平成19年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(全文)


県議会の活動

平成十九年二月 和歌山県議会定例会会議録 第七号
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議事日程 第七号
 平成十九年二月二十七日(火曜日)午前十時開議
  第一 議案第四号から議案第十九号まで、議案第三十四号から議案第五十二号まで、議案第五十四号から議案第七十七号
     まで、及び議案第七十九号から議案第九十一号まで(質疑)
  第二 一般質問
  第三 議案の付託
  第四 請願付託の件
会議に付した事件
   一 議案第四号から議案第十九号まで、議案第三十四号から議案第五十二号まで、議案第五十四号から議案第七十七号
     まで、及び議案第七十九号から議案第九十一号まで(質疑)
   二 一般質問
   三 議案の付託
   四 請願付託の件
   五 休会決定の件
出席議員(四十三人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       新   島       雄
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     九  番       藤   山   将   材
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       花   田   健   吉
     十八 番       前   岡   正   男
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       飯   田   敬   文
     二十二番       谷       洋   一
     二十三番       井   出   益   弘
     二十五番       東       幸   司
     二十六番       藤   本   眞 利 子
     二十八番       原       日 出 夫
     二十九番       冨   安   民   浩
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       中   村   裕   一
     三十三番       浦   口   高   典
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       玉   置   公   良
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       阪   部   菊   雄
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(一人)
     四  番       山   下   直   也
 〔備考〕
     二十四番欠員
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         仁   坂   吉   伸
     副知事(総務部長事務取扱)
                原       邦   彰
     知事公室長      野   添       勝
     危機管理監      石   橋   秀   彦
     企画部長       高   嶋   洋   子
     環境生活部長     楠   本       隆
     福祉保健部長     小   濱   孝   夫
     商工労働部長     下           宏
     農林水産部長     西   岡   俊   雄
     県土整備部長     宮   地   淳   夫
     教育委員会委員長   樫   畑   直   尚
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      辻       義   之
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     垣   平   高   男
     選挙管理委員会委員  森   本   明   雄
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       山   本   庄   作
     次長         植   野   博   文
     議事課長       下   出   喜 久 雄
     議事課副課長     薮   上   育   男
     議事班長       土   井   敏   弘
     議事課主査      石   垣   悦   二
     議事課主査      湯   葉       努
     総務課長       島       光   正
     調査課長       辻       和   良
 (速記担当者)
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(向井嘉久藏君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、議案第四号から議案第十九号まで、議案第三十四号から議案第五十二号まで、議案第五十四号から議案第七十七号まで、及び議案第七十九号から議案第九十一号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 七番門 三佐博君。
  〔門 三佐博君、登壇〕(拍手)
○門 三佐博君 皆様、おはようございます。
 ただいま議長のお許しを得ましたので、今期定例議会におきまして一般質問の機会をお与えいただきましたことを心からお礼申し上げます。
 私は、昭和五十年の春に県議会議員選挙に出馬させていただき、伊都郡の選挙区からは定数が三名に対しまして七名が立候補するという、県下一の激戦区でありました。当時、妙中正一先生という立派な、知事が二人いるんじゃないかと言われるぐらいの大実力者と一緒に当選させていただいたのが県議会議員としてのスタートのときでございまして、いつの間にか八期の任期満了、あとわずかとなってまいりました。
 おかげさまで、大橋正雄知事、仮谷志良知事、西口勇知事、木村良樹知事、そして昨年多くの県民の支持を得て就任されました仁坂吉伸知事と、五人の知事と県勢進展について一緒に取り組むことができましたことは大変幸せであり、感激ひとしおでございます。
 例外の方を除きまして、それぞれ知事には大きな実績を残され、また個性豊かな方ばかりでございまして、数多くの思い出があり、懐かしい限りでございます。仁坂知事には、県民の信頼にこたえ、県勢伸展のために一層の御尽力をお願い申し上げます。
 初質問は、当選直後、大橋知事にさせていただきましたが、この壇上で足が震えたことを今も思い出しております。二月二十一日以来の本会議におきまして、各会派、各地域代表の議員の方々から熱心な質問や提言がなされまして、大変勉強になると同時に、県下各地域には重要な課題が山積していることを痛感いたしました。
 さて、私も当面しております諸課題について仁坂知事を初め関係部長に通告に従い質問させていただきますので、適切な御答弁をお願い申し上げます。
 最初に、県立医大附属分院の改築による充実についてでございますが、まず初めに仁坂知事にお礼申し上げます。
 初日の知事説明にもございましたが、「質の高い医療体制の整備を目指して、老朽化いたしました紀北分院の施設を更新し、診療機能の充実や近隣の医療機関との連携、機能分担により、県民サービスを強化するための基本・実施計画に着手する」と力強い説明がありました。いよいよ長年の願いでありました紀北分院の改築が確実になったのであります。この場をおかりいたしまして、地元住民を代表して改めてお礼を申し上げたいと思います。財政が大変厳しい中で英断されましたことに敬意を表したいと思います。
 私の議員生活の中で、紀北分院の充実についての最初の質問は、たしか昭和六十三年の二月定例会であったと思います。それから二十年の歳月が流れまして、この間、多くの議論がなされました。浮き沈みもございましたが、やっとのことで紀北分院の建てかえが緒につきました。
 先般公表されました紀北分院整備基本計画におきましては、病床数の縮小や一部診療科の廃止が計画されてございます。この理由として、現在の入院患者数の状況を踏まえ、近隣病院と機能分担を、またネットワークの構築を図るなどを挙げられています。また一方では、特色として、専門的医療を提供する脊椎・脊髄いわゆるスパインセンターや緩和ケア病棟の設置、総合診療など、地域と密着した地域医療の実施と質の高い医療体制の確立などが盛り込まれてございます。
 地元におきましては、将来の病院機能の充実をも考え、この新病院を地域の中核施設として最大限の波及効果を得るために支援を行うことにしてございます。また、私も微力ながらでき得る限りの協力をして、建てかえ推進とさらなる充実も含め、盛り上げてまいりたいとの考えでございますので、紀北分院の充実に対する今後の方針などにつきまして知事の御見解、所見をお尋ねいたします。
 次に、道路整備充実のことについてお尋ねいたします。
 昭和五十年に県議会議員に当選させていただき、はや八期三十二年の歳月がたちました。振り返ってみますと、私とは県議会議員当選同期で、ただいま国政の場で大変御活躍中の二階俊博先生の熱心な取り組みによりまして、近畿自動車道和歌山線について促進議員連盟の結成や、当時の建設省のたび重なる勉強会などでは、当時、道路局企画課道路経済調査室長でした本山蓊氏や現国土交通省の技術者ではトップの地位にあります本県出身の谷口博昭技監が、まだ東大を出て入省早々でございましたが、側面から大変力強い応援をしていただきましたことを鮮明に覚えております。今日、ほぼ田辺市まで開通することになりましたことは、まことに喜ばしいことでございます。そうしたお力もありまして、当時としては夢物語でありました近畿自動車道の南伸や、さらには京奈和自動車道の進展など、道路事情は格段によくなってきております。
 しかし、和歌山県におきましては、モータリゼーションの進展により生活のほとんどが道路に依存するようになった反面、いまだに狭隘な箇所やがけ崩れなど危険な箇所が多く存在し、道路の改良率は全国で低位になっておると聞いております。
 まず第一点といたしまして、国道四百八十号の府県間部の促進についてお伺いします。
 今年度の予算でも、仁坂知事の重点施策となっている府県間道路のうち、かつらぎ町から和泉市に至る国道四百八十号については、大阪へ通じる幹線道路として新年度の予算にも多く計上していただいておりまして、府県間部の仮称・鍋谷トンネルについても国の方で調査がされておりますが、しかし、大阪府側の整備はまだまだ多く残っておると聞いております。そのために、大阪側へ整備の促進について強い働きかけと、府県間部の仮称・鍋谷トンネル、約三千七百メーターありますが、これの直轄代行事業での早期事業着手に向けた取り組みにつきまして仁坂知事の考え方をお伺いいたします。
 二点目といたしまして、かつらぎ町笠田付近でのミニインター設置についてお伺いいたします。
 最近、高速道路のサービスエリアにスマートインターという簡易なインターを設置しているという話を聞きますが、昨年四月に供用されました国道四百八十号の平道路から国道二十四号までの最短ルートである県道那賀かつらぎ線と京奈和自動車道の交差するかつらぎ町笠田付近にパーキングエリアを設置する計画があるので、ぜひこれを活用して簡易なミニインターを設置していただけないものか。安い費用で大きな効果があると思いますが、いかがなものか、お尋ねいたします。
 第三点、国道四百八十号より高野山への線形改良についてお尋ねいたします。
 国道四百八十号の河南側の改修も着々と進み、国道二十四号と高野山を結ぶ最短コースであります志賀高野山トンネル約一千メートル余りが県当局や地元の熱意によりましてこのほど完成いたし、来る三月十八日に開通式が開催される運びとなったと伺っていますが、私も生まれ育った土地の方々の悲願が実現したことを大変喜んでおります。同時に、完成に御尽力いただいた方々に心から厚く御礼申し上げます。
 しかしながら、世界遺産の高野山への玄関口となる花坂峠から高野山までの国道四百八十号は、二車線改良はされているもののカーブがきつく、参詣者からは、車酔いが多く困っているとの声があります。
 大型バス同士の対向も困難となっている箇所について、現在、県の方で線形改良をしていただいておりますが、この改良の進捗の状況についてお伺いいたします。
 第四点といたしまして、紀の川左岸広域農道建設促進の見通しについてお伺いいたします。
 紀の川の左岸地域は全国シェアの二割以上を占める柿の有数の産地であり、全国の産地間競争に勝つためにも、生産性のさらなる向上が必要であります。このためにも、現在事業をやっていただいている紀の川左岸広域農道の一日も早い整備が欠かせません。一部でも工事が完了したところは早く供用し、早く効果を出してほしいと考えております。
 そこで、紀の川左岸広域農道の現在の状況と今後の対応につきましてお聞きいたします。
 以上三点につきましては、県土整備部長からお答えいただきたいと思います。
 次に、農業の振興についてお尋ねします。
 日本経済については、景気は低迷期を脱出し、確かなものになってきていると言われておりますが、個人消費については依然として購買力が弱いという状況にあります。こうした中で、和歌山県の基幹産業であるその農業の状況を見たとき、地域の活性化にどのようにつなげていけばいいのでしょうか。
 私の地元かつらぎ町や紀北地域では、時代の移り変わりの中で、柿やミカンを初めとするかんきつ類、梅など、現在、多様な果樹が栽培される状況となっています。
 果樹生産を軌道に乗せていくためには数年を要しますし、生産構造を変えていくこともままならない状況の中で、生産、販売等に大変な努力をしても満足する価格が得られないような状況が、今日、数年続いてきております。
 農業を担っておられます方々がほとんど六十歳以上となり、地元の集会などに行きましても、本当に高齢者の方々が多いなというような感じがいたします。また、今後五年先、十年先を考えたとき、このままではいけないなと危機的な状況を憂うのは私一人ではないと思います。
 そのような中、十八年産のミカン、柿の価格は近年にない高価格で取引され、生産農家の皆様方はほっと一息ついたところだと思います。久しぶりに地方にもお金が回ってきたなと思いましたが、十八年度産は生産量が少ない中での高価格であり、本当に心から喜べる状況ではございません。
 今後の農産物消費を考えたとき、人口の減少という問題があり、これまでのような全体的な消費の拡大を期待するのは大変難しいのではないかと考えております。しかし、消費のパイはふえなくとも、消費の内容は大きく変わってきております。
 これまでの消費の中心を担ってきた団塊世代は退職を迎え、新たな消費階層となる可能性があり、一方、これからの消費の中心となる二十歳から三十歳代の若者の消費に対する価値観は多様でございます。つまり、これまでとは異なった需要や個性化への対応が農産物にも求められていると思うのであります。
 これまでも、地元や県では、新たな需要の創造や農業に新たな展望を開こうと柿酢、あんぽ柿などの商品開発や地産地消の推進、さらには直売所を中心とした地域づくりなど、さまざまな取り組みをしていただいているわけでございますが、それぞれの取り組みを、地域を発展させていく上で戦略的な視点を持って対応していくことが必要じゃないかと思うのであります。
 仁坂知事は、新春の記者会見やさまざまなところで、農業を初めとした一次産業の活性化を訴え、地域資源としての農産物の販売促進や加工産業への広がりを視野に戦略を構築していきたいと述べておられました。
 そこで、農林水産部長にお伺いいたします。
 こうした知事の考えのもと、今後どのようにこの農業振興について取り組まれていかれるのか、お示しいただきたいと思います。
 次に、安全・安心な住民生活維持のための警察基盤の整備と空き交番解消対策についてであります。
 まず、安全・安心な住民生活維持のために警察基盤の整備を進めていくに当たっては、拠点となる警察署、交番などの整備と充実が必要であります。これが県民の安全・安心のよりどころとなっていることは言うまでもございません。
 この対策の一つとして警察署の新築整備などが進められてきたところでございますが、平成二十年の春には妙寺警察署が新築完成される予定でございます。警察署の名前も「妙寺警察署」から「かつらぎ警察署」と変更して、充実した施設のもと、紀北地域を中心として地域に密着した警察活動が展開されることは、私自身も非常に喜ばしく思っており、地域の住民からは「これで心強いなあ」という話をよく聞いております。
 また、交番活動の充実等につきましては、いわゆる空き交番の解消など総合的に進められていると聞いておりますが、県民にとりましては、警察署、交番などが近くにあって警察官がそこに常にいてくれるということだけで十分に心強く感じるものでありますので、今後も県下の治安情勢を踏まえて順次整備と充実に努めていってもらえることを願っておる一人でございます。
 さて、二月十日付の「朝日新聞」によりますと、県内の刑法犯の認知件数は一万六千二十六件で、過去十年で最低、しかも五年連続の減少との記事が掲載されておりました。また、二月三日付の「朝日新聞」には、本県の交通事故死者数が六十九人で、昭和二十九年以降最少という記事も見出しで出ておりました。県民の防犯意識の向上と具体的な事件・事故抑止に向けた活動と警察官の昼夜を問わない活動の成果と、感謝しているところでございます。
 ただ、ことしに入りましてから、全国では殺人事件など凶悪事件の発生が毎日のようにニュースで流れておりますし、先日には東京都内で暴力団員によります連続発砲事件が発生しております。
 県内では、大きな事件の発生もなく比較的平穏に推移していると認識はしております。しかし、過日には複数の少年による多額の恐喝事件や私の地元・伊都郡内で凶器を使用した強盗事件が発生し、子供や住民の方々は不安に思い、日常生活におびえを来しております。このような治安情勢から見ますと、安全・安心な住民生活の維持を実現するためには警察活動に期待することが多く、警察力の維持とさらなる強化を県民は期待していると考えております。
 このように非常に厳しい情勢でありますが、先ほど申し上げましたように、警察署や交番などは、県民から見れば安心・安全のよりどころであります。警察当局におきましても、警察官OBを交番相談員として交番に配置するなど、不在となる交番をなくす対策に力を入れてくれていることは認識しておるところでもありますが、県民の一部では、交番へ行っても、前を通りかかってもだれもいない交番が多いという不安を感じている声をよく聞くこともあります。
 そこで、警察本部長にお尋ねいたしますが、申し上げましたような情勢の中で、安全・安心な住民生活を維持していくための警察基盤の整備、空き交番解消対策、この二点につきまして今後どのように取り組んでいくのか、お考えをお答えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの門三佐博君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県立医大紀北分院につきましては、主な建物の老朽化が著しいこと、それから収支状況が近年悪化していることなどの課題がございまして、一方では、同一医療圏にある橋本市民病院、あるいは隣接する医療圏にある公立那賀病院が近年充実したことなど周辺環境の変化もございましたので、県立医科大学において大学内や地域医療の中で役割分担が果たせるよう、また安定した経営にもつながるような医療環境の整備について検討してまいったところでございます。
 先般、県立医科大学が公表いたしました紀北分院整備基本計画におきましては、附属病院本院との機能分担を図る、大学附属病院としての特色を保有する、近隣の医療機関との連携、機能分担を図ることなどを整備の基本方針といたしまして、一部の診療科を廃止し、病床数を縮小しておりまして、一方、新たな診療科、脊椎・脊髄センターや緩和ケアなどの専門センターあるいは地域医療支援センターの設置など、新機能を充実した計画となってございます。
 県といたしましては、この計画を踏まえまして、現地で紀北分院の建てかえを進めるため、基本・実施設計等の予算を今議会にお願いしているところでありますので、地元や関係者の皆様の御理解と御支援、御協力を賜りたいと考えております。
 道路の整備充実について、特に国道四百八十号府県間部の促進につきまして御質問がございました。
 府県間道路国道四百八十号は、大阪府との交流・連携を強化し、企業誘致や世界遺産高野山への観光ルートの一つとして非常に重要な路線と考えております。
 和歌山県側の整備状況は、昨年四月に平道路が部分供用し、平成十九年度には府県間トンネルを残しましてほぼ全線完成する予定であります。
 一方、大阪府側の整備状況につきましては、和歌山県側に比べておくれておりますために、これまでも阪和開発連絡協議会などの場で協議を進めてきたところでございますけれども、さらに今後、事業促進を大阪府に強く進めてまいりたいと考えております。
 また、国においても、府県境部の鍋谷トンネル、これにつきましては平成十五年度より調査が実施されております。今後とも、府県間トンネルの調査推進及び直轄代行事業として早期事業着手を大阪府とともに国に強く働きかけてまいりたいと考えております。
○議長(向井嘉久藏君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 道路の整備充実について三点、私からお答えをいたします。
 まず、かつらぎ町笠田付近でのミニインター設置についてお答えをいたします。
 現在、国において、地域の生活の充実、経済の活性化を目的に、長いインターチェンジ間隔の短縮を図り、高速道路をより有効活用する施策が打ち出されております。
 こうした中で、京奈和自動車道かつらぎインターと粉河・那賀インターの間隔は約八・四キロと距離があるため、県道那賀かつらぎ線と交差するパーキングエリア付近にインターを設置することは地域の利便性向上に有効であると思われます。このため、ミニインター設置の可能性について現在国と協議を行っており、今後とも国に強く働きかけてまいります。
 次に、国道四百八十号の花坂から大門間の線形改良につきましては、平成十八年度新規事業化したところであり、現在、改良対象の六区間の中で大門から約一・〇キロ下った大門工区について現地測量、詳細設計を進めております。平成十九年度には、保安林解除の手続が整い次第、工事の着工を予定しております。
 次に、広域農道紀の川左岸地区につきましては、平成三年度より計画延長十八キロメートルのうち十一・六キロメートルについて事業を実施しており、平成十八年度末には、事業着手区間のうち七・四キロメートルの整備を完了することとしております。
 さらに、平成十九年度末には、九度山町九度山地区から県道志賀三谷線までの四・六キロメーターの区間において、未供用であった〇・六キロの橋梁を整備する予定であり、本区間が連続して完成することとなります。これにより、一般車両を含めたより有効な活用が可能と考えてございます。
 残る未採択区間六・四キロメートルにつきましては、現在、採択済み区間の完成時期を見きわめながら国への採択申請準備を進めてまいります。
○議長(向井嘉久藏君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 農業の振興についてでございますが、県内各地においてファーマーズマーケットを活用した地産地消の推進や地域の特産物を生かした新商品の開発などに取り組まれてございまして、まことに力強いものを感じているところでございます。
 しかしながら、農業の将来を考えたとき、議員御指摘のとおり厳しいものが予想され、新たな活路を切り開いていくためには、地域の特性を生かし、農業を核として産地みずからが地域づくりに取り組むこと、こういったことが重要であると考えてございます。このため、特色ある農産物の販売促進や付加価値をつけた加工品づくりについて、地元生産者やJAを初め市町村、商工会の方々と一体となった体制づくりを進めることといたしてございまして、既に振興局単位でそのための作業に入ってございます。
 今後、こうした取り組みをより一層促進するとともに、流通分野に精通した方々の御意見も聞きながら、生産者と加工業者とが連携した新たな加工品開発にチャレンジしてまいります。
 いずれにいたしましても、農業は本県の基幹産業でございます。高品質生産はもちろんのこと、加工分野を含めた地域産業として推進してまいりたい、このように考えてございます。
 以上でございます。
○議長(向井嘉久藏君) 警察本部長辻 義之君。
  〔辻 義之君、登壇〕
○警察本部長(辻 義之君) 安全・安心な住民生活維持のための警察基盤の整備、空き交番解消対策についてお答えいたします。
 まず、警察基盤の整備についてであります。
 県警察といたしましては、県民が安全で安心して暮らせる社会を実現するため、本年も悪質・重要な犯罪の徹底検挙などの諸対策に取り組んでまいりますが、これらを推進するためには、警察官の増員や活動拠点となります警察署の整備など、人的・物的基盤の強化が必要であると考えております。
 まず、人的基盤の整備ですが、警察力強化のかなめであります警察官の増員につきましては、厳しい財政事情の中、議会の御理解によりまして平成十四年から五年間で百三十五人の増員をいただき、業務の合理化、省力化により捻出した人員を合わせて警察事案の多発地域への重点配備などを行いました結果、刑法犯認知件数や交通事故件数が五年連続して減少するなど、その効果が着実にあらわれてきております。
 県警察といたしましては、さらなる治安の回復のため、平成十九年度予算案におきましても警察官の増員をお願いしているところでございます。
 また、物的基盤の整備ですが、警察署や交番などは、警察活動の拠点となる施設であるとともに、災害発生時には防災拠点となる重要な施設であります。
 現在、妙寺警察署の建てかえ工事を実施していますが、平成十九年度予算案におきましては、その完成とともに、老朽化いたしました白浜警察署の建てかえに向け、必要な経費などを計上させていただいているところでございます。
 県警察といたしましては、引き続き警察基盤の充実を図り、県民の安全・安心の確保に努めてまいりたいと考えております。
 続きまして、空き交番解消対策についてでありますが、交番は地域住民にとりまして最も身近で安心感を与える施設であり、地域に根差した警察活動を行う上において最も重要な位置づけをしております。一方、対応を要する事件・事故等が多いこと、パトロール等を強化していることなどから、交番に警察官が不在になることが常態化している交番も見られたところであります。
 そこで、全国的に平成十九年春を目途にいわゆる空き交番を解消すべく取り組んでまいりましたが、本県におきましても、本年四月には、増員をいただきました警察官等の交番への配置、交番の配置の見直しなどによりまして空き交番を解消するとともに、交番相談員を全交番に配置することによって、パトロールや事件・事故の取り扱いのため警察官が不在となった場合でも交番において被害届の受理等ができる体制を整備したいと考えております。
 県警察といたしましては、空き交番の解消は、単なる体制の整備にとどまらず、真に地域住民の皆さんが安全・安心感を持っていただけるような活動を推進していくことが重要だと考えており、今後とも県民の期待にこたえるため、活動の充実に努めてまいりたいと考えております。
○議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 以上で、門三佐博君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十二番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 まず最初に、この春をもって御勇退される皆さんに一言申し上げます。
 県議会議員として、また市議会、町議会議員として長年御活躍をされてこられました。先輩の皆さんが担当されたのは、国の成長期からバブルがはじける大変な時期、地方自治にとりましても大変難しい時期を御担当いただいたわけであります。選挙で当選し続けることは本当に大変で、御本人、御家族の御苦労に心から敬意を申し上げます。
 世間の評価以上に苦労が多い議員の仕事であります。その中で頑張ってこられたのは、恐らくふるさとに対する熱い思い、そういう高い志のなせるわざではないかというふうに思います。そのとうとい志に敬意と感謝を申し上げる次第であります。
 どうか、これからも健康に御留意をいただきまして、我々後進のことをお見守りいただきますとともに、立場を変えて和歌山県県勢発展のために御活躍いただきますことを心からお願いを申し上げます。(拍手)
 さて、それでは通告に従いまして一般質問を行ってまいります。
 県が県民にアンケートをとると、要望の第一位は道路整備だと言われております。その理由は、県民が、県というところは道路をつくったり川を直したり、福祉や医療の仕事をするところだと思っているからで、私は、県民の一番の願いというものは実はほかにあると思います。その願いとは、子供たちが学校を卒業し就職をするとき、ふるさと和歌山に残りたいと希望する子供たちがみんな残れることではないでしょうか。つまり、県内に若者の働くところをつくってほしいと思っているのです。
 知事は、出馬表明以来、県下をめぐり、多くの県民の声を聞いて五つの目標を掲げられました。その中でも仕事づくりを大きく取り上げておられます。私も含めて大多数の県民は、知事が何をおいても県経済の発展のために頑張ってくれると大いに期待しております。
 そこでまず、即効果がある企業誘致について伺います。
 企業誘致については、私も平成十七年十二月定例会で取り組みの強化をただしましたが、翌年には誘致奨励金百億円制度や千社訪問などの方針が打ち出されました。まず、その成果について知事から御報告願います。
 さらに、知事はこれまで企業誘致を強力に推進し、みずからもトップセールスで臨むと主張してこられましたが、果たして具体的にどのような方針、体制で取り組まれるのでしょうか、お聞かせ願います。
 次に、観光振興については五つの目標に取り上げておられますが、現在のところ、県の企業誘致優遇施策にはホテルなどの観光関連産業は対象となっておりません。恐らく、地域内での競争や観光産業は幅が広く線引きが難しいことから対象となっていないものと推測しますが、工場であろうとホテルであろうと、迷惑施設でない限り、土地を買い設備投資をして雇用を生んでくれることはよい投資であると考えます。
 最近、マカオではカジノ免許を外国資本にも開放した結果、投資が進み、入り込み客、売り上げが増加したことが報道されております。観光立県を目指す我が県こそ、観光関連産業にも優遇の対象を拡大すべきであります。知事はどのようにお考えでしょうか。企業を誘致し、さらに観光を振興されるという知事の御判断を伺います。
 また、県では、五十一人槽以上の合併浄化槽も現在のところ補助対象となっておりません。国が決めた制度では補助できることになっており、県費補助には交付税算入があるとのことで、幾らかでも助成金が節約できます。下水道の未整備地域での企業誘致対策、環境対策として大変有効でありますので、ぜひ今後は補助するよう要望しておきます。
 ところで、皆さん、話は変わりますが、人は何を求めて集まると思いますか。植物や昆虫は光に集まる習性、すなわち走光性があるということを理科の時間に習いました。実は人という社会的動物は、富と文化が生まれるところに集まる習性があるのです。そういう意味において、人口減少の本県では、仕事をつくる産業振興と同時に文化振興にも大いに力を注がねばと思います。知事の言われる「楽しい和歌山の実現」とは、恐らくこの文化の振興ということかと存じますが、具体的にどのようなことをおっしゃるのでしょうか、お答え願います。
 また、知事は、一月の臨時議会において、新たに長期総合計画をつくることを表明されました。五つの目標を実現するため、目指すべき姿や県政運営の基本方針、県が取り組むべき施策の基本的方向を明らかにするとのことですが、具体的にどのようなものをおつくりになるのでしょうか。
 四番目に、地方分権について伺います。
 平成十一年三月末に全国で三千二百三十二あった市町村は、合併特例法の期限、平成十八年三月末には千八百二十一になり、さらに本年三月末には千八百四になると言われております。県内でも五十市町村が三十になりました。
 新合併特例法施行後、県では市町村合併推進審議会から素案の報告を受け、新たな市町村合併推進構想を策定しました。しかし、それ以降、どこにも合併の動きが見当たりません。一次合併を振り返ってみて、当初は合併をしなければ生き残れないとまで言われたのに、合併をしなくてもちゃんとやっているし、合併したところでもどれだけよくなったのかわからないというのが理由ではないでしょうか。我々県会議員でさえ判別しにくいのですから、なおさら県民にはわかりづらいと思います。それどころか、最近では「知事がかわったのだから構想は無効だ。やり直し」との声も聞かれます。
 そこで、知事に、市町村合併についての認識と今後の取り組みについて伺います。また、道州制についてもお聞かせください。
 五番目は、メタンハイドレートについて。
 石油価格は、ことしに入り多少下落したものの、依然として高値圏にあり、景気のマイナス要因とも言われております。そもそも資源の少ない我が国においては石油確保は生命線であり、エネルギーは国家の基本政策であります。
 このような中、国産エネルギーとしてにわかに注目されるのがメタンハイドレートであります。メタンハイドレートとは、メタンガスの氷の結晶で、南海トラフなど日本近海の海底に豊富に埋蔵されており、うまく開発できれば日本はエネルギー資源大国になるとも言われています。二〇一六年までに商業化のための技術確立を目指して調査が続いていると聞きますが、早期の開発に大きな期待がかかります。
 ところが、この採掘予定地は、我が国の経済水域ではあっても領海すなわち県域ではないため、せっかく将来採掘されるようになっても県へ鉱区税が入らないのではないかと心配いたします。
 県議会では、平成十四年の九月定例会において下川議員がその開発促進と新宮港の利活用についてただされ、昨日も御発言がありましたが、改めて国のエネルギー政策を担当された経験のある知事に開発の見通しと本県のかかわりについて伺います。
 六番目は、県土の守りという視点から四点について伺います。
 去る二月十九日、安倍総理の指示により、内閣に美しい森林づくりのための関係閣僚会議が発足しました。森は美しい国の礎との位置づけで、森林づくりへの参画促進や木材利用、地域づくりを政府が国民の幅広い理解と協力を得て一体となって進めていくそうです。この盛り上がりにより森林の公益的価値への理解がさらに深まり、森林・林業問題が国民的課題になるものと喜んでおります。
 いよいよ本県においても新年度から紀の国森づくり税をいただくことになっておりますが、知事はどのように評価されていますか。
 また、初登庁時に自民党県議団よりその使途について多岐にわたる要望を行いましたが、どのようにお考えでしょうか。
 特に、花粉症対策についても申し上げました。昨夜から本日朝におきまして新聞やテレビでは、花粉症対策で花粉症の健康食品を飲んだ県内の女性が全身性のアレルギー反応で一時意識不明の重体になったということを県が発表されておられます。幸い二日後には意識を回復し、今は快方に向かっているということが言われておりますが、実は花粉症というのは国民の四割の人がかかっているという国民病でございます。しかも、医療費にして六千億円もの大金が使われております。残念ながら、若い人、特に子供を中心に、今でも増加しております。原因は複合的でなかなか明らかではありませんが、拡大造林が大きな原因であることは間違いありません。治療方法の根本的な方法はまだないということであります。
 そんな中で、我々自由民主党県議団におきまして、花粉症対策に注目をいたしましていろいろ研究をいたしました。大阪医科大学の耳鼻科の教授であります竹中教授からもいろいろ御助言をいただき、二つの要望を知事に行わしていただきました。
 一つは、ハイリスク児の看護であります。花粉症は、お父さんが花粉症かお母さんが花粉症の子供は花粉症になりやすい、それから、生後三カ月から六カ月の異物認証機能ができる時期に大量に花粉を浴びると花粉症になりやすいと言われておりますが、そういった子供たちをハイリスク児と呼びますが、この子供たちを早く発見してあげて看護することによって花粉症になることが防げるということを言われております。
 そしてまた、花粉の発生原因であります森林でありますけども、山全体から花粉が飛び散っているのではなくて、山の端の方であるとか、そしてまた、公園でありますとか学校にある単独で生えている孤立木、こういうものを施業することによって花粉の発生を少しでも防げると、こういうことがだんだんとわかってまいりまして、知事に要望する中で花粉症対策として特にお願いをしておりますが、いかがでしょうか。
 さらに、税条例の提案時、当局へ申し上げた林業予算の森林整備へのシフト、わかやま森林と緑の公社の経営改善について、その後どのように取り組まれたでしょうか。農林水産部長に伺います。
 さて、知事は会見で、森林・林業問題の根本的解決には木材が適正に流通することが必要との見解を示されました。本当におっしゃるとおりですが、果たしてどのようにすれば木材は売れるのでしょうか。やはり他の建材のように品質確保やブランド化が、さらに外国へは木材そのものではなく和風というデザインで売るような仕組み等々の販売戦略が必要であると思いますが、どうでしょうか。
 昨年、上海の紀州材展示場に県会議員の有志で視察をしてきました。率直に言って、店舗は木材を並べただけの改装中のような印象で、周りの店舗に比べて明らかに見劣りしました。価格も、ヒノキの床材が六割引きでも隣の店のカシ材より高いので、これでは商売にならないなというふうに思いました。戦略としては間違っていないので、この際、抜本的に見直してはいかがでしょうか。
 次は、企業による森林所有について伺います。
 かつて紀州の山は、その時々の資産家が所有し、林業という数十年もの長い投資期間の後にようやく資金が回収できる、大変気の長い事業を継続することによって山を守ってきました。しかし、高度成長期が過ぎると木材価格が低迷し、ほかの収入で林業経営を賄ってきましたが、だんだんとそれも困難になってきました。もはや林業家だけでは山は守れない状況にあります。私たちも紀の国森づくり税をそういう危機的な認識のもとで提案いたしました。
 しかし、よく考えてみれば、国内のもう一方には世界を席巻する景気のいい大企業がひしめき、史上最大の利益を上げています。その中には、わざわざ外国にまで植林をして地球環境のために貢献していることを宣伝している企業があります。
 私は、それほど余力があるのなら、まず国内の山に目を向けろと言いたいのです。企業の社会的責任が問われ、有力企業はどんどんと社会的貢献活動に励みます。しかし、今のところ、自分の国の森林が崩壊しかけているからといって、そのことを知らないのか、それともメリットがないためか、一部を除いて森林を所有する大企業の話は聞きません。
 そこで、企業の森事業を一歩進めて、有力企業に山を所有してもらう仕組みはつくれないものでしょうか。
 以上三点について、知事の御見解を伺います。
 最近は森林を緑のダムに例えますが、同様に農地も立派な緑のダムであると言えます。次は、この農地のダムについて伺います。
 昨年七月と九月の二回、中紀地方に降った集中豪雨は、時間雨量が九十ミリを超える記録的な大雨となり、大きな被害が出ました。御坊市内では、七月に五十一カ所、九月には六十一カ所の農地災害が起き、それぞれ十一カ所、三十五カ所が災害復旧事業に採択されました。残りは規模が小さいという理由で採択されませんでした。しかし、被災後、私が見てきたところでは、災害箇所は急峻地の水田が多く、稲作の採算性や農家の高齢化を考えれば自己復旧はかなわず、そのまま放置されるのではと心配します。
 古来より我が国では、稲をつくることにより治水を図ってきました。それを二千年以上も続けて今日の農村環境ができ上がったわけですが、高度成長以降のわずか数十年で、米価の低落、農家の高齢化、後継者不足のため、その環境が崩壊しかけています。今や森林同様、農家だけでは農地が守れない状況にあります。沖積平野や扇状地に発達した我が国の都市では、水田の崩壊によって、いずれ莫大な河川改修費、内水対策費がツケとして回ってくるのではないでしょうか。
 こうした農地の災害を今修繕することは、将来の治水・環境対策費を節約する効率的な投資であると思いますが、農林水産部長はどのようにお考えでしょうか。
 七番目は、高速道路の四車線化について伺います。
 本年一月四日正午過ぎ、有田川町の湯浅御坊道路上り線で乗用車二台が正面衝突し、男女三人が死亡し、二人がけがをするという大事故が発生しました。現場は吉備湯浅パーキングエリアから一キロほど離れた片側一車線の直線部分で、下りの車が対向車線にはみ出したことが原因と言われております。
 また、一昨年の四月一日には、印南町の阪和道で反対車線からはみ出したトラックと乗用車が正面衝突し、一家四人が死傷しました。楽しい思い出になる家族旅行が、一瞬の出来事で家族の悲しい永遠の別離に変わったのです。
 これまでにも、海南─みなべ間でははみ出しによる事故が頻発していることが報じられています。過去五年間の発生状況を調べてみますと、人身、物損合わせて事故が六十二件も発生しており、そのうち死亡事故が四件、平成十八年中では十三件、死亡事故が二件という状況であります。死者を伴う重大事故に発展する可能性が高いことがうかがえます。
 また、夏場などの行楽シーズンには、上下線とも海南─みなべ間を中心に渋滞が著しく、下り線では最長三十キロもの渋滞が発生しました。観光客、特にリピーターの減少も懸念されるところであります。
 和歌山県にとって、高速道路は一メートルでも先へ延ばすことが大切なことであります。しかし、できた高速道路を安全、快適な四車線の本物の高速道路にすることも、同様に大切であります。
 そこで、県土整備部長に、近畿道海南─湯浅間の整備状況並びに湯浅御坊道路の四車線化についてお考えを伺います。
 八番目は、全国公募についてであります。
 先般、伊豆半島の稲取温泉観光協会事務局長が全国公募され、三人の子供を育てる四十六歳の大学院生が合格し、大きな話題になりました。ほかにも調べてみますと、北海道羅臼町、京都府亀岡市、大分県日出町、群馬県片品村などでも観光協会事務局長が公募されています。かといって、全国公募は決してはやりではなく、既に大分県では一年前に公募がありました。県内でも以前、御坊商工会議所が緊急雇用対策で日高港のポートセールスを東京、大阪で募集しましたが、すばらしい人材が応募してきた実績があります。
 このような観点で、以下、二問伺います。
 まず、中高一貫校の教員についてであります。
 本年度、開設準備予算が計上され、いよいよ平成二十年度から日高地方に中高一貫校が配置されることになりました。この場をおかりして、知事、教育長初め教育委員会、関係者の皆さんに心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。
 さて、併設中学で教鞭をとる教員については、既に県教委では昨年度から県内公募されていますが、私は、この際、全国公募を提案します。
 今、団塊の世代問題が言われ、盛んに地方への移住を勧めていますが、団塊の世代にかかわらず、地方へ、しかもふるさとへの思いは若い世代でもみんな持っています。この人たちの中には、都会の進学校や予備校で活躍されている人、またいた人も必ずいます。そういう人の力をかりることは即戦力として、子供たちだけではなく教職員に対してもよい効果が望めると考えますが、教育長の御所見はいかがでしょうか。
 関連して、新年度の予算案には専門職の採用が幾つか計画されています。例えば、わかやま産業振興財団に設置される特許事業化コーディネーター、上海のビジネスコーディネーター等々、たくさんあります。予算の概要をぱらぱらめくっただけで、実に十五ほどありました。
 役所にはプロがいないとの心配しますが、もし外部に優秀な人材を求めるとするなら、中学同様に広く公募してはと思いますが、副知事、いかがでしょうか。
 最後に、行政組織で使用する名称について要望いたします。
 今議会に提案されている議案第三十六号は商工労働部の名称を「商工観光労働部」に変更するものですが、知事の観光に力を入れるとの強い意思の表明であろうかと思います。しかし、少々長過ぎるのではないでしょうか。
 また、県庁本庁には何々推進という課室が実に十四もあります。例えば長寿社会推進課は、額面どおりに受け取ると、長寿社会になることを推進しているように聞き取れます。港湾空港振興局には振興課という課がありますが、単独では何を振興しているのか全くわかりません。観光振興課と観光交流課の違いをだれか説明できますか。しかも、このような部局名の変更は機構改革のたびに行われ、ようやく覚えたころにはまた変わっています。
 同様に、今年度予算を見ても、事業名には外来語というよりも外国語が多く登場し、中には珍名もあります。最近、新しい概念を説明するためにはどうしても外国語がふえる傾向にありますが、県民にわかりやすい名称をよく考えて使用するよう、この際強く要望し、私の一般質問を終わります。
 御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの中村裕一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 企業誘致についてお答え申し上げます。
 本年度の企業誘致施策の成果につきましてでございますが、奨励金の増額による企業誘致を推進する県としてのPR効果に加えまして、県庁の職員が積極的な企業訪問をいたしまして、それによりまして昨年四社五工場の進出が決定しております。例年の二、三件という数字に比べて少し増加をしているという状況でございます。
 今後におきましても、企業の設備投資意欲の拡大と国内回帰傾向が少し出てきているという経済情勢を絶好の好機ととらえまして、市町村との連携をより強化いたしまして、企業用地の確保や基本的インフラ整備、地域や用地の特性に合ったターゲット業種の選定など、新たな企業誘致方針、企業誘致戦略を現在策定中でございます。
 企業誘致活動の体制でございますが、本年度、商工労働部に企業立地局を新設し、体制を強化したところでございます。来年度からは、さらに市町村との連携を図る一環として、市町村職員の受け入れも検討しております。私もトップセールスをして、できるだけ企業を回って訴えていきたいと思っております。そういう意味で、さらにこの政策を充実してまいりたいと考えております。
 それから、優遇対象業種の拡大、特に観光業についてどうかというお話がございました。
 これに関しましては、県の優遇策としては企業立地促進資金貸付制度があります。それから、過疎地域に立地する旅館業に対しましては、不動産取得税及び事業税の課税免除制度があります。しかしながら、補助金制度はまだ踏み切れておりません。
 私は、現在、現に旅館等を行っている企業も大事でありますけれども、新たにビジネスを始める企業もひとしく大事でありまして、歓迎すべきものと思います。しかしながら、補助金をつけることについては、私自身もちょっとちゅうちょしております。
 その理由につきましては、観光保養制度の立地要因が地域固有の景観やあるいは温泉といった環境そのものでありまして、他地域との競合が少ないという特色があります。補助金によるインセンティブ効果が、そういう意味では、例えば製造業などの例に比べると少ないというふうに考えることもあると思っております。また、限られた資源をめぐって、既存の企業、現に旅館を営んでいるような企業との関係も発生するかもしれません。したがいまして、観光保養施設を企業立地促進補助金制度の対象とするには、市町村や関係団体との合意形成なども含めまして、まだまだ議論が必要だと考えております。
 それからその次に、「楽しい和歌山の実現」についてでございます。
 本県は、議員御指摘のように、風光明媚な自然に恵まれ、幾多の偉人も輩出するなど、伝統と文化の薫り高い地域でありますが、最近は、経済的にも活力が失われつつあることに加えまして、昨年の官製談合を初め、悪い意味で社会をにぎわす事件が続発いたしました。郷土に自信を持つことができない方々がふえていることを憂慮しているところであります。こういったことから、県民の皆様が地域に誇りを持ち、自信を持って元気に暮らせる楽しい和歌山を五つの政策目標の一つといたしたところでございます。
 このために、議員の御質問にもございましたように、文化に着目し、埋もれている資源・財産の発掘や、あるいは活用や、地域での文化活動を応援することで、和歌山を味のある、元気のある地域にしたいと考えております。また、子供から高齢者まで生涯にわたりスポーツに親しむことのできる環境をつくるとともに、国際交流を活発にいたしまして、世界の人と楽しく交流できる地域づくりを進めることなどを通じて、和歌山での暮らしを心豊かなものにしてまいりたいと考えております。
 次に、新長期総合計画に関しましてお答え申し上げます。
 新たな長期総合計画では、県民が元気になるような将来像をお示ししたいとかねてより申し上げているところでございます。
 計画策定につきましては、先日、新田議員にもお答えいたしましたけれども、人口や経済の将来を見据えた課題の設定とその対応策を検討してまいりたいと思います。具体的には、本県の持つ歴史や文化、自然といった地域資源の活用、あるいは人、物、情報の流れを支える基盤整備、少子高齢化への対応、経済の礎となる産業振興、安全・安心な社会づくりなどは当然盛り込んでいく必要があると考えております。
 今後、県議会議員の皆様からも御意見をいただきながら検討を深めてまいります。そして、県が責任を持って取り組む施策の基本方針、方向についても明らかにいたしまして、県民一人一人がふるさとに誇りと自信を持ち、活力を実感できる社会を目指してまいりたいと考えております。
 計画の策定は、ほぼ一年をかけて行いたいと考えております。また、先日、中村議員から御提案のありました条例案の成立に従いまして、県議会での御議決を得ることになろうかと思います。県議会における十分な御検討が可能となるように、途中段階でもお諮りしてまいりたいと思います。
 次に、市町村合併について御質問がございました。
 市町村合併は地域の将来を大きく方向づける重要な事柄でありまして、基本的には地域において自主的に判断されるべきものと考えております。
 一連の合併を受けて、県内各市町村ではそれぞれ懸命に経営努力をされているところと考えております。しかしながら、地方分権改革を推進し、自立した個性豊かで元気な地域づくりのためには、合併による効果を生かした行財政基盤の強化も有効となります。一方では、地元の方々の気持ちも大切であると思います。その意味で真摯な議論が必要だと考えております。
 そこで、地域の現状や抱える課題等を十分踏まえ、地域の将来像や行政のあるべき姿について、合併も含め、住民の方々も交えたしっかりとした議論を行うことが今必要であると考えております。
 こうした議論を始めるに当たっては、住民の皆様に十分御理解いただけるよう地域の将来像に関する情報を提供することは重要でありまして、県もその議論には積極的に参加をし、地域の方々と一緒になって取り組んで、またできるだけの支援を行ってまいりたいと考えております。
 次に、道州制についてであります。
 道州制の導入は、日本全体のことを考えれば行政の効率化を図るという点で意味があると思いますが、現時点ではイメージが必ずしも日本じゅうで共有されているわけではありません。したがって、地方分権を推進するものとなるかどうか、また、和歌山県民にとって現在及び未来において有益なものとなるかどうかをしっかり見きわめる必要があると私は考えております。
 いずれにいたしましても、道州制は我が国の統治機構全体を改革するものでありまして、そのあり方について国民的な議論を展開していくべき課題でありますので、本県といたしましても、和歌山県民の利益につながるかという観点から、全国知事会等を通じて、道州制の制度設計やその必要性等について積極的に議論に参加してまいりたいと思っております。
 次に、メタンハイドレートについてでございます。
 和歌山県沖の熊野灘では、二〇〇四年度までに音波探査や試錘調査が実施されまして、基礎データの蓄積が行われております。同海域が二〇〇九年度以降に実施される海洋産出試験実施場所の候補の一つと考えられることから、今後ともメタンハイドレート開発計画の進展に着目し、情報収集に努めるとともに必要な対応を行ってまいりたいと思っております。
 なお、議員御指摘のあった領海外での鉱区税賦課につきましては、鉱業権の設定は排他的経済水域内であれば可能でありまして、課税できるものと考えております。ただ、メタンハイドレートの賦存域はずっと沖合でありますので、したがって、その県間の境界確定が必要かと。そういう意味での調整が今後必要になってくると思いまして、その調整を待ちたいと考えております。
 それから、紀の国森づくり税のお話がございました。
 紀の国森づくり税に対する評価についてでございますが、県内の森林の中に放置され荒廃が進んでいる人工林や里山が多く存在するということは憂慮すべきことであると考えております。本税は、そういった本県の森林の現状を県民の皆様一人一人に理解していただき、森林環境を自分たちが守っていこうという意識を高める上で意義のあるものだと考えております。
 次に、昨年末、自由民主党県議団からいただきました御提案であります紀の国森づくり税の使途についてでございますが、森林の公益的役割を発揮し、県民理解が深まる諸事業を初めとした貴重な御提案をいただきました。
 その中で、花粉症対策につきましても大事な政策課題だと考えておりますので、県民や社会の負担を軽減する意味からも、県民の理解を得ながら進めてまいりたいと考えております。
 次に、木材をどのように売っていくかというお尋ねでございます。
 紀州材の販路拡大につきましては、生産者から最終消費者まで紀州材のよさを広く認識していただくということが重要と考えております。このため、今後とも紀州材の評価がさらに高まるように、さまざまな機会をとらえ、積極的にPRしてまいりたいと存じます。このための予算もいささか増額して御提案をさしていただいたところであります。
 また、御指摘の輸出に関しましても、ぜひ挑戦してみたいと考えております。中でも中国の販路開拓につきましては、中国における木材流通の実態を踏まえまして、紀州材のよさを生かした提案や、あるいは知名度を高めるということなどにより販路開拓につなげてまいりたいと存じます。
 次に、企業による森林所有であります。
 議員御提案の、企業が森林を所有する仕組みづくりにつきましては、企業や地域それぞれの事情が想定されるところでありますが、関係者がその方向で合意されるということがありますならば歓迎すべきことだと考えております。
 もちろん、企業の森事業は、和歌山の森林を生かすために企業の力をかりているわけでありますので、企業の取り組み姿勢や考え方を考慮しなければならないということはもちろんのことであります。
 今後とも、より多くの企業等に森林保全活動への参画を呼びかけ、さらに大きな広がりになるよう積極的に本件に取り組んでまいりたいと考えております。現在、このような積極化のための仕掛けを検討中であります。
○議長(向井嘉久藏君) 副知事原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○副知事(原 邦彰君) アドバイザーなど専門職の公募についてのお尋ねがございました。
 県では、職員が直接業務を執行するばかりでなく、必要に応じて、民間の知識経験を活用するため外部の方にお願いする場合がございます。その際の採用については、関係団体からの推薦などにより対応する場合もありますが、基本的には、透明性を確保するなどの観点からも広く公募によることが適当と認識しておりまして、全国に公募する方法も有効な手段の一つと考えております。
 今後とも、議員御指摘の点も踏まえ、優秀な人材の確保に努めてまいります。
○議長(向井嘉久藏君) 農林水産部長西岡俊雄君。
  〔西岡俊雄君、登壇〕
○農林水産部長(西岡俊雄君) 紀の国森づくり税に関連して、二点お尋ねがございました。
 まず、森林整備に関連する事業予算につきましては、農林水産部が所管してございます林業関係公共事業予算に占める割合を、平成十七年度には三〇%でございましたものを平成十八年度では三八%、平成十九年度では四一%と年々重点化を図る中で間伐等を積極的に実施し、森林の公益的機能の持続的な発揮に努めているところでございます。
 次に、わかやま森林と緑の公社の経営改善の取り組みについてでございますが、分収林の長伐期化への移行、また施業転換資金の活用による低利資金への借りかえや県借入金の無利子化に加えまして、事業内容の見直し、また一般管理経費の縮減、こういったことを図っているところでございます。
 こうした公社の厳しい経営環境につきましては、全国的な課題でもあることから、他府県と連携し、国に対して支援を提言してまいります。
 次に、農地災害についてのお尋ねがございました。
 国庫補助対象とならない小規模なものにつきましては、市町村が実施する小災害復旧制度や農業近代化資金融資制度での対応をお願いしているところでございます。
 また、中山間地域等直接支払制度や平成十九年度から実施される農地・水・環境保全向上対策、いわゆる環境支払い制度でございますが、こういったものにより地域全体で農地や農業用水などを保全していく仕組みづくり、こういったものを推進してまいりたいと考えてございます。
 議員お話がございましたように、農地は、農業生産の場という位置づけだけでなく、国土の保全を図るという観点から、農地の持つ多面的機能を維持することが重要と考えてございます。こうした視点に立って既存の施策の活用に努めるとともに、市町村とも連携し、農地の総合的な保全対策について研究してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(向井嘉久藏君) 県土整備部長宮地淳夫君。
  〔宮地淳夫君、登壇〕
○県土整備部長(宮地淳夫君) 高速道路の四車線化について二点お尋ねがありました。
 まず、近畿道海南─湯浅間の整備状況につきましては、二月現在において用地取得率が九七%に至っており、工事につきましても、昨年度から全線にわたり着手がされるなど、順調に進んでいるところでございます。今後とも、関係機関に対し早期供用を強く働きかけてまいります。
 次に湯浅御坊道路については、高速道路のみなべまでの延伸、昨年からのETC割引の適用などにより、交通量が大きく増加しております。また、今後予定している田辺までの開通や海南─吉備間の四車化に伴い交通量はさらに増加すると考えられ、四車線化の必要性が高まるものと思われます。
 一方で、湯浅御坊道路については、高速自動車国道としての位置づけがあるものの、事業化の前段階である基本計画区間にとどまったまま一般有料道路として事業化をし、平成八年に二車線で完成したものであります。したがって、その拡幅四車線化については事業手法が問題となります。
 県といたしましては、今後とも近畿自動車道紀勢線における事業中区間の早期整備とあわせて、湯浅御坊道路の四車線化の整備方針の早期確立を精力的に国に働きかけてまいります。
○議長(向井嘉久藏君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 中高一貫校教職員の全国公募についてお答えします。
 併設型中高一貫教育の県立中学校では、中学校と高等学校の六年間を見通した計画的、系統的な学習指導を行い、生徒の能力や創造性を伸ばす特色ある教育を進めております。そのため、昨年度から県内の全教員を対象に、県立中学校の教育に強い関心と意欲のある教員を公募するシステムを導入しております。
 今後、教員の採用検査において和歌山らしい教育を進める優秀な人材を確保するため、さらに県内外での説明会を拡大するとともに、議員御提案の県立中学校教員を全国から公募することについても、その具体的な方法を検討してまいります。
○議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十二番中村裕一君。
○中村裕一君 一点、要望を申し上げたいと思います。
 観光施設、観光関連産業に対する誘致策の拡大についてでありますが、投資家が、工場やホテル、観光産業、いずれにしましても投資を考えるときにキャッシュフローを考えましたら、どれだけのお金を投資して幾らの利益が得られるかという、そういう視点があるわけでありますから、私は、工場と同じようにホテルやテーマパークなどのそういう集客施設も、その場所のロケーションでありますとか景色でありますとか歴史でありますとか、そういうことももちろん考慮されるのは当たり前でありますけども、トータルのこのキャッシュフローということを考えれば、この誘致策を拡大するということは有効であるというふうに思っております。
 それから、いろいろお話を伺う中で、今までそんなことを要望されたこともなかったということでありますが、バブル以降、残念ながら、観光関連の投資というのは和歌山県でほとんど行われておらない。だから、そんなことを聞くチャンスがなかったんではないかと私は思っております。
 これから我が県では南海道地震が起きると言われております。観光客をお迎えする上では、安全ということをすごく考えてやっていかなくてはなりません。当然、その観光施設、ホテルなどでも地震対策ということをやっていかなくてはならないわけであります。そのときに、今ある制度──税制の制度があるわけですけども、それだけではなかなか対応し切れないところがあるので、観光施設の耐震化を応援するということとあわせて、こういう新たな投資を呼び込むということがセットで出せば理解をしていただけるんではないかというふうに思います。
 今あるものを有効に磨いて売り出すということも大事でありますけども、その過程で、やはり新しい投資を呼び込むということはぜひとも大事であると思いますので、よく御検討いただきますことをお願い申し上げまして、要望といたします。
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中村裕一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十五分休憩
────────────────────
  午後一時三分再開
○議長(向井嘉久藏君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十四番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 私も、議員五期二十年の締めくくりの質問となります。きょうは多くの、私をこれまで支えていただいた方々もたくさんおいでてくださってます。元気いっぱい頑張っていきたいと思います。
 まず最初に、看護師確保対策問題についてお尋ねをいたします。
 看護師不足の問題は、これまで私も随分と質問をさせていただきました。医師不足問題とともに、今や国全体、そしてこの和歌山県と言われる地方でも大きな社会的問題となっています。
 日本看護協会の調査では、新卒看護師の十人に一人が一年以内で退職するという驚くべき結果が出ています。夢と希望を持って看護学校を飛び立ったはずが、余りの過酷な看護職場のひどさに耐えられなかったのでしょうか。
 看護師争奪戦と報道されるように、募集しても、多くの病院が募集数を確保できない事態にあります。その上、定員の確保をできない病院が今この和歌山でも続出している実態にあります。これから先、ますます看護師不足は深刻な事態になり、県民の命、地方の地域医療の存在にも大きくかかわってくるというふうに心配をするところです。
 今日、准看護師から看護師への移行教育について、私は中心的にお尋ねをしたいと思います。
 二年課程通信制は、全国で今十六道府県十九校となり、一学年定員合計四千五百人であります。就労准看護師数との比較で見ましても、わずかに一・二%にすぎません。
 平成十七年四月、和歌山看護専門学校に併設された二年課程の通信制は、一学年二百五十名の定員で、入学資格は十年以上の経験を持つ准看護師が、しかも働きながら看護師資格を得るための教育課程であります。早くもことし三月、第一期生が卒業することになっています。去る二月二十五日は国家試験も行われました。その合格の通知を待っておられることでしょう。
 働きながらといっても、三交代勤務をしながら、眠るのも惜しんで、疲れた体をむち打ちながらの通信制教育という厳しい条件を乗り越えての卒業と国家試験であります。本当に御苦労さまでしたと心からその努力を祝いたい気持ちです。全員の合格を期待したいと思います。多くの学生が喜びをさらに広げ、この通信制を充実させたい思いです。
 ところが、年々、入学生が減少していると聞きます。私は、先日、学校にお邪魔しまして話を聞いてまいりました。十七年度の入学生は定員をオーバーする二百六十三名、十八年度二百三名、十九年度には百六十四名までに減少してきました。この状況では、来年度以降は学校運営にも影響が出てくるのではと心配をするところです。入学生を確保する対策が、行政も含めて急がれなければなりません。
 何人かの在学生からお話も聞きました。その学生たちは、「働きながらの勉強は思っていたより大変だ」、「放送大学の集中講義に参加するのも年休だけではとても足りない。その上の臨地実習と合わせて三十六日間も休まなければならないし、代休まで使うと家の用事、その他の用事などにも全く休みがとれなくなる」、「一人で勉強するのはかなりしんどい。集団学習できるように何とかならないのだろうか」、「レポートを書くのも大変だし、レポート提出が多くてなかなか期限までに提出できないことも多い」、「休みがとりにくいのはもちろんのこと、わからないことを直接先生に相談したいけれども、それも夜勤入りの日か夜勤明けの日でないと学校にも行けない。とても疲れていて行けないというような状況なんです」などなど、多くの悩みがいっぱい出されました。
 これまで、臨地実習や面接授業などには病院として特別有給休暇の制度を実施するようにもなってきておりますが、まだまだ多くの中小病院の皆さんたちは御苦労が多いというふうに思います。こうした学生が学生らしいそういう状況をつくるためにも、問題を改善することも急がれなければならない大切な問題だと思います。
 「看護という人の命にかかわる専門職の教育のあり方として、通信制でいいのだろうか。通信制では、ただ文章上だけの教育であることから、学生がどれほど理解をしているのか十分つかめていない。適切な指導ができていないのではないか」という先生たちの声もあります。
 そこで、お尋ねをいたします。
 県は、学校と協力して、学生たちのこうした困っている問題などを把握するために支援策を考えていただきたい。
 本県は、少し古い資料でありますけれども、平成十六年十二月一日現在、准看護師が四千七百七人、各病院、診療所、老健施設等で働いています。中でも、平成十八年十月時点では、県下の病院と言われる九十二の病院で、准看護師総数千九百九十五人のうち、経験十年以上の准看護師さんは千五百八十七人いらっしゃいますから、全体のことを考えれば、もっともっと十年以上の方はいらっしゃるというふうに推察できます。
 二つ目は、全員が受験するとは限りませんが、まだまだ進学課程──准看護婦から看護婦に進学するこのコースの学校が、今、和歌山県には一校しかありません。とりわけ日高・御坊地域にはありません。そのためにも、できるだけ近い学校で勉強できるように県の方でも検討できないのでしょうか。いかがなものでしょうか。
 三つ目、奨学資金のある病院も少々ありますけれども、多くは、みずからが頑張って、その賃金で頑張っています。医師会や病院協会への協力要請をぜひしていただきたい。そして、ぜひ県看護職員修学資金の拡充を行い、通信制への対応を求めたいと思います。
 四つ目、県は、第六次看護職員需給見通しの見直しについて、昨年発表いたしました。ところが、この発表した直後に、新看護配置基準が診療報酬上の最高基準が十対一から七対一に改正され、喜ばしいことでありますけれども、しかし、これによって今、多くの病院で看護の引き抜き合戦が始まっております。そういう点からも、実態調査を改めて行い、需給見通しの見直しを改めてやるべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
 以上四点について、福祉保健部長の答弁を求めたいと思います。
 二つ目の質問です。少子化と子育て支援施策についてでございます。
 十九年度の予算では、仁坂知事が随分と多くの支援策を発表いたしました。予算化もされました。
 今、どんな職場でも、男女ともに長時間労働と超過密労働の実態が、国際用語となった「過労死」に象徴されています。若者は正規職員になりたいと思っても、契約社員やアルバイトといった不安定な労働が広がっています。一カ月の収入も十万円あればよい方で、家賃も払えず、ネットカフェの狭い部屋のいすに仮眠してその日を暮らしているという実態もあります。そんな姿がテレビや新聞で報道されているところです。まともな生活とは言えないと訴える声も、今、たくさん私たちのところにも届けられています。
 また、子供を持ちたいと思えるようになるためアンケートがとられたところでありますが、特に充実が望まれているものは何かと総務省の実施したアンケートの結果によりますと、教育に伴う経済的負担の軽減が何と五八・六%にも上ります。そして、両立のための雇用環境、教育費以外の経済的負担の軽減、保育サービスなど子育て支援が上位を示しています。
 二〇〇五年の「国民生活白書」では、家計調査をもとに一人の子供を育てる費用を集計しました。それによりますと、ゼロ歳から二十一歳を育てるのに合計一千三百万円かかると算出をしています。しかし、ここには親からの学費や仕送り分が入っておりません。
 結婚、出産を機に職場をやめる女性は、四人に三人に上っています。随分とこの間、国も子育てにかかわる施策を打ち出してはみるものの、なぜか効果が見えません。
 知事は、先日、子育て環境ナンバーワンを目指すことを明言されたところです。知事は、本県の少子化と安心して子供を産み育てる環境の現状をどのように認識しておられるのでしょうか。率直な所見をお聞かせ願いたいと思います。
 今度の知事が予算化されました特定不妊治療、一般不妊治療費助成についてお伺いをいたします。
 十九年度予算案は、重点施策として子育て支援事業に新事業を起こしてくれました。そのことは評価するものですが、もう一歩深く検討してもらいたいと考え、あえて質問をするものです。
 まず特定不妊治療ですが、私は、体外受精治療を受けながら、一人でもいい、子供を産みたいという思いと、治療費が保険適用外のためびっくりするほどの費用が必要だ、こんな話を聞いて「ぜひ私の話を聞いてほしい」と訴えられる方から、その御夫婦にお会いに行ってまいりました。
 その方は結婚して十年。最初は一般不妊治療を七年間続けてまいりました。しかし、ずうっと妊娠しない状態が続いたため、子供を産みたい思いを達成するために思い切って体外受精を決意し、医大を受診しました。体外受精への準備が始まりました。九カ月間、さまざまな治療、検査を繰り返しながら、体調も見ながら、その時期を待たなければなりません。これまで二年間で二回ほど試みましたけれども、妊娠までにたどり着けませんでした。
 一回の治療費は、体外受精を含んで、交通費も入れて、七十万は優に超えました。補助金は、体外受精そのものだけで十万円を今度はことしから二回へと拡大されたとはいえ、高負担には変わりありません。体外受精までたどり着くのには、大きな精神力が求められます。専門医の方も、「所得制限は必要ない」と強調されています。
 しかし、何としても産みたい、この願いをかなえるため、私は、今、国が設けている所得制限七百三十万円の撤廃を求めたいというふうに思います。福祉保健部長、国にこのことをぜひ求めていただきたいと願うものです。
 そして、一般不妊治療補助についても所得制限があります。県単独事業でありますけれども、六百五十万円の所得制限を撤廃していただきたい。多くの方々が、赤ちゃんを産みたい、その願いにこたえるためにも、ぜひともこの所得制限を撤廃していただくことを求めたいと思います。福祉保健部長から御答弁をお願いします。
 さらに、紀州三人っこ妊婦健診についても、この十九年度の新事業に予算化されました。反対するわけではありませんが、新設される子育て支援事業で、三人目を出産する際の妊婦一般健診を無料化するというものであります。
 妊娠から無事元気な赤ちゃんが生まれるまでの約十カ月間、定期的に健診を受けなければなりません。この補助事業は、これらについて、大体標準的な健診は十四回あるだろうということで、その十四回分を全額保障するというわけであります。その額が一人約八万一千円になります。なぜ、三人目からなのでしょうか。一人でも二人でも、同じように健診はごくごく当たり前であります。命のとうとさは変わりません。
 現在、妊婦健診については、御存じのように、各市町村で前期・後期各一回ずつが補助事業に定められているところです。経済的負担の重さ、そして第一子の妊娠時の肉体的、精神的不安はより大きいものがあります。この事業に、ぜひとも新しい命に援助を拡大していただきたいと願うものですが、いかがでしょうか。福祉保健部長、お答えください。
 次に、放課後児童クラブ、いわゆる学童保育についてお尋ねをいたします。
 働く親たちの切実な願いから生まれた学童保育は、長い間の運動と実践の積み上げの中で、大きくこれまで発展してまいりました。今日では、共働き家庭の一般化やひとり親家庭の増加、特に子供が被害に遭う痛ましい事件・事故が相次いでいます。地域でも子供たちの生活をめぐる環境が随分悪くなっているとき、仕事と子育ての両立支援、安全・安心な毎日の生活を保障する学童保育は、ますますなくてはならない重要な施設だと考えるものです。
 国は、一九九七年、共働き、ひとり親家庭の子育てにはなくてはならない施設として、児童福祉法に基づく放課後児童健全育成事業の名のもとで法定化されたところです。そして、必要な地域すべてに整備をするというふうに積極的な方針化をいたしました。
 全国学童保育連絡協議会の調査では、二〇〇五年五月一日現在、全国に一万五千三百九カ所設置をされています。この一年間で六百三十一カ所ふえたものの、小学校区に一カ所という状況から見ると、六五・四%という到達です。都市部には入所希望児童が多く、入れずに待機している地域もふえてきています。不安で寂しい放課後や学校休業日を過ごしているんではないのでしょうか。
 さて、本県の学童保育の設置状況はどのように進んでいるのでしょうか。市町村への積極的な要請を行っているというふうに聞いていますが、十八年度学童保育実施箇所数一覧表があります。ことし二月一日現在では、和歌山市を除く二十九市町村のうち十八市町村で六十五カ所、国、県基準に満たないための補助金の給付を受けられない学童保育所が四カ所もあります。救済措置を検討すべきではないでしょうか。そして、十一市町村が未実施となっていますが、必要性がないという判断に立っているのでしょうか。
 設置主体はこの学童保育は市町村でありますから、学童保育について市町村がどのように考え、どのような方針を持っているのかによって地域に子供への大きな格差が生まれることを私は心配をするところです。ぜひ少子化対策、仕事と子育ての両立支援を促進するため積極的に取り組んでほしいものであります。
 大阪や他府県から引っ越してこられた若いお母さんからいつも言われます。「和歌山は学童保育、おくれてるね」と、よく言われるんです。本県のこれまでの取り組みと今後の取り組みをお聞かせ願いたいと思います。また、近畿各府県と比較した場合、どんな位置にあるのか、あわせてお聞かせ願います。
 働き続けながら子育てしたいと願っている親は随分とふえてきました。そして、安心して放課後を暮らせる学童保育は、子供も、親にとってもオアシスの役割を果たしていると私は考えています。そのためにも、学童保育のなお一層の増設を進め、健やかな子供たちの成長に資するため、質的向上に努力をしていただきたい。福祉保健部長、決意のほどをお聞かせください。
 この問題の最後に、学童保育が法定化されたものでありますけれども、しかし、設置・運営基準がありません。今後、学童保育の充実、発展を進める上で必要だと考えます。
 今、多くの都道府県で進められているところですけれども、現在は補助金単価となる入所児童数と開設日数だけが決められていますから、これでは学童保育の内容を十分に生かすことはできません。既に埼玉、群馬、石川などでは、その設置基準が定められて施行しているところです。
 その設置基準には、対象児童や適正規模あるいは保育時間、施設設備の内容、広さの基準、指導員の資格や配置、保護者や保護者会の協力連携など、最低限の基準を設けるべきだと考えますが、いかがでしょうか。福祉保健部長、お答えください。
 次に、放課後子ども教室についてお尋ねをいたします。
 文部科学省は、平成十六年度から平成十八年度までの三年間計画で、だれでも参加ができ、参加費は無料で、地域のボランティアなどの協力のもと、空き教室等で、また地域の広場でスポーツ、文化、遊びなどの体験と交流を通して子供たちが健やかに育つことを地域で支援する地域子ども教室が実施をされてきたところです。これも、この三月で終了いたします。この事業は、国が全額を実施主体の民間団体に委託する事業で、現在、全国で一万カ所で行われています。参加した子供たちは、とても楽しいと言いながら喜んで参加をしていると聞くところです。
 十九年度では、放課後子どもプランが創設をされました。新たに放課後子ども教室推進事業として進められるわけです。「地域」という言葉と「放課後」という言葉が入れかわっただけであります。
 放課後子どもプランは、原則として、すべての小学校区二万カ所で放課後の子供の活動場所を確保することを目的に実施をされます。具体的には、文部科学省が進める放課後子ども教室と厚生労働省が進めてきた放課後児童健全育成事業いわゆる学童保育が一体的あるいは連携して進めるとしています。
 放課後子ども教室は、国が三分の一を補助し、地方自治体が実施する事業に転換をしていきます。全国一万カ所で実施をします。経費の三分の二は県と市町村が負担をし、実施主体は市町村であります。中核市の和歌山市は三分の二の負担になることになります。その実施日数は、平日年間二百日、午後二時から午後六時まで四時間、土曜日年間四十日、午後一時から六時までの五時間。人的体制に、安全管理人二人と学習アドバイザーを平日午後三時から六時まで、土曜日は一時から六時まで二人配置する計画であります。
 学童保育は、生活の場を保障する児童福祉法に基づく施設で、決められた保育料を支払っています。片や無料であります。国は一体化あるいは連携して進めると言っていますけれども、専門性を必要とする学童保育の指導員との関係、学童保育の生活空間が脅かされるのではと、大変気になるところです。
 双方の児童たちが一定の時間、ともに遊びや交流するのは結構だというふうに思いますし、効果的な部分もあるというふうに考えます。しかし、厚生労働省と文科省の目的は同じといえども担当部が違うわけでありますから、事業に混乱を招くのではないかとも心配するところです。
 川崎市や東京品川区など、全児童対策事業として──この事業は全児童を対象とした放課後の遊び場を提供するものであります。もちろん学校の余裕教室などを活用するもので、行政側は学童保育のかわりになり得るとして学童保育を廃止してしまった。この事実があるだけに心配であります。
 実施日数などは、学童保育の二百日から二百五十日以上と、ほぼ同じとなっています。開設時間も午後一時から六時ですから、学童保育にかわり得る可能性の危険性を私は随分はらんでいるというふうに感じます。私のこの心配は間違っているでしょうか。教育長の見解をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、男女共同参画基本法が制定をされまして七年がたちました。基本計画には、男女の職業生活と家庭生活の両方を支援する環境整備などが盛り込まれています。
 本県では、男女共同参画推進事業者登録が進められているところです。現在のところ、十五社の皆さんが登録をされています。その実効性に期待をしたいというふうに私は思います。
 特に、制度化された育児・介護・看護休業法が制度化されたものの、職場では「なかなか言い出せない」、「そんなこと言ったら、やめなさいと言われる」、こういう実態もあるわけです。
 商工労働部の担当課が、平成十七年度、育児・介護休業、子の看護休暇の取得状況についてアンケートを実施したそうです。事業所は千八百十三カ所にアンケートを配布し、回収は五九%の千七十二の事業所でありました。結果的には、育児休業は、会社で就業規則などに規定はしていると答えた事業所は六一・三%、取得率は男性〇・二六%、女性は八八・九六%。介護休暇については、五二・一%の事業所が規定はあります。取得者は男性十一人、女性十九人。子供の看護休暇については、規定はありますけれども、これを何人とったかについては調査をしていないということであります。育休の取得率は、十四年度に比べてわずかに高くはなっているというふうに感じるものです。
 さて、国は初めて、育児休業取得者また短時間勤務適用者が出た場合支給される企業への助成金制度を創設したところです。受給者は事業主で雇用保険に入っていること、そして百人以下を常用雇用していること、支給対象期間も平成十八年度から二十二年度までの四年間に限られています。育休または短時間勤務を開始した労働者が種々の条件を満たした場合でありますから、一人目が百万円、二人目に六十万円が支給されるというものであります。
 果たして、その実効性は随分と疑問視せざるを得ません。育休及び短時間勤務についても、わずかに二人だけが対象になるわけですから。しかし、これは拡大を目的、啓発を目的にしているわけですから、積極的に活用しなければなりません。県として啓発普及に努めるべきではないかというふうに思います。
 県が男女共同参画社会を実現することを重要な課題として取り組んでいるときです。また、知事は子育て環境ナンバーワンを目指すことを強調されたわけですから、先ほど申し上げました登録された企業の取り組みを一歩前進させるためにも、県として育児休業や介護、配偶者出産休暇や育児・介護休業者職場復帰等に対する助成制度や奨励金制度を検討してみてはいかがでしょうか。商工労働部長のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、多重債務者の救済問題です。
 雇用の悪化や住民負担の増加などによって、サラ金ややみ金からお金を借りる人は依然として多数に上っています。私は、二〇〇三年九月議会におきましてやみ金の実態を述べ、県としてやみ金対策会議を設置することを求めてきました。大阪の八尾市でやみ金に追い詰められた老夫婦が自殺するという痛ましい事件を契機に、二〇〇三年にヤミ金対策法がつくられ、警察が積極的に摘発に取り組まれたようです。しかし、今もやみ金がはびこっている実態です。被害者の会にお聞きしましたところ、やみ金から金を借りる人は、やみ金だと知って借りる人はいなく、口座に一万円なり二万円が振り込まれて一週間で二倍程度の利息を取られて、やみ金だとわかるのです。やみ金は、金を集める場所を、きょうはJRの駅前、次の週はスーパーの駐車場、公園と次々に移動をさせ、返済が滞ると近所の配偶者の職場に電話したり、近所の人に電話をかけて借りた人を呼びに行かせるといっためちゃくちゃな違法行為を行っています。
 県はやみ金対策協議会を設置されていますが、犯罪行為でありますやみ金の実態をどう把握し、その根絶に向けてどう取り組まれているのか、報告を願います。
 また、警察には、やみ金のことで被害者から相談があった場合、借りたものは返すべきだとか民事不介入などという対応はしないで、法を超えた金利を取っている犯罪行為との認識に立って対応していただきたいと思いますが、いかがですか。商工労働部長、県警本部長、お答えください。
 また、その対策協議会には、サラ金ややみ金の被害者の実情を最も知っている被害者の会からの代表がメンバーに入っていないと聞きました。被害の実態を知り、被害者の要望を知るためには、被害者の声を代弁する会からもぜひメンバーに入れていただきたいと思いますが、商工労働部長、いかがでしょう。
 次に、多重債務者の問題について。
 政府は、金融庁を事務担当に有識者会議を設置いたしました。有識者会議のメンバーは、サラ金問題で活躍されている宇都宮健児弁護士や本多良男全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会事務局長、大学教授など、十四名で構成されています。
 この会議で出された意見には、「多重債務問題というのは表面にあらわれた問題で、その背景には格差問題、貧困問題があり、抜本的な社会保障体制の強化が必要」、「児童虐待、DV、離婚などは借金の関係が非常に多く、多重債務問題は各省庁の施策との関連性が非常に高いので、各省庁はスクラムを組んで取り組んでほしい」、「二百数十万人多重債務者の中で、相談窓口にアクセスできている人は二割以下であり、残りをどう適切な相談窓口に誘導するかが大きな課題。テレビは比較的見ている人が多いが、業者の広告ばかりで、相談窓口の情報は流されていない」、「多重債務者にとっては都道府県や市町村などの地方自治体が一番身近な行政であり、そこで多重債務対策を行うことが非常に重要」などの意見が出されているところです。
 この本部では、カウンセリング体制の充実、セーフティーネットの充実、金融・経済教育の強化、やみ金の徹底した取り締まりを含む執行体制の強化などを検討し、この春をめどに多重債務問題改善プログラムを策定することになっています。多重債務者がたくさんつくり出されているのは、個人の金銭感覚というようなことではなく、格差と貧困の広がりの中で、もうけ本位のサラ金会社に標的にされている人たちが生まれているのです。ですから、政府も対応が迫られているのだと考えます。
 商工労働部長、お尋ねします。県として、政府の対応に見合ってどのような多重債務者対策を強化されようとしているのか、お答えください。
 県の多重債務者からの相談体制についてお聞きをします。消費生活センターや県民相談室で相談に乗っているとのことですが、場所としては和歌山市と田辺市だけです。もっと振興局でも相談できるように体制をとるなどの体制強化を求めたいと思いますが、環境生活部長、お答えください。
 また、先ほどの有識者会議の討論にありましたが、市町村の役場でも相談できる体制のあることが重要です。多重債務者は住民税や国保税料などを滞納していることが多く、多重債務者の解決は市町村にとっても大事な問題です。既に岐阜県や長野県などで市町村担当者会議が開かれていると聞きます。県としても、市町村が多重債務問題に対応できるようにするためにもそうした研修も行う必要があると思いますが、商工労働部長、いかがお考えですか。お答えください。
 どうもありがとうございました。本当に多くの皆さんに、そして先輩諸氏、県当局の皆さん方にもいろいろと教えていただきました。本当にありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県の少子化と安心して子供を産み育てる環境の現状認識についてお答え申し上げます。
 平成十七年の本県合計特殊出生率は一・三二と全国平均の一・二六をやや上回っておりますが、年々低下を続けており、県内出生数も五年連続して減少している状況であります。
 少子化の要因といたしましては、結婚観や価値観の変化、核家族化に伴う育児不安や育児の孤立、また子育ての経済的負担感や働きながら子供を預ける場所がなく仕事をやめざるを得ない状況といった仕事と子育ての両立の困難性など、さまざまなものが考えられます。多様化する子育て家庭のニーズに応じた施策を展開することによりまして、県内どこに住んでも安心して子育てができるような環境を築き、子育て環境ナンバーワンの県を目指してまいりたいと考えております。
○議長(向井嘉久藏君) 福祉保健部長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○福祉保健部長(小濱孝夫君) 看護師確保対策についての御質問にお答えいたします。
 まず、看護師養成の准看から看護師への移行教育についての御質問のうち、看護師養成二年課程通信制についてでありますけれども、この課程は就業経験十年以上の准看護師が働きながら看護師資格を取得するもので、平成十七年四月に一学年定員二百五十人で開設し、ことし三月に一期生が卒業する予定です。議員御指摘のとおり、入学を希望する学生は年々減少傾向にあり、その理由としては、職場、家庭、勉学の両立が困難であることや勤務先等の協力が得られにくいことなどが考えられます。
 県といたしましては、発足当初から専任教員の派遣や学生確保のため病院等への協力要請などの支援を行っているところですが、今後、希望する方が勉学しやすい環境づくり等について、病院等に対して一層の働きかけを行ってまいります。
 次に、御坊・日高地域への二年課程の新設についてですが、本県には、二年課程は和歌山県立高等看護学院に設置されております。議員御提言の日高地域への設置につきましては、今年度末に准看護師養成所一校が廃止されるなど、県内の入学生の減少や専任教員の確保、実習施設の確保等の課題もあることから、今後、県全体の状況を見据えながら検討してまいります。
 次に、看護職員修学資金につきましては、卒業後県内で就業することを条件として、希望する学生に貸与しているものです。二年課程通信制の学生に対しても当該修学資金の貸与を行っておりますけれども、来年度から貸与者数を拡充する予算措置を講じることとしております。
 最後に、新看護基準に伴う第六次看護職員需給見通しについてですが、議員御指摘のとおり、第六次看護職員需給見通しでは七対一の看護基準による需要を見込んでおりません。今後、療養病床等の再編や国における七対一看護基準対象施設の見直し等の状況を見きわめながら必要に応じ実態調査等を行うなど、適切に対処してまいります。
 次に、特定及び一般不妊治療費助成についてですが、既婚者の十組に一組が不妊に悩んでいると言われております。治療を受けている患者数も年々増加傾向にあります。不妊に悩む夫婦に対する支援は少子化対策としても重要であり、県では、平成十六年度から医療保険の適用がない高度な不妊治療を選択せざるを得ない場合の経済的負担の軽減を図るために、その治療に要する費用の一部を助成しているところです。
 さらに、平成十九年度予算において、早い時期から不妊治療を始められる環境を整えるため、全国でも先駆け的な取り組みとして、県単独で不妊基本検査費用の原則無料化や一般不妊治療費の一部助成を行うこととしており、これにより、不妊治療の初期段階から高度治療まで切れ目なく総合的に支援できる体制が整うと考えております。
 議員御提案の不妊治療の助成対象者の拡大についてですが、本制度は新年度より開始予定でありまして、本県の財政状況も厳しいことから、今後、県民の利用状況や他府県の状況等も踏まえ、慎重に検討してまいります。
 次に、紀州三人っこ妊婦健診助成についてですが、議員御承知のとおり、安全な分娩と健康な子の出生のためには妊婦健康診査は重要であり、出産に至るまで十四回程度の健診の受診が望ましいとされております。
 現在、各市町村においてすべての妊婦に対し妊娠の前期・後期に各一回公費により健診を実施しておりますが、国においても、妊婦健康診査を含めた少子化対策として平成十九年度地方財政措置の拡充がなされたところであります。県といたしましては、母体や胎児の健康確保を図るとともに妊娠・出産にかかる経済的負担を軽減するため、平成十九年度予算案において、第三子以上を産み育てる夫婦に対し妊婦健診にかかる費用を原則無料化することとしております。今後は、多くの方に御利用いただけるよう本制度の周知に努めてまいります。
 議員御提案のすべての妊婦に対する健診費用の負担軽減につきましては、他府県の状況等も勘案し、慎重に検討してまいります。
 次に、放課後児童クラブについてお答えいたします。
 放課後児童クラブは、児童福祉法に基づき、保護者が就労等により昼間家庭にいない児童に対して放課後に遊びや生活の場を提供し、健全な育成を図るものであり、子育てと仕事の両立支援の観点から非常に重要なものと考えております。
 現在、県内十九市町に百十九クラブが設置されておりますが、近畿では最もクラブ数が少ない状況です。紀州っ子元気プランの目標である平成二十一年度までに百四十カ所を設置するため、未設置町村も含めて、実施主体である市町村と連携をとりながら事業推進を図ってまいります。
 平成十九年度から創設される放課後子どもプランは、放課後児童クラブと教育委員会が所管する放課後子ども教室推進事業が連携・協力のもとで実施されるものです。県といたしましては、地域の実情を十分に踏まえながら、両事業の特色を生かし、子供が安全で健やかに過ごせる居場所づくりに積極的に取り組んでまいります。また、議員御提案の設置・運営基準の策定につきましても、今後、他府県の取り組み等も踏まえまして検討してまいります。
○議長(向井嘉久藏君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) 従業員の仕事と子育てと両立支援に取り組む中小企業事業主に助成金、奨励金制度の新設をという御質問でございます。
 少子化が急速に進行している中、仕事と家庭の両立の負担を軽減し、男女とも子供を育てながら働き続けることのできる職場の環境づくりと意識の向上が必要不可欠であり、企業の積極的な取り組みなくして進められるものではありません。県では、従来から仕事と家庭の両立に関するセミナーの開催や、県が委嘱した社会保険労務士が事業所を巡回訪問する中小企業労働施策アドバイザーの活用により、企業への啓発に取り組んでいるところです。
 議員御提案の奨励金制度につきましては、今年度から厚生労働省の制度として、中小企業での育児休業等の取得促進を図るため、中小企業子育て支援助成金制度が始まったところです。県といたしましては、和歌山労働局など関係機関と連携をしながら、あらゆる機会をとらまえてこの助成金制度の周知・普及を図るとともに、その利用状況を見守ってまいりたいと考えております。
 次に、ヤミ金融対策協議会の活動についてでございます。
 ヤミ金融対策協議会につきましては、国及び県の行政機関と和歌山弁護士会及び和歌山県司法書士会が連携をして県民の被害未然防止等に努めてございます。
 やみ金融への取り組みにつきましては、県警等と十分連携するとともに、県の登録業者につきましては貸金業規制法に基づき業務停止や登録取り消しの行政処分を行っており、平成十八年度につきましては業務停止十件、登録取り消しを三件行ってございます。また、ヤミ金融対策協議会は関係機関がやみ金融の情報等を持ち寄り協議する場でございますので、現在の構成メンバーで運営をしてまいりたいと考えてございます。
 次に、多重債務者問題についてでございます。
 多重債務者問題につきましては、国は、貸金業規制法の改正に伴い、関係省庁による多重債務者対策本部を設置し、現在、多重債務者問題改善プログラム──仮称でございますが──の検討中と聞いてございます。今後、国の動向を見ながら、県としましても、市町村との連携等、さまざまな観点から検討してまいりたいと考えてございます。
○議長(向井嘉久藏君) 環境生活部長楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○環境生活部長(楠本 隆君) 多重債務者問題のうち、相談体制の充実についてお答えを申し上げます。
 現在、県におきましては、多重債務者問題も含め、県民の皆様方からのさまざまな相談に対応するため、県民相談室での常設相談に加え、弁護士相談や振興局等での移動弁護士相談を開設するとともに、県消費生活センターにおきましても平成十九年度から相談員を一名増員し、消費生活に関するあらゆる相談に対応することとしております。また、平成十六年にはヤミ金融相談対応マニュアルを作定し、各振興局における対応にも努めているところでありますが、さらなる浸透を図りますとともに、市町村での相談体制の充実についても働きかけてまいりたいと考えております。
 多重債務者問題による相談につきましては、内容により専門的な知識が必要であり、その場での解決が困難な事例も多く、法テラスあるいは弁護士会、司法書士会、警察本部などの関係機関と連携しながら取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(向井嘉久藏君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 放課後子ども教室推進事業についてお答えします。
 この事業は、これまで実施してきた地域子ども教室を充実・発展させ、十九年度から新たにスタートするものでございます。放課後や週末等に安全・安心な居場所を確保し、子供たちのさまざまな体験活動や交流活動を通して、大人自身にも新たな学びやつながりを生み出し、地域の教育力を向上させることを目指しております。
 来年度からは、県及び市町村において福祉部局とともに推進委員会等を組織し、放課後児童クラブとの連携協力のもと、保護者のニーズや地域の実情などを踏まえながら、子供たちが心豊かにたくましく育つ環境づくりを一層進めてまいります。
○議長(向井嘉久藏君) 警察本部長辻 義之君。
  〔辻 義之君、登壇〕
○警察本部長(辻 義之君) やみ金融対策についてお答えいたします。
 警察に寄せられる相談につきましては、やみ金融に係るものを含め、県民が切実な気持ちで早急な解決を求めているケースが多いことから、警察といたしましては、常に県民の立場に立った積極的かつ誠実な対応をするよう職員に指導教養を徹底しているところであり、その中で、事件性のあるものにつきましては犯罪としての立件も行っているところであります。
 また、やみ金融対策強化のため、平成十五年には金融事犯集中取締本部を設置し、悪質、広域的な事犯、暴力団等が絡む事犯を重点に取り締まりを推進しており、平成十七年には東京都内を拠点とするやみ金融グループを摘発するなど五件七名を検挙し、平成十八年には、大阪府警等六府県による合同捜査で沖縄を拠点とするやみ金融グループを摘発したほか、海南市及び紀美野町内におけるやみ金融業者を摘発するなど、八件八名を検挙しております。
 昨年十二月にいわゆる貸金業規制法及び出資法の一部が改正され、罰則が引き上げられたことを踏まえまして、今後も引き続きやみ金融事犯の取り締まりに努める所存でございます。
○議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──この際、申し上げます。発言時間は残り二分であります。再質問を許します。
 四十四番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁いただきました。貴重な二分でございます。
 知事も子育て支援には随分と力を入れていらっしゃるというのはよくわかります。ただ、そういうものを具体的に実行していくというのは、大変なことがかかわってくると思うんですね。環境をどうするかというところがやっぱり一番大事やと思うんです。いわゆる、今女性が働き続けたい、働きたいという思いはいろいろあるわけですけれども、しかし、やっぱり働くというところのその職場での環境ですね。妊婦健診に行くにも、その時間も保障してくれないという、そういう職場もたくさんあるわけですよ。通院休暇、それから通院に要する時差出勤とかね。そういう環境もやっぱりせなあかんし、そういう点で見れば、まだまだ実行していくには多難があるというふうに思うんです。だから、企業への積極的な働きかけ──それから法律がどんどん悪くなってるでしょう。母性保護の問題なんか。だから、そういう点で見れば裏腹な状況があるから、本当に実行していくには大変な問題があるというふうに思いますんで、環境ナンバーワンとおっしゃるんだから、そこのところにうんと力を入れて頑張っていただきたいというふうに思います。
 以上、要望です。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十七番森 正樹君。
  〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 議長から発言を許されましたので、一般質問をさせていただきます。
 初めに、関西国際空港に関する諸問題でございます。
 実は、これまで十六年間この議会に所属させていただきまして、この議政壇上からきょうで三十三回質問をさせていただくことになります。調べましたら、その間三十三回中三十回、関西国際空港問題を取り上げさせていただきました。「またか」と言うお方もいらっしゃいますかもしれませんけれども、最後の機会でございますので発言させていただきたいと思います。
 項目として関空を取り上げなかった三回の質問も、大阪空港を廃止してそこに首都機能を移転せよとか、あるいは国際交流を推進せよとか、あるいは観光振興で海外からの誘客をという関空関連の質問をさしていただいておりますので、結局は毎回発言していたということになるわけでございますが、お許しをいただきます。
 関西国際空港は、言うまでもなく我が国の空の表玄関でございます。地球の隅々まで一日で往来できる空の時代の今、世界の国々や地域との人、物、情報の行き来には国際空港は必要欠くべからざる基幹施設でございます。すなわち国際空港は、その国にとって、国際社会に向けて開かれた窓口であり、国益にかなう国策空港であると申し上げても過言ではありません。国策空港でありますから、各国は国の威信をかけて、国の発展と興隆のために、その国の全責任において、国家予算でもって建設に当たっているのでございます。
 実際、アジアの近隣諸国を眺めてみますと、お隣韓国の仁川国際空港、台湾の中正国際空港、シンガポールのチャンギ国際空港、そして香港のチェク・ラップ・コック国際空港、いずれもそれぞれの国が国の威信と名誉にかけて建設に当たってまいりました。かつて私はこれらの空港をすべて視察をさしていただいて、それぞれの国の責任者といろんな意見交換をさせていただきましたが、これらの国の担当の幹部の方は皆さん、国の威信をかけて建設してるんだという自負を言葉の端々から感じさせていただきました。そういう発言をされておりました。
 ところが、我が国におきましては、関西国際空港は関西国際空港株式会社が、成田国際空港は成田国際空港株式会社が、中部国際空港は中部国際空港株式会社が、それぞれ設置管理者となっております。もちろん、これら三国際空港は、国際航空路線に必要な飛行場である第一種空港に種別分けされていることは言うまでもございません。関西国際空港が具体化する時期、我が国において盛んに民間活力の導入──中曽根総理の時代でございましたが──叫ばれておりまして、民活、民活と言っておりました。確かに民間活力の導入は大事だと私も思いますし、必要でございましょう。しかし、国策空港ですから、国が一定の主導的役割を果たすべきことは理の当然であると思います。
 一方で、主要な国内航空路線に必要な飛行場である第二種空港は、全国に二十四空港ございます。これらはすべて設置管理者は国土交通大臣、すなわち国でございますが、確かにこれらの二十四の空港の多くは、それぞれ地方にあって必要欠くべからざる拠点空港でございます。例えば、新千歳、新潟、広島、福岡、那覇等々でございます。ところが、この二十四空港の中に、どう考えても国内拠点空港とは言いがたい空港が幾つか含まれているのであります。そのうち二つを紹介したいと思います。
 一つは、我が国最北の空港、稚内空港でございます。かつて私も視察でこの空港を利用したことがございますが、沖に浮かぶ利尻、礼文という二つの島との定期便が就航しておりました。十八人乗りの、操縦席と客席の間に仕切りのない、そんな小さな飛行機が就航しておりまして、私ども事前に予約を旅行社を通じてとったんですが、注釈つきでございまして、当日、島民の利用が多ければ搭乗をお断りすることがございますと、そういう空港だったんですね。ただ、それは十七年前ですから、現在はもう廃止されてありませんけれども、それが第二種空港で、国土交通大臣の設置であります。
 それからもう一つ、これはもうどう考えても、その当時経緯あったんでおかしいんですが、仁坂知事、第二種空港に八尾空港というのがございます。滑走路千四百九十メートル。当然、ジャンボジェットなんかは離着陸できません。聞くところによると、滑走路に雑草が生い茂ってるというふうに耳に挟んだことがございますが、そんな空港が何で国土交通大臣の設置なんでありましょう。
 そして一方、国の重要な基幹施設であり国策空港である関西国際空港、成田国際空港、中部国際空港の設置管理者が民間なんです。それぞれの株式会社である。それは、私はどう考えても理解できない、そのように申し上げざるを得ません。
 別の観点から申し上げましょう。昨年二月の神戸空港の開港以来、マスコミでは「関西三空港時代」と、そう表現をされるようになりました。この三空港の中で大阪伊丹空港は、かつて西日本の国際空港として位置づけをされておりましたので、当然第一種空港に格付されております。しかし、同空港は大阪北摂地域の住宅密集地の中にございますので、この大阪、兵庫の両府県にまたがります十一の市でつくる大阪国際空港騒音対策協議会、通称十一市協が中心となって騒音対策を国に要求したり、あるいは大阪空港は出ていけ、そんな空港は要らないんだという、そういう基本的なスタンスで、さまざまな、例えば騒音問題に対する補償でありますとか、あるいは移転補償でありますとか、そんなことをやっておりました。当然、地元が要らないと言うわけですから、関西として新しい国際空港を関西のどこかほかの地域で設置しなきゃならないということで、紆余曲折があってこの泉州沖五キロに新しい空港をつくることになった経緯は仁坂知事もよく御存じだと思います。
 私、実は当時、新聞記者をしておりまして、この十一市協と地元住民の代表が──大阪空港には周辺整備機構という国の出先機関がございまして、そうした騒音対策であるとか移転補償を担当する部署がございます。伊丹、板付(福岡)空港にも実は周辺整備機構というのがあって、かつては別々になってましたけれども、今はこの二つが統合されて単なる周辺整備機構という名前になっておりますが、その職員や仲立ちした国会議員に対して、その席で本当にいろんな要求を突きつけたり、「この空港は欠陥空港だ。出ていけ」と、そうした発言を繰り返す姿を目の当たりにして、まさに何か糾弾会のような、そんな感じがいたしました。そこまで言わなくてもいいのになということを私は当時思ったことを今思い起こしております。
 そして、この移転補償と騒音対策に費やされた国の予算は、現在まで一兆円になんなんとするのであります。しかも、この金は何の投資効果も生まないという、そういうお金でございます。一方で、関西国際空港株式会社が抱える累積債務も一兆円というのは、何たる数字の皮肉でございましょうか。
 さらには、この十一市協だけではなく、関西空港が完成しようというやさきになって、あれだけ「大阪空港は出ていけ。空港は要らない」と、そういう大合唱をしていた地元が、今度は逆に大阪空港存続を言い出しました。(「住民エゴの最たるものや」と呼ぶ者あり)まさに、今お言葉がございましたように、地域エゴの最たるものでございます。
 さらには、もう一つぜひともつけ加えたいのですが、当時、大阪空港騒音公害訴訟団というのがあって裁判を起こしておりまして、その騒音公害訴訟団までが存続を言い出すに至っては、もう何をかいわんやというふうに申し上げざるを得ないのであります。このような状況で、大阪空港は今午後九時から翌朝午前七時まで離着陸が禁止されておりますし、一日の便数も制限があるわけでございます。
 先日、私、東京からの帰りに、いつもよく使う羽田発JAL一三二一便、九時発で大阪に十時過ぎに着きますけれども、少しおくれて十時半ごろ関西空港に着いて、荷物を預けておりましたのでターンテーブルで受け取ろうとしておりましたところ、隣のターンテーブルが回り出しました。それから、その表示を見ておりますと、鹿児島便となってるんですね。おかしいな、この時間にはたしか関空への鹿児島便はないはずだけどなと思っておりましたら、館内放送がありまして、到着のおくれと行き先変更のおわび、そして「臨時バスを伊丹に向けて出しますので」という、そういう案内放送でございました。すなわち、鹿児島から八時ごろ大阪空港に着くはずの便が、何かの理由で出発がおくれて十時過ぎになったものですから、大阪空港へ到着できない。着けないわけですね。九時回ってますから。ですから、関西空港へ目的地変更で着いたという、着陸したという、そういう事実がございました。関西国際空港株式会社に確認しましたところ、ちょくちょくこういうことはあるようでございます。そういう欠陥空港なわけでございます。
 私は、「関西は一つ」と言われますけれども、まさに今おっしゃったように関西が一つになってないんですね。十一市協とか、この北摂地域、それから兵庫県の一部の、同じ関西の中でございますけれども、自分たちの地域エゴで、空港に出ていかれたら経済が落ち込むということで関西全体の益よりも地域益を考えたわけでございまして、そのためにこんないびつな形で大阪空港を残すことになってしまいました。
 それに対して中部国際空港は、かつて名古屋空港がございました。この名古屋空港は完全に空港を廃止して、すべてこの新しい中部国際空港に、国内便も国際便も全部移転したわけでございまして、それが際内乗り継ぎ利便性が非常にいいということで、今、ある意味で関空の客を奪うというような状況も生まれているのであります。もしこのときに大阪空港とその周辺の地域エゴを許さずに、当初の予定どおり大阪空港を廃止して関西国際空港に一本化していたならば、僕は、成田をもしのぐこの関西国際空港が、日本一の際内乗り継ぎ利便性のいい国際空港として本当に大きく発展していったんではないか、それがひいては和歌山県益にもつながりますし、関西益にもつながりますし、国益にとっても非常にいいことだったのに、そういう一部の地域エゴを許したためにこんな結果になってしまったということを声を大にして申し上げたいと思います。
 さて、仁坂知事、ここからが質問でございます。一時期、関西国際空港の上下分離案なるものが浮上し、議論をされました。同空港の下物は国が買い上げ管理し、上物を関西国際空港株式会社が管理運営するという案でございます。私は、この案は極めて健全な考え方でありますし、当然でありますし、本来初めからそうすべきであったと思っております。しかし、この案は現に今火が消えたようになってしまっております。しかし、僕は種火は残っていると思います。
 そこで、仁坂知事、この上下分離案について再度議論を起こすべきであり、知事、あなたが火つけ役となって関西各方面や国に対して働きかけていただきたい。そういうお考えはありやなしや、お答えをいただきたい。
 第二に、関西国際空港にとりまして重要な課題として陸上ルート問題がございます。現在、関西国際空港を離着陸する航空機は、海上ルートをとって大きく迂回をしております。このため余計な時間と燃料を費やすことから、航空各社から大変不評であります。もっとありていに言えば、一〇〇%陸上ルートをとっている──というのは、大阪空港は陸のど真ん中ですから当たり前ですが──大阪空港が利便性がいいと言われ、騒音に配慮して海上ルートをとっている関西国際空港が利便性が悪いと言われるのは、何か私は理不尽と言わざるを得ないのであります。いっそのこと関西にあっては一切陸上ルートはまかりならんということになれば大阪空港は必然的に廃止せざるを得ないわけでありまして、騒音公害問題も一挙に解決する、利便性もよくなる、そういうふうに言わざるを得ないのであります。
 そこで、仁坂知事、関西国際空港離着便の陸上ルートの採用導入につきまして、その実現を積極的に関係各方面へ働きかけていくおつもりはございませんか、お尋ねをしたいと思います。
 三点目、関西国際空港の気になる発着便についてであります。
 本年八月二日、待望久しかった二期滑走路が供用開始されます。二本目の滑走路を持つことによって関西国際空港は、まさに文字どおり完璧な二十四時間運用の国際空港になります。日本の国際空港、三つありますが、成田は片一方が二千百八十メートルしかない短い滑走路でございますので、そうした意味で関西国際空港が我が国初の二本の滑走路を持つ完璧な空港になるということであります。
 便数の増加につきましては、村山社長を初めとする関西国際空港株式会社が頑張っております。関西財界も積極的に取り組んでまいりました。私たち和歌山を含めて地元自治体も頑張りました。また、和歌山選出の国会議員の皆様方も、二階先生を筆頭に頑張っていただいております。そういう、例えばエアポートプロモーションとか、さまざまな取り組みもこれまでやってまいりました。
 そこで、気になるノルマがございますけれども、この発着便の見通しはどうか。また、二期滑走路供用開始に関するスケジュールとあわせて企画部長からお答えをいただきます。
 次に、県産品の販路開拓について申し上げます。
 先日、私は、千葉県美浜区にありますイオングループ本社を訪問させていただきまして、フードアルチザン推進事務局リーダーの仲元剛氏、田中実氏に会い、さまざま意見交換をさせていただきますとともに、全国のイオングループ各店舗において引き続き和歌山県産品フェアを行ってほしいとの要望を行ってまいりました。また、この二、三年、首都圏、関西圏を中心にイオングループやイトーヨーカ堂各店、あるいは高級スーパーでございます紀ノ国屋各店、いかり各店等をいろいろと訪問さしていただき、調査をしたり、また各店の店長や幹部と意見交換を行ってまいりました。訪問した店舗数は恐らく三十店ぐらいになるんだと思います。
 以上の経験を踏まえて、以下、数点にわたってお尋ねをいたします。
 まず第一に、この県産品の販路開拓について、これまでの蓄積をもとに県の重要施策の一つとして継続して進めていく意思があるのかないのか、仁坂知事にお尋ねをいたしたいと思います。
 仁坂知事、後で答弁いただきますが、これを県の重要施策としてやるという意思がおありであれば首を縦に、やる意思がなければ首を横にそこで振っていただきたい、今。(首を縦に振る)それを聞いておかないと、首を横に振られたら以下の質問は必要ないので、確認をさしていただきました。後で答弁、よろしくお願いします。
 私がこの県産品の販路開拓に初めて言及したのは、平成十四年九月議会でございました。以来、ブランド推進局という組織ができ、イトーヨーカ堂やイオングループを中心に全国の店舗で和歌山フェアをやっていただいたり、常設のコーナーを設けていただいたり、また積極的に商談会やいろんな説明会をするなど、本当に地道な活動をしてまいりました。ブランド推進局の職員の皆さんの中には、自腹を切ってこうしたバイヤーさんでありますとか各スーパーの幹部なんかとおつき合いをしている人がいることも私は知っております。
 確定値が出ている数字で申し上げますと、平成十七年度まで──平成十八年度がまだでございますので──この三年間で和歌山フェアでの売り上げ総額は十四億四千万になります。恐らく、十八年度も含めますと約二十億円に近づくんではないかな、なんなんとするんではないかなと、私は思います。
 ぜひとも知事に知っていただきたい事柄がもう一つ。この和歌山フェアをやっていただく場合、大体そのスーパーというのは大売出しをするときに、いつもそのチラシを、折り込み広告を大量に印刷をして新聞に入れるんですけれども、その中で和歌山のフェアのコーナーを中に入れていただいたり、いろんな商品の紹介をしていただいたり、そういうことを今までやってまいりました。もちろん、すべてそれぞれのスーパーさんの御厚意で、向こうの予算でやっていただいております。和歌山県は一銭も金を出しておりません。ほかの県では、自分とこの県で金を出して、スーパーでやることをチラシを出したこともあるそうでございますが、和歌山県は一銭も出してないんであります。この配布枚数は、実にこれまで確実に確認がとれているだけで千六百万枚に及んでおります。いかにそれぞれのスーパーのある地域で、和歌山の名前と優秀な、すぐれた産品をPRできたか、名前を売ったかということになると思います。
 和歌山は、申すまでもなく果樹王国であり、豊富ですぐれた農林水産品がたくさんございます。そうですよね、西岡農林水産部長。返事がないようですが。私、本当に和歌山はいいものがわんさかとありますし、全国に誇れるものがたくさんある、それなのに余りにも知られていない、PR不足だ、宣伝不足だということで、初めて平成十四年に一般質問をさしていただきました。
 以下、そういうことを申し上げた上で、何点か商工労働部長にお尋ねをいたします。
 一つは、ブランド推進に取り組んで四年、その成果はどうでありましたでしょうか。また、その中で今後に向けての問題点や課題もいろいろ浮かんできたと思います。それについて御報告をいただきたい。
 二点目、県産品の販路開拓に熱心な県と言えば、島根、長野、北海道などが挙げられます。先日もある店へ行きましたら、ちょうど島根県のフェアをやっておりました。今後、新たな展開を行っていく上で、生産者の意識調査やマーケットの声、消費者のニーズなどをよく聞き、取り入れていく必要があると私は思います。また、県内にはまだまだ埋もれている産品、すばらしい商品があるはずでございますし、その発掘にも精力的に取り組まなければなりません。そして何よりも、加工品の新しい商品開発を積極的に行って、パッケージやネーミングも含めまして売れる商品づくりを進めていかなければならないのでございます。
 本県は、しょうゆや備長炭、かつおぶしなど、和歌山を発祥とするものがたくさんございますが、これは和歌山県人の知恵と創意のたまものでございます。この県人の豊かな知恵と才能を生かして、新たな二次産品、新商品を目指していかなければなりません。
 ブランド化という点で申し上げますと、県産品の価値を高めるための取り組みには幾つかございます。
 一つは地域団体商標制度でございますが、これは初日に尾崎要二議員から発言がありましたので省きたいと思います。
 もう一つ、ブランド化の取り組みの例として、これは長野県の例でございますが、NAC(ナガノ・アペレーション・コントロール)というものでございます。これ、ちょっと知事に見ていただきたいと思いますが、長野県はこういうことをやっております。(資料を手渡す)これはフランスがフランスワインの価値を高めるためにやっておりますAOCという制度をまねたものでございますが、これは、長野のワインとか、しょうちゅうとか、そういうものの価値を高めるためにやっているものでございます。このことも参考に、幾つか申し上げましたけれども、売れる商品づくり、産品のブランド化にどう取り組むおつもりか、商工労働部長、お答えをいただきたいと思います。
 それから、この項の四点目、海外への販路開拓について、知事、積極的に取り組むお考えはありますか、お答えをいただきたい。
 次に、観光振興についてお尋ねをいたします。
 このことについて申し上げたいことがございます。今回、組織機構改革の中で観光振興に力を入れようという知事の意欲、姿勢のあらわれと理解しますが、「商工観光労働部」という形で部名の中に「観光」の二文字が県政史上初めて入ったという点につきまして、提案者の一人として大いに歓迎するものであります。
 さて、観光振興について三点お尋ねをいたします。
 まず第一、マスメディアへの働きかけについてであります。
 今議会冒頭の所信表明の中で、知事はこのことについてこのようにおっしゃっております。「和歌山の美しさを活かした観光の振興」と題して、誘客のための取り組みとして「首都圏、近畿圏において本県の認知度をさらに向上させるため、メディア等に対し、本県の観光素材を生かした旅番組の制作、放映等を提案するなど、工夫を施したPR、売り込み作戦を展開してまいります」とおっしゃっています。全く私も同感でございます。もうちょっとこのことについて詳しく知事から御答弁を賜りたい。
 それから、次に外国人観光客の誘致についてでございます。
 知事は同じくこの所信表明の中でこのことについても述べておられますが、外国人観光客の誘致についてどんなプログラムをお持ちであるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 私、実は、昨年の夏ごろ、たまたまあるお店で韓国の旅行会社の社長とその友人にお会いをしました。いろいろ話を聞いておりますと、今韓国では大変なゴルフブームで、ところがゴルフ場の利用料が非常に高い、海外でゴルフをしようという熱が非常に強くなってきているというお話でございました。それで、ターゲットを日本に絞って、実は大阪がいいだろうと、関西国際空港の地元でございますから、そういうことで大阪でのツアーを企画、そのための勉強に来たそうなんですね。私はその話を聞かしていただいて、「それだったら和歌山の方がもっといいですよ。ゴルフ場もいいのがありますし、食べ物はおいしいし、また高野・熊野を初めとして観光資源にも事欠かない」と、そういうことを強く申し上げて、それで観光振興局の職員を紹介しました。また、資料もいろいろいっぱいお届けをして、それで今、気に入っていただいて、たしか今月で六回目、もうツアーを組んで来ていただいております。それぞれ十数名だとか、そういう団体で来ていただいているわけでございまして、私は私なりにそういう努力をさせていただいております。このことについて知事から御答弁をいただきたい。
 それから三点目に、関西国際空港と白浜空港を連結して、例えば白浜イン関空アウトで高野・熊野の観光と温泉をめぐるとか、あるいは逆に関空イン白浜アウトでUSJと高野・熊野をめぐる旅であるとか、この両空港を一体として売り込むということを考えてはどうでしょうか。現在は、白浜─羽田の往復の場合のみの割引を行っておりますけれども、大幅な利用増を図ろうとするにはこれが一つの案だと僕は思いますので、商工労働部長から御答弁をいただきたいと思います。
 次に、防災問題についてお尋ねをいたします。
 この問題については、既に何人か質問をされております。そこで、重複を避けて幾つか申し上げたいと思います。
 昭和二十三年六月、福井県県北地方を襲いました福井大震災マグニチュード七・一に、私は子供のとき遭遇をいたしました。父の勤務の関係で福井県足羽郡に住んでおりました私は、小さな宿舎におったんですが、地震発生が夕方でありまして、夕食の準備をしている母の足にまとわりついて台所におりました。地震が来た瞬間、母と私は台所の板の間にもんどり打って転がりました。当時、私は三歳で、ほかの記憶は何にもないんですけれども、この震災に遭った瞬間の記憶だけは、今もありありと私の脳裏に残っております。本当に目と鼻の先にある勝手口から外へはい出して出ようとするんですけれども、少しはっては、何十センチかはってはまた揺り戻される。ほうほうのていで勝手口から外へ飛び出したことを覚えております。また、妹は一歳でありましたけれども、居間で寝ておりました。たまたま大阪から祖父が遊びに来ておりまして、この祖父が妹を抱えて窓から飛び出してくれて助かりました。後で見ましたら上からいろんなものが落ちてきておりましたから、恐らくあのままであれば、祖父が遊びに来てなかったら、私の妹も命を落としていたんではないか、そのように思います。死者三千七百二十八人、負傷者二万一千七百五十人、家屋の全壊三万五千三百八十二棟という大地震でありました。
 そういう経験を踏まえて、以下、何点か申し上げます。
 防災の基本は、まず第一に、自分のことは自分で守るということ。第二に、災害弱者──お年寄りでありますとか障害者、子供など、どう守るか。第三点に、関係者が情報を共有することが何より大事であります。言いかえれば地域コミュニティーをどう確立するかということに尽きると思うんですが、私は、防災の基本はそういうことだと思います。
 まず第一に、避難方法、避難経路、避難場所を県民お一人お一人に周知しているかどうかということ。
 それから二点目は、複合型災害の恐ろしさとその対応についてであります。
 平成十六年十月二十三日、新潟県を襲いました中越地震は、その二日前に台風二十三号が同地方を襲っておりまして、この二つの複合災害で被害を大きくしました。翻ってみますと、本県は台風銀座とも言われ、非常に台風の多い県でございます。東南海・南海地震とのダブル災害という最悪のシナリオも考えられるわけでありまして、日ごろからそうした考えに基づいて対応をするべきではないか。これらの複合型災害への備えは万全であるか、お尋ねをいたしたいと思います。
 この二点は、危機管理監、お願いします。
 それから三点目、災害が発生した場合、その災害復旧にトリアージタグ方式を導入せよという提案でございます。復旧の緊急度、重要度に順位をつけて実施すべきであると思いますが、だれがイニシアチブをとり判定して対応していくのか、お答えをぜひとも知事、よろしくお願いします。
 教員の資質向上についてでございます。
 教師というのは、私は聖職であり、極めて重い使命と責任がある職業だと思っております。なぜなら、自分が担当した子供たち一人一人の未来を預かり、場合によってはその子供の人生、一生を左右するほどの大きな影響力を持つからであります。当然ながら、教師の資質は高いレベルにおいて求められるものでなければならないと思います。したがって、教師の適格、適性を判定する制度があってしかるべきだと。
 世の中にはいろんな資格がございますが、例えば運転免許証、これだって本当に運転に適格かどうか、三年ないし五年に一回、その判定する制度があるわけでございます。教師は、一度採用試験に合格すれば一生教師でいられるという今の制度でいいのか。教師の中には日々向上を目指して本当に頑張っていただいている能力の高い優秀な先生もいっぱいいらっしゃいますが、中には、はっきり申し上げて、残念ながらとてもこれではという、首をかしげざるを得ない者もいることは事実であります。
 最近、国レベルにおいてこの問題について議論をされているようでございますが、より質の高い教育、教員の育成を目指して、国に先駆けて教師の資質判定制度を導入するお考えはないか、教育長にお尋ねをいたします。
 最後、緩和ケア病棟についてお尋ねをいたします。
 この問題については、平成六年十二月議会で初めて提案をさしていただきました。後に、県立医大で緩和ケア病棟がスタートいたしたわけでございます。
 私は、この問題を取り上げるに当たりまして、全国のいろんなとこへ見に行ってまいりました。そのうちの一つを申し上げますと、静岡の浜松にございます聖隷三方原病院であります。ここは日本の草分けの一つと言われておりますが、総合病院で非常に広大な敷地なんですけれども、この緩和ケア病棟は、一番端の、周りをみんな緑、自然に囲まれた非常に静かな場所に、そこだけ独立してぽつんと置かれておりまして、非常にいい環境にあります。
 この緩和ケアというのは、要するにがん患者、エイズ患者、末期患者の、例えば残り一年あるいは半年と宣告された人たちにモルヒネを投与するだけの治療でございまして、ほとんどはいかに残された一日一日を有意義に過ごすか、そうした心のケアが中心であります。したがって、そういう性格から環境も大変大事であるわけでございます。
 幸いなことに、紀北分院が改築され新しくなるというふうに聞いておりますので、この本格的な緩和ケア病棟の展開をぜひとも考えていただきたい。総務部長が不在でありますので、元部長の原副知事に御答弁お願いします。
 最後に、この席をおかりして皆様に御礼を申し上げます。
 私も、今期をもって県会議員を勇退させていただくことになりました。我が党には定年制がございまして、その規定は、出馬時点で六十二歳を超えないこととなっております。私、来週三月六日が誕生日で、そこでちょうど六十二歳になりますので、選挙が三月三十日ですから二十四日ひっかかることになりまして、後進に道を譲ることになりました。
 思えば、私のような中途半端な人間がここまで県政の重要な施策の一環に加わらせていただいて、無事務めおおせることができました。これもひとえに先輩・同僚議員の皆様のおかげでありますし、全職員の御協力のたまものであると、厚く厚くこの場をおかりして御礼を申し上げたいと思います。なお、今後は一民間人に戻って県勢の発展のために、力も何もございませんが、協力させていただきます。
 また、ここにいらっしゃいます皆さん、引退する者を除いた後の皆さん、ぜひとももう一度選挙を勝ち抜いていただきまして、引き続き県政に取り組んでいただきたいことを申し上げまして、御礼にかえさせていただきます。本当にありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、関西国際空港に関する問題であります。
 関西国際空港に関して議員が御指摘された点につきましては、私としても、これまでから全く同感と感じているところが多々ございました。
 議員御提案の上下分離方式については、空港建設時から多額の有利子負債が負担となっている関西国際空港株式会社の経営改善のための重要な考え方の一つと考えておりまして、第一種空港としての国の位置づけからも、基本的に私も同感であります。森議員の御見識からいたしますと、本件の問題、私自身は正直まだまだ不勉強でありますけれども、引き続きお教えをいただきながら頑張っていきたいと思っております。今後、関西国際空港全体構想促進協議会や近畿ブロック知事会議などのさまざまな場において議論をしていきたいと考えております。
 第二に、陸上ルートの導入についてでございます。
 羽田からの飛行経路の陸上ルートにつきましては、現在、管制運用の安全上、夜九時の伊丹空港運用終了後の時間帯に限定される六便について検討が進められております。これまで羽田─関空便は一時間二十分かかっておりましたが、それが十分短縮されることになり大いに利便性が向上するとともに、燃料消費減によるコスト削減やCO2排出削減にもつながり、関西国際空港の集客、利用促進に弾みがつくものと考えます。
 今後とも関西国際空港がより利便性が高く使いやすい空港となるように、積極的に私も働きかけてまいりたいと思います。
 次に、県産品の販路開拓でございます。先ほど首を縦に振りましたが、これに関しまして言葉でも申し上げたいと思います。
 県産農産物や加工品の販路開拓及び県産品の高品質化、ブランド力の向上は、継続して実施していくべき県政の重要な課題と位置づけております。
 先日、大阪で開催いたしましたわかやま産品商談会にも出向きましてトップセールスを行い、またバイヤーを集める努力も行ったところでございます。議員の御尽力には頭が下がるところでありまして、人の多く集まる、議員お挙げになりましたような大手スーパーの活用なども有力な手段であると考えます。関係企業の御協力にも深く感謝をいたしたいと思っております。
 今後もこういった機会を活用し、県産品の競争力を高めるとともに、販路開拓・拡大に先頭に立って取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、海外へのさらなる販路開拓であります。
 県産品の海外への販路開拓につきましては、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。これまでの取り組みについても御紹介申し上げながら、お答えいたしたいと思います。
 一昨年から、香港の高級スーパーであるシティ・スーパーと取り組みを始めております。香港主要四店舗で開催したデモンストレーションフェアでは、追加発注があるなど予想以上の好評を博したところでございます。富裕層をターゲットとしている高級な店では、品質がよければ少々高くても十分売れるという実感を県としても得たところであります。海外、特に東アジアは大変魅力的な市場であると認識しております。
 こうした取り組みの結果、柿、ミカン、桃などの農産物、梅干し、ミカンジュースなどの加工品が恒常的な取引として定着してきておりまして、いずれも本県生産物の安全・安心、品質のよさが高く評価されたものと考えております。
 今後は、これまでのこうした実績を踏まえまして、香港だけじゃなくて台湾その他東アジア地域についても関係機関等と連絡しながら、引き続き流通の実態、ほかの有力な流通業者等の情報収集を図り、海外市場への進出に意欲のある県内生産・製造業者等を支援してまいりたいと考えております。私自身もさまざまな機会をとらえ、積極的にトップセールスを行っていく所存であります。
 次に観光振興について、とりわけマスメディアへの働きかけについて御質問がございました。
 厳しい財政状況のもと、効率的で効果的な情報発信を行い観光の振興を図っていくためには、職員みずからが知恵を出し、工夫を凝らした情報戦略を企画するとともに、汗をかいてこれを実施していくということが大事だと考えております。このため、東京の有楽町にあるわかやま喜集館においては、職員自身で本県の観光資源を売り込むための企画書や販促ツールを作成するとともに、各テレビ局や旅行雑誌発行各社を訪問いたしまして旅番組の制作や記事掲載を提案するなど、各メディアに対し工夫を凝らした情報戦略を展開しているところであります。
 なかなか、一つ努力をすると一つ実るというわけにはいきませんけれども、本年度に入って、これまでに「朝だ!生です旅サラダ」や「いい旅・夢気分」、「レディス4」といった旅番組を初め多くの情報番組や旅行雑誌などに本県の観光素材が取り上げられたところであり、皆さんもごらんになったと思います。
 今後とも、各メディアでの本県の露出度を高めていくために、職員みずからが知恵を出し、汗をかく中、マスメディア対策を、私も頑張って積極的に推進してまいりたいと思っております。
 次に、外国人観光客の誘致についてでございます。
 外国人観光客の誘致は、これも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。この問題にも、これまでも県としても取り組んでまいりました。議員にも大変な御尽力をいただいたと思っております。
 本県では、外国人観光客誘致のため、国が推進するビジットキャンペーンとも連携し、海外のメディアを招請した観光PR、ファミリアライゼーションツアーや海外旅行会社招聘による旅行商品造成を継続的に働きかけてきました。この結果、フランスにおける高野山人気あるいは台湾からの南紀白浜空港への国際チャーター便就航につながり、また海外からのツアーも増加し、昨年の外国人観光客の受け入れは過去最高となる見込みであります。
 今後、引き続き他府県等とも広域的に連携を図りながら、近隣アジア諸国を重点に本県の温泉あるいは食の魅力、あるいは高野・熊野などの世界遺産を積極的にアピールし、さらなる誘致を進めてまいりたいと思います。
 中でも、議員御指摘のお隣の韓国につきましては、関西国際空港や南紀白浜空港からの利便性の高いゴルフ場と温泉地をあわせ持つ本県の好立地条件を生かしましてツアー客の誘致に取り組みたいと考えております。
 それから防災対策、とりわけトリアージタグのように責任を持って順番をつけて復旧をするというようなお話がございました。
 災害時には情報が混乱、ふくそうをきわめ、不測の事態が多々起こることが予想されますが、発生時はもとより、復旧に当たっても私自身がイニシアチブを発揮し、緊急度や重要度を考慮した最も適切な対策を迅速に行っていく必要があると考えております。
 今後、そうした事態を想定した実態的な訓練を重ねて、有事に備えてまいりたいと思っております。
○議長(向井嘉久藏君) 副知事原 邦彰君。
  〔原 邦彰君、登壇〕
○副知事(原 邦彰君) 県立医科大学の紀北分院における緩和ケア病棟の設置と内容の充実についての御質問がございました。
 紀北分院整備基本計画におきましては、主な診療機能として、緩和ケアの専門センターを設置し、終末期患者への疼痛管理やメンタルケアなど包括的なケアを実施していく計画であり、緩和ケア用の病床も二十床設置することとしてございます。また、患者に対する精神面のケアを重視したケアマインド教育や研修、あるいは医師や薬剤師、訪問看護師がチームで在宅緩和ケアに取り組むモデルづくりなども実施し、県内の医療従事者へ緩和ケアについての教育や研修の機会を提供していくことが計画されております。これらは、紀北分院の整備後、県立医科大学において順次具体化されていくものと考えております。
○議長(向井嘉久藏君) 企画部長高嶋洋子君。
  〔高嶋洋子君、登壇〕
○企画部長(高嶋洋子君) 関西国際空港に関する国際便、国内便の便数と二期滑走路の供用開始に係るスケジュールについてでございます。
 旅客便につきましては、現在のところ、国際線ではジェットスターによる新規就航など六つの航空会社で週十便の増便が明らかになっておりまして、国内線では札幌、那覇、福岡線などで一日五便の増便予定となっております。また、貨物便につきましても、国際線で週三十二便、国内線で週六便と、大幅な増便となる見込みとなっております。これら現在までの増便予定分を加味すると、平成十九年度の発着回数については十二万五千回はクリアできるものと思われますが、今後とも大臣合意である十三万回という大きな目標に向けて、さらに関係団体と協力しながら、より一層の集客、利用促進に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、二期滑走路供用までのスケジュールでございますが、三月末までは飛行機を使って無線施設等の検査が進められた後、国土交通省から合格通知を受理するとともに供用開始届を提出いたしまして、六月上旬には国土交通省から供用の告示がなされることになっております。その後、八週間の周知期間を経て、八月二日に供用開始の運びとなります。
 今後も、関西国際空港の二本の滑走路が十分その機能を発揮できるよう、関係団体と連携をとりながら取り組んでまいります。
○議長(向井嘉久藏君) 商工労働部長下  宏君。
  〔下  宏君、登壇〕
○商工労働部長(下  宏君) ブランド推進課の四年間の成果と今後の課題についてでございます。
 平成十五年の四月にブランド推進局を立ち上げてから、これまで首都圏及び関西圏の大手量販店、高級スーパー、百貨店を中心として百五十三回の和歌山県産品フェアを開催するなど、県産品の販路開拓・拡大に積極的に取り組んでまいりました。この間、マーケットにおいては県産品の魅力が理解され認知度が高められてきたものと認識しており、その結果、延べ三百二十六商品の新規継続取引が実現しました。特に、量販店における和歌山県産品コーナーの設置や全国展開される商品も生まれるなど、実績を上げてきました。さらに、インターネット商店街である「ふるさと和歌山わいわい市場」においても年々売り上げが増加し、インターネットを通じた新たな販路開拓が実現をしております。こうした中、生産・製造業者の皆さん方の商品の安全性に対する意識や商品開発、販路拡大への意欲も向上してまいりました。
 今後は、さらに県産品の販路拡大を図るため、安全・安心な食品の提供と意欲ある生産・製造業者への支援を強化し、県産品のブランド力を高めていきたいと考えてございます。
 次に、新商品の開発・発掘等につきましては、議員御指摘のとおり、売れる商品づくりのために極めて重要な要素であると考えております。これまでも県内の生産者等約二百社を訪問し、商品開発や販路拡大に関する意向調査を行ってきたほか、県が実施する商談会やフェア等を通じてバイヤーの意見や消費者の反応などを生産者に随時フィードバックし、商品の改良や改善に役立てていただいてまいりました。さらに、商品開発やパッケージデザインなどのアドバイザーを派遣する制度や、新たな商品の試作等に当たって首都圏や関西圏の消費者から直接意見を聞くためのモニター制度なども設け、さまざまな方法で意欲ある生産者による売れる商品づくりを支援してきたところです。
 また、生産者と協働で販売手法の改善にも取り組んでおります。例えば、近年の梅酒ブームの中で、日本一の梅の産地である和歌山県産の梅酒を全国に広くアピールしていくため、県の呼びかけにより、県内の梅酒生産者十二社をメンバーとして本場・紀州産梅酒の会を設立し、共通のポスターや小冊子等の製作に取り組んでいるところでございます。酒造会社と梅干し製造会社が共同で梅酒の販売促進に取り組むことは恐らく全国でも初めての試みであり、その成果に大きな期待を寄せています。
 今後とも、こうした施策のさらなる充実を図るとともに、生産者に対する制度の周知と利用促進を進め、和歌山のブランド商品づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
 なお、議員御指摘の県産品の認証制度につきましては、現行のふるさと認証食品制度の活用等を含め、今後検討を行ってまいります。
 次に、関西空港と白浜空港をリンクさせた売り込みについてでございます。
 関西空港と南紀白浜空港の利用促進及び世界遺産高野・熊野を基軸とする和歌山市や南紀白浜地域にわたる広域観光の振興は、本県にとって重要な課題であると認識をしております。このため、両空港を活用した関西空港インで高野山、熊野、白浜をめぐり南紀白浜空港アウト、あるいは逆コースなどの広域観光による新たな旅行商品の開発に旅行エージェントと協働して取り組んでいくとともに、マスメディア対策の展開の中で当該広域観光の魅力を積極的に売り込んでまいります。
 また、外国人観光客誘致についても、南紀白浜空港への国際チャーター便と関西国際空港を結ぶツアーなどを検討してまいります。
○議長(向井嘉久藏君) 危機管理監石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○危機管理監(石橋秀彦君) 防災問題について、二項目の質問がございました。
 まず、避難経路等の県民への周知についてお答えします。
 県内の沿岸市町におきましては、県作成の津波浸水予測図に基づき、避難経路、方法、場所を示した津波ハザードマップを住民の皆さんの参加も得ながら作成しているところであり、今年度中に十八の全沿岸市町において完了予定で、各家庭に配布されることになります。また、津波発生時に的確な判断で避難ができるような津波避難標示板の設置を近々始める予定です。
 なお、災害発生時に迅速に避難できるよう、平常時から防災訓練や講習会などを通じ周知徹底をすることが重要であると認識しており、引き続き市町村と連携し、取り組んでまいります。
 次に、複合型災害への対応につきましては、県では、東海・東南海・南海地震同時発生という最悪のケースで地震や津波の被害想定を実施し、その結果に基づき、現在、着実に対策を進めているところでございます。しかし、災害については、常に最悪のケースを想定し、対応を考えておくことも必要でございます。
 今後は、複合型災害が発生した場合の応急対応などについても検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(向井嘉久藏君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教員の資質向上についてお答えいたします。
 学校教育は、その直接の担い手である教員の資質能力に負うところが極めて大きく、教育委員会としましても、教員としてすぐれた人材を確保するとともに、その資質能力を向上させていくことの重要性を強く認識しているところでございます。
 現在、文部科学省において教員免許更新制の導入に関する法制化について具体的な検討がなされているところでございます。今後、こうした制度の確立を待って適切に対応してまいりたいと考えております。
 また、本県では、平成十六年度から教員の資質に関する審査委員会を設け、研修が必要であると判定された教員には指導力の向上を目指す特別研修を実施し、学校に復帰し教員として十分その任務を果たすことが可能かどうかを判定いたしております。
 今後とも、教員の資質向上に係るさまざまな制度を厳正に運用し、優秀な教員の育成に努めてまいります。
○議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 以上で、森正樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十六番和田正人君。
  〔和田正人君、登壇〕(拍手)
○和田正人君 今任期最後の二月定例会一般質問の大トリの機会をいただき、万感の思いを持って登壇をさせていただきました。
 通告には「回想」と出てございます。七十一年間の我が人生、すべて振り返る時間はございません。三十四歳ごろから私自身の今日までの歩みを「回想」と題して申し上げてまいりますので、しばらく御協力をいただきたいと思います。
 一九七〇年、昭和四十五年であります、この一月十日、私はワシントンのダレス空港におりていました。大変な大雪であったことを記憶してございます。当時の羽田空港をプロペラ機で出発し、ハワイ、アンカレッジ、シカゴで給油休憩と機体整備をしながら、約二十九時間をかけた、初めて経験する海外へのフライトでした。アメリカ国務省とUSW──全米鉄鋼労組でありますが──この招聘にこたえ、IMF─JC(国際金属労連日本協議会)のお世話で鉄鋼労連が人選をされ、幸いにも六人のメンバーの一人に三十四歳になる前の私が選ばれたことは、先輩・宮田義二さんや今は亡き斉藤安正さんの御推挙であったと感謝をしながら、約三週間の北米を中心とした見聞や交流、経験は今日でも鮮明に思い出すことができますし、その後の私の人生に大きな影響を与えたことは否定できません。
 当時の日米関係は、日本製品に対するダンピング問題や貿易摩擦が幾つかの業種間で起こり始めたころでありました。公式為替レートは一ドル三百六十円の時代でしたが、四百円を出さないと一ドル札をもらえなかった、今日では考えられない力関係でありました。そして、今日でもアメリカ社会の大きな問題と言える人種問題を到着した最初のワシントンで、その次のニューヨークでは当時でも百五十の人種が生活しているという、まさにアメリカ国内の人種のるつぼを実感したのであります。このことは、その後訪問した幾つかの労働組合の幹部から紹介された問題点でもありました。
 それは、英語を話せないアメリカ人として、市民権を得て努力する人たちとは別に、アメリカンドリーム──アメリカには自由と仕事があると南米を中心に不法入国する人たちの話の中から、職場にいるその人たちが英語を話さないことをいいことに他の従業員よりも二時間の搾取をされていることに驚きました。それは、勤務時間で朝一時間早く、夕方一時間遅く働かされているということでありました。それを今日の日本社会に置きかえてみて、東南アジアや日系ブラジル人といった日本に働きに来ている人たちの中にそんなトラブルがないと言えない今日の日本社会、改めて思い起こしている問題であります。
 交流した人たちの中には、貿易摩擦に絡んで、「日本人の家はウサギ小屋のようなのか」、また「家庭には電気冷蔵庫があるか」との質問をする人も多く、実に腹立たしい思いもしたものであります。さらに、「日本人はアベレージが高い。だから、だれが総理大臣になっても余り変わらない。アメリカでは約二割の優秀な人たちがいて、その中から世界を動かすリーダーが出てくる」という、アメリカの姿勢が世界に与える影響を強調されたものであります。
 各地を移動しながら、率直に感じたことがありました。その一つは、南北戦争が何であったのか。リンカーンの奴隷解放という人道主義の側面が強調されても、国連識字年や日本の義務教育制度を対比してみて意識したのであります。広大なアメリカ各地を実感したとき、第二次世界大戦における戦死者はもとより多くの犠牲者には申しわけないけれど、もし日本が勝っていたとしてもこの国を統治できないのではないか、こういう思いでございました。大都市シカゴでは、その呼び名はインディアンの言葉で「風の町」という意味であること。そして、カナダから五大湖を吹き抜けてくる厳寒のマイナス二十三度を体験し、車内からでしたが、一等地にあるユダヤ系の人たちが住む立派な家々を見て、また驚いたものであります。帰国した後は、大阪万博に日本の戦後復興とそのエネルギーを世界に発信する年でありました。
 今、民放四チャンネルで日曜夜九時から「華麗なる一族」──これは一九七三年発表作品のリメークでありますが──放映されています。一九六〇年代後半、一九六五年の金融再編という時代背景と山陽特殊製鋼が経営破綻という社会的な大問題があり、住友金属も八幡製鉄や富士製鉄から銑鉄を購入しなければ粗鋼の生産ができないという苦しみから、通産省相手に高炉戦争という企業の命運をかけた取り組みを続けた経過がありましたから、戦後、日本の復興を支えた石炭産業がエネルギー転換により主役の座をおり、重厚長大の最たる鉄鋼が素材提供を技術革新とともに日本の金属産業に提供し続けたことが各産業の国際競争力を高め、「鉄は国家なり」と言われ、高度経済成長の基幹産業としてその役割を果たしてきたのであります。原作者の思いは別に、私はこのドラマを当時の状況を思い出しながら鉄の歴史を振り返っている一人であります。
 そして、旧八幡製鉄と富士製鉄の合併が実現し、その後、一九七三年、昭和四十八年暮れからのニクソンショック、続く石油ショックから、資源のない日本という意識と、そこから産業界に生まれる科学技術の発達は日本の産業に省資源技術や国際競争力を強める作用を必然的に強めさせたとも言えますが、戦後の日本の復興を支えた石炭産業は、中東の安い石油を購入し始めてから、国策としてのエネルギー転換に対して、三井三池を中心とした石炭労働者の闘いは今日では語る人も少なくなりました。国と産業が産業政策を考え、企業が従業員の雇用の安定や地域社会との共存を責任ある態度で果たしていくならば、経営者の不適切な姿勢と企業の社会に対するモラルの低下から起こる住民による訴訟事件など、情けない失敗は防げたと考えますが、他方、アスベスト被害の問題などは明らかに国の責任を問われるものだと思います。
 地球温暖化対策の課題とも関連して、一九七三年のニクソン大統領の一般教書に次の二点が発表されています。参考までに御紹介しておきますと、一つは、環境浄化への第一歩として、汚染との闘いは悪人を探すことではない。我々の環境に加えられた損害の大部分は悪人たちのしわざではないし、技術の進歩あるいは人口の増大の必然的な副産物でもない。汚染は、行われた選択よりも、むしろおろそかにされた選択の結果として生じる。悪意のある意図からではなく、我々の行動のあらゆる結果を考慮に入れないことの結果として生じる。二つ目に、遂行すべき課題として、それには費用と決意と創意が必要である。そして、それは政府だけで行うには余りにも大きな仕事である。それらの仕事は、土地、大気、水の使用についての根本的な新しい考え方、一層厳しい規制、政府の措置の拡大、より大きな市民参加、そして政府、産業及び個人がそれぞれこの仕事の持ち分を果たすこと。経費分担の保障計画が必要である。
 このアメリカ大統領の発言から三十年以上経過しているわけでありますが、石油にかわる代替エネルギーの進歩よりも、石油価格の上昇に苦慮する日本の産業界の今日の姿を考えるとき、アメリカに初めて行った一九七〇年、その当時、為替レートは異なりますが、一バレル──百五十九リットルであります──一ドル七十セントで購入できていたものです。三十数年経過した今日の石油価格は当時では想像もできない高騰ぶりであり、OPECや国際石油メジャー、産油国の思惑等々、日本の手が届かないところではあっても、石油ショック以降、日本経済は大変な経験をしてきたわけであります。
 けさの新聞で紹介されていますように、ゴア前副大統領がオスカーを受賞した。地球温暖化について警告をした「不都合な真実」、長編ドキュメンタリー賞ということで受賞したようであります。このゴア前副大統領の「不都合な真実」、この考え方が、ニクソン教書が発表されるころからもしアメリカ大国が手を組んで世界に呼びかけた温暖化対策をしておれば、私どもの地球は今ほど大きな問題には至ってなかったんではないか、こんな思いもしているところであります。
 一方、戦後十年の一九五五年、昭和三十年、私の高校卒業時でありますが、日本の社会には、車と名のつくものは、軍の使用していたものを含め、約二万台しか走っていなかった。国内に石油資源がほとんどないゆえに中東の安い石油を購入することができたことで、一九六〇年代以降の自動車産業の発展やマイカーの増加を含め、衣食住に関連する石油をベースにした科学技術の発達を促し、高度経済成長の大きな要因になったことは否定できないと思います。日本経済のひとり勝ちのような要因になったこの時代の安い中東の石油に対し、国内に資源のあるアメリカ、イギリス、ドイツはどんな対応をしたのか、経済成長に差が出た原因であります。仁坂知事は、その辺はよく御承知だと思います。
 今、日本社会を走る車は六千万台を超えて、国民二人に一台所有という世界に例を見ない車社会になっていることから、これに追いつけなかった道路行政、都市の過密と地方の過疎、東京一極集中、多くの課題を持ちつつ、社会や産業、そして働く場に光と影を、格差を生み出している今日であります。
 一九八一年、昭和五十六年であります。私は、サウジアラビアを訪れる機会がありました。四日間の滞在でしたが、砂漠の民の生活のさまや王制国家での産油国のオイルマネーの威力を見聞したこと、イスラム教の戒律の厳しさ、アラブ諸国のシーア派とスンニ派の対立、イスラエルとパレスチナ問題を頂点とする中東情勢の一端を勉強する基礎となりました。
 先日、仁坂知事をブルネイの大使が表敬訪問をされたようであります。和歌山県とどういうつながりを持っていくのか。財政的に恵まれた国だというふうに伺っています。仁坂知事には、過去の経験を生かし、表敬訪問をされたこのブルネイとの関係についても、和歌山県の今後のあるべきそういう課題の中で可能な限り生かしていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。
 次に、和歌山県議会議員として、昭和五十八年、一九八三年四月、和歌山市選挙区から初めて当選をさせていただき、今日まで六期二十四年間、多くの皆さんに御支援、御指導、御交誼を賜りました。この場をかりて厚く御礼を申し上げる次第であります。議員としての今日までの評価はみずからできるものではありませんが、基本的なスタンスは変えなかったつもりであります。それは、永年在職二十年以上の議員表彰を受けた際にこの壇上からも謝辞を申し上げましたが、政治にかかわる者の先見性という課題を常に意識してきたということであります。
 そのとき申し述べた具体例は、県民文化会館を建設したとき、県庁との間になぜ地下通路と駐車場をつくらなかったのか、また、高野龍神スカイラインの建設時に、紀伊半島の南北にパイルやボタンの異業種交流のできる企業団地をつくるなどして産業道路としても活用する議論を県議会でされなかったのかという疑問を感じたからであります。限られた予算と費用対効果を意識し、先見性を持って県政に参画すべきであるという責任を強く意識したのであります。その後の道路公社のありようや毎年一般会計から補てんした金額を考えるとき、必要な議論であったと思います。
 これに関連して、一九八五年、昭和六十年のことでありますが、建設委員会の県内調査で、先輩議員が自分の選挙区でもある上富田の新川というところで地元の農業関係者を二十人ほど集められ、現地での陳情をされました。それは、田や畑を持つ皆さんが、そこで利用している農道を軽四で農機具を運びやすくするため拡幅舗装してほしいという内容でした。私は、同行していた当時の土木部長にどの程度必要か聞いたところ「約五億円」と答えましたので、その先輩に、将来環状道路になる計画があるのかと尋ねたところ「ない」とのことでしたので、即座に私は地元の皆さんに「申しわけないけれど、副委員長として認められない」と主張して、その先輩議員と口論になりました。(「わしやろ」と呼ぶ者あり)議場におられる町田先生ではございません。──先輩いわく、「そんな反対をする県会議員は君が初めてだ」と言って大変激昂されましたが、私はその場で、先輩議員が自分の口ききで予算をつけたと次の選挙にプラスである思惑であっても、約五億円でも、県内ではもっと早く手当てをすべきところがあること、天から降ってくるお金ではない上に打ち出の小づちもないわけでありますから、我慢をしてくださいと。先輩は地元の皆さんに県会議員として努力をしている姿を見せたいとの思いでしょうが、県議会に出席をされるとほとんどの議案に反対をすることの多い政党に属されている立場と地元への利益誘導という姿勢に強く反論をし、対費用効果と波及効果に期待できないとして認めなかったのであります。委員長は下川議員でございました。
 点から面整備へと継続した公共工事が、特に和歌山県には必要であります。その場の要望で点を整備するのではなく、その地域の特色を生かす、民活を引き出す、活性化につながる面整備へと、中長期の計画を持って投資をする事業に力を入れなければだめだと意識をし、機会あるごとに当局の皆さんに訴えてきたところであります。
 かつて和歌山県には、東燃、丸善の石油二社、そして住友金属、この三社で県税収入の多くを占める時代があり、財政力も悪くなかったと聞きましたが、一九八五年、昭和六十年を挟んで丸善石油がなぜ撤退したのか、当時、経済警察委員会でも議論のあったところですが、仁坂知事は御存じでしょうか。
 私の知る限り、参考までに申し上げますと、石油ショック以降の国策は国内での石油備蓄の強化であり、八十日分、それ以降、鹿児島などのタンク群をごらんになった方がいらっしゃると思います。当時、第一次、第二次田中内閣として田中角栄総理大臣は、日本の国内にある石油会社に対し、日産五十万バレルの精製能力を持つように設備増強の要請をされたわけであります。当時の丸善石油の和歌山工場はその十分の一の日産五万バレルの能力しかなかったために企業として埋立申請を労使一体となってお願いをしたわけでありますが、住民の理解を得られず設備増強できなかったことが大きな要因であると言われ、また経営体質に問題を抱えていたとも言われたのであります。
 余談でありますが、当時、日本と韓国両国にあった問題と国民感情から、韓国の軍隊関係者に「日本の自衛隊に負けないから戦争したらどうか」というふうな、うそのような勇ましい話が出ているということを、韓国を代表する財閥の方から紀の国会館の喫茶室でお伺いしました。その方は、「君たちは間違っている。近代戦争は石油の所有量で決まる。韓国は十八日分しか備蓄がないけれども、日本は八十日分持っているから、長期戦になれば韓国は勝てない。したがって、ばかな考えを持たないよう軍関係者を説得した」と伺ったときは、本当に驚いたものであります。
 企業誘致に意欲を燃やす仁坂知事と県民の意識に差がないか。県民性を考えるとき、知事就任後、住友金属の和歌山、鹿島の関係で周辺住民、県民性について触れられたやに聞きましたので、あえて丸善の撤退事情をお伺いしたのであります。
 次に、コスモパーク加太に関連してであります。
 私は、過去、コスモパーク加太の土地利用について、大きくは、一九八五年の本会議でありますが、大阪を中心にした近畿圏でオリンピックを誘致してはどうかと。このオリンピック誘致運動に対して、当時の宇野関経連会長にも私個人、関西の経営者団体として応援してほしいということをお願いに行った経過があります。残念ながら、国内では横浜市と競合し、IOCでは北京に決定され、来年開催される予定となっているのであります。
 また、関空開港後の和歌山県が騒音だけの扇風機や冷蔵庫の裏側にならないために、コスモパーク加太の土地利用と債務について幾つかの提言をしてまいりました。
 その一つは、ODA(政府開発援助)のあり方と窓口の誘致についてであります。
 これについては、たくさん言いたいことがあります。特にODA問題については、国会での議論が余りにも少ない。今開会されている国会においても、青木参議院会長しかこの問題を取り上げていない。このODA問題については、経営者団体を初め、いろんな提言が過去においてされてまいりました。私は、この議場を通して、関空の土地利用に関連をし、ODAの窓口を加太の土取り跡地に誘致してはどうかと。その場を通らなければ人、物、金は出ない、関空から来る外国からの人たちが必ず、ODA関連は和歌山に来ないとだめだと、こういうふうなあり方論と、そして同じ加太に常設展示館を設置し、日本の国際的な競争力を持つ機械、電機、自動車それぞれのメーカーに御協力をいただき、常時そこで新しい製品を見ることができる、バイヤーとして来られた人にはすぐ交渉ができる場をメーカー側に要請をしておく、このようなことを含め、ODAの窓口と常設展示館の設置について提言をしてまいりました。
 ODAは、円借款が外務省、当時の大蔵省、そして当時の通産省、経済企画庁の四省庁、技術協力が十七省庁にまたがるということで、大変難しい問題であるということが答弁として言われましたけれども、和歌山県にそれを誘致したいということを提唱するということをやってみてはどうだと。和歌山から発信をする、こういうことで具体的な地方分権の一つの取り組みとして、当時の仮谷知事以降、何人か知事がかわりましたが、申し上げてきたものであります。この提言など、特に経営者団体から出された意見書などを考えると、あの当時からこのODAのあり方をもっと真剣に議論をしていただいておれば鈴木事件というのはどうであったのか、こういう思いも今しているところであります。
 簡単ではない、多岐にわたる中央省庁の状況でありますが、私は、この考え方は今死に体になっているとは思いません。日本の国内、そしてODAのあり方、地方分権、加太の土地の有効利用、改めて検討して、だめであってももともとです。座してあの土地に金利ばっかり払っていくんであれば一回大きな声を上げていただきたい、こういうふうに願っている一人であります。
 二点目の常設展示場も、先ほどそういう考え方で申し上げました。
 三点目は、大学誘致をしたいということで、私学の問題について触れてまいりました。しかしながら、旅田元市長にこの計画はつぶされてしまいました。
 参考までに申し上げておきますが、当時、県の企画部と市の企画部を中心に、大学誘致をしてどのような学部をつくってもらうかという問題なども含め、八回の協議を重ねていただきましたが、和歌山市自身が創造大学を持ちたいというあの発表以来、完全に腰が引けた学校側の姿勢の中でまとまらなかったという経過があります。
 四点目は、総合運動公園として、二巡目国体に対して和歌山県が取り組んでいかなきゃならないわけでありますが、現在の紀三井寺競技場や野球場、ここに維持管理費を含め老朽化対策を続けながらメーンの競技場にしていくのかどうか。
 私は、この提言をした際、マリーナに連動してあの地域を再開発して、ハウスメーカーなどとも協力しながら住宅地として販売をし、その余力を持って加太に新しい設備、総合運動公園の投資をするというふうなことを考えてはどうか、こういう趣旨で申し上げてきたつもりであります。いろんな方の御意見もございましたが、このコスモパーク加太の土地利用について知事の御所見をお伺いしたいと思います。
 次に、安全・安心の問題に関してでありますが、時間が余りございません。回想で随分時間をとりました。
 日本にはかつていろんな神話がありました。それは、世界で一番安全であるという生活環境を言われたわけでありますが、オウム真理教の事件以来、本当に日本は安全であるのかどうか、こういう神話のつぶれた問題もあります。
 二つ目は、サンフランシスコやロサンゼルスの地震のときに、日本の高速道路や橋梁構造物は、その耐震性や技術、材料から見て大丈夫と保証するコメントを出された専門家もたくさんいたわけでありますが、あの平成七年一月の阪神・淡路大震災による被害状況は、その安全神話すら根底から打ち砕きました。新たな技術開発と多額の投資といったコスト増加を余儀なくされる、こういう事態を招いたことを考えれば、県民の命と財産を守る、社会資本を守るという立場から、避けて通れないこの安全に対する課題であることを提起したのであります。
 三つ目の安全神話は、銀行はつぶれないというその当時までの信頼関係が、住専処理問題等で国民の多額の税金を投入するという事態から金融機関に対する不信が生まれ、銀行もつぶれるという提起をしたわけであります。
 これらの三つの崩れつつある当時の神話問題に加え、当時、製造業を中心とした産業界の空洞化問題、いじめや児童生徒の自殺に象徴される教育問題、氷河期と言われる就職難問題、失業率や中高年の働き場所確保と高齢化社会への対応、過疎と後継者問題等々、経済大国とは名ばかりの、ゆとり、豊かさの実感できない、成熟していない不安定な社会環境と言わざるを得ないということを訴えたのであります。その後十一年が経過した今日、国会移転や地方分権、機能分散など、提起されて久しい課題に対し、具体的な取り組みや行動が現実の姿として国民の前に具現されてこないいら立ちを覚えるのは、私一人でしょうか。「失われた十年」という表現の中に、市町村合併や財源移譲など、地方自治体が住民のために議論をして一定の結果を出したものがあるとしても、これでよしとは言えないと思います。
 この平成八年二月の議会で提起をし、今なお持ち続けている自分の意見があります。それは、人間の幸せとは何か。毎日の生活において健康で、心の安らぎを覚える営みが続けられる安心感ある生活、居住地環境も含め、犯罪や事故の心配がない、安全が確保されている生活、貧しくとも明るく毎日が過ごせる職場確保によって将来に夢と希望を持てる安定した生活、この安心・安全・安定の三つを県民生活に保障していく責任が行政の課題であると、私は考えています。そして、県民生活にかかわる危険予知をする、徹底的に危機管理体制を確保しておく、夢と希望を県民と分かち合えるよう、和歌山県のイメージダウンを回復し、和歌山県のリーダーとして、県民の負託を受けた政治家として、決断する指導者として、県民生活の発展に基本的なスタンスを持っていただきたい。知事の所見を伺うものであります。
 三点目、将の将たるゆえんについて触れさしていただきます。
 仁坂知事、あなたは、県民に謝るべき事態の場合は率直に謝れますか。なぜ、このような投げかけをするのか。私は、前知事に対し、本会議場において県民に謝るよう求めた事態が二度ありました。一つは、官製談合としてみずから司直の手に裁かれる原点となったBig・Uの建設で、昭和設計との関係、建設現場の沈下による対策に追加補正約四億二千五百万円の支出をめぐって当時の建設委員会は他の議案と切り離して集中審議をするなど、その責任について、本会議場において県民に対し知事に謝っていただくという理解で、全国マルチメディア祭を誘致している会場でもあるということで補正予算の支出案件を承認したわけでありますが、中山副知事、当時の副知事に謝らせたのであります。
 いま一度は、白浜空港の用地買収に関する疑惑について。いろいろ審議をいたしました。当時の状況は企画部長であった野添公室長がよく御存じでありますが、いずれにしても二度とも中山副知事に謝らせたことに対し、私は、どうして知事が謝らないのか、審議の内容を考慮し、謝る文面まで届けた私としては納得ができなく、厳しく指摘をしたのであります。これに対し、前知事は、「謝るのが嫌いです」と言われました。謝るのが好きな人はいないでしょう。ましてや官僚育ちであるがゆえに余計に謝るのは嫌いであっても、県民のトップである知事が、県行政の運営で県職員が努力をしている経過の中で、予測できない事態や自身が直接その問題に関与していない場合でも、県民に対する説明責任とあわせ、将の将たるゆえんを知らないのかと厳しく追及したところ、ここからは余り言いたくありませんが、「謝るのも副知事の仕事のうちです」と答えられました。私は、この知事はだめだと思いました。
 私は、仁坂知事に、こういう事態が起こらないように御努力していただけるという大きな期待をしておりますが、もしこんな事態が起こったときに、県民に対する説明責任と、みずから将の将たるゆえんをもってどういう対応をするかということを常に心しておいていただきたいと願う立場から、この問題を投げかけさしていただいているわけであります。
 もう一つは、ことし三月末をもって、県職員として長年御苦労された皆さんが、定年される方が百六十一人いらっしゃるというふうに聞いております。この人たちの中で、働く能力があり体力もある、この人たちをいかにして和歌山県の社会の中において、地域においてどのように活躍していただくかということも県行政の大きなありようの問題だというふうに考える立場から、再就職あっせんに取り組んでおられるのかどうか、お伺いするものであります。
 一部マスコミ皆すべて「天下り」という表現の中に全部包含している、そういう向きもありますが、私は、過去の問題は過去の問題として、県職員が、自分は能力があり働く体力がある、そのことをすべて、民間に再就職した場合、天下りというふうなとらまえ方は大きなマイナスである、こういう見地から、過去、副知事を中心に再就職あっせん委員会等がされてきた歴史があります。今日は大々的にできないという萎縮した状態かもしれませんが、県職員の持つ、過去培ってきたこの財産を地域社会に生かすということを忘れてはならない。こういう観点から、積極的に優秀な人たちをいかに活用するか。民間は大変厳しい環境にあり、みずからの会社で定年する人たちをどうするのかという大きな問題もありますが、人材派遣という立場を考えながら、この問題についても知事あるいは副知事を中心に一生懸命考えていただきたいなと、こういうことをお願いする次第であります。
 最後に、仁坂学校を開設してはどうかという提言であります。
 前知事は、和歌山アドバイザー会議というものを設置したいということで予算化し、約三年ほど取り組まれましたが、この三月末をもって離職された方が期限が切れるということで、仁坂知事はそれ以上に多くの皆さんの声を聞きたいという考え方を持っておられるようで、継続をしないというふうにお伺いをしております。しかし、私は、新知事になられてから、和歌山のことを一生懸命勉強されている、恐らく今日まで和歌山県の信頼を取り戻すため懸命に腐心をされ、心休まるいとまもなかっただろうというふうに推察をしているところでありますし、本格的な二月定例会を迎え、体力はともかく精神的にいささか疲れを感じる新人サラリーマンが多く経験をする五月病になっていないか、こういう心配をする一人でありますが、知事として行政の停滞は許されません。
 どうか、知事、「経験にまさる学習はなし」という言葉があります。今日までの選挙を含めたあなたの経験は、将来の大きな財産となると思います。県職員とともに、むだをなくし、無理をしない、仕事にむら気をなくす、この三ム主義というものを心がけて頑張っていただきたいし、先ほど来申し上げているように、若い人、人材を育てるという意味で、各界各層どういう人選をされるかわかりませんが、時間をかけてでもいいです、どうか和歌山のあすを語るために、夢を持って、まじめな責任自覚派の皆さんが嫌気を差さないように、ともに勉強するということで、あえて「仁坂学校」という表現をいたしましたが、そういうチャンスを和歌山県行政の中につくっていただきたいということを要望し、そして長年この議場を通していろいろお世話になった皆さんに改めて御礼を申し上げながら、この四月の選挙で再度立候補される皆さんについては、今日までの経過を踏まえ、新しい知事のもとに失われたこのイメージを回復するためにも、県民の厳しい批判があるかもしれませんけれども、どうか元気に選挙戦を戦っていただいて再度当選をし、その議場であすの和歌山を語っていただくように心からお願いを申し上げまして、私の最後の演説を終わらしていただきます。
 御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(向井嘉久藏君) ただいまの和田正人君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和田議員の回想をお聞きいたしまして、和田議員の訪米の十五年後、私もまた、労働組合、それから所管省庁の違いはありますが、貿易摩擦のあらしの中で、我が国鉄鋼業を守るため全力を尽くしました。その思いが去来いたしまして感無量のものがございました。
 丸善石油の撤退の事情につきまして御質問がありましたが、私も県庁の何人かの人から聞いております。ただ、将来への教訓として、今後とももっとよくお話をお伺いしたいと考えております。
 コスモパーク加太の用地につきましては、現在、平成十五年の特定調停にかわる裁判所の決定を受け、また県議会コスモパーク加太対策検討委員会の御提言も踏まえて、その大部分を事業用借地として県が借り受け、地域経済活性化につながる企業誘致並びに県民の安全・安心につながる防災対策用地としての利活用を進めているところでございます。この広大な用地は、将来の財政負担の原因ともなりかねない大きなリスクを持った土地であるとともに、本県にとって貴重な財産となる可能性を秘めたものでもあります。利活用を進める上で最も肝要なことは、いかに県民の利益につながるかということであると認識しております。
 これまでも、和田議員ほか議員各位からのさまざまな御提言につきましては、さまざまな御議論があり、真剣に検討されてきたものと認識しておりますが、今後とも、そのことも踏まえた上で効果的な利活用を探ってまいりたいと考えております。
 次に、安心、安全、それから安定も必要であるという御指摘でございます。
 議員のお考えでございます安心感、安全、それから将来に夢と希望を持てる安定が人間の幸せであり、行政は県民にこうした生活を確保するように努めなければならない、そして、そのためには県民生活にかかわる危険の予知と徹底した危機管理体制が必要であるということについては、私も全く同じ気持ちを持っております。
 一月の臨時県議会で、私の最大の使命は失われた県政への信頼を取り戻し、本県の名誉と県民の誇りを回復することであり、県政運営の基本姿勢として、県民の皆様の御意見を聞くことがすべての出発点であることと、当たり前のことでございますけれども、県民のための県政を行うという二点を申し上げました。政治家として、知事としての終生の目標である和歌山を元気にするために、「職づくり、人づくり、地域づくり」「清潔で透明な行政の実現」「安心・安全の確保」「和歌山の美しさを活かした観光の振興」「楽しい和歌山の実現」を五本柱としてまいりましたのも、議員御指摘のような気持ちからであります。初心忘るべからず──県民の方々の幸せのために、みずからの責任を持って政策の方向を決定し、県庁職員の先頭に立って頑張りたいと思っております。
 次に、知事は謝れるかというお話でございました。
 万一県に誤りがあるのならば、知事が陳謝するなど、率直に勇気を持って必要な対応をしていくのは当然のことであります。私自身が不徳等不適切なことをいたしましたら、もちろん謝らなければいけません。また、仮に全力を尽くしていても結果が思わしくないこともあります。そのときもまた、県民の利益にかなわなかったことの責任をとって、県庁を代表して県民に謝罪しなければならないのは、将たる者の務めであると考えております。
 それから、次に退職する職員の再就職についてでありますが、議員御指摘のとおり、働く能力と意欲のある職員が県で培ってきた知識や経験を新たな分野で生かしていただくことは、高齢化を迎えるこれからの時代に非常に重要なことと私は考えております。ただ、官民あるいは公民の癒着といった疑惑を招くおそれもありますので、だれによっても不当な働きかけができないようなシステムづくりもあわせて行って、その上で大いに皆さんに活躍していただく必要があると考えております。
 それから、仁坂学校の開設というお話がありました。
 アドバイザー会議につきましては、私は、この会議に参加しておられる人以上に多くの方々から既に意見をいただいております。アドバイスもいただける立場にあります。したがいまして、会議をして集まっていただいてということはコストパフォーマンスの点で余り必要はないかなというふうに思いましたので、あえてこれは廃止さしていただきました。既に、多くの方々から意見はいただいております。
 御指摘の仁坂学校と言いますと私が教師で県民の皆さんが生徒という印象になってしまいますので、名称はともかくといたしまして、和歌山の未来を担うような県民の皆さんと率直に意見交換をしながら、和歌山県の将来について、未来を見据え、視線を上げてともに勉強していきたいと考えております。
○議長(向井嘉久藏君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 以上で、和田正人君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
 次に日程第三、議案の付託について申し上げます。
 ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会及び予算特別委員会にこれを付託いたします。
 次に日程第四、請願付託の件について報告いたします。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 なお、委員会の会場はお手元に配付しておりますので、御了承願います。
 お諮りいたします。二月二十八日から三月二日まで及び五日は委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(向井嘉久藏君) 御異議なしと認めます。よって、二月二十八日から三月二日まで及び五日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、三月六日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後三時四十八分散会

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