方法をとる県もふえていくのではないかと思います。これには、道路交通網の整備もかなり進んできている府県が、財政難と重なり、国体を開催するための施設整備も困難であるため、道路交通網的に可能な近隣府県と広域開催的な対応となっているように考えます。
 1つ目の質問として、まず、和歌山県の2巡目国体を和歌山県で開催として招致を決意された意義について、知事はどのような考えに基づいて決意されたのかをお尋ねいたします。
 2番目に、スポーツを愛する県民にとって2巡目和歌山国体は夢をかなえるチャンスでもあると大変希望に胸を膨らませる一方、自分たちの関連施設を一日も早く設置や整備してほしいと、8年後に向かってさらに練習に励んでいる状態であります。多くの選手や応援者の皆様は、2巡目国体を和歌山県で開催する機会に施設の整備や設置がなされるとともに、8年後に向かって選手の育成及び強化策をとるとの県体育協会の表明があってからは、その取り組みについて大いに期待をしております。
 しかし、県庁相撲部のように、国体や実業団では優勝して当たり前の実力が国内に知れ渡り、和歌山県民の誇りの1つでもありましたものが、近年では県庁相撲部選手も高齢化して、残念な結果の年々を送っているものもあります。
 ぜひ、2巡目国体を和歌山県で開催する機会に、国体やオリンピック競技種目の施設については、できるだけ財政等考え合わせながらも県内に最低1カ所はつくるべきだと考えます。
 また、近畿2府4県内にも最近認定基準に合った公式・公認の競技場が1カ所もない種目の施設については、財政的に不可能な高額な費用負担でもなければぜひこの機会に和歌山の適地に設置し、近隣の府県にも将来は逆に使用料を取り利用してもらえれば、施設設置後の運営について県費負担となるようなこともない施設も幾つかあります。
 また、その種目によれば、その施設を設置することにより年間多くの公式競技大会のあるものもあり、公認競技場でしか開催できないため、そのような施設を和歌山に設置することにより、練習客や宿泊客が選手や役員初め関係者の参加人数を数字で示せるくらい具体的に和歌山に集客できることになります。経済波及効果も十分示せるものについては、県として幾らかの財政負担を犠牲にしてもこの機会に設置を決断しなかったら、永久に和歌山県内につくれないと思慮いたします。
 2巡目国体に向かって、選手や指導する者も含め、どのように確保、育成されるのか。また、国体開催施設の整備、設置について早急に対応する必要があると考えますが、知事の取り組みについてお尋ねいたします。
 これで、1回目の質問を終わります。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの井出益弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 第1に、来年度の政府要望についてでございます。
 本県は、大変厳しい財政状況の中、事務事業の見直しや人件費の削減等によって財源の捻出に努めながら、私が約束をいたしました公約、政策目標の達成に向けて、関係各位の御協力のもと、全庁挙げて取り組んでいるところでございます。
 ことしは、年度当初から現在すべての政策を評価・検討する中で、来年度に向けて和歌山県がみずから、これからどうしたらいいのか、どうしていくべきかという和歌山県の新政策について全庁的に議論をし、これを毎年やっていこうというふうに考えまして第1回目をやっているところでございます。
 その議論の中から、県みずからが取り組むべき施策、それから、これは国の各省庁にぜひ頼まなければいけないと、こういう整理をいたしまして、頼むべきものは、現在、国の来年度の政策の検討も進んでいるというところでございますので、少し急ぎ目に取りまとめて、この間発表さしていただきながら、既にいろんな要望活動を行っているところでございます。
 こうした作業を踏まえて、関係省庁に対して、この間も私は参りましたけれども、各部長以下各部局もみんなそれぞれ継続的に運動しておりまして、継続して働きかけを行っていきたいと思っております。
 ポイントは、地方の税財源の確保、道路整備や東南海・南海地震対策の推進、医師確保など、元気な和歌山を実現するためにはどの項目も大変重要なものでありますので、議員の皆様には要望項目の実現に対する今後とも一層の御協力と御支援をお願いする次第であります。
 先ほど井出議員から、信念と何を強調したのかというお話がございました。
 信念は、これは和歌山のためになることは何でもいただきましょうと、お願いしますということであります。
 それで、何を強調したのかということでございますが、そういうことを実現するために、和歌山にとって得になることを実現するために2つのポイントがあります。
 まず第1に、和歌山県の実情を一生懸命きちんと訴えることであります。それからもう1つは、それが単なる地域エゴというふうに聞こえないように、国の役人だってわかるような理屈を示唆する──こちらから、こういう考え方じゃないでしょうかと、それならあなたはちゃんと説明できるんじゃないですかということをこちらから申し上げて、それを採択してもらうようにするということではないかと思います。
 そういう意味では、単に和歌山県の我々だけの固有のお願いだけではなくて、国全体としてこういうふうにすべきではないですかというようなことも要望の中には加えました。
 例えば、今、井出議員から話がありましたような地方の税財源の話、あるいは防災について和歌山県は地震・津波被害に対する対策が大変でございますけれども、これは何も和歌山県だけではありませんから、緊急に国でそれを整備するようなスキームをつくったらどうでしょうかというような話とか、あるいは地球環境の問題についてもっと、技術開発だの何だのと言ってないで、根本的なところを大きく構えて、特に民生と運輸部門についてやったらどうでしょうかと。それから、和歌山県も大変ですけれども、各地域とも地方は道路が本当にないんですよと。したがって、財源対策についてはぜひよろしくお願いしますというようなことを訴えてまいりました。
 国の政策を動かすのは容易ではありません。だけど、彼らもやっぱり身も心もある人間でありますので、その身と心のところをうまくくすぐるようにして動いていただくということではないかと思います。
 既に幾つかのところで動いていただいておりまして、医療などは国の政策が動き始めました。和歌山のためになるように、これをうまく刈り取らないといけないと思っておりますが、引き続き頑張っていきたいと思っております。
 それから、第2に地方税財源の偏在性の問題についてでございます。
 御指摘のとおり、そもそも所得水準等が違う、その差に伴って税源の地域間格差が存在している中で、近年の大都市圏を中心とした景気回復に伴う法人2税等の増収を背景に、さらに残念ながら格差が拡大する傾向にあります。そのために、地方がその責務に見合った財源を安定的に確保できるよう、偏在度の少ない基幹税を中心とする地方税体系の構築が求められていると私は思います。そのためには、国、地方全体をもう一度眺め直して、あるいは自治体間の税収格差をどう考えるのかを含めまして全体の税収配分のあり方を再検討していただきたいというのが私どもの願いであります。
 偏在是正の方法といたしましては、まず安定的で地域偏在度の小さい地方消費税を拡充していくことが必要であると思っております。また、法人2税につきましては、さまざまな議論がなされているところではございますけれども、地方にとってどういう制度が適切であるか、議論を見きわめつつ、今後とも和歌山県の有利になるように対応してまいりたいと思っております。
 次に、議員お話しのふるさと納税についてでございますが、私は、進学、就職に伴って都市部へ人口が流出するような地域の実情等をかんがみるに、いいアイデアであると思います。もちろん、これですべての地方税の問題が片づくわけではないということも、また承知しております。ただ、地方税の偏在是正に効果のある制度として、1つのアイデアとして実現できればいいのになというふうに考えております。
 なお、このふるさと納税につきましては、都市に生活の本拠を置きつつ一定期間地方に居住する2地域居住者が地方にも住民税を納税するといったような、2地域居住税制というようなアイデアもあるやに聞いております。これもあわせて検討していただくようにお願いをしているところでございます。
 いずれにしても、どこに住んでいても国民として必要な行政サービスは、私は公平に保障されるべきだと、すべての日本人に保障されるべきであるというふうに思っております。このために、地方公共団体がどんなに頑張ってもそれができなくなるという事態だけはぜひ避けてもらいたいと、これが私たちの切なる願いでございます。
 次に、大滝ダムの話でございます。
 大滝ダムにつきましては、議員御指摘のように、昭和34年の伊勢湾台風による被害、これが大変なことになりましたので、これを契機に計画されたダムであります。紀の川流域の治水、それから利水に大きな効果を発揮するものでありますので、紀の川流域に住む県民の生命、財産を守るためにはなくてはならないものだと考えております。
 去る6月1日、近畿地方整備局長が来庁され、白屋地区以外に地すべりの可能性がないか調査したところ2カ所で対策が必要であることが判明したので、放置できないから地すべり対策を実施し、早期にダムの効果を発揮したいので応分の負担をぜひお願いしたいというようなことがありました。もちろん、その前から中身は大体承知しておりましたのでインフォーマルな話はしておりましたけれども、正式にお願いをしに来られたということであります。
 県の財政あるいは関連の市役所の財政を考えると、これは非常につらいものがあります。なぜならば、私たちが実現をしたいというこの支出の利益、これについては、紀の川の流域の治水と、それから一定の利水です。それに対して、それがふえてないのにもっとお金がかかるというのは大変つらい。特に私どもはお金持ちの県ではないわけですからとてもつらいわけですけれども、しかしながら、その費用負担割合については特定多目的ダム法及び河川法の規定によって定められています。その定められているところについて、これはどうだと、この制度についておかしいんじゃないか、もっと国が全部やるべきじゃないかというような議論は一方であると思います。ただし、現在そこに制度としてあるのは、現在のあの負担割合であります。したがいまして、治水効果を受ける本県が仮にこれに同意しなかったとすると、大滝ダム事業は継続することができなくなってしまいます。
 私は、県の財政から考えると、もちろんそれについては支出をしたくない、皆さんもそう考えておられるということはよくわかっております。私もそうであります。しかしながら、住民の安全を考えると、これはとめてくださいというようなことを申し上げるわけにはいかない。治水はどうでもいいと言って工事をとめてしまうわけにはいきませんので、同意をせざるを得ないということを申し上げた次第であります。
 なお、もちろん国へは、本来ならばほかに使えたお金をここに出さざるを得ないということなんで、和歌山県の実情を考えて、もちろんコスト縮減ももっとやってもらいたいし、早期完成もやってもらいたいし、それから紀の川流域の治水対策を一層やってもらいたいし、そのほか、いろいろ和歌山県として使いたかったところがたくさんあるんですよというようなことをずっと申し上げているところであります。議会の御理解と御協力をお願い申し上げます。
 実は、その話はずっと前からやっております。国土交通省にお願いに我々として行きましたら、向こうからもお願いされます。国としても大変な負担なんですが、県としての実情もわかってますが、「どうぞ、途中でとめるわけにいかないからよろしく頼みます」ということを言われます。そのときは、苦しいということを実情を申し上げる。その苦しいという実情が、最近、たくさんの、援助といいますか国の支援が和歌山県に向かっておりますけども、多分、論理の問題ではありませんけれども、身も心もある人たちの行動としてそういうのがたくさん来ているんだなというふうに思っております。
 例えば、近畿自動車道紀勢線と、それから京奈和の2つの金額の増額だけ考えても、実は既に今度数年間で払わないといけない金額よりも大きくなっております。ただし、それで終わりというもんでもないし、こんなものは取引の問題ではありませんから、今後も実情を訴えて、和歌山のためにもっといろんなものをやってくださいということをお願いしていくということではないかと私は思っております。
 それから、和歌山国体の問題でございます。
 和歌山国体の開催の意義については、我が国最大の総合スポーツの祭典であります国民体育大会、これにつきましては、広く国民の間でスポーツを普及させるとともに、国民の健康増進と体力向上はもちろん、地域スポーツの振興・発展に私は寄与してまいったと思っておりますし、まいると思っております。
 国体で活躍する競技者のひたむきな姿は、開催県を初め多くの県民に夢と感動を与えるとともに、地域の活性化や郷土の一体感を促し、和歌山を元気にするものであると私は思っております。
 70回和歌山国体の開催に当たりましては、もちろん我が県の財政を考えまして、それから一般的な傾向を考えて、簡素化、効率化を図りながらも新しい時代に適応した和歌山の魅力を最大限に生かした、質の高い、それから心のこもった大会にしたいというふうに思っております。
 また、国体終了後も、大会を一過性のものにして、終わっちゃったということではなくて、国体開催を起爆剤に地域が活性化をし、県民が活力に満ちた生活を営むことができるよう、継続的にスポーツ振興に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、国体に向けての選手の育成及び強化策につきましては、これについては、今、一生懸命取り組んでいるところであります。
 まず、少年種別対策といたしましては、昨年度から実施しております、すぐれた資質を有する子供たちを発掘して育成をする、このゴールデンキッズ発掘プログラムというものをやっておりまして、この充実に努めてまいりたいと思いますし、それから、関係競技団体とも連携し、ジュニア競技者の育成強化を図ってまいりたいと思っております。
 また、指導者につきましては、すぐれた指導力を有する現職及び退職した教職員などがより広域的な場で指導力を発揮するきのくにエクセレントコーチ制度の活用・促進に努めるとともに、地域における強化拠点整備を図りながら指導力のある人材を確保し、その適正配置に努めてまいりたいと思っております。
 それから、国体に向けた成年種別の強化につきましては、県内各企業の御理解と御協力を得ながら企業のクラブチームの設立とか地域におけるスポーツクラブの活性化を支援するということをやっていきたいと思いますし、それから国体実施競技におけるトップレベル競技者の確保並びに育成強化も図ってまいりたいと思っております。
 次に、和歌山国体開催に向けての施設の整備及び設置についてでございます。
 これにつきましては、県は、現在、申し上げておりますように、大変厳しい財政状況を抱えております。そういうことを考えますと、県内の既存の施設あるいは近畿各府県の施設を有効に活用していくということも必要かと思いまして、実は今回の国体の開催に当たりましては、あらかじめ必要なときには各県に施設を貸してくださいと。どれを貸してくださいとは申し上げておりませんが、貸してください、それで協力しようということで、実は手続を進めているところでございます。
 この施設については、単にこれも一過性ではなくて、国体開催後の利活用あるいは青少年の健全な育成、もっと申しますと地域おこしのもとになるということもあろうかと思います。
 したがいまして、それぞれの関係競技団体、それから各市町村、そういうものの意向──これはぜひ私どもに来てくださいとか、これはこのぐらい自分たちが負担をするからこれだけ整備してくださいとか、そういうことについてのどのぐらい熱意があって自分たちも貢献しようとしているのかということについて一斉に調べたいと思っております。それを調べて、県の支出ができるだけリーズナブルなところに落ちつくように考えて、じゃないと財政が破綻してしまいますから、長い間かけて少しずつ整備をしていく。その意思決定のプロセスを、県民がみんな参加するという形でやっていきたいと思っているわけでございます。
 これについては、今、原案を作成している段階でございますので、追って、ことしの秋以降になると思いますけれども、各市町村、各団体に意向調査──自分たち、これはぜひ来てほしい、なぜならば自分たちはこういうことを提供するから一緒にやらんかというようなことを聞きながら全体として決め、それで和歌山県でどうしようもなくできない、いろんな事情でお金もかかるしできない、そんなに受け入れの人たちもいないということであれば、やむを得ず他県の施設をお借りするようにお願いをしてまいるということでやっていきたいと思っております。
 ありがとうございました。
○議長(中村裕一君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 大滝ダムについて2点お答えをいたします。
 まず、追加負担についての技術的、法制度的見解についてでございます。
 白屋地区での地すべり発生を受け、その他の斜面の安定性を評価するため、大滝ダム貯水池斜面再評価検討委員会において白屋地区の地すべりの詳細について調査がなされ、我が国で初めての地すべり発生機構、いわゆる前面すべりのメカニズム等が解明されました。その知見に基づきダム湖全体の詳細な調査が実施されたところ、大滝、迫の2地区において前面すべり等の可能性が指摘されました。引き続き設置された大滝ダム貯水池斜面対策検討委員会において、安全性の確保とコスト縮減を柱にさまざまな対策工法が検討され、対策案が採用されたものと考えております。
 法制的には、河川法第60条第1項等の規定により県の治水負担が義務づけられており、特定多目的ダム法第7条第1項等により、県、和歌山市、橋本市の利水負担が義務づけられております。
 今回の2地区の地すべりは、ダムの貯水が原因で発生するものであるため、ダム事業として負担せざるを得ないと考えております。
 県が計画変更に同意せず工事がとまった場合にはダムの運用ができなくなり、洪水に対する流域住民の安全が確保できなくなるため、このことからも負担はやむを得ないものと考えております。
 なお、コスト縮減につきましては、従前より強く国に申し入れてきたところでございます。国も、ダムの水位運用を工夫して斜面自体の安全性を高め、対策規模を縮小したり、土砂にセメントをまぜることで盛り土の体積を減らすなど、最大限の努力をしていると考えております。引き続き、コスト縮減については国に申し入れをしていく所存であります。
 次に、さらなる発生の可能性についてでございます。
 今回の地すべりの検討は、日本でも権威ある学識経験者、専門家で行っており、レーザー航空測量等最新技術や最高レベルの知識を駆使してすべての斜面の安全性を検討した結果、大滝地区、迫地区2カ所で地すべり対策が必要と確認されたものであります。
 また、今回、日本で初めて地すべり対策としてダムの水位運用を採用し、水位をゆっくり下げ、土の中に水が残ることを極力少なくして貯水池斜面の安全性を確保することなどの対策も提案されております。
 このように、ダムの運用自体に制限を加え地すべりの発生リスクを少なくする手法は日本でも例のない手法であり、国としても最大限の手を尽くしているところであると考えております。
○議長(中村裕一君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) コムスンの問題についてお答え申し上げます。
 まず、県内の株式会社コムスンの介護保険事業所の箇所数とその利用者数でございますが、和歌山市に7カ所、海南市に1カ所の合計8カ所の事業所がございます。利用者数は約500人と承知してございます。
 次に、利用者の不安解消とサービスの継続についてでございますが、県といたしましても、議員御指摘のとおり、利用者へのサービス確保が最も重要であると考えており、相談窓口を設置し、利用者に、現在利用中のサービスが直ちに利用できなくなるものでないことや、県、市が利用者のサービスの継続について事業者を指導していくことを説明し、安心確保に努めております。
 また、事業者に対し、指定更新期限までは利用者の希望に応じ適切なサービスを提供すること、更新期限到来時または事業譲渡等を行う場合には、他の事業者への紹介など、利用者のサービスの円滑な引き継ぎを行うよう指導したところでございます。さらに、県においても、関係市町と連携し、利用者のサービス継続に支障が出ないよう努めてまいります。
 次に、介護保険事業所の不正防止につきましては、平成19年4月23日付で全事業者に対し「法令遵守の徹底について」を通知し、人員基準や介護報酬請求などの法令遵守について自主的な自己点検を行うなど、積極的な取り組みを要請したところであります。また、今後、事業所に対する集団指導や個別実施指導等、あらゆる機会を活用いたしまして法令遵守について事業所を指導してまいります。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 以上で、井出益弘君の質問が終了いたしました。

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