平成19年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

平成19年6月
和歌山県議会定例会会議録
第2号
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議事日程 第2号
 平成19年6月19日(火曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第95号から議案第113号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第95号から議案第113号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(46人)
 1番  泉 正徳
 2番  山本茂博
 3番  前芝雅嗣
 4番  浅井修一郎
 5番  吉井和視
 6番  向井嘉久藏
 7番  門 三佐博
 8番  町田 亘
 9番  川口文章
 10番  平木哲朗
 11番  花田健吉
 12番  須川倍行
 13番  大沢広太郎
 14番  谷 洋一
 15番  平越孝哉
 16番  下川俊樹
 17番  岸本 健
 18番  山下大輔
 19番  尾崎太郎
 20番  藤山将材
 21番  新島 雄
 22番  山下直也
 23番  井出益弘
 24番  宇治田栄蔵
 25番  多田純一
 26番  中 拓哉
 27番  角田秀樹
 28番  江上柳助
 29番  山田正彦
 30番  坂本 登
 31番  尾崎要二
 32番  中村裕一
 33番  服部 一
 34番  片桐章浩
 35番  原 日出夫
 36番  藤本眞利子
 37番  長坂隆司
 38番  玉置公良
 39番  小川 武
 40番  冨安民浩
 41番  奥村規子
 42番  松坂英樹
 43番  藤井健太郎
 44番  雑賀光夫
 45番  野見山 海
 46番  松本貞次
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        原 邦彰
 知事室長       曽根義廣
 危機管理監      杉本雅嗣
 総務部長       小濱孝夫
 企画部長       森  崇
 環境生活部長     楠本 隆
 福祉保健部長     井畑文男
 商工観光労働部長   永井慶一
 農林水産部長     下林茂文
 県土整備部長     宮地淳夫
 会計管理者      小倉正義
 教育委員会委員長   樫畑直尚
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員    高垣博明
 警察本部長      鶴谷明憲
 人事委員会委員長   西浦昭人
 代表監査委員     垣平高男
 選挙管理委員会委員長 山本恒男
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       山本庄作
 次長         植野博文
 議事課長       薮上育男
 議事課副課長     土井敏弘
 議事班長       吉田政弘
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      石垣悦二
 議事課主査      瀧川泰治
 総務課長       下出喜久雄
 調査課長       佐本 明
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  午前10時3分開議
○議長(中村裕一君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第98号は、職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 日程第1、議案第95号から議案第113号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 23番井出益弘君。
  〔井出益弘君、登壇〕(拍手)
○井出益弘君 議長にお許しをいただきましたので、順次一般質問をさせていただきます。
 まずその前に、7期目の県政へ引き続いて送っていただきました県民の皆様、そしてまた後援会の皆様に感謝を表しますとともに、今回、仁坂県政の真価が問われるという来年度予算政府要望等について、この選挙後の初めての6月議会でトップバッターで質問させていただける機会をいただきました先輩・同僚の皆さんにも心より感謝を申し上げまして、質問に入らせていただきます。
 まず、質問の1番目に上げております来年度政府要望についてお尋ねいたします。
 今月初め、平成20年度国の施策及び予算に関する提案・要望について、企画部初め各部局から詳しく説明を受けたところであります。既に先週14日に、仁坂知事以下各部長が国土交通省や文部科学省など関係省庁に対して精力的に要望活動を行ったと聞いてございます。仁坂知事は、昨年の就任以来これまでの間、国の省庁等に対して、例えば道路の整備など特定分野の要望を適宜行っていることは県のホームページ内の活動報告や記者会見により公開されていますので、私を含め、県民の皆様も注目しているところであります。
 毎年、この時期は国の骨太の方針が示され、また8月末には国の各省庁が概算要求を財務省に提出することとなっておりますので、本県にとりましても、6月は国等に対して提案・要望を実施する非常に重要な時期でもあります。そうしたとき、この和歌山県から国等に対して提案・要望がなされたところでありますが、このたびの提案・要望は、仁坂知事にとりましても、県政のすべての分野を網羅して取りまとめたという意味からは初めてのものであり、知事の目指す元気な和歌山を表現するための初めての全庁バージョンであると存じております。
 内容につきましては、重点項目として9つの政策課題があり、16の提案・要望事項で構成されております。また、一般項目としては9つの政策課題と24の提案・要望事項がございますが、いずれも和歌山県が抱える課題について検討に検討を重ねられ、県民生活の向上に密接にかかわりのある事項を絞り込んだと感じているところであります。
 現在、多くの自治体の財政状況は大変厳しく、和歌山県にとりましても同じ状況にある中では、県がみずからの投資により各分野にわたりさまざまな施策はなかなかしにくい状態ですが、このような状態で仁坂知事はどのような信念のもとでこのたびの政府要望事項を取りまとめたのか、具体的に何を強調しながらその編成作業を進めたのかを改めてお伺いいたします。御答弁をお願いします。
 2番目の質問として、地方税の偏在について。
 まず1つ目に、地方税の偏在についての私の考え、そしてまた今後の課題について知事からもお考えを述べていただきたいと思います。
 今、地方税の格差をめぐる問題がにわかに脚光を浴びてまいりました。その様相たるや、各論者とも格差是正の必要性では大筋で一致するものの、具体的になると百家争鳴であります。
 去る5月25日に開催された平成19年第14回経済財政諮問会議におきましては、菅総務大臣は、「地方分権にはこれにふさわしい税制改革が必要である」と前置きした上で、「国と地方の歳出比が4対6であるのに税源配分は6対4と逆転している状況を踏まえ、まずは税収比5対5を目指して地方税を充実させるべきだ」とし、税の中で偏在度の小さい地方消費税の充実を主張されました。また、これと同時に地方間の偏是正も必要だとして、法人課税の国と地方の配分の見直しの必要性など示唆されております。
 これに対し、尾身財務大臣は、地域間の財政力格差の最大の要因は、地方法人の税収が偏っており、最大・最小の比率が6.5倍になっていることにあるとし、「今後、これについて自治体間の調整を行うことが先決である。また、国と地方の税収配分を5対5にすべきという議論があるが、国から地方へのさらなる税源移譲は、ますます都市と地方の格差を広げることにほかならない。そして、消費税と地方消費税との配分見直しとの関連では、少子・高齢化が進む中で、社会保障給付や少子化対策に要する費用を踏まえると消費税は極めて重要な税目である」と位置づけ、地方消費税を含めた消費税のあり方については、「国、地方の財政状況や消費税の使途などを踏まえ、秋以降の税制改革全体の中で検討すべき課題である」とされました。
 民間議員はと言えば、地方分権の時代にふさわしい国税、地方税の設計を提案し、格差を是正する方法として3つほど挙げられております。その第1に、地域によって偏在度が大きい法人2税配分を見直す、第2に、法人2税を減らすかわりに地方消費税をふやす、第3に、法人2税を交付税の財源とするかわりに交付税財源となっている消費税を地方消費税に移行するの3案を提案されました。なるほど、個人都道府県民税の住民1人当たりの地方税収の格差は税源移譲後の平成19年度予算ベースで、最高の東京都と沖縄県で3.3倍、東京都と本県では2.2倍もあるわけでして、何らかの是正が必要であります。
 何より格差の拡大を象徴するものが、景気回復に伴う法人2税の偏在です。これらも、平成19年度予算ベースで、最高の東京都と最低の奈良県で5.8倍にも及び、東京都と本県では4.7倍であります。また、地方財源のよりどころとなる地方の財政力格差を調整するための地方交付税は、三位一体改革で3兆円規模の税源移譲が実現した見返りに、地方交付税の総額は平成18年度までの3年間で5兆円以上も削減されてしまい、この状況が続けば地方交付税に格差調整の機能を期待できない状況も出てまいりました。
 私は、地方分権改革の中核たる地方税制改革については、国から地方への権限移譲とセットで、必要な税源移譲を行う垂直調整、そして自治体間の水平的な調整、これを同時に行うことが絶対に必要であると思うわけであります。
 2番目に、ふるさと納税について。
 また、地方間の税収偏在を是正する手法の1つとして、ふるさと納税に関する検討が始められています。これは、今住んでいる自治体へ納める個人住民税の一部を生まれ育った自治体へ納めることができるようにするという構想であります。
 ふるさと納税は菅総務大臣が5月に初めて明らかにしたものですが、安倍首相も検討に前向きな姿勢を示し、総務省はふるさと納税研究会を設置して、今月1日に会合を開催いたしました。年末の税制改正に向けて検討を始めたということであります。
 現段階のイメージとしては、個人住民税のうち現在居住する自治体へ納めるのは約9割にし、約1割はふるさと自治体などに納めるという形であります。個人住民税は平成19年度税収見込みで総額12兆円なので、約1.2兆円程度が動くということになるのでしょう。税制をめぐっては、自治体へ寄附する形にして、現行の寄附金税制を拡張してはどうかなどの意見があるようです。
 なるほど、個人住民税は現に居住する自治体から受けるサービスの対価という意味からは、この制度は応益課税原則に反するとの意見もありますが、私は、地方が子供を18歳まで育てるのに必要なコストは2000万円近いと言われており、過去に受けた行政サービスの対価を考えれば、逆に応益課税原則によりかなう、また、一部とはいえ自分の納めたい自治体に気持ちよく納税ができる、そしてこれが地方間の税収の偏在是正にも資するわけでして、なかなかいい制度だと評価しているところであり、今後の議論に大いに期待しているところであります。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 地方税の偏在是正についてどのようなお考えを持っておられるのか、また、ふるさと納税制度についての評価を含め、お聞かせをいただきたい。
 次に、今、財政負担として大変大きな問題の1つになっております大滝ダム建設に関する基本計画の変更について、これについて知事にお尋ねいたします。
 大滝ダムは、昭和34年、紀の川流域に未曾有の被害をもたらした伊勢湾台風を契機に計画されたダムであると聞いています。たびたびはんらんする紀の川の治水のため、また渇水時には水不足に悩む紀の川流域の利水のため大滝ダムは大きな効果を発揮するとの期待のもと、和歌山県と和歌山市、橋本市が大滝ダム事業に参加し、これまで負担金を支払ってきた経緯があります。
 大滝ダムは、平成14年8月にダム本体が完成し、15年3月に試験湛水を実施しています。その後、4月には白屋地区において亀裂が発生し、その地すべり対策を実施するために前回の変更につながったわけであります。
 大滝ダムが治水・利水に効果があるのはわかるが、問題は、計画変更に伴う追加負担が今回で6回目であるという点であります。これまで国は何回も何回も負担を求めてきているが、これがいつまで続くのか、いつになったら大滝ダムは供用できるのか、今後、追加負担をして地すべり対策をしてもまた同じようなことがあるのではないかということが心配されております。このように何回も同じことが続くことは国の調査不足があるのではないかというような疑問も生じてくるところであり、計画変更に同意をしなければどうなるのかとも考えるところであります。
 前回の計画変更時に白屋地区の地すべり対策をするとのことで国が県に負担を求めてきたときには、これが最後ということであったが、調査したらまた出てきたでは県民に対して説明が足りないのではないかと考えております。
 また、今回の変更により、利水予定者として大滝ダムに参加している和歌山市が9億5000万円、橋本市が4億6000万円の追加負担を求められていると聞いております。和歌山市長、橋本市長も今回のことはつらいのではないかと思います。県以上に財政的に厳しい状況にある両市にとって、この負担は耐えられるものではないのではないかと思うのであります。
 このような状況の中、県当局から議案第112号を上程してきているが、大滝ダムの必要性と基本計画の変更について知事はどのように考えているのか。また、県当局においては、国から技術的な説明を受け検討した結果、問題ないと判断して議案の提出に至ったと思うが、技術的に見て、今回の地すべり対策に伴う追加負担は、関係法律等で決められているところのやむを得ないものなのか。また、今後このような大規模地すべり対策をするようなところはもうないのか。県土整備部長からも答弁をいただきたい。
 質問4番目に、コムスン問題についてお尋ねいたします。
 県では、県民のだれもがいつまでも健康で長寿を喜び合える社会の実現に向けてさまざまな施策を展開していますが、その中で介護保険制度は、介護が必要な方々に対して、訪問介護やデイサービスなどの居宅サービスを初め、特別養護老人ホームなどの施設サービスを含めさまざまな介護サービスを提供しており、医療保険や年金と並ぶ重要な社会保障制度であります。
 県内では、現在、居宅サービスや施設サービスなどの介護サービスを多くの方々が利用しているところでありますが、介護保険制度は、市町村が保険者となり、利用者が介護サービスや事業所を適切に選択し、事業者と契約を結んでサービスを利用する仕組みとなっております。
 今回、その訪問介護最大手のコムスンが介護事業所の指定を不正取得したことが全国的に問題とされ、厚生労働省から指定の更新をしない処分の方針が示されると、コムスンの親会社であるグッドウィル・グループは同じ企業グループ会社に譲渡すると言い出しました。
 この譲渡の方針に対して仁坂知事は、定例記者会見でいち早く、「あれは脱法行為である」として、譲渡先から新規申請があっても絶対に指定を認めない方針を打ち出されました。この知事の発言に対して県庁に電話やメールで多くの意見が寄せられ、その大半が賛成意見だったと伺っておりますが、私もこのたびの知事の発言を高く評価している1人であります。その後、親会社であるグッドウィル・グループは介護事業から完全撤退することが新聞やテレビなどマスコミ各社で大きく報道されたところであります。
 しかしながら一方、利用者からは、今後介護サービスを継続してもらえないのではないか、気心の知れた担当のヘルパーさんが来てくれなくなるんではないか、また24時間の介護サービスを受けることができなくなる等、意見を寄せられ、また、従業員からは雇用に対する不安の声が多くあることも事実であります。
 こうした不安を解消し、高齢者の方々が住みなれた地域で安心して生活を送ることができるよう、引き続き適切な介護サービスを受けることができるようにするのが何よりも大切であると考えます。
 また、厚生労働省は各都道府県に対し、コムスンの利用者のサービス確保対策について指示したとも聞いております。
 そこで、福祉保健部長にお伺いします。
 まず、県内にコムスンの介護保険の事業所が何カ所あり、何人の方が介護サービスを利用されているのか。また、コムスンを利用されている方々の不安を解消し、引き続き適切な介護サービスを受けることができるようにするのが重要なことであると考えるが、これに県はどのように対応するのか。今後、県としてどのように事業所の不正防止に取り組むのか。部長の御所見をお聞かせ願います。
 今、社会保険庁の年金不備問題が新聞やテレビで大きく取り上げられていますが、この問題は、基礎年金導入時に計画的に統合を進める施策がなかったことが原因の1つであるとされています。
 社会保険庁では24時間対応の無料電話相談が始まったが、相談が殺到して電話がつながらなかった事態や、システム障害により相談に来た加入者の記録照会ができなかったこともあるようです。
 年金は老後の生活を支えるかなめであります。その年金がきちんと支払われるのかどうか、不安が県民の間に広がっていることも事実であります。
 年金問題は社会保険庁の管轄でありますが、当該関係県民のために、確認作業等の対応的なものなどについては県のほうでも何かできることがあればぜひ取り組んでいただきたいと考え、質問をしようと思ったんですけど、やはりこれは知事の所管外のことになるのでぜひ──もともとの責任というのは県民、国民にあるんではなくて、年金のことについてのいろんな記録の不備ということが社会保険庁の責任あるいは国の責任としてあるもんですから、何かの形でこれを県民、国民が安心できるような状態にするために──社保庁だけに任しておいてはなかなか調査とかいろんなことができない。また、これを余りアルバイトやあるいは他の人にやってもらうということも──私は、できれば公務員的な人たちに応援をしていただいていろんな不備の捜査をしていただく、あるいはその人の家に出向いていただく、そういうふうなこと、いろんな公務員の方でできるだけ体制をとれば1年以内にということが本当に可能になると思います。どうかひとつ、そのことも強く、県としてできることがあれば精いっぱい取り組んでいただきたいということを要望しておきます。これは要望にしておきます。
 5番目の、最後の2巡目国体の施設整備及び選手育成強化対策についてお伺いいたします。
 8年後、すなわち平成27年に、和歌山県が2巡目国体を和歌山県で開催の立候補をするに至り、今年度、和歌山県として仁坂知事もこの件を関係先に正式表明され、県議会もこれに関しては賛同するとともに成功に向かって支援を決意しているものであります。
 1巡目国体では、国体開催のために多くのスポーツ関係施設を設置、整備するとともに、「国体道路」とまで言われるほどの道路整備なども国体の機会に整備されたのは、当時を生き抜いてきた我々の知るところであります。
 2巡目国体開催は、青少年、そして和歌山県民の悲願でもあり、和歌山県民のスポーツを志す者にとって飛躍、成長の絶好の機会であります。
 近年の国体における和歌山県の成績は、47都道府県中、最も悪い順位とされる最低レベルの位置を低位安定固定の状態であります。これは、和歌山県民を初め日本国民から和歌山県を見たときのイメージの1つとしても、また熊野古道を初め世界遺産等を国内外に向かってPRをしている和歌山県としては残念な案件の1つであることは、言うまでもありません。しかしながら、和歌山県の財政を考えるとき、大変財政難を心配するものでもあります。
 最近の国体開催状況を考えるとき、近隣の府県と広域開催的な国体の開催方法をとる県もふえていくのではないかと思います。これには、道路交通網の整備もかなり進んできている府県が、財政難と重なり、国体を開催するための施設整備も困難であるため、道路交通網的に可能な近隣府県と広域開催的な対応となっているように考えます。
 1つ目の質問として、まず、和歌山県の2巡目国体を和歌山県で開催として招致を決意された意義について、知事はどのような考えに基づいて決意されたのかをお尋ねいたします。
 2番目に、スポーツを愛する県民にとって2巡目和歌山国体は夢をかなえるチャンスでもあると大変希望に胸を膨らませる一方、自分たちの関連施設を一日も早く設置や整備してほしいと、8年後に向かってさらに練習に励んでいる状態であります。多くの選手や応援者の皆様は、2巡目国体を和歌山県で開催する機会に施設の整備や設置がなされるとともに、8年後に向かって選手の育成及び強化策をとるとの県体育協会の表明があってからは、その取り組みについて大いに期待をしております。
 しかし、県庁相撲部のように、国体や実業団では優勝して当たり前の実力が国内に知れ渡り、和歌山県民の誇りの1つでもありましたものが、近年では県庁相撲部選手も高齢化して、残念な結果の年々を送っているものもあります。
 ぜひ、2巡目国体を和歌山県で開催する機会に、国体やオリンピック競技種目の施設については、できるだけ財政等考え合わせながらも県内に最低1カ所はつくるべきだと考えます。
 また、近畿2府4県内にも最近認定基準に合った公式・公認の競技場が1カ所もない種目の施設については、財政的に不可能な高額な費用負担でもなければぜひこの機会に和歌山の適地に設置し、近隣の府県にも将来は逆に使用料を取り利用してもらえれば、施設設置後の運営について県費負担となるようなこともない施設も幾つかあります。
 また、その種目によれば、その施設を設置することにより年間多くの公式競技大会のあるものもあり、公認競技場でしか開催できないため、そのような施設を和歌山に設置することにより、練習客や宿泊客が選手や役員初め関係者の参加人数を数字で示せるくらい具体的に和歌山に集客できることになります。経済波及効果も十分示せるものについては、県として幾らかの財政負担を犠牲にしてもこの機会に設置を決断しなかったら、永久に和歌山県内につくれないと思慮いたします。
 2巡目国体に向かって、選手や指導する者も含め、どのように確保、育成されるのか。また、国体開催施設の整備、設置について早急に対応する必要があると考えますが、知事の取り組みについてお尋ねいたします。
 これで、1回目の質問を終わります。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの井出益弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 第1に、来年度の政府要望についてでございます。
 本県は、大変厳しい財政状況の中、事務事業の見直しや人件費の削減等によって財源の捻出に努めながら、私が約束をいたしました公約、政策目標の達成に向けて、関係各位の御協力のもと、全庁挙げて取り組んでいるところでございます。
 ことしは、年度当初から現在すべての政策を評価・検討する中で、来年度に向けて和歌山県がみずから、これからどうしたらいいのか、どうしていくべきかという和歌山県の新政策について全庁的に議論をし、これを毎年やっていこうというふうに考えまして第1回目をやっているところでございます。
 その議論の中から、県みずからが取り組むべき施策、それから、これは国の各省庁にぜひ頼まなければいけないと、こういう整理をいたしまして、頼むべきものは、現在、国の来年度の政策の検討も進んでいるというところでございますので、少し急ぎ目に取りまとめて、この間発表さしていただきながら、既にいろんな要望活動を行っているところでございます。
 こうした作業を踏まえて、関係省庁に対して、この間も私は参りましたけれども、各部長以下各部局もみんなそれぞれ継続的に運動しておりまして、継続して働きかけを行っていきたいと思っております。
 ポイントは、地方の税財源の確保、道路整備や東南海・南海地震対策の推進、医師確保など、元気な和歌山を実現するためにはどの項目も大変重要なものでありますので、議員の皆様には要望項目の実現に対する今後とも一層の御協力と御支援をお願いする次第であります。
 先ほど井出議員から、信念と何を強調したのかというお話がございました。
 信念は、これは和歌山のためになることは何でもいただきましょうと、お願いしますということであります。
 それで、何を強調したのかということでございますが、そういうことを実現するために、和歌山にとって得になることを実現するために2つのポイントがあります。
 まず第1に、和歌山県の実情を一生懸命きちんと訴えることであります。それからもう1つは、それが単なる地域エゴというふうに聞こえないように、国の役人だってわかるような理屈を示唆する──こちらから、こういう考え方じゃないでしょうかと、それならあなたはちゃんと説明できるんじゃないですかということをこちらから申し上げて、それを採択してもらうようにするということではないかと思います。
 そういう意味では、単に和歌山県の我々だけの固有のお願いだけではなくて、国全体としてこういうふうにすべきではないですかというようなことも要望の中には加えました。
 例えば、今、井出議員から話がありましたような地方の税財源の話、あるいは防災について和歌山県は地震・津波被害に対する対策が大変でございますけれども、これは何も和歌山県だけではありませんから、緊急に国でそれを整備するようなスキームをつくったらどうでしょうかというような話とか、あるいは地球環境の問題についてもっと、技術開発だの何だのと言ってないで、根本的なところを大きく構えて、特に民生と運輸部門についてやったらどうでしょうかと。それから、和歌山県も大変ですけれども、各地域とも地方は道路が本当にないんですよと。したがって、財源対策についてはぜひよろしくお願いしますというようなことを訴えてまいりました。
 国の政策を動かすのは容易ではありません。だけど、彼らもやっぱり身も心もある人間でありますので、その身と心のところをうまくくすぐるようにして動いていただくということではないかと思います。
 既に幾つかのところで動いていただいておりまして、医療などは国の政策が動き始めました。和歌山のためになるように、これをうまく刈り取らないといけないと思っておりますが、引き続き頑張っていきたいと思っております。
 それから、第2に地方税財源の偏在性の問題についてでございます。
 御指摘のとおり、そもそも所得水準等が違う、その差に伴って税源の地域間格差が存在している中で、近年の大都市圏を中心とした景気回復に伴う法人2税等の増収を背景に、さらに残念ながら格差が拡大する傾向にあります。そのために、地方がその責務に見合った財源を安定的に確保できるよう、偏在度の少ない基幹税を中心とする地方税体系の構築が求められていると私は思います。そのためには、国、地方全体をもう一度眺め直して、あるいは自治体間の税収格差をどう考えるのかを含めまして全体の税収配分のあり方を再検討していただきたいというのが私どもの願いであります。
 偏在是正の方法といたしましては、まず安定的で地域偏在度の小さい地方消費税を拡充していくことが必要であると思っております。また、法人2税につきましては、さまざまな議論がなされているところではございますけれども、地方にとってどういう制度が適切であるか、議論を見きわめつつ、今後とも和歌山県の有利になるように対応してまいりたいと思っております。
 次に、議員お話しのふるさと納税についてでございますが、私は、進学、就職に伴って都市部へ人口が流出するような地域の実情等をかんがみるに、いいアイデアであると思います。もちろん、これですべての地方税の問題が片づくわけではないということも、また承知しております。ただ、地方税の偏在是正に効果のある制度として、1つのアイデアとして実現できればいいのになというふうに考えております。
 なお、このふるさと納税につきましては、都市に生活の本拠を置きつつ一定期間地方に居住する2地域居住者が地方にも住民税を納税するといったような、2地域居住税制というようなアイデアもあるやに聞いております。これもあわせて検討していただくようにお願いをしているところでございます。
 いずれにしても、どこに住んでいても国民として必要な行政サービスは、私は公平に保障されるべきだと、すべての日本人に保障されるべきであるというふうに思っております。このために、地方公共団体がどんなに頑張ってもそれができなくなるという事態だけはぜひ避けてもらいたいと、これが私たちの切なる願いでございます。
 次に、大滝ダムの話でございます。
 大滝ダムにつきましては、議員御指摘のように、昭和34年の伊勢湾台風による被害、これが大変なことになりましたので、これを契機に計画されたダムであります。紀の川流域の治水、それから利水に大きな効果を発揮するものでありますので、紀の川流域に住む県民の生命、財産を守るためにはなくてはならないものだと考えております。
 去る6月1日、近畿地方整備局長が来庁され、白屋地区以外に地すべりの可能性がないか調査したところ2カ所で対策が必要であることが判明したので、放置できないから地すべり対策を実施し、早期にダムの効果を発揮したいので応分の負担をぜひお願いしたいというようなことがありました。もちろん、その前から中身は大体承知しておりましたのでインフォーマルな話はしておりましたけれども、正式にお願いをしに来られたということであります。
 県の財政あるいは関連の市役所の財政を考えると、これは非常につらいものがあります。なぜならば、私たちが実現をしたいというこの支出の利益、これについては、紀の川の流域の治水と、それから一定の利水です。それに対して、それがふえてないのにもっとお金がかかるというのは大変つらい。特に私どもはお金持ちの県ではないわけですからとてもつらいわけですけれども、しかしながら、その費用負担割合については特定多目的ダム法及び河川法の規定によって定められています。その定められているところについて、これはどうだと、この制度についておかしいんじゃないか、もっと国が全部やるべきじゃないかというような議論は一方であると思います。ただし、現在そこに制度としてあるのは、現在のあの負担割合であります。したがいまして、治水効果を受ける本県が仮にこれに同意しなかったとすると、大滝ダム事業は継続することができなくなってしまいます。
 私は、県の財政から考えると、もちろんそれについては支出をしたくない、皆さんもそう考えておられるということはよくわかっております。私もそうであります。しかしながら、住民の安全を考えると、これはとめてくださいというようなことを申し上げるわけにはいかない。治水はどうでもいいと言って工事をとめてしまうわけにはいきませんので、同意をせざるを得ないということを申し上げた次第であります。
 なお、もちろん国へは、本来ならばほかに使えたお金をここに出さざるを得ないということなんで、和歌山県の実情を考えて、もちろんコスト縮減ももっとやってもらいたいし、早期完成もやってもらいたいし、それから紀の川流域の治水対策を一層やってもらいたいし、そのほか、いろいろ和歌山県として使いたかったところがたくさんあるんですよというようなことをずっと申し上げているところであります。議会の御理解と御協力をお願い申し上げます。
 実は、その話はずっと前からやっております。国土交通省にお願いに我々として行きましたら、向こうからもお願いされます。国としても大変な負担なんですが、県としての実情もわかってますが、「どうぞ、途中でとめるわけにいかないからよろしく頼みます」ということを言われます。そのときは、苦しいということを実情を申し上げる。その苦しいという実情が、最近、たくさんの、援助といいますか国の支援が和歌山県に向かっておりますけども、多分、論理の問題ではありませんけれども、身も心もある人たちの行動としてそういうのがたくさん来ているんだなというふうに思っております。
 例えば、近畿自動車道紀勢線と、それから京奈和の2つの金額の増額だけ考えても、実は既に今度数年間で払わないといけない金額よりも大きくなっております。ただし、それで終わりというもんでもないし、こんなものは取引の問題ではありませんから、今後も実情を訴えて、和歌山のためにもっといろんなものをやってくださいということをお願いしていくということではないかと私は思っております。
 それから、和歌山国体の問題でございます。
 和歌山国体の開催の意義については、我が国最大の総合スポーツの祭典であります国民体育大会、これにつきましては、広く国民の間でスポーツを普及させるとともに、国民の健康増進と体力向上はもちろん、地域スポーツの振興・発展に私は寄与してまいったと思っておりますし、まいると思っております。
 国体で活躍する競技者のひたむきな姿は、開催県を初め多くの県民に夢と感動を与えるとともに、地域の活性化や郷土の一体感を促し、和歌山を元気にするものであると私は思っております。
 70回和歌山国体の開催に当たりましては、もちろん我が県の財政を考えまして、それから一般的な傾向を考えて、簡素化、効率化を図りながらも新しい時代に適応した和歌山の魅力を最大限に生かした、質の高い、それから心のこもった大会にしたいというふうに思っております。
 また、国体終了後も、大会を一過性のものにして、終わっちゃったということではなくて、国体開催を起爆剤に地域が活性化をし、県民が活力に満ちた生活を営むことができるよう、継続的にスポーツ振興に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、国体に向けての選手の育成及び強化策につきましては、これについては、今、一生懸命取り組んでいるところであります。
 まず、少年種別対策といたしましては、昨年度から実施しております、すぐれた資質を有する子供たちを発掘して育成をする、このゴールデンキッズ発掘プログラムというものをやっておりまして、この充実に努めてまいりたいと思いますし、それから、関係競技団体とも連携し、ジュニア競技者の育成強化を図ってまいりたいと思っております。
 また、指導者につきましては、すぐれた指導力を有する現職及び退職した教職員などがより広域的な場で指導力を発揮するきのくにエクセレントコーチ制度の活用・促進に努めるとともに、地域における強化拠点整備を図りながら指導力のある人材を確保し、その適正配置に努めてまいりたいと思っております。
 それから、国体に向けた成年種別の強化につきましては、県内各企業の御理解と御協力を得ながら企業のクラブチームの設立とか地域におけるスポーツクラブの活性化を支援するということをやっていきたいと思いますし、それから国体実施競技におけるトップレベル競技者の確保並びに育成強化も図ってまいりたいと思っております。
 次に、和歌山国体開催に向けての施設の整備及び設置についてでございます。
 これにつきましては、県は、現在、申し上げておりますように、大変厳しい財政状況を抱えております。そういうことを考えますと、県内の既存の施設あるいは近畿各府県の施設を有効に活用していくということも必要かと思いまして、実は今回の国体の開催に当たりましては、あらかじめ必要なときには各県に施設を貸してくださいと。どれを貸してくださいとは申し上げておりませんが、貸してください、それで協力しようということで、実は手続を進めているところでございます。
 この施設については、単にこれも一過性ではなくて、国体開催後の利活用あるいは青少年の健全な育成、もっと申しますと地域おこしのもとになるということもあろうかと思います。
 したがいまして、それぞれの関係競技団体、それから各市町村、そういうものの意向──これはぜひ私どもに来てくださいとか、これはこのぐらい自分たちが負担をするからこれだけ整備してくださいとか、そういうことについてのどのぐらい熱意があって自分たちも貢献しようとしているのかということについて一斉に調べたいと思っております。それを調べて、県の支出ができるだけリーズナブルなところに落ちつくように考えて、じゃないと財政が破綻してしまいますから、長い間かけて少しずつ整備をしていく。その意思決定のプロセスを、県民がみんな参加するという形でやっていきたいと思っているわけでございます。
 これについては、今、原案を作成している段階でございますので、追って、ことしの秋以降になると思いますけれども、各市町村、各団体に意向調査──自分たち、これはぜひ来てほしい、なぜならば自分たちはこういうことを提供するから一緒にやらんかというようなことを聞きながら全体として決め、それで和歌山県でどうしようもなくできない、いろんな事情でお金もかかるしできない、そんなに受け入れの人たちもいないということであれば、やむを得ず他県の施設をお借りするようにお願いをしてまいるということでやっていきたいと思っております。
 ありがとうございました。
○議長(中村裕一君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 大滝ダムについて2点お答えをいたします。
 まず、追加負担についての技術的、法制度的見解についてでございます。
 白屋地区での地すべり発生を受け、その他の斜面の安定性を評価するため、大滝ダム貯水池斜面再評価検討委員会において白屋地区の地すべりの詳細について調査がなされ、我が国で初めての地すべり発生機構、いわゆる前面すべりのメカニズム等が解明されました。その知見に基づきダム湖全体の詳細な調査が実施されたところ、大滝、迫の2地区において前面すべり等の可能性が指摘されました。引き続き設置された大滝ダム貯水池斜面対策検討委員会において、安全性の確保とコスト縮減を柱にさまざまな対策工法が検討され、対策案が採用されたものと考えております。
 法制的には、河川法第60条第1項等の規定により県の治水負担が義務づけられており、特定多目的ダム法第7条第1項等により、県、和歌山市、橋本市の利水負担が義務づけられております。
 今回の2地区の地すべりは、ダムの貯水が原因で発生するものであるため、ダム事業として負担せざるを得ないと考えております。
 県が計画変更に同意せず工事がとまった場合にはダムの運用ができなくなり、洪水に対する流域住民の安全が確保できなくなるため、このことからも負担はやむを得ないものと考えております。
 なお、コスト縮減につきましては、従前より強く国に申し入れてきたところでございます。国も、ダムの水位運用を工夫して斜面自体の安全性を高め、対策規模を縮小したり、土砂にセメントをまぜることで盛り土の体積を減らすなど、最大限の努力をしていると考えております。引き続き、コスト縮減については国に申し入れをしていく所存であります。
 次に、さらなる発生の可能性についてでございます。
 今回の地すべりの検討は、日本でも権威ある学識経験者、専門家で行っており、レーザー航空測量等最新技術や最高レベルの知識を駆使してすべての斜面の安全性を検討した結果、大滝地区、迫地区2カ所で地すべり対策が必要と確認されたものであります。
 また、今回、日本で初めて地すべり対策としてダムの水位運用を採用し、水位をゆっくり下げ、土の中に水が残ることを極力少なくして貯水池斜面の安全性を確保することなどの対策も提案されております。
 このように、ダムの運用自体に制限を加え地すべりの発生リスクを少なくする手法は日本でも例のない手法であり、国としても最大限の手を尽くしているところであると考えております。
○議長(中村裕一君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) コムスンの問題についてお答え申し上げます。
 まず、県内の株式会社コムスンの介護保険事業所の箇所数とその利用者数でございますが、和歌山市に7カ所、海南市に1カ所の合計8カ所の事業所がございます。利用者数は約500人と承知してございます。
 次に、利用者の不安解消とサービスの継続についてでございますが、県といたしましても、議員御指摘のとおり、利用者へのサービス確保が最も重要であると考えており、相談窓口を設置し、利用者に、現在利用中のサービスが直ちに利用できなくなるものでないことや、県、市が利用者のサービスの継続について事業者を指導していくことを説明し、安心確保に努めております。
 また、事業者に対し、指定更新期限までは利用者の希望に応じ適切なサービスを提供すること、更新期限到来時または事業譲渡等を行う場合には、他の事業者への紹介など、利用者のサービスの円滑な引き継ぎを行うよう指導したところでございます。さらに、県においても、関係市町と連携し、利用者のサービス継続に支障が出ないよう努めてまいります。
 次に、介護保険事業所の不正防止につきましては、平成19年4月23日付で全事業者に対し「法令遵守の徹底について」を通知し、人員基準や介護報酬請求などの法令遵守について自主的な自己点検を行うなど、積極的な取り組みを要請したところであります。また、今後、事業所に対する集団指導や個別実施指導等、あらゆる機会を活用いたしまして法令遵守について事業所を指導してまいります。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 以上で、井出益弘君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番玉置公良君。
  〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 おはようございます。
 きょうは、西牟婁の方々や、また日置川の川添地区の公民館の皆さん方がこの議場に見えておられます。
 まず、この間の選挙を戦わせていただきまして、私も4期目を当選させていただきました。特に、選挙期間中も聞かしていただいたんですけども、きょうもお見えの方から聞かしていただきましたけども、仁坂知事が1人で語り部さんと一緒になって中辺路の熊野古道を歩いておられると、こういうことを聞きました。私はそのことを聞いて、県内を隅々やっぱり歩いて自分の目で確かめてやられておると、そのことに対しまして本当に大変うれしく思いました。きょうも大辺路の語り部さんも見えておりますから、できたら大辺路も歩いてほしいなと思っております。
 それと、もう1つだけ報告をしておきます。
 欧州の、いわゆるヨーロッパの県人会でございます中口和己さんという方が、ずっといろいろ世界遺産の関係で取り組んでおられますけども、このたび県の御協力も得て、この7月の9日から、デンマークのコペンハーゲン、ここで高野・熊野の我々ふるさとの世界遺産展をやってくれると、こういうことを聞いておりますので、重ねて報告をしておきたいと思います。
 それでは、早速通告に従って質問をしてまいりたいと思います。
 きょうは、2つに絞って──大きく言えば3つですけども、質問をしたいと思ってます。
 1つは、この選挙期間中、地元西牟婁郡のいろんな課題を聞いてまいりました。その中で、とりわけやっぱり重要やなと思っておるのが医療問題でございます。これともう1つは、さきのドイツのサミットで、経済問題よりも環境問題が最優先をしていくと、こういった1つの取り組みがされてきましたけども、その中で、まだ議論はされておりませんけども、実は土でありますけれども、土が地球環境を救うんだと。このことについて、ぜひとも県当局にも理解をしてほしいと思いますし、和歌山県発としてやってほしいと。このことをこれから申し上げていきたいと思っております。
 ちょっと風邪を引きましたんで、声が汚いんですけども、お許しをいただきたいと思います。
 まず最初に、医療の格差をなくし、安心できる地域医療の確立について質問をしてまいります。
 身近なところに安心できる病院や診療所が欲しい──どんな地域でも住民の願いは同じであります。きょうもお見えの日置川川添診療所については、この1年間、医師の確保について地元の皆さんは大変心配をし、御苦労をされてきました。このたび、県の支援をいただき、地元白浜はまゆう病院の御尽力もあり、医師の確保ができることになりましたことを、この場をかりてお礼をまず申し上げたいと思います。
 今、よく「格差社会」という言葉を聞きますが、医療の現場では、都市と地方、大きな病院と中小の病院との医師や看護師の確保で格差が大きく広がっています。こうした医療格差を解決し、安心できる医療をつくるために現場の声を反映した提言をこれから申し上げてまいりますので、当局の御見解をお願いしたいと思います。
 それでは、まず1つ目ですが、医師の格差とその確保についてであります。
 全国的には、3年前からスタートしました国の新研修医制度の影響によって、大きな病院に医師が流れ、田舎や地方の病院には医師が来なくなるという、都市と地方の医師格差が問題となっています。
 実は、私ども紀南においてもそのあおりを受けて、自治体の病院や診療所の医師不足が深刻な状態になっています。例えば田辺市にある紀南病院では、血液内科の医師がこの4月からゼロになりました。昨年の実績を聞いてみると、1年間で入院患者が延べ333名、外来が延べ1762人もかかっていましたが、それができなくなったのであります。脳外科の医師も、この6月からゼロとなりました。
 県においては、従来の県立医大や自治医大の派遣を初め、新たに県立医大の定員増を国に働きかけ、医師確保を進める取り組みも進めていただいています。また、さらに一昨年からは県のドクターバンク制度を立ち上げて取り組んでいただいていますが、残念ながら10名の目標が、ようやくことしの4月に1名だけが応募され、登録されたところであります。地元の自治体関連の病院も独自で動いているようですが、なかなか進んでいないのが実情であります。
 そこで、私の提案を申し上げたいと思います。
 私の地元に第三セクターの白浜はまゆう病院という地域医療を担う病院があります。13年前のスタート時は47床でしたが、今では300床と大きな病院になり、財政運営も単年度黒字です。
 私自身も立ち上げ時からかかわらせていただきましたが、この病院は自治体病院のように系列の大学病院を持っていませんから、医師の確保は全くゼロからのスタートでした。そのため、人脈だけを頼りに、地域医療日本一の長野県の諏訪中央病院の医師を含め、3人の若い医師に強くお願いをし、来ていただくことになりました。そして、その医師の方々の人脈で新しい医師確保をお願いし、また地元の方々の人脈をおかりして医師を確保してきました。
 今は、県立医大や県の御支援もいただき、現在では22名の医師を確保しています。最近の医師確保の特徴は、ホームページを立ち上げ、団塊の世代の医師を募集しています。この4月から、山形県からと東京からの2名の医師が赴任をしてくれました。
 これは一例ですが、このような取り組みを、医師不足に陥っている自治体病院、診療所みずからが特色あるセールスポイントを打ち出し、ホームページなどを利用し全国募集をしたり、また地域に住んでいる住民の方々のそれぞれの人脈やつながりを見つけ、スカウトしていく取り組みを促していただく。県はこれらを総合的に取りまとめ、県立医大卒業生や全国の団塊の世代の医師に対しての募集、アプローチや体験研修の受け入れなど、知恵を出し工夫をしてインターネットや広報啓発を積極的に進める支援体制をつくることを提案しますが、いかがでしょうか。また、医師確保に対する知事の考え方をお伺いしたいと思います。
 それと、もう1つでありますけども、診療所へ自治医大の医師が派遣をされていますが、地域医療に頑張られる医師への支援体制が私は必要だと思います。
 診療所に勤務されています医師との取材もさせていただきましたが、1人ですべてを任されることは、地域医療を担う使命感があっても、なかなかそれは長く続きません。結局、燃え尽き症候群ではありませんが、そのようになるのです。そこに週のうち1日でも地元の連携できる病院があれば、ほかの医師が応援に来ていただけることになり、精神的にも大きく違うと思います。
 派遣する県の当局は、そうした医師の支援体制や意見を聞く場を定期的につくり、現場をチェックし、受け入れの自治体をきちんと指導できる、そうした体制をつくることを提言いたしますが、これは福祉保健部長にお伺いをしたいと思います。
 続いて第3点目は、看護師の格差とその確保についてであります。
 和歌山県全体の看護職員の需給計画を見てみますと、昨年度だけでも1303名の不足となっている、そういう数字が出ています。昨年から紀南の看護学校の卒業生が和歌山や大手の病院に流れ、紀南地域の就職が極端に少なくなって、地元の病院は危機意識を持っています。これは、入院時に1人の看護師が7人の患者を見るという新しい看護基準が昨年の4月から導入されたのがきっかけだと言われています。
 保険で賄う看護の費用は、1人の看護師が見る患者の数で決まるのです。看護が手厚いほど病院の報酬は高くなる。このため、全国で看護師の争奪戦が繰り広げられていると言われています。都市の大病院が看護師の確保に走り、地方の中小病院は防戦に追われ、このままでは地域医療が崩壊しかねないという声も出るほどであります。
 手厚い看護は必要ですが、新基準さえ満たせば診療報酬を引き上げるという今回の国のやり方が拙速で荒っぽかったためか、看護師確保の格差が出てきているのであります。こうしたことに対して知事の考え方をお伺いしたいと思います。
 話は地元に戻しましょう。具体的な事例を申し上げます。南紀高校看護科の──これは今、田辺にありますが、卒業生で言えば平成18年度の卒業生の就業先を調べたところ、30名、実は卒業いたしました。ところが、地元田辺に10名しか残らず、県外の一番多い大阪の11名を初め、半数以上が県外に行っている状況であります。地元の病院などは、学校に対して研修生の受け入れや講師の協力など尽力をしてきていますが、先ほど申し上げました国の政策等の問題もありますが、まず解決できるのは、地元の学校で卒業する者については地元に優先して就職するよう進路指導を積極的にするべきだと考えますが、教育長にお伺いしたいと思います。
 もう1つ提案をしたいと思います。
 看護師の養成カリキュラムの考え方を変えて、国家資格を取得した後、平成16年度から始まった医師の新医師臨床研修制度と同様に、1年程度の期間でいいから、看護不足で困っている県内の、特に紀南の病院に派遣研修をするという、こうした方法はどうでしょうか。これは国が検討すべき事項でありますが、知事の裁量で派遣先を決定し、1年間その病院で看護のイロハを学ぶ。場合によっては定着することにもつながります。資格取得後の1年ということで即戦力とはならないかもしれませんが、検討する価値は十分にあると私は思います。これらのことを国に提言してみてはいかがでしょうか。あわせて知事にお伺いいたします。
 最後の4点目については、僻地への救急対策についてであります。
 今回見えています川添地区の急病人に来る救急車は、約27キロ離れています日置川消防署から来るため、時間で言えば約40分ぐらいかかります。平成17年では年に42件ございました。例えば、重い心筋梗塞等であれば間に合いません。ところが、隣の上富田町にある田辺市消防本部の上富田消防署からであれば、約20分ぐらいで到着します。命にかかわることであり、こうした自治体の枠を超えた広域での救急体制を早急につくるべきだと私は考えます。
 課題は、救急車両と人員体制の問題や財政負担の問題等がありますが、県としてその実現を図るような支援をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。さらに、県下全域でもこのような同じようなことがあると思いますが、あわせて危機管理監にお伺いをしたいと思います。
 2つ目の質問に移ります。本日も議会傍聴にお見えですが、私ども白浜町椿に設置をされています県立の軽費老人ホーム無憂園について質問をしてまいります。
 昭和39年に開設をされ、平成14年11月、老人休養ホーム真静荘を改修して全面移転され、ことしの4月現在、20人の方々が入所中であります。昨年の4月から指定管理者和歌山県福祉事業団に運営管理を委託して、14人の職員の方々が働かれています。
 ところが、昨年であります、県の耐震診断結果で本館が震度6強で倒壊または崩壊の危険が高いと発表されて以来、入所者の方々を安全な場所への確保など話し合いを進めてこられたのですが、また、私自身も昨年から委員会でも取り上げ、先月は入所者の方々との話し合いもさせていただきましたが、長く住みなれた入所者の方々にとっては突然のことであり、大きな不安と混乱をしているのが実情であります。また、地元住民としても心配をしています。
 県当局もそうしたことを配慮していただいて取り組みを進められていますが、先般、入所者のアンケートで、18名の方が、今の場所に残りたい、そういった結果が出たと聞いています。こうした事情をかんがみて、今後2年間をめどとして転居を進める方向だと聞いていますが、この議会の中でまずそのことを確認しておきたいと思います。
 それからもう1つ、今後のことについてですが、椿地区の将来の活性化につながる対策について、地元住民を初め関係者と十分協議を図り、新しい方向を打ち出していただくことを強くお願いするものですが、福祉保健部長の御見解をお伺いしたいと思います。
 今までは地域問題について質問してまいりました。これから地球を救う土壌保全の発信について質問をしてまいりたいと思います。(発言する者あり)まあ一遍聞いていただきたいと思います。
 今までサミットと言えば経済問題でありましたが、今回ドイツで行われましたサミットは全くさま変わりをして、地球環境問題に変わりました。この間、ようやくアメリカが重い腰を上げ出しました。それほど地球の崩壊は許されないと、地球温暖化防止は全世界の共通の緊急的課題として進み出しました。
 私は、これまで地球温暖化防止の観点から、空気、森林、水、海、世界遺産などを取り上げてきました。しかし、一番の究極のテーマが残っていました。それは土、つまり土壌であります。
 我々の食べ物を栽培してくれるのも土。我々が植林をしたり、また自然が森林をつくり上げる土台となるのが土。我々の生存に不可欠な澄んだ水をつくるのも土。つまり、自然環境のメカニズムを生かし、地球温暖化防止の究極のかぎとなるのは土であることが実はわかってきました。
 土壌学の権威者であり、日本のノーベル賞と言われる日本国際賞の審査員も務められる京都大学の久馬一剛名誉教授は、「土とは何だろうか?」という、こういった本でありますけども、(本を示す)この著書の中で、実は地球上で土壌は悪玉の二酸化炭素の最大の隠れ家となっておる、そして、世界の土壌の含有するCO2の総量は表層1メーターだけでも1兆5000億トンもある、これは陸上のあらゆる植物の中に存在するCO2のざっと3倍、大気中のCO2のほぼ2倍に相当する、そう言っています。ですから、大気中に放出される二酸化炭素をまず植物に吸収させた上で、土壌にも炭素有機物としてうまくためることができれば、温暖化防止に大きな役割を果たすことになるのです。逆に、もし土壌の中に眠っている炭素有機物が分解をし、CO2となって大気中に放出されたら、これは大変なことになります。そういう意味で、土壌は地球温暖化問題の帰趨を決する重要な役者であると言ってもいいのですと、このようにこの本の中では述べています。
 私は、この本を読んでから、昨年から土について、県の農業試験場や日本で一番進んでいますつくばの独立行政法人農業環境技術研究所の取材をさせていただいたり、オランダの土事情など、現場に行き、調査をしてきました。
 土が私たちの生活にとってどんなにありがたいものであるかは、自然豊かな和歌山に暮らす私たちでもつい見過ごしがちであります。しかし、その大切な土が今大変な危機的状況にあるのです。
 表土といって、これは一度だめになったら取り返しのつかない繊細な物質ですから、壊れる前に予防することが何より大切であります。私が昨年調査に行きましたオランダでは、表土をわざわざほかの国から買っているぐらい、そういったことをしています。1センチメートルの表土がつくられるのに何と100年から500年の歳月がかかると推定をされています。
 そして、黒々とした滋養分たっぷりの表土は世界にも少ないのであります。フィリピンやタイなどの熱帯途上国の多くは赤土で覆われています。ですから、日本の黒土は世界的に見ても本当に貴重かつ希少な天然資源であります。
 私も、調べれば調べるほど、そうした土の重要さがわかってきました。大気や水と違い、すぐには変化しませんが、確かに土は地球の肝臓であります。
 全地球的に見れば、人口の急増とそれに伴う農業生産拡大の中で土壌の劣化が進みつつあり、土壌の保全が極めて重要になっていることを世界じゅうは認識をし始めました。従来の化学製剤、薬とか肥料ばかりに頼る農業でいいのか。さらに、土は地球温暖化問題のキャスチングボートを握ることになってきました。
 ただ、土壌保全、活性化には膨大な費用がかかることも事実であります。しかし、土を21世紀の人類生存のための基礎的な社会資本、公共財と考えれば、こうしたコスト負担は、お金がかかろうと社会的に必須なものとして考えるべきだと私は思いますし、それを担保とする立法措置がぜひとも必要であると思います。
 こうした背景のもとで、これまで農家の方が守ってこられました梅やミカンなど多くの優良農地、さらには世界遺産を抱える我が和歌山県こそが率先をして先駆的な条例への取り組みをやってみようというのが私の提案であります。和歌山から全国初の土壌保全の発信をしようということであります。
 具体的にこれから申し上げます。
 第1点目は、土壌保全に対する基本認識と地球を救う土壌保全調査事業の継続実施と研究体制の充実や専門家の養成であります。
 私は、今回の調査を通じて勇気がわいてきました。実は日本は、土壌保全については先進的な国であります。日本は紛れもない農業国でしたから、土の大切さは古くから認知されており、既に明治時代から農の基本である土壌の調査が行われていました。
 ところが、そのやさき、国の財政改革によって、昨年でありますが、2006年からこの土壌調査を国が行うことをやめて、その費用を交付税として地方に回し、調査を続けるか否かは地方の裁量にゆだねるということになったのであります。財源不足にあえいでいる地方自治体としては、その費用を待ってましたとばかりにほかの使い道に回すところも出てくると思います。現に、聞くところによると、近畿の某県では土壌調査はやめる方向だそうです。これは大変なことです。長年日本が積み上げてきた土壌のデータベースの宝庫が用をなさなくなるおそれがあります。
 国の根幹的な政策を地方に丸投げをするのは、地方分権に名をかりた政策放棄と言われても仕方がないでしょう。私は、このやり方には賛成ができません。事の重要性から見て、土壌調査は国が全責任を持って遂行すべきものだと考えておりますが、まず和歌山県は、農業県としても率先してこの事業の継続を図り、土壌研究体制の充実や専門家の養成を行うことが私は大事だと思います。
 そこでまず、知事に土壌保全に対する基本認識をお伺いするとともに、土壌保全調査事業については農林水産部長にお伺いをしたいと思います。
 第2点目は、土壌を地球温暖化防止対策の新しい戦略にすることについてであります。
 もう1つ、大きな発見が生まれました。それは、土壌保全の重要性が地球環境の視点からもますます高まっていることです。地球温暖化防止対策の新しい戦略によって土が浮上してきたのです。というのは、2013年以降のポスト京都議定書の国際交渉の中に、土のCO2吸収能力がカウントされることが濃厚となってきたからであります。
 農業環境技術研究所、これは独立行政法人でありますが、つくばにございます。ここの大倉主任研究官に聞いてみますと、つまり「温暖化対策の重要なファクターとして土のCO2吸収力が認められたのです。そのときこそ日本が積み上げてきた土壌のデータベースが威力を発揮するのです。CO2をどこにどれだけ効率よくためられるか、そうした点も、他国よりもすぐれた土壌改良技術、例えば森林管理の技術などの実績を持っているのです。これこそ日本の強みであります」、そう語ってくれました。
 温室効果ガスの中で最も影響の多いこのCO2については、その発生にも吸収にも土壌は大きい役割を担っております。こうしたことが実は発見されました。
 そこで、やはりさすがだと思ったのは、一方、アメリカです。京都議定書に批准しないことで世界じゅうから非難をされていますけども、この土に目をつけて、今に見ていろよと言わんばかりに土壌保全調査に巨額の連邦予算をつけ、温暖化対策のかなめにしようとしています。あの広大なアメリカの土地がCO2をどれだけ吸収しているかデータをとり、それを武器に反撃をしようとしているのであります。
 今、EU、ヨーロッパやアメリカは、日本の土壌調査の実績を参考にしてこうした動きに出てきているのに、肝心の日本が土壌保全政策を後退させようとしている。これではポスト京都議定書やWTOの国際交渉における我が国の優位性が揺らぎかねません。それがとても心配ですが、知事の考え方をお伺いしたいと思います。
 第3点目は、県民啓発やPRについてであります。具体的には土壌博物館の新設などであります。
 今、世界的に各種の博物館がブームとなっています。であれば、土も水や空気と同じように博物館で展示されるべきだと思います。
 例えばアメリカのスミソニアン自然史博物館では、来年2008年から全米各州の代表土壌の標本を展示して、国土の成り立ちと多様性を啓発しようとしています。何をどのように展示すればいいのか、いろいろあるでしょうが、欠かせないのは土壌の断面標本であります土壌モノリスです。
 ちょっとつくばのほうから本物を借りてきましたんで、見ていただきます。(現物を示す)こちらが典型的な水田土壌の一例です。これ、土壌のモノリス、断面です。これは、河川いわゆる川から砂や粘土、こういうものが運ばれて堆積をした、それが学者の言葉で言うたら無機質材料になってできた土壌がこういうことになるらしいんですけども、分類名は「灰色低地土」と言います。これは日本の全体の農耕地で21%を占めるらしいです。これにも、もちろんCO2の先ほどの吸収能力があるわけです。
 こちらは、典型的な畑の土壌、主に富士山からの火山灰、これが無機質材料としてできた土壌、こういうことを言われています。「黒ボク土」と別名言われています。それで、これは、ニュージーランド、フィリピン、さらにはインドネシア、こういった火山活動の活発な地域にあると。ちょっとここ、黒くなってますね。この辺がCO2の吸収量が多いんですよ。それで、ここはなかなか栄養もあってあれですけども。こういった中で、大体これ約25%を占めるということです。──まあ、知事にもね。これ、本物です。これは和歌山県で実はできてないんですよ。ぜひともやっぱりこれをつくっていただいて、お願いをしたいと思います。
 土壌博物館を別名「土壌モノリス館」と言うぐらい、土壌を知る最も有力な手がかりであります。ですから、土壌の大切さを訴えるには、こうした土壌モノリスをつくり、博物館に展示することが最も手っ取り早い方策です。
 私は、つくばにある土壌博物館を昨年見たとき、ぜひ和歌山県にもつくりたいという思いを強くしました。我が和歌山県には、粘菌学者として世界的に有名な南方熊楠の研究功績を展示している南方熊楠記念館があり、また、自然博物館や農業試験場など、土壌博物館をつくる下地と受け入れ態勢が他県と比べてより整っていると私は思います。和歌山県にぜひ土壌モノリス館をつくってもらいたいと思いますが、農林水産部長の考えをお伺いしたいと思います。
 第4点目は、戦略的環境影響評価条例の制定についてであります。
 これまでも、何か事業を起こしたり建物を建てたりする際には、その事業の実施を前提として環境への影響を評価する法律、環境アセスメント法がありました。しかし、この法律は、あくまで事業実施が前提であるため、周辺への影響や事業の実施そのものの是非を問うことはできにくかったのであります。そこで、そうした事業のよしあしそのものを評価するべく新たに制定をされたのが戦略的環境影響評価条例であります。平成18年度現在で、この制度を導入している自治体は4、検討中が25、関連する取り組みを実施しているのが10都道府県と聞いています。しかし、残念ながら我が和歌山県では検討がされておりません。
 世界を見ると、OECD加盟国の先進国では、戦略的環境影響評価、これを上位に位置づけて土地利用計画のマスタープランの作成などに活用する動きがございます。我が日本ではまだ法制化はされていませんけども、環境省がガイドラインを決めたところであります。
 緊急の課題である土壌保全を考えると、また世界遺産地を持つ環境先進県として土壌に対する大きなビジョンを持ち、環境財を守る発信をしていくためにも、条例の制定を進めることが私は必要だと考えますが、環境生活部長にお伺いをしたいと思います。
 最後の第5点目であります。表土を守り活用することや、災害予防や防災対策への活用についてであります。
 アメリカなどは、天然資源保全局が土壌保全の事業の成果を各州で災害防止に活用されています。日本は、地形、地質が複雑であることを考慮すると、災害防止のためには、より精密な土壌図が必要であります。そのことに国も気づきまして、農林一体となった総合的な土壌調査に取り組むことになったと聞いています。今までのばらばらの地図では、特に自然災害や山火事などの非常時に有効な対策が立てようがなかったのですが、一本化によって、例えば山火事の起こりやすいところ、起こりにくいところなども具体的にわかると言われています。
 表土を守り活用することや、災害防止や防災対策の活用について、農林水産部長の見解を求めたいと思います。
 以上、申し上げてきましたが、私が強く申し上げたいのは、土を大切にしなければ大変なことになるということであります。
 国連環境計画のまとめによると、現在、世界の砂漠は毎年6万平方キロメートル、恐るべきスピードで広がっており、九州と四国を合わせたそういった面積とほぼ同じ、そういった土地が毎年砂漠化をしていると言われています。言いかえれば、悪玉のCO2をどんどん放出しています。
 とうとう、私も選挙期間中もあったんですけども、日本や韓国にも中国からの黄砂が飛んでくるようになりました。中国で進む砂漠化がとても心配になってきました。
 私は、和歌山県議会議員に初当選をした12年前から、このままではやっぱり和歌山県がだめになる、日本もだめになると訴えてきました。すべては地球環境破壊にその原因があります。どんな経済浮揚策や地方振興策や経済のグローバル化を推し進めても、結局地球環境破壊の問題を後回しにしている現状では、そんな小手先の改革は何の意味も持たなくなる、そのことを訴え、警鐘を鳴らしてきました。
 ようやく、さきのドイツで開かれたサミットでは、地球環境の問題が最優先される時代に入りました。地球の肝臓と言われるこの土壌保全を先取りし、全国、世界に発信をしていくことが世界遺産を持った環境先進県の役割であるとともに、和歌山県民に、森林同様、大きな宝を残すことになるのだと私は思います。
 以上申し上げ、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(中村裕一君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、議員の御質問のうちの、特に地域における医者の問題でございます。都市とそれから地方の医師格差と、その対策についてお答えを申し上げたいと思います。
 議員御指摘のとおり、平成16年度からの医師臨床研修の必修化を契機にいたしまして、全国的に医師の偏在という現象が起こっております。医師不足が本県のような地域においては一層顕著となります。
 実は、単に例にお挙げになったような、例えば人口が少ない地域の診療所の問題とかそういうことだけではなくて、和歌山県としては人口がたくさんある地域の拠点病院でも医師不足が大変深刻な状況となっていて、拠点病院における機能が停止すると、その近隣の人口の少ないところの機能もまた同時に停止するということになりますので、これはゆゆしき事態だというふうに考えております。
 県といたしましては、地域医療体制の維持、充実を図るために医師確保が喫緊の課題であると考えておりまして、さまざまな対策にこれまでも取り組んでいるところであります。
 議員御提案のインターネットとか広報啓発を積極的に進める支援体制をつくるということについても、これまでも県としては随分やってまいりました。
 昨年度、医師求人情報を初め、県内の医師募集に関する情報を集約発信する専用のホームページ、すなわち華岡青洲さんにちなみまして青洲医師ネットを立ち上げまして、県内の医療機関に対し積極的に活用を呼びかけるとともに、登録された医師へは県内の就業につながる情報を提供してまいってきたところでございます。
 実は、それに加えまして、今度はコンピューターを使って、プッシュアウトといいますか、ホームページで見てくださいだけではなくて、和歌山県ゆかりの、すなわち出身とかそういう方の医学生、研修医の方向けの情報マガジン、青洲医師ネット通信をスタートするところでございます。これについて、そういう方々がお望みならば、パソコン通信を通じて和歌山県としての情報をどんどん提供をしていこうということでございます。
 この問題につきましては、若干個人情報保護法との問題がありまして、必ずそのEメールアドレスを全部我々が知り得て、それで無理やり送りつけるというのはなかなか難しいんですけれども、工夫をいたしまして、それを送ってもいいよという方についてはそういう青洲医師ネット通信というのをやるということで、実は先週でございますが、記者発表をさしていただいたところでございます。その辺は議員の御指摘にこたえているところだと思っております。
 それから、御指摘の団塊世代の医師への対応につきましては、わかやまドクターバンク制度を見直して、団塊世代の医師や定年退職された医師にも応募していただけるように年齢制限を緩和したというところでございます。
 議員御指摘のように、さまざまな人脈を活用しながら幅広く情報を収集しながら説得をしたりしていくということが大事でございますので、例えば、先ほど言いました和歌山県出身の医学生になっておられる人の情報とか、あるいは県立医大のOB会の情報とか、そういうことも、先ほどの個人情報保護の制約がありながらも、許される範囲において頑張っております。
 これについては、私は個人的な述懐をいたしますと、知事になる前は、多分、今話題の日置川のあたりのああいうところの先生方はそれは大変だろうと、だけど、田辺とかそういう大きな都市ではまずまず大丈夫なのではないかと、こういうふうに思っておりました。そしたら、先ほども申し上げましたように拠点病院がその制度の変更に伴ってなかなか大変になっている。そうすると、これを崩壊させると和歌山県の医療が全体として、和歌山市を除いてみんな苦しくなってしまう。もう既に、これは市町村長の方々だけだと手に負えなくなりつつありまして、病院長でももちろんですね。したがって、私も就任以来、県庁の部局、和医大等々と相談をしながら、自分自身で出向いていって、それで何人かのお医者さんを確保して、どこかに派遣して応急措置をやってきたというのが結構ございます。
 ただ、これも少し抜本的な対策を講じなきゃいけない。議員御指摘のような情報提供というのもそうですが、和歌山県立医大は、実は定員が一番少ない大学であります。60人しかありません。60人しかないところを研修医に残ってもらって、それで少ない人数の人を、県下のいろんな拠点病院に行っていただくということをやってくれているわけです。そうすると、この体制を少し直さないと和歌山県としてはなかなか将来つらいものになるということでございますので、これについても抜本的な対策を考えて実行していきたいと思っております。
 それから、看護師の問題でございます。
 都市と地方の看護師格差については、やっぱり本県では看護職員の不足が続いているということをよく認識しております。
 議員御指摘のようないろんな制度の導入によって、その影響を受けたかというところもあろうかと思います。我々としては、その看護職員の確保のために必要なことをいろいろやっていかないといけないというふうに考えているところでございます。
 県内定着を図るためということでございますが、就職説明会の機会の増加とか看護学生の進路指導の強化を図って、あるいは修学資金貸与促進などの施策を講じているところでございますが、今後とも関係機関と協働して若者が定着できるような環境づくりを構築してまいりたいと考えております。
 また、新人看護職員の派遣でございますけれども、これについては、現在、国においていろいろ考えているところだと考えております。私もアイデアの1つだろうとは思いますけれども、一方、看護師の方もそれぞれの人生、それぞれの職業選択ということもございます。したがって、この辺を調整しながら今後必要なことを考えていくということではないかと思います。
 県としては、就業促進を初め、養成力確保、離職防止、資質向上を4本柱として、質・量の両面にわたって看護職員の確保に努めてまいりたいと思っております。
 それから、土壌の問題でございます。
 土壌の問題に対する議員の知識には、大変敬服いたします。仕事を離れて、県政を離れて考えても、このぐらいの知識を持っておられるのは、まあ私に例えると、私のチョウに対する知識を凌駕しているなというふうに考えるところであります。(「そんなことないでしょう」と呼ぶ者あり)いえいえ。
 砂漠化の進行とか温暖化とか地球環境を取り巻く情勢が変化する中で、本県では、古来より恵まれた気象条件あるいは自然条件、文化条件の中で先人が営々として築いてきた肥沃な土壌というのがございます。それでもって、ミカンとか梅などの果樹を中心とするいい果物をつくっていく、こういう産地の発展が図られてきたものと承知しております。77%は森林でございまして、これの二酸化炭素吸収能力も、地球温暖化防止の観点から大変有用だと考えております。
 森林を育てるのも土壌でございますから、おっしゃるように土壌の問題は大事だと思っております。むしろ、議員御指摘のように、環境問題に直接効くかどうかというところもこれからの課題としてあると思いますが、少なくとも言えることは、林業あるいは森林、あるいは農業、あるいは農作物の生育というところを通じて、これは必ず地球環境問題にも、少なくとも間接的には役に立つという問題だろうと思います。
 私もボルネオにおりました。皆伐をした後は赤土どころか白土になります。それで全く栄養分がなくなります。ただし、例えば土壌が保全されている森林の中を見ましても、有機物がたまっています。たまっていると土壌が豊かであると、こういうことになりますが、たまにはCO2のかわりにメタンも発生します。メタンが発生すると、CO2の数十倍の環境破壊効果がまた出てくるわけでございます。この辺をよく考えて、今後とも土壌の問題について取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、今の点で大体申し上げることは尽きているかと思いますけれども、二酸化炭素の吸収源として、地球環境問題、森林保全を土壌対策でということであります。
 森林保全が重要でありますので、地球温暖化対策として土壌の保全に注目すべきであるということは大変重要な視点であると思っております。
 ポスト京都議定書の地球温暖化対策につきましては、京都議定書で削減を求められていない中国、インド、あるいは最大排出国でまだその議定書に署名をしていないアメリカなど、全世界が一丸となって温室効果ガスの排出削減に取り組むことが不可欠であるということは論をまたないところであります。
 さきのサミットで安倍総理が提唱いたしました、世界全体の温室効果ガスの排出量を現状から2050年までに半減するということを真剣に検討することが合意されました。このようなことから、我が国が主張した森林吸収が京都議定書で認められたように、今後すべての国々を取り込むためには、それぞれの国の事情や特性を認め合う新たな仕組みの構築を検討することが大事だと思います。土壌の問題もそういう問題かもしれません。そういうことを視野に置いて、地球環境問題に県としてもそれぞれの我々の持ち場を踏まえて取り組んでいきたいと思っております。
○議長(中村裕一君) 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 地域医療に貢献する自治医大の医師派遣についてお答え申し上げます。
 派遣する医師の負担を軽減するためには、休暇の取得時や病気のとき、また学会の出席時等における代診医の派遣体制並びに診療に係る技術支援体制が必要であると考えております。
 県といたしましては、地域の拠点病院へ派遣するなど地域全体で僻地診療所を支援する体制がとれるよう努めるとともに、直接僻地診療所へ派遣する場合には、議員御指摘のとおり、地域の拠点病院との連携が図れるよう取り組んでまいります。
 また、自治医大卒業医師の派遣に当たっては、派遣医師との会合の場を持つとともに、派遣先の自治体及び医療機関への指導や現場チェックをしているところでありますが、今後もさらに派遣医師が安心して業務に従事できるよう支援体制の充実に取り組んでまいります。
 次に、2点目の無憂園についてでございます。
 昨年8月の耐震診断結果の公表を受けまして以後、県におきましては、入所者に対し、他の転居可能な施設の紹介を行うとともに、無憂園の移転先を探してまいりました。その結果、和歌山市にある県の福祉施設の一時的利用を考えまして、移転日を本年8月1日と仮設定いたしまして、入所者及び保証人等への説明や入所者の施設見学等に取り組んでまいりました。その後、入所者に対し移転の同意を得るために意向を確認いたしましたところ、移転に反対18名、賛成2名の結果となりました。
 県といたしましては、地震等から入所者の生命を守ることを第一と考え、早期の移転を考えていたところでございますが、移転を強行するわけにもいかず、苦慮した結果、とりあえず8月1日と仮設定いたしました和歌山市への移転を見合わせたところであります。
 しかしながら、震災のリスクは解消されたわけではございませんし、転居を進めるについて一定の期間が必要であるとの入居者の御意見等を踏まえまして、今後は退所期限目途を平成21年3月31日とし、入所者等みずからも他の施設等をお探しいただく中、県といたしましても新たな転居先を親身になって積極的に紹介、あっせんし、早期に順次転居できるよう取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、無憂園の跡地利用についてでございますが、旧無憂園の浄化槽設備を現無憂園に再利用している現状にあります。跡地利用に関しましては、現無憂園の今後の対応についてもあわせて検討する必要があると考えております。
 また、現在、現無憂園には入所者が居住しておりますので、まずは入所者を安全な他の施設への転居を最優先することといたしまして、将来の方向性につきましては、今後、地元関係者の御意見もいただきながら進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 教育長山口裕市君。──危機管理監杉本雅嗣君。
  〔杉本雅嗣君、登壇〕
○危機管理監(杉本雅嗣君) 僻地の救急対策についてお答えいたします。
 医療機関への緊急搬送の救急業務につきましては、消防法及び消防組織法により、各市町村がその区域において十分に果たす責任があります。しかしながら、議員御指摘の白浜町川添地区のように、地理的条件や道路事情などにより、管轄する市町村の消防署から出動するよりも隣接する他の市町村の消防署から出動するほうが現場への到着時間が短い場合がございます。このようなケースに適切に対応するためには、関係市町村間で消防事務の共同化や相互応援協定などを活用すべきものと考えております。
 県といたしましても、過疎化、高齢化に対応した消防・救急業務の円滑な推進のため、市町村間の枠を超えた消防・救急体制が必要と考えておりまして、消防事務の広域化や相互応援協定などの推進に向け、適切に各市町村に助言、指導してまいります。
○議長(中村裕一君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 地球温暖化に関する土壌保全について、3点についてお答えをいたします。
 まず、第1点の土壌保全調査事業の継続実施、それから研究体制の充実等についてでございますけれども、まず農業生産の基本でございます土壌の保全調査につきましては古くから取り組んでございまして、お話がございましたように、18年度の交付税措置への変更後も県として土壌モニタリング調査として実施をしておりまして、継続して取り組むこととしてございます。
 また、土壌の研究につきましては、現在、農業試験場が中心となりまして、関係試験研究機関と連携をしながら実施をしているところでございまして、今後とも引き続き、その研究体制の充実、また専門知識の向上に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
 2点目の土壌モノリス館の整備に関してでございますが、土壌の大切さにつきましては十分承知をいたしてございまして、これまで農業団体あるいは関係機関を対象にいたしまして、生産の基盤としての土壌の維持・増進、環境への負荷の低減ということから土づくりの研修会等を毎年実施するなど、自然との共生を目指しまして環境保全型農業というのを積極的に進めてございます。
 御提言の趣旨を踏まえまして、土壌保全の重要性を県民の皆様に広く知っていただけるよう、予算上の問題もございますけれども、土壌モノリスの製作等も含めまして、その周知方法について今後検討してまいりたいというふうに考えてございます。
 それから、3点目の土壌を活用した災害予防と防災対策でございますけれども、農林一体となった土壌調査につきましては、農林水産省の農林水産技術会議が平成17年に策定をいたしました農林水産基本計画の中で、耕地・非耕地の包括的な土壌データベースの構築を図るとともに、新しくその活用方法を開発するということになってございまして、今後、こうした国の動向を十分注視しながら、土壌保全の観点から災害の予防と防災対策に役立ててまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 戦略的環境影響評価、いわゆるSEA条例制定についての御質問にお答えを申し上げます。
 戦略的環境影響評価とは、議員御指摘のとおり、個々の事業実施に先立つ早い段階、例えば事業計画の立案や政策決定の段階で、その事業に係る著しい環境への影響、例えば大気あるいは水質、御指摘の土壌、動植物の生態系、あるいは景観などへの影響を把握し、複数案についての環境影響を比較・評価し、そして環境配慮事項の整理を行い、その結果を計画に反映させるための制度でございます。
 この制度につきましては、本年4月、環境省におきまして戦略的環境アセスメント導入ガイドラインが取りまとめられ、現在、関係省庁が個別事業に関して具体的手法の検討を開始したところでございます。
 本県では、平成12年に「地域整備における環境配慮の手引き」を作成し、その後、リサイクル法等の法整備や京都議定書の発効など状況の変化に対応いたしまして平成18年に改訂を行い、計画段階からの環境への配慮について取り組みを行ってきたところでございますが、今後、国における戦略的環境影響評価についての具体的な検討状況を踏まえながら、環境先進県を目指す立場からも、その制度の導入についてさらなる検討を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 先ほどは、初めての答弁でございまして、大変失礼いたしました。
 御質問ありました南紀高校看護科を卒業した生徒の進路についてお答えいたします。
 同校に設置している看護科は、県立高等学校唯一の看護科といたしまして県内全域から入学生を迎えているところでございます。
 卒業後の進路につきましては、近年、卒業生の3分の2が県内に、3分の1が県外に就職するという状況でございました。しかしながら、本年3月の卒業生につきましては、県外への就職者数が県内を上回ってございます。この要因につきましては、分析を進めているところですが、議員御指摘のとおり、新たな看護基準の導入による全国的な看護師需要の増加もその一因ではないかと考えてございます。
 就職指導につきましては、生徒本人の希望を尊重するといった原則にも配慮しながら、地元医療の大切さを認識させるとともに、今後も医務課と連携を図りながら地元への定着に向けた進路指導を続けてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(中村裕一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 所要の時間が過ぎておりますが、再質問をされますか。
  〔「再質問やります。要望、1分だけ下さい」と呼ぶ者あり〕
○議長(中村裕一君) 簡潔にお願いします。
○玉置公良君 ありがとうございました。いろいろ誠意を持って答えていただきました。
 1つだけ、私は決してほらは吹いてません。ポスト京都議定書の2013年以降には必ず土が入ると。これは、いろんな聞き取りをする中で、例えば批准をしていないアメリカも、やっぱり批准をしていこうと思えばこの土を批准しなくては皆から合意を得られないと、こういう状況になってきてるということをぜひとも知ってほしいと思いますし、それをできたら──まだまだ国は、聞きますと鈍いです。できたら、そういう土が入っていくということを和歌山県から提言してもらうと。仁坂知事にその先頭の旗振り役をやってもらうと、そのことをお願い申し上げまして要望といたします。
○議長(中村裕一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午後0時0分休憩
────────────────────
  午後1時2分再開
○副議長(新島 雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 26番中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕(拍手)
○中 拓哉君 こんにちは。「なかなか頑張る中拓哉」と申します。
 さきの統一地方選挙におきまして、県議選で初当選を果たすことができまして、この場に立たせていただいております。御支援賜りました和歌山市選挙区の有権者の皆様、また御声援くださった県民の皆様に、この場をおかりして改めて厚く御礼申し上げます。賜りました9802票の重みをしっかり抱き締めつつ、選挙の折に公約いたしました県政の諸課題実現に向け、努力してまいります。
 そのあかしの第一歩が今回の一般質問であります。未熟者ゆえ未完成な部分も多々あろうかと思います。先輩諸兄の御鞭撻を賜りつつ、1つ1つ勉強してまいります。知事初め当局の方々にも大きな心で受けとめていただき、誠実な御答弁を県民にわかる言葉でお答えいただきたいと思います。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので第1問に入ります。
 まず、仁坂知事の政治姿勢についてでございます。
 仁坂知事誕生の経緯を顧みれば、前知事の汚職事件に伴うものであり、地に落ちた県政への信頼を取り戻すことが仁坂知事に課せられた大きな使命であります。その自覚に立つ仁坂知事は、官製談合の温床となった指名競争入札を改め、一般競争入札を原則とするなど、公共調達の改革を進めております。
 また、過日の訪問介護最大手のコムスンへの処分の問題では、コムスンのグループ内子会社への事業譲渡を認めないといち早く明言し、全国版扱いの大きなニュースとして報道され、一躍有名になりました。私もテレビで知事の発言を知り、その潔さに快哉を叫んだ1人であります。恐らくや多くの県民も、あなたを誇らしく、また頼もしく思ったことでありましょう。
 その勇敢さを木村前知事の事件の解明にも発揮してはどうでしょうか。
 官製談合の防止策については一応の成果を示したわけですが、もう1つの事件、収賄、1000万円の賄賂事件については対策が見えてきません。競売入札妨害いわゆる談合罪の再発防止についてはよしとして、収賄という涜職罪の温床となったあの21会や翔樹会の実態、お金の動きの解明については進んでおりません。
 官製談合の当事者、木村さん、水谷さんは逮捕され、しかも密室の犯罪、関係者も限られていますから、県としての解明は難しいとするならわかります。しかし一方、このさんずい事件の財布となった翔樹会や21会については、知事の秘書課が管理し、担当者も逮捕されず、県職員として現に勤務しているわけですから、調査はたやすいにもかかわらず、「気が進まない」などと言って避けている。
 コムスンの会見で見せたあの勇姿は別人なのでしょうか。記者会見で知事は、「不正は許さん。きちんと調べるのが大事です。コムスンは処罰する。あれは脱法行為。正義に反するようなことは当県では認めない。断固厳正に対処したい。認めたらおてんとうさまが許さない。形式的にどうあれ、実態的にだめなものはだめ。頭を丸めて反省しろ。正義は廃れます」。格好いいですね。痛快ですね。その心意気を木村前知事の21会や翔樹会の解明にも発揮してほしいものです。
 そもそも、知事も選挙で選ばれる政治家です。公職の候補者です。政治資金規正法21条の2には、「何人も、公職の候補者の政治活動に関して寄附をしてはならない」。寄附をするなら政治団体にしろという条文です。また、同じく政治資金規正法8条で、「政治団体は、届出がされた後でなければ、政治活動のために、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附を受け、又は支出することができない」。これには5年以下の禁固や100万円以下の罰金、先ほどの政治団体以外で寄附を受けた場合、寄附をした場合は、1年以下の禁固、50万円以下の罰金とございます。知事が集めたお金は、紛れもなく政治資金であります。しかも、それが企業献金だとしたら、二重の意味で違反であります。
 あるいは、あなたの2月議会の答弁をかりれば、「私的な資金を県庁職員に管理させていた。公私混同がよくないので」とおっしゃってます。しかし、公私混同だったのでしょうか。知事の交友関係者との接遇は、まさしく秘書課職員の職務ではないでしょうか。だとすれば公務であります。また、12社が月3万円、これが21会。11社が月3万円、翔樹会。さらに中小企業者らでつくる青樹会。これは選挙運動も手伝ったらしいですけども。一体、幾ら集めて何に使って幾ら残っているのか、残ったお金は木村前知事に帰属するのか、全く杳としてわかりません。しかも、知事が調べる気になって、その当時の秘書課の職員さんに聞けば、たちまちにして解決します。
 一方、最近驚かされるニュースがありました。6月4日、大阪地裁での木村被告第4回公判で、木村さんの弁護側は小佐田前副知事の調書を挙げ、賄賂1000万円の使い道を明らかにしています。当初、検察の冒頭陳述では、この1000万は地方新聞の対策費、選挙運動員の慰労会で費消された、残り500万については木村前知事の私費として、知事公舎の水道光熱費、電話代、家族旅行代、車検代、保険代、旅費等、あるいは交際費等で費消されたと検察側は主張しております。一方、今回の小佐田さんの調書では、何とそのお金が費消されたのは、地方情報紙対策に100万円、大手マスコミ2ないし3社に慰労として30万円を使ったのみで、あとは中西伸雄元出納長に200万、水谷氏に100万、小佐田氏に70万、残った500万は21会に納めたと述べております。
 これは一体何ですか。幹部が山分けしてるじゃないですか。これらの解明にも、知事がその気になって、「気が進まないなど」と言わずにやる気になって金を管理していた当時の秘書課の職員に聞けば済む話です。さんずい事件、汚職事件の背景の解明をした上でこそ再発防止策がとれるわけです。今こそ、あのコムスンで示した歯切れのいい仁坂さんの姿を期待します。
 現に、この水谷さんの判決のときの仁坂さん、あなたのコメントでは、「知事の命令がどうであろうと、正義と県民のため断るべきは断るべきだ。事件を起こした県の体質は徹底的に変えていかなくてはいけない」と述べてるじゃないですか。改めて、真相を解明すべし、そのお考えを問います。
 次に、公益通報についてお尋ねします。
 私の選挙公約でもありました公益通報について述べれば、平成18年4月1日施行の公益通報者保護法というのがございます。
 かつて大企業の不祥事が相次ぎました。あの三菱自動車のリコール隠し、あるいは最近では不二家さんの賞味切れの問題、また東京電力、関西電力を初めとする原子力発電所のインチキな報告等々ですね。また、ガス器具メーカーの欠陥の問題なんかも隠されておりました。簡単に述べれば、会社に不利益になっても社会には有益な情報をもたらした場合、その通報者を保護するという法律です。
 イギリスでは公益開示法、アメリカでは内部告発者保護法、企業改革法等で、既に公益通報者を1980年代から保護しております。日本の場合、会社に勤める社員には、その勤める会社に対して企業秩序遵守義務あるいは誠実義務があります。ですから、うかうか会社のことを外部に話すとそういった違反に問われ、損害賠償を受けたり不利益をこうむります。
 目前の不正を見逃して自分が会社の保身を頼り、あるいは会社の利益のことを思って目の前の不正を見逃してしまったら、かえって一般国民に大きな被害が出る、消費者に大きな損害を与える、こういうことからこの法律ができたんであります。被害の未然防止、拡大防止、企業犯罪の抑止に大いに有効であります。
 本県の場合、平成15年4月1日より和歌山県行政公益通報、いわゆる行政ホイッスルに関する処理方針がつくられておりまして施行されておりましたけど、ほとんど効果はありませんし、機能しておりません。なぜなれば、その通報先が総務部長になっているからです。平成19年、このことしの4月1日からは通報の受け付けは監察査察室長と総務学事課長に改められてますけども、いずれも県庁内の職員さんであります。依然として行政内部での処理であります。
 和歌山市では、私も市議会で提案したんですけども、旅田事件の反省を受けまして外部に公益通報制度を設け、実際に効果を上げております。
 一例を申し上げれば、学校給食の共同調理場での裏金づくりが発覚しております。その幹部が業者と組んで、多目にてんぷら油を発注して購入して裏金をつくってたわけですけども、どなたかわかりませんけど、それを見た、それを知った方がこの公益通報者に連絡して改まったという経緯がございます。
 当然、私のつたない勉強から、あるいはこの経験からしましても、外部に設けるべきだと思います。そのお考えはございませんか。お答えください。
 また、6月13日の記者会見で、中野さんという大阪地検特捜部の副検事を監察査察監に採用されるとのことでございます。3月30日に定められた県監察査察規程によりますと、県の事務の調査、検査、改善策のこういったことを提言することやら、不当要求行為への相談、助言を与え、さらにはこの7月1日からは不正行為等通報制度として設けられるとのことでございます。
 しかし、そのチャートを見せてもらいましても、木村前知事の事件がまさにそうだったように、知事自身の不正行為の場合、今回仁坂さんが考えてる案では、監査委員に通知するということになっています。監査委員に通知するだけで十分でしょうか。木村事件のような21会、翔樹会、こういった金は県の公金ではありませんから、厳密に言うと監査の対象から外れるかわかりません。おのずから限界があると思います。独立機関として整備すべきであると考えますが、その点の御見解をお示しください。
 またさらに、知事、秘書課ですら21会、翔樹会が存在してたんです。知事の秘書課にそういった団体があったんです。県がいろんな事務をしております。多方面な事務をしております。また、県庁内、小松原1の1に事務局を置く各種団体も多数ございます。こういった多数の団体は、県から補助金や交付金を受け、事業をしております。小松原1の1以外に独自に事務所を設けて事務局を置き、資力や人材があるところはきちんとした事務所を持って団体独自で活動しておりますが、いかんせん、資力や人材がないところの場合は、その事務は県の職員に頼らざるを得ません。
 県庁の職員も公務員であります。それに密接に関連した行為は、私は、してもしかるべきだと思います。しかし、木村知事のあの秘書課の事件を踏まえるならば、この際、こういった県庁本来の事務あるいはその周辺の事務、そういったことについて未然に防ぐ上からも、きちきち──ほとんどやってると思うんですけども、繰越金が来たり基金として残してたり、お金がたまり出すと、ややもすると魔が差すというのが今までの反省でございますんで、こういったことを未然に防ぐ上からも、この際、ルールを確立すべきではないでしょうか。お答えください。
 また、教育委員会にも公益通報制度は設けられておりますけども、やはり窓口は教育総務課と内部に置いております。また、匿名通報は受け付けないと、このようにその要綱には書いておりました。極めて不十分であると思います。教育委員会においても改善すべきと考えますが、いかがでございましょうか。
 次に、紀の国森づくり税についてお尋ねします。
 これもやはり、私、公約に掲げました。紀の国森づくり税の即時廃止ということで選挙戦に臨みました。
 武力で争ってきた長い歴史の中で、人類の英知は、人民主権を確立し、武力による殺し合いでなく選挙の投票によって代表者を選び、議会を構成し、政治権力を行使するという仕組みをつくり上げてきました。選挙で公約を争うことで権力は権力たり得るのであります。これが民主主義社会の大原則であります。
 果たして、今回のこの紀の国森づくり税創設の経緯を見ますと、増税策でございます。この過程におきまして、平成17年12月12日公布ということは、平成15年の選挙で有権者に問われておったでしょうか。寡聞にして15年の選挙の争点であったとは、私は聞いておりません。まあこれは議員提案でございますんで、当局の方に幾ら聞いても、議会の条例ですからと、こういう御答弁でございました。また、今春の選挙におきましても、無投票の選挙区も多くありまして、争点に掲げる候補者も少なかったように思います。廃止の条例も、議員提案で廃止しようと思えばできますけども、残念ながら、私、少数派でございまして、この議会で通る状態ではございません。ならば、その使途をただそうと、今日ここで尋ねるわけでございます。
 そもそも、県民の納税義務者から年500円──月に43円だそうです──これらを5年間、年にして2億6500万、5年で13億2500万、これを基金としてこれから使い道を考えていくということでございますが、納税者の立場に立つと、やはり自分の納めた税金は自分らのために使ってもらいたい、これが原則だと思います。そうした場合、この県下で多くの人口を占める、あるいは私の選挙区でもある和歌山市の、和歌山市民の納める税金の比率、あるいは和歌山市に事業所を置く事業者が納めるこの税の比率をまずお示しいただきたいと思います。何割ぐらいになるんでしょうか。
 次に、この税に限らず、税というのは強制的に徴収できるわけですから、先ほど申し上げたように、集めた限りは和歌山市のためにも応分の使途があって、その効果が及ぶべきだと思いますけども、この秋からいよいよ事業を開始されるそうでございますけども、果たして和歌山市民に還元されるのでしょうか。その基金としての活用策、あるいはその使途及び効果についてお示しいただきたいと思います。
 次に、大滝ダムについてお尋ねします。
 先ほど、井出先輩からも御質問ございました。今議会に議案として112号、大滝ダム建設に関する基本計画の変更、こういうことで提案されております。事業費を3480億から3640億円に160億を増額する、また昭和37年から平成21年までの工期を昭和37年から24年までの予定としている、そのことについて知事は同意するかしないか、またそのことを議会に聞いてくれてるわけでございます。また、別記要件を付しております。
 そこで、私、当時、前回の第5回のときに和歌山市会議員だったもんですから、その経緯を思い出すわけですけども、和歌山市にも9億5000万からの負担が今回あるということですけども、まあどうでしょう、今回のこの6回目の概要──先ほど井出先生にも御答弁ありましたんですけども、改めて今回の概要と、要は聞きたいのは、これが最後でしょうか、7回目はありますか、それをお尋ねしたいと思います。また、もし仮に県議会で、ここで不同意という結論が出た場合にどういう問題が起こりますか、お示しください。
 また、過日6月1日に、知事は近畿整備局長と面談された由、報道がありました。私はその会合があるということを知ったときに、同席させてくれやんかなと県の職員さんに申し上げたんですけども、県の職員さんからは拒否されました。まあそらそうやな、お2人だけの会談で、先ほど井出さんの答弁にもありましたけども、水面下でのいろんな交渉もあろうかと思いまして、まあ私は、同席はあかんと言われたら、そやなと思いました。
 しかし、報道陣は同席しておりました。報道陣の前での交渉でございました。夕刻、担当者の方が電話くれまして、「知事の返事はどうだったんですか」て聞きましたら、「よく精査して検討します」という知事の答弁でした。ああそうか、検討してくれるのかと。ところが、もう間もなく始まったニュースでは、やむなし、受け入れということでございました。結論は受け入れなんでしょう。
 17億8000万もの追加負担であります。当初230億でスタートしたこの大滝ダムの事業、3640億。6回も変更して16倍に事業費が上っております。45年かかるというのが、さらに5年かかって50年かかるんです。一体これは事業と言えるんでしょうか。
 多目的ダム法7条では当然その負担は逃れられないというふうな説明でございました。また、この使用権の設定予定者として登録してついていかないと水ももらえないと、こういうことでございました。
 おっしゃるように、治水・利水の効果ははかり知れないものがあります。しかし、自然相手の作業もはかり知れないものがあります。そのようなはかり知れないものを相手にしながら、和歌山県の財政には、はかり知ると申しましょうか、お金には、財政には限りあり、限界があります。物には限度というものがあります。
 和歌山市議会で大橋市長は、前回、第5回変更の折、都合、市議会議員それぞれに問われて5回も、「これ以上の負担はできない。もう払うつもりはない」と答弁しております。仁坂知事は、大橋市長のこれらの答弁に対してどのような所感をお持ちでしょうか。せめて、ここの議案にもありましたけど、別記の意見の中に直川地区の治水対策の文言を付して提案するというお考えはありやなしや、お示しください。
 以上、質問第1問といたしまして第1回の質問を終わります。ぜひ誠実な御答弁をお願いします。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの中拓哉君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 一番初めに、中議員から政治姿勢について問うという御質問がございました。これに対して、私がコムスンに対して申し上げたことと、それからいわゆる親睦会、前知事の親睦会について申し上げたことが違うじゃないかと、こういうようなお話がありましたが、これは断然違いません。2つの意味で違いません。
 まず、なぜかというと、1つは、どちらかというと、「今やるべきことは、本件のような事件が二度と起こらないようにするシステムをつくる、前向きに対応するということが今は一番大事な時期だと思います」というようなことを申し上げて、それで、「今は、例えば監察査察監の制度をつくるとか──まあ公益通報制度の発展版なんですけど──それから公共調達制度をつくるとか、そういうことに取り組んでいます」と。そういう意味で、これは今ここにある危機に対処するための方策なんですね。そういうことに全力を挙げますということを申し上げたわけです。
 一方、コムスンの問題については、私が申し上げた「脱法行為は許さない」というのは、あの日の今そこにある危機だったわけです。すなわち、あの発言の前まではひょっとしたら──脱法行為だと私は思いましたが、それについて厚生労働省はまだ見解を発表してなくて、ひょっとしたら適法かもしれないというような情報も伝わっていたわけです。そうすると、その前に通達があって、コムスンの再許可は認めるなというような指令みたいなのがあったわけですが、これに対して、そうすると認めざるを得ないということになる。
 それでどうするんですかということについて、私は、脱法行為というのは法律の運用上許してはいけないことである、たとえ条文上そういうものがそこに書いてなくても、それは──法の欠缺というような概念なんですけれども──欠缺は少なくとも運用で補わないといけない、それを補って、黒白をもしつけなきゃいけないとすれば、それは最終的には裁判でつけられるべきもんだと、こんな常識のことを申し上げたというか、わかってたもんですから、こんなものは脱法行為なんか認めてたらおてんとうさまが何とかと、こういうような議論になるわけであります。
 実は、親睦会の話にしても、それから収賄の話にしても、それから官製談合の話にしても、私は何も「過去を問わない」と言った覚えはありません。過去は問うのであります。これが第2点目であります。だけど、その問い方は、直ちに、今問題になってるんだから、さあみんなで調べてみようというような方策が今一番必要かというと、私はそうでないと思ったわけです。なぜならば、先ほど中議員が、自分で聞いたらいいじゃないかと。自分で聞いとるわけです、あっという間に。あっという間に聞いてて、その聞いてた結果を、これは公私混同の事件だというふうに申し上げたわけです。
 公私混同というのは2つあります。1つは、ひょっとしたら、今、中議員がおっしゃったように、政治資金規正法とか何かで問題じゃないかというようなそういうような政治活動と、それから前知事がやっていたこと、これが1つの公私ですね。その私と──そこにおける公というのは知事としての仕事ですね。それで、私というのは、これは知事という立場を離れて政治家としての私的な存在として──政治家を私的と言ったらおかしいかもしれませんが──その行政官としての知事の立場を離れた政治家としての立場、これが1つの公私混同なんです。それならば、政治家としては県の職員を使ってはいけないと思うんです。
 そういう問題があって、これはみんなもう閉口してるから、私自身がまたやると言わなければ、この問題は発生して再発なんかがすぐに起こるわけではない。過去あった問題だけども、今そこにある危機ではないわけであります。
 第2の問題は、その公私と言うべき──この公がちょっと怪しいんですけれども、親睦会の中で、本来なら政治活動するためにいただいたお金だと私は推測します。推測ですけれども。それを奥さんの旅費に使ったという次元の低い公私混同が多分あったんだろうというふうに思います。
 いろんな意味で批判はされましたけれども、これについても私は、例えば、ようやく後援会ができましたけれども、それにおいていただいたお金を和歌山県のために使うことはあっても、自分の奥さんの旅費のために、私的な旅費のために使うことはないというふうに思ってますから、こんなことも二度と起こらないわけです。
 じゃ、すぐに調査をしなかったと皆さんおっしゃるんですけれども、それはどういうことかと申し上げますと、調査をするためには最も有効にやらないといけません。有効にやったのはだれかというと、実は検察庁の方が全部やっとるわけであります。この方々は全部権限を持って、ある意味では国家権力を背景にして無理やりしゃべっていただいていると。それを、そういうことがなくなった我々がもう一度聞きに行って本当にちゃんと教えてくれるか。もちろん、私は聞いております。聞いておりますが、本当かなという点について徹底的に調べる手段は私はありません。
 これについては、例えばそれに疑似するようなものをつくろうと思えば、公共調達検討委員会みたいなものをつくって、検事さんのOBなんかいっぱい雇ってきて大がかりにすれば、国家権力はなくてもそれに近いところまで肉薄できるかもしれない。だけど、それを先にもうきちんとやっている人がいるんならば、その議論を踏まえて対応すればいいじゃないかと。
 過去は問うのでありますが、過去はおのずと、まだちょっとあそこの中に、裁判所の中にありますが、ちゃんとそのうちわかるのであります。わかったら県庁のルールに適正に照らして、これについてはきちんとしたけじめはつけないといけないというふうに思っております。
 例えば、私は判決が出たときに記者に聞かれました。例えば退職金はどうするんだねということを聞かれました。これについては、犯罪を犯した人は退職金は返納していただくということになっています。木村知事はもちろんでありますけれども、元出納長につきましては、長い間県庁のために尽くしたという、本当は功績もあると思います。一般職の退職金は受け取っておられます。しかしながら、その最後において本件の問題に関与したということについても、また事実であります。長い間県庁に尽くしたけれども、一部関与した。それならば、ルールに従えば、申しわけないけど返していただくと。ちょっと人情的には気の毒な感じもいたしますが、ルールは適正にやらないといけません。過去は問うのであります。
 したがって、本件の問題は、今裁判所が公開をしてくれていませんけれども、すべての案件が片づいたら、いずれ調書は公開されます。それをもちまして、私ども、中野さんという捜査をやった経験のある人を監察査察監に雇っています。このチームもあります。このチームできちんとしたけじめをつけて、それでしかるべく淡々とルールに従って対処したいと思っている次第であります。
 したがって、耳をふさぐとか、見て見ないふりをするとか、こんなことを全く思っておりませんで、そういうことを申し上げたつもりも、これまたございません。
 それから、第2番目に公益通報の制度でございます。
 公益通報につきましては、議員御指摘のように、公益通報者保護法というのがあります。
 この問題は、これまた議員御指摘のように、わかっている身内の人に通報ができるかという問題が常につきまとうわけであります。もう1つは、今の保護法によってむやみに処罰されるということはないということはわかっているわけですけれども、しかしながら一方では有形無形のプレッシャーを感じるものであります。
 したがって、例えば県庁の中にそういう窓口があって、それでその人たちが、まあいわば県庁一家の身内である、もともとの知り合いであると、そういうことになるとなかなか言いにくいということはあると思います。したがって、その問題をカバーするために、私は、検察関係者、元副検事で事務局長なんかたくさんやった非常に有能な捜査のベテランをスカウトしてまいりまして、トップに据えて、この人に通報をすると。この人の下には監察査察室という部屋ができるんですけれども、その人を指揮していろんな行動ができるのですが、その人には全部情報は開示しない場合があるということで、通報者の利益は守れるということになっているのであります。
 これを外に置くとどうなるかという問題でありますが、外に置いて、例えば弁護士さんなんかにそういうことを頼むというのは、世の中でちょっと考えていろいろよく行われていることであります。はやっております。しかしながら、これについては欠点があります。なぜならば、1つは、通報される者だけしか調べられません。2つ目は、通報される者を調べるときに、要するに素人が乗り込んでいってぱっと調べるということにすぎません。それならば、専門の部隊を率いていつも目を光らせてる人がそういうことを徹底的に調べるというほうがはるかに有効であります。このモデルは外務省にあります。外務省の職員はびしっと規律が回復されております。いろんな不祥事が起こったということは皆さんよく御存じだろうと思います。
 そういう意味で、私は、2つの制度を1つ、いいところだけとってやったつもりでございまして、これについては一番いい制度だと考えております。
 なお、その監察委員会に報告する─知事の不祥事、これを見つけたときに知事がとめ立てをしたと。そのとき監察委員会に報告するということは不十分だとおっしゃいましたけれども(「監査」と呼ぶ者あり)──監査委員会、失礼しました。「監査委員会」に、ちょっと議事録、済いません──監査委員会に報告することが不十分だとおっしゃいましたが、監査委員は、御承知のように、皆さんのような県部局とは違う、議員さんとそれから民間の方で成り立っています。つまり完全に外部なわけです。しかも、地方自治法上の非常に大事な制度であります。したがって、私は、この監査委員会を多少卑下するような考え方には全くくみしないのであります。
 この監査委員会に言われちゃうよと思っただけで、少なくとも私のような人は、これは大変だというふうに思いますから、監査委員会に持ってこられた情報は、多分意識的に公表しなくても全部情報公開の対象になるでしょうから、それはすなわち外側に明らかになるということであります。これは抑止効果が100%あるんじゃないかというふうに思っております。
 なお、県の職員と、それから県の団体である振興機関が一緒のところになっているという点については、いろいろとおっしゃった問題点もある可能性があると思います。ただ一方では、議員御指摘のように、いろいろ、お金もないし、それから同じような目的で頑張ってるから便宜的にとりあえずいいかということで今のようになっているというところもあると思います。いつも反省をしながら一番いい方法を考えて、弊害が少なく効果が大きくということを考えていきたいと思っております。
 それから、大滝ダムでございます。
 大滝ダムにつきましては、今、御質問、御発言の中で、私どもの県職員が、知事は直ちにやむを得ず受け入れと、こういうふうに申し上げたというふうにおっしゃいましたが、正確に申し上げますと、これは先ほど井出議員のお話のときに申し上げましたような考え方で、私は受け入れざるを得ないと思うと。ただし、技術的に─私たちの県土整備部も技術屋がたくさんいる。技術的にこれが不可避かどうかということについてはもう少し精査をさしてもらって、それはそんな時間かからないから、その技術的な精査で、やっぱりこの工事はしようがないんだと、滑落を防止するために、崩落を防止するためにしようがないんだということであれば受け入れますと、その場で言ったわけであります。
 したがって、ちょっと条件をつけて申し上げたというのが真実で、これは報道陣の方も見ておりましたので、中議員のような方にお入れしなかったというのは私どもの職員のミスだと思います。陳謝さしていただきます。
 それから、和歌山市の財政につきましては大変厳しいということもわかっております。県の財政も厳しいんですが、和歌山市も厳しいと思います。ただ、市長の御発言あるいは市議会議員の方々の市議会における御議論というのは、県知事の私の今の立場でこういう場でコメントするような話ではないと思いますので、これは、御質問でございますけども、大変申しわけありませんが、差し控えさしていただきたいと思っております。
 それから、直川地区の話がございました。実は、これはもう申し上げますが、その心は、先ほどおっしゃったような、いわば条件つきのような気持ちで実は熱心に運動をしております。ただ、やっぱり国の仕事、県の仕事、すべて論理というのも大事でございます。大義名分というのも大事でございます。こっちを認めるからこっちをやれとかそういうふうな形式的な論理づけというのは、私はこれは間違っていると思います。したがって、「身も心もある」というふうに申し上げましたけれども、あれについてもずっと要求をしておりまして、心、実情を申し上げますと、かなり理解が進んでおります。
 ただし、実は今、手続がまだ完全にできておりません。協議会における議論が済んでないので箇所づけについてはちょっと控えられちゃったという感じであります。その和歌山県側の受け入れ態勢がきちんとできれば、私は必ず受け入れていただけるものだと、今までの接触上、考えております。ただ、まだ正式にそれをコミットされたわけではありません。
 したがって、和歌山県の窮状、17.8億円も余計使わなきゃいけないという窮状を訴えて、それでかつ、それぞれの事業の必要性も堂々と訴えて、できることなら「和歌山県も気の毒に」という気持ちになってもらって、よりよくたくさんのものをつけていただくということを運動目標にしていきたいと思っております。ありがとうございました。
○副議長(新島 雄君) 総務部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○総務部長(小濱孝夫君) 職員が扱い管理する公金と、それ以外の各種金員についてにお答えをいたします。
 団体の事務局が県に置かれ、県の職員が当該団体の出納事務に従事している場合については、当該事務は県の行政目的の達成のために公務の一環として執行されているものでありますので、県の出納事務に準じて適正に行われているものと認識しております。
 今後とも、監察査察業務の中で適正に執行されているかどうか監視してまいります。
 次に、紀の国森づくり税についての御質問のうち、税収に占める和歌山市分の割合について御質問がございました。
 5年間の紀の国森づくり税の収入額につきましては、約13億2500万円程度になるものと見込んでおりまして、このうち和歌山市分の占める割合はおおむね37%程度ということになっております。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 農林水産部長下林茂文君。
  〔下林茂文君、登壇〕
○農林水産部長(下林茂文君) 紀の国森づくり税に関する基金活用事業の使途と効果についてでございます。
 紀の国森づくり税条例及び紀の国森づくり基金条例が本年4月の1日から施行され、この2つの条例に基づき実施される紀の国森づくり基金活用事業につきましては、去る5月25日に第1回紀の国森づくり基金運営委員会を開催したところでございます。この中におきまして、基金の使い道や事業の進め方、また県が取り組む施策などについて審議をいただき、それを受けまして、昨日6月18日から事業計画の公募を開始したところでございます。
 都市近郊の荒廃森林の整備や、また都市公園を初めとする公共の場への間伐材の活用によるベンチなどの設置などの事例が考えられます。そういう中で、和歌山市など都市部におきましても有効に活用していただけるものと考えてございます。
 県といたしましては、できるだけ多くの県民の皆様が地域の特色ある森林づくりに関する活動に参加していただけるよう、「県民の友」6月号を初め、テレビ・ラジオでの広報を通じてPRに努めているところでございます。
 今後、県民の皆さんの積極的な参画によりまして、森林への理解が深まり、次の世代に引き継がれるものと考えてございまして、そういったことからもこの基金は非常に意義あるものと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 大滝ダムについて2点お答えをいたします。
 まず、6回目変更の概要と7回目についてでございますけれども、今回の基本計画変更の概要については、大滝地区と迫地区の地すべり対策費用として、160億円の増額により総事業費が3640億円に変更され、工期が3年間延伸されて平成24年度までに変更をされます。
 この地すべりについては、日本でも権威のある学識経験者、専門家から構成された委員会が調査を行っており、現時点での最高水準の技術、知見をもってダム湖周辺の斜面全体を調査した結果、対策が必要な箇所は大滝地区と迫地区の2地区でありました。国としても、斜面への影響をできるだけ小さくするため、ダム湖の水位降下速度を工夫するなど、運用面においても最大限の手を尽くしているところと考えております。
 次に、不同意の場合の問題点でございます。
 治水効果を受ける本県が同意しなかった場合、大滝ダム事業は継続することができなくなります。そうなれば、大滝ダム建設の目的である紀の川流域のはんらん被害の防止や和歌山市や橋本市への安定した水道用水の供給などが図れなくなり、紀の川流域の住民の生命、財産にかかわる大きな問題が生じるものと考えております。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教育委員会の公益通報についてお答えいたします。
 教育委員会では、平成15年7月に教育委員会事務局と県立学校の教職員からの通報を対象とした制度を設け、また昨年4月からは公益通報者保護法に基づく通報に対する体制を整備したところでございます。
 今後は、こうした制度等の充実に向けまして、年内をめどに検討を進めてまいりたいと考えます。どうぞよろしくお願いします。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 26番中 拓哉君。
○中 拓哉君 知事さん、ありがとうございました。
 それで、公私混同、二手があるというのは今初めてわかりました。ですから、普通「公私混同」と言ったら、知事が言うた後段しか理解しませんよね。だから、前段の政治家と行政官ということについては、これはやっぱり公だと思うんですよ。
 現に、知事さんは職員に聞いたんでしょう。聞いて、公私混同だから気が進まないという結論に──気が進まないということだったんですから、聞いた中身をやはりここで知事さんが──公私混同だから、もうこれは気が進まないな、そう思った中身を示していただきたいなということが1点なんですね。
 ほんで、監査委員のことをおっしゃいましたけども、監査委員は、私も勉強しましたけど、残念ながら、知事から監査請求しろと、これは地方自治法に書かれてます。しなければなりません。あるいは議会から監査請求があったときもしなければなりません。そのほかは、住民から直接監査請求があった場合に、形式整ったらしなければなりません。今現在やってくれてる分もあります。60日以内に返事せなあきません。
 ですから、監察査察監から通知を受けた場合に監査をするというルールはどこにもないんです。ひたすら監査委員独自が自分でモチベーションを持って、自分が必要と認めた場合はできますよ。知事から言われんでも、だれから言われんでも、定期監査、職員やってんのに、割り込んででも監査委員独自でモチベーション持てばできますよ。だから、今言うように、知事さんが監査委員を卑下しておとしめるようなことはないとかおっしゃいましたけど、監査委員は残念ながら、待っててもその窓口がないもんですから、監察査察監──これ、右から読んでも監察査察監、上から読んでも監察査察監なんです、字で書いたらね。この監察査察監から通知があったからというだけで動くと思たら大きな間違いじゃないですか。そこを、私、申し上げているんです。
 監査委員の──地方自治法でも変えてくれたら別ですよ。地方自治法は変わってないんですから、監査委員にお願いすることによって、そらプレッシャーあります。監査委員は権限もありますから。プレッシャーになりますけど、残念ながら通知をもらったところで、じゃ、「中野さん、あなた一般市民に戻って直接請求しなさいよ」と言うんですか。あるいは「議会で監査請求を請求してくださいよ」と言うんですか。知事さん自身から言うてこなできないじゃないですか。知事さんに言うときに知事の事件持っていったら、こんなあほなこと、しり抜けになるじゃないですかと言うんです。その点を私申し上げて、この今回の監察査察監制度につきましては、まだまだ弱い点があるでということを言うてるわけです。
 先ほど、大滝ダムのことはもうわかりましたけど、誤解あるのは、担当の職員さんは「精査して検討しますと知事は言いました」という返事を僕にくれたんです。ほんで、あっ、精査して検討してくれんのやなと思てたら、もう6時半のNHKのニュースで「やむを得ん」と言うてた。どの新聞見ても結論は「やむを得ん」なんです。だから、担当の職員さんが僕をおもんぱかって、何か気にしてそういう表現しかできなかったんか知りませんけども、そんならおれを入れてくれと、また話蒸し返るわけです。
 そこのことを申し上げてるんで、直川のことなんかもこれから取り組んでくださる含みをいただきましたんで、それはそれでよしとしますけども、今申し上げた監察査察監が通知したとしても監査委員のほうは動くすべがございませんので、その点はどういうことなのかお答えいただければ。でないと、幾ら7月1日から運用する、中野さんが来てくれたとしても──まあそういう事件はないこと祈りますよ。現に仁坂さんは公私のけじめつけてらっしゃることは随所に聞きますから。それはそれでうれしい話やし、私らも見習わなあかんと思いますけども、仁坂さんでないときでも、仁坂さんといえども、申しわけないけど、権力は腐敗するで。長年やってたら、いい言葉しか入ってきません。幾ら立派な人格者でも堕落します。ですから、その道を断つためにも、この際完璧な制度をおつくりいただいたらいかがでしょうかということを再質問とさせていただきます。(拍手)
○副議長(新島 雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 第1番目の点につきましてでございますけれども、私が就任以来、あれは何だったのかねと。もちろん、公共調達制度についてもざっといきなり勉強しましたけれども、これについて前から申し上げておるように、今すぐに同じようなことが起こるような感じではないということをまずすぐわかりましたので、じっくり腰を据えようと。
 それから、本件の問題は、新聞を読んだときも大体想像がついていましたけれども、要するに知事の政治家としての活動及び本当の私的な活動も、その秘書課の人たちがいわば面倒を見ていた、お金を管理していたりしていたんですと、これはそのとおりであります。
 ただ、それを知事の命令といいますか──細かい命令があったかどうかわかりませんよ──そういうことを言われたときに、私どもとしてはやっぱりそれに従わざるを得ないというのが実情なんですと。これは、私も役人をずっとやっておりますから、まずはとにかくわかると。だけど、もっといろんなことがあるかもしれない。だけど、今そこにある危機があるかというと、私がいる限りはとりあえずないから、別のことをまずやってみようということを申し上げたところなんです。
 したがって、ずうっと私が申し上げて、ここでも、この議会でも申し上げておりましたように、この問題は調査をしてはいけないということではないんです。やってはいけないとか、やるべきではないとか、そんなことではありません。しかし、優先順位とか、それから緊急の必要性とか、そういうことを考えると、私の要求水準から言えば、本当に調査をすると言えば、さっき言いましたように大がかりな、専門家をいっぱい集めてきてだあっとやるということでありますので、そういうことは気が進まないんですよということを申し上げたんで、非常に正直な気持ちを申し上げました。
 それから、第2に監察査察制度についての監査委員会の問題です。
 中議員がおっしゃるように、義務的な監査活動というのを監査委員会は、この場合、求められてはいないと思います。しかし、監査委員会というのは、県議会の中から選ばれた大変立派な人で構成されていて、それから、選び抜かれた和歌山を代表するような民間の方が入っておられるわけです。その方が、よもやこういう問題を監察査察監が言ってきたときに、自分で自発的にこの問題を取り上げて問題にしてみようではないかと言わないとは、私は決して思いません。
 そういう意味で、「卑下してもどうでしょうか」というふうに申し上げた話で、義務的になってないことはそのとおりかもしれません。しかし、我々は、特に我々を含めて、県職員も含めて、それからましてや監査委員になったような立派な方は、何か事件が起こっているらしいということがわかったら、それは自発的に必ず監査されるんではないかというふうに思う次第でありますので、この制度は私はまあまあいい制度ではないかと、いろんな欠点を全部カバーした、いい制度じゃないかというふうに思っている次第であります。
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○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  (「なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(新島 雄君) 再々質問を許します。
 26番中 拓哉君。
○中 拓哉君 ありがとうございます。
 いみじくも、その監査委員のところに受け入れの制度がないことはお認めになりました。それは、監査委員さんそれぞれの見識を期待するのは知事さんの御自由ですし、あるいは県当局も期待されるのは自由やと思う。私らも期待します。しかし、仕組みとして認められていない以上、やはりこの監察査察監が監査委員に通報する、そのことによって知事のいろんな不祥事、不正行為等も防げるともしおっしゃるとしたら、私は、そこには欠陥があるじゃないですか、もう一度改めてお考えになったらどうですか、別の方法もあるんではないですか、そのことを再三再四申し上げているんで、「不正行為等のその要綱を見せてくれ」と言っても、「7月1日からや」と言って、今見せてくれないんですよ、お持ちやってもね。私には見せてくれないんですよ。そういう不自由さがあるんですよ。
 それを見た上で、知事さんやほかの方は知ってるから、中の質問は杞憂に帰すというなら、それはそれでいいですよ。しかし、私、あのチャートを見た上においては、監査委員に申しわけないけど、監査委員もお忙しいですよ。また、もっと言わしてもうたら、監査委員独自でプロパー雇て調査員雇てるでしょうか。やはりあなたの配下の職員さんが交流の中で行ってるじゃないですか。
 建前は、議会でもそうですけど、独立してますよ。しかし、実際実務する方はそういう形の中でしかできないんですよ。そういう制度の制約があって、確かに4人の監査委員の方は、議会からも選出もされ、立派な方ばっかりやと思います。しかし、その方が日常の業務の中で、監察査察監が言うてきたから最優先にせんなんなと思てくれるのはいいですけど、それを担保するものがないのでここで改めて言うてるんで、担保することがないんならないでもう一度お認めいただいて、再考するなら再考するで御答弁いただきたいと思います。
○副議長(新島 雄君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、何度も申し上げますが、この問題は、どこかで物事を明らかにするという問題があれば知事の犯罪というのは防げるというふうに思っているんです。なぜならば、知事というのは選挙で選ばれて、一番、名分といいますか、そういうのを気にするタイプの人であります。したがって、言いつけられちゃうかもしれないと思えば、よもやとめません。それで、自分が悪かったら悪かったと言って内部的にきちんと責任をとって、それを発表するということを私だったらやりますし、まともな人だったらやると思うんです。ただ、その言いつけシステムがないと、やっぱりとめられると思ったらとめるかもしれません、恥ずかしいから。
 したがって、言いつけシステムをつくったらいいという、そのまあいわばバイパスみたいなものなんであります。したがって、私は、このバイパスは、このバイパスたる機能を考えるとまあまあ機能するんじゃないかと思います。
 ただ、例えば監査委員会の中で、もうやめたとかですね──私は、知事の問題ですから、一番県政にとって大事な話がふっと来たら、それを机の中にしまい込むような監査委員がいるとは思えないんです。思えないが、もし例えば中先生がこれについてやっぱりもっとやったほうが、もっと決めといたほうがいいと言うんならば、監査委員会の中で、例えば監察査察監からの通報があったら必ずそれを問題にしようとか決めといていただいたらいいかなというような、いろいろなアイデアはあると思います。そういうアイデアまですべて私は否定しているわけではありませんので、まずまずいい制度をつくったんだけどなあというぐらいの気持ちであります。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「答弁漏れなし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 以上で、中拓哉君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、初めて質問をさせていただきます。
 私は、これまで看護師として31年間、医療の現場で働いてまいりました。いつでも、どこでも、だれもが安心できる医療を願ってまいりました。今、格差や貧困が広がっている中で、県民1人1人の命、暮らしが大切にされる県政が一層強く求められています。赤ちゃんからお年寄りまで安心して住み続けられるように、私、頑張ってまいります。どうか、よろしくお願いいたします。
 それでは、早速ですが、4点にわたって質問をさせていただきます。
 まず最初に、1つ目は新宮保健医療圏における産科医療の問題です。
 今日、全国的にも医師・看護師不足が叫ばれています。御承知のように、県下においても医師・看護師不足は深刻でございます。特に新宮保健医療圏域の基幹病院である新宮市立医療センターでこの10月より産科医療の継続が困難になっている問題は、急務の解決すべき課題です。本年10月より、産婦人科医2名のうち1名が退職するため出産を扱えないという事態になってきました。そのおそれが強まっています。
 私も新宮に行ってまいりましたが、住民の皆さんに大変な不安を与えています。私が新宮市内の妊婦さんにお話を伺いましたが、「里帰り出産ができない」「産むまでの間、異常の兆候があってもすぐ対応してもらえない」「総合病院に先生がいないなど思ってもみなかった」「病気などリスクを持っていると総合病院でないと安心して産めない」、また、「那智勝浦の温泉病院も産科がなくなっているので医療センターまで行かなければならない」「夫の転勤で不安を抱えて大阪から転居してきたのに」と、ショックを隠し切れない様子でした。お産は、安心して産める環境が母体にとってとても重要です。
 昨年の医療センターにおける出産数は400件と聞いております。そのうち3分の1が里帰り出産で、あとは新宮市内の方が半数、市外の方が残りの半数とのことで、近隣の町村にとっても重大な事態です。緊急に特別な体制をとって対応すべきではないでしょうか。県の責任で医師派遣をすべきではないでしょうか。もし医療センターで産科がなくなってしまいますと、センターの真向かいにあるなぎ看護学校の母性実習も困難となり、看護師養成にも大きく影響してまいります。
 また、当圏域の乳児死亡、新生児死亡、死産の推移を見れば、全国、和歌山県の平均に比べ、全体的に高い傾向になっています。死産率、乳児死亡率、新生児死亡率は、母子保健の水準を示す指標であるとともに、地域の衛生状態や経済、教育などを含めた社会全体の健康水準を反映する指標です。知事が安心・安全の確保の取り組みの中で述べられていましたが、少子化対策にとって、まず安心して産み育てる環境づくりが欠かせないのではないでしょうか。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 新宮市医療センターの産科医療が困難になった原因をどのようにお考えでしょうか。産科医師配置の見通しと取り組み状況について報告してください。そして、住民の命を守る立場から、医師確保について県としての取り組みをお聞かせください。最悪、確保できなかった場合の妊産婦への対応策についてもお答えください。
 次に、県立軽費老人ホーム無憂園についてお伺いしたいと思います。
 身寄りのないお年寄りや家庭の事情等により家族との同居が困難なお年寄りの適切な処遇を図ることを目的に昭和39年9月に開設された県立軽費老人ホーム無憂園は、白浜町椿にあり、現在、入所者20名、指定管理制度によって県福祉事業団が運営をしています。
 この無憂園については、これまでも経過があり、平成14年に、もともとあった施設を移転して、隣にあった県福祉事業団所有の真静荘という建物を約2億7000万円かけて改修して、現在、無憂園として使用しているものです。
 ところが、高いお金をかけて移転して、まだ新品同様なのに、県が平成17年に行った耐震診断の結果、震度6強で倒壊の可能性ありという診断結果が発表されました。倒壊の可能性があるということに驚いた入所者は、昨年10月に木村前知事あてに、無憂園廃止の中止、建てかえを求める陳情書を提出しました。ことしの4月、現在の無憂園を白浜町から海南市琴の浦にある県子ども・障害者相談センターの肢体不自由者更生施設に移転する、しかも、ことしの8月1日をもって移転するという唐突な案を、突然、入所者やその保証人に提案してきました。
 先ほども、午前中の玉置議員の質問に対し、福祉保健部長がその経過を答弁されていましたが、そのときに、最近5月21日、仁坂知事あてにも再度無憂園の存続を求めた要望書を提出しました。また、当局が最近とった利用者アンケートでも、存続を求める声が圧倒的であったと聞いております。
 私も、直接、入所者の皆さんからお話をお伺いしました。「ここにいれば自由に釣りにも行ける。散歩も自由に行ける」「景色もよく、温泉のおふろもあり、環境がよくてうれしい」「職員の皆さんとも気心が知れて安心できる」「何よりも経済的に費用がかからない。安いのでここにいたい」と、涙を浮かべ訴えられていました。
 最初に申し上げたように、この施設にはいろいろな事情を持って入所をされています。ついの住みかと考えている方がほとんどだと思います。さまざまな人生を歩んでこられ、いろいろな出来事に遭遇しながら、今、日々穏やかに過ごすことができているとき、県がお年寄りにストレスを与えているのです。
 当局は、この間、耐震基準を満たしていないという理由で、利用者の命が最優先と言って移転計画を強行的に進めてきました。高齢者にとって住居が変わるということは、人間関係、生活環境そのものが変わるということです。相当なストレスが生じるものです。今度は強行的なやり方を改めるべきだと考えます。
 今回、当局も入所者の意思を尊重していただき、県子ども・障害者相談センターへの移転を中止していただいたことを感謝申し上げます。退所最終期限も、ことし8月1日から平成21年3月31日になったとお聞きしています。入所者の皆さんもほっとされていることだと思います。
 しかしながら、無憂園の退所を迫られていることには何ら変わりがありません。入所者の意向を尊重して無憂園の存続を願うものでありますが、そこで福祉保健部長にお尋ねいたします。
 現在の無憂園の施設に2億7000万円もの改修費用をかけて移転したのは、平成14年です。このとき既に阪神大震災も起きており、改修に当たってはおのずと耐震の問題も検討されたと思いますが、なぜそのとき耐震診断・工事を行わなかったのでしょう。その理由を明らかにしてください。
 県当局は、耐震基準を満たしていない、利用者の命が最優先と言って移転計画を進めてきました。しかし、今まで申し上げてきたように、高齢者にとって大変なストレスです。現に、地震などで避難所生活をして痴呆症状が進んだ方や、今回の件でも、移転の話を聞いただけで精神的に不安定になった方もいたほどです。しかも、移転先として示した琴の浦の子ども・障害者センターも移転後1年だけしか使用できない、その後はまた別の施設をそれぞれが探してくれという、本当にお年寄りの暮らしと命を考えているのかと腹立たしく感じました。お年寄りのことを最も考えなくてはならない福祉保健部や長寿社会推進課のやることとは思えないと思います。
 そのことを考えれば、やはり現有施設を耐震補強して存続させることが一番なのではないでしょうか。全国的に数少ない軽費老人ホームの需要は多いと考えますが、いかがでしょうか。御答弁をお願いします。
 最後に、どうしても耐震改修が困難なら、県の都合で施設を閉鎖するのですから、利用者の移転に当たっては補償という観点で取り組むようにしていただきたいと思います。この点についてもいかがでしょうか。
 また、県有の高齢者施設など社会福祉施設の耐震診断の進捗状況と、その結果による耐震改修工事の計画をお聞かせください。
 この問題の最後に、県営住宅や県職員住宅の耐震診断、改修計画についてお聞きいたします。
 県民が住む県営住宅が地震で倒壊しないためには耐震化が急がれます。県営住宅の耐震診断はすべて行われたのでしょうか。残っているとしたら今後どのような計画で進めるのでしょうか。お答えください。また、災害時に真っ先に被災者の救済や救援活動に当たられる県職員の皆さんが住んでおられる職員住宅の耐震化はどのようになっているでしょうか。耐震診断の実施状況と耐震化計画をお聞かせください。
 次に、3点目には社会的ひきこもり支援について質問をさせていただきます。
 私の身の回りでは、子供のひきこもりのことで悩んでいる人がたくさんいます。「助走、ひきこもりから。」という本の中には、全国に80万とも100万人いるとも書かれています。厚生労働科学研究事業の研究成果として公表された「10代・20代を中心とした『社会的引きこもり』をめぐる地域精神保健活動のガイドライン」では、ひきこもりは、単一の疾患や障害の概念ではなく、さまざまな要因によって社会的な参加の場面が狭まり、自宅以外での生活が長期にわたって失われている状態のことと言われています。
 2002年9月、全国で初めて和歌山の地に、ひきこもりの共同作業所エルシティオが関係者の献身的な取り組みで開所されました。現在、県下では、田辺市にあるハートツリーと2カ所です。
 私は、若者のひきこもりを考えるとき、なぜひきこもりになるのか、その背景をしっかりととらえることが必要だと思います。自分は他の人に受け入れられていないのではないかなど、社会や人間関係への不安がとても大きく、人とのコミュニケーションを避けて5年、10年、それ以上ひきこもり状態が続いている人もたくさんいます。家族にとってどのように接すればよいか全くわからない日々が続き、焦りといら立ちで大変な思いをされています。そんなとき、本人や家族にとっても、身近にある共同作業所は心のよりどころです。ゆっくりと一緒に歩いてくれる人がいることが安心となります。
 福祉保健部長にお尋ねいたします。
 1つは、県下のひきこもりの実態把握を進めていただきたいと思いますが、調査を行う考えはありませんか。
 2つ目は、各市町村にひきこもり作業所を広げていくことが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 3つ目は、国のひきこもりに対する枠組みがない中で、和歌山県が県単独の補助金制度を設け、行政として支援していることに対し評価をいたしますが、現補助金だけではスタッフの一般的な水準の給与も出せない状況にあり、拡充が必要ではないでしょうか。
 4つ目には、施設利用者以外からも相談が多く、昨年度は登録者が503件、登録者以外が549件と、合わせて1052件の相談などがあったと聞いております。かなりの時間も必要で、人的体制と専門家集団のかかわりも必要ですが、補助要綱では支援員または指導員の基準は登録利用者を基準としており、実態に合いません。登録利用者以外の方の相談にも対応できるよう人員基準の改善をぜひ行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 作業所の運営に当たって多くの課題がありますが、以上の点についてお答えください。
 質問の最後に、住民税の問題についてお聞きいたします。
 和歌山市役所は今月11日午後にことしの県・市民税の通知の文書を発送しましたが、早くも12日から市役所には、なぜこんなに高くなったのか、とても払えないなどという方が市役所に訪れたり電話が殺到しています。12日には、窓口に来られた方が43人、電話が453件でしたが、13日には、窓口に281人、電話が788件あったということです。14日も電話と訪問合わせて592件、15日も603件と、毎日大変な人数です。この4日間に合わせて2760人にも達しています。市民税課は通常の9台の電話に2台の電話を追加したということですが、1日に600から800件というのは大変なものです。
 県が県民向けに配布していますリーフレットは「所得税と住民税が変わるゾウ」ということで、年金収入200万円の70歳独身のお年寄りをモデルケースとして紹介しています。このケースでは、平成17年度は、住民税が非課税で所得税が3万4800円、定率減税で6960円の減税があり、住民税と所得税を合わせた負担は2万7800円でした。それが18年度では3万7400円になり、今年度は4万2200円になります。さらに来年度は、住民税の激変緩和措置がなくなって約1万2000円がふえることになります。3年間で2万7800円から5万4700円に、ほぼ2倍にふえます。
 県のリーフは、税源移譲だから住民税と所得税は総額は変わらないという説明になっていますが、実際には、県のリーフでも書かれているように大変な負担の増加がお年寄りにかぶさっています。こうした負担の増大は、自民・公明政権によって定率減税がことしから完全に廃止されたことや公的年金控除の縮小が行われたからです。
 お年寄りの負担増は、実際はこれだけではありません。県のモデルケースのお年寄りの方の国保料と介護保険料が幾らになるかということを和歌山市に示してもらいました。それをパネルにしました。同じものを議場に配付させていただいておりますので、ぜひごらんください。(パネルを示す)
 これは和歌山市の分ですけども、17年から19年、非課税で住民税が要らなかったのが、19年には2万4866円になっています。また、国保料7万3220円が9万1880円、また介護保険料、これも3万4130円から6万6260円になって、負担額も、17年には13万5190円が20万406円にも大幅に引き上げられています。
 また、私の知り合いの85歳の方の例を紹介させていただきますと、2005年度の住民税は、均等割の市民税3000円と県民税1000円の合わせて4000円だけでした。ところが、去年は市民税が2万6000円、県民税が1万6300円、合わせて4万2300円に一挙に10倍にもふえ、先日届いた今年度の通知書では、市民税が6万2900円、県民税が4万1400円、合わせて10万4300円にもなっています。わずか3年間で住民税が4000円から10万円以上になったのです。この方は、住民税以外に国保料は年間18万円近く、介護保険料も7万円強の負担となっており、大変な負担増です。定率減税の廃止や公的年金控除の縮小、老年者控除の廃止がお年寄りに大変な負担を負わせているのですから、国に対し庶民向けの減税は戻すことを求めるべきだと思いますが、総務部長の見解をお聞かせください。
 また、税源移譲にかかわってお聞きしますが、住民税は前年度所得に課税されることになっていますが、所得税は現年度課税です。ここから、昨年末に退職したり会社が倒産して失業者となり仕事がない方は、去年の所得に対して大変高い住民税を払わなければならなくなります。県のリーフではこうしたケースについては何も書かれていませんが、ことしになって収入がなくなったり急激に減少された方の住民税を軽減する救済措置を求めたいと思いますが、総務部長の見解を求めます。
 以上で、最初の質問といたします。(拍手)
○副議長(新島 雄君) ただいまの奥村規子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) まず、新宮保健医療圏における産科医療についての3点の御質問について一括してお答え申し上げます。
 訴訟の増加や過酷な勤務などから、産科医を希望する医師が減少するとともに分娩を取り扱わない医師がふえるなど、全国的に産科医不足は深刻な状況になってございます。
 新宮保健医療圏において新宮市立医療センターは、現在、産科医2名体制で年間約400件の分娩を取り扱っていますが、1名が退職することにより、10月以降は分娩の取り扱いが困難な状況となってございます。
 新宮保健医療圏において分娩を取り扱う医療機関は、新宮市立医療センター以外には新宮市内の診療所と串本町の国保串本病院の2カ所しかなく、新宮市立医療センターが分娩を休止した場合、新宮保健医療圏及び隣接する2次保健医療圏において、その規模や時間距離から代替機能を果たせる医療機関がございません。
 新宮保健医療圏において安全・安心な産科医療提供体制を維持するためには、新宮市立医療センターにおける産科医の確保が不可欠であり、過日、知事に対して新宮市長からも産科医の確保要請があったところでございます。
 県といたしましても、新宮保健医療圏における産科医療体制が維持できるよう、新宮市を初め関係機関と連携し、産科医の確保に精いっぱい努力するとともに、国に対しても産科医の確保を強く要請しているところでございます。
 続きまして、無憂園の存続についてであります。
 まず、移転時の耐震工事についてでございますが、現在の軽費老人ホーム無憂園は、昭和42年に建設されました和歌山県福祉事業団所有の老人休養ホーム真静荘を平成13年に無償で譲り受け改修した、本館5階建て、別館2階建ての県有施設でございます。
 改修につきましては、当時──改修当時でございますが──全国的に県有施設の見直しの必要性が言われている中で、本県といたしましても、県有施設のあり方を視野に入れ、10年後程度に施設の存廃を判断することといたしまして、必要最小限かつ建築関係諸法令に適合し、入所者処遇上必要な整備についてのみ実施したところでございます。
 次に、無憂園の存続についてでございます。
 無憂園を設置・開設いたしました昭和39年当時は県内の養護老人ホーム等は十分整備されていなかった時代でございまして、県が先導的に施設を整備し、高齢者福祉への役割を果たしてまいったところであります。しかし、現在では養護老人ホームやケアハウス等施設が整備促進されてきていること、現施設の改修につきましても採光や居住スペースの確保等住環境の問題もあることから、また県財政が厳しい折、行財政改革を進めている現状等、もろもろを勘案する中で、今後は民間等にゆだねていくことが適切ではないかと考えてございます。御理解賜りたくお願い申し上げます。
 次に、入所者の移転補償についてでございますが、現入所者につきましては、退所期限目途を設定いたしまして、入所者等みずからも他の施設を探していただく中、県としましても新たな転居先を積極的に紹介、あっせんし、鋭意取り組んでいるところでございます。
 転居先の紹介につきましては、入所者を施設へ御案内し、できる限り納得して転居いただけるよう取り組んでまいりたいと考えてございますが、移転補償についてまでは考えてございません。
 4点目の県有の社会福祉施設の耐震状況についてでございますが、現在11施設あり、そのうち昭和56年以前に建てられた施設の棟数は13棟でございます。これらについて、耐震診断を平成17年度から計画的に実施しているところであり、17年度、18年度において8棟実施したところ、倒壊の危険性がある、また高いと診断されたものとして、白浜なぎさホーム及び無憂園の2棟がございました。また、未実施の5棟につきましては、今年度中に実施することといたしております。
 なお、耐震改修が必要と診断された建物のうち、引き続き県有施設としてその役割を果たすべきものにつきましては、平成26年度末を目途に順次耐震化の完了を目指すことといたしてございます。
 続きまして、社会的ひきこもり支援について一括してお答え申し上げます。
 まず、社会的ひきこもり者の実態の把握についてでございますが、本人は社会的交流を持たず、またその家族も調査に一般的に協力がなかなか得られないなど困難な状況にあり、全国的な実数はつかめてございません。ただ、ひきこもり者は全国的で60万人とも100万人とも言われている中で、1つの研究でございますが、国の研究事業における推計では約41万人いるとされてございます。それを和歌山県に当てはめると約4000人程度になると推定してございます。
 県では、平成16年度から全国に先駆けて、社会的ひきこもり者に対し相談、居場所の提供及び家族支援を行っているNPO法人を「ひきこもり」者社会参加支援センターとして県内で2カ所指定し、設置市とともにその支援センターに対する運営に補助する支援を行っております。
 今後も、県といたしましては、県内の状況を把握しながら適切に対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、共同作業所の今後の方向性及び相談活動への技術的、人的支援についてでございますが、ひきこもり者対策については、国において地域保健福祉の分野にかかわる人の対応指針であるガイドライン等を示していますが、抜本的な対策がございません。
 県においては、先ほど申し上げた独自の支援を行っているところでありますが、県の単独施策としては、専門的、技術的はもとより、財政的にも限界がございます。こうしたことから、さきの政府要望におきましても、国に対して、ひきこもり担当部署の設置やひきこもり者に対する技術的、人的支援はもとより、財政的支援を強く要望したところでございます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 県営住宅の耐震化状況についてお答えをいたします。
 県営住宅につきましては、平成8年に中高層建物を対象とした公共住宅耐震診断・改修マニュアルにより予備診断を実施したところ、支障なしとの診断結果が出ておりました。その後、平成17年に、低層プレハブ建物も含めました、より詳細な診断方法であります工業化住宅の耐震診断等が策定されましたので、今年度から3年間で再度耐震診断を実施し、安全性を確認する予定でございます。
 なお、県営住宅の大規模な改修工事を行う際には、耐震性も考慮し、施工を行っているところでございます。
○副議長(新島 雄君) 総務部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○総務部長(小濱孝夫君) 県職員住宅の耐震状況についてお答えいたします。
 県有施設の耐震化対策につきましては、平成16年度に策定した県有施設の耐震診断の実施方針に基づいて耐震診断を行い、耐震基準に満たないものについては防災対策の重要度等を総合的に勘案して耐震化を実施しているところですが、一般県民の方の利用を見込んでおりません県職員住宅についての耐震診断は、この実施方針には含んでおりません。
 県職員住宅の耐震化につきましては、地震等大規模災害発生時などにおける県職員の果たす役割、県の財政状況等を勘案して今後検討したいと考えております。
 次に、住民税の大幅アップについてという御質問にお答えいたします。
 住民への所得課税につきましては、本年から実施されております税源移譲による所得税と住民税の合計負担額は、基本的には変わっておりません。つきましては、税源移譲によって税負担がふえたとの誤解を招くことのないよう周知広報に努めてまいったところでございます。
 ただ、別途、定率減税の廃止や公的年金控除等の縮小などの税制改正の影響があったところでございます。
 定率減税の廃止につきましては導入当時の経済状況が改善されていることから、また、公的年金控除等の縮小などにつきましては世代間及び高齢者間の公平を図る観点から、それぞれ見直しが行われたところでございます。これらの税制改正は、国や地方の現下の財政状況や急速な少子・高齢化社会など、経済社会の構造変化に対応したものと承知しております。
 救済策についてのお尋ねでございますが、個人住民税の減免などの税軽減措置につきましては、生活保護を受ける場合や当該年において所得が皆無となったため生活が著しく困難となった場合等は、当該市町村の定める条例に基づき、市町村長の判断により個人住民税を減免することができることになっております。各市町村においては、納税義務者から相談を受け、法令などの要件の確認など適切に対処しているものと考えております。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再質問を許します。
 41番奥村規子君。
○奥村規子君 先ほど答弁いただいた無憂園の耐震診断のことなんですけども、現在の無憂園を改修するときに、既に平成7年は阪神・淡路大震災が起こって耐震問題が社会的にも大きな問題になっていたと思います。無憂園は、震災後6年目、13年度に改修工事が行われましたが、このときに、先ほど、お年寄りの命が第一、そのために移転をというお話が経過の中でございましたが、そのときになぜ耐震診断を──普通はお年寄りのことを一番に考えていればされていたと思いますが、その点でどうだったのでしょう。それをお答えいただきたいと思います。
 2点目には、入居されている方に安心して次の施設の紹介先をということでお話がありましたが、その中に新宮の老人ホーム寿楽荘というところも紹介先としてありましたが、私、新宮市の所有する建築物の耐震診断状況というところで資料をいただいたんですが、平成18年6月現在、補強が必要だと、そのことが書かれています。こういう危険なところへまた転居をするという、紹介をするということは、非常にお年寄りの命や暮らしを軽んじていると思わざるを得ません。そういった点で、このことについてもお答えを願いたいと思います。よろしくお願いいたします。
○副議長(新島 雄君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長井畑文男君。
  〔井畑文男君、登壇〕
○福祉保健部長(井畑文男君) 再質問の2点についてお答え申し上げます。
 まず、1点目の改修時の耐震補強の関係でございます。
 平成7年に阪神・淡路大震災があり、12月に建築物の耐震改修の促進に関する法律というのができております。耐震改修促進法というのがあって、56年以前の建物については耐震診断で必要に応じた耐震改修の、これは努力義務が課せられていたというふうに理解してございます。
 ただ、努力義務があったということは事実でございますが、先ほども申し上げましたように、この施設については一定の期間の利用状況を見ながらその存廃を決めていくということで、先ほど申し上げましたように、入所者の処遇上必要最小限にとめた改修経費に抑えて改修をしたところでございます。
 それから、2点目の新宮の寿楽荘について御質問でございますが、これにつきましては、新宮市に私どもも確認をいたしまして、構造耐震指標IS数値は0.6以上ということで、耐震オーケーだというふうに確認をとってございます。
 以上でございます。
○副議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(新島 雄君) 以上で、奥村規子君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時49分散会

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